JP2023079272A - インクジェットインク組成物、及び記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】得られる記録物のカールを抑制することができ、かつ、目詰まり回復性に優れるインクジェットインク組成物を提供する。【解決手段】色材と、無機酸化物粒子と、非環状アミド化合物とを含み、前記無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)が、100nm以下である、インクジェットインク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク組成物、及び記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。近年、インクジェットプリンターの高速化、高画質化が進んでおり、その中で、特に水系インクジェットインクを用いる場合にカールの発生が問題となっており、カールの発生を抑制するための研究開発が行われている。例えば、特許文献1には、カールの発生を抑制してスタック性を向上させることができるインクジェット記録用インクを提供することを目的として、顔料と、コロイダルシリカと、アミノ酸と、を含む、インクジェット記録用インクが開示されている。
特開2020-007444号公報
しかしながら、コロイダルシリカを含むインクジェットインク組成物を用いることにより、カールを抑制することができる反面、目詰まり回復性の低下が生じることがわかってきた。
本発明のインクジェットインク組成物は、色材と、無機酸化物粒子と、非環状アミド化合物とを含み、前記無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)が、100nm以下である。
また、本発明の記録方法は、上記インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク付着工程、を備える。
本実施形態に係る記録装置を示す概略断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
1.インクジェットインク組成物
本実施形態にかかるインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、色材と、無機酸化物粒子と、非環状アミド化合物とを含み、無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)が、100nm以下である。
本実施形態において「インクジェットインク組成物」とは、インクジェット法によりインクジェットヘッドから吐出して記録媒体に付着させて用いるインク組成物をいう。
普通紙に対して水系インク組成物で印刷するとカールが生じやすいが、無機酸化物粒子を用いることにより、得られる記録物のカールを抑制することができる。また、印字面の濡れ摩擦性も下げることが可能となり、スタック性が向上するため高速印刷も可能となる。特に、無機酸化物粒子として粒子径の小さいものを用いることによって、印字面の濡れ摩擦性がさらに低下しやすくなる上、発色性に与える無機酸化物粒子の影響を低減することができるため、発色性の良好な記録物を得ることができる。
しかしながら、無機酸化物粒子を含むインク組成物がノズル近傍で乾燥すると、無機酸化物粒子の分散状態が変化し、無機酸化物粒子が凝集体として析出し、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを生じさせやすい。このような目詰まりの問題は、無機酸化物粒子として粒子径の小さいものを用いる場合により顕著となり、凝集体がノズルに固く固着するためクリーニングによっても回復させることが困難となり、目詰まり回復性が低下する。
これに対して、本実施形態においては、体積平均粒子径A(D50)が100nm以下の無機酸化物粒子と非環状アミド化合物を併用することで、無機酸化物粒子によるカール抑制作用や、低濡れ摩擦性を維持しつつ、目詰まり回復性を達成することができる。この理由は特に制限されないが、非環状アミド化合物により、無機酸化物粒子の再分散を促進し、目詰まり回復性が向上し得ると考えられる。
1.1.無機酸化物粒子
無機酸化物粒子としては、特に限定されないが、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、酸化アンチモン粒子、酸化錫粒子、酸化タンタル粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子、酸化鉛粒子、及び酸化インジウム粒子が挙げられる。これらの無機酸化物粒子は、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。これらの中でも、好ましくはシリカ粒子又はアルミナ粒子であり、より好ましくはシリカ粒子である。このような無機酸化物粒子を用いることにより、カールがより抑制され、濡れ摩擦性がより低下する傾向にある。また、後述する非環状アミド化合物との組み合わせによって、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
無機酸化物粒子は、表面処理がされたものであってもよい。例えば、無機酸化物粒子がシリカ粒子である場合、シリカ粒子は、アルミナで表面処理されていてもよい。これにより、シリカ粒子の安定分散が可能なpHの範囲が拡大し、分散安定性がより向上する傾向にある。
無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)は、100nm以下であり、好ましくは5~80nmであり、より好ましくは10~70nmであり、さらに好ましくは20~60nmであり、よりさらに好ましくは30~50nmである。無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)が100nm以下であることにより、発色性がより向上し、濡れ摩擦性がより低下する傾向にある。無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)が5nm以上であることにより、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)は、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。このような粒度分布測定装置としては、例えば、周波数解析法としてホモダイン光学系を採用した大塚電子株式会社製の「ゼータ電位・粒径・分子量測定システム ELSZ2000ZS」(商品名)が挙げられる。なお、本実施形態においては、無機酸化物粒子の「粒子径」とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒子径である体積平均粒子径A(D50)のことを指すものとする。また、「D50」とは、体積基準の粒子径の累積分布において小粒径からの積算値が全体の50%に達したときの粒子径をいう。
無機酸化物粒子の含有量は、固形分として、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~15質量%であり、より好ましくは0.5~10質量%であり、さらに好ましくは1.0~5.0質量%である。無機酸化物粒子の含有量が0.1質量%以上であることにより、得られる記録物のカールの発生がより抑制される傾向にある。
無機酸化物粒子の含有量は、固形分として、後述する非環状アミド化合物の100質量部に対して、好ましくは10~300質量部であり、より好ましくは30~200質量部であり、さらに好ましくは50~150質量部である。非環状アミド化合物に対する無機酸化物粒子の含有量が10質量部以上であることにより、カールがより抑制され、濡れ摩擦性がより低下する傾向にある。また、非環状アミド化合物に対する無機酸化物粒子の含有量が300質量部以下であることにより、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
1.2.水
本実施形態のインク組成物は、水系インク組成物であることが好ましい。水系インク組成物における水の含有量は、インクの総量に対して、好ましくは55~90質量%であり、より好ましくは60~85質量%であり、さらに好ましくは65~80質量%である。水の含有量が55質量%以上であることにより、水の一部が蒸発した際でもインクの粘度上昇が抑制され、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。また、水の含有量が90質量%以下であることにより、カールがより抑制される傾向にある。
1.3.有機溶剤
本実施形態におけるインク組成物は、有機溶剤として非環状アミド化合物を含み、必要に応じて環状アミド化合物や、その他の有機溶剤を含んでいてもよい。
1.3.1.非環状アミド化合物
非環状アミド化合物は、分子構造として環状構造を持たない、直鎖状又は分岐状のアミド化合物である。このような非環状アミド化合物としては、特に限定されないが、例えば、N,N-ジアルキル-アルキルアミドなどがあげられる。その中でも、好ましくは下記式(1)又は(2)のいずれかで表される化合物であり、このような非環状アミド化合物を無機酸化物粒子と併せて用いることにより、体積平均粒子径A(D50)の小さい無機酸化物粒子を用いた場合であっても、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
Figure 2023079272000001
(式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
式(1)中において、R1、R2は、好ましくは少なくともいずれかが炭素数1~5のアルキル基であり、より好ましくは両方が炭素数1~5のアルキル基である。R1、R2、R3は、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。または炭素数3~5のアルキル基も好ましい。
式(1)で表される非環状のアミド類としては、特に制限されないが、例えば、N,N-ジメチル-β-メトキシプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド等のアルコキシアルキルアミド類が挙げられる。
式(2)中において、R1、R2は、好ましくは少なくともいずれかが炭素数1~5のアルキル基であり、より好ましくは両方が炭素数1~5のアルキル基である。R1、R2、R4は、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~2のアルキル基である。
式(2)で表される非環状のアミド類としては、特に制限されないが、例えば、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアセトアミド、N-メチルーアセトアセトアミド等が挙げられる。
非環状アミド化合物の含有量としては、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.5~10質量%であり、より好ましくは1.0~8.0質量%であり、さらに好ましくは1.5~6.0質量%である。非環状アミド化合物の含有量が上記範囲内であることにより、カールが抑制され、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
1.3.2.環状アミド化合物
有機溶剤は、環状アミド化合物を含むことが好ましい。環状アミド化合物としては、特に限定されないが、例えば、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-2-オン(HEP)、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル―2-イミダゾリジノン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、2-オキサゾリジノンなどが挙げられる。その中でも、好ましくは1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-2-オンである。非環状アミド化合物に加えて、環状アミド化合物を併用することによって、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
環状アミド化合物の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.5~5.0質量%であり、さらに好ましくは1.0~3.0質量%である。環状アミド化合物の含有量が上記範囲内であることにより、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
1.3.3.その他の有機溶剤
その他の有機溶剤を含んでもよい。その他の有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルポリオール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。グリコールエーテル類は、グリコール化合物が有していた2個の水酸基の少なくとも1個がエーテル化したものである。
アルキルポリオール類の具体例としては、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらのアルキルポリオールは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
グリコールエーテル類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選択されるグリコールのモノアルキルエーテル又はジアルキルエーテルを挙げることができる。より具体的には、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられ、典型例としてジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
1.4.色材
本実施形態のインク組成物は、色材として顔料を含んでもよい。顔料としては、特に制限されないが、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の有機顔料;ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等の無機顔料;炭酸カルシウム、タルク等の体質顔料等を用いることができる。
上記顔料は、分散剤により水に分散させて得られる顔料分散液として、あるいは、顔料粒子表面に化学反応を利用して親水性基を導入した自己分散型の表面処理顔料を水に分散させて得られるか、又は、ポリマーで被覆された顔料を水に分散させて得られる顔料分散液として、インク組成物に添加することが好ましい。
上記顔料分散液を構成する顔料及び分散剤は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料の含有量は、インク組成物の総量に対して、固形分として、好ましくは1.0~12質量%であり、より好ましくは2.0~11質量%であり、さらに好ましくは3.0~10質量%である。
顔料の体積平均粒子径B(D50)は、好ましくは25~400nmであり、より好ましくは30~400nmであり、さらに好ましくは40~200nmであり、よりさらに好ましくは50~135nmである。
顔料の体積平均粒子径B(D50)と無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)の比(A/B)は、好ましくは0.1~1.6であり、より好ましくは0.1~1.2でり、さらに好ましくは0.2~1.0であり、よりさらに好ましくは0.3~0.8である。比(A/B)が0.1以上であることにより、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。また、比(A/B)が1.6以下であることにより、濡れ摩擦性がより低下し、かつ、発色性がより向上する傾向にある。
顔料の体積平均粒子径B(D50)は、上記無機酸化物粒子と同様の方法により測定することができる。顔料の「粒子径」とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒子径である体積平均粒子径B(D50)のことを指すものとする。
1.5.樹脂
本実施形態のインク組成物は、樹脂をさらに含んでもよい。樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂エマルション、(メタ)アクリル樹脂エマルションが挙げられる。このような樹脂エマルションを用いることにより、耐摩擦性がより向上する傾向にある。樹脂は一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
ウレタン樹脂エマルションとしては、分子中にウレタン結合を有する樹脂エマルションであれば特に限定されず、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、及び主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂が挙げられる。このなかでも、アニオン性のウレタン樹脂微粒子が好ましい。
アクリル樹脂エマルションとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体を重合させたものや、スチレンアクリル樹脂など、(メタ)アクリル系単量体と他の単量体とを共重合させたものが挙げられる。このなかでも、アニオン性のアクリル樹脂微粒子が好ましい。
樹脂の含有量は、インク組成物の総量に対して、好ましくは0.1~1.5質量%であり、より好ましくは0.2~1.2質量%であり、さらに好ましくは0.5~0.9質量%である。樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、耐摩擦性がより向上する傾向にある。
1.6.界面活性剤
本実施形態のインク組成物は、界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。このなかでも、目詰まり回復性の観点からアセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及び2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4-ジメチル-5-デシン-4-オール及び2,4-ジメチル-5-デシン-4-オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、インク組成物の総質量に対し、好ましくは0.1~3.0質量%であり、より好ましくは0.2~2.0質量%であり、さらに好ましくは0.3~1.0質量%である。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、吐出安定性がより向上する傾向にある。
1.7.pH調整剤
本実施形態のインク組成物は、さらにpH調整剤を含んでいてもよい。このようなpH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、トリプロパノールアミン、トリエタノールアミン(TEA)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸、3-〔4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル〕プロパンスルホン酸、2-モルホリノエタンスルホン酸、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)等が挙げられる。
1.8.その他の成分
本実施形態のインク組成物は、必要に応じてさらにその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、キレート化剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤等が挙げられる。
1.9.インク組成物の製造方法
本実施形態のインクジェットインクの製造方法は、特に制限されず、色材と、体積平均粒子径A(D50)が、100nm以下である無機酸化物粒子と、非環状アミド化合物と、必要に応じてその他の成分とを、混合する方法が挙げられる。なお、無機酸化物粒子は、コロイド溶液の状態で混合してもよいし、色材として顔料を用いる場合には、顔料分散液の状態で混合してもよい。
2.インクジェット記録方法
本実施形態のインクジェット記録方法は、インクジェットヘッドを用いて、上記インクジェットインクを、吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程と、記録媒体を搬送する搬送工程とを有する。なお、インク付着工程と搬送工程は同時に行ってもよいし、交互に行ってもよい。
2.1.インク付着工程
インク付着工程では、インクジェットヘッドからインクを吐出して記録媒体に付着させる。より具体的には、インクジェットヘッド内に設けられた圧力発生手段を駆動させて、インクジェットヘッドの圧力発生室内に充填されたインクをノズルから吐出させる。このような吐出方法をインクジェット法ともいう。
インク付着工程において用いるインクジェットヘッドとしては、ライン方式により記録を行うラインヘッドと、シリアル方式により記録を行うシリアルヘッドが挙げられる。
ラインヘッドを用いたライン方式では、例えば、記録媒体の記録幅以上の幅を有するインクジェットヘッドを記録装置に固定する。そして、記録媒体を副走査方向(記録媒体の搬送方向)に沿って移動させ、この移動に連動してインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に画像を記録する。
シリアルヘッドを用いたシリアル方式では、例えば、記録媒体の幅方向に移動可能なキャリッジにインクジェットヘッドを搭載する。そして、キャリッジを主走査方向(記録媒体の幅方向)に沿って移動させ、この移動に連動してインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、記録媒体上に画像を記録する。
2.2.搬送工程
搬送工程では、記録装置内で所定の方向に記録媒体を搬送する。より具体的には、記録装置内に設けられた搬送ローラーや搬送ベルトを用いて、記録装置の給紙部から排紙部へと記録媒体を搬送する。その搬送過程において、インクジェットヘッドから吐出されたインクが記録媒体に付着し、記録物が形成される。搬送は、連続的に行ってもよいし断続的に行ってもよい。
2.3.記録媒体
本実施形態で用いる記録媒体としては、特に制限されないが、例えば、吸収性又は非吸収性の記録媒体が挙げられる。このなかでも、吸収性記録媒体はカールなどの問題が生じやすいため、無機酸化物粒子を用いつつも目詰まり回復性に優れる本発明が有効である。
吸収性記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インクジェットインクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン等のプラスチック類のフィルムやプレート;鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート;又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート;紙製の基材にポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン等のプラスチック類のフィルムを接着(コーティング)した記録媒体等が挙げられる。
3.記録装置
本実施形態の記録装置は、インクジェットインクを記録媒体に対して吐出するノズルを有するインクジェットヘッドと、記録媒体を搬送する搬送手段と、を備える。インクジェットヘッドは、インクが供給される圧力室と、インクを吐出するノズルと、を備える。また、搬送手段は、記録装置内に設けられた搬送ローラーや搬送ベルトから構成される。
以下、本実施形態に係る記録装置について、図1を参照して説明する。なお、図1において示すX-Y-Z座標系はX方向が記録媒体の長さ方向、Y方向が記録装置内の搬送経路における記録媒体の幅方向、Z方向が装置高さ方向を示している。
記録装置10は一例として、高速及び高密度の印刷が可能なライン型インクジェットプリンターである。記録装置10は、用紙等の記録媒体Pを収納する給送部12と、搬送部14と、ベルト搬送部16と、記録部18と、「排出部」としてのFd(フェイスダウン)排出部20と、「載置部」としてのFd(フェイスダウン)載置部22と、「反転搬送機構」としての反転経路部24と、Fu(フェイスアップ)排出部26と、Fu(フェイスアップ)載置部28とを備えている。
給送部12は、記録装置10において装置下部に配置されている。給送部12は、記録媒体Pを収納する給送トレイ30と、該給送トレイ30に収納された記録媒体Pを搬送経路11に送り出す給送ローラー32とを備えている。
給送トレイ30に収納された記録媒体Pは、給送ローラー32により搬送経路11に沿って搬送部14に給送される。搬送部14は、搬送駆動ローラー34と搬送従動ローラー36とを備えている。搬送駆動ローラー34は、図示しない駆動源により回転駆動される。搬送部14において、記録媒体Pは、搬送駆動ローラー34と搬送従動ローラー36との間に狭持(ニップ)されて搬送経路11の下流側に位置するベルト搬送部16へと搬送される。
ベルト搬送部16は、搬送経路11において上流側に位置する第1ローラー38と、下流側に位置する第2ローラー40と、第1ローラー38及び第2ローラー40に回転移動可能に取り付けられた無端ベルト42と、第1ローラー38と第2ローラー40との間において無端ベルト42の上側区間42aを支持する支持体44とを備える。
無端ベルト42は、図示しない駆動源により駆動された第1ローラー38または第2ローラー40により上側区間42aにおいて+X方向から-X方向に移動するように駆動される。このため、搬送部14から搬送された記録媒体Pは、ベルト搬送部16においてさらに搬送経路11の下流側に搬送される。
記録部18は、ライン型のインクジェットヘッド48と、該インクジェットヘッド48を保持するヘッドホルダー46とを備えている。尚、該記録部18は、Y軸方向に往復移動するキャリッジにインクジェットヘッドが設けられたシリアル型のものであってもよい。インクジェットヘッド48は、支持体44に支持された無端ベルト42の上側区間42aと対向するように配置されている。インクジェットヘッド48は、無端ベルト42の上側区間42aにおいて記録媒体Pが搬送される際、記録媒体Pに向けてインクを吐出し、記録を実行する。記録媒体Pは、記録が行われつつベルト搬送部16により搬送経路11の下流側に搬送される。
なお、「ライン型のインクジェットヘッド」とは、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向に形成されたノズルの領域が、記録媒体Pの交差方向全体をカバー可能なように設けられ、ヘッド又は記録媒体Pの一方を固定し他方を移動させて画像を形成する記録装置に用いられるヘッドである。なお、ラインヘッドの交差する方向のノズルの領域は、記録装置が対応している全ての記録媒体Pの交差方向全体をカバー可能でなくてもよい。
また、ベルト搬送部16の搬送経路11の下流側には、第1分岐部50が設けられている。第1分岐部50は、記録媒体PをFd排出部20またはFu排出部26へ搬送する搬送経路11と、記録媒体Pの記録面を反転させて再度記録媒体Pを記録部18に搬送する反転経路部24の反転経路52とに切り替え可能に構成されている。尚、第1分岐部50により反転経路52に切り替えられて搬送される記録媒体Pは、反転経路52における搬送過程において記録面が反転され、最初の記録面と反対側の面がインクジェットヘッド48と対向するように記録部18に再度搬送される。
搬送経路11に沿って第1分岐部50の下流側には、さらに第2分岐部54が設けられている。第2分岐部54は、記録媒体PをFd排出部20へ向けて搬送し、または記録媒体PをFu排出部26へ向けて搬送するように記録媒体Pの搬送方向を切り替え可能に構成されている。
第2分岐部54においてFd排出部20へ向けて搬送される記録媒体Pは、Fd排出部20から排出され、Fd載置部22に載置される。このとき、記録媒体Pの記録面は、Fd載置部22に対向するように載置される。また、第2分岐部54においてFu排出部26へ向けて搬送される記録媒体Pは、Fu排出部26から排出され、Fu載置部28に載置される。このとき、記録媒体Pの記録面は、Fu載置部28と反対側に向くように載置される。
なお、上記では、ライン型のインクジェットヘッドを用いる場合の例について説明したが、本実施形態に係る記録装置は、シリアル型のインクジェットヘッドを用いるプリンタ(シリアルプリンタ)であってもよい。シリアルプリンタでは、記録媒体を搬送方向に搬送させつつ、インクジェットヘッドを当該搬送方向と交差する方向に移動させることにより、印刷が行われる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
1.インク組成物の調製
表1に記載の組成となるように、混合物用タンクに各成分を入れ、混合攪拌し、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過することにより各例のインクジェットインクを得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は特段記載のない限り質量%を表す。また、表中において、無機酸化物粒子、顔料分散液、及び樹脂の数値は、固形分の質量%を表す。
Figure 2023079272000002
表1中で使用した略号や製品成分は以下のとおりである。
〔顔料〕
BONJET BLACK CW-1(オリエント化学社製、体積平均粒子径B(D50)110nm)
Aqua-Black 162(東海カーボン社製、体積平均粒子径B(D50)110nm)
〔無機酸化物粒子〕
コロイダルシリカ(日揮触媒化成社製、カタロイドSI-30、体積平均粒子径A(D50)30nm、固形分40質量%)
コロイダルシリカ(日揮触媒化成社製、カタロイドSI-45P、体積平均粒子径A(D50)45nm、固形分40質量%)
〔環状アミド化合物〕
2-ピロリドン
1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン(HEP)
〔非環状アミド化合物〕
3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド
N,N-ジメチルアセトアセトアミド
〔その他溶剤〕
グリセリン
トリエチレングリコールモノブチルエーテル
トリエチレングリコールモノメチルエーテル
〔界面活性剤〕
オルフィンE1010(日信化学工業社製商品名、アセチレングリコール系界面活性剤)
サーフィノール104(日信化学工業社製商品名、アセチレングリコール系界面活性剤)
オルフィンEXP4300(日信化学工業社製商品名、アセチレングリコール系界面活性剤)
〔樹脂〕
スーパーフレックス420(第一工業製薬社製商品名、ウレタン系樹脂エマルション)
〔pH調整剤〕
トリエタノールアミン
1.1.体積平均粒子径(D50)の測定方法
顔料及び無機酸化物粒子の体積平均粒子径(D50)は、大塚電子株式会社製の「ゼータ電位・粒径・分子量測定システム ELSZ2000ZS」を用いて、体積基準の粒子径の累積分布において小粒径からの積算値が全体の50%に達したときの粒子径を測定することにより求めた。
2.評価方法
2.1.発色性の評価
セイコーエプソン社製PX-S840(シリアルインクジェットプリンタ)のインクカートリッジに、上記のようにして調製したインク組成物を充填し、インク付着量4mg/inch2でテストパターンを記録媒体(A4サイズのXerox P紙、富士ゼロックス社製コピー用紙、坪量64g/m2、紙厚88μm)に記録した。
得られた記録物のテストパターンのOD値を、測色機(Xrite i1,Xrite社製)を用いて測定し、下記評価基準により発色性を評価した。
〔評価基準〕
A:OD値が1.4以上である
B:OD値が1.4未満である
2.2.耐濡れ摩擦性の評価
発色性評価と同様の条件で、印刷範囲204mm×291mmのベタパターンを記録媒体に記録した。印刷直後に、記録媒体を水平に設置された平らな面に固定し、その上から印刷物の印刷面に、印刷のされていない同種の記録媒体を印刷直後に重ね、さらに50gのおもりを載せて、当該平らな面を傾けてベタパターンの印字面と、その上に重ねた記録媒体が滑り出した傾きの角度を測定し、濡れ摩擦性を評価した。ここで、滑り出した角度が小さい程、濡れ摩擦が小さいものとした。
〔評価基準〕
A:滑り出した角度が37°未満である
B:滑り出した角度が37°以上44°未満である
C:滑り出した角度が44°以上である
2.3.耐摩擦性の評価
発色性評価と同様の条件で、印刷範囲20mm×20mmのベタパターンを記録媒体に記録した。印刷直後に、記録媒体を水平に設置された平らな面に固定し、その上から印刷物の印刷面に、プッシュプルゲージを使用し3.3Nの荷重をかけながらベンコットンを巻き付けたプッシュプルゲージ先端(直径1cm)でベタパターンを擦った。その後、目視にてベタパターンに削れが生じているかどうかを判断し、下記評価基準にて耐摩擦性を評価した。
ここで、以下評価基準において「削れる」とは、目視により、記録物から30cmほど離れて見た際に、記録媒体の下地が見える程度にインク組成物が記録媒体表面から削り取られていることをいう。
〔評価基準〕
A:2回擦りで削れは認められない
B:1回擦りで削れは認められないが、2回擦りで削れが認められる
C:1回擦りで削れが認められる
2.4.目詰まり回復性の評価
セイコーエプソン社製PX-S840(シリアルインクジェットプリンタ)のインクカートリッジにインク組成物を充填し、全ノズルよりインクが吐出できることを確認した。その後、インクジェットヘッドがプリンタに備えられたキャップの位置からずれており、ヘッドにキャップがされていない状態で、40℃湿度20%の環境下で7日間放置した。
放置後、インクジェットヘッドのクリーニングとして、ノズル内のインクの吸引動作を1回行うごとに、インクが吐出できないノズルの本数をカウントし、すべてのノズルが回復するまでクリーニング動作を繰り返した。そして、すべてのノズルが回復した時のクリーニング回数に基づいて、下記評価基準により目詰まり回復性を評価した。その結果を、表1に示す。
〔評価基準〕
A:クリーニング回数1回で全てのノズルが回復した
B:クリーニング回数2回又は3回で全てのノズルが回復した
C:クリーニング回数4回又は5回で全てのノズルが回復した
D:クリーニング回数6回でも全てのノズルが回復しない
2.5.カール評価
セイコーエプソン社製PX-S840(シリアルインクジェットプリンタ)のインクカートリッジにインク組成物を充填し、記録媒体(A4サイズのXerox P紙、富士ゼロックス社製コピー用紙、坪量64g/m2、紙厚88μm)に対して、温度25℃、湿度50%の環境下において、Duty:100%(記録媒体表面がインクで丁度完全に埋まるインク付着量)でベタパターンを印刷した。そして、印刷後フェイスアップで1週間放置した際の、用紙端の床面からの浮き上がり量を測定した。得られた浮き上がり量から下記評価基準に基づいてカールを評価した。
〔評価基準〕
A:浮き上がり量が3mm以下
B:浮き上がり量が3mm超7mm以下
C:浮き上がり量が7mm超
3.評価結果
表1に、各例で用いたインクの組成、並びに評価結果を示した。表1から、実施例1~6と比較例1~3との対比によれば、色材と、体積平均粒子径A(D50)が、100nm以下である無機酸化物粒子と、非環状アミド化合物を含むインクジェットインク組成物を用いた場合には、得られる記録物のカールがより抑制され、比較的小さな無機酸化物粒子を含むインク組成物であっても目詰まり回復性に優れることがわかる。
実施例1~6と比較例3との対比によれば、インク組成物が無機酸化物粒子を含まない場合には、カールは発生してしまうものの目詰まり回復性の課題が生じないことが分かる。また、実施例1~6と比較例1~2との対比によれば、インク組成物が無機酸化物粒子と非環状アミド化合物を併用することで、カールを抑制しつつ、目詰まり回復性が向上することが分かる。
また、実施例1と実施例3との対比によれば、インク組成物が環状アミド化合物をさらに含む場合に、目詰まり回復性に一層優れることがわかる。
実施例1~6との対比によれば、色材の体積平均粒子径B(D50)と前記無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)の比(A/B)が比較的小さいことにより、高い発色性を維持しつつ目詰まり回復性及びカール評価に優れる傾向にあることがわかる。
なお、体積平均粒子径(D50)が100nmよりも大きい無機酸化物粒子を用いた例についても確認をした。具体的には、コロイダルシリカ(日揮触媒化成製、カタロイドSI-45P)に代えて、体積平均粒子径(D50)が200nmのシリカ(スノーテックスMP-2040(日産化学)を用いたこと以外は、実施例1と同様の組成でインク組成物を調製し、これを用いて、発色性評価を行った。その結果、記録部分が白っぽくなることが確認され、ブラックインクとして好ましいものではないことが分かった。
10記録装置、11搬送経路、12給送部、14搬送部、16ベルト搬送部、18記録部、20Fd排出部、22Fd載置部、24反転経路部、26Fu排出部、28Fu載置部、30給送トレイ、32給送ローラー、34搬送駆動ローラー、36搬送従動ローラー、38第1ローラー、40第2ローラー、42無端ベルト、42a無端ベルトの上側区間、44支持体、46ヘッドホルダー、48インクジェットヘッド、50第1分岐部、52反転経路、54第2分岐部、56排出ローラー対、64排出駆動ローラー、68駆動軸、76載置面、78凸状部、80第1付勢部材、82第2付勢部材、84、86支持軸、P記録媒体

Claims (12)

  1. 色材と、無機酸化物粒子と、非環状アミド化合物とを含み、
    前記無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)が、100nm以下である、
    インクジェットインク組成物。
  2. 前記非環状アミド化合物が、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含む、
    請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
    Figure 2023079272000003
    (式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)
  3. 環状アミド化合物を含む、
    請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 前記環状アミド化合物が、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-2-オンを含む、
    請求項3に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記非環状アミド化合物の含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して0.5~10質量%である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記無機酸化物粒子の含有量が、前記インクジェットインク組成物の総量に対して0.1~15質量%である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 前記無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)が、10~70nmである、
    請求項1~6のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  8. 前記色材は顔料であり、
    前記顔料の体積平均粒子径B(D50)と前記無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)の比(A/B)が、0.1~1.6である、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  9. 前記顔料の体積平均粒子径B(D50)と前記無機酸化物粒子の体積平均粒子径A(D50)の比(A/B)が、0.1~1.0である、
    請求項8に記載インクジェットインク組成物。
  10. 前記無機酸化物粒子が、シリカ粒子を含む、
    請求項1~9のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  11. 水系インクである、
    請求項1~10のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク付着工程を含む、
    記録方法。
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