JP2023083202A - 持続流出システム回路およびその品質管理システム - Google Patents

持続流出システム回路およびその品質管理システム Download PDF

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Abstract

【課題】一切の機械的な又は電気的な駆動、制御機構は不要であり、尿の質量とその位置エネルギーと膀胱本来の充満、収縮による圧力と腹圧により、ある程度の量の尿が膀胱に貯留すると自動的にサイフォン化し、流出元より高くなる高低差があっても持続的に流出し続ける持続流出システム回路と持続流出品質管理システムを構築する。【解決手段】体内にある伸展収縮可能な弾性閉鎖空間である流出元から流体をサイフォン化によって持続的に流出させる持続流出システム回路であって、サイフォン化容量条件を満たし、かつ前記管腔内を流出中も隙間無く充満しながら流出するように前記管腔内径が設計されたサイフォン回路であり、ひとたび前記圧差Pが初期サイフォン化抵抗Rsと釣り合うPs値を越えるとサイフォン化され、第1高低差H1の以降のループによって発生する第2高低差H2があっても前記流出元の弾性により陰圧になること無く流出し続けて完全流出する。【選択図】 図6

Description

本願発明は、体内にある弾性閉鎖空間の流出元から一段高い部位を一度経て、体外にある空間の流出先へ二つ以上の高低差を乗り越えてサイフォン化して流体を流出させる技術とその原理を明確にし、その規格を制定し、確認し、品質を保証する管理システムにより管理されるものであり、他の医療機器、その他の製品においても実施されるべきプロセスであり、応用可能である。
実際に使用される臨床場面を想定した一度流出元より高い位置を経るように臨床ループモデルで使用条件を設定し、規定する規格をクリアーした持続流出システム回路であるかどうかを確認するための、規格を制定し、デザインから製作そして規格をクリアーしているかどうかのテスト方法、さらに種々の臨床的変動要因による製品の使用限界を確認、認定するための人工膀胱、人工流体の規格も決めて、最終的に製品の品質を確認し保証するシステムを包含して初めて品質が保証され、品質が管理出来る様になる。危険を含有している医療器既製品であればあるほど必然的に必要であり、科学的なシステム思考に基づく品質管理システムはどんな医療機器においても、真に臨床現場での使用条件を満たしているのか、その品質の各条件を満たしているのか、品質は保証されているのかを、真に検討し、検証する必要がある。
医療の現場では、体内にある閉鎖空間の流出元から一段高い高低差のある体外にある空間の流出先へ流体を流出させる必要性があるが、これまでは実際の使用条件の高低差の与える影響が全く考慮されていなかった。
例えば、膀胱に溜まった尿である。尿は膀胱留置バルーン(フォーリー)カテーテル[以下、「流出誘導体」という]を用いて体外へ流出(排出)され、さらに採尿チューブ(以下、「流出チューブ」という)により蓄尿バッグに繋げられている流出チューブ蓄尿バッグ回路(以後、蓄尿回路と略す)が「精密尿量計付閉鎖式採尿バッグタイプ 12Fr~18Fr」と表示され、広く用いられている。1Fr=1/3mmであり、外径を示す単位であり、流出誘導体、膀胱留置カテーテルの外径が4mmから6mmと外径(太さ)についての記載はあるが、本持続流出システム回路で問題となる内径についての記載は一切無い。また、持続流出出来ないましてや断続的にしか流出出来ない回路にも関わらず必要最少量の記載も無く、「精密尿量計付」と銘打ってある。さらには末梢抵抗を増す閉鎖式と記載されている。ましてや流出チューブの内径などに関しての記載は一切無い。
それは、実際の臨床および介護の現場での使用条件を、全く考慮されておらず、実際には流出元と流出先の途中には流出元よりも一度高くなる部位を経る高低差が生じ、流出元から流出先に一方的に流れる状況では無い。
流出元より一段高くなる高低差を乗り越えて流出しないと、現場では使い物にならないが、その事実及び危険性については、従来の製品の取扱説明書には一切記載はない。
また、医療、介護の現場でもその弊害と危険性についての認識がないまま、使用され続けている。
ゆえに、本来期待される機能が発揮されず、また、使用する患者や管理し看護する看護師、介護の現場等でも、適正に使用されているとは言えず、その時々の尿量を流出させ、適正に測定するという目的を達するものにはなっていない。
ぼうこう(膀胱)留置用カテーテルの日本工業規格、JIS T3214:2011(非特許文献1)には、流出誘導体としてのバルーンカテーテルついては、種々の規格と使用注意書きが記載されているが、採尿(導尿、インレット)チューブおよび蓄尿バッグに関しての項目はなく、それぞれの機能、構造に関する規格情報は一切無い。
日本工業規格JIS T3215:2011(非特許文献2)には、「体内留置排液用チューブ及びカテーテル」の適用範囲に、重力又は陰圧によって液体又は気体を体外へ排出するために設計された、体内留置排液用チューブ及びカテーテルについて規定する。ただし、次のものには適用しない。とあり、「尿路カテーテル」が記載されていて、尿路カテーテル類は除外されており、きちんと排出されているかのチェック規格はない。
医療機器関係JIS一覧(H18.6.8現在)で下記のものがある。
□T 3214 ぼうこう(膀胱)留置用カテーテル(非特許文献1)
□T 3215 体内留置排液用チューブ及びカテーテル(非特許文献2)
□T 3216 じんろう(腎瘻)又はぼうこうろう(膀胱瘻)カテーテル(非特許文献3)
□T 3247 尿管用カテーテルおよびイントロデューサキット並びに尿道拡張用バルーンカテーテル(非特許文献4)
いずれも、蓄尿回路に関しての規格、記載はない。
また、膀胱留置カテーテルという医療機器は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」により規制されていて、その製造販売元は、医療機器製造販売業許可をもらい、医療機器製造業登録をし、その取り扱う医療機器毎に、医療機器製造販売承認あるいは認証を取得して、各製造販売元から市場に出されている。
以下に日本国内で医療機器製造販売元として認可されている13社から製品化されている該当する製品の医療機器承認あるいは認証番号を示すが、そのいずれの取り扱い説明書、注意書きにも膀胱バルーン留置カテーテルについての注意書きは書いてあっても、蓄尿回路全般にわたっての規格および注意書きは一切ない。
16100BZZ01536000 223ACBZX00083000
226AIBZX00064000
229AGBZX00035000 JAN4562246172492 301AIBZX00011000 301AIBZX00010000
218AIBZX00059000
15800BZZ01130000
20900BZY01023000 20900BZY01024000 21200BZY00110000
20700BZZ01034000
20900BZY00070000
21100BZY00388000
221ADBZX00071000
20200BZZ00775
220AIBZX00057000
本願発明者の経験では、カテーテルが膀胱内に留置されてそれに接続される従来の流出チューブ蓄尿バッグ回路(以下、蓄尿回路)は、完全密閉型(クローズタイプ)で、そのままにしておくだけでは決して持続的に継続して尿が流れ出ることはない。手術後の重要な時期にも適正な尿量測定を実現出来ていない。
回路の途中に塞栓が生じ、膀胱からの流出を阻害し、膀胱に尿が貯留し、利用者に味わったことのない膀胱圧迫感を与え、苦しみを与える。
また、その回路の途中で尿塞栓となり、エアーロック状態となり人工尿閉状態となり、益々膀胱機能を損ない障害し、神経因性膀胱どころか、その慢性的長期間の使用により逆行性に尿管、腎臓にまで影響を与え水腎症に至る危険性も含んでいる。
尿を流出させるためには、尿塞栓に物理的条件として位置エネルギーを与え、さらにチューブに振動刺激を与え、尿流出促進操作をしないと流れない。
さらに、流れてもきちんと最後の蓄尿バッグまで流れ落ちるかどうか確認しないとまた途中で尿塞栓を形成してしまう場合がある。
そのため尿流出操作を何度か繰り返し膀胱の不快な圧迫感を開放して寝ては、膀胱圧迫感で起き、圧迫解放操作をしては寝るというICUでの生活となった。
医療機器関係日本工業規格(JIS) T3214 医療機器関係日本工業規格(JIS) T3215 医療機器関係日本工業規格(JIS) T3216 医療機器関係日本工業規格(JIS) T3247
このような現状に対して、本願発明者は、開放型ドリップチャンバー以外特別な補助装置は不要であり、一切の機械的な又は電気的な駆動、制御機構は不要であり、万有引力の法則の下、尿の質量とその位置エネルギーと膀胱本来の充満、収縮による圧力と腹圧により、途中の回路が流出元よりある程度高くても、貯留した尿を持続的に排尿できて、実地臨床の現場においても、自然の膀胱の排尿機能の維持となり、ある程度の量の尿が膀胱に貯留すると自動的にサイフォン化し、途中で多少の高低差があっても持続的に流出し続け、完全に排出される。すなわち、尿閉も、残尿も無く、膀胱への余計な負担もなく、流出元から流出先へ高低差があっても、順方向に持続的に完全流出する。結果として、感染のリスクを低減し、膀胱機能の廃用と腎機能障害を予防し、膀胱機能、身体機能の回復を図る、持続流出システム回路と持続流出品質管理システムを構築する。
すなわち、現場の実際の使用条件下でも逆流無く順方向に持続的に継続して流出し、膀胱にも途中の回路にも停留、貯留すること無く完全に流出する品質の保証されたシステム回路作成するために、その規格と品質を確認する方法と、さらに種々の流体性状および膀胱の機能状態において、駆動可能か確認し管理するシステムを構築する。
臨床ループモデルによるサイフォン化持続流出システム回路とその規格確認テストについて述べる。
本願発明の第1:
持続流出システム回路の構造と必要条件について[0024]
本願発明の第2:
臨床ループモデル条件について[0035]
本願発明の第3:
初期サイフォン化圧について[0040]
本願発明の第4:
使用環境に起因する高低差抵抗と回路の構造による抵抗について[0043]
本願発明の第5:
最少容量と初期サイフォン化圧について[0044]
本願発明の第6:
初期サイフォン化圧と持続流出(サイフォン化)について[0045]
本願発明の第7:
初期サイフォン化圧測定法と簡易完全流出確認テストについて[0052]
本願発明の第8:
規格の可変性とリハビリ活用について[0058]
本願発明の第9:
基準人工膀胱と基準人工尿、基準濃縮糖尿について[0062]
本願発明の第10:
負荷テストについて[0066]
上記の課題を解決するために、本願発明の第1は、持続流出システム回路の構造と必要条件についてである。
請求項1記載の発明は、体内にある弾性閉鎖空間の流出元から体外にある空間の流出先へ流体を流出元よりも一段高くなる第1高低差、その後のいくつかの高低差の第二高低差があってもサイフォンの原理を応用して、持続的に流出させる持続流出システム(SDS:Sustained Drain System)であって、流出元から流体を流出させるために設けられる流出誘導体と、流出誘導体から流出先までに流体を移動させるための流出チューブと、開放型ドリップチャンバーと閉鎖式貯留バッグとからなる構造を備え、実際の使用条件をモデル化した第1,2高低差のある臨床ループモデル条件下でも、サイフォン化し持続流出し完全流出する機能を発揮するためのシステム回路の設計及び駆動条件を明らかにし、従来製品を改良する方法を提示し、かつ、持続流出管理システムを用いて、その設定した規格に適合しているかどうかを確認し、その品質を保証し、使用限度、注意点を明らかにした安心、安全、有益な持続流出システム回路を創ることである。
すなわち、体内にある伸展収縮可能な弾性閉鎖空間の流出元から流体を持続的に流出させる持続流出システム回路であって、流出元から流体を流出させるために設けられる流出誘導体と、流出誘導体から流出先までに流体を移動させるための流出チューブと、開放式ドリップチェンバーを備える閉鎖式貯留バッグとを備え、臨床の実際の使用環境条件を考慮した臨床ループモデル条件の第1高低差(ループ)H1の高低差抵抗Rhを乗り越えて持続流出を開始するサイフォン化のための初期の圧差、サイフォン化圧Psを生むための必要な流出元弾性閉鎖空間を満たす最少容量Vminとし、そしてその圧Psにより、最初の高低差1(ループ1)のピークを乗り越え、流出開始するサイフォン化境界の高低差の管腔を占める容量をVloopとすると、途中の回路、流出誘導体内腔量Vhgと流出チューブの内腔量Vhtとの関係は次に示される。
Figure 2023083202000002
請求項1記載の発明は、このサイフォン化容量条件式を満たし、かつ、管内を流出中も隙間無く充満(サイフォン化)しながら流出するように管腔内径が設計されたサイフォン回路であり、一度圧差Pが初期サイフォン化抵抗Rsと釣り合うPsを越えると、サイフォン化され、サイフォンの原理により途中でさらに第2高低差があっても流出元の弾性により陰圧になること無く流出し続け、完全流出可能な機能を備えることを特徴とする持続流出システム回路である。
但し、たとえ
Figure 2023083202000003
でも、回路を充満せず隙間が出来、滴下する回路、非サイフォン化回路では、ほんの少しの第2高低差でも塞栓を形成しエアロック状態となり持続流出しない。ゆえに臨床ループモデル条件下で、流出回路が最初のサイフォン化する際に流体の比重(密度)、粘稠度合(粘度)に応じて隙間が出来ないようにサイフォン化する流出チューブの径と長さをあらかじめ設計し、実際にサイフォン化し完全流出を確認するサイフォン化確認テストを規格制定する必要があり、その規格テストをクリアーした回路を持続流出システム回路として品質保証し、その限界とさらなる品質改善も管理する持続流出管理システムに保証された持続流出システム回路である。
即ち、流出品質管理システムにより実地臨床上および介護の現場での使用条件、環境下においてもその機能と品質を保証し、品質を管理された持続流出システム回路である。
構造と機能を規定したこの持続流出システム回路を駆動させるための必要条件は4つあり、その4つがそろって初めて持続流出システム回路として機能する。
以下にこの持続流出必要条件(NCSDS:necessary condtion for SDS)を記す。
条件その1:流出先の回路末端が開放されている。
すなわち貯留バックの末梢抵抗「数10(Rp=0)」
条件その2:流出チューブ内も隙間無く流体で充満可能な管径であり、従来の回路より細くする必要がある。
条件その3:サイフォン化最少容量Vminより流出誘導体の容量Vgおよび流出チューブの容量Vtの総和が少ない。すなわち、サイフォン化最少容量で回路が十分満たされる。
「数1(Vmin=Vo+Vhg+Vht≧Vg+Vt>Vloop=Vhg+Vht)」
すなわち、第一ループ高低差を乗り越える初期サイフォン化圧Ps、サイフォン化最少容量Vmin、弾性閉鎖空間の内圧Pとサイフォン化する瞬間の流出元の内容量Voとその時の流出誘導体を占める容量Vhgと流出チューブを占める容量Vhtからなる、ある身体・精神状態での膀胱状態による初期サイフォン化圧を生み出すための内容量をVminとする(サイフォン化の定義)。
条件その4:サイフォン化境界でサイフォン化抵抗Rs(第1高低差抵抗)と釣り合う初期サイフォン化圧Psより流出駆動圧Pが大きいとサイフォン化が起こり流出し始め、流出は継続する。
「数11(Ps ≧ Rs=Rh+Rg+f(Lht,rt)>Rg+Rt)」
この関係式の高低差抵抗Rhは使用環境(第1高低差)により生じる抵抗であり、回路そのものの要因によるものではない。回路そのものの工夫できる要素は、結局はその管の長さと内径の半径と摩擦係数の三つに限定される。流出誘導体として従来から使用されている膀胱留置カテーテルはほぼ完成した医療器具であり、内径も管の長さもあまり変更の余地はない。出来る事としては可能な限り管路抵抗を軽減する事しか無く、そのためにはその素材あるいは内腔面の摩擦係数を極力低くすることしか出来ない。一方、流出チューブとしての採尿チューブは使用条件、環境を考慮して、内径も、長さもそして、摩擦係数を小さくするために、素材もまだまだ工夫して初期サイフォン化抵抗を低減させる事が出来、膀胱および身体への負担を軽減出来る可能性をもっている。逆に言うとこのSDS回路においては、この流出チューブを如何に抵抗を少なくし、臨床上も軽くて使い易いように工夫するかに掛かっている。人工血管の特許、ノーハーも役立つ可能性がある。少なくとも血尿で詰まるような低品質のチューブを提供する必要はなくなる。理想的には摩擦抵抗がほとんど無く、細くても粘稠な濃縮尿、糖尿、蛋白尿、血尿などでも詰まらずに持続流出可能な人工血管のような回路が望まれる。
以上の4条件が持続流出システム構築のためには、必須条件であり、この条件を満たすとサイフォン化容量Vminが貯留することにより膀胱自体の収縮力と腹圧で、自動的に高低差を乗り越えて持続的に流出が続き、流出元から完全に流出し、流出元にも、途中の流出回路にも流体が残留する事無く、完全に流出し、排出される。即ち、最初に設計した蓄尿回路、開放型ドリップチェンバー「数10(Rp=0)」を使用すれば、流出誘導体は従来の物をそのまま使用可能である。そして、流出チューブの改良要素の管の長さ、管の半径そして管の摩擦係数のこの三要素が重要であり、この三要素によりVminも決定され、初期サイフォン化圧も規定されて来る。
生体で持続的に作り出され増えてくる流出元の流体が、その実地臨床上のループ回路に応じたサイフォン化最少容量により初期サイフォン化圧Psに達すると自動的に駆動する。流出開始し、流出し続け、流体が流出元と回路内に残留する事無く完全に流出することを自動的に繰り返す(持続流出必要条件)。
但し、たとえ
Figure 2023083202000004
でも、回路を充満せず隙間が出来、滴下する回路、非サイフォン化回路では、ほんの少しの第2高低差でも塞栓を形成しエアロック状態となり持続流出しない。ゆえに臨床ループモデル条件下で、流出回路が最初のサイフォン化する際に流体の比重(密度)、粘稠度合(粘度)に応じて隙間が出来ないようにサイフォン化する流出チューブの径と長さをあらかじめ設計し、さらには必要に応じては管の摩擦係数まで管理する必要もある。
実際にサイフォン化し完全流出を確認するサイフォン化確認規格テストを制定する必要があり、その規格テストをクリアーした回路を持続流出システム回路として品質保証され、その限界とさらなる品質改善にむけて管理する持続流出システム回路品質管理システムに保証された持続流出システム回路である。
本願発明の第2は、臨床ループモデル条件についてである。
実際の実地臨床上(医療の現場、介護の現場、日常生活の場など)で、使用される環境状況、条件に関しては、これまでは全く考慮されておらず、実際の使用には不十分な理解と認知が存在していたことである。現実に即して科学的に検証されないまま、認証され、使用されてきたことであり、今回本願発明の大前提である使用条件を実地臨床に応じてモデル化し、実地臨床ループモデルを規定し、その条件下で品質を管理し、臨床現場でも安心、安全に使えるように製品の規格を確認するための使用条件を決めたことである。
すなわち、実際の臨床上および介護現場での使用条件は、流出元よりもその回路は一度高くなる第1高低差(ループ)が存在し、かつ、その後も高低差が生じる条件の中で流出し続ける必要があり、本システム回路モデルでは流出元より高くなる部位を第1高低差(ループ)、さらにその後のいくつかの高低差を第2高低差(ループ)と定義し、この臨床上の使用環境条件を臨床ループモデル条件と定義する。
第1高低差は流出元よりも高くなる高低差であり、第2高低差は流出元と流出先の回路の途中で生じるいくつかの高低差であり、臨床現場では回路の途中の部分に高低差が出来たり、さらには流出先の出口より低くなる場合が常である。これらの高低差があっても一度サイフォン化圧を得て回路がサイフォン化すると最後まで流出は続き、完全流出することを特徴とする請求事項1記載の持続流出システム回路である。(臨床ループモデル条件:高低差の詳細)
さしあたり、第1高低差と第2高低差は20cmとし、50mlのサイフォン化最少容量でも、一度初期サイフォン化圧を加えたら流出開始し、流出し続け、完全流出するという基本的な規格を決めたことであり、必要に応じて製品規格も、臨床ループモデルの条件も変更可能である。
さらに、一般的には手術後乏尿期用Vmin=50ml、小児用Vmin=100ml、成人用Vmin200mlとして決め、対象により使い分けることも出来ることである。
さらには、膀胱、全身状態のリハビリ用として、Vmin=60,70,80,90mlなどの規格製品が実地臨床で膀胱機能のリハビリ用として使用出来る。
本願発明の第3は、初期サイフォン化圧についてである。
初期サイフォン化圧の発見である。持続流出するための駆動圧力Pは弾性閉鎖空間に流体が充満することにより生まれる圧力と腹圧による圧力Pcと流体の質量とその位置エネルギーとによる生じる圧力Ppとの総和である。
すなわち、流出元から流体が流れるための回路の先端、流出先が、閉鎖されていては流体が液体でも気体でも流出は不可能である。流出するためには流出先は大気に解放された構造が必要であり開放式ドリップチャンバーを備えた閉鎖式貯留バッグで末梢(末端)抵抗を0(ゼロ)にしたシステム回路である。
さらに、その流出先が解放された回路であっても、流出元より回路が高い部分があれば、流体が流れる際には、その高低差hと流体の比重(密度)σとからなる高低差抵抗Rhさらに流出誘導体の管路抵抗Rgと流出チューブの管路抵抗Rtとの総和の抵抗が想定される。しかし実際のサイフォン化の際には高低差hを乗り越えて流れ落ち始めるサイフォン化境界があり、流体がその境界よりも少しでも越えて流れ落ちはじめる初期サイフォン化圧により、流出誘導体と流出チューブを隙間無く満たしサイフォン化するとその流れは途絶える事なく流出し続け、完全に流出する。
そのサイフォン化境界までの回路は、臨床上流出誘導体と流出チューブの一部が占める。前者の容量をVhg、高低差抵抗をRhgとし、同様に流出チューブの該当要素はVhtとRhtと記す。すなわち、サイフォン化境界までの回路の全容積
Figure 2023083202000005
であり、サイフォン化高低差抵抗は「数03(Rh=Rhg+Rht)」となる。一方サイフォン化境界までの管路抵抗は
Figure 2023083202000006
となり、初期サイフォン化抵抗Rs=高低差抵抗+管路抵抗「数8(Rs=Rh+Rloop=Rhg+Rht+f(Lhg,rg)+f(Lht,rt)>Rg+Rt+Rp)」となる。そして一度初期サイフォン化抵抗Rsをクリアーし、その後の回路全体も流体で充満し、サイフォン化された回路は、流出し続け、途中に流体を残留せずに、完全に流出する。以上の様に、回路全体の管路抵抗「数6(Rall=Rg+Rt+Rp)」を極力小さくし初期サイフォン化抵抗をクリアーしたサイフォン化回路が請求事項1又は2記載の持続流出システム回路である。(サイフォン化抵抗)
Figure 2023083202000007
の意味を知り、このシステムの原理を理解していれば、利用者自身でも、介護者でも、看護師でも本人の状態により、調節あるいはマネジメント可能となることである。[駆動圧Pのマネジメント]
本願発明の第4は、使用環境に起因する高低差抵抗と回路の構造による抵抗についてである。
流出元から出て直ぐのループの高低差抵抗Rhは使用条件、環境による抵抗であり、回路そのものの抵抗ではない。回路の流出を拒む要因としての回路そのものの総管路抵抗Rallは、流出誘導体の管路抵抗Rgと、流出チューブの管路抵抗Rtと、末梢の貯留バッグその他から派生する末梢抵抗Rpからなり、その3つの抵抗の和である。
「数6(Rall=Rg+Rt+Rp)」を極力少なくする必要があり、従来の貯留バッグ回路(蓄尿回路)は完全密閉式で末梢抵抗だけでも相当の抵抗を生み出していた。その点、本持続流出システム回路は開放型ドリップチャンバーを備えており、大気に解放することにより「数10(Rp=0)を実現している。[クローズタイプからオープンタイプへ]
すなわち、従来の製品では、使用環境による高低差抵抗と末梢(末端)抵抗については全く考慮されていなかった。
本願発明の第5は、最少容量と初期サイフォン化圧についてである。
生体内の流出元は閉鎖空間であるが、弾力性を有する空間であり、特に膀胱は、筋肉壁に覆われた伸展収縮器官であり、その内容量の増加とともに内圧は高まる。通常はおおよそ200~250mlの尿量が膀胱内に貯留すると膀胱内圧が15~20cmH2Oとなり、はじめて初発尿意を覚える。
バルーン留置カテーテルを留置されている場合も、実際の臨床上の第1高低差も15cmから20cmはあり、腹圧その他を加えた流出元内圧がその第1高低差を含む末梢抵抗を越える内圧(初期サイフォン化圧)Psとなり、サイフォン化境界を越えて、流出を開始する流出元容量をサイフォン化最少容量Vminと規定する。
流出誘導体(バルーン留置カテーテル)と流出チューブそれぞれの内腔量をVg、Vtとすると
Figure 2023083202000008
であることを特徴とするシステム回路が請求項1記載の持続流出システムである。(サイフォン化最少容量)
なお、使用の場面を考慮し、とりあえずVminを次の3タイプを想定しておく。
手術後の乏尿期用 Vmin= 50ml
小児用 Vmin=100ml
成人用 Vmin=200ml
本願発明の第6は、初期サイフォン化圧と持続流出(サイフォン化)についてである。
最終的には、その使用環境条件と蓄尿回路によって決まるサイフォン化抵抗Rsにより、必要な最小限の圧初期サイフォン化圧Psが決まり、一度初期駆動圧
Figure 2023083202000009
となれば、その後はそれ以上加圧する必要は無く、サイフォンの原理が作用することである。
すなわち、このシステムの持続流出する原理はサイフォンの原理であり、流出元と流出先を結ぶ管が流体で充満される必要がある。従来の製品は、実際の医療及び介護現場での利用状況、たとえば手術後の使用される側の状況、状態とりわけ第1高低差抵抗Rhが全く考慮されておらず、サイフォン化するどころか、塞栓形成あるいはエアロックという状態を招いており、実際に医療に従事する看護師もその経験度合により、その事実を認識している場合もある。が、それが実際の患者となって使用されるユーザーにどれだけ苦痛を与えているかは認識されておらず、適切な対応もされていない。
このシステム回路は、サイフォン化最少容量が膀胱に貯留すれば、ある程度の体力があり、腹圧を掛けられれば、自然に持続的に流出するシステム回路であるが、ユーザー自身が多少の知識と工夫をする事により、より少ない容量で、内圧で、身体負担で、流出を開始し一度サイフォン化されたら流出元の流体が完全に流出され、残留しないことを特徴とするシステム回路が請求項4記載の持続流出システム回路である。(自動流出開始&完全流出システム)
そのためには、流出開始するためには管腔が流体で充満した状態が必要であり、従来の管長1.2m以上であれば、従来のバルーンカテーテルを使用し、最少量50mlとすると管腔の内径を6.6mm以下にし、管腔を従来より狭める必要があり、濃厚な流体の場合はその管の摩擦係数をさらに低いものにする必要がある。
一般的には管路抵抗を下げるためには、管の径は出来るだけ大きい方が良いが、サイフォン化を実現するためには径を小さくする必要がある。
それゆえ、他の管路抵抗を低下させる要因として、管長は出来るだけ短く、管内面の摩擦係数を小さくし、極力滑らかにすることは、有効であり、場合によっては工夫する必要がある。
例えば、心不全、腎不全、脱水などで尿が濃く、その密度、比重が大きく尿量が少ない場合、あるいは糖尿病、ネフローゼ症候群、血尿などで尿の密度、粘稠度が高くなる場合など、それだけ管路抵抗も大きくなり、結局サイフォン化抵抗Rsも大きくなり、必要な初期サイフォン化圧も高くなる。
そのため、手術後の乏尿期や、重症で身体機能が低下している方に使うことを考え、サイフォン化最少容量Vmin=50mlの規格を設定し、回路の管長は極力短く、かつ内腔の表面の摩擦抵抗を軽減させる工夫も必要となる(製品の質は管径、管長とその摩擦係数が最大の要素)。
本願発明の第7は、初期サイフォン化圧測定法と簡易完全流出確認テストについてである。
決めた規格に製品が適合しているかどうかを実際に確認し、認定するための初期サイフォン化圧測定方法と必要最少容量50mlでの簡易完全流出確認テスト法の2つの方法を定めたことである(規格規定と規格テストの考案)。
すなわち、普通、工業用品、特に医療機器に関してはなおさらその安全性を含めて、きちんとチェックし、その使用危険度合いによっては危険レベルも規定されている。が、従来の膀胱留置カテーテルのみは「医療クラス分類」で、クラスIIの管理医療機器に分類されているが、それに蓄尿バッグ回路の一体化した製品には、医療機器のクラス分類はなく、また、蓄尿バッグ回路全体の規格は何ら制定されていない。当然その規格を満たす製品かどうかをチェックする確認方法も、制度も、システムもない。
その規格と確認方法を規定し、その規格を満たすことを特徴とするシステム回路が請求項1から請求項4までの持続流出システム回路である。
その規格は、実際の使用状況を考慮して、使用条件として第1高低差および第二高低差ともに高低差が20cmの2つのループモデルで条件を設定して試験するものとする。
使用条件が一番厳しい手術後の乏尿期用のサイフォン化最少容量Vmin=50mlとして、以下説明する。その臨床ループモデル条件とそのサイフォン化圧を測定確認する方法と、最少必要量で駆動し完全流出可能なサイフォン化システム回路なのかを確認する2つのサイフォン化確認方法を規定する。さらに、流体の密度、粘度による違い、限度を確認するための人工膀胱についても、規定する。
第1高低差が20cmならサイフォン化圧も20cm水柱+アルファーであるはずである。その初期サイフォン化圧を実際に確認する初期サイフォン化圧測定確認方法を考案した。さらに。サイフォン化最少必要量50mlに限定し、サイフォン化圧まで圧をかけて一度サイフォン化すると、その後、加圧するのをやめても、サイフォンの原理により、流出元から流体が全て流出可能かどうかの簡易完全流出確認テスト法も考案した。以上の2つの確認テスト法でチェックし、その規格をクリアする機能を備えたものが請求項1から請求項4記載の持続流出システム回路である。(ループサイフォン化規格、確認テスト)
後者の最少容量サイフォン化を確認する簡易完全流出確認テスト法では、流出元のPETボトルがサイフォン化圧によりサイフォン化境界を乗り越えてサイフォン化した瞬間、圧迫加圧するのを止めても、その後も、流出し続け、流出元のPETボトル内から流体が完全に流出し、PETボトルが陰圧になり、変形して、第二高低差のループに流体が貯留して流出は止まる。実際の膀胱などの生体の弾性伸展収縮空間は陰圧になることはなく、第2高低差のループに貯留することなく、流出チューブからも全て完全に流出する。
この臨床ループモデル条件下でさらに、流出チューブの質(滑らかさ)、半径、長さ以外の因子として、流体の密度、粘稠度などの条件が変化した時も規定した規格をクリアーすることが出来るかどうかその限度も予め把握しておく必要がある。種々の密度、粘稠度の流体あるいは糖、蛋白、血液などが混入した流体を用いての規格テストをする際に必要となる人工膀胱は、Vmin=50mlで内圧が20+αcm水柱で、とりあえず25cm水柱の内圧になる人工膀胱、さらに、容量が100ml、150ml、200mlで内圧が初期サイフォン化圧以上となる人工膀胱なども必要となり、その用途により種々の規格の人工膀胱が作成可能である。種々の人工膀胱を用いて、種々の流体を用いてその規格製品をチェックするとその使用の際の使用条件も明記できる様になる。流体の密度、粘稠度の限度。そして糖、蛋白、その他血液混入の際に使用可能かどうかも、予め注意書きに記載出来る。以上の様な規格テストをクリアーした使用条件と規格と限度が明示された機能と限度と安全が保証される持続流出システム回路である。
本願発明の第8は、規格の可変性とリハビリ活用についてである。
その使用条件、環境によっては、例えば膀胱機能の低下した神経因性膀胱などに対して、リハビリ用の規格としてはVmin=50mlの乏尿期用から徐々に膀胱機能の活性化を図るためのVmin=60ml、70ml、80ml、90mlのような小刻みな規格を揃えたり、その人の全身状態、膀胱機能の状態によりその規格を徐々にアップしたり、その使い方によりサイフォンの原理を応用して規格を変えたり、使い方を工夫して初期サイフォン化圧を小さなものから次第に大きなものへと変えて行き、膀胱および体力のリハビリを可能とする。
すなわち、人工膀胱は、基準人工膀胱は高低差20cmと管路抵抗をクリアー出来るように余裕を持たせて、50mlを充満させたら内圧が25cm水柱の内圧になるように設計作製されたものとする。流体を50ml充満されると内圧が25cm水柱となる人工基準膀胱において、弾性力で収縮して貯留していた流体(尿)を流出させる本体部と流出誘導体を接続する接続部からなり、本体部分は閉曲面を有し、本体はシリコーンゴム、イソプレンゴムなどの弾性体で楕円形形状断面の閉曲面を有するように形成されており、必要に応じて点滴スタンドなどにつるすためのリングや取っ手が一体で形成されている。
現行の人工尿閉状態を生み出す回路では、尿閉の悪循環に陥り、尿路感染、膀胱留置カテーテルによる損傷、膀胱洗浄が頻回に必要になり、さらに尿閉、水腎症、腎不全の悪循環となる。
これまでは悪循環を形成し悪化するしか無かった病態に対して、良循環、リハビリを実現する可能性を拓いたことである。
本願発明の第9は、基準人工膀胱と基準人工尿、基準濃縮糖尿についてである。
最終的に流体の性状(密度、粘稠度など)を含めて最終確認するためには人工膀胱が必要であり、その人工膀胱の規格を制定し、膀胱内圧を測定するための技術的な問題が既に解決済みであることである。
すなわち、持続流出システム回路を流れる流体も、実際の臨床に合わせて、その濃度、比重および粘稠度も種々考えられ、一々あれこれと検査するのも大変なので、標準的濃縮尿かつ糖尿として基準濃縮糖尿をとりあえず決めておく。
その基準濃縮糖尿としては、通常使用される補液成分の2倍の塩化ナトリウムとブドウ糖を含むものと規定する。
即ち、基準濃縮糖尿としては、
塩化ナトリウム0.35g/dl、ブドウ糖 5.4g/dlと暫定的に決めておいて、最初は流体は水を用いて、初期サイフォン化圧を測定し、簡易完全流出確認テスト法を実施し、規格をクリアーしているか確認後、負荷テストとしてこの基準濃縮糖尿を基準人工膀胱(内容量50ml、内圧25cm水柱)に貯留させて、被験蓄尿回路の簡易完全流出確認テスト法を実施する。
人工膀胱の素材と形状に関しては、特許文献1(特開2019-76327)薬剤注入容器の第1形態が、人工膀胱の内圧測定としては、特許文献2(特開2021-72926)膀胱尿動態測定装置が既にあり、利用可能である。
その技術を応用することにより、内容量と内圧を必要に合わせて設定し、その規格の人工膀胱が作成出来、製品の持続流出システム回路を種々の流体を用いて、実際に使用し、その性能をテストし、確認出来る。
本願発明の第10は、負荷テストについてである。
品質確認対象のSDS回路をこれまで紹介して来た方法により、最終確認するためにも必要となるのは、規格化された人工膀胱とともに、実際の臨床上想定される乏尿時の濃縮尿、糖尿病、ネフローゼ症候群などの疾病の際の濃度の濃い粘稠な流体(尿)を想定し、臨床上想定される最悪状態の規格化流体を作製し、負荷テストの最終規格テストとして臨床ループモデル条件で、基準人工膀胱とこの基準人工流体で、製品のSDS回路がきちんと完全流出するかどうかの最終負荷テストにより品質を保証する、あるいは限度を明確化することである。
さらに前記負荷テストを含む持続流出システム回路品質管理システムについてである。
SDS回路の発明発見と言うことに止まらず、その品質を保証し、品質のさらなる改良、改善のための持続流出システム回路品質管理システムを構築したことである。
すなわち、持続流出シテム回路を設計出来る様にするための基本的原理と使用条件を明確に規定し、かつその規格の制定と規格確認テスト方法による品質保証と品質管理するシステムを構築した。即ち、規格の規定や手順を定め、それを運営する方法手順を定めた。実地臨床の条件、状況を加味した、科学的実験条件モデルを設定し、客観的評価、規格と限界をチェック出来るシステムを構築し、継続的な改善を図れる土台を築いた。勝手な思い込みでは無く、きちんとその目的を達成出ているかどうかを確認、チェックし、改善を図る基本システムを構築した。すなわち、計画立案しっぱなしの机上の空論では無く、きちんと実際の使用条件をモデル化し、実験検証保証する。チェックし、評価し、改善するPDCAサイクルを回すそれぞれの要素を確定し設定し、システム化した。
そのシステムの要素としては、サイフォンの原理、臨床ループモデル条件、初期サイフォン化圧測定法、簡易完全流出確認テスト法、さらに流体の性状による機能を担保するための基準人工膀胱と基準濃縮糖尿を規定し、その品質を検証し保証する品質管理システムを提示した。即ち請求項5から請求項9の持続流出システム回路品質管理システムの管理下にあるものが、本願発明の持続流出システム回路である。
(ループサイフォン化SDS品質保証と品質管理:持続流出システム回路品質管理システム)
すなわち、単なる新たな原理による新たな製品の開発のみならず、その規格を規定し、その品質を保証し、さらに規格と品質を管理していくシステムの構築であり、現行製品を承認され販売している医療機器製造販売元は少なくとも独自にこのシステムを導入し、安心・安全を担保する必要がある。
持続流出システム回路を設計、デザインし、作成するための原理原則の明確化とその製品の規格を制定し、チェックするための臨床ループモデルと基準人工膀胱と基準人工流体を用いて、その規格確認テストを実施し、確認し、その結果をその製品、使用条件、システム構成要素に反映し、改善するための一連の規格規定、品質保証、管理、改良、改善するために、まずは実際の使用されている状況の現状を確認し、なんの為の製品なのかの目的、そしてそのための原理原則自然の法則による行動目標を明確にし、実際に設計し、実際に検証し、検知行動し、評価し、改善をし、反映させる事を繰り返すというPDCAを含むシステム思考を視覚化し、品質管理をする。それが製品品質管理システムであり、この持続流出システム回路においても、明確にし、持続流出システム回路品質管理システムと命名した。
この持続流出システム回路および持続流出システム回路品質管理システムは、流出元の人工膀胱の規格も、流体である人工尿の性状も、最少容量Vmin、初期サイフォン化抵抗、管径、管の長さ、管の材質すなわち管の摩擦係数などの初期サイフォン化抵抗の種々の要素も、必要に応じて変えることが出来、その種々の条件、種々の規格でも、持続流出システム回路かどうかの適合確認が出来、新たな規格の品質を保証することを特徴とする。
サイフォンの原理を応用した特許、製品が、洗濯機などの電化製品から種々の測定装置から大がかりな物としては家屋の排水設備あるいはさらに大がかりな物としてはダムの発電に関する装置まで種々の物が存在するが、実際にサイフォン化初期圧など持続流出必要条件を把握し、規定しているか、さらに当初設定した規格の機能、性能を実際に発揮出来るかの規格確認テストを設定し、規格を検定し品質を保証するべき、すなわちあらゆる持続流出システム回路(サイフォン化)の品質管理すべき、領域全てにおいて、この持続流出システム回路品質管理システムは規模、業種、業態に関わらず「規格の規定」と「品質保証」と「規格と品質の管理」に活用できる。
サイフォン化の実際の使用局面で、その機能を確認する事を特徴とするサイフォン化確認およびサイフォン化品質管理システムであることを特徴とする。
従来の製品は、実際の医療及び介護現場での利用状況、たとえば手術後の使用される側の状況、状態が全く考慮されておらず、サイフォン化するどころか、塞栓形成あるいはエアロックという状態を招いており、実際に医療に従事する看護師もその経験度合により、その事実を認識している場合もある。が、それが実際の患者となって使用されるユーザーにどれだけ苦痛を与えているかは認識されておらず、適切な対応もされていない。そんな中で、上記した本願発明は、以下のような効果を有する。
(1)本願発明は、現実の使用条件をモデル化し、持続流出可能なシステム回路構築のための必要条件を明らかにし、従来製品の改善のための理論構築と、具体的条件とそれに適合するシステム回路の規格を決定し、その機能を実現するように構成要素を見直し、従来の製品を改善し、安心、安全を担保出来る。
(2)本願発明は、特別な装置は開放式ドリップチャンバー以外、従来の製品構造と本質的には変わりなく、特別な構造物は必要無く、また、特別な操作も必要無い。
しかし、きちんと自然の原理原則を理解して、活用して初めて適切に機能する。
さらに原理をしっかり理解していれば、日常生活動作を活用し、さらに抵抗を軽減出来、使用する本人の不快、不便さを軽減出来る。
最初にサイフォン化のための必要条件をクリアーするように流出チューブの内径と長さ、摩擦係数の3つの要素と、開放式ドリップチャンバーを備えた蓄尿バッグ等の回路をきちんと設計すれば、後は、膀胱の収縮、弛緩即ち膀胱本来の排泄機能(排尿反射)と腹圧で排尿が始まり、その回路は持続流出システムとして機能し、流出元もその途中の回路にも流体が貯留すること無く完全に流出する。
(3)結果として、膀胱の自然の機能は維持され、かつ、尿流出は膀胱にある量貯留し、内圧が上昇することにより自律的に起こり、持続的に流出し、流出チューブにも膀胱にも残尿はなく、尿閉も無く、尿の逆流も起こらず、順方向のみの流れなので、尿路感染のリスクを低減し、なおかつ、これまで不可能であった膀胱のリハビリも可能となる。
術後の急性期に留置される従来の回路ではできてしまう尿塞栓による患者側の尿閉状態による膀胱圧迫による不快感、苦痛の解消。
患者の苦痛に関わる看護側の負担の軽減。
回路による尿閉状態がなく、時間毎の適正な尿量測定により、術後の尿量の適正な迅速な測定が可能となり、誤った医学判断(尿閉、乏尿、心不全等)を無くし、無用の強心剤や利尿剤の使用の減少その薬剤投与による低カリウム血症などを招くことなく、医療の質の改善、適正化。
余分な尿の膀胱貯留が無く、常に順方向にしか流れず、途中で貯留することがないために尿路感染のリスクの低減。
・尿の逆流は起こりようが無く、常に流れは順行である。
・逆行性に侵入した細菌の培地になる膀胱内の残尿を防げる。
・回路を逆行して感染するが、常に順方向に回路を洗い流している。
一度尿閉あるいは排尿困難と診断され、ずっと従来の回路を継続して使われ、かえってさらに排尿困難が慢性化した状態におかれている要介護の高齢者などの従来の回路使用者の救済。人工的尿閉悪循環からの開放。そこから派生する種々の医原病、障害状態の予防。
(1)使用者本人の膀胱圧迫、苦痛からの解放。
(2)それによる認知症、高齢者などの回路使用者自らの膀胱留置カテーテルの自己抜去事故の解消。早期の抜去により膀胱カテーテルによる圧迫等による膀胱壁の血行不良、潰瘍、壊死の予防。
(3)普通、尿の膀胱への貯留、充満により、それにより膀胱壁の伸展受容器が刺激され、それによる排尿反射が起こり、膀胱壁は収縮し、内外尿道括約筋の弛緩により排尿する。従来の回路では常に膀胱が充満し、圧迫され、膀胱壁は伸展され続けているために、排尿反射の元となる刺激が阻害されて、自然の排尿機構が障害されていく。その排尿機構の機能訓練、リハビリとなり、膀胱機能の回復が図れる。
(4)本人の行動制限からの解放。
(5)ただでさえ経済的にひっ迫している回路使用者、家族の経済的負担の軽減。
(6)家族の排尿に関わる手間暇、介護負担の軽減。
脊髄損傷、脳出血、脳梗塞、その他の中枢神経の障害、あるいは末梢神経の障害による尿閉状態に対して、あるいは尿失禁する寝たきり等の対象者にも、本人に余計な負担をかけず、自然の原理で排尿可能で有り、持続的に長期的にも使用出来る。残された膀胱機能の維持と上記(3)による膀胱機能の回復に寄与する。
種々の疾患により臥床期間が長くなったり、寝たきりの対象者に適正な尿路回路を提供することにより、腎機能の維持や改善が期待される。
他の種々のこれまでに発明され、実際に使用されているサイフォンの原理を応用した製品、商品の規格の見直しと品質を保証し、管理をする事が出来る。
例えば水頭症に対する流量調整バルブシステムを差圧バルブ無しで、詰まる事が無い製品開発とその品質管理にも応用出来る。
製造販売元の経費削減と信用回復・増加と社会的責任と社会貢献。
・自己抜管による事故、膀胱損傷、膀胱機能障害、腎機能障害の予防。
・シンプルな構造による製造コストの削減。
・自然科学に基づく原理・機序による安心と信頼の製品供給、きちんと効果、効能をうたえる。
・看護・介護領域における簡便性、利便性の向上による看護、介護負担の軽減。
・医療における誤診と医療過誤の予防と質の高い医療の実現に寄与する。
・医療機器製造販売元、使用者(医療・看護、介護領域)、利用対象者(実際の使用者)の三者の益を創造し提供。
・各社の理念、理想、ビジョンの実現とガバナンスの発揮(社会的責任と社会貢献)。
・製品という物の販売から、医療、看護、介護、その他の領域での物を介した適正な科学的な原理とシステム思考の啓発、啓蒙とサービスの提供。
・その結果としての会社の責任と信用の確固たる確保。
日本国内のみならず、世界中で使用されている従来の回路使用者の救済と今後益々高齢化する未来の超高齢化社会となり、ますます脊髄損傷、尿失禁、および良性前立腺肥大症が問題となり、その対策(医療、看護、介護負担の軽減・解消、経済的負担の解消、より良い生活QOLの確保維持)。
従来製品の蓄尿バッグ回路の構成要素と概略を示す概念図である。 本発明に係る持続流出システムの構成要素と使用状況概略を示す概念図である。 本発明に係るサイフォン化までの3状態を示す概念図である。 本発明に係る持続流出システムの駆動の源泉を示す概念図である。 本発明に係る持続流出システム(SDS)回路と非SDS回路の違いを示す概念図である。 本発明に係る臨床ループモデル条件下での持続流出駆動条件を示す概念図である。 本発明に係る初期サイフォン化圧測定方法を示す概念図である。 本発明に係る簡易完全流出確認方法を示す概念図である。 本発明に係る自動的持続流出システム発現と時間的推移を示す概念図である。 本発明に係る持続流入システム回路の実地臨床での応用管理を示す概念図である。 本発明に係る人工膀胱と内圧測定装置を示す概念図である。 本発明に係る持続流出システム回路品質管理システムを示す概念図である。
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、膀胱留置カテーテルを用いた排尿に本願発明の「持続流出システム」のコンセプトを適用しているが、これは一例であり、その他の体内にある閉鎖空間の流出元から体外にある空間の流出先へ流体を持続的に流出させる技術として適用できることは勿論である。
[図1]は、膀胱留置カテーテルを用いた一般的な蓄尿回路装置の概要を図示したものであり、図示するように、狭義の膀胱留置カテーテルとしてのバルーンの付いた膀胱内カテーテル(バルーンカテーテル)から、導尿した尿を流出チューブを介して蓄尿バッグに溜めるというのが基本的構造である。
[図2]は、本願発明に係る持続流出システム回路の概要を実地臨床で使用される場面を想定した状態で図示したものであり、基本構造は流出元から流体で流出させた流体を流出チューブで流出先の貯蓄バッグに流出させる構造である。しかし、臨床現場でも介護現場でも、流出元が一番頂上とは限らないどころか、ほとんどは流出流導体あるいは流出チューブが流出元より高くなる第1高低差が存在し、さらにいくつかの第2高低差があるのが通常である。
この実地臨床上の使用環境を考慮した高低差の抵抗があっても順方向にのみ持続流出させるように自然の科学的原理を用いて実現するための使用条件と必要な要素と構造を示した。
[図3]は、この持続流出システムSDS回路が弾性閉鎖空間につながれ、駆動する条件とその3状態を示す。
NCSDSの
Figure 2023083202000010
に到るまでの3状態を示す。(図ではRgは省略)
[図3-1]は、
Figure 2023083202000011
の状態で、サイフォン化されず、流出元から流体が流出誘導体あるいは流出チューブの途中までしか到達せず、それ以上流出出来ない状態を示す。
[図3-2]は、
Figure 2023083202000012
で、圧差と抵抗が釣合い、第一ループのサイフォン化境界に達した状態であり、さらに少しでも圧差Pが高くなったり、抵抗Rが下がれば、流出する瞬間の平衡状態である。
この時に流出元(Vo)と流出誘導体(図では省略)あるいは流出チューブ(Vloop)を占める流体の合計の容量がVminであり、このループ状態のSDS回路を駆動するための必要最少量となる。いわばサイフォン化の最少必要量である。
Figure 2023083202000013
[図3-3]は、
Figure 2023083202000014
となり均衡が破られ、NCSDSが満たされ、サイフォン化し、持続流出している状態を示しており、そして、一度サイフォン化し、サイフォンの原理が作用すると第2高低差の流体を含めて流出元の流体が全て流出される。
すなわち、一度「数23(P-R>0)」となり、SDS回路がサイフォン化するとそれ以上の高い圧は必要なく、流出し続けることが、このSDSの特徴である。
しかしながら、RtとRpを極力小さくしないと実際には役立たない。すなわちVminを50ml以下でもサイフォン化しSDS回路として機能出来る様に回路をあらかじめ設計して、初めて実地の臨床の場で役立つ製品となる。
サイフォン化最少容量を最大でも50mlとし、出来るだけ少なくすることにより初めて、子供あるいは身体が弱っている人達、あるいは膀胱機能が低下している人達に対しても利用出来、役立つ製品となる。
流出誘導体の膀胱留置カテーテルは従来の製品を利用すると、
Figure 2023083202000015
となるように、Vtを小さくするために流出チューブの径を見直す必要がある。例えば現在市販されている手元のバルーンカテーテルと流出チューブ膀胱留置セットで、計算すると、
Figure 2023083202000016
となってしまう。
ゆえに、現行のバルーンカテーテルを使用した場合、Vminを50mlにするためには、逆算すると流出チューブの半径を3.3mm以下即ち流出チューブの内径を6.6mm以下にする必要がある。
図4は、このシステムの駆動の源泉である弾性閉鎖空間の内圧についての説明であり、
サイフォン化する瞬間の圧と抵抗が釣り合った状態からサイフォン化するためのさらなる圧の源泉を2つ示した。
1つは、体位変換による位置エネルギーを高める方法であり、それが[図4-2]である。
実際の臨床上では、寝て居るベッドの上で危なくないように、立ち膝や立ち上がって膀胱を高くするという動作に該当する。本願発明者も2度目の入院時には、従来の製品でも膀胱にパンパンに尿が充満し、排尿したくても排尿出来ない状態で、ベッド上に立ち上がり位置エネルギーを高めてやると従来の製品でもサイフォン化され、流出したことは確かめている。
2つ目は、[図4-3]で、外部からの圧迫(腹圧)による閉鎖空間の圧の上昇か、弾性閉鎖空間への流体の流入による内圧の上昇のいずれかによる内圧の上昇過程を示した。
以上の内圧を高めるか、さらに末梢抵抗を低くして、相対的に圧を高めるかの3つの状態が、この持続流出システムの駆動力、原動力である。
いずれにせよ実際上は、これらのひとつがあれば良いと言うことではない、それらを上手く活用して、サイフォン化最少容量Vminの尿量と膀胱の排泄筋その他の筋肉により内圧Pをマネジメントする必要はある。
[図5]は、SDS回路と非SDS回路との違い、すなわち、サイフォン化する回路とサイフォン化しない回路との違いを示す。
[図5-1]は、既に図3で説明した実地臨床上の使用状況、条件におけるSDS回路によるサイフォン化状態を示す。
[図5-2]以下の図は、回路の径が太いため、尿貯留し腹圧をかけ内圧上昇させて膀胱内から流出誘導体(バルーンカテーテル)を通してサイフォン化境界を越えて、流出し、流出チューブに流入しても、滴下、落下して管が充満されずサイフォン化しないで尿塞栓とエアロック状態になる途中経過である。
回路の径が太いため管が充満せず、流体が第1高低差を乗り越えてもサイフォン化されず、管内で滴下し、それが続くと[図5-3]のように流出チューブ内を流れ落ち、第2高低差の所に溜まり始め、ある程度溜まると[図5-4]の塞栓状態、エアーロック状態となり、それまでの圧では流れなくなり、さらに流し続けるためには強い圧が必要となる。
実際に使用される製品の状況(二つ以上の高低差)によるこの問題点が、従来の製品では製造側も、医療側も、使う側も全く考慮されていない。実施臨床、介護の分野でも何の疑問を持たれることも無く使用され続け、人工的尿閉を生み出し、疑似乏尿、疑似心不全を引き起こす元となっている。
それが慢性的に繰り返されると実際に膀胱機能、排尿機能が損なわれ傷害され、本当に尿閉状態を生み出す事となる。一時的にだけではなく、慢性の尿閉状態となりずっとその元となった製品の世話になり続け、改善する可能性はますます減少し、悪循環に陥り、一生従来の製品の世話になるしかなくなる。
しかし、まだ誰もこの悪循環状態に気づかず、指摘せず、全世界でその製品が流通し、全世界でそのような悪循環に陥る製品を生産し、人工尿閉、医原病を生み出し続けている。
[図6]は、本発明の持続流出システム回路たらしめる必要条件NCSDSを4つ図示した。
従来の閉鎖式蓄尿バッグ(貯留バッグ)では無く、開放式ドリップチャンバーを備えた閉鎖式蓄尿バッグとして末端の抵抗を無くす、即ち「数10(Rp=0)」「第1条件」である。
サイフォン化境界を越えた流体がそのまま管(チューブ)を充満しながら、流出し続け、管全体がサイフォン化するために、管の径はある程度細くなくてはサイフォン化しない、すなわち「第2条件」である。
流出チューブの径がどの位が適切かは、臨床ループモデル条件、流体の密度、粘度により変わる。
例えば、手術直後の乏尿の時期、あるいは脱水状態、糖尿病、ネフローゼ症候群など尿の比重、粘度が変わると細すぎると詰まりやすくもなるため、細すぎず、太すぎず、その使用する臨床状況、条件により変わる。
ある程度一つの条件設定で上記の様な状況、条件でも大丈夫な設定を探す必要はある。
そのためとりあえず、高低差と使用する流体とその容量は、高低差は20cm、流体は水とし、サイフォン化最少容量は50mlと規定した。
上記の様な病的状態で、実際の臨床に使用してみてさらに変更を加えて適切な設定をし直す必要は考慮しておく必要はある。
さらにサイフォン化とは管の内腔が完全に流体で充満されることで初めて実現するのであり、そのためにも流出チューブ内腔量がサイフォン化最少容量がより少ない必要がある。
「数24(Vmin>Vg+Vt)」である必要があり、むやみやたらに流出チューブの内径、内腔が大きいものはSDSとしてはふさわしくなく、内径は限定されて来る。
回路の管が細ければ細いほど抵抗は増し、管の長さが長ければ長いほど抵抗は増す。
しかしながら臨床上、ベッドの中央に仰向けで寝る状態を考慮するとベッドの横幅の半分の長さとベッドの高さからバッグの高さを引いた長さは少なくとも必要になる。
また、あまりぎりぎりでも余裕が無いと動くに動けなくなり、ある程度の余裕を持たせないと実用的では無くなり、ある程度の遊びは必要となるが、しかしながらそれが第2高低差を生む原因ともなり、ややもすると蓄尿バッグへの流入口よりも低くなることがある。
いずれにせよ、第1高低差および第2高低差があっても、塞栓を形成せずサイフォン化して持続流出するためには、流出チューブの半径rは管長に応じて必要最大が規定されてくる。
例えば、従来の製品の内径0.5cm長さ40cmのバルーンカテーテルで、流出チューブの長さを120cmとし、それでVmin=50mlとするとその内径はどれ位にしないと完全サイフォン化が実現出来ないかを逆算すると、
Figure 2023083202000017
で、その平方根は0.33cm=3.3mmであり、内径6.6mm以下の流出チューブとなり、実際に隙間無く管腔を満たしサイフォン化することが出来るかは実際に試して見るしかない。「第3条件」
最後に、サイフォン化するための圧の駆動原動力は膀胱内圧による。すなわち膀胱が尿で充満することによる圧縮圧力と腹圧との圧Pcと流出元の流体の質量による位置エネルギーによる圧力Ppの二つであることは既に述べた(図4)。
この圧「数16(P=Pc+Pp)」が第1高低差その他で生まれるサイフォン化抵抗Rsより大きくなるとサイフォン化が自動的に起こり持続流出が開始され、完全流出する。「第4条件」
なお、初期サイフォン化圧=高低差抵抗+サイフォン化境界までの管路抵抗
であり、
Figure 2023083202000018
また、
Figure 2023083202000019
である。
[図7]は、臨床ループモデル条件下で、すなわち第1,2高低差を20cmに設定しての流出開始の初期サイフォン化圧測定方法と持続流出完全排出システムの確認法の説明図である。
当然のことながら回路の末端が完全に閉塞していたらいくら水を入れても決して流れないし、また、流出チューブが細すぎたり、途中で、折れ曲がったり、詰まりかかっていたらやはり流出は困難となる。
すなわち、空気も流体であり、最初から管内を満たしているが、その密度σは液体の流体に比して非常に小さいため空気による管路抵抗は無視しても大丈夫だが、実際にもし万が一完全に閉塞しなくても一部分でも管が折れ曲がったりして、ほぼ閉鎖した場所があれば、無視出来なくなる。
管がどこかで極端に折れ曲がったり、潰れたりして閉塞気味の部分があれば、空気も抵抗を生み、液体としての流体の水でさえ流れられなくなるため、回路全体がきちんと同一の径を保ち、管の内面も一様の滑らかさである必要があり、被験流体が水であるなら、第1高低差の20cm水柱の圧とサイフォン化境界までの液体流体による管路抵抗による抵抗を加えた(20+α)cm水柱の圧がサイフォン化圧となるはずである。
その初期サイフォン化圧を越えるとサイフォン化され、その直後に源流槽からの流入を止めてそれ以上圧が大きくならずその流体が流れるに従い圧はその後減弱していくがそれでも完全サイフォン化しさらに流出し続け、流出元の流体が容器と回路からすべて流出し、完全流出することによりサイフォン化圧で完全流出することを確認する。
[図8]は、同様の臨床ループモデル条件下での規定容量での簡易完全流出確認テスト法であり、流体50mlでも完全サイフォン化できるかの確認テストである。流出元の弾性閉鎖空間モデルのPETボトルに50mlの流体(水)を入れて密封し、PETボトルを上記で測定したサイフォン化圧まで圧迫し、初期サイフォン化を確認したらPETボトルへの加圧を止めても、完全サイフォン化し、流出し続け、PETボトル内から流体がすべて流出し、PETボトルは陰圧になり、つぶれて変形し、流体は第2高低差のところで貯留し止まる。
[図9]は、この持続流出システム回路が実際に使われ機能した際の膀胱に貯留する尿量とその時の身体状態による腹圧により、初期サイフォン化圧に達して自動的に流出が開始する過程と経過を模式的に示し、尿が生産され初期サイフォン化圧に達するまでの間欠期と1度初期サイフォン化圧に達したら持続流出が開始し、完全に流出(排泄)される持続流出期を模式的に示した。
本願発明に係る持続流出システムでポイントとなるのは、「排尿機序の理解」と「持続流出するサイフォン化のための管等の設計基準」と「実際の使用状況基準」の必要性である。
尿は腎臓で1ml/Kg/hで生産され、排尿機序として、膀胱に200~400ml溜まると膀胱壁の排尿筋が圧迫伸展され、その伸展受容器により刺激となり、排尿反射が起こり排尿が開始する。その際、「膀胱排尿筋の収縮」+「内尿道括約筋の弛緩」+[外尿道括約筋の弛緩」が起こる。
その排尿刺激となり尿意を催す200mlが尿に溜まり、膀胱内圧が閾値を超え上昇する以前に、蓄尿回路がサイフォン化される必要があるが、しかし、出来るだけ少量の尿量で、流出するようにするためには、実地臨床での使用状況としては第1高低差H1による抵抗Rhは避けられず、その他の回路の抵抗要素であるRg,RtそしてRpの3抵抗要素のうちRgは、摩擦係数以外余り変更の余地はなく、他の抵抗RpとRtを極力低くする必要がある。
Rpは開放型ドリップチャンバーで開放型バッグとしてほぼ0となり、残りのRtを必要最小限に最小化して術後の生体条件でも、慢性の尿閉で車いす状態でも、サイフォン化出来る機能を有しておかないと、持続流出は開始出来ない。
さらには、手術後の全身状態の重要な指標となる経時的尿量(時間尿)を計測するためには、サイフォン化必要最少量Vminを50ml以下のもっと少ない量でも自動的に排尿開始する必要がある。
例えば、通常200mlで尿意をもようし排尿が始まるまで、膀胱内に尿を貯留するのでは、術後の時間尿の測定用途としては不十分で有り、やはり出来るだけ少ない尿量で、持続流出が開始するようにVminを設計デザインする必要がある。
サイフォン化するのにも出来るだけ少ない尿量で、蓄尿回路が満たされる必要があるが、サイフォン化の最大の要因は臨床上必要となる第1高低差H1の存在によるRhと管路抵抗Rtである。
その抵抗を乗り越えるための圧を生み出すのは膀胱、その他の腹圧に関する筋群と膀胱を充満する尿量とであり、そのサイフォン化最少必要量Vminは、出来るだけ少なくするためにも結局は流出チューブの抵抗Rtを極力小さくする以外無い。
Rhはベッドに寝ていようが、車椅子に座っていようが、臨床上必要な高低差であり省けない。
ただし、それも体の状態によっては軽減させることは、ベッドに寝ていても出来ることはあり、それは決してそれが常態というわけではないが、意識的に排尿を開始するきっかけにはなる。
サイフォン化最少容量Vminの調節因子としても結局は管路抵抗Rtを低くすることしか選択肢はなく、あらかじめ設計して初めて持続流出システムを管理する事が可能になる。
VminはSDS駆動内圧差を生み出す膀胱貯留量と第1高低差を乗り越えるための管腔充満量の和となる。
「数28(Vmin=Vo+Vloop=Vo+Vhg+Vht)」
Pcは、膀胱排尿筋も尿の貯留により内圧が高まり引き延ばされるからこそ生まれる収縮圧であり、ある程度の尿量が必要であり、またある量の尿が溜まらないとPpも生じない。
実際の初期サイフォン化圧に達する実際の膀胱内容量はSDS利用対象者のその時の全身状態および膀胱状態により異なり、その時々、個々で、異なる量であるが、結果として初期サイフォン化圧に達すると毎回自動的に排尿される持続流出期に1回毎に完全排尿される。
初期サイフォン化圧を規定する因子は抵抗であり、流出誘導体として従来のバルーンカテーテルの使用を前提とすると、開放型ドリップチャンバー経由で蓄尿する即ち「数3(Rp=0)」とすれば、臨床上必要なRhを除いて、Rtが唯一制御出来る因子であり、制御して初めてサイフォン化の準備も整い持続流出システムもその時々の全身状態において適量の尿量が膀胱に貯留して初期サイフォン化圧に達して自動的に反復排尿される。
Rsから回路そのものの要素では無い高低差抵抗Rhを除いたRtがある程度の尿量が貯留したら持続流出開始させるかの決定要素(因子)となる。持続的流出をさせ生体に負担を出来るだけ加えない(余計な腹圧を加える必要を排除する)ためには、必要最小限の抵抗でサイフォン化のための最少の尿量で、持続流出が自動的に開始する必要がある。
管路抵抗には流体の密度と流速も関与するが、流体密度σは生産される尿の濃さによるため制御は出来ず、また流速はその管と圧差により自ずと決まってくるので、やはり制御出来ないが、一方、内径と管の長さはあらかじめ決めることが出来、制御出来る。
以上の様に、Rtに関しては半径とその長さが大きな要因となるが、さらに摩擦抵抗λと流体の密度、粘稠度も勘案しないと行けなくなる場合もあり、それは脱水、心不全、腎不全などで濃い尿、あるいは糖尿病、ネフローゼ症候群など粘度の高い尿の場合も流出出来る性能、機能を担保しておく必要がある。
結局、管の半径rと管長Lとにより抵抗Rtも持続流出開始尿量Vminも規定され、SDSの起動も決定される。
即ち、持続流出させるための二大要素はサイフォン化と圧差の制御であり、結局は次の関係式に示されるように、いずれも回路の長さと内径(半径)が大きな要因となり、内径により規定されるといっても過言ではない。
上記〔数11〕参照。
それはあらかじめ設計でき、仮に流出チューブの内径が4mm(半径2mm)、長さを1.2mとすると、Vtは約15mlとなる。
流出チューブの尿塞栓およびエアロックの発生を抑えるためにも細い管でサイフォン化する必要があり、サイフォン化し、圧差があれば残尿も無く完全流出が可能となる。
以上より
「数12(PーRs>0)」
が自動流出システムの駆動力であり、このサイフォン化という概念をきちんと理解していないとその製造の際にも、また、実際の運用管理する看護の際にも適切な制御、管理は出来ず、ひいては適切な医療を実践する際にも、大きな阻害要因となる。
[図10]は、実際の臨床場面でのこのSDSを駆動させるための方法を紹介した。
(4)は、尿が膀胱に徐々に貯留し、内圧(P2)が、第1高低差を含む全抵抗(R)を越える場合。
(5)は、息んだり、手で圧迫するなどして自分で腹圧をかけた場合。
(6)仰向けから側臥位となり第1高低差を解消して、サイフォン化抵抗Rsを減少させた場合。
(7)臥位から立ち膝や立ったりして位置エネルギーを高めた場合。
そして、(8)はその結果完全に排尿された状態を示した。
[図11]は、規格に適合するかどうか確認する際の簡易完全流出確認テスト法および濃縮濃厚な流体の性状による負荷テストにも必要となる基準膀胱の構造と機能であり、その圧を測定するための膀胱尿動態測定装置を示した。PETボトルでの簡易式の替わりにこの人工膀胱を使用すれば、第2ループで貯留停滞すること無く完全に排出される。
図12は、持続流出システム回路を作製する際に必要な要素と、その規格を策定し、その品質を保証するために必要な要素であり、適正な医療機器を作製しその品質を管理するためのPDCAを当てはめた品質保証と品質管理システム全体像を示した。
この持続流出管理システムがあってこそ、持続流出システム回路が適正に造られ、適正に使用・運用され、臨床上の管理の利便性が増し、適正な医療がなされ、使用される人およびその家族の生活の質を向上させる。
そのためにも基準人工膀胱と基準濃縮糖尿と臨床ループモデル条件を検討する必要があり、その元となる的確な現状確認の下の目的、目標とPDCAサイクルのシステム思考は必須である。
本願発明の持続流出システムは、流出チューブは使用条件、環境を考慮して、内径も、長さもそして、摩擦係数低減のための素材もまだまだ工夫して初期サイフォン化抵抗を低減させる事が出来、膀胱および身体への負担を軽減出来る可能性をもっている。逆に言うとこのSDS回路においては、この流出チューブを如何に抵抗の少ない臨床上も軽くて使い易く工夫するかに掛かっている。そのためには人工血管の特許、ノーハーも活用すれば、少なくとも血尿で詰まるような低品質のチューブを提供する必要はなくなる。すなわち、摩擦抵抗がほとんど無く、細くても粘稠な濃縮尿、糖尿、蛋白尿、血尿などでも詰まらずに持続流出可能な人工血管のような理想的な回路が誕生する。
さらには、膀胱留置カテーテルを用いた排尿に利用できるだけでなく、その他の体内にある弾性閉鎖空間の流出元から体外にある空間の流出先へ流体を持続的に流出させる原理と技術として幅広く利用できる。
蓄尿回路のみならず、胸水、腹水からの術後の廃液用カテーテルおよび水頭症治療用の脳室から胸腔、腹腔へのシャントシステムを構築する際にはこのサイフォン化の原理とシステム回路が役立つ可能性を秘めている。予め使用目的に応じて長さと半径と摩擦抵抗によりある一定の抵抗を制定したシステム回路であれば、水頭症用のシャントシステムとして、ある程度の圧差が生じたら脳室から胸腔内あるいは腹腔内の一方方向への流量調節バブル(差圧バブル)などのメカニカル機構がなくても自動的に持続流出させるシステムも、可能となる。メカニカル部分があればあるほど、詰まりや故障の原因となる。臥位では流れず、座位、立位で脳室と胸腔、腹腔との圧差がある圧になったら自動的に持続流出するシステムを、回路のみで構築することも原理的には同じであり、可能である。
さらに、システム回路以上に、10の本願発明よりなる図12の品質管理システムは、医療機器に限らずあらゆる製品開発において、適正に機能する製品を提供するための、実際に使われる場面の使用条件を分析し、それに適合する製品開発と管理する手順、方法であり、あらゆる企業、あらゆる製品に役立つ。例え公的規格が無くても、企業自体がその名の元、その製品の品質保証とその品質管理をして、企業の存在価値と使命とを発揮出来る。
従来の製品は、この管理システムの最初のステップ現状確認の使用条件および変動因子を把握する時点で、既に逸脱し、現状を無視している。すなわち、実際の医療及び介護現場での利用状況、たとえば手術後の使用される側の状況、状態とりわけ第1高低差の影響が全く考慮されておらず、サイフォン化するどころか、塞栓形成あるいはエアロックという状態を招いており、実際に医療に従事する看護師もその経験度合により、その事実を認識している場合もある。が、それが実際の患者となって使用されるユーザーにどれだけ苦痛を与えているかは認識されておらず、適切な対応もされていない現状がある。
そこで、流出元と流出先の圧差をP、流体の流出に対する抵抗をRとし、実際の使用環境条件を考慮したループモデル条件の最初のループによって発生する第1高低差の高低差抵抗からなるサイフォン化抵抗Rsを乗り越えて持続流出を開始するサイフォン化のための初期の圧差としてのサイフォン化圧Psを生むための必要な流出元の弾性閉鎖空間を満たす極力少ない最少容量Vminと規定し、そのサイフォン化圧Psにより、第1高低差のピークを乗り越え、流出開始するサイフォン化境界の第1高低差の管腔を占める容量をVloopとすると、途中の回路である流出誘導体内腔量Vgと流出チューブの内腔量Vtとの関係は、
Figure 2023083202000020
であり、これを満たし、かつ、管腔内を流出中も隙間無く充満しながら流出するように管腔内径が設計されたサイフォン回路であり、ひとたび圧差Pが「数11(Ps ≧ Rs=Rh+Rg+f(Lht,rt) >Rg+Rt)を満たす、サイフォン化抵抗Rsと釣り合うPs値を越えると、サイフォン化され、第1高低差の以降のループによって発生する第2高低差があっても流出元の弾性により陰圧になること無く流出し続けて完全流出する。
そのための、実際の使用状況、環境をモデル化し、その条件の下で、サイフォン化するための回路の条件を明確にし、きちんと定め、さらに規格を決め、その品質を保証し、その品質管理システムを構築し、それにより負荷試験も実施し、その規格並び限度を明らかにした製品として保証されたものが持続流出システム回路であり、「規格の規定」、「品質保証」と「規格と品質の管理」という3つのプロセスを含み、それを循環させるのがその品質管理システムである。
P 流出元と流出先の圧差(流出駆動圧・駆動圧力・初期駆動圧)
Ps 初期サイフォン化圧
Pc 弾性閉鎖空間内に流体が充満することにより生まれる圧力と腹圧の圧力
Pp 流体質量と位置エネルギーとにより生じる圧力

R 管路抵抗および高低差抵抗、末梢抵抗など管路抵抗以外の抵抗も含む抵抗
Rall 回路全体の管路抵抗
Rs 初期サイフォン化抵抗
Rh サイフォン化境界までの高低差と流体の比重(密度)とにより生まれる高低差抵抗
Rhg 流出誘導体の高低差抵抗
Rht サイフォン化境界までの流出チューブの高低差抵抗
Rg 流出誘導体全長の管路抵抗
Rt 流出チューブ全長の管路抵抗
Rloop サイフォン化境界までの管路抵抗
Rp (流出先における抵抗である)末梢抵抗

V0 弾性閉鎖空間(膀胱)を満たす容量
Vmin 初期サイフォン化圧Psを生むための規定する最小容量
Vloop サイフォン化境界に至るまでの第1高低差の管腔容量
Vhg サイフォン化境界に至るまでの流出誘導体内腔量
Vht サイフォン化境界に至るまでの流出チューブ内腔量
Vg 流出誘導体の全内腔容量
Vt 流出チューブの全内腔容量

L 回路長
r 回路内径の半径
rg 流出誘導体内径の半径
rt 流出チューブ内径の半径
Lhg 流出誘導体長さ
Lht 流出チューブ長さ
Lg 流出誘導体全長
Lt 流出チューブ全長
h 流出元から回路が高い部分の高低差

V 流体速度
λ 管の摩擦抵抗
σ 流体比重(密度)
本願発明は、体内にある弾性閉鎖空間の流出元から一段高い部位を一度経て、体外にある空間の流出先へ二つ以上の高低差を乗り越えてサイフォン化して流体を流出させる技術とその原理を明確にし、その規格を制定し、確認し、品質を保証する管理システムにより管理されるものであり、他の医療機器、その他の製品においても実施されるべきプロセスであり、応用可能である。
実際に使用される臨床場面を想定した一度流出元より高い位置を経るように臨床ループモデルで使用条件を設定し、規定する規格をクリアーした持続流出システム回路であるかどうかを確認するための、規格を制定し、デザインから製作そして規格をクリアーしているかどうかのテスト方法、さらに種々の臨床的変動要因による製品の使用限界を確認、認定するための人工膀胱、人工流体の規格も決めて、最終的に製品の品質を確認し保証するシステムを包含して初めて品質が保証され、品質が管理出来る様になる。危険を含有している医療器既製品であればあるほど必然的に必要であり、科学的なシステム思考に基づく品質管理システムはどんな医療機器においても、真に臨床現場での使用条件を満たしているのか、その品質の各条件を満たしているのか、品質は保証されているのかを、真に検討し、検証する必要がある。
医療の現場では、体内にある閉鎖空間の流出元から一段高い高低差のある体外にある空間の流出先へ流体を流出させる必要性があるが、これまでは実際の使用条件の高低差の与える影響が全く考慮されていなかった。
例えば、膀胱に溜まった尿である。尿は膀胱留置バルーン(フォーリー)カテーテル[以下、「流出誘導体」という]を用いて体外へ流出(排出)され、さらに採尿チューブ(以下、「流出チューブ」という)により蓄尿バッグに繋げられている流出チューブ蓄尿バッグ回路(以後、蓄尿回路と略す)が「精密尿量計付閉鎖式採尿バッグタイプ 12Fr~18Fr」と表示され、広く用いられている。1Fr=1/3mmであり、外径を示す単位であり、流出誘導体、膀胱留置カテーテルの外径が4mmから6mmと外径(太さ)についての記載はあるが、本持続流出システム回路で問題となる内径についての記載は一切無い。また、持続流出出来ないましてや断続的にしか流出出来ない回路にも関わらず必要最少量の記載も無く、「精密尿量計付」と銘打ってある。さらには末梢抵抗を増す閉鎖式と記載されている。ましてや流出チューブの内径などに関しての記載は一切無い。
それは、実際の臨床および介護の現場での使用条件を、全く考慮されておらず、実際には流出元と流出先の途中には流出元よりも一度高くなる部位を経る高低差が生じ、流出元から流出先に一方的に流れる状況では無い。
流出元より一段高くなる高低差を乗り越えて流出しないと、現場では使い物にならないが、その事実及び危険性については、従来の製品の取扱説明書には一切記載はない。
また、医療、介護の現場でもその弊害と危険性についての認識がないまま、使用され続けている。
ゆえに、本来期待される機能が発揮されず、また、使用する患者や管理し看護する看護師、介護の現場等でも、適正に使用されているとは言えず、その時々の尿量を流出させ、適正に測定するという目的を達するものにはなっていない。
ぼうこう(膀胱)留置用カテーテルの日本工業規格、JIS T3214:2011(非特許文献1)には、流出誘導体としてのバルーンカテーテルついては、種々の規格と使用注意書きが記載されているが、採尿(導尿、インレット)チューブおよび蓄尿バッグに関しての項目はなく、それぞれの機能、構造に関する規格情報は一切無い。
日本工業規格JIS T3215:2011(非特許文献2)には、「体内留置排液用チューブ及びカテーテル」の適用範囲に、重力又は陰圧によって液体又は気体を体外へ排出するために設計された、体内留置排液用チューブ及びカテーテルについて規定する。ただし、次のものには適用しない。とあり、「尿路カテーテル」が記載されていて、尿路カテーテル類は除外されており、きちんと排出されているかのチェック規格はない。
医療機器関係JIS一覧(H18.6.8現在)で下記のものがある。
□T 3214 ぼうこう(膀胱)留置用カテーテル(非特許文献1)
□T 3215 体内留置排液用チューブ及びカテーテル(非特許文献2)
□T 3216 じんろう(腎瘻)又はぼうこうろう(膀胱瘻)カテーテル(非特許文献3)
□T 3247 尿管用カテーテルおよびイントロデューサキット並びに尿道拡張用バルーンカテーテル(非特許文献4)
いずれも、蓄尿回路に関しての規格、記載はない。
また、膀胱留置カテーテルという医療機器は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」により規制されていて、その製造販売元は、医療機器製造販売業許可をもらい、医療機器製造業登録をし、その取り扱う医療機器毎に、医療機器製造販売承認あるいは認証を取得して、各製造販売元から市場に出されている。
以下に日本国内で医療機器製造販売元として認可されている13社から製品化されている該当する製品の医療機器承認あるいは認証番号を示すが、そのいずれの取り扱い説明書、注意書きにも膀胱バルーン留置カテーテルについての注意書きは書いてあっても、蓄尿回路全般にわたっての規格および注意書きは一切ない。
16100BZZ01536000 223ACBZX00083000
226AIBZX00064000
229AGBZX00035000 JAN4562246172492 301AIBZX00011000 301AIBZX00010000
218AIBZX00059000
15800BZZ01130000
20900BZY01023000 20900BZY01024000 21200BZY00110000
20700BZZ01034000
20900BZY00070000
21100BZY00388000
221ADBZX00071000
20200BZZ00775
220AIBZX00057000
本願発明者の経験では、カテーテルが膀胱内に留置されてそれに接続される従来の流出チューブ蓄尿バッグ回路(以下、蓄尿回路)は、完全密閉型(クローズタイプ)で、そのままにしておくだけでは決して持続的に継続して尿が流れ出ることはない。手術後の重要な時期にも適正な尿量測定を実現出来ていない。
回路の途中に塞栓が生じ、膀胱からの流出を阻害し、膀胱に尿が貯留し、利用者に味わったことのない膀胱圧迫感を与え、苦しみを与える。
また、その回路の途中で尿塞栓となり、エアーロック状態となり人工尿閉状態となり、益々膀胱機能を損ない障害し、神経因性膀胱どころか、その慢性的長期間の使用により逆行性に尿管、腎臓にまで影響を与え水腎症に至る危険性も含んでいる。
尿を流出させるためには、尿塞栓に物理的条件として位置エネルギーを与え、さらにチューブに振動刺激を与え、尿流出促進操作をしないと流れない。
さらに、流れてもきちんと最後の蓄尿バッグまで流れ落ちるかどうか確認しないとまた途中で尿塞栓を形成してしまう場合がある。
そのため尿流出操作を何度か繰り返し膀胱の不快な圧迫感を開放して寝ては、膀胱圧迫感で起き、圧迫解放操作をしては寝るというICUでの生活となった。
医療機器関係日本工業規格(JIS) T3214 医療機器関係日本工業規格(JIS) T3215 医療機器関係日本工業規格(JIS) T3216 医療機器関係日本工業規格(JIS) T3247
このような現状に対して、本願発明者は、開放式ドリップチャンバー以外特別な補助装置は不要であり、一切の機械的な又は電気的な駆動、制御機構は不要であり、万有引力の法則の下、尿の質量とその位置エネルギーと膀胱本来の充満、収縮による圧力と腹圧により、途中の回路が流出元よりある程度高くても、貯留した尿を持続的に排尿できて、実地臨床の現場においても、自然の膀胱の排尿機能の維持となり、ある程度の量の尿が膀胱に貯留すると自動的にサイフォン化し、途中で多少の高低差があっても持続的に流出し続け、完全に排出される。すなわち、尿閉も、残尿も無く、膀胱への余計な負担もなく、流出元から流出先へ高低差があっても、順方向に持続的に完全流出する。結果として、感染のリスクを低減し、膀胱機能の廃用と腎機能障害を予防し、膀胱機能、身体機能の回復を図る、持続流出システム回路と持続流出品質管理システムを構築する。
すなわち、現場の実際の使用条件下でも逆流無く順方向に持続的に継続して流出し、膀胱にも途中の回路にも停留、貯留すること無く完全に流出する品質の保証されたシステム回路作成するために、その規格と品質を確認する方法と、さらに種々の流体性状および膀胱の機能状態において、駆動可能か確認し管理するシステムを構築する。
臨床ループモデルによるサイフォン化持続流出システム回路とその規格確認テストについて述べる。
本願発明の第1:
持続流出システム回路の構造と必要条件について[0024]
本願発明の第2:
臨床ループモデル条件について[0035]
本願発明の第3:
初期サイフォン化圧について[0040]
本願発明の第4:
使用環境に起因する高低差抵抗と回路の構造による抵抗について[0043]
本願発明の第5:
最少容量と初期サイフォン化圧について[0044]
本願発明の第6:
初期サイフォン化圧と持続流出(サイフォン化)について[0045]
本願発明の第7:
初期サイフォン化圧測定法と簡易完全流出確認テストについて[0052]
本願発明の第8:
規格の可変性とリハビリ活用について[0058]
本願発明の第9:
基準人工膀胱と基準人工尿、基準濃縮糖尿について[0062]
本願発明の第10:
負荷テストについて[0066]
上記の課題を解決するために、本願発明の第1は、持続流出システム回路の構造と必要条件についてである。
請求項1記載の発明は、体内にある弾性閉鎖空間の流出元から体外にある空間の流出先へ流体を流出元よりも一段高くなる第1高低差、その後のいくつかの高低差の第二高低差があってもサイフォンの原理を応用して、持続的に流出させる持続流出システム(SDS:Sustained Drain System)であって、流出元から流体を流出させるために設けられる流出誘導体と、流出誘導体から流出先までに流体を移動させるための流出チューブと、開放式ドリップチャンバーと閉鎖式貯留バッグとからなる構造を備え、実際の使用条件をモデル化した第1,2高低差のある臨床ループモデル条件下でも、サイフォン化し持続流出し完全流出する機能を発揮するためのシステム回路の設計及び駆動条件を明らかにし、従来製品を改良する方法を提示し、かつ、持続流出管理システムを用いて、その設定した規格に適合しているかどうかを確認し、その品質を保証し、使用限度、注意点を明らかにした安心、安全、有益な持続流出システム回路を創ることである。
すなわち、体内にある伸展収縮可能な弾性閉鎖空間の流出元から流体を持続的に流出させる持続流出システム回路であって、流出元から流体を流出させるために設けられる流出誘導体と、流出誘導体から流出先までに流体を移動させるための流出チューブと、開放式ドリップチャンバーを備える閉鎖式貯留バッグとを備え、臨床の実際の使用環境条件を考慮した臨床ループモデル条件の第1高低差(ループ)H1の高低差抵抗Rhを乗り越えて持続流出を開始するサイフォン化のための初期の圧差、サイフォン化圧Psを生むための必要な流出元弾性閉鎖空間を満たす最少容量Vminとし、そしてその圧Psにより、最初の高低差1(ループ1)のピークを乗り越え、流出開始するサイフォン化境界の高低差の管腔を占める容量をVloopとすると、途中の回路、流出誘導体内腔量Vhgと流出チューブの内腔量Vhtとの関係は次に示される。
Figure 2023083202000055
請求項1記載の発明は、このサイフォン化容量条件式を満たし、かつ、管内を流出中も隙間無く充満(サイフォン化)しながら流出するように管腔内径が設計されたサイフォン回路であり、一度圧差Pが初期サイフォン化抵抗Rsと釣り合うPsを越えると、サイフォン化され、サイフォンの原理により途中でさらに第2高低差があっても流出元の弾性により陰圧になること無く流出し続け、完全流出可能な機能を備えることを特徴とする持続流出システム回路である。
但し、たとえ
Figure 2023083202000056
でも、回路を充満せず隙間が出来、滴下する回路、非サイフォン化回路では、ほんの少しの第2高低差でも塞栓を形成しエアロック状態となり持続流出しない。ゆえに臨床ループモデル条件下で、流出回路が最初のサイフォン化する際に流体の比重(密度)、粘稠度合(粘度)に応じて隙間が出来ないようにサイフォン化する流出チューブの径と長さをあらかじめ設計し、実際にサイフォン化し完全流出を確認するサイフォン化確認テストを規格制定する必要があり、その規格テストをクリアーした回路を持続流出システム回路として品質保証し、その限界とさらなる品質改善も管理する持続流出管理システムに保証された持続流出システム回路である。
即ち、流出品質管理システムにより実地臨床上および介護の現場での使用条件、環境下においてもその機能と品質を保証し、品質を管理された持続流出システム回路である。
構造と機能を規定したこの持続流出システム回路を駆動させるための必要条件は4つあり、その4つがそろって初めて持続流出システム回路として機能する。
以下にこの持続流出必要条件(NCSDS:necessary condtion for SDS)を記す。
条件その1:流出先の回路末端が開放されている。
すなわち貯留バックの末梢抵抗「数10(Rp=0)」
条件その2:流出チューブ内も隙間無く流体で充満可能な管径であり、従来の回路より細くする必要がある。
条件その3:サイフォン化最少容量Vminより流出誘導体の容量Vgおよび流出チューブの容量Vtの総和が少ない。すなわち、サイフォン化最少容量で回路が十分満たされる。
「数1(Vmin=Vo+Vhg+Vht≧Vg+Vt>Vloop=Vhg+Vht)」
すなわち、第一ループ高低差を乗り越える初期サイフォン化圧Ps、サイフォン化最少容量Vmin、弾性閉鎖空間の内圧Pとサイフォン化する瞬間の流出元の内容量Voとその時の流出誘導体を占める容量Vhgと流出チューブを占める容量Vhtからなる、ある身体・精神状態での膀胱状態による初期サイフォン化圧を生み出すための内容量をVminとする(サイフォン化の定義)。
条件その4:サイフォン化境界でサイフォン化抵抗Rs(第1高低差抵抗)と釣り合う初期サイフォン化圧Psより流出駆動圧Pが大きいとサイフォン化が起こり流出し始め、流出は継続する。
「数11(Ps ≧ Rs=Rh+Rg+f(Lht,rt)>Rg+Rt)」
この関係式の高低差抵抗Rhは使用環境(第1高低差)により生じる抵抗であり、回路そのものの要因によるものではない。回路そのものの工夫できる要素は、結局はその管の長さと内径の半径と摩擦係数の三つに限定される。流出誘導体として従来から使用されている膀胱留置カテーテルはほぼ完成した医療器具であり、内径も管の長さもあまり変更の余地はない。出来る事としては可能な限り管路抵抗を軽減する事しか無く、そのためにはその素材あるいは内腔面の摩擦係数を極力低くすることしか出来ない。一方、流出チューブとしての採尿チューブは使用条件、環境を考慮して、内径も、長さもそして、摩擦係数を小さくするために、素材もまだまだ工夫して初期サイフォン化抵抗を低減させる事が出来、膀胱および身体への負担を軽減出来る可能性をもっている。逆に言うとこのSDS回路においては、この流出チューブを如何に抵抗を少なくし、臨床上も軽くて使い易いように工夫するかに掛かっている。人工血管の特許、ノーハーも役立つ可能性がある。少なくとも血尿で詰まるような低品質のチューブを提供する必要はなくなる。理想的には摩擦抵抗がほとんど無く、細くても粘稠な濃縮尿、糖尿、蛋白尿、血尿などでも詰まらずに持続流出可能な人工血管のような回路が望まれる。
以上の4条件が持続流出システム構築のためには、必須条件であり、この条件を満たすとサイフォン化容量Vminが貯留することにより膀胱自体の収縮力と腹圧で、自動的に高低差を乗り越えて持続的に流出が続き、流出元から完全に流出し、流出元にも、途中の流出回路にも流体が残留する事無く、完全に流出し、排出される。即ち、最初に設計した蓄尿回路、開放式ドリップチャンバー「数10(Rp=0)」を使用すれば、流出誘導体は従来の物をそのまま使用可能である。そして、流出チューブの改良要素の管の長さ、管の半径そして管の摩擦係数のこの三要素が重要であり、この三要素によりVminも決定され、初期サイフォン化圧も規定されて来る。
生体で持続的に作り出され増えてくる流出元の流体が、その実地臨床上のループ回路に応じたサイフォン化最少容量により初期サイフォン化圧Psに達すると自動的に駆動する。流出開始し、流出し続け、流体が流出元と回路内に残留する事無く完全に流出することを自動的に繰り返す(持続流出必要条件)。
但し、たとえ
Figure 2023083202000057
でも、回路を充満せず隙間が出来、滴下する回路、非サイフォン化回路では、ほんの少しの第2高低差でも塞栓を形成しエアロック状態となり持続流出しない。ゆえに臨床ループモデル条件下で、流出回路が最初のサイフォン化する際に流体の比重(密度)、粘稠度合(粘度)に応じて隙間が出来ないようにサイフォン化する流出チューブの径と長さをあらかじめ設計し、さらには必要に応じては管の摩擦係数まで管理する必要もある。
実際にサイフォン化し完全流出を確認するサイフォン化確認規格テストを制定する必要があり、その規格テストをクリアーした回路を持続流出システム回路として品質保証され、その限界とさらなる品質改善にむけて管理する持続流出システム回路品質管理システムに保証された持続流出システム回路である。
本願発明の第2は、臨床ループモデル条件についてである。
実際の実地臨床上(医療の現場、介護の現場、日常生活の場など)で、使用される環境状況、条件に関しては、これまでは全く考慮されておらず、実際の使用には不十分な理解と認知が存在していたことである。現実に即して科学的に検証されないまま、認証され、使用されてきたことであり、今回本願発明の大前提である使用条件を実地臨床に応じてモデル化し、実地臨床ループモデルを規定し、その条件下で品質を管理し、臨床現場でも安心、安全に使えるように製品の規格を確認するための使用条件を決めたことである。
すなわち、実際の臨床上および介護現場での使用条件は、流出元よりもその回路は一度高くなる第1高低差(ループ)が存在し、かつ、その後も高低差が生じる条件の中で流出し続ける必要があり、本システム回路モデルでは流出元より高くなる部位を第1高低差(ループ)、さらにその後のいくつかの高低差を第2高低差(ループ)と定義し、この臨床上の使用環境条件を臨床ループモデル条件と定義する。
第1高低差は流出元よりも高くなる高低差であり、第2高低差は流出元と流出先の回路の途中で生じるいくつかの高低差であり、臨床現場では回路の途中の部分に高低差が出来たり、さらには流出先の出口より低くなる場合が常である。これらの高低差があっても一度サイフォン化圧を得て回路がサイフォン化すると最後まで流出は続き、完全流出することを特徴とする請求事項1記載の持続流出システム回路である。(臨床ループモデル条件:高低差の詳細)
さしあたり、第1高低差と第2高低差は20cmとし、50mlのサイフォン化最少容量でも、一度初期サイフォン化圧を加えたら流出開始し、流出し続け、完全流出するという基本的な規格を決めたことであり、必要に応じて製品規格も、臨床ループモデルの条件も変更可能である。
さらに、一般的には手術後乏尿期用Vmin=50ml、小児用Vmin=100ml、成人用Vmin200mlとして決め、対象により使い分けることも出来ることである。
さらには、膀胱、全身状態のリハビリ用として、Vmin=60,70,80,90mlなどの規格製品が実地臨床で膀胱機能のリハビリ用として使用出来る。
本願発明の第3は、初期サイフォン化圧についてである。
初期サイフォン化圧の発見である。持続流出するための駆動圧力Pは弾性閉鎖空間に流体が充満することにより生まれる圧力と腹圧による圧力Pcと流体の質量とその位置エネルギーとによる生じる圧力Ppとの総和である。
すなわち、流出元から流体が流れるための回路の先端、流出先が、閉鎖されていては流体が液体でも気体でも流出は不可能である。流出するためには流出先は大気に解放された構造が必要であり開放式ドリップチャンバーを備えた閉鎖式貯留バッグで末梢(末端)抵抗を0(ゼロ)にしたシステム回路である。
さらに、その流出先が解放された回路であっても、流出元より回路が高い部分があれば、流体が流れる際には、その高低差hと流体の比重(密度)σとからなる高低差抵抗Rhさらに流出誘導体の管路抵抗Rgと流出チューブの管路抵抗Rtとの総和の抵抗が想定される。しかし実際のサイフォン化の際には高低差hを乗り越えて流れ落ち始めるサイフォン化境界があり、流体がその境界よりも少しでも越えて流れ落ちはじめる初期サイフォン化圧により、流出誘導体と流出チューブを隙間無く満たしサイフォン化するとその流れは途絶える事なく流出し続け、完全に流出する。
そのサイフォン化境界までの回路は、臨床上流出誘導体と流出チューブの一部が占める。前者の容量をVhg、高低差抵抗をRhgとし、同様に流出チューブの該当要素はVhtとRhtと記す。すなわち、サイフォン化境界までの回路の全容積
Figure 2023083202000058
であり、サイフォン化高低差抵抗は「数03(Rh=Rhg+Rht)」となる。一方サイフォン化境界までの管路抵抗は
Figure 2023083202000059
となり、初期サイフォン化抵抗Rs=高低差抵抗+管路抵抗「数8(Rs=Rh+Rloop=Rhg+Rht+f(Lhg,rg)+f(Lht,rt)>Rg+Rt+Rp)」となる。そして一度初期サイフォン化抵抗Rsをクリアーし、その後の回路全体も流体で充満し、サイフォン化された回路は、流出し続け、途中に流体を残留せずに、完全に流出する。以上の様に、回路全体の管路抵抗「数6(Rall=Rg+Rt+Rp)」を極力小さくし初期サイフォン化抵抗をクリアーしたサイフォン化回路が請求事項1又は2記載の持続流出システム回路である。(サイフォン化抵抗)
Figure 2023083202000060
の意味を知り、このシステムの原理を理解していれば、利用者自身でも、介護者でも、看護師でも本人の状態により、調節あるいはマネジメント可能となることである。[駆動圧Pのマネジメント]
本願発明の第4は、使用環境に起因する高低差抵抗と回路の構造による抵抗についてである。
流出元から出て直ぐのループの高低差抵抗Rhは使用条件、環境による抵抗であり、回路そのものの抵抗ではない。回路の流出を拒む要因としての回路そのものの総管路抵抗Rallは、流出誘導体の管路抵抗Rgと、流出チューブの管路抵抗Rtと、末梢の貯留バッグその他から派生する末梢抵抗Rpからなり、その3つの抵抗の和である。
「数6(Rall=Rg+Rt+Rp)」を極力少なくする必要があり、従来の貯留バッグ回路(蓄尿回路)は完全密閉式で末梢抵抗だけでも相当の抵抗を生み出していた。その点、本持続流出システム回路は開放式ドリップチャンバーを備えており、大気に解放することにより「数10(Rp=0)を実現している。[クローズタイプからオープンタイプへ]
すなわち、従来の製品では、使用環境による高低差抵抗と末梢(末端)抵抗については全く考慮されていなかった。
本願発明の第5は、最少容量と初期サイフォン化圧についてである。
生体内の流出元は閉鎖空間であるが、弾力性を有する空間であり、特に膀胱は、筋肉壁に覆われた伸展収縮器官であり、その内容量の増加とともに内圧は高まる。通常はおおよそ200~250mlの尿量が膀胱内に貯留すると膀胱内圧が15~20cmH2Oとなり、はじめて初発尿意を覚える。
バルーン留置カテーテルを留置されている場合も、実際の臨床上の第1高低差も15cmから20cmはあり、腹圧その他を加えた流出元内圧がその第1高低差を含む末梢抵抗を越える内圧(初期サイフォン化圧)Psとなり、サイフォン化境界を越えて、流出を開始する流出元容量をサイフォン化最少容量Vminと規定する。
流出誘導体(バルーン留置カテーテル)と流出チューブそれぞれの内腔量をVg、Vtとすると
Figure 2023083202000061
であることを特徴とするシステム回路が請求項1記載の持続流出システムである。(サイフォン化最少容量)
なお、使用の場面を考慮し、とりあえずVminを次の3タイプを想定しておく。
手術後の乏尿期用 Vmin= 50ml
小児用 Vmin=100ml
成人用 Vmin=200ml
本願発明の第6は、初期サイフォン化圧と持続流出(サイフォン化)についてである。
最終的には、その使用環境条件と蓄尿回路によって決まるサイフォン化抵抗Rsにより、必要な最小限の圧初期サイフォン化圧Psが決まり、一度初期駆動圧
Figure 2023083202000062
となれば、その後はそれ以上加圧する必要は無く、サイフォンの原理が作用することである。
すなわち、このシステムの持続流出する原理はサイフォンの原理であり、流出元と流出先を結ぶ管が流体で充満される必要がある。従来の製品は、実際の医療及び介護現場での利用状況、たとえば手術後の使用される側の状況、状態とりわけ第1高低差抵抗Rhが全く考慮されておらず、サイフォン化するどころか、塞栓形成あるいはエアロックという状態を招いており、実際に医療に従事する看護師もその経験度合により、その事実を認識している場合もある。が、それが実際の患者となって使用されるユーザーにどれだけ苦痛を与えているかは認識されておらず、適切な対応もされていない。
このシステム回路は、サイフォン化最少容量が膀胱に貯留すれば、ある程度の体力があり、腹圧を掛けられれば、自然に持続的に流出するシステム回路であるが、ユーザー自身が多少の知識と工夫をする事により、より少ない容量で、内圧で、身体負担で、流出を開始し一度サイフォン化されたら流出元の流体が完全に流出され、残留しないことを特徴とするシステム回路が請求項4記載の持続流出システム回路である。(自動流出開始&完全流出システム)
そのためには、流出開始するためには管腔が流体で充満した状態が必要であり、従来の管長1.2m以上であれば、従来のバルーンカテーテルを使用し、最少量50mlとすると管腔の内径を6.6mm以下にし、管腔を従来より狭める必要があり、濃厚な流体の場合はその管の摩擦係数をさらに低いものにする必要がある。
一般的には管路抵抗を下げるためには、管の径は出来るだけ大きい方が良いが、サイフォン化を実現するためには径を小さくする必要がある。
それゆえ、他の管路抵抗を低下させる要因として、管長は出来るだけ短く、管内面の摩擦係数を小さくし、極力滑らかにすることは、有効であり、場合によっては工夫する必要がある。
例えば、心不全、腎不全、脱水などで尿が濃く、その密度、比重が大きく尿量が少ない場合、あるいは糖尿病、ネフローゼ症候群、血尿などで尿の密度、粘稠度が高くなる場合など、それだけ管路抵抗も大きくなり、結局サイフォン化抵抗Rsも大きくなり、必要な初期サイフォン化圧も高くなる。
そのため、手術後の乏尿期や、重症で身体機能が低下している方に使うことを考え、サイフォン化最少容量Vmin=50mlの規格を設定し、回路の管長は極力短く、かつ内腔の表面の摩擦抵抗を軽減させる工夫も必要となる(製品の質は管径、管長とその摩擦係数が最大の要素)。
本願発明の第7は、初期サイフォン化圧測定法と簡易完全流出確認テストについてである。
決めた規格に製品が適合しているかどうかを実際に確認し、認定するための初期サイフォン化圧測定方法と必要最少容量50mlでの簡易完全流出確認テスト法の2つの方法を定めたことである(規格規定と規格テストの考案)。
すなわち、普通、工業用品、特に医療機器に関してはなおさらその安全性を含めて、きちんとチェックし、その使用危険度合いによっては危険レベルも規定されている。が、従来の膀胱留置カテーテルのみは「医療クラス分類」で、クラスIIの管理医療機器に分類されているが、それに蓄尿バッグ回路の一体化した製品には、医療機器のクラス分類はなく、また、蓄尿バッグ回路全体の規格は何ら制定されていない。当然その規格を満たす製品かどうかをチェックする確認方法も、制度も、システムもない。
その規格と確認方法を規定し、その規格を満たすことを特徴とするシステム回路が請求項1から請求項4までの持続流出システム回路である。
その規格は、実際の使用状況を考慮して、使用条件として第1高低差および第二高低差ともに高低差が20cmの2つのループモデルで条件を設定して試験するものとする。
使用条件が一番厳しい手術後の乏尿期用のサイフォン化最少容量Vmin=50mlとして、以下説明する。その臨床ループモデル条件とそのサイフォン化圧を測定確認する方法と、最少必要量で駆動し完全流出可能なサイフォン化システム回路なのかを確認する2つのサイフォン化確認方法を規定する。さらに、流体の密度、粘度による違い、限度を確認するための人工膀胱についても、規定する。
第1高低差が20cmならサイフォン化圧も20cm水柱+アルファーであるはずである。その初期サイフォン化圧を実際に確認する初期サイフォン化圧測定確認方法を考案した。さらに。サイフォン化最少必要量50mlに限定し、サイフォン化圧まで圧をかけて一度サイフォン化すると、その後、加圧するのをやめても、サイフォンの原理により、流出元から流体が全て流出可能かどうかの簡易完全流出確認テスト法も考案した。以上の2つの確認テスト法でチェックし、その規格をクリアする機能を備えたものが請求項1から請求項4記載の持続流出システム回路である。(ループサイフォン化規格、確認テスト)
後者の最少容量サイフォン化を確認する簡易完全流出確認テスト法では、流出元のPETボトルがサイフォン化圧によりサイフォン化境界を乗り越えてサイフォン化した瞬間、圧迫加圧するのを止めても、その後も、流出し続け、流出元のPETボトル内から流体が完全に流出し、PETボトルが陰圧になり、変形して、第二高低差のループに流体が貯留して流出は止まる。実際の膀胱などの生体の弾性伸展収縮空間は陰圧になることはなく、第2高低差のループに貯留することなく、流出チューブからも全て完全に流出する。
この臨床ループモデル条件下でさらに、流出チューブの質(滑らかさ)、半径、長さ以外の因子として、流体の密度、粘稠度などの条件が変化した時も規定した規格をクリアーすることが出来るかどうかその限度も予め把握しておく必要がある。種々の密度、粘稠度の流体あるいは糖、蛋白、血液などが混入した流体を用いての規格テストをする際に必要となる人工膀胱は、Vmin=50mlで内圧が20+αcm水柱で、とりあえず25cm水柱の内圧になる人工膀胱、さらに、容量が100ml、150ml、200mlで内圧が初期サイフォン化圧以上となる人工膀胱なども必要となり、その用途により種々の規格の人工膀胱が作成可能である。種々の人工膀胱を用いて、種々の流体を用いてその規格製品をチェックするとその使用の際の使用条件も明記できる様になる。流体の密度、粘稠度の限度。そして糖、蛋白、その他血液混入の際に使用可能かどうかも、予め注意書きに記載出来る。以上の様な規格テストをクリアーした使用条件と規格と限度が明示された機能と限度と安全が保証される持続流出システム回路である。
本願発明の第8は、規格の可変性とリハビリ活用についてである。
その使用条件、環境によっては、例えば膀胱機能の低下した神経因性膀胱などに対して、リハビリ用の規格としてはVmin=50mlの乏尿期用から徐々に膀胱機能の活性化を図るためのVmin=60ml、70ml、80ml、90mlのような小刻みな規格を揃えたり、その人の全身状態、膀胱機能の状態によりその規格を徐々にアップしたり、その使い方によりサイフォンの原理を応用して規格を変えたり、使い方を工夫して初期サイフォン化圧を小さなものから次第に大きなものへと変えて行き、膀胱および体力のリハビリを可能とする。
すなわち、人工膀胱は、基準人工膀胱は高低差20cmと管路抵抗をクリアー出来るように余裕を持たせて、50mlを充満させたら内圧が25cm水柱の内圧になるように設計作製されたものとする。流体を50ml充満されると内圧が25cm水柱となる人工基準膀胱において、弾性力で収縮して貯留していた流体(尿)を流出させる本体部と流出誘導体を接続する接続部からなり、本体部分は閉曲面を有し、本体はシリコーンゴム、イソプレンゴムなどの弾性体で楕円形形状断面の閉曲面を有するように形成されており、必要に応じて点滴スタンドなどにつるすためのリングや取っ手が一体で形成されている。
現行の人工尿閉状態を生み出す回路では、尿閉の悪循環に陥り、尿路感染、膀胱留置カテーテルによる損傷、膀胱洗浄が頻回に必要になり、さらに尿閉、水腎症、腎不全の悪循環となる。
これまでは悪循環を形成し悪化するしか無かった病態に対して、良循環、リハビリを実現する可能性を拓いたことである。
本願発明の第9は、基準人工膀胱と基準人工尿、基準濃縮糖尿についてである。
最終的に流体の性状(密度、粘稠度など)を含めて最終確認するためには人工膀胱が必要であり、その人工膀胱の規格を制定し、膀胱内圧を測定するための技術的な問題が既に解決済みであることである。
すなわち、持続流出システム回路を流れる流体も、実際の臨床に合わせて、その濃度、比重および粘稠度も種々考えられ、一々あれこれと検査するのも大変なので、標準的濃縮尿かつ糖尿として基準濃縮糖尿をとりあえず決めておく。
その基準濃縮糖尿としては、通常使用される補液成分の2倍の塩化ナトリウムとブドウ糖を含むものと規定する。
即ち、基準濃縮糖尿としては、
塩化ナトリウム0.35g/dl、ブドウ糖 5.4g/dlと暫定的に決めておいて、最初は流体は水を用いて、初期サイフォン化圧を測定し、簡易完全流出確認テスト法を実施し、規格をクリアーしているか確認後、負荷テストとしてこの基準濃縮糖尿を基準人工膀胱(内容量50ml、内圧25cm水柱)に貯留させて、被験蓄尿回路の簡易完全流出確認テスト法を実施する。
人工膀胱の素材と形状に関しては、特許文献1(特開2019-76327)薬剤注入容器の第1形態が、人工膀胱の内圧測定としては、特許文献2(特開2021-72926)膀胱尿動態測定装置が既にあり、利用可能である。
その技術を応用することにより、内容量と内圧を必要に合わせて設定し、その規格の人工膀胱が作成出来、製品の持続流出システム回路を種々の流体を用いて、実際に使用し、その性能をテストし、確認出来る。
本願発明の第10は、負荷テストについてである。
品質確認対象のSDS回路をこれまで紹介して来た方法により、最終確認するためにも必要となるのは、規格化された人工膀胱とともに、実際の臨床上想定される乏尿時の濃縮尿、糖尿病、ネフローゼ症候群などの疾病の際の濃度の濃い粘稠な流体(尿)を想定し、臨床上想定される最悪状態の規格化流体を作製し、負荷テストの最終規格テストとして臨床ループモデル条件で、基準人工膀胱とこの基準人工流体で、製品のSDS回路がきちんと完全流出するかどうかの最終負荷テストにより品質を保証する、あるいは限度を明確化することである。
さらに前記負荷テストを含む持続流出システム回路品質管理システムについてである。
SDS回路の発明発見と言うことに止まらず、その品質を保証し、品質のさらなる改良、改善のための持続流出システム回路品質管理システムを構築したことである。
すなわち、持続流出シテム回路を設計出来る様にするための基本的原理と使用条件を明確に規定し、かつその規格の制定と規格確認テスト方法による品質保証と品質管理するシステムを構築した。即ち、規格の規定や手順を定め、それを運営する方法手順を定めた。実地臨床の条件、状況を加味した、科学的実験条件モデルを設定し、客観的評価、規格と限界をチェック出来るシステムを構築し、継続的な改善を図れる土台を築いた。勝手な思い込みでは無く、きちんとその目的を達成出ているかどうかを確認、チェックし、改善を図る基本システムを構築した。すなわち、計画立案しっぱなしの机上の空論では無く、きちんと実際の使用条件をモデル化し、実験検証保証する。チェックし、評価し、改善するPDCAサイクルを回すそれぞれの要素を確定し設定し、システム化した。
そのシステムの要素としては、サイフォンの原理、臨床ループモデル条件、初期サイフォン化圧測定法、簡易完全流出確認テスト法、さらに流体の性状による機能を担保するための基準人工膀胱と基準濃縮糖尿を規定し、その品質を検証し保証する品質管理システムを提示した。即ち請求項5から請求項9の持続流出システム回路品質管理システムの管理下にあるものが、本願発明の持続流出システム回路である。
(ループサイフォン化SDS品質保証と品質管理:持続流出システム回路品質管理システム)
すなわち、単なる新たな原理による新たな製品の開発のみならず、その規格を規定し、その品質を保証し、さらに規格と品質を管理していくシステムの構築であり、現行製品を承認され販売している医療機器製造販売元は少なくとも独自にこのシステムを導入し、安心・安全を担保する必要がある。
持続流出システム回路を設計、デザインし、作成するための原理原則の明確化とその製品の規格を制定し、チェックするための臨床ループモデルと基準人工膀胱と基準人工流体を用いて、その規格確認テストを実施し、確認し、その結果をその製品、使用条件、システム構成要素に反映し、改善するための一連の規格規定、品質保証、管理、改良、改善するために、まずは実際の使用されている状況の現状を確認し、なんの為の製品なのかの目的、そしてそのための原理原則自然の法則による行動目標を明確にし、実際に設計し、実際に検証し、検知行動し、評価し、改善をし、反映させる事を繰り返すというPDCAを含むシステム思考を視覚化し、品質管理をする。それが製品品質管理システムであり、この持続流出システム回路においても、明確にし、持続流出システム回路品質管理システムと命名した。
この持続流出システム回路および持続流出システム回路品質管理システムは、流出元の人工膀胱の規格も、流体である人工尿の性状も、最少容量Vmin、初期サイフォン化抵抗、管径、管の長さ、管の材質すなわち管の摩擦係数などの初期サイフォン化抵抗の種々の要素も、必要に応じて変えることが出来、その種々の条件、種々の規格でも、持続流出システム回路かどうかの適合確認が出来、新たな規格の品質を保証することを特徴とする。
サイフォンの原理を応用した特許、製品が、洗濯機などの電化製品から種々の測定装置から大がかりな物としては家屋の排水設備あるいはさらに大がかりな物としてはダムの発電に関する装置まで種々の物が存在するが、実際にサイフォン化初期圧など持続流出必要条件を把握し、規定しているか、さらに当初設定した規格の機能、性能を実際に発揮出来るかの規格確認テストを設定し、規格を検定し品質を保証するべき、すなわちあらゆる持続流出システム回路(サイフォン化)の品質管理すべき、領域全てにおいて、この持続流出システム回路品質管理システムは規模、業種、業態に関わらず「規格の規定」と「品質保証」と「規格と品質の管理」に活用できる。
サイフォン化の実際の使用局面で、その機能を確認する事を特徴とするサイフォン化確認およびサイフォン化品質管理システムであることを特徴とする。
従来の製品は、実際の医療及び介護現場での利用状況、たとえば手術後の使用される側の状況、状態が全く考慮されておらず、サイフォン化するどころか、塞栓形成あるいはエアロックという状態を招いており、実際に医療に従事する看護師もその経験度合により、その事実を認識している場合もある。が、それが実際の患者となって使用されるユーザーにどれだけ苦痛を与えているかは認識されておらず、適切な対応もされていない。そんな中で、上記した本願発明は、以下のような効果を有する。
(1)本願発明は、現実の使用条件をモデル化し、持続流出可能なシステム回路構築のための必要条件を明らかにし、従来製品の改善のための理論構築と、具体的条件とそれに適合するシステム回路の規格を決定し、その機能を実現するように構成要素を見直し、従来の製品を改善し、安心、安全を担保出来る。
(2)本願発明は、特別な装置は開放式ドリップチャンバー以外、従来の製品構造と本質的には変わりなく、特別な構造物は必要無く、また、特別な操作も必要無い。
しかし、きちんと自然の原理原則を理解して、活用して初めて適切に機能する。
さらに原理をしっかり理解していれば、日常生活動作を活用し、さらに抵抗を軽減出来、使用する本人の不快、不便さを軽減出来る。
最初にサイフォン化のための必要条件をクリアーするように流出チューブの内径と長さ、摩擦係数の3つの要素と、開放式ドリップチャンバーを備えた蓄尿バッグ等の回路をきちんと設計すれば、後は、膀胱の収縮、弛緩即ち膀胱本来の排泄機能(排尿反射)と腹圧で排尿が始まり、その回路は持続流出システムとして機能し、流出元もその途中の回路にも流体が貯留すること無く完全に流出する。
(3)結果として、膀胱の自然の機能は維持され、かつ、尿流出は膀胱にある量貯留し、内圧が上昇することにより自律的に起こり、持続的に流出し、流出チューブにも膀胱にも残尿はなく、尿閉も無く、尿の逆流も起こらず、順方向のみの流れなので、尿路感染のリスクを低減し、なおかつ、これまで不可能であった膀胱のリハビリも可能となる。
術後の急性期に留置される従来の回路ではできてしまう尿塞栓による患者側の尿閉状態による膀胱圧迫による不快感、苦痛の解消。
患者の苦痛に関わる看護側の負担の軽減。
回路による尿閉状態がなく、時間毎の適正な尿量測定により、術後の尿量の適正な迅速な測定が可能となり、誤った医学判断(尿閉、乏尿、心不全等)を無くし、無用の強心剤や利尿剤の使用の減少その薬剤投与による低カリウム血症などを招くことなく、医療の質の改善、適正化。
余分な尿の膀胱貯留が無く、常に順方向にしか流れず、途中で貯留することがないために尿路感染のリスクの低減。
・尿の逆流は起こりようが無く、常に流れは順行である。
・逆行性に侵入した細菌の培地になる膀胱内の残尿を防げる。
・回路を逆行して感染するが、常に順方向に回路を洗い流している。
一度尿閉あるいは排尿困難と診断され、ずっと従来の回路を継続して使われ、かえってさらに排尿困難が慢性化した状態におかれている要介護の高齢者などの従来の回路使用者の救済。人工的尿閉悪循環からの開放。そこから派生する種々の医原病、障害状態の予防。
(1)使用者本人の膀胱圧迫、苦痛からの解放。
(2)それによる認知症、高齢者などの回路使用者自らの膀胱留置カテーテルの自己抜去事故の解消。早期の抜去により膀胱カテーテルによる圧迫等による膀胱壁の血行不良、潰瘍、壊死の予防。
(3)普通、尿の膀胱への貯留、充満により、それにより膀胱壁の伸展受容器が刺激され、それによる排尿反射が起こり、膀胱壁は収縮し、内外尿道括約筋の弛緩により排尿する。従来の回路では常に膀胱が充満し、圧迫され、膀胱壁は伸展され続けているために、排尿反射の元となる刺激が阻害されて、自然の排尿機構が障害されていく。その排尿機構の機能訓練、リハビリとなり、膀胱機能の回復が図れる。
(4)本人の行動制限からの解放。
(5)ただでさえ経済的にひっ迫している回路使用者、家族の経済的負担の軽減。
(6)家族の排尿に関わる手間暇、介護負担の軽減。
脊髄損傷、脳出血、脳梗塞、その他の中枢神経の障害、あるいは末梢神経の障害による尿閉状態に対して、あるいは尿失禁する寝たきり等の対象者にも、本人に余計な負担をかけず、自然の原理で排尿可能で有り、持続的に長期的にも使用出来る。残された膀胱機能の維持と上記(3)による膀胱機能の回復に寄与する。
種々の疾患により臥床期間が長くなったり、寝たきりの対象者に適正な尿路回路を提供することにより、腎機能の維持や改善が期待される。
他の種々のこれまでに発明され、実際に使用されているサイフォンの原理を応用した製品、商品の規格の見直しと品質を保証し、管理をする事が出来る。
例えば水頭症に対する流量調整バルブシステムを差圧バルブ無しで、詰まる事が無い製品開発とその品質管理にも応用出来る。
製造販売元の経費削減と信用回復・増加と社会的責任と社会貢献。
・自己抜管による事故、膀胱損傷、膀胱機能障害、腎機能障害の予防。
・シンプルな構造による製造コストの削減。
・自然科学に基づく原理・機序による安心と信頼の製品供給、きちんと効果、効能をうたえる。
・看護・介護領域における簡便性、利便性の向上による看護、介護負担の軽減。
・医療における誤診と医療過誤の予防と質の高い医療の実現に寄与する。
・医療機器製造販売元、使用者(医療・看護、介護領域)、利用対象者(実際の使用者)の三者の益を創造し提供。
・各社の理念、理想、ビジョンの実現とガバナンスの発揮(社会的責任と社会貢献)。
・製品という物の販売から、医療、看護、介護、その他の領域での物を介した適正な科学的な原理とシステム思考の啓発、啓蒙とサービスの提供。
・その結果としての会社の責任と信用の確固たる確保。
日本国内のみならず、世界中で使用されている従来の回路使用者の救済と今後益々高齢化する未来の超高齢化社会となり、ますます脊髄損傷、尿失禁、および良性前立腺肥大症が問題となり、その対策(医療、看護、介護負担の軽減・解消、経済的負担の解消、より良い生活QOLの確保維持)。
従来製品の蓄尿バッグ回路の構成要素と概略を示す概念図である。 本発明に係る持続流出システムの構成要素と使用状況概略を示す概念図である。 本発明に係るサイフォン化までの3状態を示す概念図である。 本発明に係る持続流出システムの駆動の源泉を示す概念図である。 本発明に係る持続流出システム(SDS)回路と非SDS回路の違いを示す概念図である。 本発明に係る臨床ループモデル条件下での持続流出駆動条件を示す概念図である。 本発明に係る初期サイフォン化圧測定方法を示す概念図である。 本発明に係る簡易完全流出確認方法を示す概念図である。 本発明に係る自動的持続流出システム発現と時間的推移を示す概念図である。 本発明に係る持続流入システム回路の実地臨床での応用管理を示す概念図である。 本発明に係る人工膀胱と内圧測定装置を示す概念図である。 本発明に係る持続流出システム回路品質管理システムを示す概念図である。
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態では、膀胱留置カテーテルを用いた排尿に本願発明の「持続流出システム」のコンセプトを適用しているが、これは一例であり、その他の体内にある閉鎖空間の流出元から体外にある空間の流出先へ流体を持続的に流出させる技術として適用できることは勿論である。
[図1]は、膀胱留置カテーテルを用いた一般的な蓄尿回路装置の概要を図示したものであり、図示するように、狭義の膀胱留置カテーテルとしてのバルーンの付いた膀胱内カテーテル(バルーンカテーテル)から、導尿した尿を流出チューブを介して蓄尿バッグに溜めるというのが基本的構造である。
[図2]は、本願発明に係る持続流出システム回路の概要を実地臨床で使用される場面を想定した状態で図示したものであり、基本構造は流出元から流体で流出させた流体を流出チューブで流出先の貯蓄バッグに流出させる構造である。しかし、臨床現場でも介護現場でも、流出元が一番頂上とは限らないどころか、ほとんどは流出流導体あるいは流出チューブが流出元より高くなる第1高低差が存在し、さらにいくつかの第2高低差があるのが通常である。
この実地臨床上の使用環境を考慮した高低差の抵抗があっても順方向にのみ持続流出させるように自然の科学的原理を用いて実現するための使用条件と必要な要素と構造を示した。
[図3]は、この持続流出システムSDS回路が弾性閉鎖空間につながれ、駆動する条件とその3状態を示す。
NCSDSの
Figure 2023083202000063
に到るまでの3状態を示す。(図ではRgは省略)
[図3-1]は、
Figure 2023083202000064
の状態で、サイフォン化されず、流出元から流体が流出誘導体あるいは流出チューブの途中までしか到達せず、それ以上流出出来ない状態を示す。
[図3-2]は、
Figure 2023083202000065
で、圧差と抵抗が釣合い、第一ループのサイフォン化境界に達した状態であり、さらに少しでも圧差Pが高くなったり、抵抗Rが下がれば、流出する瞬間の平衡状態である。
この時に流出元(Vo)と流出誘導体(図では省略)あるいは流出チューブ(Vloop)を占める流体の合計の容量がVminであり、このループ状態のSDS回路を駆動するための必要最少量となる。いわばサイフォン化の最少必要量である。
Figure 2023083202000066
[図3-3]は、
Figure 2023083202000067
となり均衡が破られ、NCSDSが満たされ、サイフォン化し、持続流出している状態を示しており、そして、一度サイフォン化し、サイフォンの原理が作用すると第2高低差の流体を含めて流出元の流体が全て流出される。
すなわち、一度「数23(P-R>0)」となり、SDS回路がサイフォン化するとそれ以上の高い圧は必要なく、流出し続けることが、このSDSの特徴である。
しかしながら、RtとRpを極力小さくしないと実際には役立たない。すなわちVminを50ml以下でもサイフォン化しSDS回路として機能出来る様に回路をあらかじめ設計して、初めて実地の臨床の場で役立つ製品となる。
サイフォン化最少容量を最大でも50mlとし、出来るだけ少なくすることにより初めて、子供あるいは身体が弱っている人達、あるいは膀胱機能が低下している人達に対しても利用出来、役立つ製品となる。
流出誘導体の膀胱留置カテーテルは従来の製品を利用すると、
Figure 2023083202000068
となるように、Vtを小さくするために流出チューブの径を見直す必要がある。例えば現在市販されている手元のバルーンカテーテルと流出チューブ膀胱留置セットで、計算すると、
Figure 2023083202000069
となってしまう。
ゆえに、現行のバルーンカテーテルを使用した場合、Vminを50mlにするためには、逆算すると流出チューブの半径を3.3mm以下即ち流出チューブの内径を6.6mm以下にする必要がある。
図4は、このシステムの駆動の源泉である弾性閉鎖空間の内圧についての説明であり、
サイフォン化する瞬間の圧と抵抗が釣り合った状態からサイフォン化するためのさらなる圧の源泉を2つ示した。
1つは、体位変換による位置エネルギーを高める方法であり、それが[図4-2]である。
実際の臨床上では、寝て居るベッドの上で危なくないように、立ち膝や立ち上がって膀胱を高くするという動作に該当する。本願発明者も2度目の入院時には、従来の製品でも膀胱にパンパンに尿が充満し、排尿したくても排尿出来ない状態で、ベッド上に立ち上がり位置エネルギーを高めてやると従来の製品でもサイフォン化され、流出したことは確かめている。
2つ目は、[図4-3]で、外部からの圧迫(腹圧)による閉鎖空間の圧の上昇か、弾性閉鎖空間への流体の流入による内圧の上昇のいずれかによる内圧の上昇過程を示した。
以上の内圧を高めるか、さらに末梢抵抗を低くして、相対的に圧を高めるかの3つの状態が、この持続流出システムの駆動力、原動力である。
いずれにせよ実際上は、これらのひとつがあれば良いと言うことではない、それらを上手く活用して、サイフォン化最少容量Vminの尿量と膀胱の排泄筋その他の筋肉により内圧Pをマネジメントする必要はある。
[図5]は、SDS回路と非SDS回路との違い、すなわち、サイフォン化する回路とサイフォン化しない回路との違いを示す。
[図5-1]は、既に図3で説明した実地臨床上の使用状況、条件におけるSDS回路によるサイフォン化状態を示す。
[図5-2]以下の図は、回路の径が太いため、尿貯留し腹圧をかけ内圧上昇させて膀胱内から流出誘導体(バルーンカテーテル)を通してサイフォン化境界を越えて、流出し、流出チューブに流入しても、滴下、落下して管が充満されずサイフォン化しないで尿塞栓とエアロック状態になる途中経過である。
回路の径が太いため管が充満せず、流体が第1高低差を乗り越えてもサイフォン化されず、管内で滴下し、それが続くと[図5-3]のように流出チューブ内を流れ落ち、第2高低差の所に溜まり始め、ある程度溜まると[図5-4]の塞栓状態、エアーロック状態となり、それまでの圧では流れなくなり、さらに流し続けるためには強い圧が必要となる。
実際に使用される製品の状況(二つ以上の高低差)によるこの問題点が、従来の製品では製造側も、医療側も、使う側も全く考慮されていない。実施臨床、介護の分野でも何の疑問を持たれることも無く使用され続け、人工的尿閉を生み出し、疑似乏尿、疑似心不全を引き起こす元となっている。
それが慢性的に繰り返されると実際に膀胱機能、排尿機能が損なわれ傷害され、本当に尿閉状態を生み出す事となる。一時的にだけではなく、慢性の尿閉状態となりずっとその元となった製品の世話になり続け、改善する可能性はますます減少し、悪循環に陥り、一生従来の製品の世話になるしかなくなる。
しかし、まだ誰もこの悪循環状態に気づかず、指摘せず、全世界でその製品が流通し、全世界でそのような悪循環に陥る製品を生産し、人工尿閉、医原病を生み出し続けている。
[図6]は、本発明の持続流出システム回路たらしめる必要条件NCSDSを4つ図示した。
従来の閉鎖式蓄尿バッグ(貯留バッグ)では無く、開放式ドリップチャンバーを備えた閉鎖式蓄尿バッグとして末端の抵抗を無くす、即ち「数10(Rp=0)」「第1条件」である。
サイフォン化境界を越えた流体がそのまま管(チューブ)を充満しながら、流出し続け、管全体がサイフォン化するために、管の径はある程度細くなくてはサイフォン化しない、すなわち「第2条件」である。
流出チューブの径がどの位が適切かは、臨床ループモデル条件、流体の密度、粘度により変わる。
例えば、手術直後の乏尿の時期、あるいは脱水状態、糖尿病、ネフローゼ症候群など尿の比重、粘度が変わると細すぎると詰まりやすくもなるため、細すぎず、太すぎず、その使用する臨床状況、条件により変わる。
ある程度一つの条件設定で上記の様な状況、条件でも大丈夫な設定を探す必要はある。
そのためとりあえず、高低差と使用する流体とその容量は、高低差は20cm、流体は水とし、サイフォン化最少容量は50mlと規定した。
上記の様な病的状態で、実際の臨床に使用してみてさらに変更を加えて適切な設定をし直す必要は考慮しておく必要はある。
さらにサイフォン化とは管の内腔が完全に流体で充満されることで初めて実現するのであり、そのためにも流出チューブ内腔量がサイフォン化最少容量がより少ない必要がある。
「数24(Vmin>Vg+Vt)」である必要があり、むやみやたらに流出チューブの内径、内腔が大きいものはSDSとしてはふさわしくなく、内径は限定されて来る。
回路の管が細ければ細いほど抵抗は増し、管の長さが長ければ長いほど抵抗は増す。
しかしながら臨床上、ベッドの中央に仰向けで寝る状態を考慮するとベッドの横幅の半分の長さとベッドの高さからバッグの高さを引いた長さは少なくとも必要になる。
また、あまりぎりぎりでも余裕が無いと動くに動けなくなり、ある程度の余裕を持たせないと実用的では無くなり、ある程度の遊びは必要となるが、しかしながらそれが第2高低差を生む原因ともなり、ややもすると蓄尿バッグへの流入口よりも低くなることがある。
いずれにせよ、第1高低差および第2高低差があっても、塞栓を形成せずサイフォン化して持続流出するためには、流出チューブの半径rは管長に応じて必要最大が規定されてくる。
例えば、従来の製品の内径0.5cm長さ40cmのバルーンカテーテルで、流出チューブの長さを120cmとし、それでVmin=50mlとするとその内径はどれ位にしないと完全サイフォン化が実現出来ないかを逆算すると、
Figure 2023083202000070
で、その平方根は0.33cm=3.3mmであり、内径6.6mm以下の流出チューブとなり、実際に隙間無く管腔を満たしサイフォン化することが出来るかは実際に試して見るしかない。「第3条件」
最後に、サイフォン化するための圧の駆動原動力は膀胱内圧による。すなわち膀胱が尿で充満することによる圧縮圧力と腹圧との圧Pcと流出元の流体の質量による位置エネルギーによる圧力Ppの二つであることは既に述べた(図4)。
この圧「数16(P=Pc+Pp)」が第1高低差その他で生まれるサイフォン化抵抗Rsより大きくなるとサイフォン化が自動的に起こり持続流出が開始され、完全流出する。「第4条件」
なお、初期サイフォン化圧=高低差抵抗+サイフォン化境界までの管路抵抗
であり、
Figure 2023083202000071
また、
Figure 2023083202000072
である。
[図7]は、臨床ループモデル条件下で、すなわち第1,2高低差を20cmに設定しての流出開始の初期サイフォン化圧測定方法と持続流出完全排出システムの確認法の説明図である。
当然のことながら回路の末端が完全に閉塞していたらいくら水を入れても決して流れないし、また、流出チューブが細すぎたり、途中で、折れ曲がったり、詰まりかかっていたらやはり流出は困難となる。
すなわち、空気も流体であり、最初から管内を満たしているが、その密度σは液体の流体に比して非常に小さいため空気による管路抵抗は無視しても大丈夫だが、実際にもし万が一完全に閉塞しなくても一部分でも管が折れ曲がったりして、ほぼ閉鎖した場所があれば、無視出来なくなる。
管がどこかで極端に折れ曲がったり、潰れたりして閉塞気味の部分があれば、空気も抵抗を生み、液体としての流体の水でさえ流れられなくなるため、回路全体がきちんと同一の径を保ち、管の内面も一様の滑らかさである必要があり、被験流体が水であるなら、第1高低差の20cm水柱の圧とサイフォン化境界までの液体流体による管路抵抗による抵抗を加えた(20+α)cm水柱の圧がサイフォン化圧となるはずである。
その初期サイフォン化圧を越えるとサイフォン化され、その直後に源流槽からの流入を止めてそれ以上圧が大きくならずその流体が流れるに従い圧はその後減弱していくがそれでも完全サイフォン化しさらに流出し続け、流出元の流体が容器と回路からすべて流出し、完全流出することによりサイフォン化圧で完全流出することを確認する。
[図8]は、同様の臨床ループモデル条件下での規定容量での簡易完全流出確認テスト法であり、流体50mlでも完全サイフォン化できるかの確認テストである。流出元の弾性閉鎖空間モデルのPETボトルに50mlの流体(水)を入れて密封し、PETボトルを上記で測定したサイフォン化圧まで圧迫し、初期サイフォン化を確認したらPETボトルへの加圧を止めても、完全サイフォン化し、流出し続け、PETボトル内から流体がすべて流出し、PETボトルは陰圧になり、つぶれて変形し、流体は第2高低差のところで貯留し止まる。
[図9]は、この持続流出システム回路が実際に使われ機能した際の膀胱に貯留する尿量とその時の身体状態による腹圧により、初期サイフォン化圧に達して自動的に流出が開始する過程と経過を模式的に示し、尿が生産され初期サイフォン化圧に達するまでの間欠期と1度初期サイフォン化圧に達したら持続流出が開始し、完全に流出(排泄)される持続流出期を模式的に示した。
本願発明に係る持続流出システムでポイントとなるのは、「排尿機序の理解」と「持続流出するサイフォン化のための管等の設計基準」と「実際の使用状況基準」の必要性である。
尿は腎臓で1ml/Kg/hで生産され、排尿機序として、膀胱に200~400ml溜まると膀胱壁の排尿筋が圧迫伸展され、その伸展受容器により刺激となり、排尿反射が起こり排尿が開始する。その際、「膀胱排尿筋の収縮」+「内尿道括約筋の弛緩」+[外尿道括約筋の弛緩」が起こる。
その排尿刺激となり尿意を催す200mlが尿に溜まり、膀胱内圧が閾値を超え上昇する以前に、蓄尿回路がサイフォン化される必要があるが、しかし、出来るだけ少量の尿量で、流出するようにするためには、実地臨床での使用状況としては第1高低差H1による抵抗Rhは避けられず、その他の回路の抵抗要素であるRg,RtそしてRpの3抵抗要素のうちRgは、摩擦係数以外余り変更の余地はなく、他の抵抗RpとRtを極力低くする必要がある。
Rpは開放式ドリップチャンバーで開放型バッグとしてほぼ0となり、残りのRtを必要最小限に最小化して術後の生体条件でも、慢性の尿閉で車いす状態でも、サイフォン化出来る機能を有しておかないと、持続流出は開始出来ない。
さらには、手術後の全身状態の重要な指標となる経時的尿量(時間尿)を計測するためには、サイフォン化必要最少量Vminを50ml以下のもっと少ない量でも自動的に排尿開始する必要がある。
例えば、通常200mlで尿意をもようし排尿が始まるまで、膀胱内に尿を貯留するのでは、術後の時間尿の測定用途としては不十分で有り、やはり出来るだけ少ない尿量で、持続流出が開始するようにVminを設計デザインする必要がある。
サイフォン化するのにも出来るだけ少ない尿量で、蓄尿回路が満たされる必要があるが、サイフォン化の最大の要因は臨床上必要となる第1高低差H1の存在によるRhと管路抵抗Rtである。
その抵抗を乗り越えるための圧を生み出すのは膀胱、その他の腹圧に関する筋群と膀胱を充満する尿量とであり、そのサイフォン化最少必要量Vminは、出来るだけ少なくするためにも結局は流出チューブの抵抗Rtを極力小さくする以外無い。
Rhはベッドに寝ていようが、車椅子に座っていようが、臨床上必要な高低差であり省けない。
ただし、それも体の状態によっては軽減させることは、ベッドに寝ていても出来ることはあり、それは決してそれが常態というわけではないが、意識的に排尿を開始するきっかけにはなる。
サイフォン化最少容量Vminの調節因子としても結局は管路抵抗Rtを低くすることしか選択肢はなく、あらかじめ設計して初めて持続流出システムを管理する事が可能になる。
VminはSDS駆動内圧差を生み出す膀胱貯留量と第1高低差を乗り越えるための管路充満量の和となる。
「数28(Vmin=Vo+Vloop=Vo+Vhg+Vht)」
Pcは、膀胱排尿筋も尿の貯留により内圧が高まり引き延ばされるからこそ生まれる収縮圧であり、ある程度の尿量が必要であり、またある量の尿が溜まらないとPpも生じない。
実際の初期サイフォン化圧に達する実際の膀胱内容量はSDS利用対象者のその時の全身状態および膀胱状態により異なり、その時々、個々で、異なる量であるが、結果として初期サイフォン化圧に達すると毎回自動的に排尿される持続流出期に1回毎に完全排尿される。
初期サイフォン化圧を規定する因子は抵抗であり、流出誘導体として従来のバルーンカテーテルの使用を前提とすると、開放式ドリップチャンバー経由で蓄尿する即ち「数3(Rp=0)」とすれば、臨床上必要なRhを除いて、Rtが唯一制御出来る因子であり、制御して初めてサイフォン化の準備も整い持続流出システムもその時々の全身状態において適量の尿量が膀胱に貯留して初期サイフォン化圧に達して自動的に反復排尿される。
Rsから回路そのものの要素では無い高低差抵抗Rhを除いたRtがある程度の尿量が貯留したら持続流出開始させるかの決定要素(因子)となる。持続的流出をさせ生体に負担を出来るだけ加えない(余計な腹圧を加える必要を排除する)ためには、必要最小限の抵抗でサイフォン化のための最少の尿量で、持続流出が自動的に開始する必要がある。
管路抵抗には流体の密度と流速も関与するが、流体密度σは生産される尿の濃さによるため制御は出来ず、また流速はその管と圧差により自ずと決まってくるので、やはり制御出来ないが、一方、内径と管の長さはあらかじめ決めることが出来、制御出来る。
以上の様に、Rtに関しては半径とその長さが大きな要因となるが、さらに摩擦抵抗λと流体の密度、粘稠度も勘案しないと行けなくなる場合もあり、それは脱水、心不全、腎不全などで濃い尿、あるいは糖尿病、ネフローゼ症候群など粘度の高い尿の場合も流出出来る性能、機能を担保しておく必要がある。
結局、管の半径rと管長Lとにより抵抗Rtも持続流出開始尿量Vminも規定され、SDSの起動も決定される。
即ち、持続流出させるための二大要素はサイフォン化と圧差の制御であり、結局は次の関係式に示されるように、いずれも回路の長さと内径(半径)が大きな要因となり、内径により規定されるといっても過言ではない。
上記〔数11〕参照。
それはあらかじめ設計でき、仮に流出チューブの内径が4mm(半径2mm)、長さを1.2mとすると、Vtは約15mlとなる。
流出チューブの尿塞栓およびエアロックの発生を抑えるためにも細い管でサイフォン化する必要があり、サイフォン化し、圧差があれば残尿も無く完全流出が可能となる。
以上より
「数12(PーRs>0)」
が自動流出システムの駆動力であり、このサイフォン化という概念をきちんと理解していないとその製造の際にも、また、実際の運用管理する看護の際にも適切な制御、管理は出来ず、ひいては適切な医療を実践する際にも、大きな阻害要因となる。
[図10]は、実際の臨床場面でのこのSDSを駆動させるための方法を紹介した。
(4)は、尿が膀胱に徐々に貯留し、内圧(P2)が、第1高低差を含む全抵抗(R)を越える場合。
(5)は、息んだり、手で圧迫するなどして自分で腹圧をかけた場合。
(6)仰向けから側臥位となり第1高低差を解消して、サイフォン化抵抗Rsを減少させた場合。
(7)臥位から立ち膝や立ったりして位置エネルギーを高めた場合。
そして、(8)はその結果完全に排尿された状態を示した。
[図11]は、規格に適合するかどうか確認する際の簡易完全流出確認テスト法および濃縮濃厚な流体の性状による負荷テストにも必要となる基準膀胱の構造と機能であり、その圧を測定するための膀胱尿動態測定装置を示した。PETボトルでの簡易式の替わりにこの人工膀胱を使用すれば、第2ループで貯留停滞すること無く完全に排出される。
図12は、持続流出システム回路を作製する際に必要な要素と、その規格を策定し、その品質を保証するために必要な要素であり、適正な医療機器を作製しその品質を管理するためのPDCAを当てはめた品質保証と品質管理システム全体像を示した。
この持続流出管理システムがあってこそ、持続流出システム回路が適正に造られ、適正に使用・運用され、臨床上の管理の利便性が増し、適正な医療がなされ、使用される人およびその家族の生活の質を向上させる。
そのためにも基準人工膀胱と基準濃縮糖尿と臨床ループモデル条件を検討する必要があり、その元となる的確な現状確認の下の目的、目標とPDCAサイクルのシステム思考は必須である。
本願発明の持続流出システムは、流出チューブは使用条件、環境を考慮して、内径も、長さもそして、摩擦係数低減のための素材もまだまだ工夫して初期サイフォン化抵抗を低減させる事が出来、膀胱および身体への負担を軽減出来る可能性をもっている。逆に言うとこのSDS回路においては、この流出チューブを如何に抵抗の少ない臨床上も軽くて使い易く工夫するかに掛かっている。そのためには人工血管の特許、ノーハーも活用すれば、少なくとも血尿で詰まるような低品質のチューブを提供する必要はなくなる。すなわち、摩擦抵抗がほとんど無く、細くても粘稠な濃縮尿、糖尿、蛋白尿、血尿などでも詰まらずに持続流出可能な人工血管のような理想的な回路が誕生する。
さらには、膀胱留置カテーテルを用いた排尿に利用できるだけでなく、その他の体内にある弾性閉鎖空間の流出元から体外にある空間の流出先へ流体を持続的に流出させる原理と技術として幅広く利用できる。
蓄尿回路のみならず、胸水、腹水からの術後の廃液用カテーテルおよび水頭症治療用の脳室から胸腔、腹腔へのシャントシステムを構築する際にはこのサイフォン化の原理とシステム回路が役立つ可能性を秘めている。予め使用目的に応じて長さと半径と摩擦抵抗によりある一定の抵抗を制定したシステム回路であれば、水頭症用のシャントシステムとして、ある程度の圧差が生じたら脳室から胸腔内あるいは腹腔内の一方方向への流量調節バブル(差圧バブル)などのメカニカル機構がなくても自動的に持続流出させるシステムも、可能となる。メカニカル部分があればあるほど、詰まりや故障の原因となる。臥位では流れず、座位、立位で脳室と胸腔、腹腔との圧差がある圧になったら自動的に持続流出するシステムを、回路のみで構築することも原理的には同じであり、可能である。
さらに、システム回路以上に、10の本願発明よりなる図12の品質管理システムは、医療機器に限らずあらゆる製品開発において、適正に機能する製品を提供するための、実際に使われる場面の使用条件を分析し、それに適合する製品開発と管理する手順、方法であり、あらゆる企業、あらゆる製品に役立つ。例え公的規格が無くても、企業自体がその名の元、その製品の品質保証とその品質管理をして、企業の存在価値と使命とを発揮出来る。
従来の製品は、この管理システムの最初のステップ現状確認の使用条件および変動因子を把握する時点で、既に逸脱し、現状を無視している。すなわち、実際の医療及び介護現場での利用状況、たとえば手術後の使用される側の状況、状態とりわけ第1高低差の影響が全く考慮されておらず、サイフォン化するどころか、塞栓形成あるいはエアロックという状態を招いており、実際に医療に従事する看護師もその経験度合により、その事実を認識している場合もある。が、それが実際の患者となって使用されるユーザーにどれだけ苦痛を与えているかは認識されておらず、適切な対応もされていない現状がある。
そこで、流出元と流出先の圧差をP、流体の流出に対する抵抗をRとし、実際の使用環境条件を考慮したループモデル条件の最初のループによって発生する第1高低差の高低差抵抗からなるサイフォン化抵抗Rsを乗り越えて持続流出を開始するサイフォン化のための初期の圧差としてのサイフォン化圧Psを生むための必要な流出元の弾性閉鎖空間を満たす極力少ない最少容量Vminと規定し、そのサイフォン化圧Psにより、第1高低差のピークを乗り越え、流出開始するサイフォン化境界の第1高低差の管腔を占める容量をVloopとすると、途中の回路である流出誘導体内腔量Vgと流出チューブの内腔量Vtとの関係は、
Figure 2023083202000073
であり、これを満たし、かつ、管腔内を流出中も隙間無く充満しながら流出するように管腔内径が設計されたサイフォン回路であり、ひとたび圧差Pが「数11(Ps ≧ Rs=Rh+Rg+f(Lht,rt) >Rg+Rt)を満たす、サイフォン化抵抗Rsと釣り合うPs値を越えると、サイフォン化され、第1高低差の以降のループによって発生する第2高低差があっても流出元の弾性により陰圧になること無く流出し続けて完全流出する。
そのための、実際の使用状況、環境をモデル化し、その条件の下で、サイフォン化するための回路の条件を明確にし、きちんと定め、さらに規格を決め、その品質を保証し、その品質管理システムを構築し、それにより負荷試験も実施し、その規格並び限度を明らかにした製品として保証されたものが持続流出システム回路であり、「規格の規定」、「品質保証」と「規格と品質の管理」という3つのプロセスを含み、それを循環させるのがその品質管理システムである。
P 流出元と流出先の圧差(流出駆動圧・駆動圧力・初期駆動圧)
Ps 初期サイフォン化圧
Pc 弾性閉鎖空間内に流体が充満することにより生まれる圧力と腹圧の圧力
Pp 流体質量と位置エネルギーとにより生じる圧力

R 管路抵抗および高低差抵抗、末梢抵抗など管路抵抗以外の抵抗も含む抵抗
Rall 回路全体の管路抵抗
Rs 初期サイフォン化抵抗
Rh サイフォン化境界までの高低差と流体の比重(密度)とにより生まれる高低差抵抗
Rhg 流出誘導体の高低差抵抗
Rht サイフォン化境界までの流出チューブの高低差抵抗
Rg 流出誘導体全長の管路抵抗
Rt 流出チューブ全長の管路抵抗
Rloop サイフォン化境界までの管路抵抗
Rp (流出先における抵抗である)末梢抵抗

V0 弾性閉鎖空間(膀胱)を満たす容量
Vmin 初期サイフォン化圧Psを生むための規定する最小容量
Vloop サイフォン化境界に至るまでの第1高低差の管腔容量
Vhg サイフォン化境界に至るまでの流出誘導体内腔量
Vht サイフォン化境界に至るまでの流出チューブ内腔量
Vg 流出誘導体の全内腔容量
Vt 流出チューブの全内腔容量

L 回路長
r 回路内径の半径
rg 流出誘導体内径の半径
rt 流出チューブ内径の半径
Lhg 流出誘導体長さ
Lht 流出チューブ長さ
Lg 流出誘導体全長
Lt 流出チューブ全長
h 流出元から回路が高い部分の高低差

V 流体速度
λ 管の摩擦抵抗
σ 流体比重(密度)

Claims (10)

  1. 体内にある伸展収縮可能な弾性閉鎖空間である流出元から流体をサイフォン化によって持続的に流出させる持続流出システム回路であって、
    前記流出元から前記流体を流出させるために設けられる流出誘導体と、
    前記流出誘導体から流出先までに前記流体を移動させるための前記流出チューブと、
    開放式ドリップチェンバーを備える解放された前記流出先の閉鎖式貯留バッグと、
    を備え、
    前記流出元と前記流出先の圧差をP、前記流体の流出に対する回路全体の管路抵抗をRallとし、
    実際の使用環境条件を考慮した臨床ループモデル条件の第1高低差H1とその管内抵抗による初期サイフォン化抵抗Rsを乗り越えて持続流出を開始するサイフォン化のための初期の圧差としての初期サイフォン化圧Psを生むための規定最少容量Vminとし、
    その内の前記弾性閉鎖空間を満たす容量をVoとし、その初期サイフォン化圧Psにより、前記第1高低差のピークを乗り越え流出開始するサイフォン化境界までの前記第1高低差の管腔を占める容量をVloopとし、その内の前記流出誘導体の内腔量Vhgと流出チューブの内腔量Vhtとし、さらに前記流出誘導体及び前記流出チューブそれぞれの全内腔容量をVg,Vtとするとその関係は、
    Figure 2023083202000021
    であり、前記式により規定されるサイフォン化容量条件を満たし、かつ、前記管腔内を流出中も隙間無く充満しながら流出するように前記管腔内径が設計されたサイフォン回路であり、ひとたび前記圧差Pが初期サイフォン化抵抗Rsと釣り合うPs値を越えると、サイフォン化され、第1高低差H1の以降のループによって発生する第2高低差H2があっても前記流出元の弾性により陰圧になること無く流出し続けて完全流出することを特徴とした持続流出システム回路。
  2. 前記第1高低差はループによって前記流出元よりも高くなる実地臨床上必須の高低差であり、前記第2高低差は前記第1高低差の後に前記流出元と前記流出先の回路の途中でループによって生じる1つ又は2つ以上の高低差であり、これらの高低差があってもひとたび前記初期サイフォン化圧Psを得て回路がサイフォン化すると最後まで流出は続き、完全流出することを特徴とした請求項1記載の持続流出システム回路。
  3. 前記流出元より前記サイフォン化境界までの前記第1高低差H1と流体の比重(密度)σとから生まれる高低差抵抗をRhとし、さらにその中でも前記流出誘導体の高低差抵抗Rhgと前記サイフォン化境界までの前記流出チューブの高低差抵抗Rhtとすると、その総和が高低差抵抗Rhであり、前記流出誘導体全長の管路抵抗Rg、前記流出チューブの全長の管路抵抗Rt、前記流出先における抵抗である末梢抵抗Rpとし、一般的に、流れる回路の長さL、回路の内径2r、流れるスピードをv、管の摩擦係数をλとした場合、管路抵抗は、
    Figure 2023083202000022
    で示され、
    前記流出誘導体の半径をrg、前記流出チューブの半径をrtとし、前記サイフォン化境界までのそれぞれの回路の長さをLhg,Lhtとし、前記流出誘導体の全長Lg、前記流出チューブの全長Ltとすると、使用条件による前記サイフォン化境界までの高低差抵抗は、
    Figure 2023083202000023
    で示され、
    実際の前記サイフォン化境界までの管路抵抗は、
    Figure 2023083202000024
    であり、
    初期サイフォン化抵抗Rsは、その総和
    Figure 2023083202000025
    となり、
    システム回路そのものの全体の管路抵抗Rallは、
    Figure 2023083202000026
    を極力小さくし、
    Figure 2023083202000027
    を満たすとサイフォン化し、
    Figure 2023083202000028
    となり、さらに前記サイフォン化境界が流出チューブであれば、
    Figure 2023083202000029
    であり、このシステム回路は前記開放式ドリップチャンバーを使用して
    Figure 2023083202000030
    としているため、
    Figure 2023083202000031
    を満たすことを特徴した請求項2記載の持続流出システム回路。
  4. この回路の駆動力としての圧差Pは、前記弾性閉鎖空間に流体が貯留することにより生じる圧縮圧あるいは生体そのものからの内圧(腹腔、胸腔など)からなる圧縮圧Pcと前記弾性閉鎖空間に貯留する前記流体の質量の位置エネルギーによる重さの圧Ppからなることを特徴とした請求項2記載の持続流出システム回路。
  5. 請求項2に記載の持続流出システム回路を前記臨床ループモデル条件下で、規格設定した前記初期サイフォン化圧と最少容量で実際に駆動する製品かどうか、さらに実際に前記初期サイフォン化圧を測定チェックする持続流出システム回路の規格適合確認方法としての初期サイフォン化圧測定法と簡易完全流出確認テスト法により規格テストされ認定されることを特徴とした持続流出システム回路の品質管理システム。
  6. 臨床条件を反映した条件の前記流体で駆動するかどうかを、基準人工膀胱と基準濃縮糖尿を用いた基準負荷テスト並びに限界を確認するための負荷限界確認方法を含むPDCAサイクルにより管理されることを特徴とした請求項5記載の持続流出システム回路の品質管理システム。
  7. 前記基準人工膀胱は高低差20cmと管路抵抗をクリアー出来るように余裕を持たせて、前記流体を50mlを充満させたら内圧が25cm水柱の内圧になるように設計作製されたものであることを特徴とした請求項6記載の持続流出システム回路の品質管理システム。
  8. 持続流出システム回路を流れる前記流体として基準人工尿と基準濃縮糖尿、その他臨床上遭遇する性状の人工尿は、前記初期サイフォン化圧測定法と簡易完全流出確認テスト法の規格適合確認テストおよび負荷テスト並びに限界確認するための負荷限界確認方法を含む請求項6に記載の持続流出システム回路の品質管理システム。
  9. 前記流出元である前記基準人工膀胱の規格、前記流体である前記基準濃縮糖尿の性状、前記規定最少容量Vmin、管径、管の長さ、管の材質、及び管の摩擦係数などの前記初期サイフォン化抵抗の要素は、必要に応じて変更することが出来、その種々の条件、種々の規格によっても、持続流出システム回路か否か、の適合確認を行うことが可能であり、品質を保証できることを特徴とする請求項6に記載の持続流出システム回路の品質管理システム。
  10. 実際の使用される現場の状況、環境下でも、実際にサイフォン化され持続流出可能か否かに関して、請求項6記載の持続流出システム回路の品質管理システムにより、規格確認テストを行い、その規格を検定し品質を保証することを特徴とする請求項1記載の持続流出システム回路。
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