JP2023081369A - 自己相補的アデノ随伴ウイルスベクター及び筋ジストロフィーの治療におけるその使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】筋ジストフィー、例えばLGMD2Dなどの肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)に罹患している対象における線維症を軽減し、予防するための治療用ベクターを提供する。【解決手段】自己相補的組換えAAV(rAAV)scAAVrh74.tMCK.hSGCAベクターを構成する特定のヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド配列、および前記ポリヌクレオチド配列を含む組換えAAVベクターを提供する。【選択図】なし
Description
本出願は、2021年11月30日に出願された、米国仮出願第63/284418号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
電子的に提出された資料の参照による組み込み
本出願は、本開示の別個の部分として、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、サイズ:24,131バイト、作成日:2022年11月9日の56757_Seqlisting.txtとして識別される、コンピュータ可読形態の配列表を含む。
本出願は、本開示の別個の部分として、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、サイズ:24,131バイト、作成日:2022年11月9日の56757_Seqlisting.txtとして識別される、コンピュータ可読形態の配列表を含む。
アルファ-サルコグリカンを発現するAAVベクターのような治療ベクター、並びに筋ジストロフィー、例えばLGMD2Dなどの肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)に罹患している対象における線維症を軽減し、予防するためにこれらのベクターを使用する方法が、本明細書に記載される。
筋ジストロフィー(MD)は遺伝性疾患のグループである。このグループは、動作を制御する骨格筋の進行性の衰弱及び変性を特徴とする。MDのいくつかの形態は乳児期又は小児期に発症するが、他の形態は中年以降まで現れない場合がある。障害は、筋力低下の分布及び程度(MDのいくつかの形態は心筋にも影響を及ぼす)、発病年齢、進行速度、並びに遺伝形式の点で異なる。
MDのうちの1つのグループは、肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)である。LGMDは、まれな状態であり、発症年齢、筋力低下の領域、心臓及び呼吸器の関与、進行速度、並びに重症度に関して、ヒトによって症状が異なる。LGMDは、小児期、青年期、若年成人期、又はそれ以降に始まる可能性がある。両方の性別が等しく影響を受ける。LGMDは、肩及び骨盤帯に衰弱を引き起こし、上肢及び腕の近くの筋肉も時間とともに衰弱することがある。脚の脱力感は、腕の脱力感よりも前に現れることがよくある。顔の筋肉は、通常影響を受けない。状態が進行するにつれて、人々は、歩行に問題を抱えることがあり、時間の経過とともに車椅子を使用する必要があり得る。肩及び腕の筋肉が関与すると、腕を頭上に上げたり、物を持ち上げたりするのが困難になることがある。LGMDの種類によっては、心臓及び呼吸筋が関与し得る。
LGMDのための専門の検査は、診断のための全国的な計画であるNational Commissioning Group(NCG)を通じて現在利用可能である。
LGMDサブタイプ2D(LGMD2D)は、しばしばα-サルコグリカノパチーと呼ばれ、アルファ-サルコグリカン遺伝子(SGCA;アルファ-サルコグリカン)の変異によって引き起こされる常染色体劣性疾患であり、ジストロフィン関連タンパク質複合体の他の構造成分の喪失を伴う機能性タンパク質の完全又は削減された喪失をもたらす。特に、アルファ-サルコグリカンタンパク質の喪失は、3~8歳で発症する、筋機能の低下を伴う進行性筋ジストロフィーを引き起こす。症状には、歩行の遅延、脂肪の置換及び線維症によって引き起こされる近位筋の衰弱、クレアチンキナーゼの上昇、脊柱側弯症、並びに関節拘縮が含まれる。衰弱させる病気は、しばしば車椅子依存及び呼吸不全による死につながる。したがって、LGMD2Dの治療の必要性が残っている。
AAVは、例えば、遺伝子療法において、外来DNAを細胞に送達するためのベクターとして魅力的にする固有の特徴を有する。培養中の細胞のAAV感染は、非細胞変性であり、ヒト及び他の動物の自然感染は、サイレント及び無症候性である。更に、AAVは、多くの哺乳動物細胞を感染させ、インビボで多くの異なる組織を標的とする可能性を許容する。更に、AAVは、緩徐に分裂する細胞及び非分裂細胞を形質導入し、転写的に活性な核エピソーム(染色体外要素)として本質的にそれらの細胞の寿命にわたって存続し得る。AAVプロウイルスゲノムは、組換えゲノムの構築を実現可能にするプラスミド内のクローニングされたDNAとして挿入される。更に、AAV複製及びゲノムカプシド形成を指示するシグナルが、AAVゲノムのITR内に含まれるため、内部約4.3kbのゲノム(複製及び構造カプシドタンパク質をコードする、rep-cap)の一部又は全てが、外来DNAで置換されてもよい。AAVベクターを生成するために、rep及びcapタンパク質は、トランスで提供され得る。AAVの別の重要な特徴は、それが極めて安定した頑健なウイルスであることである。これは、アデノウイルスを不活性化するために使用される条件(56°~65℃で数時間)に容易に耐え、AAVの低温保存の重要性を低くする。AAVは、凍結乾燥され得る。最後に、AAV感染細胞は、重複感染に耐性を示さない。
LGMD及び他の筋ジストロフィーに罹患している患者における機能改善には、遺伝子回復及び線維症の軽減の両方が必要である。LGMD及び他の筋ジストロフィーのより効果的な治療のための遺伝子回復法で修復され得る線維症を軽減させる方法が必要とされている。
アルファ-サルコグリカン遺伝子を発現する遺伝子用治療ベクター(例えば、AAV)、並びにアルファ-サルコグリカンを筋肉に送達し、線維症を軽減及び/又は予防する方法、及び/又は筋力を増加させる方法、及び/又は筋ジストロフィーを罹患している哺乳動物対象を治療する方法が、本明細書に記載される。
アルファ-サルコグリカン遺伝子を発現する自己相補的AAV(scAAV)が、本明細書に提供される。例えば、提供されるscAAVは、i)自己相補的であるアルファ-サルコグリカンタンパク質をコードする2つのヌクレオチド配列と、ii)自己相補的であり、AAVゲノム配列(発現カセット)の中心に位置する変異逆方向末端反復(ITR)を含む、2つのポリアデニル化配列と、を含む、ポリヌクレオチド配列を含む。
また、ポリヌクレオチド配列を含む組換えAAV(rAAV)ベクターも提供され、ポリヌクレオチド配列は、5’から3’方向に、(1)ポリアデニル化配列の相補的配列と、(2)目的の遺伝子の相補的配列と、(3)イントロンの相補的配列と、(4)プロモーターの相補的配列と、(5)5’ITR配列と、(6)プロモーターと、(7)イントロンと、(8)目的の遺伝子と、(9)ポリアデニル化配列と、を含み、ポリヌクレオチド配列は、2つの3’ITR配列によって隣接され、2つの3’ITR配列は、互いに相補的である。一実施形態では、目的の遺伝子は、ヒトサルコグリカン-β(hSCGB)、ヒトサルコグリカンγ(hSCGG)、ヒトジスフェルリン、又はヒトANO5、又はカルパイン-3(Cap3)遺伝子を含む。別の実施形態では、プロモーターは、筋特異的制御要素である。筋特異的制御要素の例は、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、筋細胞特異的エンハンサー結合因子MEF)要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮MCK(tMCK)プロモーター、tMCKエンハンサー、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、MHCK7プロモーター、C5-12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンc遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンC遺伝子要素、遅筋トロポニンI遺伝子要素、低酸素誘発性核因子結合要素、又はステロイド誘発性要素、又はグルココルチコイド応答要素(GRE)を含む。
一本鎖AAVベクター(ssAAV)は、核に入ると、複製及び転写の準備が整う前に、第2の鎖の細胞媒介性合成を必要とする。しかしながら、scAAVがssAAVにおいて必要とされる第2鎖の細胞合成の律速段階を迂回するので、本明細書において提供されるscAAVは、遺伝子療法においてssAAVよりも優れている。
2つの自己相補的ヌクレオチド配列(発現カセットとも称される)を含むポリヌクレオチドが、本明細書で提供され、各ヌクレオチド配列は、tMCKプロモーター、hSGCA cDNA配列、及びポリアデニル化配列、並びに2つのヌクレオチド配列の間に位置する単一の5’ITRを含む。5’ITRは、ヌクレオチド配列がハイブリダイズするときにヘアピンを形成する。
例えば、本開示は、配列番号1のポリヌクレオチド配列を提供し、これはまた図1に概略図として示される。配列番号1のポリヌクレオチド配列は、配列番号3のアミノ酸配列をコードし、互いにハイブリダイズする2つのhSGCA cDNA配列(配列番号2及び/又は配列番号6)、互いにハイブリダイズする2つのtMCKプロモーター(配列番号7及び/又は配列番号9)、並びに互いにハイブリダイズする2つのポリアデニル化配列(配列番号5及び/又は配列番号10)を含む、4857ヌクレオチド配列である。ポリヌクレオチド配列の中心に位置するITR配列は、配列番号8として示されるヌクレオチド配列を有する。追加のITR配列は、配列番号4及び11として示される。
本開示は、配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を提供する。本開示は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列も提供する。
加えて、本開示は、開示されたポリヌクレオチドのいずれかを含む組換えAAV(rAAV)を提供する。例えば、本開示は、配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を含むrAAVを提供する。本開示は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を含むrAAVも提供する。
本開示はまた、ポリヌクレオチド配列を含むrAAVを提供し、ポリヌクレオチド配列は、i)目的の遺伝子を各々コードする、2つの自己相補的ヌクレオチド配列であって、目的の遺伝子をコードする2つの自己相補的ヌクレオチド配列が、5’ITR配列に隣接する、2つの自己相補的ヌクレオチド配列と、ii)2つの自己相補的ポリアデニル化配列と、を含み、ポリヌクレオチド配列は、2つの3’ITR配列によって隣接され、2つの3’ITR配列は、相補的である。例えば、目的の遺伝子は、GAD、MTM1、LPL、RPE、REP-1、CNGB3、P1ND4、XLRS、FVIII、FIX、FIX19、AAT、NF-κB、IFN-β、ARSA、NGF、hARSB、ニュールツリン、AADC、SUMF、SUMF1、OTC、FGF-4、ND4、ARSA、REP1、シトシンデアミナーゼ、HGF728、HGF723、hGAA、β-グロビン遺伝子、Gag、MG1MA3、L523S、METRAP、GDNF、AQP1、PG9DP、HBB、ADA、TCR、CAR、フィルグラスチム、IL-12、GM-CSF、ICP34.5、PENK、RB94、SST2、DCK。P53、HSC、ヒトサルコグリカン-β(hSCGB)、ヒトサルコグリカンγ(hSCGG)、ヒトジスフェルリン、ヒトANO5、カルパイン-3(Cap3)遺伝子である。例えば、ポリヌクレオチド配列では、第1のヌクレオチド配列は、目的の遺伝子の補体配列であり、目的の遺伝子をコードする第2のヌクレオチド配列は、そのセンス配列であるため、第1のヌクレオチド配列及び第2のヌクレオチド配列は、互いに相補的である。
本開示はまた、ポリヌクレオチドを含むrAAVを提供し、ポリヌクレオチド配列は、i)配列番号3のアミノ酸配列などの、ヒトアルファ-サルコグリカン(hSGCA)タンパク質を各々コードする、2つの自己相補的ヌクレオチド配列と、ii)2つの自己相補的ポリアデニル化配列と、を含む。いくつかの実施形態では、hSGCAタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、若しくは少なくとも約99%同一であるか、又はhSGCAタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列を含む。例えば、ポリアデニル化配列は、配列番号6のヌクレオチド配列を含む。
別の態様では、アルファ-サルコグリカンをコードするポリヌクレオチド配列を含む組換えAAVベクターが、本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、アルファ-サルコグリカンをコードするポリヌクレオチド配列は、例えば、配列番号2又は配列番号7に記載のヌクレオチド配列と少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、又は89%、より典型的には90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上同一である配列を含み、アルファ-サルコグリカン活性を保持するタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、アルファ-サルコグリカンをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、アルファ-サルコグリカンをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号2又は配列番号7に記載のヌクレオチド配列からなる。
別の態様では、本明細書に記載の組換えAAVベクターは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、又は89%、より典型的には少なくとも90%、91%、92%、93%、又は94%、更により典型的には少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性である、アルファ-サルコグリカンをコードするポリヌクレオチド配列を含み、そのタンパク質は、アルファ-サルコグリカン活性を保持する。
別の態様では、ストリンジェントな条件下で配列番号2若しくは配列番号7の核酸配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む機能性アルファ-サルコグリカンをコードするポリヌクレオチド配列、又はその補体を含む、組換えAAVベクターが、本明細書に記載される。
「ストリンジェントな」という用語は、ストリンジェントとして当該技術分野において一般に理解される条件を指すために使用される。ハイブリダイゼーションストリンジェシーは、主に、温度、イオン強度、及びホルムアミドなどの変性剤の濃度によって決定される。ハイブリダイゼーション及び洗浄のためのストリンジェントな条件の例は、0.015Mの塩化ナトリウム、65~68℃の0.0015Mのクエン酸ナトリウム又は0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、及び42℃の50%ホルムアミドである。Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,(Cold Spring Harbor,N.Y.1989)を参照されたい。よりストリンジェントな条件(より高い温度、より低いイオン強度、より高いホルムアミド、又は他の変性剤など)も使用できるが、ハイブリダイゼーションの速度が影響を受ける。デオキシオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが関係する場合、追加のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例には、37℃(14塩基オリゴの場合)、48℃(17塩基オリゴの場合)、55℃(20塩基オリゴの場合)、及び60℃(23塩基オリゴの場合)での6×SSC 0.05%ピロリン酸ナトリウムでの洗浄が含まれる。
分子量、濃度、又は投薬量などの物理的特性について本明細書で範囲が使用される場合、範囲及びその中の特定の実施形態の全ての組み合わせ及び部分的な組み合わせが含まれることが意図される。数値又は数値範囲を指す場合の「約」という用語は、参照される数値又は数値範囲が実験的変動内(又は統計的実験誤差内)の近似値であることを意味し、したがって、数値又は数値範囲は、例えば、記載された数値又は数値範囲の1%~15%で変動し得る。
非特異的及び/又はバックグラウンドハイブリダイゼーションを低減する目的で、ハイブリダイゼーション及び洗浄緩衝液に他の薬剤を含めることができる。例としては、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%ポリビニル-ピロリドン、0.1%ピロリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、NaDodSO4、(SDS)、フィコール、デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA(又は他の非相補的DNA)、及び硫酸デキストランがあるが、他の好適な薬剤も使用できる。これらの添加物の濃度及び種類は、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに実質的に影響を与えることなく変更できる。ハイブリダイゼーション実験は通常、pH6.8~7.4で行われるが、典型的なイオン強度条件では、ハイブリダイゼーションの速度はpHにほとんど依存しない。Anderson et al.,Nucleic Acid Hybridisation:A Practical Approach,Ch.4,IRL Press Limited(Oxford,England)を参照されたい。ハイブリダイゼーション条件は、これらの変数を考慮して、異なる配列類似性のDNAがハイブリッドを形成することを可能にするために、当業者によって調整され得る。
加えて、提供されるrAAVのうちのいずれかは、ポリヌクレオチドを含み、2つの自己相補的ヌクレオチド配列の各々は、筋特異的制御要素に作動可能に連結され、2つの筋特異的制御要素は、自己相補的である。例えば、筋特異的制御要素は、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、筋細胞特異的エンハンサー結合因子(MEF)要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、MHCK7プロモーター(MHC及びMCKのハイブリッドバージョン)、C5-12(合成プロモーター)、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンC遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンC遺伝子要素、遅筋トロポニンI遺伝子要素、低酸素誘発性核因子結合要素、ステロイド誘発性要素、又はグルココルチコイド応答要素(GRE)である。
いくつかの実施形態では、開示されたrAAVは、ポリヌクレオチド配列を含み、2つの相補的ヌクレオチド配列の各々は、配列番号8又は配列番号10のヌクレオチド配列を含む筋特異的制御要素MCK(tMCK)に作動可能に連結される。
追加の実施形態では、開示されたrAAVは、3つの逆方向末端反復(ITR)を含み、1つのITRは、2つの相補的な筋特異的制御要素によって隣接される。例えば、ITRは、配列番号5及び/又は配列番号9及び/又は配列番号12を含み得る。特定の例では、2つの自己相補的な筋特異的制御要素によって隣接されるITRは、配列番号8又は10のヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、2つのITRは、配列番号5及び配列番号12のヌクレオチド配列を含み、ITRのうちの1つは、配列番号9のヌクレオチド配列を含む。
AAVは、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAVrh.74の任意の血清型、又は合成AAV血清型であり得る。偽型rAAVの産生は、例えば、WO01/83692に開示されている。他のタイプのrAAVバリアント、例えば、カプシド変異を有するrAAVも企図される。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。
本開示はまた、開示されたrAAVのいずれか又は開示されたポリヌクレオチドのいずれかを含む組成物も提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/又は補助剤を更に含む。例えば、組成物は、本開示のrAAV、緩衝剤、イオン強度剤、及び界面活性剤のいずれかを含む。
本開示は、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを投与するステップを含む、筋ジストロフィーの治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、rAAVは、全身経路によって投与される。特に、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVは、全身投与経路を使用して投与される。
本開示はまた、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを投与するステップを含む、筋力及び/又は筋肉量の増加を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、rAAVは、全身経路によって投与される。特に、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVは、全身投与経路を使用して投与される。
本開示は、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを投与するステップを含む、線維症の軽減を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、rAAVは、全身経路によって投与される。特に、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVは、全身投与経路を使用して投与される。
本開示は、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを投与するステップを含む、収縮誘発性損傷の軽減を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、rAAVは、全身経路によって投与される。特に、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVは、全身投与経路を使用して投与される。
本開示は、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを投与するステップを含む、アルファ-サルコグリカン異常症の治療を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、rAAVは、全身経路によって投与される。特に、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVは、全身投与経路を使用して投与される。
開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの用量で投与される。例えば、rAAVは、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、若しくは約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与されるか、又はrAAVは、約5×1013vg/kg、約6×1013vg/kg、約7×1013vg/kg、約8×1013vg/kg、約9×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、約2×1014vg/kg、約3×1014vg/kg、約4×1014vg/kg、若しくは約5×1014vg/kgの用量で投与される。
別の実施形態では、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg又は7.41×1013vg/kgの用量で投与される。例えば、rAAVは、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.5×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.6×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.8×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.2×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、約1.9×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、約1.4×1013vg/kg~約7.4×1013vg/kg、約1.9×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、又は約1.8×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kgの用量で投与される。
加えて、開示された方法のうちのいずれかにおいて、全身投与経路は、静脈内経路である。例えば、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、注射、注入、又は移植によって投与される。いくつかの実施形態では、rAAVは、末梢四肢静脈を介した静脈内経路によって投与される。
開示された方法のうちのいずれかにおいて、筋ジストロフィーは、肢帯型筋ジストロフィーである。例えば、筋ジストロフィーは、肢帯型筋ジストロフィー2D型(LGMD2D)である。
例示的な実施形態では、筋ジストロフィーを治療する方法は、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している対象にrAAVを投与することを含み、rAAVは、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で静脈内注入によって投与され、rAAVは、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を含む。
例示的な実施形態では、本開示は、筋ジストロフィーの治療を必要とする対象においてそれを行うための方法を提供し、この方法は、対象にrAAVを投与するステップを含み、対象は、肢帯型筋ジストロフィーに罹患しており、rAAVは、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で静脈内注入によって投与され、rAAVは、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を含む。例えば、これらの方法では、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルは、rAAVの投与前のアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルと比較して、rAAVの投与後に増加する。
開示された方法のうちのいずれかにおいて、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルは、rAAVの投与前のアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルと比較して、rAAVの投与後に増加し、かつ/又は対象における血清CKレベルは、rAAVの投与前の血清CKレベルと比較して、rAAVの投与後に減少し、かつ/又は自発運動及び比力の生成は増加し、線維症は軽減し、前脛骨筋の収縮誘発性損傷に対する抵抗性は増加し、かつ/又は、対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維の数は、rAAVの投与前のアルファ-サルコグリカン陽性線維の数と比較して、rAAVの投与後に増加し、又は線維症は、rAAVの投与前と比較して、rAAVの投与後の対象において軽減し、かつ/又は、線維症は、rAAVの投与前と比較して、rAAVの投与後の対象において軽減し、かつ/又は対象の筋肉における比力、線維直径サイズ、及び/若しくは偏心収縮は、rAAVの投与前と比較して、rAAVの投与後に増加する。
いくつかの実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子発現は、ウエスタンブロット及び/又は免疫組織化学によってアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。
別の態様では、本開示は、開示されたrAAVのうちのいずれかを対象に投与することを含む、細胞においてアルファ-サルコグリカン遺伝子を発現する方法を提供する。例えば、本開示は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を対象に投与することを含む、細胞においてアルファ-サルコグリカン遺伝子を発現する方法を提供する。加えて、方法のうちのいずれかにおいて、細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検におけるウエスタンブロットでアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。代替的に、方法のうちのいずれかにおいて、細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検における免疫組織化学によってアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。他の実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、ゲノムDNAの1マイクログラム当たりのベクターゲノムの数を検出することによって、対象において測定される。
本開示は、血清CKレベルの減少を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、この方法は、開示されたrAAVのうちのいずれかを対象に投与することを含む。例えば、本開示は、血清CKレベルの減少を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、この方法は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を対象に投与することを含む。
別の態様では、本開示は、開示されたrAAVのうちのいずれかを対象に投与することを含む、対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる方法を提供する。例えば、本開示は、アルファ-サルコグリカン陽性線維の増加を必要とする対象の筋肉組織においてそれを行う方法を提供し、この方法は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を対象に投与することを含む。
本開示はまた、開示されたrAAVのうちのいずれかを対象に投与することを含む、アルファ-サルコグリカンの発現の増加を必要とする対象においてそれを行う方法を提供する。例えば、本開示は、アルファ-サルコグリカンの発現の増加を必要とする対象においてそれを行う方法を提供し、この方法は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を対象に投与することを含む。加えて、開示された方法のうちのいずれかにおいて、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検におけるウエスタンブロットでアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。代替的に、方法のうちのいずれかにおいて、細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検における免疫組織化学によってアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。他の実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、ゲノムDNAの1マイクログラム当たりのベクターゲノムの数を検出することによって、対象において測定される。
本開示は、筋ジストロフィーの治療を必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、組成物は、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを含み、組成物は、全身経路による投与用に製剤化される。特に、組成物のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAである。
本開示はまた、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを投与するステップを含む、筋力及び/又は筋肉量の増加を必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、rAAVは、全身経路によって投与される。特に、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVは、全身投与経路を使用して投与される。
本開示は、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを投与するステップを含む、線維症の軽減を必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、rAAVは、全身経路によって投与される。特に、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVは、全身投与経路を使用して投与される。
本開示は、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを投与するステップを含む、収縮誘発性損傷の軽減を必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、rAAVは、全身経路によって投与される。特に、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVは、全身投与経路を使用して投与される。
本開示は、本明細書に開示されるrAAVのうちのいずれかを投与するステップを含む、アルファ-サルコグリカン異常症の治療を必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、rAAVは、全身経路によって投与される。特に、開示された方法のうちのいずれかにおいて、rAAVは、AAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVは、全身投与経路を使用して投与される。
開示された組成物のうちのいずれかは、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの用量のrAAVを含む。例えば、rAAVは、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、若しくは約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量、又はrAAVは、約5×1013vg/kg、約6×1013vg/kg、約7×1013vg/kg、約8×1013vg/kg、約9×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、約2×1014vg/kg、約3×1014vg/kg、約4×1014vg/kg、若しくは約5×1014vg/kgの用量にある。
別の実施形態では、開示された組成物のうちのいずれかにおいて、rAAVは、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg又は約7.41×1013vg/kgの用量で投与される。例えば、rAAVは、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.5×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.6×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.8×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.2×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、約1.9×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、約1.4×1013vg/kg~約7.4×1013vg/kg、約1.9×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、又は約1.8×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kgの用量で投与される。
加えて、開示された組成物のうちのいずかは、注射、注入、又は移植による投与用に製剤化された組成物など、静脈内経路による投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、開示された組成物は、末梢四肢静脈を介した静脈内経路による投与用に製剤化される。
開示された組成物のうちのいずれかは、肢帯型筋ジストロフィー2D型(LGMD2D)などの肢帯型筋ジストロフィーの治療用である。
例示的な実施形態では、本開示は、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している対象を治療するための組成物を提供し、組成物は、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgでrAAVの用量を含み、組成物は、静脈内注入による投与用に製剤化され、rAAVは、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を含む。
加えて、本開示は、肢帯型筋ジストロフィーを治療すること必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、組成物は、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgでrAAVの用量を含み、組成物は、静脈内注入による投与用に製剤化され、rAAVは、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を含む。例えば、組成物の投与は、組成物の投与前のアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルと比較して、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルを増加させる。
加えて、開示された組成物のうちのいずれかの投与は、組成物の投与前のアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルと比較して、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルを増加させ、かつ/又は開示された組成物の投与は、組成物の投与前の血清CKレベルと比較して、対象における血清CKレベルを減少させ、かつ/又は自発運動及び比力の生成は増加し、線維症は軽減し、前脛骨筋の収縮誘発性損傷に対する抵抗性は増加し、かつ/又は、組成物の投与は、組成物の投与前のアルファ-サルコグリカン陽性線維の数と比較して、対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維の数を増加させ、かつ/又は組成物の投与は、rAAVの投与前と比較して、対象における線維症を軽減し、かつ/又は、組成物は、組成物の投与前と比較して、線維症を軽減し、又は組成物の投与は、組成物の投与前と比較して、対象の筋肉における比力、線維直径サイズ、及び/若しくは偏心収縮を増加させる。いくつかの実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子発現は、ウエスタンブロット及び/又は免疫組織化学によってアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。
別の態様では、本開示は、細胞においてアルファ-サルコグリカン遺伝子を発現するための組成物を提供し、組成物は、開示されたrAAVのうちのいずれかを含む。例えば、本開示は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を含む、細胞においてアルファ-サルコグリカン遺伝子を発現するための組成物を提供する。加えて、組成物のうちのいずれかにおいて、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検におけるウエスタンブロットでアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。代替的に、方法のうちのいずれかにおいて、細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検における免疫組織化学によってアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。他の実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、ゲノムDNAの1マイクログラム当たりのベクターゲノムの数を検出することによって、対象において測定される。
本開示は、血清CKレベルの減少を必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、組成物は、開示されたrAAVのいずれかを含む。例えば、本開示は、血清CKレベルの減少を必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、組成物は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を含む。
別の態様では、本開示は、対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させるための組成物を提供し、組成物は、開示されたrAAVのうちのいずれかを含む。例えば、本開示は、対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させるための組成物を提供し、組成物は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を含む。
本開示はまた、アルファ-サルコグリカンの発現の増加を必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、組成物は、開示されたrAAVのうちのいずれかを含む。例えば、本開示は、アルファ-サルコグリカンの発現の増加を必要とする対象においてそれを行うための組成物を提供し、組成物は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を含む。加えて、開示された組成物のうちのいずれかの投与後、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検におけるウエスタンブロットでアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。代替的に、開示された組成物のうちのいずれかの投与後、細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検における免疫組織化学によってアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。他の実施形態では、開示された組成物のうちのいずれかの投与後、アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、ゲノムDNAの1マイクログラム当たりのベクターゲノムの数を検出することによって対象において測定される。
本開示は、筋ジストロフィーの治療を必要とする対象においてそれを行うための医薬の調製のための開示されたrAAVのうちのいずれかの使用を提供し、医薬は、全身経路による投与用に製剤化される。特に、本開示は、筋ジストロフィーを治療するための医薬の調製のためのAAVrh74.tMCK.hSCGAの使用を提供し、医薬は、全身投与経路による投与用に製剤化される。
本開示はまた、筋力及び/又は筋量の増加を必要とする対象においてそれを行うための医薬の調製のための開示されたrAAVのうちのいずれかの使用も提供する。特に、本開示は、rAAVがAAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVが全身投与経路を用いて投与される使用を提供する。
本開示はまた、線維症の軽減を必要とする対象においてそれを行うための医薬の調製のための開示されたrAAVのうちのいずれかの使用も提供する。特に、本開示は、rAAVがAAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVが全身投与経路を用いて投与される使用を提供する。
本開示はまた、収縮誘発性損傷の軽減を必要とする対象においてそれを行うための医薬の調製のための開示されたrAAVのうちのいずれかの使用も提供する。特に、本開示は、rAAVがAAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVが全身投与経路を用いて投与される使用を提供する。
本開示はまた、アルファ-サルコグリカン異常症の治療を必要とする対象においてそれを行うための医薬の調製のための開示されたrAAVのうちのいずれかの使用も提供する。特に、本開示は、rAAVがAAVrh74.tMCK.hSCGAであり、rAAVが全身投与経路を用いて投与される使用を提供する。
開示された使用のうちのいずれかにおいて、医薬は、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの用量のrAAVを含む。例えば、rAAVは、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、若しくは約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量、又はrAAVは、約5×1013vg/kg、約6×1013vg/kg、約7×1013vg/kg、約8×1013vg/kg、約9×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、約2×1014vg/kg、約3×1014vg/kg、約4×1014vg/kg、若しくは約5×1014vg/kgの用量にある。
別の実施形態では、開示された使用のうちのいずれかにおいて、医薬は、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg又は7.41×1013vg/kgの用量のrAAVを含む。例えば、医薬は、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.5×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.6×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.8×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.2×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、約1.9×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、約1.4×1013vg/kg~約7.4×1013vg/kg、約1.9×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、又は約1.8×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kgの用量のrAAVを含む。
加えて、開示された使用のうちのいずれかにおいて、医薬は、静脈内経路による投与用に製剤化される。例えば、開示された使用のうちのいずれかにおいて、医薬は、注射、注入、又は移植による投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬は、末梢四肢静脈を介した静脈内経路による投与用に製剤化される。
開示された使用のうちのいずれかにおいて、医薬は、肢帯型筋ジストロフィー2D型(LGMD2D)などの肢帯型筋ジストロフィーの治療用である。
例示的な実施形態では、本開示は、肢帯型筋ジストロフィーを治療するための医薬の調製のためのrAAVの使用を提供し、医薬は、静脈内注入による投与用に製剤化され、rAAVは、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量にあり、rAAVは、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を含む。例えば、医薬の投与を必要とする対象への医薬の投与は、rAAVの投与前のアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルと比較して、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子発現の増加をもたらす。
開示される使用のうちのいずれかにおいて、医薬の投与を必要とする対象への医薬の投与は、医薬の投与前のアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルと比較して、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルの増加をもたらし、かつ/又は対象への医薬の投与は、医薬の投与前の血清CKレベルと比較して、対象における血清CKレベルの減少をもたらし、かつ/又は自発運動及び比力の生成は増加し、線維症は軽減し、前脛骨筋の収縮誘発性損傷に対する抵抗性は増加し、かつ/又は対象への薬剤の投与は、医薬の投与前のアルファ-サルコグリカン陽性線維の数と比較して、対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維の数の増加をもたらし、かつ/又は医薬の投与を必要とする対象への医薬の投与は、医薬の投与前と比較して、対象における線維症の軽減をもたらし、かつ/又は医薬の投与は、医薬の投与前と比較して、対象の筋肉における比力、線維直径サイズ、及び/若しくは偏心収縮の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子発現は、ウエスタンブロット及び/又は免疫組織化学によってアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。
別の態様では、本開示は、細胞においてアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現を必要する対象においてそれを行うための医薬の調製のための開示されたrAAVのうちのいずれかの使用を提供する。例えば、本開示は、細胞においてアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現を必要する対象においてそれを行うための医薬の調製のためのscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の使用を提供し、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。加えて、使用のうちのいずれかにおいて、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検におけるウエスタンブロットでアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。代替的に、使用のうちのいずれかにおいて、細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検における免疫組織化学によってアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。他の実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、ゲノムDNAの1マイクログラム当たりのベクターゲノムの数を検出することによって、対象において測定される。
本開示は、血清CKレベルの減少を必要とする対象においてそれを行うための医薬の調製のための開示されたrAAVのうちのいずれかの使用を提供する。例えば、本開示は、血清CKレベルの減少を必要とする対象においてそれを行うための医薬の調製のためのscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の使用を提供し、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。
別の態様では、本開示は、対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させるための医薬の調製のための開示されたrAAVのうちのいずれかの使用を提供する。例えば、本開示は、対象の筋肉組織においてアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させるための医薬の調製のためのscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の使用を提供し、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。
本開示はまた、アルファ-サルコグリカンの発現の増加を必要とする対象においてそれを行うための医薬の調製のための開示されたrAAVのうちのいずれかの使用を提供とする。例えば、本開示は、アルファ-サルコグリカンの発現の増加を必要とする対象においてそれを行うための医薬の調製のためのscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の使用を提供し、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。加えて、開示された使用のうちのいずれかにおいて、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検におけるウエスタンブロットでアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。代替的に、開示された使用のうちのいずれかにおいて、細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、筋生検における免疫組織化学によってアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。他の実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、ゲノムDNAの1マイクログラム当たりのベクターゲノムの数を検出することによって、対象において測定される。
開示された方法、組成物、又は使用のうちのいずれかにおいて、対象は、4~15歳のヒト対象、又は25~55歳のヒト対象、又は50歳を超えるヒト対象である。
開示された方法、組成物、又は使用のうちのいずれかにおいて、対象は、小児対象、青年対象、又は若年成人対象である。代替的に、対象は、中年成人又は高齢対象である。
例えば、開示された方法、組成物、又は使用のうちのいずれかにおいて、対象は、4~15歳であり、両方の対立遺伝子において確認されたアルファ-サルコグリカン(SGCA)変異を有し、AAVrh74抗体に対して陰性であり、かつ/又は40%超若しくは通常の100メートルの歩行試験を有した、ヒト対象である。
別の態様では、プラスミドを細胞に移入することを含み、プラスミドが、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を含む、本明細書に開示されるrAAVを生成する方法が提供される。特に、プラスミドは、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。
rAAVを生成する開示された方法のうちのいずれかにおいて、方法は、パッケージングプラスミド及び/又はヘルパーウイルスを宿主細胞に移入することを更に含む。加えて、rAAVを生成する開示された方法のうちのいずれかにおいて、パッケージング細胞は、安定に組み込まれたAAV cap遺伝子を含み、及び/又はパッケージング細胞は、安定して組み込まれたAAV rep遺伝子を含む。
別の態様では、本開示は、配列番号1と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるヌクレオチド配列を含むAAVベクタープラスミドを含む宿主細胞を提供する。例えば、宿主細胞は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むAAVベクタープラスミドを含む。
組換えAAVベクター粒子を産生する方法であって、本明細書に記載のプラスミドでトランスフェクトされる細胞を培養することと、トランスフェクトされた細胞の上清から組換えAAV粒子を回収することと、を含む、方法も提供される。本明細書に記載の組換えAAVベクターのいずれかを含むウイルス粒子もまた企図される。一実施形態では、rAAVを生成する方法は、AAVベクタープラスミドを宿主細胞に移すことを含む。別の実施形態では、プラスミドは、配列番号1と少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を含む。別の態様では、本開示は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むAAVベクタープラスミドを含む細胞を提供する。本明細書に記載の細胞は、昆虫細胞、例えば、Drosophila細胞(例えば、S2細胞若しくはKc細胞)、カイコ細胞(例えば、Bme21細胞)、又は蚊細胞(例えば、C6/36細胞)、又は哺乳動物細胞(好ましくはヒト細胞、例えば、ヒト初代細胞若しくは確立された細胞株)であり得る。一実施形態では、哺乳動物細胞は、293細胞、COS細胞、HeLa細胞、又はKB細胞である。
別の実施形態では、プラスミドは、配列番号1と少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ベクタープラスミドは、配列番号1のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、AAVベクタープラスミドは、宿主細胞において安定して発現される。AAVベクタープラスミドを安定して保有する宿主細胞を使用して、rAAVを生成することができる。
本明細書で提供される組換えAAVベクター粒子を産生する方法は、パッケージングプラスミド及び/又はヘルパーウイルスを宿主細胞に移入するステップを更に含み得る。例えば、この方法は、パッケージング細胞が、安定に組み込まれたAAVcap遺伝子を含むステップ、及び/又はパッケージング細胞が、安定に組み込まれたAAVrep遺伝子を含むステップを更に含む。本発明はまた、配列番号1と少なくとも約90%、少なくとも約95%、若しくは少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を含むプラスミド、又は配列番号1のヌクレオチド配列を含むプラスミドを含む、細胞も提供する。配列番号1のヌクレオチド配列を含む細胞も提供される。
それを必要とする対象における線維症を軽減させる方法も提供される。この点について、方法は、治療有効量の、本明細書に記載のAAVベクター(又は本明細書に記載のrAAVベクターを含む組成物)を、哺乳動物対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、筋ジストロフィーに罹患している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のrAAVベクター(又は本明細書に記載のrAAVベクターを含む組成物)の投与は、対象の骨格筋又は心筋における線維症を軽減させる。
本明細書で使用される「筋ジストロフィー」という用語は、強度及び筋肉量が徐々に低下する障害を指す。筋ジストロフィー疾患の非限定的な例としては、ベッカー型筋ジストロフィー、脛骨筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、エメリー-ドレイフス型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、サルコグリカン異常症、部分的LAMA2欠損による先天性筋ジストロフィーなどの先天性筋ジストロフィー、メロシン欠損型先天性筋ジストロフィー、1D型先天性筋ジストロフィー、福山型先天性筋ジストロフィー、肢帯型1A型筋ジストロフィー、肢帯型2A型筋ジストロフィー、肢帯型2B型筋ジストロフィー、肢帯型2C型筋ジストロフィー、肢帯型2D型筋ジストロフィー、肢帯型2E型筋ジストロフィー、肢帯型2F型筋ジストロフィー、肢帯型2G型筋ジストロフィー、肢帯型2H型筋ジストロフィー、肢帯型2I型筋ジストロフィー、肢帯型2I型筋ジストロフィー、肢帯型2J型筋ジストロフィー、肢帯型2K型筋ジストロフィー、肢帯型IC型筋ジストロフィー、単純型表皮水疱症を伴う強直性脊椎型筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー、及びウルリッヒ型スクレロアトニック筋ジストロフィーを挙げることができる。いくつかの実施形態では、対象は、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、肢帯型筋ジストロフィー2D型(LGMD2D)に罹患している。
本明細書で使用される「線維症」という用語は、細胞外マトリックス(ECM)成分の過剰又は未制御の沈着並びに骨格筋、心筋、肝臓、肺、腎臓、及び膵臓を含む損傷後の組織における異常な修復プロセスを指す。沈着するECM成分には、コラーゲン(例えばコラーゲン1、コラーゲン2、又はコラーゲン3)及びフィブロネクチンが含まれる。
別の態様では、治療有効量の本明細書に記載のAAVベクター(又は本明細書に記載のAAVベクターを含む組成物)を哺乳動物の対象に投与することを含む、哺乳動物の対象における筋力及び/又は筋肉量を増加する方法が本明細書に記載される。一実施形態では、対象は、ヒトである。
提供される製剤又は組成物では、緩衝剤は、トリス、トリシン、ビス-トリシン、HEPES、MOPS、TES、TAPS、PIPES、及びCAPSのうちの1つ以上を含む。例えば、緩衝剤は、約5mM~約40mMの濃度でpH8.0のトリスを含むか、又は緩衝剤は、約20mMでpH8.0のトリスを含む。
提供される製剤又は組成物のうちのいずれかにおいて、イオン強度剤は、塩化カリウム(KCl)、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム(NH4Cl)、酢酸アンモニウム、塩化マグネシウム(MgCl2)、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン(MnCl2)、酢酸マンガン、硫酸マンガン、塩化ナトリウム(NaCl)、酢酸ナトリウム、塩化リチウム(LiCl)、及び酢酸リチウムのうちの1つ以上を含む。例えば、イオン強度剤は、約0.2mM~約4mMの濃度でMgCl2を含むか、又はイオン強度剤は、約50mM~約500mMの濃度でNaClを含むか、又はイオン強度剤は、約0.2mM~約4mMの濃度でMgCl2を含み、約50mM~約500mMの濃度でNaClを含むか、又はイオン強度剤は、約1mMの濃度でMgCl2を含み、約200mMの濃度でNaClを含む。
提供される製剤又は組成物のうちのいずれかにおいて、界面活性剤は、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、ホスフェート、ポロキサマー、及びカチオン性界面活性剤のうちの1つ以上を含む。例えば、ポロキサマーは、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー184、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー331、ポロキサマー338、及びポロキサマー407のうちの1つ以上を含む。ポロキサマーは、約0.00001%~約1%の濃度であってもよい。例示的な界面活性剤は、約0.001%の濃度のポロキサマー188である。
前述の段落は、本発明の全ての態様を定義することを意図するものではなく、追加の態様は、詳細な説明のような他のセクションに記載される。文書全体は、統一された開示として関連することが意図されており、特徴の組み合わせがこの文書と同じ文章、又は段落、又はセクションで一緒に見られない場合でも、本明細書に記載される特徴の全ての組み合わせが考慮されることを理解されたい。本発明は、追加の態様として、上記の特定の段落で定義される変形よりもいくらか範囲が狭い本発明の全ての実施形態を含む。例えば、本発明の特定の態様が属として記載される場合、属の各メンバーが個々に本発明の態様であると理解されるべきである。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド配列。
(項目2)
前記ヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列又は配列番号1を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列。
(項目3)
ポリヌクレオチド配列を含む組換えAAV(rAAV)であって、前記ポリヌクレオチド配列が、i)配列番号3のアミノ酸配列を各々コードする、2つの相補的ヌクレオチド配列と、ii)2つの相補的ポリアデニル化配列と、を含む、組換えAAV。
(項目4)
前記2つの相補的ヌクレオチド配列の各々が、筋特異的制御要素に作動可能に連結され、前記2つの筋特異的制御要素が、互いに相補的である、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目5)
前記筋特異的制御要素が、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、筋細胞特異的エンハンサー結合因子(MEF)要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、MHCK7プロモーター、C5-12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンC遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンC遺伝子要素、遅筋トロポニンI遺伝子要素、低酸素誘発性核因子結合要素、ステロイド誘発性要素、又はグルココルチコイド応答要素(GRE)である、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目6)
前記筋特異的制御要素が、短縮MCK(tMCK)である、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目7)
2つの相補的キメライントロンを更に含む、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目8)
3つの逆方向末端反復(ITR)を更に含み、1つのITRが、前記2つの相補的な筋特異的制御要素によって隣接される、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目9)
配列番号1のヌクレオチド配列を含む、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目10)
前記ベクターが、血清型AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13 AAV rh.74、又は合成AAV血清型である、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目11)
先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAVを含む、組成物。
(項目12)
筋ジストロフィーの治療を必要とする対象において筋ジストロフィーを治療する方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目13)
筋ジストロフィーに罹患している対象において筋力及び/又は筋量を増加させる方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目14)
筋ジストロフィーに罹患している対象において線維症を軽減させる方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目15)
筋ジストロフィーに罹患している対象において収縮誘発性損傷を軽減させる方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目16)
対象においてアルファ-サルコグリカン異常症を治療する方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目17)
対象の筋肉組織においてアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる及び/又はCKレベルを減少させる方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目18)
前記アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又は陽性アルファ-サルコグリカン陽性線維の数が、前記rAAV投与の前及び後の筋生検において、ウエスタンブロットで、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又はアルファ-サルコグリカン陽性筋線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、免疫組織化学によって、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記対象が、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記組換えAAV又は前記組成物が、筋肉内注射又は静脈内注射によって投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記組換えAAV又は前記組成物が、全身投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記組換えAAV又は前記組成物が、注射、注入、又は移植によって非経口投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記組換えAAVが、定量標準としての超らせんDNA又は線状プラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの投薬量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、又は約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、又は約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記rAAVが、全身投与経路を使用して投与され、前記定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg~約7.41×1013vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
哺乳動物対象における筋ジストロフィーを治療するための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目30)
筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象における筋力及び/又は筋量を増加させるための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目31)
筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象における線維症を軽減させるための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目32)
筋ジストロフィーに罹患している対象における収縮誘発性損傷を軽減させるための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目33)
治療を必要とする哺乳動物対象におけるβ-サルコグリカン異常症を治療するための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目34)
対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる及び/又はCKレベルを減少させるための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目35)
前記アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又は陽性アルファ-サルコグリカン陽性線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、ウエスタンブロットで、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目36)
アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又はアルファ-サルコグリカン陽性筋線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、免疫組織化学によって、アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目37)
前記対象が、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目38)
筋肉内注射又は静脈内注射用に製剤化される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目39)
全身投与用に製剤化される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目40)
前記全身投与が、注射、注入、又は移植による非経口投与である、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目41)
前記組換えAAVが、定量標準としての超らせんDNA又は線状プラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの投薬量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目42)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、又は約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目43)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目44)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、又は約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目45)
前記rAAVが、全身投与経路を使用して投与され、前記定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg~約7.41×1013vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目46)
筋ジストロフィーを治療するための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目47)
筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象において筋力及び/又は筋量を増加させるための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目48)
筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象において線維症を軽減させるための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目49)
筋ジストロフィーに罹患している対象において収縮誘発性損傷を軽減させるための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目50)
β-サルコグリカン異常症の治療を必要とする哺乳動物対象においてβ-サルコグリカン異常症を治療するための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目51)
対象の筋肉組織においてアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる及び/又はCKレベルを減少させるための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目52)
前記アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又は陽性アルファ-サルコグリカン陽性線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、ウエスタンブロットで、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目53)
アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又はアルファ-サルコグリカン陽性筋線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、免疫組織化学によって、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目54)
前記対象が、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している、先行する項目のいずれか一項のいずれか一項に記載の使用。
(項目55)
前記医薬が、筋肉内注射又は静脈内注射用に製剤化される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目56)
前記医薬が、全身投与用に製剤化される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目57)
前記全身投与が、注射、注入、又は移植による非経口投与である、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目58)
前記組換えAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又は線状プラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの投薬量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目59)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、又は約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目60)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目61)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、又は約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目62)
前記rAAVが、全身投与経路を使用して投与され、前記定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg~約7.41×1013vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
ポリヌクレオチド配列を含む組換えAAV(rAAV)ベクターであって、前記ポリヌクレオチド配列が、5’から3’方向に、
(1)ポリアデニル化配列の相補的配列と、
(2)目的の遺伝子の相補的配列と、
(3)イントロンの相補的配列と、
(4)プロモーターの相補的配列と、
(5)5’ITR配列と、
(6)前記プロモーターと、
(7)前記イントロンと、
(8)前記目的の遺伝子と、
(9)前記ポリアデニル化配列と、を含み、
前記ポリヌクレオチド配列が、2つの3’ITR配列によって隣接され、前記2つの3’ITR配列が、互いに相補的である、組換えAAVベクター。
(項目64)
前記目的の遺伝子が、ヒトサルコグリカン-β(hSCGB)、ヒトサルコグリカンγ(hSCGG)、ヒトジスフェルリン、ヒトANO5、及びカルパイン-3(Cap3)遺伝子を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
(項目65)
前記プロモーターが、筋特異的制御要素であり、前記筋特異的制御要素が、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、筋細胞特異的エンハンサー結合因子(MEF)要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)要素、短縮MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、MHCK7プロモーター、C5-12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンC遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンC遺伝子要素、遅筋トロポニンI遺伝子要素、低酸素誘発性核因子結合要素、又はステロイド誘発性要素、又はグルココルチコイド応答要素(GRE)を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
(摘要)
自己相補的組換えAAV(rAAV)scAAVrh74.tMCK.hSGCAベクターを投与することを含む筋ジストロフィーを治療する方法、患者においてアルファ-サルコグリカン遺伝子を発現する方法、rAAVを含む薬学的組成物、及びrAAVを生成する方法が、本明細書に記載される。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド配列。
(項目2)
前記ヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列又は配列番号1を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド配列。
(項目3)
ポリヌクレオチド配列を含む組換えAAV(rAAV)であって、前記ポリヌクレオチド配列が、i)配列番号3のアミノ酸配列を各々コードする、2つの相補的ヌクレオチド配列と、ii)2つの相補的ポリアデニル化配列と、を含む、組換えAAV。
(項目4)
前記2つの相補的ヌクレオチド配列の各々が、筋特異的制御要素に作動可能に連結され、前記2つの筋特異的制御要素が、互いに相補的である、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目5)
前記筋特異的制御要素が、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、筋細胞特異的エンハンサー結合因子(MEF)要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、MHCK7プロモーター、C5-12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンC遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンC遺伝子要素、遅筋トロポニンI遺伝子要素、低酸素誘発性核因子結合要素、ステロイド誘発性要素、又はグルココルチコイド応答要素(GRE)である、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目6)
前記筋特異的制御要素が、短縮MCK(tMCK)である、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目7)
2つの相補的キメライントロンを更に含む、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目8)
3つの逆方向末端反復(ITR)を更に含み、1つのITRが、前記2つの相補的な筋特異的制御要素によって隣接される、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目9)
配列番号1のヌクレオチド配列を含む、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目10)
前記ベクターが、血清型AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13 AAV rh.74、又は合成AAV血清型である、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV。
(項目11)
先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAVを含む、組成物。
(項目12)
筋ジストロフィーの治療を必要とする対象において筋ジストロフィーを治療する方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目13)
筋ジストロフィーに罹患している対象において筋力及び/又は筋量を増加させる方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目14)
筋ジストロフィーに罹患している対象において線維症を軽減させる方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目15)
筋ジストロフィーに罹患している対象において収縮誘発性損傷を軽減させる方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目16)
対象においてアルファ-サルコグリカン異常症を治療する方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目17)
対象の筋肉組織においてアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる及び/又はCKレベルを減少させる方法であって、前記対象に、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目18)
前記アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又は陽性アルファ-サルコグリカン陽性線維の数が、前記rAAV投与の前及び後の筋生検において、ウエスタンブロットで、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又はアルファ-サルコグリカン陽性筋線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、免疫組織化学によって、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記対象が、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記組換えAAV又は前記組成物が、筋肉内注射又は静脈内注射によって投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記組換えAAV又は前記組成物が、全身投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記組換えAAV又は前記組成物が、注射、注入、又は移植によって非経口投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記組換えAAVが、定量標準としての超らせんDNA又は線状プラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの投薬量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、又は約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、又は約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記rAAVが、全身投与経路を使用して投与され、前記定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg~約7.41×1013vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
哺乳動物対象における筋ジストロフィーを治療するための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目30)
筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象における筋力及び/又は筋量を増加させるための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目31)
筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象における線維症を軽減させるための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目32)
筋ジストロフィーに罹患している対象における収縮誘発性損傷を軽減させるための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目33)
治療を必要とする哺乳動物対象におけるβ-サルコグリカン異常症を治療するための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目34)
対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる及び/又はCKレベルを減少させるための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物を含む、組成物。
(項目35)
前記アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又は陽性アルファ-サルコグリカン陽性線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、ウエスタンブロットで、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目36)
アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又はアルファ-サルコグリカン陽性筋線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、免疫組織化学によって、アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目37)
前記対象が、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目38)
筋肉内注射又は静脈内注射用に製剤化される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目39)
全身投与用に製剤化される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目40)
前記全身投与が、注射、注入、又は移植による非経口投与である、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目41)
前記組換えAAVが、定量標準としての超らせんDNA又は線状プラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの投薬量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目42)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、又は約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目43)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目44)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、又は約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目45)
前記rAAVが、全身投与経路を使用して投与され、前記定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg~約7.41×1013vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目46)
筋ジストロフィーを治療するための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目47)
筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象において筋力及び/又は筋量を増加させるための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目48)
筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象において線維症を軽減させるための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目49)
筋ジストロフィーに罹患している対象において収縮誘発性損傷を軽減させるための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目50)
β-サルコグリカン異常症の治療を必要とする哺乳動物対象においてβ-サルコグリカン異常症を治療するための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目51)
対象の筋肉組織においてアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる及び/又はCKレベルを減少させるための医薬の調製のための、先行する項目のいずれか一項に記載の組換えAAV又は先行する項目のいずれか一項に記載の組成物の、使用。
(項目52)
前記アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又は陽性アルファ-サルコグリカン陽性線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、ウエスタンブロットで、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目53)
アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又はアルファ-サルコグリカン陽性筋線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、免疫組織化学によって、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目54)
前記対象が、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している、先行する項目のいずれか一項のいずれか一項に記載の使用。
(項目55)
前記医薬が、筋肉内注射又は静脈内注射用に製剤化される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目56)
前記医薬が、全身投与用に製剤化される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目57)
前記全身投与が、注射、注入、又は移植による非経口投与である、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目58)
前記組換えAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又は線状プラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの投薬量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目59)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、又は約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目60)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目61)
前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、又は約2×1014vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用。
(項目62)
前記rAAVが、全身投与経路を使用して投与され、前記定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg~約7.41×1013vg/kgの用量で投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
ポリヌクレオチド配列を含む組換えAAV(rAAV)ベクターであって、前記ポリヌクレオチド配列が、5’から3’方向に、
(1)ポリアデニル化配列の相補的配列と、
(2)目的の遺伝子の相補的配列と、
(3)イントロンの相補的配列と、
(4)プロモーターの相補的配列と、
(5)5’ITR配列と、
(6)前記プロモーターと、
(7)前記イントロンと、
(8)前記目的の遺伝子と、
(9)前記ポリアデニル化配列と、を含み、
前記ポリヌクレオチド配列が、2つの3’ITR配列によって隣接され、前記2つの3’ITR配列が、互いに相補的である、組換えAAVベクター。
(項目64)
前記目的の遺伝子が、ヒトサルコグリカン-β(hSCGB)、ヒトサルコグリカンγ(hSCGG)、ヒトジスフェルリン、ヒトANO5、及びカルパイン-3(Cap3)遺伝子を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
(項目65)
前記プロモーターが、筋特異的制御要素であり、前記筋特異的制御要素が、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、筋細胞特異的エンハンサー結合因子(MEF)要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)要素、短縮MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、MHCK7プロモーター、C5-12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンC遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンC遺伝子要素、遅筋トロポニンI遺伝子要素、低酸素誘発性核因子結合要素、又はステロイド誘発性要素、又はグルココルチコイド応答要素(GRE)を含む、先行する項目のいずれか一項に記載のrAAVベクター。
(摘要)
自己相補的組換えAAV(rAAV)scAAVrh74.tMCK.hSGCAベクターを投与することを含む筋ジストロフィーを治療する方法、患者においてアルファ-サルコグリカン遺伝子を発現する方法、rAAVを含む薬学的組成物、及びrAAVを生成する方法が、本明細書に記載される。
本発明の実施は、他に示されない限り、当業者の技術の範囲内で、ウイルス学、微生物学、分子生物学、及び組換えDNA技術の従来の方法を使用する。そのような技術は、文献で完全に説明されている。例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Current Edition)、DNA Cloning:A Practical Approach,Vol.I&II(D.Glover,ed.)、Oligonucleotide Synthesis(N.Gait,ed.,Current Edition)、Nucleic Acid Hybridization(B.Hames&S.Higgins,eds.,Current Edition)、Transcription and Translation(B.Hames&S.Higgins,eds.,Current Edition)、CRC Handbook of Parvoviruses,vol.I&II(P.Tijssen,ed.)、Fundamental Virology,2nd Edition,vol.I&II(B.N.Fields and D.M.Knipe,eds.)、Freshney Culture of Animal Cells,A Manual of Basic Technique(Wiley-Liss,Third Edition)、及びAusubel et al.(1991)Current Protocols in Molecular Biology(Wiley Interscience,N.Y.)を参照されたい。
定義
単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈上特に明記されていない限り、複数形の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞を含み、「培養物」への言及は、1つ以上の培養物及び当業者に周知されるその同等物への言及を含む、などである。「組換えAAV」への言及は、2つ以上のrAAVビリオンの混合物を含む、などである。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈上特に明記されていない限り、複数形の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞を含み、「培養物」への言及は、1つ以上の培養物及び当業者に周知されるその同等物への言及を含む、などである。「組換えAAV」への言及は、2つ以上のrAAVビリオンの混合物を含む、などである。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、代替案のみを指すように明示的に示されない限り、又は代替案が相互に排他的である場合を除き、「及び/又は」を意味するように使用されるが、本開示は、代替案及び「及び/又は」のみを指す定義を支持する。
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、値を決定するために使用されているデバイス又は方法に対する統計的実験誤差(誤差の標準偏差)を含むことを示すために使用される。
「ベクター」という用語は、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ビリオンなどの、適切な制御要素と関連する場合に複製することができ、かつ細胞間で遺伝子配列を移入することができる、任意の遺伝子要素を意味する。一実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。
本明細書で使用される場合、「AAV」という用語は、アデノ随伴ウイルスの一般的な略語である。アデノ随伴ウイルスは、ある特定の機能が同時感染ヘルパーウイルスによって提供される細胞内でのみ成長する一本鎖DNAパルボウイルスである。AAVの一般的な情報及び概説は、例えば、Carter,1989,Handbook of Parvoviruses,Vol.1,pp.169-228、及びBerns,1990,Virology,pp.1743-1764,Raven Press,(New York)で見つけることができる。しかしながら、様々な血清型が遺伝子レベルでさえも構造的及び機能的の両方で非常に密接に関連していることがよく知られているため、これらの同じ原理が追加のAAV血清型に適用可能であることが十分に予想される。(例えば、Blacklowe,1988,pp.165-174 of Parvoviruses and Human Disease,J.R.Pattison,ed.、及びRose,Comprehensive Virology 3:1-61(1974)を参照されたい)。例えば、全てのAAV血清型は、相同rep遺伝子によって媒介される非常に類似した複製特性を明らかに呈し、これらは全て、AAV2で発現されるものなどの3つの関連カプシドタンパク質を有する。関連性の程度は、ゲノムの長さに沿った血清型間の広範な交差ハイブリダイゼーション、及び「逆位末端反復配列」(ITR)に対応する末端における類似自己アニーリングセグメントの存在を明らかにする、ヘテロ二本鎖分析によって更に示唆される。類似感染性パターンはまた、各血清型における複製機能が類似調節制御下にあることも示唆する。
本明細書で使用される場合の「AAVベクター」とは、AAV末端反復配列(ITR)に隣接している1つ以上の目的とするポリヌクレオチド(又は導入遺伝子)を指す。かかるAAVベクターは、rep及びcap遺伝子産物をコード及び発現するベクターでトランスフェクトされた宿主細胞中に存在する場合に、感染性ウイルス粒子に複製及びパッケージングされ得る。一実施形態では、AAVベクターは、限定されないが、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV rh10、及びAAVrh.74を含む、アデノ随伴ウイルス血清型に由来するベクターである。AAVベクターは、好ましくはrep及び/又はcap遺伝子で、AAV野生型遺伝子のうちの1つ以上が全部又は一部分において欠失しているが、機能的な隣接ITR配列を保持することができる。機能的なITR配列は、AAVビリオンのレスキュー、複製、及びパッケージングに必要である。したがって、AAVベクターは、ウイルスの複製及びパッケージング(例えば、機能的ITR)のためにシスで必要とされる少なくともそれらの配列を含むように本明細書で定義される。ITRは、野生型ヌクレオチド配列である必要はなく、配列が機能的レスキュー、複製、及びパッケージングを提供する限り、例えば、ヌクレオチドの挿入、欠失又は置換によって変更され得る。
「AAVヘルパー機能」という用語は、生産的なAAV複製のために次にトランスで機能するAAV遺伝子産物を提供するために発現され得るAAV由来コード配列を指す。したがって、AAVヘルパー機能は、主要なAAVオープンリーディングフレーム(ORF)、rep、及びcapを含む。Rep発現産物は、とりわけ、DNA複製のAAV起点の認識、結合、及びニッキング、DNAヘリカーゼ活性、並びにAAV(又は他の異種)プロモーターからの転写の調節を含む、多くの機能を所有することが示されている。Cap発現産物は、必要なパッケージング機能を供給する。AAVヘルパー機能は、本明細書では、AAVベクターから失われたトランスのAAV機能を補完するために使用される。
「組換えウイルス」とは、例えば、ウイルス粒子への異種核酸配列の付加又は挿入によって遺伝的に変更されたウイルスを意味する。
「AAVビリオン」又は「AAVウイルス粒子」又は「AAVベクター粒子」とは、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質及びカプシドに包まれたポリヌクレオチドAAVベクターからなるウイルス粒子を指す。一実施形態では、AAVビリオンは、異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子などの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、AAVウイルス粒子の産生には、AAVベクターの産生が含まれ、例えば、ベクターは、AAVベクター粒子内に含有される。
哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子などのAAVゲノム、それは、典型的には、「AAVベクター粒子」又は単に「AAVベクター」と称される。したがって、かかるベクターがAAVベクター粒子内に含有されるため、AAVベクター粒子の産生には、必然的にAAVベクターの産生が含まれる。
例えば、野生型(wt)AAVウイルス粒子は、AAVキャプシドタンパク質コートに関連する線状の一本鎖AAV核酸ゲノムを含む。AAVビリオンは、一本鎖(ss)AAV又は自己相補的(SC)AAVのいずれかであり得る。一実施形態では、相補的センス、例えば「センス」又は「アンチセンス」鎖のいずれかの一本鎖AAV核酸分子は、AAVビリオンにパッケージングされ得、両方の鎖は、等しく感染性である。
「組換えAAV」又は「rAAV」という用語は、AAV ITRが両側に隣接する目的の異種ヌクレオチド配列をカプセル化する、AAVタンパク質シェルからなる感染性の複製欠損ウイルスとして本明細書で定義される。一実施形態では、rAAVは、好適な宿主細胞で産生され、これは、その中に導入されたAAVベクター、AAVヘルパー機能、及びアクセサリー機能を有する。このようにして、宿主細胞は、その後の遺伝子送達のために、AAVベクター(目的の組換えヌクレオチド配列を含有する)を感染性組換えビリオン粒子にパッケージングするために必要とされるAAVポリペプチドをコードすることができる。
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来DNAの取り込みを指し、細胞は、外因性DNAが細胞膜内に導入されたときに「トランスフェクト」される。多くのトランスフェクション技術が当該技術分野において一般的に知られている。例えば、Graham et al.(1973)Virology,52:456、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,a laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratories,New York、Davis et al.(1986)Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier、及びChu et al.(1981)Gene 13:197を参照されたい。そのような技術を用いて、ヌクレオチド組み込みベクター及び他の核酸分子などの、1つ以上の外来性DNA部分を好適な宿主細胞に導入することができる。
「宿主細胞」という用語は、AAVヘルパー構築物、AAVベクタープラスミド、アクセサリー機能ベクター、又はその他のトランスファーDNAのレシピエントとして使用できるか、又は使用されてきた、例えば、微生物、酵母細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞を意味する。この用語には、トランスフェクトされた元の細胞の子孫が含まれる。したがって、本明細書で使用される「宿主細胞」は、一般に、外因性DNA配列でトランスフェクトされた細胞を指す。単一の親細胞の子孫は、自然、偶発的、又は意図的な変異のために、形態又はゲノム又は全DNA補体において必ずしも完全に同一でない場合があることが理解される。
「形質導入」という用語は、レシピエント細胞によるβ-サルコグリカンの発現をもたらす、記載の複製欠損rAAVを介するインビボ又はインビトロのいずれかでのレシピエント細胞への目的のポリヌクレオチド(例えば、β-サルコグリカンをコードするポリヌクレオチド配列)の投与/送達を指すために使用される。
「筋肉細胞」又は「筋肉組織」とは、あらゆる種類の筋肉(例えば、消化管、膀胱、血管、又は心臓組織に由来する骨格筋及び平滑筋)に由来する細胞又は細胞群を意味する。そのような筋肉細胞は、筋芽細胞、筋細胞、筋管、心筋細胞、及び心筋芽細胞など、分化又は未分化であり得る。
「異種」という用語は、コード配列及び制御配列などの核酸配列に関連するとき、通常は一緒に結合されていない、かつ/又は通常は特定の細胞に関連していない配列を示す。したがって、核酸構築物又はベクターの「異種」領域は、自然界で他の分子と関連して見られない、別の核酸分子内又は別の核酸分子に付着した核酸のセグメントである。例えば、核酸構築物の異種領域は、自然界のコード配列に関連して見られない配列が隣接するコード配列を含み得る。異種コード配列の別の例は、コード配列自体が自然界で見られない(例えば、天然の遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)構築物である。同様に、細胞内に通常は存在しない構築物で形質転換された細胞は、本発明の目的のために異種であるとみなされるであろう。本明細書で使用される場合、対立遺伝子変異又は自然に発生する変異事象は、異種DNAを生じさせない。
「コード配列」又は特定のタンパク質を「コードする」配列は、適切な調節配列の制御下に配置されると、インビトロ又はインビボでポリペプチドに転写され(DNAの場合)、翻訳される(mRNAの場合)核酸配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドン及び3’(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定される。コード配列には、原核生物又は真核生物のmRNAからのcDNA、原核生物又は真核生物のDNAからのゲノムDNA配列、更には合成DNA配列が含まれ得るが、これらに限定されない。転写終結配列は、通常、コード配列の3’側に位置するであろう。
「核酸」配列は、DNA又はRNA配列を指す。核酸には、4-アセチルシトシン、8-ヒドロキシ-N6-メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルシュードウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、シュードウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、及び2,6-ジアミノプリンを含むが、これらに限定されないDNA及びRNAの塩基類似体が含まれる。
DNA「制御配列」という用語は、集合的に、プロモーター配列、ポリアデニル化シグナル、転写終結配列、上流調節ドメイン、複製の起点、内部リボソーム侵入部位(「IRES」)、エンハンサーなどを指し、これらは、レシピエント細胞におけるコード配列の複製、転写、及び翻訳を集合的に提供する。選択されたコード配列が適切な宿主細胞で複製、転写、及び翻訳されることができる限り、これらの制御配列の全てが常に存在する必要はない。
「プロモーター」という用語は、DNA調節配列を含むヌクレオチド領域を指すために、その通常の意味で本明細書において使用され、調節配列は、RNAポリメラーゼに結合し、下流(3’-方向)コーディング配列の転写を開始させることができる遺伝子に由来する。転写プロモーターには、「誘導性プロモーター」(プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現が分析物、補因子、調節タンパク質などによって誘導される)、「抑制性プロモーター」(プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現が分析物、補因子、調節タンパク質などによって誘導される)、及び「構成的プロモーター」が含まれ得る。一実施形態では、プロモーターは、筋特異的プロモーターであり、これには、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、デスミンプロモーター、骨格アルファアクチン(ASKA)プロモーター、トロポニンI(TNNI2)プロモーター、筋細胞特異的エンハンサー結合因子(mef)結合要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、ハイブリッドa-ミオシン重鎖エンハンサー/MCKエンハンサープロモーター(MHCK7)プロモーター、C5-12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンc遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンc遺伝子要素、遅筋トロポニンi遺伝子要素、低酸素誘導性核因子(HIF)応答要素(HRE)、ステロイド誘導性要素、及びグルココルチコイド応答要素(GRE)が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、プロモーターは、MCKプロモーター、tMCKプロモーター、又はMHCK7プロモーターである。
「動作可能にリンクされた」という用語は、そのように記述された構成要素がそれらの通常の機能を実行するように構成される要素の配置を指す。したがって、コード配列に作動可能に連結された制御配列は、コード配列の発現に影響を与えることができる。制御配列は、それらがその発現を指示するように機能する限り、コード配列と隣接している必要はない。したがって、例えば、介在する未翻訳であるが転写された配列は、プロモーター配列とコード配列との間に存在することができ、プロモーター配列は、依然としてコード配列に「作動可能に連結されている」とみなされ得る。
RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、コード配列をmRNAに転写し、次にコード配列によってコードされるポリペプチドに翻訳されるとき、プロモーターは、細胞内のコード配列の「転写を指示」する。
「発現カセット」又は「発現構築物」は、目的の配列又は遺伝子の発現を指示することができる集合体を指す。発現カセットは、上記のように、目的の配列又は遺伝子に(転写を指示するように)作動可能に連結されるプロモーターなどの制御要素を含み、ポリアデニル化配列も含むことが多い。本発明のある特定の実施形態内で、本明細書に記載の発現カセットは、プラスミド構築物内に含まれ得る。発現カセットの構成要素に加えて、プラスミド構築物はまた、1つ以上の選択可能なマーカー、プラスミド構築物が一本鎖DNAとして存在することを可能にするシグナル、少なくとも1つのマルチクローニング部位、及び「哺乳動物」の複製起点(例えば、SV40又はアデノウイルスの複製起点)を含み得る。
ヌクレオチド配列を指す場合の「単離された」とは、示された分子が、他のヌクレオチド配列、クロマチン材料などの他の生物学的高分子の実質的な不在下に存在することを意味する。したがって、「特定のポリペプチドをコードする単離された核酸分子」は、対象のポリペプチドをコードしない他の核酸分子を実質的に含まない核酸分子を指すが、しかしながら、分子は、組成物の基本的な特性に悪影響を及ぼさないいくつかの追加の塩基又は部分を含み得る。
特定のヌクレオチド配列が別の配列に対して「上流」、「下流」、「3’」、又は「5’に位置すると記載されている場合など、本出願全体にわたって特定の核酸分子中のヌクレオチド配列の相対位置を記載する目的で、それは、当技術分野で慣習的であると称されるDNA分子の「センス」又は「コーディング」鎖における配列の位置であることが理解されるべきである。
核酸配列又はアミノ酸配列の文脈における「配列同一性」、「配列同一性の割合」、又は「同一の割合」という用語は、最大限対応するようにアラインメントさせたときに同じである2つの配列中の残基を指す。配列同一性の比較の長さは、ゲノムの全長、遺伝子コード配列の全長であり得るか、又は少なくとも約500~5000個のヌクレオチドの断片が望ましい。しかしながら、少なくとも約9個のヌクレオチド、通常は少なくとも約20~24個のヌクレオチド、少なくとも約28~32個のヌクレオチド、少なくとも約36個以上のヌクレオチドなど、より小さい断片間の同一性もまた所望され得る。配列の同一性パーセントは、当該技術分野で知られている技法によって決定することができる。例えば、相同性は、配列情報を整列させ、ALIGN、ClustalW2、及びBLASTなどの容易に入手可能なコンピュータプログラムを使用することにより、2つのポリペプチド分子間の配列情報を直接比較することによって決定することができる。一実施形態では、BLASTがアラインメントツールとして使用される場合、次のデフォルトパラメータ、遺伝暗号=標準;filter=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予測=10;マトリクッス=BLOSUM62;説明=50個の配列;並べ替え=高得点;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+スイスプロテイン+Spupdate+PIR。
「対象」という用語は、動物界の任意のメンバーを指し、これには、ヒト並びにチンパンジー及び他の類人猿及びサル種などの非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、及びウマなどの家畜、イヌ及びネコなどの家畜哺乳動物、マウス、ラット、及びモルモットなどの齧歯動物を含む実験動物などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象は、出生~2歳、1~10歳の範囲、又は4~15歳の範囲、又は10~19歳の範囲、又は20~40歳、又は15~29歳又は25~55歳の範囲、又は40~60歳の範囲、又は50歳以上又は60歳以上又は65歳以上又は70歳以上のヒトである。
AAV
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは、145ヌクレオチドの末端逆位配列(ITR)を含む約4.7kb長である。AAVの複数の血清型が存在する。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は、既知である。例えば、AAV血清型2(AAV2)ゲノムのヌクレオチド配列は、Ruffing et al.,J Gen Virol,75:3385-3392(1994)によって修正されたSrivastava et al.,J Virol,45:555-564(1983)に提示されている。他の例として、AAV-1の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_002077で提供されており、AAV-3の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_1829で提供されており、AAV-4の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_001829で提供されており、AAV-5ゲノムは、GenBank受理番号AF085716で提供されており、AAV-6の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_00 1862で提供されており、AAV-7及びAAV-8のゲノムの少なくとも一部は、それぞれ、GenBank受理番号AX753246及びAX753249で提供されており(AAV-8に関する米国特許第7,282,199及び同第7,790,449もまた参照)、AAV-9ゲノムは、Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)で提供されており、AAV-10ゲノムは、Mol.Ther.,13(1):67-76(2006)に提示されており、AAV-11ゲノムは、Virology,330(2):375-383(2004)で提供されている。AAVrh.74血清型のクローニングは、Rodino-Klapac.,et al.Journal of translational medicine 5,45(2007)に記載されている。ウイルスDNA複製(rep)、カプシド形成/パッケージング、及び宿主細胞染色体組み込みを指示するCis作用配列は、ITR内に含有される。3つのAAVプロモーター(それらの相対マップ位置に対してp5、p19、及びp40と名付けられる)は、rep及びcap遺伝子をコードする2つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を駆動する。単一のAAVイントロンの差異的スプライシング(例えば、AAV2のヌクレオチド2107及び2227における)と相まって、2つのrepプロモーター(p5及びp19)は、rep遺伝子から4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、及びrep40)の産生をもたらす。Repタンパク質は、最終的にウイルスゲノムの複製に関与する複数の酵素特性を保有する。cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、3つのカプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3をコードする。選択的スプライシング及び非コンセンサス翻訳開始部位は、3つの関連カプシドタンパク質の産生に関与する。単一コンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップ位置95に位置する。AAVのライフサイクル及び遺伝学は、Muzyczka,Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97-129(1992)に概説されている。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは、145ヌクレオチドの末端逆位配列(ITR)を含む約4.7kb長である。AAVの複数の血清型が存在する。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は、既知である。例えば、AAV血清型2(AAV2)ゲノムのヌクレオチド配列は、Ruffing et al.,J Gen Virol,75:3385-3392(1994)によって修正されたSrivastava et al.,J Virol,45:555-564(1983)に提示されている。他の例として、AAV-1の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_002077で提供されており、AAV-3の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_1829で提供されており、AAV-4の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_001829で提供されており、AAV-5ゲノムは、GenBank受理番号AF085716で提供されており、AAV-6の完全ゲノムは、GenBank受理番号NC_00 1862で提供されており、AAV-7及びAAV-8のゲノムの少なくとも一部は、それぞれ、GenBank受理番号AX753246及びAX753249で提供されており(AAV-8に関する米国特許第7,282,199及び同第7,790,449もまた参照)、AAV-9ゲノムは、Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)で提供されており、AAV-10ゲノムは、Mol.Ther.,13(1):67-76(2006)に提示されており、AAV-11ゲノムは、Virology,330(2):375-383(2004)で提供されている。AAVrh.74血清型のクローニングは、Rodino-Klapac.,et al.Journal of translational medicine 5,45(2007)に記載されている。ウイルスDNA複製(rep)、カプシド形成/パッケージング、及び宿主細胞染色体組み込みを指示するCis作用配列は、ITR内に含有される。3つのAAVプロモーター(それらの相対マップ位置に対してp5、p19、及びp40と名付けられる)は、rep及びcap遺伝子をコードする2つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を駆動する。単一のAAVイントロンの差異的スプライシング(例えば、AAV2のヌクレオチド2107及び2227における)と相まって、2つのrepプロモーター(p5及びp19)は、rep遺伝子から4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、及びrep40)の産生をもたらす。Repタンパク質は、最終的にウイルスゲノムの複製に関与する複数の酵素特性を保有する。cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、3つのカプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3をコードする。選択的スプライシング及び非コンセンサス翻訳開始部位は、3つの関連カプシドタンパク質の産生に関与する。単一コンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップ位置95に位置する。AAVのライフサイクル及び遺伝学は、Muzyczka,Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97-129(1992)に概説されている。
AAVは、例えば、遺伝子療法において、外来DNAを細胞に送達するためのベクターとしてそれを魅力的にする固有の特徴を有する。培養中の細胞のAAV感染は、非細胞変性であり、ヒト及び他の動物の自然感染は、サイレント及び無症候性である。更に、AAVは、多くの哺乳動物細胞を感染させ、インビボで多くの異なる組織を標的とする可能性を許容する。更に、AAVは、ゆっくりと分裂する細胞及び非分裂細胞を形質導入し、転写的に活性な核エピソーム(染色体外エレメント)としてそれらの細胞の寿命にわたって本質的に存続することができる。AAVプロウイルスゲノムは、組換えゲノムの構築を実現可能にするプラスミド中のクローン化DNAとして感染性である。更に、AAV複製、ゲノムカプシド形成及び組み込みを指示するシグナルがAAVゲノムのITR内に含有されるため、ゲノムの内部約4.3kb(複製及び構造カプシドタンパク質、rep-capをコードする)のいくつか又は全ては、プロモーター、目的のDNA、及びポリアデニル化シグナルを含有する遺伝子カセットなどの外来DNAと置換され得る。rep及びcapタンパク質は、トランスで提供され得る。AAVの別の重要な特徴は、それが極めて安定した頑健なウイルスであることである。これは、アデノウイルスを不活性化するために使用される条件(56℃~65℃で数時間)に容易に耐え、AAVの低温保存の重要性を低くする。AAVは、凍結乾燥され得る。最後に、AAV感染細胞は、重複感染に耐性を示さない。
複数の研究により、筋肉における長期(1.5年を超える)の組換えAAV媒介タンパク質発現が実証されている。Clark et al.,Hum Gene Ther,8:659-669(1997)、Kessler et al.,Proc Nat.Acad Sc.USA,93:14082-14087(1996)、及びXiao et al.,J Virol,70:8098-8108(1996)を参照されたい。また、Chao et al.,Mol Ther,2:619-623(2000)、及びChao et al.,Mol Ther,4:217-222(2001)も参照されたい。更に、筋肉は高度に血管形成されているため、Herzog et al.,Proc Natl Acad Sci USA,94:5804-5809(1997)、及びMurphy et al.,Proc Natl Acad Sci USA,94:13921-13926(1997)に記載されているように、組換えAAV形質導入が、筋肉内注射に続いて体循環において導入遺伝子産物の出現をもたらした。更に、Lewis et al.,J Virol,76:8769-8775(2002)は、骨格筋線維が、正しい抗体グリコシル化、折り畳み、及び分泌のための必要な細胞因子を保有することを実証し、筋肉が分泌タンパク質治療薬の安定した発現が可能であることを示した。
本開示の組換えAAVゲノムは、本開示の核酸分子及び核酸分子に隣接する1つ以上のAAV ITRを含む。rAAVゲノムのAAV DNAは、AAV血清型AAVrh.74、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAVrh.10、及びAAVrh.74を含むがこれらに限定されない、組換えウイルスを誘導できる任意のAAV血清型に由来し得る。偽型rAAVの産生は、例えば、WO01/83692に開示されている。他のタイプのrAAVバリアント、例えば、カプシド変異を有するrAAVも企図される。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。上記の背景技術の部分に記載されたように、様々なAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列が、当該技術分野において既知である。筋肉特異的な発現を促進するために、AAVrh.74を使用することができる。
本開示のDNAプラスミドは、本開示のrAAVゲノムを含む。DNAプラスミドは、rAAVゲノムの感染性ウイルス粒子への組み立てのために、AAVのヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス、E1欠失アデノウイルス、又はヘルペスウイルス)の感染に許容される細胞に移される。パッケージングされるAAVゲノム、rep及びcap遺伝子、並びにヘルパーウイルス機能が細胞に提供される、rAAV粒子を産生する技術は、当該技術分野において標準的である。rAAVの産生は、以下の成分、rAAVゲノム、rAAVゲノムから分離した(すなわち、その中に存在しない)AAV rep及びcap遺伝子、並びにヘルパーウイルス機能が、単一細胞(本明細書でパッケージング細胞と表される)内に存在することを必要とする。AAVのrep及びcap遺伝子は、組換えウイルスが由来し得る任意のAAV血清型に由来してもよく、rAAVゲノムITRとは異なるAAV血清型、例えば、AAV血清型AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAVrh.74、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAVrh.10、AAVrh.74、及びAAV-13を含むがこれらに限定されない血清型に由来してもよい。偽型rAAVの産生は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO01/83692に開示される。
パッケージング細胞を生成する方法は、AAV粒子の産生に必要な全ての成分を安定して発現する細胞株を作製することである。例えば、AAV rep及びcap遺伝子を欠くrAAVゲノム、rAAVゲノムから分離したAAV rep及びcap遺伝子、並びにネオマイシン耐性遺伝子などの選択可能なマーカーを含む、プラスミド(又は複数のプラスミド)が、細胞のゲノムに組み込まれる。AAVゲノムは、GCテーリング(Samulski et al.,1982,Proc.Natl.Acad.S6.USA,79:2077-2081)、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含有する合成リンカーの付加(Laughlin et al.,1983,Gene,23:65-73)、又は直接平滑末端ライゲーション(Senapathy & Carter,1984,J.Biol.Chem.,259:4661-4666)などの手順により細菌プラスミドに導入されている。次いで、パッケージング細胞株は、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスに感染させられる。この方法の利点は、細胞が選択可能であり、rAAVの大規模産生に好適であることである。好適な方法の他の例は、rAAVゲノム及び/又はrep遺伝子及びcap遺伝子をパッケージング細胞に導入するためのプラスミドではなく、アデノウイルス又はバキュロウイルスを使用する。
rAAV生産の一般原則は、例えば、Carter,1992,Current Opinions in Biotechnology,1533-539、及びMuzyczka,1992,Curr.Topics in Microbial.and Immunol.,158:97-129)に概説されている。様々なアプローチは、Ratschin et al.,Mol.Cell.Biol.4:2072(1984)、Hermonat et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6466(1984)、Tratschin et al.,Mo1.Cell.Biol.5:3251(1985)、McLaughlin et al.,J.Virol.,62:1963(1988)、及びLebkowski et al.,Mol.Cell.Biol.,7:349(1988).Samulski et al.,J.Virol.,63:3822-3828(1989)、米国特許第5,173,414号、WO95/13365、並びに対応する米国特許第5,658.776号、WO95/13392、WO96/17947、PCT/US98/18600、WO97/09441(PCT/US96/14423)、WO97/08298(PCT/US96/13872)、WO97/21825(PCT/US96/20777)、WO97/06243(PCT/FR96/01064)、WO99/11764、Perrin et al.Vaccine 13:1244-1250(1995)、Paul et al.Human Gene Therapy 4:609-615(1993)、Clark et al.Gene Therapy 3:1124-1132(1996)、米国特許第5,786,211号、米国特許第5,871,982号、及び米国特許第6,258,595号に記載されている。前述の文書は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれ、rAAV産生に関する文書の部分を特に強調する。
したがって、本開示は、感染性rAAVを産生するパッケージング細胞を提供する。一実施形態では、パッケージング細胞は、HeLa細胞、293細胞、及びPerC.6細胞(同種293株)などの安定して形質転換されたがん細胞であり得る。別の実施形態では、パッケージング細胞は、形質転換されたがん細胞ではない細胞、例えば、低継代293細胞(アデノウイルスのE1で形質転換されたヒト胎児腎細胞)、MRC-5細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、WI-38細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、Vero細胞(サル腎細胞)、及びFRhL-2細胞(アカゲザル胎児肺細胞)である。
本開示の組換えAAV(すなわち、感染性カプシド化rAAV粒子)は、rAAVゲノムを含む。例示的な実施形態では、両方のrAAVのゲノムは、AAVのrep及びcapのDNAを欠いており、すなわち、ゲノムのITR間にAAVのrep又はcapのDNAが存在しない。本開示の核酸分子を含むように構築され得るrAAVの例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願第PCT/US2012/047999号(WO2013/016352)に記載されている。
例示的な実施形態では、本開示の組換えAAVベクターは、AAVベクタープラスミドscAAV.tMCK.hSCGA、pNLRep2-Caprh74、及びpHelpを使用した三重トランスフェクション法(Xiao et al.,J Virol 72,2224-2232(1998)によって産生され、rAAVは、AAV2逆方向末端反復配列(ITR)によって隣接されるhSCGA遺伝子発現カセットを含有する。AAVrh.74ビリオンにカプシド化されるのはこの配列である。プラスミドは、hSCGA配列、並びに遺伝子発現を駆動するMHCK7エンハンサー及び筋肉特異的プロモーターのコアプロモーター要素を含有する。発現カセットには、高レベルの遺伝子発現を促進するSV40イントロン(SD/SA)も含まれており、効率的な転写終結のためにウシ成長ホルモンのポリアデニル化シグナルが使用される。
pNLREP2-Caprh74は、血清型rh74由来の4つの野生型AAV2 repタンパク質と3つの野生型AAV VPカプシドタンパク質をコードするAAVヘルパープラスミドである。
pHELPアデノウイルスヘルパープラスミドは11,635bpであり、Applied Viromicsから入手した。このプラスミドには、AAV複製に重要なアデノウイルスゲノムの領域、すなわちE2A、E4ORF6、及びVA RNAが含まれている(アデノウイルスE1機能は293細胞によって提供される)。このプラスミドに存在するアデノウイルス配列は、アデノウイルスゲノムの約40%に過ぎず、アデノウイルスの末端反復配列などの複製に重要なシスエレメントを含んでいない。したがって、このような生産システムから感染性アデノウイルスが生成されることは予想されない。
rAAVは、カラムクロマトグラフィー又は塩化セシウム勾配によってなど、当該技術分野で標準的な方法によって精製され得る。ヘルパーウイルスからrAAVベクターを精製するための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Clark et al.,Hum.Gene Ther.,10(6):1031-1039(1999)、Schenpp and Clark,Methods Mol.Med.,69 427-443(2002)、米国特許第6,566,118号、及びWO98/09657に開示される方法を含む。
別の実施形態では、本開示は、本開示のrAAVを含む組成物を企図する。本開示の組成物は、rAAV及び薬学的に許容される担体を含む。本組成物は、希釈剤及びアジュバントなどの他の成分も含み得る。許容される担体、希釈剤、及びアジュバントは、レシピエントに対して無毒であり、好ましくは、採用された投薬量及び濃度で不活性であり、緩衝液及びプルロニック(登録商標)などの界面活性剤を含む。
本開示の方法で投与されるrAAVの力価は、例えば、特定のrAAV、投与モード、治療目標、標的化された個体、及び細胞型に応じて異なり、当該技術分野における標準の方法によって決定され得る。rAAVの力価は、1mL当たり約1×106、約1×107、約1×108、約1×109、約1×1010、約1×1011、約1×1012、約1×1013~約1×1014以上のDNase耐性粒子(DRP)の範囲であり得る。投薬量は、ウイルスゲノム(vg)の単位で表されてもよい。カプセル化されたベクターゲノム力価を決定する1つの例示的な方法は、(Pozsgai et al.,Mol.Ther.25(4):855-869,2017)に記載される方法などの定量的PCRを使用する。特に記載されない限り、本明細書に記載の投与量は、超らせんDNA標準によって決定される用量に対応する。
インビボ又はインビトロで、rAAVで標的細胞を形質導入する方法が、本開示によって企図される。インビボ方法は、有効用量又は有効複数回用量の本開示のrAAVを含む組成物を、それを必要とする動物(人間を含む)に投与するステップを含む。用量が、障害/疾患の発症前に投与される場合、投与は予防的である。用量が、障害/疾患の発症後に投与される場合、投与は治療的である。本開示の実施形態では、有効用量は、治療される障害/疾患状態と関連する少なくとも1つの症状を緩和(排除若しくは低減)し、障害/疾患状態への進行を遅延若しくは予防し、障害/疾患状態の進行を遅延若しくは予防し、疾患の程度を軽減し、疾患の寛解(部分若しくは完全)をもたらし、かつ/又は生存を延長する用量である。本開示の方法による予防又は治療のために企図される疾患の一例は、筋ジストロフィー、例えば、肢帯型筋ジストロフィー又はデュシェンヌ型筋ジストロフィーである。
併用療法も本開示によって企図される。本明細書で使用される組み合わせは、同時治療及び逐次的治療の両方を含む。新規の療法との併用など、本開示の方法と標準の医学的治療(例えば、コルチコステロイド)との併用が特に企図される。
有効用量の組成物、併用療法又は製剤の投与は、筋肉内、非経口、静脈内、経口、頬側、鼻、肺、頭蓋内、骨内、眼内、直腸、又は膣を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で標準的な経路によるものであり得る。本開示のrAAVのAAV成分(具体的には、AAV ITR及びカプシドタンパク質)の投与経路及び血清型は、治療される感染症及び/又は疾患状態、並びにhSCGAタンパク質を発現する標的細胞/組織を考慮して、当業者によって選択及び/又は適合され得る。
本開示は、本開示のrAAV、製剤、及び組成物の有効用量の局所投与及び全身投与を提供する。例えば、全身投与とは、全身が影響を受けるように循環系に投与することである。全身投与には、消化管を通した吸収などの経腸投与、及び注射、注入、又は移植を通した非経口投与が含まれる。
特に、本開示のrAAVの実際の投与は、rAAV組換えベクターを動物の標的組織に輸送する任意の物理的方法を使用することによって達成され得る。本開示による投与には、筋肉への注射及び血流への注射が含まれるが、これらに限定されない。リン酸緩衝生理食塩水中にrAAVを単に再懸濁させることが、筋肉組織発現に有用なビヒクルを提供するのに十分であることが実証されており、rAAVと同時投与され得る担体又は他の成分に対する既知の制限はない(DNAを分解する組成物がrAAVとの通常の様式で避けられるべきであるが)。rAAVのカプシドタンパク質は、rAAVが筋肉などの目的の特定の標的組織に標的化されるように修飾されてもよい。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO02/053703を参照されたい。医薬組成物は、注射可能な製剤として、又は経皮輸送により筋肉に送達される局所製剤として調製することができる。筋肉内注射及び経皮輸送の両方のための多数の製剤が先行して開発されており、本開示を実施する際に使用され得る。rAAVは、投与及び取り扱いを容易にするために、任意の薬学的に許容される担体とともに使用することができる。
筋肉内注射を目的として、ゴマ油若しくは落花生油などのアジュバント溶液、又は水性プロピレングリコール溶液、及び滅菌水溶液を用いることができる。そのような水溶液は、必要に応じて緩衝化することができ、液体希釈剤は最初に生理食塩水又はグルコースで等張にされる。遊離酸(DNAは酸性リン酸基を含む)又は薬理学的に許容される塩としてのrAAVの溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合した水で調製することができる。rAAVの分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中で、並びに油中で調製することができる。通常の保存状態及び使用下においては、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含む。これに関連して、用いられる滅菌水性媒体は全て、当業者に周知の標準的な技術により容易に入手可能である。
注射用途に好適な薬学的な担体、希釈剤、又は賦形剤には、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射溶液又は分散液の即時調製用の滅菌粉末が含まれる。全ての場合において、形態は滅菌でなければならず、容易な注射器使用可能性が存在する程度に流動性でなければならない。形態は、製造及び保管の条件下で安定していなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、及び植物油を含む溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散剤の場合には必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射可能な組成物の長時間の吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらされ得る。
滅菌されている注射可能な溶液は、必要な量のrAAVを適切な溶媒に、必要に応じて上に列挙した他の様々な成分とともに組み込み、その後濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は滅菌した活性成分を、基礎的な分散媒及び上に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルへと混合することによって調製される。滅菌されている注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、それは、活性成分プラス予め滅菌濾過したそれらの溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末をもたらす。
rAAVによる形質導入は、インビトロで行うこともできる。一実施形態では、所望の標的筋肉細胞を対象から取り出し、rAAVで形質導入し、対象に再導入する。代替的に、同系又は異種の筋肉細胞は、それらの細胞が対象において不適切な免疫応答を生成しない場合に使用され得る。
対象への形質導入及び形質導入細胞の再導入のための好適な方法は、当該技術分野で既知である。一実施形態では、細胞は、例えば適切な培地でrAAVを筋肉細胞と組み合わせ、サザンブロット及び/又はPCRなどの従来の技術を使用して、又は選択可能なマーカーを使用して目的のDNAを持つ細胞をスクリーニングすることにより、インビトロで形質導入することができる。次に、形質導入された細胞を医薬組成物に製剤化し、組成物を、筋肉内、静脈内、皮下、及び腹腔内注射による、又は例えばカテーテルを使用して平滑筋及び心筋への注射によるなど、様々な技術により対象に導入することができる。
本開示のrAAVによる細胞の形質導入は、hSCGAタンパク質の持続的発現をもたらす。よって、本開示は、hSCGAタンパク質を発現するrAAVを動物、好ましくはヒトに投与/送達する方法を提供する。これらの方法には、本開示の1つ以上のrAAVで組織(筋肉などの組織、肝臓及び脳などの臓器、並びに唾液腺などの腺を含むが、これらに限定されない)を形質導入することが含まれる。形質導入は、組織特異的制御要素を含む遺伝子カセットで行われ得る。例えば、本開示の一実施形態は、これらに限定されないが、アクチン及びミオシン遺伝子ファミリー、例えばmyoD遺伝子ファミリーに由来するもの(Weintraub et al.,Science,251:761-766(1991)を参照されたい]、筋細胞特異的エンハンサー結合因子MEF-2[Cserjesi and Olson,Mol.Cell.Biol.,11:4854-4862(1991)]、ヒト骨格筋アクチン遺伝子[Muscat et al.,Mol.Cell.Biol.,7:4089-4099(1987))、心筋アクチン遺伝子、筋クレアチンキナーゼ配列要素(Johnson et al.,Mol.Cell.Biol.,9:3393-3399(1989)を参照されたい]、及びマウスクレアチンキナーゼエンハンサー(mCK)要素に由来する制御要素、骨格速筋トロポニンC遺伝子、遅筋心臓トロポニンC遺伝子、及び遅筋トロポニンI遺伝子に由来する制御要素:低酸素誘発性核内因子(Semenza et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:5680-5684(1991))、ステロイド誘発性要素、及びグルココルチコイド応答要素(GRE)を含むプロモーター(Mader and White,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5603-5607(1993)を参照されたい)、並びに他の制御要素を含む、筋特異的制御要素によって誘導される筋細胞及び筋組織を形質導入する方法を提供する。
筋肉組織は生命維持に必須な臓器ではなく、アクセスしやすいため、インビボDNA送達の魅力的な標的である。本開示は、形質導入筋原線維由来のhSCGAの持続発現を企図する。
よって、本開示は、hSCGAをコードするrAAVの有効用量(又は本質的に同時に投与される用量若しくは間隔を置いて投与される用量)を、それを必要とする対象に投与する方法を提供する。
本発明の方法で投与されるrAAVの力価は、例えば、特定のrAAV、投与方法、処置目標、個体、及び標的とされる細胞型に応じて変化し、当該技術分野における標準の方法によって決定され得る。rAAVの力価は、1mL当たり約1×106、約1×107、約1×108、約1×109、約1×1010、約1×1011、約1×1012、約1×1013、約1×1014から、又はそれ以上のDNase耐性粒子(DRP)の範囲であり得る。投薬量は、ウイルスゲノム(vg)の単位で表されてもよい。rAAVの力価は、超らせんプラスミド定量標準又は線状化プラスミド定量標準によって決定されてもよい。
インビボ又はインビトロで、標的細胞にrAAVを形質導入する方法が、本発明によって企図される。インビボ方法は、本発明のrAAVを含む組成物の有効用量又は有効な複数用量を、それを必要とする動物(ヒトを含む)に投与するステップを含む。用量が、障害/疾患の発症前に投与される場合、投与は予防的である。用量が、障害/疾患の発症後に投与される場合、投与は治療的である。本発明の実施形態では、有効用量は、治療すべき障害/疾患の状態に関連する少なくとも1つの症状を緩和(排除若しくは軽減)する用量であり、障害/疾患の状態への進行を緩徐化若しくは予防する用量であり、疾患の範囲を縮小する用量であり、疾患の寛解(部分的若しくは完全な)をもたらす用量であり、並びに/又は生存を延長させる用量である。本発明の方法による予防又は治療のために企図される疾患の例は、筋ジストロフィー、例えば肢帯型筋ジストロフィーである。よって、配列番号1のヌクレオチド配列を含む、rAAV scAAVrh74.tMCK.hSGCAで標的細胞を形質導入する方法が、提供される。
併用療法も本発明により企図される。本明細書で使用される併用療法は、同時治療又は連続治療を含む。本発明の方法と標準的な医学的治療(例えば、ステロイド、コルチコステロイド、及び/又は限定されないがプレドニゾン、プレドニゾロン、及びデフラザコートのうちの1つ以上を含むグルココルチコイド)との組み合わせは、新規療法との組み合わせと同様に、具体的に企図される。この観点で、この組み合わせは、本発明の方法のrAAVを対象に投与する前に、rAAVを対象に投与すると同時に、又はrAAVを対象に投与した後に、1つ以上のステロイド、コルチコステロイド、及び/又は限定されないがプレドニゾン、プレドニゾロン、及びデフラザコートのうちの1つ以上を含むグルココルチコイドを対象に投与することを含む。
本発明によって企図される併用療法の関連する実施形態では、グルココルチコイドとしては、限定されないが、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、又はトリアムシノロンが挙げられる。
抗原特異的T細胞応答は、rAAVベクターを投与された対象で起こり得ることが認識されている。これは、遺伝子移入後2~4週間で予想される応答である。このような抗原特異的T細胞応答に対する1つの考えられる結果は、形質導入された細胞のクリアランス及び導入遺伝子発現の喪失である。rAAVベースの治療に対する宿主の免疫応答を弱めるために、治療前、例えば治療手順の24時間前に、対象は、およそ1mg/kg/日の経口による予防的プレゾニゾン又は同等のグルココルチコイドから始め、最大用量60mg/日で投与することができる。必要に応じて、同等のグルココルチコイドをおよそ1mg/kg/日の用量で静脈内投与することも可能である。治療は、およそ1カ月続く。プレゾニゾン又は同等のグルココルチコイドの量を漸減させるプロトコルを、個々の対象の遺伝子移入に対する免疫応答に基づいて実施し、ELISpotアッセイによって、またGGTによる肝機能モニタリングによって評価することができる。
提供されているのは、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)scAAVrh74.tMCK.hSGCAを投与するステップを含む、筋ジストロフィーの治療を必要とする対象においてそれを行う方法であり、rAAVは、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの用量で使用して投与される。例えば、提供される方法のうちのいずれかにおいて、投与されるrAAVの用量は、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kg、又は約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kgである。別の実施形態では、用量は、約5.0×1013vg/kg、1.0×1014vg/kg、又は2.0×1014vg/kgである。一実施形態では、rAAVは、静脈内経路を含む全身経路によって投与される。別の実施形態では、rAAVは、約5.0×1013vg/kg、1.0×1014vg/kg、又は2.0×1014vg/kgの用量で静脈内投与される。一実施形態では、筋ジストロフィーは、肢帯型筋ジストロフィーである。
加えて、投与されるrAAVの用量は、約1.5×1013vg~約3.5×1016vg、又は約3×1013vg~約1.0×1016vg、又は約1.5×1013vg~約2×1015vg、又は約1.5×1013vg~約1×1015vgである。加えて、方法のうちのいずれかにおいて、rAAVの用量は、約10mL/kgの濃度で投与される。一実施形態では、筋ジストロフィーは、肢帯型筋ジストロフィーである。一実施形態では、筋ジストロフィーは、肢帯型筋ジストロフィー2D型である。本開示における用量は、vg又はvg/kgのいずれかで表され、定量的PCR(qPCR)による滴定認定法に基づく。qPCRベースの滴定法は、当技術分野で知られている。
加えて、提供されているのは、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)scAAVrh74.tMCK.hSGCAを投与するステップを含む、筋ジストロフィーの治療を必要とする対象においてそれを行う方法であり、rAAVは、全身投与経路を使用して約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kgの用量で投与され、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルは、rAAVの投与前のアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルと比較して、rAAVの投与後に増加し、対象における血清CKレベルは、rAAVの投与前の血清CKレベルと比較して、rAAVの投与後に減少し、かつ/又は自発運動及び比力の生成は増加し、線維症は軽減し、前脛骨筋の収縮誘発性損傷に対する抵抗性は増加し、かつ/対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維の数は、rAAVの投与前のアルファ-サルコグリカン陽性線維の数と比較して、rAAVの投与後に増加し、対象の筋肉組織における線維直径サイズは、rAAVの投与前の線維直径の数と比較して、rAAVの投与後に増加し、又は対象の筋肉組織における中心核形成は、rAAVの投与前の中心核形成と比較して、rAAVの投与後に軽減する。筋肉組織には、上腕三頭筋、前脛骨筋、ヒラメ筋、腓腹筋、上腕二頭筋、僧帽筋、臀筋、大腰筋、三角筋、大腿四頭筋、及び横隔膜が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、筋肉組織には、前脛骨筋、腓腹筋、臀筋、大腰筋、及び上腕三頭筋が含まれる。アルファ-サルコグリカンの発現は、当業者に知られている方法によって決定される。一実施形態では、発現は、ウエスタンブロット、筋生検における免疫化学によって、及び/又はゲノムDNAの1マイクログラム当たりのベクターゲノムの数を検出することによって決定される。
いくつかの実施形態では、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)scAAVrh74.tMCK.hSGCAを投与するステップを含む、筋ジストロフィーの治療を必要とする対象においてそれを行う方法を含み、運動機能は、rAAVの投与前の当該対象の運動機能と比較して、当該対象において明らかに改善される。
配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を患者に投与することを含む、アルファ-サルコグリカンの増加を必要とする患者においてそれを行う方法が、提供される。
提供される筋ジストロフィーを治療する方法、使用、及び組成物のうちのいずれかにおいて、対象は、4~15歳であり、両方の対立遺伝子において確認されたアルファ-サルコグリカン(SGCA)変異を有し、AAVrh74抗体に対して陰性であり、かつ/又は40%超若しくは通常の100メートルの歩行試験を有した。提供される筋ジストロフィーを治療する方法、使用及び組成物のうちのいずれかにおいて、対象は、小児対象である。いくつかの実施形態では、対象は、小児対象であり、例えば、1~21歳の範囲の対象である。いくつかの実施形態では、対象は、1~10歳、又は2~12歳、4~15歳、又は10~19歳である。一実施形態では、対象は、青年対象であり、例えば、12~21歳の範囲の対象である。加えて、対象は、一実施形態では、15~29歳又は18~39歳の年齢の範囲の対象などの若年成人対象である。いくつかの実施形態では、対象は、中年成人又は高齢対象であり、その結果、中年成人は、25~55歳の範囲であってもよく、それ以上の年齢の成人対象は、50歳を超える範囲であってもよく、高齢対象は、65歳を超える範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、rAAVは、注射、注入、又は移植によって投与される。例えば、rAAVは、およそ1~2時間にわたる注入によって投与される。加えて、rAAVは、末梢四肢静脈を介した静脈内経路によって投与される。
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)scAAVrh74.tMCK.hSGCAを投与するステップを含む、筋ジストロフィーの治療を必要とする対象においてそれを行う方法では、rAAVは、全身投与経路を使用して、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1014vg/kgの用量で投与され、rAAVは、配列番号1に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、rAAVは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含む。
一実施形態では、rAAVは、配列番号2と少なくとも65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるポリペプチド配列を含むタンパク質をコードする。別の実施形態では、rAAVは、配列番号2に示されるポリペプチド配列を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。加えて更に、開示されたrAAVのうちのいずれかは、配列番号7及び/又は配列番号9のtMCKプロモーター配列などのプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、血清型AAVrh.74のrAAVである。一実施形態では、rAAVは、配列番号8の5’逆位末端反復配列を含む。別の実施形態では、rAAVは、配列番号4及び/又は配列番号11の3’逆位末端反復配列を含む。別の実施形態では、rAAVは、配列番号5及び/又は配列番号10のポリA配列を含む。
AAV投薬量は、LISA、逆転写酵素活性の評価、FACS、形質導入アッセイノーザンブロッティング(例えば、半定量的ノーザン)、ドットブロット分析、又はPCR(例、qPCR)を含むがこれらに限定されない複数の方法によって決定することができる。定量的リアルタイムPCR(qPCR)でAAVベクターゲノムを測定することにより、AAVの用量を決定できることはよく知られている。そのようなqPCR法は、従来の形質導入アッセイからの矛盾又は恣意的な結果を克服する。PCR投薬量決定の一実施形態では、プラスミドDNAが較正標準として使用される。プラスミドの形態は、qPCR法による投薬量の結果に影響を与える可能性がある。一実施形態では、環状又は超らせんDNA又はプラスミドが、定量標準として使用される。別の実施形態では、線状化されたDNA又はプラスミドが、定量標準として使用される。
「超らせんDNA」又は「超らせんプラスミド」という用語は、遊離端を含まないDNA又はプラスミドを指す。「線状化されたDNA」又は「線状化されたプラスミド」という用語は、互いに連結されていない遊離の5’末端及び遊離の3’末端を含むDNA又はプラスミドを指す。一実施形態では、線状化されたDNA又はプラスミドは、環状DNA(例えば、プラスミドDNA)の制限消化によってか、又はdbDNAの制限消化によって得られる。別の実施形態では、制限消化は、少なくとも1つの平滑末端を生成する酵素を使用して行われる。
例示的な実施形態では、筋ジストロフィーの治療を必要とする対象においてそれを行うための方法は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)scAAVrh74.tMCK7.hSGCAを投与するステップを含み、rAAVは、全身投与経路を使用して、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1014vg/kgの用量で投与され、ヒト対象は、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している。一実施形態では、rAAVは、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5.0×1013vg/kg、1.0×1014vg/kg、又は2.0×1014vg/kgの用量で、約1~2時間にわたる静脈内注入によって投与され、rAAVは、配列番号1のscAAVrh74.tMCK7.hSGCA構築物ヌクレオチド配列含む。別の実施形態では、用量は、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg又は7.41×1013vg/kgである。
本開示はまた、対象の筋肉組織におけるサルコグリカン発現を増加させる方法を提供し、この方法は、配列番号1と少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、又は99%同一のヌクレオチド配列を含むscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物を対象に投与することを含む。
本開示はまた、対象の筋機能を改善する方法を更に提供し、この方法は、配列番号1と少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、又は99%同一であるヌクレオチド配列を含む構築物を対象に投与することを含む。
いくつかの態様では、対象は、サルコグリカンタンパク質をコードする遺伝子における遺伝子変異、又は筋ジストロフィーに苦しんでいる。いくつかの態様では、対象は、アルファ-サルコグリカンタンパク質をコードする遺伝子における遺伝子変異に苦しんでいる。
提供された方法のうちのいずれかにおいて、対象の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルは、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前のアルファ-サルコグリカン遺伝子発現のレベルと比較して、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与後に増加する。
加えて、提供された方法のうちのいずれかにおいて、細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前後に生検された筋肉におけるウエスタンブロット又は免疫組織化学でアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。
提供された方法のうちのいずれかにおいて、アルファ-サルコグリカンタンパク質のレベルは、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与後に増加する。例えば、アルファ-サルコグリカンタンパク質のレベルのレベルは、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前後に生検された筋肉におけるウエスタンブロットでアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出されるとき、少なくとも33%増加するか、又は、アルファ-サルコグリカンタンパク質のレベルは、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前後の筋生検における免疫組織化学及び/又はゲノムDNAの1マイクログラム当たりのベクターゲノム数を検出することによって測定される。
本明細書に提供される方法のうちのいずれかにおいて、対象における血清CKレベルは、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前の血清CKレベルと比較して、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与後に減少する。
本明細書に提供される方法のうちのいずれかにおいて、対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維の数は、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前のアルファ-サルコグリカン陽性線維の数と比較して、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与後に増加する。例えば、アルファ-サルコグリカン陽性線維の数は、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前後の筋生検でのウエスタンブロット又は免疫組織化学によりアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。例えば、対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維の数は、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与後に増加する。
本明細書に提供された方法のうちのいずれかにおいて、対象におけるアルファ-サルコグリカンのレベルは、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前のアルファ-サルコグリカンのレベルと比較して、rAAVの投与後に増加する。例えば、アルファ-サルコグリカンのレベルは、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前後の筋生検での免疫組織化学又はウエスタンブロットによりアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。
別の実施形態は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を患者に投与することを含む、患者の細胞においてアルファ-サルコグリカン遺伝子を発現する方法を提供する。提供された、患者の細胞においてアルファ-サルコグリカン遺伝子を発現する方法のうちのいずれかにおいて、患者の細胞におけるアルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、scAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物の投与前後の筋生検におけるウエスタンブロット又は免疫組織化学でアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。一実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子は、1つの核当たり1つを超えるrAAVベクターゲノムコピーを検出することによって、患者において測定される。別の実施形態では、アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現は、ゲノムDNAの1マイクログラム当たりのベクターゲノムの数を検出することによって、対象において測定される。
配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を対象に投与することを含む、血清CKレベルの減少を必要とする患者においてそれを行う方法も、提供される。
配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を対象に投与することを含む、患者の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる方法が、提供される。これらの方法のうちのいずれかにおいて、アルファ-サルコグリカン陽性線維の数は、rAAVの投与前後の筋生検でのウエスタンブロット又は免疫組織化学によりアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。
別の実施形態は、配列番号1のscAAVrh74.tMCK.hSGCA構築物ヌクレオチド配列を対象に投与することを含む、アルファ-サルコグリカンの発現の増加を必要とする対象においてそれを行う方法を提供する。これらの方法のうちのいずれかにおいて、アルファ-サルコグリカンのレベルは、rAAVの投与前後の筋生検でのウエスタンブロット又は免疫組織化学によりアルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される。
治療有効量のrAAVベクターは、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kg、又は約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kgの範囲のrAAVの用量である。別の実施形態では、用量は、約5.0×1013vg/kg、約1.0×1014vg/kg、又は約2.0×1014vg/kgである。別の実施形態では、用量は、5.0×1013vg/kg、1.0×1014vg/kg、又は2.0×1014vg/kgである。本発明はまた、これらの範囲のrAAVベクターを含む組成物を含むように企図される。
投薬量は、ウイルスゲノム(vg)の単位で表されてもよい。rAAVの力価は、超らせんDNA若しくはプラスミド定量標準又は線状化されたDNA若しくはプラスミド定量標準によって決定されてもよい。AAVベクターの力価又は投薬量は、定量標準としてのプラスミド又はDNAの物理的形態に基づいて変化する可能性がある。例えば、力価又は投薬量の値は、超らせん標準qPCR力価測定法又は線状化された標準qPCR力価測定法に基づいて変化し得る。一実施形態では、本開示における投薬量は、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づく。別の実施形態では、本開示における投薬量は、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づく。したがって、一実施形態では、rAAVベクターの治療有効量は、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kg、又は約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kgの範囲のrAAVの用量である。別の実施形態では、用量は、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5.0×1013vg/kg、約1.0×1014vg/kg、又は約2.0×1014vg/kgである。別の実施形態では、用量は、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、5.0×1013vg/kg、1.0×1014vg/kg、又は2.0×1014vg/kgである。
別の実施形態では、rAAVベクターの治療有効量は、定量標準として線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.5×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.6×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.8×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kg、約1.2×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、約1.9×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、約1.4×1013vg/kg~約7.4×1013vg/kg、約1.9×1013vg/kg~約7.5×1013vg/kg、又は約1.8×1013vg/kg~約8.0×1013vg/kgの範囲のrAAVの用量である。例えば、rAAVベクターの治療有効量は、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg又は7.41×1013vg/kgの用量である。
一実施形態では、定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づく5.0×1013vg/kgの用量は、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づく1.85×1013vg/kgの用量と同等である。別の実施形態では、超らせんDNA又はプラスミドに基づく2.0×1014vg/kgの用量は、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づく7.41×1013vg/kgと同等である。したがって、別の実施形態では、定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づく約1.85×1013vg/kg又は7.41×1013vg/kgである。
有効用量の組成物の投与は、筋肉内、非経口、静脈内、経口、頬側、鼻、肺、頭蓋内、骨内、眼内、直腸、又は膣を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で標準的な経路によるものであり得る。本発明のrAAVのAAV成分(具体的には、AAV ITR及びカプシドタンパク質)の投与経路及び血清型は、治療される感染症及び/又は疾患状態、並びにアルファ-サルコグリカンを発現する標的細胞/組織を考慮して、当業者によって選択及び/又は適合され得る。
本発明は、本発明のrAAV及び組成物の有効用量の局所投与及び全身投与を提供する。例えば、全身投与とは、全身が影響を受けるように循環系に投与することである。全身投与には、胃腸管を通した吸収のような経腸投与及び注射、注入、又は移植による非経口投与が含まれる。
特に、本発明のrAAVの実際の投与は、rAAV組換えベクターを動物の標的組織に輸送する任意の物理的方法を使用することにより達成され得る。本発明による投与としては、筋肉内への注入、血流への注入、及び/又は肝臓への直接注入が挙げられるが、これらに限定されない。リン酸緩衝生理食塩水中にrAAVを単に再懸濁させることが、筋肉組織発現に有用なビヒクルを提供するのに十分であることが実証されており、rAAVと同時投与され得る担体又は他の成分に対する既知の制限はない(DNAを分解する組成物がrAAVとの通常の方法で避けられるべきであるが)。rAAVのカプシドタンパク質は、rAAVが筋肉などの目的の特定の標的組織に標的化されるように修飾されてもよい。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO02/053703を参照されたい。
rAAVベクターの治療有効量は、約1e13vg/kg~約5e14vg/kg、又は約1e13vg/kg~約2e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約3e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約4e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約5e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約6e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約7e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約8e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約9e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約1e14vg/kg、又は約1e13vg/kg~約2e14vg/kg、又は1e13vg/kg~約3e14vg/kg、又は約1e13~約4e14vg/kg、又は約3e13vg/kg~約4e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約5e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約6e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約7e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約8e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約9e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約1e14vg/kg、又は約3e13vg/kg~約2e14vg/kg、又は3e13vg/kg~約3e14vg/kg、又は約3e13~約4e14vg/kg、又は約3e13vg/kg~約5e14vg/kg、又は約5e13vg/kg~約6e13vg/kg、又は約5e13vg/kg~約7e13vg/kg、又は約5e13vg/kg~約8e13vg/kg、又は約5e13vg/kg~約9e13vg/kg、又は約5e13vg/kg~約1e14vg/kg、又は約5e13vg/kg~約2e14vg/kg、又は5e13vg/kg~約3e14vg/kg、又は約5e13~約4e14vg/kg、又は約5e13vg/kg~約5e14vg/kg、又は約1e14vg/kg~約2e14vg/kg、又は1e14vg/kg~約3e14vg/kg、又は約1e14~約4e14vg/kg、又は約1e14vg/kg~約5e14vg/kg、6e14vg/kg、7e14vg/kg、8e14vg/kg、又は9e14vg/kgの範囲のrAAVの用量である。本発明はまた、これらの範囲のrAAVベクターを含む組成物も含む。
例えば、rAAVベクターの治療有効量は、1e13vg/kg、約2e13vg/kg、約3e13vg/kg、約4e13vg/kg、約5e13vg/kg、約6e13vg/kg、約7e13vg/kg、約7.4e13vg/kg、約8e13vg/kg、約9e13vg/kg、約1e14vg/kg、約2e14vg/kg、約3e14vg/kg、約4e14vg/kg及び5e14vg/kgの用量である。AAVベクターの力価又は投薬量は、定量標準としてのプラスミドDNAの物理的形態に基づいて変化する可能性がある。例えば、力価又は投薬量の値は、超らせん標準qPCR力価測定法又は線状標準qPCR力価測定法に基づいて変化し得る。一実施形態では、治療有効量のrAAVは、定量標準としての超らせんプラスミドに基づいて5e13vg/kgの用量、又は定量標準としての線状化プラスミドに基づいて1.85e13vg/kgの用量である。別の実施形態では、治療有効量のrAAVは、定量標準としての超らせんプラスミドに基づいて2e14vg/kgの用量、又は定量標準としての線状化プラスミドに基づいて7.41e13vg/kgの用量である。別の実施形態では、治療有効量のscAAVrh74.tMCK.hSGCAは、定量標準としての超らせんプラスミドに基づいて約1e13vg/kg~約5e14vg/kg、又は約1e13vg/kg~約2e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約3e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約4e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約5e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約6e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約7e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約8e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約9e13vg/kg、又は約1e13vg/kg~約1e14vg/kg、又は約1e13vg/kg~約2e14vg/kg、又は1e13vg/kg~約3e14vg/kg、又は約1e13~約4e14vg/kg、又は約3e13vg/kg~約4e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約5e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約6e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約7e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約8e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約9e13vg/kg、又は約3e13vg/kg~約1e14vg/kg、又は約3e13vg/kg~約2e14vg/kg、又は3e13vg/kg~約3e14vg/kg、又は約3e13~約4e14vg/kg、又は約3e13vg/kg~約5e14vg/kg、又は約5e13vg/kg~約6e13vg/kg、又は約5e13vg/kg~約7e13vg/kg、又は約5e13vg/kg~約8e13vg/kg、又は約5e13vg/kg~約9e13vg/kg、又は約5e13vg/kg~約1e14vg/kg、又は約5e13vg/kg~約2e14vg/kg、又は5e13vg/kg~約3e14vg/kg、又は約5e13~約4e14vg/kg、又は約5e13vg/kg~約5e14vg/kg、又は約1e14vg/kg~約2e14vg/kg、又は1e14vg/kg~約3e14vg/kg、又は約1e14~約4e14vg/kg、又は約1e14vg/kg~約5e14vg/kg、6e14vg/kg、7e14vg/kg、8e14vg/kg、又は9e14vg/kgの範囲の用量である。本発明はまた、これらの用量のrAAVベクターを含む組成物も含む。
有効用量の組成物の投与は、筋肉内、非経口、静脈内、経口、頬側、鼻、肺、頭蓋内、骨内、眼内、直腸、又は膣を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で標準的な経路によるものであり得る。本発明のrAAVのAAV成分(具体的には、AAV ITR及びカプシドタンパク質)の投与経路及び血清型は、治療される感染症及び/又は疾患状態、並びにβ-サルコグリカンを発現する標的細胞/組織を考慮して、当業者によって選択及び/又は適合され得る。
本発明は、本発明のrAAV及び組成物の有効用量の局所投与及び全身投与を提供する。例えば、全身投与とは、全身が影響を受けるように循環系に投与することである。全身投与には、胃腸管を通した吸収のような経腸投与及び注射、注入、又は移植による非経口投与が含まれる。
特に、本発明のrAAVの実際の投与は、rAAV組換えベクターを動物の標的組織に輸送する任意の物理的方法を使用することにより達成され得る。本発明による投与としては、筋肉内への注入、血流への注入、及び/又は肝臓への直接注入が挙げられるが、これらに限定されない。リン酸緩衝生理食塩水中にrAAVを単に再懸濁させることが、筋肉組織発現に有用なビヒクルを提供するのに十分であることが実証されており、rAAVと同時投与され得る担体又は他の成分に対する既知の制限はない(DNAを分解する組成物がrAAVとの通常の方法で避けられるべきであるが)。rAAVのカプシドタンパク質は、rAAVが筋肉などの目的の特定の標的組織に標的化されるように修飾されてもよい。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるWO02/053703を参照されたい。
医薬組成物は、注射可能な製剤として、又は経皮輸送により筋肉に送達される局所製剤として調製することができる。筋肉内注射及び経皮輸送の両方のための多数の製剤がこれまでに開発されており、本発明の実施において使用することができる。rAAVは、投与及び取り扱いを容易にするために、任意の薬学的に許容される担体とともに使用することができる。したがって、別の態様では、本出願は、AAVrh74由来のカプシドを含むrAAVと、緩衝剤と、イオン強度剤と、界面活性剤と、を含む製剤に関する。一実施形態では、rAAVは、約1.0x1012vg/ml~約5.0×1014vg/mlの濃度である。別の実施形態では、rAAVは、定量標準としての超らせんプラスミドに基づいて、約5.0x1012vg/ml~約1.0×1014vg/mlの濃度である。別の実施形態では、rAAVは、定量標準としての超らせんプラスミドに基づいて、約2.0×1013vg/mlの濃度である。一実施形態では、rAAVは、scAAVrh74.tMCK.hSGCAベクターである。一実施形態では、組成物又は製剤中のrAAVの濃度は、定量標準としての超らせんプラスミドに基づいて、1×1013vg/ml~2×1014vg/mlである。別の実施形態では、濃度は、定量標準としての超らせんプラスミドに基づいて、2×1013vg/ml、4×1013vg/ml、又は5×1013vg/mlである。一実施形態では、緩衝剤は、トリス、トリシン、ビス-トリシン、HEPES、MOPS、TES、TAPS、PIPES、及びCAPSのうちの1つ以上を含む。別の実施形態では、緩衝剤は、約5mM~約40mMの濃度でpH8.0のトリスを含む。一実施形態では、緩衝剤は、約20mMでpH8.0のトリスを含む。一実施形態では、イオン強度剤は、塩化カリウム(KCl)、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム(NH4Cl)、酢酸アンモニウム、塩化マグネシウム(MgCl2)、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン(MnCl2)、酢酸マンガン、硫酸マンガン、塩化ナトリウム(NaCl)、酢酸ナトリウム、塩化リチウム(LiCl)、及び酢酸リチウムのうちの1つ以上を含む。一実施形態では、イオン強度剤は、約0.2mM~約4mMの濃度でMgCl2を含む。別の実施形態では、イオン強度剤は、約50mM~約500mMの濃度でNaClを含む。別の実施形態では、イオン強度剤は、約0.2mM~約4mMの濃度でMgCl2を含み、約50mM~約500mMの濃度でNaClを含む。別の実施形態では、イオン強度剤は、約1mMの濃度でMgCl2を含み、約200mMの濃度でNaClを含む。一実施形態では、界面活性剤は、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、ホスフェート、ポロキサマー、及びカチオン性界面活性剤のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー184、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー331、ポロキサマー338、及びポロキサマー407のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、界面活性剤は、約0.00001%~約1%の濃度でポロキサマーを含む。別の実施形態では、界面活性剤は、約0.001%の濃度でポロキサマー188を含む。筋肉内注射を目的として、ゴマ油若しくは落花生油などのアジュバント溶液、又は水性プロピレングリコール溶液、及び滅菌水溶液を使用することができる。そのような水溶液は、必要に応じて緩衝化することができ、液体希釈剤は最初に生理食塩水又はグルコースで等張にされる。遊離酸(DNAは酸性リン酸基を含む)又は薬理学的に許容される塩としてのrAAVの溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合した水で調製することができる。rAAVの分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中で、並びに油中で調製することができる。通常の保存状態及び使用下においては、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含む。これに関連して、用いられる滅菌水性媒体は全て、当業者に周知の標準的な技術により容易に入手可能である。
したがって、本明細書では、有効用量(又は本質的に同時に投与される用量若しくはある間隔で与えられる用量)の、アルファ-サルコグリカンをコードするrAAVを、それを必要とする哺乳動物の対象に投与する方法も記載される。
本明細書で言及される全ての刊行物及び特許は、各個々の刊行物又は特許が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合には、本出願が、本明細書中のいかなる定義も含み、優先される。
本発明は、以下の実施例において更に説明され、これは特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
AAVrh74.tMCK.hSCGAを使用した前臨床試験は、国際特許公開第2013/078316号、並びに米国特許第9,434,928号及び同第10,105,453号に記載されており、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施例1
scAAVrh74.tMCK.hSGCAの構築
scAAVrh74.tMCK.hSGCA導入遺伝子カセットは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターDNAプラスミドpAAV.tMCK.aSG-neoを使用して、コドン最適化ヒトアルファ-SG cDNA配列(ヒトcDNA、Genbankアクセッション番号U08895)を駆動するtMCK発現カセットを自己相補的ベクターバックボーンpHpa7に挿入することによって作製した。このベクターに含まれる唯一のウイルス配列は、ウイルスDNAの複製とrAAVベクターゲノムのパッケージングの両方に必要なAAV2の逆位末端反復である。逆位末端反復(ITR)のうちの1つは、このITRからの複製を制限するための末端分解部位(TRS)の標的欠失を有し、自己相補的ベクターパッケージング用の二量体複製型の生成を促進する。AAVrh74ウイルスは、マウス、非ヒト霊長類(NHP)、及びヒトにおいて、血管関門を越えて筋肉に形質導入するのに安全かつ非常に効率的であることが証明されている。
scAAVrh74.tMCK.hSGCAの構築
scAAVrh74.tMCK.hSGCA導入遺伝子カセットは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターDNAプラスミドpAAV.tMCK.aSG-neoを使用して、コドン最適化ヒトアルファ-SG cDNA配列(ヒトcDNA、Genbankアクセッション番号U08895)を駆動するtMCK発現カセットを自己相補的ベクターバックボーンpHpa7に挿入することによって作製した。このベクターに含まれる唯一のウイルス配列は、ウイルスDNAの複製とrAAVベクターゲノムのパッケージングの両方に必要なAAV2の逆位末端反復である。逆位末端反復(ITR)のうちの1つは、このITRからの複製を制限するための末端分解部位(TRS)の標的欠失を有し、自己相補的ベクターパッケージング用の二量体複製型の生成を促進する。AAVrh74ウイルスは、マウス、非ヒト霊長類(NHP)、及びヒトにおいて、血管関門を越えて筋肉に形質導入するのに安全かつ非常に効率的であることが証明されている。
組換えAAV、(sc)rAAVrh74.tMCK.hSGCAは、トリプルトランスフェクションによって作製した。qPCRベースの滴定法を使用して、Prism 7500 Fast Taqman検出器システム(PE Applied Biosystems)を利用してカプセル化されたvg力価を決定した。構築物は、高レベルの発現を促進するためのキメライントロンを含む。キメライントロンは、ヒトβ-グロビン遺伝子の最初のイントロンと分岐点からの5’ドナー部位、及び免疫グロブリン遺伝子重鎖可変領域のリーダーと本体との間にあるイントロンからの3’スプライスアクセプター部位からなる。rAAVは、合成SV40ポリアデニル化シグナルも含み、効率的な転写終結に使用される。発現カセットの概略図を以下の図1に示す。ベクターは、AAV2 ITR配列に隣接し、AAVrh74ビリオンにキャプシド形成されたヒトアルファ-サクログリカン(アルファ-SG)遺伝子を使用して産生した。構築物は、tMCK前初期プロモーター/エンハンサー(GenBankアクセッション番号M21390)を含有し、高レベルの発現のためにβ-グロビンイントロンを使用する。
Claims (65)
- 配列番号1のヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド配列。
- 前記ヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列又は配列番号1を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド配列。
- ポリヌクレオチド配列を含む組換えAAV(rAAV)であって、前記ポリヌクレオチド配列が、i)配列番号3のアミノ酸配列を各々コードする、2つの相補的ヌクレオチド配列と、ii)2つの相補的ポリアデニル化配列と、を含む、組換えAAV。
- 前記2つの相補的ヌクレオチド配列の各々が、筋特異的制御要素に作動可能に連結され、前記2つの筋特異的制御要素が、互いに相補的である、請求項3に記載の組換えAAV。
- 前記筋特異的制御要素が、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、筋細胞特異的エンハンサー結合因子(MEF)要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)プロモーター、短縮MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、MHCK7プロモーター、C5-12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンC遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンC遺伝子要素、遅筋トロポニンI遺伝子要素、低酸素誘発性核因子結合要素、ステロイド誘発性要素、又はグルココルチコイド応答要素(GRE)である、請求項4に記載の組換えAAV。
- 前記筋特異的制御要素が、短縮MCK(tMCK)である、請求項5に記載の組換えAAV。
- 2つの相補的キメライントロンを更に含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の組換えAAV。
- 3つの逆方向末端反復(ITR)を更に含み、1つのITRが、前記2つの相補的な筋特異的制御要素によって隣接される、請求項3~7のいずれか一項に記載の組換えAAV。
- 配列番号1のヌクレオチド配列を含む、請求項3~8のいずれか一項に記載の組換えAAV。
- 前記ベクターが、血清型AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13 AAV rh.74、又は合成AAV血清型である、請求項3~9のいずれか一項に記載の組換えAAV。
- 請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAVを含む、組成物。
- 筋ジストロフィーの治療を必要とする対象において筋ジストロフィーを治療する方法であって、前記対象に、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を投与することを含む、方法。
- 筋ジストロフィーに罹患している対象において筋力及び/又は筋量を増加させる方法であって、前記対象に、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を投与することを含む、方法。
- 筋ジストロフィーに罹患している対象において線維症を軽減させる方法であって、前記対象に、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を投与することを含む、方法。
- 筋ジストロフィーに罹患している対象において収縮誘発性損傷を軽減させる方法であって、前記対象に、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を投与することを含む、方法。
- 対象においてアルファ-サルコグリカン異常症を治療する方法であって、前記対象に、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を投与することを含む、方法。
- 対象の筋肉組織においてアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる及び/又はCKレベルを減少させる方法であって、前記対象に、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を投与することを含む、方法。
- 前記アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又は陽性アルファ-サルコグリカン陽性線維の数が、前記rAAV投与の前及び後の筋生検において、ウエスタンブロットで、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、請求項17に記載の方法。
- アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又はアルファ-サルコグリカン陽性筋線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、免疫組織化学によって、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、請求項18に記載の方法。
- 前記対象が、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えAAV又は前記組成物が、筋肉内注射又は静脈内注射によって投与される、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えAAV又は前記組成物が、全身投与される、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
- 前記組換えAAV又は前記組成物が、注射、注入、又は移植によって非経口投与される、請求項22に記載の方法。
- 前記組換えAAVが、定量標準としての超らせんDNA又は線状プラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの投薬量で投与される、請求項12~23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、又は約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、請求項12~23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、請求項12~23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、又は約2×1014vg/kgの用量で投与される、請求項12~23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記rAAVが、全身投与経路を使用して投与され、前記定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg~約7.41×1013vg/kgの用量で投与される、請求項12~23のいずれか一項に記載の方法。
- 哺乳動物対象における筋ジストロフィーを治療するための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を含む、組成物。
- 筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象における筋力及び/又は筋量を増加させるための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を含む、組成物。
- 筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象における線維症を軽減させるための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を含む、組成物。
- 筋ジストロフィーに罹患している対象における収縮誘発性損傷を軽減させるための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を含む、組成物。
- 治療を必要とする哺乳動物対象におけるβ-サルコグリカン異常症を治療するための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を含む、組成物。
- 対象の筋肉組織におけるアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる及び/又はCKレベルを減少させるための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物を含む、組成物。
- 前記アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又は陽性アルファ-サルコグリカン陽性線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、ウエスタンブロットで、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、請求項34に記載の組成物。
- アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又はアルファ-サルコグリカン陽性筋線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、免疫組織化学によって、アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、請求項34に記載の組成物。
- 前記対象が、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している、請求項29~36のいずれか一項に記載の組成物。
- 筋肉内注射又は静脈内注射用に製剤化される、請求項29~37のいずれか一項に記載の組成物。
- 全身投与用に製剤化される、請求項29~37のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記全身投与が、注射、注入、又は移植による非経口投与である、請求項39に記載の組成物。
- 前記組換えAAVが、定量標準としての超らせんDNA又は線状プラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの投薬量で投与される、請求項29~37のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、又は約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、請求項29~37のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、請求項29~37のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、又は約2×1014vg/kgの用量で投与される、請求項29~37のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記rAAVが、全身投与経路を使用して投与され、前記定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg~約7.41×1013vg/kgの用量で投与される、請求項29~37のいずれか一項に記載の組成物。
- 筋ジストロフィーを治療するための医薬の調製のための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物の、使用。
- 筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象において筋力及び/又は筋量を増加させるための医薬の調製のための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター又は請求項11に記載の組成物の、使用。
- 筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物対象において線維症を軽減させるための医薬の調製のための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター又は請求項11に記載の組成物の、使用。
- 筋ジストロフィーに罹患している対象において収縮誘発性損傷を軽減させるための医薬の調製のための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAVベクター又は請求項11に記載の組成物の、使用。
- β-サルコグリカン異常症の治療を必要とする哺乳動物対象においてβ-サルコグリカン異常症を治療するための医薬の調製のための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物の、使用。
- 対象の筋肉組織においてアルファ-サルコグリカン陽性線維を増加させる及び/又はCKレベルを減少させるための医薬の調製のための、請求項3~10のいずれか一項に記載の組換えAAV又は請求項11に記載の組成物の、使用。
- 前記アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又は陽性アルファ-サルコグリカン陽性線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、ウエスタンブロットで、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、請求項51に記載の使用。
- アルファ-サルコグリカン遺伝子の発現又はアルファ-サルコグリカン陽性筋線維の数が、前記rAAVの投与の前及び後の筋生検において、免疫組織化学によって、前記アルファ-サルコグリカンタンパク質レベルを測定することによって検出される、請求項51に記載の使用。
- 前記対象が、肢帯型筋ジストロフィーに罹患している、請求項46~53のいずれか一項に記載の使用。
- 前記医薬が、筋肉内注射又は静脈内注射用に製剤化される、請求項46~54のいずれか一項に記載の使用。
- 前記医薬が、全身投与用に製剤化される、請求項46~54のいずれか一項に記載の使用。
- 前記全身投与が、注射、注入、又は移植による非経口投与である、請求項56に記載の使用。
- 前記組換えAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又は線状プラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約5.0×1015vg/kgの投薬量で投与される、請求項46~54のいずれか一項に記載の使用。
- 前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約1.0×1012vg/kg~約2.0×1015vg/kg、約5×1012vg/kg~約1.0×1015vg/kg、約1.0×1013vg/kg~約5.0×1014vg/kg、約2.0×1013vg/kg~約3.0×1014vg/kg、又は約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、請求項46~54のいずれか一項に記載の使用。
- 前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg~約2×1014vg/kgの用量で投与される、請求項46~54のいずれか一項に記載の使用。
- 前記rAAVが、前記定量標準としての超らせんDNA又はプラスミドに基づいて、約5×1013vg/kg、約1×1014vg/kg、又は約2×1014vg/kgの用量で投与される、請求項46~54のいずれか一項に記載の使用。
- 前記rAAVが、全身投与経路を使用して投与され、前記定量標準としての線状化されたDNA又はプラスミドに基づいて、約1.85×1013vg/kg~約7.41×1013vg/kgの用量で投与される、請求項46~54のいずれか一項に記載の方法。
- ポリヌクレオチド配列を含む組換えAAV(rAAV)ベクターであって、前記ポリヌクレオチド配列が、5’から3’方向に、
(1)ポリアデニル化配列の相補的配列と、
(2)目的の遺伝子の相補的配列と、
(3)イントロンの相補的配列と、
(4)プロモーターの相補的配列と、
(5)5’ITR配列と、
(6)前記プロモーターと、
(7)前記イントロンと、
(8)前記目的の遺伝子と、
(9)前記ポリアデニル化配列と、を含み、
前記ポリヌクレオチド配列が、2つの3’ITR配列によって隣接され、前記2つの3’ITR配列が、互いに相補的である、組換えAAVベクター。 - 前記目的の遺伝子が、ヒトサルコグリカン-β(hSCGB)、ヒトサルコグリカンγ(hSCGG)、ヒトジスフェルリン、ヒトANO5、及びカルパイン-3(Cap3)遺伝子を含む、請求項63に記載のrAAVベクター。
- 前記プロモーターが、筋特異的制御要素であり、前記筋特異的制御要素が、ヒト骨格アクチン遺伝子要素、心臓アクチン遺伝子要素、筋細胞特異的エンハンサー結合因子(MEF)要素、筋クレアチンキナーゼ(MCK)要素、短縮MCK(tMCK)プロモーター、ミオシン重鎖(MHC)プロモーター、MHCK7プロモーター、C5-12プロモーター、マウスクレアチンキナーゼエンハンサー要素、骨格速筋トロポニンC遺伝子要素、遅筋心臓トロポニンC遺伝子要素、遅筋トロポニンI遺伝子要素、低酸素誘発性核因子結合要素、又はステロイド誘発性要素、又はグルココルチコイド応答要素(GRE)を含む、請求項64に記載のrAAVベクター。
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