図1は、本発明に係る実施形態の一例としての電子機器10を示す平面図である。また図2は、電子機器10の側面図である。図1に示されているように、電子機器10は、その上面にヒートシンク20を備えている。そして図2に示されているように、ヒートシンク20は、筐体30に取り付けられている。詳しくは後述するが、ヒートシンク20は筐体30の内部にまで広がっており、その一部が筐体30の外部に露出している。
本実施形態の電子機器10は例えば産業用コンピュータであり、様々な外部機器との接続が可能である。図2に示されているように、電子機器10の筐体30の側面には様々な端子が設けられている。図2においては、電源端子31、USBコネクタなどの通信端子32、LANコネクタなどのネットワーク端子33、VGAコネクタなどの画像出力端子34、SDカード挿入口などのカードスロット35、といった端子が筐体30の側面に設けられている。また、本実施形態においては、外部記憶装置の一つとして、電子機器10に脱着式ハードディスク41が取り付けられている。この脱着式ハードディスク41は、電子機器10からの取り外しが容易となるように、外部に露出したグリップ42を備えている。
一方、図1に示されているように、ヒートシンク20の複数箇所(ここでは四隅)にはヒートシンク取付穴28が設けられている。本実施形態においては、ヒートシンク取付穴28と、筐体30に設けられたネジ穴(図示せず)とを通じるネジによってネジ留めが行われることで、ヒートシンク20が筐体30に取り付けられる。
そして、ヒートシンク20の上面で外部に露出している部分(後述の放熱部29)には、送風機50が取り付けられている。そしてこの送風機50の位置(後述の送風機取付部26)から、複数のフィン22(複数の放熱用突起の一例)が放射状に広がるようにして配置されている。
図1に示されている送風機50は、自身の上方から空気を取り込んで自身の下方へと空気(風)を送り込むように設けられている。送風機50の下方に送り込まれた空気が、ヒートシンク20の上面に沿って流れることにより、ヒートシンク20の放熱が行われる。ここで、フィン22が放射状に広がるようにして配置されていることにより、空気はヒートシンク20の上面で放射状に広がるようにして流れることになり、ヒートシンク20の上面全体にわたって効率よく放熱が行われる。
なお図1のヒートシンク20においては、フィン22同士の間に、送風機50より離れた位置からヒートシンク20の端まで伸びる、補助フィン22aが設けられている。補助フィン22aは平面視における長さがフィン22よりも短くなっている。補助フィン22aが設けられていることにより、平面視において送風機50に近い位置でも、送風機50から遠い位置でも、送風機50から送風される空気の流路の幅がほぼ同じとなる。これにより、送風機50に近い位置と、送風機50から遠い位置とで、空気の流速の差が少なくなり、ヒートシンク20の上面全体で、位置による放熱効果のムラが少なくなる。
図3には、送風機50が取り外された状態のヒートシンク20が示されている。送風機50は、ヒートシンク20の上面に設けられた送風機取付部26に取り付けられる。この送風機取付部26は、送風機50の外形寸法よりわずかに大きい寸法の領域であり、図3においては四角形状の領域となっている。
また、送風機取付部26には複数の送風機ネジ穴27が設けられている。本実施形態において、図1の送風機50は、送風機50に設けられた複数の送風機取付穴59と、図3の送風機ネジ穴27とを通じるネジによってネジ留めされることで、送風機取付部26に取り付けられる。
また、図3の送風機取付部26には送風機電源コネクタ56が設けられている。この送風機電源コネクタ56は、筐体30の内部で電子機器10の電源ラインに接続されている。送風機50の電源供給端子が送風機電源コネクタ56に接続されることで、送風機50は電子機器10から電力を供給されて作動することが可能となる。
そして、送風機取付部26には、低丈部24が設けられている。低丈部24は送風機取付部26以外の領域におけるフィン22(放熱用突起)と同じ向きで、かつフィン22よりも高さが低いフィン状突起である。すなわち、フィン22と低丈部24はひと繋がりのフィン状突起であり、送風機取付部26において高さが低くなるように段差が付いている。このフィン22と低丈部24との段差が、送風機取付部26とそれ以外の領域との境界となっている。また、低丈部24は送風機取付部26の外周部にのみ設けられており、送風機取付部26の内周部は、フィン22および低丈部24の設けられていない平坦部58となっている。
図2に示されているように、低丈部24が設けられていることにより、送風機取付部26に取り付けられる送風機50は、低丈部24に支持された状態となる。これにより、送風機取付部26に取り付けられる送風機50と、ヒートシンク20の上面(後述の放熱部29)との間には隙間が設けられることにいる。
次に、図4にはヒートシンク20の底面図が示されている。図4においては、筐体30から取り外された状態のヒートシンク20単体の形状が示されている。ヒートシンク20の底面には、複数の吸熱用突起25が設けられている。これらの吸熱用突起25は、後述する吸熱対象となる回路素子44の形状に合わせて配置され、また様々な形状となっている。図4においては、吸熱用突起25は、平面視において様々な寸法を持つ矩形状の突起となっている。図4には吸熱用突起25の高さは表されていないが、吸熱対象の高さに合わせて、吸熱用突起25の高さも様々な寸法となっていてよい。また図4においては、ヒートシンク20の上面に設けられる送風機取付部26の位置が破線で示されている。図4に示されているように、送風機取付部26の位置は吸熱用突起25から外れた位置となっている。
以上のような本実施形態の電子機器10における熱および空気の流れが、図5の断面図に示されている。図5に示されているように、筐体30は基板40を収容している。そして、基板40には複数の回路素子44が配置されている。これらの回路素子44の中には、IC(集積回路)などの、電子機器10に電力が供給されて作動すると発熱する素子が含まれている。
ヒートシンク20は筐体30の内部から外部にまで広がる、ひと繋がりの構造体として設けられている。そして、ヒートシンク20の底面の吸熱用突起25は、筐体30の内部において、回路素子44(特に、発熱する素子)と接触するように配置されている。以下、吸熱用突起25を含むヒートシンク20の下方部分を吸熱部21、フィン22(放熱用突起)を含むヒートシンク20の上方部分を放熱部29と呼ぶ。
吸熱部21の吸熱用突起25が回路素子44と接触していることにより、吸熱部21は回路素子44の発する熱49を吸熱する。そして、前述のようにヒートシンク20がひと繋がりの構造体であるため、吸熱部21の吸熱した熱49は放熱部29まで伝熱される。一方、送風機50は、自身の上方の空気を吸気53として取り込み、自身の下方へ風54として送り出す。風54はフィン22に沿って流れ、放熱部29を放熱(冷却)する。これにより、回路素子44が発する熱49が、送風機50の送り出す風54によって効率よく放熱される。
ここで、送風機50は送風機取付部26に設けられた低丈部24に支持されているため、送風機50とヒートシンク20の上面(放熱部29)との間には隙間が設けられている。送風機50から送り出される風54はこの隙間を通じて、放射状に広がるフィン22同士の間、またはフィン22と補助フィン22aとの間の溝として形成されている空気の流路を通っていく。このような構造であることにより、送風機50から送り出される風54は送風機50からヒートシンク20の外周部まで滑らかに導かれる。これにより、高い放熱効果が得られる。
本実施形態の電子機器10によれば、筐体30の内部から外部にまで広がるヒートシンク20の吸熱部21が、筐体30の内部で回路素子44と接触して吸熱し、筐体30の外部に露出した放熱部29が送風機50によって放熱(冷却)される。この電子機器10においては、筐体30の内部に風が送り込まれなくとも、回路素子44が十分に放熱される。したがって、防塵性を高めるために筐体30が密封空間となっていても、密封空間内の回路素子44が十分に放熱されることになる。このように、本実施形態の電子機器10によれば、高い防塵性と高い放熱性能がともに得られる。
また、送風機50はヒートシンク20に直接送風することで冷却を行うため、送風機50によって筐体30内に埃が入り込んでしまうことがない。したがって、埃を防ぐためのフィルタなどが送風機50に取り付けられる必要がない。よって、本実施形態の電子機器10ではフィルタ交換の費用と手間が不要である。さらに、送風機50は筐体30の外部に配置されているため、送風機50を交換するために筐体30を分解する必要がない。つまり、本実施形態の電子機器10では送風機50の交換も容易である。以上のことから、本実施形態の電子機器10は、低いコストで放熱効果を維持することが可能である(維持コストが低減される)。
なお、より放熱効果を高めるために、図6に示されているように、放熱部29のうち、送風機取付部26を除く領域に、筐体30から離れる側の面(ここでは上面)を覆う蓋体60が取り付けられてもよい。この蓋体60がフィン22の上方を覆うことにより、フィン22(および補助フィン22a)のなす空気の流路内から、空気が上方へと漏れ出ることがなくなるため、より効率的な放熱効果が得られる。空気の流れを円滑にするために、蓋体60は、フィン22(および補助フィン22a)同士の間に形成される空気の流路(溝)の上方を閉鎖する一方で、ヒートシンク20の外周で空気の出口となる部分(溝の外周側終端)は閉鎖せずに開放する形状であることが好ましい。
また、図7に示されているように、送風機取付部26に、送風機50に代えて放熱体52を取り付けることが可能であってもよい。放熱体52は例えば、送風機取付部26に収まる寸法の金属(例えばアルミニウム)の塊である。図7に示される放熱体52は、低丈部24に支持された状態で送風機取付部26内に収まっている。このような放熱体52が送風機取付部26に取り付けられた状態でも、回路素子44の発する熱は吸熱用突起25を含む吸熱部21を通じて、フィン22を含む放熱部29へと伝わる。送風機50が送風機取付部26から取り外された状態であっても、フィン22によってある程度の放熱効果は得られる。ここで、送風機取付部26に放熱体52が取り付けられていれば、各フィン22が相互に放熱体52によって熱的に接続された状態となり、フィン22のみで放熱を行う場合よりも高い放熱効果が得られる。図7では放熱体52の例としてブロック状の塊が図示されているが、放熱体52の形状はこれに限るものではない。例えば、放熱効果を高めるためにフィン状の突起が上面に設けられた部材が放熱体52として送風機取付部26に取り付けられてもよい。
また、ヒートシンク20のフィン22は、電子機器10の上面だけでなく、筐体30の側面の一部に沿って広がっていてもよい。筐体30の側面にまでフィン22が広がっていると、筐体30の側面に沿って風を流すことが可能となる。筐体30の側面に沿って風が流れることで、電子機器10全体の放熱性能がより向上する。例えば、筐体30の側面に沿って風が流れると、図2に示されているような脱着式ハードディスク41のグリップ42に風が当たることになる。グリップ42が脱着式ハードディスク41との間で伝熱するように設けられていれば、筐体30の側面に沿って風が流れることで、脱着式ハードディスク41の冷却も可能となる。
また、図1においては送風機50がヒートシンク20のほぼ中央に取り付けられているが、送風機50の取り付け位置(すなわち、送風機取付部26)の位置はヒートシンク20の中央である必要はない。送風機取付部26の位置は、図5に示されている放熱対象の回路素子44の配置に応じて決定される。図5において、最も放熱効果が高くなるのは、風54の勢いが最も強い位置である。風54の勢いが強くなるのは、送風機50の位置(送風機取付部26)ではなく、風54がフィン22(および補助フィン22a)同士の間の流路を通過するときである。したがって、吸熱用突起25は、フィン22(または補助フィン22a)が形成されている位置に対応する底面側に形成されることが好ましい。そのため、図4に示されているように、送風機取付部26の位置は吸熱用突起25から外れた位置となっている。そして、最も高熱を発する回路素子44(例えばCPU)が基板40の中央に設けられている場合には、送風機取付部26はヒートシンク20の中央から外れた位置に設けられることが好ましい。
また、本実施形態においては放熱部29に設けられている放熱用突起をフィン22としたが、放熱用突起の形状はこれに限るものではなく、柱状や錐体状の放熱用突起が放熱部29に複数設けられていてもよい。放熱用突起が柱状や錐体状であっても、それらの放熱用突起が送風機取付部26から放射状に広がるように配置されていることが好ましい。放熱用突起が放射状に広がることで、送風機50からの送風による放熱が効率よく行われる。放熱用突起が柱状や錐体状の場合には、送風機50に近い位置から送風機50に遠い位置にかけて徐々に放熱用突起の配置密度が高くなっているようにすると、位置による放熱効果のムラが少なくなる。
また、本実施形態においては送風機50が送風機取付部26にネジ留めされるものとしたが、送風機50を送風機取付部26に取り付ける方法はネジ留めに限るものではない。例えば送風機50が送風機取付部26に対して嵌め込み式の方法で取り付けられてもよい。嵌め込み式の方法で送風機50が取り付けられる場合、送風機50を簡単な操作で送風機取付部26から取り外せるような機構(例えばスナップフィット)が設けられていることが好ましい。
次に、本発明に係る実施形態の別例としての電子機器について説明する。図8には、本実施形態の電子機器が備えるヒートシンク70と送風機50の側面図が示されている。本実施形態においては、電子機器のうちヒートシンク70と送風機50以外の構成要素(筐体30や基板40など)は図1の実施形態における電子機器10と同様であるため、図示を省略する。また説明のために、ヒートシンク70と送風機50についても図示を簡略化する。
本実施形態においても、ヒートシンク70は図5に示されているヒートシンク20と同じく、筐体30の内部にまで広がっている部分と、筐体30の外部に露出する部分とを備えている。すなわち、ヒートシンク70は、図5のヒートシンク20の吸熱部21(筐体30の内部において回路素子44の少なくとも1つから吸熱する部分)に相当する部分と、放熱部29(筐体30の外部に露出する部分)に相当する部分とを備える。本実施形態のヒートシンク70が図5のヒートシンク20と異なるのは、外部に露出する部分である。本実施形態の説明においては、主にヒートシンク70のうち筐体30の外部に露出する部分について述べる。
本実施形態においては、ヒートシンク70の上面に複数のフィン72(放熱用突起の一例)が設けられている。本実施形態におけるフィン72は、図9に示されているヒートシンク70および送風機50の平面図からもわかるように、平行に並べられた複数のフィン状突起である。
図8および図9に示されているように、本実施形態においては、ヒートシンク70の上方(すなわち、電子機器の筐体から離れた位置)に送風機50が設けられている。この送風機50は例えば、筐体に取り付けられる図示しないアームなどで支持されることにより、ヒートシンク70の上方に配置される。
送風機50は自身の下方、すなわちヒートシンク70(の放熱部)に対して送風を行う。ここで、図8に仮想線で示されているように、フィン72の高さがすべて同じであったとすると、フィン72に遮られずに送風機50から離れた位置(図示されていない筐体の側面に近い位置)にまで風54を送り出すためには、送風機50はヒートシンク70から大きく離れた位置(高い位置)に配置される必要がある。
そこで、本実施形態においては、図8に示されているように、フィン72(放熱用突起)の高さが、送風機50に臨む位置(ここでは送風機50の真下)から、ヒートシンク70の図中左右端部に近づくほど(図示されていない筐体の側面に近づくほど)低くなるように設計されている。
これにより、図8に示されている通り、フィン72が全て同じ高さの場合に比べて、送風機50の高さが低くても、ヒートシンク70の図中左右端部にまで、フィン72に遮られずに風54が送り出される。
風54の勢いは送風機50から離れすぎると弱くなるため、高い放熱効果を得るためには、送風機50とヒートシンク70の距離が近い方が好ましい。したがって、本実施形態によれば、ヒートシンク70の図中左右端部にまで風54が送り出されることに加え、ヒートシンク70と送風機50との距離が近いため、高い放熱効果が得られる。
また、図10に示されているように、さらに高い放熱効果が得られるように、ヒートシンク70の上側(筐体から離れる側)でフィン72を覆う蓋体62が取り付けられてもよい。このように、蓋体62がフィン72の上側を覆っていると、送風機50から送り出される風はフィン72同士の間の溝から上側に漏れ出ることがなくなるため、より効率的な放熱効果が得られる。空気の流れを円滑にするために、蓋体62は、フィン22同士の間に形成される空気の流路(溝)の上方を閉鎖する一方で、ヒートシンク70の端部で空気の出口となる部分(図9内の上下端)は閉鎖せずに開放する形状であることが好ましい。
また、フィン72に対して蓋体62が取り付けられている場合には、この蓋体62に送風機50が取り付けられてもよい。例えば図10に示されているように、蓋体62のフィン72側の面(放熱用突起側の面)に送風機50を取り付け可能な送風機取付部63が設けられるとよい。送風機取付部63は、送風機50をネジ留め可能なネジ穴を有するものであってもよいし、送風機50を嵌め込み可能な窪みであってもよい。例えば蓋体62がプラスチックのような弾性を有する素材である場合に、送風機取付部63として送風機50の寸法よりもやや小さい寸法の窪みが設けられているとよい。この場合、送風機取付部63を弾性変形させながら嵌め込まれた送風機50は、蓋体62の復元力によって送風機取付部63に保持されることになる。なお、送風機50が外気を取り込むことが可能なように、蓋体62のうち、送風機50の空気取り込み口に面する部分は、開口している、あるいはメッシュ状になっているなど、空気が通過可能な形態となっていることが好ましい。
また、フィン72に対して蓋体62が取り付けられている場合には、蓋体62のフィン72側の面(放熱用突起側の面)に、送風機50に対して電力供給を行うための電源ケーブル51が配置されるとよい。図10においては、電源ケーブル51は送風機50から、蓋体62のフィン72側の面に沿って蓋体62の外側へと導かれる。電源ケーブル51がフィン72側の面に沿うことが可能となるように、フィン72側の面には電源ケーブル51を保持するための機構(例えば溝)が設けられているとよい。図10において蓋体62はヒートシンク70の図中左端から右端までを覆っているため、蓋体62の外側へと導かれた電源ケーブル51は、ヒートシンク70を備える電子機器の外部の電力源に接続されることも可能である。また電子機器から電力供給を行うための端子が筐体の側面にしか設けられていない場合でも、電源ケーブル51が蓋体62の外側へと導かれることで、容易に電源ケーブル51を筐体の側面へと導くことが可能である。このように、電源ケーブル51が蓋体62のフィン72側の面に沿って蓋体62の外側へと導かれることで、電源ケーブル51はフィン72同士の間の溝を通らなくとも電力源にまで導かれる。すなわち、電源ケーブル51は、蓋体62のフィン72側の面に沿うことで、送風機50による放熱に影響を与えることなく、電力源にまで導かれるようになる。
なお、図8、図9、図10においては、説明の簡略化のためにヒートシンク70の上面に設けられる放熱用突起の形状を、平行な複数のフィン72としたが、放熱用突起の形状はこれに限るものではない。このような、送風機50がヒートシンク70(および筐体)から離れた位置に設けられる実施形態においても、送風機50に臨む位置から放射状に広がるように複数のフィンが配置されていてもよい。また、柱状や錐体状の放熱用突起がヒートシンク70の上面に複数設けられてもよい。放熱用突起の形状が柱状や錐体状である場合には、放熱用突起の上端を結ぶ曲面が、送風機50に臨む位置を頂点とするドームを描くように、放熱用突起の高さが設定されるとよい。具体的には、図9で言うと、左右方向だけでなく上下方向にも放熱用突起の高さが変化するとよい。
次に、図11、図12、図13を用いて、ヒートシンクの形状の別形態について説明する。これらの別形態は、図5のヒートシンク20における放熱部29(上部)の形状の別形態であり、吸熱部21(下部)の形状は図5のものと同様でよい。
図11に平面図が示されるヒートシンク80においては、図3のヒートシンク20と同様に、四隅にヒートシンク取付穴88が設けられている。そしてヒートシンク80の上面の一部には、送風機取付部86が設けられている。この送風機取付部86には、送風機ネジ穴89が設けられている。また、送風機取付部86を起点として、放射状に広がるフィン82と、送風機取付部86より離れた位置からヒートシンク80の端まで伸びる、補助フィン85が設けられている。フィン82は、送風機取付部86の外周部領域においては高さが低くなり、低丈部84となっている。そして、送風機取付部86から特定の方向(図11では左方向)には、放射状ではなく平行に配置された平行フィン81が設けられている。
このように、放射状に設けられたフィン82のうち一部だけが平行フィン81となっていると、他の部分よりも平行フィン81同士の間の溝を通る風の勢いが強くなることが期待される。そのため、特に高熱となる回路素子44(例えばCPU)が存在する場合には、その回路素子44に対応する位置(上方)を通るように平行フィン81が設けられることで、効率的に回路素子44を放熱できるようになる。
図12に平面図が示されるヒートシンク90は、平行な複数のフィン92が設けられたヒートシンク90の上面(放熱部)に対して、切削加工で放射状に切削部94が設けられたものである。このヒートシンク90も四隅にヒートシンク取付穴98が設けられているほか、上面の一部には、フィン92の配置されていない送風機取付部95が設けられている。送風機取付部95には、送風機ネジ穴99が設けられている。そして切削部94は、送風機取付部95を起点としてヒートシンク90の端部にまで放射状に広がるような溝が形成されるように、フィン92を切削して設けられる。このように、一般的な形状である平行なフィン92が設けられたヒートシンク90に対して、切削加工で放射状に広がる溝を形成したものでも、ヒートシンク90上面での風の広がり方のムラが小さくなる。すなわち、送風機取付部95からの風が、フィン92が平行な形状のままの場合よりも、ヒートシンク90上面全体に広がるようになる。
図13は、ヒートシンク90のさらなる別形態を示している。図13に平面図が示されるヒートシンク90の放熱部には、放熱用突起として、平行な複数のフィン92と、複数の放熱ピラー97が設けられている。複数のフィン92はそれぞれ第1の方向(図13において左右方向)に延びており、第1の方向と交差する第2の方向(図13において上下方向)に並んでいる。放熱部の一部には、フィン92の配置されていない送風機取付部95が設けられている。そして送風機取付部95に対して第2の方向(上下方向)に位置する領域においては、フィン92に代えて複数の放熱ピラー97が配置されている。放熱ピラー97が配置されている領域の幅(第1の方向の寸法)は、送風機取付部95と同じ幅である。また、複数の放熱ピラー97のそれぞれは互いに、第1の方向(左右方向)および第2の方向(上下方向)に間隔を空けて配置されている。
放熱ピラー97は例えば、切削加工によって形成される。以下、第1の方向を左右方向、第2の方向を上下方向と呼ぶ。左右方向に延びる平行な複数のフィン92に対して、切削加工で上下方向に溝を切るようにして切削部94が設けられる。切削部94は、送風機取付部95に対して上下方向に位置する領域に設けられる。また、切削部94は左右方向に複数並んで設けられる。切削加工後のフィン92の残存部分によって、複数の放熱ピラー97が形成される。複数の放熱ピラー97のそれぞれは、柱状の突起となる。上下方向に間隔を空けて並んでいるフィン92に対して、切削部94が左右方向に複数並んで設けられることによって、複数の放熱ピラー97のそれぞれは、左右方向および上下方向に間隔を空けて配置されたものとなる。なお、放熱ピラー97の形成方法は切削加工に限るものではなく、例えば、フィン92および放熱ピラー97に対応する形状の金型を用いたプレス成型によってフィン92および放熱ピラー97が形成されてもよい。また、第1の方向および第2の方向の向きは任意である。例えば第1の方向が上下方向、第2の方向が左右方向であってもよい。
図13に示されているように、複数のフィン92は上下方向に間隔を空けて並んでいるため、送風機取付部95に対して左右方向に位置するフィン92同士の間には、左右方向に延びる溝が形成されている。したがって、送風機取付部95からの左右方向へと流れる風54は、フィン92同士の間を円滑に通り抜けることができる。さらに、複数の放熱ピラー97のそれぞれが互いに、左右方向および上下方向に間隔を空けて配置されているため、送風機取付部95から上下方向に流れる風54は、放熱ピラー97の間を円滑に通り抜けることができる。そのため、図13のヒートシンク90においては、送風機取付部95からの風54が、左右方向にも上下方向にも円滑に流れる。したがって、送風機取付部95からの風54がヒートシンク90上面全体にムラなく広がり、高い冷却性能が得られる。
なお、放熱ピラー97が配置されている領域に対して左右方向(第1の方向)に位置するフィン(肉厚フィン93)は、送風機取付部95に対して左右方向(第1の方向)に位置するフィン92よりも大きな厚み(第2の方向の寸法)を有していることが好ましい。肉厚フィン93の領域は、放熱ピラー97を形成するための切削加工が施される領域である。肉厚フィン93の厚みが大きければ、肉厚フィン93の強度が高くなるため、肉厚フィン93に対して、放熱ピラー97を形成するための切削加工が施しやすくなる。また肉厚フィン93の厚みが大きければ、切削加工後に残存する放熱ピラー97の寸法が大きくなるため、放熱ピラー97の1つあたりの表面積が大きくなり、より高い冷却性能が得られる。なお、フィン92の厚みは、送風機取付部95から離れた位置ほど大きくなっていることが好ましい。例えば図13においては、送風機取付部95の上下方向に隣接する領域の、中間フィン93aの厚みは、送風機取付部95に対して左右方向に位置するフィン92と、肉厚フィン93との間の厚みとなっている。送風機取付部95から離れた位置ほどフィン92の厚みが大きくなっていれば、フィン92および放熱ピラー97の表面積が、送風機取付部95から離れた位置ほど大きくなり、送風機取付部95から離れた位置でも高い冷却性能が得られる。
また図13においては、ヒートシンク取付穴98はヒートシンク90の上面に現れない。図13において破線で示されているヒートシンク取付穴98は、図13には図示されない筐体の下方から、ヒートシンク90の裏面まで通じており、ヒートシンク90の上面に貫通はしない。ヒートシンク90の裏面からヒートシンク取付穴98を通じてネジ留めが行われる。ヒートシンク取付穴98がヒートシンク90の上面に現れていないことにより、フィン92はヒートシンク90の四隅にまで延びることが可能であり、ヒートシンク90上面全体で高い放熱効果が得られる。
また図13においては、送風機電源コネクタ56が、送風機取付部95と隣接した位置に設けられている。図13においては送風機取付部95の左上に送風機電源コネクタ56が設けられている。送風機電源コネクタ56が送風機取付部95と隣接した位置に設けられていると、ヒートシンク90の上面に向けて吹き付けられる風が、送風機電源コネクタ56によって遮られず、高い冷却性能が得られる。また送風機電源コネクタ56が送風機取付部95と隣接した位置に設けられていると、図13には図示されない送風機が送風機取付部95に配置される作業と、送風機の電源供給端子が送風機電源コネクタ56に接続される作業とが別々の工程で行うことが可能となり、送風機の取り付けが容易となる。また、フィン92のうち、送風機電源コネクタ56に近接する部分は、面取りされて、送風機電源コネクタ56に向けて傾斜した傾斜部56aが形成されていることが好ましい。傾斜部56aが形成されていることにより、送風機の電源供給端子が送風機電源コネクタ56へと接続され易くなる。なお、送風機電源コネクタ56の位置は、送風機取付部95の左上に限られない。例えば送風機電源コネクタ56は、送風機取付部95に対して上下方向に隣接する位置、すなわち放熱ピラー97が配置された領域に設けられてもよい。
また図13においては、送風機取付部95に設けられた低丈部96は、フィン92とひと繋がりの突起ではない。低丈部96は、送風機取付部95の内周部に設けられた、フィン92および放熱ピラー97よりも高さの低い柱状突起となっている。送風機取付部95に送風機が配置されると、低丈部96に送風機が支持されて、送風機と、ヒートシンク90の上面(放熱部)との間に隙間が設けられることになる。送風機取付部95および低丈部96は例えば、切削加工によって設けられるとよい。例えば左右方向に延びる平行な複数のフィン92(肉厚フィン93、中間フィン93aを含む)が上面全体に設けられたヒートシンク90に対して、上下方向に溝を切って切削部94および放熱ピラー97が設けられる。この時点ではヒートシンク90の中央近くにも放熱ピラー97が存在するが、送風機取付部95となる領域に対してさらに切削加工が行われ、送風機取付部95の外周部から放熱ピラー97が取り払われる。そして、送風機取付部95の内周部では放熱ピラー97の先端部が切り払われて、低丈部96が形成されるとよい。なお送風機取付部95および低丈部96の形成方法は切削加工に限るものではなく、例えば送風機取付部95および低丈部96に対応した形状の金型を用いたプレス成型によって送風機取付部95および低丈部96が形成されてもよい。
以上の実施形態においては、図5のヒートシンク20、図8のヒートシンク70、図11のヒートシンク80、図12のヒートシンク90、図13のヒートシンク90はいずれも、ひと繋がりの構造体(連続体)である。このようなヒートシンク20,70,80,90は、例えばアルミニウムなどの金属の塊を削り出すことで作成することができる。以下代表として図5のヒートシンク20について述べるが、吸熱部21から放熱部29までひと繋がりの構造体であることにより、筐体30の内部から外部へと熱を効率的に放熱することが可能である。
しかしながら、ヒートシンク20は必ずしも吸熱部21から放熱部29までひと繋がりの構造体である必要はなく、例えば図14に示されているように、吸熱部21と放熱部29とが別々の部材であってもよい。そして、吸熱部21と放熱部29とが熱的に連続するように連結される(例えば吸熱部21と放熱部29のそれぞれに設けられているヒートシンク取付穴28を通じて、吸熱部21と放熱部29とがネジ留めされる)ことにより、ヒートシンク20がひと繋がりの構造体である場合と同様に、効率的に放熱効果が得られるようになる。吸熱部21と放熱部29とが熱的に連続するように連結するにあたっては、吸熱部21と放熱部29との接触面が互いに平坦で密着するようになっていれば、ほぼヒートシンク20がひと繋がりの構造体である場合と同様の放熱効果が得られる。また、吸熱部21と放熱部29との接触面に、熱伝導グリスや熱伝導シートが配置されてもよい。吸熱部21と放熱部29とが別々の部材であると、回路素子44の配置変更があった場合にも、吸熱用突起25の配置が変更された吸熱部21を取り換えるだけで、放熱部29を使い回すことが可能となる。また、より放熱効果の高いフィン22(および補助フィン22a、低丈部24)の配置が発見された場合には、放熱部29を取り換えるだけで、吸熱部21を使い回すことが可能となる。このように、吸熱部21と放熱部29とが別々の部材であると、ヒートシンク20の運用コストが低減することが期待される。
以上、いずれの実施形態においても、筐体30内でヒートシンク20の吸熱部21が電子機器10の回路素子44から吸熱し、筐体30の外部に露出したヒートシンク20の放熱部29に対して送風機50が送風を行う構造となっている。これにより、筐体30が密封空間となっていても、密封空間内部で発熱する回路素子44を、筐体30の外部から放熱(冷却)することが可能であり、電子機器10の防塵性と放熱性能が両立される。また空間に対してではなくヒートシンク20に対して送風を行う送風機50にはフィルタが必要ないため、フィルタにかかるコストが不要である。さらに、送風機50は筐体30の外部に配置されるため、送風機50自体の交換も容易である。フィン22も外部に露出しているため、必要があれば洗浄することも容易であり、メンテナンス性がよい。