JP2023091736A - 基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の表面側への不要な処理がなされず、当該基板の裏面全体で有機物が除去されるように光照射を行う。【解決手段】基板の裏面に局所的に重なって保持する基板保持部と、前記基板の裏面の有機物を除去するために、当該裏面に光を照射する光照射部と、前記基板の表面への前記光の供給が防止されるように、前記基板の裏面側に当該裏面から離れて設けられる遮光部材と、前記基板の裏面全体に光を照射するために、当該基板の裏面における前記基板保持部による保持位置を変更する保持位置変更機構と、を備えるように装置を構成する。【選択図】図1
Description
本開示は、基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体に関する。
半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)について基板処理装置の裏面に、紫外線などの光の照射を行う場合が有る。特許文献1には、ウエハの裏面に、当該ウエハを載置する露光用のステージに対する摩擦を低減させるための摩擦低減膜を形成した後、紫外線を照射することで当該摩擦低減膜を除去することについて記載されている。
本開示は、基板の表面側への不要な処理がなされず、当該基板の裏面全体で有機物が除去されるように光照射を行うことができる技術を提供する。
本開示の基板処理装置は、基板の裏面に局所的に重なって保持する基板保持部と、
前記基板の裏面の有機物を除去するために、当該裏面に光を照射する光照射部と、
前記基板の表面への前記光の供給が防止されるように、前記基板の裏面側に当該裏面から離れて設けられる遮光部材と、
前記基板の裏面全体に光を照射するために、当該基板の裏面における前記基板保持部による保持位置を変更する保持位置変更機構と、
を備える。
前記基板の裏面の有機物を除去するために、当該裏面に光を照射する光照射部と、
前記基板の表面への前記光の供給が防止されるように、前記基板の裏面側に当該裏面から離れて設けられる遮光部材と、
前記基板の裏面全体に光を照射するために、当該基板の裏面における前記基板保持部による保持位置を変更する保持位置変更機構と、
を備える。
本開示は、基板の表面側への不要な処理がなされず、当該基板の裏面全体で有機物が除去されるように光照射を行うことができる
〔第1実施形態〕
本開示の基板処理装置の第1実施形態に係る基板処理装置1について、概略を説明する。基板処理装置1は大気雰囲気に設けられており、表面にレジスト膜が形成された円形の基板であるウエハWが、基板搬送機構110によって、当該基板処理装置1に搬送される。レジスト膜については露光及び現像済みであり、所定のパターンが形成されている。また、このウエハWの裏面全体に有機膜Mが形成されている。有機膜Mは有機物、例えばHMDS(ヘキサメチルジシラザン)によって構成されており、ウエハWが上記の露光を行うための露光用ステージに吸着される際に、当該露光用ステージに対する摩擦を低減させて当該ウエハWに加わる応力を緩和するために、当該露光前に形成されたものである。この基板処理装置1は、ウエハWの裏面全体に光を照射することにより、上記の有機膜Mを除去する。当該光は、波長が10nm~200nmである紫外線(即ち、真空紫外線)を含んでおり、さらに具体的に述べるとピーク波長が例えば172nmである紫外線を照射する。
本開示の基板処理装置の第1実施形態に係る基板処理装置1について、概略を説明する。基板処理装置1は大気雰囲気に設けられており、表面にレジスト膜が形成された円形の基板であるウエハWが、基板搬送機構110によって、当該基板処理装置1に搬送される。レジスト膜については露光及び現像済みであり、所定のパターンが形成されている。また、このウエハWの裏面全体に有機膜Mが形成されている。有機膜Mは有機物、例えばHMDS(ヘキサメチルジシラザン)によって構成されており、ウエハWが上記の露光を行うための露光用ステージに吸着される際に、当該露光用ステージに対する摩擦を低減させて当該ウエハWに加わる応力を緩和するために、当該露光前に形成されたものである。この基板処理装置1は、ウエハWの裏面全体に光を照射することにより、上記の有機膜Mを除去する。当該光は、波長が10nm~200nmである紫外線(即ち、真空紫外線)を含んでおり、さらに具体的に述べるとピーク波長が例えば172nmである紫外線を照射する。
また、上記の光により大気中の酸素が活性化され、ウエハWの裏面側にはO3(オゾン)ガスが発生する。有機膜Mは光エネルギーを受けることの他に、このO3ガスの化学的作用によっても分解されて、ウエハWから除去される。ウエハWの表面側に形成されている各膜がダメージを受けたり除去されたりすることが防止されるように、基板処理装置1は、照射光及びO3ガスについて、ウエハWの表面側への回り込みが防止されるように構成されている。
また、基板処理装置1はウエハWの裏面全体に光照射を行うために、当該裏面を保持する部材による保持位置を変更する。そして、この位置変更前、当該位置変更後の各々で光照射が行われるように構成されている。なお、ウエハWの裏面側の周縁部には、当該ウエハWの周端に向うにつれて表面側へと向う傾斜面が含まれるが、ウエハWの裏面にはこの傾斜面も含まれる。またウエハWの表面側の周縁部には、ウエハWの周端に向うにつれて裏面側へと向う傾斜面が含まれる。後の評価試験の説明等において、これらの傾斜面について裏面側傾斜面、表面側傾斜面として記載する。また、後述する図のうちいくつかでは、ウエハWの周縁に形成された切り欠きであるノッチをNとして示している。
以下、図1の縦断側面図、図2の横断平面図を参照して、基板処理装置1の各部の構成について詳しく述べる。基板処理装置1は、方形で横長の筐体11を備えている。平面視で短手方向をなす筐体11の側面にはウエハWの搬送口12が開口しており、当該搬送口12を介して、筐体11の内外で搬送機構101(図1、図2での表示は省略している)によりウエハWが搬送される。この搬送口12は昇降可能なシャッタ13により、筐体11内に対してウエハWを搬入出するときを除いて閉じられる。
以降は筐体11内の各部を説明するにあたり、搬送口12が開口する側を手前側、反対側を奥側とする。また、平面視での筐体11の長手方向、短手方向を夫々X方向、Y方向として記載する。従って、X方向及びY方向は各々水平方向である。そして、搬送口12の開口方向はX方向である。
筐体11内は仕切り板14により、上部空間15と下部空間16とに仕切られており、搬送口12は上部空間15に開口する。図3の斜視図は、上部空間15に設けられるスピンチャック21、光照射ユニット3及びウエハ保持ユニット5を示しており、この図3も適宜参照して説明を続ける。
光照射ユニット3は上方へと光を照射するためのユニットである。ウエハ保持ユニット5はウエハWの裏面に光を照射するために、当該裏面を局所的に保持して光照射ユニット3の上方を通過させるためのユニットである。スピンチャック21は、搬送機構101とウエハ保持ユニット5との間でのウエハWの受け渡しを仲介し、且つウエハ保持ユニット5がウエハWの裏面の異なる位置を保持できるように向きを変更する役割を有する。
スピンチャック21についてさらに述べると、当該スピンチャック21は円形であり、上部空間15の手前側に設けられている。スピンチャック21の上面については、水平なウエハWの載置面として構成されると共に図示しない吸引口が開口しており、ウエハWの裏面の中心部を吸着することで、当該ウエハWを水平に保持する。そのようにウエハWが載置されるステージをなすスピンチャック21の下部側は、回転機構22に接続されている。回転機構22の下部側は下部空間16に進入し、下方から支持台23により支持されている。図1中24は、スピンチャック21に上流側が接続される配管である。この配管24はバルブV1を介して排気源20に接続されており、バルブV1の開閉により、スピンチャック21の吸引と吸引停止とが切り替えられる。排気源20は例えば基板処理装置1が設けられる工場の排気路であり、大気圧に対して負圧となっている。
相対回転機構をなす回転機構22により、スピンチャック21は鉛直軸周りに、その中心軸を回転軸として回転する。なお、搬送機構101及び後述するウエハ保持ユニット5は、ウエハWの中心がスピンチャック21の中心軸上に位置するように、当該ウエハWをスピンチャック21に載置する。従って、スピンチャック21によってウエハWはその中心を回転中心として回転し、当該ウエハWの向きが変更される。スピンチャック21、回転機構22及び後述の移動機構51は、ウエハWの裏面を保持する位置を変更する保持位置変更機構である。
上部空間15の奥側には、角型のブロック状に構成された光照射ユニット3が設けられている。この光照射ユニット3の内部には紫外線ランプ31が配置されている。光照射ユニット3の上面は水平面として形成されており、その上面の一部がY方向に長尺な矩形状の窓部32として構成されている。窓部32は、紫外線ランプ31の上方に位置する。紫外線ランプ31から照射される光は窓部32を透過して光照射ユニット3の上方へ向かう。このように窓部32から照射される光は、既述した波長の光である。紫外線ランプ31及び窓部32は、光照射部をなす。
後に詳しく述べるように、ウエハ保持ユニット5によってウエハWをX方向へ移動させつつ光照射を行うにあたり、ウエハWのY方向に沿った直径領域に光が照射されるように処理が行われる。そのため窓部32のY方向の長さは、ウエハWの直径と同じか直径よりも大きい。そして、スピンチャック21の中心と、窓部32のY方向の中心とは、X方向に並んでいる。
また、光照射ユニット3の上面はスピンチャック21の上面よりも若干高い。これはウエハ保持ユニット5が上昇してスピンチャック21からウエハWを受け取った後、X方向に移動して上記の光照射が行われるが、そのX方向の移動の際にウエハ保持ユニット5の高さを変更しなくても窓部32とウエハWの裏面とを近接させ、十分な光エネルギーをウエハWに与えるためである。つまり、ウエハWの受け取り後のウエハ保持ユニット5の高さ調整を不要として、スループットの向上が図られている。
光照射ユニット3の上面において、窓部32の手前側にはY方向に伸びるスリット状のガス吐出口33が形成されている。当該Y方向について見ると、ガス吐出口33の長さは窓部32の長さよりも大きく、ガス吐出口33の一端及び他端は、窓部32の一端及び他端よりも筐体11の側壁寄りに位置する。このガス吐出口33は、奥側に向けて斜め上方に開口するように形成されている。
光照射ユニット3には配管34の下流側が接続され(図1参照)、配管34の上流側は流量調整部35を介してN2(窒素)ガスの供給源36に接続されている。流量調整部35は、例えばバルブやマスフローコントローラを含み、配管34への下流側へ供給されるN2ガスの流量を調整する。この流量の調整には流量を0にすること、即ち供給を停止することも含まれる。なお、以降に述べる流量調整部35以外の流量調整部についても、流量調整部35と同様に構成され、配管の下流側へ供給されるガスの流量を調整するものとする。
配管34に供給されたN2ガスは、上記のガス吐出口33から吐出される。ガス吐出口33と窓部32とが既述した位置関係であることにより、窓部32上のY方向の一端から他端に亘ってN2ガスの気流が形成されて、大気を筐体11の奥側へとパージする。このN2ガスは、ウエハWへの光照射時にはウエハWの裏面と窓部32との間を側方へ向けて流れることになる。それによって、光照射時におけるウエハWの裏面側での酸素濃度を低減させる。このようにパージガスであるN2ガスを供給する光照射ユニット3におけるガス吐出口33は、第2のパージガス吐出部をなす。
光照射ユニット3の奥側の上縁から筐体11の奥側の側壁へ向かって伸びるように水平な板37が設けられる。そして当該筐体11の奥側の側壁には、この板37の上方の空間に臨むように排気口41が開口している。ところで筐体11の奥側の側壁には、上方から下方に向けて排気流路形成部42、43、44が、筐体11の外側から取り付けられている。排気流路形成部42~44は、排気源20に接続される流路を各々備える。そして、上記の排気口41は、排気流路形成部42に設けられる流路に接続されている。そのため、上記した光照射ユニット3のガス吐出口33から吐出されたN2ガスは、板37にガイドされて上部空間15を奥側へ流れ、排気口41から排気される。
下部空間16のY方向の中央部から奥側に亘る領域に点灯電源45が設けられている。光照射ユニット3から既述の光照射が行われるように、点灯電源45からケーブル46を介して紫外線ランプ31に電力が供給される。点灯電源45による紫外線ランプ31に対する電力の供給、供給停止は切り替え自在であり、不要時に紫外線ランプ31からの光照射は停止する。点灯電源45の奥側には、当該点灯電源45を冷却するためのファン49が設けられている。上記の排気流路形成部43は、ファン49と同じ高さに設けられ、ファン49によって発生する気流は、筐体11の奥側の側壁の開口を介して排気流路形成部43の流路へと流れる。
また、筐体11の奥側の側壁には排気口47が開口しており、排気流路形成部44の流路に接続されている。そのため、後述するウエハ保持ユニット5のうち下部空間16に設けられる各部から発生したパーティクルは、その排気口47に向かう排気流に乗って除去される。なお、仕切り板14には上部空間15と下部空間16とを連通させるスリット17が開口しており、当該スリット17を介することで上部空間15も排気口47により排気される。
続いて、ウエハ保持ユニット5について説明する。ウエハ保持ユニット5は、下部空間16に設けられる移動機構51と、上部空間15に設けられるウエハ搬送部6と、を備えており、移動機構51によってウエハ搬送部6はX方向における移動と、昇降とが可能であるように構成されている。
移動機構51は、スライダ53、昇降機構54及び水平移動機構55を備えている。水平移動機構55は、下部空間16を手前側から奥側に向けてX方向に伸びる細長の機構であり、点灯電源45よりもX方向の端部寄りの領域に配置されている。水平移動機構55は、Y方向に各々伸びると共に各々スライダ53に接続されるボールネジ及びガイドレールと、例えばこれらボールネジ及びガイドレールに対して奥側に配置されるモータと、を備えている。当該モータによる当該ボールネジの回転によって、スライダ53は、ガイドレールに沿ってX方向に移動する。
なお、例えばウエハ保持ユニット5に接続されるケーブルや、ウエハ保持ユニット5に接続される後述の各配管を束ねて保護する保護部材が、スライダ53と筐体11内の底部とに各々接するように設けられる。そして、その保護部材によりスライダ53の移動に合わせたケーブル及び配管の屈曲がガイドされるが、当該保護部材やケーブルの図示は省略している。そして各配管については図1中に、図示の便宜上、まとめずに分散させて示している。
スライダ53上には昇降機構54が設けられている。この昇降機構54は、モータ57と支持部58とからなる。支持部58については鉛直軸に沿って各々伸びるボールネジ及びガイドレールを含む。モータ57及び支持部58は相対昇降機構に相当する。そして、仕切り板14において筐体11内の手前側をY方向に伸長するように開口するスリット17を介して、上部空間15へ突出しており、当該上部空間15にてウエハ搬送部6が接続されている。
ウエハ搬送部6について、図4の縦断側面図及び図5の斜視図も参照して説明する。ウエハ搬送部6は、移動板61と保持リング63とを備えている。移動板61は、平面視で正方形状に形成された水平な板であり、当該移動板61にはその正方形の一辺の長さよりも若干小さい直径を有する円形の開口部62が形成されている。上記した移動機構51の支持部58をなすボールネジ及びガイドレールは、移動板61における開口部62の外側領域に接続されている。そして、モータ57により当該ボールネジが回転することにより、ガイドレールに沿ってウエハ搬送部6が鉛直方向に昇降する。
当該移動板61の開口部62の内周縁に保持リング63が支持されている。当該保持リング63は、開口部62の内周縁に沿って形成された、移動板61よりも肉厚の円環部材である。この保持リング63に囲まれる円形領域64は、ウエハWを収容して保持する保持領域をなす。その円形領域64の中心にウエハWの中心が位置するように、保持リング63に設けられる後述のウエハ保持部71によって、当該ウエハWの裏面が保持される。保持リング63はウエハWを囲むことでウエハWの側方の位置を規制し、ウエハ搬送部6からのウエハWの脱離及び落下を防止する規制部をなす。なお、そのように保持リング63はウエハWを囲む囲み部をなすため、保持リング63の内径(=円形領域64の径)は、ウエハWの径よりも若干大きい。
平面視での円形領域64の中心(=ウエハWの中心)のY方向における位置は、スピンチャック21の中心のY方向における位置と揃っている。そしてウエハ搬送部6は上記のように移動機構51に接続されることで、円形領域64の中心がスピンチャック21の中心に重なる位置(受け渡し位置とする)と、円形領域64の中心が上記の窓部32よりも奥側となる位置との間でX方向に移動可能である。なお図1、図2は、ウエハ搬送部6が、受け渡し位置に位置した状態を示している。
保持リング63の内周面65は鉛直方向に沿って形成され、円形領域64に保持されるウエハWの側面と対向する。そして、保持リング63の内周面65の下端部において、当該保持リング63の周方向に互いに離れた4つの領域から円形領域64の中心側に向かうように、遮光板66が伸長している。従って、遮光板66はウエハWの周に沿って形成されると共に、周方向に間隔を空けて4つ設けられている。
この遮光板66は例えば水平板として形成され、既述したウエハWの表面側への光及びO3ガスの回り込みを防ぐための部材であり、従って、円形領域64に保持されるウエハWの裏面よりも低い高さに位置する。ウエハWの周方向の各部で上記の回り込み防止の作用が得られるように、遮光板66の内周縁(先端)は当該ウエハWの周端に沿って形成されているため、各遮光板66は平面視で円弧状に形成されている。なお、その周方向において各遮光板66は互いに近接しており、4つまとめて見ると、概ね円環をなす。本例では、遮光板66の内周縁は、ウエハWの周端よりも円形領域64の中心寄りに位置している。つまり平面視で遮光板66の先端部と、ウエハWの周端部とは重なっている。
保持リング63の下端のうちで遮光板66が設けられていない各領域から、円形領域64の中心側に向けてウエハ保持部71が突出して設けられている。従って、ウエハ保持部71は保持リング63に4つ、周方向に間隔を空けて設けられている。各ウエハ保持部71は、例えば水平な板状に形成されている。後述するように保持リング63をX方向に沿って移動させつつウエハWの裏面に光照射を行う。そのように処理を行うにあたっての移動中、窓部32上方の光の照射領域及び当該照射領域の近傍にウエハ保持部71(即ち、保持リング63のうち遮光板66が設けられない部位)が位置しないように、各ウエハ保持部71が配置されている。具体的には、手前側の2つのウエハ保持部71を一つの組、奥側の2つのウエハ保持部71を他の組とすると、同じ組をなす2つのウエハ保持部71は、X方向に並んで設けられると共に保持リング63の周方向における互いの距離が比較的短い。そして異なる組のウエハ保持部71間の当該周方向における距離は、比較的長い。
各ウエハ保持部(基板保持部)71は、平面視で先端側が基端側よりも狭幅となるように形成されている。また、ウエハ保持部71の先端部は、遮光板66の先端部よりも円形領域64の中心寄りに位置し、その上部側は円形のパッド72として構成されている。吸着部であるこのパッド72の上面はウエハWの裏面の周縁部が載置される水平な載置面をなし、吸引口73が開口している。当該吸引口73は、ウエハ保持部71及び保持リング63に設けられる図示しない排気路を介し、さらに配管74を介して排気源20に接続されている。配管74に介設されるバルブV2の開閉により、吸引口73からの排気と、排気の停止とが切り替えられる。例えば、ウエハWがパッド72上に載置されている間はバルブV2が開かれ、ウエハWの裏面がパッド72に吸引、吸着されることで水平に保持される。ウエハWがパッド72上に載置されていない間はバルブV2が閉じられる。このようにウエハ保持部71は、ウエハWの裏面に局所的に重なり、保持を行う。
なお、上記したようにウエハ搬送部6は、移動機構51に接続されることで上部空間15を昇降可能である。より詳しくは、X方向の移動によるウエハWへの光照射、及びスピンチャック21に対するウエハWの受け渡しが行えるように、ウエハ保持部71がスピンチャック21よりも下方となる下方高さと、ウエハ保持部71が光照射ユニット3の窓部32よりも上方となる上方高さとの間で移動可能である。図1では、ウエハ搬送部6が上方高さに位置した状態を示している。
ところで図6の縦断側面図に示すように、パッド72上に保持されるウエハWの表面への光の回り込み(回折)を防止しつつ、当該ウエハWの裏面の周端部への光照射が妨げられないように、遮光板66はウエハWの裏面から下方に離れて配置される。その上で、遮光板66の上面とウエハWの裏面との高さ距離H1、ウエハWの周端と遮光板66の先端(内周縁)との横方向における距離(側方距離)L1の各々について適切な値に設定される。言い換えれば、それらの各距離H1、L1の設定により、光についてウエハWの表面側への回り込みが防止されるようにする。また当該H1、L1の設定により、ウエハWと、遮光板66及び保持リング63の内周面65との間に形成される隙間69について、ウエハWの裏面側から表面側へのO3ガスの回り込みが防止される適切な圧力損失が得られるように、比較的小さいものとする。これらの高さ距離H1及び側方距離L1の好ましい範囲については、後の評価試験の項目でも述べるが、本例では高さ距離H1が2.95mm、側方距離L1が1.0mmに夫々設定されているものとする。なお側方距離L1について、より詳しく定義すると、ウエハWの周端を基準として見たときの遮光板66の内周縁の円形領域64の中心側へ向う距離である。その評価試験でも述べるが、この側方距離L1については負の値となるようにしてもよい。
上記したO3ガスの回り込みをより確実に防止するために、保持リング63は、上記した隙間69に向けてパージガスとしてN2ガスを吐出する第1のパージガス吐出部として構成されている。保持リング63の構成をさらに詳しく述べると、当該保持リング63は、当該保持リング63の下部側、上部側を夫々構成する下側リング81と、上側リング82とにより構成されており、上側リング82は下側リング81を上側から被覆している。従って、上記した保持リング63の内周面65は、下側リング81及び上側リング82の各々の内周面により構成されている。上記の遮光板66は当該下側リング81に設けられている。下側リング81の上面について、リングの外周縁側は水平面をなし、リングの内周縁側はその水平面からリングの内端に向かうにつれて下る傾斜面をなす。
上側リング82の外周縁は、下側リング81の外側に突出し、上記の移動板61の開口縁上に支持される。上側リング82の内部には、当該上側リング82の周方向に沿った円環状流路83が形成されている。この円環状流路83には、流量調整部84が介設された配管85を介して、N2ガスの供給源36に接続されている。そして円環状流路83の内周縁側において、周方向に互いに離れた多数の部位が当該内周縁側に引き出された後、下方に向けて屈曲され、各々流路86として形成されている。上側リング82の下面について、リングの周縁側は水平面をなし、リングの内縁側は当該水平面からリングの内縁に向かうにつれて下る傾斜面をなす。上記した流路86の下流端は、この傾斜面に開口する。
既述した下側リング81の水平面と上側リング82の水平面とは互いに接合されている。そして、下側リング81の傾斜面と、上側リング82の傾斜面とは互いに間隔を空けて対向し、内周面65の全周に亘って開口する円環状のスリットであるガス吐出口87が形成される。従って、ガス吐出口87は、保持リング63の周縁側から内周へ向かうにつれて下降するように斜め方向に向けて形成されており、第1のパージガス吐出口をなす。また、ガス吐出口87は、ウエハ保持部71に保持されるウエハWよりも上方に開口する。即ち、既述したウエハWがなす隙間69の上方に開口する。そして、その開口方向は当該隙間69に向かう。以上のような構成により、ガス吐出口87全体からN2ガスが吐出され、隙間69が上側からパージされる。図4、図5中で夫々点線の矢印、実線の矢印によって、このパージガスであるN2ガスの流れを示している。
上記したように隙間69は、ウエハWと遮光板66及び保持リング63の内周面65との間に形成される隙間であり、内周面65及び遮光板66の上面が各々ウエハWから離れることで、縦断面視L字型に形成されている。なお、ウエハWと、ウエハ保持部71の上面及び内周面65との間にも同様に、縦断面視L字型の隙間が形成されており、保持リング63の周方向において隙間69に接続されている。パージガスはガス吐出口87の周全体から吐出されるので、そのウエハ保持部71がなすL字型の隙間にも供給される。
基板処理装置1は、制御部10を備えている(図1参照)。この制御部10は例えばコンピュータからなり、プログラムが格納されている。このプログラムには、基板処理装置1における一連の動作を実施することができるようにステップ群が組み込まれている。そして、当該プログラムによって制御部10は基板処理装置1の各部に制御信号を出力し、当該各部の動作が制御される。具体的に移動機構51によるウエハ搬送部6の水平移動及び昇降、回転機構22によるスピンチャック21の回転、各流量調整部によるN2ガスの流量調整、点灯電源45による紫外線ランプ31への電力の給断などの各動作が制御される。上記のプログラムは、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、DVDなどの記憶媒体に格納されて、制御部10にインストールされる。
続いて、基板処理装置1によるウエハWの処理工程について、図7~図18を参照して説明する。この図7~図18の工程図では、左側に側面図を、右側に平面図を夫々示しており、同じ図中の側面図と平面図とは同じタイミングにおける装置の状態を表している。なお、光照射ユニット3から光照射が行われているときは、側面図中における当該光照射ユニット3の窓部32について、多数のドットを付して示している。またウエハWが、ウエハ搬送部6のウエハ保持部71及びスピンチャック21を共に覆うように重なるとき、平面図中でウエハWを保持している方のみを点線で表し、保持していない方は非表示としている。また、光照射ユニット3及びウエハ搬送部6の各々から吐出されるパージガス(N2ガス)を矢印で示している。
また図7~図18の他に、ウエハWの裏面と、光照射ユニット3における窓部32との位置関係を示す平面図である図19~図22も適宜参照する。窓部32の上方に光が照射されるので、これらの図は光の照射領域を示していることになる。そして、図19~図22ではウエハWの裏面における光照射がなされた領域(即ち、有機膜Mが除去された領域)について、斜線を付して示している。上記したように裏面全体への光照射は2回に分けて行われる。一部の領域については繰り返し光照射が行われるが、当該領域については斜線を交差させて網目模様とすることで示している。
図7は筐体11内にウエハWを搬入する前の状態である。このときウエハ搬送部6は受け渡し位置における下方高さに位置しており、当該ウエハ搬送部6のウエハ保持部71からの吸引は行われていない。そして、光照射ユニット3については、光照射が行われていない。スピンチャック21については吸引が行われ、ウエハWを吸着可能な状態となっている。その状態からウエハWを支持した基板搬送機構110が搬送口12を介して筐体11内の上部空間15に進入し、下降することでウエハWがスピンチャック21に吸着保持される。ウエハWのノッチNはX方向を向いている(図8)。
続いて、基板搬送機構110が筐体11内から退避すると(図9)、ウエハ搬送部6が上昇し、スピンチャック21からの吸引が停止すると共にウエハ保持部71からの吸引が開始される(ステップS1)。ウエハWがスピンチャック21からウエハ保持部71に受け取られて吸着保持され、ウエハ搬送部6が上方高さに位置する。その一方で、ウエハ搬送部6の保持リング63におけるガス吐出口87から、パージガスの吐出が開始される。また、光照射ユニット3のガス吐出口33からもパージガスの吐出が開始される(ステップS2、図10)。
その後、ウエハ搬送部6が奥側へ向けて移動した後、静止する(ステップS3、図11、図19)。この静止位置は、窓部32が、ウエハWの中心よりも手前側で、且つ4つのウエハ保持部71のうちの手前側の2つよりも奥側となる位置であり、以降、光照射開始位置とする。そして光照射ユニット3による光照射が開始され、ウエハWの裏面のうち窓部32に重なる領域の有機膜Mが除去される(ステップS4、図12)。そして、光照射が続けられたままウエハ搬送部6が手前側へ向けて移動することで、ウエハWの裏面において有機膜Mが除去される範囲が広がる。
このようにウエハWの裏面に光が照射されて処理される間、ウエハ搬送部6においてウエハWの周端に沿うように内周端が設けられる遮光板66によって、照射光の一部は遮られてウエハWに照射されないことで、当該光のウエハWの表面側への回り込みが防止される。そして、窓部32上においてはガス吐出口33からのパージガスによってパージがなされることで、酸素濃度が比較的低いため、O3ガスの発生が抑えられる。
そのようにウエハWの裏面側で比較的少量発生しているO3ガスが、有機膜Mに供給されると当該有機膜Mを分解する。つまり、照射光及びO3ガスの各々の作用で、有機膜Mの除去が進行する。遮光板66及び保持リング63はウエハWに近接し、ウエハWの周囲の隙間69としては比較的小さいため、この裏面側に発生しているO3ガスについての隙間69を介してのウエハWの表面側への回り込みは抑制される。また、ウエハ搬送部6よりウエハWの外周側から下方へ向けて吐出されるパージガスが隙間69の上部側に進入し、当該隙間69の下部側(ウエハWの裏面と遮光板66との間)から、ウエハWの中心側に向かうように流れる。それ故に、図4中に鎖線の矢印で示しているように、この隙間69の下部側にO3ガスが向かったとしても、当該O3ガスはこのパージガスに押し流されることで、当該隙間69の下部側に進入することが防止されるので、ウエハWの表面側への供給がより確実に防止される。
そして、ウエハ搬送部6の移動が続けられ、所定の位置(光照射停止位置とする)に移動すると(図13、図20)、光照射が停止すると共に保持リング63のガス吐出口87及び光照射ユニット3のガス吐出口33からのパージガスの吐出が停止する(ステップS5、図14)。この光照射停止位置は、窓部32がウエハWの中心よりも奥側で、且つ4つのウエハ保持部71のうちの奥側の2つよりも手前側となる位置である。従って、図20に示すようにこの時点で、ウエハWの裏面におけるY方向に沿って伸びると共に直径を通過する太帯状の領域について光照射済みで、当該領域において有機膜Mが除去されている。その一方で、ウエハWの裏面の手前側及び奥側の端部に有機膜Mが残留している。
光照射停止後もウエハ搬送部6は手前側への移動を続け、受け渡し位置に戻る(ステップS6、図15)。そして保持リング63が下降し、スピンチャック21からの吸引が行われると共に、ウエハ保持部71からの吸引が停止し、スピンチャック21にウエハWが吸着保持され、保持リング63は下方高さに位置する(ステップS7)。その後、スピンチャック21が回転し、ウエハWの向きが90°変更される(ステップS8、図16)。従って、ウエハWのノッチNはY方向に向けられる。
以降、上記したステップS1~S8が再度行われる。この2回目のステップS1~S8のうちのS1について述べると、ウエハWの向きが変更されたことで、ウエハ保持部71はウエハWの裏面のうち1回目のステップS1で重なった位置(第1位置)とは異なる位置(第2位置)に重なってウエハWを保持する。2回目のステップS4、S5について述べると、1回目のステップS4、S5と同様にウエハ搬送部6が光照射開始位置に位置すると(図21)、光照射が開始される(図17)。その後、ウエハ搬送部6が、光照射停止位置に移動するまでの間、光照射が行われる。1回目のステップS8でウエハWの向きが変更されていることにより、図21に示すようにこの2回目のステップS4、S5では、1回目のステップS4、S5で光照射された太帯状領域とは直交するようにウエハWの直径に沿って伸びる太帯状領域が光照射され、1回目のステップS1~S8で残留していた有機膜Mが除去される。それによって、ウエハWの裏面全体から有機膜Mが除去される(図18、図22)。
また、2回目のステップS8では1回目のステップS8と同様、スピンチャック21によりウエハWの向きが90°変更されるが、1回目のステップS8とは反対方向にスピンチャック21が回転することで、この向きの変更がなされる。つまり、ウエハWの向きは筐体11内へのウエハWの搬入時と同じ向きとされ、後工程での処理に支障が無いようにされる。2回目のステップS8の後は、筐体11へのウエハWの搬入時とは逆の動作で基板搬送機構110がウエハWを受け取り、当該ウエハWを筐体11外へ搬出する。
以上に述べたように、基板処理装置1によればウエハWの表面側への回り込みによる光の供給、及び表面側へのO3ガスの供給が抑制される。従って、ウエハWの表面に形成されるレジスト膜及びその他の各膜について、ダメージを受けたり除去されたりすることが防止される。
遮光板66について、既述した例では保持リング63の概ね全周に設けられている。ただし、ウエハ搬送部6のX方向の移動中、ウエハWの裏面のうち限られた範囲のみが光照射される。従って、遮光板66についてそのように全周に設けられることに限られない。例えば4つの遮光板66のうち、手前側の2つのウエハ保持部71間の遮光板66、奥側の2つのウエハ保持部71間の遮光板66については設けなくてもよい。そして、隙間69のパージについても遮光板66が設けない領域については行われない構成としてもよい。そのようにウエハWの全周をパージする必要が無いので、ウエハWの側周を囲む囲み部としては、保持リング63のように環状体として構成することには限られず、ウエハWの周に沿って間隔を空けて配置される部材によって構成してもよい。具体的には、途切れを有する環状の部材によりウエハWが囲まれ、当該部材からパージガスが隙間69に吐出される構成であってもよい。また、遮光板66については保持リング63の内周面65の下端から突出することには限られず、下端よりも上方の位置から突出して形成されていてもよい。
また、隙間69をパージするにあたり、保持リング63とは別体であると共に当該保持リング63と共に移動可能なノズルを設け、当該ノズルより隙間69の上方からパージガスを供給してもよい。そして、ウエハWの外周側から中心側へ向ってパージガスを吐出することにも限られず、隙間69の直上から鉛直下方に向ってパージガスを吐出してもよい。ただし、ウエハWの裏面側からのO3ガスの回り込みの抑制効果を高くするには、上記したように隙間69の下部側(ウエハWの裏面と遮光板66との間)で、ウエハWの外周から中心側へ向うパージガスの気流を形成することが好ましい。そのためには、既述した保持リング63から斜め下方にパージガスが吐出される構成とすることで、当該中心側へ向う気流が形成されるようにすることが好ましい。
なお、ウエハWの側面と保持リング63の内周面65との距離を、図6中に側方距離L2として示している。この側方距離L2については、例えば図6で示すように高さ距離H1よりも大きく形成されるようにしてもよい。このような関係とすることで、パージガスについては隙間69に進入しやすくする一方で、O3ガスについては隙間69に進入し難くし、O3ガスの表面への回り込み防止の効果がより確実に得られるようにするためである。
ところで、ウエハWの表面側へのO3ガスの回り込みが行われないようにするものとして述べてきたが僅かに回り込むようにし、ウエハWの側面からウエハWの表面の周端部に亘る領域について形成された膜が除去されるようにしてもよい。O3ガスの回り込み量が多くなるほど、ウエハWの側面から表面の中心側へと、膜が除去される範囲が広がることになる。そのように回り込み量の制御は、具体的には例えば、流量調整部84の動作を制御し、ウエハ搬送部6のガス吐出口87から吐出されるパージガスの流量を制御することで、その回り込みの量を制御することができる。ウエハWのロット毎に望ましい膜の除去範囲は異なるので、例えばロット毎に流量調整部84による流量を変更して処理を行うようにしてもよい。
既述した例では遮光部材は、ウエハ搬送部6の内周面65から突出する板状体である遮光板66であるが、そのように遮光部材を板状体として構成することには限られない。図23に示す例では、ウエハ搬送部6の内周面65について、下方へ向うにつれて円形領域64の中心側に向う傾斜面をなす。この傾斜面の下端部が、ウエハWの裏面から離れて下方に位置すると共に遮光部材として構成されており、例えば当該下端部の内周端は、ウエハWの周端よりも内周側に円形領域64の中心側に位置し、当該ウエハWの周端に沿って形成されている。このように本例では遮光部材がブロック状の部材の一部により構成されている。
また、基板処理装置1では、光照射ユニット3に対してウエハ搬送部6が横方向に移動することで光照射がなされるが、相対横移動機構をなす移動機構51が光照射ユニット3に接続され、当該光照射ユニット3がウエハ搬送部6に対して横方向に移動することで光照射がなされるようにしてもよい。また、スピンチャック21とウエハ搬送部6との間でウエハWを受け渡すにあたり、移動機構51の昇降機構54がウエハ搬送部6を昇降させるように構成されているが、そのように構成することには限られない。スピンチャック21が設けられる回転機構22が昇降機構に接続され、当該昇降機構によってスピンチャック21及び回転機構22が昇降することで、その受け渡しがなされるようにしてもよい。
他の基板処理装置の構成例について説明する。図24に示す基板処理装置9は、ウエハ搬送部6が下方から複数の支柱91を介して、回転機構92に接続されており、ウエハ搬送部6はその中心軸回りに回転して、向きを変えることができる。ウエハ搬送部6の下方には光照射ユニット3が設けられている。本例では、窓部32(即ち光の照射領域)が平面視でウエハW全体に重なる。支柱91の側方には、移動機構93が設けられ、移動機構93はアーム94を昇降且つ、横方向に移動させる。アーム94はウエハ搬送部6に保持されるウエハWに重なる支持位置(図24中に示す位置)と、ウエハWに重ならない退避位置との間で移動可能であり、且つ昇降することで、ウエハ搬送部6のウエハ保持部71からウエハWを浮かせることができる。
このような基板処理装置9においては、ウエハWを任意の向きでウエハ搬送部6により保持して光照射を行った後、アーム94によりウエハ搬送部6からウエハWを浮かせている間にウエハ搬送部6を回転させることで、ウエハWのウエハ搬送部6に対する向きを変更させる。然る後、ウエハ搬送部6により再度、ウエハWを保持して光照射を行う。一回目の光照射時と二回目の光照射時とで、ウエハ保持部71は、ウエハWの裏面の異なる位置に重なって保持するようにウエハ搬送部6の向きが変更されるものとする。また、光照射時にはアーム94が当該光照射を妨げないように、退避位置に退避するものとする。
この基板処理装置9のように、光照射ユニット3とウエハ搬送部6との横方向の相対移動がなされずにウエハW裏面全体に向けて光照射が行われる装置構成であってもよい。ただし、ウエハWの裏面において下方に遮光板66が設けられない位置(ウエハ保持部71が設けられる位置)にも光照射が行われることになる。そのため、より確実にウエハWの表面側への光の回り込みを抑制するためには、図1等で示したように窓部32、即ち光の照射領域は平面視でウエハWの一部のみに重なる構成とすることが好ましい。また、この基板処理装置9をもって例示したように、ウエハWの保持位置を変更するためにウエハWとウエハ搬送部6との相対的な向きを変更するにあたっては、ウエハWが回転することに限られず、ウエハ搬送部6が回転するようにしてもよい。なお、この基板処理装置9では、アーム94、移動機構93、回転機構92が夫々ステージ、相対昇降機構、相対回転機構に相当する。
図25、図26に示す基板処理装置109では、スピンチャック21によって中心部が吸着保持されるウエハWの周縁部の下方に光照射ユニット3が設けられ、当該光照射ユニット3上に遮光板66が、基板処理装置1の遮光板66と同様に、内周縁がウエハWの周端に沿うように設けられる。ただし本例では遮光板66は、ウエハWの周端のうち光照射ユニット3の上方に位置する部位の遮光を行えるように一つのみ設けられている。
基板処理装置109には移動機構102によって水平移動且つ昇降自在に構成され、ウエハWの裏面を吸着保持可能なチャック103が設けられている。チャック103は、ウエハWの裏面のうち、スピンチャック21に保持される領域の外側領域を吸引口104からの吸引により保持可能であり、スピンチャック21とチャック103との間でウエハWの受け渡しが可能である。スピンチャック21の回転中に光照射が行われ、ウエハWの裏面の周縁部から有機膜Mが除去される。その後にウエハWはチャック103に受け渡され、裏面の中心部が光照射ユニット3上に位置するように搬送される。そして、当該中心部(即ちスピンチャック21に被覆されていた領域)に光照射されることで有機膜Mが除去される。このようにして、ウエハWの裏面全体で有機膜Mが除去される。
上記の基板処理装置109においては、スピンチャック21及びチャック103が基板保持部に相当し、移動機構102が保持位置変更機構に相当する。また、この基板処理装置109をもって例示したように、ウエハWの裏面全体への光照射を複数回に分けて行うにあたり、各回でウエハWが光照射される領域が図19~図22で示したような太帯状となることに限られず、各回の光照射を行う領域をどのように設定するかは任意である。なお、3回以上の回数に分けて光照射を行うことで、ウエハWの裏面全体に光照射を行う装置構成としてもよい。
除去対象であるウエハWの裏面の有機物はHMDSからなる膜であることには限られず、例えばフッ素樹脂膜などにより構成されていてもよい。さらに、その有機物としては膜を形成していることに限られず、例えばウエハWの裏面に異物として点在しており、それらを除去してウエハWの裏面をクリーンにする目的で、本技術を用いてもよい。なお基板処理装置1の各部から吐出されるパージガスとしては、N2ガスであることに限られず、例えばアルゴンガスなどの他の種類の不活性ガスであってもよい。さらに、処理対象の基板としては円形基板であるウエハWであることには限られず、角型の基板であってもよい。その場合は、遮光板66の内縁は、基板の辺に沿って直線状に形成すればよい。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る基板処理装置111について、第1実施形態の基板処理装置1との差異点を中心に、図28の縦断側面図及び図29の横断平面図を参照して説明する。説明にあたりX方向を前後方向とし、筐体11の搬送口12が設けられている側を前方側、筐体11の奥側を後方側として記載する場合が有る。また左側、右側という表記を用いる場合が有るが、これは後方から前方に向けて見た場合の左側、右側である。光照射によってウエハWの裏面側(下面側)に発生するオゾンなどの活性酸素について、ウエハWの表面側(上面側)への回り込みがより確実に防止されるように、基板処理装置111では、筐体11内の仕切り板14上における上部空間15の排気経路が、基板処理装置1とは異なっている。
以下、第2実施形態に係る基板処理装置111について、第1実施形態の基板処理装置1との差異点を中心に、図28の縦断側面図及び図29の横断平面図を参照して説明する。説明にあたりX方向を前後方向とし、筐体11の搬送口12が設けられている側を前方側、筐体11の奥側を後方側として記載する場合が有る。また左側、右側という表記を用いる場合が有るが、これは後方から前方に向けて見た場合の左側、右側である。光照射によってウエハWの裏面側(下面側)に発生するオゾンなどの活性酸素について、ウエハWの表面側(上面側)への回り込みがより確実に防止されるように、基板処理装置111では、筐体11内の仕切り板14上における上部空間15の排気経路が、基板処理装置1とは異なっている。
光照射ユニット3の後方側に配置される水平な板37の前端部に、当該板37の厚さ方向に穿孔された貫通孔が多数、Y方向(左右方向)に互いに間隔を空けて列をなして設けられている。このように上方に向けて開口するように形成される各貫通孔は、排気口112として構成され、鉛直下方へ向けてガスを吸引する。光照射部をなす窓部32は、光照射ユニット3において左右方向に沿って伸びるため、第1排気口である排気口112の列は、窓部32の長さ方向に沿って配置されている。従って、仮に多数の排気口112を一まとまりの排気口とすると、当該排気口は窓部32の長さ方向に沿って形成されている。
板37に形成されることで排気口112は、第2のパージガス吐出部をなすガス吐出口33及び窓部32と共に、ウエハWを保持する保持リング63の前後方向の移動路に対して下方に位置している。そして、ガス吐出口33、窓部32、排気口112は、前方側から後方側に向って、間隔を空けてこの順に並んで配置される。
板37の下方には当該板37から若干離れて、光照射ユニット3から筐体11の奥側の側壁(奥壁)へと伸びる水平板状の流路形成部材113が設けられている。また、板37の後端は筐体11の奥側の側壁(奥壁)の手前に位置し、この後端から筐体11の上壁へと鉛直に伸びる立て板状の流路形成部材114が設けられている。板37と流路形成部材113とがなす隙間と、流路形成部材114と筐体11の奥壁とがなす隙間とは互いに接続され、側面視でL字状の排気路115として構成されている。
この排気路115は、各流路形成部材113、114及び筐体11の壁に囲まれることで、上部空間15における周囲の領域から区画されている。筐体11の奥壁の排気口41からの排気により、当該排気路115を介して排気口112から排気がなされる。このように基板処理装置111では、排気口41の代わりに排気口112が上部空間15に開口して、排気が行われる構成とされている。以降は排気口112について、他の排気口と区別するために下方排気口112として記載する場合が有る。
ガス吐出口33からのパージガスの吐出と共に、下方排気口112からの排気が行われることで、第1実施形態の基板処理装置1と同様に窓部32上を後方へと流れる気流が形成されて処理が行われる。図30、図31の縦断側面図は、この気流について矢印で示している。なお、排気口112の列のY方向の長さは、ウエハWの直径及び窓部32のY方向の長さよりも大きい。そしてこの排気口112の列について、左端は保持リング63に保持されて移動するウエハWの左端及び窓部32の左端よりも左方に位置し、右端は保持リング63に保持されて移動するウエハWの右端及び窓部32の右端よりも右方に位置する。従って、ウエハWの直径及び窓部32の上方全体をカバーするように、気流が形成される。
下方排気口112が保持リング63の移動領域よりも下方に位置して、上記のように気流(排気流)が形成されることで、窓部32上で光照射により発生するオゾンなどの活性酸素がこの気流に押し流され、ウエハWの上面へと回り込むことが抑えられる。また、下方排気口112について、そのように保持リング63及びウエハWに対する位置関係が設定されることの他に、下方へ向けて排気を行うように開口するため、ガス吐出口33から吐出されたパージガスの上方へと向う勢いが低減されるので、活性酸素のウエハWの表面への回り込みはさらに抑制される。
なお、窓部32と排気口112とを上記したように各々左右に伸びるように形成することで、ウエハWの直径全体に光を照射することができるように形成される窓部32の各部について、排気口112に対する距離が比較的長くなることが防止される。それ故に、窓部32上で生じた活性酸素は速やかに排気口に流入して除去されるので、当該活性酸素のウエハWの表面側への回り込みがより確実に防止される。
また筐体11の左側、右側の各側壁には第2排気口である側方排気口116が開口しており、当該側方排気口116は、配管117を介して排気源20に接続されている。基板処理装置111の縦断背面図である図32も参照して説明すると、側方排気口116は光照射により発生する活性酸素を排気して、当該活性酸素のウエハWの上面への回り込みをより確実に抑制する役割を有する。
このように活性酸素の回り込みを抑制する目的から、側方排気口116については平面視において窓部32をその長手方向に沿って左方、右方に各々延長したとすると、この延長した各領域に開口するように形成されている。具体的に平面図である図29を参照して述べると、窓部32を左方側に延長した領域の前端位置をL3、後端位置をL4として示しており、図示のように、前端位置L3から後端位置L4に至るまでの領域に開口するように、左方側の側方排気口116が設けられている。窓部32を右方側に延長した領域に関する表示は省略しているが、右方側の側方排気口116についても左方側の側方排気口116と同様に、この延長した領域に開口する。
このように窓部32の左方、右方の各々に局所的に設けられる側方排気口116について、仮にウエハWの外周に位置してウエハWを囲む保持リング63よりも上方に開口すると、その保持リング63の上方へと活性酸素が流れることでウエハWの表面に接触してしまうおそれが有る。また、保持リング63の下方に側方排気口116が開口すると、ガス吐出口33から下方排気口112へと流れるパージガスを比較的多く吸引してしまうことで、このパージガスによる活性酸素の除去作用を弱めてしまうおそれが有る。そのため側方排気口116については例えば図32に示す、ウエハWを囲む保持リング63の上端の高さH3から下端の高さH4に至るまでの高さ領域に収まるように配置することが好ましい。具体的には側方排気口116の上端は、高さH3と同じかそれよりも下方の高さに位置し、且つ側方排気口116の下端は、高さH4と同じかそれよりも上方の高さに位置するようにする。図32に示す例では、側方排気口116の上端が高さH3よりも下方、且つ側方排気口116の下端が高さH4よりも上方に位置する例を示している。
基板処理装置111におけるウエハWの処理について、第1実施形態の基板処理装置1との差異点を中心に図30、図31を参照して説明すると、先ず筐体11内の奥側の光照射開始位置へと、ウエハWを保持した保持リング63が移動する。光照射ユニット3のガス吐出口33、保持リング63のガス吐出口87からパージガスが吐出され、且つ下方排気口112及び側方排気口116からの排気が行われた状態で、紫外線ランプ31からの1回目の光照射が開始されると共に保持リング63が前方へ移動を開始する(図30)。
そして保持リング63が光照射終了位置に至ると、1回目の光照射が終了する(図31)。その後は、第1実施形態と同様にスピンチャック21により、保持リング63によって保持されるウエハWの向きが90°変更された後、光照射位置へと保持リング63が再度移動する。そして、2回目の光照射が開始されると共に保持リング63が光照射終了位置へ向けて移動し、当該光照射終了位置に至ると、光照射が停止する。
図31、図32は、光照射開始位置、光照射終了位置における保持リング63を示している。これらの図31、32に示すように、保持リング63が光照射位置から光照射終了位置に至るまで、下方排気口112の上方にウエハWが位置する状態が保たれる。即ち、平面視においては、下方排気口112にウエハWが重なった状態が続いて、その間に当該ウエハWへの光照射が続けられる。そのため光照射中に、ガス吐出口33から吐出されたパージガスが下方排気口112へと流れるにあたり、ウエハWの下面によって通流方向が規制されることになり、ウエハWの上方へは向かい難い。従って、ウエハWの上方への活性酸素の回り込みについて、より確実に抑制される。
なお、ウエハWは円形であるため、列をなす下方排気口112のうち左右の端部に位置するものについては、保持リング63の光照射開始位置から光照射終了位置への移動中、ウエハWに重ならなくなる。ここでいう平面視でウエハWが下方排気口112に重なった状態が保たれるとは、少なくとも下方排気口112のうちの一部と、ウエハWとが重なった状態が保たれることである。
また本例では、ガス吐出口33についても保持リング63が光照射開始位置から光照射終了位置に移動するまで、平面視においてウエハWがガス吐出口33の少なくとも一部に重なった状態が保たれる。そのため、上記したウエハWによるパージガスの通流方向の規制が、より確実になされるため好ましい。
以下、基板処理装置111の変形例の装置について、基板処理装置111との差異点を中心に説明する。図33は、第1変形例である基板処理装置131を示す縦断側面図である。基板処理装置131では、光照射ユニット3の前方側の壁部に、鉛直上方へと伸びる板状のカバー形成部材121が設けられ、このカバー形成部材121の上部側は後方へ向けて折り曲げられ、水平なカバー122をなす。カバー122は隙間123を介して光照射ユニット3の水平な上面に対向して設けられ、ガス吐出口33から吐出されたパージガスは、このカバー122における水平な下面に衝突してから後方へと流れる。
従って、カバー122の位置について詳しく述べると、当該カバー122はガス吐出口33についての開口方向である斜め上方への延長線上に位置しており、隙間123に関しては、水平方向に沿ったパージガスの流路として構成され、当該隙間123を水平に流れたパージガスが後方へと向う。従って、カバー122及びガス吐出口33によって構成されるパージガス吐出部としては、水平方向にガスを吐出するように構成されている。このように水平方向に吐出されることでパージガスは、ウエハWの上方へ向かい難い。そのため、ウエハWの上面への活性酸素の回り込みがより確実に抑制される。
図34は、第2変形例である基板処理装置132を示す縦断背面図である。基板処理装置132については、図32にて筐体11の左側及び右側の各側壁において、側方排気口116が設けられるとして述べた位置に、パージガス吐出口124が設けられている。ただし、パージガス吐出口124は、窓部32上にパージガスとしてN2ガスを吐出することができるように、斜め下方に向けて開口している。これまでに述べた各パージガス吐出口と区別するために、以降は側方パージガス吐出口124として記載する。側方パージガス吐出口124は、配管125を介してN2ガスの供給源36に接続されており、配管125にはバルブ126が介設されている。
光照射ユニット3のガス吐出口33及び保持リング63のガス吐出口87からパージガスが吐出される間、バルブ126が開かれることで側方パージガス吐出口124からもパージガスが吐出される。従って具体的には、図31、図32で説明した保持リング63が光照射開始位置から光照射終了位置への移動及び光照射がなされる間、側方パージガス吐出口124からのパージガスの吐出が行われる。
第3のパージガス吐出部を構成する側方パージガス吐出口124から吐出されたパージガスは、窓部32とウエハWを保持する保持リング63の前後の移動路との間に吐出され、光照射ユニット3のガス吐出口33から吐出されるパージガスと共に、下方排気口112に流入して除去される。このような側方パージガス吐出口124からのパージガスは、発生した活性酸素を下方排気口112へとパージしてウエハWの表面への回り込みを抑制する他に、窓部32上の活性酸素や大気の濃度を低減させることで、窓部32からの照射光が当該活性酸素や大気によって吸収されることを抑制する。後に評価試験で説明するように、そのような照射光の吸収抑制がなされることで、ウエハWの周縁に沿って遮光板66を設けることの影響が抑えられ、窓部32からの照射光のエネルギーが比較的小さくてもウエハWの裏面全体における膜の除去を行うことができる。
側方パージガス吐出口124の位置について詳しく述べる。上記したように側方パージガス吐出口124については、窓部32上で発生する活性酸素をパージするものであるため、当該パージガス吐出口124と、窓部32とのX方向(前後方向)の位置関係は、図29で説明した平面視での側方排気口116と、窓部32とのX方向の位置関係と同じである。
また、側方パージガス吐出口124の上端については、ウエハWの上方へ回り込んだ活性酸素がウエハWの表面へ供給されてしまうことを防ぐために、例えば側方排気口116の上端と同じく、保持リング63の上端の高さH3と同じか、それよりも下方の高さに位置することが好ましい。また、側方パージガス吐出口124の下端については、ウエハWの下方にパージガスが供給されればよいので、保持リング63の下端の高さH4よりも下方に位置していてもよい。なお、保持リング63の下方に開口させるにあたり、側方パージガス吐出口124については水平方向に開口してもよく、図示のように斜めにパージガスを吐出するように形成されることには限られない。側方パージガス吐出口124は、ウエハWと窓部32との間にパージガスを供給できればよいので、筐体11の左右の両方の側壁に設けることに限られず、一方の側壁に設けられていてもよい。
図35は、第3変形例である基板処理装置133の平面図を示している。基板処理装置133では、筐体11の側壁に側方排気口116が設けられる代わりに、光照射ユニット3の上面において、窓部32を左方、右方に延長した領域の各々に排気口128が開口している。この排気口128については図29等で説明した側方排気口116と同じく、光照射によって窓部32上で生じた活性酸素のウエハWの表面への回り込みを抑制する。
このように窓部32の左右に局所的に設ける排気口としては、側方排気口116として示したように筐体11の側壁に設ける構成とすることに限られず、平面視にて窓部32を左方、右方に延長した領域の前端位置L3から後端位置L4に至る領域に開口していればよい。ただし、上記したようにガス吐出口33からのパージガスを多く吸引してしまうことを防ぐために、窓部32の左右に設ける排気口については側方排気口116が設けられる高さとして説明した高さに開口することが好ましい。
以上の図28~図35で述べた第2実施形態の基板処理装置111及びその変形例における構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、図28~図35の各例では窓部32の側方から排気あるいはパージガスの吐出を行う構成としているが、そのような側方からの排気あるいはパージガスの吐出を行わなくてもよい。つまり筐体11内の上部空間15において、パージガスの吐出に関してはガス吐出口33及び保持リング63のガス吐出口87からの吐出のみ行い、排気に関しては排気口112のみからの排気を行う構成としてもよい。なお、近距離でガス吐出と排気とを行うことでガスの流れが乱れてウエハWの表面に活性酸素が回り込まないように、側方パージガス吐出口124と、側方排気口116と、についてはいずれか一方のみを設けることが好ましい。ただし、これら側方パージガス吐出口124及び側方排気口116を両方設けることが禁止されるものではない。
第2実施形態で説明した下方排気口112、側方排気口116、側方パージガス吐出口124、排気口128の形状及び数については任意であり、既述した例に限られない。例えば下方排気口112については、ガス吐出口33と同様に、Y方向に沿って伸びるスリット状に開口してもよい。
そして、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更及び組み合わせがなされてもよい。
〔評価試験〕
評価試験1
本技術に関連して行われた評価試験について説明する。この評価試験1では、ウエハWの表面の周縁部から側面を介して裏面の周縁部に亘ってHMDS膜を形成した。そして基板処理装置1と概ね同様の試験装置を用いてウエハWの裏面への光照射を行い、残留するHMDS膜の状態を観察した。上記の光照射についてより具体的に述べると、光照射ユニット3と同様に上方に向けて光を照射するユニットについて、平面視で当該ユニットの光照射領域がウエハWの周縁部に重なるように配置して光照射を行った。そしてこの光照射を行うにあたり、実施形態で述べた保持リング63をウエハWの側方に配置し、当該保持リング63とウエハWの側面との距離を調整することで、図6で説明した遮光板66に関する側方距離L1について変更した。
評価試験1
本技術に関連して行われた評価試験について説明する。この評価試験1では、ウエハWの表面の周縁部から側面を介して裏面の周縁部に亘ってHMDS膜を形成した。そして基板処理装置1と概ね同様の試験装置を用いてウエハWの裏面への光照射を行い、残留するHMDS膜の状態を観察した。上記の光照射についてより具体的に述べると、光照射ユニット3と同様に上方に向けて光を照射するユニットについて、平面視で当該ユニットの光照射領域がウエハWの周縁部に重なるように配置して光照射を行った。そしてこの光照射を行うにあたり、実施形態で述べた保持リング63をウエハWの側方に配置し、当該保持リング63とウエハWの側面との距離を調整することで、図6で説明した遮光板66に関する側方距離L1について変更した。
評価試験1-1として、側方距離L1を1.0mmに設定した。従って評価試験1-1ではウエハWの裏面の周縁部に遮光板66の先端部が重なっている。評価試験1-2として、側方距離L1を0.0mmに設定した。つまり、この評価試験1-2では平面視でウエハWの周端と遮光板66の内周端が重なっている。なお、この評価試験1-2のようにウエハWと遮光板66とで端同士のみが重なる状態も平面視でウエハWと遮光板66とが重なる状態であるものとする。評価試験1-3では、側方距離L1を-0.6mmとした。上記したように側方距離L1はウエハWの周端を基準とした遮光板66の内周縁の円形領域64の中心側へ向う距離であるので、側方距離L1がこのように負の値の場合は、平面視で見たときには遮光板66とウエハWとは重ならず、互いに離れている。この評価試験1-3における側面視での遮光板66とウエハWとの位置関係を、図27に示している。評価試験1-1~1-3で、遮光板66とウエハWとの高さ距離H1については0.5mmとした。
また評価試験1-1~1-3の他に、評価試験1-4を行った。この評価試験1-4では保持リング63を評価試験1-1と同様に配置したが、保持リング63に遮光板66を設けなかった。なお、これら評価試験1-1~1-4では保持リング63からのパージガスの吐出は行っていない。
評価試験1-4ではウエハWの裏面の周縁部の他に、ウエハWの側面及びウエハWの表面の周端から比較的中心部寄りの位置までHMDS膜が除去されていた。即ち、光及びO3ガスの回り込みの量が大きかった。また評価試験1-1では、ウエハWの側面及びウエハWの表面におけるHMDS膜は除去されていなかった。しかしウエハWの裏面について、遮光板66に重ならない領域ではHMDS膜が除去されていたが、遮光板66に重なる領域にHMDS膜が残留してしまっていた。
評価試験1-2、1-3では、ウエハWの周縁部の光照射領域に重なる領域全体からHMDS膜が除去されていた。そして、ウエハWの側面についてもHMDS膜は除去されていたが、表面については表面側傾斜面においてのみHMDS膜が除去されていた。より詳しくは評価試験1-2ではウエハWの表面の周端から0.31mm中心側に離れた位置に亘る領域、評価試験1-3ではウエハWの表面の周端から0.33mm中心側に離れた位置に亘る領域において、HMDS膜が夫々除去されていた。つまり、ウエハWの表面側への光及びO3ガスの回り込みは抑えられ、好ましい結果となった。
評価試験2
評価試験2として、評価試験1と略同様の試験を行った。差異点としては、この評価試験2では側方距離L1を1.0mmとし、高さ距離H1を変更してウエハWに光照射を行ったことが挙げられる。評価試験2-1、2-2、2-3として、H1を夫々0.5mm、1.5mm、2.95mmに設定した。
評価試験2として、評価試験1と略同様の試験を行った。差異点としては、この評価試験2では側方距離L1を1.0mmとし、高さ距離H1を変更してウエハWに光照射を行ったことが挙げられる。評価試験2-1、2-2、2-3として、H1を夫々0.5mm、1.5mm、2.95mmに設定した。
評価試験2-1では、ウエハWの側面及びウエハWの表面におけるHMDS膜は除去されていなかった。しかし、ウエハWの裏面について遮光板66に重なる領域にHMDS膜が残留してしまっていた。評価試験2-2では、ウエハWの裏面において評価試験2-1よりも広い範囲でHMDS膜が除去されていたが、裏面側において傾斜面よりも若干中心側の領域から側面を介して表面側に至るまでHMDS膜が残留していた。つまり、ウエハWの裏面において評価試験2-1よりも広い範囲で膜が除去されていたが、当該裏面の膜の除去としては不十分であった。評価試験2-3では、ウエハWの裏面全体で膜が除去されており、ウエハWの側面、表面についてはHMDS膜が残留していた。従って、ウエハWの表面側への光及びO3ガスの回り込みは抑えられ、好ましい結果となった。
以上に述べた評価試験1、2から、平面視でウエハWに遮光板66の先端部が重なる場合、離れる場合のいずれも、ウエハWの表面側への光及びO3ガスの回り込みが有効に防止できるケースがあることが確認された。また、高さ距離H1について評価試験1では0.5mmで表面への回り込みが有効に抑制されるケースがあり、評価試験2では2.95mmで表面への回り込みが有効に抑制されるケースがあることが確認された。そして、当該高さ距離H1を2.95mmにした評価試験2-3では、それよりも高さ距離H1の距離が小さい評価試験2-2に比べて膜が除去された範囲が拡大されているが、表面だけでなく側面においてもHMDS膜が残留していたことから、2.95mmよりも高さ距離H1を若干大きくしても、表面側への光及びO3ガスの回り込みが有効に防止できると考えられる。そのため当該高さ距離H1については、例えば0.5mm~3.0mmとすることが好ましいと考えられる。
評価試験3
評価試験3として、ウエハWの表面に対してレジストの塗布、加熱処理を順次行うことでレジスト膜を形成した後、ウエハWの面内各部のレジスト膜における膜厚の測定(1回目の膜厚測定)を行った。その後、ウエハWの裏面に実施形態で述べた光照射を行い、さらに現像処理を行った後で、再度、ウエハWの面内各部におけるレジスト膜の膜厚の測定(2回目の膜厚測定)を行った。そして、各回の膜厚の測定結果から、ウエハWの面内各部における膜厚の差分値(1回目の測定膜厚-2回目の測定膜厚)を算出した。
評価試験3として、ウエハWの表面に対してレジストの塗布、加熱処理を順次行うことでレジスト膜を形成した後、ウエハWの面内各部のレジスト膜における膜厚の測定(1回目の膜厚測定)を行った。その後、ウエハWの裏面に実施形態で述べた光照射を行い、さらに現像処理を行った後で、再度、ウエハWの面内各部におけるレジスト膜の膜厚の測定(2回目の膜厚測定)を行った。そして、各回の膜厚の測定結果から、ウエハWの面内各部における膜厚の差分値(1回目の測定膜厚-2回目の測定膜厚)を算出した。
上記のウエハW裏面への光照射については、第1実施形態の基板処理装置1あるいは第2実施形態の基板処理装置111で行い、基板処理装置1を用いて行った試験を評価試験3-1、基板処理装置111を用いて行った試験を評価試験3-2とする。ただしこの評価試験3で用いた基板処理装置111は、側方排気口116が設けられていないことにより、窓部32の側方からの排気が行われないという点で、図28で説明したものとは異なっている。なお、この評価試験3では基板処理装置1、111について、ウエハWの裏面への露光量は、300mJ/cm2、ガス吐出口33からのパージガス(N2ガス)の吐出量は15L/分、筐体11の奥壁の排気口41あるいは下方排気口112からの排気量は130L/分となるように夫々設定した。
試験の結果について説明する。評価試験3-1で測定された膜厚の差分値について、平均値をA1、レンジ(最大値-最小値)をB1、3σをC1とすると、評価試験3-2で測定された膜厚の差分値について、平均値は0.11×A1であり、レンジは0.56×B1であり、3σは0.45×C1であった。従って、評価試験3-2では評価試験3-1に比べて膜厚の差分値についての均一性が高いという結果になった。活性酸素がウエハWの表面に回り込むと、レジスト膜の表面が変質し、現像による膜厚の低下量が大きくなる。そのため、このように膜厚の差分値の均一性が高いことは、活性酸素のウエハWの表面への回り込むことによるウエハWの面内で局所的な変質が抑えられていることになる。
さらに詳しく試験の結果を説明するにあたり、ウエハWの周端部における、ウエハWの中心から見て90°異なる4つの領域を、ウエハWの周に沿って順に周端領域R1、R2、R3、R4として述べる。上記した膜厚の差分値についてウエハWの面内での分布を見ると、周端領域R1~R4はウエハWの面内における他の領域よりも若干大きかった。評価試験3-2では、評価試験3-1に比べてこの4つの周端領域R1~R4における膜厚の差分値は小さかった。
従って、評価試験3-1では1回目、2回目のウエハWへの各光照射時に活性酸素が左右から僅かにウエハWの表面の周端部へ回り込む一方で、評価試験3-2ではこの回り込みが抑えられたことが確認された。従って、この評価試験3からは実施形態で説明したように、下方排気口112を形成して排気を行うことで、活性酸素のウエハWの表面への回り込みを、より確実に抑制することができることが示された。
評価試験4
評価試験4として、評価試験3と同様にウエハWの処理と2回の膜厚測定とを行った。ウエハWの裏面への光照射は、基板処理装置111を用いた。ただし、この評価試験4で用いた基板処理装置111は、側方排気口116が筐体11の左右の側壁のうち、左方の側壁のみに設けられるという点で、図29に示したものとは異なる。この側方排気口116からの排気量をウエハW毎に変更して処理を行った。側方排気口116からの排気量を、5L/分、10L/分、20L/分に夫々設定して行った試験を、夫々評価試験4-2、4-3、4-4とする。また比較のために、評価試験3で用いた側方排気口116が形成されていない基板処理装置111を用いたことを除いては評価試験4-2~4-4と同様の条件で試験を行っており、この試験を評価試験4-1とする。評価試験4で用いた基板処理装置111について、ウエハWの裏面への露光量は300mJ/cm2、ガス吐出口33からのパージガスの吐出量は15L/分、下方排気口112からの排気量は70L/分となるように夫々設定して処理を行った。
評価試験4として、評価試験3と同様にウエハWの処理と2回の膜厚測定とを行った。ウエハWの裏面への光照射は、基板処理装置111を用いた。ただし、この評価試験4で用いた基板処理装置111は、側方排気口116が筐体11の左右の側壁のうち、左方の側壁のみに設けられるという点で、図29に示したものとは異なる。この側方排気口116からの排気量をウエハW毎に変更して処理を行った。側方排気口116からの排気量を、5L/分、10L/分、20L/分に夫々設定して行った試験を、夫々評価試験4-2、4-3、4-4とする。また比較のために、評価試験3で用いた側方排気口116が形成されていない基板処理装置111を用いたことを除いては評価試験4-2~4-4と同様の条件で試験を行っており、この試験を評価試験4-1とする。評価試験4で用いた基板処理装置111について、ウエハWの裏面への露光量は300mJ/cm2、ガス吐出口33からのパージガスの吐出量は15L/分、下方排気口112からの排気量は70L/分となるように夫々設定して処理を行った。
この評価試験4の結果について述べると、膜厚の差分値(1回目の測定膜厚-2回目の測定膜厚)について、周端領域のR1~R4のうちR1、R2について、評価試験4-1に比べて評価試験4-2~4-4では小さかった。周端領域R1、R2は、1回目または2回目の光照射の際に側方排気口116が開口する左方側に向った領域である。従って、この結果は、1回目及び2回目の各光照射時に、ウエハWの周端部のうち、側方排気口116に向かう側では表面側への活性酸素の回り込みが抑えられたことを示すものであった。
評価試験4-1における膜厚の差分値について、平均値をA2、レンジをB2、3σをC2とすると、評価試験4-2における膜厚の差分値について、平均値は0.5×A2であり、レンジはB2であり、3σは1.14×C2であった。評価試験4-3で測定された膜厚について、平均値は0.5×A2であり、レンジは1.11×B2であり、3σは1.14×C2であった。評価試験4-4で測定された膜厚について、平均値は0.25×A2であり、レンジはB2であり、3σは1.10×C2であった。従って、評価試験4-2~4-4では評価試験4-1に比べて膜厚の差分値の平均値を低減できており、評価試験4-4が最も低減できていた。なおレンジと3σについては、側方排気口を開口していない場所の影響が残留しているため、評価試験4-1と、4-2~4-4との間で大きな変化は無い。以上のように、この評価試験4からは下方排気口112による排気を行って処理を行うにあたり、実施形態で説明したように側方排気口116による排気を行うことで、ウエハWの周端部の表面への活性酸素の回り込みをより確実に抑制することができることが示された。
評価試験5
評価試験5として、評価試験4と同様にウエハWの処理と2回の膜厚測定とを行った。この評価試験5では図33で説明したパージガス吐出口36を覆うカバー形成部材121が設けられた基板処理装置131を用いた。ただし、この基板処理装置131は、評価試験4-1で用いた基板処理装置111と同じく側方排気口116が設けられていない。ウエハWの裏面への露光量、ガス吐出口33からのパージガスの吐出量、下方排気口112からの排気量については、評価試験4と同様の設定とした。従って、この評価試験5では、基板処理装置111にカバー形成部材121が設けられたことを除いて、評価試験4-1と同様の条件で処理が行われている。
評価試験5として、評価試験4と同様にウエハWの処理と2回の膜厚測定とを行った。この評価試験5では図33で説明したパージガス吐出口36を覆うカバー形成部材121が設けられた基板処理装置131を用いた。ただし、この基板処理装置131は、評価試験4-1で用いた基板処理装置111と同じく側方排気口116が設けられていない。ウエハWの裏面への露光量、ガス吐出口33からのパージガスの吐出量、下方排気口112からの排気量については、評価試験4と同様の設定とした。従って、この評価試験5では、基板処理装置111にカバー形成部材121が設けられたことを除いて、評価試験4-1と同様の条件で処理が行われている。
評価試験5で取得された膜厚の差分値について、評価試験4-1における平均値=A2、レンジ=B2、3σ=C2を用いて表すと、平均値は0.125×A2であり、最大値-最小値は0.76×B2であり、3σは0.62×C2であった。そしてウエハWの面内における膜厚の差分値の分布を見ると、評価試験5では評価試験4-1よりも周端領域R1~R4における各値が小さく、評価試験4-1に比べて、活性酸素のウエハWの周端部の表面への回り込みが抑制されたことが確認された。従って、この評価試験5からは、下方排気口112により排気を行うにあたり、活性酸素の回り込みを抑制するためには、実施形態で説明したようにパージガスを水平に吐出することが有効であることが確認された。
評価試験6
評価試験6として、評価試験4と同様にウエハWの処理と2回の膜厚測定とを行った。この評価試験6では、図34で説明したように筐体11に側方パージガス吐出口124を設けた基板処理装置132を用いた。ただし、この側方パージガス吐出口124は、筐体11の左右の側壁のうち左方側の側壁のみに設けられる点で、図34に示したものと異なっている。なお、ウエハWの裏面への露光量、ガス吐出口33からのパージガスの吐出量、下方排気口112からの排気量については、評価試験4と同様の設定とした。従って、この評価試験6では、側方パージガス吐出口124からのパージガスの吐出が行われることを除いて、評価試験4-1と同様の条件で処理が行われている。このパージガスの吐出量としては、15L/分に設定した。
評価試験6として、評価試験4と同様にウエハWの処理と2回の膜厚測定とを行った。この評価試験6では、図34で説明したように筐体11に側方パージガス吐出口124を設けた基板処理装置132を用いた。ただし、この側方パージガス吐出口124は、筐体11の左右の側壁のうち左方側の側壁のみに設けられる点で、図34に示したものと異なっている。なお、ウエハWの裏面への露光量、ガス吐出口33からのパージガスの吐出量、下方排気口112からの排気量については、評価試験4と同様の設定とした。従って、この評価試験6では、側方パージガス吐出口124からのパージガスの吐出が行われることを除いて、評価試験4-1と同様の条件で処理が行われている。このパージガスの吐出量としては、15L/分に設定した。
評価試験6で取得された膜厚の差分値について、評価試験4-1における平均値=A2、レンジ=B2、3σ=C2を用いて表すと、平均値は0.63×A2であり、最大値-最小値は0.65×B2であり、3σは0.71×C2であった。そしてウエハWの面内における膜厚の差分値の分布を見ると、評価試験6では評価試験4-1よりも周端領域R1~R4における値が小さく、活性酸素のウエハWの周端部の表面への回り込みが抑制されていることが確認された。従ってこの評価試験6からは、下方排気口112により排気を行うにあたり、活性酸素の回り込みを抑制するためには側方パージガス吐出口124からのパージガスの吐出を行うことが有効であることが確認された。
評価試験7
評価試験7-1、7-2として、評価試験4-1で用いたものと同様の装置、評価試験6で用いたものと同様の装置を夫々用いて、ウエハWの裏面に光照射を行った。この光照射前の各ウエハWの裏面には実施形態で説明した膜が形成されており、光照射後における当該膜の状態を観察した。各装置での露光量については評価試験4-1、評価試験6よりも小さく、80mJ/cm2に設定した。
評価試験7-1、7-2として、評価試験4-1で用いたものと同様の装置、評価試験6で用いたものと同様の装置を夫々用いて、ウエハWの裏面に光照射を行った。この光照射前の各ウエハWの裏面には実施形態で説明した膜が形成されており、光照射後における当該膜の状態を観察した。各装置での露光量については評価試験4-1、評価試験6よりも小さく、80mJ/cm2に設定した。
評価試験7-1ではウエハWの周端部に2.0mmの幅で環状に膜が残留していた。評価試験7-2ではウエハWの周端部に0.5mmの幅で環状に膜が残留していた。ウエハWの下方に遮光板66が配置されているため、露光量が低すぎるとこのように膜が残留することになるが、評価試験7-2の方が残留した膜の面積が小さい。従って実施形態で述べたように、側方パージガス吐出口124からのパージガスの供給によって窓部32からの照射光が減衰することが抑えられたことが確認された。この結果から、側方パージガス吐出口124からのパージガスの吐出により、ウエハWの裏面全体から膜を除去するために必要な光照射量を低減させることができることが分かる。
W ウエハ
1 基板処理装置
21 スピンチャック
31 紫外線ランプ
66 遮光板
1 基板処理装置
21 スピンチャック
31 紫外線ランプ
66 遮光板
Claims (20)
- 基板の裏面に局所的に重なって保持する基板保持部と、
前記基板の裏面の有機物を除去するために、当該裏面に光を照射する光照射部と、
前記基板の表面への前記光の供給が防止されるように、前記基板の裏面側に当該裏面から離れて設けられる遮光部材と、
前記基板の裏面全体に光を照射するために、当該基板の裏面における前記基板保持部による保持位置を変更する保持位置変更機構と、
を備える基板処理装置。 - 前記基板の側周を囲む囲み部が設けられ、前記遮光部材は当該囲み部に設けられる請求項1記載の基板処理装置。
- 前記遮光部材は、前記囲み部の内周面から前記基板保持部に保持される前記基板の裏面側に向けて伸長し、先端が前記基板の周端に沿って形成される板状体をなす請求項2記載の基板処理装置。
- 前記基板保持部に保持される前記基板と前記遮光部材との間の隙間に、当該隙間の上方からパージガスを吐出するパージガス吐出部が設けられる請求項1記載の基板処理装置。
- 前記基板の側周を囲む囲み部が設けられ、前記パージガス吐出部は当該囲み部であり、
前記囲み部において前記基板の周端に沿って形成され、当該基板の外周側から内周側に向けて前記隙間に前記パージガスを吐出する第1のパージガス吐出口が設けられる請求項4記載の基板処理装置。 - 前記保持位置変更機構は、
前記基板が載置されるステージと、
前記ステージと前記基板保持部との間で前記基板を受け渡すために、前記ステージに対して当該基板保持部を相対的に昇降させる相対昇降機構と、
前記基板の裏面における前記基板保持部の位置を変更するために、前記基板保持部に対して前記ステージを相対的に回転させる相対回転機構と、
を備える請求項1記載の基板処理装置。 - 前記光照射部に対して、前記基板保持部及び前記遮光部材を横方向に相対移動させる相対横移動機構が設けられ、
前記基板保持部が前記基板の裏面における第1位置を保持して、光照射を行う前記光照射部に対して前記横方向の相対移動を行い、
次に、前記ステージを介して前記基板保持部が前記基板の裏面における前記第1位置とは異なる第2位置を保持して、光照射を行う前記光照射部に対して前記横方向の相対移動を行う請求項6記載の基板処理装置。 - 前記基板の側周を囲む囲み部が設けられ、前記基板保持部及び前記遮光部材は当該囲み部に設けられ、
前記相対横移動機構は、当該囲み部を横方向に移動させ、
前記相対回転機構は、前記ステージを回転させ
前記囲み部、前記光照射部、前記保持位置変更機構及び前記相対横移動機構を格納する筐体が設けられ、
前記ステージと前記筐体の外部の基板搬送機構との間で前記基板が受け渡される請求項7記載の基板処理装置。 - 前記光照射部と前記基板の裏面との間を側方に向かうようにパージガスを吐出する第2のパージガス吐出部が設けられる請求項8記載の基板処理装置。
- 前記筐体内を前後に移動する前記囲み部の移動路の下方において、前記光照射部と、前記筐体内を排気するために上方に向けて開口する第1排気口とが、各々左右方向に伸長して設けられる請求項9記載の基板処理装置。
- 前記第2のパージガス吐出部と、前記光照射部と、前記第1排気口とは、前方から後方へ向けて順に並んで設けられ、
前記第2のパージガス吐出部から前記第1排気口へ向けてパージガスが流れる請求項10記載の基板処理装置。 - 前記光照射部から前記基板への光照射中に、前記第1排気口の上方に前記基板が位置する状態が保たれる請求項11記載の基板処理装置。
- 前記第2のパージガス吐出部は後方へ向けて水平に前記パージガスを吐出する請求項11記載の基板処理装置。
- 平面視で前記光照射部を長手方向に沿って左方、右方に各々延長した領域に、前記筐体内を排気する第2排気口が開口する請求項11記載の基板処理装置。
- 前記第2排気口は、前記筐体の側壁に設けられる請求項14記載の基板処理装置。
- 前記第2排気口は、前記囲み部の上端の高さから下端に至る高さ領域に収まる請求項15記載の基板処理装置。
- 前記光照射部と前記囲み部の移動路との間にパージガスを吐出する第3のパージガス吐出部が、前記筐体の側壁に設けられる請求項11記載の基板処理装置。
- 前記基板保持部は、前記基板を吸着する吸着部を備える請求項1記載の基板処理装置。
- 基板の裏面に局所的に重なる基板保持部により当該基板を保持する工程と、
前記基板の裏面の有機物を除去するために、光照射部により当該裏面に光を照射する工程と、
前記基板の裏面側に当該裏面から離れて設けられる遮光部材により、前記基板の表面への前記光の供給が防止する工程と、
前記基板の裏面全体に光を照射するために、保持位置変更機構により当該基板の裏面における前記基板保持部による保持位置を変更する工程と、
を備える基板処理方法。 - 基板の裏面に光を照射する基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項19に記載された基板処理方法を実行するようにステップ群が組まれていることを特徴とする記憶媒体。
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CN202211594807.3A CN116313886A (zh) | 2021-12-20 | 2022-12-13 | 基片处理装置、基片处理方法和存储介质 |
US18/084,063 US20230197475A1 (en) | 2021-12-20 | 2022-12-19 | Substrate processing apparatus, substrate processing method and storage medium |
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