JP2023087227A - 抗菌または抗ウイルス繊維、抗菌または抗ウイルス不織布、および抗菌または抗ウイルスフィルタ - Google Patents

抗菌または抗ウイルス繊維、抗菌または抗ウイルス不織布、および抗菌または抗ウイルスフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】抗菌機能や抗ウイルス機能の持続性を向上させることが可能であり、かつ、抗菌機能や抗ウイルス機能を効率的に発揮させることが可能な抗菌または抗ウイルス繊維、抗菌または抗ウイルス不織布、および抗菌または抗ウイルスフィルタを提供する。【解決手段】本開示は、芯部2と鞘部3とを有する芯鞘構造を有する抗菌または抗ウイルス繊維1であって、上記鞘部が、熱可塑性樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかと、ノニオン系界面活性剤とを含有し、上記ノニオン系界面活性剤が常温で液体である、抗菌または抗ウイルス繊維を提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、抗菌または抗ウイルス繊維、ならびにそれを用いた抗菌または抗ウイルス不織布、および抗菌または抗ウイルスフィルタに関する。
昨今、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)が世界的に流行しており、抗菌製品や抗ウイルス製品が強く求められている。
抗菌製品および抗ウイルス製品としては、様々な形態のものが知られている。例えば特許文献1には、抗ウイルス性樹脂部材が提案されている。また、例えば特許文献2には、抗菌マスクが提案されている。
細菌感染やウイルス感染のリスクを低減するには、例えば、抗菌機能や抗ウイルス機能の持続性や、抗菌剤や抗ウイルス剤の効率が重要である。しかしながら、従来の抗菌製品や抗ウイルス製品では、これらが十分ではなかった。
また、従来、不織布等の繊維構造体に抗菌または抗ウイルス機能を付与するためには、抗菌剤または抗ウイルス剤を繊維構造体に含侵させる方法や印刷する方法や蒸着する方法等による後加工を施していた。しかしながら、抗菌または抗ウイルス剤が繊維から脱離し易く、抗菌機能や抗ウイルス機能を持続させることが困難であった。
また、近年、ウイルス対策における、空気清浄化等のニーズから、抗菌機能や抗ウイルス機能に優れたフィルタが求められている。
特許第6055765号公報 特開平11-19238号公報
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、抗菌機能や抗ウイルス機能の持続性を向上させることが可能であり、かつ、抗菌機能や抗ウイルス機能を効率的に発揮させることが可能な抗菌または抗ウイルス繊維、抗菌または抗ウイルス不織布、および抗菌または抗ウイルスフィルタを提供することを主目的とする。
本開示の一実施形態は、芯部と鞘部とを有する芯鞘構造を有する抗菌または抗ウイルス繊維であって、上記鞘部が、熱可塑性樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかと、ノニオン系界面活性剤とを含有し、上記ノニオン系界面活性剤が常温で液体である、抗菌または抗ウイルス繊維を提供する。
本開示の他の実施形態は、上述の抗菌または抗ウイルス繊維を有する、抗菌または抗ウイルス不織布を提供する。
本開示の他の実施形態は、上述の抗菌または抗ウイルス不織布を備える、抗菌または抗ウイルスフィルタを提供する。
本開示においては、抗菌機能や抗ウイルス機能の持続性を向上させることが可能であり、かつ、抗菌機能や抗ウイルス機能を効率的に発揮させることが可能な抗菌または抗ウイルス繊維、抗菌または抗ウイルス不織布、および抗菌または抗ウイルスフィルタを提供することができるという効果を奏する。
本開示における抗菌または抗ウイルス繊維を例示する概略断面図である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、本開示における抗菌または抗ウイルス繊維、抗菌または抗ウイルス不織布、および抗菌または抗ウイルスフィルタについて詳細に説明する。
A.抗菌または抗ウイルス繊維
本開示における抗菌または抗ウイルス繊維は、芯部と鞘部とを有する芯鞘構造を有する抗菌または抗ウイルス繊維であって、上記鞘部が、熱可塑性樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかと、ノニオン系界面活性剤とを含有し、上記ノニオン系界面活性剤が常温で液体である。
なお、本明細書において、「抗菌または抗ウイルス繊維」には、抗菌繊維、抗ウイルス繊維および抗菌抗ウイルス繊維が含まれる。
図1は、本開示における抗菌または抗ウイルス繊維の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、抗菌または抗ウイルス繊維1は、芯部2と鞘部3とを有する芯鞘構造を有しており、鞘部3が、熱可塑性樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかと、常温で液体であるノニオン系界面活性剤とを含有する。
本開示における抗菌または抗ウイルス繊維においては、抗菌または抗ウイルス繊維を構成する鞘部自体に抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかが含有されているため、抗菌剤および抗ウイルス剤が脱離しにくくなる。
さらには、本開示における抗菌または抗ウイルス繊維においては、鞘部に抗菌剤や抗ウイルス剤とともにノニオン系界面活性剤が含有されていることにより、抗菌機能や抗ウイルス機能を維持することができる。この理由は、下記のように推量される。すなわち、ノニオン系界面活性剤は鞘部表面に経時的にブリードアウトする。この際、ノニオン系界面活性剤は常温で液体であるため、常温で固体であるノニオン系界面活性剤と比較して、鞘部表面に経時的にブリードアウトしやすいと考えられる。また、ノニオン系界面活性剤が鞘部表面にブリードアウトすることにより、鞘部の内部から表面に向かって経路が形成され、その経路を通って抗菌剤や抗ウイルス剤が鞘部表面に移行すると考えられる。そのため、ノニオン系界面活性剤とともに、抗菌剤や抗ウイルス剤も、鞘部表面に経時的に移行させることができる。よって、抗菌効果や抗ウイルス効果を持続させることが可能である。
また、本開示における抗菌または抗ウイルス繊維においては、鞘部に抗菌剤や抗ウイルス剤とともにノニオン系界面活性剤が含有されていることにより、抗菌機能や抗ウイルス機能を効率的に発揮させることができる。この理由は、下記のように推量される。すなわち、ノニオン系界面活性剤が繊維表面にブリードアウトすることにより、繊維表面を親水化することができる。繊維表面は親水性を示すため、繊維表面に付着した、水を纏う細菌やウイルスは、繊維表面を移動しやすくなる。例えば、細菌やウイルスが、空気中の水分やヒトの飛沫、汗等とともに、繊維表面に付着した場合には、繊維表面が親水性であると、水が濡れ広がりやすくなり、細菌やウイルスと繊維との接触面積を大きくすることができる。その結果、繊維表面に付着した細菌やウイルスが、繊維表面に移行した抗菌剤や抗ウイルス剤と接触する確率を高くすることができる。よって、効率良く抗菌機能や抗ウイルス機能を発揮させることができる。
さらに、ノニオン系界面活性剤が繊維表面に経時的にブリードアウトすることにより、繊維表面の親水性を維持することができ、また、上述したように、抗菌剤や抗ウイルス剤を繊維表面に経時的に移行させることができる。また、ノニオン系界面活性剤は常温で液体であるため、常温で固体であるノニオン系界面活性剤と比較して、繊維表面にブリードアウトした際に凝集しにくく、繊維表面でのノニオン系界面活性剤の凝集による親水性の低下を抑制することができる。よって、抗菌機能や抗ウイルス機能をより効率的に発揮させることができる。
また、芯部とノニオン系界面活性剤を含有する鞘部とを有する繊維では、繊維の製造時にノニオン系界面活性剤が繊維の表面に移行しやすい傾向があり、繊維において、初期のノニオン系界面活性剤の表面濃度が高くなるのに伴い、初期の抗菌剤や抗ウイルス剤の表面濃度も高くすることができる。そのため、抗菌剤や抗ウイルス剤の添加量が少ない場合であっても、十分な抗菌機能や抗ウイルス機能を得ることが可能である。
また、本開示における抗菌または抗ウイルス繊維においては、抗菌剤や抗ウイルス剤は、通常、鞘部のみに含有されていることから、高価な抗菌剤や抗ウイルス剤の使用量を低減することができる。よって、製造コストを削減することができる。
なお、本開示の発明者が検討した結果、イオン性界面活性剤では、抗菌剤や抗ウイルス剤との親和性が低い場合があることを知見した。そのため、本開示においては、界面活性剤としてノニオン系界面活性剤(非イオン性界面活性剤)を用いている。ノニオン系界面活性剤を用いることにより、上述したような作用効果を得ることが可能である。
また、本開示においては、ノニオン系界面活性剤が繊維表面にブリードアウトすることにより、繊維表面を親水化することができるので、例えば、細菌やウイルスが空気中の水分やヒトの飛沫、汗等とともに繊維表面に付着した場合には、濡れ広がりやすいため、乾きやすい。この場合、一般的なフィルムやシートの表面と比較して、乾燥速度が速いことから、細菌やウイルスにおいては、周囲環境の急激な変化を受けることとなる。この影響によって、細菌のタンパク質が変性しやすくなり、細菌の増殖を抑制することができると考えられる。加えて、ウイルスについてもタンパク質が変性しやすくなり、ウイルスを不活性化することができると考えられる。よって、抗菌機能や抗ウイルス機能を向上させることができる。
また、本開示の抗菌または抗ウイルス繊維において、界面活性剤としてエステル型ノニオン系界面活性剤が用いられる場合には、安全性が高く、幅広い用途に適用することができ、例えば食品、化粧品、医薬品等の安全性が要求される用途にも適用可能である。
以下、本開示における抗菌または抗ウイルス繊維の各構成について説明する。
1.芯鞘構造
本開示における抗菌または抗ウイルス繊維は、芯部と鞘部とを有する芯鞘構造を有する。
(1)鞘部
本開示における鞘部は、熱可塑性樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかと、ノニオン系界面活性剤とを含有する。また、鞘部に含有されるノニオン系界面活性剤は常温で液体である。
以下、鞘部の各成分について説明する。
(a)ノニオン系界面活性剤
本開示におけるノニオン系界面活性剤は、常温で液体である。なお、常温とは、20℃±15℃をいう。
ノニオン系界面活性剤としては、常温で液体であるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノカプリレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;グリセリンモノオレエート、グリセリンジオレエート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンジラウレート、ジグリセリントリラウレート、ジグリセリンモノオレエート、ジグリセリンジオレエート、ジグリセリントリオレエート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンジラウレート、デカグリセリントリラウレート、デカグリセリンモノオレエート、デカグリセリンジオレエート、デカグリセリントリオレエート、ポリグリセリンポリリシノレート等のグリセリン脂肪酸エステル類;ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;オレイン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリセリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジグリセリルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体;が挙げられる。ノニオン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、ノニオン系界面活性剤は、安全性の観点から、食品にも利用されているエステル型であることが好ましく、グリセリン脂肪酸エステル類であることがより好ましい。これらを採用することで、利用者を限定せず、多用途に展開することが可能となる。
また、グリセリン脂肪酸エステル類としては、例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドの複合系を用いてもよい。このような複合系とすることで、親水親油バランスを調整することができ、さらには経時的なブリードアウト量を制御することができると考えられる。
また、鞘部は、常温で固体であるノニオン系界面活性剤をさらに含有していてもよい。常温で液体であるノニオン系界面活性剤と、常温で固体であるノニオン系界面活性剤とを併用することにより、ノニオン系界面活性剤のブリードアウトを遅くすることができる。これにより、抗菌剤や抗ウイルス剤のブリードアウトも遅くすることができ、抗菌機能や抗ウイルス機能の持続性を調整することができる。
常温で固体であるノニオン系界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル類;ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレン誘導体;が挙げられる。
鞘部中のノニオン系界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではなく、ノニオン系界面活性剤の種類、抗菌または抗ウイルス繊維の構成や用途等に応じて適宜設定することができる。中でも、鞘部中のノニオン系界面活性剤の含有量は、例えば、0.1質量%以上、5.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上、4.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上、3.0質量%以下であることがさらに好ましい。なお、鞘部が、常温で液体であるノニオン系界面活性剤と常温で固体であるノニオン系界面活性剤とを含有する場合、上記の鞘部中のノニオン系界面活性剤の含有量は、常温で液体であるノニオン系界面活性剤および常温で固体であるノニオン系界面活性剤の合計含有量とする。ノニオン系界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、鞘部表面の親水性を高くすることができる。これにより、上述したように、抗菌機能や抗ウイルス機能を効率的に発揮させることができ、また、抗菌機能や抗ウイルス機能を向上させることができる。また、鞘部表面の親水性が高いことにより、帯電防止性も付与され、鞘部表面に塵や埃が付着しにくくなる。その結果、清浄な鞘部表面を保ちやすくなる。なお、抗菌または抗ウイルス繊維ではないが、抗菌または抗ウイルス樹脂部材において、通常、界面活性剤の含有量は0.5質量%以下であり、本開示においてはノニオン系界面活性剤の含有量をそれよりも多くすることにより、鞘部表面の親水性を極めて高くすることができ、超親水性とすることも可能である。一方、ノニオン系界面活性剤の含有量が多すぎると、繊維の製造が困難になる場合や、繊維表面にべたつきが生じることで、外観不良や感触悪化が生じる場合がある。
(b)抗菌剤および抗ウイルス剤
本開示において、鞘部は、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかを含有する。なお、「抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれか」には、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗菌抗ウイルス剤が含まれる。「抗菌抗ウイルス剤」とは、抗菌活性および抗ウイルス活性を併せ持つ物質である。
鞘部は、例えば、抗菌剤を含有していてもよく、抗ウイルス剤を含有していてもよく、抗菌剤および抗ウイルス剤を含有していてもよく、抗菌抗ウイルス剤を含有していてもよい。
本開示に用いられる抗菌剤としては、特に限定されるものではなく、細菌の増殖を抑制することができる物質であれば特に限定されるものではなく、一般的な抗菌剤を使用することができる。例えば、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤、光触媒系抗菌剤等が挙げられる。また、これらの抗菌剤は、混合して用いてもよい。
本開示に用いられる抗ウイルス剤としては、特に限定されるものではなく、ウイルスの数を減少させることができる物質であれば特に限定されるものではなく、一般的な抗ウイルス剤を使用することができる。例えば、有機系抗ウイルス剤、無機系抗ウイルス剤、光触媒系抗ウイルス剤等が挙げられる。また、これらの抗ウイルス剤は、混合して用いてもよい。
本開示に用いられる抗菌抗ウイルス剤としては、特に限定されるものではなく、細菌の増殖を抑制し、かつ、ウイルスの数を減少させることができる物質であれば特に限定されるものではなく、一般的な抗菌抗ウイルス剤を使用することができる。例えば、有機系抗菌抗ウイルス剤、無機系抗菌抗ウイルス剤、光触媒系抗菌抗ウイルス剤等が挙げられる。また、これらの抗菌抗ウイルス剤は、混合して用いてもよい。
有機系抗菌剤、有機系抗ウイルス剤、有機系抗菌抗ウイルス剤としては、例えば、アルコール系、フェノール系、アルデヒド系、カルボン酸系、エステル系、ニトリル系、過酸化物系、ヨード系や塩素系等のハロゲン系、ピリジン・キノリン系、トリアジン系、イソチアゾロン系、イミダゾール・チアゾール系、アニリド系、ビグアナイド系、ジスルフィド系、チオカーバメイト系、グアニジン系、有機金属系、テルペン系、糖質系、トロポロン系等が挙げられる。
無機系抗菌剤、無機系抗ウイルス剤、無機系抗菌抗ウイルス剤としては、例えば、銀系、亜鉛系、銅系等が挙げられる。
光触媒系抗菌剤、光触媒系抗ウイルス剤、光触媒系抗菌抗ウイルス剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
抗菌剤、抗ウイルス剤、抗菌抗ウイルス剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、分子量が1,000以下である、有機系抗菌剤、有機系抗ウイルス剤、有機系抗菌抗ウイルス剤が好ましい。このような抗菌剤、抗ウイルス剤、抗菌抗ウイルス剤は、鞘部表面に移行しやすいと考えられる。
鞘部中の抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量としては、所望の抗菌性や抗ウイルス性を得ることが可能であれば特に限定されるものではなく、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗菌抗ウイルス剤の種類、抗菌または抗ウイルス繊維の構成や用途等に応じて適宜設定することができる。具体的には、鞘部中の抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量は、合計で、0.3質量%以上、15質量%以下とすることができる。抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量が少なすぎると、所望の抗菌性および抗ウイルス性が得られない場合がある。また、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗菌抗ウイルス剤の含有量が多すぎると、抗菌性および抗ウイルス性は十分に得られるものの、繊維の強度が低下するおそれがある。
(c)熱可塑性樹脂
本開示に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアリレート等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂、およびこれらの樹脂の混合物等が挙げられる。
特に、ポリエチレンが好ましく、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)がより好ましい。ポリエチレンは、耐薬品性、耐水性の点で好適である。
また、熱可塑性樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、例えば、5g/10分以上100g/10分以下であることが好ましく、20g/10分以上70g/10分以下であることがより好ましい。熱可塑性樹脂のMFRが上記範囲内であることにより、溶融成形により良好に繊維化することができる。
ここで、熱可塑性樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、JIS K7210-1に準拠して測定することができる。測定条件は、例えば、温度190℃、荷重2.16kgとすることができる。
(d)他の成分
本開示において、鞘部は、抗菌性および抗ウイルス性が損なわれない範囲において、上記の熱可塑性樹脂、抗菌剤や抗ウイルス剤、およびノニオン系界面活性剤以外に、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、光安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、耐摩耗剤、帯電防止剤、スリップ剤、離型剤、顔料等を挙げることができる。
(2)芯部
本開示における芯部は、熱可塑性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、上記鞘部に用いられる熱可塑性樹脂を挙げることができる。
芯部に含まれる熱可塑性樹脂と、鞘部に含まれる熱可塑性樹脂とは、芯鞘構造を形成することができる組み合わせであれば特に限定されず、抗菌または抗ウイルス繊維の用途等に応じて適宜選択される。
芯部に含まれる熱可塑性樹脂と、鞘部に含まれる熱可塑性樹脂とは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、芯部に含まれる熱可塑性樹脂と、鞘部に含まれる熱可塑性樹脂とが同一である場合には、芯部および鞘部の密着性を向上させることができる。また、例えば、芯部に含まれる熱可塑性樹脂と、鞘部に含まれる熱可塑性樹脂とが互いに異なる場合には、異なる材質を組み合わせることによって、様々な機能を付与することができる。
また、芯部に含まれる熱可塑性樹脂の融点は、鞘部に含まれる熱可塑性樹脂の融点よりも高くてもよい。すなわち、鞘部に含まれる熱可塑性樹脂の融点は、芯部に含まれる熱可塑性樹脂の融点よりも低くてもよい。鞘部に含まれる熱可塑性樹脂の融点が、芯部に含まれる熱可塑性樹脂の融点よりも低い場合には、抗菌または抗ウイルス繊維を用いて不織布を製造する場合に、鞘部のみを熱融着させることによって、抗菌または抗ウイルス繊維同士を結合させることができる。
芯部は、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤については、上記鞘部に用いられる添加剤と同様とすることができる。
2.抗菌または抗ウイルス繊維
抗菌または抗ウイルス繊維の繊維径は、繊維の製造方法や具体的な用途に応じて適宜設定することができる。
抗菌または抗ウイルス繊維の断面において、芯部と鞘部との面積比は、例えば、50:50~90:10であることが好ましく、60:40~80:20であることがより好ましい。鞘部の面積が芯部の面積よりも大きいと、抗菌剤や抗ウイルス剤の使用量が多くなるため、コスト削減が困難になるおそれがある。また、鞘部の面積が芯部の面積に対して小さすぎると、所望の抗菌性および抗ウイルス性が得られない可能性がある。
ここで、芯部および鞘部の面積は、抗菌または抗ウイルス繊維の断面を光学顕微鏡で観察することにより、求めることができる。芯部の面積は、光学顕微鏡観察により、芯部の外径を測定することで、求められる。また、鞘部の面積は、光学顕微鏡観察により、繊維の外径を測定し、繊維全体の面積から芯部の面積を引くことで、求められる。
また、抗菌または抗ウイルス繊維の断面において、芯部および鞘部の中心軸は、一致していてもよく、ずれていてもよい。また、抗菌または抗ウイルス繊維の断面において、鞘部の厚さは、均一であってもよく、不均一であってもよい。中でも、性能を安定させるために、芯部および鞘部の中心軸は一致していることが好ましく、また、鞘部の厚さは均一であることが好ましい。
また、抗菌または抗ウイルス繊維の繊維長さは、繊維の製造方法や具体的な用途に応じて適宜設定することができる。抗菌または抗ウイルス繊維は、短繊維であってもよく、長繊維であってもよい。
抗菌または抗ウイルス繊維の紡糸方法としては、公知の紡糸方法を適用することができる。具体的には、芯鞘型複合繊維用の紡糸口金を用いて、芯部用樹脂組成物と鞘部用樹脂組成物とを溶融成形し、必要に応じて、得られた糸状のものを延伸、熱処理等することにより、芯鞘型複合繊維を得ることができる。溶融成形の方法としては、例えば、溶融紡糸法、エレクトロスピニング法が挙げられる。
鞘部用樹脂組成物としては、熱可塑性樹脂、抗菌剤や抗ウイルス剤、ノニオン系界面活性剤および添加剤等を混錬した混合物を用いることができる。鞘部用樹脂組成物は、例えば、熱可塑性樹脂中に抗菌剤や抗ウイルス剤を分散させてペレット状のマスターバッチを作製し、また熱可塑性樹脂中にノニオン系界面活性剤を分散させてペレット状のマスターバッチを作製し、これらのマスターバッチを熱可塑性樹脂中に再度分散させる、いわゆるマスターバッチ式の混合方法により得ることができる。
本開示における抗菌または抗ウイルス繊維は、繊維構造体、例えば、不織布、織編物、ネット状物等に加工して使用することができる。中でも、本開示における抗菌または抗ウイルス繊維は、不織布を作製するのに好ましく用いられる。
B.抗菌または抗ウイルス不織布
本開示における抗菌または抗ウイルス不織布は、上述の抗菌または抗ウイルス繊維を有する。
本開示における抗菌または抗ウイルス不織布は、上述の抗菌または抗ウイルス繊維を有することにより、抗菌機能や抗ウイルス機能を維持することができる。また、抗菌機能や抗ウイルス機能を効率的に発揮させることができる。さらに、抗菌機能や抗ウイルス機能を向上させることができる。
本開示における抗菌または抗ウイルス不織布は、繊維として、上述の抗菌または抗ウイルス繊維のみを有していてもよく、上述の抗菌または抗ウイルス繊維と、他の繊維とを有していてもよい。
不織布は、短繊維不織布であってもよく、長繊維不織布であってもよい。また、不織布としては、例えば、湿式不織布、乾式不織布、エアレイド不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、エレクトロスピニング不織布が挙げられる。
不織布の製造方法としては、繊維の集積層(ウェブ)を形成し、繊維同士を結合させる方法が挙げられる。
ウェブの形成方法としては、例えば、乾式法、湿式法、エアレイド法、スパンボンド法、メルトブローン法、エレクトロスピニング法等が挙げられる。
また、ウェブの繊維結合方法としては、例えば、サーマルボンド法、ニードルパンチ法が挙げられる。
スパンボンド法としては、例えば、芯部用樹脂組成物と鞘部用樹脂組成物とを、別々の押出機を用いて溶融し、溶融した芯部用樹脂組成物と鞘部用樹脂組成物とを、複数の芯鞘型複合繊維用の紡糸口金を有するスパンボンド不織布成形機を用いて溶融紡糸し、得られた長繊維を、必要に応じて冷却し延伸させた後、捕集面上に堆積させる方法が挙げられる。得られたウェブは、必要に応じて、エンボスロールで加熱加圧処理してもよい。
また、メルトブローン法においては、例えば、まず、芯部用樹脂組成物と鞘部用樹脂組成物とを、別々の押出機等を用いて溶融する。溶融した芯部用樹脂組成物と鞘部用樹脂組成物とを、押出機の先端に接続された芯鞘型複合繊維用の紡糸口金に導入し、紡糸口金の紡糸ノズルから吐出しながら、高温ガス(例えば、空気)で牽引することにより、繊維を細化する。その後、得られた繊維をウェブ状に捕集面上に捕集する。ウェブは、必要に応じてエンボスロールで加熱加圧処理してもよい。
また、エレクトロスピニング法においては、例えば、芯部用樹脂組成物と鞘部用樹脂組成物とを溶融し、溶融した芯部用樹脂組成物と鞘部用樹脂組成物とを、芯鞘型複合繊維用の導電性のノズルから電場中に帯電状態で吐出し、得られた繊維を公知の捕集手段上に堆積し、捕集する。上記電場は、例えばノズルを接地するとともに、ノズルと離間して配された帯電電極に対して電圧を印加することによって、ノズルと帯電電極との間に発生させることができる。
スパンボンド法、メルトブローン法、エレクトロスピニング法のような、紡糸直結法においては、鞘部用樹脂組成物として、上述した、熱可塑性樹脂、抗菌剤や抗ウイルス剤、ノニオン系界面活性剤および添加剤等を混錬した混合物を用いることができる。
不織布の製造条件は、特に限定されず、樹脂の種類や不織布の用途等に応じて適切な条件が採用される。
本開示における抗菌または抗ウイルス不織布は、積層不織布であってもよい。この場合、積層不織布においては、複数の抗菌または抗ウイルス不織布が積層されていてもよく、抗菌または抗ウイルス不織布と他の不織布とが積層されていてもよい。他の不織布としては、特に限定されず、種々公知の短繊維不織布および長繊維不織布が挙げられる。
C.抗菌または抗ウイルスフィルタ
本開示における抗菌または抗ウイルスフィルタは、上述の抗菌または抗ウイルス不織布を備える。
本開示における抗菌または抗ウイルスフィルタであれば、抗菌効果や抗ウイルス効果を持続させることが可能であり、かつ、抗菌機能や抗ウイルス機能を効率的に発揮させることが可能となる。
本開示における抗菌または抗ウイルスフィルタは、上述した抗菌または抗ウイルス不織布の単層から構成されていてもよく、あるいは、上述した抗菌または抗ウイルス不織布の2層以上の積層体から構成されていてもよい。また、本開示における抗菌または抗ウイルスフィルタの構成は、用途に応じて適宜変更することができる。本開示における抗菌または抗ウイルスフィルタは、例えば、上述した抗菌または抗ウイルス不織布と、他の不織布とを有していてもよい。また、本開示における抗菌または抗ウイルスフィルタは、上述した抗菌または抗ウイルス不織布と、多孔質フィルム等の樹脂フィルムとを有していてもよい。
本開示における抗菌または抗ウイルスフィルタは、エアフィルタ、液体フィルタ等に用いることができる。中でも、本開示における抗菌または抗ウイルスフィルタは、空調用エアフィルタとして用いることが好ましい。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を示し、本開示をさらに説明する。
[実施例1]
(1)鞘部用樹脂組成物の調製
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(プライムポリマー社製 エボリューSP2020)と、抗菌抗ウイルス剤含有マスターバッチ(低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリエチレン社製 ノバテックLC522)に、抗菌抗ウイルス剤(MIC社製 PBM-MOkai1)を5質量%添加したマスターバッチ)と、ノニオン系界面活性剤含有マスターバッチ(理研ビタミン社製 リケマスターEAR-5)とを、56:40:4の比率で混錬し、鞘部用樹脂組成物を得た。なお、上記ノニオン系界面活性剤含有マスターバッチにおいて、ノニオン系界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステルであり、常温で液体であった。
(2)芯部用樹脂組成物
芯部用樹脂組成物として、ポリプロピレン(PP)(日本ポリプロ社製 ノバテックPP SA03)を用いた。
(3)繊維の作製
芯部用樹脂組成物および鞘部用樹脂組成物を、芯鞘型複合繊維用のノズルを用いて、溶融紡糸法により、直径約10μmの繊維を作製した。この際、繊維の断面において、芯部の面積と鞘部の面積との比が7:3になるように、各樹脂組成物の吐出圧力を調整した。
[実施例2]
鞘部用樹脂組成物の調製において、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、抗菌抗ウイルス剤含有マスターバッチと、ノニオン系界面活性剤含有マスターバッチとの比率を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、繊維を作製した。
[実施例3]
繊維の断面において、芯部の面積と鞘部の面積との比が8:2になるように、各樹脂組成物の吐出圧力を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、繊維を作製した。
[実施例4]
繊維の断面において、芯部の面積と鞘部の面積との比が8:2になるように、各樹脂組成物の吐出圧力を調整したこと以外は、実施例2と同様にして、繊維を作製した。
[比較例1]
鞘部用樹脂組成物として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(プライムポリマー社製 エボリューSP2020)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、繊維を作製した。
[比較例2]
鞘部用樹脂組成物として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(プライムポリマー社製 エボリューSP2020)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、繊維を作製した。
[参考例1~2]
鞘部用樹脂組成物の調製において、ノニオン系界面活性剤含有マスターバッチを添加しなかったこと以外は、実施例1~2と同様にして、繊維を作製した。
[参考例3~4]
鞘部用樹脂組成物の調製において、ノニオン系界面活性剤含有マスターバッチを添加しなかったこと以外は、実施例3~4と同様にして、繊維を作製した。
なお、参考例1~4は、ノニオン系界面活性剤は添加されていないものの、抗ウイルス剤は添加されているため、参考例とした。
[評価1]
(1)抗ウイルス性
繊維に対して、ISO 21702に準拠して抗ウイルス試験を行い、抗ウイルス活性値を算出した。具体的には、繊維を2cmに切り、サンプル2g分をディッシュに平面状に並べ、サンプルにインフルエンザウイルスを含んだ液を0.4mL滴下した後、カバーフィルムで被覆し、25℃、90%RH以上の環境で2時間静置した。その後、液を回収し、下記式(1)によりウイルス活性値を求めた。
Rav=Uav-Aav (1)
上記式(1)において、各記号は下記の通りである。
Rav:抗ウイルス活性値
Uav:無加工品サンプルの2時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の対数値
Aav:加工品サンプルの2時間静置後のウイルス感染価(PFU/cm)の対数値
抗ウイルス性は下記基準にて評価した。
A:抗ウイルス活性値が1.0超
B:抗ウイルス活性値が0.5超1.0以下
C:抗ウイルス活性値が0超0.5以下
D:抗ウイルス活性値が0以下
(2)抗ウイルス剤削減率
参考例2の繊維における鞘部中の抗ウイルス剤の含有量を基準とし、実施例、比較例および参考例の繊維における鞘部中の抗ウイルス剤の含有量の削減率を求めた。具体的には、下記式(2)により、削減率を算出した。
削減率(%)=(1-a×b)×100 (2)
上記式(2)中、
a=対象繊維の鞘部面積率/基準繊維の鞘部面積率
=対象繊維の鞘部面積率/0.3
b=対象繊維の鞘部中の抗ウイルス剤含有量(質量%)/基準繊維の鞘部中の抗ウイルス剤含有量(質量%)
=対象繊維の鞘部中の抗ウイルス剤含有量(質量%)/3(質量%)
を示す。
例えば、参考例4の場合、
a=0.2/0.3=2/3
b=3/3=1
削減率(%)=(1-(2/3)×1)×100=33
となる。
効率性は下記基準にて評価した。
A:抗ウイルス剤削減率が50%超
B:抗ウイルス剤削減率が30%超50%以下
C:抗ウイルス剤削減率が10%超30%以下
D:抗ウイルス剤削減率が10%未満
Figure 2023087227000002
表1から、実施例1~4においては、ノニオン系界面活性剤を添加することにより、抗ウイルス性を発現しつつ、抗ウイルス剤の使用量を削減できることが示された。
[参考例5]
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(プライムポリマー社製 エボリューSP2020)と、抗菌抗ウイルス剤含有マスターバッチ(低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリエチレン社製 ノバテックLC522)に、抗菌抗ウイルス剤(MIC社製 PBM-MOkai1)を5質量%添加したマスターバッチ)と、ノニオン系界面活性剤含有マスターバッチ(理研ビタミン社製 リケマスターEAR-5)とを、33.3:50:16.7の比率にて混錬し、インフレーション法により製膜し、50μm厚のシートを作製した。
[参考例6]
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(プライムポリマー社製 エボリューSP2020)と、抗菌抗ウイルス剤含有マスターバッチ(低密度ポリエチレン(LDPE)(日本ポリエチレン社製 ノバテックLC522)に、抗菌抗ウイルス剤(MIC社製 PBM-MOkai1)を5質量%添加したマスターバッチ)とを、50:50の比率にて混錬し、インフレーション法により製膜し、50μm厚のシートを作製した。
なお、参考例5~6は、繊維ではなく、シートであるため、参考例とした。
[評価2]
(抗菌機能および抗ウイルス機能の持続性)
参考例5~6のシートの表面をメタノールで清浄化した後、ノニオン系界面活性剤および抗菌抗ウイルス剤の表面移行を促進するため、60℃のオーブンに5日間入れて、促進試験を行った。初期、メタノール清浄化後、および促進試験後のシートについて、それぞれ赤外分光分析(IR)を行った。そして、得られたIRスペクトルにおいて、抗菌抗ウイルス剤由来のピークの強度を比較した。結果を下記表2に示す。
Figure 2023087227000003
IRスペクトルにおいて、1550cm-1付近のピークは抗菌抗ウイルス剤に由来し、1740cm-1付近のピークはノニオン系界面活性剤に由来する。参考例6では、促進試験前後で、抗菌抗ウイルス剤に由来するピークの強度は減少した。一方、参考例5では、促進試験後に、抗菌抗ウイルス剤に由来するピークの強度、およびノニオン系界面活性剤に由来するピークの強度が増加した。これにより、参考例5では、抗菌機能および抗ウイルス機能の持続性が確認された。
1 … 抗菌または抗ウイルス繊維
2 … 芯部
3 … 鞘部

Claims (4)

  1. 芯部と鞘部とを有する芯鞘構造を有する抗菌または抗ウイルス繊維であって、
    前記鞘部が、熱可塑性樹脂と、抗菌剤および抗ウイルス剤の少なくともいずれかと、ノニオン系界面活性剤とを含有し、
    前記ノニオン系界面活性剤が常温で液体である、抗菌または抗ウイルス繊維。
  2. 前記抗菌または抗ウイルス繊維の断面において、前記芯部と前記鞘部との面積比が50:50~90:10である、請求項1に記載の抗菌または抗ウイルス繊維。
  3. 請求項1または請求項2に記載の抗菌または抗ウイルス繊維を有する、抗菌または抗ウイルス不織布。
  4. 請求項3に記載の抗菌または抗ウイルス不織布を備える、抗菌または抗ウイルスフィルタ。
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