JP2023075991A - 固体酸化物型燃料電池およびその製造方法 - Google Patents

固体酸化物型燃料電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 クラック発生を抑制しつつ高い発電特性を実現する電解質層を有する固体酸化物型燃料電池およびその製造方法を提供する。【解決手段】 固体酸化物型燃料電池は、アノードと、前記アノード上に設けられ、イオン伝導性セラミックスを材料とする固体電解質層と、を備え、前記固体電解質層は、1μm以上、10μm未満の厚みを有し、前記固体電解質層の断面の9割以上の領域において、厚み方向のセラミックス粒子の粒子数の平均値は、2個以上、6個以下である。【選択図】 図3

Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池およびその製造方法に関する。
固体酸化物型燃料電池は、発電効率が高く、近年CO削減技術として注目されている(例えば、特許文献1~3参照)。
特開2020-218759号公報 特開平6-283178号公報 特開2017-195193号公報
発電性能を向上させるために、固体酸化物型燃料電池の内部抵抗を抑える必要がある。様々な内部抵抗の中で、オーム抵抗は主に電解質層の厚みに依存する。したがって、電解質層が薄いほど、オーム抵抗が抑えられ、より高い発電特性の実現が可能になる。しかしながら、電解質層は、薄くなると、焼成する際にクラックが発生し、発電する際にガス漏れによって、発電できなくなる課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、クラック発生を抑制しつつ高い発電特性を実現する電解質層を有する固体酸化物型燃料電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る固体酸化物型燃料電池は、アノードと、前記アノード上に設けられ、イオン伝導性セラミックスを材料とする固体電解質層と、を備え、前記固体電解質層は、1μm以上、10μm未満の厚みを有し、前記固体電解質層の断面の9割以上の領域において、厚み方向のセラミックス粒子の粒子数の平均値は、2個以上、6個以下である。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記固体電解質層の緻密度は、90%以上であってもよい。
上記固体酸化物型燃料電池の前記固体電解質層において、セラミックス粒子の平均粒径は、1μm以上、8μm以下であってもよい。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記アノードの多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径は、前記固体電解質層におけるセラミックス粒子の平均粒径の1/100以上、1/5以下であってもよい。
上記固体酸化物型燃料電池にいて、前記アノードの前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属材料とセラミックス材料とが混合された構造の混合層を備え、前記固体電解質層のセラミックス粒子の平均粒径、前記アノードの多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径、および前記混合層の多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径は、前記固体電解質層>前記混合層>前記アノードの関係を満たしてもよい。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記アノードは、イオン電導性セラミックス材料、イオン電子混合伝導性セラミックス材料、電子伝導性セラミックス材料の中から、少なくとも1種類を含んでいてもよい。
上記固体酸化物型燃料電池において、前記混合層は、イオン電導性セラミックス材料、イオン電子混合伝導性セラミックス材料、電子伝導性セラミックス材料の中から、少なくとも1種類を含んでいてもよい。
本発明に係る固体酸化物型燃料電池の製造方法は、酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物材料粉末を含む電解質グリーンシートの一方の面に、アノード用材料が積層された積層体を焼成する焼成工程を含み、前記焼成工程において、1回目の焼成を行なって前記固体酸化物材料粉末を緻密化させて固体電解質層を得て、その後に前記1回目の焼成よりも還元性の高い雰囲気で2回目の焼成を行なうことで前記固体電解質層のセラミックス粒子を粒成長させることで、前記固体電解質層の厚みを1μm以上、10μm未満とし、断面の9割以上の領域において、厚み方向のセラミックス粒子の粒子数の平均値を2個以上、6個以下とする。
本発明によれば、クラック発生を抑制しつつ高い発電特性を実現する電解質層を有する固体酸化物型燃料電池およびその製造方法を提供することができる。
固体酸化物型の燃料電池の積層構造を例示する模式的断面図である。 第1支持体、第1混合層、アノード、カソード、第2混合層、および第2支持体の詳細を例示する拡大断面図である。 (a)は固体電解質層の厚みの測定手法を例示する図であり、(b)は固体電解質層の平均粒子数および平均粒径の測定手法を例示する図である。 燃料電池の製造方法のフローを例示する図である。 燃料電池の他の構造を例示する図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る固体酸化物型の燃料電池100の積層構造を例示する模式的断面図である。図1で例示するように、燃料電池100は、固体電解質層40の第1面(下面)にアノード30を備え、アノード30の固体電解質層40と反対側の面に第1混合層20を備え、第1混合層20の固体電解質層40と反対側の面に第1支持体10を備え、固体電解質層40の第2面(上面)にカソード50を備え、カソード50の固体電解質層40と反対側の面に第2混合層60を備え、第2混合層60の固体電解質層40と反対側の面に第2支持体70を備える構造を有している。複数の燃料電池100を積層させて、燃料電池スタックを構成してもよい。
固体電解質層40は、酸化物イオン伝導性を有するセラミックスを材料とし、ガス不透過性を有する緻密な固体層である。酸化物イオン伝導性セラミックスとして、スカンジア・イットリア安定化酸化ジルコニウム(ScYSZ)などを用いることが好ましい。Y+Scの濃度は6mol%~15mol%の間で酸化物イオン伝導性が最も高く、この組成の材料を用いることが望ましい。その他、酸化物イオン伝導性セラミックとして、Zr系材料、CeO系材料、イットリア安定化酸化ジルコニウム(YSZ)、スカンジア安定化酸化ジルコニウム(ScSZ)、ガドリニアドープドセリア(GDC)、サマリアドープドセリア(SDC)などを用いることができる。
図2は、第1支持体10、第1混合層20、アノード30、カソード50、第2混合層60、および第2支持体70の詳細を例示する拡大断面図である。
第1支持体10は、ガス透過性を有するとともに、第1混合層20、アノード30、固体電解質層40、カソード50および第2混合層60を支持可能な部材である。第1支持体10は、金属多孔体であり、例えば、Fe-Cr合金の多孔体などである。
アノード30は、アノードとしての電極活性を有する電極であり、セラミックス材料の多孔体(電極骨格)を有する。多孔体には、金属成分が含まれていない。この構成では、高温還元雰囲気での焼成時に、金属成分の粗大化によるアノードの空隙率の低下が抑制される。また、第1支持体10の金属成分との合金化が抑制され、触媒機能低下が抑制される。
アノード30の多孔体は、電子伝導性および酸化物イオン伝導性を有している。アノード30の多孔体は、電子伝導性セラミックス31を含有している。電子伝導性セラミックス31として、例えば、組成式がABOで表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTi、Crから選ばれる少なくとも1種であるペロブスカイト型酸化物を用いることができる。AサイトとBサイトのモル比は、B≧Aであってもよい。具体的には、電子伝導性セラミックス31として、LaCrO系材料、SrTiO系材料などを用いることができる。
また、アノード30の多孔体は、酸化物イオン伝導性セラミックス32を含有している。酸化物イオン伝導性セラミックス32は、ScYSZなどである。例えば、スカンジア(Sc)が5mol%~16mol%で、イットリア(Y)が1mol%~3mol%の組成範囲を有するScYSZを用いることが好ましい。スカンジアとイットリアの添加量が合わせて6mol%~15mol%となるScYSZがさらに好ましい。この組成範囲で、酸化物イオン伝導性が最も高くなるからである。なお、酸化物イオン伝導性セラミックス32は、例えば、酸化物イオンの輸率が99%以上の材料である。酸化物イオン伝導性セラミックス32として、Zr系材料、CeO系材料、GDCなどを用いてもよい。図2の例では、酸化物イオン伝導性セラミックス32として、固体電解質層40に含まれる固体酸化物と同じ固体酸化物を用いている。
図2で例示するように、アノード30において、例えば、電子伝導性セラミックス31と酸化物イオン伝導性セラミックス32とが多孔体を形成している。この多孔体によって、複数の空隙が形成される。空隙部分の多孔体の表面には、アノード触媒が担持されている。したがって、空間的に連続して形成されている多孔体において、複数のアノード触媒が空間的に分散して配置されている。アノード触媒として、複合触媒を用いることが好ましい。例えば、複合触媒として、酸化物イオン伝導性セラミックス33と、触媒金属34とが、多孔体の表面に担持されていることが好ましい。酸化物イオン伝導性セラミックス33として、例えば、YがドープされたBaCe1-xZr(BCZY、x=0~1)、YがドープされたSrCe1-xZr(SCZY、x=0~1)、SrがドープされたLaScO(LSS)、GDCなどを用いることができる。触媒金属34として、Niなどを用いることができる。酸化物イオン伝導性セラミックス33は、酸化物イオン伝導性セラミックス32と同じ組成を有していてもよいが、異なる組成を有していてもよい。なお、触媒金属34として機能する金属は、未発電時には化合物の形態をとっていてもよい。例えば、Niは、NiO(酸化ニッケル)の形態をとっていてもよい。これらの化合物は、発電時には、アノード30に供給される還元性の燃料ガスによって還元され、アノード触媒として機能する金属の形態をとるようになる。例えば、アノード触媒のD50%粒径は、10nm以上、1μm以下である。
第1混合層20は、金属材料21とセラミックス材料22とを含有する。第1混合層20において、金属材料21とセラミックス材料22とがランダムに混合されている。したがって、金属材料21の層とセラミックス材料22の層とが積層されたような構造が形成されているわけではない。第1混合層20においても、複数の空隙が形成されている。金属材料21は、金属であれば特に限定されるものではない。図2の例では、金属材料21として、第1支持体10と同じ金属材料が用いられている。セラミックス材料22として、電子伝導性セラミックス31、酸化物イオン伝導性セラミックス32などを用いることができる。例えば、セラミックス材料22として、ScYSZ、GDC、SrTiO系材料、LaCrO系材料などを用いることができる。SrTiO系材料およびLaCrO系材料は高い電子伝導性を有するため、第1混合層20におけるオーム抵抗を小さくすることができる。
図2で例示するように、第1混合層20において、例えば、金属材料21とセラミックス材料22とが多孔体を形成している。この多孔体によって、複数の空隙が形成される。空隙部分の多孔体の表面には、複数の改質触媒が担持されている。改質触媒として、複合触媒を用いることが好ましい。例えば、複合触媒として、酸化物イオン伝導性セラミックス23と、触媒金属24とが、多孔体の表面に担持されている。したがって、金属材料21およびセラミックス材料22によって空間的に連続して形成されている多孔体において、複数の酸化物イオン伝導性セラミックス23および触媒金属24が空間的に分散して配置されている。改質触媒は、炭化水素ガスを水素ガスに改質することができるものであれば特に限定されるものではない。触媒金属24と酸化物イオン伝導性セラミックス23との組み合わせとして、例えば、NiとGDCとの組み合わせ、NiとScYSZとの組み合わせ、NiとSDC(サマリアドープドセリア)との組み合わせなどを用いることができる。Niは、NiO(酸化ニッケル)の形態をとっていてもよい。これらの化合物は、発電時には、アノード30に供給される還元性の燃料ガスによって還元され、改質触媒として機能する金属の形態をとるようになる。酸化物イオン伝導性セラミックス23は、酸化物イオン伝導性セラミックス33と同じ材料とすることが好ましい。触媒金属24は、触媒金属34と同じ材料とすることが好ましい。
カソード50は、カソードとしての電極活性を有する電極であり、セラミックス材料の多孔体(電極骨格)を有する。多孔体には、金属成分が含まれていない。カソード50の多孔体は、電子伝導性および酸化物イオン伝導性を有している。カソード50は、電子伝導性セラミックス51を含有している。電子伝導性セラミックス51として、例えば、組成式がABOで表されるペロブスカイト型酸化物であって、AサイトがCa、Sr、Ba、Laの群から選ばれる少なくとも1種であり、BサイトがTi、Crから選ばれる少なくとも1種であるペロブスカイト型酸化物を用いることができる。AサイトとBサイトのモル比は、B≧Aであってもよい。具体的には、電子伝導性セラミックス51として、LaCrO系材料、SrTiO系材料などを用いることができる。電子伝導性セラミックス51は、電子伝導性セラミックス31と同じ成分を含んでいることが好ましく、同じ組成比率を有していることが好ましい。
また、カソード50の多孔体は、酸化物イオン伝導性セラミックス52を含有している。酸化物イオン伝導性セラミックス52は、ScYSZなどである。例えば、スカンジア(Sc)が5mol%~16mol%で、イットリア(Y)が1mol%~3mol%の組成範囲を有するScYSZを用いることが好ましい。スカンジアとイットリアの添加量が合わせて6mol%~15mol%となるScYSZがさらに好ましい。この組成範囲で、酸化物イオン伝導性が最も高くなるからである。なお、酸化物イオン伝導性セラミックス52は、例えば、酸化物イオンの輸率が99%以上の材料である。酸化物イオン伝導性セラミックス52として、Zr系材料、CeO系材料、GDCなどを用いてもよい。酸化物イオン伝導性セラミックス52は、酸化物イオン伝導性セラミックス32と同じ成分を含んでいることが好ましく、同じ組成比率を有していることが好ましい。図2の例では、酸化物イオン伝導性セラミックス52として、固体電解質層40に含まれる固体酸化物と同じ固体酸化物を用いている。
図2で例示するように、カソード50において、例えば、電子伝導性セラミックス51と酸化物イオン伝導性セラミックス52とが多孔体を形成している。この多孔体によって、複数の空隙が形成される。空隙部分の多孔体の表面には、カソード触媒53が担持されている。したがって、空間的に連続して形成されている多孔体において、複数のカソード触媒53が空間的に分散して配置されている。カソード触媒53として、酸化プラセオジム(PrO)、LSM(ランタンストロンチウムマンガナイト)、LSC(ランタンストロンチウムコバルタイト)などを用いることができる。LSMは、SrドープしたLaMnO系材料である。LSMは、SrドープしたLaCoO系材料である。
第2混合層60は、金属材料61とセラミックス材料62とを含有する。第2混合層60において、金属材料61とセラミックス材料62とがランダムに混合されている。したがって、金属材料61の層とセラミックス材料62の層とが積層されたような構造が形成されているわけではない。第2混合層60においても、複数の空隙が形成されている。金属材料61は、金属であれば特に限定されるものではない。図2の例では、金属材料61として、第2支持体70と同じ金属材料が用いられている。セラミックス材料62として、電子伝導性セラミックス51、酸化物イオン伝導性セラミックス52などを用いることができる。例えば、セラミックス材料62として、ScYSZ、GDC、SrTiO系材料、LaCrO系材料などを用いることができる。SrTiO系材料およびLaCrO系材料は高い電子伝導性を有するため、第2混合層60におけるオーム抵抗を小さくすることができる。
第2支持体70は、ガス透過性を有するとともに、第2混合層60、カソード50、固体電解質層40、アノード30、および第1混合層20を支持可能な部材である。第2支持体70は、金属多孔体であり、例えば、Fe-Cr合金の多孔体などである。
燃料電池100は、以下の作用によって発電する。第2支持体70には、空気などの、酸素を含有する酸化剤ガスが供給される。酸化剤ガスは、第2支持体70および第2混合層60を介してカソード50に到達する。カソード50においては、カソード50に到達した酸素と、外部電気回路から供給される電子とが反応して酸化物イオンになる。酸化物イオンは、固体電解質層40を伝導してアノード30側に移動する。
一方、第1支持体10には、炭化水素ガス、水蒸気などを含有する燃料ガスが供給される。燃料ガスは、第1支持体10の空隙を介して第1混合層20に到達する。燃料ガスは、第1混合層20の改質触媒23の触媒作用により、水素ガスを含む改質ガスに改質される。改質反応は、例えば、下記式で表すことができる。
2CH + 2HO → CO + 6H + CO
改質ガスは、第1混合層20の空隙を介してアノード30に到達する。アノード30に到達した水素は、アノード30において電子を放出するとともに、カソード50側から固体電解質層40を伝導してくる酸化物イオンと反応して水(HO)になる。放出された電子は、外部電気回路によって外部に取り出される。外部に取り出された電子は、電気的な仕事をした後に、カソード50に供給される。以上の作用によって、発電が行われる。
以上の発電反応において、触媒金属24は、改質反応の触媒として機能する。触媒金属34は、水素と酸化物イオンとの反応における触媒として機能する。電子伝導性セラミックス31は、水素と酸化物イオンとの反応によって得られる電子の伝導を担う。酸化物イオン伝導性セラミックス32は、固体電解質層40からアノード30に到達した酸化物イオンの伝導を担う。カソード触媒53は、酸素ガスと電子とから酸化物イオンが生成される反応における触媒として機能する。電子伝導性セラミックス51は、外部電気回路からの電子の伝導を担う。酸化物イオン伝導性セラミックス52は、固体電解質層40への酸化物イオンの伝導を担う。
燃料電池100の発電性能を向上させるために、燃料電池100の内部抵抗を抑えることが望まれる。様々な内部抵抗の中で、オーム抵抗は主に固体電解質層40の厚みに依存する。固体電解質層40は、薄いほどオーム抵抗が抑えられる。この場合、より高い発電特性の実現が可能になる。しかしながら、固体電解質層40は薄くなると、焼成する際にクラックが発生し、発電する際にガス漏れによって、発電できなくなる課題がある。
そこで、本実施形態に係る燃料電池100においては、固体電解質層40は、クラック発生を抑制しつつ高い発電特性を実現する構成を有している。
まず、固体電解質層40は、シングルμmの厚みを有している。シングルμmとは、1桁μm以上、2桁μm未満のことであるため、1μm以上、10μm未満のことを意味する。固体電解質層40がシングルμm以下の厚みを有していることで、固体電解質層40が薄くなり、固体電解質層40のオーム抵抗が小さくなる。それにより、高い発電特性が実現される。なお、固体電解質層40の厚みは、SEMを用い、セルの断面を観察し、電解質表面からアノード界面(図3(a)を例にすると、アノード空隙までの距離)までの垂直距離を10か所以上計測し、平均した値と定義することができる。
固体電解質層40のオーム抵抗を小さくする観点から、固体電解質層40の厚みは、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。一方、固体電解質層40の両側のガスが漏れないように製造するためには、固体電解質層40の厚みは、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましく、6μm以上であることがさらに好ましい。
次に、固体電解質層40において、厚み方向におけるセラミックス粒子の粒子数に下限を設けている。それにより、厚み方向の途中に粒界が存在するようになり、焼成時のクラックの発生が抑制される。具体的には、固体電解質層40の断面の9割以上の領域において、厚み方向のセラミックス粒子の粒子数の平均値は、2個以上であり、3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましい。
次に、固体電解質層40において、厚み方向におけるセラミックス粒子の粒子数に上限を設けている。それにより、粒界の数が抑えられ、セラミックス粒子間の粒界抵抗が抑制される。その結果、高い発電特性が実現される。具体的には、固体電解質層40の断面の9割以上の領域において、厚み方向のセラミックス粒子の粒子数の平均値は、6個以下であり、5.5個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。
固体電解質層40において、セラミックス粒子の平均粒径が小さいと、電解質抵抗が増大するおそれがある。そこで、固体電解質層40において、セラミックス粒子の平均粒径に下限を設けることが好ましい。本実施形態においては、固体電解質層40において、セラミックス粒子の平均粒径は、1μm以上であることが好ましく、1.5μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。
固体電解質層40において、セラミックス粒子の平均粒径が大きいと、粒子間の密着性が低下し、クラックが多数生じることとセルが割れるおそれがある。そこで、固体電解質層40において、セラミックス粒子の平均粒径に上限を設けることが好ましい。本実施形態においては、固体電解質層40において、セラミックス粒子の平均粒径は、8μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
なお、固体電解質層40において、セラミックス粒子41の平均粒子数および平均粒径は、以下のように測定することができる。具体的には、図3(b)で例示するように、固体電解質層40の断面のTEMサンプルを作製し、10000倍の倍率で観察を行なう。等間隔L1(例えば、1μmとする)で電解質表面と垂直方向に線を引き、線にぶつかったセラミックス粒子41の個数をカウントする。最後に、視野内に引いた線とぶつかったセラミックス粒子41の数を合わせ、線の本数を割り算し、得られた値は平均粒子数と定義することができる。また、引いた線とセラミックス粒子41とぶつかった点の距離、例えば、D1、D2、D3・・・・Dnを計測し、平均した値を平均粒径と定義することができる。
なお、固体電解質層40の緻密度が低いと、アノード側とカソード側のガスがリークし、起電力が低下することで、発電ができなくなるおそれがある。そこで、固体電解質層40の緻密度に下限を設けることが好ましい。本実施形態においては、固体電解質層40の緻密度は、90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。固体電解質層40の緻密度は、SEMあるいはTEMを用い、5か所以上の固体電解質層40の断面を観察し、画像処理を行い、空隙部と緻密部の面積を求め、(緻密部面積)/(緻密部面積+空隙部面積)の計算式で測定することができる。
なお、アノード30の多孔体を形成するセラミックス粒子の粒径が小さいほど、反応場となる三相界面が多くなって電極反応抵抗を抑えられる。そこで、アノード30の多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径に上限を設けることが好ましい。本実施形態においては、アノード30の多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径は、固体電解質層40のセラミックス粒子の平均粒径の1/5以下であることが好ましく、1/7以下であることがより好ましく、1/10以下であることがさらに好ましい。なお、アノード30の多孔体を構成するセラミックス粒子とは、電子伝導性セラミックス31および酸化物イオン伝導性セラミックス32のことである。
一方、アノード30の多孔体を形成するセラミックス粒子の粒径が小さすぎると、構造が崩れやすく、アノード30にひび割れが発生するおそれがある。そこで、アノード30の多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径に下限を設けることが好ましい。本実施形態においては、アノード30の多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径は、固体電解質層40のセラミックス粒子の平均粒径の1/100以上であることが好ましく、1/50以上であることがより好ましく、1/20以上であることがさらに好ましい。
固体電解質層40のセラミックス粒子の平均粒径、アノード30の多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径、および第1混合層20の多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径は、固体電解質層40>第1混合層20>アノード30の関係を満たすことが好ましい。第1混合層20の多孔体を形成するセラミックス粒子の粒径がアノード30の多孔体を形成するセラミックス粒子の粒径より大きいことによって、外部からの衝撃を耐えられ、構造の安定性をもたらせることができる。一方、第1混合層20の多孔体を形成するセラミックス粒子の粒径が固体電解質層40のセラミックス粒子の粒径より小さいことによって、空隙率を高めることができ、燃料ガスが拡散しやすく、反応抵抗を抑えられるようになる。なお、第1混合層20の多孔体を構成するセラミックス粒子とは、セラミックス材料22のことである。
以下、燃料電池100の製造方法について説明する。図4は、燃料電池100の製造方法のフローを例示する図である。
(第1支持体用材料および第2支持体用材料の作製工程)
支持体用材料として、金属粉末(例えば、粒径が10μm~100μm)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、消失材(有機物)、バインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。支持体用材料は、支持体を形成するための材料として用いる。有機成分(消失材、バインダ固形分、可塑剤)と金属粉末との体積比は、例えば1:1~20:1の範囲とし、空隙率に応じて有機成分量を調整する。
(第1混合層用材料および第2混合層用材料の作製工程)
混合層用材料として、セラミックス材料22,62の原料であるセラミックス材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)、金属材料21,61の原料である小粒径の金属材料粉末(例えば、粒径が1μm~10μm)、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、消失材(有機物)、およびバインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。有機成分(消失材、バインダ固形分、可塑剤)と、セラミックス材料粉末および金属材料粉末と、の体積比は、例えば1:1~5:1の範囲とし、空隙率に応じて有機成分量を調整する。また、空隙の孔径は、消失材の粒径を調整することによって制御される。セラミックス材料粉末は、電子伝導性材料粉末と酸化物イオン伝導性材料粉末とを含んでいてもよい。この場合、電子伝導性材料粉末と酸化物イオン伝導性材料粉末との体積比率は、例えば、1:9~9:1の範囲とすることが好ましい。また、電子伝導性材料の代わりに電解質材料ScYSZ、GDCなどを用いても界面のはがれが無く、セルの作製が可能である。ただし、オーム抵抗を小さくする観点から、電子伝導性材料と金属粉末とを混合することが好ましい。なお、第1混合層用材料においては、小さい空隙および大きい空隙を同時に形成するために、小さい粒径の消失材と、大きい粒径の消失材を、例えば1:9~9:1の範囲で混合することが好ましい。
(アノード用材料の作製工程)
アノード用材料として、多孔体を構成するセラミックス材料粉末、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、消失材(有機物)、およびバインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。多孔体を構成するセラミックス材料粉末として、電子伝導性セラミックス31の原料である電子伝導性材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)、酸化物イオン伝導性セラミックス32の原料である酸化物イオン伝導性材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)などを用いてもよい。有機成分(消失材、バインダ固形分、可塑剤)と電子伝導性材料粉末との体積比は、例えば1:1~5:1の範囲とし、空隙率に応じて有機成分量を調整する。また、空隙の孔径は、消失材の粒径を調整することによって制御される。電子伝導性材料粉末と酸化物イオン伝導性材料粉末との体積比率は、例えば、1:9~9:1の範囲とする。
(カソード用材料の作製工程)
カソード用材料として、多孔体を構成するセラミックス材料粉末、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、消失材(有機物)、およびバインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。多孔体を構成するセラミックス材料粉末として、電子伝導性セラミックス51の原料である電子伝導性材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)、酸化物イオン伝導性セラミックス52の原料である酸化物イオン伝導性材料粉末(例えば、粒径が100nm~10μm)などを用いてもよい。有機成分(消失材、バインダ固形分、可塑剤)と電子伝導性材料粉末との体積比は、例えば1:1~5:1の範囲とし、空隙率に応じて有機成分量を調整する。また、空隙の孔径は、消失材の粒径を調整することによって制御される。電子伝導性材料粉末と酸化物イオン伝導性材料粉末との体積比率は、例えば、1:9~9:1の範囲とする。なお、アノード用材料とカソード用材料とが共通する場合には、アノード用材料をカソード用材料として用いてもよい。
(電解質層用材料の作製工程)
電解質層用材料として、酸化物イオン伝導性材料粉末(例えば、ScYSZ、YSZ、GDCなどであって、粒径がD50%=10nm~1000nm)、溶剤(トルエン、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、ターピネオール、酢酸ブチル、エタノールなどで、粘度に応じて20wt%~30wt%)、可塑剤(例えば、シートの密着性を調整するため、1wt%~6wt%まで調整)、およびバインダ(PVB、アクリル樹脂、エチルセルロースなど)を混合してスラリとする。有機成分(バインダ固形分、可塑剤)と酸化物イオン伝導性材料粉末との体積比は、例えば6:4~3:4の範囲とする。焼成後の粒径を制御するため、出発原料のセラミックスの粒径は異なる場合がある。例えば、D50%=50nmのYSZ粉末とD50%=500nmのYSZ粉末とを1:1で混合し、緻密化する過程の挙動を制御する。
(焼成工程)
まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、第1支持体用材料を塗工することで、第1支持体グリーンシートを作製する。別のPETフィルム上に、第1混合層用材料を塗工することで、第1混合層グリーンシートを作製する。別のPETフィルム上に、アノード用材料を塗工することで、アノードグリーンシートを作製する。別のPETフィルム上に、電解質層用材料を塗工することで、電解質層グリーンシートを作製する。別のPETフィルム上に、カソード用材料を塗工することで、カソードグリーンシートを作製する。別のPETフィルム上に、第2混合層用材料を塗工することで、第2混合層グリーンシートを作製する。別のPETフィルム上に、第2支持体用材料を塗工することで、第2支持体グリーンシートを作製する。例えば、第1支持体グリーンシートを複数枚、第1混合層グリーンシートを1枚、アノードグリーンシートを1枚、電解質層グリーンシートを1枚、カソードグリーンシートを1枚、第2混合層グリーンシートを1枚、第2支持体グリーンシートを複数枚の順に積層し、所定の大きさにカットする。その後、脱バインダ処理を行なった後に、2回の焼成を行なう。1回目の焼成工程では、水素濃度が低い0.1~4体積%Hを有するガスを流通した雰囲気で焼成を行なう。それにより、セラミックス粒子が比較的に小粒径の状態で緻密化が進む。この状態で焼成した固体電解質層40は、粒界が多く存在し、粒子間の密着力が強く、焼成時にクラックの生成が極力抑えられる。2回目の焼成工程は、1回目の焼成工程よりも還元性の高い雰囲気、例えば水素濃度が高い雰囲気(例えば、100%H)で焼成することによって、固体電解質層40のセラミックス粒子を粒成長させることができる。適切な焼成時間を制御することによって、電解質厚み方向は2~6粒子の構造を作ることができる。
(アノードおよび第1混合層の含浸工程)
次に、酸化物イオン伝導性セラミックス33および触媒金属34の原料を、アノード30の多孔体内に含浸させ、酸化物イオン伝導性セラミックス23および触媒金属24の原料を、第1混合層20の多孔体内に含浸させる。例えば、還元雰囲気で所定の温度で焼成するとGdドープセリアあるいはSc,YドープジルコニアとNiが生成するように、Zr、Y、Sc、Ce、Gd、Niの各硝酸塩または塩化物を水またはアルコール類(エタノール、2-プロパノール、メタノールなど)に溶かし、アノード30および第1混合層20の多孔体内に含浸、乾燥させ、熱処理を必要回数繰り返す。
(カソード含浸工程)
次に、PrOなどのカソード触媒53をカソード50の多孔体内に含浸させる。カソード触媒53としてPrOを用いる場合には、例えば、Prの硝酸塩または塩化物を水またはアルコール類(エタノール、2-プロパノール、メタノールなど)に溶かし、カソード50の多孔体内に含浸、乾燥させ、熱処理を必要回数繰り返す。カソード触媒53としてLSMを用いる場合には、例えば、Srの硝酸塩または塩化物、Laの硝酸塩または塩化物、Mnの硝酸塩または塩化物を水またはアルコール類(エタノール、2-プロパノール、メタノールなど)に溶かし、ハーフセルを含浸、乾燥させ、熱処理を必要回数繰り返す。カソード触媒53としてLSCを用いる場合には、例えば、Srの硝酸塩または塩化物、Laの硝酸塩または塩化物、Coの硝酸塩または塩化物を水またはアルコール類(エタノール、2-プロパノール、メタノールなど)に溶かし、ハーフセルを含浸、乾燥させ、熱処理を必要回数繰り返す。
なお、上記実施形態では、アノード30とカソード50とを同時に焼成しているが、それに限られない。例えば、第1支持体10、第1混合層20、アノード30、および固体電解質層40を焼成した後に、カソード50を形成してもよい。
また、上記実施形態では、燃料電池100は、積層構造の一部に金属部材(第1支持体10および第2支持体70)を備えているが、積層構造の各層がセラミックスを主成分とする構造を有していてもよい。例えば、図5で例示するように、燃料電池100は、セラミックス材料で積層した構造を有していてもよい。図5の例では、一例として、NiOの支持体層110上に、NiOおよびScYSZを含むアノード層120が形成され、アノード層120上に、ScYSZを含む固体電解質層130が形成され、固体電解質層130上に、GDCを含む反応防止層140が形成され、反応防止層140上にLSCを含むカソード層150が形成されていてもよい。この固体電解質層130が、1μm以上、10μm未満の厚みを有し、断面の9割以上の領域において厚み方向のセラミックス粒子の粒子数の平均値が2個以上、6個以下となっている。
上記実施形態に係る製造方法に従って、燃料電池を作製した。
(実施例1)
電解質層用材料の酸化物イオン伝導性材料粉末として、ScYSZを用いた。酸化物イオン伝導性材料粉末のD50%粒径は、100nmとした。溶剤、可塑剤、およびバインダを混合してスラリとした。厚み5μmの電解質層グリーンシート、アノードグリーンシート、混合層グリーンシート、支持体グリーンシートを積層したハーフセルに対し、脱バインダ処理を行い、1回目の焼成工程は、1体積%H-Arの雰囲気下で行ない、固体電解質層を緻密化させた。その後、2回目の焼成工程では、100%Hの雰囲気下で焼成を行い、粒成長をさせた。TEMにて断面を確認したところ、固体電解質層の厚みは4μmとなり、9割以上の箇所は厚み方向に2~3個のセラミックス粒子が存在し、セラミックス粒子の平均数は2.6であった。固体電解質層にクラックは発生していなかった。発電評価を行ない、インピーダンス測定で分離したオーム抵抗は0.20Ω・cmであった。OCVは、1.1Vであった。なお、固体電解質層におけるセラミックス粒子の平均粒径は2.3μmであり、アノードにおけるセラミックス粒子の平均粒径は0.25μmであり、混合層におけるセラミックス粒子の平均粒径は1.8μmであった。固体電解質層における緻密度は、95%であった。
(実施例2)
厚み5μmの電解質グリーンシートを2枚重ね、アノードグリーンシート、混合層グリーンシート、支持体グリーンシートを積層したハーフセルに対し、脱バインダ処理を行い、1回目の焼成工程は、1体積%H-Arの雰囲気下で行ない、固体電解質層を緻密化させた。その後、2回目の焼成工程では、焼成条件をコントロールし。実施例1よりさらに粒成長させた。TEMにて断面を確認したところ、固体電解質層の厚みは8μmとなり、9割以上の箇所は厚み方向に2~3個のセラミックス粒子が存在した。セラミックス粒子の平均数は、2.7であった。固体電解質層にクラックは発生していなかった。発電評価を行ない、インピーダンス測定で分離したオーム抵抗は0.32Ω・cmであった。OCVは、1.1Vであった。なお、固体電解質層におけるセラミックス粒子の平均粒径は4.2μmであり、アノードにおけるセラミックス粒子の平均粒径は0.30μmであり、混合層におけるセラミックス粒子の平均粒径は2.1μmであった。固体電解質層における緻密度は、95%であった。実施例1と比較し、固体電解質層の厚みは2倍程度であり、オーム抵抗は増加した。しかしながら、厚み方向のセラミックス粒子数は同程度であり、粒界抵抗は同じであり、オーム抵抗の増大は主に粒成長による粒内抵抗の増大であると考えられる。以上のことで、オーム抵抗の増大は2倍未満であった。
(実施例3)
厚み5μmの電解質グリーンシートを2枚重ね、アノードグリーンシート、混合層グリーンシート、支持体グリーンシートを積層したハーフセルに対し、脱バインダ処理を行い、実施例1と同様に、1回目の焼成工程は、1体積%H-Arの雰囲気下で行ない、固体電解質層を緻密化させた。その後、2回目の焼成工程では、100%Hの雰囲気下で焼成を行い、粒成長をさせた。TEMにて断面を確認したところ、固体電解質層の厚みは8μmとなり、9割以上の箇所は厚み方向に3~6個のセラミックス粒子が存在した。セラミックス粒子の平均数は、5.5であった。固体電解質層にクラックは発生していなかった。発電評価を行い、インピーダンス測定で分離したオーム抵抗は0.40Ω・cmであった。OCVは、1.1Vであった。なお、固体電解質層におけるセラミックス粒子の平均粒径は2.3μmであり、アノードにおけるセラミックス粒子の平均粒径は0.25μmであり、混合層におけるセラミックス粒子の平均粒径は1.8μmであった。固体電解質層における緻密度は、95%であった。実施例1と比較し、セラミックス粒子の大きさは同じであることから、粒界抵抗と粒内抵抗は両方とも2倍程度となった。以上のことで、オーム抵抗の増大は2倍程度となり、実施例2より増大量が大きかった。
(比較例1)
厚み5μmの電解質層グリーンシート、アノードグリーンシート、混合層グリーンシート、支持体グリーンシートを積層したハーフセルに対し、脱バインダ処理を行い、焼成工程は、1体積%H-Arの雰囲気下でのみ行った。TEMにて断面を確認したところ、固体電解質層の厚みは4μmとなり、9割以上の箇所は厚み方向に10~20個のセラミックス粒子が存在した。セラミックス粒子の平均数は、15.7であった。2回目の粒成長焼成を行わなかったため、粒成長は起こらず、実施例1の1/10程度の大きさしか得られなかった。固体電解質層にクラックは発生していなかった。発電評価を行い、インピーダンス測定で分離したオーム抵抗は0.90Ω・cmであった。OCVは、1.1Vであった。なお、固体電解質層におけるセラミックス粒子の平均粒径は0.5μmであり、アノードにおけるセラミックス粒子の平均粒径は0.21μmであり、混合層におけるセラミックス粒子の平均粒径は1.5μmであった。固体電解質層における緻密度は、90%であった。実施例1と比較して、粒界は多数存在することによって、粒界抵抗は非常に大きいため、オーム抵抗は3倍以上に増大したと考えられる。
(比較例2)
厚み5μmの電解質グリーンシート、アノードグリーンシート、混合層グリーンシート、支持体グリーンシートを積層したハーフセルに対し、脱バインダ処理を行い、焼成工程を行なった。焼成条件は、実施例2の2回目の焼成工程と同じにし、粒成長させた。TEMにて断面を確認したところ、固体電解質層の厚みは4μmとなり、9割以上の箇所は厚み方向に1~2個のセラミックス粒子が存在した。また、一部の1個のセラミックス粒子しかない箇所には独立のセラミックス粒子と、隣のセラミックス粒子との間に隙間が観察された。実施例1と比較し、粒成長させる焼成時間を長くすることによって、粒成長が促進され、厚み方向はほぼ1個のセラミックス粒子しか存在しないようになった。セラミックス粒子の平均数は、1.5であった。厚み方向のセラミックス粒子数は少ないことによって、セラミックス粒子間の密着性が悪く、焼成後のハーフセル電解質表面にクラックが多数発生していた。発電評価を行ったところ、ガスリークが発生し、OCVは0.1Vしか得られなかったため、発電評価は実施できなかった。
以上の結果を表1に示す。このように、固体電解質層が1μm以上、10μm未満の厚みを有し、固体電解質層の断面の9割以上の領域において、厚み方向のセラミックス粒子の粒子数の平均値が2個以上、6個以下であることによって、クラック発生を抑制しつつ高い発電特性を実現することができた。
Figure 2023075991000002
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 第1支持体
20 第1混合層
21 金属材料
22 セラミックス材料
23 改質触媒
30 アノード
31 電子伝導性セラミックス
32 酸化物イオン伝導性セラミックス
33 酸化物イオン伝導性セラミックス
34 触媒金属
40 固体電解質層
50 カソード
51 電子伝導性セラミックス
52 酸化物イオン伝導性セラミックス
53 カソード触媒
60 第2混合層
70 第2支持体
100 燃料電池
110 支持体層
120 アノード層
130 固体電解質層
140 反応防止層
150 カソード層

Claims (8)

  1. アノードと、
    前記アノード上に設けられ、イオン伝導性セラミックスを材料とする固体電解質層と、を備え、
    前記固体電解質層は、1μm以上、10μm未満の厚みを有し、
    前記固体電解質層の断面の9割以上の領域において、厚み方向のセラミックス粒子の粒子数の平均値は、2個以上、6個以下である、固体酸化物型燃料電池。
  2. 前記固体電解質層の緻密度は、90%以上である、請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池。
  3. 前記固体電解質層において、セラミックス粒子の平均粒径は、1μm以上、8μm以下である、請求項1または請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池。
  4. 前記アノードの多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径は、前記固体電解質層におけるセラミックス粒子の平均粒径の1/100以上、1/5以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  5. 前記アノードの前記固体電解質層と反対側の面に設けられ、金属材料とセラミックス材料とが混合された構造の混合層を備え、
    前記固体電解質層のセラミックス粒子の平均粒径、前記アノードの多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径、および前記混合層の多孔体を形成するセラミックス粒子の平均粒径は、前記固体電解質層>前記混合層>前記アノードの関係を満たす、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  6. 前記アノードは、イオン電導性セラミックス材料、イオン電子混合伝導性セラミックス材料、電子伝導性セラミックス材料の中から、少なくとも1種類を含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池。
  7. 前記混合層は、イオン電導性セラミックス材料、イオン電子混合伝導性セラミックス材料、電子伝導性セラミックス材料の中から、少なくとも1種類を含む、請求項5に記載の固体酸化物型燃料電池。
  8. 酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物材料粉末を含む電解質グリーンシートの一方の面に、アノード用材料が積層された積層体を焼成する焼成工程を含み、
    前記焼成工程において、1回目の焼成を行なって前記固体酸化物材料粉末を緻密化させて固体電解質層を得て、その後に前記1回目の焼成よりも還元性の高い雰囲気で2回目の焼成を行なうことで前記固体電解質層のセラミックス粒子を粒成長させることで、前記固体電解質層の厚みを1μm以上、10μm未満とし、断面の9割以上の領域において、厚み方向のセラミックス粒子の粒子数の平均値を2個以上、6個以下とする、固体酸化物型燃料電池の製造方法。
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