JP2023067050A - エストロン定量のイムノクロマト測定キット - Google Patents

エストロン定量のイムノクロマト測定キット Download PDF

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【課題】 本発明は、養豚の現場において唾液などの生体試料中のエストロン濃度を迅速、簡便、安価に測定可能なイムノクロマト測定キットを提供する。【解決手段】 本発明は、生体試料中のエストロンを定量するためのイムノクロマト測定キットであって、前記生体試料を希釈するための検体希釈液、およびエストロンを定量するためのイムノクロマトストリップを含み、前記イムノクロマトストリップは、試料添加部材、膜担体、吸収部材が順に連接配置されてなることを特徴とする測定キットである。【選択図】なし

Description

本発明は、生体試料中のエストロンを定量するためのイムノクロマト測定キットに関する。より詳しくは、生体試料(検体)を希釈するための検体希釈液、およびイムノクロマトストリップからなる、生体試料中のエストロンを定量するための測定キットに関する。
近年、養豚経営は大型化・企業化が進みつつあり、また、人工授精もかなり普及している。このような現状において、交配または人工授精後、早期に繁殖母ブタの妊娠/非妊娠を診断することの重要性が高まっている。ブタにおいても牛や馬と同様に、血液中のホルモン濃度を測定することにより、早期妊娠診断が可能であることは以前から知られている。しかし、これらはほとんど臨床応用されていないのが現状である。その理由の一つとして、ブタの場合、検査材料である血液の採取が他の家畜に比べやや困難であることがあげられる。これに対し、母ブタの唾液中や糞中のホルモン濃度を測定することにより、妊娠診断が可能であることが報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。
しかしながら、これまでのRIAやEIAによるホルモン測定は、操作が煩雑で結果が出るまでに長時間を要し、ブタの臨床現場では応用価値が低いものであると思われる。即ち、養豚の現場においては、血液以外の生体試料中のホルモン濃度を簡便に測定する技術が求められている。
また、特許文献1、2には、尿中のエストロンをイムノクロマトストリップを用いて測定する技術が開示されている。
J.Vet.Med.Sci.59(9):759-763,1997 Theriogenology,51:829-840,1999
特表平8-500670号公報 特開平10-115614号公報
本発明は、上記問題点を解決するために案出されたもので、唾液などの生体試料中に存在するエストロン濃度を迅速に測定し、ブタの妊娠の有無を容易に判定することができる妊娠診断キットを提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1) 生体試料中のエストロンを定量するためのイムノクロマト測定キットであって、前記生体試料を希釈するための検体希釈液、およびイムノクロマトストリップを含み、前記イムノクロマトストリップは、試料添加部材、膜担体、吸収部材が順に連接配置されてなることを特徴とする測定キット。
(2) 前記検体希釈液は、競合試薬、競合試薬に対する抗体および/または高親和物質に標識物質を結合した標識体を含むことを特徴とする(1)に記載の測定キット。
(3) 前記競合試薬は、エストロンと化合物との複合体を含むことを特徴とする(2)に記載の測定キット。
(4) 前記化合物は、ビオチンであることを特徴とする(3)に記載の測定キット。
(5) 前記競合試薬に対する抗体は、抗ビオチン抗体であることを特徴とする(2)~(4)のいずれかに記載の測定キット。
(6) 前記競合試薬に対する高親和物質は、アビジンおよび/またはストレプトアビジンであることを特徴とする(2)~(5)のいずれかに記載の測定キット。
(7) 前記膜担体は、抗エストロン抗体が固定化されたテストラインを備えることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載の測定キット。
(8) 前記生体試料は、唾液、糞、尿、全血、血漿または血清であることを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の測定キット。
(9) ブタの妊娠状態を判定するために用いられることを特徴とする(1)~(8)のいずれかに記載の測定キット。
本発明により、ブタの生産現場において生体試料中のエストロン濃度を迅速、簡便、安価に測定することが可能なエストロン定量用のイムノクロマト測定キットが提供される。
本発明の測定キットに含まれるイムノクロマトストリップの一例を示す模式図(上面図)である。 本発明の測定キットに含まれるイムノクロマトストリップの一例を示す模式図(側面図)である。 本発明の測定キットに含まれるイムノクロマトストリップをハウジングケースに収容した一例を示す模式図である。 本発明のイムノクロマト測定キットを用いて得られたエストロンの測定結果の一例を示す図(グラフ)である。 本発明のイムノクロマト測定キットおよび電気化学発光免疫測定法による測定値の関係を示す図(グラフ)である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、生体試料中のエストロンを定量するためのイムノクロマト測定キットであって、前記生体試料を希釈するための検体希釈液、およびエストロンを定量するためのイムノクロマトストリップを含み、前記イムノクロマトストリップは、試料添加部材、膜担体、吸収部材が順に連接配置されてなることを特徴とする測定キットである。
(生体試料)
本発明において、生体試料は、特に限定されるものではないが、唾液、糞、尿、血液(全血でも血清でも血漿でもよい)等が適している。動物種も、ブタの他、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、ネコなどの生体試料を測定対象とすることが出来る。
(エストロン)
エストロンは、動物の雌の卵巣から分泌されるステロイドホルモンで、卵胞ホルモンの一種である。エストラジオール、エストリオールなど同じ作用をする物質を含めエストロゲンと総称される。妊娠した動物の尿中には多く含まれており、天然物から最初に単離された卵胞ホルモンである。エストロンは、成熟した卵胞や胎盤から分泌され、生殖腺の発育などを促進する。特に、脳下垂体前葉から分泌される生殖腺刺激ホルモン、黄体から分泌される黄体ホルモンと共同して働き、性周期や妊娠から出産に至る期間を調節している。
(検体希釈液)
本発明において、検体希釈液は、所定のpH範囲において充分な緩衝能力を有していれば、いかなる種類の緩衝剤を用いてもよく、例えば、トリス、リン酸、フタル酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、ホウ酸、酒石酸、酢酸、炭酸、グッドバッファー(MES、ADA、PIPES、ACES、コラミン塩酸、BES、TES、HEPES、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン)等が挙げられる。
本発明において、検体希釈液は、イムノクロマトストリップ上での生体試料の展開性を向上させ、かつ免疫反応に影響しない非イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(Triton(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween(登録商標)系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。また、前記界面活性剤は単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、検体希釈液中の界面活性剤の濃度は、生体試料の希釈倍率にもよるが0.01質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.2質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.15質量%以下がさらに好ましい。濃度が低すぎると、生体試料希釈液が展開しにくくなることがあり、濃度が高すぎると、テストラインのシグナルが低くなることがある。
また、検体希釈液は、競合反応の効率化、促進、特異性向上のために、ポリエチレングリコールおよび/または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。検体希釈液へのポリエチレングリコールおよび塩化ナトリウムの添加濃度は、生体試料希釈液中の終濃度がそれぞれ、1質量%以上4質量%以下、1質量%以上3質量%以下となるように添加するのが好ましい。なお、使用するポリエチレングリコールの数平均分子量は、好ましくは2000以上16000以下であり、より好ましくは5000以上10000以下である。数平均分子量が小さい場合、本発明に適した充分な抗原抗体反応の促進作用が得られないことがある。また、数平均分子量が大きい場合、同様に、抗原抗体反応の促進作用が得られないとか、検体希釈液の粘性が高くなり、イムノクロマトストリップ上の展開性が低下することがある。
(競合試薬)
本発明において、競合試薬は、生体試料中の遊離またはタンパク質に結合した状態のエストロンと競合することが出来、かつ標識体(物質)により検出が可能であれば特に制限はない。競合試薬としては、エストロンと化合物との複合体を用いるのが好ましい。複合体とすることによりエストロンが安定し、また性能の良い抗体が入手し易いことから好ましい。化合物としては、牛血清アルブミン、卵白アルブミンやビオチンなどが挙げられ、これらの中でもビオチンが好適に用いられる。詳細な理由は不明だが、エストロンと低分子量であるビオチンとの複合体は、エストロンとアルブミン等の高分子量物質との複合体よりも、生体試料中のエストロンに対して競合原理が働きやすいと推測している。また、エストロンと低分子量物質との複合体は、エストロンと牛血清アルブミンなどのタンパク質(高分子量物質)との複合体よりも製造コストを低く抑えられるメリットもある。
なお、エストロンは、不安定な化合物であり、光や熱によって二重結合の異性化が起こりやすく、また酸や空気、金属イオンとも反応しやすいため、容易に分解してしまう畏れがある。そのため、競合試薬は低温、暗所にて使用時まで保存するのが好ましい。保存温度としては4℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-80℃以下がさらに好ましい。
本発明において、検体希釈液は、競合試薬を含む。検体希釈液に競合試薬を含有させておくことによって、現場での操作を簡略化できるため好ましい。なお、競合試薬は前述したように低温保存する必要があるので、競合試薬を含有する検体希釈液は前記温度で保管する。競合試薬は、生体試料1mLに対して0.1ng以上10ng以下添加することにより競合反応の結果を高精度に得ることができる。生体試料中のエストロン濃度と競合試薬の添加量の差が大きすぎると競合が上手くいかず定量性が低下することがある。なお、前記したように競合試薬は不安定であるため、競合試薬を添加した検体希釈液は、使用時まで4℃以下、より好ましくは-20℃以下、さらに好ましくは-80℃以下で保存するのが好ましい。
(標識体)
本発明において、標識体は、競合試薬中の化合物に対する抗体および/または高親和性物質に標識物質を結合させて得ることが出来る。抗体は、競合試薬中の化合物に対する抗体であればよく、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよいが、反応特異性の観点からモノクローナル抗体であることが好ましい。例えば、抗ビオチン抗体が挙げられる。また、高親和性物質としては、例えば化合物がビオチンの場合、アビジンやストレプトアビジンが好適に用いられる。
標識物質は特に制限はなく、例えば、呈色(蛍光を含む)標識物質、酵素標識物質などが挙げられるが、迅速に検査結果が得られることから呈色標識物質であることが好ましい。呈色標識物質としては、コロイド金属および着色ラテックス粒子、着色セルロース粒子などが挙げられる。コロイド金属の代表例としては、白金コロイド、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、パラジウムコロイド、金ナノロッド、金ナノプレート、銀ナノプレートなどが挙げられる。コロイド金属の粒子の大きさは通常、直径3nm以上100nm以下とされる。着色ラテックスの代表例としては、赤色および青色などのそれぞれの顔料で着色されたポリスチレンラテックス、ポリメタクリル酸メチル、アクリル酸重合体などが挙げられる。ラテックス粒子の粒径としては特に制限されないが、粒径25nm以上500nm以下のものが好ましい。この他に、市販されている着色セルロース粒子なども使用出来る。着色セルロース粒子の粒径としては特に制限されないが、粒径100nm以上500nm以下のものが好ましい。蛍光標識物質としてはポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルトルエン、シリカなどの材質からなるものを例示することができ、蛍光色素としてはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、シアニンおよびその誘導体などを例示することができる。
前記着色セルロース粒子の色は、特に限定されないが、例えば赤色、青色、黄色、緑色、黒色、白色、蛍光色が挙げられる。これらの中でも、バックグラウンドにヘモグロビン由来の赤色がある場合、その影響を受けにくい青色、黒色が好ましく、青色がより好ましい。このような着色セルロース粒子としては、旭化成社製の着色セルロースナノビーズ(NanoAct(登録商標))が挙げられるが、この中でもNavy(BL1)、Dark Navy(BL2)、Black(KR1)が好ましく、Navy(BL1)、Dark Navy(BL2)がより好ましい。
本発明において、標識物質表面への非特異結合を抑えるために予めブロッキング剤を用いて処理しておいてもよい。ブロッキング剤は、ポリエチレングリコールやタンパク質を用いるのが好ましい。タンパク質としてはBlocking Peptide Fragment(BPF)、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインなどが好ましい。これらのブロッキング剤は市販されているものがあればそれを用いても良いし、別途公知の方法で製造しても良い。分子サイズも特に制限されないが、平均分子量で100kDa以下が好ましい。一般的に、ブロッキング剤の分子サイズが小さいほど検出粒子1粒子に対するタンパク質の結合量が増加し感度などの性能が高くなる。
本発明において、競合試薬に対する抗体および/または高親和物質に標識物質を結合した標識体は、検体希釈液に予め混合しておくのが好ましい。
(希釈倍率)
本発明において、生体試料の希釈倍率は、30倍以上300倍以下とするのが適当である。希釈倍率が低すぎると、生体試料中の夾雑物質が定量値に影響を与えることがある。また、希釈倍率が高すぎると、生体試料中のエストロン量が少なくなるため、測定の精度が低くなることがある。
(イムノクロマトストリップ)
イムノクロマトストリップの具体例としては、図1、2に示すようなイムノクロマトストリップ7が挙げられる。図1、2において、1は粘着シート、2は膜担体、3はテストライン、4はコントロールライン、5は試料添加部材、6は吸収部材を示している。膜担体2は、幅5mm、長さ25mmの細長い帯状のニトロセルロース製メンブレンからなり、同じく幅5mmの粘着シート1の中ほどに貼り付けられている。膜担体2には、クロマト展開の始点側、すなわち図1、2の左側(上流側)の末端から右側(下流側)に向かって3mm以上15mm以下の位置に、競合試薬(エストロンと化合物との複合体)と生体試料中のエストロンを競合的に捕捉するためのテストライン3(抗エストロン抗体が線状に固定)が形成されている。さらに、膜担体2の上流側の末端から下流側に向かって8mm以上25mm以下の位置にコントロールライン4が形成(標識体中の化合物を特異的に結合する抗体が線状に固定)されている。なお、テストラインはコントロールラインよりも上流側に配置され、テストラインとコントロールラインとの距離は3mm以上10mm未満とするのが好ましい。コントロールライン4は、分析対象物質であるエストロンの存否に係わらずイムノクロマト展開が行われたことを確認するためのものである。
(試料添加部材)
本発明において、試料添加部材5は、例えば、多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンなどのような多孔質合成樹脂のシートまたはフィルム、あるいは、濾紙および綿布などのようなセルロース製の紙または不織布などを用いることができる。
(膜担体)
本発明において、膜担体2は、ニトロセルロース製メンブレンフィルターを用いるが、生体試料に含まれるエストロンをクロマト展開可能で、かつ、テストライン3を形成する抗体等の物質を固定可能なものであれば、いかなるものであってもよく、他のセルロース類膜、ナイロン膜、ガラス繊維膜なども使用できる。
(テストライン)
本発明において、テストライン3に固定化する抗体は、エストロンに特異的に結合することが出来る抗エストロン抗体であればよく、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよいが、反応特異性の観点から、モノクローナル抗体であることが好ましい。
(抗エストロン抗体)
エストロン(分子量270)は低分子化合物であり十分な複雑性を備えていないため、通常では免疫応答を誘発できない。このため、免疫した動物に抗体を産出させるには、卵白アルブミンなどのキャリアタンパク質にエストロンを化学結合したものを免疫原として用いる必要がある。また、アジュバントを混合して免疫原を注入すると、免疫応答強度が上がり、よい抗体を得る可能性が高まる。ポリクローナル抗体は、ウサギやマウスなどに免疫して得られた抗血清から精製して得ることが出来る。モノクローナル抗体の産生細胞は、例えば、エストロンと卵白アルブミンの結合物を適当なアジュバントとともにマウスのような動物に免疫したのち、免疫された動物の脾細胞とミエローマ細胞とを融合し、融合細胞のみが増殖出来る選択培地で培養し、増殖した細胞を前記エストロンとの結合物などを使用して、たとえば酵素標識免疫法などを利用して選別することにより取得することができる。
(コントロールライン)
本発明において、コントロールライン4には、標識体中の化合物を特異的に結合する抗体が固定化されているのが好ましい。前記抗体としては、抗IgG抗体を用いることができ、具体的には抗ウサギIgG抗体や抗マウスIgG抗体などを膜担体に固定化することによって形成することができる。コントロールラインを用いることにより、標識体が膜担体の最下流部まで移動したこと、即ち、イムノクロマト展開が(正常に)行われたことを確認することができる。
(吸収部材)
本発明において、吸収部材6は、液体をすみやかに吸収、保持できる材質のものであればよく、綿布、濾紙、およびポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質プラスチック不織布等を挙げることができるが、特に濾紙が最適である。
イムノクロマトストリップは、これを保護するため、また、取り扱いがし易いように、プラスチック製のハウジングケース8などに収容されるのが好ましい(図3)。このケースは、例えば、イムノクロマトストリップの試料添加部材5の上部に試料滴下部9が開口され、テストライン3およびコントロールライン4の上部に判定部(判定窓)10が開口されていることが好ましい。
(イムノクロマト展開)
別調製の競合試薬および含浸部材を有するイムノクロマトストリップを用いる場合について説明する。生体試料および検体希釈液を混合して調製した生体試料希釈液をイムノクロマトストリップの試料滴下部に滴下すると、生体試料希釈液はイムノクロマトストリップ上を毛細管現象により展開していく。展開中の生体試料希釈液中のエストロンは、競合試薬(エストロンと化合物との複合体)と競合的にテストラインを成す抗エストロン抗体に捕捉される。また、生体試料希釈液中の標識体は抗エストロン抗体に捕捉された競合試薬(エストロンと化合物との複合体)に結合する。得られたテストラインのシグナル(呈色)を測定することにより生体試料中のエストロンを定量することが出来る。なお、展開開始後、5~12分の間にテストラインの呈色を測定することが望ましい。この間に測定を行えば、エストロンと、競合試薬(エストロンと化合物の複合体)との競合反応が最も効果的に起き、エストロンの濃度変化に応じた測定値の変化がテストラインにおいて得られ、エストロン濃度の違いが測定値に的確に反映されるため好ましい。即ち、生体試料中のエストロン濃度を正確に測定することが出来る。5分未満では、テストライン上の抗エストロン抗体と生体試料中のエストロンまたは競合試薬(エストロンと化合物との複合体)との反応が充分でないため測定値が低くなるとか、生体試料中のエストロン濃度の違いを正確に反映した測定値を得ることが出来ないことがある。また、12分を超えると、抗エストロン抗体に対する非特異的な反応が増加するため、生体試料中のエストロン濃度に応じた正確な測定値変化が得られなくなることがある。
(競合法)
本発明において、生体試料中のエストロンは競合法により定量するのが好ましい。エストロンのような低分子化合物は、2種類の抗体でサンドイッチすること(サンドイッチ法)が難しいため、競合法をとることが好ましい。
(イムノクロマト測定キット)
本発明のイムノクロマト測定キットは、上記のイムノクロマトストリップに加えて、検体を希釈するための検体希釈液を少なくとも含み、更に必要に応じて、検量線を作成するためのエストロン標準液や、生体試料希釈液を調製するための容器などを含む。また、イムノクロマト結果を測定するための測定装置(クロマトリーダー等)も含む場合がある。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で測定された特性値の測定は、以下の方法に従った。
(競合試薬の調製)
エストロン(シグマアルドリッチ、E9750)を、Biotin-hydrazide(同仁化学、B303)を用いて、ビオチン化することにより、競合試薬(エストロン-ビオチン複合体)を調製した。調製後、使用時まで-30℃にて保存した。
(標識体溶液の調製)
標識物質として着色セルロース微粒子液(旭化成、BL1、1質量%)をpH7.0の10mM Tris Buffer(PBS)に懸濁させ、これに抗ビオチン抗体(abcam、ab53494)を加えて混合し、37℃で120分間静置して、抗体を着色セルロース微粒子表面に結合させた。更に、着色セルロース微粒子表面への非特異結合を抑えるために、1質量%カゼインを添加し、37℃で60分間静置してブロッキング処理を行った。この後、洗浄操作を行った後、1質量%スクロース含有PBS(pH7.4)に懸濁して、標識体溶液(抗ビオチン抗体結合セルロース微粒子液)を調製した。
(検体希釈液の調製)
リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4、ナカライテスク社、27576-21)に、競合試薬、標識体、TritonX-100(シグマアルドリッチ社、10789704001)、ポリエチレングリコール、およびNaClの終濃度がそれぞれ、20ng/mL、0.003質量%、0.15質量%、2.0質量%、1.5質量%になるように加えて溶解させ、検体希釈液を調製した。
(抗エストロン抗体の作製)
エストロンとBSA(ウシ血清アルブミン)との結合物をウサギに免疫して得られた血清から、アフィニティクロマトグラフィーによりIgGを精製して得られたものを、抗エストロン抗体とした。
(膜担体の作製)
前記調製した抗エストロン抗体を1mg/mLの濃度に調整した後、これを25mm×300mmのニトロセルロース製メンブレンフィルターに1.0μL/cmの量で線状に塗布してテストラインを作製した。
次に、抗ウサギIgG抗体(MyBiosource.Inc.、MBS539780)を1mg/mLの濃度に調製した後、上記ニトロセルロース製メンブレンフィルターに1.0μL/cmの量で線状に塗布してコントロールラインを作製した。
テストラインおよびコントロールラインを作製後、50℃で30分間乾燥させ、25mm×5mmの大きさに切断し、膜担体とした。
(イムノクロマトストリップの作製)
粘着シート上に、調製した膜担体、試料添加部材、吸収部材を配置し、イムノクロマトストリップを作製した。
(エストロン標準液の調製)
エストロン(シグマアルドリッチ、E9750)をPBS(リン酸緩衝生理食塩液)に溶解し、エストロン標準液を調製した。
(測定キットを用いた定量)
上記標準液に検体希釈液を加えて表1に示す各濃度のエストロン(生体試料)希釈液を調製した。得られたエストロン希釈液をイムノクロマトストリップの試料滴下部に100μL滴下し、展開させた。滴下より10分後に、イムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製C10060-10、測定モード:青色系ライン測定モード)を用いてテストラインの発色(吸光度)を測定した。結果を表1および図4に示す。本発明の測定キットを用いることにより、精度よくエストロンを定量できることが確認された。
Figure 2023067050000001
(化学発光免疫測定法測定との対比実験)
12頭の雌ブタから得られた唾液中のエストロン濃度を、それぞれ化学発光免疫測定法および本発明のイムノクロマト測定キットを用いて測定した。化学発光免疫測定法による測定は、臨床検査センター(株式会社近畿予防医学研究所)にて測定した。イムノクロマト法では、標準液を同時に測定して得られた標準曲線を用いて、各唾液中のエストロン濃度を算出し測定結果を表2および図5に示した。イムノクロマト法の測定値と化学発光免疫測定法による測定値の相関係数は0.97であり、良好な相関関係を示した。本発明の測定キットを用いることにより、精度よくエストロンを定量できることが確認された。
Figure 2023067050000002
本発明により、養豚の現場において唾液などの生体試料中のエストロン濃度を迅速、簡便、安価に測定することができるので、妊娠状態を把握することが出来、効率の良いブタの生産を行うことが可能となる。
1 粘着シート
2 膜担体
3 テストライン
4 コントロールライン
5 試料添加部材
6 吸収部材
7 イムノクロマトストリップ
8 ハウジングケース
9 試料滴下部
10 判定部(窓)

Claims (9)

  1. 生体試料中のエストロンを定量するためのイムノクロマト測定キットであって、前記生体試料を希釈するための検体希釈液、およびイムノクロマトストリップを含み、前記イムノクロマトストリップは、試料添加部材、膜担体、吸収部材が順に連接配置されてなることを特徴とする測定キット。
  2. 前記検体希釈液は、競合試薬、競合試薬に対する抗体および/または高親和物質に標識物質を結合した標識体を含むことを特徴とする請求項1に記載の測定キット。
  3. 前記競合試薬は、エストロンと化合物との複合体を含むことを特徴とする請求項2に記載の測定キット。
  4. 前記化合物は、ビオチンであることを特徴とする請求項3に記載の測定キット。
  5. 前記競合試薬に対する抗体は、抗ビオチン抗体であることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の測定キット。
  6. 前記競合試薬に対する高親和物質は、アビジンおよび/またはストレプトアビジンであることを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の測定キット。
  7. 前記膜担体は、抗エストロン抗体が固定化されたテストラインを備えることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の測定キット。
  8. 前記生体試料は、唾液、糞、尿、全血、血漿または血清であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の測定キット。
  9. ブタの妊娠状態を判定するために用いられることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の測定キット。
JP2021177985A 2021-10-29 2021-10-29 エストロン定量のイムノクロマト測定キット Pending JP2023067050A (ja)

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