JP2023090035A - 薬液改良土の長期強度の推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薬液注入工法により改良土の長期的な強度の検証を効率良く、経済的に行うことを目的として、恒久グラウトにおいては恒久的な品質確保を確認でき、また中性・酸性系注入材においては長期強度を推定することができる薬液改良土の長期強度の推定方法を提供する。【解決手段】活性シリカコロイド系、活性複合シリカ系、または中性・酸性系のグラウトによるサンドゲルの長期強度を推定する方法として、独立変数を養生日数を固化時間で除した正規化材令(日/日)と定義し、グラウトに関する設計パラメータを従属変数として、回帰分析によって長期強度を推定する。設計パラメータとしては、一軸圧縮強さ、液状化強度、変形係数、粘着力などを用いることができる。また、供用期間が限定される構造物に関し、推定された長期強度に基づいて、所定の期間改良効果が確保できることを確認し、注入材の配合を決定する。【選択図】図11

Description

本発明は薬液注入工法により改良された土の長期的強度を推定する方法であり、特に液状化対策や耐震補強工事などを目的とする地盤改良工事において適切な注入材の選定および配合を決定することができる薬液改良土の長期強度の推定方法に関するものである。
耐久性を期待する薬液注入工法による地盤改良工事では、設計強度に対して安全率を乗じた室内目標強度が設定されており、材令28日における強度をもって配合を決定している。
しかし、これらの工事を対象とする構造物の供用期間は数年から数十年であることより、供用期間中における改良効果の持続性を予測する手法が重要となる。
このような長期強度の予測方法としては、薬液注入材により固化した砂を高温にて養生するアレニウス法によるものが提案されている。このアレニウス法は反応速度論から求められ、速度定数の対数が絶対温度の逆数に比例することに基づいたものであり、劣化の要因は熱のみによって生じるものとされており、複合劣化に対応できないことが指摘されている。
なお、薬液単体の固化は液温が高いものほど短くなるが、これは、注入材中のシリカ粒子のブラウン運動が活発になり、DLVO理論におけるエネルギー障壁を超えやすくなるためと考えられる。また、既往の研究によると薬液改良土の強度低下の要因として、一度ゲル化したシリカの溶解や過剰な体積収縮が指摘されている。
従って、アレニウス法は複合劣化に対応できないことより、シリカの溶脱や体積変化が劣化の要因とされている注入材に対する対応性が低いことから、新たな方法の検討が望まれている。
特許第5156928号公報
恒久グラウト注入工法技術マニュアル、地盤注入開発機構、2017 佐々木隆光,末政直晃,島田俊介、「薬液注入工法における非アルカリ系注入材の主剤が固化特性に及ぼす影響」、2018年、土木学会論文集C(地圏工学)、Vol.74、No.1、pp.92-105 佐々木隆光,末政直晃,島田俊介、「薬液改良土の強度発現に及ぼす間隙径や土中成分の影響について」、2018年、地盤工学ジャーナル、Vol.13、No.3、pp.223-235 佐々木隆光,末政直晃,島田俊介、「弾性波試験を用いた薬液注入材による改良土の強度発現機構に関する検討」、2020年、土木学会論文集C(地圏工学)、pp.374-393
液状化対策を目的とした地盤改良工法の一つとして、活性シリカコロイドを主剤とする溶液型注入材を用いた薬液注入工法が一般的に知られている。薬液注入工法による液状化対策では、地震時に生じる最大せん断応力比に対して十分な液状化強度比となるように地盤の改良強度が設定される。
このような工事においては液状化強度と一軸圧縮強さの関係より材令28日における一軸圧縮強さを設計強度とした配合試験が実施されている(非特許文献1)。しかし、長期的に改良強度が増加する場合があるため、材令28日で決定した配合が過剰となる場合もある。
また、近年では改良強度が継時的に低下する場合でも、その値は一定値に収束する特性を考慮し、構造物の供用期間中、性能を満たすように配合を決定する設計手法が提案されている(特許文献1)。
なお現在、耐久性が期待できる注入材としては、水ガラスを主剤とする中性・酸性系のものと、活性シリカコロイドに反応剤を添加した活性シリカコロイド系、活性シリカコロイドと特殊水ガラスを主剤とし、これに反応剤を添加した活性複合シリカ系の3タイプのものがある。なお、中性・酸性系のものでは水ガラスのモル比、活性複合シリカ系では活性シリカコロイドと特殊水ガラスの比率など、注入材の配合は数種類に及び、体積収縮量や一軸圧縮強さなどの固化特性に違いが見られる(非特許文献2)。
また、これらの注入材は基本的にシリカ濃度によって改良強度が増減するが、その割合は砂の諸特性によって異なることが知られている(非特許文献3)。さらに、養生に伴う改良強度の増減も注入材のタイプや濃度と砂の諸特性によって異なる傾向にある(非特許文献4)。
このように、注入材と砂の組み合わせによって得られる改良土の改良効果と長期特性は多種多様であるため、適切な注入材タイプの選定や配合の決定を行うためには、薬液注入工法による改良効果の長期予測が重要となっている。
本発明は従来技術における上述のような課題の解決を図ったものであり、薬液注入工法により改良土の長期的な強度の検証を効率良く、経済的に行うことができ、恒久グラウトにおいては恒久的な品質確保を確認でき、また中性・酸性系注入材においては長期強度を推定することができる薬液改良土の長期強度の推定方法を提供することを目的とする。
本発明の対象は中性・酸性系グラウト、活性シリカ系グラウト、活性複合シリカ系グラウトであり、シリカの溶脱による継時的な改良強度の低下が生じないものである。また、本発明に関わる薬液注入材による改良土の長期強度の推定方法は、注入材そのもの(ヒドロゲル)の固化特性を把握した後、その特性より注入材で固化した砂(サンドゲル)の長期強度を予測するものである。
本発明は、このような活性シリカコロイド系、活性複合シリカ系、または中性・酸性系のグラウトによるサンドゲルの長期強度の推定方法であり、独立変数を養生日数を固化時間で除した正規化材令(日/日)と定義し、前記グラウトに関する設計パラメータを従属変数として、回帰分析によって長期強度を推定することを特徴とする。
設計パラメータとしては、一軸圧縮強さ、液状化強度、変形係数、または粘着力などが用いられる。
また、設計パラメータとS波速度の関係を求め、これを従属関数とし、回帰分析による長期材令におけるS波速度から強度を推定することができる。
本発明の薬液改良土の長期強度の推定方法において、長期強度の予測は、独立変数としての正規化材令が1日/日~500日/日、または500日/日より大となる期間の増減より回帰式を決定することができる。
また、本発明の薬液改良土の設計方法は、上述の薬液改良土の長期強度の推定方法を用い、供用期間が限定される構造物に関して、所定の期間改良効果が確保できることを確認し、注入材の配合を決定することを特徴とし、本発明の設計方法を用いて調合した活性シリカコロイド系、活性複合シリカ系、または中性・酸性系のグラウトを地盤に注入して地盤改良を行うことができる。
また、土中ゲルタイムを基準としたサンドゲルの長期強度を予測することにより、構造物の供用期間中に要求される性能を満たすことを確認して薬液を注入することができる。
なお、より具体的には、ヒドロゲルの固化特性の把握は、例えば、次の手段によって行うことができる。
1. シリカ濃度やコロイド含有率を一律とするが、注入材の固化時間GTHG(日)が異なる配合を設定する。
2. GTHGが異なる条件にて材令(日)とヒドロゲルの体積変化率および一軸圧縮強さを求める。
3. 体積変化および一軸圧縮強さが収束する材令(日)を確認する。
4. 材令dayをGTHGで除した値を独立変数とし、体積変化率および一軸圧縮強さを従属変数とした正規化材令dayH(日/日)と、体積変化率と一軸圧縮強さの関係を求める。
5. シリカ濃度やコロイド含有率が異なる配合にて1~4に記載の方法により幅広いヒドロゲルの固化特性を把握する。
次に、サンドゲルの長期強度特性の推定方法は次の手段によることができる。
1. 土中に浸透・混合された状態(サンドゲル)における注入材の固化時間GTSGはGTHGと比較して砂の成分によって短くなるため、GTSGを測定する。
2. 材令dayをGTSGで除した値をサンドゲルの正規化材令daySと定義し、daySが1~500以上におけるサンドゲルの強度特性を求め、daySを独立変数とし、強度特性を従属変数とする関係図を作成する。
3. 2において強度特性が常に増加傾向にある場合、対数または双曲線などの近似曲線を求める。
4. 2において強度特性が増加したのち、低下傾向に圧場合、低下傾向にある区間のデータを用い、対数または双曲線などの近似曲線を求める。
5. 3または4にて求めた近似曲線の独立変数に地盤改良の効果を期待する期間(日)や構造物の供用期間(日)にGTSGを乗じた値を与え、長期強度を予測する。
なお、前述のサンドゲルの長期強度特性の推定方法は、実際に供試体を破壊することにその物性を得ているが、サンドゲルの作製本数および供試体作製時のバラツキを低減する目的で、非破壊による次の手順も有効である。
1. 一軸圧縮強さや変形係数、粘着力などの強度特性とせん断波速度の関係を求め、検量線を作成する。
2. 材令とせん断波速度の関係を求める。
3. サンドゲルの長期強度特性の推定方法と同様に、せん断波速度の長期予測をする。
予測したせん断波速度から、1で求めた検量線を用い長期強度特性を導く。
恒久グラウトとして使用される活性シリカ系および活性複合シリカ系グラウトにおいて、長期的に強度が増加する場合、適切な材令における強度をもって配合を決定することにより、シリカ濃度を低減でき、経済的な地盤改良を実施することができる。
一方、仮設工事を目的として使用されてきた中性・酸性系グラウトでは、長期的な強度を予測し、これが構造物の供用期間中に期待する強度特性を満足することを確認することによって、液状化対策や耐震補強などの工事に適用することができるようになる。従って、従来では恒久グラウトを使用してきた工事において、中性・酸性系グラウトの使用が可能となり、経済的な地盤改良工事を実施することができるようになる。
なお、この長期強度の確認方法において、非破壊試験を実施することにより、一軸圧縮試験や三軸圧縮試験などの力学試験を実施するのと比較して、供試体作製本数やバラツキを低減することができ、試験実施に関する費用を削減することができる。
注入材のpHとゲルタイムの関係を示すグラフである。 材令とヒドロゲルの体積変化率の関係を示すグラフである。 材令とヒドロゲルの一軸圧縮強さの関係を示すグラフである。 酸性系シリカグルトにおけるシリカ濃度の違いが一軸圧縮強さ・体積変化率に及ぼす影響を示すグラフである。 正規化材令とヒドロゲルの体積変化率の関係を示すグラフである。 正規化材令とヒドロゲルの一軸圧縮強さの関係を示すグラフである。 酸性系シリカグラウト(6%)による一軸圧縮強さの経時変化を示すグラフである。 酸性系シリカグラウト(6%)による一軸圧縮強さと正規化材令の関係を示すグラフである。 酸性系シリカグラウト(12%)による一軸圧縮強さの経時変化を示すグラフである。 酸性系シリカグラウト(12%)による一軸圧縮強さと正規化材令の関係を示すグラフである。 一軸圧縮強さの予測値と実測値を示すグラフである。 豊浦砂における強度低下の閾値 各砂における強度低下が生じる時のヒドロゲルの体積収縮率と変形係数の閾値を示すグラフである。 注入材のpHと土中ゲルタイムの関係を示すグラフである。 土中pHと土中ゲルタイムの関係を示すグラフである。 シリカ濃度とS波速度の関係を示すグラフである。 シリカ濃度と一軸圧縮強さの関係を示すグラフである。 一軸圧縮強さとS波速度の関係を示すグラフである。 正規化材令とS波速度の関係を示すグラフである。 材令とS波速度の関係を示すグラフである。 S波速度の予測値と実測値の関係を示すグラフである。
本発明では初めに注入材のゲルタイムGTHGを確認する。図1は酸性系シリカグラウトにおける注入材のpHとゲルタイムGTHGの関係である。ゲルタイムGTHGは同一のシリカ濃度であれば、pHの低下に伴い長くなる傾向にある。また、同一のpHの場合では、シリカ濃度が高いものほどゲルタイムGTHGは短くなる傾向にある。
このような傾向は、活性シリカ系や活性複合シリカ系グラウトでも同様であるが、活性複合シリカ系グラウトでは注入材に含まれるコロイド含有率が高いものほど、同一のpHおよびシリカ濃度におけるゲルタイムは長くなる傾向にある。
このようにゲルタイムGTHGを確認したのち、ゲルタイムGTHGの異なるヒドロゲルを作製し、体積変化率と一軸圧縮強さを測定する。溶液注入材のゲル化メカニズムはシリカ粒子表面のシラノール基が重合しながら三次元的に高分子化し、流動性を失うことによるものであり、この反応はゲル化後も継続されるためヒドロゲルに体積変化が生じる。
図2はヒドロゲルの材令と体積変化率の関係であるが、体積変化率の負の値はヒドロゲルの収縮を、正の値は膨張を表すものである。ヒドロゲルの体積収縮はゲル化後に生じ、同一の材令ではゲルタイムGTHGが短いものほど大きくなる傾向にある。しかし、最終的な体積収縮率はゲルタイムGTHGに関わらずほぼ同程度となる傾向を示す。
図3はヒドロゲルの材令と一軸圧縮強さの関係であるが、一軸圧縮強さは体積変化率の継時的な傾向と概ね一致する傾向にある。
なお、図4はゲルタイムGTHGを180minに設定した酸性系グラウトの材令と体積変化率および一軸圧縮強さの関係であるが、同一の材令における一軸圧縮強さはシリカ濃度が高いものほど大きい傾向にあり、最終的な強度も同様である。一方、体積変化率はシリカ濃度に関わらず概ね同程度となる傾向を示す。このような傾向は活性複合シリカ系グラウトでも同様の傾向を示すが、これらの場合、コロイド含有率が高くなるほど一軸圧縮強さと体積収縮率は小さくなる傾向にある。
図5は図2の材令dayをゲルタイムGTHGで除した値を独立変数とし、体積変化率および一軸圧縮強さを従属変数とした正規化材令dayH(日/日)と体積変化率の関係であり、図6は図3の材令を正規化した正規化材令と一軸圧縮強さの関係である。
体積変化は正規化材令が100~300(日/日)程度で収束値の8割程度となる。また、一軸圧縮強さも正規化材令が100~500(日/日)で収束値の8割程度となっている。従って、ゲルタイムGTHGが異なる条件でも正規化材令100~500(日/日)の継時的な挙動より、長期的なヒドロゲルの特性の材令に伴う変化について、近似曲線を用いることにより予測することは可能と言える。
図7はシリカ濃度Csが6%、ゲルタイムGTHGの酸性系シリカグラウト用い、固化した砂の一軸圧縮強さの経時変化である。なお、砂には最も粒径の小さい砂として豊浦砂を、最も粒径が大きい砂として珪砂5号を、粒径が中位のものとして珪砂6号を使用している。なお、ここで使用した砂はきれいな砂であり、炭酸カルシウムをほとんど含まないものであるため、土中ゲルタイムGTSGはヒドロゲルのゲルタイムGTHGと同程度の300minとなっている。
いずれの砂においても一軸圧縮強さは増加したのち、低下する傾向を示すが、その値は一定値に収束する傾向にある。これは、図2及び図3に示したように、ヒドロゲルの体積変化率や一軸圧縮強さは継時的に一定値に収束する傾向があり、ヒドロゲルの反応が収束するとサンドゲルの強度特性も一定値に収束すると言える。
図8は図7の材令を土中ゲルタイムGTSGで除した正規化材令とサンドゲルの一軸圧縮強さの関係であり、強度低下が発生した材令28日(実材令)から正規化材令dayHが500(日/日)程度の範囲をプロットしている。ここで正規化材令を500(日/日)以上とした理由は、図5に示したようにヒドロゲル自身の体積変化が80%完了していることによるものである。なお、曲線は正規化材令を独立変数とし、一軸圧縮強さを従属変数として累乗関数にて決定した近似曲線である。
また、図9はシリカ濃度Csが12%、土中ゲルタイムGTSGが300minにおける結果であるが、濃度が低い6%ではいずれの砂でも強度低下が見られたが、12%においては豊浦砂に強度低下が見らえるものの珪砂6号および珪砂5号では強度低下が見られない。
よって、図10に示すように豊浦砂では強度低下が生じ始めた正規化養生日数から400(日/日)までで、珪砂6号と珪砂5号では養生初期より正規化材令500(日/日)以上の間で近似曲線を前述のとおり決定した。
このように決定した近似曲線を用い、材令300日(正規化養生材令1440(日/日)=300日/(300min/60min/24hour))の一軸圧縮強さを予測し、実測値との比較を行った。なお、ここでは実材令が1日~80日のデータを用い300日の強度を予測している。
図11は一軸圧縮強さの予測値と実測値の関係であるが、両者はおおむね1:1の線上にプロットされていることや、決定係数が高いことより、比較的精度よく長期強度を予測できていると言える。
図12は豊浦砂のサンドゲルの継時的な強度低下が生じたときのヒドロゲルの体積変化率と変形係数の関係である。なお、ここで示している注入材は酸性系シリカグラウトと活性シリカコロイド系グラウト、活性複合シリカ系グラウトであり、そのシリカ濃度は6%~29%、コロイド含有率は0~100%のものである。
シリカ濃度が12%のものでは、体積変化率が-26%までは一軸圧縮強さが増加傾向にあるが、それ以上の体積変化が生じるとサンドゲルの一軸圧縮強さに継時的な低下が見られた。一方、シリカ濃度が6%のものでは体積変化率が-22%まではサンドゲルの一軸圧縮強さは増加し、それ以上の体積変化が生じるとサンドゲルに経時的な強度低下が見られた。
このようにサンドゲルの強度低下を生じさせる体積変化率の違いはヒドロゲルの変形係数に違いがあり、さらに図13に示すように強度低下を生じさせるヒドロゲルの体積変化率と変形係数の閾値は砂の諸特性によって異なる傾向にある。
また、同図より、砂の種類が異なる場合でも、ヒドロゲルの体積が15%程度収縮すると強度低下が生じることが示唆されており、最も体積変化が生じやすい酸性系シリカグラウトにおけるこの時の正規化材令は100(日/日)となっている。従って、この付近のサンドゲルの強度の増減を重点的に把握することにより、長期強度の予測の精度が向上する。
ここでは、現場砂を用いたサンドゲルに対し非破壊試験を実施することにより、供試体作製本数や試験数量を低減した方法について説明を行う。
非破壊試験を用いる場合においても土中ゲルタイム測定を実施する。図14はpHが異なるシリカ濃度が6%の注入材に砂を混合し、測定した土中ゲルタイムの測定結果である。なお、〇で示しているものは注入材そのもののpHとゲルタイムの関係である。土中ゲルタイムは注入材のゲルタイムと比較して、同一のpHであっても短くなる傾向を示す。これは砂に含まれるアルカリ成分の影響であり、土そのもののpHが高いものや、砂に貝殻などの炭酸カルシムが多く含まれるものほど顕著となる。
なお、土に混合された状態の注入材のpH(土中pH)とゲルタイム(土中ゲルタイム)の関係を図15に示すが、土中の注入材は砂のpHや炭酸カルシウムなどの成分によって中性方向に移行し、ゲルタイムが短くなる傾向にある。従って、土中pHと土中ゲルタイムは一義的な関係となり、注入材そのもののpHとゲルタイムの関係の曲線上にプロットされる。つまり、土中における注入材の固化反応は砂の成分によって促進されることを示しているものであり、このことからも長期改良特性の予測に正規化材令を用いることの有効性が伺える。
このように土中ゲルタイムを確認したのち、シリカ濃度が異なるサンドゲルを作製し、非破壊試験としてベンダーエレメント法を用いS波速度を測定する。なお、作製する供試体本数は3~5本程度が望ましい。S波を測定した供試体に対し一軸圧縮試験を実施し、S波速度と一軸圧縮強さの検量線を求める。
図16はゲルタイムが12hour、シリカ濃度が3%~9%に設定された酸性系シリカグラウトによるサンドゲルにおけるシリカ濃度とS波速度の関係である。なお、土中ゲルタイムは3%で20min、6%で15min、9%では10minであった。
図17は図16にて使用した供試体のシリカ濃度と一軸圧縮強さの関係である。一軸圧縮強さおよびS波速度はシリカ濃度の増加に伴い高くなる傾向にあるが、その増加割合は砂の粒径や密度によって異なるため、試料ごとに求める必要がある。
このように求めたS波速度と一軸圧縮強さの関係を図18に示す。この図を長期強度の予測に用いる検量線とする。
図19は実材令が28日までのサンドゲルの正規化材令とS波速度の関係である。シリカ濃度3%のS波速度は増加したのち、一定値に収束する傾向を示す。一方、シリカ濃度が6%と9%では、養生初期よりS波速度が低下しながら一定値に収束する傾向を示した。これらの傾向について近似曲線を求め、正規化材令で5000程度のS波速度を予測すると、3%で79.0m/sec、6%で103m/sec、9%では133m/secとなる。なお、ここで5000程度とした理由は、図5及び図6に示したように正規化材令が5000ではヒドロゲルの反応はほぼ終了していることより、土粒子間のヒドロゲルの反応も収束値に達していると判断できるからである。
図20は実際に材令150日まで測定した材令とS波速度の関係であるが、先ほどの予測値は実測値に対応する結果となっている。
また、図21は同様の方法にて数種類の砂を対象に実施した試験結果であるが、予測値と実測値は1:1の関係にあることより本方法が妥当であることを確認できる。
なお、長期材令における一軸圧縮強さを求める方法は、予測した長期材令におけるS波速度を図18の近似曲線に与えることによって求めることができる。そして、予測した強度が供用期間中に必要な設計基準を満たしているかを判断し、適切な注入材の種類の選定や、濃度を決定する。
なお、破壊試験にて長期試験を実施する場合、バラツキを考慮し、1材令で2~3本の供試体が必要となり、10材令にて試験をする場合、20~30本の供試体の作製が必要となる。しかし、非破壊試験を用いることにより、検量線用として3本、非破壊試験用として予備を含め2本の計5本程度で実施することができ、大幅に供試体の作製本数を削減することが可能となる。

Claims (7)

  1. 活性シリカコロイド系、活性複合シリカ系、または中性・酸性系のグラウトによるサンドゲルの長期強度の推定方法であり、独立変数を養生日数を固化時間で除した正規化材令(日/日)と定義し、前記グラウトに関する設計パラメータを従属変数として、回帰分析によって長期強度を推定することを特徴とする薬液改良土の長期強度の推定方法。
  2. 請求項1記載の薬液改良土の長期強度の推定方法において、前記設計パラメータが、一軸圧縮強さ、液状化強度、変形係数、または粘着力であることを特徴とする薬液改良土の長期強度の推定方法。
  3. 請求項1または2記載の薬液改良土の長期強度の推定方法において、前記設計パラメータとS波速度の関係を求め、これを従属関数とし、回帰分析による長期材令におけるS波速度から強度を推定することを特徴とする薬液改良土の長期強度の推定方法。
  4. 請求項1~3の何れかに記載の薬液改良土の長期強度の推定方法において、前記長期強度の予測は、独立変数としての正規化材令が1日/日~500日/日、または500日/日より大となる期間の増減より回帰式を決定することを特徴とする薬液改良土の長期強度の推定方法。
  5. 請求項1~4の何れかに記載の薬液改良土の長期強度の推定方法を用い、供用期間が限定される構造物に関して、所定の期間改良効果が確保できることを確認し、注入材の配合を決定することを特徴とする薬液改良土の設計方法。
  6. 請求項5記載の薬液改良土の設計方法を用いて調合した活性シリカコロイド系、活性複合シリカ系、または中性・酸性系のグラウトを地盤に注入して地盤改良することを特徴とする地盤改良工法。
  7. 請求項6記載の地盤改良工法において、土中ゲルタイムを基準としたサンドゲルの長期強度を予測することにより、構造物の供用期間中に要求される性能を満たすことを確認して薬液を注入することを特徴とする地盤改良工法。
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