JP2023085195A - 表示装置及びその制御方法 - Google Patents

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茂 森
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Abstract

【課題】発光素子の劣化をより正確に測定する。【解決手段】表示装置は、基板上に配列された複数の画素を含む表示パネルと、光センサと、ロックインアンプを含む制御装置と、を含む。制御装置は、複数の画素から1以上の画素を選択し、1以上の画素の発光光量の測定を実行し、測定の結果に基づいて1以上の画素の発光を制御する。測定は、選択された1以上の画素の発光を交流変調し、選択された1以上の画素からの光に対する光センサからの光検知信号を、交流変調と同期した参照信号に基づき、ロックインアンプによって測定する、ことを含む。【選択図】図1

Description

本開示は、表示装置及びその制御方法に関する。
液晶表示装置に代わる表示装置として、OLED(Organic Light Emitting Diode)表示装置の利用が進んでいる。OLED表示装置の表示をつかさどるOLED素子は自発光デバイスであるため、点灯寿命に関連する不可逆的な、電流-電圧-発光光量特性の変化が発生する。この特性の変化は、表示階調が高く点灯電流が大きいほど、また点灯時間が長いほど大きく現れる。
特性変化が表示画面全体で平均的に起きた場合には、全体の平均輝度低下として発現する。また、定型の固定表示を長時間継続した場合には、表示パターンに対応した特性変化が起きるため、定型表示の痕跡が定常的に見えてしまう現象、いわゆる焼き付きや残像と称する問題が発生する。これらを解消又は軽減する方法として、点灯の累積負荷に応じた各画素の劣化度合いを把握し、その劣化度合いに応じて各画素の点灯条件を変えることで、表示品質の低下を避けようとする劣化補償という考え方がある。
特開2010-078853号公報 米国特許出願公開第2017/301273号 米国特許出願公開第2015/042694号
OLED表示装置の使用期間の経過と共に、OLED素子の発光特性は変化する。通常は、同一の駆動条件において発光光量が低下する傾向にあるため、発光特性の劣化と称することが多い。OLED素子の劣化が発生しても、OLED表示装置の表示品質を保つために劣化補償機能を実装したOLED表示装置がある。劣化補償機能が実装されたOLED表示装置においては、実使用環境下においてOLED素子の劣化度合を評価し、その評価結果に基づき表示品質の低下を起こさないようにOLED素子を制御することが求められる。
劣化補償のために必要なOLED素子の劣化度合は、そのOLED素子の発光特性を測定することで評価し把握する方法が、画像表示と直結した情報が得られるという点でもっとも有効である。しかし、表示装置の実使用環境下においては、太陽光、各種照明装置等が発する光などの外光が存在し、外光強度は大きく変化し、表示装置は、強い外光の下で使用されることもある。従って、OLED素子の発光特性を測定するためには、外光の影響を低減することが望まれる。
本開示の一態様の表示装置は、基板上に配列された複数の画素を含む表示パネルと、光センサと、ロックインアンプを含む制御装置と、を含む。前記複数の画素の各画素は、自発光素子を含む。前記制御装置は、前記複数の画素から1以上の画素を選択し、前記1以上の画素の発光光量の測定を実行し、前記測定の結果に基づいて、前記1以上の画素の発光を制御する。前記測定は、前記選択された1以上の画素の発光を交流変調し、前記選択された1以上の画素からの発光に対する前記光センサからの光検知信号を、前記交流変調と同期した参照信号に基づき、前記ロックインアンプによって測定する、ことを含む。
本開示の一態様の表示装置の制御方法は、複数の画素から1以上の画素を選択し、前記1以上の画素の発光光量の測定を実行し、前記測定の結果に基づいて、前記1以上の画素の発光を制御することを含む。前記測定は、前記選択された1以上の画素の発光を交流変調し、前記選択された1以上の画素からの交流変調された光を、前記交流変調と同期した参照信号に基づきロックイン測定する、ことを含む。
本開示の一態様は、発光素子の劣化度合いをより正確に評価できる。
本明細書の一実施形態に係る表示装置の構成例を模式的に示す。 表示領域を含む表示パネルに対する光センサの位置を模式的に示す。 ロックインアンプの構成例を示す。 記憶回路に格納されている情報の例を示す。 発光量温度補償情報の構成例を示す。 光センサ感度温度補償情報の構成例を示す。 光量変換情報の構成例を示す。 光センサ出力の測定例を示す。 異なる温度における、OLED素子の発光による表示領域正面への出射光量と、画像の階調レベルとの関係を示す。 異なる温度における、OLED素子の発光による光センサ出力と、画像データの階調レベルとの関係を示す。 OLED表示装置の実使用環境下で、OLED素子の推定正面出射光量の変化の例を模式的に示す。 推定正面出射光量に加えて目標特性の例を示す。 表示領域内のOLED素子の劣化評価及び表示補正のフローチャートを示す。 表示領域の全域の表示補償情報を分割して取得する方法の概念図である。 異なる種類の光に対する表示パネル端面に設置された光センサの出力の測定例を示す。 異なる数の表示画素を点灯させ、ロックイン測定を行った結果の例を示す。 表示パネルの側端面に設置された複数の光センサの例を示す。 光センサに表示パネルの端面からの漏れ光を導く光伝送路の例を示す。 アンダーディスプレイカメラ構成の例を示す。 フレーム書き換え動作を利用してOLED素子を点滅させる、OLED表示装置の構成例を示す。 出荷前の測定方法の構成例を示す。 表示階調を変化させたときの漏れ光の光量測定結果の例を示す。 画素回路の構成例を示す。 通常の映像データの表示における1フレーム期間において、図23に示す画素回路を制御する信号のタイミングチャートを示す。 劣化評価のための点滅制御における、一つの画素行(水平ライン)に対する発光制御信号の時間変化の例を示す。 通常映像データの表示における、異なる時刻それぞれでの、画素行それぞれの発光制御信号を示す。 劣化評価のための点灯制御における、異なる時刻それぞれでの、画素行それぞれの発光制御信号を示す。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
〔概略〕
以下において、自発光素子により画像を表示する表示装置の実施形態を説明する。自発光素子の例は、OLED(Organic Light Emitting Diode)素子である。なお、本開示の特徴は、OLED素子と異なる種類の自発光素子を使用する表示装置にも適用することができる。以下において、自発光素子を単に発光素子と呼ぶ。
発光素子は、使用期間の経過と共にその電流-電圧-発光光量特性を変化させ得る。通常は、同一の駆動条件において発光光量が低下する傾向にあるため、劣化と称することが多い。本明細書の一実施形態に係る表示装置は、発光素子の発光光量を測定することで、発光素子の劣化度合を評価する。表示装置は、発光素子の劣化度合に基づいて、その発光素子の発光を制御する。これにより、表示装置の表示品質の劣化を抑制する。
表示装置は、表示領域において画像を表示する。表示領域は複数の画素で構成され、各画素は発光素子を含む。画素は、発光制御される最小単位であって、カラー画像を表示する構成において、副画素と呼ばれることもある。表示領域を構成する画素は、共通の色、例えば白く発光してもよく、表示領域は、異なる色、例えば、赤、緑、青の画素を含んでもよい。
表示装置は、発光素子の劣化度合を、その発光素子の発光光量を測定することによって評価する。表示装置の実使用環境下において、太陽光、各種照明装置等が発する光などの外光が存在し、外光強度は大きく変化し、発光素子の発光光量の測定に影響を与える。本明細書の一実施形態において、表示装置は、発光素子の発光光量のロックイン測定を行う。
本明細書の一実施形態において、表示装置は、表示領域を構成する画素から一部の画素(発光素子)を測定対象として選択的に点灯する。一部の画素は、1又は複数の画素で構成される。表示装置は、選択した画素の発光を所定周波数で交流変調する。パルス変調は交流変調の例であり、パルス信号の他に、例えばサイン波を使用してもよい。光センサは、交流変調された画素の光を含む光の強度に応じた検知信号を出力する。ロックインアンプは、入力された上記所定周波数の参照信号に基づき、画素からの交流変調された光に対する成分を検知信号から抽出する。
本明細書の一実施形態において、光センサは、表示領域の正面から外れた位置に配置されている。例えば、光センサは、表示領域を含む表示パネルの側端に設置されてよい。これにより、光センサの存在によって、表示装置の意匠に影響を与えることが避けられ、機能面でもユーザによる画像の視認に対する影響を避けることができる。光センサは、表示パネル側端からの漏れ光を検知する。漏れ光は、表示領域正面における表示光より弱い。
上述のように、選択した画素からの光のロックイン測定を行うことで、外光の影響を低減して、選択した画素の発光に対応する漏れ光を適切に測定することができる。特定の位置の選択された画素からの発光は、表示光として表示領域の正面へ出射されるとともに、その一部は表示パネル内を伝播して表示パネルの側端にも漏れ光として達する。表示パネルの構造は使用期間で変化するものではなく、光センサの位置は製造時から変化することはない。
したがって画素から正面へ出射される光量と、表示パネル内を伝播して光センサに届く光量の間には、選択された画素の座標に対して一定の関係が保たれる。そこで、あらかじめその関係を把握しておくことによって、光センサで漏れ光を測定することで、表示領域正面への出射光量を推定することができる。
〔装置構成〕
図1は、本明細書の一実施形態に係る表示装置の構成例を模式的に示す。表示装置の一例として、OLED表示装置を説明するが、本開示の特徴は、他のタイプの発光素子を使用する表示装置にも適用することができる。
図1を参照して構成例を説明する。OLED表示装置10は、表示領域12を含む表示パネルと、表示パネルを制御する制御回路を含む。制御回路は、走査回路14、表示信号回路16、主制御回路21、補正回路22、記憶回路23、スイッチ27、ロックインアンプ33、及び温測回路39を含む。OLED表示装置10は、さらに、DC電源25及びパルス電源35を含む点灯用電源回路、並びに、光センサ31及び温度センサ38を含む。
表示領域12は、面状に配列された複数の表示画素121を含む。表示画素121は、1又は複数の画素で構成されている。以下に説明する例において、表示画素121は、赤、緑及び青の三つの画素で構成される。以下において、これら3色の画素それぞれを、副画素と呼ぶ。これに対して、3色の副画素からなる表示画素に対して主画素という表現も用いる。
図2は、表示領域12を含む表示パネル11に対する光センサ31の位置を模式的に示す。表示パネル11は、OLED素子及び画素回路が形成されるTFT(Thin Film Transistor)基板111と、有機発光素子を封止する薄膜封止構造(TFE:Thin Film Encapsulation)と、を含んで構成されている。薄膜封止構造に代えて、TFT基板111に接合部によって封止基板を接合してもよい。TFT基板111と封止基板との間には、例えば、乾燥窒素が封入される。FPC(Flexible Printed Circuit)28の一端は、TFT基板111に接続され、TFT基板111上の制御回路と外部装置との間で、画像データを含むデータを伝送する。
光センサ31は、表示領域12の正面を除く外側に配置されている。図2の構成例において、光センサ31は、表示パネル11の側端面に対向する位置に設置されている。副画素、つまり、OLED素子からの発光は、表示領域12の正面から出射する表示光126の他に、一部は表示パネル11に用いられるガラス基板や透光性フィルム基板等に入射し、表示パネル11の端面まで伝播し表示パネル側端面に達する漏れ光127となる。
図2では、漏れ光127は光センサ31の位置に表示されているが、実際には表示パネル11の側端面のすべておよび、裏面にも発生している。表示パネル11の端面に光センサ31を設置することで、通常の画像表示動作時に画像の視認性への影響や装置の意匠への影響を与えることなく、OLED素子の発光光量を、測定することが可能となる。
ふたたび図1に戻って構成例を説明する。表示領域12の外側に、制御回路及び電源回路が配置される。例えば、制御回路及び電源回路の一部は、TFT基板111の表示領域の周囲の領域に配置することができる。それ以外の主制御回路21及び電源回路25、並びにロックインアンプ33は、FPC28上及びその接続先のプリント基板上に配置され、図1の構成が形成されている。図1の構成は外部の機器と接続され、画像データや電源電圧を外部の機器から受信する。各構成要素の配置は個々の機器設計の思想によって異なる。
表示画素は走査回路と表示信号回路を主制御回路によって連動させることで、いわゆるアクティブマトリクス駆動される。走査回路14はTFT基板111の走査線及び発光制御線を順次選択駆動して、各副画素の画像データの更新および発光期間を制御する。発光制御線は、画素回路行を順次選択するため、走査線でもある。走査線及び発光制御線は、画素回路を制御するための制御線である。主制御回路21は、走査回路14に電源及びタイミング信号(制御信号)を与え、走査回路14は、そのタイミング信号に応じて走査信号及び発光制御信号を出力する。走査信号は、表示信号を書き込む画素行を選択することができる。発光制御信号は、OLED素子への駆動電流の供給をON/OFFして、OLED素子の消灯及び点灯を制御できる。
表示信号回路16は、TFT基板111のデータ線に表示信号を与える。データ線は、走査回路14によって選択された画素回路行の画素回路それぞれに表示信号を伝送する。画素回路は、表示信号に対応した駆動電流をOLED素子に与え、OLED素子は表示信号に対応する光量で発光する。
具体的には、画素回路は、駆動TFT(駆動トランジスタ)と、駆動TFTの駆動電流を決める信号電圧を保持する保持容量を含む。データ線が伝送する表示信号は、駆動TFTの閾値に応じて補正されて保持容量に蓄積される。保持容量の電圧は、駆動TFTのゲート電圧(Vgs)を決定する。表示信号が駆動TFTのコンダクタンスをアナログ的に変化させ、発光階調に対応した順バイアス電流をOLED素子に供給する。
表示信号回路16は、補正回路22から与えられた表示データに応じた表示信号を出力する。主制御回路21は、補正回路22に副画素の劣化を補償するためのパラメータを設定する。補正回路22は、主制御回路21から表示画素の座標及び赤、緑及び青それぞれの階調レベルを受信し、補償パラメータに従って、階調レベルから表示データを生成する。
主制御回路21は、外部から画像データを受信し、連続する画像フレームの各画像フレームから、副画素それぞれの階調レベルを決定する。階調レベルは、補正回路22に送信される。後述するように、主制御回路21は、表示領域12内の副画素(OLED素子)それぞれの発光光量を測定し、それらの劣化度合を評価する。主制御回路21は、OLED素子の劣化度合に応じて、副画素それぞれのための劣化補償パラメータを決定し、補正回路22に設定する。
記憶回路23は、主制御回路21によるOLED素子の劣化評価のための制御情報、及び、主制御回路21により決定された劣化補償パラメータを格納する。記憶回路23が格納する情報の詳細は後述する。
OLED表示装置10は、OLED素子の劣化評価において、光センサ31に加えて温度センサ38を使用する。温度センサ38は、例えば、表示領域12の裏面に配置される。図1は、一つの温度センサ38を使用する例を示すが、異なる位置に配置された複数の温度センサが使用されてもよく、温度センサの配置位置は設計により適切に決定される。例えば、複数の温度センサが表示領域12の裏側において異なる位置に配置されてもよく、一つの温度センサは、光センサ31近傍に配置されていてもよい。
温測回路39は、温度センサ38からの温度検知信号を受信し、温度検知信号から温度センサ38近傍の温度を決定する。温測回路39は、決定した温度データを、主制御回路21に与える。後述するように、主制御回路21は、温度センサ38により測定された温度に基づいて、光センサ31の感度及びOLED素子の発光量の温度補償を行う。
複数の温度センサが設定されている場合、OLED素子の劣化評価は、対象の光センサ対して予め関連付けられている温度センサを使用し、さらに、対象のOLED素子に関連付けられている温度センサを使用してもよい。光センサ又はOLED素子に関連付けられる温度センサは、例えば、最も近い温度センサである。より近くの温度センサを使用することで、より正確な温度補償が可能となる。
主制御回路21は、スイッチ27を制御して、通常表示動作において、DC電源25を、表示パネル11の共通電極(カソード)に接続する。DC電源25は、所定の一定電位を共通電極に与える。共通電極は、表示領域12全域を覆うように形成された単一の電極であって、共通電極の一部が、各OLED素子のカソードとして作用する。
OLED素子の劣化評価において、主制御回路21は、スイッチ27を、DC電源25からパルス電源35に切り替える。主制御回路21は、測定を行う1又は複数の副画素(OLED素子)を選択し、それらに表示信号を書き込む。パルス電源35は、周期的にLレベルとHレベルの間で変化するカソード電源電位を共通電極に供給する。これにより、パルス変調された駆動電流がOLED素子に与えられ、OLED素子の点灯が変調される。パルス電源35の機能を提供する手段としては、DC電源をFETなどのスイッチング素子で断続することで、点灯を変調する方法であってもよい。
パルス電源の周波数は、他の周期的な信号の影響を避けるように選択されてもよい。DC電源を断続する方法の場合には断続を制御する周波数がこれに相当する。例えば、50Hzや60Hzの商用電源周波数や、蛍光灯インバータ周波数等及びこれらの整数倍の周波数など予め想定されるノイズ源の周波数が除外される。これにより、ノイズを低減して測定精度が向上する。また、パルス電源の周波数は、OLED表示装置10の通常表示動作におけるフレーム周波数より高くてもよい。
フレーム周波数は多くの場合60Hzか高くてもせいぜい120Hzである。多くのシステムではノイズの周波数成分は周波数が0Hzに近づくほど大きくなるという傾向をもっており、このノイズを避ける意味がある。あわせて、画素はデータ書き換え時に消灯するので、フレーム周波数で明滅していることになる。本明細書の一実施形態に係る光量測定時の表示パネル動作は、通常動作を基本として、共通電極であるカソード電圧に変調をかける。
つまりフレーム周波数はロックイン測定においてはノイズとなりうる。ロックイン測定では、後述する同期検波回路において、入力信号の周波数変換を行い、変調周波数成分を0Hz(DC)に周波数変換した上で、不要な周波数成分をローパスフィルタ(LPF)により取り除く。
このときノイズ周波数成分は、変調周波数と一定の周波数差を保ったままで周波数変換される。ノイズ成分が変調周波数に近い周波数であると、これを取り除くためにはカットオフ周波数を低く設定する必要がある。LPFのカットオフ周波数を低くすると時定数が長くなり、計測に時間がかかる。
したがって明らかに存在するはずのノイズ成分を有効に分離し、計測の効率を上げるにはノイズ成分と変調周波数の周波数差を十分に大きくすることが有効である。フレーム周波数よりも変調周波数を高い側に設定することにより、周波数差を大きくすることができる。これにより、より適切にOLED素子の発光光量を測定することができる。
カソード電源電位を周期的に変化させて、OLED素子の点灯を変調することで、画素回路構成に実質的に依存することなくOLED素子の発光を適切にパルス変調させることができる。OLED素子は、パルス変調されたカソード電源電位に応じて発光光量をパルス状に変化させる。Lレベルのカソード電源電位は、通常動作におけるDC電源25から供給される電位と同一でよい。
例えば、Hレベルのカソード電位において、OLED素子は消灯し、その発光量はゼロである。OLED素子は、所定光量での点灯と、完全な消灯とを繰り返す。パルス変調した場合に、OLED素子の静電容量により波形の遅延が発生することがある。波形の鈍りなどにより、Hレベルのカソード電位の期間において実際のOLED素子に印加される電位差でわずかに発光してしまう可能性がある。この場合にも所定光量での点灯と、完全な消灯を繰り返すように変調周波数を選択できる。
ロックイン測定では、測定値は入力の振幅に基づく出力が得られる。つまり、完全消灯を想定している期間にわずかに発光してしまうと、わずかな発光量の分だけ、測定結果にマイナスの誤差を与えることになる。したがって、Hレベルの電位はOLED素子のアノード電位よりも高い電位を選択することができる。これによりOLED素子(副画素)はHレベル期間で完全に消灯(発光量0)し、所定光量での点灯との点滅を繰り返す。以下に説明する例において、劣化評価のために、OLED素子は点滅する。
光センサ31は、点滅するOLED素子からの漏れ光を含む光を検知し、その光検知信号をロックインアンプ33に送信する。ロックインアンプ33は、光センサ31からの光検知信号に加えて、パルス電源35から、変調周波数の参照信号を受信する。DC電源を断続する方法の場合には、DC電源を断続する制御信号が参照信号となる。
ロックインアンプ33は、参照信号に基づいて、光検知信号から、点滅するOLED素子からの漏れ光に対する成分を抽出する。このようなロックイン測定によって、外光等の相当量のノイズの影響を回避して、高い精度でOLED素子の発光光量を測定することができる。
図3は、ロックインアンプ33の構成例を示す。ロックインアンプ33は、プリアンプ331、同期検波回路332、及びADコンバータ(ADC)333を含む。プリアンプ331は、光センサ31からの検出信号を、ロックインアンプ33の処理に適した大きさに増幅する。
同期検波回路332は、雑音内の微小信号を高感度に検出することができる。同期検波回路332は、バンドパスフィルタ(BPF)335、位相敏感検出器(PSD)336、ローパスフィルタ(LPF)337、及び移相器36を含む。
上述のように、OLED素子からの光はパルス変調されている。光センサ31の検出信号は、変調信号と同じ周波数および位相で変化するOLED素子の発光光量に対応した信号を含み、これに外光成分を含む様々な雑音成分が重畳されている。バンドパスフィルタ335は、変調周波数成分を選択的に通過させ、他の成分を減衰させる。これにより、周波数が異なる雑音成分の多くの部分が削除される。なお、バンドパスフィルタに代えて、同調アンプを使用してもよい。
位相敏感検出器(PSD)336は、参照信号(変調信号)に同期してバンドパスフィルタ335からの信号を整流する。移相器36は参照信号の位相を調整する。具体的には、移相器36は位相敏感検出器336に至るまでの回路における信号の位相変化による影響を回避するために、OLED素子の点滅による検出信号の位相と参照信号の位相が一致するように、参照信号の位相を調整する。移相器36は省略されてもよい。位相敏感検出器336は、移相器36により途中回路での位相変化が調整された参照信号を受け取る。位相敏感検出器336は、参照信号に基づいて、バンドパスフィルタ335からの信号をスイッチングして全波整流する。
ローパスフィルタ(LPF)337は、位相敏感検出器336からの信号からDC成分を取り出して、最終的な計測信号を生成する。具体的には、全波整流された波形の中には信号成分はDC成分として含まれるが、位相が異なる成分や、変調周波数以外の周波数成分は交流成分として含まれている。この信号をローパスフィルタに通すことで、時間平均を取るのと同じ効果が生まれ交流成分はキャンセルされる。これにより、参照信号と位相の異なる成分、異なる周波数成分を除去する。
強い外光によるノイズが光センサ31の光検知信号に含まれていたとしても、外光自体は測定のためのパルス変調をされているわけではないので、上述した過程によって排除することができる。このように、同期検波回路332は、OLED素子の点滅と周波数及び位相が一致した成分を高感度に抽出できる。同期検波回路332からの出力は、ADコンバータ333によってデジタル信号に変換されて、主制御回路21に入力される。
なお、ロックインアンプは上述のような構成でなくてもよく、90°位相差を持たせた2つの参照信号をもちいる2位相ロックインアンプや、アナログ的な乗算回路を用いて構成されていてもよい、それ以外にも、OLED素子のパルス発光と同一周波数及び同一周期の成分を光センサ31の光検知信号から抽出できる任意の構成を使用できる。
〔制御情報〕
図4は、記憶回路23に格納されている情報の例を示す。記憶回路23は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。一般に、不揮発性メモリが記憶回路23のために使用される。記憶回路23は、発光量温度補償情報41、光センサ感度温度補償情報42、光量変換情報43、光量測定データ44、光量初期データ45、及び表示補償情報46を格納している。
発光量温度補償情報41は、OLED素子の発光光量の温度補償を行うための情報を示す。光センサ感度温度補償情報42は、光センサ感度の温度補償を行うための情報を示す。光量変換情報43は、光センサにより検知された漏れ光の光量を表示領域正面へ出射される光量に変換するための情報を示す。発光量温度補償情報41、光センサ感度温度補償情報42及び光量変換情報43は、OLED素子の劣化評価において参照され、記憶回路23に予め設定されている。
光量測定データ44は、OLED素子の劣化評価において測定された光量データを示す。光量初期データ45は、OLED表示装置10の実使用の前に測定された、OLED素子の光量データを示す。表示補償情報46は、OLED素子の劣化評価結果に基づき生成され、劣化補償を行うために参照される情報を示す。
図5は、発光量温度補償情報41の構成例を示す。発光量温度補償情報41は、温度と温度補償係数αとの関係を示す。各温度におけるOLED素子の発光光量に、対応する温度補償係数αを乗算することで、標準温度での発光光量が得られる。図5は、テーブルフォーマットで温度と温度補償係数αとの関係を示すが、関数式でこれらの関係が表されてもよい。
図6は、光センサ感度温度補償情報42の構成例を示す。光センサ感度温度補償情報42は、温度と温度補償係数βとの関係を示す。各温度における光センサの検知信号に、対応する温度補償係数βを乗算することで、標準温度での光センサ感度での検知信号を得ることができる。図6は、テーブルフォーマットで温度と温度補償係数βとの関係を示すが、関数式でこれらの関係が表されてもよい。
図7は、光量変換情報43の構成例を示す。光量変換情報43は、赤、緑及び青副画素用それぞれのテーブル431R、431G及び431Bを含む。各テーブルは、光センサにより測定された漏れ光の光量を表示領域正面への出射光量に変換する係数を示す。具体的には、各テーブルは、表示画素の位置座標と階調レベルの組み合わせそれぞれに対する係数を示す。なお、係数は階調レベルに依存することなく位置座標のみに対して定義されていてもよい。他の例において、階調レベルに代えて、光センサの検出光量レベルと表示画素の位置座標の組み合せに対して係数が設定されていてもよい。
表示パネル側面に配置された光センサ31と副画素(OLED素子)との位置関係は、副画素の座標位置によって異なり、表示パネル側面に配置された光センサまでの光の伝播経路が異なる。表示パネル側面からの漏れ光となる光は、画素の発光によってもたらされるが、TFT基板や封止基板等の中を減衰しながら伝播する。伝播中の減衰量は波長依存性を持っており、伝播距離によっても変化する。従って、副画素の座標位置毎に変換係数を用意することで、適切な変換が可能となる。図7に示す例において、同一の表示画素を構成する三つの副画素の座標は共通であるが、これらが異なっていてもよい。同一表示画素の異なる副画素の係数は共通でもよい。
ロックインアンプ33により得られた光センサ31の位置におけるOLED素子の漏れ光の光量に、光量変換情報43における対応する係数を乗算することによって、当該OLED素子の表示領域正面へ出射される光量の推定値を得ることができる。図7は、テーブルフォーマットで副画素それぞれの変換係数を示すが、座標と係数との関係を示す関数式が使用されてもよい。
光量測定データ44、光量初期データ45、及び表示補償情報46は、それぞれ、図7に示す光量変換情報43のフォーマットと同様のフォーマットで、副画素それぞれのための値を示すことができる。例えば、光量測定データ44は、光センサ31による検知信号から得られる、副画素それぞれの表示領域正面への出射光量の推定値を示す。
主制御回路21は、ロックインアンプ33から副画素(OLED素子)の漏れ光光量の測定値を取得する。主制御回路21は、発光量温度補償情報41及び光センサ感度温度補償情報42を参照して、温測回路39からの温度に基づき、漏れ光光量の測定値を補正する。主制御回路21は、光量変換情報43から対応する副画素の係数を取得し、温度補償された光センサ位置における漏れ光光量の測定値を、表示領域正面への出射光量の推定値に変換する。このように推定された正面への出射光量値が、光量測定データ44に格納される。
光量初期データ45は、例えば、OLED表示装置10の出荷前に実測された副画素それぞれの正面出射光量値を格納する。具体的には、光量初期データ45は、OLED素子が表示パネルとして製造された直後ではなく、表示パネル状態で、あるいはOLED表示装置10として組立てられた後に発光特性を整えるエージング処理等を経て、OLED表示装置10の実使用開始状態と同等の発光特性となったときに実測された副画素それぞれの正面出射光量値を格納する。他の例において、光量初期データ45は、OLED素子が劣化する前、例えば、最初のOLED素子劣化評価における正面出射光量値が格納されてもよい。
表示補償情報46は、例えば、副画素それぞれの劣化状況に対応して、各階調における補償係数を示す。信号補正回路22は、表示補償情報46を主制御回路21から取得する。信号補正回路22は、表示補償情報46が示す補償係数に従って、各副画素の階調レベルから劣化補償された表示データを生成し、表示信号回路16に出力する。信号補正回路22は、例えば、主制御回路21から取得した階調レベル(例えば0~255)を表示補償情報46に基づいて補正してもよく、階調レベルから算出された表示データを表示補償情報46に基づいて補正してもよい。表示補償情報46はOLED表示装置の初期のγ特性を維持し、補償後の表示に置いてホワイトバランスが維持された状態に表示を補正することができる情報である。
表示補償情報46は、副画素それぞれの劣化状況と各階調における補償係数との関係を示す関数式を含んでもよい。表示補償情報46が示す劣化補償のためのパラメータは、OLED表示装置の設計に依存し、各副画素のための補償係数の他、関数式の係数等でもあり得る。
主制御回路21は、表示パネルの全体あるいは局部的に劣化が進行したときに、劣化による表示品質の低下を軽減あるいは解消するような表示補償情報を算出する。例えば、光量初期データ45と光量測定データ44との比較結果に基づいて、予め設定された計算方法に従って、表示補償情報46を算出することができる。他の例において、主制御回路21は、光量測定データ44が示す光量分布に基づいて、表示補償情報46を算出することができる。例えば、主制御回路21は、光量測定データ44が示す副画素の発光光量のばらつきが小さくなるように、表示補償情報46を決定する。発光光量のばらつきを小さくする考え方としては、隣接する領域の副画素群同士で同一の均一な表示データに対して、平均的な発光光量が異なり、領域の境界で急激に光量の差を生じるときに、領域全体を補正するのではなく、境界線が視認されにくくなるようにするような補正であってもよい。
図4に示す記憶回路23に格納される情報の一部は省略されていてもよい。例えば、発光量温度補償情報41、光センサ感度温度補償情報42及び光量変換情報43は省略されていてもよい。発光量温度補償情報41と光センサ感度温度補償情報42とが統合され、その補償情報は、各温度に対して発光量とセンサ感度を同時に補正する係数を示してもよい。
光量変換情報43が省略されている場合、光量測定データ44及び光量初期データ45は、光センサ位置での漏れ光光量の値を示す。光量測定データ44から面内輝度が均一化されるように表示補償情報46を決定する構成において、光量初期データ45は省略されていてもよい。光量測定データ44は、表示補償情報46が生成(更新)された後、消去されてもよい。
図8は、光センサ出力の測定例を示す。図8のグラフは、表示パネルの全面において、最大階調レベル(255階調レベル)で異なる色の副画素をそれぞれ表示した場合の、センサ出力を示す。具体的には、図8は、実験用の暗室の中で測定したもので、外光の影響がない環境で測定したものであり、赤(R)、緑(G)及び青(B)の表示に対する光センサ出力をそのまま表示してあり、ロックインアンプを用いたものではない。
赤、緑及び青ともに、それぞれ255階調レベルの点灯であり、これらを同時に点灯させると白表示となる条件である。図8に示すように、赤、緑及び青の間で、センサ出力自体に差があるのは当然であるが、明らかにホワイトバランスが成立する発光強度比率ではない。これは、OLED表示装置10内で副画素から光センサ31までの光の伝搬経路において、発光色すなわち波長毎に減衰率が異なることを示す。さらに光センサ31の波長依存性の影響もある。従って、図7に示すように、発光色毎に制御情報を用意することで、より適切な劣化補償が可能となる。
図9は、座標(x,y)の副画素について、異なる温度における、OLED素子の発光による表示領域正面への出射光量と、画像データから算出される階調レベルとの関係を模式的に示す。図9に示す例において、階調レベルと正面出射光量とが線形の関係を示すように記載したが、実際、の関係はOLED素子の特性だけでなく、制御回路および表示信号回路に設定されているγ特性に依存する。
図9に示すように、全ての階調レベルにおいて、温度上昇と共に、発光光量が低下する。発光量温度補償情報41は、このようなOLED素子の発光特性に基づき生成される。発光量温度補償情報41を参照することで、測定値を標準温度での測定値に補正することができ、OLED素子の温度依存性を排除して、より高精度なOLED素子の劣化評価が可能となる。
図10は、座標(x、y)の副画素について、OLED素子の発光を光センサの温度を変化させたときの出力と、画像データから算出される階調レベルとの関係を模式的に示す。ここでは、OLED素子の発光光量は、階調レベルが一定であれば一定であり、光センサ温度に依存しないとする。図10に示す例において、階調レベルと光センサ出力とは線形の関係を示すように記載したが、実際の関係はOLED素子の特性だけでなく、制御回路および表示信号回路に設定されているγ特性に依存する。
図10に示すように、全ての階調レベルにおいて、温度上昇と共に、センサの出力が上昇する。光センサ感度温度補償情報42は、このような光センサの特性に基づき生成される。光センサ感度温度補償情報42を参照することで、測定値を標準温度での測定値に補正することができ、光センサの温度依存性を排除して、より高精度なOLED素子の発光光量測定が可能となる。
図11は、OLED表示装置10の使用時間が経過したのちの、座標(x、y)の異なる複数の副画素について、実使用環境下での、OLED素子の推定正面出射光量の測定データの比較例を模式的に示す。上述のように、主制御回路21は、ロックインアンプ33が光センサ出力から抽出したOLED素子の漏れ光量測定値から、発光量温度補償情報41、光センサ感度温度補償情報42、及び光量変換情報43を参照して、正面出射光量値を推定する。図11のグラフにおいて、横軸は階調レベルを示し、縦軸は推定正面出射光量を示す。
図11において、線441Aは、推定正面出射光量値の初期値を示す。線441Bは、OLED表示装置10の使用時間の経過に伴い劣化した平均的なOLED素子の推定正面出射光量値を示す。OLED素子の劣化に伴い、各階調レベルにおける推定正面出射光量は低下している。線441C及び441Dは、それぞれ、平均的OLED素子よりも劣化が大きいOLED素子の推定正面出射光量を示す。例えば、線441Dは、全ての副画素において最も大きな劣化を示す副画素の推定正面出射光量を示す。
線441Bで示す平均的劣化状態のOLED素子群の領域の中に、線441Cの特性を示すOLED素子群が存在する場合、表示画面全体を同一の階調で表示させても、OLED素子が発する光量には図11の線441Bと線441C縦軸方向の差が存在する。この差はOLED表示装置の使用期間に起きた劣化の程度差であり、その期間の表示階調と表示時間に依存する負荷の程度によるものである。その結果、劣化に対する補償を行わない表示においては、使用時間経過後には長時間表示した画像に対応した光量の差があり、いわゆる焼き付きとして視認される。
主制御回路21は、表示領域12の全体の推定正面出射光量に基づいて、各副画素の目標特性を決定し、目標特性に近い特性を示すように、各副画素の発光制御に補正を加える。主制御回路21は、画像データの階調レベルをシフトさせてもよい。他の例において、主制御回路21は、OLED素子の駆動電流を示す表示データを補正して発光量を変化させてもよい。
階調による補正を用いる場合、主制御回路21は、画像データの階調レベルを補正して、駆動階調レベルを生成する。一般には最大階調レベルを超える駆動はできない。劣化補償による補正は、表示領域12全体を暗くする。図12は、推定正面出射光量441A~441Dに加えて、目標特性442の例を示す。目標特性442は、最も劣化が進んでいる副画素の発光特性441Dに合わせて、目標特性442が決定される。
図12の例においては、目標特性442が示す推定正面出射光量は、全ての階調レベルにおいて、最劣化特性441Dの推定正面出射光量以下である。また、目標特性442は、劣化前のOLED素子の特性に沿うように、階調レベルと推定正面出射光量が比例関係を示す。このように、階調レベル間で劣化度合が異なる場合であっても、階調レベルとの比例関係を維持するように補正することができる。
図12による説明では劣化前のOLED素子の特性が表示階調と直線関係、即ちγ=1で模式図を作成して説明した。よって、劣化補償後の特性も同じγ=1として劣化前後で画像表示に影響が出ないようになっている。R、G、B各副画素に対しては劣化特性が同じにならない場合が多い。各色の副画素に対して、個別に劣化補償をしてしまうとホワイトバランスがずれてしまう。したがって、詳細な手順の説明は省略するが、主制御回路21はγ特性を維持しつつ、ホワイトバランスを保つような補正目標を設定した表示補償情報を生成する。
上述のように劣化補償が副画素の発光光量を低下させるように補正を行う構成において、主制御回路21は、表示領域12全体の明るさを調整する他の機能を併用することで、表示領域全体が暗くなることを抑制してもよい。また、上述のように劣化補償が画面全体を均一化するような方法を説明したが、画面全体を平均化するような補正を施すのではなく、焼き付きが生じている境界部分で発光特性の急激な変化の影響を緩和するような補正によって、焼き付きの視認性を低下させるようにしてもよい。劣化情報をもとに補正情報を導出する方法は、あらかじめ定めた計算式によるものであってもよく、あるいは特定のアルゴリズムによって計算されるものであってもよい。さらにはAI(人工知能)によって焼き付き境界の視認性を低下させる方法であってもよい。
〔出荷前測定〕
以下において、OLED表示装置10に予め設定される制御データの生成方法を説明する。図4を参照して説明した例において、光量変換情報43及び光量初期データ45は、発光量温度補償情報41及び光センサ感度温度補償情報42と共に、予めOLED表示装置10に設定される。
OLED表示装置10の製造段階において、表示パネル11の発光特性及びセンサ感度の温度特性を測定し、温度補償情報41、42及び光量変換情報43と共に、光量初期データ45を生成する。OLED表示装置個体間の特性が安定している場合、複数のOLED表示装置に対して共通の代表値を使用することができる。
OLED表示装置10の製造段階における手順を、図21を参照してさらに詳しく説明する。OLED表示装置10は図1の構成を持ち、表示領域12が外部に露出している。さらにOLED表示装置10には自身の動作を制御する信号およびデータを、主制御回路21(図21で図示無し)を通じて外部とやり取りするためのインターフェース(図示無し)がある。
OLED表示装置10の製造段階においては、OLED表示装置10は測定環境200に置かれ、そのインターフェースを通じて測定装置201と接続され、制御信号とデータをやり取りする。測定装置201には外部光センサ210が接続される。測定装置201にはロックインアンプが搭載されていて、画素の明滅に同期したロックイン測定を行う。外部光センサ210はOLED表示装置10の表示領域12の正面に配置され、OLED素子の発光をとらえて光量を測定し測定装置201に伝える。
外部光センサ210は測定対象となり発光するOLED素子の正面へ移動する機構(図示無し)を備える。測定環境200は温度調節装置(図示無し)、及び模擬外光源203を備える。測定環境200は遮光装置205を持ち暗室状態にできる構造であってもよい。温度調節装置は、測定環境200および測定環境内のOLED表示装置10、外部光センサ210を温調することができる。模擬外光源203は、表示領域12を照射し、実使用環境の外光を模擬する。外光の影響については後述する。
測定装置201は、表示領域12の各副画素の正面出射光量を外部光センサ210で測定し、同時に、光センサ31の位置における漏れ光の光量を測定する。漏れ光の測定は、例えば、表示パネル11に実装済みの光センサ31(図21で図示無し)を使用することができる。この光量測定は、実使用環境下での劣化評価と同様に行うことができる。つまり、パルス変調された発光光量が測定される。
測定装置201は、表示パネル11の副画素を順次選択し点灯させる制御をする。同時に外部光センサ210を選択した副画素の上方に移動させ正面出射光量を測定する。測定装置201は、表示パネル11の共通電極にパルス電源から、パルス変調された電源電位を与えるよう制御する。測定装置201は、DC電源をスイッチングしてパルスを生成させてもよい。
測定装置201は、表示領域12の正面に設置した外部光センサ210及び表示パネル11に実装された側面の光センサ31によって変調信号によるロックイン測定を行い、正面出射光量と光センサ31に入射する漏れ光の光量との対応関係を光量変換情報43として保存する。OLED表示装置に搭載された光センサ31による測定は、OLED表示装置側で測定した値を、インターフェースを経由して測定装置201に取り込んでもよい。なお、局部的に劣化の進行が著しく異なることがない領域については、一部の副画素についてのみ測定を行い、近接する副画素のデータを補間関数によって決定してもよい。
上記光量測定は、異なる複数の階調レベルにおいて実行される。測定装置201は、各階調レベルにおいて正面出射光量と漏れ光の光量との関係を特定する。なお、一部の階調レベルについてのみ測定を行い、他の階調レベルの値は補間関数によって決定してもよい。
前述の測定は、測定環境200が温度調整装置202によって標準温度に温調された状態で行われる。測定装置は、さらに、異なる温度において、副画素の正面出射光量及びセンサ出力を測定する。これにより、センサ感度と温度との関係及びOLED素子の発光光量と温度との関係を同時に測定することができる。測定温度範囲は、実使用環境での想定温度範囲が選択される。
温度補償は、1種類の補償情報によって、センサ感度及びOLED素子発光光量に対して同時に実行される。なお、光センサの温度特性とOLED素子の温度特性が個別に測定されて、図4に示すように、それぞれの温度補償情報が用意されてよい。光センサ及びOLED素子の特性が十分安定している場合には個々のOLED表示装置に対して補償情報の取得は行わず、共通の代表値をもってそれに代えてもよい。
上記副画素の出射光量測定により、光量初期データ45も得ることができる。製造段階における光量測定は、副画素群を構成する近接した複数副画素を同時発光させ、それら複数副画素の出射光量の総和を測定してもよい。製造段階においては焼き付き、即ち局部的に発光特性の異なる場所は発生していないはずなので、測定値から副画素単位の出射光量を算出することができる。
これにより、表示領域全体の発光測定時間を短縮できる。同時に点灯、測定する副画素数を増やした場合には単純な計算では単一の副画素を測定したときの特性とは誤差が増大するので、あらかじめ同時発光させた場合の計算値と、個別の測定値を測定しておけば、同一設計のOLED表示装置に対する傾向を把握することができ、同時発光による測定の限界を知ることができる。
〔劣化評価及び劣化補償〕
次に、実使用環境下でのOLED素子の劣化評価及び劣化補償の例を説明する。図13は、OLED表示装置10による表示領域12内のOLED素子の劣化評価及び表示補正のフローチャートを示す。OLED表示装置10は、上述のように、表示パネル11の端面の光センサ31を用いて、1又は複数のOLED素子(副画素)の発光による表示パネル11側面からの漏れ光の光量を測定する。
OLED表示装置10の起動後、主制御回路21は、現在が、表示期間内であるか判定する(S101)。例えば、主制御回路21は、外部からの画像データの入力が既定時間を超えて停止している場合に、表示期間外であると判定することができる。他の例において、主制御回路21は、OLED表示装置10の起動直後、電源OFFの指示又はスリープモードへの移行時に、表示期間外であると判定してもよい。
現在が表示期間内であると判定されると(S101:YES)、主制御回路21は、記憶回路23内の保存メモリ231から表示補償情報46を読み込む(S102)。主制御回路21は、読み込んだ表示補償情報46に基づき、入力された画像データの補正表示を実行する(S103)。なお、図4に示す情報は、全て、保存メモリ231に格納されている。
具体的には、主制御回路21は、補正回路22に補償情報を設定し、補正回路22は、外部から入力された画像データが示す副画素それぞれの階調レベルから、補正された表示データを生成する。画像データの入力が終了するまで(S104:YES)、補正表示が実行される(S104:NO及びS103)。なお、前回の測定から所定期間が経過していることが、劣化評価開始の条件に加えられていてよい。
ステップS101において、現在が表示期間外であると判定されると(S101:NO)、主制御回路21は、現在温度と所定の閾値とを比較する(S105)。現在温度と初期データ測定時の標準温度との差が閾値より高い場合(S105:YES)、フローはステップS101に戻る。標準温度から大きくかけ離れた温度での測定は温度補償でデータを変化させる差異が大きくなり、誤差を生む原因となる。このように、正確な劣化評価ができない温度範囲での劣化評価を避けることで、より正確に補償情報を更新できる。なお、劣化評価を実行する温度範囲の上限のみが設定されてもよく、下限のみが設定されていてもよい。
現在温度と標準温度との差が閾値以下である場合(S105:NO)、主制御回路21は、外光強度と所定の閾値とを比較する(S106)。外光強度は、例えば、光センサ31又は他の光センサを使用して測定できる。外光強度が閾値より高い場合(S106:YES)、フローはステップS101に戻る。
本明細書の一実施形態に係る表示装置においては、ロックイン測定によって外光によるノイズ成分の影響を効率よく排除できる。しかし、真夏の炎天下で日光が表示領域を直射するような条件では、外光の影響を排除しきれない。表示面に入射した外光は表示面から表示パネル内に侵入し、その一部は表示パネル側面の光センサに到達する。OLED素子1個の光量と、表示領域全面に照射される日光を比べると格段の差があり、光センサに到達する光量を比べても外光の強度は強大である。このように、正確な劣化評価ができない外光強度下での劣化評価を避けることで、より正確に補償情報を更新できる。外光の影響の大きさについては後述する。
劣化評価を行うための環境条件が満たされる場合(S105:NO、S106:NO)、主制御回路21は、副画素を順次点灯して、劣化評価を実行する。主制御回路21は、全ての副画素の劣化評価を行ってもよく、選択された一部の副画素の劣化評価を行ってもよい。また、隣接する複数の副画素からなる副画素群を同時に点灯し、当該副画素群の劣化評価を行ってもよい。
ただし、劣化評価においては、初期特性取得時とは異なり、焼き付きが発生している可能性がある。同時測定の結果(出射光量の総和)が閾値を超える低下を示し、当該副画素群内に極端に劣化した副画素が存在すると推定される場合、主制御回路21は、当該副画素群内の各副画素の光量を個別に測定してもよい。過去の測定結果で極端な劣化が測定された副画素群の各副画素は個別に発光光量測定を行い、他の副画素群については複数副画素の同時測定を行ってもよい。この方法により劣化評価の時間短縮がはかれる。以下の説明は、全ての副画素の劣化評価を順次実行するものとする。
主制御回路21は、未測定の表示画素の座標を選択し(S107)、さらに、選択した表示画素の未測定の階調レベルを選択する(S108)。その後、主制御回路21は、選択した表示画素の赤副画素、緑副画素及び青副画素それぞれの発光光量を測定する(S109、S110及びS111)。
主制御回路21は、選択した階調レベルにおいて、副画素を発光させる。この時、主制御回路21は、劣化補償を行うことなく、副画素を選択した階調レベルで発光させる。上述のように、主制御回路21は、副画素の発光をパルス変調し、ロックインアンプ33によってロックイン測定を行う。
上述のように、主制御回路21は、副画素に選択した階調レベルの表示信号を書き込み、OLED素子の共通電極への電源を、DC電源25からパルス電源35に切り替える。パルス電源35は、パルス変調された電源電位を共通電極へ与える。これにより、所望の周波数で副画素を点滅させることができる。パルス電源35を使用することで、フレーム周波数を超える所望の周波数で、適切にOLED素子の発光をパルス変調させることができる。
表示パネル11の表示面から外光が入射し、光センサ31に届く可能性もある。点滅周波数は、外界からのノイズと分離できるように、特定の周波数を避けるように設定される。例えば、商用電源周波数等の、想定される外界ノイズの整数倍を避けることで、ノイズ耐性が上がり測定精度が向上する。
主制御回路21は、光センサ31によって検知され、ロックインアンプ33によって抽出された、OLED素子の赤、緑、青それぞれの漏れ光の光量値を、発光量温度補償情報41及び光センサ感度温度補償情報42に基づき補正する(S112)。さらに、主制御回路21は、光量変換情報43に基づき、温度補正された光量値から表示領域正面への出射光量値を推定する(S113)。主制御回路21は、測定された赤、緑及び青の副画素の正面出射光量推定値及び、それら副画素の正面出射光量推定値に基づく表示補償情報を、記憶回路23内の一時メモリ232に格納する。あらかじめ目標特性を定めた、最も単純な表示補償情報46の生成方法は、上述の通り行うことができる。
主制御回路21は、全ての表示画素の光量測定が完了したか判定する(S114)。未測定の表示画素が残っている場合(S114:NO)、フローはステップS101に戻る。全ての表示画素の光量測定が完了している場合(S114:YES)、主制御回路21は、一時メモリに格納されている光量測定データ44及び表示補償情報46を、保存メモリ231に転送する(S115)。
なお、表示補償情報46の導出は、全ての副画素の光量測定完了後に行われてもよい。すべての副画素の光量測定データがあると、測定データに基づく目標特性の決定ができる。単純な表示補償でない、焼き付きの輪郭の視認性を低下させる等の表示補償を行う場合には、全ての副画素の光量測定完了後に、所定の方法で表示補正情報を生成する。劣化情報をもとに補正情報を導出する方法は、あらかじめ定めた計算式によるものであってもよく、あるいは特定のアルゴリズムによって計算されるものであってもよい。さらにはAI(人工知能)によって焼き付き境界の視認性を低下させる方法であってもよい。
上述のように、測定すべき全ての副画素の劣化評価(光量測定)が完了する前に表示期間が開始すると(S101:YES)、主制御回路21は、劣化評価を中断して、通常の表示動作を実行する(S102及びS103)。
図14は、表示領域12の全域の表示補償情報46を分割して取得する方法の概念図である。ここでは表示領域12の全域の表示補償情報を取得する期間をサイクルと称する。今回サイクルにおける表示領域12全域の劣化評価が完了する前、前回サイクルにおいて取得された光量測定データ460Aをもとに生成された表示補償情報461Aが、画像データの表示のために参照される。上述のように、主制御回路21は、表示期間外の期間(休止期間)それぞれにおいて、表示領域12の一部領域122A~122EのOLED素子の劣化評価を順次行う。測定された一部領域の光量測定データが、一時メモリ232に格納される。
表示領域12の全てのOLED素子の測定が完了すると光量測定データ460Bが完成する。これをもとに今回サイクルにおける表示領域全域の表示補償情報461Bが生成されると、主制御回路21は、表示補償情報461Bを保存メモリ231に格納する。それ以降の画像データの表示において、表示補償情報461Bが参照される。
1回の測定期間に表示領域全域の光量測定を行うことなく、複数回の測定期間に分割して取得した光量測定値を基に、表示領域全域の状態を把握してもよい。表示領域12の分割した光量測定の2回目以降の測定において、すでに測定済みの表示画素の一部を再び測定して、測定済みデータと比較を行う。分割測定の2回目以降の測定においては、使用状況によっては、使用時間が劣化の進行に対し無視できないほどに経過していたり、すでに行った測定時とは温度が極端に異なることがある。過去の測定時及び現在の測定時の温度情報に差があると、温度補正を行うものの、温度差が大きいと誤差が入り込む余地が増える。
複数回測定した表示画素については、異なる測定期間の間での測定値に不連続性が発生しないような補正を行うことができる。これにより、分割取得データ間の誤差を少なくすることができる。また、異なる測定期間で同一の表示画素の測定値に閾値を超える差異がある場合には、一時メモリにある測定済みのデータを破棄して、今回サイクルの測定をやり直してもよい。
これにより、予期しない測定誤差に基づく影響を回避して、測定精度が向上する。1サイクル内の同一画素、同一階調の測定は複数回の測定結果から異常値の排除、平均等の手順で決定されてもよい。また、1サイクルの測定を複数回繰り返した結果によって1サイクルの測定結果を決定してもよい。このように、複数回の測定結果の統計解析を行うことで、測定精度が向上する。測定に要する時間の増加は、要求する測定精度と、表示装置の運用状況の兼ね合いで決めることができる。
図15は、異なる種類の光に対する表示パネル端面に設置された光センサ31の出力の測定例であって、測定対象のOLED素子の発光と、外光の光量の比較を示す。外光の場合は、表示パネルの表示面に入射して、表示パネル11内を伝播し、表示パネル側面に到達した光量であり、OLED素子点灯の場合は表示パネル内を伝播して、表示パネル側面へ到達した漏れ光の光量である。
図15のグラフにおいて、縦軸は光センサの出力をプリアンプを通してDC測定した結果を示す。図15は、LEDスタンド直下(7400lx)、薄暗い室内灯下(5.0lx)、暗室での表示パネルの全面点灯(パルス点灯)、及び暗室での10×10表示画素(パルス点灯)のDC測定の結果を示す。パルス点灯の周波数は、520Hzであった。表示パネルのパルス点灯は本明細書の一実施形態における、外光の影響を排除したOLED素子の発光による測定で測定対象となる光量に対応している。外光としてのLEDスタンド、薄暗い室内灯の照度は、OLED表示装置の表示領域の直上面で測定した値である。
図15の測定結果において、LEDスタンドのセンサ出力が最も大きく、点灯された10×10表示画素のセンサ出力が最も小さい。OLED素子の発光に比べて、外光の光量は約9000倍で、薄暗い室内でも約170倍であり、そのまま光量測定したのでは、外光の影響に埋もれて、OLED素子の発光は検出できないことは明白である。図15の測定結果が示すように、外光の光センサ出力に対する影響は、非常に大きい。
図16は、異なる数の表示画素を点灯させ、表示パネル側面への漏れ光のロックイン測定を行った結果の例を示す。図16のグラフにおいて、横軸は点灯させた表示画素の数を示し、縦軸はロックイン測定の測定結果を示す。図16は、暗室における測定結果を破線で示し、上述のLEDスタンドが点灯された状態での測定結果を実線で示す。図16に示すように、LEDスタンド点灯下におけるロックイン測定は、暗室での測定結果と同様の測定結果を示す。表示画素数が数10以上であれば、LEDスタンドの影響は排除されている。
上述のセットアップでは、表示画素ひとつの測定であっても、通常の室内の照明下であれば全く問題なく測定できることがわかる。このように、ロックイン測定によって、外光ノイズの影響を大きく低減し、OLED素子の発光光量を高精度に測定することが可能である。
図22に表示パネル中央部の10×10表示画素の表示階調を0から255まで段階的に変化させたときの測定例を示す。図22の測定は、表示パネル側面の光センサで漏れ光をロックイン測定した結果である。測定環境は、前述の薄暗い室内灯下(5.0lx)相当である。このようなOLED素子の局所的な階調発光特性が、OLED表示装置の外観を損ねることなく、実使用環境下で測定可能となり、この結果をもとに推定した表面出射光量値から、表示特性の劣化評価が可能となる。
〔他の実施形態〕
以下において、光センサの配置の他の例を説明する。異なる位置に配置された複数の光センサを使用することで、劣化評価におけるOLED素子の発光光量をより適切に測定することできる。図17は、表示パネル11の側端面に設置された複数の光センサの例を示す。光センサ31A及び31Bは、表示パネル11の一側端面に設置され、他の二つの光センサ31C及び31Dは、反対側の端面に設置されている。
複数の光センサ31A~31DでOLED素子の漏れ光を検知することで、総合的に光信号を増大させることができる。主制御回路21は、個々の光センサにより検知信号と、それら光センサの配置位置、及び発光させた副画素(OLED素子)の位置に基づき、発光光量値を算出してよい。これにより、より適切なOLED素子の光量測定が可能となる。
OLED素子の発光光量の検知信号強度を上げる他の方法は、光伝送路を使用してもよい。表示パネル11の端面の一部又は全部における漏れ光を光伝送路により光センサに導く。図18は、光センサ31に表示パネル11の端面からの漏れ光を導く光伝送路311の例を示す。
光伝送路311として、例えば、光ファイバを使用することができる。例えば、表示パネル11外周を囲むように、光ファイバが設置される。例えば、表示パネル端面側において、光ファイバのコアが露出し、光ファイバの他の領域は反射層で覆われている。光ファイバは、表示パネル11端面から漏れ光を受け、光センサ31に導く。
OLED素子の劣化評価のための光センサは、他の目的のために設定された光センサを利用してもよい。例えば、図19に示すように、いくつかのスマートフォンは、アンダーディスプレイカメラ構成を有し、表示パネル11の裏面に配置されたインカメラを含む。当該カメラの光センサ312で漏れ光を計測することで、追加の光センサを設置することなくOLED素子の劣化評価を行うことができる。
他の例として、画面内で指紋認証が行える機能を持つスマートフォン等の装置が知られている。光学式指紋測定を採用している構成においては、例えば、光センサを含む指紋センサモジュールが、画面の裏側に追加されている、又は表示パネルと一体化されている。このような構成において、その光センサでOLED素子の漏れ光を測定することで、新たな部品の追加が不要となる。
上記の例に限定されることなく、OLED表示装置及びOLED表示装置が搭載された機器に何らかの光検知機能が実装され、OLED表示装置の漏れ光が光センサに入射する場合には、それを用いることが可能である。光検知機能の本来の機能に対し、漏れ光の入射が悪影響を及ぼす場合には、OLED素子の劣化評価のために使用するときに解除できる漏れ光に対する遮光機能をもたせればよい。また、表示パネル11の一部の狭い領域に光センサが設置された例に限らず、もっと広い領域又は表示パネル全面に光センサが搭載されていてもよい。
次に、OLED素子の劣化評価のための発光制御の他の例を説明する。上述のように、外光の影響を排除するためにはロックイン測定が有効である。図1を参照して説明した構成例は、共通電極にパルス電源からパルス変調された電源電位を与えることで、OLED素子を所定周期で点滅させる。
以下に説明する構成例は、OLED表示装置のフレーム書き換え動作を利用して、OLED素子を点滅させる。図20は、フレーム書き換え動作を利用してOLED素子を点滅させる、OLED表示装置の構成例を示す。OLED表示装置10は、フレーム書き換えの際に、OLED素子を明滅させる。この点滅を同期信号として用いることができる。
図1の構成例との相違を主に説明する。ロックインアンプ33には、走査回路14から、ロックイン測定のための参照信号が入力され、パルス電源35及びスイッチ27は省略されている。他の部分は、図1に示す構成例と同様である。主制御回路21は、外光の影響排除に有効なフレームレートを設定することで、追加の構成なく、OLED素子の発光光量のロックイン測定のために、OLED素子を点滅させることができる。主制御回路21は、走査回路14へのクロック信号の周波数によって、フレームレートを設定することができる。
主制御回路21は、副画素に書き込む表示信号によって、副画素(OLED素子)の点灯と消灯とを切り替える。例えば、副画素が点灯フレーム期間と、副画素が消灯されたフレーム期間とが繰り返される。測定対象以外の副画素は、消灯状態に維持される。この例において、点滅は2フレームを使用するため、点滅の周波数は、フレーム周波数の1/2である。より簡便な方法は、通常動作と同じ動作条件において、1フレームごとに測定対象の副画素に、所定階調での点灯と消灯の信号を表示することによって実現できる。
他の構成例は、表示信号の書き込みのための期間における表示パネルの消灯期間を利用してもよい。表示パネルはアクティブマトリクス駆動されており、フレーム周波数の周期でデータの書き換えを行うたびに、一時的に消灯する。アクティブマトリクス駆動において、選択された画素行は、画素を消灯した状態にて駆動トランジスタの閾値補償と、表示信号の書き込みを行う。消灯期間は短いが、OLED素子は、フレーム周波数の成分をもって点滅するので、それに同期して点滅の振幅を検知することが可能である。表示信号の書き込みのための期間は、保持容量への表示信号の書き込みに加えて、駆動トランジスタの閾値補償のための期間を含み得る。
主制御回路21は、通常の画像データの表示動作と異なるフレーム周波数を設定して、非表示期間において選択した副画素を点滅させてもよい。例えば、通常表示よりも高い又は低い周波数でフレーム駆動によって、OLED素子の発光光量のロックイン測定ためのOLED素子の点滅を得ることができる。
次に、OLED素子の劣化評価のための発光制御の他の例を説明する。以下に説明する構成例は、OLED素子の発光を制御するスイッチトランジスタのON/OFFを制御することで、OLED素子を点滅させる。これは、OLED素子の点滅の駆動遅延を低減できる。また、フレームレートを超える高速で点滅動作させることが可能となる。この点滅動作を、パネル側面の光センサで受光して、シフトレジスタに与えた変調パルスを参照信号とした同期検波を行うことで、外光の影響を排除した高精度の光量計測が可能となる。また、映像表示のための画素回路を利用して、OLED素子の劣化評価のための発光制御を可能とする。
図23は、本例の画素回路500の構成例を示す。画素回路500は、表示信号回路16から供給されるデータ信号を補正し、その補正したデータ信号によりOLED素子の発光を制御する。なお、図23に示す画素回路と異なる構成の画素回路が利用されてもよい。画素回路は、閾値補正をするための回路を含まなくてもよい。
例えば、OLED素子への表示データを保持する保持容量、保持容量への表示データの書き込みを制御するスイッチトランジスタ、保持容量の表示データに従ってOLED素子E1への電流量を制御する駆動トランジスタ、そして、OLED素子E1への電流の供給をON/OFFする発光制御トランジスタを含むことができ、さらに、これらの他の素子、例えば、容量やスイッチトランジスタを含むことができる。
画素回路500は、ゲート端子、ソース端子およびドレイン端子を持った7つのトランジスタ(TFT)M1~M7を含む。本例において、トランジスタM1~M7はP型MOS―TFTである。
トランジスタM3は、OLED素子E1への電流量を制御する駆動トランジスタである。駆動トランジスタM3は、アノード電源VDDからOLED素子E1に与える電流量を、保持容量Cstが保持する電圧に応じて制御する。OLED素子E1のカソードは、カソード電源VEEに接続されている。保持容量Cstは、駆動トランジスタM3のゲートソース間電圧(単にゲート電圧とも呼ぶ)を保持する。
トランジスタM1及びM6は、OLED素子E1の発光の有無を制御する。トランジスタM1は、ソース端子がアノード電源VDDに接続され、ドレイン端子に接続された駆動トランジスタM3への電流供給をON/OFFする。トランジスタM6は、ソース端子が駆動トランジスタM3のドレイン端子に接続され、ドレイン端子に接続されたOLED素子E1への電流供給をON/OFFする。トランジスタM1及びM6は、それぞれ、走査回路14からゲート端子に入力される発光制御信号Emiにより制御される。トランジスタM1及びM6は、OLED素子E1の発光をON/OFFする発光制御トランジスタである。
トランジスタM7は、OLED素子E1のアノードへのリセット電位の供給のために動作する。トランジスタM7は、走査回路14からゲート端子に入力される選択信号S2によりONにされると、リセット電源Vrstからリセット電位をOLED素子E1のアノードへ与える。リセット電源Vrstのもう一端は、GNDに接続されている。
トランジスタM5は、駆動トランジスタM3のゲートへのリセット電位の供給の有無を制御する。トランジスタM5は、走査回路14からゲート端子に入力される選択信号S1によりONにされると、ドレイン端子に接続されたリセット電源Vrstからリセット電位を駆動トランジスタM3のゲートに与える。リセット電源Vrstのもう一端は、GNDに接続されている。なお、OLED素子E1のアノードへのリセット電位と駆動トランジスタM3のゲートへのリセット電位は異なっていてもよい。
トランジスタM2は、データ信号を供給する画素回路500を選択するための選択トランジスタである。トランジスタM2のゲート電圧は、走査回路14から供給される選択信号S2により制御される。選択トランジスタM2は、ONのとき、表示信号回路16からデータ線を介して供給されるデータ信号Vdataを、駆動トランジスタM3のゲート(保持容量Cst)に与える。
本例において、選択トランジスタM2(ソース及びドレイン)は、データ線と駆動トランジスタM3のソースとの間に接続されている。さらに、トランジスタM4は、駆動トランジスタM3のドレインとゲートとの間に接続されている。
トランジスタM4は、駆動トランジスタM3の閾値電圧を補正するために動作する。トランジスタM4がONであるとき、駆動トランジスタM3はダイオード接続状態のトランジスタを構成する。データ線からのデータ信号Vdataは、ONである選択トランジスタM2、駆動トランジスタM3及びトランジスタM4のチャネルを介して、保持容量Cstに与えられる。
保持容量Cstは、駆動トランジスタM3のゲートソース間電圧を保持し、図23の例において、一端は駆動トランジスタM3のゲートに、他端はトランジスタM1のソースとアノード電源VDDとの間のノードに接続されている。保持容量Cstは、駆動トランジスタM3の閾値電圧Vthに応じて補正されたデータ信号(電圧)を保持する。
図24は、通常の映像データの表示における1フレーム期間において、図23に示す画素回路500を制御する信号のタイミングチャートを示す。図24は、N番目の行を選択し、データ信号Vdataを画素回路500に書き込むためのタイミングチャートを示す。具体的には、図24は、発光制御信号Emi、選択信号S1、選択信号S2、駆動トランジスタM3のゲート電位N1の、1フレームにおける変化を示す。図23の回路はP型MOS―TFTで構成されているので、各トランジスタはゲート電位がLowのときにON、HighのときにOFFである。
図24の時刻T1において、発光制御信号EmiがLowからHighに変化する。これら制御信号に応じて、時刻T1において、トランジスタM1及びM6はOFFとなる。時刻T1において、選択信号S1及びS2はHighである。これら制御信号に応じて、トランジスタM2、M4、M5及びM7は、OFFである。時刻T1の後の時刻T2まで、これらのトランジスタ状態が維持される。ゲート電位N1Sは、前回フレームの信号電位にある。
時刻T2において、選択信号S1は、HighからLowに変化する。時刻T2において、発光制御信号Emi及び選択信号S2はHighである。選択信号S1の変化に応じて、トランジスタM5がONとなる。トランジスタM1、M2、M4、M6及びM7は、OFFである。トランジスタM5がONとなることで、ゲート電位N1Sはリセット電源Vrstの電位に変化する。リセット電位は、時刻T2から時刻T3までゲート電位N1Sに与えられる。
時刻T3において、選択信号S1は、LowからHighに変化する。時刻T3において、発光制御信号Emi及び選択信号S2はHighである。選択信号S1の変化に応じて、トランジスタM5がOFFとなる。時刻T3から時刻T4まで、トランジスタM1、M2、M4~M7は、OFFである。
時刻T4において、選択信号S2は、HighからLowに変化する。時刻T4において、発光制御信号Emi及び選択信号S1はHighである。選択信号S2の変化に応じて、トランジスタM2、M4及びM7がONとなる。トランジスタM1、M5及びM6はOFFである。
トランジスタM7がONとなることで、OLED素子E1のアノードにリセット電源Vrstのリセット電位が与えられる。トランジスタM4がONであるため、駆動トランジスタM3はダイオード接続されている。トランジスタM2はONであるため、データ線からのデータ信号Vdataは、トランジスタM2、M3及びM4を介して、保持容量Cstに書き込まれる。
保持容量Cstに書き込まれる電圧は、データ信号Vdataに対して駆動トランジスタM3の閾値電圧Vthに対する補正がなされた電圧である。時刻T4から時刻T5までの期間において、画素回路500へのデータ信号Vdataの書き込み及びそのVth補正がなされる。
時刻T5において、選択信号S2は、LowからHighに変化する。時刻T5において、発光制御信号Emi及び選択信号S1はHighである。選択信号S2の変化に応じて、トランジスタM2、M4及びM7がOFFとなる。トランジスタM1、M2、M4~M7はOFFである。時刻T5から時刻T6まで、制御信号及びトランジスタの状態は、維持される。
時刻T6において、発光制御信号EmiがHighからLowに変化し、トランジスタM1及びM6がOFFからONに変化する。選択信号S1及びS2はHighであり、トランジスタM2、M4、M5及びM7はOFFのままである。駆動トランジスタM3は、保持容量Cstに保持されている補正されたデータ信号に基づき、OLED素子E1に与える駆動電流を制御する。つまりOLED素子E1が発光する。
次に、OLED素子の劣化評価のための画素回路500の制御を説明する。主制御回路21は、劣化計測において、測定対象の画素のみを点灯させて、他は点灯させない表示データを生成し、表示信号回路16へ送信する。主制御回路21は、測定対象の画素のみを点灯させる画像データを生成し、補正回路22を介して、表示データを表示信号回路16へ送信してもよい。
本明細書の一実施形態の主制御回路21は、通常映像データの表示のように、連続する複数フレームの表示データを画素に書き込み、各フレームの発光期間において、発光制御トランジスタをON/OFF制御することで、OLED素子を点滅させることができる。
主制御回路21は、1フレーム期間内の図24を参照して説明した時刻T6より後の発光期間において、走査回路14を介して発光制御信号Emiを制御することで、測定対象の画素を点滅させる。図25は、劣化評価のための点滅制御における、一つの画素行(水平ライン)に対する発光制御信号Emiの時間変化の例を示す。図24を参照して説明した他の信号の時間変化は、通常映像データの表示と同様である。
図25において、破線551は通常映像データ表示における発光制御信号Emiの時間変化を示す。実線552は劣化評価のための点滅制御における発光制御信号Emiの時間変化を示す。図25に示す例において、時刻T1から時刻T7の期間は、時刻T1から時刻T6の期間の2倍である。
時刻T1及びT6は、図24に示す時刻T1及びT6と同一である。つまり、主制御回路21は、時刻T1からT6の間において、図24を参照して説明したように、画素回路のデータ信号の書き換えを行う。その後、時刻T7において発光制御信号をHighレベルからLowレベルに変化させる。これにより、OLED素子は点灯される。
時刻T7以降、主制御回路21は、定期的に、発光制御信号EmiのLowレベルとHighレベルを周期的に切り替える。図25に示す例において、Lowレベルの期間長とHighレベルの期間長は同一であり、時刻T1から時刻T7までの期間長と一致する。本例においては、発光制御信号EmiがLowレベルのときに、画素回路は点灯状態(点灯可能状態)にあり、Highレベルの時に消灯状態にある。図25におけるEmiがHighレベルすなわちOLED素子が消灯(OFF)となるパルスを、データの書き換えの有無にかかわらず、後の説明ではオフパルスと呼ぶ。主制御回路21は、測定対象の画素回路に対してのみOLED素子が発光するデータ信号を書き込むため、測定対象のOLED素子のみが点滅する。なお、図25は、OLED素子の点滅周期の一例を示すに過ぎず、劣化評価のための点滅周期は任意である。
図26は、通常映像データの表示における、異なる時刻それぞれでの、画素行それぞれの発光制御信号Emiの例を示す。時刻t1にて画素行1が消灯状態にあり、他の画素行は点灯状態である。次の時刻t2にて画素行2が消灯状態にあり、他は点灯状態にある。消灯状態の画素行が、Δtの一定ステップで、順送りされる。図26は図24で説明したT1~T6までの時間がΔtに等しい条件で作成してあるので、特定の画素行に注目すると、1ステップのみ消灯状態にあり、他のステップでは点灯状態にある。T1~T6までの時間とΔtが異なる場合には、隣接する画素行が同時に消灯状態にあったり、すべての画素行が点灯状態にある期間が発生する。
例えば、走査回路14は、発光制御信号Emiを画素行に順次出力するシフトレジスタを含む。主制御回路21は、映像表示のフレーム周期と対応する垂直同期信号に従って単発パルスをシフトレジスタに入力し、その後、データ信号書き換えのために画素行を選択する水平同期信号と一致するクロック信号を、シフトレジスタに入力する。これにより、図26に示す発光制御信号Emiが生成され得る。
図27は、劣化評価のための点灯制御における、異なる時刻それぞれでの、画素行それぞれの発光制御信号Emiの例を示す。時刻t1にて画素行1、2、5、6・・・が消灯状態にあり、画素行3、4、7、8・・・が点灯状態にある。このように、2画素行おきに、消灯状態の画素行と点灯状態の画素行が繰り返される。この中のいずれかのパルスは、図25を参照して説明したように、点灯制御のデータ書き換え期間を含む。図24で説明したT1~T6の時間よりも、図27の点滅の間隔が短くならないようにすることで、全期間にわたって、均等な(一定周期の)点滅動作が可能となる。発光制御信号を交流信号の周期で説明すると、その周期、つまり発光制御信号の交流変調の周期は、画素のデータ書き換えに必要な期間である時刻T1~時刻T6の期間の2倍以上、と言い換えることができる。
次の時刻t2にて、画素行2、3、6、7・・・が消灯状態にあり、画素行1、4、5、8、9・・・が点灯状態にある。時刻t2における状態は、時刻t1における状態から1画素行ずれて、2ラインおきに消灯、点灯となっている。さらに消灯状態の画素行が、Δtのステップで順送りされる。特定の画素行に注目すると、2ステップごとに点灯状態と消灯状態とを繰り返すことがわかる。これは、図25を参照して説明した通りである。
例えば、主制御回路21は、映像表示のフレーム周期と対応する垂直同期信号と同期をとり、2水平期間ごとにON/OFFを繰り返すパルスをシフトレジスタに入力し続ける。合わせて、データ信号書き換えのために画素行を選択する水平同期信号と一致するクロック信号を、シフトレジスタに入力する。これにより、図27に示す発光制御信号Emiが生成され得る。なお、シフトレジスタへの入力パルスの周期を変化させることで、OLED素子の点滅の間隔を変えることができる。
例えば、画素行の数(走査線数)を1080、フレーム周波数を60fpsとして、フレーム間のブランキング期間を無視するものとする。この例において、1水平期間は、15.4μsとなる。図25及び27を参照して説明したように、2画素行おきの消灯パルスにより、消灯状態と点灯状態の変化は、30.8μsおきに発生する。このときの点灯周期は61.6μsであり、点滅周波数は16.23kHzである。このように、高い周波数でOLED素子を点滅させることができる。
OLED素子の発光光量のロックイン測定は、上記実施形態と同様に実行され得る。ロックイン測定のための参照信号は、シフトレジスタへの入力パルス信号、つまり、点滅周期に対応した複数のオフパルスからなる、オフパルス列でよい。パルス列は、シフトレジ
スタのスタート位置、最終段等、いずれの位置から取り出されてよい。他例において、シフトレジスタのクロック信号から生成されてもよい。
OLED素子の発光量のロックイン測定は、1フレーム期間(通常動作における1発光期間)内で完了してもよく、複数フレーム期間にまたがる期間で実行されてもよい。各フレーム期間において、画素回路の表示信号が書き換えられる。複数フレーム期間に渡りOLED素子が一定周期で点滅するように、発光制御信号Emiは複数フレーム期間に渡り一定周期で変化するように制御される。例えば、フレーム間にブランキング期間が設定されている場合、通常の書き換え動作を乱さず、ブランキング期間を含めて点滅動作が周期的に連続するように、主制御回路21は、シフトレジスタに対して入力パルス信号を与える。
劣化評価のための表示制御のフレーム周波数は、通常の映像データの表示周波数と同一でもよく、それと異なる特定の周波数であってもよい。図24及び26を参照して説明したように、通常映像データの表示において、発光制御信号の1パルス(オフパルス)が、1フレーム期間にシフトレジスタを1回伝送される。それぞれの画素行は、オフ期間にリセット、閾値補正及び書き込みを行い、残りの期間においてOLED素子を点灯する。
劣化評価のための測定において、発光制御信号の複数のオフパルスが、1フレーム期間に一定の周期でシフトレジスタを伝送される。図25を参照して説明したように、測定用のオフパルスの長さは、通常映像表示のための画素回路の表示信号の書き換えに必要なオフパルス期間以上の長さであってよく、これらの長さが同一であってもよい。
図25及び27を参照して説明したように、劣化評価の点滅制御において、表示信号書き換えの期間(時刻T1からT6)を含むオフパルスの長さと、点滅のためのオフパルスの長さとを同一とすることで、発光制御信号を連続した点滅制御パルスで構成することができる。また、1オフパルス期間内に、リセット、補償、及び書き込みを行うことができるので、通常表示と同様に表示信号の書き換えを行いつつ、劣化評価用の点滅動作が可能となる。劣化評価の点滅制御期間では書き換えられる表示信号は一定である。すなわち、1フレーム期間おきに同じ信号でリフレッシュされる。
同一画素行上の画素を同時にまとめて、発光量の測定を行うことが可能である。隣接画素行上の画素の発光量の同時測定のためには、測定象画素群が同時に点灯するように発光制御信号を生成する。発光制御信号は、同時測定が必要な複数水平期間で連続するON/OFF期間をもつパルス列で構成されればよい。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
10 OLED表示装置
12 表示領域
14 走査回路
16 表示信号回路
21 主制御回路
22 補正回路
23 記憶回路
25 DC電源
27 スイッチ
31 光センサ
33 ロックインアンプ
35 パルス電源
36 移相器
38 温度センサ
39 温測回路
41 発光量温度補償情報
42 光センサ感度温度補償情報
43 光量変換情報
44 光量測定データ
45 光量初期データ
46 表示補償情報
126 表示光
127 漏れ光
200 測定環境
201 測定装置
205 遮光装置
332 同期検波回路
500 画素回路

Claims (20)

  1. 基板上に配列された複数の画素を含む表示パネルと、
    光センサと、
    ロックインアンプを含む制御装置と、
    を含み、
    前記複数の画素の各画素は、自発光素子を含み、
    前記制御装置は、
    前記複数の画素から1以上の画素を選択し、
    前記1以上の画素の発光光量の測定を実行し、
    前記測定の結果に基づいて、前記1以上の画素の発光を制御し、
    前記測定は、
    前記選択された1以上の画素の発光を交流変調し、
    前記選択された1以上の画素からの光に対する前記光センサからの光検知信号を、前記交流変調と同期した参照信号に基づき、前記ロックインアンプによって測定する、
    ことを含む、表示装置。
  2. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記光センサは、前記表示パネルの表示領域の正面から外れた位置に配置されている、
    表示装置。
  3. 請求項2に記載の表示装置であって、
    前記制御装置は、
    前記ロックインアンプにより測定された前記光検知信号から、前記表示領域の正面出射光量を算出するための変換情報を保持し、
    前記変換情報を参照して、前記ロックインアンプにより測定された前記光検知信号を、正面出射光量を示す値に変換し、
    前記正面出射光量を示す値に基づいて、前記1以上の画素の発光を制御する、
    表示装置。
  4. 請求項3に記載の表示装置であって、
    前記変換情報は、前記複数の画素毎に正面出射光量を算出するための情報を示す、
    表示装置。
  5. 請求項3に記載の表示装置であって、
    前記変換情報は、異なる色毎に正面出射光量を算出するための情報を示す、
    表示装置。
  6. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記交流変調はパルス変調である、
    表示装置。
  7. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記表示パネルは、前記複数の画素の発光素子に電流を与えるための、共通電極を含み、
    前記制御装置は、
    前記共通電極の電位を前記交流変調することによって、前記1以上の画素の発光を交流変調させる、
    表示装置。
  8. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記制御装置は、前記1以上の画素が保持する表示信号を書き換えることによって、前記1以上の画素の発光を交流変調させる、
    表示装置。
  9. 請求項1に記載の表示装置であって、
    温度センサをさらに含み、
    前記制御装置は、
    温度に基づき前記光検知信号を補正するための温度補償情報を保持し、
    前記温度センサの検知温度及び前記温度補償情報に基づいて、前記光検知信号を補正する、
    表示装置。
  10. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記制御装置は、画像データの非表示期間において、前記測定を実行する、
    表示装置。
  11. 請求項10に記載の表示装置であって、
    前記制御装置は、
    前記非表示期間内に、一部の画素の前記測定が完了していない場合、
    前記非表示期間より後の1又は複数の非表示期間において、前記一部の画素の前記測定を実行し、
    全画素の前記測定の完了後、前記全画素の測定結果に基づき前記表示パネルの表示制御を開始する、
    表示装置。
  12. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記制御装置は、予め設定された条件が満たされている場合に、前記測定を実行し、
    前記予め設定された条件は、前記表示パネルに入射する外光が閾値未満であること、又は、温度が閾値未満であること、の少なくとも一方を含む、
    表示装置。
  13. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記1以上の画素は複数の画素であり、
    前記制御装置は、前記複数の画素の発光を同時に交流変調する、
    表示装置。
  14. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記制御装置は、
    前記複数の画素から、複数の画素からなる画素群を順次選択し、
    選択された画素群の輝度の測定を実行し、
    前記画素群の輝度の測定は、前記画素群を構成する複数の画素の全ての輝度を同時にパルス変調し、
    画素群の測定結果が閾値を超える出射光量の総和の低下を示す場合、当該画素群の画素それぞれの輝度の測定を実行する、
    表示装置。
  15. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記制御装置は、
    前記1以上の画素の発光光量の複数回の測定を実行し、
    前記複数回の測定結果を統計解析した結果に基づいて、前記1以上の画素の発光を制御する、
    表示装置。
  16. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記表示パネルの正面外に漏れ出た前記1以上の画素からの光を、前記光センサに伝送する、光伝送路をさらに含む、
    表示装置。
  17. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記複数の画素の各画素は、前記自発光素子の発光をON/OFFする、発光制御トランジスタを含み、
    前記1以上の画素の各画素の発光は、前記発光制御トランジスタを制御することによって交流変調される、
    表示装置。
  18. 請求項17に記載の表示装置であって、
    前記発光制御トランジスタを制御する交流変調の周期は、各画素のデータ書き換えに必要な期間の2倍以上である、表示装置。
  19. 請求項17に記載の表示装置であって、
    前記発光制御トランジスタを制御する信号は、複数フレーム期間に渡り一定周期で変化する、表示装置。
  20. 表示装置の制御方法であって、
    複数の画素から1以上の画素を選択し、
    前記1以上の画素の発光光量の測定を実行し、
    前記測定の結果に基づいて、前記1以上の画素の発光を制御し、
    前記測定は、
    前記選択された1以上の画素の発光を交流変調し、
    前記選択された1以上の画素からの交流変調された光を、前記交流変調と同期した参照信号に基づきロックイン測定する、
    ことを含む、表示装置の制御方法。
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