JP2023083772A - 布帛および繊維製品 - Google Patents
布帛および繊維製品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023083772A JP2023083772A JP2021197658A JP2021197658A JP2023083772A JP 2023083772 A JP2023083772 A JP 2023083772A JP 2021197658 A JP2021197658 A JP 2021197658A JP 2021197658 A JP2021197658 A JP 2021197658A JP 2023083772 A JP2023083772 A JP 2023083772A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fabric
- yarn
- fibers
- fabric according
- fiber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有する布帛および繊維製品を提供する。【解決手段】ダブルニット構造を有する布帛であって、ポリエステル成分とポリアミド成分の2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維と捲縮繊維とを含む混繊糸を結接糸として含み、JIS L0217-1995、103法により1回の洗濯を行った後において、湿潤時における布帛の通気性変化率が50%以上、かつ寸法変化率がタテ、ヨコともに10%以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有する布帛および繊維製品に関する。
従来、湿潤時に通気性が向上する布帛として、例えば、特許文献1では、ポリエステル成分とポリアミド成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維を用いた布帛が提案されている。
しかしながら、かかる布帛では、湿潤により通気性は変化するものの湿潤により寸法が大きく変化してしまうという問題があった。
しかしながら、かかる布帛では、湿潤により通気性は変化するものの湿潤により寸法が大きく変化してしまうという問題があった。
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有する布帛および繊維製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。かくして、本発明によれば「ダブルニット構造を有する布帛であって、ポリエステル成分とポリアミド成分の2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維と捲縮繊維とを含む混繊糸を結接糸として含み、JIS L0217-1995、103法により1回の洗濯を行った後において、湿潤時における布帛の通気性変化率が50%以上、かつ寸法変化率がタテ、ヨコともに10%以下であることを特徴とする布帛。」が提供される。
その際、前記捲縮繊維が前記複合繊維の半分以下の総繊度を有することが好ましい。また、前記混繊糸がインターレース加工を施された交絡糸であることが好ましい。また、前記複合繊維が、単繊維繊度0.8~3.5dtexかつ総繊度20~110dtexのマルチフィラメントであることが好ましい。また、前記捲縮繊維において、単繊維繊度が1.0dtex以下であることが好ましい。また、前記捲縮繊維がポリエステル繊維からなることが好ましい。また、前記混繊糸による結節糸が表面と裏面のうち少なくともどちらか一方でループを形成していることが好ましい。また、前記布帛が編物であり、編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cmであることが好ましい。また前記布帛の目付けが70~300g/m2の範囲内であることが好ましい。また、前記混繊糸の生地内混率が50重量%以上であることが好ましい。また、前記布帛が吸水加工剤を含むことが好ましい。
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、カーシート表皮材の群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。
本発明によれば、湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有する布帛および繊維製品が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の布帛は、2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維と捲縮繊維とを含む混繊糸を結接糸として含む。
ここで、前記複合繊維は繊維を構成するポリマー成分が2成分からなり、両成分はサイドバイサイド型に接合されている。かかる2成分は吸湿性において互いに異なることが好ましい。具体的には、2成分がポリエステル成分とポリアミド成分とであることが重要である。
ここで、前記複合繊維は繊維を構成するポリマー成分が2成分からなり、両成分はサイドバイサイド型に接合されている。かかる2成分は吸湿性において互いに異なることが好ましい。具体的には、2成分がポリエステル成分とポリアミド成分とであることが重要である。
前記ポリエステル成分としては、他方のポリアミド成分との接着性の点で、スルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属、ホスホニウム塩を有し、かつエステル形成能を有する官能基を1個以上もつ化合物が共重合された、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンタレフタレート等の変性ポリエステルが好ましく例示される。なかでも、汎用性およびポリマーコストの点で、前記化合物が共重合された、変性ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。その際、共重合成分としては、5-ナトリウムスルホイソフタル酸およびそのエステル誘導体、5-ホスホニウムイソフタル酸およびそのエステル誘導体、p-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどがあげられる。なかでも、5-ナトリウムスルホイソフタル酸が好ましい。共重合量としては、2.0~4.5モル%の範囲が好ましい。該共重合量が2.0モル%よりも小さいと、優れた捲縮性能が得られるものの、ポリアミド成分とポリエステル成分との接合界面にて剥離が生じるおそれがある。逆に、該共重合量が4.5モル%よりも大きいと、延伸熱処理の際、ポリエステル成分の結晶化が進みにくくなるため、延伸熱処理温度を上げる必要があり、その結果、糸切れが多発するおそれがある。
一方のポリアミド成分としては、主鎖中にアミド結合を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ナイロン-4、ナイロン-6、ナイロン-66、ナイロン-46、ナイロン-12などがあげられる。なかでも、汎用性、ポリマーコスト、製糸安定性の点で、ナイロン-6およびナイロン-66が好適である。
前記ポリエステル成分およびポリアミド成分には、公知の添加剤、例えば、顔料、顔料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤等が含まれていてもよい。
前記のサイドバイサイド型に接合された複合繊維は、任意の断面形状および複合形態をとることができる。偏心芯鞘型であってもよい。さらには、三角形や四角形、その断面内に中空部を有するものであってもよい。なかでも単繊維の断面形状が丸型でありかつサイドバイサイド型であると、湿潤時に通気性が性能よく向上し好ましい。両成分の複合比は任意に選定することができるが、通常、2成分の重量比で30:70~70:30(より好ましくは40:60~60:40)の範囲内であることが好ましい。
前記複合繊維の単繊維繊度、フィラメント数(単糸数)としては特に限定されないが、単繊維繊度0.5~10dtex(より好ましくは0.8~3.5dtex)、フィラメント数10~200本(より好ましくは20~100本)の範囲内であることが好ましい。なかでも、単繊維繊度0.8~3.5dtexかつ総繊度20~110dtexのマルチフィラメント(長繊維)であることが好ましい。
異種ポリマーがサイドバイサイド型に接合された複合繊維は、通常、潜在捲縮性能を有しており、後記のように、染色加工等で熱処理を受けると潜在捲縮性能が発現する。捲縮構造としては、ポリアミド成分が捲縮の内側に位置し、ポリエステル成分が捲縮の外側に位置していることが好ましい。かかる捲縮構造を有する複合繊維は、後記の製造方法により容易に得ることができる。複合繊維がこのような捲縮構造を有していると、湿潤時に、内側のポリアミド成分が膨潤、伸張し、外側のポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が低下する(複合繊維の見かけの長さが長くなる。)。一方、乾燥時には、内側のポリアミド成分が収縮し、外側のポリエステル成分はほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が増大する(複合繊維の見かけの長さが短くなる。)。このように、湿潤時に、複合繊維の捲縮率が可逆的に低下するため、布帛内の空隙率が高まり、通気性が向上する。
前記の複合繊維は、湿潤時に、容易に捲縮が低下し通気性が性能よく向上する上で、無撚糸、または300T/m以下の撚りが施された甘撚り糸であることが好ましい。特に、無撚糸であることが好ましい。強撚糸のように、強い撚りが付与されていると、湿潤時に捲縮が低下しにくくなるおそれがある。なお、交絡数が20~100個/m(より好ましくは20~60個/m)程度となるようにインターレース空気加工および/または通常の仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
本発明では、前記の複合繊維に捲縮繊維を混繊することで、湿潤による通気性変化機能と寸法安定性が向上する。
ここで、かかる捲縮繊維において、捲縮率が2%以上(CP)(より好ましくは10~40%)であることが好ましい。該捲縮率が2%未満では十分なソフトな風合いやストレッチ性が得られないおそれがある。
ここで、かかる捲縮繊維において、捲縮率が2%以上(CP)(より好ましくは10~40%)であることが好ましい。該捲縮率が2%未満では十分なソフトな風合いやストレッチ性が得られないおそれがある。
前記捲縮繊維において、単繊維繊度が2.3dtex以下(好ましくは1dtex以下、好ましくは0.00002~1.0dtex、特に好ましくは0.1~1.0dtex)であることが好ましい。該単繊維繊度は小さいほどよく、ナノファイバーと称せられる単繊維繊維径が1000nm以下のものでもよい。該単繊維繊度が2.3dtexよりも大きいと吸水性が低下し、湿潤時における通気性の変化率が低下するおそれがある。また、ソフトな風合いが得られないおそれがある。該単繊維繊度を前記複合繊維の単繊維繊度よりも小さくすることは好ましいことである。また、捲縮繊維の総繊度としては33~220dtexの範囲内であることが好ましい。さらに、捲縮繊維のフィラメント数としては50~300本(より好ましくは100~300本)の範囲内であることが好ましい。
前記捲縮繊維の単繊維断面形状としては、通常の丸断面でもよいが、丸断面以外の異型断面形状であってもよい。かかる異型断面形状としては、三角、四角、十字、扁平、くびれ付扁平、H型、W型などが例示される。その際、扁平な断面形状の、長手中心線方向の長さBの、この長手中心線方向に直角をなして交差する方向における最大幅C1に対する比B/C1により表される断面扁平度が2~6(より好ましくは3.1~5.0)の範囲内であることが、布帛のソフト性の点で好ましい。また、その幅の最大値C1の、最小値C2に対する比C1/C2が、1.05~4.00(より好ましくは1.1~1.5)の範囲内であることが、布帛の吸水性の点で好ましい。
前記捲縮繊維を構成する繊維としては特に制限されず、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、さらには、綿、ウール、絹などの天然繊維やこれらを複合したものが使用可能である。特にポリエステル繊維が好ましい。かかるポリエステルとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2~6のアルキレングリコール、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種を主たるグリコール成分とするポリエステルが好ましい。なかでも、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)またはトリメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリトリメチレンテレフタレート)が特に好ましい。
かかるポリエステルには、必要に応じて少量(通常30モル%以下)の共重合成分を有していてもよい。その際、使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β-ヒドロキシエトキシ安息香酸、P-オキシ安息香酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のごとき芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのごとき脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
前記ポリエステルは任意の方法によって合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレートの場合について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造されたものでよい。また、前記ポリエステルは、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステル、または、特開2004-270097号公報や特開2004-211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルであってもよい。さらには、ポリ乳酸やステレオコンプレックスポリ乳酸などの生分解性を有するポリエステルでもよい。
前記ポリエステルに紫外線吸収剤がポリエステル重量対比0.1重量%以上(好ましくは0.1~5.0重量%)含まれていると、布帛に紫外線遮蔽性が付加され好ましい。かかる紫外線吸収剤としては、ベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系有機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系有機紫外線吸収剤、サリチル酸系有機紫外線吸収剤などが例示される。なかでも、紡糸の段階で分解しないという点からベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤が特に好ましい。
かかるベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤としては、特開昭62-11744号公報に開示されたものが好適に例示される。すなわち、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2,2’-エチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-テトラメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレンなどである。
また、前記ポリエステルに艶消し剤(二酸化チタン)がポリエステル重量対比0.2重量%以上(好ましくは0.3~2.0重量%)含まれていると、布帛に防透性が付加され好ましい。
さらに前記ポリエステルには、必要に応じて、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上が含まれていてもよい。
その際、前記複合繊維と前記捲縮繊維とは、空気混繊糸、合撚糸、複合仮撚捲縮加工糸、引揃え糸などの複合糸として布帛に含まれていてもよいが、湿潤時における優れた通気性変化機能と寸法安定性とを両立させる上で両者が空気混繊されていることが好ましい。特に両者が引き揃えられインターレース加工を施された交絡糸であることが好ましい。その際、インターレース度としては10~150個/mが好ましい。
また、前記複合繊維と前記捲縮繊維との重量比率が10:90~90:10の範囲内で混繊されることが好ましい。(複合繊維:前記捲縮繊維)75:25~50:50で混繊されることが特に好ましい。総繊度比としては、(複合繊維:前記捲縮繊維)1:0.2~1:5であることが好ましく、特に、前記捲縮繊維が前記複合繊維の半分以下(より好ましくは10~45%、特に好ましくは10~35%)の総繊度を有することが好ましい。その理由は捲縮繊維が半分超であると複合繊維の動きを過度に抑制してしまい、湿潤時に必要な生地変化を得ることができないおそれがある。なお、本発明の布帛は前記複合繊維と前記捲縮繊維の混繊糸のみで構成されることが好ましいが、さらに他の繊維(例えば、非捲縮のポリエステルマルチフィラメントなど)を含んでいてもよい。その際、混繊糸の布帛内混率が50重量%以上であることが好ましい。
本発明の布帛において、優れた通気性変化機能を得る上で、布帛の組織は編物であることが重要である。特に緯編(丸編)組織を有する編物が好ましい。特にダブルニット(シリンダー針とダイヤル針の2種類で編まれた丸編)が好ましい。緯編(丸編)組織のなかでも、スムース組織、両側結接組織、片側結接組織が特に好ましい。
本発明の布帛において、前記混繊糸が結接糸として編物に含まれる。なお、結接糸とは表面と裏面を結接する糸である。具体的には、表面と裏面にループがありループ同士を連結している糸、表面と裏面をタック編によって連結している糸、または表面と裏面の片側のタック編ともう片方のループを連結している糸である。なかでも、結接糸が表面と裏面のうち少なくてもどちらか一方でループを形成していることが好ましい。
本発明の布帛において、布帛の目付けとしては300g/m2以下(好ましくは70~300g/m2)のであることが好ましい。該目付けが300g/m2よりも大きいと、布帛の重量が重く着用快適性が損なわれるおそれがあり、また、布帛中の複合繊維の可動性(捲縮変化)が損なわれるおそれがある。
また、本発明の布帛において、編物密度としては、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~80/2.54cmであることが好ましい。
また、本発明の布帛において、編物密度としては、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~80/2.54cmであることが好ましい。
本発明の布帛は、例えば、以下の製造方法により製造することができる。まず、ポリエステルとポリアミドとを用いてサイドバイサイド型に溶融複合紡糸する。その際、固有粘度が0.30~0.43(オルソクロロフェノールを溶媒として35℃で測定)の、5-ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0~4.5モル%共重合された変性ポリエステルと、固有粘度が1.0~1.4(m-クレゾールを溶媒として30℃で測定)のポリアミドとを用いことが好ましい。ポリエステル成分の固有粘度が0.43よりも大きいと、ポリエステル成分の粘度が増大するため、複合繊維の物性がポリエステル成分のみからなる繊維に近くなり、本発明の目的とする布帛が得られないおそれがある。逆に、ポリエステル成分の固有粘度が0.30よりも小さいと、溶融粘度が小さくなりすぎて製糸性が低下するとともに毛羽発生が多くなり、品質および生産性が低下するおそれがある。
溶融紡糸の際に用いる紡糸口金としては、特開2000-144518号公報の図1のような、高粘度側と低粘度側の吐出孔を分離し、かつ高粘度側吐出線速度を小さくした(吐出断面積を大きくした)紡糸口金が好適である。そして、高粘度側吐出孔に溶融ポリエステルを通過させ、低粘度側吐出孔に溶融ポリアミドを通過させ冷却固化させることが好ましい。その際、ポリエステル成分とポリアミド成分との重量比は、前述のとおり、30:70~70:30(より好ましくは40:60~60:40)の範囲内であることが好ましい。
また、溶融複合紡糸した後、一旦巻き取った後に延伸する別延方式を採用してもよいし、一旦巻き取らずに延伸熱処理を行う直延方式を採用してもよい。その際、紡糸・延伸条件としては、通常の条件でよい。例えば、直延方式の場合、1000~3500m/分程度で紡糸した後、連続して100~150℃の温度で延伸し巻き取る。延伸倍率は最終時に得られる複合繊維の切断伸度が10~60%(好ましくは20~45%)、切断強度が3.0~4.7cN/dtex程度となるよう、適宜選定すればよい。
次いで、かかる複合繊維と前記捲縮繊維との混繊糸を用いて布帛を織編成した後、染色加工などの熱処理により前記複合繊維の捲縮を発現させる。
その際、前記染色加工の温度としては100~140℃(より好ましくは110~135℃)、時間としてはトップ温度のキープ時間が5~40分の範囲内であることが好ましい。かかる条件で布帛に染色加工を施すことにより、前記複合繊維は、ポリエステル成分とポリアミド成分との熱収縮差により捲縮を発現する。その際、ポリエステル成分とポリアミド成分として、前述のポリマーを選定することにより、ポリアミド成分が捲縮の内側に位置する捲縮構造となる。
その際、前記染色加工の温度としては100~140℃(より好ましくは110~135℃)、時間としてはトップ温度のキープ時間が5~40分の範囲内であることが好ましい。かかる条件で布帛に染色加工を施すことにより、前記複合繊維は、ポリエステル成分とポリアミド成分との熱収縮差により捲縮を発現する。その際、ポリエステル成分とポリアミド成分として、前述のポリマーを選定することにより、ポリアミド成分が捲縮の内側に位置する捲縮構造となる。
染色加工が施された布帛には、乾熱ファイナルセットを施すことが好ましい。その際、乾熱ファイナルセットの温度としては120~200℃(より好ましくは140~180℃)、時間としては1~3分の範囲内であることが好ましい。かかる、乾熱ファイナルセットの温度が120℃よりも低いと、染色加工時に発生したシワが残り易く、また、仕上がり製品の寸法安定性が悪くなるおそれがある。逆に、該乾熱ファイナルセットの温度が200℃よりも高いと、染色加工の際に発現した複合繊維の捲縮が低下したり、繊維が硬化し生地の風合いが硬くなるおそれがある。
また、本発明の布帛には吸水加工が施されていることが好ましい。布帛に吸水加工を施すことにより、少量の汗でも通気性が向上しやすくなる。かかる吸水加工としては通常の吸水加工でよく、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレートやその誘導体、または、ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体などの吸水加工剤を布帛に、布帛の重量に対して0.25~0.50重量%付着させることなどが好ましく例示される。吸水加工の方法としては、例えば染色加工時に染液に吸水加工剤を混合する浴中加工法や、乾熱ファイナルセット前に、布帛を吸水加工液中にディッピングしマングルで絞る方法、グラビヤコーテング法、スクリーンプリント法といった塗布による加工方法等が例示される。
かくして得られた布帛において、布帛に含まれる複合繊維の捲縮率が、湿潤時に小さくなり、複合繊維の糸長が長くなるため、布帛中の空隙が大きくなり通気性が向上する。一方、乾燥時には複合繊維の捲縮率が大きくなるため、複合繊維の糸長が短くなり、その結果、布帛中の空隙が小さくなり通気性が低下する。その際、前記捲縮繊維が混繊されることにより、複合繊維の動きを適度に抑制し、生地の寸法変化を抑制しつつ高い通気変化特性が得られる。また、複合繊維と捲縮繊維とを混繊することにより、布帛に適度なふくらみ感が出るため、複合繊維のみからなる布帛と比較して風合いと物性の両方が向上する。
ここで、JIS L0217-1995、103法により1回の洗濯を行った後において、通気性の変化率が50%以上(好ましくは80~500%)であることが重要である。
本発明においては、このように洗濯処理を1回以上おこなうことにより、水中での撹拌によって、一旦熱セットされた後の布帛における繊維移動の自由度が向上し、乾燥時と湿潤時の通気性変化をより増大させることができる。ただし、通気性は、JIS L 1096-2010、8.26.1、A法(フラジール型法)により測定された値(CFM)である。通気性の変化率は下記式で示す。
通気性の変化率(%)=(((湿潤時の通気性)-(乾燥時の通気性))/(乾燥時の通気性))×100
通気性の変化率(%)=(((湿潤時の通気性)-(乾燥時の通気性))/(乾燥時の通気性))×100
ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、湿潤時とは、均一に生地重量対比50重量%の水分量を含ませた後1分放置した後の状態であり、それぞれ通気性(n数=5)を測定し、その平均を求める。
通気性の変化率が50%よりも小さいと、発汗時にムレ感の問題が発生しやすくなるおそれがある。
通気性の変化率が50%よりも小さいと、発汗時にムレ感の問題が発生しやすくなるおそれがある。
ここで、JIS L0217-1995、103法により1回の洗濯を行った後において、乾燥時の通気度が100CFM以下(より好ましくは80CFM以下、さらに好ましくは5~60CFM、特に好ましくは20~60CFM)であることが好ましい。前記の乾燥時の通気度が100CFMより大であると乾燥時の通気度が大きすぎるため、乾燥時と湿潤時の通気性変化を感じにくいおそれがある。乾燥時に適度な防風性(100CFM以下)があることで湿潤時の通気性変化を十分に感じることが可能となる。
また、JIS L0217-1995、103法により1回の洗濯を行った後において、湿潤による布帛の寸法変化率がタテ、ヨコともに10%以下(より好ましく-8~8%)であることが重要である。なお、タテ、ヨコの寸法変化率は下記式で示す。
寸法変化率(%)=(((湿潤時の寸法)-(乾燥時の寸法))/(乾燥時の寸法))×100
寸法変化率(%)=(((湿潤時の寸法)-(乾燥時の寸法))/(乾燥時の寸法))×100
ただし、乾燥時とは、寸法(タテ20cm×ヨコ2.5cm=50cm2)の試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態である。試料はタテヨコともに5点づつ用意し測定する。一方、湿潤時とは、試料を温度20℃の水中に10分間浸漬した直後、長さ方向に吊り下げ5分経過後の状態であり、それぞれ布帛寸法(サンプル数=5)を測定し、その平均を求める。
布帛の寸法変化率が10%よりも大きいと布帛を繊維製品としたときの着用快適性や外観が損なわれるおそれがある。
なお、本発明の布帛には、前記の加工以外に、常法の起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤、撥水剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
なお、本発明の布帛には、前記の加工以外に、常法の起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤、撥水剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、カーシート表皮材の群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。かかる繊維製品は前記の布帛を用いているので、湿潤時における優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有する。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)ポリエステルの固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し温度35℃で測定する。
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し温度35℃で測定する。
(2)ポリアミドの固有粘度
m-クレゾールを溶媒として使用し温度30℃で測定する。
m-クレゾールを溶媒として使用し温度30℃で測定する。
(3)破断強度、破断伸度
繊維試料を、雰囲気温度25℃、湿度60%RHの恒温恒湿に保たれた部屋に一昼夜放置した後、サンプル長さ100mmで(株)島津製作所製引張試験機テンシロンにセットし、200mm/minの速度で伸張し、破断時の強度(cN/dtex)、伸度(%)を測定する。なお、n数5でその平均値を求める。
繊維試料を、雰囲気温度25℃、湿度60%RHの恒温恒湿に保たれた部屋に一昼夜放置した後、サンプル長さ100mmで(株)島津製作所製引張試験機テンシロンにセットし、200mm/minの速度で伸張し、破断時の強度(cN/dtex)、伸度(%)を測定する。なお、n数5でその平均値を求める。
(4)トルク
試料(捲縮糸)約70cmを横に張り、中央部に0.18mN×表示テックス(2mg/de)の初荷重を吊るした後、両端を引揃える。
糸は残留トルクにより回転しはじめるが初荷重が静止するまでそのままの状態で持ち、撚糸を得る。こうして得た撚糸を17.64mN×表示テックス(0.2g/de)の荷重下で25cm長の撚数を検撚器で測定する。得られた撚数(T/25cm)を4倍にしてトルク(T/m)とする。
試料(捲縮糸)約70cmを横に張り、中央部に0.18mN×表示テックス(2mg/de)の初荷重を吊るした後、両端を引揃える。
糸は残留トルクにより回転しはじめるが初荷重が静止するまでそのままの状態で持ち、撚糸を得る。こうして得た撚糸を17.64mN×表示テックス(0.2g/de)の荷重下で25cm長の撚数を検撚器で測定する。得られた撚数(T/25cm)を4倍にしてトルク(T/m)とする。
(5)インターレース度
交絡糸を8.82mN×表示テックス(0.1g/de)の荷重下で1mの長さをとり、除重後、室温で24時放縮後の結節点の数を読み取り、個/mで表示する。
交絡糸を8.82mN×表示テックス(0.1g/de)の荷重下で1mの長さをとり、除重後、室温で24時放縮後の結節点の数を読み取り、個/mで表示する。
(6)捲縮率
供試糸条を、周長が1.125mの検尺機のまわりに巻きつけて、乾繊度が3333dtexのかせを調製する。前記かせを、スケール板の吊り釘に懸垂して、その下部分に6gの初荷重を付加し、さらに600gの荷重を付加したときのかせの長さL0を測定する。その後、直ちに、前記かせから荷重を除き、スケール板の吊り釘から外し、このかせを沸騰水中に30分間浸漬して、捲縮を発現させる。沸騰水処理後のかせを沸騰水から取り出し、かせに含まれる水分をろ紙により吸収除去し、室温において24時間風乾する。この風乾されたかせを、スケール板の吊り釘に懸垂し、その下部分に、600gの荷重をかけ、1分後にかせの長さL1aを測定し、その後かせから荷重を外し、1分後にかせの長さL2aを測定する。供試フィラメント糸条の捲縮率(CP)を、下記式により算出する。
CP(%)=((L1a-L2a)/L0)×100
供試糸条を、周長が1.125mの検尺機のまわりに巻きつけて、乾繊度が3333dtexのかせを調製する。前記かせを、スケール板の吊り釘に懸垂して、その下部分に6gの初荷重を付加し、さらに600gの荷重を付加したときのかせの長さL0を測定する。その後、直ちに、前記かせから荷重を除き、スケール板の吊り釘から外し、このかせを沸騰水中に30分間浸漬して、捲縮を発現させる。沸騰水処理後のかせを沸騰水から取り出し、かせに含まれる水分をろ紙により吸収除去し、室温において24時間風乾する。この風乾されたかせを、スケール板の吊り釘に懸垂し、その下部分に、600gの荷重をかけ、1分後にかせの長さL1aを測定し、その後かせから荷重を外し、1分後にかせの長さL2aを測定する。供試フィラメント糸条の捲縮率(CP)を、下記式により算出する。
CP(%)=((L1a-L2a)/L0)×100
(7)艶消し剤の含有率
下記式により算出する。
艶消し剤の含有率(%)=(添加する艶消し剤質量(gr)/艶消し剤添加前のポリマー質量(gr))×100
下記式により算出する。
艶消し剤の含有率(%)=(添加する艶消し剤質量(gr)/艶消し剤添加前のポリマー質量(gr))×100
(8)洗濯と乾燥
JIS L0217-1995、103法により1回の洗濯を行う。また、JIS L1096-2010、8.24.1、A1法-2.3タンブラーにより乾燥する。
JIS L0217-1995、103法により1回の洗濯を行う。また、JIS L1096-2010、8.24.1、A1法-2.3タンブラーにより乾燥する。
(9)通気性
JIS L 1096-2010、8.26.1、A法(フラジール型法)により測定された値(CFM)である。ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、湿潤時とは、均一に生地重量対比50重量%の水分量を含ませた後1分放置した後の状態であり、それぞれ通気性(サンプル数=5)を測定し、その平均を求める。そして、通気性の変化率を下記式により算出する。
通気性の変化率(%)=(((湿潤時の通気性)-(乾燥時の通気性))/(乾燥時の通気性))×100
JIS L 1096-2010、8.26.1、A法(フラジール型法)により測定された値(CFM)である。ただし、乾燥時とは、試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態であり、一方、湿潤時とは、均一に生地重量対比50重量%の水分量を含ませた後1分放置した後の状態であり、それぞれ通気性(サンプル数=5)を測定し、その平均を求める。そして、通気性の変化率を下記式により算出する。
通気性の変化率(%)=(((湿潤時の通気性)-(乾燥時の通気性))/(乾燥時の通気性))×100
(10)寸法変化率
洗濯前後の布帛について、乾燥時のタテ(ヨコ)寸法と湿潤時のタテ(ヨコ)寸法を測定する。
ただし、乾燥時とは、寸法(タテ20cm×ヨコ2.5cm=50cm2)の試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態である。試料はタテヨコともに5点づつ用意し測定する。一方、湿潤時とは、試料を温度20℃の水中に10分間浸漬した直後、長さ方向に吊り下げ5分経過後の状態であり、それぞれ布帛寸法(サンプル数=5)を測定し、その平均を求める。そして、洗濯前後について、布帛(タテ、ヨコ)の寸法変化率を下記式により算出する。
寸法変化率(%)=(((湿潤時の寸法)-(乾燥時の寸法))/(乾燥時の寸法))×100
洗濯前後の布帛について、乾燥時のタテ(ヨコ)寸法と湿潤時のタテ(ヨコ)寸法を測定する。
ただし、乾燥時とは、寸法(タテ20cm×ヨコ2.5cm=50cm2)の試料を温度20℃、湿度65%RH環境下に24時間放置した後の状態である。試料はタテヨコともに5点づつ用意し測定する。一方、湿潤時とは、試料を温度20℃の水中に10分間浸漬した直後、長さ方向に吊り下げ5分経過後の状態であり、それぞれ布帛寸法(サンプル数=5)を測定し、その平均を求める。そして、洗濯前後について、布帛(タテ、ヨコ)の寸法変化率を下記式により算出する。
寸法変化率(%)=(((湿潤時の寸法)-(乾燥時の寸法))/(乾燥時の寸法))×100
(11)目付け
JISL1018-1998 6.4により測定する。
JISL1018-1998 6.4により測定する。
(12)風合い
試験者により、ソフトな風合いの点で、優れている(〇)、普通(△)、劣る(×)の3段階に評価する。
試験者により、ソフトな風合いの点で、優れている(〇)、普通(△)、劣る(×)の3段階に評価する。
[実施例1]
固有粘度[η]が1.3のナイロン6と、固有粘度[η]が0.39で2.6モル%の5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合させた変性ポリエチレンテレフタレートとをそれぞれ270℃、290℃にて溶融し、特開2000-144518号公報の図1と同様の複合紡糸口金を用い、それぞれ12.7g/分の吐出量にて押し出し、サイドバイサイド型の単繊維横断面形状を有する複合繊維を形成させ、冷却固化、油剤を付与した後、糸条を速度1000m/分、温度60℃の予熱ローラーにて予熱し、ついで、該予熱ローラーと、速度3050m/分、温度150℃に加熱された加熱ローラー間で延伸熱処理を行い、巻取り、総繊度84dtex/24filの複合繊維(マルチフィラメント)を得た。該複合繊維において、破断強度3.4cN/dtex、破断伸度40%であった。
固有粘度[η]が1.3のナイロン6と、固有粘度[η]が0.39で2.6モル%の5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合させた変性ポリエチレンテレフタレートとをそれぞれ270℃、290℃にて溶融し、特開2000-144518号公報の図1と同様の複合紡糸口金を用い、それぞれ12.7g/分の吐出量にて押し出し、サイドバイサイド型の単繊維横断面形状を有する複合繊維を形成させ、冷却固化、油剤を付与した後、糸条を速度1000m/分、温度60℃の予熱ローラーにて予熱し、ついで、該予熱ローラーと、速度3050m/分、温度150℃に加熱された加熱ローラー間で延伸熱処理を行い、巻取り、総繊度84dtex/24filの複合繊維(マルチフィラメント)を得た。該複合繊維において、破断強度3.4cN/dtex、破断伸度40%であった。
一方、ポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条を得た後、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度22dtex/72filの仮撚捲縮加工糸(捲縮繊維)を得た。
次いで、前記複合繊維と捲縮繊維とを合糸して空気交絡処理を行い、混繊糸(総繊度105dtex/96fil)を得た。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、オーバーフィード率1.0%、圧空圧0.3MPa(3kgf/cm2)で90個/mの交絡を付与した。
次いで、24ゲージのダブル丸編機を使用して、前記の複合繊維(沸水処理されておらず、捲縮は発現していない。無撚糸)を結接糸とし、図1に示すスムース組織の丸編物を編成した。
次いで、24ゲージのダブル丸編機を使用して、前記の複合繊維(沸水処理されておらず、捲縮は発現していない。無撚糸)を結接糸とし、図1に示すスムース組織の丸編物を編成した。
そして、該丸編物を、温度130℃、キープ時間15分で染色加工し、複合繊維の潜在捲縮性能を顕在化させた。その際、吸水加工剤(ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対して2ml/lの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、編物に吸水加工剤を付与した。次いで、該丸編物に、温度160℃、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。
得られた編物は、湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有するものであった。評価結果を表1に示す。なお、「C」はコース数/2.54cm、「W」はウエール数/2.54cmである。
また、かかる編物を用いて衣料を得て着用したところ、湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性と優れた風合いを有するものであった。
また、かかる編物を用いて衣料を得て着用したところ、湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性と優れた風合いを有するものであった。
[実施例2]
実施例1において、編物の密度を変えること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例1において、編物の密度を変えること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、複合繊維(マルチフィラメント)を総繊度56dtex/24filに変え、編物の密度を変えること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例1において、複合繊維(マルチフィラメント)を総繊度56dtex/24filに変え、編物の密度を変えること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、編物の組織を図2に示す天竺に変え、編物の密度を変えること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例1において、編物の組織を図2に示す天竺に変え、編物の密度を変えること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、捲縮繊維を用いず、複合繊維を単独で用いること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
実施例1において、捲縮繊維を用いず、複合繊維を単独で用いること以外は実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
本発明によれば、湿潤による優れた通気性変化機能と寸法安定性とを有する布帛および繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
Claims (13)
- ダブルニット構造を有する布帛であって、ポリエステル成分とポリアミド成分の2成分がサイドバイサイド型に接合された複合繊維と捲縮繊維とを含む混繊糸を結接糸として含み、JIS L0217-1995、103法により1回の洗濯を行った後において、湿潤時における布帛の通気性変化率が50%以上、かつ寸法変化率がタテ、ヨコともに10%以下であることを特徴とする布帛。
- JIS L0217-1995、103法により1回の洗濯を行った後において、乾燥時の通気性が100CFM以下である、請求項1に記載の布帛。
- 前記捲縮繊維が前記複合繊維の半分以下の総繊度を有する、請求項1または請求項2に記載の布帛。
- 前記混繊糸がインターレース加工を施された交絡糸である、請求項1~3のいずれかに記載の布帛。
- 前記複合繊維が、単繊維繊度0.8~3.5dtexかつ総繊度20~110dtexのマルチフィラメントである、請求項1~4のいずれかに記載の布帛。
- 前記捲縮繊維において、単繊維繊度が1.0dtex以下である、請求項1~5のいずれかに記載の布帛。
- 前記捲縮繊維がポリエステル繊維からなる、請求項1~6のいずれかに記載の布帛。
- 前記混繊糸による結接糸が表面と裏面のうち少なくともどちらか一方でループを形成している、請求項1~7のいずれかに記載の布帛。
- 編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cmである、請求項1~8のいずれかに記載の布帛。
- 布帛の目付けが70~300g/m2の範囲内である、請求項1~9のいずれかに記載の布帛。
- 前記混繊糸の布帛内混率が50重量%以上である、請求項1~10のいずれかに記載の布帛。
- 布帛が吸水加工剤を含む、請求項1~11のいずれかに記載の布帛。
- 請求項1~12のいずれかに記載の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、カーシート表皮材の群より選ばれるいずれかの繊維製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021197658A JP2023083772A (ja) | 2021-12-06 | 2021-12-06 | 布帛および繊維製品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021197658A JP2023083772A (ja) | 2021-12-06 | 2021-12-06 | 布帛および繊維製品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023083772A true JP2023083772A (ja) | 2023-06-16 |
Family
ID=86731680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021197658A Pending JP2023083772A (ja) | 2021-12-06 | 2021-12-06 | 布帛および繊維製品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023083772A (ja) |
-
2021
- 2021-12-06 JP JP2021197658A patent/JP2023083772A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10925339B2 (en) | Cloth and fibrous product | |
JP5155162B2 (ja) | 編地およびスポーツ衣料 | |
JP5584297B2 (ja) | 多層構造布帛および繊維製品 | |
US20220081811A1 (en) | Fabric and fiber product | |
CN101128313A (zh) | 通过吸水立体地进行结构变化的复合布帛材料及纤维制品 | |
JP7231649B2 (ja) | 布帛および繊維製品 | |
JP2008297657A (ja) | キルテイング生地および寝具およびダウンジャケット | |
JP7032519B2 (ja) | フラップ付き編地および繊維製品 | |
JP6933707B2 (ja) | 布帛および繊維製品 | |
JP2023083772A (ja) | 布帛および繊維製品 | |
JP2006207065A (ja) | 湿潤時にベンチレーション効果を呈する衣服 | |
JP7148223B2 (ja) | 貼布剤用布帛および貼布剤 | |
JP2023002088A (ja) | 経編地および衣料 |