JP2023070497A - レーザ加工方法及びレーザ加工機 - Google Patents

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Abstract

【課題】波長が1μm帯以下のレーザビームを用いた板金のレーザ切断加工において、板金の切断面に発生するベベル量を低減し、板金の上面側と下面側との寸法差を低減する。【解決手段】照射するレーザビームの焦点位置を板金の内部に設定し、板金の板厚に基づいて、板金の切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅、及び加工ヘッド35に取り付けるノズル36であって、レーザビームが射出し、アシストガスが噴出するノズル36の開口36aの開口径を決定する。決定した開口径を有するノズル36を取り付けた加工ヘッド35を切断進行方向に沿って板金に対して相対的に移動させながら、決定した開口径を有するノズル36から、設定した焦点位置及び決定した振幅でレーザビームを切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出すると共にアシストガスを噴出する。【選択図】図2

Description

本発明は、レーザ加工方法及びレーザ加工機に関する。
従来から、アシストガスを使用してレーザ加工を行うレーザ加工機が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載されたレーザ加工機は、レーザ加工ヘッドに取り付けられたノズルから噴出するアシストガスの周方向の圧力分布を均一にすることにより、板材(板金)の切断加工で生じるドロスの高さに切断方向性を生じにくくし、製品品質を向上させている。
特開2020-182957
しかしながら、特許文献1に記載されたレーザ加工機は、発振波長(以後、単に「波長」という)が1μm帯のファイバレーザを用いている。波長が1μm帯以下のレーザビームは、CO2レーザ等の波長が10μm帯のレーザビームに対して、入射角に起因する板金への吸収率特性が高くなることから、カッティングフロント上面側のみならず、カッティングフロント下面側の側面方向にも板金内での反射による吸収が発生する。そのため、板金下面側にレーザビーム及びアシストガス(酸素)が適切に供給されない場合、板金下面側において酸化還元反応による熱切断が適切に行われず、ベベル量が基準を超えて発生する。すなわち、板金の上面側と下面側とで寸法差が発生するという課題がある。なお、ベベル量の定義は、板金の切断面の切断面プロファイルが接する2本の平行な接線の間の距離であって、切断面プロファイルが最初の接する接線と次に接する接線との間の距離、又は、切断面プロファイルの下端から切断面プロファイルが接する他の接線までの距離の内、最も短い距離である。なお、1μm帯のファイバレーザの波長とは、一般的に1060nmから1080nmを基本波とする波長帯を指し、10μm帯のCO2レーザの波長とは、一般的に10600nmを基本波とする波長帯を指す。また、波長が1μm帯以下のレーザビームとは、1μm帯のファイバレーザの他に、グリーンレーザ又はブルーレーザの波長帯を含むことを指す。
つまり、レーザ加工機による正常なレーザ加工では、レーザビームが、カッティングフロント上面側の金属溶融を為し、レーザビームと酸素アシストガスが、カッティングフロント上面側に続くカッティングフロントの金属溶融を為す。そして、溶融した金属はカッティングフロント下面側からアシストガス流と自重によって排出される。レーザ加工機は、これら一連の加工の流れを円滑に行う。また、金属面へ照射される波長が1μm帯以下のレーザビームの一部は、ビームカッティングフロント内で反射し、カッティングフロント下面側で再び金属溶融に寄与する。また、カッティングフロント表面では、レーザビームからの熱エネルギと、酸素アシストガスによる酸化還元反応熱エネルギとの両エネルギが、熱伝導により周囲の金属溶融を為す。
このとき、カッティングフロント下面側から排出される溶融金属の量が、カッティングフロントの容積に適合する量を超えた場合、又は、カッティングフロント下面側で過剰な熱エネルギを享受した場合、基準を超えるベベル量が発生する。
本発明の一態様は、上記課題に鑑みてなされたものであり、波長が1μm帯以下のレーザビームを用いた板金のレーザ切断加工において、板金の切断面に発生するベベル量を低減し、板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができるレーザ加工方法及びレーザ加工機を提供することである。
本発明の一態様に係るレーザ加工方法は、板金に波長が1μm帯以下のレーザビームを照射すると共にアシストガスを吹き付けて前記板金を切断するレーザ加工方法であって、照射する前記レーザビームの焦点位置を前記板金の内部に設定し、前記板金の板厚に基づいて、前記板金の切断進行方向に対する前記レーザビームの左右方向の振動の振幅、及び加工ヘッドに取り付けるノズルであって、前記レーザビームが射出し、前記アシストガスが噴出する前記ノズルの開口の開口径を決定し、決定した前記開口径を有する前記ノズルを取り付けた前記加工ヘッドを前記切断進行方向に沿って前記板金に対して相対的に移動させながら、前記開口径を有するノズルから、設定した前記焦点位置及び決定した前記振幅で前記レーザビームを前記切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出すると共に前記アシストガスを噴出する。
本発明の一態様に係るレーザ加工方法は、照射するレーザビームの焦点位置を板金の内部に設定し、板金の板厚に基づいて、板金の切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅、及び加工ヘッドに取り付けるノズルであって、レーザビームが射出し、アシストガスが噴出するノズルの開口の開口径を決定する。そして、決定した開口径を有するノズルを取り付けた加工ヘッドを切断進行方向に沿って板金に対して相対的に移動させながら、前記開口径を有するノズルから、設定した焦点位置及び決定した振幅でレーザビームを切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出すると共にアシストガスを噴出する。これにより、波長が1μm帯以下のレーザビームを用いた板金のレーザ切断加工において、板金の切断面に発生するベベル量を低減し、板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができる。
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、板金に波長が1μm帯以下のレーザビームを照射する共にアシストガスを吹き付けて前記板金を切断するレーザ加工機であって、加工ヘッドに取り付けるノズルであって、前記レーザビームが射出し、前記アシストガスが噴出する開口を有する前記ノズルと、前記加工ヘッドを前記板金の切断進行方向に沿って前記板金に対して相対的に移動させる移動機構と、前記レーザビームを前記切断進行方向に対して左右方向に振動させるビーム振動機構と、前記レーザビームの焦点位置を前記板金の内部に設定し、前記板金の板厚に基づいて、前記切断進行方向に対する前記レーザビームの左右方向の振動の振幅、及び前記ノズルの開口の開口径を決定し、決定した前記開口径を有するノズルを取り付けた前記加工ヘッドを前記切断進行方向に沿って前記板金に対して相対的に移動させながら、前記開口径を有するノズルから、設定した前記焦点位置及び決定した前記振幅で前記レーザビームを前記切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出するよう前記ビーム振動機構を制御すると共に前記アシストガスを噴出させる制御部とを備える。
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、レーザビームの焦点位置を板金の内部に設定し、板金の板厚に基づいて、切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅、及びノズルの開口の開口径を決定する制御部を備える。制御部は、決定した開口径を有するノズルを取り付けた加工ヘッドを切断進行方向に沿って板金に対して相対的に移動させながら、前記開口径を有するノズルから、設定した焦点位置及び決定した振幅でレーザビームを切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出するようビーム振動機構を制御すると共にアシストガスを噴出させる。これにより、波長が1μm帯以下のレーザビームを用いた板金のレーザ切断加工において、板金の切断面に発生するベベル量を低減し、板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができる。
本発明の一態様によれば、波長が1μm帯以下のレーザビームを用いた板金のレーザ切断加工において、板金の切断面に発生するベベル量を低減し、板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができる。
図1は、実施形態に係るレーザ加工機の全体的な構成例を示す図である。 図2は、実施形態に係るレーザ加工機におけるコリメータユニット及び加工ヘッドの詳細な構成例を示す斜視図である。 図3は、ビーム振動機構によるレーザビームの板金への照射位置の変位を示す図である。 図4は、板金の板厚と切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振幅との関係を示すグラフである。 図5Aは、レーザビームの直交振動パターンを示す図である。 図5Bは、レーザビームの円振動パターンを示す図である。 図5Cは、レーザビームのC字状振動パターンを示す図である。 図6は、図5Aに示す直交振動パターンを用いたときの実際の振動パターンを示す図である。 図7Aは、実験により測定した板金の所定の板厚におけるノズルの開口径と板金の上下方向の寸法差との関係を示すグラフである(その1)。 図7Bは、実験により測定した板金の所定の板厚におけるノズルの開口径と板金の上下方向の寸法差との関係を示すグラフである(その2)。 図8は、図7A及び図7Bの測定結果から求めた板金の板厚毎の最適なノズルの開口径を示すグラフである。 図9は、従来のレーザ加工による板金の断面形状の一例を示す模式図である。
本発明の一態様に係るレーザ加工方法及びレーザ加工機は、軟鋼板であって、板厚が16mm以上の板金の切断加工に好適である。図面を参照して、一実施形態のレーザ加工機及びレーザ加工方法について説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
[レーザ加工機の構成]
図1は、実施形態に係るレーザ加工機100の全体的な構成例を示す図である。図1を参照して、レーザ加工機100の全体的な構成例を説明する。レーザ加工機100は、レーザ発振器10と、レーザ加工ユニット20と、レーザ発振器10より射出されたレーザビームをレーザ加工ユニット20へと伝送するプロセスファイバ12とを備える。なお、プロセスファイバ12は、シングルコアであってもマルチクラッドであっても構わず、また、レーザ加工ユニット20への伝送路上に光カプラがあっても構わない。
また、レーザ加工機100は、操作部40と、NC(Numerical Control)装置50と、加工プログラムデータベース60と、加工条件データベース70と、アシストガス供給装置80とを備える。NC装置50は、レーザ加工機100の各部を制御する制御装置(制御部)の一例である。
レーザ発振器10は、レーザビームを生成して射出する。レーザ発振器10としては、レーザダイオードより発せられる励起光を増幅して所定の波長のレーザビームを射出するレーザ発振器、又はレーザダイオードより発せられるレーザビームを直接利用するレーザ発振器が好適である。レーザ発振器10は、例えば、固体レーザ発振器、ファイバレーザ発振器、ディスクレーザ発振器、ダイレクトダイオードレーザ発振器(DDL発振器)である。
レーザ発振器10は、波長900nm~1080nmの1μm帯のレーザビームを射出する。ファイバレーザ発振器及びDDL発振器を例とすると、ファイバレーザ発振器は、波長1060nm~1080nmのレーザビームを射出し、DDL発振器は、波長910nm~950nmのレーザビームを射出する。なお、本実施形態では、波長が1μm帯のレーザビームを射出するレーザ発振器を用いるが、本発明はこれに限定されない。レーザ発振器10は、波長が300nm以上であり1080nm以下のレーザビームを射出すればよい。波長が300nm以上、1080nm以下のレーザには、ファイバレーザに加え、グリーンレーザ及びブルーレーザが含まれる。
レーザ加工ユニット20は、加工対象の板金Wを載せる加工テーブル21と、門型のX軸キャリッジ22と、Y軸キャリッジ23と、Y軸キャリッジ23に固定されたコリメータユニット30と、加工ヘッド35とを有する。また、レーザ加工ユニット20は、加工ヘッド35に取り付ける円形の開口36aを有するノズル36であって、開口36aの開口径が異なる複数のノズルを有しており、複数のノズルの中から板金Wの切断加工に最適な開口径を有するノズル36を選択できるよう構成されている。ノズル36は、レーザ加工機100が備えるノズルチェンジャ(不図示)によって自動的に加工ヘッド35に取り付けられる構成としてもよいし、オペレータが取り付けてもよい。アシストガス供給装置80は、アシストガスとして酸素を加工ヘッド35に供給する。
X軸キャリッジ22は、加工テーブル21上でX軸方向に移動自在に構成されている。Y軸キャリッジ23は、X軸キャリッジ22上でX軸に垂直なY軸方向に移動自在に構成されている。X軸キャリッジ22及びY軸キャリッジ23は、加工ヘッド35を板金Wの面に沿って、X軸方向、Y軸方向、又は、X軸とY軸との任意の合成方向に移動させる移動機構として機能する。なお、加工ヘッド35を板金Wの面に沿って移動させる代わりに、加工ヘッド35は位置が固定され、板金Wが移動するように構成されていてもよい。すなわち、レーザ加工機100は、板金Wの面に対して加工ヘッド35を相対的に移動させる移動機構を備えていればよい。
コリメータユニット30は、プロセスファイバ12より射出された発散光のレーザビームを平行光(コリメート光)に変換するコリメーション機構、及び板金Wに照射されるレーザビームを振動させるビーム振動機構を有する。コリメータユニット30についての詳細は、図2、図3を用いて後述する。
加工ヘッド35には、円形の開口36aを有するノズル36が着脱可能に取り付けられている。ノズル36の開口36aからはレーザビームが射出し、アシストガス(酸素)が噴出する。開口36aより射出したレーザビームは板金Wに照射され、噴出した酸素は板金Wに吹き付けられる。板金Wへと吹き付けられた酸素は、酸化還元反応を促進して板金Wの熱切断を生じさせると共に板金Wの溶融金属をカーフから排出する。加工ヘッド35は、コリメータユニット30内のビーム振動機構を作動させていない状態において、ノズル36の開口36aから射出するレーザビームと同軸上からアシストガスが噴出するよう構成されている。加工ヘッド35についての詳細は、図2、図3を用いて後述する。
操作部40及び表示部90は、板金Wを切断加工する際にNC装置50への入力が必要となる加工条件の入力、及び入力された加工条件に基づいて決定されたレーザ加工機100の設定値をオペレータに提示するためのユーザインターフェイスである。操作部40は、タッチパネル又はキーボードで構成され、NC装置50へ加工条件を入力することができる。加工条件とは、例えば、板金Wの板厚、板金Wの材質、レーザビームの出力、及び加工速度である。表示部90は、NC装置50への入力項目及び入力項目に基づいて決定した設定値を表示するモニタである。
加工プログラムデータベース60は、NC装置50がレーザ加工機100の各構成を動作させるための加工プログラムを記憶する。加工プログラムは、レーザ加工機100の動作の手順を規定するプログラムコードである。
加工条件データベース70は、板金Wを切断加工する際に必要となる複数のパラメータが登録された複数の加工条件ファイルを記憶する。加工条件ファイルは、加工プログラム内の各パラメータを規定するファイルである。加工条件データベース70は、板金Wの切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動パターンが規定された加工条件ファイル1を記憶する。加工条件ファイル1に規定されたレーザビームの振動パターンについての詳細は、図5A~図6を用いて後述する。
加工条件データベース70は、板金Wの板厚毎の切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅が規定された加工条件ファイル2を記憶する。加工条件ファイル2に規定された板金Wの板厚毎の切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅についての詳細は、図4を用いて後述する。また、加工条件データベース70は、板金Wの板厚毎のノズル36の開口36aの開口径(以後、「ノズル36の開口径」ともいう)が規定された加工条件ファイル3を記憶する。加工条件ファイル3に規定された板金Wの板厚毎のノズル36の開口径についての詳細は、図7A~図8を用いて後述する。加工条件ファイル2及び加工条件ファイル3に規定されたパラメータは、予め実験により求められた、板金Wを切断加工する際に板金Wの切断面に発生するベベル量を低減し、板金Wの上面側と下面側との寸法差を低減することができる最適な値である。
図2は、実施形態に係るレーザ加工機100におけるコリメータユニット30及び加工ヘッド35の詳細な構成例を示す斜視図である。図2を参照して、レーザ加工機100におけるコリメータユニット30及び加工ヘッド35の詳細な構成例を説明する。コリメータユニット30は、プロセスファイバ12より射出された発散光のレーザビームを平行光(コリメート光)に変換するコリメーションレンズ31を備える。なお、プロセスファイバ12より射出された発散光のレーザビームは、その光軸中心がコリメーションレンズ31の中心に位置するように進行する。また、コリメータユニット30は、ガルバノスキャナユニット32と、ガルバノスキャナユニット32より射出されたレーザビームをX軸及びY軸に垂直なZ軸方向下方に向けて反射させるベンドミラー33を備える。加工ヘッド35は、ベンドミラー33で反射したレーザビームを集束して、板金Wに照射する集束レンズ34を備える。集束レンズ34は、レーザビームの焦点位置を調整するために、図示していない駆動部及び移動機構によって、板金Wに近付く方向及び板金Wより離隔する方向に移動自在に構成されている。
レーザ加工機100は、ノズル36の開口36aより射出されるレーザビームが開口36aの中心に位置するように芯出しされている。基準の状態では、レーザビームは、開口36aの中心より射出する。ガルバノスキャナユニット32は、加工ヘッド35内を進行して開口36aより射出されるレーザビームを、開口36a内で移動させるビーム振動機構として機能する。
ガルバノスキャナユニット32は、コリメーションレンズ31より射出されたレーザビームを反射するスキャンミラー321と、スキャンミラー321を所定の角度となるように回転させる駆動部322とを有する。また、ガルバノスキャナユニット32は、スキャンミラー321より射出されたレーザビームを反射するスキャンミラー323と、スキャンミラー323を所定の角度となるように回転させる駆動部324とを有する。
駆動部322及び324は、NC装置50による制御に基づき、スキャンミラー321及び323をそれぞれ所定の角度範囲で往復振動させることができる。スキャンミラー321とスキャンミラー323とのいずれか一方又は双方を往復振動させることによって、ガルバノスキャナユニット32は、板金Wに照射されるレーザビームを振動させる。なお、例示したガルバノスキャナユニット32は、ビーム振動機構の一例であり、ビーム振動機構は一対のスキャンミラーを有するガルバノスキャナユニット32に限定されない。例えば、ビーム振動機構は、1つのスキャンミラー、又は3つ以上のスキャンミラーで構成されていてもよい。
図3は、ビーム振動機構によるレーザビームの板金Wへの照射位置の変位を示す図である。図3を参照して、ビーム振動機構によるレーザビームの板金Wへの照射位置の変位を説明する。図3は、スキャンミラー321とスキャンミラー323とのいずれか一方又は双方が傾けられて、板金Wに照射されるレーザビームの位置が変位した状態を示している。図3において、ベンドミラー33で折り曲げられて集束レンズ34を通過する細実線は、レーザ加工機100が基準の状態であるときのレーザビームの光軸を示している。なお、詳細には、ベンドミラー33の手前に位置しているガルバノスキャナユニット32の作動により、ベンドミラー33に入射するレーザビームの光軸の角度が変化し、光軸がベンドミラー33の中心から外れる。図3では、簡略化のため、ガルバノスキャナユニット32の作動前後でベンドミラー33へのレーザビームの入射位置を同じ位置としている。
ガルバノスキャナユニット32による作用によって、レーザビームの光軸が細実線で示す位置から太実線で示す位置へと変位したとする。ベンドミラー33で反射するレーザビームが角度θで傾斜したとすると、板金Wへのレーザビームの照射位置は距離Δsだけ変位する。集束レンズ34の焦点距離をEFL(Effective Focal Length)とすると、距離Δsは、EFL×sinθで計算される。
ガルバノスキャナユニット32がレーザビームを図3に示す方向とは逆方向に角度θだけ傾ければ、板金Wへのレーザビームの照射位置を図3に示す方向とは逆方向に距離Δsだけ変位させることができる。距離Δsは開口36aの半径未満の距離であり、好ましくは、開口36aの半径から所定の余裕量だけ引いた距離を最大距離とした最大距離以下の距離である。
NC装置50は、ガルバノスキャナユニット32の駆動部322及び324を制御することによって、レーザビームを板金Wの面内の所定の方向に振動させることができる。NC装置50は、レーザビームを振動させることによって、板金Wの面上に形成されるビームスポットを振動させることができる。
[レーザ加工方法]
先ず、図9を参照して、波長が1μm帯以下のレーザビームを用いた従来のレーザ加工による板金Wの断面形状の一例について説明する。図9は、従来のレーザ加工による板金Wの断面形状の一例を示す模式図である。従来のレーザ加工は、板金の板厚に応じたカーフ幅を得るため、板厚が厚くなるほどレーザビームの照射径を板金上面から板金下面に向かって大きくする必要がある。そのため、レーザビームの焦点位置を板金上面よりも上方へずらすデフォーカス、又は、板金内部へずらすインフォーカスを選択し、板金上面でのエネルギ密度を下げざるを得ない。板金上面でのエネルギ密度が下がり過ぎれば金属溶融の切っ掛けが得られなくなるため、レーザ出力を上げざるを得ない。そうすると、板金に照射されるエネルギ総量は増えることになり、板金上面側で吸収されなかった(反射した)レーザビームは、カッティングフロント内の板金下面側の側面方向にも再び照射され吸収が発生する。
正常な加工であれば、レーザビームと酸素アシストガスが、カッティングフロント上面側に続くカッティングフロントの金属溶融を為し、溶融した金属はカッティングフロント下面側からアシストガス流と自重によって排出される。しかしながら、適正以上の熱エネルギを蓄積した板金Wにおいて、カッティングフロント下面側から排出される溶融金属の量が、カッティングフロントの容積に適合する量を超えた場合、又は、カッティングフロント下面側で過剰な熱エネルギを享受した場合、基準を超えるベベル量が発生し、板金Wの上面側と下面側とで寸法差が発生する。なお、従来のレーザ加工であっても、板厚に対する適正なノズル開口径はNC装置50に記憶されている加工条件ファイル2に定義されている。板厚が厚くなれば、ノズル開口径も大きくなる傾向は、レーザ源が炭酸ガスレーザである時代から変わらない。
次に、実施形態に係る図1に示すレーザ加工機100が、板金Wを切断加工する際の処理について説明する。レーザ加工機100において、NC装置50は、板金Wの板厚に基づいて、板金Wの切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅(以後、「レーザビームの左右方向の振幅」ともいう)、及びノズル36の開口36aの開口径を決定する。NC装置50は、決定した開口径を有するノズル36を取り付けた加工ヘッド35を切断進行方向に沿って移動させながら、前記開口径を有するノズル36から、決定した振幅でレーザビームを切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出するようビーム振動機構を制御すると共にアシストガスを噴出させる。以下にてレーザ加工機100の各処理についての詳細を説明する。
NC装置50は、板金Wの板厚に基づいて、板金Wの切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅、及びノズル36の開口径を決定する。具体的には、NC装置50は、板金Wの板厚を入力するための画面を表示部90に表示し、オペレータによって操作部40から入力された板金Wの板厚を取得する。NC装置50は、加工条件データベース70に記憶されている、板金Wの板厚毎の切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振幅が規定された加工条件ファイル2を参照し、加工条件ファイル2の中から板金Wの板厚に対応するレーザビームの左右方向の振幅を取得する。これにより、板金Wの板厚に最適な切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅が決定する。
ここで、図4を参照して、加工条件ファイル2に規定されている板金Wの板厚と切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振幅との関係について説明する。図4は、板金Wの板厚と切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振幅との関係を示すグラフである。図4に示すように、切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅は、板金Wの板厚が厚くなるほど大きくなる。したがって、NC装置50は、板金Wの板厚が厚くなるほど切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振幅を大きくする。すなわち、板金Wに形成されるカーフ幅は板厚が厚くなるほど大きくなる。また、板金上面と板金下面とのレーザビーム照射径が変化しないように、レーザビームの焦点位置は板金の内部に設定してもよい。さらに、切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振幅の中心とノズルの中心は、一致してもよいし、振幅の中心がノズルの中心よりも切断進行方向に先行しても構わない。
NC装置50は、加工条件ファイル1を参照し、決定した振幅でレーザビームの左右方向に振動させる際のレーザビームの振動パターンを決定する。ここで、図5A~図6を参照して、加工条件ファイル1に規定された板金Wの切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動パターン例を説明する。図5A~図5Cは、振動パターンを理解しやすいよう、加工ヘッド35を切断進行方向に移動させない状態での振動パターンを示している。板金Wの切断進行方向をx方向、板金Wの面内でx方向と直交する方向をy方向とする。NC装置50は、図5A~図5Cに示す振動パターンのいずれかでレーザビームを振動させる。
図5Aは、レーザビームの直交振動パターンを示す図である。図5Aに示す直交振動パターンは、板金W上に形成されるビームスポットBsを切断進行方向(x方向)に直交する方向(y方向)に振動させる。レーザビームの照射によりカーフWkが形成される。図5Bは、レーザビームの円振動パターンを示す図である。図5Bに示す円振動パターンは、板金W上に形成されるビームスポットBsを円形に振動させる。図5Cは、レーザビームのC字状振動パターンを示す図である。図5Cに示すC字状振動パターンは、板金W上に形成されるビームスポットBsをアルファベットのCを描くように振動させる。なお、レーザビームの振動パターンはこれに限定されない。レーザビームは、板金Wの切断進行方向(x方向)に対して左右方向に振動していればよく、例えば、8の字を描く軌跡であっても、楕円を描く軌跡であってもよい。
実際には、加工ヘッド35が切断進行方向に移動しながらレーザビームが振動するため、振動パターンは、図5A~図5Cに示す振動パターンに切断進行方向の変位を加えた振動パターンとなる。図6は、図5Aに示す直交振動パターンを用いたときの実際の振動パターンを示す図である。図5Aに示す直交振動パターンでは、ビームスポットBsはx方向に移動しながらy方向に振動するので、実際の直交振動パターンは図6に示すような振動パターンとなる。
NC装置50は、加工条件データベース70に記憶されている、板金Wの板厚毎のノズル36の開口径が規定された加工条件ファイル3を参照し、加工条件ファイル3の中から板金Wの板厚に対応するノズル36の開口径を取得する。これにより、板金Wの板厚に最適なノズルの開口径が決定する。NC装置50は、決定した開口径を有するノズル36を加工ヘッド35に取り付けるようノズルチェンジャを制御する。又は、表示部90に加工ヘッド35に取り付けるノズル36の開口径を表示し、オペレータに最適な開口径を有するノズル36を取り付けるよう通知する。
次に、図7A~図8を参照して、加工条件ファイル3に規定されている板金Wの板厚とノズル36の開口径との関係について説明する。加工条件ファイル3は、予め実験にて、板金Wの板厚毎に開口36aの開口径が異なる複数のノズルを用いて切断加工を行い、各々の開口径のノズル36を使用した際に発生した寸法差を測定し、板厚毎の寸法差が最も小さいノズル36の開口径に基づいて求めたものである。なお、実験における切断加工時の切断進行方向に対するレーザビーム左右方向の振幅は、図4に示す値であり、加工条件ファイル2に設定されている値と同値である。
図7Aは、実験により測定した板金Wの所定の板厚におけるノズル36の開口径(ノズル径)と板金Wの上下方向(上面側と下面側)の寸法差との関係を示すグラフである(その1)。図7Aを参照して、板厚が16mmの板金Wを切断加工した際における、ノズル36の開口径と板金Wの切断面に発生するベベル量による板金Wの上面側と下面側との寸法差との関係について説明する。なお、プロットされた点は実測値である。図7Aに示すように、プロットされた点を結んだ線から、ノズル36の開口径が1.8mmの時に板金Wの上面側と下面側との寸法差が0となると推定でき、開口径が1.8mmのノズル36を中心に、板金Wの上面側と下面側との寸法差が大きくなることが分かる。なお、カーフWkの形状は、寸法差が正の値(+)の場合は板金の上面側の寸法が下面側に比べて小さい形状となり、負の値(-)の場合は板金の上面側の寸法が下面側の寸法に比べて大きい形状となる。したがって、ノズル36の開口径が1.8mm未満の場合、板金Wの下面側へ供給される酸素の供給量が不足し、酸化還元反応による板金Wの溶融金属の量が不足しているか、アシストガス流がカッティングフロント下面側の溶融金属を押し流すだけの力を持てないかのいずれかと判断できる。また、ノズル36の開口径が1.8mmより大きい場合、板金Wの下面側へ供給される酸素の供給量が超過し、酸化還元反応による板金Wの溶融金属の量が超過していると判断できる。また、図7Aに破線で示すように、ノズル36の開口径と板金Wの上下方向の寸法差との関係は、線形近似できることが分かる。
図7Bは、実験により測定した板金Wの所定の板厚におけるノズル36の開口径と板金Wの上下方向の寸法差との関係を示すグラフである(その2)。図7Bを参照して、板厚が22mmの板金Wを切断加工した際における、ノズル36の開口径と板金Wの切断面に発生するベベル量による板金Wの上面側と下面側との寸法差との関係について説明する。なお、プロットされた点は実測値である。図7Bに示すように、板金Wの板厚が22mmの場合においても、図7Aに示す板厚が16mm場合と同様の傾向があることが分かる。すなわち、板金Wの上面側と下面側との寸法差が0となるノズル36の開口径が2.4mmを中心に、板金Wの上面側と下面側との寸法差が線形的に変化する。
図8は、図7A及び図7Bの測定結果から求めた板金Wの板厚毎の最適なノズル36の開口径を示すグラフである。図8を参照して、図7A及び図7Bの測定結果から求めた板金Wの板厚毎の最適なノズル36の開口径について説明する。図8の左側にプロットされた点は、板厚が16mmの板金Wを切断加工する際に、板金Wの上面側と下面側との寸法差が0となるノズル36の開口径である。また、図8の右側にプロットされた点は、板厚が22mmの板金Wを切断加工する際に、板金Wの上面側と下面側との寸法差が0となるノズル36の開口径である。図7A及び図7Bにて示した通り、ノズル36の開口径と板金Wの上下方向の寸法差との関係は、線形近似できることが分かっている。よって、図8に示すように、板金Wの上面側と下面側との寸法差が0となる、板金Wの板厚が16mmの時のノズル36の開口径と板厚が22mmの時のノズル36の開口径とを結ぶ直線を板金Wの板厚毎の最適なノズル径として規定することができる。したがって、NC装置50は、ノズル36の開口径を、板金Wの板厚が厚くなるほど大きくし、板金Wの板厚の変化に対して線形に変化させる。
なお、従来のレーザ加工によるノズル開口径は、例えば板金の板厚が16mmの場合、4mmを適正とする例もあった。これは本実施形態のようなレーザビームを板金の切断進行方向に対して左右方向に振動させて照射する方法を行わない場合であって、明らかにノズル開口径を本実施形態の場合より大きくする必要があった。
板金Wの上面側と下面側との寸法差が0となる、板金Wの板厚が16mmの時のノズル36の開口径と板厚が22mmの時のノズル36の開口径とを結ぶ直線は、ノズル36の開口径をyとし、板金Wの板厚をxとした場合、下記算出式(1)となる。したがって、NC装置50は、算出式(1)に基づいてノズル36の開口径を決定する。
Figure 2023070497000002
NC装置50は、決定した開口径を有するノズル36を取り付けた加工ヘッド35を切断進行方向に沿って移動させながら、前記開口径を有するノズル36から、決定した振幅でレーザビームを切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出するようビーム振動機構を制御すると共にアシストガスを噴出させる。NC装置50は、移動機構である門型のX軸キャリッジ22及びY軸キャリッジ23を制御して、決定した開口径を有するノズル36を取り付けた加工ヘッド35を切断進行方向に沿って移動させる。NC装置50は、加工ヘッド35を切断進行方向に沿って移動させながら、決定した開口径を有するノズル36から、決定した振幅でレーザビームを切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出するようビーム振動機構であるガルバノスキャナユニット32を制御する。NC装置50は、決定した振幅でレーザビームを切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出すると共にアシストガスを噴出させるようアシストガス供給装置80を制御する。
[作用効果]
以上、説明したように、本実施形態によれば以下作用効果が得られる。
レーザ加工機は、照射するレーザビームの焦点位置を板金の内部に設定し、切断する板金の板厚に基づいて、板金の切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振動の振幅、及び加工ヘッドに取り付けるノズルであって、レーザビームが射出し、アシストガスが噴出するノズルの開口の開口径を決定する。レーザ加工機は、決定した開口径を有するノズルを取り付けた加工ヘッドを切断進行方向に沿って板金に対して相対的に移動させながら、前記開口径を有するノズルから、設定した焦点位置及び決定した振幅でレーザビームを切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出すると共にアシストガスを噴出する。
レーザ加工機は、照射するレーザビームの焦点位置を板金の内部に設定する。これにより、レーザビームの照射径が、板金の上面側と下面側とで変化しないようにすることができる。すなわち、レーザビームの照射径が板金の上面側と下面側とで変化しないようにすることで、板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができる。さらに、レーザ加工機は、板金の板厚に基づいて決定した振幅でレーザビームを板金の切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出することにより、板金の板厚に応じた適切なカーフ幅を設定することができる。これにより、板金の切断加工時に生じる溶融物が、カーフから排出されず、板金下面側に付着することで発生するドロスを低減することができる。すなわち、レーザ加工機は、板金の切断面に発生するベベル量を低減することができ、板金の切断面に発生するベベル量による板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができる。
さらに、レーザ加工機は、板金の板厚に基づいて決定した振幅でレーザビームを板金の切断進行方向に対して左右方向に振動させて照射することにより、板金内で発生するレーザビームの反射を低減することができる。これにより、レーザ加工機は、カッティングフロント内の板金下面側の側面方向にレーザビームが過剰に吸収されることを防止することができる。したがって、板金下面側の側面方向における、レーザビームによる板金の過剰な金属溶融及びアシストガスによる過剰な酸化還元反応による金属溶融を低減することができる。すなわち、レーザ加工機は、板金の切断面に発生するベベル量を低減することができ、板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができる。
レーザ加工機は、板金の板厚に基づいて決定した開口径を有するノズルから板金にアシストガスを吹き付けることにより、板金の板厚に応じて板金の下面側に供給されるアシストガスの供給量を適切にコントロールすることができる。したがって、レーザ加工機は、板金の板厚に応じて、アシストガスによって促進される板金下面側での酸化還元反応による板金の金属溶融を適切にコントロールすることができる。すなわち、レーザ加工機は、板金の切断面に発生するベベル量を低減することができ、板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができる。
ノズルの開口径は、板金の板厚が厚くなるほど大きくし、板金の板厚の変化に対して線形に変化させる。板金の切断面に発生するベベル量による板金の上下方向の寸法差を低減するためには、適切な開口径を有するノズルからアシストガスを噴出し、板金の下面側に供給されるアシストガスの供給量を適切にコントロールする必要がある。ノズルの開口の中心部と端部では、アシストガスの流れが異なる。具体的には、ノズルの開口の端部側から噴出したアシストガスは周囲へ拡散して流速が急速に下がるが、ノズルの開口の中心側から噴出したアシストガスは流れが安定していることから、安定的にカッティングフロントへ流れる。そして、カッティングフロントへ到達したアシストガスは、その後気体圧が低下し流速を失う。そのため、アシストガスを安定して板金下面側へ供給するためには、板厚が厚くなるほどノズルの開口の開口径を大きくする必要がある。したがって、レーザ加工機は、ノズルの開口径を、板金の板厚が厚くなるほど大きくし、板金の板厚の変化に対して線形に変化させることにより、板金の下面側へ適切な供給量でアシストガスを供給することができ、板金の下面側での酸化還元反応による板金の金属溶融を適切にコントロールすることができる。すなわち、レーザ加工機は、板金の切断面に発生するベベル量を低減することができ、板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができる。
レーザ加工機は、ノズルの開口径を、算出式(1)によって算出する。実験から得られた近似式である算出式(1)を用いてノズルの開口径を決定することにより、板金の板厚に応じて最適な開口径を有するノズルを決定することができる。なお、本実施形態は、従来加工方法よりもノズル開口径を小さくして加工できるため、アシストガス消費量を低減できる副次的な効果も認められる。
レーザ加工機は、板金の板厚が厚くなるほど板金の切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振幅を大きくする。これにより、板金の板厚が厚くなるほど大きなカーフ幅を形成することができ、板厚が厚くなるほど増加する切断加工時に生じる溶融物を容易に排出する道幅を確保すると共に、板金下面側から排出されずに板金の下面側に付着するドロスを低減することができる。すなわち、レーザ加工機は、板金の切断面に発生するベベル量を低減することができ、板金の上面側と下面側との寸法差を低減することができる。
レーザ加工機は、波長が300nm以上であり1080nm以下のレーザビームを照射する。これにより、CO2レーザ等の波長が10μm帯のレーザビームに比べてエネルギ密度が高く、より高速な切断加工を行うことができる。また、波長が1080nm以下のレーザビームは、CO2レーザと比較してエネルギ変換効率が高く、板金の切断に掛かるコストを低減することができる。さらに、レーザビームを左右方向に振動させることで、カーフ幅拡張を目的とした焦点位置をずらして板金へ照射する場合に対して、エネルギ総量を増加させることなくカッティングフロント内へ熱エネルギを供給することができる。
レーザ加工機は、ビーム振動機構を作動させていない状態において、ノズルの開口から射出するレーザビームと同軸上からアシストガスを噴出する。なお、切断進行方向に対するレーザビームの左右方向の振幅の中心とノズルの中心とは、振幅の中心がノズルの中心よりも切断進行方向に先行しても構わない。要するに、カッティングフロント下面側においてレーザビーム、酸化還元反応熱および伝導熱による板金の金属溶融が適切に保たれるようにすることで、アシストガス流は溶融金属を押し流すだけの力を持った流体であることを確保することができる。
22,23 移動機構
32 ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット)
35 加工ヘッド
36 ノズル
36a 開口
50 制御部(NC装置)
100 レーザ加工機
W 板金
X方向 切断進行方向

Claims (7)

  1. 板金に波長が1μm帯以下のレーザビームを照射すると共にアシストガスを吹き付けて前記板金を切断するレーザ加工方法であって、
    照射する前記レーザビームの焦点位置を前記板金の内部に設定し、
    前記板金の板厚に基づいて、前記板金の切断進行方向に対する前記レーザビームの左右方向の振動の振幅、及び加工ヘッドに取り付けるノズルであって、前記レーザビームが射出し、前記アシストガスが噴出する前記ノズルの開口の開口径を決定し、
    決定した前記開口径を有する前記ノズルを取り付けた前記加工ヘッドを前記切断進行方向に沿って前記板金に対して相対的に移動させながら、前記開口径を有するノズルから、設定した前記焦点位置及び決定した前記振幅で前記レーザビームを前記切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出すると共に前記アシストガスを噴出する
    レーザ加工方法。
  2. 前記ノズルの開口径は、前記板金の板厚が厚くなるほど大きくし、前記板金の板厚の変化に対して線形に変化させる
    請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記ノズルの開口径は、前記ノズルの開口径をyとし、前記板金の板厚をxとした場合、下記算出式により決定される
    y=0.1x+0.2
    請求項1又は2に記載のレーザ加工方法。
  4. 前記切断進行方向に対する前記レーザビームの左右方向の振動の振幅は、前記板金の板厚が厚くなるほど大きくする
    請求項1に記載のレーザ加工方法。
  5. 前記レーザビームは、波長が300nm以上であり1080nm以下である
    請求項1に記載のレーザ加工方法。
  6. 前記アシストガスは、前記レーザビームを振動させていない状態において、前記ノズルの開口から射出するレーザビームと同軸上から噴出する
    請求項1に記載のレーザ加工方法。
  7. 板金に波長が1μm帯以下のレーザビームを照射すると共にアシストガスを吹き付けて前記板金を切断するレーザ加工機であって、
    加工ヘッドに取り付けるノズルであって、前記レーザビームが射出し、前記アシストガスが噴出する開口を有する前記ノズルと、
    前記加工ヘッドを前記板金の切断進行方向に沿って前記板金に対して相対的に移動させる移動機構と、
    前記レーザビームを前記切断進行方向に対して左右方向に振動させるビーム振動機構と、
    前記レーザビームの焦点位置を前記板金の内部に設定し、前記板金の板厚に基づいて、前記切断進行方向に対する前記レーザビームの左右方向の振動の振幅、及び前記ノズルの開口の開口径を決定し、決定した前記開口径を有するノズルを取り付けた前記加工ヘッドを前記切断進行方向に沿って前記板金に対して相対的に移動させながら、前記開口径を有するノズルから、設定した前記焦点位置及び決定した前記振幅で前記レーザビームを前記切断進行方向に対して左右方向に振動させて射出するよう前記ビーム振動機構を制御すると共に前記アシストガスを噴出させる制御部と、を備える
    レーザ加工機。
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