JP2023075057A - 金属酸化物透明導電膜形成用組成物及びその製造方法、並びに金属酸化物透明導電膜の製造方法 - Google Patents

金属酸化物透明導電膜形成用組成物及びその製造方法、並びに金属酸化物透明導電膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属酸化物透明導電膜を製膜する際の基材温度を低温化できる、金属酸化物透明導電膜形成用組成物の提供。【解決手段】MxOy(Mは金属原子、Oは酸素原子、x、yは金属酸化物における価数を表す。)の前駆体化合物、R1-Zn-R1(R1は炭素数1~7のアルキル基)で表されるジアルキル亜鉛、及び無水有機溶媒を含有する、金属酸化物透明導電膜形成用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、金属酸化物透明導電膜形成用組成物、金属酸化物透明導電膜形成用組成物の製造方法、及び金属酸化物透明導電膜の製造方法に関する。
透明性と導電性を有する金属酸化物透明導電膜は、例えば光学デバイスにおける透明電極材料として用いられる。
金属酸化物透明導電膜の製造方法としてスパッタリング法や蒸着法が知られているが、非真空プロセスで製膜できる化学的作製法への関心も高い。
金属酸化物透明導電膜をスプレー熱分解法で製造する方法として、非特許文献1には、500℃に加熱したガラス基板上に、前駆体溶液を噴霧してフッ素ドープ酸化錫(FTO)膜を製膜した例が記載されている。
小嶋稔、他3名、「スプレー熱分解法による低抵抗FTO系薄膜の作製」、宮崎大学工学部紀要、2010年、第39号、p.57-65
非特許文献1に記載のスプレー熱分解法は、基板温度が低いと製膜性が悪く十分な導電性が得られないため、プラスチック等の耐熱温度が低い基材に適用できないという不都合がある。
本発明は、金属酸化物透明導電膜を製膜する際の基材温度を低温化できる、金属酸化物透明導電膜形成用組成物の提供を目的とする。
本発明者等は、金属酸化物透明導電膜の前駆体溶液にジアルキル亜鉛を添加すると、低温での製膜性が向上することを見出して本発明に至った。ジアルキル亜鉛は、酸化亜鉛(ZnO)膜の前駆体化合物として知られるものであるが、このように、金属酸化物透明導電膜の添加剤として機能することは驚くべき知見である。
本発明は以下の態様を有する。
[1] M(Mは金属原子、Oは酸素原子、x、yは金属酸化物における価数を表す。)の前駆体化合物、下記式(1)で表されるジアルキル亜鉛、及び無水有機溶媒を含有する、金属酸化物透明導電膜形成用組成物。
-Zn-R …(1)
(式中、Rは炭素数1~7のアルキル基である。)
[2]前記[1]の金属酸化物透明導電膜形成用組成物であって、前記金属酸化物透明導電膜形成用組成物中に存在するMとZnとのモル比を表すM:Znが100:0.1~100:60である、金属酸化物透明導電膜形成用組成物。
[3]さらに、ドーパント化合物を含有する、[1]又は[2]の金属酸化物透明導電膜形成用組成物。
[4]M(Mは金属原子、Oは酸素原子、x、yは金属酸化物における価数を表す。)の前駆体化合物及び第1の無水有機溶媒を含む第1の液と、下記式(1)で表されるジアルキル亜鉛及び第2の無水有機溶媒を含む第2の液とを、混合する工程を有する、金属酸化物透明導電膜形成用組成物の製造方法。
-Zn-R …(1)
(式中、Rは炭素数1~7のアルキル基である。)
[5]前記[1]~[3]のいずれかの金属酸化物透明導電膜形成用組成物を基材に塗布する塗布工程を有する、金属酸化物透明導電膜の製造方法。
[6]前記[4]の製造方法で金属酸化物透明導電膜形成用組成物を製造する工程と、得られた金属酸化物透明導電膜形成用組成物を基材に塗布する塗布工程とを有する、金属酸化物透明導電膜の製造方法。
[7]前記塗布工程における前記基材の温度が300℃以下である、[5]又は[6]の金属酸化物透明導電膜の製造方法。
[8]さらに、前記基材上の塗膜が乾燥した後に紫外線を照射する工程を有する、[5]~[7]のいずれかの金属酸化物透明導電膜の製造方法。
本発明によれば、金属酸化物透明導電膜を製膜する際の基材温度を低温化できる。
実施例における表面抵抗率の測定結果を示すグラフである。 実施例における透過率の測定結果を示すグラフである。
本実施形態の金属酸化物透明導電膜形成用組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、M(Mは金属原子、Oは酸素原子、x、yは金属酸化物における価数を表す。)の前駆体化合物(以下、単に「前駆体化合物」ともいう。)、下記式(1)で表されるジアルキル亜鉛(以下、単に「ジアルキル亜鉛」ともいう。)、及び無水有機溶媒を含有する。さらにドーパント化合物を含有してもよい。
-Zn-R …(1)
式(1)においてRは炭素数1~7のアルキル基である。
は、得ようとする目的の金属酸化物である。Mは、透明導電膜として使用し得る金属酸化物であればよい。Mは、例えば周期表第2~14族金属から選択できる。
本組成物は、溶媒として無水有機溶媒を用いる。本組成物はジアルキル亜鉛の加水分解物又は部分加水分解物を含まない。前駆体化合物及びドーパント化合物は、水分子を有しない無水化合物が好ましい。
<前駆体化合物>
の前駆体化合物とは、酸化反応してMを生成し得る化合物を意味する。具体的には、Mを含む金属含有化合物であって、本組成物中で電離して金属イオンMz+(zは溶液中での価数)を生成する化合物である。
前駆体化合物は、前記式(1)で表されるジアルキル亜鉛以外の化合物である。
前駆体化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前駆体化合物としては、例えば、塩化物やフッ化物等のハロゲン化物、硫化物等が挙げられる。
がSnOである場合、SnOの前駆体化合物としては、例えばSnCl、SnCl、SnF等が挙げられる。
<ジアルキル亜鉛>
ジアルキル亜鉛は、製膜性の向上効果に優れる点で、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛が好ましく、ジエチル亜鉛がより好ましい。
ジアルキル亜鉛は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジアルキル亜鉛の添加量は、本組成物中に存在するMとZnとのモル比を表すM:Znが100:0.1~100:60となる量が好ましい。
前記M:Znは100:10~100:50が好ましく、100:15~100:35がより好ましい。
ジアルキル亜鉛の添加量が上記範囲の下限値以上であると、ジアルキル亜鉛の添加効果が十分に得られやすく、上限値以下であると金属酸化物透明導電膜の透明性に優れる。
<ドーパント化合物>
ドーパント化合物は、金属酸化物透明導電膜において公知のドーパント化合物を、目的に応じて用いることができる。
がSnOである場合、例えば、SnO膜へのフッ素ドープは、膜の電気抵抗の低下に寄与する。フッ素原子(F)を含有するドーパント化合物としては、フッ素ドープ酸化錫(FTO)膜において公知の含フッ素化合物を用いることができる。具体例としては、NHF、SnF、HF等が挙げられる。
ドーパント化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ドーパント化合物の添加量は特に限定されず、公知の添加量を用いることができる。
例えば、SnO膜にフッ素をドープする場合、本組成物中に存在するSnとFとのモル比を表すSn:Fが100:1~100:30となる量が好ましく、100:5~100:25となる量がより好ましい。
ドーパント化合物の添加量が上記の範囲内であると、ドーパントの添加効果が十分に得られやすい。
<無水有機溶媒>
無水有機溶媒は本組成物に含まれる溶質を溶解できるものであればよい。本組成物に含まれる無水有機溶媒は1種でもよく、2種以上でもよい。
無水有機溶媒の例としては、後述の第1の無水有機溶媒として例示する化合物、及び後述の第2の無水有機溶媒として例示する化合物が挙げられる。
本組成物における溶質の濃度は、溶質の溶解性や本組成物を基材に塗布する際の作業性等を考慮して適宜設定できる。
例えば、本組成物の総質量に対するジアルキル亜鉛の含有量は、0.01~1モル/Lが好ましい。
<その他の成分>
本組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した、Mの前駆体化合物、式(1)で表されるジアルキル亜鉛、ドーパント化合物、及び無水有機溶媒以外に、その他の成分を含んでもよい。例えば、MがSnOである場合に、Sn以外の金属元素を含む化合物や、F以外のドーパントを含む公知のドーパント化合物を含んでもよい。
本組成物は、金属酸化物透明導電膜の製膜に用いる塗布液において公知の添加剤を含んでもよい。
本組成物には、前駆体化合物、ジアルキル亜鉛又はドーパント化合物を無水有機溶媒に溶解させるために用いた成分(触媒等)が含まれてもよい。そのほか製造上不可避の不純物が含まれてもよい。
<金属酸化物透明導電膜形成用組成物の製造方法>
本組成物は、前駆体化合物、ジアルキル亜鉛、及び必要に応じたドーパント化合物等の溶質を、無水有機溶媒に溶解して得られる。
本組成物は、前駆体化合物及び第1の無水有機溶媒を含む第1の液と、ジアルキル亜鉛及び第2の無水有機溶媒を含む第2の液を混合する混合工程を経て製造することが好ましい。第1の無水有機溶媒と第2の無水有機溶媒とは、互いに同じであってもよく、異なってよい。
第1の液と第2の液の混合割合は、混合後のM:Zn(モル比)が、得ようとする本組成物におけるM:Znの値となるように設定することが好ましい。
第1の無水有機溶媒の例としては、エタノール、メタノール等を脱水処理したものが挙げられる。
第1の液の総質量に対するMの含有量は、溶質を溶解できる範囲で設定できる。例えば、0.1~3.3モル/Lが好ましい。上記範囲内であると、塗布液の好ましい濃度が得られやすい。
第2の無水有機溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジ-n-ブチルエーテル、ジアルキルエチレングリコール、ジアルキルジエチレングリコール、ジアルキルトリエチレングリコール等のエーテル;グライム、ジグライム、トリグライム等のグリコールエーテル;N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン等の環状アミド;炭化水化合物等を脱水処理したものが挙げられる。
前記炭化水化合物としては、n-ヘキサン、オクタン、n-デカン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素;ミネラルスピリット;ソルベントナフサ;ケロシン;石油エーテル等が挙げられる。
第2の液の総質量に対するジアルキル亜鉛の含有量は1~20質量%が好ましい。上記範囲の下限値以上であると、塗布液の好ましい濃度が得られやすく、上限値以下であるとジアルキル亜鉛の反応が生じ難く、液安定性に優れる。
第1の無水有機溶媒及び第2の無水有機溶媒は、低温プロセスで蒸発しやすいものが好ましい。
例えば、第1の無水有機溶媒の沸点は、50~200℃が好ましく、50~150℃がより好ましい。第2の無水有機溶媒の沸点は、50~200℃が好ましく、100~150℃がより好ましい。第1の無水有機溶媒の沸点と第2の無水有機溶媒の沸点との差の絶対値は、100℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。
なお、本明細書における沸点は標準沸点を意味する。
ドーパント化合物を用いる場合は、前記第1の液及び第2の液とは別に、ドーパント化合物及び無水有機溶媒を含む第3の液を用いてもよいが、混合工程の操作が容易である点で、前記第1の液にドーパント化合物を添加することが好ましい。ドーパント化合物の添加量は、第1の液中におけるMとドーパント原子(例えばF)とのモル比が、得ようとする本組成物におけるMとドーパント原子とのモル比(例えばSn:F)と同じになるように設定することが好ましい。
第1の液、第2の液はそれぞれ公知の方法で調製でき、市販されている製品からも入手可能である。
例えば、従来の塗布法で金属酸化物透明導電膜(例えば、SnO膜やFTO膜)を形成する際の塗布液として公知の組成物を、必要に応じて溶媒を脱水処理して、第1の液として用いることができる。
<金属酸化物透明導電膜の製造方法>
本組成物は、塗布法で金属酸化物透明導電膜を製膜する際の塗布液として好適に使用できる。
本実施形態の金属酸化物透明導電膜の製造方法は、本組成物(塗布液)を基材に塗布する塗布工程を有する。
塗布工程は、酸素及び水蒸気が存在する雰囲気中、例えば大気中で行う。
基材の表面上に、塗布液を塗布して塗膜を形成すると、塗膜に含まれる溶媒が蒸発(乾燥)するとともに、溶質が雰囲気ガスと反応することによって金属酸化物透明導電膜が形成される。
基材の材質としては、ガラス、金属、セラミックス等の無機物;プラスチック、紙、木材等の有機物;及びこれらの複合物が例示できる。基材は単層でもよく積層体でもよい。基材の表面のうち、少なくとも本組成物を塗布する表面に、塗布液との親和性を向上させるための前処理を施してもよい。
基材の形状、寸法は特に限定されない。例えば板状であってもよく、フィルム状であってもよく、任意の形状に成形された成形体であってもよい。
塗布方法としては、スプレー法、ディップコート法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法等が例示できる。
金属酸化物透明導電膜の膜厚は、塗布液中の溶質濃度、基材上に塗布する塗布液の量、塗布回数等によって調整できる。
塗布工程における基材温度は、300℃以下が好ましく、100~300℃がより好ましく、100~200℃がさらに好ましい。
塗布工程を実施する雰囲気ガスの温度(雰囲気温度)は、10~40℃が好ましく、20~30℃がより好ましい。
雰囲気ガスの、雰囲気温度における酸素濃度は1~30%が好ましく、10~25%がより好ましい。
雰囲気ガスの、雰囲気温度における相対湿度は、30~60%が好ましく、40~50%がより好ましい。
スプレー法で塗布する場合、スプレーノズルから吐出される液滴の大きさは、平均直径が0.1~5μmであることが好ましく、0.5~1.5μmがより好ましい。
スプレーノズルと基材表面との距離は50~150cmが好ましく、40~100cmがより好ましい。
塗布工程の後、本発明の効果を損なわない範囲で、塗布法において公知の工程を追加的に設けてもよい。
例えば、基材上の塗膜を積極的に加熱して乾燥させる乾燥工程を任意に設けてもよい。乾燥工程は塗布法において公知の方法で実施できる。乾燥工程における基材温度は、塗布液中の溶媒の沸点以上であればよい。
乾燥工程における基材温度の上限は、200℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
また、基材上の塗膜が乾燥した後、得られた薄膜に紫外線を照射する工程を任意に設けてもよい。紫外線の照射は電気抵抗の低下に寄与し得る。
紫外線の照射は金属酸化物膜の製造において公知の方法で実施できる。
本実施形態によれば、Mの前駆体化合物を含む塗布液を用いた塗布法で、低温プロセスにより金属酸化物透明導電膜を製造できる。
例えば、従来のFTO前駆体溶液は基材温度を高くする必要があったが、溶媒を無水化してジアルキル亜鉛を加えることにより、従来より低い基材温度で透明導電膜の製膜が可能となる。その結果、基材の耐熱温度の許容範囲が広くなり、例えばプラスチックフィルムや、フレキシブル基板等の多様な材料を基材として使用できるようになる。
かかる効果が得られる理由としては、基材上に塗布された塗布液中のジアルキル亜鉛が雰囲気ガスに触れて発熱反応を生じ、その反応熱が前駆体化合物等の分解(解離)促進に寄与し、低温での製膜性が向上すると考えられる。
<用途>
本実施形態で得られる金属酸化物透明導電膜は、公知の用途に用いることができる。例えば、ディスプレイや太陽電池等の各種光デバイスにおける透明導電膜、ガスセンサー、アルコール検知器等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において下記の測定方法を用いた。
<測定方法>
[表面抵抗率・体積抵抗率]
サンプルの4隅に針をあて、2点ごとの電流、電圧を測定した(4探針法)。
[透過率]
紫外線から赤外線の連続した光をサンプルに照射し、透過した光を検出器で観測した(紫外可視赤外分光法)。
[膜厚]
サンプルを断面に劈開し、走査型電子顕微鏡(SEM)で直接観察した。
<原料>
例1~4において、第1の液は下記FTO前駆体溶液(1)を用い、第2の液は下記DEZ溶液(1)を用いた。
FTO前駆体溶液(1):SnClの0.32モル/L、及びNHFの0.066モル/Lが溶解した無水エタノール溶液。SnCl:NHFのモル比83:17。
DEZ溶液(1):ジエチル亜鉛(以下、DEZともいう。)の15質量%(約1モル/L)が溶解した無水トルエン溶液、東京化成工業社製。
<例1>
本例はジアルキル亜鉛を用いない比較例である。FTO前駆体溶液(1)を塗布液として用いた。
スプレー製膜装置を用い、大気圧の空気中(20℃、相対湿度40%、酸素濃度21%)で、150℃に加熱したガラス基板上に、塗布液を150回噴霧して製膜した。
スプレーノズルから吐出される液滴の平均直径は5μm、スプレーノズルと基材との距離は100cmであった。
表1に、第1の液と第2の液の混合比(単位:mL)、塗布液におけるSnCl、NHF、DEZの各濃度(単位:モル/L)、塗布液におけるSnとFとZnのモル比、基材(ガラス基板)上に形成された薄膜の膜厚を示す(以下、同様)。
<例2~4>
本例は、FTO前駆体溶液(1)とDEZ溶液(1)の混合液を塗布液として用いた実施例である。
FTO前駆体溶液(1)とDEZ溶液(1)を表1に示す混合比で混合して塗布液(金属酸化物透明導電膜形成用組成物)を調製した。得られた塗布液を用い、例1と同様にしてガラス基板上に製膜した。
Figure 2023075057000001
(評価)
例1~4の各例で得られた薄膜のうち、例1の薄膜には目視で明らかな白濁が認められた。
例1~4で得られた薄膜について、上記の方法で表面抵抗率と透過率を測定した。表面抵抗率の測定結果を図1に示す、透過率の測定結果を図2に示す。
図1において、横軸は塗布液におけるDEZの濃度(DEZの添加量)を示し、縦軸は表面抵抗率を示す。
図2において、横軸は測定波長を示し、縦軸は透過率を示す。
図1の結果に示されるように、例1に比べて例2~4は表面抵抗率が顕著に低減した。
図2の結果に示されるように、例1に比べて例2~4は透過率が顕著に増大した。
これらの結果に示されるように、例1で用いたFTO前駆体溶液(1)は、基材温度が低いと製膜性が悪く透明性が不十分であったが、これにDEZを添加した例2~4では、例1に比べて薄膜の導電性及び透明性が顕著に向上した。
例2~4で得られた薄膜において、XRD解析の結果、前駆体化合物及びドーパント化合物由来の錯体((NHSnCl)の結晶のピークと、アモルファス状のSnOのピークが確認された。このことから、前駆体化合物及びドーパント化合物の分解反応と、前駆体化合物の酸化反応が進行したことがわかる。一方、酸化亜鉛(ZnO)に相当するピークは確認されなかった。このことからジアルキル亜鉛由来のZnは複合酸化物の生成には寄与せず金属酸化物透明導電膜中に不純物として存在すると推測される。
<例5>
本例では、例2で得られた薄膜に、波長254nmの紫外線ランプを60分連続照射する条件で紫外線を照射し、上記の方法で体積抵抗率と透過率を測定した。
紫外線照射前の薄膜(例2)と、照射後の薄膜(本例)とを比べると、透過率はほぼ同等であり、体積抵抗率は10000Ω・cm(例2)から2000Ω・cm(本例)に低下した。

Claims (8)

  1. (Mは金属原子、Oは酸素原子、x、yは金属酸化物における価数を表す。)の前駆体化合物、下記式(1)で表されるジアルキル亜鉛、及び無水有機溶媒を含有する、金属酸化物透明導電膜形成用組成物。
    -Zn-R …(1)
    (式中、Rは炭素数1~7のアルキル基である。)
  2. 請求項1に記載の金属酸化物透明導電膜形成用組成物であって、
    前記金属酸化物透明導電膜形成用組成物中に存在するMとZnとのモル比を表すM:Znが100:0.1~100:60である、金属酸化物透明導電膜形成用組成物。
  3. さらに、ドーパント化合物を含有する、請求項1に記載の金属酸化物透明導電膜形成用組成物。
  4. (Mは金属原子、Oは酸素原子、x、yは金属酸化物における価数を表す。)の前駆体化合物及び第1の無水有機溶媒を含む第1の液と、下記式(1)で表されるジアルキル亜鉛及び第2の無水有機溶媒を含む第2の液とを、混合する工程を有する、金属酸化物透明導電膜形成用組成物の製造方法。
    -Zn-R …(1)
    (式中、Rは炭素数1~7のアルキル基である。)
  5. 請求項1に記載の金属酸化物透明導電膜形成用組成物を基材に塗布する塗布工程を有する、金属酸化物透明導電膜の製造方法。
  6. 請求項4に記載の製造方法で金属酸化物透明導電膜形成用組成物を製造する工程と、
    得られた金属酸化物透明導電膜形成用組成物を基材に塗布する塗布工程とを有する、金属酸化物透明導電膜の製造方法。
  7. 前記塗布工程における前記基材の温度が300℃以下である、請求項5又は6に記載の金属酸化物透明導電膜の製造方法。
  8. さらに、前記基材上の塗膜が乾燥した後に紫外線を照射する工程を有する、請求項5又は6に記載の金属酸化物透明導電膜の製造方法。
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