JP2023084561A - 移動方向推定システム、移動方向推定装置、移動方向推定方法、移動方向推定プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】3台以上のレーダ装置からの検出情報を活用して、検出対象の移動方向を推定可能な移動方向推定システム等を提供する。
【解決手段】移動方向推定システムは、プロセッサを有し、レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置による検出結果に基づいて、検出対象の移動方向を推定する。プロセッサは、検出対象についてレーダの照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得することを実行するように構成される。プロセッサは、速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定することを実行するように構成される。プロセッサは、検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定することで、移動方向を特定することを実行するように構成される。
【選択図】図5
【解決手段】移動方向推定システムは、プロセッサを有し、レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置による検出結果に基づいて、検出対象の移動方向を推定する。プロセッサは、検出対象についてレーダの照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得することを実行するように構成される。プロセッサは、速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定することを実行するように構成される。プロセッサは、検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定することで、移動方向を特定することを実行するように構成される。
【選択図】図5
Description
本開示は、レーダ装置による検出対象の移動方向を推定する技術に、関する。
特許文献1には、2台のレーダ装置からの検出結果に基づき、反射点の移動方向を推定する技術が開示されている。この技術では、各検出結果の時間変化から反射点の移動方向を推定する。
しかし、特許文献1には、3台以上のレーダ装置からの検出情報に基づく移動方向の推定は想定されていない。検出情報が3つ以上あると、誤差等により移動方向を一意に算出することが難しい場合がある。
本開示の課題は、3台以上のレーダ装置からの検出情報を活用して、検出対象の移動方向を推定可能な移動方向推定システムを、提供することにある。本開示の別の課題は、3台以上のレーダ装置からの検出情報を活用して、検出対象の移動方向を推定可能な移動方向推定装置を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、3台以上のレーダ装置からの検出情報を活用して、検出対象の移動方向を推定可能な移動方向推定方法を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、3台以上のレーダ装置からの検出情報を活用して、検出対象の移動方向を推定可能な移動方向推定プログラムを、提供することにある。
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
本開示の第一態様は、プロセッサ(102)を有し、レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置(10)による検出結果に基づいて、検出対象の移動方向を推定する移動方向推定システムであって、
プロセッサは、
レーダ波の照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得することと、
速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定することと、
検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定することで、移動方向を特定することと、
を実行するように構成される。
プロセッサは、
レーダ波の照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得することと、
速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定することと、
検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定することで、移動方向を特定することと、
を実行するように構成される。
本開示の第二態様は、プロセッサ(102)を有し、レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置(10)による検出結果に基づいて、検出対象の移動方向を推定する移動方向推定装置であって、
プロセッサは、
レーダ波の照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得することと、
速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定することと、
検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定することで、移動方向を特定することと、
を実行するように構成される。
プロセッサは、
レーダ波の照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得することと、
速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定することと、
検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定することで、移動方向を特定することと、
を実行するように構成される。
本開示の第三態様は、レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置(10)による検出結果に基づいて、検出対象の移動方向を推定するために、プロセッサ(102)により実行される移動方向推定方法であって、
レーダ波の照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得することと、
速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定することと、
検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定することで、移動方向を特定することと、
を含む。
レーダ波の照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得することと、
速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定することと、
検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定することで、移動方向を特定することと、
を含む。
本開示の第四態様は、レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置(10)による検出結果に基づいて、検出対象の移動方向を推定するために記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む移動方向推定プログラムであって、
命令は、
レーダ波の照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得させることと、
速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定させることと、
検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定させることで、移動方向を特定させることと、
を含む。
命令は、
レーダ波の照射方向における検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上のレーダ装置から取得させることと、
速度ベクトルの終点を通る速度ベクトルの法線を、速度ベクトルごとに想定させることと、
検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各法線に基づいて推定させることで、移動方向を特定させることと、
を含む。
これら第一~第四態様によると、3つ以上のレーダ装置の速度情報に基づく法線に基づく移動方向ベクトルの終点位置の推定により、検出対象の移動方向が特定される。故に、3台以上のレーダ装置からの検出情報としての速度ベクトルに関する速度情報に基づき、移動方向が推定され得る。以上により、3台以上のレーダ装置からの検出情報を活用して、検出対象の移動方向を推定可能となり得る。
以下、本開示の実施形態を図面に基づき複数説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。また、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づき説明する。
(第一実施形態)
図1に示す第一実施形態の移動方向推定システム100は、図2に示すホスト車両Aに搭載されたレーダ装置10からの検出情報に基づき、検出対象の移動方向を推定する。ホスト車両Aを中心とする視点において、ホスト車両Aは自車両(ego-vehicle)であるともいえる。ホスト車両Aを中心とする視点において、ターゲット車両は他道路ユーザであるともいえる。
図1に示す第一実施形態の移動方向推定システム100は、図2に示すホスト車両Aに搭載されたレーダ装置10からの検出情報に基づき、検出対象の移動方向を推定する。ホスト車両Aを中心とする視点において、ホスト車両Aは自車両(ego-vehicle)であるともいえる。ホスト車両Aを中心とする視点において、ターゲット車両は他道路ユーザであるともいえる。
ホスト車両Aにおいては、運転タスクにおける乗員の手動介入度に応じてレベル分けされる、自動運転モードが与えられる。自動運転モードは、条件付運転自動化、高度運転自動化、又は完全運転自動化といった、作動時のシステムが全ての運転タスクを実行する自律走行制御により、実現されてもよい。自動運転モードは、運転支援、又は部分運転自動化といった、乗員が一部若しくは全ての運転タスクを実行する高度運転支援制御により、実現されてもよい。自動運転モードは、それら自律走行制御と高度運転支援制御とのいずれか一方、組み合わせ、又は切り替えにより実現されてもよい。
ホスト車両Aには、図1に示す車載レーダ系1が搭載される。車載レーダ系1は、複数のレーダ装置10を含んでいる。車載レーダ系1は、検出範囲が少なくとも一部重複する3台のレーダ装置10を、少なくとも含んでいる。
図2に示す例では、ホスト車両Aの前部に取り付けられた3台のレーダ装置10の検出範囲が一部重複している。又、図2に示す例では、ホスト車両Aの後部に取り付けられた3台のレーダ装置10の検出範囲も、一部重複している。これにより、ホスト車両Aの前方及び後方に、それぞれ3台のレーダ装置10による移動方向を推定可能となる重複範囲Rがそれぞれ形成される。尚、レーダ装置10は、ホスト車両Aの側面、ルーフ等に取り付けられていてもよい。重複範囲Rは、ホスト車両Aの側方等、図2に示す領域以外に形成されていてもよい。
尚、ホスト車両Aには、レーダ装置10以外の外界センサが搭載されていてもよい。外界センサは、例えばカメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging / Laser Imaging Detection and Ranging)、及びソナー等のうち、少なくとも一種類である。
レーダ装置10は、レーダ波を送信波として照射して、物体で反射された送信波を受信波として受信し、送信波を反射した物体である検出対象までの距離、検出対象との相対速度、検出対象の方位を、検出情報として検出する。レーダ装置10は、送信部11と、受信部12と、検出部13と、を備える。
送信部11は、送信制御部及び送信アンテナを含んで構成されている。送信制御部は、送信アンテナから送信するレーダ波であるミリ波帯の電磁波信号を生成する。送信制御部は、規定の送信時間帯、周波数チャネル(周波数帯域)、チャープ周期、及びCDM符号にて送信される電磁波信号を生成する。送信制御部は、電磁波信号を、送信アンテナに供給される送信信号と、後述する信号混合部へ供給されるローカル信号とに所定の比率で分配する。
受信部12は、受信アンテナ及び信号混合部を含んで構成される。受信アンテナは、対象物によって反射された電磁波信号を受信する。受信アンテナは、受信した電磁波信号に応じた受信信号を発生する。信号混合部は、受信アンテナからの受信信号とローカル信号とを混合したビート信号を生成する。信号混合部によって生成されたビート信号は、ローパスフィルタによってフィルタ処理されて、受信信号とローカル信号との周波数差に相当するビート信号のみを通過させる。ビート信号は、物標検出部13に入力される。
物標検出部13は、レーダ波を送信して受信波を受信した際に受信部12から入力されるビート信号を、FFT処理等を用いて解析することで、検出対象までの距離および検出対象との相対速度を検出する。例えばFCM方式のレーダ装置10の場合では、送信信号(詳しくはローカル信号)と、受信信号と、からビート信号を生成して、ビート信号に対して2回のFFT処理を行うことにより、検出対象との距離および相対速度を検出する。
詳記すると、ビート信号がチャープ毎にFFT処理される。これにより、検出対象の距離に対応する周波数の位置にピークを示す周波数スペクトルがチャープ毎に得られる。ピーク周波数が何れの周波数ビン(距離ビンとも称される)に位置するかを検出することで、検出対象との距離が求められる。
検出対象との相対速度がゼロでない場合、各チャープに対応する周波数スペクトルは、同じ距離ビンにピークを示すが、位相は、チャープ間で互いに異なる。このチャープ間の位相差は、レーダ装置10と検出対象との間の距離の変化に起因する。これを利用してFCM方式では、ビームの照射方向における検出対象との相対速度が検出される。
具体的には2回目のFFT処理として、複数のチャープに対する1回目のFFT処理で得られた距離ビンでの位相を時系列で並べた波形に対してFFT処理を行う。これにより、検出対象との相対速度に対応する位置にピークを示すスペクトルを得る。このスペクトルのピーク周波数が何れの周波数ビン(速度ビンとも称される)に位置するかを検出することで、検出対象との相対速度を検出する。なお検出対象の方位は、ビームの照射方向に基づいて検出することができる。物標検出部13は、検出した検出対象情報を、ホスト車両Aの運転を制御する運転制御ECU(Electronic Control Unit)等に出力する。
移動方向推定システム100は、例えばLAN(Local Area Network)回線、ワイヤハーネス、内部バス、及び無線通信回線等のうち、少なくとも一種類を介して車載レーダ系1に接続されている。移動方向推定システム100は、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構成されている。
移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、複数のレーダ装置10を統括的に制御するレーダ制御ECU(Electronic Control Unit)であってもよい。移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、複数のレーダ装置10のうち特定のレーダ装置10に搭載された制御ECUであってもよい。ホスト車両Aの運転を制御する、運転制御ECUであってもよい。移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、ホスト車両Aの走行経路をナビゲートする、ナビゲーションECUであってもよい。
移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、ホスト車両Aの自己状態量を推定する、ロケータECUであってもよい。移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、ホスト車両Aの走行アクチュエータを制御する、アクチュエータECUであってもよい。移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、ホスト車両Aにおける情報提示を制御する、HCU(HMI(Human Machine Interface) Control Unit)であってもよい。移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、例えばV2Xタイプの通信系20を介して通信可能な外部センタ又はモバイル端末等を構成する、ホスト車両A以外のコンピュータであってもよい。
移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、ホスト車両Aの運転制御を統合する、統合ECU(Electronic Control Unit)であってもよい。移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、ホスト車両Aの運転制御における運転タスクを判断する、判断ECUであってもよい。移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、ホスト車両Aの運転制御を監視する、監視ECUであってもよい。移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、ホスト車両Aの運転制御を評価する、評価ECUであってもよい。
移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、メモリ101及びプロセッサ102を、少なくとも一つずつ有している。メモリ101は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。プロセッサ102は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU、DFP(Data Flow Processor)、及びGSP(Graph Streaming Processor)等のうち、少なくとも一種類をコアとして含んでいる。
移動方向推定システム100においてプロセッサ102は、検出対象の移動方向を推定するためにメモリ101に記憶された、移動方向推定プログラムに含まれる複数の命令を実行する。これにより移動方向推定システム100は、検出対象の移動方向を推定するための機能ブロックを、複数構築する。移動方向推定システム100において構築される複数の機能ブロックには、図3に示すように周波数設定ブロック110、情報統合ブロック120、法線算出ブロック130、重み設定ブロック140、及び方向推定ブロック150が含まれている。
これらのブロック110,120,130,140,150の共同により、移動方向推定システム100が検出対象の移動方向を推定する移動方向推定方法のフロー(以下、移動方向推定フローという)を、図5,6に従って以下に説明する。本処理フローは、ホスト車両Aの起動中に繰り返し実行される。尚、本処理フローにおける各「S」は、移動方向推定プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味している。
まず、図5のS10では、周波数設定ブロック110が、各レーダ装置10にて送信するレーダ波について、チャープの変調パターンを設定する。周波数設定ブロック110は、具体的には、周波数設定ブロック110は、レーダ装置10ごとに、広帯域期間と、狭帯域期間と、を設定する。広帯域期間は、狭帯域期間よりも広い周波数帯域とされる。加えて、広帯域期間は、狭帯域期間よりも短い期間とされる。
そして、周波数設定ブロック110は、複数のレーダ装置10間において、特定のレーダ装置10が広帯域期間である場合には、他のレーダ装置10が狭帯域期間となるように、各期間を設定する(図3参照)。すなわち、周波数設定ブロック110は、各レーダ装置10における広帯域期間の時間的な重複を避けるように、期間を設定する。以上の設定された変調パターンにて、各レーダ装置10がレーダ波の照射及び検出が実行される。
尚、各レーダ装置10にて、広帯域期間にて検出された反射波に基づき距離が算出され、狭帯域期間にて検出された反射波に基づき速度が算出される。又は、距離の算出においては、広帯域期間における反射波データが狭帯域期間の反射波データよりも大きい重み付けをされ、速度の算出においては、狭帯域期間における反射波データが広帯域期間の反射波データよりも大きい重み付けをされてもよい。
続くS20では、情報統合ブロック120が、設定された変調パターンでのレーダ波照射に対する反射波の検出情報を取得する。検出情報には、レーダ波の照射方向における反射点(検出対象)の速度ベクトルに関する速度情報が、少なくとも含まれている。例えば、検出情報は、照射方向における相対速度を少なくとも含み、さらに反射点までの距離、反射点の方位、反射波の信号強度、方位に応じたスペクトルのピーク鋭さを含んでいる。
そして、S30では、情報統合ブロック120が、各レーダ装置10からの検出情報をマッチングさせる。情報統合ブロック120は、各検出情報における反射点の位置及び反射強度に基づき反射点の点群同士をマッチングさせ、同一の検出対象からの反射点を特定する。
さらに、S40では、法線算出ブロック130が、任意の反射点の各検出情報に含まれるそれぞれのビームの照射方向における速度ベクトルについて、終点を通る法線を想定する。例えば、速度ベクトルは、相対速度の大きさ及び照射方向によって規定される。例えば、3つのレーダ装置からの検出情報を取得している場合、3つの法線L1,L2,L3のそれぞれは、以下の数式(1)、(2)、(3)にて表すことができる。尚、各数式におけるa1,a2,a3,b1,b2,b3,c1,c2,c3は、任意の係数である。
続くS50では、重み設定ブロック140が、各検出情報に対して重みを設定する。例えば、重み設定ブロック140は、検出信号強度、速度、及びピーク鋭さに基づいて、重みを設定する。
詳記すると、図6のS51にて、重み設定ブロック140は、検出信号強度に応じた重みを算出する。例えば、重み設定ブロック140は、検出対象の種別に基づく想定信号強度からの、検出信号強度の乖離度合に応じて、重みを設定する。具体的には、重み設定ブロック140は、検出対象の種別に応じて想定される信号強度範囲内に、検出信号強度が収まっている場合よりも範囲外にある場合の重みを小さく設定すればよい。
尚、重み設定ブロック140は、検出信号強度が範囲外にある場合に、当該範囲から乖離するほど、重みを小さく設定してもよい。検出対象の種別は、他の外界センサによる検出情報に基づき特定されてもよい。又は、検出対象の種別は、時系列的に過去のレーダ装置10の検出情報に基づき、特定されてもよい。尚、検出対象の種別が特定不可能であった場合、重み設定ブロック140は、単に検出信号強度が小さいほど重みを小さく設定してもよい。
続くS52では、重み設定ブロック140は、ビームの照射方向における速度に応じた重みを算出する。具体的には、重み設定ブロック140は、速度が小さいほど、重みを小さく設定する。
さらに、S53では、重み設定ブロック140は、検出方位に応じた方位スペクトルのピーク鋭さに応じた重みを算出する。具体的には、重み設定ブロック140は、ピークが鋭いほど、重みを大きく設定する。換言すれば、重み設定ブロック140は、検出情報に基づく検出対象の方位情報の信頼度が高いほど、重みを大きく設定する。
図5に戻り、S60では、方向推定ブロック150が、検出対象における移動方向ベクトルの終点Peの位置を算出することで、反射点の位置として設定される始点Psから終点Peまでの移動方向ベクトルを特定する。具体的には、方向推定ブロック150は、3つの法線L1,L2,L3からの距離の総和Dが最小となる点を、終点Peとする。方向推定ブロック150は、図4に示すように、距離の総和Dが最小となる点を探索することで、移動方向ベクトルを特定する。
具体的には、以下の数式(4)にて表される総和Dが最小となる点が、終点Peとして算出される。重み設定ブロック140にて設定された各検出情報の重みは、数式(4)において、wiにて表されている。すなわち、重み設定ブロック140にて算出される重みは、各検出情報に対応する法線からの距離に対して設定される。又、数式(4)においてdiは法線Liから暫定の終点Peまでの距離、Xt及びYtは終点Peの座標である。方向推定ブロック150は、例えば最尤推定法により総和Dが最小となる点を算出し、当該点を終点Peとして確定すればよい。
以上説明した第一実施形態によれば、3つ以上のレーダ装置10の速度情報に基づく法線に基づく移動方向ベクトルの終点位置の推定により、検出対象の移動方向が特定される。故に、3台以上のレーダ装置10からの検出情報としての速度ベクトルに関する速度情報に基づき、移動方向が推定され得る。以上により、3台以上のレーダ装置10からの検出情報を活用して、検出対象の移動方向を推定可能となり得る。
(第二実施形態)
第一実施形態の変形例による第二実施形態において、方向推定ブロック150は、複数の法線により形成される多角形の重心点を、移動方向ベクトルの終点として算出する。換言すれば、方向推定ブロック150は、多角形の各頂点との距離の二乗和が最小となる点を、移動方向ベクトルの終点Peとして算出する。図4のように3つのレーダ装置10からの検出情報を取得している場合、方向推定ブロック150は、各法線により形成される三角形の重心を、終点Peとして算出する。
第一実施形態の変形例による第二実施形態において、方向推定ブロック150は、複数の法線により形成される多角形の重心点を、移動方向ベクトルの終点として算出する。換言すれば、方向推定ブロック150は、多角形の各頂点との距離の二乗和が最小となる点を、移動方向ベクトルの終点Peとして算出する。図4のように3つのレーダ装置10からの検出情報を取得している場合、方向推定ブロック150は、各法線により形成される三角形の重心を、終点Peとして算出する。
第二実施形態において、重み設定ブロック140は、各頂点との距離に対して重みを設定してよい。例えば、重み設定ブロック140は、頂点における角度が小さいほど、重みを小さく設定してもよい。又は、重み設定ブロック140は、頂点を形成する2本の法線がそれぞれ対応するレーダ装置10において検出された検出信号強度の組み合わせに基づいて、重みを設定してもよい。
例えば、重み設定ブロック140は、各検出信号強度の乖離が大きいほど、重みを小さく設定する。又は、重み設定ブロック140は、全レーダ装置10における検出信号強度の平均値に対する、頂点に対応する各検出信号強度の差分の大きさに基づいて、重みを設定してもよい。又は、重み設定ブロック140は、頂点に対応する各検出信号強度の大きさに基づいて、重みを設定してもよい。
又、重み設定ブロック140は、頂点を形成する2本の法線がそれぞれ対応するレーダ装置10において検出された速度の組み合わせに基づいて、重みを設定してもよい。同様に、重み設定ブロック140は、ピーク鋭さの組み合わせに基づいて、重みを設定してもよい。
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例において、移動方向推定システム100は、4台以上のレーダ装置10からの検出情報に基づいて、移動方向ベクトルを決定してもよい。尚、この場合、移動方向推定システム100は、移動方向ベクトルの決定に用いる検出情報を選定してもよい。すなわち、移動方向推定システム100は、検出範囲が重複する全てのレーダ装置10からの検出情報から、移動方向ベクトルの決定に用いない検出情報を除外し、それ以外の3つ以上の検出情報にて移動方向ベクトルを決定してもよい。
変形例において、方向推定ブロック150は、各法線からの距離の総和が最小となる点と、法線による多角形の重心点とのうち、終点Peとする点を選択してもよい。
変形例において移動方向推定システム100を構成する専用コンピュータは、デジタル回路及びアナログ回路のうち、少なくとも一方をプロセッサとして有していてもよい。ここでデジタル回路とは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを記憶したメモリを、有していてもよい。
ここまでの説明形態の他、上述の実施形態及び変化例による移動方向推定システム100は、ホスト車両Aに搭載の処理装置(例えば処理ECU等)である移動方向推定装置として、実施されてもよい。また、上述の実施形態及び変化例は、移動方向推定システム100のプロセッサ102及びメモリ101を少なくとも一つずつ有した半導体装置(例えば半導体チップ等)として、実施されてもよい。
10:レーダ装置、100:移動方向推定システム、101:メモリ(記憶媒体)、102:プロセッサ
Claims (10)
- プロセッサ(102)を有し、レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置(10)による検出結果に基づいて、前記検出対象の移動方向を推定する移動方向推定システムであって、
前記プロセッサは、
前記レーダ波の照射方向における前記検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上の前記レーダ装置から取得することと、
前記速度ベクトルの終点を通る前記速度ベクトルの法線を、前記速度ベクトルごとに想定することと、
前記検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各前記法線に基づいて推定することで、前記移動方向を特定することと、
を実行するように構成される移動方向推定システム。 - 前記移動方向を特定することは、各前記法線までの距離の総和が最小となる位置を、前記終点位置として推定することを含む請求項1に記載の移動方向推定システム。
- 前記移動方向を特定することは、各前記法線により形成される多角形の頂点からの距離の二乗和が最小となる位置を、前記終点位置として特定することを含む請求項1に記載の移動方向推定システム。
- 各前記距離に対して重みを設定することをさらに実行するように構成される請求項2又は請求項3に記載の移動方向推定システム。
- 重みを設定することは、前記レーダ装置ごとの検出信号強度、前記照射方向における速度及び方位スペクトルのピーク鋭さのうち少なくとも1つに基づいて重みを設定することを含む請求項4に記載の移動方向推定システム。
- 複数の前記レーダ装置ごとに前記レーダ波の変調パターンを設定することをさらに含み、
前記変調パターンを設定することは、周波数帯域が狭帯域期間よりも広い広帯域期間と、前記広帯域期間よりも長い期間である前記狭帯域期間と、を含む前記変調パターンを設定することを含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の移動方向推定システム。 - 前記変調パターンを設定することは、各前記レーダ装置における前記広帯域期間の時間的な重複を避ける設定を行うことを含む請求項6に記載の移動方向推定システム。
- プロセッサ(102)を有し、レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置(10)による検出結果に基づいて、前記検出対象の移動方向を推定する移動方向推定装置であって、
前記プロセッサは、
前記レーダ波の照射方向における前記検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上の前記レーダ装置から取得することと、
前記速度ベクトルの終点を通る前記速度ベクトルの法線を、前記速度ベクトルごとに想定することと、
前記検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各前記法線に基づいて推定することで、前記移動方向を特定することと、
を実行するように構成される移動方向推定装置。 - レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置(10)による検出結果に基づいて、前記検出対象の移動方向を推定するために、プロセッサ(102)により実行される移動方向推定方法であって、
前記レーダ波の照射方向における前記検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上の前記レーダ装置から取得することと、
前記速度ベクトルの終点を通る前記速度ベクトルの法線を、前記速度ベクトルごとに想定することと、
前記検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各前記法線に基づいて推定することで、前記移動方向を特定することと、
を含む移動方向推定方法。 - レーダ波の照射に対する検出対象からの反射波を検出可能な複数のレーダ装置(10)による検出結果に基づいて、前記検出対象の移動方向を推定するために記憶媒体(101)に記憶され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む移動方向推定プログラムであって、
前記命令は、
前記レーダ波の照射方向における前記検出対象の速度ベクトルに関する速度情報を、3つ以上の前記レーダ装置から取得させることと、
前記速度ベクトルの終点を通る前記速度ベクトルの法線を、前記速度ベクトルごとに想定させることと、
前記検出対象の移動方向ベクトルにおける終点位置を各前記法線に基づいて推定させることで、前記移動方向を特定させることと、
を含む移動方向推定プログラム。
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