JP2023084359A - 金属製チューブ容器用開封キャップ及びチューブ製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属製チューブ容器における金属製の閉鎖膜の開封抵抗の変化を緩和するとともに、所定の開口面積まで閉鎖膜を開口させることができる金属製チューブ容器用開封キャップ及びチューブ製品を提供する。【解決手段】金属製チューブ容器用開封キャップ10は、金属製チューブ容器20の口部22に設けられた金属製の閉鎖膜24を開封するための突起12を有する。突起12は、頂壁11の一側面から軸方向に突出している。突起12は、頂壁の一側面から軸方向に沿って延びる円筒面121と、円筒面121の先端部から先細りに延びる円錐面122とを有する。円錐面122は、90°以下のテーパ角θを有し、円筒面121の軸長をL、円筒面121の半径をr、口部22の口上面から閉鎖膜24までの軸方向距離をdとするとき、下記式(1)を満たす。L-d ≧ 0.6×r ・・・(1)。【選択図】図1
Description
本発明は、金属製チューブ容器の口部に設けられた金属製の閉鎖膜を開封するため用いられる金属製チューブ容器用開封キャップ及び金属製チューブ容器用開封キャップを用いたチューブ製品に関する。
一般的に、皮膚用薬等の軟膏やクリーム等の内容物が収容されたチューブ容器は、口部に閉鎖膜を有する。閉鎖膜は、チューブ容器の口部を閉鎖してチューブ容器内部を密封し、内容物の化学変化や劣化を防止している。使用者は、チューブ容器に収容された内容物を使用する際、チューブ容器のキャップに設けられた針状の突起を閉鎖膜に突き刺してチューブ容器を開封する。
特開2006-123918号公報(特許文献1)は、閉鎖型ラミネートチューブ用開封キャップを開示している。閉鎖型ラミネートチューブ用開封キャップは、開口凹部の中央に尖頭状に立設された開封突起を有する。開封突起は、ラミネートチューブにおける口先部の口径よりもやや小さい径を有し、かつ角度のある肩部を有した基部と、基部の肩部より立ち上がる3本又は4本の稜線部を有した錐状体を備えている。ラミネートチューブの口先部に形成された積層材製の閉鎖膜は、開封突起の稜線部によって切り裂かれて小片に分断され、錐状体の基部によって口先部の裏側へ押し付けられる。また、開封突起の肩部に角度を設けたことにより、錐状体の尖頭が閉鎖膜を穿孔する際に生じる応力抵抗と、肩部が閉鎖膜を広げる際に生じる応力抵抗との差を小さくし、φ13mm未満の閉鎖型ラミネートチューブの開口を容易かつ適切に行えるようにしている。
実開昭62-165248号公報(特許文献2)は、閉鎖材付チューブ用キャップを開示している。閉鎖材付チューブ用キャップは、周側の複数の凹曲面を設けることによって形成された縦方向の稜線部を有する錐状体を備えた突起を設けてなる。錐状体がチューブの口に挿入されると、チューブの閉鎖材が稜線部によって切り裂かれて小面積かつカール状の小片に分断される。これにより、内容物を押し出す際に通路が狭くなることを抑制している。
特開2004-106900号公報(特許文献3)は、上述の閉鎖膜を破るための針状の突起部を有するキャップを開示している。キャップは、筒状の周壁の中間に天壁を設け、天壁より下側部分の周壁又は内筒に雌ねじを形成したキャップであって、天壁より上側部分で、かつ天壁の中心部近傍に、成形のためのゲート口を有している。これにより、キャップ表面の外観に樹脂の流れ模様が出ないようにしている。
しかしながら、特許文献1の閉鎖型ラミネートチューブ用開封キャップは、金属製チューブ容器ではなくラミネートチューブを開封するためのキャップである。すなわち、引用文献1は、金属製チューブ容器を適切に開封するためのキャップを提案するものではない。ラミネートチューブを構成する積層材の中間層としてバリア性確保のために薄いアルミニウム箔が用いられる場合はある。しかし、ラミネートチューブを構成する積層材の構造上の基材は樹脂層であるため、主としてアルミニウム等の金属を構造上の基材とする金属製チューブ(基材となる金属層の表面に樹脂被覆される場合はある。本明細書において、樹脂層を基材とするものを「樹脂製」といい、金属層を基材とするものを「金属製」という。)とは、それぞれの閉鎖膜の物性が異なる。樹脂製の閉鎖膜の場合、稜線部によって切り裂かれた小片を突起の肩部で押し広げる際の抵抗応力は比較的小さい。特許文献1に開示された稜線部を有する錐状体を金属製の閉鎖膜に突き刺した場合、稜線部によって金属製の閉鎖膜は比較的軽い押し込み力で小片に分断される。金属製の閉鎖膜の小片は、樹脂製の閉鎖膜の小片と比較して変形抵抗が大きい。したがって、突起の肩部により金属製の閉鎖膜の小片を押し広げる際の抵抗応力の、稜線部によって閉鎖膜が小片に分断される際の抵抗応力に対する比が、樹脂製の場合よりも大きくなる。そのため、肩部上端が金属製の閉鎖膜の小片に突き当たった際の抵抗力の増大により、使用者は閉鎖膜を十分に開封できたと誤認して開封動作を途中で中止してしまうおそれがある。このため、特許文献1に開示された稜線部を有する突起構造を金属製チューブに用いるのは適切ではない。
また、樹脂製の閉鎖膜の小片は変形性に優れるため、開封用突起の円柱状基部を閉鎖膜に突き通すことにより必要な開口面積まで一旦開口しておけば、切り裂かれた閉鎖膜の小片の先端が開口を塞ぐ状態となっても、内容物を注出する際にその注出圧によって小片が拡径して、必要な開口面積が確保される。一方、金属製チューブの場合、切り裂かれた閉鎖膜の小片の先端が口部の軸方向からみて開口を塞ぐような状態となると、内容物の注出圧が生じても小片が拡径せず、実質的に開封用突起の径よりも小さな開口径しか得られないこととなる。皮膚用薬等の軟膏やクリームでは、1回当たりの適量として1FTU(Finger Tip Unit)という単位が用いられており、大人の人差し指の先から第1関節までチューブから軟膏やクリームを絞り出した量(約0.5g)が適量とされている。したがって、軟膏やクリームが柱状に注出されたときの径が所定のものとなるよう閉鎖膜を開口させることが重要となるが、特許文献1に開示された開封用突起は、金属製閉鎖膜の開口面積を実質的に所定の大きさとすることは何ら考慮されていない。
特許文献2の閉鎖材付チューブ用キャップの針状突起もまた、稜線部を有する錐状体を有する。したがって、特許文献1の閉鎖型ラミネートチューブ用開封キャップと同様の問題がある。
特許文献3もまた、金属製閉鎖膜の開封抵抗の変化を緩和させる点や、開口面積の実質的な大きさを確保する点について考慮していない。
本発明は、金属製チューブ容器における金属製の閉鎖膜の開封抵抗の変化を緩和するとともに、所定の開口面積まで閉鎖膜を開口させることができる金属製チューブ容器用開封キャップ及びチューブ製品を提供することを課題とした。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明に係る金属製チューブ容器用開封キャップは、金属製チューブ容器の口部に設けられた金属製の閉鎖膜を開封するための突起を有する金属製チューブ容器開封用キャップであってよい。頂壁と、頂壁の一側面から軸方向に突出する突起とを有してよい。突起は、頂壁の一側面から軸方向に沿って延びる円筒面と、突起を前記閉鎖膜へ突き刺した際に閉鎖膜を周方向に複数の破断片に分断しながら各破断片を径方向に押し広げることが可能なように円筒面の先端部から先細りに延びる円錐面とを有してよい。円錐面は、90°以下のテーパ角を有してよい。円筒面の軸長をL、円筒面の半径をr、口部の口上面から閉鎖膜までの軸方向距離をdとするとき、下記式(1)を満たしてよい。
L-d ≧ 0.6×r ・・・(1)
L-d ≧ 0.6×r ・・・(1)
これにより、金属製チューブ容器用開封キャップは、開封用の突起の円錐面により金属製の閉鎖膜を複数の破断片に分断して押し広げるため、閉鎖膜を開封する際の抵抗力変化を小さくすることができるとともに、金属製の閉鎖膜の所定の開口面積を確保することができる。また、円錐面のテーパ角を90°以下としたことにより、円錐面の先端が閉鎖膜に突き刺さる際の抵抗力及び円錐面と円筒面との接続部を乗り越える際の抵抗力を各々小さくできるとともに、これら抵抗力の差を小さくすることができる。その結果、使用者は、途中で開封動作を中止せずに完了させることができる。また、円筒面の軸長Lを式(1)を満たすように決定したことにより、閉鎖膜を所定の開口面積、すなわち、円筒面の半径rに応じた開口面積を確保することができる。
円筒面と円錐面との接続部にはチャンファーが形成されてよい。チャンファーは、円筒面の直径に対して20%~70%の曲率半径を有する曲面であってよい。これにより、さらに閉鎖膜を開封する際の抵抗力変化を小さくすることができる。
本発明に係るチューブ製品は、金属製チューブ容器用開封キャップと、金属製チューブ容器とを備えてよい。
チューブ製品において、金属製チューブ容器は、円筒状のチューブ本体と、チューブ本体よりも小径筒状の口部と、チューブ本体と口部とを接続する肩部とを有してよい。キャップは、突起を外周側から覆うとともに突起を閉鎖膜へ突き刺す際に口部に外嵌される保護筒をさらに有してよい。突起の先端は、保護筒の先端よりも突出していないほうが好ましいい。
本発明によれば、金属製チューブ容器における金属製の閉鎖膜の開封抵抗の変化を緩和するとともに、所定の開口面積まで閉鎖膜を開口させることができる金属製チューブ容器用開封キャップ及びチューブ製品を提供することができる。
以下、本実施形態に係る金属製チューブ容器用開封キャップ(以下、「開封キャップ」という。)10と、開封キャップ10を含むチューブ製品1について図1及び2に基づいて具体的に説明する。図1に示すように、チューブ製品1は、開封キャップ10と、金属製チューブ容器20とを備えている。まず、金属製チューブ容器20について説明する。
金属製チューブ容器20は、円筒状のチューブ本体21と、チューブ本体21よりも小径筒状の口部22と、チューブ本体21と口部22とを接続する肩部23と、口部22の開口を覆う閉鎖膜24とを有する。金属製チューブ容器20は、金属材料からなる。金属材料は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、錫、錫合金及び鉛等である。口部22の外周面は、雄ねじ221を有する。雄ねじ221は、後述する開封キャップ10に形成された雌ねじ141に螺合される。なお、口部22内に残る内容物を低減させるためには、口部22の軸長が短い方が好ましい。
閉鎖膜24は、図示のように、口部22の口上面からやや下方において、口部22の開口を閉鎖するように形成されている。閉鎖膜24は、金属製チューブ容器20の内部空間を密閉している。閉鎖膜24は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、錫、錫合金及び鉛等の金属材料からなる薄膜である。金属製チューブ容器20は、口部22の口上面から閉鎖膜24までの軸方向の距離dを有する。距離dを設けたことにより、開封キャップ10を閉めた状態で開封キャップ10の頂壁11の下面が口部22の口上面と当接するため、頂壁11の下面と閉鎖膜24との間に隙間が生じる。その結果、閉鎖膜24の破損等を防止できる。このような観点から距離dを設けることが好ましいが、距離dを設けなくてもよい。
次に、開封キャップ10について説明する。開封キャップ10は、頂壁11と、頂壁11の一側面から軸方向に突出する突起12と、突起12を外側から覆う保護筒13と、筒部14とを有する。なお、開封キャップ10は、樹脂材料からなるが、その材料は特に限定されない。
頂壁11は、開封キャップ10を閉めた状態で口部22の開口を覆っている。本実施形態では、頂壁11の中央近傍は貫通しており、その貫通孔の周縁から筒状の突起12が突出するようにして、頂壁11と突起12とが連続的に一体成形されている。頂壁11の形状は、口部22の開口を覆うことができれば特に限定されるものではない。
突起12は、頂壁11の一側面から軸方向に突出する円筒面121と、円筒面121の先端部から先細りに延びる円錐面122と、円筒面121と円錐面122との接続部に形成されるチャンファー123とを有する。図示のように、本実施形態の突起12は、頂壁11の一側面から軸方向に突出する中空の円筒部と、円筒部の先端部から先細りに延びる中空の円錐部とから構成されている。ただし、突起12は、頂壁11の一側面から軸方向に突出する中実の円柱部と、円柱部の先端部から先細りに延びる中実の円錐部とから構成されてもよく、後述する円筒面121及び円錐面122を形成できれば特に限定されない。また、頂壁11から突起12の先端部に掛けて貫通する貫通路を設けてもよい。貫通路は、上述の円筒部及び円錐部の中空部分を含むことができる。これにより、突起12を口部22の内部に突き刺した図2に示す状態で、金属製チューブ容器20の内部空間と外部とを連通させることができ、突起12を突き刺したままでもチューブ本体21に収容された内容物を吐出させることができる。
図2に示すように、突起12の円錐面122は、開封キャップ10を天地反転させた状態で口部22内へ移動させるように閉鎖膜24へ突き刺すと、閉鎖膜24を周方向に複数の破断片に分断させる。その後、さらに口部22内へと突起12を移動させると、突起12の円筒面121は、各破断片を径方向に押し広げる。閉鎖膜24の所定の開口面積は、円筒面121の半径rによって決まる。突起12の円筒面121の軸長Lが短すぎると、突起12は閉鎖膜24を十分に開口させることができない。さらに、図2に示すように、開封時において、頂壁11の一側面と口部22の口上面とは当接する。そのため、頂壁11と口部22の口上面までの距離dを考慮すると、円筒面121の軸長Lは、円筒面121の半径rとの関係において、以下の式(1)を満たすように決定される。なお、図1に示すように、円筒面121と円錐面122との接続部にチャンファー123が形成されている場合、軸長Lは、頂壁11の一側面から円筒面121の延長面と円錐面122の延長面との交点までの軸方向の長さとする。また、チャンファー123が形成されていない場合、軸長Lは、頂壁11の一側面から円筒面121と円錐面122との接続部までの軸方向の長さである。
L-d ≧ 0.6×r ・・・(1)
これにより、円筒面121の軸長Lを適切に確保することができ、閉鎖膜24を所定の開口面積となるように開口させることができる。より具体的には、円錐面122の先端が閉鎖膜24を突き刺した際、閉鎖膜24は複数の破断片に分断され、各破断片の先端が僅かに外方にカールした後、円錐面122に沿うようにして押し広げられる。そして、各破断片が円錐面122と円筒面121との接続部を乗り越えた後、円錐面122に沿う閉鎖膜24の破断片が円錐面122から引き離されるようにして円筒面121によって外方に開く。これにより、円筒面121の半径rに応じて決まる所定の開口面積を確保することができる。なお、より好ましくは、(L-d)/rの値が0.80以上、さらに好ましくは0.88以上となるように軸長Lを決定するのがよい。
L-d ≧ 0.6×r ・・・(1)
これにより、円筒面121の軸長Lを適切に確保することができ、閉鎖膜24を所定の開口面積となるように開口させることができる。より具体的には、円錐面122の先端が閉鎖膜24を突き刺した際、閉鎖膜24は複数の破断片に分断され、各破断片の先端が僅かに外方にカールした後、円錐面122に沿うようにして押し広げられる。そして、各破断片が円錐面122と円筒面121との接続部を乗り越えた後、円錐面122に沿う閉鎖膜24の破断片が円錐面122から引き離されるようにして円筒面121によって外方に開く。これにより、円筒面121の半径rに応じて決まる所定の開口面積を確保することができる。なお、より好ましくは、(L-d)/rの値が0.80以上、さらに好ましくは0.88以上となるように軸長Lを決定するのがよい。
一方、円筒面121の軸長Lが長すぎると、突起12自体の軸長が長くなるため開封キャップ10が大きくなってしまう。或いは、突起12の軸長を一定とした場合、円筒面121の軸長Lが長すぎると、後述する円錐面122のテーパ角θが大きくなってしまう。そのため、円筒面121の軸長Lは、以下の式(2)を満たすように決定することもできる。
L-d ≦ 1.1×r ・・・(2)
これにより、突起12の軸長が長くなりすぎず、或いは、突起12の軸長を一定とした場合に、円錐面122のテーパ角θを後述する所望の角度にすることができる。
L-d ≦ 1.1×r ・・・(2)
これにより、突起12の軸長が長くなりすぎず、或いは、突起12の軸長を一定とした場合に、円錐面122のテーパ角θを後述する所望の角度にすることができる。
図1に示すように、円錐面122は、テーパ角θを有する。テーパ角θは、90°以下である。テーパ角θが大きくなり過ぎると、突起12を閉鎖膜24に突き刺した際、円錐面122と円筒面121との接続部で突起12に対する圧力が比較的大きくなる。すなわち、円錐面122の先端を閉鎖膜24に突き刺した際の圧力と、円錐面122と円筒面121との接続部が閉鎖膜24を乗り越える際の圧力との圧力差が大きくなる。そのため、使用者は十分に閉鎖膜24を開口できたと誤解して開封動作を止め得る。したがって、閉鎖膜24を所定の開口面積まで開口させるという観点から、テーパ角θは、比較的鋭角にするのがよい。
一方、テーパ角θが小さすぎると、突起12の軸長が長くなり過ぎる。或いは、突起12の軸長を一定とした場合、テーパ角θが小さすぎると、上述した円筒面121の軸長Lを十分に確保しにくくなる。そのため、テーパ角θは、70°以上、好ましくは80°以上とするのがよい。
チャンファー123は、円筒面121の半径rに対して40~120%の曲率半径を有する曲面である。チャンファー123を設けたことにより、円錐面122と円筒面121との接続部における突起12への圧力を小さくすることができる。その結果、よりスムーズに閉鎖膜24を開口させることができる。ただし、チャンファー123の曲率半径が大きすぎると、突起12の軸長が一定である場合、円筒面121の軸長Lを十分に確保しにくくなる。そのため、チャンファー123の曲率半径は、円筒面121の半径rに対して120%以下とするのがよい。また一方、チャンファー123の曲率半径が小さすぎると、上述の圧力が大きくなってしまい、閉鎖膜24のスムーズな開封動作の妨げとなり得る。そのため、チャンファー123の曲率半径は、円筒面121の半径rに対して、40%以上、好ましくは60%以上とするのがよい。
保護筒13は、突起12と同じ方向に頂壁11の周縁から略鉛直方向に延びている。保護筒13は、突起12を外周側から覆っている。また、保護筒13は、突起12を閉鎖膜24へ突き刺す際に金属製チューブ容器20の口部22に外嵌される。保護筒13の先端は、突起12の先端よりも突出している。これにより、突起12の先端を保護し、突起12が使用者の指等に触れることによって汚染することを防止するとともに、突起12による閉鎖膜24のスムーズな開封に寄与している。保護筒13の軸長は、口部22の軸長とほぼ同じである。保護筒13の軸長が長すぎると、突起12による閉鎖膜24の開封時に保護筒13の先端が容器の肩部23に突き当たってしまい、閉鎖膜24への突起12の突き刺し量が不十分となる。したがって、保護筒13及び突起12の軸長は、口部22の軸長に応じて制限される。
筒部14は、保護筒13とは反対方向に頂壁11の周縁から略鉛直方向に延びている。筒部14の内周面には、雌ねじ141が設けられている。雌ねじ141は、口部22の外周面に設けられた雄ねじ221に螺合される。
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
(実施例)
比較例1及び2、並びに、実施例1~8の開封キャップを作成し、各々の開封キャップの突起が閉鎖膜を開封する際の圧力と、開封後の閉鎖膜の開口面積とを測定した。開封する際の圧力において、突起の円錐面の先端が閉鎖膜24に突き刺された際の圧力(第1圧力)と、円錐面と円筒面との接続部、或いは、チャンファーを乗り越えた際の圧力(第2圧力)とを測定し、それぞれの差を計測した。第1圧力と第2圧力との圧力差が小さければ、第2圧力が生じた際にユーザが途中で閉鎖膜の開封動作を止めないと考えられる。下記表1の「圧力差の比」は、この第1圧力と第2圧力の差において、比較例1の圧力差を1.00とした場合の各々の突起に対する圧力差の比である。図3~7のグラフにおいて、突起の口部内への軸方向の移動距離と圧力との推移を示す。各グラフの「1」で示す位置が第1圧力であり、「2」で示す位置が第2圧力である。
比較例1及び2、並びに、実施例1~8の開封キャップを作成し、各々の開封キャップの突起が閉鎖膜を開封する際の圧力と、開封後の閉鎖膜の開口面積とを測定した。開封する際の圧力において、突起の円錐面の先端が閉鎖膜24に突き刺された際の圧力(第1圧力)と、円錐面と円筒面との接続部、或いは、チャンファーを乗り越えた際の圧力(第2圧力)とを測定し、それぞれの差を計測した。第1圧力と第2圧力との圧力差が小さければ、第2圧力が生じた際にユーザが途中で閉鎖膜の開封動作を止めないと考えられる。下記表1の「圧力差の比」は、この第1圧力と第2圧力の差において、比較例1の圧力差を1.00とした場合の各々の突起に対する圧力差の比である。図3~7のグラフにおいて、突起の口部内への軸方向の移動距離と圧力との推移を示す。各グラフの「1」で示す位置が第1圧力であり、「2」で示す位置が第2圧力である。
また、「開口面積の比」は、比較例1における閉鎖膜の開口面積を1.00とした場合の閉鎖膜の開口面積の比である。なお、各々の突起の寸法において円筒面の半径rは2.5mmであり共通している。また、各々の開封キャップにより開封する金属製チューブ容器の閉鎖膜の寸法及び口部の口上面から閉鎖膜までの距離dは同じである。距離dは、0.8mmである。
比較例1は、実施例1~8に比べて圧力差が約2倍以上も大きかった。図3(a)のグラフでも示すように、第2圧力が大きいため、ユーザは途中で開封動作を止めるおそれがある。なお、比較例1の開口面積は、実施例1~8の開口面積と略同じであるが、これは開封動作を完了させた状態の開口面積である。
比較例2は、図3(b)のグラフでも示すように、圧力差は小さかったが、実施例1~8に比べて開口面積が大幅に小さくなった。これは、円筒面の軸長Lが比較的短いためと考えられる。すなわち、図8に示す開封キャップ100ように、金属製の閉鎖膜24は、突起112に突き刺された際、突起112の円錐面1122によって破断片に分断され、円錐面1122に沿うようにして徐々に開口面積が拡径されるが、円筒面1121の軸長Lが短いために金属製の閉鎖膜24を外方に開くことができない。
実施例1~4は、図4(a)~図5(b)のグラフでも示すように、制限された突起12の軸長の範囲内において、圧力差が小さく、且つ、十分に閉鎖膜の開口面積を得ることができた。
実施例5~8に係る開封キャップの突起は、円筒面と円錐面との接続部にチャンファーを有する。図6(a)~図7(b)のグラフでも示すように、実施例6~8は、実施例5に比べてさらに圧力差が小さくなった。円筒面と円錐面との接続部にチャンファーを形成し、チャンファーの曲率半径を円筒面の半径rの40%~120%とすれば、さらに第1圧力と第2圧力との圧力差を小さくできる。
1 チューブ容器
10 金属製チューブ用開封キャップ
11 頂壁
12 突起
121 円筒面
122 円錐面
123 チャンファー
13 保護筒
14 筒部
20 金属製チューブ容器
21 チューブ本体
22 口部
23 肩部
24 閉鎖膜
L 円筒面の軸長
r 円筒面の半径
d 距離
10 金属製チューブ用開封キャップ
11 頂壁
12 突起
121 円筒面
122 円錐面
123 チャンファー
13 保護筒
14 筒部
20 金属製チューブ容器
21 チューブ本体
22 口部
23 肩部
24 閉鎖膜
L 円筒面の軸長
r 円筒面の半径
d 距離
Claims (4)
- 金属製チューブ容器の口部に設けられた金属製の閉鎖膜を開封するための突起を有する金属製チューブ容器用開封キャップであって、
頂壁と、前記頂壁の一側面から軸方向に突出する前記突起とを有し、
前記突起は、前記頂壁の一側面から軸方向に沿って延びる円筒面と、前記突起を前記閉鎖膜へ突き刺した際に前記閉鎖膜を周方向に複数の破断片に分断しながら各破断片を径方向に押し広げることが可能なように前記円筒面の先端部から先細りに延びる円錐面とを有し、
前記円錐面は、90°以下のテーパ角を有し、
前記円筒面の軸長をL、前記円筒面の半径をr、前記口部の口上面から前記閉鎖膜までの軸方向距離をdとするとき、下記式(1)を満たす、金属製チューブ容器用開封キャップ。
L-d ≧ 0.6×r ・・・(1) - 請求項1に記載の金属製チューブ容器用開封キャップにおいて、
前記円筒面と前記円錐面との接続部にはチャンファーが形成されており、
前記チャンファーは、前記円筒面の半径に対して40%~120%の曲率半径を有する曲面である、金属製チューブ容器用開封キャップ。 - 請求項1又は2に記載の金属製チューブ容器用開封キャップと、前記金属製チューブ容器とを備える、チューブ製品。
- 請求項3に記載のチューブ製品において、
前記金属製チューブ容器は、円筒状のチューブ本体と、前記チューブ本体よりも小径筒状の前記口部と、前記チューブ本体と前記口部とを接続する肩部とを有し、
前記キャップは、前記突起を外周側から覆うとともに前記突起を前記閉鎖膜へ突き刺す際に前記口部に外嵌される保護筒をさらに有し、
前記突起の先端は、前記保護筒の先端よりも突出していない、チューブ製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021198494A JP2023084359A (ja) | 2021-12-07 | 2021-12-07 | 金属製チューブ容器用開封キャップ及びチューブ製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021198494A JP2023084359A (ja) | 2021-12-07 | 2021-12-07 | 金属製チューブ容器用開封キャップ及びチューブ製品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023084359A true JP2023084359A (ja) | 2023-06-19 |
Family
ID=86771662
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2021198494A Pending JP2023084359A (ja) | 2021-12-07 | 2021-12-07 | 金属製チューブ容器用開封キャップ及びチューブ製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023084359A (ja) |
-
2021
- 2021-12-07 JP JP2021198494A patent/JP2023084359A/ja active Pending
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