JP2023091935A - ラクトコッカス属乳酸菌を含むストレス反応軽減剤 - Google Patents

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Hiroko Mochizuki
一夫 山田
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秀明 大池
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Abstract

【課題】 乳酸菌によってストレスを軽減する手段を提供する。【解決手段】 乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H-61株(NITE P-92)を含有することを特徴とするストレス反応軽減剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、ラクトコッカス属乳酸菌を含むストレス反応軽減剤、並びにこれを用いたストレス反応軽減用食品及び飼料に関する。本発明のストレス反応軽減剤は、加熱滅菌後の死菌体で効果を発揮するため加工・保存が容易であり、食品や飼料に添加することで手軽に摂取できる。
現代社会には様々なストレスが存在する。ストレスは免疫、消化器、循環器系などに影響を及ぼし、さらに、うつ病などの精神疾患を引き起こす原因となる。ストレスは人以外の哺乳動物でも問題となっている。家庭で飼われているペットは、飼い主との分離によってストレスを感じ、下痢や嘔吐、自傷行為に至ることがある。牛や馬などの家畜では、閉鎖的な空間での飼育により、十分な運動ができないことから生じるストレスを心配する声もある。
乳酸菌を主としたプロバイオティクスの投与により、心身に生じるストレス反応を軽減させる技術が複数報告されている。例えば、ラクトバチルス属ガセリ菌株投与によってストレス後の抑うつ症状を改善させる技術(ガセリOLL2809:特許文献1)、エスピー菌による消化器疾患の予防剤(エスピーKBL13、ST18:特許文献2)、R-1菌による自律神経機能の改善剤(OLL1073R-1:特許文献3)がある。
特開2020-196701号公報 特開2014-84号公報 特開2020-184906号公報
乳酸菌は現在、44属に分かれており、ストレス反応の軽減に使用される乳酸菌の多くは、ラクトバチルスに属する。特許文献1のガセリOLL2809、特許文献2のエスピー菌、特許文献3のR-1菌は全てラクトバチルス属である。乳酸菌の形態は桿菌(buciilus form; 細長い棒状又は円筒状の形、長径が3 μmから7 μmが一般的、中には長径が数十μmのものもある)、球菌(球形; coccus form、直径がおよそ0.5μmから1.5 μm)に大別され、ラクトバチルス属乳酸菌は桿菌である。乳酸桿菌と乳酸球菌では性質が大きく異なり、乳酸球菌の方が乳酸桿菌に比べて、概して、培養に必要な培地成分が少ない、増殖が早い、嫌気度が低くても培養可能な場合が多い、との利点を有している。また、経口摂取された乳酸菌が体内で機能性を発揮するには、腸管から速やかに取り込まれる必要がある。腸管における物質の取り込みには、例えば、免疫応答では、パイエル板を覆う腸管上皮細胞のうちのM細胞が大きな役割を果たしており、取り込まれる物質の大きさが取り込みやすさに影響を及ぼしている。これまでに、物質粒子の大きさが10μmを超えると、M細胞による貪食が大きく低下することが報告されている(Tabata Y、Ikada Y. Adv Polym Sci 94:107-141, 1990)。実際、乳酸菌の培養条件や加工工程を工夫して、乳酸菌菌体の大きさを1μm以下にし(ナノ型乳酸菌と呼ばれることもある)、腸管から取り込まれやすくすることで、未処理の菌体に比べて、免疫賦活作用を増加させた例が報告されている(国際公開第2009/157073号)。
また、従来のストレス反応軽減剤は、自らよりも大きな他個体から攻撃され、自らは逃げられないという動物にとって非常にシビアなストレス状況によって生じた抑うつ行動の改善に効果を示している(特許文献1)。しかし、このようなシビアなストレスは現代のペットや家畜などの動物にとって稀であり、ヒトの日常生活でもほとんど遭遇しない。これに対して、居住空間が狭い、又は他個体との接触が制限されるようなマイルドなストレスが長期的に続く方が、現代のペットや家畜の飼育環境にて生じうる問題である。ヒト社会においても、マイルドな慢性ストレスの軽減に対するニーズは高い。しかしながら、これまでの(球菌を用いた)プロバイオティクス投与による技術では、マイルド慢性ストレスへの効果が不明である。
以上より、既存のラクトバチルス属乳酸菌よりも培養が容易で、大きさが小さく、腸管から取り込まれやすい乳酸球菌の中からマイルドなストレスに対して軽減作用を有する乳酸菌が求められていた。本発明は、このような乳酸菌を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、乳酸球菌であるラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H-61株がマイルドなストレスに対する軽減作用を有することを見出した。ラクトコッカス属の乳酸菌に関しては、ラクトコッカスラティスクレモリスLL95株投与による抑うつ様行動の減少が報告されている(Ramalho et al., Nutrients 11:901, 2019)。しかし、同文献では健常な雌マウスでの抑うつ様行動減少を報告しており、ストレス後の反応の変化について言及しているものではない。また、本発明で用いているラクトコッカスラクティス H-61株では、老化に伴う骨密度低下(特開2006-256993号公報)や脱毛(特開2015-187171号公報)の抑制効果が報告されているが、ストレス反応を軽減する効果についての報告は存在しない。本発明は、以上の知見に基づき完成されたものである。
即ち、本発明は、以下の(1)~(6)を提供する。
(1)乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H-61株(NITE P-92)を含有することを特徴とするストレス反応軽減剤。
(2)乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H-61株(NITE P-92)が死菌体であることを特徴とする(1)に記載のストレス反応軽減剤。
(3)ストレスがマイルドなストレスであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のストレス反応軽減剤。
(4)ストレスがマイルドな慢性ストレスであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のストレス反応軽減剤。
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載のストレス反応軽減剤を含有することを特徴とするストレス反応軽減用食品。
(6)(1)乃至(4)のいずれかに記載のストレス反応軽減剤を含有することを特徴とするストレス反応軽減用飼料。
本発明は、新規なストレス反応軽減剤を提供する。本発明のストレス反応軽減剤は、死菌体粉末を使用することもできるので、安価かつ多様な場面で利用できる。また、ストレス反応軽減剤中に含まれる乳酸菌は、乳酸球菌であるラクトコッカス属に属することから、乳酸桿菌を利用する先行技術(特許文献1~3)に比べて腸管から取り込まれやすいという利点も有する。
実験に使用したラットの飼育環境を示す写真。 社会的相互作用テストを模式的に表した図。 社会的相互作用テストにおける社会的接近割合を示す図。 強制水泳テストにおける無動時間(秒)を示す図。 摂取開始から11週間の体重変化(g)を示す図。 血中のコルチコステロン量(ng/ml)を示す図。 オープンフィールドテストにおけるCenter time(秒)を示す図。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のストレス反応軽減剤は、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H-61株(以下、単に「H-61株」という場合がある。)を含有することを特徴とするものである。
H-61株は、下記の通り寄託されている。
1)寄託機関の名称及び住所
名称:独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
住所:日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8郵便番号292-0818
2)寄託日:2005年3月14日
3)受託番号:NITE P-92
H-61株は生菌を使用してもよく、死菌体を使用してもよいが、常温で保存可能で、取り扱いが容易な死菌体を使用することが好ましい。H-61株を生菌として使用する場合、H-61株の培養物をそのままストレス反応軽減剤として使用してもよいが、培養物について常法により濃縮、洗浄、精製、滅菌、pH調整、脱臭、脱色等の処理を行ったものを用いてもよい。H-61株の培養物は、例えば、TYG培地などを用いて、通性嫌気の条件下で1~2日間程度培養することにより得ることができる。また、培養物から遠心分離により菌体を集菌することができ、さらに生理食塩水や滅菌水などで1~2回洗浄して用いることもできる。H-61株を死菌体として使用する場合、上記培養物や菌体を加熱滅菌し、必要に応じて粉末化して用いることができる。
本発明のストレス反応軽減剤の製剤化には、製剤上許可されている賦型剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、懸濁剤、コーティング剤などを適宜混合してもよい。剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤などが可能である。投与方法は特に限定されないが、経口的に投与するのが好ましい。
本発明のストレス反応軽減剤の投与量は、ストレス反応軽減効果を発揮できる範囲内であれば特に限定されないが、例えば、ヒトに対して、菌体重量で0.5~10mg/kg/day、好ましくは、1~8mg/kg/day程度の投与が適当である。投与回数は特に限定されず、1日1回、又は数回に分けて投与することができる。
本発明のストレス反応軽減剤は、シビアなストレスに対しても、マイルドなストレスに対しても用いることができるが、マイルドなストレスに対して用いることが好ましい。ここで、「シビアなストレス」とは、自身の生存にかかわるような重大局面を体験した場合に受けるものであり、その具体例としては、特開2020-196701号公報の実施例1においてマウスに負荷される社会的敗北ストレスを経験した場合などが挙げられる。一方、「マイルドなストレス」とは、自身の生存には直結しないが、不快又は、十分に満たされない状態をいい、その具体例としては、本願の実施例に記載した狭小なケージ内での単独飼育によってもたらされるストレスが挙げられる。また、本発明のストレス反応軽減剤は、急性ストレスに対しても、慢性ストレスに対しても用いることができるが、慢性ストレスに対して用いることが好ましい。ここで、「急性ストレス」とは、短時間で一時的なストレスをいい、その具体例としては、本願の実施例に記載した強制水泳によってもたらされるストレスが挙げられる。一方、「慢性ストレス」とは、長時間に持続的なストレスをいい、その具体例としては、本願の実施例に記載した狭小なケージ内での数週間にわたる単独飼育によってもたらされるストレスが挙げられる。本発明のストレス反応軽減剤は、マイルドかつ慢性のストレス、即ち、マイルドな慢性ストレスに対して用いることが特に好ましい。
本発明のストレス反応軽減剤は、例えば、以下の用途に用いることができる。
1)実施例1に示すように、社会的相互作用テストにおいてH-61投与群は、統制群に比べて社会的接近割合が高い。このことから、本発明のストレス反応軽減剤は、ストレスによる社交性低下の軽減のために用いることができる。
2)実施例1に示すように、強制水泳テストにおいてH-61投与群は、統制群に比べて無動時間が短い。このことから、本発明のストレス反応軽減剤は、ストレスによる抑うつ症状の軽減のために用いることができる。
3)実施例1に示すように、H-61投与群は、統制群に比べて体重増加が大きい。このことから、本発明のストレス反応軽減剤は、ストレスによる食欲減退の軽減のために用いることができる。
4)実施例2に示すように、H-61投与群は、統制群に比べて急性ストレス後の血中のコルチコステロンが少ない。このことから、本発明のストレス反応軽減剤は、ストレスによる視床下部-下垂体-副腎系の働きの変容やそれによって生じるコルチコステロン分泌量の増大の軽減のために用いることができる。
本発明のストレス反応軽減剤は、男性(雄)、女性(雌)いずれに用いてもよいが、男性又は女性の一方に対してのみ用いてもよい。
本発明のストレス反応軽減を食品に配合し、この食品にストレス反応軽減作用を付与することもできる。食品の例としては、乳製品(例えば、チーズ、発酵乳、乳酸菌飲料、バター、粉乳など)、飲料(例えば、乳飲料、果汁飲料、清涼飲料など)、菓子類(例えば、ゼリー、キャンディー、バターケーキなど)、卵加工品(例えば、プリン、マヨネーズなど)を挙げることができる。
本発明のストレス反応軽減を飼料に配合し、この飼料にストレス反応軽減作用を付与することもできる。飼料を与える動物の種類は特に限定されず、例えば、ペット(イヌ、ネコ、ハムスター、ウサギなど)、家畜(牛、豚、馬、ヒツジ、ヤギ等)、家禽(鶏など)、養殖魚などを挙げることができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕 Wister-Imamichi系雄ラットを用いた実験
<方法>
7週齢のWister-Imamichi系雄ラット26匹を統制群(14匹)とH-61投与群(12匹)に分け、ワイヤーケージ内で単独飼育した(図1)。ワイヤーケージは狭小なため、被験体は体の向きを変えたり寝たりすることはできるが、自由に動き回ることができないマイルドなストレス環境であった。統制群は通常の固形餌を自由摂取し、H-61群は、通常の固形餌にH-61乳酸菌加熱滅菌粉末を0.05%含んだ飼料を自由摂取した。
摂取開始から10週間後に社会的相互作用テストを行った。同テストにおいて被験体は、2つの金網ケージが置かれた新奇場面に暴露された。一方の金網ケージには同系統の雄ラット(8週齢)が入っており、他方は空であった(図2)。一般的に齧歯類は他の個体に興味を示すため、空のケージに比べて他個体が入ったケージへの接近時間が長くなるが、ストレス等によって社会性が低下すると、他個体ケージへの接近時間は減少することが知られている。
摂取開始から11週間後には強制水泳テストを行った。同テストは、水深35cmの筒の中で被験体を5分間泳がせ、無動時間を測定する。無動時間が長いほど抑うつ傾向が高いことを示す。
<結果>
図3は社会的相互作用テストの結果である。0.5をベースラインとして、値が高いほど他個体が入ったケージへの接近時間が長かったことを示す。H-61投与群の社会的接近割合は0.5よりも有意に高く(P<0.05)、空ケージに比べて他個体ケージへの接近時間が長かった。一方、統制群はケージ間に有意差を認めなかった。
図4は強制水泳テストにおける無動時間を示す。H-61投与群は統制群に比べて有意に無動時間が短かった(P<0.01)。
図5は摂取開始から11週間の体重変化を示す。H-61投与群は統制群に比べて体重増加が大きい傾向を認めた(P<0.10)。
試験開始前、試験終了後の糞便の菌叢解析を次世代シーケンサーによる16SリボソームRNA遺伝子解析により行った。なお、糞便サンプルは個体別に糞便を採取し、群とサンプリング時期ごとに糞便を混ぜたものを用いた。菌叢組成比の比較を門レベルで行ったところ、H-61投与、統制群共に試験前後でActinobacteria門の大幅な減少が認められた。ストレス負荷によりActinobacteria門に属するビフィズス菌が減少することが知られており(Suzukiら、Jpn J Vet Sci 45:331-338、1983)、本結果は当発明に用いられたストレス負荷の試験系が機能したことを示唆している。試験終了後においては、H-61投与群で統制群に比べて、Firmicutes門の占有率が高かった。さらに両群の比較において組成比が変化している細菌を科レベル、属レベル及び種レベルで探索したところ、H-61投与群で増加が見られたのは科レベルではLactobacillaceae科、Ruminococcacea科、Eubacteriaceae科であり、属レベルではLactobacillus属、Subdoligranulum属、Limosilactobacillus属、Coprococcus属、Eubacterium属、種レベルではLactobacillus intestinalis、 Subdoligranulum variable、Limosilactobacillus reuteriであった。H-61投与群で減少が見られたのは、属レベルでLigilactobacillus属、種レベルでBlautia gluceraseaであった。このうち、Coprococcus属はうつ病患者で恒常的に少ないこと(Valles-Colomer ら、Nat Microbiol. 4:623-632、2019、)、また、L. reuteriの経口摂取により社会的敗北により誘導されたうつ様症状が減衰される(Xieら、J Psychiatr Res、122:70-78、2020)との報告があることから、このような腸内細菌叢の構成がH-61投与群のストレス応答に有益な効果をもたらした可能性がある。
〔実施例2〕 Wister-Imamichi系雌ラットを用いた実験
<方法>
7週齢のWister-Imamichi系雌ラット48匹を非ストレス群(24匹)とストレス群(24匹)に分け、さらに各群をコントロール食群とH-61投与群の全4群(各12匹)に分けた。同じ群の個体を3匹ずつランダムに選び、プラスチックケージで集団飼育した。ストレス群に割り当てられた個体は8週の間、マイルドなストレス環境で飼育された。具体的には、45度傾いたケージ、室内灯を24時間連続点灯、水で濡れた床敷きなどの状況を7日間のうち5日間体験した。非ストレス群は通常の飼育ケージ、明暗サイクル条件下で飼育された。コントロール食群は通常の固形餌を自由摂取し、H-61群は、通常の固形餌にH-61乳酸菌加熱滅菌粉末を0.05%含んだ飼料を自由摂取した。
全被験体に急性ストレス(5分間の強制水泳)を経験させた後、血中のコルチコステロン含量を測定した。コルチコステロンは、ストレスを感じた脳内視床下部-下垂体からの指令により副腎より分泌されるホルモンである。
8週間の慢性マイルドなストレス又は通常飼育を終えた後、全被験体にオープンフィールドテストを行った。同テストでは、90×90×45cmのフィールドに被験体を暴露した。オープンな環境を嫌う齧歯類は、フィールドの縁を探索したがるが、環境に慣れて不安が低下するとフィールド中央部を探索するようになる。本発明者は、中央領域35%を中央区画と定義し、同区画での滞在時間(Center time)を不安低減の指標として計測した。
<結果>
図6は血中のコルチコステロン量を示す。ストレス×コントロール食群のコルチコステロン量は高い値を示した(P<0.05)。マイルドなストレスへの長期暴露によってストレスに対する視床下部-下垂体-副腎系の働きが変容し、コルチコステロンの分泌量が増加した。一方で、ストレス×H-61投与群では視床下部-下垂体-副腎系の働きは非ストレス群と同程度に保たれていた。この結果から、H-61乳酸菌の投与は、視床下部-下垂体-副腎系の働きの変容を軽減させると考えられる。
図7はオープンフィールドテストにおけるCenter timeを示す。H-61投与群とコントロール食群については、H-61投与群はコントロール食群に比べて有意にCenter timeが長かった(P<0.01)。ストレス群と非ストレス群については、当初、マイルドなストレスへの長期暴露によってストレス群の不安様行動が増大すると予想していたが、実際には、そのようことは起きず、むしろ、ストレス群の不安様行動は減少し、Center timeはストレス群の方が非ストレス群よりも長かった(P<0.05)。この理由は、本実験で与えたストレスが微弱過ぎたことから、ラットの行動に現れるほどの影響を与えなかったためであると考えられる。但し、このような微弱ストレスであっても、図6に示すように、視床下部-下垂体-副腎系の働きを変容させ、ラットに対して確実に影響を与えている。H-61投与は、このような行動に影響を与えない程度の微弱なストレスに対しても、ストレス反応の軽減効果があると考えられる。
本発明は、医薬、食品、飼料に関連する産業において利用可能である。

Claims (6)

  1. 乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H-61株(NITE P-92)を含有することを特徴とするストレス反応軽減剤。
  2. 乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ クレモリス H-61株(NITE P-92)が死菌体であることを特徴とする請求項1に記載のストレス反応軽減剤。
  3. ストレスがマイルドなストレスであることを特徴とする請求項1又は2に記載のストレス反応軽減剤。
  4. ストレスがマイルドな慢性ストレスであることを特徴とする請求項1又は2に記載のストレス反応軽減剤。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のストレス反応軽減剤を含有することを特徴とするストレス反応軽減用食品。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のストレス反応軽減剤を含有することを特徴とするストレス反応軽減用飼料。
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