JP2023079917A - 粘着剤組成物及び粘着テープ - Google Patents

粘着剤組成物及び粘着テープ Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境下において優れた粘着力及び保持力を有する粘着剤層を形成でき、かつ、環境に配慮した粘着剤組成物等の提供。【解決手段】アルキル部位の炭素数が12以上であり、かつ、バイオマス度が70%以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位を全構成単位に対して30~89質量%、アルキル部位の炭素数が1~10であり、かつ、単独重合体としたときのガラス転移温度が-30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位を全構成単位に対して10~50質量%、及び、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して1~10質量%含む(メタ)アクリル系共重合体と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含み、粘着付与樹脂の含有量が、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して10~55質量部である粘着剤組成物、及び粘着テープ。【選択図】なし

Description

本開示は、粘着剤組成物及び粘着テープに関する。
近年、地球温暖化等の環境問題に対する関心の高まりに伴い、原料として生物由来の再利用可能な有機性資源(「バイオマス」ともいう。)を用いた製品が注目されている。粘着剤の分野においても、バイオマス原料を用いた製品の開発が進められており、バイオマス原料の割合が多い、いわゆるバイオマス度の高い粘着剤組成物及び粘着テープも報告されている。
例えば、特許文献1には、アクリル系重合物を含むアクリル系粘着剤を含み、上記アクリル系重合物が、アクリル系モノマーを50重量%より多く含むモノマー成分の重合物であり、上記アクリル系粘着剤に含まれる全炭素の50%以上がバイオマス由来の炭素である粘着剤組成物が開示されている。
また、特許文献2には、生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、上記粘着テープの生物由来の炭素の含有率が30重量%以上である粘着テープが開示されている。
特開2020-105308号公報 特開2019-218458号公報
粘着テープは、電子機器、車両、家具等において物を固定する際に多用されている。なかでも、電子機器及び車両は、それ自体の発熱により、また、高温環境下に曝されることにより、高温になりやすい。このため、粘着テープが備える粘着剤層には、高温環境下においても優れた粘着力及び保持力を有することが求められる。
一方、上述したように、地球環境保全の見地から、石油資源の使用量を低減し、バイオマス原料を用いた粘着テープの開発が所望されている。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、高温環境下において優れた粘着力及び保持力を有する粘着剤層を形成でき、かつ、環境に配慮した粘着剤組成物を提供することにある。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、高温環境下において優れた粘着力及び保持力を有する粘着剤層を備え、かつ、環境に配慮した粘着テープを提供することにある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> アルキル部位の炭素数が12以上であり、かつ、バイオマス度が70%以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位を全構成単位に対して30質量%~89質量%、アルキル部位の炭素数が1~10であり、かつ、単独重合体としたときのガラス転移温度が-30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%~50質量%、及び、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して1質量%~10質量%含む(メタ)アクリル系共重合体と、
粘着付与樹脂と、
架橋剤と、
を含み、
上記粘着付与樹脂の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して10質量部~55質量部である粘着剤組成物。
<2> 上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)のアルキル部位の炭素数が、1又は2である<1>に記載の粘着剤組成物。
<3> 上記粘着付与樹脂の軟化点が、90℃~160℃である<1>又は<2>に記載の粘着剤組成物。
<4> 上記粘着付与樹脂の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して20質量部~45質量部である<1>~<3>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
<5> 上記粘着付与樹脂がテルペン系樹脂である<1>~<4>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
<6> 上記架橋剤の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部~1.0質量部である<1>~<5>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
<7> 基材と、上記基材上に設けられ、かつ、<1>~<6>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える粘着テープ。
本開示の一実施形態によれば、高温環境下において優れた粘着力及び保持力を有する粘着剤層を形成でき、かつ、環境に配慮した粘着剤組成物が提供される。
本開示の他の実施形態によれば、高温環境下において優れた粘着力及び保持力を有する粘着剤層を備え、かつ、環境に配慮した粘着テープが提供される。
以下、本開示の粘着剤組成物及び粘着テープについて、詳細に説明する。以下に記載する要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、粘着剤組成物中の各成分の量は、粘着剤組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、粘着剤組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル系共重合体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、全構成単位〔即ち、(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位〕の50質量%以上である共重合体を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語である。
本開示において、「n-」はノルマルを意味し、「i-」はイソを意味し、「s-」はセカンダリーを意味し、「t-」はターシャリーを意味する。
本開示における「単独重合体としたときのガラス転移温度」には、公知資料に記載された値、又は、示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて測定された値を採用するものとする。いずれの値を採用するかは、具体的には、以下のとおりとする。
以下に示す単量体の「単独重合体としたときのガラス転移温度」については、それぞれ記載した値を採用する。
2-エチルヘキシルアクリレート:-70℃、2-エチルヘキシルメタクリレート:-10℃、n-ブチルアクリレート:-54℃、n-ブチルメタクリレート:20℃、t-ブチルアクリレート:43℃、t-ブチルメタクリレート:118℃、i-ブチルメタクリレート:53℃、メチルアクリレート:10℃、メチルメタクリレート:105℃、エチルアクリレート:-22℃、エチルメタクリレート:65℃、メタクリル酸:228℃、4-ヒドロキシブチルアクリレート:-80℃、2-ヒドロキシエチルアクリレート:-15℃、2-ヒドロキシエチルメタクリレート:85℃、アクリル酸:106℃、n-オクチルアクリレート:-65℃、ステアリルアクリレート:30℃、ステアリルメタクリレート:38℃、ラウリルアクリレート:-3℃、ラウリルメタクリレート:-65℃、ジメチルアミノエチルメタクリレート:18℃、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート:-30℃。
上記した単量体以外の単量体の「単独重合体としたときのガラス転移温度」については、ポリマーハンドブック(第4版、Wiley-Interscience;以下、同じ。)に記載された値を採用し、ポリマーハンドブックに記載がない場合には、以下の測定方法により得られる単独重合体のガラス転移温度の値を採用する。
<<単独重合体のガラス転移温度の測定>>
示差走査熱量測定装置(DSC)を用い、窒素気流中、測定試料(即ち、単独重合体)10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定し、得られたDSCカーブの変曲点を単独重合体のガラス転移温度とする。示差走査熱量測定装置としては、例えば、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製の示差走査熱量計(商品名:Discovery DSC 2500)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量測定装置は、これに限定されない。
[粘着剤組成物]
本開示の粘着剤組成物は、アルキル部位の炭素数が12以上であり、かつ、バイオマス度が70%以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位を全構成単位に対して30質量%~89質量%、アルキル部位の炭素数が1~10であり、かつ、単独重合体としたときのガラス転移温度が-30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%~50質量%、及び、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して1質量%~10質量%含む(メタ)アクリル系共重合体〔以下、「特定(メタ)アクリル系共重合体」ともいう。〕と、粘着付与樹脂と、架橋剤と、を含み、上記粘着付与樹脂の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して10質量部~55質量部である。
本開示の粘着剤組成物は、上記のような構成を有することにより、高温環境下において優れた粘着力及び保持力を有する粘着剤層を形成できる。本開示の粘着剤組成物は、原料としてバイオマス度が70%以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)を比較的多く用いており、環境に配慮した粘着剤組成物である。
〔特定(メタ)アクリル系共重合体〕
本開示の粘着剤組成物は、アルキル部位の炭素数が12以上であり、かつ、バイオマス度が70%以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位を全構成単位に対して30質量%~89質量%、アルキル部位の炭素数が1~10であり、かつ、単独重合体としたときのガラス転移温度が-30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%~50質量%、及び、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して1質量%~10質量%含む(メタ)アクリル系共重合体〔即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体〕を含む。
本開示の粘着剤組成物は、特定(メタ)アクリル系共重合体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル部位の炭素数が12以上であり、かつ、バイオマス度が70%以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位を全構成単位に対して30質量%~89質量%含む。
本開示において、「アルキル部位の炭素数が12以上であり、かつ、バイオマス度が70%以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位」とは、アルキル部位の炭素数が12以上であり、かつ、バイオマス度が70%以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)が付加重合して形成される構成単位を意味する。
本開示における「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)」には、後述の水酸基を有する単量体に該当する単量体は、包含されない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)は、アクリル酸アルキルエステル単量体であってもよく、メタクリル酸アルキルエステル単量体であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)は、無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)が有するアルキル基は、直鎖状であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)が有するアルキル基の炭素数は、12以上であれば、特に限定されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体の製造適性の観点から、22以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。
炭素数が12以上であるアルキル基の具体例としては、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、及びエイコシル基が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)は、バイオマス度が70%以上であるため、地球環境に対する負荷が小さく、環境に優しい成分である。環境に配慮した粘着剤組成物を実現する観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)のバイオマス度の上限は、特に限定されない。
本開示における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)のバイオマス度は、ASTM D6866-20に準拠した方法により測定される値であり、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に含まれる全炭素に占めるバイオマス由来の炭素の質量割合を意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)の具体例としては、ラウリルアクリレート〔アルキル基の炭素数:12、バイオマス度:76.0%〕、ラウリルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:12、バイオマス度:71.4%〕、ミリスチルアクリレート〔アルキル基の炭素数:14、バイオマス度:78.3%〕、ミリスチルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:14、バイオマス度:74.1%〕、セチルアクリレート〔アルキル基の炭素数:16、バイオマス度:80.1%〕、セチルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:16、バイオマス度:76.4%〕、ステアリルアクリレート〔アルキル基の炭素数:18、バイオマス度:81.7%〕、ステアリルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:18、バイオマス度:78.3%〕、エイコシルアクリレート〔アルキル基の炭素数:20、バイオマス度:83.1%〕、及びエイコシルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:20、バイオマス度:79.9%〕が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)は、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、及びステアリルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ラウリルアクリレート及びラウリルメタクリレートから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、ラウリルアクリレートであることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して30質量%~89質量%である。
特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して30質量%以上であると、高温環境下において優れた粘着力を有する粘着剤層を形成し得る。理由としては、極性の低い(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に起因して、特定(メタ)アクリル系共重合体の極性が低くなることで、特定(メタ)アクリル系共重合体と粘着付与樹脂との相溶性が良好となり、粘着付与樹脂の効果が十分に発揮されるためと考えられる。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、30質量%以上であり、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して89質量%以下であり、85質量%以下であることが好ましく、83質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、アルキル部位の炭素数が1~10であり、かつ、単独重合体としたときのガラス転移温度が-30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%~50質量%含む。
本開示において、「アルキル部位の炭素数が1~10であり、かつ、単独重合体としたときのガラス転移温度が-30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位」とは、アルキル部位の炭素数が1~10であり、かつ、単独重合体としたときのガラス転移温度が-30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)が付加重合して形成される構成単位を意味する。
本開示における「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)」には、後述の水酸基を有する単量体に該当する単量体は、包含されない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)は、アクリル酸アルキルエステル単量体であってもよく、メタクリル酸アルキルエステル単量体であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)は、無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)が有するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)が有するアルキル基の炭素数は、1~10であり、1~8であることが好ましく、1~4であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)は、アルキル基の炭素数が少ないほど、特定(メタ)アクリル系共重合体同士の絡み合いを生じさせやすい傾向がある。特定(メタ)アクリル系共重合体同士の絡み合いが生じると、粘着剤層に凝集力が生じる。このため、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)のアルキル基の炭素数が1又は2であると、高温環境下における粘着剤層の粘着力をより高めやすい傾向がある。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)の単独重合体としたときのガラス転移温度は、-30℃以上である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)の単独重合体としたときのガラス転移温度が-30℃以上であると、形成される粘着剤層に対し、凝集力を付与しやすい傾向がある。このような観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)の単独重合体としたときのガラス転移温度は、-30℃以上であり、-20℃以上であることが好ましく、-10℃以上であることがより好ましく、0℃以上であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)の単独重合体としたときのガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、例えば、70℃以下であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)の具体例としては、メチルアクリレート〔アルキル基の炭素数:1、単独重合体としたときのガラス転移温度:10℃〕、メチルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:1、単独重合体としたときのガラス転移温度:105℃〕、エチルアクリレート〔アルキル基の炭素数:2、単独重合体としたときのガラス転移温度:-22℃〕、エチルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:2、単独重合体としたときのガラス転移温度:65℃〕、n-ブチルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:4、単独重合体としたときのガラス転移温度:20℃〕、t-ブチルアクリレート〔アルキル基の炭素数:4、単独重合体としたときのガラス転移温度:43℃〕、t-ブチルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:4、単独重合体としたときのガラス転移温度:118℃〕、i-ブチルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:4、単独重合体としたときのガラス転移温度:53℃〕、及び2-エチルヘキシルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:8、単独重合体としたときのガラス転移温度:-10℃〕が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)は、メチルアクリレート及びエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、メチルアクリレートであることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して10質量%~50質量%である。
特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して10質量%以上であると、高温環境下において優れた粘着力を有する粘着剤層を形成し得る。理由としては、形成される粘着剤層に対し、適度な凝集力が付与されるためと考えられる。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、10質量%以上であり、12質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して50質量%以下であると、高温環境下において優れた粘着力を有する粘着剤層を形成し得る。理由としては、形成される粘着剤層の被着体への濡れ性が高まるためと考えられる。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、50質量%以下であり、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることが更に好ましい。
<水酸基を有する単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して1質量%~10質量%含む。
水酸基を有する単量体に由来する構成単位の水酸基は、後述の架橋剤との架橋に寄与し得る。
本開示において、「水酸基を有する単量体に由来する構成単位」とは、水酸基を有する単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
水酸基を有する単量体の種類は、特に限定されない。
水酸基を有する単量体としては、例えば、1分子中に少なくとも1つの水酸基とエチレン性不飽和基とを有する単量体が挙げられる。
エチレン性不飽和基の種類は、特に限定されない。
エチレン性不飽和基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリルアミド基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
水酸基を有する単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-3-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-3-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
水酸基を有する単量体は、例えば、他の単量体との共重合性が良好であるとの観点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、他の単量体との相溶性が良好であるとの観点、及び、架橋剤(特に、イソシアネート系架橋剤)との反応性が良好であるとの観点から、炭素数が1~5のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであることがより好ましく、炭素数が2~4のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであることが更に好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートであることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して1質量%~10質量%である。
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して1質量%以上であると、高温環境下において優れた保持力を有する粘着剤層を形成し得る。理由としては、形成される粘着剤層の凝集力が十分に高くなるためと考えられる。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、1質量%以上であり、1.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、2.5質量%以上であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して10質量%以下であると、高温環境下において優れた粘着力を有する粘着剤層を形成し得る。理由としては、特定(メタ)アクリル系共重合体と粘着付与樹脂との相溶性が良好となり、粘着付与樹脂の効果が十分に発揮されるためと考えられる。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、10質量%以下であり、8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが更に好ましい。
<その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体〔所謂、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体〕に由来する構成単位を含んでいてもよい。
本開示において、「その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位」とは、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
本開示における「その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体」には、既述の水酸基を有する単量体に該当する単量体は、包含されない。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、アクリル酸アルキルエステル単量体であってもよく、メタクリル酸アルキルエステル単量体であってもよい。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であることが好ましい。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、4~10であることが好ましい。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、n-ブチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、及びn-ノニルアクリレートが挙げられる。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、n-ブチルアクリレートであることが好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む場合、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体がその他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む場合、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率は、特に限定されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、5質量%~45質量%であることが好ましく、8質量%~40質量%であることがより好ましく、10質量%~40質量%であることが更に好ましい。
<その他の構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述の構成単位以外の構成単位(所謂、その他の構成単位)を含んでいてもよい。
その他の構成単位を構成する単量体としては、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸に代表されるカルボキシ基を有する単量体、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される芳香族環を有する(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、クロロメチルスチレン、及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル、並びに、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びバーサチック酸ビニルに代表されるビニルエステルが挙げられる。また、その他の構成単位を構成する単量体としては、これらの単量体の各種誘導体が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、その他の構成単位を含む場合、その他の構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体がその他の構成単位を含む場合、その他の構成単位の含有率は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、適宜設定できる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量>>
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、特に限定されないが、例えば、30万~200万であることが好ましく、40万~180万であることがより好ましく、45万~150万であることが更に好ましく、50万~100万であることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が30万以上であると、形成される粘着剤層の高温環境下における粘着力がより高まる傾向を示す。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が200万以下であると、粘着剤組成物の粘度が過度に上昇せず、粘着剤組成物の塗工性がより優れる傾向を示す。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、下記の方法により測定される値である。具体的には、下記の(1)~(3)に従って測定する。
(1)特定(メタ)アクリル系共重合体の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体とテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。なお、ここでいう「固形分濃度」とは、試料溶液に占める特定(メタ)アクリル系共重合体の質量割合を意味する。
(3)下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として、特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量を求める。
~条件~
測定装置:高速GPC〔型番:HLC-8220 GPC、東ソー(株)製〕
検出器:示差屈折率計(RI)〔HLC-8220に組込、東ソー(株)製〕
カラム:TSKgel GMHXL〔東ソー(株)製〕を4本使用
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料溶液の注入量:100μL
流量:0.8mL/分
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、単量体を重合させる際に、重合温度、重合時間、有機溶剤の使用量、重合開始剤の種類、重合開始剤の使用量等を調整することにより、所望の値にできる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体のバイオマス度>>
特定(メタ)アクリル系共重合体のバイオマス度は、特に限定されないが、例えば、より環境に配慮した粘着剤組成物を実現する観点から、25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることが更に好ましく、40%以上であることが特に好ましい。また、特定(メタ)アクリル系共重合体のバイオマス度の上限は、例えば、75%以下であってもよく、70%以下であってもよく、65%以下であってもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体のバイオマス度は、ASTM D6866-20に準拠した方法により測定される値であり、特定(メタ)アクリル系共重合体に含まれる全炭素に占めるバイオマス由来の炭素の質量割合を意味する。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体の含有率>>
本開示の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体の含有率は、特に限定されないが、例えば、粘着剤組成物中の全固形分量に対して、64.1質量%~90.8質量%であることが好ましく、68.8質量%~86.7質量%であることがより好ましく、71.3質量%~86.7質量%であることが更に好ましく、73.9質量%~83.1質量%であることが特に好ましい。
本開示において、「粘着剤組成物中の全固形分量」とは、粘着剤組成物が溶媒を含まない場合には、粘着剤組成物の全質量を意味し、粘着剤組成物が溶媒を含む場合には、粘着剤組成物から溶媒を除いた残渣の質量を意味する。
本開示において、「溶媒」とは、水及び有機溶剤を意味する。
〔特定(メタ)アクリル系重合体の製造方法〕
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法は、特に限定されない。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、及び塊状重合法に代表される公知の重合方法で、既述の単量体を重合することにより製造できる。
重合方法としては、製造後に粘着剤組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単であり、かつ、短時間で行える点で、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法では、一般に、重合槽内に所定の有機溶剤、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、例えば、有機溶剤の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させる。この場合、有機溶剤、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。また、窒素気流中で反応させてもよい。
重合反応時に用いられる有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素化合物、脂肪族系炭化水素化合物、脂環族系炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、グリコールエーテル化合物、及びアルコール化合物が挙げられる。
重合反応時に用いられる有機溶剤としては、より具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、t-ブチルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、テトラリン、デカリン、及び芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素化合物、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、i-オクタン、n-デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、及びテレピン油に代表される脂肪族系又は脂環族系炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸n-アミル、酢酸2-ヒドロキシエチル、酢酸2-ブトキシエチル、酢酸3-メトキシブチル、及び安息香酸メチルに代表されるエステル化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンに代表されるケトン化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル化合物、並びに、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、及びt-ブチルアルコールに代表されるアルコール化合物が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、芳香族炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物等の重合反応中に連鎖移動を生じ難い有機溶剤の使用が好ましく、特に、特定(メタ)アクリル系共重合体の溶解性、重合反応の容易さ等の観点から、酢酸エチルの使用が好ましい。
重合反応時には、有機溶剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
重合開始剤としては、例えば、通常の溶液重合法で用いられる有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ-i-プロピルペルオキシジカルボナート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-α-クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、及び2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)〔ABVN〕、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、及び2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、重合反応中にグラフト反応を起こさない重合開始剤の使用が好ましく、特に、アゾ化合物の使用が好ましい。
重合反応時には、重合開始剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、必要に応じて、連鎖移動剤を用いてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸、シアノ酢酸の炭素数1~8のアルキルエステル化合物、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸の炭素数1~8のアルキルエステル化合物、α-メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、及び9-フェニルフルオレンに代表される芳香族化合物、p-ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p-ニトロ安息香酸、p-ニトロフェノール、及びp-ニトロトルエンに代表される芳香族ニトロ化合物、ベンゾキノン及び2,3,5,6-テトラメチル-p-ベンゾキノンに代表されるベンゾキノン誘導体、トリブチルボランに代表されるボラン誘導体、四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2-テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、及び3-クロロ-1-プロペンに代表されるハロゲン化炭化水素化合物、クロラール及びフラルデヒドに代表されるアルデヒド化合物、炭素数1~18のアルキルメルカプタン化合物、チオフェノール及びトルエンメルカプタンに代表される芳香族メルカプタン化合物、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1~10のアルキルエステル化合物、炭素数1~12のヒドロキシアルキルメルカプタン化合物、並びに、ピネン及びターピノレンに代表されるテルペン化合物が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際し、連鎖移動剤を用いる場合、連鎖移動剤の使用量は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
重合温度は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
〔粘着付与樹脂〕
本開示の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を含む。
本開示の粘着剤組成物における粘着付与樹脂の含有量は、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して10質量部~55質量部である。
本開示において、「粘着付与樹脂」とは、配合により粘着性を付与できる性質を有し、かつ、分子量が1万未満(好ましくは500以上1万未満の範囲)の樹脂を意味する。また、「粘着性」とは、ねばりつく性質を意味する。
本開示における「粘着付与樹脂」には、特定(メタ)アクリル系共重合体に該当するものは包含されない。
粘着付与樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。具体的には、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として、粘着付与樹脂の重量平均分子量を求める。
~条件~
測定装置:高速GPC〔型番:HLC-8220 GPC、東ソー(株)製〕
検出器:示差屈折率計(RI)〔HLC-8220に組込、東ソー(株)製〕
カラム:TSKgel GMHXL〔東ソー(株)製〕を4本使用
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料溶液の注入量:100μL
流量:0.8mL/分
但し、粘着付与樹脂として市販品を用い、かつ、市販品のカタログに分子量の記載がある場合には、粘着付与樹脂の分子量は、市販品のカタログ値を採用する。
粘着付与樹脂の軟化点は、特に限定されないが、例えば、90℃~160℃であることが好ましく、100℃~160℃であることがより好ましく、105℃~160℃であることが更に好ましく、110℃~160℃であることが特に好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点が90℃以上であると、形成される粘着剤層の高温環境下における粘着力及び保持力がより高まる傾向を示す。
粘着付与樹脂の軟化点が160℃以下であると、市販の粘着付与樹脂を入手しやすい。
粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K 7234:1986に準拠した方法(所謂、環球法)により測定される値である。
但し、粘着付与樹脂として市販品を用い、かつ、市販品のカタログに軟化点の記載がある場合には、粘着付与樹脂の軟化点は、市販品のカタログ値を採用する。
粘着付与樹脂のバイオマス度は、特に限定されないが、例えば、より環境に配慮した粘着剤組成物を実現する観点から、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。粘着付与樹脂のバイオマス度は、例えば、100%であってもよい。
本開示において「粘着付与樹脂のバイオマス度」は、ASTM D6866-20に準拠した方法により測定される値であり、粘着付与樹脂に含まれる全炭素に占めるバイオマス由来の炭素の質量割合を意味する。
但し、粘着付与樹脂として市販品を用い、かつ、市販品のカタログにバイオマス度の記載がある場合には、粘着付与樹脂のバイオマス度は、市販品のカタログ値を採用する。
粘着付与樹脂の種類は、特に限定されない。
粘着付与樹脂は、例えば、より環境に配慮した粘着剤組成物を実現する観点から、原料の少なくとも一部が植物由来の成分であることが好ましい。
粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン骨格を有する樹脂(所謂、ロジン系樹脂)、テルペン骨格を有する樹脂(所謂、テルペン系樹脂)、及びスチレン骨格を有する樹脂(所謂、スチレン系樹脂)が挙げられる。
粘着付与樹脂は、ロジン系樹脂及びテルペン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、例えば、形成される粘着剤層の高温環境下における保持力がより高まる傾向を示す観点から、テルペン系樹脂であることがより好ましい。
ロジン系樹脂の具体例としては、ロジン、エステル化ロジン(所謂、ロジンエステル樹脂)、水素化ロジン、及び不均化ロジンが挙げられる。
ロジン系樹脂としては、ロジンエステル樹脂が好ましい。
テルペン系樹脂の具体例としては、テルペンの単独重合体であるポリテルペン、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、及び水素化テルペン樹脂が挙げられる。
テルペン系樹脂としては、芳香族変性テルペン樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂としては、市販品を使用できる。
粘着付与樹脂の市販品の例としては、例えば、ヤスハラケミカル(株)製の「YSポリスター(登録商標)U115」、「YSポリスター(登録商標)U130」、「YSポリスター(登録商標)T30」、「YSポリスター(登録商標)T80」、「YSポリスター(登録商標)T100」、「YSポリスター(登録商標)T115」、「YSポリスター(登録商標)T130」、「YSポリスター(登録商標)TH130」、「YSポリスター(登録商標)T145」、「YSポリスター(登録商標)T160」、「YSポリスター(登録商標)S145」、「YSポリスター(登録商標)G125」、「YSポリスター(登録商標)G150」、「YSポリスター(登録商標)N125」、「YSポリスター(登録商標)K125」、「YSポリスター(登録商標)K140」、「YSレジン(登録商標)CP」、「YSレジンPX800」、「YSレジンPX1000」、「YSレジンPX1150」、「YSレジンPX1250」、「YSレジンTO85」、「YSレジンTO105」、「YSレジンTO115」、及び「YSレジンTO125」、荒川化学工業(株)製の「パインクリスタル(登録商標)KE-359」、「パインクリスタル(登録商標)D-6011」、「スーパーエステルA-100」、「タマノル(登録商標)803L」、及び「タマノル(登録商標)901」、並びに、Kraton社製の「SYLVALITE(登録商標)9000」(以上、いずれも商品名)が挙げられる。
本開示の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の粘着剤組成物における粘着付与樹脂の含有量は、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して10質量部~55質量部である。
本開示の粘着剤組成物における粘着付与樹脂の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して10質量部以上であると、高温環境下において優れた粘着力を有する粘着剤層を形成し得る。理由としては、形成される粘着剤層に対し、適度な凝集力が付与されるためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物における粘着付与樹脂の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して55質量部以下であると、高温環境下において優れた保持力を有する粘着剤層を形成し得る。理由としては、形成される粘着剤層の凝集力が過度に高くならないためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物における粘着付与樹脂の含有量は、上記のような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、10質量部~50質量部であることが好ましく、15質量部~45質量部であることがより好ましく、20質量部~45質量部であることが更に好ましい。
〔架橋剤〕
本開示の粘着剤組成物は、架橋剤を含む。
本開示の粘着剤組成物が架橋剤を含むと、架橋構造が形成され、粘着剤層に対し凝集力が付与される。
架橋剤の種類は、特に限定されない。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、及び金属キレート系架橋剤が挙げられる。
本開示において、「イソシアネート系架橋剤」とは、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物(所謂、ポリイソシアネート系化合物)を指す。また、「エポキシ系架橋剤」とは、1分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物(所謂、2官能以上のエポキシ系化合物)を指す。また、「金属キレート系架橋剤」とは、架橋剤として機能する金属キレート系化合物を指す。
架橋剤は、イソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
イソシアネート系架橋剤の種類は、特に限定されない。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート系化合物、脂環式ポリイソシアネート系化合物、及び芳香族ポリイソシアネート系化合物が挙げられる。
「脂肪族ポリイソシアネート系化合物」には、例えば、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物の多量体、脂肪族ポリイソシアネート化合物とポリオール系化合物〔例えば、トリメチロールプロパン(TMP);以下、同じ。〕とのアダクト体、及び脂肪族ポリイソシアネート化合物のビウレット体が包含される。
脂肪族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート、が挙げられる。
「脂環式ポリイソシアネート系化合物」には、例えば、脂環式ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物の多量体、脂環式ポリイソシアネート化合物とポリオール系化合物とのアダクト体、及び脂環式ポリイソシアネート化合物のビウレット体が包含される。
脂環式ポリイソシアネート化合物の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシレンジイソシアネート、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが挙げられる。
「芳香族ポリイソシアネート系化合物」には、例えば、芳香族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物の多量体、芳香族ポリイソシアネート化合物とポリオール系化合物とのアダクト体、及び芳香族ポリイソシアネート化合物のビウレット体が包含される。
芳香族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、芳香族ポリイソシアネート系化合物が好ましく、トリレンジイソシアネート系化合物及びキシリレンジイソシアネート系化合物から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
「トリレンジイソシアネート系化合物」には、例えば、TDI、TDIの多量体、TDIとポリオール系化合物とのアダクト体、及びTDIのビウレット体が包含される。「キシリレンジイソシアネート系化合物」についても同様である。
例えば、形成される粘着剤層の高温環境下における保持力がより高まる傾向を示す観点からは、イソシアネート系架橋剤は、トリレンジイソシアネート系化合物であることが好ましく、TDIとTMPとのアダクト体であることがより好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、市販品を使用できる。
イソシアネート系架橋剤の市販品の例としては、「コロネート(登録商標) HX」、「コロネート(登録商標) HL-S」、「コロネート(登録商標) L」、「コロネート(登録商標) L-45E」、「コロネート(登録商標) 2031」、「コロネート(登録商標) 2037」、「コロネート(登録商標) 2234」、「コロネート(登録商標) 2785」、「アクアネート(登録商標) 200」、及び「アクアネート(登録商標) 210」〔以上、東ソー(株)製〕、「スミジュール(登録商標) N3300」、「デスモジュール(登録商標) N3400」、及び「スミジュール(登録商標) N75」〔以上、住化コベストロウレタン(株)製〕、「デュラネート(登録商標) D201」、「デュラネート(登録商標) E405-70B」、「デュラネート(登録商標) E405-80T」、「デュラネート(登録商標) AE700-100」、「デュラネート(登録商標) 24A-100」、及び「デュラネート(登録商標) TSE-100」〔以上、旭化成(株)製〕、並びに、「タケネート(登録商標) D-110N」、「タケネート(登録商標) D-120N」、「タケネート(登録商標) D-140N」、「タケネート(登録商標) M-631N」、「MT-オレスター(登録商標) NP1200」、及び「スタビオ(登録商標) XD-340N」〔以上、三井化学(株)製〕が挙げられる。
本開示の粘着剤組成物は、架橋剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の粘着剤組成物における架橋剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.1質量部~1.0質量部であることが好ましく、0.2質量部~0.8質量部であることがより好ましく、0.3質量部~0.6質量部であることが更に好ましい。
本開示の粘着剤組成物における架橋剤の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上であると、形成される粘着剤層の高温環境下における粘着力及び保持力がより高まる傾向を示す。理由としては、特定(メタ)アクリル系共重合体と架橋剤との架橋がより十分に進行し、形成される粘着剤層の凝集力が十分に高まるためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物における架橋剤の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して1.0質量部以下であると、形成される粘着剤層の高温環境下における粘着力がより高まる傾向を示す。理由としては、特定(メタ)アクリル系共重合体と架橋剤との架橋が過度に架橋せず、形成される粘着剤層がより適度な硬さを示すためと考えられる。
〔有機溶剤〕
本開示の粘着剤組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。
本開示の粘着剤組成物は、有機溶剤を含むと、塗布性が向上し得る。
有機溶剤としては、例えば、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重合反応時に用いられる有機溶剤と同様のものが挙げられる。
本開示の粘着剤組成物は、有機溶剤を含む場合、有機溶剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の粘着剤組成物が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定できる。
〔その他の成分〕
本開示の粘着剤組成物は、その効果を損なわない範囲で、必要に応じて、既述した成分以外の成分(所謂、その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、特定(メタ)アクリル系共重合体以外の重合体、架橋触媒、酸化防止剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、光安定剤(例えば、紫外線吸収剤)、帯電防止剤等の各種添加剤が挙げられる。
本開示の粘着剤組成物がその他の成分を含む場合、その他の成分の含有量は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲で、適宜設定できる。
<粘着剤組成物のバイオマス度>
本開示の粘着剤組成物のバイオマス度は、特に限定されないが、例えば、環境問題への配慮の観点から、35%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、45%以上であることが更に好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
本開示の粘着剤組成物のバイオマス度の上限は、特に限定されず、例えば、80%以下が挙げられる。
本開示の粘着剤組成物のバイオマス度は、ASTM D6866-20に準拠した方法により測定される値であり、粘着剤組成物に含まれる全炭素に占めるバイオマス由来の炭素の質量割合を意味する。
<粘着剤組成物の用途>
本開示の粘着剤組成物の用途は、特に限定されない。
本開示の粘着剤組成物は、高温環境下において優れた粘着力及び保持力を有する粘着剤層を形成できるため、例えば、高温環境下に置かれる環境で物を固定する用途、具体的には、高温になりやすい被着体(例:電子機器、車両等)に対し、部品等の物を固定する用途に好適である。
[粘着テープ]
本開示の粘着テープは、基材と、基材上に設けられ、かつ、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える。すなわち、本開示の粘着テープは、基材と、本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、が積層された構成を有している。
本開示の粘着テープが備える粘着剤層は、本開示の粘着剤組成物の硬化物を含む。硬化物には、例えば、架橋剤によって架橋硬化してなる特定(メタ)アクリル系共重合体の架橋物が含まれる。
本開示の粘着テープは、本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、高温環境下において被着体に対し優れた粘着力及び保持力を示し、かつ、環境にも配慮されている。
基材は、その基材上に粘着剤層を形成できれば、特に限定されない。
基材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂〔例えば、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)〕、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)〕、アセテート系樹脂(例えば、トリアセチルセルロース樹脂)、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂を含むフィルム、紙(例えば、上質紙及びコート紙)、合成紙、及びこれらの2種以上を積層した複合シートが挙げられる。
基材の粘着剤層が設けられる側の面には、基材と粘着剤層との密着性を向上させる観点から、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の表面処理(所謂、易接着処理)が施されていてもよい。
基材は、可塑剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
基材は、一部又は全体に、模様が施されていてもよい。
基材の厚さは、特に限定されないが、一般には10μm~500μmであり、10μm~300μmであることが好ましく、10μm~200μmであることがより好ましく、10μm~100μmであることが更に好ましい。
本開示における「基材の厚さ」は、基材の平均厚さを意味する。
基材の平均厚さは、以下の方法により求められる値である。
基材の厚み方向において無作為に選択した10箇所の厚さを、膜厚計を用いて測定する。測定値の算術平均値を求め、得られた値を基材の平均厚さとする。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、一般には1μm~100μmであり、5μm~50μmであることが好ましく、10μm~45μmであることがより好ましく、15μm~40μmであることが更に好ましい。
本開示における「粘着剤層の厚さ」は、粘着剤層の平均厚さを意味する。
粘着剤層の平均厚さは、基材の平均厚さと同様の方法により求められる値である。
本開示の粘着テープにおいて、露出した粘着剤層の面は、剥離シートによって保護されていてもよい。
剥離シートは、粘着剤層から容易に剥離できるものであれば、特に限定されない。
剥離シートとしては、例えば、片面又は両面に剥離処理剤による表面処理(所謂、易剥離処理)が施された樹脂フィルム、紙、合成紙、及びこれらの2種以上を積層した複合シートが挙げられる。本開示では、樹脂フィルムの片面又は両面に剥離処理剤による表面処理(所謂、易剥離処理)が施された態様の剥離シートを「剥離フィルム」ともいう。
剥離処理剤としては、例えば、シリコーン系剥離処理剤(例:シリコーン)、ワックス系剥離処理剤(例:パラフィンワックス)、及びフッ素系剥離処理剤(例:フッ素系樹脂)が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表されるポリエステルフィルムが挙げられる。
紙としては、例えば、上質紙及びコート紙が挙げられる。
剥離シートの膜厚は、特に限定されず、一般には20μm~180μmである。
剥離シートは、粘着テープを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
本開示の粘着テープの用途は、特に限定されない。
本開示の粘着テープは、高温環境下において優れた粘着力及び保持力を有する粘着剤層を備えるため、例えば、高温環境下に置かれる環境で物を固定する用途、具体的には、高温になりやすい被着体(例:電子機器、車両等)に対し、部品等の物を固定する用途に好適である。
[粘着テープの作製方法]
本開示の粘着テープの作製方法は、特に限定されない。
本開示の粘着テープは、公知の方法により作製できる。
本開示の粘着テープを作製する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
本開示の粘着剤組成物を基材の易接着処理面に塗布することにより、基材上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、基材上に粘着膜を形成する。次いで、形成した粘着膜の露出した面を、剥離シートの易剥離処理面に重ねて貼り合わせた後、必要に応じて養生を行うことにより、基材/粘着剤層/剥離シートの積層構造を有する粘着テープを作製できる。
別の方法としては、例えば、以下の方法も挙げられる。
本開示の粘着剤組成物を剥離シートの易剥離処理面に塗布することにより、剥離シート上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、剥離シート上に粘着膜を形成する。次いで、形成した粘着膜の露出した面を、基材の易接着処理面に重ねて貼り合わせた後、必要に応じて養生を行うことにより、基材/粘着剤層/剥離シートの積層構造を有する粘着テープを作製できる。
粘着剤組成物の塗布方法は、特に限定されない。
粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、バーコーター、アプリケーター等を用いる公知の方法が挙げられる。
粘着剤組成物の塗布量は、特に限定されず、例えば、形成する粘着剤層の厚さに応じて、適宜設定される。
塗布膜の乾燥方法は、特に限定されない。
塗布膜の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の方法が挙げられる。
塗布膜の乾燥温度及び乾燥時間は、特に限定されず、塗布膜の厚さ、塗布膜中の有機溶剤の量等に応じて、適宜設定される。
乾燥条件の一例としては、熱風乾燥機を用いて、70℃~120℃で30秒間~180秒間乾燥させる条件が挙げられる。
養生を行う場合、養生の条件としては、例えば、雰囲気温度20℃~35℃及び相対湿度45%~55%(即ち、45%RH~55%RH)の環境下で、2日間~7日間行う条件が挙げられる。
以下、本開示の粘着剤組成物及び粘着テープを実施例により更に具体的に説明する。本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[(メタ)アクリル系共重合体の製造]
〔製造例A-1〕
撹拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応装置に、酢酸エチル〔重合用有機溶剤〕312質量部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN;重合開始剤〕0.07質量部を仕込んだ。別の容器に、ラウリルアクリレート(LA)〔アルキル基の炭素数:12、バイオマス度:76.0%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)〕450質量部、メチルアクリレート(MA)〔アルキル基の炭素数:1、バイオマス度:0%、単独重合体としたときのガラス転移温度:10℃、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)〕120質量部、及び2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)〔バイオマス度:0%、水酸基を有する単量体〕30質量部からなる単量体混合物600質量部を準備した。この準備した単量体混合物のうちの150質量部(単量体混合物の25質量%に相当)を反応装置内に仕込んだ後、加熱して、還流温度で20分間還流を行った。
次いで、還流温度条件下で、上記単量体混合物の残りの450質量部(単量体混合物の75質量%に相当)と、酢酸エチル〔重合用有機溶剤〕100質量部と、AIBN(重合開始剤)0.20質量部と、を90分間かけて反応装置内に逐次滴下し、滴下終了後に240分間保持して、重合反応を行った。重合反応を行った後の溶液を、固形分濃度が45質量%となるようにトルエン〔有機溶剤〕を用いて希釈し、(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液を得た。
ここでいう「固形分濃度」とは、(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液に占める(メタ)アクリル系共重合体A-1の質量割合を意味する。
以下の(メタ)アクリル系共重合体A-2~A-16の各溶液についても同様である。
〔製造例A-2~A-16〕
製造例A-2~A-16では、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を表1に示す単量体組成に変更したこと、並びに、有機溶剤の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量を表1に示す重量平均分子量に調整したこと以外は、製造例A-1と同様の操作を行い、固形分濃度が45質量%である(メタ)アクリル系共重合体A-2~A-16の各溶液を得た。
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-16の単量体組成(単位:質量%)、(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-16の重量平均分子量(Mw)、及び(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-16のバイオマス度(単位:%)を表1に示す。
上記にて得られた(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-16のうち、(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-10は、本開示における特定(メタ)アクリル系共重合体に該当する。
Figure 2023079917000001
表1に記載の各単量体の詳細は、以下に示すとおりである。
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)>
「LA」:ラウリルアクリレート〔アルキル基の炭素数:12、バイオマス度:76.0%、共栄社化学(株)製〕
「LMA」:ラウリルメタクリレート〔アルキル基の炭素数:12、バイオマス度:71.4%、共栄社化学(株)製〕
「SA」:ステアリルアクリレート〔アルキル基の炭素数:18、バイオマス度:81.7%、共栄社化学(株)製〕
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)>
「MA」:メチルアクリレート〔アルキル基の炭素数:1、バイオマス度:0%、単独重合体としたときのガラス転移温度:10℃、三菱ケミカル(株)製〕
「EA」:エチルアクリレート〔アルキル基の炭素数:2、バイオマス度:0%、単独重合体としたときのガラス転移温度:-22℃、三菱ケミカル(株)製〕
<その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体>
「n-BA」:n-ブチルアクリレート〔アルキル基の炭素数:3、バイオマス度:0%、単独重合体としたときのガラス転移温度:-54℃、三菱ケミカル(株)製〕
<水酸基を有する単量体>
「2HEA」:2-ヒドロキシエチルアクリレート〔バイオマス度:0%、大阪有機化学工業(株)製〕
<カルボキシ基を有する単量体>
「AA」:アクリル酸〔バイオマス度:0%、大阪有機化学工業(株)製〕
表1中、単量体組成の欄に記載の「-」は、その欄に該当する単量体を使用していないことを意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)、その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、水酸基を有する単量体、及びカルボキシ基を有する単量体のバイオマス度は、ASTM D6866-20に準拠した方法により測定した。
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-16の重量平均分子量は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量の測定方法と同様の方法により測定した。
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-16のバイオマス度は、ASTM D6866-20に準拠した方法により測定した。
[粘着剤組成物の調製]
〔実施例1〕
(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液222.2質量部(固形分として100質量部)と、粘着付与樹脂〔商品名:YSレジンTO125、軟化点:125℃、テルペン系樹脂、固形分濃度:100質量%、ヤスハラケミカル(株)製〕10質量部(固形分として10質量部)と、架橋剤〔商品名:コロネート(登録商標) L-45E、イソシアネート系架橋剤、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分濃度:45質量%、東ソー(株)製〕0.67質量部(固形分として0.3質量部)と、を十分に混合して、実施例1の粘着剤組成物を得た。
〔実施例2~19〕
実施例1において、粘着剤組成物の組成を表2に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2~19の各粘着剤組成物を得た。
〔比較例1~8〕
実施例1において、粘着剤組成物の組成を表3に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1~8の各粘着剤組成物を得た。
実施例1~19の粘着剤組成物の組成(単位:質量部)及びバイオマス度(単位:%)を表2に示し、比較例1~8の粘着剤組成物の組成(単位:質量部)及びバイオマス度(単位:%)を表3に示す。
実施例1~19及び比較例1~8の粘着剤組成物のバイオマス度は、ASTM D6866-20に準拠した方法により測定した。
[評価用粘着テープの作製]
上記にて調製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離処理剤で易剥離処理された剥離フィルム〔商品名:フィルムバイナ(登録商標)100E-0010 No.23、厚さ:100μm、藤森工業(株)製〕の易剥離処理面に、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を、熱風循環式乾燥機を用いて、乾燥温度100℃、乾燥時間2分間の条件で乾燥させ、剥離フィルム上に粘着膜を形成した。次いで、粘着膜の露出した面を、基材としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔商品名:東洋紡エステル(登録商標)フィルム E5001、厚さ:25μm、東洋紡(株)製〕(以下、単に「PET」という。)の一方の面に重ねて貼り合わせた後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に7日間静置し、養生を行い、評価用粘着テープを作製した。作製した評価用粘着テープは、剥離フィルム/粘着剤層/基材(PET)の積層構造を有する。
[測定及び評価]
1.粘着力
上記にて作製した評価用粘着テープを25mm×150mmの大きさに切断し、評価用粘着テープ片を準備した。また、被着体として、サンドペーパー(粗さ:#280)を用いて片面を研磨したステンレス板〔SUS304 2B〕を準備した。
評価用粘着テープ片(構成:剥離フィルム/粘着剤層/PET)から剥離フィルムを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、ステンレス板の研磨された面に重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを1往復させて圧着し、試験片を作製した。作製した試験片は、被着体(ステンレス板)/評価用粘着テープ片〔粘着剤層/基材(PET)〕の積層構造を有する。次いで、作製した試験片を、雰囲気温度80℃の環境下に30分間静置した。この静置後の試験片について、被着体(ステンレス板)から評価用粘着テープ片〔構成:粘着剤層/基材(PET)〕を長辺(150mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイのシングルコラム型材料試験機(型番:STA-1225)を用い、雰囲気温度80℃の環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って、高温環境下における粘着剤層の粘着力を評価した。
結果を表2及び表3に示す。
下記の評価基準において、「A」、「B」、及び「C」は、実用上問題ないレベルであり、「A」であることが最も好ましい。
-評価基準-
A:粘着力が4.0N/25mm以上であった。
B:粘着力が3.0N/25mm以上4.0N/25mm未満であった。
C:粘着力が2.0N/25mm以上3.0N/25mm未満であった。
D:粘着力が2.0N/25mm未満であった。
2.保持力
粘着剤層の被着体に対する保持力を、JIS Z 0237:2009に準拠した方法により測定した。具体的には、以下のようにして測定した。
上記にて作製した評価用粘着テープを25mm×90mmの大きさに切断し、評価用粘着テープ片を準備した。また、被着体として、サンドペーパー(粗さ:#280)を用いて片面を研磨したステンレス板〔SUS304 2B〕を準備した。
評価用粘着テープ片(構成:剥離フィルム/粘着剤層/PET)の剥離フィルムの一部を剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面をステンレス板の研磨された面に25mm×25mmの貼り付け面積で重ねて貼り合わせた後、2kgのローラーを用いて圧着することにより、評価用粘着テープ片の粘着剤層の一部がステンレス板に貼着した試験片X1を作製した。次いで、作製した試験片X1を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置し、試験片X2を得た。この試験片X2のステンレス板に貼着した評価用粘着テープ片に対して、雰囲気温度80℃の環境下で、長辺(90mm)方向に1kgの静荷重を24時間掛けた後、評価用粘着テープ片のステンレス板からのズレの距離(即ち、評価用粘着テープ片の移動距離)を測定した。そして、下記の評価基準に従って、高温環境下における粘着剤層の保持力を評価した。
結果を表2及び表3に示す。
下記の評価基準において、「A」、「B」、及び「C」は、実用上問題ないレベルであり、「A」であることが最も好ましい。
-評価基準-
A:評価用粘着テープ片の移動距離が0.1mm以下であった。
B:評価用粘着テープ片の移動距離が0.1mmを超えて0.3mm以下であった。
C:評価用粘着テープ片の移動距離が0.3mmを超えて1.0mm以下であった。
D:評価用粘着テープ片の移動距離が1.0mmを超えた、或いは、評価用粘着テープ片がステンレス板から落下した。
Figure 2023079917000002
Figure 2023079917000003
表2及び/又は表3に記載の成分の詳細は、以下に示すとおりである。
<粘着付与樹脂>
「TO125」〔商品名:YSレジンTO125、テルペン系樹脂(芳香族変性テルペン樹脂)、軟化点:125℃、固形分濃度:100質量%、ヤスハラケミカル(株)製〕
「TO105」〔商品名:YSレジンTO105、テルペン系樹脂(芳香族変性テルペン樹脂)、軟化点:105℃、固形分濃度:100質量%、ヤスハラケミカル(株)製〕
「U130」〔商品名:YSポリスター(登録商標)U130、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂)、軟化点:130℃、固形分濃度:100質量%、ヤスハラケミカル(株)製〕
「T130」〔商品名:YSポリスター(登録商標)T130、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂)、軟化点:130℃、固形分濃度:100質量%、ヤスハラケミカル(株)製〕
「S9000」〔商品名:SYLVALITE(登録商標)9000、ロジン系樹脂(ロジンエステル樹脂)、軟化点:102℃、固形分濃度:100質量%、Kraton社製〕
<架橋剤>
「L-45E」〔商品名:コロネート(登録商標) L-45、イソシアネート系架橋剤、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分濃度:45質量%、東ソー(株)製〕
「D-110N」〔商品名:タケネート(登録商標) D-110N、イソシアネート系架橋剤、キシリレンジイソシアネート(XDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分濃度:75質量%、三井化学(株)製〕
表2及び表3中、「配合量」の欄に記載の数値は、いずれも固形分換算値である。
表2及び表3中、「-」は、その欄に該当する成分を配合していないことを意味する。
表2に示すように、実施例1~19の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、高温環境下において優れた粘着力及び保持力を有することが確認された。
一方、表3に示すように、粘着付与樹脂の含有量が特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して10質量部未満である比較例1の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と比較して、高温環境下における粘着力が低いことが確認された。
粘着付与樹脂の含有量が特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して55質量部を超える比較例2の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と比較して、高温環境下における保持力が低いことが確認された。
(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して1質量%未満である比較例3の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と比較して、高温環境下における保持力が低いことが確認された。
(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して10質量%を超える比較例4の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と比較して、高温環境下における粘着力が低いことが確認された。
(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して10質量%未満である比較例5の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と比較して、高温環境下における粘着力が低いことが確認された。
(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して50質量%を超える比較例6の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と比較して、高温環境下における粘着力が低いことが確認された。
(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して30質量%未満である比較例7の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と比較して、高温環境下における粘着力が低いことが確認された。
(メタ)アクリル系共重合体が水酸基を有する単量体に由来する構成単位に代えてカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含む比較例8の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と比較して、高温環境下における保持力が低いことが確認された。

Claims (7)

  1. アルキル部位の炭素数が12以上であり、かつ、バイオマス度が70%以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(A)に由来する構成単位を全構成単位に対して30質量%~89質量%、アルキル部位の炭素数が1~10であり、かつ、単独重合体としたときのガラス転移温度が-30℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)に由来する構成単位を全構成単位に対して10質量%~50質量%、及び、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して1質量%~10質量%含む(メタ)アクリル系共重合体と、
    粘着付与樹脂と、
    架橋剤と、
    を含み、
    前記粘着付与樹脂の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して10質量部~55質量部である粘着剤組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(B)のアルキル部位の炭素数が、1又は2である請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記粘着付与樹脂の軟化点が、90℃~160℃である請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記粘着付与樹脂の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して20質量部~45質量部である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記粘着付与樹脂がテルペン系樹脂である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  6. 前記架橋剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部~1.0質量部である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  7. 基材と、
    前記基材上に設けられ、かつ、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、
    を備える粘着テープ。
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