JP2023081465A - 鉄-クロム-コバルト系磁石によるマグネットフィルタおよびその製造方法 - Google Patents

鉄-クロム-コバルト系磁石によるマグネットフィルタおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、フィルタ内部まで強い吸着力を有し、かつ、除去したい磁性不純物に合わせてフィルタ全体の大きさやフィルタの目開きを自由に設計することができる形状自由度が高い3次元構造のマグネットフィルタを提供することを目的とする。【解決手段】 本発明のマグネットフィルタは、鉄-クロム-コバルト系磁石による3次元格子構造を有することを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、鉄-クロム-コバルト系磁石によるマグネットフィルタおよびその製造方法に関する。
磁性材料は、硬磁性材料と軟磁性材料に区分される。そのうち、硬磁性材料は保磁力が大きく、外部磁場に対して減磁しにくい磁性材料を指し、代表的なものとして、フェライト磁石、NdFeB系磁石、SmCo系磁石、金属磁石などの永久磁石がある。中でも、金属磁石は比較的小物や複雑な形状の量産に向いているという特徴を有している。金属磁石の例としては、鉄、クロム、コバルトを主成分とした磁石(鉄-クロム-コバルト系磁石)や、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルトを主成分とした磁石(アルニコ磁石)がある。
鉄-クロム-コバルト系磁石は、アルニコ磁石に比べ、高い磁束密度と最大エネルギー積を持つため、磁気性能に優れ、さらにコバルト含有量が少ないため、価格変動リスクが少ない。また、鉄-クロム-コバルト系磁石は、アルニコ磁石と同様、残留磁束密度の温度係数が小さいため、温度安定性に優れるほか、原料にレアアースを使用していないため、調達安定性に優れ、製品適用し易いメリットがある。なお、鉄-クロム-コバルト系磁石は、ステッピングモーターやリレー、トルクリミッター、磁気センサー等に利用されている。
また、永久磁石の磁力を利用した各種のフィルタが提案されている。特許文献1には、永久磁石の近傍に取り付けられた網状のフィルタが記載されている。このフィルタは鉄等の軟磁性材料で形成されており、磁石の近傍に取り付けられることによって磁性を帯びる。汚水中の磁性不純物は、永久磁石だけでなく、このフィルタにも付着する。このフィルタは取り外し可能で、取り外したフィルタを酸で処理することによって磁性不純物を回収できるとされている。さらに、特許文献2には、フィルタの内部に格子パターン(2次元)のボンド磁石を配置することによって、フィルタを流れ抜ける流体中の汚染物を引き付けトラップできることが記載されている。
一方、特許文献3には、鉄-クロム-コバルト系合金材料を用いて、付加製造法によって、加工中の割れや欠けの低減に寄与し得る鉄-クロム-コバルト系積層合金を得ることが示されているが、平面的な構造体を作製し、良好な磁石組織や磁気特性を確認するのみで、具体的な3次元構造については何も記載されていない。
特開2002-102862号公報 特表2000-502284号公報 特開2021-42456号公報
特許文献1に記載のフィルタは、永久磁石によって鉄などの軟磁性材料による網目状フィルタを磁化し、磁化したフィルタによって磁性不純物を吸着除去する構成であるため、網目状フィルタの吸着力は永久磁石から離れれば離れるほど弱くなってしまう。特許文献1においては、網目状フィルタを磁化している永久磁石と網目状フィルタの両方で不純物を吸着しており、網目状フィルタのみでの吸着力はそれほど大きくないと考えられる。
特許文献2に記載のフィルタは、ボンド磁石で2次元の格子を形成しているが、特許文献2記載の2次元の格子では、多くの不純物の除去は期待できないと考えられる。ボンド磁石で形成できる格子の形状、大きさ、目開きの大きさなどには限界があり、特に特許文献1に記載のような3次元の網目構造を形成することは現在の技術水準では事実上不可能である。
本発明は上記課題を解決するものであり、フィルタ内部まで強い吸着力を有し、かつ、除去したい磁性不純物に合わせてフィルタ全体の大きさやフィルタの目開きを自由に設計することができる形状自由度が高い3次元構造のマグネットフィルタを提供することを目的とする。
発明者は、特許文献1記載のマグネットフィルタのように軟磁性材料を永久磁石で磁化するのではなく、永久磁石そのものに磁性不純物を吸着させるマグネットフィルタについて検討したところ、鉄-クロム-コバルト系磁石による3次元格子構造体を作製し、そのままフィルタとして用いることにより前記目的を達成できることを見出した。
本発明のマグネットフィルタは、鉄-クロム-コバルト系磁石による3次元格子構造を有することを特徴とする。
本発明のフィルタ装置は、前記マグネットフィルタを組み込んで用いることを特徴とする。
本発明の3次元格子構造を有する鉄-クロム-コバルト系磁石によるマグネットフィルタの製造方法は、付加製造法を用いて製造することを特徴とする。
本発明の3次元格子構造を有する鉄-クロム-コバルト系磁石によるマグネットフィルタの製造方法は、付加製造法で形成した鉄-クロム-コバルト系合金の造形体に対し、溶体化処理、磁場中熱処理、時効処理を行うことを特徴とする。
本発明により、フィルタ内部まで強い吸着力を有し、かつ、除去したい磁性不純物に合わせてフィルタ全体の大きさやフィルタの目開きを自由に設計することができる形状自由度が高い鉄-クロム-コバルト系磁石によるマグネットフィルタを提供することができる。
実施例の造形体の作製に用いた3次元CADデータを2次元で表現した図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。 実施例で作製した造形体の写真である。 実施例の造形体の作製に用いた3次元CADデータを2次元で表現した図であり、(a)は側面図、(b)は上面図と単位格子の詳細図である。 実施例で作製した造形体の写真である。
本発明は、永久磁石材料として、鉄-クロム-コバルト系磁石(以下、「FCC磁石」と称す)を用いる。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、FCC磁石は、着磁によって永久磁石としての機能を有するもの、未着磁のもの、脱磁されたものを含むこととする。また、本発明のマグネットフィルタは、3次元格子構造を有するFCC磁石の単体を称し、着磁されているもの、未着磁のもの、脱磁されているものを含むこととする。さらに、本発明のマグネットフィルタが組み込まれている装置はフィルタ装置として、FCC磁石単体である本発明のマグネットフィルタと区別することとする。
最初に、FCC磁石について詳しく説明する。FCC磁石は、Fe、CrおよびCoを含む金属材料を溶解し、冷却によって凝固した後、さらに、溶体化処理、磁場中熱処理および時効処理などの熱処理工程を行うことによって製造され得る。これらの熱処理工程により、Fe-Cr-Co系合金中でスピノーダル分解が生じ、強磁性相の単磁区微粒子が非磁性マトリックス中に析出する。スピノーダル分解が生じるとき、特定方向の磁場を印加することにより、Fe-Cr-Co系合金に磁気異方性を与えることができる。以下、熱処理工程前におけるFe-Cr-Co系合金を単に「FCC合金」と称し、「FCC磁石」とは区別する。従来のFCC磁石は鋳造法や圧延法で作製される。鋳造法や圧延法の詳細は本明細書では省略する。
本発明のマグネットフィルタは、付加製造法(具体的に積層造形法と呼ばれることもある)によって作製することができる。付加製造法では、切削による除去的な加工や、型に材料を流し込んで固める成形加工とは異なり、メッシュ形状やポーラス形状をはじめとする、かつては製造が困難であった形状を容易に正確に製造できる。付加製造法には様々な手法があるが、例えば、パウダーベッドフュージョン方式の積層造形法では、粉末材料を一層ずつ造形ステージ全体に敷き詰め、各層毎に3次元CADデータに対応した所定の箇所にレーザ等を照射し、粉末材料を溶融・凝固させて一体化する。これを繰り返して目的の造形体を得ることが出来る。付加製造法では、材料として、樹脂だけでなく金属を用いることもできる。出願人は特許文献3および特願2021-019881号において、代表例としてパウダーベッドフュージョン方式の積層造形法を用いてFCC合金およびFCC磁石を製造する方法を開示している。
以下、付加製造法によってFCC磁石を製造する方法について詳細に説明する。
[原料粉末]
本発明では、粉末状のFCC合金を原料として用いる。より詳細には、質量比で17~45%Cr、3~35%Co、5%以下の添加元素、残部はFeおよび不可避不純物からなるFCC合金であり、前記添加元素は、例えば、Ti、Mo、V、Si、およびAlからなる群から選択された少なくとも1種の元素である。前記添加元素は少なくともTiを含むことが好ましく、例えば、質量比で17~45%Cr、3~35%Co、0.1~5%Ti、残部はFeおよび不可避不純物からなる組成とすることが好ましく、20~40%Cr、5~14%Co、0.1~0.6%Ti、残部はFeおよび不可避不純物からなる組成とすることがより好ましい。Ti以外の元素を複合的に含有することもできる。目的とする組成のFCC合金が得られるように各元素の供給材料を所定量計量し混合してなる原材料をるつぼに装填し、高周波溶解し、るつぼ下のノズルから溶融した合金を落下させ、高圧アルゴンで噴霧してガスアトマイズ粉を作製する。このガスアトマイズ粉を分級して得られるFCC合金粉末を付加製造法の原料粉末とする。
[積層造形]
FCC合金の造形体を作製するにあたり、はじめに、造形体を層分割した3次元CADデータを作成する。次に、パウダーベッドフュージョン方式の積層造形機を用い、分割した層ごとにベースプレート上に供給した原料粉末をレーザ照射により高速溶融・急冷凝固させ、これを積層することでベースプレート上に3次元の造形体を作製する。最後に、造形体をベースプレートから切り離すことで、FCC合金の造形体を得る。
ここで、積層造形条件は原料粉末の粒径や組成、造形体の大きさ・形状・特性、生産効率等を考慮して適宜定められる。本発明のFCC合金については、原料粉末を高速溶融させるためにレーザ照射によって投入するエネルギーの密度(熱源の エネルギー密度:J/mm)が小さ過ぎると、磁気特性、特に角型比の低下や欠陥率の上昇を来し、FCC磁石として実用に供することが困難になる。一方、 エネルギー密度が大き過ぎるとレーザ照射位置を中心とする広範囲の原料粉末が溶融し、造形体の形状を維持することが困難になる。これらの観点から、エネルギーの密度(J/mm)は35以上 が好ましく、35以上、130以下の範囲がより好ましく、50以上、110以下の範囲が更に好ましく、60超、95以下の範囲が更に好ましい。さらに、このようなエネルギー密度を実現するためには、積層造形する際の原料粉末層の一層厚さは10~80μmとすることが好ましい。レーザの照射ビーム径は約0.1mmとすることが好ましい。レーザ出力は50~400Wとすることが好ましい。レーザ走査速度は400~2500mm/sとすることが好ましい。レーザ走査ピッチは0.04~0.15mmとすることが好ましい。ここで、 エネルギー密度E(J/mm)はレーザ出力P(W)、レーザ走査速度v(mm/s)、レーザ走査ピッチa(mm)、原料粉末層の一層厚さd(mm)を用いて式(1)から求められる。
E=P/(v×a×d) (1)
[造形体]
次に、マグネットフィルタを形成する3次元格子構造について説明する。本発明における3次元格子構造とは、外部に連通する複数の内部空隙を有する構造であって3次元のCADデータで定義できるものであれば、その構成は問わない。前記内部空隙は、互いに連通して1つ以上の空隙を形成していてもよい。典型的には、1つの開放空間を定義する骨組み(単位格子)が前後左右上下斜めの方向に、すなわち3次元の方向に繰り返されることによって形成される構造が挙げられる。
例えば、図1に示す開口部が正方形である立方格子や図2に示すケルビン格子と呼ばれる多面体格子などの立体的網目状格子、ハニカム構造、その他、複数の内部空隙を定義する構造が含まれる。単位格子は必ずしも直線の組み合わせで構成される必要はなく、曲線を含んでもよい。骨組みの太さは一定でなくてもよい。複数種の単位格子の組み合わせによって構成されていてもよい。位置によって寸法に差があってもよい。例えば、内部に向かうほど空間が広くなる構造でもよいし、またはその逆でもよい。繰り返しの規則性はある程度ラフなものであってもよい。
本発明では、3次元CADデータを作成することで、任意の格子構造を造形できる。そのため、マグネットフィルタによって取り除きたい磁性不純物の大きさや磁性不純物を含む液体の粘度等に合わせてあらゆる格子構造の造形体が造形可能である。造形体の強度や磁性不純物の除去能を考慮すると、格子構造の最細部の厚みは0.2mm以上が好ましい。また、1つの開口部の面積は0.04mm以上が好ましい。
[熱処理]
造形後には、造形体の溶体化処理、磁場中での熱処理、時効処理を行う。
溶体化処理は、真空もしくは減圧雰囲気、または酸化性雰囲気(典型的には大気中)において、造形体の温度を600℃以上950℃以下、好ましくは700℃以上850℃以下の範囲で、例えば10分以上20分以下の間、維持する。この溶体化処理によってFCC系合金は、強磁性元素と非磁性元素との固溶体(α相)から構成された状態になる。
磁場中熱処理は、例えば200kA/m以上の磁場中で造形体の温度を600℃以上700℃以下、好ましくは620℃以上660℃以下の範囲で、例えば60分以上90分以下の間、維持する。この磁場中熱処理によってFCC系合金では、スピノーダル分解が進行し、α1相(FeCo強磁性相)およびα2相(Cr非磁性相)の2相に分離した状態に変化する。スピノーダル分解が進行するときに磁場が印加されているため、強磁性のα1相が磁場の向きに整合して長く成長する。その結果、形状磁気異方性を発現させることができる。磁場中熱処理の雰囲気も大気中でよい。
時効処理は400℃以上670℃以下の温度範囲で行う。時効処理では、磁場中熱処理の温度よりも5~30℃程度低い時効処理開始温度(例えば570~670℃)から時効処理終了温度(例えば400~600℃)まで、毎時1~7℃、好ましくは毎時2~6℃の降温速度で行う制御冷却の過程が含まれていることが好ましい。磁場中熱処理の温度から、いったん時効処理開始温度未満まで降温させてもよい。その場合は、時効処理開始温度まで昇温してから冷却を開始する。これによって、α1相とα2相の組成差を拡大させ、よりFeCoに富む相とCrに富む相に分離することができるため、α1相をより磁場方向に成長させて保磁力を高くすることが可能になる。時効処理の雰囲気も大気中でよい。
[マグネットフィルタの使用方法]
本発明のマグネットフィルタは永久磁石自体がフィルタ形状を形成しているため、マグネットフィルタ自体を着磁することで磁性不純物を吸着するようになり、吸着した磁性不純物はマグネットフィルタを脱磁することで容易に除去、回収できる。また、様々な使用形態に適用可能である。例えば、着磁したフィルタを除去したい磁性不純物が含まれているタンク内に浸漬し、磁性不純物が吸着されたマグネットフィルタをタンクから取り出した後脱磁することで、タンク内の磁性不純物を容易に回収することができる。また、着脱磁機能を有する装置内にマグネットフィルタを配置し、着磁して磁性不純物が含まれている液体を流し、その後脱磁して付着した磁性不純物を洗い流すようにしてもよい。
[フィルタ装置]
さらに、本発明のマグネットフィルタを組み込んだフィルタ装置を提供することができる。フィルタ装置としては、例えば、電磁石などによって着脱磁機能を有する装置内に本発明のマグネットフィルタを配置したものや、脱磁後のマグネットフィルタを洗浄する機能を有するもの、などが挙げられる。マグネットフィルタは必ずしも装置内に固定される必要はなく、適宜取り出して着脱磁や洗浄を行ってもよい。
以下、付加製造法によって本発明のマグネットフィルタを造形することのメリットについて述べる。まず、本発明のような3次元格子構造を有するFCC磁石を、FCC磁石の従来の製造法である鋳造法や圧延法、焼結法などで製造するのは困難を極める。塊状の鋳造合金や焼結体に切削加工等を施して格子構造を形成するのはほぼ不可能であるし、線状の薄型圧延磁石を網状に編んで形成するには相当の技術力やコストが必要とされる。付加製造法によれば、このような従来は非常に製造が困難であった3次元格子構造のFCC磁石合金が、比較的低コスト短時間で製造可能である。
また、本発明のマグネットフィルタは、硬磁性材料そのものをマグネットフィルタ本体として用いるため、3次元格子構造の内部まで起磁力を有する。この点、特許文献1記載のフィルタのように、鉄などの軟磁性材料を永久磁石で磁化した場合に比べてフィルタ内部まで強い吸着力を有し、高い表面積と高い空孔率を有し磁性不純物を含む流体との接触面積の大きい3次元格子構造のフィルタとしては、最高の吸着力を有するマグネットフィルタの実現が期待できる。
なお、付加製造法によるFCC磁石の製造工程では、FCC合金を造形の後に高温で熱処理を行ってFCC磁石とするため、FCC磁石は、造形に伴う熱の影響を考慮する必要がなく、磁石材料の中でも付加製造法に適した永久磁石である。
図1に示すような立方格子の3次元CADデータを用意した。図1(a)はこの立方格子の3次元CADデータを2次元で表現した上面図と単位格子の寸法を示す図、(b)は立方格子の同じく側面図と単位格子の寸法を示す図である。
組成が質量%で、10.1%のCo、24.5%のCr、0.2%のTi、0.5%のC、残部Feとなるように各元素の供給材料を所定量計量し混合してなる原材料をるつぼに装填し、真空中で高周波溶解し、るつぼ下の直径5mmノズルから溶融した合金を落下させ、高圧アルゴンで噴霧してガスアトマイズ粉を作製した。このガスアトマイズ粉を分級して10~60μmのFCC合金粉末を得た。これを原料粉末とした。
パウダーベッドフュージョン方式の積層造形機(EOS社製EOS-M290)を用い、S45C製ベースプレート上に供給した原料粉末をレーザ照射による高速溶融・急冷凝固させて、図1の造形体を作製した。図1の各部分の寸法は以下のとおりである。X:10mm、Y:10mm、Z:20mm、開口部の寸法(x1、y1、z1):1.3mm、最細部の厚み(x2、y2、z2):0.6mm、すなわち、大きさ:2000mm、1辺(開口部+磁石部分):約1.9mm、開口部の面積:1.7mmの立方格子である。
積層造形条件は次の通りとした。
・原料粉末層の一層厚さ/40μm
・レーザビーム径/約0.1mm
・レーザ出力/200W
・レーザ走査速度/800mm/s
・走査ピッチ/0.09mm
・エネルギー密度/69J/mm
造形体の熱処理として、先ず、溶体化処理900℃、1.3時間、次いで、260kA/mの磁界中、620℃、2.5時間、更に、時効処理625℃、1.2時間を施した。その後、5℃/分程度で冷却した。かかる熱処理を経て、FCC磁石造形体を得た。得られた造形体の写真(斜視)を図2に示す。
[磁気特性]
造形体の磁気特性評価は、別途同様の条件で作成した磁石片を用い、B-Hトレーサーを用いて行った。各造形体のB-H曲線を求め、B-H曲線より、残留磁束密度B1.30[T]、保磁力HcB44.5[kA/m]、最大エネルギー積(BH)max42.5[kJ/m]、角形比73.5%であった。
[マグネットフィルタとしての使用]
得られた造形体をソレノイド着磁器にて着磁しFCC磁石によるマグネットフィルタを得た。1~2μm程度の大きさの鉄粉を126.48g含ませた2Lの水中(水槽の大きさは307×232×111mm)に造形体を浸漬し、液を攪拌しつつ1分間放置後、取り出した。取り出したマグネットフィルタには鉄粉が付着していた。マグネットフィルタをパルス脱磁機にて脱磁し、鉄粉を洗い流すことで、付着した鉄粉を容易に回収することができた。洗い流された鉄粉の重量を測定したところ、0.80gであり、マグネットフィルタの単重に対し22.8%の鉄粉が液中から除去できたことがわかった。
図3に示すような多面体格子の3次元CADデータを用意した。図3(a)は多面体格子の3次元CADデータを2次元で表現した側面図、(b)は多面体格子の同じく上面図と単位格子の詳細図である。
実施例1と同じ条件で、図3のFCC磁石造形体(図の寸法X:15×Y:15×Z:48mm、x:3mm、y:3mm、多面体1辺の直径r:0.5mm、六角形開口部の面積3.72mm、正方形開口部の面積0.56mm)を作製した。得られた造形体の写真(斜視)を図4に示す。得られたFCC磁石によるマグネットフィルタを用いて、実施例1と同じ条件で実験を行ったところ、38.6%の鉄粉が液中から除去できたことがわかった。

Claims (4)

  1. 3次元格子構造を有する鉄-クロム-コバルト系磁石によるマグネットフィルタ。
  2. 請求項1記載のマグネットフィルタを用いたフィルタ装置。
  3. 付加製造法を用いて製造することを特徴とする3次元格子構造を有する鉄-クロム-コバルト系磁石によるマグネットフィルタの製造方法。
  4. 付加製造法で形成した鉄-クロム-コバルト系合金の造形体に対し、溶体化処理、磁場中熱処理、時効処理を行うことを特徴とする、3次元格子構造を有する鉄-クロム-コバルト系磁石によるマグネットフィルタの製造方法。
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