JP2023087367A - 潤滑油の性能診断方法と性能診断装置 - Google Patents

潤滑油の性能診断方法と性能診断装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023087367A
JP2023087367A JP2021201708A JP2021201708A JP2023087367A JP 2023087367 A JP2023087367 A JP 2023087367A JP 2021201708 A JP2021201708 A JP 2021201708A JP 2021201708 A JP2021201708 A JP 2021201708A JP 2023087367 A JP2023087367 A JP 2023087367A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating oil
performance
waveform
calculated
parameters
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021201708A
Other languages
English (en)
Inventor
裕宜 川野
Hironobu Kawano
啓之 芳賀
Hiroyuki Haga
朋之 栗原
Tomoyuki Kurihara
隆英 阪上
Takahide Sakagami
大輝 塩澤
Daiki Shiozawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2021201708A priority Critical patent/JP2023087367A/ja
Publication of JP2023087367A publication Critical patent/JP2023087367A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

【課題】酸化劣化や添加剤の消耗、水分や摩耗粉の混入といった各劣化形態を、単一の装置で同時に定量評価することを可能とする。【解決手段】照射装置を用いてテラヘルツ波を潤滑油Lに照射し、潤滑油Lを透過した透過波または潤滑油Lから反射した反射波を検出装置40にて取得し、該取得したデータを基に、複数のパラメータを算出し、算出した複数のパラメータを用い、潤滑油Lの粘度、酸化程度、添加剤の消費量、水分量、金属摩耗粉量の少なくとも2つを分離同定する。かかる潤滑油の性能診断方法において、テラヘルツ時間領域分光法によりデータを取得し、該取得したデータを基に、複数のパラメータを算出してもよい。【選択図】図3C

Description

本発明は、潤滑油の性能診断方法と性能診断装置に関する。
回転機器においては、これらの損傷を未然に防ぐべく、運転中に異常の兆候を早期検出するための状態監視技術が求められる場合がある。潤滑油は、回転機器の機械部品が円滑に動作する上で重要な要素の一つである。潤滑油基油の酸化劣化や、水や金属摩耗粉などの異物の混入などが生じると、潤滑性能の低下につながり、その結果、構成部品の摩耗が増加し、最終的に設備が破損する場合もあり得る。このため、回転機器の状態を監視するにあたっては、潤滑油の状態、特に劣化の程度をモニタリングして正確に診断することが重要となっている。
このような潤滑油の劣化状態の診断では、一般的には以下に示すような項目を対象としたモニタリングが行われている。
・基油の酸化劣化
・酸化防止剤などの添加剤の消費
・水分の混入
・金属摩耗粉の混入
例えば、基油の酸化劣化や添加剤の消費、水の混入が進行すると、潤滑性能の低下を引き起こす。また、潤滑油中の金属摩耗粉は一般に硬質であるため、摺動面の摩耗の加速を引き起こす。これらはいずれも重要な情報であり、稼働中の設備において、これらを簡便にモニタリングする技術が求められている。実際、これら監視項目をモニタリングするという従来の技術には、
・赤外線吸収スペクトル法を用いて潤滑油の酸化劣化度を測定する技術(例えば特許文献1参照)
・赤外線吸収スペクトル法を用いて添加剤(酸化防止剤)の量を測定する技術(例えば特許文献2参照)、もしくは、可視光(白色光)を対象に透過させ、透過光の色データをもとに添加剤濃度を測定する技術(例えば特許文献3参照)
・可視光(白色光)を対象に透過させ、透過光の色データをもとに水分量を測定する技術(例えば特許文献4参照)
・可視光(白色光)を対象に透過させ、透過光の色データをもとに金属摩耗粉量を測定する技術(例えば特許文献5参照)
といったものがある。
特開2003-028793号公報 特開平08-226896号公報 特開2019-078718号公報 特開2013-156170号公報 特開2017-102052号公報
しかし、実際の機器では、酸化劣化や水分の混入、金属粉の混入といった複数の劣化の事象が同時に発生するにもかかわらず、単一の監視項目を対象とした従来の技術では、これらを識別して定量評価することは困難であった。
そこで、本発明は、酸化劣化や添加剤の消耗、水分や摩耗粉の混入といった各事象を、同時に定量評価することを可能とする潤滑油の性能診断方法と性能診断装置を提供することを目的とする。
上記のごとき課題を解決するにあたり、本発明者は有機物に対する透過力の強いテラヘルツ波に着目し、これを潤滑油に照射し、透過波等の情報をもとに潤滑油の劣化形態と劣化程度を同定することについて検討した。その結果、複数の測定パラメータを用いることで、潤滑油の粘度、酸化劣化程度や添加剤の消耗量、水分や金属粉の混入量といった各種特性を精度よく分離同定することが可能になるとの知見を得た。
かかる知見に基づく本発明の一態様は、潤滑油の性能を診断する性能診断方法であって、
照射装置を用いてテラヘルツ波を潤滑油に照射し、
潤滑油を透過した透過波または潤滑油から反射した反射波を検出装置にて取得し、
該取得したデータを基に、複数のパラメータを算出し、
算出した複数のパラメータを用い、潤滑油の粘度、酸化程度、添加剤の消費量、水分量、金属摩耗粉量の少なくとも2つを分離同定する、潤滑油の性能診断方法である。
テラヘルツ波(一般的に周波数0.1THz~10THzもしくは波長30μm~3mm)は、従来、潤滑油測定に使用されていた可視光(波長360nm~830nm)や赤外線(波長2.5μm~25μm)に比べて波長が長く、潤滑油中で減衰しにくい。このような特徴を有するテラヘルツ波を利用すれば、劣化が進み、可視光や赤外線が透過しにくくなった潤滑油に対しても、安定した透過測定を実現することが可能となる。また、テラヘルツ波は樹脂材料に対しても高い透過性を示すため、樹脂製の測定容器を用いれば、潤滑油と非接触で測定することができる。このため、センサ表面が汚れることなく測定することが可能である。このようなテラヘルツ波を利用して取得した複数の測定パラメータを用いることで、潤滑油の酸化劣化や添加剤の消耗、水分や金属摩耗粉の混入といった各性能を分離同定することができる。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法のパラメータとして、潤滑油が無い状態あるいは潤滑油が劣化していない状態でテラヘルツ波を照射して得られる透過波形または反射波形を基準となる参照状態を表す参照波形とし、測定対象たる潤滑油にテラヘルツ波を照射して得られる透過波形または反射波形をサンプル波形とし、参照波形とサンプル波形の両方から算出されるものを用いてもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、サンプル波形を取得するとともに補正用の波形を取得し、それをもとに出力変動を補正してもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、テラヘルツ波の照射およびデータの取得を繰り返し行い、取得した複数のデータないしはこれを基に算出した複数のパラメータ統計量をパラメータとして用いてもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、テラヘルツ波の照射位置を変えながらデータの取得を繰り返し行うようにしてもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、測定対象たる潤滑油の油種ごとに、当該潤滑油の性能に関する各種特性とパラメータとの関係をあらかじめ測定して得たデータに基づき検量線を規定しておき、該検量線を性能診断の基準としてもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、パラメータに対し、潤滑油の初期状態からの変化率の許容値を定めておき、当該許容値に基づいて潤滑油の異常の有無を判定してもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、例えば潤滑油の性能に関する特性を示す指標ごとに、当該検出時点における潤滑油の劣化程度と使用期間から劣化進行速度を、
当該検出時点の劣化進行速度 = 測定時の劣化程度 / 使用期間
に基づき算出してもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、劣化進行速度、あるいは劣化の経時変化をもとに、あらかじめ定めた所定の限界値に達するまでの時間を当該潤滑油の余寿命として算出してもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、指標ごとに算出した複数の劣化進行速度のうち、それぞれの限界値に達するまでの時間のうちもっとも短い時間を当該潤滑油の余寿命として算出してもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、テラヘルツ時間領域分光法によりデータを取得し、該取得したデータを基に、複数のパラメータを算出してもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、例えば参照波形とサンプル波形の振幅の比を取ることにより、参照状態を基準とした場合の透過率を
透過率 = サンプル波形の振幅 / 参照波形の振幅
により算出し、複数のパラメータの一つとしてもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、例えば参照波形とサンプル波形のピーク値の出現時間の差を取ることにより、参照状態を基準とした場合のピーク時間差を
ピーク時間差 = サンプル波形のピーク時間 - 参照波形のピーク時間
により算出し、複数のパラメータの一つとしてもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、例えば照射されるテラヘルツ波の光路長と光速とから
屈折率 = ピーク時間差・光速 / 光路長
により屈折率に換算し、該屈折率を複数のパラメータの一つとしてもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、例えば参照波形とサンプル波形をそれぞれフーリエ変換し、周波数ごとの振幅と位相の情報を取得し、該情報を基に周波数ごとの透過率および屈折率を算出し、特定の周波数における値、もしくは特定の区間の平均値を複数のパラメータの一つとしてもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断方法において、例えば複数の照射位置にテラヘルツ波を照射して得られた複数の参照波形および複数のサンプル波形の振幅の標準偏差の比を
標準偏差の比 = サンプル波形の振幅の標準偏差 / 参照波形の振幅の標準偏差
により算出し、複数のパラメータの一つとしてもよい。
本発明の別の一態様は、機器にて利用される潤滑油の性能を診断する性能診断装置であって、
潤滑油を内包する潤滑油筐体と、
該潤滑油筐体中の潤滑油にテラヘルツ波を照射する照射装置と、
該照射装置から照射され潤滑油を透過した透過波または潤滑油から反射した反射波を検出してデータを取得する検出装置と、
該取得したデータを基に、潤滑油の性能に関する各種特性に関する情報を含む複数のパラメータを算出する解析制御装置と、
を備え、
算出した複数の測定パラメータを用い、潤滑油の各種特性を分離同定する、潤滑油の性能診断装置である。
上記のごとき潤滑油の性能診断装置は、潤滑油筐体に対する照射装置および検出装置の相対位置を変える変位装置をさらに備えていてもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断装置は、潤滑油筐体と素材および構造が同じである参照波形取得用筐体をさらに備え、潤滑油が無い状態あるいは潤滑油が劣化していない状態の参照波形取得用筐体にテラヘルツ波を照射して得られる透過波形を基準となる参照状態を表す参照波形とし、潤滑油筐体中の測定対象たる潤滑油にテラヘルツ波を照射して得られる透過波形をサンプル波形とするものであってもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断装置において、サンプル波形を取得するたびに参照波形を取得してもよい。
上記のごとき潤滑油の性能診断装置は、解析制御装置による算出データを送信するデータ送信装置をさらに備え、遠隔地での性能診断が可能となるようにオンライン化されていてもよい。
本発明によれば、潤滑油の酸化程度、添加剤の消耗量、水分や摩耗粉の混入量などを同時に定量評価することが可能となる。
テラヘルツ時間領域分光法を利用した潤滑油の性能診断装置の構成例を示す図である。 テラヘルツパルス波測定の概要を示すための、(A)テラヘルツパルス波の一例を示すグラフと、(B)周波数スペクトルの一例を示すグラフである。 (a)潤滑油の性能診断装置の一構成例を示す概略図と、(b)当該装置において照射と検出が行われる部分を拡大して示す図である。 (a)装置出力の時間変動を補正する場合の潤滑油の性能診断装置の一構成例を示す概略図と、(b)当該装置において照射と検出が行われる部分を拡大して示す図である。 潤滑油の性能診断装置の一構成例を、化学的劣化と物理的劣化を同時に検出することが可能であることの説明とともに示す、(a)潤滑油の性能診断装置の一構成例を示す概略図と、(b)当該装置において照射と検出が行われる部分を拡大して示す図である。 バイパス管が設置された潤滑油の性能診断装置の一構成例を示す図である。 潤滑油配管の一部に樹脂製の窓を設けた場合の構成例を示す図である。 潤滑油の性能診断装置のうちテラヘルツ波発生装置、サンプル油および検出装置の部分の構成例を概略的に示す図である。 潤滑油の性能診断を行うときの測定フローを、その際に取得される波形の例などとともに示すチャートである。 装置の出力の時間変動を補正しつつ潤滑油の性能診断を行うときの測定フローを示すチャートである。 参照(リファレンス)波形とサンプル波形について説明するグラフである。 図6に示した波形をフーリエ変換して得られる周波数波形を示すグラフである。 検量線のイメージを示すグラフである。 (A)寿命推定グラフの一例と、(B)二点以上のデータをもとに回帰式を算出して得られた寿命推定グラフの一例と、(C)回帰式より算出した余寿命および直近の2点の速度から算出した余寿命を示すグラフの一例と、を示す図である。 オンライン診断をする際の処理手順の一例を示すフローチャートである。 テラヘルツ波を用いた基礎試験により得られた、潤滑油の劣化程度と測定値の関係を示すグラフである。 テラヘルツ波を用いた基礎試験により得られた、周波数解析の結果を示すグラフである。 テラヘルツ波を用いた基礎試験により得られた、潤滑油の粘度と測定値の関係を示すグラフである。 空の筐体を特に用意しなくても、照射装置と検出装置の間にサンプルを挟まない状態のデータをその都度測定することでそのデータをもとに出力変動の補正をすることを可能とする手順の一例を説明する図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係るテラヘルツ波による潤滑油性能診断技術(潤滑油の性能診断方法と性能診断装置)の好適な実施形態を詳細に説明する(図1等参照)。
[テラヘルツ時間領域分光法]
テラヘルツ時間領域分光法は、テラヘルツパルス波を対象物に照射したときの透過波または反射波の時間波形を直接計測し、それをフーリエ変換することにより、周波数ごとの振幅と位相の情報を取得する方法である。
まず、テラヘルツ時間領域分光法を実施するための一般的な性能診断装置1の装置構成について説明する(図1参照)。フェムト秒レーザー31から照射された光パルスは、ビームスプリッター32によりポンプ光P1とプローブ光P2に分けられ、ポンプ光P1はテラヘルツ波発生素子33、プローブ光P2はテラヘルツ波検出素子43にそれぞれ導かれる。テラヘルツ波発生素子33・テラヘルツ波検出素子43は、光パルスが入射したタイミングで、テラヘルツ波を照射もしくは検出する。テラヘルツ波発生素子33・テラヘルツ波検出素子43としては、一般的に光伝導アンテナ(図3Fにおいて符号34で示す)などが利用される。プローブ光の光路上には可動鏡42が設置され、これを動作させることにより、プローブ光が検出素子に到達する時間を変化させることができる。
次に、テラヘルツパルス波測定の概要を示す(図2参照)。フェムト秒レーザーからは数十MHzの繰り返しでパルス波が放射され、テラヘルツ波発生素子から放射されるテラヘルツパルス波も同様の繰り返しで放射される。テラヘルツ時間領域分光法では、テラヘルツパルス波が一定周期で放射されることを利用している。すなわち、可動鏡によりポンプ光とプローブ光の検出素子への到達時間の差を変化させながら、繰り返し到来するテラヘルツパルス波のサンプリングを行い、最終的にサンプリングしたデータを結合することでテラヘルツパルス波の波形を取得している。
[装置構成]
潤滑油Lの性能診断装置1の構成をその好適な例を示しつつ説明する(図3A~図3F参照)。かかる性能診断装置1は、回転機器にて利用される潤滑油Lの性能がどの程度劣化しているのかを診断する装置である。本実施形態の性能診断装置1は、潤滑油配管10、照射装置30、検出装置40、解析制御装置50などを備える(図3A参照)。また、性能診断装置1は、参照波形取得用配管(参照波形取得用筐体)20、自動ステージ(変位装置)60、データ送信装置70などをさらに備えていてもよい(図3B、図3C参照)。なお、回転機器が特に何かに限定されることはない。
潤滑油配管10は、回転機器100にて使用されている潤滑油Lを循環させるための配管であり、その途中に照射装置30等を設置する(図3A等参照)。ここでは潤滑油Lを自動的に循環させる配管を用いているが、これは診断対象(サンプル)である潤滑油Lを内包する筐体の好適な一例にすぎない。テラヘルツ波の透過性に応じて潤滑油の厚さを最適化するために、配管径を変えたバイパス配管10bを新たに設置してもよい(図3D参照)。また、バイパス配管内部における金属摩耗粉等の異物の沈殿を防止するために、バイパス配管を鉛直向きに設置してもよい。潤滑油配管10あるいは容器80の材質ないし素材の一例は、潤滑油Lを内包することに支障がなく、かつ、テラヘルツ波に対する透過性の高い樹脂(ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレンなど)である。あるいは、例えば金属製の容器80に樹脂製の窓を設けるなどといったように、当該潤滑油配管10あるいは容器80のうちテラヘルツ波が透過する部分のみを樹脂製にしてもよい(図3E参照。図中では樹脂製の窓を符号10wで示している)。潤滑油配管10あるいは容器80の形状は、矩形、筒状など潤滑油Lを保持できる形状であれば特に限定されはしないが、肉厚に比例して透過波の出力が低下するため、肉厚が薄く、均一なものが望ましい。
照射装置30は、潤滑油配管10(あるいは容器80)中の潤滑油Lにテラヘルツ波を照射するための装置として設けられている(図3A等参照)。照射装置30の具体例は、上述した一般的な性能診断装置1における、フェムト秒レーザー31とテラヘルツ波発生素子33を用いた装置などである。
検出装置40は、照射装置30から照射され潤滑油Lを透過した透過波形または潤滑油Lから反射した反射波形を検出してデータを取得する装置として設けられている(図3A等参照)。この検出装置40および上述の照射装置30は、それらの間に、潤滑油Lが内包される潤滑油配管10(あるいは容器80)が位置するように配置される。具体例として、本実施形態では、潤滑油配管10を挟むように、照射装置30を上側、検出装置40を下側にそれぞれ配置している(図3A等参照)。あるいは、潤滑油Lを内包する容器80を挟むように、照射装置30と検出装置40とを容器80の側方に配置してもよい(図3F参照)。
解析制御装置50は、取得したデータを基に、潤滑油Lの性能に関する各種特性の情報を含む複数のパラメータを算出する解析制御部を構成する装置(計測装置)として、例えばコンピューターなどで構成され、設置されている(図3A等参照)。各種特性に関する情報を含むパラメータとしては、例えば潤滑油Lの粘度、酸化程度、添加剤の消費量、水分量、金属摩耗粉量があり、本実施形態の性能診断装置1は、後述するように、これらのうちの少なくとも2つを分離同定し、潤滑油Lの劣化の程度を診断する。
参照波形取得用配管20は、測定を繰り返し行う場合に、装置の経時的な出力変動を補正するために用いられる配管である(図3B参照)。参照波形取得用配管20は、潤滑油配管10と同じ素材および構造となるように形成されている。潤滑油Lが無い状態あるいは潤滑油Lが劣化していない状態の参照波形取得用配管20にテラヘルツ波を照射して得られる透過波形を基準となる参照状態を表す参照波形とし、潤滑油配管10中の測定対象たる潤滑油Lにテラヘルツ波を照射して得られる透過波形をサンプル波形としたうえで、両波形を用いることで出力変動を補正することができる。これは、使用する装置によってはテラヘルツ波の出力が安定せず、時間変動するために劣化検出精度が低下する場合があることを考慮したものであり、上述のごとく、サンプル測定用の潤滑油配管10の隣に、同じ材料、寸法の参照波形取得用配管20を用意し、サンプル測定の度に参照波形をその都度取得することで、時間変動の影響を補正することが可能となる。なお、潤滑油配管10の代わりに容器80を用いる場合には、当該容器80と同じ素材および構造である容器80を参照波形取得用筐体として用いることができる。
自動ステージ(変位装置)60は、潤滑油配管10に対する照射装置30および検出装置40の相対位置を変えるための装置として設けられている(図3B参照)。本実施形態の自動ステージ60は、照射装置30のうち少なくともテラヘルツ波を照射する部分と、照射装置40のうち少なくとも潤滑油Lを透過した透過波形または潤滑油Lから反射した反射波形を検出する部分とを、潤滑油配管10を横切る方向に移動させるためのリニアガイド、モータ、駆動力伝達機構(ギヤやベルト)、自動制御装置などで構成されている。潤滑油配管10の近傍に参照波形取得用配管20が設置されている場合には、当該潤滑油配管10と参照波形取得用配管20との間を照射装置30(のうち少なくともテラヘルツ波を照射する部分)等が往復動するように自動ステージ60を構成してもよい(図3B参照)。照射装置30と検出装置40とが容器80の側方に配置されている場合であれば、当該容器80を上下方向あるいはテラヘルツ波を横切る方向に移動させるように自動ステージ60を構成してもよい(図3F参照)。自動ステージ60は、所要の測定形態に応じた測定ピッチ幅、例えば測定ピッチ幅1mm間隔程度で可動なように構成されていることが望ましい。なお、照射装置30(のうち少なくともテラヘルツ波を照射する部分)等を移動させる代わりに、当該潤滑油配管10や参照波形取得用配管20(あるいは容器80)を移動させることとしてもよい。
データ送信装置70は、解析制御装置50による算出データを送信する装置である(図3C参照)。データ送信装置70をさらに備えた性能診断装置1によれば、遠隔地での性能診断を実施することが可能なオンライン化された装置を実現することができる。
[測定、診断方法]
本実施形態では、上述のごとき構成の性能診断装置1により、照射装置30を用いてテラヘルツ波を潤滑油Lに照射し、潤滑油Lを透過した透過波または潤滑油Lから反射した反射波を検出装置40にて取得し、該取得したデータを基に、複数のパラメータを算出し、算出した複数のパラメータを用い、潤滑油Lの粘度、酸化程度、添加剤の消費量、水分量、金属摩耗粉量の少なくとも2つを分離同定し、潤滑油Lの性能を診断する。以下、かかる測定や診断の内容を詳細に説明する。以下では、容器80を用いる場合についても説明するが、もちろん、その代わりに潤滑油配管10や参照波形取得用配管20を用いて測定や診断を行うことができることはいうまでもない。
なお、測定する潤滑油Lは、静置状態、流動状態のどちらでも構わない。ただし、静置状態の場合は、油中に含まれる異物や水分が容器80の底部に沈殿する場合があるため、十分に攪拌した後に短時間で測定することが望ましい。
(1)参照波形の取得
サンプルとなる潤滑油Lを測定する前に、空の容器80(あるいは参照波形取得用配管20)にテラヘルツ波を照射し、透過波形(これを「参照波形」とする)を取得する(ステップSP1)。測定を複数回繰返し、平均を取っても良い。なお、容器80(あるいは参照波形取得用配管20)が空の状態で測定できない場合は、新品もしくは測定開始直後の油の透過波形を参照波形として用いてもよい(図4参照)。
(2)サンプル波形の取得
サンプル(潤滑油L)の入った容器80(あるいは潤滑油配管10)にテラヘルツ波を照射し、透過波形(これを「サンプル波形」とする)を取得する(ステップSP2)。これを所定の回数に達するまで繰り返す。照射面が均一な容器80の場合(場所によって容器80の肉厚や材質などが変化しない場合)、照射装置30や検出装置40もしくは測定対象を自動ステージ60により動かし、例えば1mm間隔で位置をずらしながら数百点のデータを取得するといった態様で位置を変えながら測定を繰り返してもよい。一般に、摩耗粉や水分などの異物は、厳密には油中で均一に分散せず、濃度のむらが生じる(図3C参照)。本実施形態では、この濃度のむらを透過波形の振幅のばらつき(標準偏差)により評価するが、静置状態の潤滑油Lの場合、油中の濃度分布は変化しない(ある測定点における濃度は測定中に変化しない)ため、定点測定では評価が困難である。このため、静置状態の潤滑油Lに対しては、上述のごとく位置を変えながら測定を繰り返すことが望ましい。一方、潤滑油配管10内を流動する潤滑油Lの場合は、流動しながら常に濃度分布が変化するため、定点測定でも評価可能な場合がある。
(3) パラメータ算出
上記(2)で取得した測定データ(参照波形とサンプル波形)をもとに、パラメータを計算する((ステップSP3)。パラメータの一例を以下に示す。
a)透過率
参照波形の振幅ARとサンプル波形の振幅ASの比を取ることにより、参照状態(空気もしくは新品の潤滑油L)を基準とした場合の透過率を算出する。各測定点の統計量(平均値、最大値、最小値など)をパラメータとして用いてもよい。
透過率 = サンプル波形の振幅AS / 参照波形の振幅AR
b)ピーク時間差(屈折率)
テラヘルツ波が物質を透過し、検出装置に到達する時間は、透過する物質の屈折率が大きいほど遅くなる。このため、サンプル(劣化した潤滑油L)を透過した光が検出装置40に到達する時間は、屈折率の増加分だけ、参照状態(空気もしくは新品の油)を透過する光よりも遅くなる(図6参照)。このような観点から、参照波形とサンプル波形のピーク値の出現時間の差(ピーク時間差)を取ることにより、屈折率の増加分に相当する時間差を算出し、パラメータとして用いる。
ピーク時間差 = サンプル波形のピーク時間tS - 参照波形のピーク時間tR
なお、光路長と光速から屈折率に換算し、これをパラメータとしてもよい。
屈折率 = ピーク時間差・光速 / 光路長
また、各測定点の統計量(平均値、最大値、最小値など)をパラメータとして用いてもよい。
c)特定の周波数における透過率、屈折率
参照波形およびサンプル波形をそれぞれフーリエ変換し、周波数ごとの振幅と位相の情報を取得する。これらをもとに周波数ごとの透過率ならびに屈折率を算出し、特定の周波数における値、もしくは特定の区間の平均値をパラメータとする。各測定点の統計量(平均値、最大値、最小値など)をパラメータとして用いてもよい。
d)標準偏差の比
多点測定したときの参照波形の振幅ARおよびサンプル波形の振幅ASの標準偏差を求め、これらの比を取り、パラメータとする。
標準偏差の比 = サンプル波形の振幅ASの標準偏差 / 参照波形の振幅ARの標準偏差
[テラヘルツ波の出力変動を補正する場合の測定、診断方法]
照射装置30側の都合によりテラヘルツ波の出力が時間変動する場合、参照波形取得時とサンプル波形取得時の出力のずれのため、測定精度が低下する可能性がある。この場合、測定精度向上の目的で、同じ容器(または配管)を二つ用意し、片方を参照波形取得用、もう片方をサンプル波形取得用として、サンプル測定の度に参照波形を取得してもよい。その場合の手順を以下に示す(図5参照)。
(1)容器較正データの取得
参照波形取得用の容器80(または参照波形取得用配管20)と、サンプル測定用の容器80(または潤滑油配管10)は同じものであるが、製作上の微小な寸法差や、材料成分のばらつき等の影響により、容器(または配管)間で透過特性が異なる場合も想定される。容器(または配管)間のテラヘルツ波透過特性の差の較正(後述)のため、必要に応じて、空の状態の容器80(または配管)にテラヘルツ波を照射し、それぞれの透過波形(それぞれ、「参照波形取得用容器の透過波形」、「サンプル測定用容器の透過波形」とする)を取得してもよい(ステップSP11)。また、測定を複数回繰返し、それぞれの平均を取ってもよい。
(2)参照波形の取得、(3)サンプル波形の取得
実際の測定では、まず、参照波形取得用の容器1(図5中、符号80Rで示す)にテラヘルツ波を照射し、参照波形を取得する(ステップSP12)。その後、照射装置30と検出装置40あるいは測定対象(容器または配管)を自動ステージ60で動かし、サンプル測定用の容器2(図5中、符号80Sで示す)中の潤滑油Lサンプルにテラヘルツ波を照射し、サンプル波形を取得する(ステップSP13)。所定の回数に達するまで、この操作を繰り返す。なお、照射面が均一な容器80(80R、80S)の場合(場所によって容器80の肉厚や材質などが変化しない場合)、照射装置30と検出装置40あるいは測定対象を自動ステージ60により動かし、例えば1mm間隔で位置をずらしながら数百点のデータを取得するといったように、位置を変えながら測定を繰り返してもよい。
(4)容器間の差の較正
必要に応じて、事前に測定した参照波形取得用容器80Rの透過波形と、サンプル測定用容器80Sの透過波波形のデータをもとに、容器間のテラヘルツ波透過特性の差を較正(ステップSP14)する(図5参照)。
(5)パラメータの算出
取得したデータをもとに、前述のパラメータ(透過率、屈折率、標準偏差の比等)を算出する(ステップSP15)。このとき、参照波形はサンプル測定前にその都度取得したものを用いる。
[劣化判定]
測定対象(潤滑油L)の油種における、劣化程度と前述のa)~d)のパラメータの関係をあらかじめ測定し、検量線を作成する。ここでは、実測した各パラメータと検量線をもとに、サンプルの劣化形態とその程度を判断する。例えばパラメータが「透過率」である場合、透過率の実測値をこの検量線に当てはめることで、当該実測値に一対一に対応した劣化程度が同定される(図8参照)。なお、簡易的な方法として、各パラメータに対し、初期状態からの変化率の許容値を定め、それをもとに異常の有無を判定してもよい(例えば、透過率が初期値から20%変化した場合は異常と判定する、など)。
[余寿命推定]
劣化の形態(酸化、添加剤消費、水分混入、金属摩耗粉混入)ごとに、現時点の劣化程度と使用期間から劣化進行速度を算出する(図9(A)参照)。
劣化進行速度 = 測定時の劣化程度 / 使用期間
なお、二点以上のデータがある場合は、時間と劣化程度の関係が指数関数などの非線形の形で表される場合があることを想定し、これらをもとに回帰式を算出することで劣化の経時変化を推定してもよい(図9(B)参照)。例えば、使用開始から1年後、2年後、3年後、…、というように、複数のタイミングでデータを取得した上で回帰式を計算し、得られた回帰式をもとに外挿することで、将来の劣化程度を推定することが可能である。もしくは直近の2点のデータを用いて劣化進行速度を算出してもよい(図9(C)参照)。
上記で求めた劣化の進行速度、もしくは劣化の経時変化をもとに、あらかじめ定めた限界値に達するまでの時間を算出する(図9(A)、(B)等参照)。各劣化の限界値に達するまでの時間を比較し、一番短いものを潤滑油Lの余寿命として採用する。
[オンライン設備診断方法]
ここまで説明した測定、診断方法を用いて設備診断を行うときの処理手順の一例を図に示しつつ説明する(図10参照)。
工場の機械設備(あるいはそこにおける種々の動作機器)の運転を開始したら(ステップSP21)、照射装置30から照射され潤滑油Lを透過した透過波形または潤滑油Lから反射した反射波形を検出装置40で検出してデータを取得する(ステップSP22)。その後、パラメータの計算(ステップSP23)、余寿命推定(ステップSP24)の各手順を経て、得られた推定余寿命に照らして当該設備(あるいは動作機器)の運転を継続すべきかどうか判断する(ステップSP25)。継続すべきと判断した場合には(ステップSP25にてYES)、ステップSP22に戻り、データ取得、パラメータ計算、寿命推定、運転継続判断に至るまでの一連の処理を繰り返す(ステップSP22~ステップSP25)。一方、継続すべきでないと判断した場合には(ステップSP25にてNO)、当該設備(あるいは動作機器)の運転を停止し(ステップSP26)、更油や点検といった作業を行う(ステップSP27)。
このような一連の処理のうち測定や診断に関するものについては、データ送信装置70を利用することにより遠隔地にてオンラインで実施することが可能であり、こうした場合には、潤滑油Lの劣化状態や余寿命をモニタリングしながら潤滑油Lの更新時期や機器の検査時期を判定するという運用をすることができる。あるいは、従来の潤滑油の精密診断や、機器の振動診断などの技術と組み合わせて実施することも可能である。すなわち、本実施形態のごとき手法による劣化判定の結果をもとに、潤滑油Lの精密分析や、機器の振動診断の必要性を判断してもよい(より詳細な測定のための、一次スクリーニング技術として活用する)。
ここまで説明した潤滑油Lの性能診断装置1および当該装置を使って行う性能診断方法によれば、当該潤滑油Lの酸化劣化や添加剤の消耗、水分や摩耗粉の混入といった各劣化形態を単一の装置で同時に定量評価することができる。また、実際の機械設備あるいはその動作機器の潤滑油Lにおいては、酸化劣化や水分の混入、金属粉の混入といった複数の劣化の事象が同時に発生するにもかかわらず、単一の監視項目をモニタリングする従来の技術ではこれらを識別して定量評価することは困難であったが、本実施形態のごとき装置あるいは方法によればこれらを識別して定量評価することが可能となる。また、可視光や近赤外線を用いる場合、著しく劣化が進んだ潤滑油に対しては透過性が低く、測定精度が低下することも懸念されるのに対し、本実施形態のごとき装置あるいは方法によればそのような懸念はない。
[実施例1]
テラヘルツ波を用いた基礎試験を実施し、潤滑油中の摩耗粉量とピーク強度の標準偏差の比の関係を示すグラフが得られた(図11参照)。標準偏差の比を評価することで金属摩耗粉量を分離同定することが可能であることを確認することができた。
[実施例2]
テラヘルツ波を用いた基礎試験を実施し、周波数解析の結果として得られたグラフを図12に示す。ここから、低周波数域の透過率を評価することで水分を分離検出することが可能であることを確認することができた(図12参照)。
[実施例3]
テラヘルツ波を用いた基礎試験を実施し、粘度の異なる油を比較した結果得られたグラフを図13に示す。ここから、ピーク時間差に大きな差が認められ(粘度が大きいものほど屈折率も大きい)、設備に使用される油種の粘度の確認(適切な粘度の油種を使用しているか)に活用できる可能性があることが確かめられた。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、空の容器80(あるいは参照波形取得用配管20)といった筐体を用いて参照波形を取得することとしたが、このような空の筐体を特に用意しなくても、照射装置30と検出装置40の間にサンプルを挟まない状態のデータをその都度測定すれば、そのデータをもとに出力変動の補正をすることが可能である。すなわち、一例を示せば(図14参照)、
(1) 照射装置30と検出装置40の間に何もない状態のデータを測定して補正用データを取得する(ステップSP31)。
(2) サンプル波形取得の直前もしくは直後に、参照状態(空の状態または新品の油を含む状態)の波形を取得する(ステップSP32)。
(3) 照射装置30と検出装置40の間に何もない状態のデータを測定して補正用データを取得する(ステップSP33)。
(4) 油を入れた筐体の透過波形から、サンプル(劣化潤滑油)のサンプルデータを取得する(ステップSP34)。ここで、ステップSP33とステップSP34とを所定回数に達するまで繰り返す(図14参照)。
(5) 補正用データをもとに経時的な出力変化を補正することで、サンプルデータを補正する(ステップSP35)。
(6) パラメータを算出する(ステップSP36)。
といったフローに従って測定や診断を実行することが可能である。このフローに従って測定や診断を実行する場合、(3)と(4)を繰り返し行い、複数のデータを取得してもよい。また、(1)の状態を基準とし、各サンプル波形の出力を補正する、すなわち、(1)で取得した何も挟まない状態の波形と(3)で取得した何も挟まない状態の波形の比較により補正量を決定することとしてもよい。また、補正したサンプル波形と(1)で取得した参照波形をもとに、各パラメータを算出することとしてもよい。
本発明は、工場の機械設備等における種々の動作機器にて利用される潤滑油の性能がどの程度劣化しているのかを診断するための性能診断方法や性能診断装置に適用して好適である。
1…性能診断装置
10…潤滑油配管(潤滑油筐体)
10b…バイパス配管
10w…樹脂製の窓
20…参照波形取得用配管(参照波形取得用筐体)
30…照射装置
31…フェムト秒レーザー
32…ビームスプリッター
33…テラヘルツ波発生素子
34…光伝導アンテナ
40…検出装置
42…可動鏡
43…テラヘルツ波検出素子
50…解析制御装置
60…自動ステージ(変位装置)
70…データ送信装置
80…容器(潤滑油筐体、参照波形取得用筐体)
80R…参照波形取得用容器
80S…サンプル波形取得用容器
100…回転機器
R…参照波形の振幅
S…サンプル波形の振幅
L…潤滑油
P1…ポンプ光
P2…プローブ光

Claims (21)

  1. 潤滑油の性能を診断する性能診断方法であって、照射装置を用いてテラヘルツ波を前記潤滑油に照射し、前記潤滑油を透過した透過波または前記潤滑油から反射した反射波を検出装置にて取得し、該取得したデータを基に、複数のパラメータを算出し、算出した複数のパラメータを用い、前記潤滑油の粘度、酸化程度、添加剤の消費量、水分量、金属摩耗粉量の少なくとも2つを分離同定する、潤滑油の性能診断方法。
  2. 前記パラメータとして、前記潤滑油が無い状態あるいは前記潤滑油が劣化していない状態でテラヘルツ波を照射して得られる透過波形または反射波形を基準となる参照状態を表す参照波形とし、測定対象たる潤滑油にテラヘルツ波を照射して得られる透過波形または反射波形をサンプル波形とし、前記参照波形と前記サンプル波形の両方から算出されるものを用いる、請求項1に記載の潤滑油の性能診断方法。
  3. 前記サンプル波形を取得するとともに補正用の波形を取得し、それをもとに出力変動を補正する、請求項2に記載の潤滑油の性能診断方法。
  4. 前記テラヘルツ波の照射および前記データの取得を繰り返し行い、取得した複数のデータないしはこれを基に算出した複数のパラメータ統計量を前記パラメータとして用いる、請求項1から3のいずれか一項に記載の潤滑油の性能診断方法。
  5. 前記テラヘルツ波の照射位置を変えながら前記データの取得を繰り返し行う、請求項4に記載の潤滑油の性能診断方法。
  6. 測定対象たる前記潤滑油の油種ごとに、当該潤滑油の性能に関する各種特性と前記パラメータとの関係をあらかじめ測定して得たデータに基づき検量線を規定しておき、該検量線を性能診断の基準とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑油の性能診断方法。
  7. 前記パラメータに対し、前記潤滑油の初期状態からの変化率の許容値を定めておき、当該許容値に基づいて前記潤滑油の異常の有無を判定する、請求項3から6のいずれか一項に記載の潤滑油の性能診断方法。
  8. 前記潤滑油の性能に関する特性を示す前記指標ごとに、当該検出時点における潤滑油の劣化程度と使用期間から劣化進行速度を、
    当該検出時点の劣化進行速度 = 測定時の劣化程度 / 使用期間
    に基づき算出する、請求項1から7のいずれか一項に記載の潤滑油の性能診断方法。
  9. 前記劣化進行速度、あるいは劣化の経時変化をもとに、あらかじめ定めた所定の限界値に達するまでの時間を当該潤滑油の余寿命として算出する、請求項8に記載の潤滑油の性能診断方法。
  10. 前記指標ごとに算出した複数の劣化進行速度のうち、それぞれの前記限界値に達するまでの時間のうちもっとも短い時間を当該潤滑油の余寿命として算出する、請求項9に記載の潤滑油の性能診断方法。
  11. テラヘルツ時間領域分光法により前記データを取得し、該取得したデータを基に、前記複数のパラメータを算出する、請求項1から10のいずれか一項に記載の潤滑油の性能診断方法。
  12. 前記参照波形と前記サンプル波形の振幅の比を取ることにより、前記参照状態を基準とした場合の透過率を
    透過率 = サンプル波形の振幅 / 参照波形の振幅
    により算出し、前記複数のパラメータの一つとする、請求項2または3に記載に記載の潤滑油の性能診断方法。
  13. 前記参照波形と前記サンプル波形のピーク値の出現時間の差を取ることにより、前記参照状態を基準とした場合のピーク時間差を
    ピーク時間差 = サンプル波形のピーク時間 - 参照波形のピーク時間
    により算出し、前記複数のパラメータの一つとする、請求項2または3に記載に記載の潤滑油の性能診断方法。
  14. 前記照射されるテラヘルツ波の光路長と光速とから
    屈折率 = ピーク時間差・光速 / 光路長
    により屈折率に換算し、該屈折率を前記複数のパラメータの一つとする、請求項13に記載に記載の潤滑油の性能診断方法。
  15. 前記参照波形と前記サンプル波形をそれぞれフーリエ変換し、周波数ごとの振幅と位相の情報を取得し、該情報を基に周波数ごとの透過率および屈折率を算出し、特定の周波数における値、もしくは特定の区間の平均値を前記複数のパラメータの一つとする、請求項2または3に記載に記載の潤滑油の性能診断方法。
  16. 複数の照射位置に前記テラヘルツ波を照射して得られた複数の前記参照波形および複数の前記サンプル波形の振幅の標準偏差の比を
    標準偏差の比 = サンプル波形の振幅の標準偏差 / 参照波形の振幅の標準偏差
    により算出し、前記複数のパラメータの一つとする、請求項2または3に記載に記載の潤滑油の性能診断方法。
  17. 機器にて利用される潤滑油の性能を診断する性能診断装置であって、
    前記潤滑油を内包する潤滑油筐体と、
    該潤滑油筐体中の前記潤滑油にテラヘルツ波を照射する照射装置と、
    該照射装置から照射され前記潤滑油を透過した透過波または前記潤滑油から反射した反射波を検出してデータを取得する検出装置と、
    該取得したデータを基に、前記潤滑油の性能に関する各種特性に関する情報を含む複数のパラメータを算出する解析制御装置と、
    を備え、
    算出した複数の測定パラメータを用い、前記潤滑油の粘度、酸化程度、添加剤の消費量、水分量、金属摩耗粉量の少なくとも2つを分離同定する、潤滑油の性能診断装置。
  18. 前記潤滑油筐体に対する前記照射装置および前記検出装置の相対位置を変える変位装置をさらに備える、請求項17に記載の潤滑油の性能診断装置。
  19. 前記潤滑油筐体と素材および構造が同じである参照波形取得用筐体をさらに備え、前記潤滑油が無い状態あるいは前記潤滑油が劣化していない状態の前記参照波形取得用筐体にテラヘルツ波を照射して得られる透過波形を基準となる参照状態を表す参照波形とし、前記潤滑油筐体中の測定対象たる潤滑油にテラヘルツ波を照射して得られる透過波形をサンプル波形とする、請求項17または18に記載の潤滑油の性能診断装置。
  20. 前記サンプル波形を取得するたびに前記参照波形を取得する、請求項19に記載の潤滑油の性能診断装置。
  21. 前記解析制御装置による算出データを送信するデータ送信装置をさらに備え、遠隔地での性能診断が可能となるようにオンライン化された、請求項17から20のいずれか一項に記載の潤滑油の性能診断装置。
JP2021201708A 2021-12-13 2021-12-13 潤滑油の性能診断方法と性能診断装置 Pending JP2023087367A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021201708A JP2023087367A (ja) 2021-12-13 2021-12-13 潤滑油の性能診断方法と性能診断装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021201708A JP2023087367A (ja) 2021-12-13 2021-12-13 潤滑油の性能診断方法と性能診断装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023087367A true JP2023087367A (ja) 2023-06-23

Family

ID=86851194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021201708A Pending JP2023087367A (ja) 2021-12-13 2021-12-13 潤滑油の性能診断方法と性能診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023087367A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11228941B2 (en) Methods, materials and apparatus for cleaning and inspecting girth gear sets
Aulin et al. Studying truck transmission oils using the method of thermal-oxidative stability during vehicle operation
EP2339330A2 (en) Refined oil degradation level measuring instrument and method
Myshkin et al. On-line condition monitoring in industrial lubrication and tribology
RU2316746C2 (ru) Способ и устройство для контроля качества смазочного масла
US10359411B2 (en) Diagnosis method for internal fault of oil-immersed electric apparatus
Andrews et al. Comparison of lubricant oil antioxidant analysis by fluorescence spectroscopy and linear sweep voltammetry
US20100188649A1 (en) Distance measurement device and method of use thereof
Toms et al. Oil analysis and condition monitoring
JP5443478B2 (ja) レーザー超音波システムを用いたサンプルの分光特性化の方法および装置
JP6230017B2 (ja) 発光ダイオードを用いた成分濃度分析装置
US10786834B2 (en) Methods, materials and apparatus for cleaning and inspecting girth gear sets
KR100517104B1 (ko) 비파괴진단방법및비파괴진단장치
JP2023087367A (ja) 潤滑油の性能診断方法と性能診断装置
Myshkin et al. Methods and instruments for condition monitoring of lubricants
JP2017110916A (ja) 劣化診断装置及び劣化診断方法
Sanga et al. Design and Development of Opto-Resistive Type Quasi-Digital Sensor and Instrument for Online Assessment of the Quality of Lubricant Oil
JP2015059858A (ja) 半導体の抵抗率検査装置および半導体の抵抗率検査方法
Dittes Condition monitoring of water contamination in lubricating grease for tribological contacts
Vähäoja et al. Trends in industrial oil analysis–a review
JP6400355B2 (ja) 潤滑剤の劣化診断方法
US7495766B2 (en) Spectroscopic analysis technique for measuring the amount of surface material on wire
JP6490918B2 (ja) タンパク質量の測定装置及び測定方法
AU2021404004B2 (en) Oil degradation diagnosis device
Bračun et al. Surface defect detection on power transmission belts using laser profilometry