JP2023089430A - ラテラルフローデバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量かつ安価で、大量生産及び画像解析に適した均質性の高いラテラルフローデバイスを開発し、提供する。【解決手段】少なくとも1枚の表面が疎水性素材でシボ加工された光透過性プラスチックプレートを、毛細管現象で液体が展開し得る間隙を保持できるように前記シボ加工された面で貼り合わせたラテラルフローデバイスを提供する。【選択図】図1-1

Description

本発明はラテラルフローデバイス及びそれを用いた検出対象物の定量方法に関する。
イムノクロマトグラフィー法は、妊娠判定、インフルエンザウイルス等の抗原検出キットにおいてイムノクロマトグラフィー用デバイスとして応用され、医療分野で幅広く利用されている。しかし、従来のイムノクロマトグラフィー用デバイスは試料の展開に毛細管現象を利用するため、ガラスファイバーやニトロセルロース等の不透明な素材で構成されたフィルターが用いられていた(特許文献1)。そのため、測定対象物の検出は主に目視で行われており、定量化は困難であった。
上記問題点を解決するため、近年ではガラスプレートを用いたイムノクロマトグラフィー用デバイスが開発されている。例えば、特許文献2は、粗面ガラスプレートで構成されたデバイスを開示している。ガラスプレートを試料溶液で濡らすことによって、半透明プレートを透明又は透明に近い状態にした上で、粗面表面に固定した抗原により試料中の測定対象物を捕捉し、外部からデバイスに照射した際の透過光量として数値化することによって測定対象物の定量化を実現している。
ところが、ガラス表面の粗面加工は、サンドブラスト等によって加工されるためガラス表面の凹凸がプレート間で不均一となる。それによってガラス表面をスキャンしたり、撮像後、画像解析により捕捉した測定対象物を数値化したりしようとしても、散乱光や反射光がデバイスごとに異なるため得られる数値にばらつきが生じ、再現性のある精度の高い定量が難しいという問題があった。また、ガラスは細かい加工が困難であり、均質な製品を大量生産する場合、製造コストが高額となるという問題もあった。さらに、ガラス自体の比重が大きく、衝撃にも弱いため輸送や取扱いも容易でないという問題も包含していた。
特開2011-257138 特許第6039965号
本発明は、軽量かつ安価で、大量生産及び画像解析に適した均質性の高いラテラルフローデバイスを開発し、提供することを目的とする。
本発明は、試料中の検出対象物を光学的に、高感度かつ高精度に検出及び定量が可能な方法を開発し、提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ね、従来の粗面加工したガラスプレートに代えて、表面が疎水性素材でシボ加工された光透過性プラスチックプレートを用いることで上記課題を解決することに成功した。PET樹脂等の光透過性プラスチックは、ガラスに比べて比重が小さいため、デバイス当たりの重量をガラスの約1/10にまで軽量化できる。またプラスチックプレートは、成形やその後の加工も容易であり、シボも各プレート表面の特定部位に再現的に形成できるため、均質なデバイスを安定的に、かつ大量に製造することが可能となる。またそのデバイスを用いることで、試料中の検出対象物を従来方法と比較して、光学的に高感度で検出でき、また高い精度で定量することができる。本発明は、当該開発結果に基づくものであって以下を提供する。
(1)少なくとも1枚の表面が疎水性素材でシボ加工された光透過性プラスチックプレートを、毛細管現象で液体が展開し得る間隙を保持できるように前記シボ加工された面で貼り合わせたラテラルフローデバイス。
(2)試料を導入するための導入部、導入した試料が各部間を展開するための展開部、試料中の検出対象物と反応する検出剤を前記シボの表面に固定化した固定部、試料中の前記検出対象物と前記検出剤との反応産物を検出する検出部、及び試料廃液を回収する回収部を備える、(1)に記載のラテラルフローデバイス。
(3)前記光透過性プラスチックプレート間で前記間隙を提供するスペーサーを含む、(1)又は(2)に記載のラテラルフローデバイス。
(4)前記光透過性プラスチック表面の一部がシボ加工されている、(1)~(3)のいずれかに記載のラテラルフローデバイス。
(5)前記光透過性プラスチックプレートの貼合面が親水性素材である、(1)~(4)のいずれかに記載のラテラルフローデバイス。
(6)前記シボの深さが0.3μm~1.5μmである、(1)~(5)のいずれかに記載のラテラルフローデバイス。
(7)前記スペーサーの厚さが5μm~30μmである、(3)~(6)のいずれかに記載のラテラルフローデバイス。
(8)異なる検出剤を固定した2以上の前記固定部を含む、(2)~(7)のいずれかに記載のラテラルフローデバイス。
(9)前記検出剤が標識されている、(2)~(8)のいずれかに記載のラテラルフローデバイス。
(10)前記検出剤が核酸、ペプチド、タンパク質、又は低分子化合物である、(2)~(9)のいずれか記載のラテラルフローデバイス。
(11)前記核酸が核酸アプタマー又は核酸結合ドメイン認識配列を含む核酸断片である、(10)に記載のラテラルフローデバイス。
(12)前記ペプチド又はタンパク質が抗原、抗体若しくはその活性断片、リガンド、又はレセプター若しくはそのリガンド結合領域である、(10)に記載のラテラルフローデバイス。
(13)前記検出対象物が核酸、ペプチド、タンパク質、又は低分子化合物である、(2)~(12)のいずれかに記載のラテラルフローデバイス。
(14)(1)~(13)のいずれかに記載のラテラルフローデバイスを用いて試料中の検出対象物を定量する方法であって、導入部より試料を導入する導入工程、検出部における検出対象物と検出剤との反応産物を検出する検出工程、及び前記検出工程での検出結果に基づいて試料中の検出対象物の量を測定する測定工程を含む、前記定量方法。
(15)前記反応産物の検出が反応産物から発せられる蛍光、発光、又は発色に基づく、(14)に記載の定量方法。
(16)前記検出対象物の量の測定が蛍光強度、発光強度、又は色彩濃度に基づく、(15)に記載の定量方法。
本発明のラテラルフローデバイスによれば、軽量で画像解析、及び色彩濃度(吸光度)測定に適した均質のデバイスを低コストで、安定的に、かつ大量に提供することができる。
本発明のラテラルフローデバイスの模式図である。Aは上面図、Bは下側面図、及びCは横側面図を示している。この図では、ラテラルフローデバイス(0100)を構成する導入部(0101)、展開部(0102)、固定部(0103)、検出部(0104)、及び回収部(0105)が、デバイス上で、それぞれ独立して存在する基本実施形態を示している。 本発明のラテラルフローデバイスの他の実施形態を示す模式図である。Aは上面図、Bは下側面図、及びCは横側面図を示している。この図では、ラテラルフローデバイス(0100)を構成する各部のうち、固定部(0103)と検出部(0104)が一体化した状態で存在する実施形態を示している。 本発明の検出対象物定量方法のフロー図である。 本発明の実施例で使用したラテラルフローデバイス(0300)の構成部材を示す模式図である。Aは上面図、Bは下側面図、及びCは横側面図を示している。ここで図示するラテラルフローデバイス(0300)は、光透過性プラスチックプレート(0301/0302)及びスペーサー(0304)で構成されている。光透過性プラスチックプレートの一方(0302)は、シボ加工(0303)がされている。なお、図3では、図1で示した導入部(0101)及び回収部(0105)も図示している。図3で示したラテラルフローデバイス(0300)は、図1-2で示した実施形態のように、固定部と検出部が一体化されている。
1.ラテラルフローデバイス
1-1.概要
本発明の第1の態様はラテラルフローデバイスである。本発明のラテラルフローデバイスは、表面が疎水性素材でシボ加工された光透過性プラスチックプレートで構成されることを特徴とする。本発明によれば、画像解析、及び吸光度測定に適した均質で、かつ低コストのデバイスを提供することができる。
1-2.定義
本明細書で使用する以下の用語について定義する。
本明細書において「ラテラルフローデバイス」(本明細書では、しばしば「デバイス」と略称する)とは、デバイス端部に添加された液体試料がデバイス内を毛細管現象により展開する過程で、デバイス内に固定された捕捉体や触媒体等によって液体試料中に含まれる生物学的試料を検出又は分析する試料測定デバイスをいう。通常は、抗体が捕捉体としてデバイス内に固定され、抗原抗体反応により試料中の抗原を検出する用途に使用されるため、イムノクロマトグラフィー用デバイス、又は検査ストリップとも呼ばれる。しかし、本明細書のデバイスでは、抗体に限定されることなく、抗原、酵素、核酸アプタマー等を捕捉体や触媒として包含し得る。
本明細書において「光透過性プラスチック」とは光を透過する性質を有する合成樹脂をいう。本明細書の光透過性プラスチックにおける光透過率は、光を透過する限り限定はしないが、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上であればよい。通常は60%以上の半透明性樹脂~透明性樹脂が選択される。具体的には、例えば、ポリメチレンメタクリレート(PMMA:アクリル樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリレート(PA)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、及びポリプロピレン(PP)等が挙げられる。本明細書の光透過性プラスチックは、熱可塑性又は熱硬化性のいずれであってもよいが、成形性、加工性が容易な素材が好ましい。
本明細書において「シボ」とは、素材表面に付与される微細な凹凸模様をいう。
本明細書において「シボ加工」とは、光透過性プラスチックプレートにシボを表面加工することをいう。
本明細書において「疎水性素材」とは、水に対する親和性の低い素材をいう。多くのプラスチックは、通常、疎水性素材に該当する。前記光透過性プラスチックにおいて例示したプラスチックも疎水性である。本明細書では疎水性のプラスチックを疎水性プラスチックと表記する。
本明細書において「親水性素材」とは、水に対する親和性の高い素材をいう。例えば、ガラス等が挙げられる。親水性素材の表面では、水は撥水されることなく、水の膜を形成して薄く広がる。
本明細書において「試料」とは、本発明のデバイスにおいて分析、又は検出に供される試験対象物をいう。試料は、検出対象物を包含し得る物質であれば限定はしない例えば、細胞、組織、体液の他個体から検出対象物を抽出した抽出液、含む、下水、海水、湖水等を包含する。
本明細書において「試料廃液」とは、本発明のデバイスに供された後、分析又は検出が完了した試料をいう。原則として、本発明のデバイスにおける検出部を通過した試料が該当する。
本明細書において、「体液」とは、液体状態の生体試料をいう。例えば、血液(血清、血漿及び間質液を含む)、髄液、尿、リンパ液、消化液(唾液を含む)、汗、鼻汁、涙、精液、膣液、神経根周囲液、腹水、胸水、各組織若しくは細胞の抽出液等が挙げられる。
本明細書において「検出対象物」とは、本発明のラテラルフローデバイスによって検出すべき物質をいう。検査対象物の種類は限定しないが、試料中に包含されえる生体由来物がその例として挙げられる。
本明細書において「生体由来物」とは、生物の代謝によって生産される物質をいう。例えば、ペプチド、タンパク質、糖、脂質、低分子化合物等が該当する。
本明細書において「検出剤」とは、試料中の検出対象物と結合又は反応する薬剤をいう。例えば、核酸、ペプチド、タンパク質、又は低分子化合物等が該当する。
本明細書において「核酸」とは、原則として、ヌクレオチドを構成単位とし、それらがホスホジエステル結合によって連結した生体高分子をいう。通常は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)及びチミン(T)のいずれかの塩基を有するデオキシリボヌクレオチドが連結したDNA、及び/又はアデニン、グアニン、シトシン及びウラシル(U)のいずれかの塩基を有するリボヌクレオチドが連結したRNA等の自然界に存在する天然型ヌクレオチドが連結してなる天然型核酸が該当する。
本明細書において「ペプチド」とは、2~20個のアミノ酸がペプチド結合によって鎖状に連結されたアミノ酸重合体をいう。本明細書ではオリゴペプチドと同義とする。
本明細書において「タンパク質」とは、21個以上のアミノ酸がペプチド結合によって鎖状に連結されたアミノ酸重合体をいう。本明細書ではポリペプチドと同義とする。
本明細書において「核酸結合性タンパク質」とは、核酸結合ドメイン(Nucleic acid-Binding Domain)を包含し、ゲノムDNA等の核酸配列上に存在する特定の結合配列を認識し、それに結合するタンパク質をいう。例えば、転写因子が挙げられる。また、前記核酸結合ドメインはDNA結合ドメイン及びRNA結合ドメインのいずれであってもよい。核酸結合ドメインを構成する具体的な構造モチーフの例として、ジンクフィンガー、ロイシンジッパー、βヘアピン、ヘリックスターンヘリックス、ヘリックスループヘリックス、ウィングヘリックス、HMGボックス、RRMドメイン、及びTALエフェクター等が挙げられる。
本明細書において「低分子化合物」とは、分子量約数百~数千の天然化合物又は化学合成物をいう。分子構造、及び種類は特に限定しない。
本明細書において「核酸アプタマー」とは、核酸で構成されたアプタマーであって、水素結合等を介した一本鎖核酸分子の二次構造、及び三次構造に基づいて形成される立体構造に基づいて標的物質と強固、かつ特異的に結合する能力を持つリガンド分子をいう。本明細書においては、試料中に含まれる標的物質(例えば、ペプチド又はタンパク質)と強固、かつ特異的に結合する核酸アプタマーが該当する。核酸アプタマーは、一般に、RNAアプタマーとDNAアプタマーが知られているが、本明細書における核酸アプタマーを構成する核酸は特に限定はしない。DNAアプタマー、RNAアプタマー、DNAとRNAの組み合わせで構成されるアプタマーのいずれも含み得る。
本明細書において「核酸結合ドメイン認識配列」とは、核酸結合性タンパク質が、包含する核酸結合ドメインを介して認識し、結合する標的塩基配列をいう。核酸結合ドメイン認識配列は、ゲノム上やRNA上に存在し、パリンドローム配列のような特定の塩基配列で構成されている。核酸結合ドメイン認識配列の具体例として、プロモーター中に含まれる転写因子結合配列等が挙げられる。前記核酸結合ドメインは、DNAに結合するDNA結合ドメインとRNAに結合するRNA結合ドメインを含む。核酸結合ドメインを構成する具体的な構造モチーフの例として、限定はしないが、ジンクフィンガー、ロイシンジッパー、βヘアピン、ヘリックスターンヘリックス、ヘリックスループヘリックス、ウィングヘリックス、HMGボックス、RRMドメイン、及びTALエフェクター等が挙げられる。
本明細書において「核酸結合ドメイン認識核酸」とは、前記核酸結合ドメインの標的核酸である。
1-3.構成部材
本発明のラテラルフローデバイスの構成部材を図3で示す。この図で示すように、本発明のラテラルフローデバイス(0300)は、光透過性プラスチックプレート(0301/0302)を必須構成部材として、またスペーサー(0304)を選択的構成部材として含む。以下、各構成部材について具体的に説明をする。
(1)光透過性プラスチックプレート
本明細書において「光透過性プラスチックプレート」(本明細書では、しばしば「プレート」と略称する)(0301/0302)とは、光透過性プラスチックで構成される板状部材であって、本発明のデバイスの外部形状を決定する基板をいう。
本発明のデバイスにおいてプレートは、単一素材の光透過性プラスチックで構成されていてもよいし、2以上の異なる素材の光透過性プラスチックの組合せで構成されていてもよい。後者の例として、異なる2種類の光透過性プラスチックからなる2層構造のプレートが挙げられる。
プレートの全体形状は、概ね本発明のデバイスの形状である。その具体的な形状については、特に限定はしない。デバイスとして必要な形状に合わせればよい。例えば、矩形、正方形、多角形、円形、楕円形、不定形、又はそれらの組合せが挙げられる。通常は矩形が好適である。
プレートの大きさも、限定はしないが、一般的なデバイスの大きさの範囲内であればよい。例えば、デバイスが矩形であれば20mm~100mm×5mm~18mm、30mm~80mm×8mm~15mm、又は40mm~60mm×10mm~15mmの範囲にあればよい。
光透過性プラスチックプレートの厚さは、本発明のデバイスの効果である低コスト、低重量、及び均質性を維持する限り、特に限定はしない。通常は、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、100μm以上、200μm以上、300μm以上、400μm以上、500μm以上、600μm以上、700μm以上、800μm以上、900μm以上、又は1mm以上であればよく、また4mm以下、3.5mm以下、3.0mm以下、2.5mm以下、2.0mm以下、又は1.5mm以下であればよい。
後述の「1-4.構成」に記載の通り、本発明のデバイスはプレートを原則として少なくとも2枚包含する。本発明のデバイスでは、このうち少なくとも1枚のプレート(0302)表面が疎水性素材でシボ加工(0303)されている。シボ加工の方法は、当該分野で公知のシボ加工方法に従えばよい。本発明のデバイスは、量産される各デバイスが均質であることを特徴とする。シボはその均質性に直接関与する流路を形成する部位であるため、個々のデバイスに同一形状又は準同一形状のシボをコピーできる加工方法であれば限定はしない。通常はプラスチックプレートの成形時に鋳型に形成されたシボを表面転写するか、成形後のプラスチックプレートの表面に金型に形成されたシボをプレス加工により転写すればよい。
シボ加工は、プレートの表裏いずれか一面又は両面の、全面又は一部領域に施されていればよい。
本発明のデバイスにおいては、シボ加工で形成されたシボがプレートに粗面表面を提供する。
プレートにおけるシボの形状は限定しない。皴状のような不定形状であってもよく、又は立方形や半球形のような特定形状を有する複数の凸部及び/又は凹部で構成される形状であってもよい。あるいは、同一形状、及び/又は異なる形状の複数のシボからなる特定のパターンが繰り返された形状であってもよい。
シボの深さ、すなわちシボを構成する凸部最高部と凹部最低部間の距離は、例えば、0.3μm以上、0.5μm以上、0.6μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上、又は0.9μm以上であればよく、さらに1.5μm以下、1.4μm以下、1.3μm以下、1.2μm以下、1.1μm以下、又は1.0μm以下であればよい。
前記シボが特定形状を有する複数の凸部又は凹部で構成される場合、凸部又は凹部の間隔は、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、又は100μm以上であればよく、また1000μm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、又は200μm以下であればよい。
プレートにおいて、少なくともシボ加工された領域は疎水性プラスチックで構成されている。疎水性プラスチックは、その表面が撥水性を有する一方で、特段の前処理を要することなく、疎水結合によってペプチドやタンパク質等をその表面に吸着固定することができる。
一方、プレートの貼合面、すなわち本発明のデバイスを構築するためプレートどうしを対向させる面において、シボ加工された領域以外の領域は親水性素材で構成されていてもよい。本発明のデバイスにおいて、後述する導入部等の各部は、プレート間の狭い間隙内に形成されている。貼合面が親水性素材であれば、尿等の水溶性生体試料は、その間隙内を容易に展開することができるため好適である。親水性素材は、親水性の光透過性プラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート)の他、疎水性の光透過性プラスチック表面に形成される親水性被膜であってもよい。例えば、ガラス等のシリカ系被膜が挙げられる。
(2)スペーサー
本明細書において「スペーサー」(0304)とは、本発明のデバイスにおける選択的部材であって、前記プレート間に毛細管現象で液体が展開し得る間隙を提供する部材である。スペーサーは、貼合するプレート間に配置され、自身の厚さによって前記間隙を提供する。
スペーサーの厚さは、毛細管現象により液体が展開できる厚さであれば限定はしない。例えば、5μm~30μm、6μm~28μm、7μm~26μm、8μm~24μm、9μm~22μm、10μm~20μm、12μm~18μm、又は14μm~16μmの厚さであればよい。スペーサー全体で、厚さは均一であることが好ましいが、例えば、後述する導入部から検出部の方向に向かって厚さに勾配があってもよい。
スペーサーの形状は、本発明のデバイス全体に均一の間隙を提供できる形状であれば特に限定はしない。例えば、デバイスにおいて試料の流路を確保するため、デバイス端部に沿った線状形態であればよい。具体的な例として、デバイスが矩形の場合、スペーサーは、その長辺に沿った紐状形態であればよい。スペーサー全体は等幅である必要もない。
スペーサーの素材は、試料によって溶解又は変性しない材質であれば、特に限定はしない。また、光透過性である必要もない。例えば、プラスチック(エポキシ樹脂を含む)、金属、ガラス等であればよい。スペーサーの具体例として、両面テープが挙げられる。
1-4.構成
本発明のラテラルフローデバイスは、対向する光透過性プラスチックプレートが、毛細管現象で液体が展開し得る間隙を保持した状態で貼り合わされた構造を有する。この間隙が、デバイスにおける流路を形成すると共に、後述する固定部、展開部、検出部、及び回収部をその内部に備える。このときプレートにおいて、シボ加工された面が前記間隙内部に面するように構成される。
プレートはデバイスの本体を構成する。デバイスを構成するプレートの枚数は問わない。通常は同一又は準同一形状の2枚のプレートが対向してデバイスを構成するが、1枚、又は3枚以上の光透過性プラスチックプレートで構成されていてもよい。1枚の場合、例えばシボ加工された面を内側にしてプレートを2つ折りした構成が挙げられる。また3枚の場合、1枚のプレートに対して、2枚のプレートを対向させて貼り合わせる構成が挙げられる。1枚のプレート上に2つのデバイスが形成される場合等が該当する。後者の場合、対向するプレートの形状は異なる。
本発明のラテラルフローデバイスにおける一実施形態の模式図を図1に示す。この図で示すように、本発明のデバイス(0100)は、導入部(0101)、展開部(0102)、固定部(0103)、検出部(0104)、及び回収部(0105)を含む。以下、各部について説明をする。
1-4-1.導入部
「導入部」(0101)は、本発明のデバイスにおいて試料を導入するための部であって、外部に開口した部として構成される。
デバイスにおける導入部の配置場所は限定しないが、デバイスが液体試料を毛細管現象により展開する過程で生物学的試料を検出又は分析するという構成を考慮すれば、デバイス端部付近に配置することが好ましい。
導入部の構成は限定しない。デバイス上面を構成するプレートに設けられた、外部から間隙にまで貫通した孔であってもよいし、貼合されたプレートにおける間隙端部であってもよい。導入部の形状は問わない。例えば、前記孔の場合、方形、円形、又は多角形状等、いずれの形状であってもよい。
導入部の大きさも限定しない。デバイスの大きさや導入する試料の種類及び/又は容量等を勘案して適宜定めればよい。導入部が前述の間隙端部である場合には、その開口サイズが導入部となる。また導入部が前述の孔である場合には、直径又は長辺の長さデバイスの短辺の1/2以下、1/3以下、1/4以下であればよい。
導入部から液体状態の試料がデバイスの間隙間に導入されることにより、試料中の検出対象物の検出及び/又は分析が開始される。
1-4-2.展開部
「展開部」(0102)は、デバイス内に導入した試料が各部間を展開するための部であって、デバイス内の主要な流路として構成される。ここでいう「各部間」とは、当該展開部を除く、他の部間、例えば、導入部-固定部間、固定部-検出部間、及び検出部-回収部間等が該当する。
展開部は、プレート間の間隙において他の部を構成しない領域で構成される。試料が水溶液の場合、試料が間隙間を円滑に展開できるように、展開部は親水性素材で構成されていることが好ましい。
導入部から導入された試料は、固定部、及び検出部を経て回収部へ、それぞれ展開部を介して毛細管現象によって展開される。
1-4-3.固定部
「固定部」(0103)は、本発明のデバイスにおいてシボを有する部であって、検出剤をシボの表面に固定化することで、導入された試料中の検出対象物と検出剤との反応の場を提供する。そのため、本発明のデバイスにおいて、シボは少なくとも固定部に相当する領域に存在し、当該領域におけるシボにのみ検出剤が固定されている。このときシボの凹部は固定部における流路を構成する。
デバイスにおいて固定部は、導入部と検出部の間に配置される。導入部-固定部間、及び固定部-検出部間には、前述の通り展開部が介在するが固定部と検出部は隣接していてもよいし、後述のように一体化していてもよい。
検出剤は、前述のように、試料中の検出対象物と結合又は反応することにより、検出対象物を特異的に捕捉又は検出することのできる薬剤である。例えば、核酸、ペプチド、タンパク質、又は低分子化合物が該当する。より具体的には、例えば、核酸であれば核酸アプタマー又は核酸結合ドメイン認識配列を含む核酸断片が、ペプチド又はタンパク質であれば抗原、抗体若しくはその活性断片、リガンド、又はレセプター若しくはそのリガンド結合領域が、挙げられる。
固定部に固定される検出剤は、必要に応じて標識されていてもよい。標識は検出剤の種類に応じて、当該分野で公知の標識物質を利用すればよい。
検出剤の標識位置は、検出剤に種類、及び標識物質の特性や使用目的に応じて適宜定めればよい。例えば、検出剤が核酸であれば、リン酸基、糖、及び/又は塩基を標識すればよい。特に5'末端部及び/又は3'末端部は標識部位として好適に利用される。また、検出剤がペプチド又はタンパク質であれば、構成アミノ酸残基を標識すればよい。ペプチド又はタンパク質であれば、各アミノ酸残基の側鎖、又はN末端アミノ酸残基のアミノ基、若しくはC末端アミノ酸残基のカルボキシ基が標識部位として好適に利用される。さらに、検出剤が低分子化合物であれば、包含する官能基が標識部位として好適に利用される。
標識物質には、当該分野で公知のあらゆる物質を利用することができる。例えば、放射性同位元素、蛍光物質、クエンチャー、化学発光物質、DIG、ビオチン、又は磁気ビーズ等が挙げられる。
「放射性同位元素」とは、質量数が異なる同位元素のうち、放射線を放出する元素をいう。例えば、32P、3H、14Cが挙げられる。
「蛍光物質」とは、特定波長の励起光を吸収することで励起状態となり、元の基底状態に戻る際に蛍光を発する性質を有する物質をいう。例えば、FITC、ローダミン、フルオレサミン、フルオレセイン、Texas Red[登録商標]、Cy3、Cy5、Cy7、FAM、HEX、JOE、ROX、TET、Bodipy493、NBD、TAMRA、Quasar[登録商標]、CAL Fluor[登録商標]Red610、SYBR Green[登録商標]、Eva Green[登録商標]、SYTOX Green[登録商標]等が挙げられる。
「クエンチャー」とは、前記蛍光物質の励起エネルギーを吸収し、蛍光を抑制する性質を有する物質をいう。例えば、AMRA、DABCYL、BHQ-1、BHQ-2、又はBHQ-3等が挙げられる。
「化学発光物質」とは、化学反応によって励起された後、基底状態に戻る際に、差分のエネルギーを光として放出する性質を有する物質をいう。例えば、アクリジニウムエステル等が挙げられる。
検出剤への標識は、同一の、又は異なる二以上の標識物質で複数箇所に標識することができる。標識物質で標識された検出剤と結合した検出対象物は、後述の検出部で試料中の検出対象物と検出剤との結合反応又は化学反応の結果生成される複合体又は反応を検出する際にその指標となり得る。
検出剤のシボへの固定化方法は、特に限定されない。前述のように疎水結合を介して固定することができる他、当該分野で公知の固定化方法を用いて固定することできる。例えば、シランカップリング法を用いて固定することもできる。
本発明のデバイスにおいて、固定部を2以上含んでいてもよい。その場合、各固定部のシボに固定される検出剤は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、この場合、デバイスにおける各固定部の配置も限定はしない。導入部及び検出部間に並列配置してもよいし、又は直列配置してもよい。あるいは、導入部と検出部の間に第一の固定部を配置し、検出部と回収部の間に第二の固定部とそれに続く第二の検出部を配置することもできる。
導入部から導入された試料中に目的の検出対象物が包含される場合、試料が固定部のシボ間を通過する過程で、検出対象物はシボに固定された検出剤と特異的に反応する。
固定部での検出対象物と検出剤との反応は、結合反応、又は化学反応を包含する。結合反応には、限定はしないが、例えば、抗原抗体反応(免疫反応)、リガンド-レセプター結合反応、核酸-ペプチド(タンパク質)結合反応等が挙げられる。化学反応には、限定はしないが、例えば、触媒反応が挙げられる。触媒反応には、例えば、分解反応、リン酸化反応、発光反応、蛍光反応、又は発色反応等が含まれる。
検出対象物と検出剤の反応によって反応産物が生成される。
1-4-4.検出部
「検出部」(0104)は、固定部で試料中の検出対象物と前記検出剤との反応によって生じた反応産物を検出する部である。検出部における反応産物の検出によって、試料中に含まれる検出対象物の有無、及び/又は定量が可能となる。
検出部には、反応産物を可視化、又は計測可能なように構成されている。例えば、反応生成物によって活性化され、発光又は発色する基質物質を含むことができる。
反応産物の検出は、それらの存在又は存在量を直接的に又は間接的に示す指標を検出又は測定することで達成し得る。ここで言う「指標」は、限定はしないが、例えば、色素強度、発光強度、蛍光強度、吸光度、及び放射線強度が挙げられる。
デバイスにおいて検出部は、固定部と回収部の間に配置され、それらの間に展開部を備えた構成を基本とするが、前述のように検出部は固定部と隣接又は一体化されていてもよい。一体化される例として、検出対象物と前記検出剤との反応により、固定部で直ちに前記指標を生じる場合が挙げられる。
1-4-5.回収部
「回収部」(0105)は試料廃液を回収する部である。回収部は、不要となった試料廃液を回収することで、試料廃液の逆流を阻止すると共に、デバイス内の毛細管現象によって発生する試料の展開力と展開方向を維持する。
本発明のデバイスは、導入部から導入された液体試料が毛細管現象によって展開力を得ることによって機能する。この毛細管現象はデバイス内の間隙に試料が充満することで消失し、同時に試料の展開力も失われる。
回収部では、分析や反応の完了した試料廃液を毛細管現象により取り込むことで、デバイス内の間隙が試料によって充満した後も試料に展開力を付与し続けることができる。このときデバイス内での回収部の位置を決定することによって、導入部から回収部への試料の流向を制御できる。通常はデバイス内部の間隙を無駄なく利用するために導入部と回収部は、限定はしないが、デバイス内で互いに最も離れた位置、例えば対向する両端部に配置される。
回収部には試料廃液を回収し、部内に保持するため、吸水性の高い素材が充填されている。例えば、植物性繊維及び/又は動物性繊維の集合体、高吸水性ポリマー(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等)が挙げられる。
回収部は、必要に応じてデバイスから着脱可能な構成にすることもできる。回収部が試料廃液の回収容量を超える場合、新たな回収部と交換することによって、デバイス内の毛細管現象による試料の展開力を維持することができる。
2.検出対象物定量方法
2-1.概要
本発明の第2の態様は、検出対象物定量方法である。本発明の方法では、前記第1態様に記載のラテラルフローデバイスを用いて、試料中の検出対象物を定量する。本発明の検出対象物定量方法によれば、光透過性プラスチックプレートで構成された均質な第1態様に記載のデバイスを用いることにより、検出対象物を光学的に高い精度で定量することが可能となる。
2-2.工程
本発明の検出対象物定量方法におけるフロー図を図2に示す。この図で示すように本方法は、導入工程(S0201)、検出工程(S0202)、及び測定工程(S0203)を必須工程として含む。以下、各工程について、説明をする。
2-2-1.導入工程
「導入工程」(S0201)は、前記第1態様に記載のデバイス導入部より試料を導入する工程である。
導入する試料は、原則として液体であり、好ましくは水溶液である。ただし、試料の形態が固体であっても、水等の溶媒に溶解又は懸濁して液体状態にすることで本方法の試料として用いることができる。
試料の導入は、ピペット、シリンジ等を用いて導入部に挿入又は滴下することで達成し得る。
2-2-2.検出工程
検出工程(S0202)は、検出部における検出対象物と検出剤との反応産物を検出する工程である。導入部より導入された試料は、デバイス内部の展開部を経由して固定部に達する。固定部では、シボに固定化された検出剤と試料中の検出対象物が反応し、反応産物が生じる。本工程では、デバイスの検出部を通して前記反応産物を検出する。検出は、例えば、反応産物から直接的に、又は間接的に発せられる蛍光、発光、又は発色や、外部から検出部に照射された透過光の強度に基づいて行えばよい。
検出方法は限定しない。目視による前記指標の検出であってもよいし、撮像素子やフォトダイオード等の検出素子を用いた検出であってもよい。本発明のデバイスは光透過性プラスチックプレートで構成されており、検出部も光透過性を有する。したがって、検出部を経由した透過光を、前記検出素子を含むカメラやルミノメーター等の撮像装置で検出する方法は、特に好ましい。
2-2-3.測定工程
測定工程(S0203)は、前記検出工程での検出結果に基づいて試料中の検出対象物の量を測定する工程である。
本工程では、前記検出工程で得られた検出結果を、測定装置を用いて定量化する。測定装置は、前記撮像装置や吸光光度計を用いることができる。定量は、反応産物の絶対量を測定して得られる絶対値であってもよいが、検出された反応産物における蛍光強度、発光強度、又は色彩濃度等の強度に基づく相対値として算出してもよい。本発明の方法では相対値として定量することが好適である。相対値の場合、陰性対照及び/又は陽性対照の対照値を取得しておくことが好ましい。
本発明を以下の実施例により具体的に例示する。ただし、本発明の実施形態は、以下の実施例範囲に限定されるものではない。
<実施例1>
(目的)
本発明のラテラルフローデバイスを作製し、試料中の検出対象物の定量性を検証する。
(方法)
光透過性プラスチックプレートには、エンボス加工したPETシート(厚さ0.125mm)と透明PETシート用いた。シボに相当するエンボス部の一部に精製したヒトヘモグロビンA1c(自家精製)を固定化して固定部とした。プレート表面の他の領域を1%のBSA(ナカライテスク株式会社)でブロッキングした後、両プレートを乾燥させた。次に、2枚のプレートを固定部が内側となるようにして、厚さ5μmの両面テープをスペーサーとして用いて両プレートを貼り合わせた。これを、5μmの間隙を有する本発明のラテラルフローデバイスとした。
作製したラテラルフローデバイスの流路端部である一方の間隙開口部に回収部として吸水剤(セルロースパウダー)を配置し、他方の開口部を導入部として、この導入部から金コロイド標識化抗ヒトヘモグロビンA1cモノクローナル抗体(自家製)とヒトヘモグロビンA1cを混合した試料をアプライした。試料がデバイス内を流れきった時点で、検出部(本デバイスでは固定部と一体化されている)において発色したラインの濃度を測定した。具体的には、検出部に照射した光の透過光をデジタルカメラで撮影し、測定対象物質を捕捉した検出部全体を数値化し、積分値として測定した。
(結果)
得られた測定値を積分値で表1に示す。
Figure 2023089430000002
表1に示すように、本発明のラテラルフローデバイスを用いることで、検出対象物を高い精度で定量することが可能となった。
<実施例2>
(目的)
本発明のラテラルフローデバイスによる試料中の検出対象物の定量性を異なる試料を用いて検証する。
(方法)
基本操作は実施例1に準じて行った。本実施例では、デバイスの固定部にヤギ抗マウスIgG(蛋白精製工業社にて委託製造した抗血清を自家精製)を固定化して、実施例1と同様にデバイスを作製した。導入部から、まずマウスIgG溶液(自家精製)をアプライし、デバイス内の流路を流れ切った後、導入部から金コロイド標識化抗ヤギIgG溶液(蛋白精製工業社にて委託製造した抗血清を自家精製後、金コロイド標識)をアプライした。試料がデバイス内の流路を流れ切った時点で、検出部において発色したラインの濃度を実施例1と同じ方法により測定した。
(結果)
得られた測定値を積分値で表2に示す。
Figure 2023089430000003
実施例1と同様に、本発明のラテラルフローデバイスを用いることで、種類に寄らず検出対象物を高い精度で定量できることが明らかとなった。
<実施例3>
(目的)
本発明のラテラルフローデバイスと従来法のイムノクロマトグラフィー用デバイスをそれぞれ複数用いて、同一試料中の検出対象物の測定値の精度について検証を行う。
(方法)
本発明のラテラルフローデバイスは、実施例1の方法で作製したデバイスを用いた。
従来法のデバイスの作製には、メッシュ目が細かく、再現性の良い細胞診断用全面フロストスライドグラス(松浪硝子工業社)をデバイス用プレートの一方に用いた。メッシュ部の一部を固定部として、ヒトヘモグロビンA1cを固定化し、ガラスプレート表面の他の領域はBSAでブロッキングした。ガラスプレートを乾燥させた。次に、ガラスプレートを固定部が内側となるようにして、実施例1で調製した透明PETシートと共に、厚さ5μmの両面テープを用いて貼り合わせた。これを、5μmの間隙を有する従来法のイムノクロマトグラフィー用デバイスとした。
それぞれ6つのデバイスを用いて、実施例1と同様に金コロイド標識化抗ヒトヘモグロビンA1c抗体とヒトヘモグロビンA1cを混合した試料を導入部よりアプライした。試料がデバイス内を流れきった時点で、検出部において発色したラインの濃度を実施例1と同様に測定した。各デバイスで得られた積分値の平均値、及び標準偏差と変動係数を算出し、デバイス間での測定値のばらつきを比較した。
(結果)
従来法の粗面ガラスプレートを有するデバイスの測定結果を表3に、本発明の光透過性プラスチックプレートを有するデバイスの測定結果を表4に示す。
Figure 2023089430000004
Figure 2023089430000005
表3及び4の結果から明らかなように、デバイス間での測定値のばらつきを表す変動係数は、従来法の粗面ガラスデバイスが13.11であったのに対して、本発明のラテラルフローデバイスでは3.588しかなく、3.5倍以上の差があること示された。この結果から、本発明のラテラルフローデバイスは、デバイス間での測定値にばらつきが少なく、従来法のデバイスと比較して精度の高い定量が可能なことが明らかとなった。

Claims (16)

  1. 少なくとも1枚の表面が疎水性素材でシボ加工された光透過性プラスチックプレートを、毛細管現象で液体が展開し得る間隙を保持できるように前記シボ加工された面で貼り合わせたラテラルフローデバイス。
  2. 試料を導入するための導入部、
    導入した試料が各部間を展開するための展開部、
    試料中の検出対象物と反応する検出剤を前記シボの表面に固定化した固定部、
    試料中の前記検出対象物と前記検出剤との反応産物を検出する検出部、及び
    試料廃液を回収する回収部を備える、
    請求項1に記載のラテラルフローデバイス。
  3. 前記光透過性プラスチックプレート間で前記間隙を提供するスペーサーを含む、請求項1又は2に記載のラテラルフローデバイス。
  4. 前記光透過性プラスチック表面の一部がシボ加工されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のラテラルフローデバイス。
  5. 前記光透過性プラスチックプレートの貼合面が親水性素材である、請求項1~4のいずれか一項に記載のラテラルフローデバイス。
  6. 前記シボの深さが0.3μm~1.5μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載のラテラルフローデバイス。
  7. 前記スペーサーの厚さが5μm~30μmである、請求項3~6のいずれか一項に記載のラテラルフローデバイス。
  8. 異なる検出剤を固定した2以上の前記固定部を含む、請求項2~7のいずれか一項に記載のラテラルフローデバイス。
  9. 前記検出剤が標識されている、請求項2~8のいずれか一項に記載のラテラルフローデバイス。
  10. 前記検出剤が核酸、ペプチド、タンパク質、又は低分子化合物である、請求項2~9のいずれか一項に記載のラテラルフローデバイス。
  11. 前記核酸が核酸アプタマー又は核酸結合ドメイン認識配列を含む核酸断片である、請求項10に記載のラテラルフローデバイス。
  12. 前記ペプチド又はタンパク質が抗原、抗体若しくはその活性断片、リガンド、又はレセプター若しくはそのリガンド結合領域である、請求項10に記載のラテラルフローデバイス。
  13. 前記検出対象物が核酸、ペプチド、タンパク質、又は低分子化合物である、請求項2~12のいずれか一項に記載のラテラルフローデバイス。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載のラテラルフローデバイスを用いて試料中の検出対象物を定量する方法であって、
    導入部より試料を導入する導入工程、
    検出部における検出対象物と検出剤との反応産物を検出する検出工程、及び
    前記検出工程での検出結果に基づいて試料中の検出対象物の量を測定する測定工程
    を含む、前記定量方法。
  15. 前記反応産物の検出が反応産物から発せられる蛍光、発光、又は発色に基づく、請求項14に記載の定量方法。
  16. 前記検出対象物の量の測定が蛍光強度、発光強度、又は色彩濃度に基づく、請求項15に記載の定量方法。
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