JP2023096273A - 直接変換型のx線検出器およびx線コンピュータ断層撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】直接変換型のX線検出器におけるメンテナンス性を向上させること。
【解決手段】本実施形態に係る、直接変換型のX線検出器は、複数の検出器モジュールと、単一のバイアス電圧発生部と、共通電極と、導電体と、を備える。複数の検出器モジュールは、チャンネル方向に配列され半導体結晶を備える。単一のバイアス電圧発生部は、前記半導体結晶に設けられたカソード電極と前記半導体結晶に設けられたアノード電極との間に印加するバイアス電圧を発生する。共通電極は、前記バイアス電圧発生部と電気的に接続され、前記チャンネル方向に延伸して設けられる。導電体は、前記共通電極と前記複数の検出器モジュール各々における前記半導体結晶の前記カソード電極とを電気的に導通する。
【選択図】図3
Description
本明細書及び図面に開示の実施形態は、直接変換型のX線検出器およびX線コンピュータ断層撮影装置に関する。
従来、X線コンピュータ断層撮影装置において、直接変換型のX線検出器が用いられることがある。直接変換型のX線検出器は、半導体または高圧ガスとX線との相互作用により生じたイオン対を、高電圧により電極から収集する。これにより、直接変換型のX線検出器は、X線の入射強度に比例した電荷出力を得ることができる。このため、直接変換型のX線検出器は、関接変換型のX線検出器に比べて高電圧の電源の実装が必要となる。すなわち、直接変換型のX線検出器における複数の検出器モジュール各々には、高電圧が印加される必要がある。複数の検出器モジュール各々に高電圧を印加する構成としては、例えば、複数の検出器モジュール各々に高電圧電源を設けて検出器モジュールごとに高圧ケーブル(または高電圧配線)で高電圧を供給すること、または外部に大型電源を設けて複数の検出器モジュール各々に高圧ケーブルで高電圧を分配することなどの方法がある。
上記いずれの場合においても、X線検出器のメンテナンス時などにおいて検出器モジュールが交換される場合、高圧ケーブルの配線および高圧ケーブルの取り回しなどにより、作業工数が増大することがある。このため、サービスマンなどにとって、直接変換型のX線検出器の保守性すなわちメンテナンス性が低いことがある。
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、直接変換型のX線検出器におけるメンテナンス性を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
本実施形態に係る、直接変換型のX線検出器は、複数の検出器モジュールと、単一のバイアス電圧発生部と、共通電極と、導電体と、を備える。複数の検出器モジュールは、チャンネル方向に配列され、半導体結晶を備える。単一のバイアス電圧発生部は、前記半導体結晶に設けられたカソード電極と前記半導体結晶に設けられたアノード電極との間に印加するバイアス電圧を発生する。共通電極は、前記バイアス電圧発生部と電気的に接続され、前記チャンネル方向に延伸して設けられる。導電体は、前記共通電極と前記複数の検出器モジュール各々における前記半導体結晶の前記カソード電極とを電気的に導通する。
以下、図面を参照しながら、直接変換型のX線検出器および当該X線検出器を搭載したX線コンピュータ断層撮影装置(以下、X線CT(computed tomography)装置の実施形態について詳細に説明する。なお、当該X線検出器は、ガンマ線などを検出する放射線検出器として実現されてもよい。ガンマ線を検出する放射線検出器は、ガンマ線検出器と称されてもよい。このとき、放射線検出器を搭載した放射線診断装置は、例えば、核医学診断装置として実現される。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
以下、説明を具体的にするために、実施形態において説明されるX線CT装置は、フォトンカウンティングCTを実行可能な装置であるものとする。すなわち、X線CT装置は、従来の積分型(電流モード計測方式)の検出器ではなく、フォトンカウンティング方式の検出器を用いて被検体を透過したX線を計数することで、SN比の高いX線CT画像データを再構成可能な装置である。また、本実施形態におけるフォトンカウンティング方式の検出器は、入射したX線を電子すなわち電気信号に変換する結晶を有する直接変換型の検出器(以下、直接変換型検出器と呼ぶ)である。換言すれば、放射線診断装置に搭載された放射線検出器は、放射線検出器に入射した放射線を電気信号に直接的に変換する半導体結晶を有する直接変換型検出器に相当する。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、X線CT装置1は、例えば、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40と、を有する。なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。図1では、説明の都合上、架台装置10を複数描画しているが、実際のX線CT装置1の構成としては、架台装置10は、一つである。
図1は、本実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、X線CT装置1は、例えば、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40と、を有する。なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。図1では、説明の都合上、架台装置10を複数描画しているが、実際のX線CT装置1の構成としては、架台装置10は、一つである。
架台装置10及び寝台装置30は、コンソール装置40を介したユーザからの操作、或いは架台装置10、又は寝台装置30に設けられた操作部を介したユーザからの操作に基づいて動作する。架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とは互いに通信可能に有線または無線で接続されている。
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮影系を有する装置である。架台装置10は、X線管11(X線発生部)と、直接変換型のX線検出器12と、回転フレーム13と、ウェッジ16と、X線高電圧装置17と、制御装置18と、線源側コリメータ19と、DAS(Data AcquisitionSystem)21とを有する。
X線管11は、X線高電圧装置17からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。熱電子がターゲットに衝突することによりX線が発生される。X線管11における管球焦点で発生したX線は、例えばコリメータ20を介してコーンビーム形に成形され、被検体Pに照射される。例えば、X線管11には回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。なお、本実施形態においては、一管球型のX線CT装置にも、X線管11とX線検出器12との複数のペアを回転フレーム13に搭載した、いわゆる多管球型のX線CT装置にも適用可能である。
直接変換型のX線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出する。X線検出器12は、当該X線量に対応した電気信号をDAS21へと出力する。X線検出器12は、直接変換型検出器と呼称されてもよい。X線検出器12は、例えば、複数の検出器モジュールと、コリメータモジュールと、単一のバイアス電圧発生部と、共通電極と、導電体と、第1弾性体とを備える。複数の検出器モジュールは、例えば、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャンネル方向に配列される。
複数の検出器モジュール各々において、例えば、CdTe(テルル化カドミウム:cadmium telluride)やCdZnTe(テルル化カドミウム亜鉛:cadmium Zinc telluride:CZT)などの半導体結晶の対向する面に電極が設けられ、バイアス電圧の印加によって電界が生じている。X線検出器12では、放射線が結晶に吸収されると電子正孔対が生成されて、電子が陽極側(アノード電極(画素電極)側)へと移動し、正孔が陰極側(カソード電極側)に移動することで、信号が出力される。
複数の検出器モジュール各々には、複数のアノード電極と複数のカソード電極とが設けられる。複数の検出器モジュール各々において、複数のアノード電極により形成される面は、アノード面に相当する。複数の検出器モジュール各々において、複数のカソード電極により形成される面は、カソード面に相当する。
単一のバイアス電圧発生部は、半導体結晶に設けられたカソード電極と半導体結晶に設けられたアノード電極との間に印加するバイアス電圧を発生する。単一のバイアス電圧発生部は、ハードウェアとして、例えば、単一の高電圧電源(バイアス電源)により実現される。共通電極は、単一のバイアス電圧発生部と電気的に接続され、チャンネル方向に延伸して設けられる。共通電極は、例えば、金属製の導体棒であるバスバー(bus bar)により実現される。以下、説明を具体的にするために、共通電極をバスバーと呼ぶ。
導電体は、バスバーと複数の検出器モジュール各々における半導体結晶のカソード電極とを電気的に導通する。なお、複数のアノード電極からの出力は、被検体Pに対する撮像条件または入力インターフェース43を介したユーザの指示により、必要に応じてまとめられてもよい。以下、説明を具体的にするために、複数のアノード電極からの出力は、それぞれ独立に画素に対応する出力として処理されるものとして説明する。
複数のアノード電極各々(以下、検出素子と呼ぶ)は、X線光子が入射するごとに、1パルスの電気信号(アナログ信号)を出力する。電気信号(パルス)の数を計数することで、各検出素子に入射したX線光子の数を計数することが可能である。また、この信号に対して、各種演算処理を行なうことで、当該信号の出力を引き起こしたX線光子のエネルギー値を計測することができる。
X線検出器12は、上記した検出素子に加えて、例えば、検出素子に接続されて、検出素子が検出したX線光子を計数する特定用途向け集積回路(以下、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)と呼ぶ)を複数有する。ASICは、検出素子が出力した”パルス数”を計測することで、検出素子に入射したX線光子の数を計数する。また、ASICは、個々の”パルスの大きさ(電荷の量)”に基づく演算処理を行うことで、計数したX線光子のエネルギーを計測する。さらに、ASICは、X線光子の計数結果をデジタルデータとしてDAS21に出力する。
コリメータモジュールは、コリメータ板とコリメータフレームとを有する。コリメータモジュールにおいて半導体結晶に対向する側の面には、導電体が取り付けられる。コリメータ板は、半導体結晶の放射線入射面側に設けられる。コリメータ板は、2つのアノード電極の間に設けられ、少なくともチャンネル方向に配列される。具体的には、コリメータ板は、カソード電極におけるX線の入射側に配置される。より詳細には、コリメータ板は、複数のアノード電極のうち隣接する2つのアノード電極の間において半導体結晶を介して対抗する位置に、チャンネル方向に沿って複数配列される。
なお、コリメータ板は、チャンネル方向に直交する列方向(スライス方向)に沿ってさらに複数配列された散乱線除去部分を有していても良い。コリメータ板は、例えば、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板で構成され、散乱防止グリッド(anti-scatter grid:以下、ASGと呼ぶ)とも称される。なお、ASGは、配列される次元に応じて1次元コリメータまたは2次元コリメータ、または単にグリッドと呼ばれる場合もある。
コリメータフレームは、当該複数のコリメータ板を支持する。コリメータフレームは、半導体結晶の放射線入射面を避けてコリメータ板を支持する。コリメータフレームにおける列方向の両端には、バスバーが設けられてもよい。なお、バスバーは、コリメータフレームと複数の検出器モジュールとの間に配置されてもよい。また、バスバーは、半導体結晶の列方向の両端に、半導体結晶と非接触で配置されてもよい。
第1弾性体は、導電性を有する。第1弾性体は、例えば、導電体とカソード面との間に設けられる。第1弾性体の素材は、半導体結晶に入射するX線の遮蔽を低減するために、X線に対して低阻止能であることが望ましい。第1弾性体は、例えば、導電性のゴムなどにより実現される。本実施形態に係るX線検出器12の詳細な構造については、後ほど説明する。
なお、X線CT装置1には、X線管11とX線検出器12とが一体として被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、およびリング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管11のみが被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)があり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。以下、説明を具体的にするために、本実施形態のX線CT装置1は、第3世代CTを例にとり説明する。
回転フレーム13は、ボアを有し、X線を発生するX線管11が取り付けられる。具体的には、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置18によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13は、アルミニウム等の金属により形成された固定フレームに回転可能に支持される。詳しくは、回転フレーム13は、ベアリングを介して固定フレームの縁部に接続されている。回転フレーム13は、制御装置15の駆動機構からの動力を受けて回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。
なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とに加えて、X線高電圧装置17やDAS21を更に備えて支持する。このような回転フレーム13は、撮影空間をなす開口(ボア)が形成された略円筒形状の筐体に収容されている。開口はFOVに略一致する。開口の中心軸は、回転フレーム13の回転軸Zに一致する。なお、DAS21が生成した検出データは、例えば発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。ウェッジ16は、例えばウェッジフィルタ(wedge filter)またはボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
X線高電圧装置17は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置17は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。
制御装置18は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、制御装置15は、ASICやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。制御装置18は、コンソール装置40からの指令に従い、X線高電圧装置17及びDAS21等を制御する。当該プロセッサは、当該メモリに保存されたプログラムを読み出して実現することで上記制御を実現する。
また、制御装置18は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置18は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置18がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現されてもよい。
また、制御装置18は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。なお、制御装置18は、当該メモリにプログラムを保存する代わりに、当該プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該プロセッサは、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記制御を実現する。
線源側コリメータ19は、ウェッジ16を透過したX線をX線照射範囲に絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
DAS21は、複数の計数回路を有する。複数の計数回路各々は、X線検出器12の各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、X線検出器12の検出信号を用いた計数処理の結果である検出データを生成する。計数処理の結果は、エネルギービンごとのX線の光子数を割り当てたデータである。例えば、DAS21は、X線管11から照射されて被検体Pを透過したX線に由来する光子(X線光子)を計数し、当該計数した光子のエネルギーを弁別して計数処理の結果とする。
DAS21が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。検出データは、生成元の検出器画素のチャンネル番号、列番号、収集されたビュー(投影角度ともいう)を示すビュー番号、及び検出されたX線の線量を示す値のデータのセットである。なお、ビュー番号としては、ビューが収集された順番(収集時刻)を用いてもよく、X線管11の回転角度を表す番号(例、1~1000)を用いてもよい。DAS21における複数の計数回路各々は、例えば、検出データを生成可能な回路素子を搭載した回路群により実現される。
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、天板支持フレーム34とを備えている。基台31は、天板支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動させるモータあるいはアクチュエータである。寝台駆動装置32は、コンソール装置40による制御、または制御装置15による制御に従い、天板33を移動する。天板支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、天板支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置40は、メモリ41(記憶部)と、ディスプレイ42(表示部)と、入力インターフェース43(入力部)と、処理回路44(処理部)とを有する。メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線CT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。また、メモリ41は、本実施形態に係る制御プログラムを記憶する。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。また、入力インターフェース43は、入力部の一例である。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
処理回路44は、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じて、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441(システム制御部)、前処理機能442、再構成処理機能443(再構成部)を実行する。なお、各機能441~443は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能441~443を実現するものとしても構わない。
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。具体的には、システム制御機能441は、メモリ41に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路44内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線CT装置1の各部を制御する。例えば、処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。
前処理機能442は、DAS21から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータを生データ、前処理後のデータを投影データと称する。
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法(FBP法:Filtered Back Projection)や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。再構成処理機能443は、再構されたCT画像データをメモリ41に格納する。フォトンカウンティングCTで得られる計数結果から生成された投影データには、被検体Pを透過することで減弱されたX線のエネルギーの情報が含まれている。このため、再構成処理機能443は、例えば、特定のエネルギー成分のX線CT画像データを再構成することができる。また、再構成処理機能443は、例えば、複数のエネルギー成分それぞれのX線CT画像データを再構成することができる。
また、再構成処理機能443は、例えば、各エネルギー成分のX線CT画像データの各画素にエネルギー成分に応じた色調を割り当て、エネルギー成分に応じて色分けされた複数のX線CT画像データを重畳した画像データを生成することができる。また、再構成処理機能343は、例えば、物質固有のK吸収端を利用して、当該物質の同定が可能となる画像データを生成することができる。再構成処理機能443が生成する他の画像データとしては、単色X線画像データや密度画像データ、実効原子番号画像データ等が挙げられる。前処理機能442および再構成処理機能443を実現する処理回路44は、X線検出器12におけるアノード電極から出力された電子に基づいて医用画像を生成する画像生成部に対応する。
以上、実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明した。かかる構成のもと、X線CT装置1におけるX線検出器12は、当該X線検出器12におけるメンテナンス性を向上可能な構成を有する。以下、実施形態に係るX線検出器12について説明する。
図2は、天板33の長軸方向(Z軸方向)に沿ってX線検出器12を見た概要の一例を示す図である。図2に示すように、複数の検出器モジュール121は、チャンネル方向に配列される。また、コリメータモジュール123は、複数の検出器モジュール121に対してX線管11の側の前面に配置される。コリメータモジュール123の外枠を形成するコリメータフレームには、バスバー125が設けられる。
図3は、図2における一点鎖線AA’の断面に関する矢視断面図である。図3に示すように、検出器モジュール121は、複数の半導体結晶1211と、複数の半導体結晶1211にそれぞれ設けられた複数のアノード電極1213と、複数の半導体結晶1211を挟んで複数のアノード電極1213に対向して設けられた複数のカソード電極1215と、を有する。複数の半導体結晶1211において隣接する2つの半導体結晶の間には、隣接する2つの半導体結晶の間での電子の移動を遮蔽可能な絶縁体が設けられる。
図3に示すように、検出器モジュール121は、カソード電極1215とアノード電極1213とが設けられた半導体結晶1211を有する複数の半導体モジュール(以下、小モジュールと呼ぶ)を有する。小モジュールは、例えば、半導体結晶1211、アノード電極1213、カソード電極1215、およびアノード電極1213の後段の各種回路などを有する。複数の小モジュールは、列方向(Z方向)に沿って配列される。複数の小モジュール各々は、複数の検出器モジュール各々に対して着脱可能である。すなわち、検出器モジュール121は、列方向に沿った複数の小モジュールにより構成される。また、複数の小モジュール各々は、例えば、ユーザによるX線検出器12のメンテナンス時において、検出器モジュール121から着脱可能な構造を有する。着脱可能な構造は、既知の構造が利用できるため、説明は省略する。なお、小モジュールにおけるアノード電極1213は、半導体結晶1211より小さい幅の複数の小電極により構成されてもよい。
図3に示すように、コリメータモジュール123は、散乱線を遮蔽するコリメータ板1231とコリメータ板1231を支持するコリメータフレーム1232とを備える。コリメータフレーム1232には、コリメータ板1231の下端(半導体結晶1211に対向する側)を保持するコリメータ板保持板1233が設けられる。また、図3に示すように、コリメータフレーム1232において、半導体結晶1211の放射線入射面を避けた外枠には、タップによりネジ山が立てられる。また、図3に示すように、コリメータフレーム1232の外枠には、バスバー125が設置される。コリメータフレーム1232は、例えば絶縁性を有する材質により構成される。なお、コリメータフレーム1232が導電性を有する場合、コリメータフレーム1232とバスバー125との間、およびコリメータフレーム1232と導電体129と間には、不図示の絶縁体が配置される。当該絶縁体は、例えば、絶縁フィルムである。このとき、絶縁フィルムは半導体結晶1211の放射線入射面に位置することもあるため、絶縁フィルムの素材は、X線に対して低阻止能であることが望ましい。
図3に示すように、バスバー125は、単一のバイアス電圧発生部127に電気的に接続される。また、バスバー125は、コリメータモジュール123と別体でコリメータモジュール123に設けられる。アノード面1213とカソード面1215とにおけるバイアス電圧の印加に関し、単一のバイアス電圧発生部127との電気的な読み出し回路1271は、例えば、図3に示すように読み出し回路とにより実現されるが、これに限定されない。バスバー125には、導電体129が電気的に接続される。導電体129は、コリメータモジュール123に設置される。導電体129は、バスバー125から半導体結晶1211に対向するコリメータ板1231まで延伸する。このとき、導電体129は、コリメータ板保持板1233に接触する。換言すれば、コリメータ板保持板1233の直下の導電体129は、コリメータ板保持板1233に張り付いている。導電体129は、例えば、導電性フィルムまたは金属箔により実現される。導電体129は半導体結晶1211の放射線入射面に位置するため、導電体129の素材は、X線に対して低阻止能であることが望ましい。導電体129と検出器モジュール121との間には、絶縁体131が設けられる。絶縁体131は、導電体129に設けられる。なお、絶縁体131は、検出器モジュール121に設けられてもよい。また、不図示の絶縁体は、半導体結晶1211の側面に設けられてもよい。
導電体129とカソード面1215との間には、導電性の第1弾性体133が設けられる。第1弾性体133及び導電体129は、複数の検出器モジュール各々に対してコリメータモジュール123に設けられる。なお、第1弾性体133及び導電体129のうち少なくとも一方は、複数の検出器モジュールに亘って一様にコリメータモジュール123に設けられてもよい。第1弾性体133は、コリメータモジュール123と検出器モジュール121との位置公差を低減するような厚みを有する。ネジ135による締め付けにより、検出器モジュール121がコリメータモジュール123に取り付けられると、第1弾性体133の弾性変形により、当該位置公差は低減される。これらにより、カソード面1215と第1弾性体133とは点ではなく面で接触する。このため、カソード面1215と第1弾性体133との接触性は向上し、バスバー125とカソード面1215との電気的な導通が確保される。
図4は、図2における一点鎖線AA’の断面に関し、図3とは異なる矢視断面図である。図4において、単一のバイアス電圧発生部127と読み出し回路1271とは、説明の便宜上省略している。図4と図3との相違は、バスバー125がコリメータフレーム1232における列方向の両端に配置されることにある。これにより、図4に示す検出器モジュール121によれば、バスバー125からアノード面1213とカソード面1215との間に印加されるバイアス電圧の均一性の向上が向上する。図4における他の構成は、図3と同様である。
図5は、図2における一点鎖線AA’の断面に関し、図3および図4とは異なる矢視断面図である。図5において、単一のバイアス電圧発生部127と読み出し回路1271とは説明の便宜上省略している。図5と図3との相違は、バスバー125と導電体129との間に第2弾性体137を設けることにある。第2弾性体137は、図5に示すように、導電性を有し、バスバー125と導電体129との間に設けられる。図5における他の構成は、図3と同様である。
第2弾性体137は、バスバー125と導電体129との位置公差を低減するような厚みを有する。ネジ135による締め付けにより、検出器モジュール121がコリメータモジュール123に取り付けられると、第2弾性体137の弾性変形により、バスバー125と導電体129との位置公差は低減される。これらにより、バスバー125と導電体129とは点ではなく面で接触する。このため、バスバー125と導電体129との接触性は向上し、バスバー125と導電体129との電気的な導通が確保される。第2弾性体137は、例えば、導電性のゴム、または導電性のバネなどにより実現される。なお、第2弾性体137の代わりに、導電性のリード線が用いられてもよい。
図6は、図2における一点鎖線AA’の断面に関し、図3乃至図5とは異なる矢視断面図である。図6において、単一のバイアス電圧発生部127と読み出し回路1271とは説明の便宜上省略している。図5と図3との相違は、コリメータフレーム1232と検出器モジュール121との間にバスバー125を設けることにある。図6に示すように、バスバー125は、バスバー125の放射線入射面側において、コリメータフレーム1232に設置される。すなわち、バスバー125は、図6に示すように、コリメータモジュール123に組み込まれ、例えば、コリメータモジュール123の一部品として構成される。図6における他の構成は、図3と同様である。
図7は、図2における一点鎖線AA’の断面に関し、図3乃至図6とは異なる矢視断面図である。図7において、単一のバイアス電圧発生部127と読み出し回路1271とは説明の便宜上省略している。図6との相違は、バスバー125がコリメータフレーム1232における列方向の両端に配置されることにある。これにより、図7に示す検出器モジュール121によれば、バスバー125からアノード面1213とカソード面1215との間に印加されるバイアス電圧の均一性の向上が向上する。図7における他の構成は、図6と同様である。
以上に述べた実施形態に係る直接変換型のX線検出器12は、チャンネル方向に配列され、半導体結晶1211を備える複数の検出器モジュール121と、半導体結晶1211に設けられたカソード電極1215と半導体結晶1211に設けられたアノード電極1213との間に印加するバイアス電圧を発生する単一のバイアス電圧発生部127と、バイアス電圧発生部127と電気的に接続され、チャンネル方向に延伸して設けられる共通電極(バスバー)125と、共通電極125と複数の検出器モジュール121各々における半導体結晶1211のカソード面1215とを電気的に導通する導電体129と、を有する。
実施形態に係るX線検出器12は、半導体結晶1211の放射線入射面側に設けられるコリメータ板1231を有するコリメータモジュール123を更に有し、導電体129は、コリメータモジュール123において半導体結晶1211に対向する側の面に取り付けられる。なお、実施形態に係るX線検出器12において、コリメータモジュール123は半導体結晶1211の放射線入射面を避けてコリメータ板1231を支持するコリメータフレーム1232を更に有してもよく、このとき、共通電極(バスバー)125は、コリメータフレーム1232と複数の検出器モジュール121との間に配置される。
実施形態に係るX線検出器12は、導電体129とカソード面1215との間に設けられ、導電性を有する第1弾性体133を更に有する。また、実施形態に係るX線検出器12において、複数の検出器モジュール121各々は、カソード電極1215とアノード電極1213とが設けられた半導体結晶1211を有する複数の半導体モジュールを有し、複数の半導体モジュールは、列方向に沿って配列され、複数の半導多モジュール各々は、複数の検出器モジュール各々に対して着脱可能である。
これらのことから、実施形態に係るX線検出器12によれば、チャンネル方向に単一のバスバー125および単一のバイアス電圧発生部(バイアス電源)127を用いることで、検出器モジュール各々または小モジュール各々に接続される高圧ケーブルの配線数および高圧ケーブルの取り回しの煩雑性を低減することができる。加えて、検出器モジュール121は第1弾性体133を介して導電体129と電気的に接続されるため、検出器モジュール121の交換時において検出器モジュール121から導電体129の取り外しは不要となる。すなわち、当該X線検出器12のメンテンナンス時における検出器モジュール121の交換時において、X線検出器12の筐体内における高圧ケーブルの配線、高圧ケーブルの取り回し、および導電体129の取り外しが不要となり、作業工数を大幅に低減することができる。このため、本X線検出器12によれば、検出器モジュール121または小モジュールを必要に応じて容易に交換することができる。
例えば、検出器モジュール121内が小モジュールに分割されている場合、本X線検出器12によれば、小モジュールを跨ぐバイアス電圧に関する配線も不要となり、かつ小モジュールごとにカソード電極1215が分離されているため、容易に小モジュールを交換することができる。
以上のことから、本X線検出器12によれば、直接変換型のX線検出器12におけるメンテナンス性およびX線検出器12のメンテナンス時のサービス性を向上させることができる。
加えて、実施形態に係るX線検出器12の構成によれば、X線検出器12の筐体内における高圧ケーブルの配線および取り回しが不要となるため、X線検出器12の筐体内において熱対策としてのエアフローを容易に確保することができる。さらに、本X線検出器12の構成によれば、各検出器モジュールにケーブルやフレキシブル基板等で給電する方式と比して、X線検出器12の筐体内における高圧ケーブルの配線および取り回しが簡素(例えば、不要)となるため、X線検出器12を容易に製造することができる。また、実施形態に係るX線検出器12の構成によれば、単一のバイアス電圧発生部(バイアス電源)127を用いているため、複数の検出器モジュールに複数の高電圧電源をそれぞれ設ける場合において複数の高電圧電源各々の故障に対する冗長性を持たせる必要はない。これらのことから、本X線検出器12の構成によれば、X線検出器12の筐体内におけるエアフローの確保の容易性の向上、X線検出器12の製造性の向上、およびX線検出器12のメンテナンス性の向上(メンテナンスのスループットの向上)、冗長性の不要などにより、本X線検出器12の製造及びメンテナンスにおけるコストを低減することができる。
また、本X線検出器12の構成によれば、単一のバイアス電圧発生部(バイアス電源)127から複数の小モジュールおよび複数の検出器モジュール121の全てに高電圧が印加されるため、検出器モジュール間および小モジュール間での放電による故障のリスクを回避することができる。このため、本X線検出器12によれば、隣接する2つの検出器モジュール間および隣接する2つの小モジュール間における耐圧の構造を簡素化することができ、本X線検出器12の製造におけるコストを低減することができる。
加えて、本X線検出器12によれば、単一のバイアス電圧発生部(バイアス電源)127を用いているため、バイアス電圧の昇圧と降圧とにおける制御の設計が容易となり、低コストで、短時間でのバイアス電圧の昇圧、降圧を実現することができる。このため、本X線検出器12によれば、バイアス電圧の制御に関するワークフローを改善することができる。
また、本X線検出器12によれば、単一のバイアス電圧発生部(バイアス電源)127を用いているため、X線の強度(線量率)に応じたバイアス電源を搭載することができる。このため、本X線検出器12によれば、最大の線量率や回転フレーム13の回転速度によらずに、X線の検出に応じた信号を取得することができ、被検体Pに対する不要被曝およびノイズによる画質悪化を低減することができる。
また、実施形態に係るX線検出器12によれば、高圧ケーブルを用いないため、複数の検出器モジュールに複数の高電圧電源をそれぞれ設ける場合に比べて、検出器モジュールへ接続される高圧ケーブルの耐圧設計やインピーダンスなどの個体差によるバイアス電圧のばらつきを解消することができる。これにより、このため、本X線検出器12をX線CT装置1によれば、X線CT画像における画質を向上させることができる。
また、実施形態に係るX線検出器12において、コリメータモジュール123は半導体結晶1211の放射線入射面を避けてコリメータ板1231を支持するコリメータフレーム1232を更に有し、共通電極(バスバー)125は、コリメータフレーム1232における列方向の両端に配置される。なお、実施形態に係るX線検出器12において、コリメータモジュール123は、半導体結晶1211の放射線入射面を避けてコリメータ板1231を支持するコリメータフレーム1232を更に有し、共通電極(バスバー)125は、コリメータフレーム1232と複数の検出器モジュール121との間であって、半導体結晶1211の列方向の両端に、半導体結晶1211と非接触で配置される。
これらにより、実施形態に係るX線検出器12によれば、バスバー125と導電体129との接触品質をさらに向上させ、かつ半導体結晶1211に印加されるバイアス電圧の均一性を向上させることができる。このため、本X線検出器12をX線CT装置1によれば、X線CT画像における画質をさらに向上させることができる。
(変形例)
本変形例は、検出器モジュール121は、単一のカソード電極を導電体129として有し、バスバー125と導電体129との間に第2弾性体137が設けられることにある。以下、説明を具体的にするために、本変形例において第1弾性体133は搭載されず、導電体129は、複数の半導体結晶1211に対して、列方向に沿って延伸しているものとする。
本変形例は、検出器モジュール121は、単一のカソード電極を導電体129として有し、バスバー125と導電体129との間に第2弾性体137が設けられることにある。以下、説明を具体的にするために、本変形例において第1弾性体133は搭載されず、導電体129は、複数の半導体結晶1211に対して、列方向に沿って延伸しているものとする。
図8は、本変形例に関して、図2における一点鎖線AA’の断面に関し、図5とは異なる矢視断面図である。図8において、単一のバイアス電圧発生部127と読み出し回路1271とは説明の便宜上省略している。図8と図5との相違は、バスバー125と導電体129との間に第2弾性体137を設け、複数のカソード電極の代わりに導電体129が設けられ、第1弾性体133が省略されていることにある。図8に示すように、絶縁体131は、検出器モジュール121に設置される。また、図8に示すように、導電体129は、半導体結晶1211における放射線入射面側および絶縁体131に設置される。なお、図8では、半導体結晶1211は、一体的な構成として描かれているが、図5のように、複数の半導体結晶により構成されてもよい。
図8に示すように、第2弾性体137は、バスバー125を介してコリメータモジュール123に設けられる。なお、導電体129は、複数の検出器モジュール各々に設けられることに限定されず、複数の検出器モジュールに亘って設けられてもよい。また、第2弾性体137は、導電体129および絶縁体131を介して検出器モジュールに設けられてもよい。図8における他の構成は、図3と同様である。
検出器モジュール121とコリメータモジュール123とがネジ135により締め付けられると、第2弾性体137の弾性変形により、バスバー125と導電体129との位置公差は低減される。これらにより、バスバー125と導電体129との接触性は向上し、バスバー125と導電体129との電気的な導通が確保される。第2弾性体137は、例えば、導電性のゴム、または導電性のバネなどにより実現される。なお、第2弾性体137の代わりに、導電性のリード線が用いられてもよい。
図9は、本変形例に関して、図2における一点鎖線AA’の断面に関し、図8とは異なる矢視断面図である。図9において、単一のバイアス電圧発生部127と読み出し回路1271とは、説明の便宜上省略している。図9と図8との相違は、バスバー125がコリメータフレーム1232における列方向の両端に配置されることにある。これにより、図9に示す検出器モジュール121によれば、アノード面1213と導電体129におけるカソード面との間にバスバー125から印加されるバイアス電圧の均一性の向上が向上する。図9における他の構成は、図8と同様である。
図10は、本変形例に関して、図2における一点鎖線AA’の断面に関し、図8および図9とは異なる矢視断面図である。図10において、単一のバイアス電圧発生部127と読み出し回路1271とは説明の便宜上省略している。図10と図8との相違は、コリメータフレーム1232と検出器モジュール121との間にバスバー125を設けることにある。図10に示すように、バスバー125は、バスバー125の放射線入射面側において、コリメータフレーム1232に設置される。図10における他の構成は、図8と同様である。
図11は、本変形例に関して、図2における一点鎖線AA’の断面に関し、図8乃至図10とは異なる矢視断面図である。図11において、単一のバイアス電圧発生部127と読み出し回路1271とは説明の便宜上省略している。図10との相違は、バスバー125がコリメータフレーム1232における列方向の両端に配置されることにある。これにより、図11に示す検出器モジュール121によれば、アノード面1213と導電体129によるカソード面との間にバスバー125から印加されるバイアス電圧の均一性の向上が向上する。図11における他の構成は、図10と同様である。
本変形例における効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
実施形態などにおける技術的思想をX線CT装置1で実現する場合、当該X線CT装置1は、X線を発生するX線管11とX線を検出する直接変換型のX線検出器12とを備え、X線検出器12は、チャンネル方向に配列され、半導体結晶1211を備える複数の検出器モジュール121と、半導体結晶1211に設けられたカソード電極1215と半導体結晶1211に設けられたアノード電極1213との間に印加するバイアス電圧を発生する単一のバイアス電圧発生部127と、バイアス電圧発生部127と電気的に接続され、チャンネル方向に延伸して設けられる共通電極(バスバー)125と、共通電極(バスバー)125と複数の検出器モジュール121各々における半導体結晶1211のカソード面1215とを電気的に導通する導電体129とを有する。X線CT装置1における効果は、実施形態などと同様なため、説明は省略する。
以上説明した少なくとも実施形態および変形例等によれば、直接変換型のX線検出器12におけるメンテナンス性を向上させることができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 X線CT装置
10 架台装置
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
16 ウェッジ
17 X線高電圧装置
18 制御装置
19 線源側コリメータ
21 DAS(Data Acquisition System)
30 寝台装置
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 天板支持フレーム
40 コンソール装置
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44 処理回路
121 検出器モジュール
123 コリメータモジュール
125 共通電極(バスバー)
127 単一のバイアス電圧発生部
129 導電体
131 絶縁体
133 第1弾性体
135 ネジ
137 第2弾性体
441 システム制御機能
442 前処理機能
443 再構成処理機能
1211 半導体結晶
1213 アノード電極、アノード面
1215 カソード電極、カソード面
1231 コリメータ板
1232 コリメータフレーム
1233 コリメータ板保持板
1271 読み出し回路
10 架台装置
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
16 ウェッジ
17 X線高電圧装置
18 制御装置
19 線源側コリメータ
21 DAS(Data Acquisition System)
30 寝台装置
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 天板支持フレーム
40 コンソール装置
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44 処理回路
121 検出器モジュール
123 コリメータモジュール
125 共通電極(バスバー)
127 単一のバイアス電圧発生部
129 導電体
131 絶縁体
133 第1弾性体
135 ネジ
137 第2弾性体
441 システム制御機能
442 前処理機能
443 再構成処理機能
1211 半導体結晶
1213 アノード電極、アノード面
1215 カソード電極、カソード面
1231 コリメータ板
1232 コリメータフレーム
1233 コリメータ板保持板
1271 読み出し回路
Claims (9)
- チャンネル方向に配列され、半導体結晶を備える複数の検出器モジュールと、
前記半導体結晶に設けられたカソード電極と前記半導体結晶に設けられたアノード電極との間に印加するバイアス電圧を発生する単一のバイアス電圧発生部と、
前記バイアス電圧発生部と電気的に接続され、前記チャンネル方向に延伸して設けられる共通電極と、
前記共通電極と前記複数の検出器モジュール各々における前記半導体結晶の前記カソード電極とを電気的に導通する導電体と、
を備える直接変換型のX線検出器。 - 前記半導体結晶の放射線入射面側に設けられるコリメータ板を有するコリメータモジュールを更に備え、
前記導電体は、前記コリメータモジュールにおいて前記半導体結晶に対向する側の面に取り付けられる、
請求項1に記載の直接変換型のX線検出器。 - 前記コリメータモジュールは、前記半導体結晶の放射線入射面を避けて前記コリメータ板を支持するコリメータフレームを更に備え、
前記共通電極は、前記コリメータフレームにおける列方向の両端に配置される、
請求項2に記載の直接変換型のX線検出器。 - 前記コリメータモジュールは、前記半導体結晶の放射線入射面を避けて前記コリメータ板を支持するコリメータフレームを更に備え、
前記共通電極は、前記コリメータフレームと前記複数の検出器モジュールとの間に配置される、
請求項2に記載の直接変換型のX線検出器。 - 前記共通電極は、前記半導体結晶の列方向の両端に、前記半導体結晶と非接触で配置される、
請求項4に記載の直接変換型のX線検出器。 - 前記導電体と前記カソード電極との間に設けられ、導電性を有する第1弾性体を更に備える、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の直接変換型のX線検出器。 - 前記複数の検出器モジュール各々は、前記カソード電極と前記アノード電極とが設けられた前記半導体結晶を有する複数の半導体モジュールを有し、
前記複数の半導体モジュールは、列方向に沿って配列され、
前記複数の半導体モジュール各々は、前記複数の検出器モジュール各々に対して着脱可能である、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の直接変換型のX線検出器。 - 前記共通電極と前記導電体との間に導電性を有する第2弾性体を更に備える、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の直接変換型のX線検出器。 - X線を発生するX線管と、
前記X線を検出する直接変換型のX線検出器と、を備え、
前記X線検出器は、
チャンネル方向に配列され、半導体結晶を備える複数の検出器モジュールと、
前記半導体結晶に設けられたカソード電極と前記半導体結晶に設けられたアノード電極との間に印加するバイアス電圧を発生する単一のバイアス電圧発生部と、
前記バイアス電圧発生部と電気的に接続され、前記チャンネル方向に延伸して設けられる共通電極と、
前記共通電極と前記複数の検出器モジュール各々における前記半導体結晶の前記カソード電極とを電気的に導通する導電体と、
を有するX線コンピュータ断層撮影装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021211901A JP2023096273A (ja) | 2021-12-27 | 2021-12-27 | 直接変換型のx線検出器およびx線コンピュータ断層撮影装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021211901A JP2023096273A (ja) | 2021-12-27 | 2021-12-27 | 直接変換型のx線検出器およびx線コンピュータ断層撮影装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023096273A true JP2023096273A (ja) | 2023-07-07 |
Family
ID=87005783
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021211901A Pending JP2023096273A (ja) | 2021-12-27 | 2021-12-27 | 直接変換型のx線検出器およびx線コンピュータ断層撮影装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023096273A (ja) |
-
2021
- 2021-12-27 JP JP2021211901A patent/JP2023096273A/ja active Pending
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