JP2023093779A - 新規抗がん剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】B細胞を標的とする新規の抗がん剤およびがんの免疫療法を開発すること。
【解決手段】本発明の抗がん剤は、GABAレセプター、特にGABAAレセプターを介するシグナル伝達を阻害する物質、例えば、フルマゼニルなどを含む。本発明のがんの治療方法は、前記GABAレセプター、特にGABAAレセプターを介するシグナル伝達を阻害する物質、例えば、フルマゼニルなどを投与することを含む。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の抗がん剤は、GABAレセプター、特にGABAAレセプターを介するシグナル伝達を阻害する物質、例えば、フルマゼニルなどを含む。本発明のがんの治療方法は、前記GABAレセプター、特にGABAAレセプターを介するシグナル伝達を阻害する物質、例えば、フルマゼニルなどを投与することを含む。
【選択図】なし
Description
本発明は新規の抗がん剤に関し、具体的には、T細胞のがん細胞殺傷活性を抑制するB細胞作用を阻害または低減する、新規の抗がん剤に関する。
B細胞はT細胞のうちヘルパーT細胞に刺激されて形質細胞に分化し大量の抗体を産生する。逆にB細胞がT細胞の機能を調節する現象は制御性B細胞によるIL-10等の抗炎症性サイトカイン分泌が知られている(非特許文献1)。前立腺がんのマウスモデルで、IgA産生形質細胞が、免疫原性がある腫瘍細胞の細胞死による細胞傷害性リンパ球の活性化を阻害し、オキサリプラチン抵抗性の発生を促進することが報告された(非特許文献2)。また、PD-L1を発現するIgA陽性B細胞は、非アルコール性脂肪肝を発症している肝臓に蓄積して、肝臓で肝細胞がんの発症を防止している細胞傷害性CD8陽性T細胞を抑制することにより、肝細胞がんの進行を促進することも報告されている(非特許文献3)。
Sarvaria, A. ら、Cellular & Molecular Immunology, doi: 10.1038/cmi.2017.35.
Shalapour, S.ら、Nature, 521: 94 (2015)
Shalapour, S.ら、Nature, 551: 340 (2017)
本発明の課題は、IgA陽性B細胞のような制御性B細胞の機能を理解することでB細胞を標的とする新規の抗がん剤およびがんの免疫療法を開発することである。発明者らは、免疫細胞のメタボローム解析結果を詳細に検討し、IgA陽性B細胞をはじめとする活性化B細胞に特徴的な低分子代謝物を突き止めることができた。そこで、当該低分子代謝物の代謝調節やシグナル伝達をモジュレーションすることにより、細胞傷害性T細胞のがん細胞殺傷活性を抑制するB細胞の作用を阻害または低減する、新規の抗がん剤およびがん治療方法を開発することも本発明の課題である。
本発明は、B細胞による細胞傷害性T細胞抑制作用を阻害または低減する、抗がん剤を提供する。
本発明の抗がん剤において、前記B細胞は抗原刺激により活性化されたB細胞とすることもできる。
本発明の抗がん剤は、T細胞におけるガンマアミノ酪酸(GABA)を介するシグナル伝達の阻害薬を含むこともできる。
本発明の抗がん剤において、前記T細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬は、ヒトT細胞で発現するGABAレセプターの発現および/または機能を抑制または低減する阻害薬とすることもできる。
本発明の抗がん剤において、前記T細胞で発現するGABAレセプターは、GABAAレセプター、および、GABA-ρレセプターのうちの少なくとも1つとすることができる。
本発明の抗がん剤において、前記T細胞で発現するGABAレセプターは、ヒトT細胞で発現するサブユニットポリペプチドからなることもできる。
本発明の抗がん剤において、前記ヒトT細胞で発現するサブユニットポリペプチドは、ヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類であってもよい。
本発明の抗がん剤において、前記T細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬は、前記ヒトT細胞で発現するヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類のサブユニットポリペプチドの発現を抑制または低減する、アンチセンス核酸、RNAi(RNA干渉)誘導性核酸もしくはリボザイムまたはそれらの発現ベクターを含むことができる。
本発明の抗がん剤において、前記T細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬は、前記ヒトT細胞で発現するヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類のGABAレセプターのサブユニットポリペプチドと特異的に結合して、該GABAレセプターの機能を抑制または低減する、抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片からなる群から選択される少なくとも1種類とすることもできる。
本発明の抗がん剤において、前記GABAAレセプターの阻害薬は、フルマゼニル、Ro15-4513、サルマゼニル、シクトキシン、エナントトキシン、ペンチレンテトラゾール、ピクロトキシン、ツジョン、リンデン、ビククリン、ガバジンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される、少なくとも1種類とすることもできる。
本発明の抗がん剤において、前記GABA-ρレセプターの阻害薬は、(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)メチル・ホスフィン酸(TPMPA)およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種類とすることもできる。
本発明の抗がん剤は、B細胞におけるGABA生合成の阻害薬、B細胞におけるGABA分解の促進薬、B細胞におけるGABA分泌の阻害薬、および/または、遊離GABAの捕捉薬を含むこともできる。
本発明の抗がん剤において、前記B細胞におけるGABA生合成の阻害薬はグルタミン酸デカルボキシラーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ9ファミリーメンバーA1の発現および/または酵素活性の阻害剤とすることもでき、前記B細胞におけるGABA分解の促進薬は4-アミノ酪酸アミノ基転移酵素の発現および/または酵素活性の促進剤とすることもでき、前記遊離GABAの捕捉薬は、遊離GABAに特異的に結合するタンパク質、遊離GABAと特異的に結合する抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片からなる群から選択される少なくとも1種類を含むこともできる。
本発明の抗がん剤は、GABAと特異的に結合する抗体、特異的結合パートナーおよび/またはそれらの断片を含むこともできる。
本発明の抗がん剤は、B細胞に対する細胞傷害性を有する、抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片、および/または、B細胞の除去剤を含むこともできる。
本発明は、治療を必要とする患者におけるB細胞による細胞傷害性T細胞抑制作用を阻害または低減することを含む、がんの治療方法を提供する。
本発明のがんの治療方法において、前記B細胞は抗原刺激により活性化されたB細胞とすることもできる。
本発明のがんの治療方法は、治療を必要とする患者にT細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬を投与することを含むこともできる。
本発明のがんの治療方法において、前記T細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬は、ヒトT細胞で発現するGABAレセプターの発現および/または機能を抑制または低減する阻害薬とすることもできる。
本発明のがんの治療方法において、前記GABAレセプターは、GABAAレセプター、および、GABA-ρレセプターのうちの少なくとも1つとすることができる。
本発明のがんの治療方法において、前記T細胞で発現するGABAレセプターは、ヒトT細胞で発現するサブユニットポリペプチドからなることもできる。
本発明のがんの治療方法において、前記ヒトT細胞で発現するサブユニットポリペプチドは、ヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類であってもよい。
本発明のがんの治療方法において、前記T細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬は、前記ヒトT細胞で発現するヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類のサブユニットポリペプチドの発現を抑制または低減する、アンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸もしくはリボザイムまたはそれらの発現ベクターを含むことができる。
本発明のがんの治療方法において、前記T細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬は、前記ヒトT細胞で発現するヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類のGABAレセプターのサブユニットポリペプチドと特異的に結合して、該GABAレセプターの機能を抑制または低減する、抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片からなる群から選択される少なくとも1種類とすることもできる。
本発明のがんの治療方法において、前記GABAAレセプターの阻害薬は、フルマゼニル、Ro15-4513、サルマゼニル、シクトキシン、エナントトキシン、ペンチレンテトラゾール、ピクロトキシン、ツジョン、リンデン、ビククリン、ガバジンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される、少なくとも1種類とすることもできる。
本発明のがんの治療方法において、前記GABA-ρレセプターの阻害薬は、(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)メチル・ホスフィン酸(TPMPA)およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種類とすることもできる。
本発明のがんの治療方法は、B細胞におけるGABA生合成の阻害薬、B細胞におけるGABA分解の促進薬、B細胞におけるGABA分泌の阻害薬、および/または、遊離GABAの捕捉薬を、治療を必要とする患者に投与することを含むこともできる。
本発明のがんの治療方法において、前記B細胞におけるGABA生合成の阻害薬はグルタミン酸デカルボキシラーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ9ファミリーメンバーA1の発現または酵素活性の阻害剤とすることもでき、前記B細胞におけるGABA分解の促進薬は4-アミノ酪酸アミノ基転移酵素の発現または酵素活性の促進剤とすることもでき、前記遊離GABAの捕捉薬は、遊離GABAに特異的に結合するタンパク質、遊離GABAと特異的に結合する抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片からなる群から選択される少なくとも1種類を含むこともできる。
本発明のがんの治療方法は、GABAと特異的に結合する抗体、特異的結合パートナーおよび/またはそれらの断片を、治療を必要とする患者に投与することを含むこともできる。
本発明のがんの治療方法は、B細胞に対する細胞傷害性を有する、抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片、および/または、B細胞の除去剤を、治療を必要とする患者に投与することを含むこともできる。
本発明の抗がん剤および/または本発明のがんの治療方法は、がん細胞を殺傷するか、がん細胞の増殖を抑制するか、あるいは、がん細胞のアポトーシスを誘導する、他の医薬を併用することもできる。本発明の抗がん剤および/または本発明のがんの治療方法は、がん細胞を殺傷するか、がん細胞の増殖を抑制するか、あるいは、がん細胞のアポトーシスを誘導する、他の治療方法と併用することもできる。
本明細書においてB細胞とは、成熟B細胞だけでなく、最終分化した形質細胞や、preB細胞およびその前駆細胞を除く任意のB前駆細胞をも含む意味で用いられる。細胞表面マーカーの発現としては、IgM+、IgD+、IgG+、CD19+、B220+、CD24+、CD43-、CD25-、c-kit-、IL-7R-などにより特徴付けられる。
本明細書においてT細胞とは、主に胸腺内で分化、成熟するリンパ球で、成熟するとT細胞レセプターを細胞表面に発現するリンパ球であって、成熟したT細胞のほか、T細胞への分化能を有する任意のT前駆細胞をも含む。細胞表面マーカーの発現としては、T細胞レセプター+、CD3+、CD4+、CD8+などにより特徴付けられる。
本明細書において細胞傷害性T細胞とは、ウイルス感染細胞やがん細胞など宿主にとって異物となる細胞を認識して破壊するT細胞の一種で、細胞表面マーカーCD8+で特徴づけられる。細胞傷害性T細胞の細胞傷害活性は、細胞傷害物質であるパーフォリン、グランザイム等の存在で特徴付けられる。
本明細書において抗がん剤とは、がん細胞の増殖を抑制、阻害または停止させるか、がん細胞を特異的に殺傷するか、がん細胞にアポトーシスその他自ら死滅を誘導させる任意の活性を有する医薬を指す。本発明の抗がん剤は、細胞傷害性T細胞のがん細胞殺傷活性を抑制するB細胞の作用を阻害または低減する、すなわち、細胞傷害性T細胞のがん細胞殺傷活性を抑制する、B細胞と細胞傷害性T細胞との相互作用を阻害または低減するために用いる医薬を指す。
本明細書においてがんの治療方法とは、がん細胞の増殖を抑制、阻害または停止させるか、がん細胞を特異的に殺傷するか、がん細胞にアポトーシスその他自ら死滅を誘導させる任意の処置を行う方法をいう。本発明のがんの治療方法は、細胞傷害性T細胞のがん細胞殺傷活性を抑制するB細胞の作用を阻害または低減する、すなわち、細胞傷害性T細胞のがん細胞殺傷活性を抑制する、B細胞と細胞傷害性T細胞との相互作用を阻害または低減する医薬を投与することを含む。
本発明の抗がん剤またはがんの治療方法の対象となるがんの種類は、癌腫、扁平上皮癌(例えば、子宮頚管、瞼、結膜、膣肺、口腔、皮膚、膀胱、舌、喉頭および食道の扁平上皮癌)、腺癌(例えば、前立腺、小腸、子宮内膜、子宮頚管、大腸、肺、膵、食道、直腸、子宮、胃、乳房および卵巣の腺癌)を含む。さらに、肉腫(例えば、筋原性肉腫、骨肉腫、子宮筋腫)、白血病、神経腫、メラノーマおよびリンパ腫も含む。
本発明の抗がん剤またはがんの治療方法の対象となるがんは、例えば、肺がん(例えば、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、悪性中皮腫等)、乳がん(例えば、浸潤性乳管がん、非浸潤性乳管がん、炎症性乳がん等)、前立腺がん(例えば、ホルモン依存性前立腺がん、ホルモン非依存性前立腺がん等)、膵がん(例えば、膵管がん等)、胃がん(例えば、乳頭腺がん、粘液性腺がん、腺扁平上皮がん等)、結腸がん(例えば、消化管間質腫瘍等)、直腸がん(例えば、消化管間質腫瘍等)、大腸がん(例えば、家族性大腸がん、遺伝性非ポリポーシス大腸がん、消化管間質腫瘍等)、食道がん、十二指腸がん、舌がん、咽頭がん(例えば、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん等)、頭頚部がん、唾液腺がん、脳腫瘍(例えば、松果体星細胞腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫等)、肝臓がん(例えば、原発性肝がん、肝外胆管がん等)、腎臓がん(例えば、腎細胞がん、腎盂と尿管の移行上皮がん等)、胆嚢がん、胆管がん、膵臓がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん(例、上皮性卵巣がん、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣性胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍等)、膀胱がん、尿道がん、皮膚がん(例えば、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞がん等)、血管腫、悪性リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病等)、メラノーマ(悪性黒色腫)、甲状腺がん(例えば、甲状腺髄様がん等)、副甲状腺がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、陰茎がん、精巣腫瘍、小児固形がん(例えば、ウィルムス腫瘍、小児腎腫瘍等)、上顎洞腫瘍、骨腫瘍等が挙げられ、これらに限定されない。
本明細書において、GABAレセプターとは、ガンマアミノ酪酸(GABA)と特異的に結合するレセプターを指す。哺乳類および霊長類では、GABAレセプターは、GABAAレセプターとGABABレセプターとに分類される。GABAAレセプターは、GABAと結合すると塩素イオンを細胞内に透過させるイオンチャンネル型受容体で、GABABレセプターはGタンパク質結合型受容体である。GABA-ρレセプターは、かつてはGABACレセプターとして独立のクラスに分類されていたこともあった。しかし、サブユニットポリペプチド5本からなる5量体イオンチャンネル型受容体である点でGABAAレセプターと共通で、遺伝子配列や構造、機能についてもρサブユニットは他のGABAAレセプターサブユニットと類似の性質を持ち、ρサブユニットのみからなる点のみが異なることから、今ではGABA-ρレセプターはGABAAレセプターのサブクラスに分類される。
本発明の抗がん剤がGABAAレセプターの阻害薬の場合には、その有効成分は、ビククリン、ガバジンなどのアンタゴニストと、フルマゼニル、Ro15-4513、サルマゼニル、亜鉛などのネガティブアロステリック調節因子と、シクトキシン、エナントトキシン、ペンチレンテトラゾール、ピクロトキシン、ツジョン、リンデンなどの非競合的チャネルブロッカーと、これらの誘導体と、前記レセプターのサブユニットのうちヒトT細胞で発現するヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類のサブユニットの発現を抑制または低減する、アンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸もしくはリボザイムまたはそれらの発現ベクターとを含むが、これらに限定されない。
本発明の抗がん剤がGABA-ρレセプターの阻害薬の場合には、その有効成分は、(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)メチル・ホスフィン酸(TPMPA)およびその誘導体を含むが、これらに限定されない。
B細胞におけるGABA生合成経路を、図1のGABAおよび関連代謝物の合成および分解経路とこれらに関与する酵素を示す代謝マップを用いて説明する。GABAは、TCA回路で生じるアルファケトグルタル酸(a-KG)由来のグルタミン酸からグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD1)により合成されるか、尿素回路またはスペルミジン/スペルミングルタミン由来の4-アミノブタナールからアルデヒドデヒドロゲナーゼ9ファミリーメンバーA1(ALDH9A1)により合成される。GABAは4-アミノ酪酸アミノ基転移酵素によりコハク酸セミアルデヒドに分解され、さらに酸化されてコハク酸としてトリカルボン酸(TCA)回路に入る。T細胞およびB細胞におけるグルタミンの消費はいずれも抗原レセプターを介する活性化により増加する。T細胞もB細胞も、抗原刺激の24時間後の細胞内グルタミン酸プールの80%はグルタミン由来である。前記標識グルタミンは、プリンおよびピリミジンの前駆体を経て、活性化B細胞およびT細胞におけるヌクレオチド生合成に寄与する。また培養72時間後のB細胞ではグルタチオンのほぼ90%がグルタミン由来である。そして、グルタミン由来のアミノ酸のうち、グルタミン酸、または、TCA回路経由で流れ込むグルタミンのいずれかからのアスパラギン酸合成はB細胞のほうが顕著である。B細胞ではTCA回路で酸化されるα-ケトグルタル酸のかなりの部分はグルタミン由来である。B細胞とT細胞とで明らかに異なるグルタミン由来代謝物のひとつが、神経伝達物質のγアミノ酪酸(GABA)である。抗原レセプターまたはtoll様レセプターを介する刺激の72時間後、B細胞はGABAを合成し細胞外に輸送するが、T細胞はGABA合成も細胞外輸送もしない。グルタミン分解経路の主要な酵素のRNA転写解析も、GABA合成分解に関与する酵素の発現がB細胞とCD4T細胞とで異なることを裏付ける。CD4T細胞と比較すると、グルタミン酸をGABAに変換する酵素GAD1と、グルタミントランスポーターのSlc38a1、Slc38a2およびSlc38a5をコード化する遺伝子の発現はB細胞のほうがより多い。逆に、GABAを異化する酵素ABATをコード化する遺伝子の発現はB細胞のほうがより少ない。ヒトのB細胞もGABAに変換する酵素GAD1の発現はT細胞よりも高い。
本発明の抗がん剤が前記B細胞におけるGABA生合成の阻害薬の場合には、その有効成分は、グルタミン酸デカルボキシラーゼまたはアルデヒドデヒドロゲナーゼ9ファミリーメンバーA1に対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸もしくはリボザイムまたはそれらの発現ベクターを含むが、これらに限定されない。
本明細書において、アンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸またはリボザイムによって特異的に発現が抑制される、ヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類のサブユニット、グルタミン酸デカルボキシラーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ9ファミリーメンバーA1を以下では標的遺伝子という。また該標的遺伝子に対するアンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸またはリボザイムを標的遺伝子阻害核酸という。前記標的遺伝子に対するアンチセンス核酸は、前記標的遺伝子の転写産物(mRNAまたは初期転写産物)を発現する細胞の生理的条件下で前記転写産物とハイブリダイズし得る塩基配列からなり、且つハイブリダイズした状態で前記転写産物にコードされるポリペプチドの翻訳を阻害し得るポリヌクレオチドをいう。アンチセンス核酸の種類はDNAであってもRNAであってもよいし、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。アンチセンス核酸は、非修飾(天然型)のリン酸ジエステル結合を有するものであっても、分解酵素に安定なチオリン酸型(リン酸結合のP=OをP=Sに置換)や2’-O-メチル型等の化学修飾されたヌクレオチドであってもよい。アンチセンス核酸の設計に重要な他の要素として、水溶性および細胞膜透過性を高めること等が挙げられるが、これらはリポソームやマイクロスフェアを使用するなどの剤形の工夫によっても克服できる。アンチセンス核酸の長さは、前記標的遺伝子の転写産物と特異的にハイブリダイズし得る限り特に制限はなく、短いもので約6塩基程度、長いもので転写産物の全配列に相補的な配列を含むような配列であってもよい。合成の容易さや抗原性の問題等から、例えば約6塩基以上、好ましくは約15~約40塩基、より好ましくは約15塩基~約30塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。さらに、アンチセンス核酸は、前記標的遺伝子の転写産物とハイブリダイズして翻訳を阻害するだけでなく、二本鎖DNAと結合して三重鎖(トリプレックス)を形成し、mRNAへの転写を阻害し得るものであってもよい。
本明細書において、配列Aと配列Bとの「相補性」とは、配列Aの相補配列と配列Bとの同一性をいう。アンチセンス核酸と、該アンチセンス核酸の標的遺伝子との相補性は必ずしも100%である必要はなく、生体細胞内で前記標的遺伝子のDNAまたはRNAと相補的に結合しうる程度でハイブリダイズして、mRNAへの転写および/または翻訳を阻害できることを条件として、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または、約95%以上であってもかまわない。
前記RNAi誘導性核酸とは、細胞内に導入されることにより、RNA干渉(RNAi)を誘導し得るポリヌクレオチドをいい、好ましくはRNAまたはRNAとDNAのキメラ分子である。RNA干渉とは、mRNAと同一の塩基配列(またはその部分配列)を含む2本鎖構造のRNAが、当該mRNAの発現を抑制する効果をいう。このRNAi効果を得るには、例えば、少なくとも19の連続する標的mRNAと同一の塩基配列(またはその部分配列)を有する2本鎖構造のRNAを用いることが好ましい。ただし、前記標的遺伝子の発現阻害作用を有していれば数塩基置換されているものであってもよく、19塩基長よりも短いRNAであってもよい。2本鎖構造は、センス鎖とアンチセンス鎖の異なるストランドで構成されていてもよいし、一つのRNAのステムループ構造によって与えられる2本鎖(shRNA)であってもよい。RNAi誘導性核酸としては、例えばsiRNA、miRNAなどが挙げられる。miRNAは、前記標的遺伝子の3’UTRを認識して、該標的遺伝子のmRNAを不安定化するとともに翻訳抑制を行うことで前記標的遺伝子の発現を抑制する。
RNAi誘導性核酸は、転写抑制活性が強いという観点から、siRNAが好ましい。前記標的遺伝子に対するsiRNAは、該標的遺伝子のmRNAの任意の部分を標的とすることができる。前記標的遺伝子に対するsiRNA分子は、RNAi効果を誘導できる限り特に制限されないが、例えば18~27塩基長、好ましくは21~25塩基長である。前記標的遺伝子に対するsiRNAは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二重鎖である。前記標的遺伝子に対するsiRNAは、センス鎖、アンチセンス鎖の一方または双方の5’末端または3’末端においてオーバーハングを有していてもよい。オーバーハングは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の末端における1~数個(例、1、2または3個)の塩基の付加により形成されるものである。siRNAの設計方法は、当業者に公知であり、siRNAの様々な設計ソフトウェアまたはアルゴリズムを用いて、上記塩基配列から適切なsiRNAの塩基配列を選択することができる。
前記「リボザイム」とは核酸を切断する酵素活性を有するRNAをいうが、最近では当該酵素活性部位の塩基配列を有するオリゴDNAも同様に核酸切断活性を有することが明らかになっているので、本明細書では配列特異的な核酸切断活性を有する限りDNAをも包含する概念として用いる。具体的には、リボザイムは、前記標的遺伝子をコードするmRNAまたは初期転写産物を、コード領域の内部(初期転写産物の場合はイントロン部分を含む)で特異的に切断し得る。リボザイムとして最も汎用性の高いものとしては、ウイロイドやウイルソイド等の感染性RNAに見られるセルフスプライシングRNAがあり、ハンマーヘッド型やヘアピン型等が知られている。ハンマーヘッド型は約40塩基程度で酵素活性を発揮し、ハンマーヘッド構造をとる部分に隣接する両端の数塩基ずつ(合わせて約10塩基程度)をmRNAの所望の切断部位と相補的な配列にすることにより、標的mRNAのみを特異的に切断することが可能である。さらに、リボザイムを、それをコードするDNAを含む発現ベクターの形態で使用する場合には、転写産物の細胞質への移行を促進するために、tRNAを改変した配列をさらに連結したハイブリッドリボザイムとすることもできる(Nucleic Acids Res., 29(13): 2780-2788 (2001))。
本発明の抗がん剤は、前記標的遺伝子阻害核酸をコードするポリヌクレオチド、および当該ポリヌクレオチドに機能可能に連結されたプロモーターを含む、発現ベクターとして提供することもできる。前記プロモーターは、その制御下にある発現対象の核酸の種類により適宜選択され得るが、例えば、polIIIプロモーター(例、tRNAプロモーター、U6プロモーター、H1プロモーター)、哺乳動物用プロモーター(例、CMVプロモーター、CAGプロモーター、SV40プロモーター)が挙げられる。本発明の発現ベクターはさらに、選択マーカー遺伝子(テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ホスフィノスリシン等の薬剤に対する抵抗性を付与する遺伝子、栄養要求性変異を相補する遺伝子等)をさらに含んでいてもよい。本発明の発現ベクターのバックボーン(backbone)としては、ヒト等の哺乳動物細胞中で前記標的遺伝子阻害核酸を産生できるものであれば特に制限されないが、例えば、プラスミドベクター、ウイルスベクターが挙げられる。哺乳動物への投与に好適なベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス等のウイルスベクターが挙げられる。なかでも、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス由来のウイルスベクターが好ましい。
本発明の抗がん剤が遊離GABAの捕捉薬の場合には、その有効成分は、GABAと特異的に結合する抗体、特異的結合パートナーおよび/またはそれらの断片を含むが、これらに限定されない。
本明細書において、抗体とは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体や一本鎖抗体、ヒト抗体産生トランスジェニック動物等を用いて製造され得るヒト抗体、ファージディスプレイによって作製された抗体を指す。
本明細書において、特異的結合パートナーとは、特異的結合対のメンバーを指す。特異的結合対は、化学的または物理的手段によって互いに特異的に結合する2つの異なる分子を含む。従って、一般的な免疫反応の抗原と抗体との特異的結合対に加えて、他の特異的結合対としては、ビオチンおよびアビジン(またはストレプトアビジン)、炭水化物およびレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクターおよび受容体分子、補助因子および酵素、酵素および酵素阻害剤などを挙げることができるが、これらに限られない。さらに、特異的結合対としては、元の特異的結合メンバーの類似体であるメンバー、例えば、分析物類似体を挙げることができる。免疫反応特異的結合メンバーとしては、単離されているかまたは組換え的に生産されたかにかかわらず、抗原およびその断片と、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を含む抗体と、これらの複合体およびその断片を挙げることができる。
本明細書における「これらの断片」または「その断片」という文言は、抗体の断片を指す場合には、本発明の「これらの断片」または「その断片」は抗体の一部分の領域を意味する。具体的には、例えばF(ab’)2、Fab’、Fab、Fv(variable fragment of antibody)、sFv、dsFv(disulphide stabilized Fv)、dAb(single domain antibody)を指すが、これらに限られない。本発明の「これらの断片」または「その断片」という文言が、抗体以外の特異的結合パートナーの断片を指す場合には、本発明の「これらの断片」または「その断片」は当該特異的結合パートナー分子の断片を意味する。
本明細書における抗体のクラスは、特に限定されず、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE等のいずれのアイソタイプを有する抗体をも包含する。好ましくは、IgGまたはIgMであり、精製の容易性等を考慮するとより好ましくはIgGである。
本明細書におけるポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびこれらの断片は、既知の一般的な製造方法によって製造することができる。本明細書に記載の抗体は、例えばGreenfield, E. A.編、Antibodies: A Laboratory Manual、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2014)に詳しく説明されている。
本発明の抗がん剤は、患者に対して経口的または非経口的に投与することができ、投与形態としては、経口投与、局所投与、静脈内投与、経皮投与などが挙げられ、必要に応じて、製薬学的に許容され得る添加剤と共に、投与に適した剤形に製剤化される。経口投与に適した剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などが挙げられ、非経口投与に適した剤形としては、例えば、注射剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤、貼付剤などが挙げられる。これらは当該分野で汎用されている通常の技術を用い、調製することができる。本発明の抗がん剤は、患者のがんの増殖を抑制または軽減し、あるいは、がん組織の成長抑制、縮小または消滅する等のがんに対する治療効果を奏する限り、その投与経路および剤形は特に限定されないが、好ましい投与経路は局所投与であり、その剤形は注射剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤または貼付剤である。また、本発明の抗がん剤は、これらの製剤の他に臓器内インプラント用製剤やマイクロスフェア等のDDS(ドラッグデリバリーシステム)化された製剤にすることもできる。さらに、本発明の抗がん剤を所望のがん組織(例えば、原発巣または転移がん組織)に到達させるためには、筋肉内局所投与、皮下局所投与、皮膚への直接塗布、貼付等の局所投与に限らず、静脈内注射(点滴)、皮下投与等の全身性投与であってもよい。
本発明の抗がん剤は、有効成分の種類とその投与経路に応じて、薬学的に許容される担体を含んでいてもよい。当業者であればかかる状況に適切な担体を適宜選択することができる。選択可能な担体としては、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤;セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤;デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム-グリコール-スターチ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤;安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等のpH調節剤;メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤;界面活性剤等の分散剤;水、生理食塩水、エタノール、プロピレングリコール等の溶解剤;グルコース、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の等張化剤;カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックスなどがあげられるが、それらに限定されるものではない。また、これらの担体は単独の作用に限定されず、複数の作用を発揮する目的で使用することができる。
例えば、本発明の抗がん剤を注射剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤または貼付剤として用いる場合、安定剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエンなど)、溶解補助剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)、懸濁化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、乳化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、大豆レシチン、卵黄レシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80など)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸、イプシロンアミノカプロン酸など)、粘稠剤(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなど)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類、エデト酸ナトリウム、ホウ酸など)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ブドウ糖、プロピレングリコールなど)、pH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸など)、清涼化剤(例えば、l-メントール、d-カンフル、d-ボルネオール、ハッカ油など)、軟膏基剤(例えば、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン、植物油(オリーブ油、椿油、落花生油など)など)などを添加剤として加えることができる。これら添加剤の添加量は、添加する添加剤の種類、用途などによって異なるが、添加剤の目的を達成し得る濃度を添加すればよい。
本発明の抗がん剤は、前記標的遺伝子阻害核酸、または、該記標的遺伝子阻害核酸をコードするポリヌクレオチド、および当該ポリヌクレオチドに機能可能に連結されたプロモーターを含む、発現ベクターを、リポフェクション法を用いて製剤化することもできる。リポフェクション法には、通常ホスファチジルセリンからなるリポソームが用いられる。ホスファチジルセリンは陰電荷を有するため、ホスファチジルセリンの代用として、より安定したリポソームを作りやすいN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリエチルアンモニウムクロライド(DOTMA)という陽イオン性脂質(商品名:トランスフェクタム、リポフェクトアミン)を用いることが好ましい。これらの陽イオン性脂質と陰電荷を持つ核酸との複合体を形成させると、全体として正に荷電しているリポソームが、負に荷電している細胞の表面に吸着し、細胞膜と融合できることで核酸を細胞内に導入することができる。切開手術または回復手術のように皮膚、腹膜、胸膜等を切開してがんの病巣を露出するか、あるいは、内視鏡による経皮経管的にがんの病巣にアクセスするかして、前記標的遺伝子阻害核酸、または、該記標的遺伝子阻害核酸をコードするポリヌクレオチド、および当該ポリヌクレオチドに機能可能に連結されたプロモーターを含む、発現ベクターを、病巣に直接注射することもできる。このようながんの病巣への直接局所投与は、前記標的遺伝子阻害核酸、または、該記標的遺伝子阻害核酸をコードするポリヌクレオチド、および当該ポリヌクレオチドに機能可能に連結されたプロモーターを含む、発現ベクターを全身投与するのに比べて、オフターゲット効果のような副作用を軽減できることがある。
本発明の抗がん剤に含まれる前記有効成分の割合は、所望の効果を奏することができる範囲で適宜設定することができるが、通常、0.01~100重量%であり、好ましくは0.1~99.9重量%、より好ましくは0.5~99.5重量%である。
本発明の抗がん剤がGABAを介するシグナル伝達の阻害薬、B細胞におけるGABA生合成の阻害薬、B細胞におけるGABA分解の促進薬、B細胞におけるGABA分泌の阻害薬、B細胞におけるGABA再吸収の促進薬、および/または、遊離GABAの捕捉薬、GABAと特異的に結合する抗体、特異的結合パートナーおよび/またはそれらの断片の場合には、中枢神経または末梢神経に作用して精神または神経機能を変容させる副作用を惹起するおそれがある。本発明の抗がん剤がB細胞に対する細胞傷害性を有する、抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片、および/または、B細胞の除去剤の場合には、体内の液性免疫機能を弱体化させる副作用を惹起するおそれがある。そこで、本発明の抗がん剤の治療上有効な量は、精神または神経機能を変容させたり、液性免疫機能を弱体化させたりする副作用よりも、細胞傷害性T細胞のがん細胞殺傷活性を抑制するB細胞の作用を阻害または低減する効果が上回る用量である。
投与される用量は、治療される個人の年齢、体重および状態と、投与経路、投与形態および方法とを考慮して注意深く調整されなければならず、そして正確な投与量は医師によって決定されなければならない。実際の投与量は医師の裁量の範囲内であり、望ましい治療効果を得るために本発明の特別な状況に対して用量を設定することにより変動することがある。しかし本発明の抗がん剤の投与量としては、有効成分の種類、投与対象の体重や年齢、症状などにより一概に規定されるものではないが、1回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。本発明の治療薬の投与回数は、特に限定されるものではないが、通常、1日当たり1~5回程度である。また、投与期間は、数日~1週間程度の短期服用であっても、数週間~数ヶ月程度の長期服用であってもよい。なお、相当程度の間隔を置いて前記疾患が再発した場合、本発明の治療薬の再度の投与が可能である。
本発明の抗がん剤の投与回数は、特に限定されるものではないが、通常、1日当たり1~5回程度である。また、投与期間は、数日~1週間程度の短期服用であっても、数週間~数ヶ月程度の長期服用であってもよい。なお、相当程度の間隔を置いてがんが再発した場合、本発明の抗がん剤を再度投与することもできる。
本明細書において、「がん細胞を特異的に殺傷する」とは、がん細胞への殺傷効果ががん細胞以外の細胞への殺傷効果と比較して通常1.2倍以上、好ましくは、1.3倍以上、1.5倍以上、1.7倍以上、1.9倍以上、2倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、50倍以上、100倍以上、200倍以上、500倍以上、1000倍以上、2000倍以上、5000倍以上、10000倍以上高いことをいう。同様に、本発明の標的遺伝子阻害核酸について「特異的に発現が抑制される」とは、標的遺伝子阻害核酸を添加した場合の標的遺伝子の発現が標的遺伝子阻害核酸を添加しなかった場合の標的遺伝子の発現と比較して通常1.2倍以上、好ましくは、1.3倍以上、1.5倍以上、1.7倍以上、1.9倍以上、2倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、50倍以上、100倍以上、200倍以上、500倍以上、1000倍以上、2000倍以上、5000倍以上、10000倍以上低いことをいう。
本明細書において、物質Aが物質Bと「特異的に結合する」とは、物質Aと物質Bとがかなり高い結合親和性を示し、かつ、物質Aおよび物質B以外の物質との交差反応性を示さないことを指す。かなり高い結合親和性とは、1×10-7M以下、1×10-8M以下、さらに特に1×10-9M以下またはよりさらに1×10-10M以下の解離定数Kdでの結合を指す。本発明の技術分野における物質Aおよび物質Bの結合親和性は、表面プラズモン共鳴法を利用する測定装置(例えばBiacoreシステム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社))、反射型干渉分光法を利用する測定装置(例えばforte-BIOシリーズ(日本ポール株式会社))を含むが、これらに限られない測定装置により測定することができる。また、物質Aおよび物質Bについて「物質Aおよび物質B以外の物質との交差反応性」は、例えば、競合結合アッセイ(例えばELISA)を用いて決定することができる。
本発明の抗がん剤およびがんの治療方法について「治療」とは、本発明の抗がん剤およびがんの治療方法が効果を奏することを指し、がんが完全に消失した完全奏効または完全寛解(CR)と、部分奏効または部分寛解(PR、固形がんについてそのサイズが減少すること、血液がんではがん細胞の数が減少すること)と、腫瘍のサイズが変わらない「安定(SD)」状態とを含む。
本発明の抗がん剤およびがんの治療方法は、細胞傷害性T細胞のがん細胞殺傷活性を抑制する、B細胞と細胞傷害性T細胞との相互作用を阻害または低減することを作用機序とするため、化学療法剤、免疫療法剤、放射線照射療法等の既存の抗がん剤またはがんの治療方法と作用機序が異なる。したがって、本発明の抗がん剤およびがんの治療方法は、既存の任意の抗がん剤またはがんの治療方法と併用することができる。
本明細書において、B細胞に対する細胞傷害性を有する、抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片とは、単独で、あるいは、補体その他と複合体を形成して、B細胞を殺傷する能力を有する抗体か、特異的結合パートナーか、これらの断片を指す。
本明細書において、B細胞の除去剤とは、細胞傷害性T細胞のがん細胞殺傷活性を抑制するB細胞を除去する活性を有する任意の薬剤を指す。本明細書のB細胞の除去剤には、CD20を細胞表面に発現するB細胞を特異的に除去する抗CD20モノクローナル抗体や、該モノクローナル抗体に由来するタンパク質、例えば、リツキシマブおよびそのバイオシミラーの他、腸管特異的なCD11b陽性IgA産生細胞を除去する腸内細菌に対する抗生物質を含む。
本明細書において、本発明の抗がん剤および/または本発明のがんの治療方法と併用する他の医薬または治療方法には、以下が含まれるが、これらに限られない。
・がん細胞を物理的に摘出除去する外科手術療法、
・アルキル化薬、白金化合物、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管阻害薬、抗生物質を含むが、これらに限られない、化学物質を投与する化学療法および化学療法剤、
・がん細胞を非自己として免疫細胞が攻撃する免疫療法および免疫療法剤、および
・エックス線、電子線、ガンマ線、中性子線を含むがこれらに限られない放射線の照射によりがん細胞の増殖を阻害し、死滅させる放射線療法。
・がん細胞を物理的に摘出除去する外科手術療法、
・アルキル化薬、白金化合物、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼ阻害薬、微小管阻害薬、抗生物質を含むが、これらに限られない、化学物質を投与する化学療法および化学療法剤、
・がん細胞を非自己として免疫細胞が攻撃する免疫療法および免疫療法剤、および
・エックス線、電子線、ガンマ線、中性子線を含むがこれらに限られない放射線の照射によりがん細胞の増殖を阻害し、死滅させる放射線療法。
がんを治療するための化学療法薬には、6-O-(N-クロロアセチルカルバモイル)フマギロール、ブレオマイシン、メトトレキサート、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ダウノルビシン、アドリアマイシン、ネオカルチノスタチン、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、テトラヒドロフリル-5-フルオロウラシル、ピシバニール、レンチナン、レバミゾール、ベスタチン、アジメキソン、グリチルリチン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ブレオマイシン、硫酸ヘプロマイシン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、塩酸イリノテカン、シクロフォスファミド、メルファラン、ブスルファン、チオテパ、塩酸プロカルバジン、シスプラチン、アザチオプリン、メルカプトプリン、テガフール、カルモフール、シタラビン、メチルテストステロン、プロピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、メピチオスタン、ホスフェストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸リュープロレリン、酢酸ブセレリン等を含む。
前記他の医薬は、免疫チェックポイント阻害剤を含むこともできる。前記他の治療方法は、がん組織を外科的手術によって摘出除去すること、および/または、がん細胞を殺傷する放射線を照射することを含むこともできる。
本明細書において数値について修飾する連体詞「約」は、当該数値の90%以上、かつ、110%以内の数値範囲であることを意味する。例えば、「約40塩基」とは、36塩基以上44塩基以内の数値範囲の塩基を指す。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除および置換を行うことができる。
(1) 材料と方法
(1.1)マウス
マウス突然変異体のmuMt-/-、Cd3e-/-およびrag1-/-(いずれもバックグラウンドはC57BL/6J系統)と、野生型マウスとは、理化学研究所生命医科学研究センター(IMS RIKEN)においてSPF条件下で繁殖・維持された。無菌(GF)野生型マウスは理化学研究所生命医科学研究センターにおいてビニールアイソレータ内で出産維持された。C57BL/6NまたはC57BL/6J野生型マウスは日本クレアから購入した。解析には、同腹仔か、週齢/性別が適切にマッチしたマウスかを用いた。全ての動物実験は施設内の動物実験委員会から承認されたプロトコールに従って実施された。
(1.1)マウス
マウス突然変異体のmuMt-/-、Cd3e-/-およびrag1-/-(いずれもバックグラウンドはC57BL/6J系統)と、野生型マウスとは、理化学研究所生命医科学研究センター(IMS RIKEN)においてSPF条件下で繁殖・維持された。無菌(GF)野生型マウスは理化学研究所生命医科学研究センターにおいてビニールアイソレータ内で出産維持された。C57BL/6NまたはC57BL/6J野生型マウスは日本クレアから購入した。解析には、同腹仔か、週齢/性別が適切にマッチしたマウスかを用いた。全ての動物実験は施設内の動物実験委員会から承認されたプロトコールに従って実施された。
(1.2)フロー・サイトメトリー
細胞は、以下の抗体で染色され、フロー・サイトメトリーはBD FACS Aria IIフロー・サイトメトリーシステム(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)で実施された。抗CD8a(Biolegend(BioLegend Japan株式会社)、クローン53-6.7)、抗TCR-β(Biolegend、クローンH57-597)、抗CD4(Biolegend、クローンRM4-5)、抗CD62L(Biolegend、クローンMEL-14)、抗CD11c(Biolegend、クローンN418)、抗CD11b(Biolegend、クローンM1/70)、抗CD3(Biolegend、クローン145-2C11)、抗CD45.2(Biolegend、クローン104)、抗Granzyme B(Biolegend、クローンQA16A02)、抗Perforin(Biolegend、クローンS16009B)、抗CD98(Biolegend、クローンRL388)、抗IFN-γ(eBioscience(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)、クローンXMG1.2)、抗CD44(eBioscience、クローンIM7)、抗B220(eBioscience、クローンRA3-6B2)、抗TNF-α(eBioscience、クローンMP6-XT22)、抗IgD(ebioscience、クローン11-26c)、抗TCR-β(BD(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)、クローンH57-597)、抗IL-2(BD、クローンJES6-5H4)、抗PD-1(BD、クローンJ43)、抗CXCR5(BD、2G8)、抗FAS(BD、クローンJo2)および抗IgA(SouthernBiotech(コスモ・バイオ株式会社)、ポリクローナル抗体)。細胞内サイトカイン産生を測定するために、GolgiStop(商標、BD(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社))存在下PMAおよびイオノマイシン(シグマ、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社)で細胞を4時間刺激した。細胞内染色はFixation/Permeabilization Solution Kit(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)を用いて実施した。データはFlowJoソフトウェア(FlowJo,LLC、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)を用いて解析した。
細胞は、以下の抗体で染色され、フロー・サイトメトリーはBD FACS Aria IIフロー・サイトメトリーシステム(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)で実施された。抗CD8a(Biolegend(BioLegend Japan株式会社)、クローン53-6.7)、抗TCR-β(Biolegend、クローンH57-597)、抗CD4(Biolegend、クローンRM4-5)、抗CD62L(Biolegend、クローンMEL-14)、抗CD11c(Biolegend、クローンN418)、抗CD11b(Biolegend、クローンM1/70)、抗CD3(Biolegend、クローン145-2C11)、抗CD45.2(Biolegend、クローン104)、抗Granzyme B(Biolegend、クローンQA16A02)、抗Perforin(Biolegend、クローンS16009B)、抗CD98(Biolegend、クローンRL388)、抗IFN-γ(eBioscience(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)、クローンXMG1.2)、抗CD44(eBioscience、クローンIM7)、抗B220(eBioscience、クローンRA3-6B2)、抗TNF-α(eBioscience、クローンMP6-XT22)、抗IgD(ebioscience、クローン11-26c)、抗TCR-β(BD(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)、クローンH57-597)、抗IL-2(BD、クローンJES6-5H4)、抗PD-1(BD、クローンJ43)、抗CXCR5(BD、2G8)、抗FAS(BD、クローンJo2)および抗IgA(SouthernBiotech(コスモ・バイオ株式会社)、ポリクローナル抗体)。細胞内サイトカイン産生を測定するために、GolgiStop(商標、BD(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社))存在下PMAおよびイオノマイシン(シグマ、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社)で細胞を4時間刺激した。細胞内染色はFixation/Permeabilization Solution Kit(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)を用いて実施した。データはFlowJoソフトウェア(FlowJo,LLC、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)を用いて解析した。
(1.3)セルソーティング
BD FACS Aria IIフロー・サイトメトリーシステム(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)を用いて野生型マウスからナイーブなCD4またはCD8T細胞(CD11c-、CD11b-、B220-、CD4+またはCD8+、CD44int/-、CD62L+)と、セントラルメモリー(CM)CD4またはCD8T細胞(CD11c-、CD11b-、B220-、CD4+またはCD8+、CD44high、CD62L+)と、エフェクターメモリー(EM)CD4またはCD8T細胞(CD11c-、CD11b-、B220-、CD4+またはCD8+、CD44high、CD62L-)と、B細胞(CD11c-、CD11b-、CD4-、CD8-、B220+)と、CD11b/c細胞(B220-、CD11c+および/またはCD11b+)を、(腋窩、上腕および鼠径)リンパ節から選別した。胚中心(GC)または非GCT細胞(TCR-β+、CD4+、PD-1-またはPD-1+、CXCR5-またはCXCR5+)、非GCB細胞(B220+、IgDhigh)またはGCB細胞(B220+、IgD-、FAS+)をパイエル板(PP)から選別した。IgA形質細胞(PC)を小腸固有層(SILP)から選別した。選別された細胞は、代謝物の解析のために、PBSで洗浄し迅速に液体窒素で凍結した。
BD FACS Aria IIフロー・サイトメトリーシステム(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)を用いて野生型マウスからナイーブなCD4またはCD8T細胞(CD11c-、CD11b-、B220-、CD4+またはCD8+、CD44int/-、CD62L+)と、セントラルメモリー(CM)CD4またはCD8T細胞(CD11c-、CD11b-、B220-、CD4+またはCD8+、CD44high、CD62L+)と、エフェクターメモリー(EM)CD4またはCD8T細胞(CD11c-、CD11b-、B220-、CD4+またはCD8+、CD44high、CD62L-)と、B細胞(CD11c-、CD11b-、CD4-、CD8-、B220+)と、CD11b/c細胞(B220-、CD11c+および/またはCD11b+)を、(腋窩、上腕および鼠径)リンパ節から選別した。胚中心(GC)または非GCT細胞(TCR-β+、CD4+、PD-1-またはPD-1+、CXCR5-またはCXCR5+)、非GCB細胞(B220+、IgDhigh)またはGCB細胞(B220+、IgD-、FAS+)をパイエル板(PP)から選別した。IgA形質細胞(PC)を小腸固有層(SILP)から選別した。選別された細胞は、代謝物の解析のために、PBSで洗浄し迅速に液体窒素で凍結した。
(1.4)代謝物の解析
代謝物の解析は、Miyajima, M.ら、(Nat Immunol. 18:1342 (2017))に記載のとおり実施された。簡潔には、凍結された組織または細胞は破砕され超純水に溶解した。ろ過後、溶媒は真空濃縮器(SpeedVac、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて除去した。濃縮されたろ液を超純水に溶解して、代謝物の解析に供した。
代謝物の解析は、Miyajima, M.ら、(Nat Immunol. 18:1342 (2017))に記載のとおり実施された。簡潔には、凍結された組織または細胞は破砕され超純水に溶解した。ろ過後、溶媒は真空濃縮器(SpeedVac、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて除去した。濃縮されたろ液を超純水に溶解して、代謝物の解析に供した。
(1.5)13C5-標識および/または15C2-標識グルタミントレーサー法
13C標識および/または15C2-標識グルタミントレーサー法には、グルタミン不含培地に13C5-標識および/または15C2-標識L-グルタミン(2mM、大陽日酸株式会社)を添加した。
13C標識および/または15C2-標識グルタミントレーサー法には、グルタミン不含培地に13C5-標識および/または15C2-標識L-グルタミン(2mM、大陽日酸株式会社)を添加した。
(1.6)代謝物の解析
代謝物の解析には液体クロマトグラフィー質量分析を用いた。液体クロマトグラフィー質量分析は、Q Exactive-四重極(Orbitrap)ハイブリッド質量分析計(MS)(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)と連結したUltiMate 3000-高速液体クロマトグラフィー(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて、Miyajima,M.ら、(Nat Immunol.18:1342(2017))に記載のとおり実施した。
代謝物の解析には液体クロマトグラフィー質量分析を用いた。液体クロマトグラフィー質量分析は、Q Exactive-四重極(Orbitrap)ハイブリッド質量分析計(MS)(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)と連結したUltiMate 3000-高速液体クロマトグラフィー(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用いて、Miyajima,M.ら、(Nat Immunol.18:1342(2017))に記載のとおり実施した。
(1.7)培養下での活性化
リンパ節から全T細胞またはB細胞を選別して、10%(v/v)FBS、1×MEM NEAA、10mM HEPES、50μM 2-メルカプトエタノール、1mM ピルビン酸ナトリウム、100U/mL ペニシリン、100U/mL ストレプトマイシンを添加したRPMI1640培地(富士フイルム和光純薬株式会社)中で24時間または72時間培養した。抗CD28(2μg/mL、37.51、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)およびIL-2(20ng/mL、R&Dシステムズ、フナコシ株式会社)の存在下で、抗CD3e(2.5μg/mL、145-2C11、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)が固定化された96穴プレートを用いてT細胞を刺激した。抗IgM(8μg/mL、Jackson Immuno Reserch、富士フイルム和光純薬株式会社)単独か、抗IgM(8μg/mL)および抗CD40(1μg/mL、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)か、LPS(100ng/mL、シグマ、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社)かでB細胞を刺激した。
リンパ節から全T細胞またはB細胞を選別して、10%(v/v)FBS、1×MEM NEAA、10mM HEPES、50μM 2-メルカプトエタノール、1mM ピルビン酸ナトリウム、100U/mL ペニシリン、100U/mL ストレプトマイシンを添加したRPMI1640培地(富士フイルム和光純薬株式会社)中で24時間または72時間培養した。抗CD28(2μg/mL、37.51、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)およびIL-2(20ng/mL、R&Dシステムズ、フナコシ株式会社)の存在下で、抗CD3e(2.5μg/mL、145-2C11、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)が固定化された96穴プレートを用いてT細胞を刺激した。抗IgM(8μg/mL、Jackson Immuno Reserch、富士フイルム和光純薬株式会社)単独か、抗IgM(8μg/mL)および抗CD40(1μg/mL、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)か、LPS(100ng/mL、シグマ、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社)かでB細胞を刺激した。
(1.8)足蹠免疫付与
マウス左後肢足蹠に完全フロイントアジュバント(CFA)とニワトリオバルブミンとの1:1混合乳化物(個体あたり20μg)で7日間免疫付与して、同側および反対側のリンパ節を単離して代謝物の解析に供した。
マウス左後肢足蹠に完全フロイントアジュバント(CFA)とニワトリオバルブミンとの1:1混合乳化物(個体あたり20μg)で7日間免疫付与して、同側および反対側のリンパ節を単離して代謝物の解析に供した。
(1.9)ヒト細胞の単離
ヒト末梢血単核細胞(PBMCs)をFicoll勾配遠心により単離した。PBMCsをビオチン標識抗CD20(Biolegend、クローン2H7)およびビオチン標識抗CD19(Biolegend、クローンHIB19)で染色して、抗ビオチンMicroBeads(ミルテニーバイオテク株式会社)と結合する分画をヒトB細胞として選別した。結合しない分画をヒトpan T cell negative isolation kit(ミルテニーバイオテク株式会社)を用いてヒトT細胞として選別した。
ヒト末梢血単核細胞(PBMCs)をFicoll勾配遠心により単離した。PBMCsをビオチン標識抗CD20(Biolegend、クローン2H7)およびビオチン標識抗CD19(Biolegend、クローンHIB19)で染色して、抗ビオチンMicroBeads(ミルテニーバイオテク株式会社)と結合する分画をヒトB細胞として選別した。結合しない分画をヒトpan T cell negative isolation kit(ミルテニーバイオテク株式会社)を用いてヒトT細胞として選別した。
(1.10)腫瘍モデル
PBS、DMSO、チアガビン(マウス1匹あたり800μg、東京化成工業株式会社)、フルマゼニル(マウス1匹あたり14μg、東京化成工業株式会社)またはピクロトキシン(マウス1匹あたり40μg、アブカム株式会社)をマウスに1日おきに腹腔内注射した。あるいは、プラセボペレットまたはGABAペレット(ペレットあたり31.5mg、21日間徐放用、Innovative Research of America(IRA))を挿入し、1日後に、MC38がん細胞(5×105個)を右側横腹に皮下注射した。第7日に腫瘍組織を回収し、フロー・サイトメトリー解析用にコラーゲナーゼ(富士フイルム和光純薬株式会社)で消化した。腫瘍体積を表記の日に測定し、以下の式を用いて計算した。
π × (長さ×幅×高さ)/6
PBS、DMSO、チアガビン(マウス1匹あたり800μg、東京化成工業株式会社)、フルマゼニル(マウス1匹あたり14μg、東京化成工業株式会社)またはピクロトキシン(マウス1匹あたり40μg、アブカム株式会社)をマウスに1日おきに腹腔内注射した。あるいは、プラセボペレットまたはGABAペレット(ペレットあたり31.5mg、21日間徐放用、Innovative Research of America(IRA))を挿入し、1日後に、MC38がん細胞(5×105個)を右側横腹に皮下注射した。第7日に腫瘍組織を回収し、フロー・サイトメトリー解析用にコラーゲナーゼ(富士フイルム和光純薬株式会社)で消化した。腫瘍体積を表記の日に測定し、以下の式を用いて計算した。
π × (長さ×幅×高さ)/6
(1.11)統計分析
統計分析をPRISM(Graphpad)で実行した。両側独立ステューデントt-検定または反復測定分散分析(NOVA)を用いて分析を行った。
統計分析をPRISM(Graphpad)で実行した。両側独立ステューデントt-検定または反復測定分散分析(NOVA)を用いて分析を行った。
(2)結果
(2.1)野生型マウスにおける各種リンパ球のGABA含量
図2は、野生型マウスから摘出され、フロー・サイトメトリー法で単離された各種リンパ球のGABA含量の棒グラフである。誤差棒は各リンパ球タイプの試料間の標本平均の標準誤差を表す。標本平均の標準誤差とは、母集団からある数の標本を選ぶとき、選ぶ組み合わせによって標本平均がどの程度ばらつくかを、全ての組み合わせについての標準偏差で表したものをいう。グラフ縦軸は、小腸IgA形質細胞(SI IgA PC)、パイエル板(PP)の胚中心(GC)または非GC(nonGC)T細胞およびB細胞、リンパ節(LN)のB細胞(B220)、樹状細胞(DC)、CD4またはCD8陽性エフェクターメモリー(EM)またはセントラルメモリー(CM)T細胞、CD4またはCD8が陽性または陰性のナイーブT細胞(naive)、CD4またはCD8が陽性でCD44陽性の細胞(CD44)の各細胞を表す。グラフ横軸は各細胞のGABA含量をナイーブなCD4T細胞のGABA含量を1倍とする相対値を表す。図2に示すとおり、小腸IgA形質細胞のGABA含量は際立って多く、その次に多いパイエル板非胚中心B細胞のGABA含量の2倍を超える。
(2.1)野生型マウスにおける各種リンパ球のGABA含量
図2は、野生型マウスから摘出され、フロー・サイトメトリー法で単離された各種リンパ球のGABA含量の棒グラフである。誤差棒は各リンパ球タイプの試料間の標本平均の標準誤差を表す。標本平均の標準誤差とは、母集団からある数の標本を選ぶとき、選ぶ組み合わせによって標本平均がどの程度ばらつくかを、全ての組み合わせについての標準偏差で表したものをいう。グラフ縦軸は、小腸IgA形質細胞(SI IgA PC)、パイエル板(PP)の胚中心(GC)または非GC(nonGC)T細胞およびB細胞、リンパ節(LN)のB細胞(B220)、樹状細胞(DC)、CD4またはCD8陽性エフェクターメモリー(EM)またはセントラルメモリー(CM)T細胞、CD4またはCD8が陽性または陰性のナイーブT細胞(naive)、CD4またはCD8が陽性でCD44陽性の細胞(CD44)の各細胞を表す。グラフ横軸は各細胞のGABA含量をナイーブなCD4T細胞のGABA含量を1倍とする相対値を表す。図2に示すとおり、小腸IgA形質細胞のGABA含量は際立って多く、その次に多いパイエル板非胚中心B細胞のGABA含量の2倍を超える。
(2.2)活性化リンパ節のGABA含量に与えるB細胞およびT細胞の免疫不全突然変異の影響
末梢での抗原刺激に対するリンパ節での適応免疫応答とB細胞におけるGABA産生との関係を古典的な足蹠免疫プロトコールを用いて検討した。完全フロイントアジュバントに乳化したオバルブミンタンパク質を野生型C57BL/6系統のマウス(WT)、CD3欠失ホモノックアウトマウス(CD3-/-)、IgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)、および、RAG-1欠失ホモノックアウトマウス(RAG-1-/-)のそれぞれに接種して7日後に、活性化(免疫した足蹠と同側(ipsi))リンパ節および非活性化(反対側(contra))リンパ節の組織のGABA含量を比較した棒グラフを図3に示す。誤差棒は各リンパ節組織の試料間のGABA含量の標準偏差を表す。グラフの縦軸は、各組織のGABA含量を野生型マウス反対側リンパ節のGABA含量を1倍とする相対値を表す。横軸は、各組織が由来したリンパ節を表す。図3の「**」、すなわち、CD3欠失ホモノックアウトマウス(CD3-/-)の免疫付与した後肢足蹠と同側(ipsi)および反対側(contra)のリンパ節組織のGABA含量の有意差のp値は、0.0011であった。図3の「****」、すなわち、野生型マウス(WT)の免疫付与した後肢足蹠と同側(ipsi)および反対側(contra)のリンパ節組織のGABA含量の有意差のp値は、0.0001未満であった。T細胞およびその細胞系譜に属する細胞がほとんど分化しないCD3欠失ホモノックアウトマウス(CD3-/-)では野生型マウス(WT)に次ぐGABA含量が検出されたが、B細胞およびその細胞系譜に属する細胞がほとんど分化しない、IgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)、および、RAG-1欠失ホモノックアウトマウス(RAG-1-/-)では、同側リンパ節でも反対側リンパ節でも、ほとんどGABAが検出されなかった。したがって同側リンパ節でGABAを含む細胞は活性化B細胞またはその細胞系譜に属する細胞であることが示唆された。
末梢での抗原刺激に対するリンパ節での適応免疫応答とB細胞におけるGABA産生との関係を古典的な足蹠免疫プロトコールを用いて検討した。完全フロイントアジュバントに乳化したオバルブミンタンパク質を野生型C57BL/6系統のマウス(WT)、CD3欠失ホモノックアウトマウス(CD3-/-)、IgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)、および、RAG-1欠失ホモノックアウトマウス(RAG-1-/-)のそれぞれに接種して7日後に、活性化(免疫した足蹠と同側(ipsi))リンパ節および非活性化(反対側(contra))リンパ節の組織のGABA含量を比較した棒グラフを図3に示す。誤差棒は各リンパ節組織の試料間のGABA含量の標準偏差を表す。グラフの縦軸は、各組織のGABA含量を野生型マウス反対側リンパ節のGABA含量を1倍とする相対値を表す。横軸は、各組織が由来したリンパ節を表す。図3の「**」、すなわち、CD3欠失ホモノックアウトマウス(CD3-/-)の免疫付与した後肢足蹠と同側(ipsi)および反対側(contra)のリンパ節組織のGABA含量の有意差のp値は、0.0011であった。図3の「****」、すなわち、野生型マウス(WT)の免疫付与した後肢足蹠と同側(ipsi)および反対側(contra)のリンパ節組織のGABA含量の有意差のp値は、0.0001未満であった。T細胞およびその細胞系譜に属する細胞がほとんど分化しないCD3欠失ホモノックアウトマウス(CD3-/-)では野生型マウス(WT)に次ぐGABA含量が検出されたが、B細胞およびその細胞系譜に属する細胞がほとんど分化しない、IgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)、および、RAG-1欠失ホモノックアウトマウス(RAG-1-/-)では、同側リンパ節でも反対側リンパ節でも、ほとんどGABAが検出されなかった。したがって同側リンパ節でGABAを含む細胞は活性化B細胞またはその細胞系譜に属する細胞であることが示唆された。
(2.3)活性化リンパ節のさまざまな細胞タイプにおけるGABA含量
免疫付与した野生型マウスの後肢足蹠と同側(ipsi)および反対側(contra)のリンパ節組織からフロー・サイトメトリー法で選別されたCD4、CD8およびB220陽性細胞(それぞれ、CD4、CD8およびB220)と、反対側全リンパ節(total contra LN)、同側全リンパ節(total ipsi LN)および同側マクロファージ/樹状細胞(ipsi Mf/DC)とのGABA含量を示す棒グラフを図4に示す。誤差棒は各選別細胞の試料間のGABA含量の標準偏差を表す。GABA含量の縦軸は、各選別細胞のGABA含量を反対側CD4陽性細胞のGABA含量を1倍とする相対値を表す。横軸は、各選別細胞の種類を表す。図4の「*」、すなわち、免疫付与した後肢足蹠と同側の全リンパ節組織から選別されたCD4陽性細胞(ipsi CD4)および反対側のリンパ節組織から選別されたCD4陽性細胞(contra CD4)のGABA含量の有意差のp値は、0.0232であった。図4の「**」、すなわち、同側の全リンパ節組織から選別されたB220陽性細胞(ipsi B220)および反対側のリンパ節組織から選別されたB220陽性細胞(contra B220)のGABA含量の有意差のp値は、0.0015であった。図4の「***」、すなわち、同側の全リンパ節組織から選別されたCD8陽性細胞(ipsi CD8)および反対側のリンパ節組織から選別されたCD8陽性細胞(contra CD8)のGABA含量の有意差のp値は、0.0010であった。図4の「****」、すなわち、反対側全リンパ節(total contra LN)と同側全リンパ節(total ipsi LN)とのGABA含量の有意差のp値は、0.0062であった。図4に示すとおり、活性化リンパ節の組織のさまざまな細胞タイプのうち、B220を発現する細胞、すなわち、B細胞およびその細胞系譜に属する細胞で最もGABA含量が多かった。そこで、活性化リンパ節組織のGABAの主な供給源はB細胞およびその細胞系譜に属する細胞である。
免疫付与した野生型マウスの後肢足蹠と同側(ipsi)および反対側(contra)のリンパ節組織からフロー・サイトメトリー法で選別されたCD4、CD8およびB220陽性細胞(それぞれ、CD4、CD8およびB220)と、反対側全リンパ節(total contra LN)、同側全リンパ節(total ipsi LN)および同側マクロファージ/樹状細胞(ipsi Mf/DC)とのGABA含量を示す棒グラフを図4に示す。誤差棒は各選別細胞の試料間のGABA含量の標準偏差を表す。GABA含量の縦軸は、各選別細胞のGABA含量を反対側CD4陽性細胞のGABA含量を1倍とする相対値を表す。横軸は、各選別細胞の種類を表す。図4の「*」、すなわち、免疫付与した後肢足蹠と同側の全リンパ節組織から選別されたCD4陽性細胞(ipsi CD4)および反対側のリンパ節組織から選別されたCD4陽性細胞(contra CD4)のGABA含量の有意差のp値は、0.0232であった。図4の「**」、すなわち、同側の全リンパ節組織から選別されたB220陽性細胞(ipsi B220)および反対側のリンパ節組織から選別されたB220陽性細胞(contra B220)のGABA含量の有意差のp値は、0.0015であった。図4の「***」、すなわち、同側の全リンパ節組織から選別されたCD8陽性細胞(ipsi CD8)および反対側のリンパ節組織から選別されたCD8陽性細胞(contra CD8)のGABA含量の有意差のp値は、0.0010であった。図4の「****」、すなわち、反対側全リンパ節(total contra LN)と同側全リンパ節(total ipsi LN)とのGABA含量の有意差のp値は、0.0062であった。図4に示すとおり、活性化リンパ節の組織のさまざまな細胞タイプのうち、B220を発現する細胞、すなわち、B細胞およびその細胞系譜に属する細胞で最もGABA含量が多かった。そこで、活性化リンパ節組織のGABAの主な供給源はB細胞およびその細胞系譜に属する細胞である。
(2.4)B細胞免疫不全がSPF環境下のIgM欠失ホモノックアウトマウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に与える影響
図5は、SPF環境下のIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)または野生型マウス(WT)に接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長(腫瘍病巣の体積)の経時的変化を調べた折れ線グラフである。誤差棒は各測定日のマウス個体腫瘍体積の標準偏差を表す。縦軸は、IgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)と、野生型マウス(WT)との腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。図5に示すとおり、IgM欠失ホモノックアウトマウスのほうが野生型マウスより腫瘍の成長は抑制された。
図5は、SPF環境下のIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)または野生型マウス(WT)に接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長(腫瘍病巣の体積)の経時的変化を調べた折れ線グラフである。誤差棒は各測定日のマウス個体腫瘍体積の標準偏差を表す。縦軸は、IgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)と、野生型マウス(WT)との腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。図5に示すとおり、IgM欠失ホモノックアウトマウスのほうが野生型マウスより腫瘍の成長は抑制された。
(2.5)無菌条件下で飼育されたB細胞分化不全がマウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼす影響
図6は、無菌条件下で飼育されたB細胞分化不全がマウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長(腫瘍病巣の体積)に及ぼす影響を示す折れ線グラフである。誤差棒は各測定日の腫瘍体積の標準偏差を表す。縦軸は、IgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)と、野生型マウス(WT)との腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。図6に示すとおり、IgM欠失ホモノックアウトマウスのほうが野生型マウスより腫瘍の成長を抑制した。
図6は、無菌条件下で飼育されたB細胞分化不全がマウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長(腫瘍病巣の体積)に及ぼす影響を示す折れ線グラフである。誤差棒は各測定日の腫瘍体積の標準偏差を表す。縦軸は、IgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT)と、野生型マウス(WT)との腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。図6に示すとおり、IgM欠失ホモノックアウトマウスのほうが野生型マウスより腫瘍の成長を抑制した。
(2.6)無菌条件下で飼育されたSPF環境下のB細胞分化不全マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼすGABA徐放ペレット処置の影響
図7は、無菌条件下で飼育されたSPF環境下のB細胞分化不全マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼすGABA徐放ペレット処置の影響を示す折れ線グラフ。誤差棒は各測定日の腫瘍体積の標準偏差を表す。縦軸は、プラセボペレットまたはGABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo)またはmMT(+GABA))と、野生型マウス(WT)との腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。図7に示すとおり、野生型マウス(WT)と比較してプラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo))では腫瘍の成長が抑制された。しかし、GABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+GABA))では、プラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo))と比較して腫瘍の成長を促進した。すなわち、IgM欠失ホモノックアウトマウスでの腫瘍の成長抑制効果をGABA徐放ペレットが阻害した。
図7は、無菌条件下で飼育されたSPF環境下のB細胞分化不全マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼすGABA徐放ペレット処置の影響を示す折れ線グラフ。誤差棒は各測定日の腫瘍体積の標準偏差を表す。縦軸は、プラセボペレットまたはGABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo)またはmMT(+GABA))と、野生型マウス(WT)との腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。図7に示すとおり、野生型マウス(WT)と比較してプラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo))では腫瘍の成長が抑制された。しかし、GABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+GABA))では、プラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo))と比較して腫瘍の成長を促進した。すなわち、IgM欠失ホモノックアウトマウスでの腫瘍の成長抑制効果をGABA徐放ペレットが阻害した。
(2.7)B細胞分化不全マウスへのGABA徐放ペレット処置が腫瘍浸潤CD8陽性細胞の活性化に及ぼす影響
図8は、B細胞分化不全マウスへのGABA徐放ペレット処置が腫瘍浸潤CD8陽性細胞の活性化に及ぼす影響を示す2パラメーターヒストグラムの組み合わせ図である。図8の左の上下はプラセボペレットを処置した野生型マウス(WT(+placebo))、中央および右はプラセボペレットまたはGABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo)またはmMT(+GABA))のフロー・サイトメトリーでCD8陽性細胞をゲーティングした2パラメーターヒストグラムである。上段は、縦軸がCD98の蛍光強度、横軸がTCRbの蛍光強度を表す。下段は、縦軸がSca-1の蛍光強度、横軸がTCRbの蛍光強度を表す。ボックスの近傍の数値は、各条件のCD8陽性細胞のうちボックス内の蛍光強度の細胞の百分率を表す。図8に示すとおり、プラセボペレットを処置した野生型マウス(WT(+placebo))と比較してプラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo))では、CD98またはSca1陽性、かつ、TCRb陽性の腫瘍浸潤CD8陽性細胞が増加した。しかし、GABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+GABA))では、プラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo))と比較して、CD98またはSca1陽性、かつ、TCRb陽性の腫瘍浸潤CD8陽性細胞は減少し、プラセボペレットを処置した野生型マウス(WT(+placebo))よりも減少した。すなわち、IgM欠失ホモノックアウトマウスによる腫瘍浸潤CD8陽性細胞の増加をGABA徐放ペレットが阻害した。
図8は、B細胞分化不全マウスへのGABA徐放ペレット処置が腫瘍浸潤CD8陽性細胞の活性化に及ぼす影響を示す2パラメーターヒストグラムの組み合わせ図である。図8の左の上下はプラセボペレットを処置した野生型マウス(WT(+placebo))、中央および右はプラセボペレットまたはGABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo)またはmMT(+GABA))のフロー・サイトメトリーでCD8陽性細胞をゲーティングした2パラメーターヒストグラムである。上段は、縦軸がCD98の蛍光強度、横軸がTCRbの蛍光強度を表す。下段は、縦軸がSca-1の蛍光強度、横軸がTCRbの蛍光強度を表す。ボックスの近傍の数値は、各条件のCD8陽性細胞のうちボックス内の蛍光強度の細胞の百分率を表す。図8に示すとおり、プラセボペレットを処置した野生型マウス(WT(+placebo))と比較してプラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo))では、CD98またはSca1陽性、かつ、TCRb陽性の腫瘍浸潤CD8陽性細胞が増加した。しかし、GABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+GABA))では、プラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo))と比較して、CD98またはSca1陽性、かつ、TCRb陽性の腫瘍浸潤CD8陽性細胞は減少し、プラセボペレットを処置した野生型マウス(WT(+placebo))よりも減少した。すなわち、IgM欠失ホモノックアウトマウスによる腫瘍浸潤CD8陽性細胞の増加をGABA徐放ペレットが阻害した。
(2.8)B細胞分化不全マウスへのGABA徐放ペレット処置が腫瘍浸潤CD8陽性細胞の細胞殺傷活性に及ぼす影響
図9は、B細胞分化不全マウスへのGABA徐放ペレット処置が腫瘍浸潤CD8陽性細胞の細胞殺傷活性に及ぼす影響を示す2パラメーターヒストグラムの組み合わせ図である。図9の左の上下はプラセボペレットを処置した野生型マウス(WT(+placebo))、中央および右はプラセボペレットまたはGABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo)またはmMT(+GABA))のフロー・サイトメトリーでCD8陽性細胞をゲーティングした2パラメーターヒストグラムである。上段は、縦軸がパーフォリンの蛍光強度、横軸がTCRbの蛍光強度を表す。下段は、縦軸がGrzB(グランザイムB)の蛍光強度、横軸がTCRbの蛍光強度を表す。ボックスの近傍の数値は、各条件のCD8陽性細胞のうちボックス内の蛍光強度の細胞の百分率を表す。
図9は、B細胞分化不全マウスへのGABA徐放ペレット処置が腫瘍浸潤CD8陽性細胞の細胞殺傷活性に及ぼす影響を示す2パラメーターヒストグラムの組み合わせ図である。図9の左の上下はプラセボペレットを処置した野生型マウス(WT(+placebo))、中央および右はプラセボペレットまたはGABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT(+placebo)またはmMT(+GABA))のフロー・サイトメトリーでCD8陽性細胞をゲーティングした2パラメーターヒストグラムである。上段は、縦軸がパーフォリンの蛍光強度、横軸がTCRbの蛍光強度を表す。下段は、縦軸がGrzB(グランザイムB)の蛍光強度、横軸がTCRbの蛍光強度を表す。ボックスの近傍の数値は、各条件のCD8陽性細胞のうちボックス内の蛍光強度の細胞の百分率を表す。
図10Aは、図9の2パラメーターヒストグラムにもとづいて、B細胞分化不全マウスへのGABA徐放ペレット処置が腫瘍浸潤CD8陽性細胞のパーフォリン陽性細胞の割合に及ぼす影響を示す棒グラフである。縦軸はプラセボペレットを処置した野生型マウス(WT+placebo)、プラセボペレットまたはGABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(mMT+placeboまたはmMT+GABAp)のパーフォリン陽性細胞の百分率を表す。図10Aの「**」、すなわち、プラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+placebo)と、GABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+GABAp)とのパーフォリン陽性細胞の割合の百分率の有意性のp値は0.006であった。図10Aの「***」、すなわち、プラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+placebo)と、プラセボペレットを処置した野生型マウス(WT+placebo)とのパーフォリン陽性細胞の割合の百分率の有意性のp値は0.0012であった。
図10Bは、図9の2パラメーターヒストグラムにもとづいて、B細胞分化不全マウスへのGABA徐放ペレット処置が腫瘍浸潤CD8陽性細胞のグランザイム陽性細胞の割合に及ぼす影響を示す棒グラフである。縦軸はプラセボペレットを処置した野生型マウス(WT+placebo)、プラセボペレットまたはGABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+placeboまたはmuMT-/-+GABAp)のグランザイム陽性細胞の百分率を表す。図10Bの「*」、すなわち、プラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+placebo)と、GABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+GABAp)とのグランザイム陽性細胞の割合の百分率の有意性のp値は0.022であった。図10Bの「**」、すなわち、プラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+placebo)と、プラセボペレットを処置した野生型マウス(WT+placebo)とのグランザイム陽性細胞の割合の百分率の有意性のp値は0.0012であった。
図9、図10Aおよび図10Bに示すとおり、プラセボペレットを処置した野生型マウス(WT+placebo)と比較してプラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+placebo)では、パーフォリンまたはグランザイム陽性、かつ、TCRb陽性の細胞傷害性腫瘍浸潤CD8陽性細胞が増加した。しかし、GABA徐放ペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+GABAp)では、プラセボペレットを処置したIgM欠失ホモノックアウトマウス(muMT-/-+placebo)と比較して、パーフォリンまたはグランザイム陽性、かつ、TCRb陽性の細胞傷害性腫瘍浸潤CD8陽性細胞は減少し、プラセボペレットを処置した野生型マウス(WT+placebo)と同程度まで減少した。すなわち、IgM欠失ホモノックアウトマウスによる細胞傷害性腫瘍浸潤CD8陽性細胞の増加をGABA徐放ペレットが阻害した。
(2.9)野生型マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼすGABAAレセプターの阻害薬の影響
図11は、野生型マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼすGABAAレセプターの阻害薬の影響を示す折れ線グラフである。縦軸はチアガビン(GAT(トランスポーター)阻害剤)投与動物(Tiagabin)、PBS投与動物(PBS)およびピクロトキシン投与動物(Picrotoxin)の腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。最終測定日に最も腫瘍体積の大きい曲線はチアガビン(GAT(トランスポーター)阻害剤)投与動物の腫瘍体積の経時的変化を表し、2番目に腫瘍体積の大きい曲線はPBS投与動物の腫瘍体積の経時的変化を表し、最も腫瘍体積の小さい曲線はピクロトキシン投与動物の腫瘍体積の経時的変化を示す。誤差棒は各測定日の腫瘍体積の標準偏差を表す。図11の「***」、すなわち、MC38細胞接種後23日に測定したPBS投与動物(PBS)とピクロトキシン投与動物(Picrotoxin)との腫瘍の体積の有意差のp値は0.0003であった。図11の「****」、すなわち、MC38細胞接種後25日および27日に測定したPBS投与動物(PBS)とピクロトキシン投与動物(Picrotoxin)との腫瘍の体積の有意差のp値は、いずれも、0.0001未満であった。図11に示すとおり、チアガビンは腫瘍体積の増加にほとんど影響がないのに比べて、ピクロトキシンは腫瘍体積の増加を有意に抑制した。
図11は、野生型マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼすGABAAレセプターの阻害薬の影響を示す折れ線グラフである。縦軸はチアガビン(GAT(トランスポーター)阻害剤)投与動物(Tiagabin)、PBS投与動物(PBS)およびピクロトキシン投与動物(Picrotoxin)の腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。最終測定日に最も腫瘍体積の大きい曲線はチアガビン(GAT(トランスポーター)阻害剤)投与動物の腫瘍体積の経時的変化を表し、2番目に腫瘍体積の大きい曲線はPBS投与動物の腫瘍体積の経時的変化を表し、最も腫瘍体積の小さい曲線はピクロトキシン投与動物の腫瘍体積の経時的変化を示す。誤差棒は各測定日の腫瘍体積の標準偏差を表す。図11の「***」、すなわち、MC38細胞接種後23日に測定したPBS投与動物(PBS)とピクロトキシン投与動物(Picrotoxin)との腫瘍の体積の有意差のp値は0.0003であった。図11の「****」、すなわち、MC38細胞接種後25日および27日に測定したPBS投与動物(PBS)とピクロトキシン投与動物(Picrotoxin)との腫瘍の体積の有意差のp値は、いずれも、0.0001未満であった。図11に示すとおり、チアガビンは腫瘍体積の増加にほとんど影響がないのに比べて、ピクロトキシンは腫瘍体積の増加を有意に抑制した。
(2.10)野生型マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼすGABAAレセプターの阻害薬の影響
図12は、野生型マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼすGABAAレセプターの阻害薬の影響を示す折れ線グラフである。縦軸はフルマゼニル(GABAAレセプター阻害剤)投与動物またはPBS投与動物の腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。最終測定日に最も腫瘍体積の小さい曲線はフルマゼニル投与動物(Flumazenil)の腫瘍体積の経時的変化を示し、最も腫瘍体積の大きい曲線はDMSO投与動物(DMSO)の腫瘍体積の経時的変化を示す。誤差棒は各測定日の腫瘍体積の標準偏差を表す。図12に示すとおり、フルマゼニルは腫瘍体積の増加を抑制した。図12の「**」、すなわち、最終測定日に測定したDMSO投与動物(DMSO)とフルマゼニル投与動物(Flumazenil)との腫瘍の体積の有意差のp値は、0.0092であった。
図12は、野生型マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍の成長に及ぼすGABAAレセプターの阻害薬の影響を示す折れ線グラフである。縦軸はフルマゼニル(GABAAレセプター阻害剤)投与動物またはPBS投与動物の腫瘍の体積(mm3)を表す。横軸は、腫瘍体積の測定日を表す。最終測定日に最も腫瘍体積の小さい曲線はフルマゼニル投与動物(Flumazenil)の腫瘍体積の経時的変化を示し、最も腫瘍体積の大きい曲線はDMSO投与動物(DMSO)の腫瘍体積の経時的変化を示す。誤差棒は各測定日の腫瘍体積の標準偏差を表す。図12に示すとおり、フルマゼニルは腫瘍体積の増加を抑制した。図12の「**」、すなわち、最終測定日に測定したDMSO投与動物(DMSO)とフルマゼニル投与動物(Flumazenil)との腫瘍の体積の有意差のp値は、0.0092であった。
(2.11)野生型マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍に浸潤するCD8陽性細胞の組成に対するピクロトキシンの影響
図13は、野生型マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍に浸潤するCD8陽性細胞の組成に対するピクロトキシンの影響を示す2パラメーターヒストグラムの組み合わせ図である。左はCD8の蛍光強度を横軸に、CD45-2の蛍光強度を縦軸に表す野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞の2パラメーターヒストグラムである。右下は、ピクロトキシン処理した野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞の2パラメーターヒストグラムである。右上は対照実験の野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞の2パラメーターヒストグラムである。右上および右下は、ともに、側方散乱光の強度を縦軸に、前方散乱光の強度を横軸に表す。ゲーティング範囲の近傍の数字は測定された細胞全てのうちゲーティング範囲内の細胞の百分率を表す。図13に示すとおり、ピクロトキシン処理した野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞は、対照実験の野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞に比べて、側方散乱光も前方散乱光も強い細胞の割合が多かった。これはピクトロトキシン処理したマウスの腫瘍に浸潤したCD8陽性細胞が対照実験のマウスの腫瘍に浸潤したCD8陽性細胞に比べて、細胞が大きくおよび細胞内部構造が複雑であることを示す。
図13は、野生型マウスに接種されたMC38細胞由来の腫瘍に浸潤するCD8陽性細胞の組成に対するピクロトキシンの影響を示す2パラメーターヒストグラムの組み合わせ図である。左はCD8の蛍光強度を横軸に、CD45-2の蛍光強度を縦軸に表す野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞の2パラメーターヒストグラムである。右下は、ピクロトキシン処理した野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞の2パラメーターヒストグラムである。右上は対照実験の野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞の2パラメーターヒストグラムである。右上および右下は、ともに、側方散乱光の強度を縦軸に、前方散乱光の強度を横軸に表す。ゲーティング範囲の近傍の数字は測定された細胞全てのうちゲーティング範囲内の細胞の百分率を表す。図13に示すとおり、ピクロトキシン処理した野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞は、対照実験の野生型マウスに接種したMC38細胞由来の腫瘍に浸潤した細胞に比べて、側方散乱光も前方散乱光も強い細胞の割合が多かった。これはピクトロトキシン処理したマウスの腫瘍に浸潤したCD8陽性細胞が対照実験のマウスの腫瘍に浸潤したCD8陽性細胞に比べて、細胞が大きくおよび細胞内部構造が複雑であることを示す。
図14は、図13の2パラメーターヒストグラムから算出したCD8陽性で、かつ、側方散乱光および前方散乱光の強度も高い腫瘍浸潤T細胞の百分率を示す棒グラフである。縦軸は、CD8陽性で、かつ、側方散乱光および前方散乱光の強度も高いT細胞の百分率を表す。左は対照実験のマウス(Ctr)の腫瘍浸潤細胞の百分率を、右はピクロトキシン処理マウス(Pic)の腫瘍浸潤細胞の百分率を表す。誤差棒は各細胞集団の細胞数の標準偏差を表す。図13及び14の結果から、図11に示されるピクトロトキシン処理による腫瘍体積増加の抑制は、腫瘍に浸潤したCD8陽性細胞の大型化及び細胞構造の複雑化と関連することを示唆する。
本発明の抗がん剤およびがんの治療方法は、B細胞による細胞傷害性T細胞抑制作用を阻害または低減するという全く新しい治療機序に基づくため、従来のすべての抗がん剤およびがんの治療方法と併用することができる。また、従来神経伝達物質として広範に研究されてきたGABAの阻害薬を用いるため、副作用のおそれが少ない点で優れている。
Claims (15)
- B細胞による細胞傷害性T細胞抑制作用を阻害または低減する、抗がん剤。
- 前記B細胞は抗原刺激により活性化されたB細胞である、請求項1に記載の抗がん剤。
- T細胞におけるガンマアミノ酪酸(GABA)を介するシグナル伝達の阻害薬を含む、請求項1または2に記載の抗がん剤。
- 前記T細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬は、ヒトT細胞で発現するGABAレセプターの発現および/または機能を抑制または低減する阻害薬である、請求項3に記載の抗がん剤。
- 前記T細胞で発現するGABAレセプターは、GABAAレセプター、および、GABA-ρレセプターのうちの少なくとも1つである、請求項4に記載の抗がん剤。
- 前記T細胞で発現するGABAレセプターは、ヒトT細胞で発現するサブユニットポリペプチドからなる、請求項4または5に記載の抗がん剤。
- 前記ヒトT細胞で発現するサブユニットポリペプチドは、ヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類である、請求項6に記載の抗がん剤。
- 前記T細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬は、前記ヒトT細胞で発現するヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類のサブユニットポリペプチドの発現を抑制または低減する、アンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸もしくはリボザイムまたはそれらの発現ベクターを含む、請求項7に記載の抗がん剤。
- 前記T細胞におけるGABAを介するシグナル伝達の阻害薬は、前記ヒトT細胞で発現するヒトα1、α5、β1、πおよびρ2からなる群から選択される少なくとも1種類のGABAレセプターのサブユニットポリペプチドと特異的に結合して、該GABAレセプターの機能を抑制または低減する、抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片からなる群から選択される少なくとも1種類を含む、請求項7に記載の抗がん剤。
- 前記GABAAレセプターの阻害薬が、フルマゼニル、Ro15-4513、サルマゼニル、シクトキシン、エナントトキシン、ペンチレンテトラゾール、ピクロトキシン、ツジョン、リンデン、ビククリン、ガバジンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される、少なくとも1種類である、請求項5に記載の抗がん剤。
- 前記GABA-ρレセプターの阻害薬が、(1,2,5,6-テトラヒドロピリジン-4-イル)メチル・ホスフィン酸(TPMPA)およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種類である、請求項5に記載の抗がん剤。
- B細胞におけるGABA生合成の阻害薬、B細胞におけるGABA分解の促進薬、B細胞におけるGABA分泌の阻害薬、および/または、遊離GABAの捕捉薬を含む、請求項1または2に記載の抗がん剤。
- 前記B細胞におけるGABA生合成の阻害薬は、グルタミン酸デカルボキシラーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ9ファミリーメンバーA1の発現および/または酵素活性の阻害剤であり、および/または、前記B細胞におけるGABA分解の促進薬は4-アミノ酪酸アミノ基転移酵素の発現および/または酵素活性の促進剤であり、および/または、前記遊離GABAの捕捉薬は、遊離GABAに特異的に結合するタンパク質、遊離GABAと特異的に結合する抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片からなる群から選択される少なくとも1種類である、請求項9に記載の抗がん剤。
- GABAと特異的に結合する抗体、特異的結合パートナーおよび/またはそれらの断片を含む、請求項1または2に記載の抗がん剤。
- B細胞に対する細胞傷害性を有する、抗体、特異的結合パートナーまたはそれらの断片、および/または、B細胞の除去剤を含む、請求項1または2に記載の抗がん剤。
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