JP2023067185A - 測定方法及び測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】血液中の測定対象物を測定する測定方法及び測定装置において、バイオセンサに血液が追い足し点着されても正しい測定値を得る。【解決手段】測定対象物を含む血液が導入される流路と、流路内に形成され、一方の電極に測定対象物と反応する試薬が載置された上流電極対と、上流電極対より流路の下流側に形成された下流電極対と、を有するバイオセンサを用いて、上流電極対で、上流電極対までの血液の導入である第1導入を検知する第1検知工程と、下流電極対で、下流電極対までの血液の導入である第2導入を検知する第2検知工程と、第1導入を検知した時間的な基準点から、第2導入を検知した時間的な基準点までの時間差を測定する時間測定工程と、第2導入を検知した後で、上流電極対及び下流電極対の電極のうちのいずれか2つの電極を用いて、測定対象物に関連する測定値を時間測定工程において測定した時間差に基づいて取得する測定工程と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、血液中の測定対象物を測定する測定方法及び測定装置に関する。
点着された液体検体を毛細管作用により測定電極まで誘導する流路を有するバイオセンサにおいて、流路に検体が十分に満たされたかどうかを検知する必要がある。そのため、そのような検知には通常、流路において最下流に位置する電極が利用される。多くのバイオセンサにおいては、流路の最下流に検体を検知するための電極を備えており、この最下流の電極を検体検知の作用極とし、グルコース等の測定対象を測定するための電極を対極として兼用することが多い。
下記特許文献1には、液滴を毛細管作用により採取するマイクロチップにおいて、液滴より大きい注入幅を有し当該マイクロチップが装着される本体部より突起する突起部に凹部を有する注入口と、注入口に通じ採取された流体を保持する保持チャンバに連結される毛細管キャビティと、を備え、注入口に連通する毛細管キャビティは、当該突起部の側部も開口して外気に接するように構成して成るマイクロチップが開示されている。
下記特許文献2には、血糖値を測定する生体情報測定装置において、測定精度を高めることを目的として、第1の時間と第2の時間において、電圧印加部から第1の入力端子及び第2の入力端子の間に対して異なる電圧値を印加することで、生体情報の測定のバラツキに影響を与える複数の各種要因を、電流値の変化としてとらえ、この電流値の変化から生体情報補正値を算出し、測定された生体情報測定値を、生体情報補正値によって補正する構成が開示されている。
特開2008-157708号公報 WO2013/183215
本開示の実施態様は、バイオセンサを用いて血液中の測定対象物を測定する測定方法及び測定装置において、バイオセンサに血液が追い足し点着されても正しい測定値を得ることを課題とする。
本開示の一態様は、測定対象物を含む血液が導入される流路と、流路内に形成され、少なくとも一方の電極に測定対象物と反応する試薬が載置された上流電極対と、上流電極対より流路の下流側に形成された下流電極対と、を有するバイオセンサを用いて、測定対象物の測定値を測定する測定方法である。この測定方法は、上流電極対で、上流電極対までの血液の導入である第1導入を検知する第1検知工程と、下流電極対で、下流電極対までの血液の導入である第2導入を検知する第2検知工程と、第1導入を検知した時間的な基準点から、第2導入を検知した時間的な基準点までの時間差を測定する時間測定工程と、第2導入を検知した後で、上流電極対のうち試薬が載置された電極と流路内に設けられる電極との2つの電極を用いて、測定対象物に関連する測定値を時間測定工程において測定した時間差に基づいて取得する測定工程と、を備える。
本開示の実施態様によれば、バイオセンサを用いて血液中の測定対象物を測定する測定方法及び測定装置において、バイオセンサに血液が追い足し点着されても正しい測定値を得ることが可能となる。
実施形態の測定装置の外観を示す斜視図である。 バイオセンサの概略構成を示す模式図である。 測定装置の機能を示すブロック図である。 実施形態の測定方法の一例を示すフローチャートである。 パルス電圧印加とそれに対応する応答電流の関係を示すグラフである。 追い足し点着の時間差とグルコース値の乖離度との関係を表したグラフである。 バイオセンサの変形例の概略構成を示す模式図である。
以下、本開示の実施形態に係る測定方法及び測定装置について説明する。なお、以下の説明では、バイオセンサに点着された血液が流路内で流動する方向に沿って、「上流側」及び「下流側」を定義している。
(1)測定方法
本実施形態に係る測定方法は、測定対象物を含む血液が導入される流路と、流路内に形成され、少なくとも一方の電極に測定対象物と反応する試薬が載置された上流電極対と、上流電極対より流路の下流側に形成された下流電極対と、を有するバイオセンサを用いて、測定対象物の測定値を測定する測定方法である。この測定方法は、上流電極対で、上流電極対までの血液の導入である第1導入を検知する第1検知工程と、下流電極対で、下流電極対までの血液の導入である第2導入を検知する第2検知工程と、第1導入を検知した時間的な基準点から、第2導入を検知した時間的な基準点までの時間差を測定する時間測定工程と、第2導入を検知した後で、前記上流電極対のうち前記試薬が載置された電極と前記流路内に設けられる電極との2つの電極を用いて、測定対象物に関連する測定値を時間測定工程において測定した時間差に基づいて取得する測定工程と、を備える。
測定対象物とは、血液中に含まれる化学的成分をいい、たとえば、グルコース(血糖)又はラクテート(乳酸)等である。上流電極対は、流路の上流側に位置する一対の電極であり、少なくとも一方の電極上に試薬が載置されている。なお、上流電極対は、電極対の全面が試薬に覆われていてもよいが、上流電極対のうち下流側の電極上にのみ試薬が載置されていることが望ましい。試薬は、測定対象物と反応する化学物質であって、たとえば、酵素及びメディエータを含むものであってもよい。下流電極対は、上流電極対の下流側に位置する一対の電極である。ここで、上流電極対と下流電極対とは、一部の電極を共有してもよいが、それぞれ別の電極から構成されることが望ましい。また、下流電極対にも試薬が載置されていてもよく、上流電極対に載置されている試薬から連続している形状であってもよい。
上流電極対の間が、流路に点着された血液を介して電気的に導通することで、この上流電極対までに血液が導入されたことを意味する第1導入が検知される。また、第一導入が検知したとする時間的な基準点も取得する。この第1導入を検知する工程が、第1検知工程である。
この第1検知工程は、上流電極対の間にパルス電圧を印加する工程と、印加したパルス電圧に対応する応答電流のピーク値を測定する工程と、測定したピーク値が所定の電流閾値を超えたか否かを判断し、超えた回数が所定回数以上の場合に第1導入を検知する工程と、を含んでなることが望ましい。すなわち、パルス電圧によるパルス波で応答電流のピーク値を測定する場合、同じ値の直流電圧を印加した場合に比べ高い値を得ることができる。たとえば、パルス波の周波数は、1~2000Hz(周期は、0.5m秒~1秒)、パルス波のベースからピークまでの電位差は50~1000mV、パルス波がベースからピークまで立ち上がる時間は30μ秒以下であることが望ましい。この時間が30μ秒以下であることで、応答信号のピーク値を高精度に発生させることができる。なお、上記所定回数は、1回であってもよいが、静電気のようなノイズ成分によって偶発的に得られた高いピーク値による誤判定を避けるために、複数回、さらには3回であることが望ましい。この第1検知工程における血液が導入されたことを検知したとする時間的な基準点は、測定したピーク値が検出された時点でもよいし、所定の電流閾値を超えた時点であってもよい、また、この時間的な基準点は、複数回検知する場合には、その最後の測定におけるピーク値が検出された時点でもよいし、所定の電流閾値を超えた時点であってもよい。
次に、下流電極対の間が血液を介して電気的に導通することで、下流電極対までに血液が導入されたことを意味する第2導入が検知される。この第2導入を検知する工程が、第2検知工程である。下流電極対のうちの一方の電極は流路の最下流に設けられていることが望ましく、その場合、下流電極対まで血液が導入されたことが検知されれば、流路全体に血液が満たされたと考えることができる。
この第2検知工程は、下流電極対の間に電圧を印加する工程と、印加した電圧に対応する応答電流値を測定する工程と、測定した応答電流値が所定の電流閾値を超えたか否かを判断し、超えていた場合に第2導入を検知する工程と、を含んでなることが望ましい。第一導入と同様に、第二導入が検知したとする時間的な基準点も取得している。第2検知工程で印加する電圧は直流電圧であって、測定した応答電流値が所定の電流閾値を超えたか否かを判断してもよい。この第2検知工程における血液が導入されたことを検知したとする時間的な基準点は、測定した応答電流値が所定の電流閾値を超えた時点であってもよいし、応答電流値の最も高い値が検出された時点でもよい。
時間測定工程では、第1導入の検知から、第2導入の検知までの時間差が測定される。具体的には、第2検知工程における血液が導入されたことを検知したとする時間的な基準点から、第1検知工程における血液が導入されたことを検知したとする時間的な基準点までの時間差を演算すればよい。なお、それぞれの時間的な基準点は、時刻で記憶しておき、その差分を時間差としてもよく、第1検知工程における時間的な基準点から第2検知工程における時間的な基準点が検知されるまでの時間をカウントした結果を時間差としてもよい。
そして、第2導入が検知された後で、上流電極対のうち試薬が載置された電極を少なくとも含む2つの電極を用いて、血液中の測定対象物に関連する測定値が取得される測定工程が実行される。この2つの電極のうちのもう一方の電極は、上流電極対及び下流電極対の電極のうちいずれかの電極であることが望ましく、下流電極対のうちの上流側に位置する電極であることがさらに望ましい。ただし、もう一方の電極は、上流電極対及び下流電極対以外の電極、たとえば、上流電極対の下流側の電極と下流電極対の上流側の電極との間に形成された電極であってもよい。この測定工程においては、時間測定工程で測定された時間差に基づいて測定値が取得される。
ここで、第1導入が検知された時点では、試薬が載置された電極を含む上流電極対までは検体が到達していることになる。そして、第2導入の検知までの時間差が正常値(たとえば、0.5秒未満)よりも長い場合は、流路への血液の点着が二度行われた、すなわち、追い足し点着されたと見なせる。このうち、第2導入の検知までの時間差が正常値より長い所定値(たとえば、5秒)よりも長い場合は電極上で測定対象物との反応に関与するはずの試薬の多くが溶解するため、二度目に点着された血液によって試薬が載置された位置から下流に押し流される。これによって、測定対象物の測定値を測定する際には、時間差が本来の極短時間の場合(すなわち、一度の点着で十分量の血液が点着された場合)と比較して、電極上で測定対象物との反応に関与するはずの試薬の量が少なくなり(枯渇した状態となり)、その結果、試薬と反応する測定対象物の量が低下し、その結果、応答電流値も低下する。一方、第2導入の検知までの時間差が上記正常値よりも長く所定値よりも短い場合(たとえば、0.5~5秒)は、一度目の点着で電極上の試薬が多少溶解するものの下流には押し流される量は少ないが、一度の点着で十分量の血液が点着された正常な場合(たとえば、時間差が0.5秒未満の正常値の場合)と比較して、一度目の点着から二度目の点着までに放置されている間に試薬が溶解して、測定対象物と試薬との反応が進むことになる。したがって、測定値を得るために電圧を印加する時点で、測定対象物と試薬との反応が、正常な場合より進行した状態になっている。言い換えると、反応速度が速くなっている状態の応答電流答値を測定することになるため、その結果として反応が増強され、応答電流値が高値化する。
そこで、測定工程では、まず、前記した2つの電極を用いて、測定対象物に関連するパラメータを取得する予備測定工程を実行した上で、このパラメータを時間差に基づいて補正することで測定値を取得する補正工程を実行することが望ましい。ここでいうパラメータとは、たとえば、電極間に電圧を印加して得られた応答電流値であってもよいし、また、既知の濃度の測定対象物を含む血液で測定した応答電流値により得られた検量線に、この応答電流値を適用して得られた測定対象物の仮の濃度であってもよい。なお、本実施形態でいう測定値とは、電極間に電圧を印加して得られた、真の濃度に対応できている応答電流値であってもよいし、また、既知の濃度の測定対象物を含む血液であらかじめ測定した応答電流値により得られた検量線に、この応答電流値を適用して得られた測定対象物の真の濃度であってもよい。
そして、補正工程では、前記時間差に対応して前記パラメータを補正演算するための補正情報を参照して、前記パラメータを前記時間差に基づいて補正して前記測定値を取得する。この補正情報は、前記した時間差が正常値より長く、所定値未満の場合、得られたパラメータの数値を低下させることで、電極での反応の増強により割り増しされたパラメータの数値を割り引く演算情報であり、これによって真の濃度の数値が推測される。また、この補正情報は、前記した時間差が所定値以上の場合、得られたパラメータの数値を上昇させることで、電極での反応の低下により割り引かれたパラメータを割り増す演算情報であり、これによって真の濃度の数値が推測される。ただし、時間差が限界値を超える(たとえば、10秒より長い)場合には、エラー表示し、数値を推測しないこととしてもよい。ここで、補正情報とは、後述する補正係数であってもよいし、また、既知の濃度の測定対象物を含む血液を測定して得られた測定値に基づく検量線又は対比表であってもよい。
正常値は、たとえば、あらかじめ複数の血液について流路を満たすことができる十分量の血液をバイオセンサの流路に流した場合における、第1導入の時間的な基準点と第2導入の時間的な基準点の時間差(経過時間)を事前に測定しておき、これらの複数の時間差の平均値や中央値として設定すればよい。また、上述した血液に試薬の溶解の影響がパラメータには実質的に表れてこない、ごく短時間の時間差の場合を正常値とすることもできる。
所定値は、たとえば、あらかじめ複数の血液について種々の時間差で追い足し点着を行った場合のパラメータと、時間差が正常値の場合のパラメータとの比率を演算し、その演算結果が、100%より高い値から100%より低い値に変化する変曲点、つまり100%となる時間差を所定値として設定すればよい。なお、所定値は時間差における閾値であることから、時間閾値と言い換えることができる。
ここで、補正工程における補正の方法としては、たとえば、あらかじめ複数の検体について種々の時間差で追い足し点着を行った場合のパラメータを測定しておく。時間差がゼロの場合に測定したパラメータに対するパラメータの乖離度の割合から算出された補正係数を種々の時間差ごとに求めてデータテーブル化しておいて、予備測定工程で取得されたパラメータに、測定された時間差に対応する補正係数を乗ずることで行うことができる。なお、時間差がゼロとは、正常値の時間差を指していてもよい。
たとえば、時間差ゼロの場合のパラメータをPとし、時間差t(秒)の場合のパラメータをPとしたとき、乖離度X(%)は下記式(1)にて算出することができる。
X=(P-P)/P×100 ・・・(1)
たとえば、tが所定値未満の場合はこの乖離度Xは正の値となり、また、tが所定値以上の場合はこの乖離度Xは負の値となる。そして、この乖離度Xから、補正係数Cは下記式(2)にて算出することができる。
C=100/(100+X) ・・・(2)
すなわち、tが所定値未満の場合は、乖離度Xは正の値であるから、補正係数Cは1未満の値となり、これを乗じられたパラメータの数値は低下する。一方、tが所定値以上の場合は、乖離度Xは負の値であるから、補正係数Cは1以上の値となり、これを乗じられたパラメータの数値は上昇する。
ここで、実際の血液検体を測定した際の時間差の値が、上記したデータテーブル中に該当するものがなかった場合、データテーブル中でその測定された時間差の値の前後に位置する時間差に対応する補正係数Cの値から線形補間することで補正係数Cを算出することができる。
なお、補正係数に基づきパラメータの補正を行う方法は一例であって、あらかじめ複数の検体について種々の時間差で追い足し点着を行った場合のパラメータを測定しておき、時間差がゼロの場合に測定したパラメータに対する乖離度の割合から算出された検量線や対比表のような、パラメータを補正演算するための補正情報を参照してパラメータを補正してもよい。
なお、測定工程では、上記のようなパラメータの補正を行わずに、第2導入を検知した後で時間差に基づいた測定条件を選択しこれに基づいて測定値を取得することとしてもよい。具体的には、電極間に印加する電圧を変更する、又は、応答電流値を測定するタイミングを変更するなどの、測定条件を変更する方法が挙げられる。たとえば、電極間に印加する電圧を、時間差が前記の所定値未満の場合は時間差ゼロの場合より弱めて取得される応答電流値を低下させる一方、時間差が前記の所定値以上の場合は時間差ゼロの場合より高めて応答電流値を上昇させることができる。この場合の印加電圧値は、たとえば、時間差ゼロの場合に適用される電圧値をEとすると、時間差tの場合に適用される電圧値Eは、前記補正係数Cを用いて下記式(3)にて算出することができる。
=E×C ・・・(3)
そして、上記電圧値Eの電圧を電極間に印加して得られた応答電流値を、あらかじめ定めておいた検量線に当てはめることで、測定対象物に関する測定値を取得することができる。
なお、前記測定は、上流電極対及び下流電極対の電極を含む、バイオセンサの流路内に形成されるいずれかの2つの電極を用いて取得される測定対象物とは異なる別の項目の測定値に基づいて補正することとしてもよい。別の項目としては、たとえば、ヘマトクリット値が挙げられる。たとえば、前記した乖離度Xを種々のヘマトクリット値を有する血液で測定しておいてヘマトクリット値ごとに補正係数Cのデータテーブルをあらかじめ作成し、測定工程において測定されたヘマトクリット値に対応するデータテーブルを選択することで、ヘマトクリット値による補正を行うことができる。なお、実際に測定したヘマトクリット値に該当するデータテーブルがない場合は、その測定したヘマトクリット値の前後のヘマトクリット値に対応するデータテーブルから線形補間することで対応することができる。
(2)測定装置
上述の測定方法を実施する測定装置の一実施形態について、以下に述べる。図1は、本実施形態に係る測定装置1の外観を示す斜視図である。本実施形態は、一例として、測定装置1を、携帯型の血糖値計とした場合の例である。図1において、測定装置1としての携帯型の血糖値計と、この測定装置1に着脱可能に構成されたバイオセンサ2とが設けられている。このバイオセンサ2には、後述の流路2a内に試料としての患者の血液が導入されるように流路2aの導入口としての血液供給口2dと、血液が導入されたことによる流路2a内の空気を排出するための空気孔2eが形成されており、血液中の血糖値(グルコース値)を検出するための機能を有するように構成されている。図1に示す測定装置1は、たとえば、携帯型の血糖測定器や血糖自己測定メータなどの血糖値計として使用することができる。
また、測定装置1は、本体1aを備えており、この本体1aには、短冊状のバイオセンサ2を挿入するための挿入口1bが設けられている。また、本体1aには、たとえばマイクロプロセッサにて構成されるとともに、測定装置1の各部の制御を行う制御部100が設けられている。また、本体1aは、図3に示すように、バイオセンサ2に対して、所定の電圧信号を供給するとともに、バイオセンサ2から測定結果を示す電圧信号を受け取ってA/D変換する電圧印加器50、及び、測定値を示す測定データを生成する測定器60と、測定部で得られた測定データを記録する図示しない記録部とを有する制御部100を備えている。この測定器60で得られた測定データは、測定時間や患者IDなどと関連付けて、記録部に記録されるようになっている。
また、本体1aには、測定データを表示する表示画面1cと、外部機器とデータ通信するためのコネクタ1dとが設けられている。このコネクタ1dは、外部機器としてのスマートフォンなどの携帯機器やパーソナルコンピュータなどとの間で、測定データ、測定時間、患者IDなどのデータを送受信するようになっている。すなわち、測定装置1では、コネクタ1dを介在させて、外部機器に測定データや測定時間を転送したり、外部機器から患者ID等を受信して測定データなどと関連付けたりすることができるように構成されている。
なお、上記の説明以外に、たとえば上記測定器60をバイオセンサ2の端部に設けて、バイオセンサ2の側で測定データを生成する構成でもよい。また、測定装置1の本体1aにおいて、患者などのユーザがデータを入力するためのボタン、タッチパネル等の入力部を含むユーザインタフェースを備えてもよい。また、表示画面1cや記録部などを本体1aに設けずに、本体1aと接続可能な外部装置に設ける構成であってもよい。
図2は、本実施形態の測定装置1で使用されるバイオセンサ2の模式図である。図中、上側が上流側であり、下側が下流側である。バイオセンサ2においては、たとえば、合成樹脂(プラスチック)を用いて形成された基板上に、たとえば、金(Au)のような金属材料、又はカーボンのような炭素材料を用いて形成された電極層が形成される。電極層の上に、被覆領域2bとして矩形状の切抜部を有する図示しないスペーサ、さらにその上に空気孔2eが形成された図示しない合成樹脂製のカバーが積層される。基板、スペーサ、及びカバーの積層により、スペーサの切抜部によって形成された血液供給口2dを有する空間が形成され、この空間が流路2aとなる。空気孔2eは流路2aの下流端付近に形成されている。
本実施形態において、電極層は、第1電極対10としての第1作用極11及び第1対極12、第2電極対20としての第2作用極21及び第2対極22、並びに血液検知極30の5つの電極が流路2a内にバイオセンサ2の長手方向及び幅方向にそれぞれが平行して矩形状に露出するように形成されており、流路2aに露出した第1電極対10、第2電極対20、血液検知極30が導入された血液と接触し、測定領域として機能する。なお、隣接する各電極間は絶縁されている。たとえば、物理蒸着によって形成された金属材料によって電極層が形成されている場合には、レーザ光で所定の電極パターンを描くこと(トリミング)により各電極間が絶縁されている。また、炭素材料を用いて形成された電極層の場合では所定の間隔を空けてそれぞれの電極が形成される。本実施形態の電極層は、ニッケルバナジウム合金を用いて形成されている。
各電極は、バイオセンサ2の長手方向に沿って延設され、上流端側で幅方向に屈曲している。この屈曲部分は、上流側から、第2作用極21、第2対極22、第1作用極11、第1対極12及び血液検知極30の順に、幅方向に並行に位置している。各電極は、バイオセンサ2の上流端から下流端近傍までの被覆領域2bで図示しない前記のカバーで被覆されているが、下流端部分は被覆されずに露出し、この部分が本体1aの挿入口1bに挿入されるコネクタ領域2cとなっている。このコネクタ領域2cでは、第1作用極11のリード部11a、第1対極12のリード部12a、第2作用極21のリード部21a、第2対極22のリード部22a及び血液検知極30のリード部30aがそれぞれ露出した接点となっている。
バイオセンサ2の上流部分の幅方向中央部分において、各電極と図示しないカバーとの間に間隙が形成されている。この間隙は、上述のとおり測定対象物を含む血液が導入され流動するキャピラリ状の流路2aである。また、上流側から数えて2番目の電極である第2対極22と、3番目の電極である第1作用極11との間の間隙である非導電領域45は、他の電極間の間隙よりも広くなっている。この非導電領域45は、レーザ光で矩形状のパターンを電極層に描かれることによって他の電極と絶縁されて形成された領域である。さらに、第1作用極11の上には試薬40が載置されている。この試薬40が載置されている領域は、下流側は第1対極12の半ばまでに至り、上流側は非導電領域45の半ばまでに至るが、第2対極22までには及んでいない。換言すると、第1作用極11と第2対極22との間が非導電領域45で隔てられているため、第1作用極11に載置されている試薬40と第2対極22との接触が妨げられている。バイオセンサ2の血液供給口2dに血液が点着されると、流路2aの中を、毛細管力によって第2作用極21、第2対極22、第1作用極11、第1対極12及び血液検知極30の順に下流側に流動していく。このとき、血液が第1作用極11に至ると、第1作用極11に載置されている試薬40が血液により溶解される。
図3は、本実施形態の測定装置1の機能を示すブロック図である。本実施形態の測定装置1は、上述のとおり、血液中の測定対象物を測定する第1作用極11及び第1対極12からなる第1電極対10と、第1電極対10の上流側に形成されるとともに第2作用極21及び第2対極22からなる第2電極対20と、第1電極対10の下流側に形成される血液検知極30と、少なくとも第1作用極11に接して載置されるとともに測定対象物と反応する試薬40と、を有するバイオセンサ2を備える。そして、第2対極22と第1作用極11とで上流電極対15が構成され、また、その下流側の第1対極12と血液検知極30とで下流電極対25が構成される。上流電極対15を構成する一方の電極である第1作用極11には、前記したように試薬40が載置されている。
バイオセンサ2の各電極のリード部11a、12a、21a、22a及び30aはそれぞれ並列に後述の電圧印加器50及びグランドと接続回路200によって接続している。接続回路200には、電圧印加器50とリード部11aとの間に第1作用極用スイッチ211、電圧印加器50とリード部12aとの間に第1対極用スイッチ212、電圧印加器50とリード部21aとの間に第2作用極用スイッチ221、電圧印加器50とリード部22aとの間に第2対極用スイッチ222、及び電圧印加器50とリード部30aとの間に血液検知極用スイッチ230がそれぞれ設けられている。
さらに、各電極のリード部11a、12a、21a、22a及び30aと、各々に対応するスイッチ211、212、221、222、230との間はそれぞれ分岐しており、グランドに並列に接続している。そして、それぞれの分岐点とグランドとの間の接続回路200には第1作用極用グランドスイッチ311、第1対極用グランドスイッチ312、第2作用極用グランドスイッチ321、第2対極用グランドスイッチ322、血液検知極用グランドスイッチ330がそれぞれ設けられている。それぞれのスイッチは電子スイッチであり、後述のとおり、制御部100によってオン・オフ制御されるようになっている。
測定装置1は、電源を備えた電圧印加器50を備えている。電圧印加器50は接続回路200を通じて各電極と接続できるようになっている。また、電圧印加器50には、電極間に流れる電流を電圧に変換して出力する電流/電圧変換回路51、電流/電圧変換回路51からの電圧値をパルスに変換するA/D変換回路52を有している。制御部100によって使用する電極に対応する所望のスイッチをオンし、グランドにおいて各電極間に印加する電圧を可変制御することで、電圧印加器50は電極間に電圧を印加するとともに、電極間に流れる応答電流値を取得できる。
測定装置1はさらに、所定のプログラムを実行する中央制御装置である制御部100を備える。制御部100は、電圧印加器50のA/D変換回路52からのパルスに基づいて、測定対象物(たとえば、グルコース値)に関する第1情報、及び、測定対象物とは別の測定項目(たとえば、ヘマトクリット値)に関する第2情報に対応するパラメータを取得し、さらにパラメータを補正する測定器60(第1情報を取得する場合は予備測定器61と称され、第2情報を取得する場合は補助測定器62と称され、また、パラメータの補正を行う場合は補正器63と称される。)、第1導入及び第2導入を検知する導入検知器65(第1導入を検知する場合は第1検知器66と称され、また、第2導入を検知する場合は第2検知器67と称される。)、第1導入の検知から第2導入の検知までの時間差を測定する時間測定器70と、を有する。
測定装置1はさらに、時間測定器70で測定された時間差が限界値以上の場合にエラー表示を行うエラー表示器90と、を有する。
以下、各検知工程及び各測定工程について、各スイッチの開閉状態を示した下記表1を参照しつつ説明する。
Figure 2023067185000002
前記(1)で説明した第1検知工程では、第2対極22及び第1作用極11で構成される上流電極対15が使用される。第1検知工程では、まず、制御部100が第2対極用スイッチ222と第1作用極用グランドスイッチ311とを接続状態(CLOSE)とし、それ以外のスイッチは非接続状態(OPEN)となるように制御する(表1参照)。次に、電圧印加器50が第2対極22と第1作用極11との間に定常電圧(たとえば、200mV)を印加する。この際、制御部100が第2対極用スイッチ222を所定周期で開閉するよう制御することで、これらの電極間に周期的にパルス電圧を印加することができる。第1作用極11まで血液が導入されると、測定器60は印加したパルス電圧に対応する応答電流のピーク値を測定することができる。導入検知器65(第1検知器66)は、測定器60が測定した応答電流のピーク値が所定の電流閾値を超えたか否かを判断し、超えている場合に第1導入を検知する。
なお、上記の本実施形態では、第2対極22を作用極としている。バイオセンサ2に点着した血液が不足している場合、上流側に位置する電極上には比較的多い血液量が存在するものの、下流側の電極上では血液量が少ない状況となる。そこで、上流側に位置する第2対極22を作用極とすることで、電流の流れが発生しやすくなるため、血液の不足を検知する精度を高くすることができる。
一方、下流側に位置する第1作用極11を作用極とした場合には、後述の予備測定工程における第1作用極11と、作用極を共通にすることができる。これにより、電気回路の構成を簡便にすることができる。この場合、第1作用極用スイッチ211と第2対極用グランドスイッチ322とが接続状態となるように制御することが必要となる。
なお、図3においては、第2電極対20のうち下流側に位置する第2対極22を上流電極対15の一部としているが、第2作用極21を下流側に配置する場合には、第2作用極21が上流電極対15の一部となる。図3においてはまた、第1電極対10のうち上流側に位置する第1作用極11を上流電極対15の一部としているが、第1対極12を上流側に配置し、かつ、第1対極12の上にも試薬40が載置される場合には、第1対極12が上流電極対15の一部となる。印加されるパルス電圧の電圧値は、たとえば、50~1000mVの範囲、より好ましくは100~600mVの範囲で設定することが望ましい。また、応答電流のピーク値は、たとえば、0.3μA以上、より好ましくは0.7μA以上で設定することが望ましい。
前記(1)で説明した第2検知工程では、第1対極12及び血液検知極30で構成される下流電極対25が使用される。第2検知工程では、まず、制御部100が第1対極用スイッチ212と血液検知極用グランドスイッチ330とを接続状態とし、それ以外のスイッチは非接続状態となるように制御する(表1参照)。次に、電圧印加器50が、第1対極12と血液検知極30との間に定常電圧(たとえば、200mV)を印加する。この際、制御部100が第1対極用スイッチ212を常時接続状態とすることで、これらの電極間に周期的に直流電圧を印加することができる。血液検知極30まで血液が導入されると、測定器60は印加した直流電圧に対応する応答電流のピーク値を測定することができる。導入検知器65(第2検知器67)は、測定器60が測定した応答電流のピーク値が所定の電流閾値を超えたか否かを判断し、超えている場合に第2導入を検知する。
なお、本実施形態では、第1電極対10のうち下流側に位置する第1対極12を下流電極対25の一部としているが、上流側に位置する第1作用極11を下流電極対25の一部としてもよい。印加される直流電圧の電圧値は、たとえば、50~1000mVの範囲、より好ましくは100~600mVの範囲で設定することが望ましい。また、応答電流のピーク値は、たとえば、0.1μA以上、より好ましくは0.15μA以上で設定することが望ましい。また、本実施形態では直流電圧を印加したが、制御部100が第1対極用スイッチ212を所定周期で開閉するよう制御することで、パルス電圧を印加することもできる。この場合、パルス電圧に応答する応答電流値のピーク値、又は初期応答から所定の時間経過後の電流値を測定器60が測定し、この電流値が所定の電流閾値を超えたか否かを導入検知器65(第2検知器67)が判断することによって、第2導入を検知してもよい。
時間測定器70は、前記(1)で説明した時間測定工程を実施する。時間測定器70は、導入検知器65で検知した第1導入を検知した時間的な基準点から、第2導入を検知した時間的な基準点までの時間差を測定する。時間測定器70は、測定装置の制御部100において、所定のプログラムを実行する中央制御装置(CPU)をもって充てることができる。
前記(1)で説明した予備測定工程では、第1電極対10、すなわち第1作用極11及び第1対極12が使用される。予備測定工程では、まず、制御部100が第1作用極用スイッチ211と第1対極用グランドスイッチ312とを接続状態とし、それ以外のスイッチは非接続状態となるように制御する(表1参照)。次に、電圧印加器50が、第1電極対10に直流電圧(たとえば、200mV)を印加すると、測定器60(予備測定器61)は、印加した直流電圧に対応する第1情報としての応答電流値を測定する。印加される直流電圧の電圧値は、たとえば、100~1000mVの範囲、より好ましくは200~500mVの範囲で設定することが望ましい。
予備測定器61で測定された応答電流値は、そのままの値で第1情報としてもよい。また、あらかじめ既知の濃度の測定対象物で測定した応答電流値で作成した検量線又は対比表との参照により、測定対象物の濃度に換算された値を第1情報としてもよい。
また、第2情報を測定する補助測定工程では、第2電極対20、すなわち第2作用極21及び第2対極22が使用される。補助測定工程では、まず、前記第1情報を測定する前又は後のいずれかで、制御部100が第2作用極用スイッチ221と第2対極用グランドスイッチ322とを接続状態とし、それ以外のスイッチは非接続状態となるように制御する(表1参照)。次に、電圧印加器50が、第2電極対20に直流電圧(たとえば、3.5V)を印加すると、測定器60(補助測定器62)は、印加した直流電圧に対応する第2情報としての応答電流値を測定する。印加される直流電圧の電圧値は、たとえば、2~20Vの範囲、より好ましくは3~10Vの範囲で設定することが望ましい。
補助測定器62で測定された応答電流値は、そのままの値で第2情報としてもよい。また、あらかじめ補助測定器62の測定項目(たとえば、ヘマトクリット値)について既知である別の血液で測定した応答電流値で作成した検量線又は対比表との参照により、測定項目の数値に換算された値を第2情報としてもよい。
補正器63は、前記(1)で説明した補正工程を実施する。すなわち、補正器63は、時間測定器70で測定した時間差及び第2情報を基に、パラメータとしての第1情報を補正し、測定値としての測定対象物の濃度を演算する。この補正器63は、測定装置の制御部において、所定のプログラムを実行する中央制御装置(CPU)をもって充てることができる。補正器63におけるパラメータの補正については、前記(1)の補正工程での説明と同様である。
エラー表示器90は、時間測定器70が測定した時間差が所定の値を超えていた場合に、たとえば、エラーメッセージを表示したり、音声による警告音を発する装置として実現される。たとえば、図1の測定装置1における表示画面1cをエラー表示器90として、これにエラーメッセージを表示させることができる。
(3)測定例
以下、本実施形態の測定方法の一例を、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。この例では、第1情報としてグルコース値が、第2情報としてヘマトクリット値がそれぞれ測定される。なお、第1情報として取得されるグルコース値は、血液中のヘマトクリット値の影響を受けた値であり、第2情報として取得されるヘマトクリット値に基づいて補正する必要がある。
図2に示すバイオセンサ2は、たとえば、幅6mm、長さ30mmの基板上に各電極を設けることで形成される。流路2aの幅は、たとえば、2mm、長さは4mmである。
まず、第1作用極11の上に載置される試薬40の組成の一例は、以下のとおりである。
塩化ヘキサアンミンルテニウム(III):38.9質量%
1-メトキシPES(同仁化学研究所):0.2質量%
SNデフォーマー1315(サンノプコ):0.1質量%
0.6Mリン酸緩衝液(pH7.0):8.8質量%
CHAPS(同仁化学研究所):4.0質量%
グリシン:4.0質量%
蒸留水:44.0質量%
この組成の試薬40の0.1mgを、第1作用極11を中心とした、幅3mm、長さ1mmの領域に塗布する。なお、この領域は、下流側は第1対極12の半ばくらいまで、上流側は非導電領域45の半ばくらいまでを覆うように調整される。また、この試薬40が塗布された領域に、グルコース脱水素酵素(AMANO8、天野エンザイム)4.1ユニットが塗布される。
このバイオセンサ2を、測定装置1の本体1aのコネクタ1dに装着する。そして、図4のS100に示す第1検知工程において、まず、制御部100が第2対極用スイッチ222と第1作用極用グランドスイッチ311とを接続状態とし、それ以外のスイッチは非接続状態となるように制御する(表1参照)。次に電圧印加器50によって、上流電極対15(第2対極22及び第1作用極11)の間に、200mVの定常電圧が印加される。続いて、流路2aに血液が点着され、第2対極22と第1作用極11との上に血液が満たされると、測定器60によって閾値電流である0.7μA以上の電流が測定される。これによって、電極間が電気的に接続されたことを検知する。1回目の0.7μA以上の電流の検知の後、制御部100が第2対極用スイッチ222を2.5m秒間の所定周期で開閉制御することで、電極間に2.5m秒間の500mVの電圧印加と、2.5m秒間の印加停止とが繰り返されるパルス電圧が印加されるように、電圧印加方法が変更される。
図5は、電圧印加と電流との関係を示すグラフである。上のグラフのように初期の定常電圧や2回目以降のパルス電圧が印加されると、下のグラフのように過渡応答を示すピークを有する電流が発生する。このピークの電流値であるピーク値が、0.7μAの閾値電流以上になったのを所定回数、具体的には3回検知したかどうかが、S110に示す段階において、導入検知器65(第1検知器66)によって判断される。閾値以上のピーク値が3回検知されるまでは、電圧の印加が繰り返される。なお、初期の電圧印加方法は、200mVの定常電圧ではなく、2回目以降と同様に2.5m秒間の500mVの電圧印加と、2.5m秒間の印加停止とが繰り返されるパルス電圧(交流電圧)であってもよい。
なお、図5に示すように、1回目のピーク値はその後のピーク値と比較して低い値となる傾向がある。1回目のピークを有する電流が発生する時点では、第1作用極11の全面には血液が到達しておらず、また試薬も血液によって完全には溶解されていないためと考えられる。そのため、1回目のピーク値における電流閾値(第1電流閾値)を、その後のピーク値の電流閾値(第2電流閾値)が上回ることが好ましい。その1回目のピーク値における電流閾値は、たとえば、0.2~0.5μA、より好ましくは0.35μAとすることができる。
S110に示す段階で閾値以上のピーク値が3回検知されて第1導入が検知されると、S120に示す第2検知工程において、まず、制御部100が第1対極用スイッチ212と血液検知極用グランドスイッチ330とを接続状態とし、それ以外のスイッチは非接続状態となるように制御する(表1参照)。そして、電圧印加器50によって、下流電極対25(第1対極12及び血液検知極30)の間に、200mVの連続電圧を印加する。そして、測定器60によって、図5と同様の電流のピーク値が検知される。このピーク値が、0.15μAの閾値電流以上で所定時間、具体的には15msecの持続を検知したかどうかが、S130に示す段階において、導入検知器65(第2検知器67)によって判断される。この検知がされなければ、S140に示す時間測定工程において、時間測定器70が、第1導入が検知されてから上限時間、具体的には10秒が経過したかどうかを判定する。経過しなければ再びS120に示す段階で電圧の印加が繰り返される。一方、上限時間が経過したと判定されると、S160に示すエラー処理工程において、エラー表示器90によってエラー処理が行われ、以後の処理は停止される。
一方、S130に示す段階で閾値電流以上のピーク値が15msec以上持続して第2導入が検知されると、S150に示す時間測定工程において、時間測定器70が、第1導入が検知されてから第2導入の検知までの時間差を取得する。すなわち、第1導入を検知した時間的な基準点から、第2導入を検知した時間的な基準点までの時間差を測定する。
次いで、S170に示す予備測定工程において、測定器60(予備測定器61)によって第1情報が測定される。それと同時に、補助測定工程において、測定器60(補助測定器62)によって第2情報が測定される。
第1情報の測定においては、まず、制御部100が第1作用極用スイッチ211と第1対極用グランドスイッチ312とを接続状態とし、それ以外のスイッチは非接続状態となるように制御する(表1参照)。次に、電圧印加器50によって第1電極対10で4.5秒間200mVの電圧が印加され、それに伴う応答電流値としての第1情報が、測定器60(予備測定器61)によって測定される。また、第2情報の測定においては、まず、制御部100が第2作用極用スイッチ221と第2対極用グランドスイッチ322とを接続状態とし、それ以外のスイッチは非接続状態となるように制御する(表1参照)。次に、電圧印加器50によって第2電極対20で1秒間3.5Vの電圧が印加され、それに伴う応答電流値としての第2情報が、測定器60(補助測定器62)によって測定される。さらに、第1情報の応答電流値を、あらかじめ定めておいた検量線に当てはめて、パラメータとしてのグルコース値が算出される。
そして、S180に示す補正工程において、補正器63によって、第2情報のヘマトクリット値及び時間差から、補正係数が取得される。ここで、第1検知から第2検知までの時間差、つまり、第1導入を検知した時間的な基準点から、第2導入を検知した時間的な基準点までの時間差と乖離度との関係を実際に測定した例を、図6に示す。図6は、グルコース値が一定で、ヘマトクリット値がそれぞれ10%、42%及び55%であることが分かっている血液を、第一検知を検出する上流電極対を満たすように到達するが、第二検知を検出する下流電極対までには到達しない量で、バイオセンサ2に点着した後、1.5秒後、5秒後、10秒後及び20秒後に追い足し点着して、流路全体を満たした後に測定した応答電流値(すなわちグルコース測定値)の、追い足し点着をしなかった場合(つまり、一度の血液の点着で流路全体を満たした場合)の応答電流値(すなわちグルコース測定値)に対する乖離度(%)を、時間差との対応でプロットしたグラフである。各プロットは45個の血液検体の平均値である。それぞれの乖離度(%)は式(1)にて算出した値である。なお、時間差0.5秒のプロットは、追い足し点着をしなかった場合の時間差を示している。つまり、0.5秒の乖離度(%)は追い足し点着をしなかった場合の応答電流値そのものであり、式(1)に基づき、P-P=0となり、前記式(1)のXも0となり、前記式(2)の補正係数Cは1となる。この結果、いずれのヘマトクリット値でも、時間差1.5秒でプラスの乖離度のピークを示し、その後5秒までは乖離度はプラスとなって補正係数Cは1を下回ったが、5秒以降は時間差が大きくなるにつれてマイナスの乖離度が大きくなり補正係数Cは1以上となった。また、ヘマトクリット値が高いほど、乖離度の絶対値は大きくなった。これは、ヘマトクリット値が高い方が高粘度となるため、一度目の点着によって溶解した試薬が拡散しにくいためであると考えられる。加えて、高粘度であることで、測定対象物であるグルコースとの反応する試薬の拡散層の範囲が小さいため、電極表面の非常に近傍に位置する試薬拡散状態のわずかな変化が測定電流値に反映してしまうためであると考えられる。また、時間差が10秒を超えると乖離度が大きくなっていき、有効な補正ができないと思われたため、追い足し点着の時間差は10秒までを許容することとした。
そして、図6の乖離度から、前記式(2)にて算出した補正係数を下記表2に示す。
Figure 2023067185000003
補正工程では、S180に示す段階で、第1情報から算出されたパラメータとしてのグルコース値に、表2に示すようなヘマトクリット値及び時間差に基づいて算出された補正係数を取得する。上記表にないヘマトクリット値及び時間差に対応する補正係数は、上記表の数値を線形補間することで算出することができる。そして、S190に示す段階で、パラメータとしてのグルコース値にこの補正係数を乗じて、測定値としてのグルコース値が算出される。なお、時間差0.5秒までは乖離度がゼロのため、パラメータとしてのグルコース値の補正は不要である。
以上の測定例では、時間差が0.5秒未満の場合、時間差に基づく補正を行わず(パラメータの数値を変化させず)、0.5秒以上5秒未満の場合、パラメータの数値を低下させる補正を行い、時間差が5秒以上10秒以下の場合、パラメータの数値を上昇させる補正を行うようにしているが、使用するバイオセンサにおける試薬の特性(粘度や、酵素活性など)、上流電極対と下流電極対との距離や流路の長さ及び幅を含むバイオセンサの各種条件、第1導入及び第2導入の検知方法、または測定対象物の測定値を測定する方法によって、当該所定値として設定する時間や、補正係数の数値は、適宜、そのバイオセンサに応じて調整すればよい。ただし、乖離度に関して、時間差が所定値未満の場合にはプラスとなり、所定値以上の場合にはマイナスとなる傾向は、試薬の溶解の程度と、試薬と測定対象物との反応の程度に依存するため、どのようなバイオセンサを使用しても同じ傾向を取り得る。
また、以上の測定例では、第1電極対10としての第1作用極11及び第1対極12、第2電極対20としての第2作用極21及び第2対極22、並びに血液検知極30の5つの電極を流路2a内に備えるバイオセンサ2が用いられるが、流路2a内に測定対象物と反応する試薬40が載置された上流電極対15と上流電極対15より下流側に形成された下流電極対25とが形成されたバイオセンサ2であれば、本発明を適応することができる。変形例のバイオセンサとして、変形例1と変形例2を以下に示す。
(4)変形例1
変形例1のバイオセンサ2は、前記(2)の構成における、図2及び図3に示すバイオセンサ2において、血液検知極30を備えない構成を有する。すなわち、バイオセンサ2には、第1電極対10及び第2電極対20の4電極のみが設けられる。そして、第2電極対20の第2対極22と第1電極対10の第1作用極11とで上流電極対15が構成されるのは前記(2)の構成と同様であるが、第1電極対10がそのまま下流電極対25として利用される点で前記(2)の構成と相違する。このような構成であっても、上記(3)と同様の測定例に準じた測定が可能である。
(5)変形例2
変形例2のバイオセンサ2は、図7に示すような概略構成を備える。すなわち、流路2aの上流側から、ヘマトクリット値測定用の第2対極22並びに第1電極対10(第1作用極11及び第1対極12)の3電極のみが設けられている。このような構成であっても、上流側の2電極、すなわち第2対極22及び第1作用極11を上流電極対15とし、また、下流側の2電極、すなわち第1作用極11及び第1対極12を下流電極対25とすることで、上記(3)と同様の測定例に準じた測定が可能である。
本発明は、バイオセンサを利用した携帯型の血糖測定値又は血糖自己測定メータとして利用可能である。また、血糖以外の測定項目が測定可能な測定装置としても利用可能である。
1 測定装置 1a 本体 1b 挿入口
1c 表示画面 1d コネクタ
2 バイオセンサ 2a 流路 2b 被覆領域
2c コネクタ領域 2d 血液供給口 2e 空気孔
10 第1電極対 11 第1作用極 11a リード部
12 第1対極 12a リード部
15 上流電極対
20 第2電極対 21 第2作用極 21a リード部
22 第2対極 22a リード部
25 下流電極対
30 血液検知極 30a リード部
40 試薬 45 非導電領域
50 電圧印加器 51 電流/電圧変換回路 52 A/D変換回路
60 測定器 61 予備測定器 62 補助測定器
63 補正器
65 導入検知器 66 第1検知器 67 第2検知器
70 時間測定機 90 エラー表示器
100 制御部
200 接続回路
211 第1作用極用スイッチ 212 第1対極用スイッチ
221 第2作用極用スイッチ 222 第2対極用スイッチ
230 血液検知極用スイッチ
311 第1作用極用グランドスイッチ 312 第1対極用グランドスイッチ
321 第2作用極用グランドスイッチ 322 第2対極用グランドスイッチ
330 血液検知極用グランドスイッチ

Claims (14)

  1. 測定対象物を含む血液が導入される流路と、
    前記流路内に形成され、少なくとも一方の電極に前記測定対象物と反応する試薬が載置された上流電極対と、
    前記上流電極対より前記流路の下流側に形成された下流電極対と、
    を有するバイオセンサを用いて、前記測定対象物の測定値を測定する測定方法であって、
    前記上流電極対で、前記上流電極対までの血液の導入である第1導入を検知する第1検知工程と、
    前記下流電極対で、前記下流電極対までの血液の導入である第2導入を検知する第2検知工程と、
    前記第1導入を検知した時間的な基準点から、前記第2導入を検知した時間的な基準点までの時間差を測定する時間測定工程と、
    前記第2導入を検知した後で、前記上流電極対のうち前記試薬が載置された電極と前記流路内に設けられる電極との2つの電極を用いて、前記測定対象物に関連する前記測定値を前記時間測定工程において測定した前記時間差に基づいて取得する測定工程と、を備える測定方法。
  2. 前記測定工程は、前記2つの電極を用いて、前記測定対象物に関連するパラメータを取得する予備測定工程と、前記パラメータを前記時間差に基づいて補正して前記測定値を取得する補正工程と、を有する請求項1に記載の測定方法。
  3. 前記補正工程は、前記時間差に対応して前記パラメータを補正演算するための補正情報を参照して、前記パラメータを前記時間差に基づいて補正して前記測定値を取得する、請求項2に記載の測定方法。
  4. 前記補正情報は、前記時間差が所定値未満の場合、前記パラメータの数値を低下させる一方、前記時間差が所定値以上の場合、前記パラメータの数値を上昇させる演算情報である、請求項3に記載の測定方法。
  5. 前記測定工程は、前記2つの電極を用いて、前記時間差に基づいた測定条件で前記測定値を取得する、請求項1に記載の測定方法。
  6. 前記2つの電極のうち、前記試薬が載置された電極とは別の電極は、前記上流電極対及び前記下流電極対を構成する電極のうちのいずれかの電極である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の測定方法。
  7. 前記上流電極対と、前記下流電極対とはそれぞれ別の電極から構成される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の測定方法。
  8. 測定対象物を含む血液が導入される流路と、
    前記流路内に形成され、少なくとも一方の電極に前記測定対象物と反応する試薬が載置された上流電極対と、
    前記上流電極対より前記流路の下流側に形成された下流電極対と、
    を有するバイオセンサと、
    前記上流電極対で、前記上流電極対までの血液の導入である第1導入を検知する第1検知器と、
    前記下流電極対で、前記下流電極対までの血液の導入である第2導入を検知する第2検知器と、
    前記第1導入の検知から、前記第2導入の検知までの時間差を測定する時間測定器と、
    前記第2導入を検知した後で、前記上流電極対のうち前記試薬が載置された電極と前記流路内に設けられる別の電極の2つの電極を用いて、前記測定対象物に関連する測定値を前記時間測定器が測定した前記時間差に基づいて取得する測定器と、を有する、測定装置。
  9. 前記測定器は、前記2つの電極を用いて、前記測定対象物に関連するパラメータを取得する予備測定器と、前記パラメータを前記時間差に基づいて補正して前記測定値を取得する補正器と、を有する請求項8に記載の測定装置。
  10. 前記補正器は、前記時間差に対応して前記パラメータを補正演算するための補正情報を参照して、前記パラメータを前記時間差に基づいて補正して前記測定値を取得する、請求項9に記載の測定装置。
  11. 前記補正情報は、前記時間差が所定値未満の場合、前記パラメータの数値を低下させる一方、前記時間差が所定値以上の場合、前記パラメータの数値を上昇させる演算情報である、請求項10に記載の測定装置。
  12. 前記測定器は、前記2つの電極を用いて、前記時間差に基づいた測定条件で前記測定値を取得する、請求項8に記載の測定装置。
  13. 前記2つの電極のうちの前記別の電極は、前記上流電極対及び前記下流電極対を構成する電極のうちのいずれかの電極である、請求項8から12までのいずれか1項に記載の測定装置。
  14. 前記上流電極対と、前記下流電極対とはそれぞれ別の電極から構成される、請求項8から13までのいずれか1項に記載の測定装置。
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