JP2023080521A - 防護服 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業性の低下を抑える。
【解決手段】本開示に係る防護服10は、胴体部11と、胴体部11に連結されて袖口21が形成された左右の腕部13a,13bと、胴体部11に連結されて裾口22が形成された左右の脚部14a,14bと、胴体部11に連結されて顔を前方へ露出可能な顔開口が形成されたフード12とを少なくとも備える防護服10であって、少なくとも1つの伸縮性部材15を備え、少なくとも1つの伸縮性部材15は、フード12の後頭部側に取り付けられて着用者の左右方向に伸縮可能な横伸縮性部材24を含み、フード12のうち横伸縮性部材24が取り付けられた領域の左右方向の伸縮率は、3%以上20%以下であることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本開示に係る防護服10は、胴体部11と、胴体部11に連結されて袖口21が形成された左右の腕部13a,13bと、胴体部11に連結されて裾口22が形成された左右の脚部14a,14bと、胴体部11に連結されて顔を前方へ露出可能な顔開口が形成されたフード12とを少なくとも備える防護服10であって、少なくとも1つの伸縮性部材15を備え、少なくとも1つの伸縮性部材15は、フード12の後頭部側に取り付けられて着用者の左右方向に伸縮可能な横伸縮性部材24を含み、フード12のうち横伸縮性部材24が取り付けられた領域の左右方向の伸縮率は、3%以上20%以下であることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本開示は、防護服に関する。
近年、医療現場での感染症対策や作業現場の安全衛生の観点から、使い捨て保護具の需要が高まっている。
防護服は、化学物質、ウイルス、病原体、放射性物質、及びその他の有害な粉塵等の有害物質の人体への付着及び侵入を防ぐために着用される。そのため、防護服は、バリア性を有する素材を用いて製造される。防護服には様々なタイプがあるが、その中でも着用者が有害な環境に曝されないよう高い気密性を有する防護服として、カバーオール型の防護服が用いられている。
例えば、特許文献1には、上半身と下半身が一体となったオーバーオール型の防護服が記載されている。この防護服の胴体部の腰部周り、右腕部の右腕袖口、左腕部の左腕袖口、右脚部の右脚開口、左脚部の左脚開口、及び頭部の頭部開口には、伸縮性部材が配置されている。
高い気密性を有する防護服は、着用者の可動域を制約するため動作性が悪く、作業時には作業効率の低下のみならず、着用者に身体的及び心理的なストレスを与える。そのため、作業性に優れ、かつ、着用時の快適性に優れる防護服の開発が求められている。
特許文献1に記載の防護服のように、着用時の密着性を上げるため、顔部、袖部、裾部、腰部などに伸縮性部材を用いることがある。
しかし、着用した時の顔部の密着性を高くしようと伸縮部材の縮みを強くすると、着用した時に顔部にフードが顔に掛かってしまい、視界が悪化して、作業性が低下してしまうおそれがある。
そこで、本開示は、作業性の低下を抑えることが可能な防護服の提供を目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討した結果、防護服の頭頂部に伸縮性部材を適切な形状に取り付けることによって、身体への密着性が高く、視界が悪くなることを防ぐことができる防護服を見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、好ましい実施形態として、下記(1)~(4)の防護服を提供する。
(1)胴体部と、前記胴体部から袖口へ連続して延びる左右の腕部と、前記胴体部から裾口へ連続して延びる左右の脚部と、前記胴体部から連続して延びて顔を前方へ露出可能な顔開口が形成されるフードと、を少なくとも備える防護服であって、少なくとも1つの伸縮性部材を備え、前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記フードの後頭部側に取り付けられて着用者の左右方向に伸縮可能な横伸縮性部材を含み、前記フードのうち前記横伸縮性部材が取り付けられた領域の左右方向の伸縮率は、3%以上20%以下であることを特徴とする防護服。
(2)胴体部と、前記胴体部から袖口へ連続して延びる左右の腕部と、前記胴体部から裾口へ連続して延びる左右の脚部と、前記胴体部から連続して延びて顔を前方へ露出可能な顔開口が形成されるフードと、を少なくとも備える防護服であって、少なくとも1つの伸縮性部材を備え、前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記フードの頭頂部側又は後頭部側に取り付けられて着用者の左右方向と交叉する方向に伸縮可能な縦伸縮性部材を含み、前記フードのうち前記縦伸縮性部材が取り付けられた領域の左右方向と交叉する方向の伸縮率は、5%以上22%以下であることを特徴とする防護服。
(3)前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記フードの後頭部側に取り付けられて着用者の左右方向に伸縮可能な横伸縮性部材を含み、前記フードのうち前記横伸縮性部材が取り付けられた領域の左右方向の伸縮率は、3%以上20%以下であることを特徴とする上記(2)に記載の防護服。
(4)前記縦伸縮性部材は、前記横伸縮性部材と交叉する状態で前記フードの後頭部側に取り付けられることを特徴とする上記(3)に記載の防護服。
(5)前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記フードの前記顔開口の周囲に取り付けられて前記顔開口の周方向に伸縮可能な顔開口伸縮性部材を含むことを特徴とする上記(1)から上記(4)のいずれかに記載の防護服。
(6)前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記胴体部の腰周りに取り付けられて前記腰周りの周方向に伸縮可能な腰周り伸縮性部材と、前記左右の腕部の前記袖口周りに取り付けられて前記袖口の周方向に伸縮可能な袖口伸縮性部材と、前記左右の脚部の前記裾口周りに取り付けられて前記裾口の周方向に伸縮可能な裾口伸縮性部材とを含むことを特徴とする上記(1)から上記(5)のいずれかに記載の防護服。
(7)前記防護服の生地は、不織布、樹脂、及び、不織布層と樹脂層とを含む積層体のうちのいずれかであることを特徴とする上記(1)から上記(6)のいずれかに記載の防護服。
(8)前記防護服の生地の目付は、35g/m2以上~125g/m2以下であることを特徴とする上記(1)から上記(7)のいずれかに記載の防護服。
(9) 前記防護服の生地の引張強度は、25N/25mm以上85N/25mm以下であり、前記防護服の生地の引裂強度は、20N以上80N以下であることを特徴とする上記(1)から上記(8)のいずれかに記載の防護服。
(10)前記少なくとも1つの伸縮性部材は、幅が3mm以上10mm以下のゴム糸であることを特徴とする上記(1)から上記(9)のいずれかに記載の防護服。
本開示によれば、防護服の作業性の低下を抑えることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、以下の説明において、上下方向は防護服を着用した着用者の頭側を上方、足側を下方とする方向を意味し、前後方向は着用者の前後方向を意味し、左右方向は前方を向いた状態での着用者の左右方向を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る防護服10の正面図である。図2は、図1の防護服10の背面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る防護服10は、上半身と下半身が一体となったオーバーオール型の防護服(全身防護服)であって、胴体部11と、胴体部11から連続して上方へ延びるフード12と、胴体部11から連続して左右の両側へ延びる左右の腕部13a,13bと、胴体部11から連続して下方へ延びる左右の脚部14a,14bと、複数の伸縮性部材15とを備える。胴体部11、フード12、左右の腕部13a,13b、及び左右の脚部14a,14bは、例えば、縫合、接着、熱融着、超音波接着、加硫等によって一体化されている。なお、本実施形態に係る防護服10は、「防護衣」等と呼ばれることもある。
胴体部11は、着用者が着用した着用状態において着用者の胴体が挿通する部分であって、胴体部前面16及び胴体部背面17から構成されており、その正面(胴体部前面16)には、上下方向に沿ってファスナー18が設けられている。ファスナー18は、正面視において、胴体部前面16の略中央に、体軸方向(上下方向)に沿って設けられていることが好ましい。着用者は、このファスナー18を開閉することにより、防護服10の脱着を行う。着用状態では、胴体部11は、着用者の胴体を覆う。ファスナー18を設ける位置は、限定されないが、図1に示すように、胴体部11の正面視において、その略中央に、体軸方向に沿って配置されていることが好ましい。そして、ファスナー18は、上止めがフード12の後述する顔開口19の周縁上に設けられていることが好ましい。さらに、ファスナー18は、その下止めが腰周り(着用時に腰の周囲に位置する部分)20よりも下方の位置に設けられていることが好ましい。ファスナー18をこのような配置にすることによって、着脱を一層容易にすることができる。なお、図示はしないが、防護服10の着衣の際は、下止めから上止めに向けて、スライダーを引き上げる。そして、防護服10の脱衣の際は、上止めまで引き上げられているスライダーを、下止めに向けて引き下げる。さらに、気密性を高める観点から、ファスナー18の前面側にファスナーカバーを設けてもよい。また、ファスナー18は、面ファスナー等であってもよい。
フード12は、着用状態において着用者の頭部を覆う部分であって、胴体部11から連続して上方へ延びる。フード12の前側には、着用者の顔を前方へ露出可能な顔開口19が形成される。すなわち、フード12は、着用状態において着用者の顔を顔開口19から前方へ露出可能であり、着用者の顔以外の頭部の全域を覆う。なお、図示はしないが、顔開口19から外部へ露出する顔の部分にマスク、防護マスク、防護メガネ等を装着することによって、顔を保護してもよい。
左右の腕部13a,13bは、着用状態において着用者の腕を挿通させる部分であって、胴体部11から連続して左右の両側へ延びる。左右の腕部13a,13bは、着用者の手を外部へ露出可能な袖口21を先端にそれぞれ有し、着用者の腕を挿通可能に形成され、着用状態において着用者の腕を覆う。すなわち、左右の腕部13a,13bは、胴体部11から袖口21へ連続して延びる。左右の腕部13a,13bは、防護服10に左右に対称的に設けられることが好ましい。なお、図示はしないが、袖口21から外部へ出された手に別体のグローブ等を装着することによって、手を保護してもよい。
左右の脚部14a,14bは、着用状態において着用者の脚を挿通させる部分であって、胴体部11から連続して下方へ延びる。左右の脚部14a,14bは、着用者の足を外部へ露出可能な裾口22を先端にそれぞれ有し、着用者の脚を挿通可能に形成され、着用状態において着用者の脚を覆う。すなわち、左右の脚部14a,14bは、胴体部11から裾口22へ連続して延びる。左右の脚部14a,14bは、防護服10に左右に対称的に設けられることが好ましい。なお、図示はしないが、袖口21から外部へ出された足に別体のシューズや防護服等を装着することによって、足を保護してもよい。
複数の伸縮性部材15は、伸縮可能な部材であって、縫製、熱融着等によって防護服10の後述する各所に固着することができる。後述する各伸縮性部材15は、伸張した状態で防護服10の生地に取り付けられ、無負荷状態である自然長にした状態では、防護服10の生地を収縮させた状態に保持する。
複数の伸縮性部材15の素材は、伸縮性を有する部材であればよく、特に限定されないが、合成ゴム、天然ゴム、エラストマー等が挙げられる。特に、機能性、経済性等の観点から、幅が3mm以上10mm以下のゴム糸(糸状のゴム)であることが好ましい。
複数の伸縮性部材15は、本実施形態では、フード12の顔開口19に設けられる顔開口伸縮性部材23と、フード12の後頭部側に設けられる横伸縮性部材24と、フード12の後頭部側に設けられる縦伸縮性部材25と、腰周り20に設けられる腰周り伸縮性部材26と、左右の袖口21に設けられる袖口伸縮性部材27と、左右の裾口22に設けられる裾口伸縮性部材28と、を含む。すなわち、防護服10は、少なくとも1つの伸縮性部材15を備える。なお、複数の伸縮性部材15は、顔開口伸縮性部材23、横伸縮性部材24、縦伸縮性部材25、腰周り伸縮性部材26、袖口伸縮性部材27、及び裾口伸縮性部材28以外の伸縮性部材15を含んでもよい。
顔開口伸縮性部材23は、防護服10の気密性を確保する観点から、フード12の顔開口19の周囲の周縁部29に、周方向に伸縮可能に取り付けられる。顔開口伸縮性部材23は、顔開口19の周方向に伸びた状態で顔開口19の周縁部29に取り付けられる。フード12のうち顔開口伸縮性部材23が取り付けられた領域(顔開口19の周縁部29)の伸縮率は、35%以上170%以下であることが好ましく、45%以上110%以下であることがより好ましく、65%以上80%以下であることが更に好ましい。また、フード12の顔開口19には、ギャザーが設けられていることが好ましい。
なお、伸縮率は、伸ばした状態の長さ(L1)と無負荷状態である自然長(L0)との差の長さ(L1-L0)を、自然長(L0)で割った値の割合((L1-L0)÷L0×100(%))をいう。例えば、防護服10のうち伸縮性部材15を取り付けた領域において、係る領域を伸ばした状態の長さが650mmであり、無負荷状態である自然長の長さが500mmである場合、その領域の伸縮率は、30%((650mm-500mm)÷500mm×100=30(%))である。
横伸縮性部材24は、顔開口19の過大な収縮を抑えることによって視界の悪化を防止する観点から、フード12の後頭部側の後頭部領域30に左右方向に伸縮可能に取り付けられる。横伸縮性部材24は、左右方向に伸びた状態でフード12の後頭部領域30に取り付けられる。フード12のうち横伸縮性部材24が取り付けられた領域(後頭部領域30)の左右方向の伸縮率は、3%以上20%以下であることが好ましい。
縦伸縮性部材25は、顔開口19の過大な収縮を抑えることによって視界の悪化を防止する観点から、フード12の後頭部側の後頭部領域30に上下方向(左右方向と交叉する方向)に伸縮可能に取り付けられる。縦伸縮性部材25は、上下方向に伸びた状態でフード12の後頭部領域30に取り付けられる。本実施形態では、縦伸縮性部材25は、横伸縮性部材24と交叉する状態でフード12の後頭部領域30に取り付けられる。すなわち、縦伸縮性部材25と横伸縮性部材24とは、フード12の後頭部領域30でクロスしている。フード12のうち縦伸縮性部材25が取り付けられた領域(後頭部領域30)の上下方向の伸縮率は、5%以上22%以下であることが好ましい。
なお、本実施形態では、縦伸縮性部材25を、フード12の後頭部領域30で横伸縮性部材24と交叉させたが、これに限定されるものではない。例えば、縦伸縮性部材25を、フード12の後頭部領域30の横伸縮性部材24よりも上方又は下方に配置し、横伸縮性部材24と交叉させなくてもよい。また、本実施形態では、縦伸縮性部材25を、フード12の後頭部領域30に取り付けたが、これに限定されるものではなく、フード12の頭頂部側の頭頂部領域31に、前後方向(左右方向と交叉する方向)に伸縮可能に取り付けてもよい。
腰周り伸縮性部材26は、作業性を向上させる観点から、胴体部11の腰周り20の少なくとも一部に、周方向に伸縮可能に取り付けられる。腰周り伸縮性部材26は、腰周り20の周方向に伸びた状態で胴体部11の腰周り20に取り付けられる。胴体部11のうち腰周り伸縮性部材26が取り付けられた領域(胴体部11の腰周り20)の伸縮率は、25%以上230%以下であることが好ましい。胴体部11の腰周り20の伸縮率の下限は、好ましくは、35%以上であり、より好ましくは45%以上であり、更に好ましくは65%以上である。また、胴体部11の腰周り20の伸縮率の上限は、好ましくは170%以下であり、より好ましくは110%以下であり、更に好ましくは80%以下である。このような伸縮率にすることにより、腰周り20のダボ付きを抑制しつつ、必要以上の締め付けを生じることがない程度の収縮力を発現させることができる。
なお、腰周り伸縮性部材26は、胴体部11の腰周り20の全周に亘って配置されていてもよいが、周方向において所定の間隔で間欠的に連続配置されることが好ましい。このような間隔を置くことで、適度な締め付けを腹部に及ぼすことができる。具体的には、周方向における、隣接する腰周り伸縮性部材26同士の間隔が、0.5cm以上4cm以下であることが好ましく、1cm以上3cm以下であることがより好ましく、1cm以上2cm以下であることがより好ましい。また、腰周り伸縮性部材26を間欠的に配置する場合、腰周り20のうちファスナー18が配置されている領域には、腰周り伸縮性部材26を配置しないことが好ましい。さらに、腰周り伸縮性部材26を3本以上配置する場合には、それぞれの間隔は上記範囲内で適宜配置することができる。
袖口伸縮性部材27は、防護服10の気密性を確保する観点から、左右の腕部13a,13bの袖口21周りの周縁部32に周方向に伸縮可能に取り付けられる。袖口伸縮性部材27は、袖口21の周方向に伸びた状態で、左右の腕部13a,13bの袖口21の周縁部32に取り付けられる。左右の腕部13a,13bのうち袖口伸縮性部材27が取り付けられた領域(左右の腕部13a,13bの袖口21の周縁部32)の伸縮率は、55%以上200%以下であることが好ましく、85%以上170%以下であることがより好ましく、95%以上125%以下であることが更に好ましい。また、左右の腕部13a,13bの袖口21の周縁部32には、ギャザーが設けられていることが好ましい。
裾口伸縮性部材28は、防護服10の気密性を確保する観点から、左右の脚部14a,14bの裾口22周りの周縁部33に周方向に伸縮可能に取り付けられる。裾口伸縮性部材28は、裾口22の周方向に伸びた状態で、左右の脚部14a,14bの裾口22の周縁部33に取り付けられる。左右の脚部14a,14bのうち裾口伸縮性部材28が取り付けられた領域(左右の脚部14a,14bの裾口22の周縁部33)の伸縮率は、100%以上250%以下であることが好ましく、130%以上210%以下であることがより好ましい。また、左右の脚部14a,14bの裾口22の周縁部33には、ギャザーが設けられていることが好ましい。
防護服10の生地は、防護の対象物質(例えば、特定の化学物質、ウイルス、細菌類、放射性物質、粉塵、液体、気体等)の侵入を防ぐことができるものであればよい。かかる観点から、防護服10の生地は、バリア性の生地であることが好ましい。そして、生地の種類は、用途に応じて選択することができるが、不織布、樹脂、及び、不織布層と樹脂層とを含む積層体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。防護服の素材の具体例としては、スパンボンド不織布、SMS不織布、樹脂フィルム、及びこれらの積層体等が挙げられる。
スパンボンド不織布は、経済性及び強度に優れており、例えば、使い捨ての防護服10として好適である。スパンボンド不織布としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂製のスパンボンド不織布が好ましい。熱可塑性樹脂の中でも、経済性及び強度の観点から、ポリプロピレンがより好ましい。スパンボンド不織布に含まれる熱可塑性樹脂の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがより好ましい。
SMS不織布は、強度に優れながら、通気性及びフィルトレーション効果が高いため、例えば、医療用の防護服10として好適である。SMS不織布は、第1のスパンボンド不織布と、第2のスパンボンド不織布と、の間にメルトブローン不織布が配置された、積層不織布である。第1のスパンボンド不織布及び第2のスパンボンド不織布は、上述したスパンボンド不織布を使用することができる。そして、メルトブローン不織布は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂製のメルトブローン不織布であることが好ましい。熱可塑性樹脂の中でも、経済性及び強度の観点から、ポリプロピレンがより好ましい。スパンボンド不織布に含まれる熱可塑性樹脂の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがより好ましい。
樹脂フィルムは、例えば、熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のオレフィン系フィルムが挙げられる。例えば、ポリエチレンフィルムは、多孔性フィルムであることが好ましい。多孔性ポリエチレンフィルムは、水蒸気等のガスは通すが、液体は通さない程度の小孔を有するものであることが好ましい。かかるポリエチレンフィルムは、透湿性を有するため、着用者が長時間の作業において発汗した場合でもストレス負荷を軽減できるため、好適である。
さらには、上述したポリプロピレンスパンボンド不織布又はSMS不織布と、ポリエチレンフィルムと、を含む積層体を用いることができる。積層体の層構造は、特に限定されず、例えば、不織布/ポリエチレンフィルムといった2層構造でもよいし、第1の不織布/ポリエチレンフィルム/第2の不織布といった3層構造でもよい。かかる積層体としては、例えば、ポリエチレンフィルムラミネート不織布が挙げられる。具体的には、ポリプロピレンスパンボンド不織布又はSMS不織布に、ポリエチレンフィルムをラミネートした積層体等が挙げられる。これらは、粉塵の捕集能力に優れるため、例えば、浮遊固体粉塵等に対する防護服10として好適である。
上述した各材料は、必要に応じて、帯電防止処理等の表面処理が施されていてもよい。あるいは、難燃剤等の添加剤を含有してもよい。
これらの中でも、通常、耐水性及び耐油性に優れる観点から、ポリプロピレンスパンボンド不織布;SMS不織布;及びポリプロピレンスパンボンド不織布又はSMS不織布と、ポリエチレンフィルムと、を含む積層体からなる群より選択される1つ以上であることが好ましい。
防護服10の生地の目付(坪量)は、35g/m2以上125g/m2以下であることが好ましい。生地の目付の上限は、100g/m2以下であることがより好ましく、80g/m2以下であることが更に好ましい。また、生地の目付の下限は、45g/m2以上であることがより好ましく、55g/m2以上であることが更に好ましい。このような目付の生地を用いて製造された防護服10は、通常、軽量かつ薄い素材であり、使い捨て用の防護服10等にも好適である。
防護服10の生地の引張強度は、25N/25mm以上85N/25mm以下であることが好ましい。生地の引張強度は、JIS L 1096 A法(カットストリップ法)に準じた引張強さ試験によって測定される。すなわち、防護服10の生地は、JIS L 1096 A法(カットストリップ法)に準じた引張強さ試験によって測定された引張強度が25N/25mm以上85N/25mm以下の生地であることが好ましい。
防護服10の生地の引裂強度は、20N以上80N以下であることが好ましい。生地の引裂強度は、JIS L 1096 C法(トラペゾイド法)に準じた引裂強さ試験によって測定される。すなわち、防護服10の上記所定の生地は、JIS L 1096 C法(トラペゾイド法)に準じた引裂強さ試験によって測定された引裂強度が20N以上80N以下の生地であることが好ましい。なお、JIS L 1096 C法(トラペゾイド法)に準じた引裂強さ試験における引張速度は、100mm/minに設定される。
以下、本実施形態に係る防護服10の寸法について説明する。なお、以下において特に断りがない限り、袖丈及び袖回りの長さは、それぞれ、左右の腕部13a,13bの平均の長さであり、太もも周り及び脇丈の長さは、それぞれ、左右の脚部14a,14bの平均の長さである。また、以下の各寸法については、生地にたるみが生じないようにして測定される。
図3は、防護服10の寸法を説明するための正面図である。図4は、防護服10の寸法を説明するための背面図である。
図3及び図4に示すように、防護服10は、胸囲の長さL1に対する腹囲の長さL2の割合(L2/L1;%)が、50%以上65%以下であることが好ましい。この割合の上限は、62%以下であることがより好ましく、61%以下であることが更に好ましい。また、この割合の下限は、51%以上であることがより好ましく、52%以上であることが更に好ましい。
防護服10は、後ろ身丈の長さL3に対する股下の長さL4の割合(L4/L3;%)が、70%以上85%以下であることが好ましい。この割合の上限は、83%以下であることがより好ましく、82%以下であることが更に好ましい。また、この割合の下限は、73%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましく、76%以上であることがより更に好ましい。
防護服10は、股下の長さL4に対する太もも周りの長さL5の割合(L5/L4;%)が、45%以上55%以下であることが好ましい。この割合の上限は、50%以下であることが好ましく、49%以下であることがより好ましく、48%以下であることが更に好ましい。また、この割合の下限は、46%以上であることが好ましく、47%以上であることがより好ましい。
防護服10は、脇丈の長さL6に対する股上の長さL7の割合(L7/L6;%)が、30%以上40%以下であることが好ましい。この割合の上限は、37%以下であることが好ましく、36%以下であることがより好ましく、35%以下であることが更に好ましい。また、この割合の下限は、31%以上であることが好ましく、32%以上であることがより好ましく、33%以上であることが更に好ましい。
防護服10は、後ろ身丈の長さL3に対する袖丈の長さL8の割合(L8/L3;%)が、85%以上95%以下であることが好ましい。この割合の上限は、93%以下であることがより好ましく、92%以下であることが更に好ましい。また、この割合の下限は、86%以上であることがより好ましく、87%以上であることが更に好ましい。
防護服10は、胸囲の長さL1に対する袖回りの長さL9の割合(L9/L1;%)が、40%以上50%以下であることが好ましい。この割合の上限は、47%以下であることがより好ましく、45%以下であることが更に好ましい。また、この割合の下限は、41%以上であることがより好ましく、42%以上であることが更に好ましい。
上記のように構成された防護服10では、着用者の左右方向に伸縮可能な横伸縮性部材24が、フード12の後頭部領域30に取り付けられるので、顔開口伸縮性部材23によって顔開口19が左右の径方向内側へ過大に収縮しようとすると、横伸縮性部材24に対して左右方向へ伸ばすように力が作用する。このため、顔開口19の左右の径方向内側への過大な収縮を、横伸縮性部材24によって抑えることができる。また、横伸縮性部材24が取り付けられた領域(後頭部領域30)の左右方向の伸縮率を、3%以上20%以下に設定することによって、顔開口19の左右の径方向内側への過大な収縮を好適に抑えることができる。これにより、着用者の視界の悪化を防止することができ、作業性の低下を抑えることができる。
また、着用者の左右方向と交叉する方向(本実施形態では上下方向)に伸縮可能な縦伸縮性部材25が、フード12の後頭部領域30に取り付けられるので、顔開口伸縮性部材23によって顔開口19が上下の径方向内側へ過大に収縮しようとすると、縦伸縮性部材25に対して上下方向へ伸ばすように力が作用する。このため、顔開口19の上下の径方向内側への過大な収縮を、縦伸縮性部材25によって抑えることができる。また、縦伸縮性部材25が取り付けられた領域(後頭部領域30)の上下方向の伸縮率を、5%以上22%以下に設定することによって、顔開口19の上下の径方向内側への過大な収縮を好適に抑えることができる。これにより、着用者の視界の悪化を防止することができ、作業性の低下を抑えることができる。
また、横伸縮性部材24及び縦伸縮性部材25の双方をフード12に設けることによって、顔開口19の上下及び左右の径方向内側への過大な収縮を抑えることができる。このため、横伸縮性部材24及び縦伸縮性部材25の双方によって、顔開口19の径方向内側への過大な収縮を好適に抑えることができる。これにより、着用者の視界の悪化を防止することができ、作業性の低下を抑えることができる。
また、顔開口伸縮性部材23を、フード12の顔開口19の周囲の周縁部29に、周方向に伸縮可能に取り付けることによって、顔開口19の周縁部29の気密性を向上させることができる。このように、顔開口伸縮性部材23を設けて顔開口19の周縁部29の気密性を向上させる場合であっても、横伸縮性部材24及び縦伸縮性部材25の少なくとも一方の伸縮性部材15によって、着用者の視界の悪化を防止することができ、作業性の低下を抑えることができる。
また、胴体部11の腰周り20を周方向に伸縮可能な腰周り伸縮性部材26を設けることによって、胴体部11の腰周り20を着用者の身体側へ締め付けることができる。これにより、腰周り20のダボ付きを抑制することができるので、作業性の低下を抑えることができる。
また、袖口伸縮性部材27を、左右の腕部13a,13bの袖口21の周縁部32に、周方向に伸縮可能に取り付けることによって、袖口21の周縁部32の気密性を向上させることができる。また、袖口21のダボ付きを抑制することができるので、作業性の低下を抑えることができる。
また、裾口伸縮性部材28を、左右の脚部14a,14bの裾口22の周縁部33に、周方向に伸縮可能に取り付けることによって、裾口22の周縁部33の気密性を向上させることができる。また、裾口22のダボ付きを抑制することができるので、作業性の低下を抑えることができる。
また、防護服10の生地を、不織布、樹脂、及び、不織布層と樹脂層とを含む積層体のうちのいずれかにすることによって、防護服10を軽量かつ薄い素材で製造することができるので、作業性の低下を抑えることができる。
また、防護服10の生地の目付を、35g/m2以上125g/m2以下にすることによって、防護服10を軽量かつ薄い素材で製造することができるので、作業性の低下を抑えることができる。
このように、本実施形態によれば、防護服10の作業性の低下を抑えることができる。
また、防護服10の生地の引張強度を、25N/25mm以上85N/25mm以下に設定し、防護服10の生地の引裂強度を、20N以上80N以下に設定することによって、防護服10の耐久性を確保することができる。また、防護服10の生地の引張強度を、85N/25mm以下に設定することによって、生地のごわつき感を抑えることができる。
また、横伸縮性部材24と縦伸縮性部材25とを互いに交叉する状態でフード12の後頭部領域30に取り付けることによって、横伸縮性部材24及び縦伸縮性部材25をフード12の後頭部領域30にコンパクトに配置することができる。
また、顔開口伸縮性部材23、横伸縮性部材24、縦伸縮性部材25、腰周り伸縮性部材26、袖口伸縮性部材27、裾口伸縮性部材28等のこれらの伸縮性部材15を、幅が3mm以上10mm以下のゴム糸にすることによって、伸縮性を確保することができ、かつ伸縮性部材15が着用者に接した場合の不快感を抑えることができる。例えば、伸縮性部材15の幅を3mmよりも細くすると、伸長可能な長さを確保し難く、また収縮力も確保し難くなるので、伸縮性部材15を設置した方向(伸縮性部材15と並行方向)に伸縮し難い。一方、縮性部材15の幅を10mmよりも太くすると、伸縮性部材15が着用者(例えば後頭部)に接触した際に不快感が発生し易い。
また、防護服10の寸法を、上述した範囲となるよう制御することによって、腕部及び脚部等の関節等の広い可動域を確保できるため、作業性に優れる。さらに、着用時に必要以上の生地の締め付けがなく、かつ、腹部腕部、腕袖部、及び脚開口部等の生地のダボ付きを抑制することができるため、着用時のストレス負荷が低減され、着用時の快適性に優れる。そして、上述した各割合を組み合わせることによって、このような効果が一層向上する。特に、日本人等のアジア人の体形に適した防護服10とすることができる。
例えば、着用者は、労働環境及び法令規制類等による必要から、一定の頻度(例えば、数時間~数日に1回の割合)で防護服10を着脱しなければならない場合がある。かかる用途に使用される防護服は、使い捨て可能な、経済性に優れるものであることが好ましい。この点、本実施形態に係る防護服10は、低コストな素材から製造することも可能であるため、かかる要求に応えることができる。
従来、作業性及び着用者の快適性の向上を図るための別部材を、防護服に設けたり、大がかりな防護服としたりすることが試みられていたが、本実施形態に係る防護服10は、特別な部材を設ける必要がない簡便な構造でありながら、広い可動域を確保できる。そのため、作業効率の低下がなく、作業性に優れる。さらに、本実施形態に係る防護服10は、着衣時に必要以上の生地のダボ付き等を抑制することができるため、着用時の身体的及び心理的なストレス負荷を軽減できるため、快適性にも優れる。さらに、本実施形態に係る防護服10は、上述したように、特別な部材を設ける必要がないため、製造のための部品点数が少なくてすむ点でも、経済性に優れる。
防護服10は、酸、アルカリ、有機薬品、その他の気体及び液体並びに粒子状の化学物質を取り扱う作業に従事するときに着用し、かかる化学物質の透過及び/又は浸透の防止を目的として使用する防護服に好適である。防護服10は、種々の危険有害因子に対応可能であり、例えば、有害化学物質から身体を防護する化学防護服、病原体等から身体を防護するバイオハザード対策用防護服、及び放射性物質から身体を防護する放射線防護服等として好適に使用できる。
防護服10は、簡易な構造でありながら、作業性に優れ、かつ着用時の快適性にも優れるため、防護服の着用経験が少ない者であっても過度なストレスを感じることなく使用できる。よって、防護服10は、JIS T8115(2015)に準拠した気密服として好適に使用でき、特に、タイプ1の気密服としてより好適に使用できる。気密服は、腕、脚、及び頭部を含めた全身を防護する服であり、服内部を気密に保つ構造の全身防護服である。具体的には、自給式呼吸器内装形気密服、自給式呼吸器外装形気密服、送気形気密服等として使用できる。もちろん、それ以外のタイプの防護服(例えば、陽圧服、密閉服等)にも使用できることはいうまでもない。また、防護服10は、上述したように、低コストな素材から製造することが可能であり、かつ、簡易な構造であるため、使い捨ての防護服(例えば、簡易防護服等)として好適に使用できる。
防護服10は、必要とされる防護レベル及び防護対象等に応じて、マスク、フード、バイザー、グローブ、ブーティ、フットウエア等の部分防護品を併用することができる。防護服10は、特別な部材及び部品等を装着しなくてもよい、簡易な構造であるため、幅広い種類及び形状の部分防護品と併用することができる。
なお、本実施形態では、複数の伸縮性部材15を設けたが、横伸縮性部材24又は縦伸縮性部材25の伸縮性部材15をフード12に設けていればよい。すなわち、防護服10は、少なくとも1つの伸縮性部材15(横伸縮性部材24又は縦伸縮性部材25)を備えていればよい。
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1~4及び比較例1~3の防護服を作成した。実施例1~4及び比較例1~3の防護服は、その生地の種類、生地の目付、伸縮性部材の位置、フードの横方向の伸縮率、フードの縦方向の伸縮率、及び引張強度、及び引裂強度の少なくとも1つが異なる防護服である。
伸縮性部材の位置A~Cは、以下のとおりである。
A:頭部(横伸縮性部材及び縦伸縮性部材)、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り
B:頭部(横伸縮性部材及び縦伸縮性部材)、顔開口、袖口、及び裾口
C:なし
A:頭部(横伸縮性部材及び縦伸縮性部材)、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り
B:頭部(横伸縮性部材及び縦伸縮性部材)、顔開口、袖口、及び裾口
C:なし
以下の実施例1~4及び比較例1~3において、作製した防護服の生地の各物性値の測定は、以下の方法で行った。
防護服の生地の引張強度は、JIS L 1096 A法(カットストリップ法)に準じた引張強さ試験によって測定した。
防護服の生地の引裂強度は、JIS L 1096 C法(トラペゾイド法)に準じた引裂強さ試験によって測定した。引張速度は、100mm/minとした。
そして、実施例1~4及び比較例1~3の間で、以下の3つの項目(着用時の視界の良好性、着用時の着心地、及び耐久性)についての評価を行った。
着用時の視界の良好性は、防護服を着用して作業を行ったときの視界の良好感を10人のパネルによって官能評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:1名以下が防護服によって視界がふさがれると評価
〇:2~3名が防護服によって視界がふさがれると評価
△:4~5名が防護服によって視界がふさがれると評価
×:6名以上が防護服によって視界がふさがれると評価
◎:1名以下が防護服によって視界がふさがれると評価
〇:2~3名が防護服によって視界がふさがれると評価
△:4~5名が防護服によって視界がふさがれると評価
×:6名以上が防護服によって視界がふさがれると評価
着用時の着心地は、防護服を着用して作業を行ったときの着心地を10人のパネルによって官能評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:1名以下が防護服の着心地が悪く動きづらいと評価
〇:2~3名が防護服の着心地が悪く動きづらいと評価
△:4~5名が防護服の着心地が悪く動きづらいと評価
×:6名以上が防護服の着心地が悪く動きづらいと評価
◎:1名以下が防護服の着心地が悪く動きづらいと評価
〇:2~3名が防護服の着心地が悪く動きづらいと評価
△:4~5名が防護服の着心地が悪く動きづらいと評価
×:6名以上が防護服の着心地が悪く動きづらいと評価
耐久性(破れ易さ)は、生地の引張試験の数値で評価した。
◎:50N以上
〇:30N以上~50N未満
△:10N以上~30N未満
×:10N未満
◎:50N以上
〇:30N以上~50N未満
△:10N以上~30N未満
×:10N未満
(実施例1)
実施例1の防護服の生地は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<1>)の1層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を7.5%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を11.0%とした。防護服の生地は、その目付が50g/m2であり、引張強度が52N/25mmであり、引裂強度が55Nであった。
実施例1の防護服の生地は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<1>)の1層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を7.5%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を11.0%とした。防護服の生地は、その目付が50g/m2であり、引張強度が52N/25mmであり、引裂強度が55Nであった。
(実施例2)
実施例2の防護服の生地は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<1>)の1層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を9.6%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を12.6%とした。防護服の生地は、その目付が27g/m2であり、引張強度が15N/25mmであり、引裂強度が10Nであった。
実施例2の防護服の生地は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<1>)の1層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を9.6%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を12.6%とした。防護服の生地は、その目付が27g/m2であり、引張強度が15N/25mmであり、引裂強度が10Nであった。
(実施例3)
実施例3の防護服の生地は、防護服の外側に位置するポリエチレンフィルム(生地<1>)と、内側に位置するポリエチレンスパンボンド不織布(生地<2>)との2層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を5.8%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を8.7%とした。防護服の生地は、その目付が135g/m2であり、引張強度が105N/25mmであり、引裂強度が87Nであった。
実施例3の防護服の生地は、防護服の外側に位置するポリエチレンフィルム(生地<1>)と、内側に位置するポリエチレンスパンボンド不織布(生地<2>)との2層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を5.8%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を8.7%とした。防護服の生地は、その目付が135g/m2であり、引張強度が105N/25mmであり、引裂強度が87Nであった。
(実施例4)
実施例4の防護服の生地は、防護服の外側に位置するポリエチレンフィルム(生地<1>)と、内側に位置するポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<2>)との2層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をB(頭部、顔開口、袖口、及び裾口)とした。フード生地の横方向の伸縮率を13.5%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を15.4%とした。防護服の生地は、その目付が60g/m2であり、引張強度が45N/25mmであり、引裂強度が40Nであった。
実施例4の防護服の生地は、防護服の外側に位置するポリエチレンフィルム(生地<1>)と、内側に位置するポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<2>)との2層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をB(頭部、顔開口、袖口、及び裾口)とした。フード生地の横方向の伸縮率を13.5%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を15.4%とした。防護服の生地は、その目付が60g/m2であり、引張強度が45N/25mmであり、引裂強度が40Nであった。
(比較例1)
比較例1の防護服の生地は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<1>)の1層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をC(なし)とした。すなわち、フード生地の横方向の伸縮率は0%とし、フード生地の縦方向の伸縮率は0%とした。防護服の生地は、その目付が50g/m2であり、引張強度が52N/25mmであり、引裂強度が55Nであった。
比較例1の防護服の生地は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<1>)の1層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をC(なし)とした。すなわち、フード生地の横方向の伸縮率は0%とし、フード生地の縦方向の伸縮率は0%とした。防護服の生地は、その目付が50g/m2であり、引張強度が52N/25mmであり、引裂強度が55Nであった。
(比較例2)
比較例2の防護服の生地は、防護服の外側に位置するポリエチレンフィルム(生地<1>)と、内側に位置するポリエチレンスパンボンド不織布(生地<2>)との2層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を1.5%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を3.5%とした。防護服の生地は、その目付が45g/m2であり、引張強度が25N/25mmであり、引裂強度が18Nであった。
比較例2の防護服の生地は、防護服の外側に位置するポリエチレンフィルム(生地<1>)と、内側に位置するポリエチレンスパンボンド不織布(生地<2>)との2層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を1.5%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を3.5%とした。防護服の生地は、その目付が45g/m2であり、引張強度が25N/25mmであり、引裂強度が18Nであった。
(比較例3)
比較例3の防護服の生地は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<1>)の1層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を30.0%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を35.0%とした。防護服の生地は、その目付が90g/m2であり、引張強度が82N/25mmであり、引裂強度が69Nであった。
比較例3の防護服の生地は、ポリプロピレンスパンボンド不織布(生地<1>)の1層構造の生地とした。伸縮性部材を設ける位置をA(頭部、顔開口、袖口、裾口、及び腰周り)とした。フード生地の横方向の伸縮率を30.0%とし、フード生地の縦方向の伸縮率を35.0%とした。防護服の生地は、その目付が90g/m2であり、引張強度が82N/25mmであり、引裂強度が69Nであった。
得られた結果を表1に示す。
上記表1に示すように、フード生地の横方向(左右方向)の伸縮率を3%以上20%以下に設定した実施例1~4では、着用時の視界の良好性を確保できることが確認された。それに対して、比較例1~3では、着用時の視界の良好性の確保が難しいことが確認された。
また、フード生地の縦方向(左右方向と交叉する方向)の伸縮率を5%以上22%以下に設定した実施例1~4では、着用時の視界の良好性を確保できることが確認された。それに対して、比較例1~3では、着用時の視界の良好性の確保が難しいことが確認された。
また、防護服の生地の目付が35g/m2以上125g/m2以下であり、引張強度が25N/25mm以上85N/25mm以下であり、引裂強度が20N以上80N以下である場合に、着用時の着心地の良さと耐久性との両立を図ることが可能であることが確認された。
したがって、本開示の防護服によれば、作業性の低下を抑えることができる。
10:防護服
11:胴体部
12:フード
13a,13b:左右の腕部
14a,14b:左右の脚部
15:伸縮性部材
19:顔開口
20:腰周り
21:袖口
22:裾口
23:顔開口伸縮性部材
24:横伸縮性部材
25:縦伸縮性部材
26:腰周り伸縮性部材
27:袖口伸縮性部材
28:裾口伸縮性部材
11:胴体部
12:フード
13a,13b:左右の腕部
14a,14b:左右の脚部
15:伸縮性部材
19:顔開口
20:腰周り
21:袖口
22:裾口
23:顔開口伸縮性部材
24:横伸縮性部材
25:縦伸縮性部材
26:腰周り伸縮性部材
27:袖口伸縮性部材
28:裾口伸縮性部材
Claims (10)
- 胴体部と、前記胴体部から袖口へ連続して延びる左右の腕部と、前記胴体部から裾口へ連続して延びる左右の脚部と、前記胴体部から連続して延びて顔を前方へ露出可能な顔開口が形成されるフードと、を少なくとも備える防護服であって、
少なくとも1つの伸縮性部材を備え、
前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記フードの後頭部側に取り付けられて着用者の左右方向に伸縮可能な横伸縮性部材を含み、
前記フードのうち前記横伸縮性部材が取り付けられた領域の左右方向の伸縮率は、3%以上20%以下である
ことを特徴とする防護服。 - 胴体部と、前記胴体部から袖口へ連続して延びる左右の腕部と、前記胴体部から裾口へ連続して延びる左右の脚部と、前記胴体部から連続して延びて顔を前方へ露出可能な顔開口が形成されるフードと、を少なくとも備える防護服であって、
少なくとも1つの伸縮性部材を備え、
前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記フードの頭頂部側又は後頭部側に取り付けられて着用者の左右方向と交叉する方向に伸縮可能な縦伸縮性部材を含み、
前記フードのうち前記縦伸縮性部材が取り付けられた領域の左右方向と交叉する方向の伸縮率は、5%以上22%以下である
ことを特徴とする防護服。 - 前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記フードの後頭部側に取り付けられて着用者の左右方向に伸縮可能な横伸縮性部材を含み、
前記フードのうち前記横伸縮性部材が取り付けられた領域の左右方向の伸縮率は、3%以上20%以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の防護服。 - 前記縦伸縮性部材は、前記横伸縮性部材と交叉する状態で前記フードの後頭部側に取り付けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の防護服。 - 前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記フードの前記顔開口の周囲に取り付けられて前記顔開口の周方向に伸縮可能な顔開口伸縮性部材を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防護服。 - 前記少なくとも1つの伸縮性部材は、前記胴体部の腰周りに取り付けられて前記腰周りの周方向に伸縮可能な腰周り伸縮性部材と、前記左右の腕部の前記袖口周りに取り付けられて前記袖口の周方向に伸縮可能な袖口伸縮性部材と、前記左右の脚部の前記裾口周りに取り付けられて前記裾口の周方向に伸縮可能な裾口伸縮性部材とを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の防護服。 - 前記防護服の生地は、不織布、樹脂、及び、不織布層と樹脂層とを含む積層体のうちのいずれかである
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の防護服。 - 前記防護服の生地の目付は、35g/m2以上~125g/m2以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の防護服。 - 前記防護服の生地の引張強度は、25N/25mm以上85N/25mm以下であり、
前記防護服の生地の引裂強度は、20N以上80N以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の防護服。 - 前記少なくとも1つの伸縮性部材は、幅が3mm以上10mm以下のゴム糸である
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の防護服。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021193912A JP2023080521A (ja) | 2021-11-30 | 2021-11-30 | 防護服 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021193912A JP2023080521A (ja) | 2021-11-30 | 2021-11-30 | 防護服 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023080521A true JP2023080521A (ja) | 2023-06-09 |
Family
ID=86656341
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021193912A Pending JP2023080521A (ja) | 2021-11-30 | 2021-11-30 | 防護服 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023080521A (ja) |
-
2021
- 2021-11-30 JP JP2021193912A patent/JP2023080521A/ja active Pending
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