JP2023065971A - 陰圧治療装置の制御方法及び陰圧治療装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】創部の底部まで自動的に洗浄液を充填することができる陰圧治療装置の制御方法及び該陰圧治療装置の制御方法を用いる陰圧治療装置を提供する。【解決手段】創傷部を密閉する被覆シート4と、創傷部を密閉する被覆シートの内側へ送出流路3を通じて洗浄液1を送出する送液手段9と、被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、被覆シートの内側から吸引流路を通じて洗浄液を吸引する吸引手段8と、吸引流路6に接続され、吸引手段により吸引された洗浄液を収容する容器7と、被覆シートの内側の圧力を測定できる位置に接続された圧力計A(2A)と、容器の圧力を測定できる位置に接続された圧力計B(2B)と、吸引流路中又は被覆シートの内側に弁を介して大気と接続する大気開放経路10を備えた陰圧治療装置の制御方法である。【選択図】図2
Description
本発明は、創部の底部まで自動的に洗浄液を充填することができる陰圧治療装置の制御方法及び該陰圧治療装置の制御方法を用いる陰圧治療装置に関する。
皮膚の創傷部に、液体を透過する柔軟な多孔質体(スポンジ状の物体)を載せ、多孔質体と周辺の皮膚を被覆材(高分子フィルム等)で覆って閉鎖し、内部を陰圧に保ちながら、創傷部から滲出する液体を吸引・排出する陰圧閉鎖療法が知られている。このような陰圧閉鎖療法に用いられる装置が、陰圧治療装置である。(例えば、特許文献1)
創傷部を保護しながら陰圧に保つことにより、肉芽形成が促進される。同時に、感染性のある老廃物や滲出液が排出される。その結果、創傷部の周囲の血流が増加して、血行が促進される。これにより創傷部治癒機能が回復し、創傷部の治りが早くなる。
創傷部を保護しながら陰圧に保つことにより、肉芽形成が促進される。同時に、感染性のある老廃物や滲出液が排出される。その結果、創傷部の周囲の血流が増加して、血行が促進される。これにより創傷部治癒機能が回復し、創傷部の治りが早くなる。
陰圧治療装置として、創傷部を洗浄するための洗浄液を被覆シートの内側へ送出する送液手段を備えた陰圧治療装置が下記特許文献2に開示されている。特許文献2のような洗浄液を用いた陰圧治療装置は、洗浄液によって滲出した老廃物、付着した菌、壊死細胞等を除去できるため、より創部の治りを早めることができる。
洗浄液を用いた陰圧治療装置では、滲出した老廃物、付着した菌、壊死細胞等を効率よく除去するために洗浄液が創面近傍を流れることが治療効果を高めるために重要である。従来の陰圧治療装置を用いた治療では、洗浄液を創部に流す方法の1つとして洗浄液を連続的に流し続ける灌流洗浄が用いられている。灌流洗浄では、始めに創部へ洗浄液を充填する際に洗浄液を送部に充填する工程と創部を陰圧にする工程が同時に行われている。しかしながら、創部を陰圧にしながら洗浄液を流すと、流入した洗浄液は創部の底部に到達する前に多孔質体の上部を通って排出されてしまい、創面付近、特に創部の底部まで洗浄液が届きにくくなることがあった。
本発明は、上記現状に鑑み、創部の底部まで自動的に洗浄液を充填することができる陰圧治療装置の制御方法及び該陰圧治療装置の制御方法を用いる陰圧治療装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記現状に鑑み、創部の底部まで自動的に洗浄液を充填することができる陰圧治療装置の制御方法及び該陰圧治療装置の制御方法を用いる陰圧治療装置を提供することを目的とする。
本発明は、
創傷部を密閉する被覆シートと、創傷部を密閉する前記被覆シートの内側へ送出流路を通じて洗浄液を送出する送液手段と、前記被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、該被覆シートの内側から吸引流路を通じて前記洗浄液を吸引する吸引手段と、前記吸引流路に接続され、前記吸引手段により吸引された前記洗浄液を収容する容器と、前記被覆シートの内側の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Aと、前記容器の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Bと、前記吸引流路中又は前記被覆シートの内側に弁を介して大気と接続する大気開放経路を備えた陰圧治療装置の制御方法であって、前記吸引手段を始動して前記圧力計Aと前記圧力計Bの測定値を基に前記被覆シートの内側及び前記容器を所定の圧力に減圧する第1陰圧ステップと、前記送液手段を始動して前記送出流路を通じて前記被覆シートの内側へ前記洗浄液を送出する送液ステップと、前記圧力計Aと前記圧力計Bとの測定値の差が所定の設定値以上となり、かつ、前記圧力計Bの測定値が所定の設定値未満である時に前記弁を開き前記被覆シートの内側を圧力差が解消されるまで大気に開放する差圧解消ステップと、前記圧力計Aの測定値が設定値以上となる又は前記圧力計Bの測定値が設定値以上となるまで前記差圧解消ステップを繰り返して前記被覆シートの内側に洗浄液を充填する洗浄液充填ステップと、前記圧力計Aの測定値が設定値以上となった時又は前記圧力計Bの測定値が設定値以上となった時に前記被覆シートの内側を設定圧に減圧する第2陰圧ステップとを備える陰圧治療装置の制御方法である。
創傷部を密閉する被覆シートと、創傷部を密閉する前記被覆シートの内側へ送出流路を通じて洗浄液を送出する送液手段と、前記被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、該被覆シートの内側から吸引流路を通じて前記洗浄液を吸引する吸引手段と、前記吸引流路に接続され、前記吸引手段により吸引された前記洗浄液を収容する容器と、前記被覆シートの内側の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Aと、前記容器の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Bと、前記吸引流路中又は前記被覆シートの内側に弁を介して大気と接続する大気開放経路を備えた陰圧治療装置の制御方法であって、前記吸引手段を始動して前記圧力計Aと前記圧力計Bの測定値を基に前記被覆シートの内側及び前記容器を所定の圧力に減圧する第1陰圧ステップと、前記送液手段を始動して前記送出流路を通じて前記被覆シートの内側へ前記洗浄液を送出する送液ステップと、前記圧力計Aと前記圧力計Bとの測定値の差が所定の設定値以上となり、かつ、前記圧力計Bの測定値が所定の設定値未満である時に前記弁を開き前記被覆シートの内側を圧力差が解消されるまで大気に開放する差圧解消ステップと、前記圧力計Aの測定値が設定値以上となる又は前記圧力計Bの測定値が設定値以上となるまで前記差圧解消ステップを繰り返して前記被覆シートの内側に洗浄液を充填する洗浄液充填ステップと、前記圧力計Aの測定値が設定値以上となった時又は前記圧力計Bの測定値が設定値以上となった時に前記被覆シートの内側を設定圧に減圧する第2陰圧ステップとを備える陰圧治療装置の制御方法である。
本発明によれば、創部の底部まで自動的に洗浄液を充填することができる陰圧治療装置の制御方法及び該陰圧治療装置の制御方法を用いる陰圧治療装置を提供することができる。
以下、本発明の陰圧治療装置の制御方法の実施形態について図とフローチャートを用いて説明する。
本発明は、創傷部を密閉する被覆シートと、創傷部を密閉する前記被覆シートの内側へ送出流路を通じて洗浄液を送出する送液手段と、前記被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、該被覆シートの内側から吸引流路を通じて前記洗浄液を吸引する吸引手段と、前記吸引流路に接続され、前記吸引手段により吸引された前記洗浄液を収容する容器と、前記被覆シートの内側の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Aと、前記容器の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Bと、前記吸引流路中又は前記被覆シートの内側に弁を介して大気と接続する大気開放経路を備えた陰圧治療装置の制御方法である。
本発明は、創傷部を密閉する被覆シートと、創傷部を密閉する前記被覆シートの内側へ送出流路を通じて洗浄液を送出する送液手段と、前記被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、該被覆シートの内側から吸引流路を通じて前記洗浄液を吸引する吸引手段と、前記吸引流路に接続され、前記吸引手段により吸引された前記洗浄液を収容する容器と、前記被覆シートの内側の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Aと、前記容器の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Bと、前記吸引流路中又は前記被覆シートの内側に弁を介して大気と接続する大気開放経路を備えた陰圧治療装置の制御方法である。
ここで、本発明の陰圧治療装置の制御方法を用いる陰圧治療装置の使用の様子を模式的に表した図を図1に示す。陰圧治療装置の使用時は、スポンジ等の多孔質体5が創面上に配置されており、創面及び多孔質体5を覆うように皮膚に貼り付けられた被覆シート4によって密閉されている(以下、被覆シートにより密閉された部分のことを創部という)。被覆シート4には洗浄液1を創部へ供給するための送出流路3と創部の洗浄液1を排出するための吸引流路6が接続されており、送液ポンプ等の送液手段9と吸引ポンプ等の吸引手段8によって洗浄液1が創部を流れるようになっている。吸引手段8によって創部を陰圧としながら洗浄液1を流すことで、肉芽形成が促進されるとともに、感染性のある老廃物や滲出液といった治癒阻害物質が洗浄液1によって外部に排出され、創部の再生が促進される。排出された洗浄液1は、容器7に溜められる。また、創部の圧力と容器7の圧力を測定できる位置にはそれぞれ圧力計A2A、圧力計B2Bが接続されており、各圧力計の測定値を基に創部の圧力及び容器内の圧力を調節している。更に、吸引流路6中又は創部には弁を通して大気(外部)とつながる大気開放経路10が設けられており、創部と容器7との間に圧力差が生じた際に弁を開いて大気を流入させることで圧力差を解消できるようになっている。なお、上記圧力計A、Bの位置は、創部の圧力と容器の圧力を測定できる位置であれば、図1の接続位置に限定されない。また、上記部品以外の陰圧治療装置の構成については従来のものを特に限定なく用いることができる。
本発明の陰圧治療装置の制御方法は、まず、上記吸引手段を始動して上記圧力計Aと上記圧力計Bの測定値を基に上記被覆シートの内側及び上記容器を所定の圧力に減圧する第1陰圧ステップを行う。
上記第1陰圧ステップでは、創傷部位に多孔質体を配置し、多孔質体と創傷部位を密閉するように被覆シートを貼り付けた後に、吸引ポンプ等の上記吸引手段を始動して、洗浄液を送出する前に被覆シートの内側(創部)の圧力を治療時の圧力まで減圧する。その際、排出された洗浄液を溜める上記容器の圧力も同じ圧力となるように減圧する。なお、上記第1陰圧ステップによって創部に配置される多孔質体は圧縮される。第1陰圧ステップの設定圧力は特に限定されず、治療効果が最も発揮される圧力とすればよいが、例えば、-150mgHg等が挙げられる。なお、本明細書において圧力は大気圧を0とした時の相対値を表す。
上記第1陰圧ステップでは、創傷部位に多孔質体を配置し、多孔質体と創傷部位を密閉するように被覆シートを貼り付けた後に、吸引ポンプ等の上記吸引手段を始動して、洗浄液を送出する前に被覆シートの内側(創部)の圧力を治療時の圧力まで減圧する。その際、排出された洗浄液を溜める上記容器の圧力も同じ圧力となるように減圧する。なお、上記第1陰圧ステップによって創部に配置される多孔質体は圧縮される。第1陰圧ステップの設定圧力は特に限定されず、治療効果が最も発揮される圧力とすればよいが、例えば、-150mgHg等が挙げられる。なお、本明細書において圧力は大気圧を0とした時の相対値を表す。
本発明の陰圧治療装置の制御方法は、次いで、上記送液手段を始動して上記送出流路を通じて上記被覆シートの内側へ上記洗浄液を送出する送液ステップを行う。
上記送液ステップでは、送液ポンプ等の上記送液手段によって、創部へ洗浄液の送出を開始する。送液ステップにおける洗浄液の流量は特に限定されないが、速やかに洗浄液を充填するために流量をできるだけ多くすることが好ましい。具体的には、5mL/min以上であることが好ましく10mL/min以上であることがより好ましく、100mL/min以下であることが好ましく、50mL/min以下であることがより好ましい。
上記送液ステップでは、送液ポンプ等の上記送液手段によって、創部へ洗浄液の送出を開始する。送液ステップにおける洗浄液の流量は特に限定されないが、速やかに洗浄液を充填するために流量をできるだけ多くすることが好ましい。具体的には、5mL/min以上であることが好ましく10mL/min以上であることがより好ましく、100mL/min以下であることが好ましく、50mL/min以下であることがより好ましい。
上記送液ステップでは、洗浄液の流し始めにおいて送出流路内に空気が存在することから、空送りによる充填不良を防ぐために液の有無を検出するセンサーによってモニタリングを行い、送出流路内が洗浄液で満たされるまでは後のステップを行わないことが好ましい。また、センサーによるモニタリングを行わない場合は、送出流路内が洗浄液で満たされるまでの時間を確保するために、上記送液ステップ開始から一定時間経過するまで後のステップを行わないことが好ましい。上記送液ステップ開始から上記吸引手段停止ステップ開始までの時間は特に限定されないが、例えば1分が好ましい。
本発明の陰圧治療装置の制御方法は、次いで、上記圧力計Aと上記圧力計Bとの測定値の差(以下、差圧ともいう)が所定の設定値以上となり、かつ、上記圧力計Bの測定値が所定の設定値未満である時に上記被覆シートの内側を圧力差が解消されるまで大気に開放する差圧解消ステップを行う。
上記送液ステップが継続されると、洗浄液はやがて吸引流路に到達するが、吸引流路に洗浄液が流入すると容器と創部との間の空気の接続がなくなることから、創部の圧力と容器の圧力の間に差が生じる。この差圧を上記圧力計A、Bによって監視し、差圧が一定値以上となり、かつ、圧力計の測定値が設定値未満であるときに大気開放経路の弁を開いて創部を大気に開放する。創部が大気へ開放されると、大気が流入して創部の圧力が高まるため、吸引流路内の洗浄液が容器へ押し流され、創部と容器間の空気の接続が再開されて差圧が解消する。
上記送液ステップが継続されると、洗浄液はやがて吸引流路に到達するが、吸引流路に洗浄液が流入すると容器と創部との間の空気の接続がなくなることから、創部の圧力と容器の圧力の間に差が生じる。この差圧を上記圧力計A、Bによって監視し、差圧が一定値以上となり、かつ、圧力計の測定値が設定値未満であるときに大気開放経路の弁を開いて創部を大気に開放する。創部が大気へ開放されると、大気が流入して創部の圧力が高まるため、吸引流路内の洗浄液が容器へ押し流され、創部と容器間の空気の接続が再開されて差圧が解消する。
上記差圧の設定値は特に限定されないが、5mmHg以上30mmHg以下であることが好ましい。差圧を解消させる設定値を上記範囲とすることで、洗浄液の創部への充填速度がより適切となりより確実に洗浄液を創部の底部まで流すことができる。上記差圧の設定値は10mmHg以上であることがより好ましく、15mmHg以上であることがより好まく、20mmHg以下であることが好ましい。
上記差圧解消ステップにおいては、上記弁を開放する前に上記吸引手段を停止し、差圧が解消して創部の圧力が安定した後に上記吸引手段を再度始動して差圧解消後の圧力を維持するように制御することが好ましい。
このような圧力の制御を行うことでより確実に洗浄液を底部へ充填することができる。
このような圧力の制御を行うことでより確実に洗浄液を底部へ充填することができる。
本発明の陰圧治療装置の制御方法は、次いで、上記圧力計Aの測定値が設定値以上となる又は上記圧力計Bの測定値が設定値以上となるまで前記差圧解消ステップを繰り返して前記被覆シートの内側に洗浄液を充填する洗浄液充填ステップを行う。
上記差圧解消ステップによって差圧が解消された後は、上記弁が閉じられ創部が再度密閉されるため、再び洗浄液が吸引経路に到達すると差圧が発生して同様の差圧解消サイクルが繰り返される。この際、創部では第1陰圧ステップによって圧縮した多孔質体に洗浄液が侵入し、創部の圧力上昇とともに洗浄液が多孔質体全体を拡張させながら浸透していく。そのため、洗浄液は多孔質体全体、つまり、創部の底部まで広がっていることから、創部の底部まで洗浄液を到達させることができ、治療の際に創部の底部に洗浄液の流れを作ることができる。このサイクルは創部の圧力が大気圧に近づくまで、具体的には、上記圧力計Aの測定値が設定値以上となるか、上記圧力計Bの測定値が設定値以上となるまで繰り返される。
上記差圧解消ステップによって差圧が解消された後は、上記弁が閉じられ創部が再度密閉されるため、再び洗浄液が吸引経路に到達すると差圧が発生して同様の差圧解消サイクルが繰り返される。この際、創部では第1陰圧ステップによって圧縮した多孔質体に洗浄液が侵入し、創部の圧力上昇とともに洗浄液が多孔質体全体を拡張させながら浸透していく。そのため、洗浄液は多孔質体全体、つまり、創部の底部まで広がっていることから、創部の底部まで洗浄液を到達させることができ、治療の際に創部の底部に洗浄液の流れを作ることができる。このサイクルは創部の圧力が大気圧に近づくまで、具体的には、上記圧力計Aの測定値が設定値以上となるか、上記圧力計Bの測定値が設定値以上となるまで繰り返される。
上記洗浄液充填ステップを終了させる上記圧力計Aの設定値は大気圧に近ければ特に限定されないが、例えば-15mmHg以上であることが好ましく、-10mmHg以上であることがより好ましい。
上記洗浄液充填ステップを終了させる上記圧力計Bの設定値は大気圧に近ければ特に限定されないが、例えば-25mmHg以上であることが好ましく、-15mmHg以上であることがより好ましい。
上記差圧解消ステップにおいて、洗浄液の流量は10mL/min以上100mL/min以下であることが好ましい。洗浄液の流量を上記範囲とすることで、より確実に洗浄液を創部の底部まで流すことができる。
本発明の陰圧治療装置の制御方法は、上記差圧解消ステップにおいて上記圧力計Aと上記圧力計Bとの測定値の差が所定の設定値未満であるときに上記圧力計Aの測定値が一定速度で増加するように圧力を調節するリーク時圧力調整ステップを有することが好ましい。
もし創部の密閉が不充分で大きなリークが発生している場合、創部が常に大気に開放されているため、洗浄液が吸引流路に到達してもすぐに容器へ押し出されてしまい差圧が発生しない又は検知できないことがある。この場合、上記差圧解消ステップ及び洗浄液充填ステップによって創部の圧力の増加速度を制御できなくなるため、創部の底部まで洗浄液が充填できないことがある。そこで、差圧が設定値未満であるときに、創部の圧力が一定の速度で大きくなるように圧力を制御することで、たとえ創部にリークが発生している場合であっても洗浄液を充分に多孔質体全体に浸透させることができ、洗浄液を創部の底部まで到達させることができる。なお、上記リーク時圧力調整ステップは、上記圧力計Aの測定値が上記洗浄液充填ステップを終了させる上記圧力計Aの設定値に到達するまで続けられる。
もし創部の密閉が不充分で大きなリークが発生している場合、創部が常に大気に開放されているため、洗浄液が吸引流路に到達してもすぐに容器へ押し出されてしまい差圧が発生しない又は検知できないことがある。この場合、上記差圧解消ステップ及び洗浄液充填ステップによって創部の圧力の増加速度を制御できなくなるため、創部の底部まで洗浄液が充填できないことがある。そこで、差圧が設定値未満であるときに、創部の圧力が一定の速度で大きくなるように圧力を制御することで、たとえ創部にリークが発生している場合であっても洗浄液を充分に多孔質体全体に浸透させることができ、洗浄液を創部の底部まで到達させることができる。なお、上記リーク時圧力調整ステップは、上記圧力計Aの測定値が上記洗浄液充填ステップを終了させる上記圧力計Aの設定値に到達するまで続けられる。
上記圧力計Aの測定値の増加速度は、洗浄液が多孔質体全体に浸透できれば特に限定されないが、5mmHg/min以上であることが好ましく、10mmHg/min以上であることがより好ましく、25mmHg/min以下であることが好ましく、20mmHg/min以下であることがより好ましい。
本発明の陰圧治療装置の制御方法は、次いで、上記圧力計Aの測定値が設定値となった時又は上記圧力計Bの測定値が設定値以上となった時に上記吸引手段を始動して上記被覆シートの内側を設定圧に減圧する第2陰圧ステップを行う。
上記第2陰圧ステップでは、洗浄液が充填された創部を再び減圧して治療時の圧力とする。
上記洗浄液充填ステップによって創部の圧力が大気圧に近づくと、圧縮された多孔質体が大気下の大きさまで戻るとともに洗浄液で満たされた状態となる。そして、創部の圧力(圧力計Aの測定値)が設定値以上となるか、上記容器の圧力(圧力計Bの測定値)が設定値以上となると、治療時の圧力まで再度創部が減圧され、洗浄液の創部への充填と陰圧閉鎖療法の準備が完了する。この際、多孔質体は底部まで完全に洗浄液で満たされていることから、第2陰圧ステップ後も洗浄液は創部の底部に存在する。その結果、治療の際に洗浄液を流すと創部の底部まで洗浄液を流すことができる。
上記第2陰圧ステップでは、洗浄液が充填された創部を再び減圧して治療時の圧力とする。
上記洗浄液充填ステップによって創部の圧力が大気圧に近づくと、圧縮された多孔質体が大気下の大きさまで戻るとともに洗浄液で満たされた状態となる。そして、創部の圧力(圧力計Aの測定値)が設定値以上となるか、上記容器の圧力(圧力計Bの測定値)が設定値以上となると、治療時の圧力まで再度創部が減圧され、洗浄液の創部への充填と陰圧閉鎖療法の準備が完了する。この際、多孔質体は底部まで完全に洗浄液で満たされていることから、第2陰圧ステップ後も洗浄液は創部の底部に存在する。その結果、治療の際に洗浄液を流すと創部の底部まで洗浄液を流すことができる。
上記第2陰圧ステップを開始する上記圧力計A及び圧力計Bの設定圧は、上記洗浄液充填ステップを終了させる上記圧力計Aの設定値及び上記洗浄液充填ステップを終了させる上記圧力計Bの設定値と同じであり、上記第2陰圧ステップを終了する設定値は、第1陰圧ステップの設定値と同じである。
上記第2陰圧ステップ時の洗浄液の流量は0mL/min以上10mL/min以下であることが好ましい。
上記第2陰圧ステップ時の洗浄液の流量は0.3mL/min以上であることがより好ましく、5mL/min以下であることがより好ましい。
上記第2陰圧ステップ時の洗浄液の流量は0.3mL/min以上であることがより好ましく、5mL/min以下であることがより好ましい。
ここで、本発明の陰圧治療装置の制御方法をフローチャートにまとめたものを図2に示す。
フローチャートでは本発明の一連の工程を洗浄液の充填としている。
本発明の陰圧治療装置の制御方法はまず吸引手段によって創部と容器を治療時の圧力(設定圧)まで減圧する(S1)。創部と容器が陰圧になった後、送液手段を始動して洗浄液の送液を開始(S2)する。洗浄液の送液が進み、洗浄液が吸引流路まで到達すると、創部と容器との間の空気の通連が断たれて創部と容器の圧力に差が生じ始める。差圧が設定値以上となり(S3)、かつ、容器の圧力が設定値未満(S4)であるときに、大気開放経路の弁を開けて創部を大気に開放し、創部と容器との間の空気の通連を回復させて差圧を解消させる(S6)。その際、創部を大気に開放する前に吸引手段を停止し(S5)、差圧の解消、圧力安定後に吸引手段を再始動してその時の圧力を維持するように吸引手段を制御することが好ましい(S7)。差圧解消後、大気開放経路は閉鎖され、創部が再度密閉される。そして、洗浄液が吸引流路に到達して再び差圧が発生し、容器の圧力が設定値以上となるか、創部の圧力が設定値以上となるまで差圧の解消が繰り返される(S3~S7、S9)。なお、創部に発生したリークによって、創部と容器の差圧が設定値未満となる場合は、創部の圧力が一定速度で設定値まで上昇するように吸引手段を制御することが好ましい(S8)。上記差圧の解消を繰り返して容器の圧力が設定値以上となるか、創部の圧力が設定値以上となると、創部の多孔質体全体に洗浄液が満たされた状態となることから、差圧の解消サイクルが停止され、再び創部の減圧を開始する(S10)。創部の圧力が設定値に到達すると洗浄液の創部への充填が完了する(S11)。
フローチャートでは本発明の一連の工程を洗浄液の充填としている。
本発明の陰圧治療装置の制御方法はまず吸引手段によって創部と容器を治療時の圧力(設定圧)まで減圧する(S1)。創部と容器が陰圧になった後、送液手段を始動して洗浄液の送液を開始(S2)する。洗浄液の送液が進み、洗浄液が吸引流路まで到達すると、創部と容器との間の空気の通連が断たれて創部と容器の圧力に差が生じ始める。差圧が設定値以上となり(S3)、かつ、容器の圧力が設定値未満(S4)であるときに、大気開放経路の弁を開けて創部を大気に開放し、創部と容器との間の空気の通連を回復させて差圧を解消させる(S6)。その際、創部を大気に開放する前に吸引手段を停止し(S5)、差圧の解消、圧力安定後に吸引手段を再始動してその時の圧力を維持するように吸引手段を制御することが好ましい(S7)。差圧解消後、大気開放経路は閉鎖され、創部が再度密閉される。そして、洗浄液が吸引流路に到達して再び差圧が発生し、容器の圧力が設定値以上となるか、創部の圧力が設定値以上となるまで差圧の解消が繰り返される(S3~S7、S9)。なお、創部に発生したリークによって、創部と容器の差圧が設定値未満となる場合は、創部の圧力が一定速度で設定値まで上昇するように吸引手段を制御することが好ましい(S8)。上記差圧の解消を繰り返して容器の圧力が設定値以上となるか、創部の圧力が設定値以上となると、創部の多孔質体全体に洗浄液が満たされた状態となることから、差圧の解消サイクルが停止され、再び創部の減圧を開始する(S10)。創部の圧力が設定値に到達すると洗浄液の創部への充填が完了する(S11)。
本発明の陰圧治療装置の制御方法は、陰圧閉鎖療法を行う前段階である創部に洗浄液を充填する工程において用いられるものである。従来の陰圧治療装置における洗浄液の充填方法では、創部を減圧しながら洗浄液を充填していたが、減圧しながら洗浄液を充填すると創部に送り込まれた洗浄液が創部の底部まで広がる前に吸引流路に到達することがあり、洗浄液が到達しなかった部分は老廃物や浸出液を効率的に除去できないことがあった。また、充填が完了する前に洗浄液が排出されるため無駄も多かった。本発明の陰圧治療装置の制御方法は、まず創部を減圧して多孔質体を圧縮した後に洗浄液を流しながら圧力を徐々に上昇させることで、多孔質体全体に洗浄液を浸透させることができ、その結果、洗浄液を確実に創部の底部まで到達させることができる。また、一旦陰圧とした後に洗浄液を充填するため、創部が陽圧化して液漏れが発生することもない。従って、本発明の陰圧治療装置の制御方法を行うことで、創部の底部まで自動的に洗浄液を充填することができ、より容易かつ治療効果の高い陰圧閉鎖療法を行うことができる。
本発明の陰圧治療装置の制御方法を用いる陰圧治療装置もまた、本発明の1つである。
1 洗浄液
2A 圧力計A
2B 圧力計B
3 送出流路
4 被覆シート
5 多孔質体
6 吸引流路
7 容器
8 吸引手段
9 送液手段
10 大気開放経路
2A 圧力計A
2B 圧力計B
3 送出流路
4 被覆シート
5 多孔質体
6 吸引流路
7 容器
8 吸引手段
9 送液手段
10 大気開放経路
Claims (3)
- 創傷部を密閉する被覆シートと、創傷部を密閉する前記被覆シートの内側へ送出流路を通じて洗浄液を送出する送液手段と、前記被覆シートの内側を陰圧状態に保ちながら、該被覆シートの内側から吸引流路を通じて前記洗浄液を吸引する吸引手段と、前記吸引流路に接続され、前記吸引手段により吸引された前記洗浄液を収容する容器と、前記被覆シートの内側の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Aと、前記容器の圧力を測定できる位置に接続された圧力計Bと、前記吸引流路中又は前記被覆シートの内側に弁を介して大気と接続する大気開放経路を備えた陰圧治療装置の制御方法であって、
前記吸引手段を始動して前記圧力計Aと前記圧力計Bの測定値を基に前記被覆シートの内側及び前記容器を所定の圧力に減圧する第1陰圧ステップと、
前記送液手段を始動して前記送出流路を通じて前記被覆シートの内側へ前記洗浄液を送出する送液ステップと、
前記圧力計Aと前記圧力計Bとの測定値の差が所定の設定値以上となり、かつ、前記圧力計Bの測定値が所定の設定値未満である時に前記弁を開き前記被覆シートの内側を圧力差が解消されるまで大気に開放する差圧解消ステップと、
前記圧力計Aの測定値が設定値以上となる又は前記圧力計Bの測定値が設定値以上となるまで前記差圧解消ステップを繰り返して前記被覆シートの内側に洗浄液を充填する洗浄液充填ステップと、
前記圧力計Aの測定値が設定値以上となった時又は前記圧力計Bの測定値が設定値以上となった時に前記被覆シートの内側を設定圧に減圧する第2陰圧ステップ
とを備えることを特徴とする陰圧治療装置の制御方法。 - 前記差圧解消ステップにおいて前記圧力計Aと前記圧力計Bとの測定値の差が所定の設定値未満であるときに前記圧力計Aの測定値が一定速度で増加するように圧力を調節するリーク時圧力調整ステップを有することを特徴とする請求項1記載の陰圧治療装置の制御方法。
- 請求項1又は2記載の陰圧治療装置の制御方法を使用することを特徴とする陰圧治療装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021176415A JP2023065971A (ja) | 2021-10-28 | 2021-10-28 | 陰圧治療装置の制御方法及び陰圧治療装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021176415A JP2023065971A (ja) | 2021-10-28 | 2021-10-28 | 陰圧治療装置の制御方法及び陰圧治療装置 |
Publications (1)
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JP2023065971A true JP2023065971A (ja) | 2023-05-15 |
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ID=86322290
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2021176415A Pending JP2023065971A (ja) | 2021-10-28 | 2021-10-28 | 陰圧治療装置の制御方法及び陰圧治療装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023065971A (ja) |
-
2021
- 2021-10-28 JP JP2021176415A patent/JP2023065971A/ja active Pending
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