JP2023065277A - 樹脂組成物及び複合材料 - Google Patents

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淳一 福田
Junichi Fukuda
顕通 小田
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Abstract

【課題】母材樹脂となるポリアリールエーテルケトン類との相溶性が高く、且つポリアリールエーテルケトン類の溶融粘度を十分に低下させることができ、複合材料の物性を低下させ難い可塑剤を含んで成る樹脂組成物、及びこの樹脂材料を含んで成る複合材料を提供する。【解決手段】ビスフェノール構造を有する所定のオリゴマーを可塑剤として用いることにより、上記課題を解決できる。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び複合材料に関する。詳しくは、ポリアリールエーテルケトン類と、オリゴマーと、を含んで成る樹脂組成物であって、当該オリゴマーによってポリアリールエーテルケトン類の溶融粘度が減粘されている樹脂組成物、及びこれを用いる複合材料に関する。
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維材料と、各種のマトリクス樹脂とを複合化して得られる繊維強化複合材料は、種々の分野・用途に広く利用されている。従来、高度の機械的特性や耐熱性等を要求される航空・宇宙分野や、産業分野などでは、マトリクス樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が主に使用されている。
しかし、これらの熱硬化性樹脂は、脆く、耐衝撃性に劣るという欠点を有する。そのため、特に航空・宇宙分野では、得られる複合材料の耐衝撃性や、成形コストの観点から、熱可塑性樹脂が、マトリクス樹脂として検討されている。
熱可塑性樹脂の中でも、航空・宇宙分野においては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルケトンケトン(PEKK)などのポリアリールエーテルケトン(PAEK)類が、耐熱性、耐薬品性、機械強度に優れるため、期待されている。特にPEKKは、その構造中に含まれるテレフタロイル基(T)とイソフタロイル基(I)の含有比率を変化させることにより、その特性を変化させることができるため、部材ごとに求められる特性や成形条件に応じて特性を調整できる等の理由から、近年開発が加速している。
しかしながら、ポリアリールエーテルケトン類は、その溶融粘度が高いため、繊維強化基材内に十分に含浸させることが困難となる場合がある他、複数のプリプレグを積層する場合に、層間の接着性が不十分となる場合がある。そのため、ポリアリールエーテルケトン類の溶融粘度を下げるために可塑剤を添加することが試みられている。
特許文献1-2には、ポリエーテル系共重合体から成る耐熱性樹脂用可塑剤が開示されているが十分な効果を得るには至っていない。また、低分子化合物であるフタル酸エステル等の従来の可塑剤は、得られる複合材料の強度が低下し易い。
特開平03-181518号公報 特開平03-134055号公報
本発明の目的は、母材樹脂となるポリアリールエーテルケトン類との相溶性が高く、且つポリアリールエーテルケトン類の溶融粘度を十分に低下させることができ、複合材料の物性を低下させ難い可塑剤を含んで成る樹脂組成物、及びこの樹脂材料を含んで成る複合材料を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、ビスフェノール構造を有する所定のオリゴマーを可塑剤として用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明を以下に記載する。
〔1〕 ポリアリールエーテルケトン類と、オリゴマーと、を含んで成る樹脂組成物であって、
前記オリゴマーが、下記化学式(1)
Figure 2023065277000001
(化学式(1)中、R及びRは水素原子、又は置換基を有していても良い脂肪族炭化水素、若しくは芳香族炭化水素であり、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びRが結合して環を形成していてもよい。)
で示される構造を含む繰り返し単位Aと、アリール基を含む繰り返し単位Bと、から成ることを特徴とする樹脂組成物。
〔2〕 前記繰り返し単位Bがケトン基を含有するアリール基である〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕 前記繰り返し単位Bが下記化学式(2)
Figure 2023065277000002
で示されるベンゾフェノン構造を有する〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕 前記オリゴマーの質量平均分子量(Mw)が、1,000~30,000である、〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の樹脂組成物。
〔5〕 前記ポリアリールエーテルケトン類100質量部に対して、前記オリゴマーを5~30質量部含む〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載の樹脂組成物。
上記〔1〕に記載の樹脂組成物は、ポリアリールエーテルケトン類から成る母材樹脂に、所定のビスフェノール構造を含む繰り返し単位Aと、アリール基を含む繰り返し単位Bと、から成るオリゴマーを可塑剤として含んで成る。
繰り返し単位Bは、ケトン基を含有するアリール基であることが好ましく(上記〔2〕)、ベンゾフェノン構造を有することがさらに好ましい(上記〔3〕)。
オリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、1,000~30,000であることが好ましい(上記〔4〕)。
ポリアリールエーテルケトン類100質量部に対して、オリゴマーを5~30質量部含むことが好ましい(上記〔5〕)。
〔6〕 繊維強化基材と、
前記繊維強化基材内に含浸する〔1〕乃至〔5〕の何れかに記載の樹脂組成物と、
から成る複合材料。
上記〔6〕に記載の複合材料は、繊維強化基材と、当該繊維強化基材の層内に含浸する〔1〕乃至〔5〕の何れかに記載の樹脂組成物と、から成る複合材料であり、成形品のみならず、プリプレグの状態である物を含む。
本発明の樹脂組成物は、ポリアリールエーテルケトン類との相溶性が高く、ポリアリールエーテルケトン類に溶解させた際にポリアリールエーテルケトン類の溶融粘度を大きく低下させることができるオリゴマーから成る可塑剤を含んで成る。そのため、繊維強化基材への含浸性が優れる。また、複合材料とした際に、可塑剤に起因する性能低下が小さい。
以下、本発明の樹脂組成物、及び複合材料について説明する。
1. 樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、ポリアリールエーテルケトン類と、ビスフェノール構造を有する所定のオリゴマーと、を含んで成る樹脂組成物である。
本発明において、母材樹脂となるポリアリールエーテルケトン類100質量部に対するオリゴマーの配合量は、5~30質量部であることが好ましく、7~20質量部であることがより好ましい。5質量部未満である場合、ポリアリールエーテルケトン類を減粘させる効果が小さい。30質量部を超える場合、樹脂組成物の物性が低下し易い。
ポリアリールエーテルケトン類にオリゴマーが添加されて成る樹脂組成物は、その350℃における溶融粘度が、100~3000Pa・sであることが好ましく、100~1000Pa・sであることがより好ましく、100~600Pa・sであることがさらに好ましい。
また、ポリアリールエーテルケトン類100質量部にオリゴマーが10質量部添加されて成る樹脂組成物の350℃溶融粘度は、同じ組成のポリアリールエーテルケトン類の350℃溶融粘度と比較して40~80%に低下していることが好ましく、40~60%に低下していることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上述の樹脂組成物を必須成分とし、他の任意成分を含んでいても良い。例えば、他の熱可塑性樹脂やフィラー、着色剤を含んでいても良い。なお、本発明の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含まないことが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上述の樹脂組成物を樹脂組成物全体に対して50質量%以上含んでいることが好ましく、60質量%以上含んでいることがより好ましく、80質量%以上含んでいることがさらに好ましく、99質量%以上含んでいることが特に好ましく、当然に100質量%含んでいても良い。
本発明の樹脂組成物における溶融粘度は回転型レオメーターを用いて、窒素気流中でパラレルプレートにセットした溶融試料を次の評価条件に付した際の複素粘度である。
測定モード:強制振動法
測定温度:350℃
ギャップ間距離:1.000mm
角周波数:10rad/s
(1) ポリアリールエーテルケトン類
ポリアリールエーテルケトン類としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルケトンケトン(PEKK)が挙げられる。
ポリエーテルエーテルケトンは、下記化学式(3)
Figure 2023065277000003
で表される構造単位を有する。このようなポリエーテルエーテルケトンとしては、市販のものを用いることができ、例えば、ダイセル・エボニック社製、商品名「VestaKeep」や、ビクトレックス社製、商品名「450G」等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
母材樹脂であるポリエーテルエーテルケトンに占める、上記化学式(3)で表される構造単位の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることが特に好ましい。
ポリエーテルエーテルケトンは、示差走査熱量計(DSC)により測定される結晶融解ピーク温度が300℃以上であることが耐熱性の点から好ましく、320℃以上であることがより好ましい。
ポリエーテルエーテルケトンの350℃における溶融粘度は、100~5000Pa・sであることが好ましく、250~2000Pa・sであることがより好ましく、400~1000Pa・sであることがさらに好ましい。
また、その分子量は30,000を超えることが好ましく、35,000以上がより好ましく、特に好ましくは、35,000~200,000である。
ポリエーテルケトンケトンは、下記化学式(4)
Figure 2023065277000004
で表される構造単位を有する。このようなポリエーテルケトンケトンとしては、市販のものを用いることができ、例えば、アルケマ社製、商品名「KEPSTAN」等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いるポリエーテルケトンケトンは、その構造中に含まれるテレフタロイル基(T)とイソフタロイル基(I)の含有比率(T/I比)が、60/40~100/0であることが好ましい。T/I比がこの範囲にあるときにはポリエーテルケトンケトンが結晶化することが可能であり、より機械物性に優れた繊維強化複合材料が得られるため好ましい。T/I比は65/35~75/25であることがより好ましい。T/I比は、例えば、製造時の共重合反応に供するジハロゲン化テレフタロイルおよびジハロゲン化イソフタロイルの相対量により調節することができる。
母材樹脂であるポリエーテルケトンケトンに占める、上記化学式(4)で表される構造単位の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることが特に好ましい。
ポリエーテルケトンケトンは、示差走査熱量計(DSC)により測定される結晶融解ピーク温度が300℃以上であることが耐熱性の点から好ましく、320℃以上であることがより好ましい。
ポリエーテルケトンケトンの350℃における溶融粘度は、100~5000Pa・sであることが好ましく、250~2000Pa・sであることがより好ましく、400~1000Pa・sであることがより好ましい。
また、その分子量は30,000を超えることが好ましく、35,000以上がより好ましく、特に好ましくは、35,000~200,000である。
(2) オリゴマー(可塑剤)
ビスフェノール構造を有する所定のオリゴマーは、下記化学式(1)
Figure 2023065277000005
で示される構造を含む繰り返し単位Aと、及びアリール基を含む繰り返し単位Bとから成る。
化学式(1)中、R及びRは水素原子、又は置換基を有していても良い脂肪族炭化水素、若しくは芳香族炭化水素であり、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びRが結合して環を形成していてもよい。
及びRは、アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
置換基としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、フェニル基が例示される。
繰り返し単位Bを構成するアリール基としては、ケトン基を含有するアリール基であることが好ましく、下記化学式(2)
Figure 2023065277000006
で示されるベンゾフェノン構造を有することがより好ましい。
このようなケトン基を有する繰り返し単位Bとすることで、母材樹脂と相溶され易くなり、且つ樹脂組成物が成形された後に、樹脂組成物から経時で可塑剤(オリゴマー)が浸み出すことを高度に抑制できる。
オリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、1,000~30,000であることが好ましく、1,000~25,000であることがより好ましい。
このようにある程度の分子量を有することで、可塑剤(オリゴマー)を母材樹脂に添加しても樹脂物性が低下し難くなる。1,000未満である場合、可塑剤(オリゴマー)を母材樹脂に添加すると樹脂物性が低下し易い。30,000を超えると母材樹脂との相溶性が低下し易い。
オリゴマーにおける繰り返し単位A及び繰り返し単位Bとの割合は、繰り返し単位Aのモル数をmとし、繰り返し単位Bのモル数をnとした場合、m/(m+n)が0.1~0.9であることが好ましく、0.2~0.8であることがより好ましい。
このようなオリゴマーとしては、下記化学式(5)~(7)で示される化合物が例示される。
Figure 2023065277000007
Figure 2023065277000008
Figure 2023065277000009
(3) 樹脂組成物の製造方法
本発明の樹脂組成物は、ポリアリールエーテルケトン類と、オリゴマーと、必要に応じてその他の成分と、を混合することにより製造できる。これらの混合の順序は問わない。
本発明において、ポリアリールエーテルケトン類と、オリゴマーと、必要に応じてその他の成分と、を混合する方法は特に限定されず、従来公知の方法、例えば、粉体混合法、溶液法、融液法又はマスターバッチ法などを採用することができる。混練に際しては、溶液状態での混練又は溶融状態での混練が、均一性の観点で好ましい。ポリアリールエーテルケトン類と、オリゴマーと、必要に応じてその他の成分と、の混合操作は、従来公知の混練装置を使用することができる。混練装置としては、特に限定なく、従来公知の縦型の反応容器、混合槽、混練槽、又は一軸若しくは多軸の横型混練装置、例えば一軸若しくは多軸のエクストルーダー、ニーダーなどが例示される。
本発明において混合により得られた樹脂組成物は必要に応じて、粉砕して用いることができる。その場合の粉砕方法は特に限定されず、従来公知の方法、例えば、凍結粉砕法、カッティングミル法又はボウルミル法などを採用することができる。
溶融温度は、樹脂の種類や混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜調整されるが、生産性等の観点から、320℃以上であることが好ましく、330℃以上であることがより好ましい。また、380℃以下であることが好ましく、360℃以下であることがより好ましい。
2. 複合材料
本発明の複合材料は、繊維強化基材と、この繊維強化基材内に含浸する上記の樹脂組成物と、から成る。複合材料としては、成形後の複合材料の他、成形前のプリプレグの状態であっても良い。
本発明の繊維強化複合材料の成形方法としては、特に限定されないが、例えば、射出成形、オートクレーブ成形、プレス成形、フィラメントワインディング成形、スタンピング成形などの生産性に優れた成形方法が挙げられ、これらを組み合わせて用いることができる。後述のプリプレグを用いて繊維強化複合材料を成形することが好ましい。
(1) 繊維強化基材
本発明において繊維強化基材として用いる強化繊維は、特に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などが挙げられる。
これらの強化繊維の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましい。比強度、比弾性率が良好で、軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られる点で、炭素繊維がより好ましい。引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
強化繊維にPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は、100~600GPaであることが好ましく、200~500GPaであることがより好ましく、230~450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は、2000MPa~10000MPaであることが好ましく、3000~8000MPaであることがより好ましい。炭素繊維の直径は、4~20μmが好ましく、5~10μmがより好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、得られる繊維強化複合材料の機械的性質を向上できる。
本発明において強化繊維基材は、強化繊維束であってもよく、強化繊維をシート状に形成した強化繊維シートとして用いてもよい。強化繊維をシート状に形成した強化繊維シートを用いることがより好ましい。強化繊維シートとしては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシート(UDシート)や、UDシートを複数、繊維方向を揃えて、または、繊維方向を変えて積層した積層シート、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙を挙げることができる。これらの中でも、強化繊維を連続繊維としてシート状に形成した、UDシートや、積層シート、二方向織物、多軸織物基材を用いると、より機械物性に優れた繊維強化複合材料が得られるため好ましい。シート状の強化繊維基材の厚さは、0.01~3mmが好ましく、0.1~1.5mmがより好ましい。
本発明の複合材料がプリプレグである場合、強化繊維基材に、上記の樹脂組成物を含浸させることにより製造することができる。
(2) プリプレグの製造方法
本発明におけるプリプレグの製造方法は、特に制限がなく、従来公知のいかなる方法も採用できる。具体的には、樹脂組成物からなるフィルムに繊維強化基材を熱融着させる方法(ホットメルト法)、樹脂組成物の溶液又はエマルションに繊維強化基材を浸漬、乾燥後に溶融させる方法、樹脂粉末の床中に繊維強化基材を通して付着させた後、加熱融着させる方法、樹脂粉末のサスペンジョン溶液(懸濁溶液)に繊維強化基材を浸漬して、樹脂粉末を基材に付着させた後、加熱溶融させる方法(パウダーサスペンジョン法)などが例示される。この中でも樹脂組成物を繊維強化基材の層内に且つ均一に含浸させることができることから、パウダーサスペンジョン法が好ましく用いられる。
ホットメルト法を用いる場合、樹脂組成物を樹脂組成物フィルムにする方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いることもできる。具体的には、ダイ押し出し、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーターなどを用いて、離型紙やフィルムなどの支持体上に樹脂組成物を流延、キャストをすることにより樹脂組成物フィルムを得ることができる。フィルムを製造する際の樹脂温度は、樹脂組成物の組成や粘度に応じて適宜決定する。樹脂組成物の繊維強化基材への熱融着、繊維層内への含浸は1回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。
パウダーサスペンジョン法では、粉末状の樹脂組成物を用いる。繊維強化基材への良好な沈着(繊維間あるいは繊維表面に樹脂粉末が保持された状態)を考慮すると、樹脂組成物粉末の粒子径は50μm以下で、取扱性の点からは1μmを下回らないのが良く、平均粒子径が5~50μmの範囲のものがより好ましい。上記粒度範囲の樹脂組成物粉末は、下述の液体に分散させたとき、その分散性(サスペンジョン中の樹脂粉末の分散性)が安定しており、長時間生産においても、繊維強化材料に樹脂粉末を安定的に沈着できる。なお、上記の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法を用いて測定される粒度分布の累積50体積%粒子径(D50)の値を意味する。
パウダーサスペンジョン法においては、樹脂組成物粉末を分散させるため液体を用いることが好ましい。用いられる液体としては、水、アルコール類、ケトン類、ハロゲン化炭素水素類から選ばれた1種若しくは2種以上の溶媒又は混合溶媒が好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ等が、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が、ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、ジクロロエタン等が挙げられる。中でも好ましいのは、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンあるいはそれらと水との混合溶媒、又は水である。また、上記溶媒を含有し、好適な溶媒組成を有する市販品を使用することもでき、そのような市販品としてソルミックス(製品名、日本アルコール販売(株)製)が例示される。かかる液体は、繊維強化基材を適度に開繊させるという作用もあるので、サスペンジョン中の樹脂粉末が繊維材料に均一に沈着するのに効果的である。
樹脂組成物粉末とそれを分散させるための液体(溶媒)との組み合わせは、溶媒が、樹脂組成物に対して貧溶媒であることが好ましく、樹脂組成物が溶解しないものであることが好ましい。
サスペンジョン中の樹脂組成物の濃度[樹脂組成物質量/(液体質量+樹脂組成物質量)×100]は、1~50質量%であることが好ましく、1~30質量%がより好ましく、1~15質量%がさらに好ましい。
繊維強化基材を浸漬させるときのサスペンジョンの温度は、樹脂の分散状態が良好に保たれる限り特に制限はなく、また、用いられる樹脂や液体の種類、濃度によって異なるが、通常は5~50℃、好ましくは5~30℃、さらに好ましくは15~30℃である。
繊維強化基材に付着させる樹脂組成物粉末の量は、強化繊維と樹脂組成物粉末との合計量に対して10~70質量%であることが好ましく、プリプレグの製造上は20~50質量%がより好ましい。
このように樹脂組成物粉末を付着させた繊維強化基材は、通常、熱可塑性樹脂が分解又は反応しない温度で乾燥される。乾燥温度は、80~200℃であることが好ましく、乾燥時間は1~20分間であることが製造上好ましい。
樹脂組成物粉末の付着した繊維強化基材は、樹脂組成物のガラス転移温度又は融点よりも低くない温度で加熱される。この処理により、樹脂組成物粉末が、軟化乃至溶融し、強化繊維と樹脂組成物とが一体化することにより、プリプレグが得られる。
樹脂組成物粉末の付着した繊維強化基材の加熱方法は、特に制限はなく、加熱ローラー、加熱スリット、熱プレス装置、乾燥機などを用いることができる。
上記のようなプリプレグの製造方法によれば、低温、短時間で成形した場合でも、機械強度に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の繊維強化複合材料は、低コストで成形でき、かつ、機械強度に優れるため、自動車、航空機、電気・電子機器、スポーツ・レジャー用品などの用途に好適に適用できる。これらの中でも、本発明の繊維強化複合材料は航空・宇宙分野等の部材に特に好適に用いることができる。
上記のようなプリプレグを用いると、低温、短時間で成形した場合でも、機械強度に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の評価方法は、次の通りである。
溶融粘度はTAインストゥルメンツ(TA Instruments)製のレオメーター、Discovery DHR-2を用いて、20mL/分の窒素気流中で高分子材料の試料を350℃のアルミニウム製パラレルプレートにセットし、2分間保持した後、次の評価条件により調査した。
測定モード:強制振動法
ギャップ間距離:1.000mm
角周波数:10rad/s
歪み:0.5
ガラス転移温度はTAインストゥルメンツ(TA Instruments)製の示差走査熱量測定装置、DSC Q2000を用いて、流量40ml/分の窒素気流中、5mg±1mgの高分子材料の試料について次の走査手順を用いて調査した。
ステップ1:試料を30℃から400℃まで10℃/分で昇温する予備加熱サイクルにかけて記録を行う。
ステップ2:1分間保持する。
ステップ3:10℃/分で30℃まで降温する。
ステップ4:30℃から400℃まで10℃/分で昇温し、得られた曲線のうちの転移の過程における変曲点をガラス転移温度として記録する。
元素分析はパーキンエルマー 2400II型を用いた燃焼法によりC:H:N比を調査し、理論値と照合することで分析した。
IR測定はサーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)Nicolet iS20を用いて、粉末サンプルを測定した。
GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)分析においては、昭和電工製のGPCカラムLF-804を備えた日本分光製の高速液体クロマトグラフEXTREMAを用いて、0.1重量パーセントのクロロホルムに溶解した試料溶液を分析した。繰り返し単位は、別途ポリスチレン標品で求めた分子量回帰直線から、試料の分子量を求め、構造単位の分子量で除することで求めた。
(可塑剤の製造)
(合成例1)modBisA-PEEKの合成
窒素ガス吹込管と攪拌装置を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ビスフェノールA 32.53 g(0.1425 mol;95mol%)、4,4-ジフルオロベンゾフェノン22.91 g(0.105 mol;70mol%)と2,6-ジクロロベンゾニトリル7.74 g(0.045 mol;30mol%)、炭酸カリウム 24.88 g(0.18 mol;120mol%)、及びN-メチルピロリドン300 mLを入れ、200℃において加熱攪拌した。4時間反応させた後、反応液を冷メタノールに注入し、生成物を析出させた。
析出した生成物をろ過した後、メタノールで2回、水で2回、再度メタノールで1回洗浄した後に乾燥し、52.46 g(収率94.2%)のオリゴマーを得た。
この生成物のガラス転移温度は121℃であった。
IR測定および元素分析の結果より、この可塑剤は下記の(I)/(II)=3/7(モル比)の構造であることが確認された。
Figure 2023065277000010
Figure 2023065277000011
(合成例2)BisA-PEEKの合成
4,4-ジフルオロベンゾフェノンを4,4-ジフルオロベンゾフェノンと2,6-ジクロロベンゾニトリルの混合物を4,4-ジフルオロベンゾフェノン 32.74 g(0.15 mol;100mol%)に変更した以外は合成例1と同様の操作で実施し、53.28 g(収率89.9%)のオリゴマーを得た。
この生成物のガラス転移温度は129℃であった。
IR測定および元素分析の結果より、この可塑剤は下記の化学式(8)の構造であることが確認された。
また、GPC分析より繰り返し構造単位の平均繰り返し数nは20であった。
Figure 2023065277000012
(合成例3)modBisFlu-PEEKの合成
ビスフェノールAを9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン49.93 g(0.1425 mol)に変更した以外は合成例1と同様の操作で実施し、65.28 g(89.0%)のオリゴマーを得た。
この生成物のガラス転移温度は233℃であった。
IR測定および元素分析の結果より、この可塑剤は下記の(III)/(IV)=3/7(モル比)の構造であることが確認された。
また、GPC分析より繰り返し構造単位の平均繰り返し数nは20であった。
Figure 2023065277000013
Figure 2023065277000014
(合成例4)modBisA-PEEK(低重合度)の合成
ビスフェノールAの使用量を30.82 g(0.135 mol)に変更した以外は合成例1と同様の操作で実施し、48.65 g(91.8%)のオリゴマーを得た。
この生成物のガラス転移温度は137℃であった。
IR測定および元素分析の結果より、この可塑剤は下記の(I)/(II)=3/7(モル比)の構造であることが確認された。
また、GPC分析より繰り返し構造単位の平均繰り返し数nは10であった。
Figure 2023065277000015
Figure 2023065277000016
(比較合成例)先行技術に記載の可塑剤の合成
特開平03-181518号公報に記載の実施例に従って、ビスフェノールAを含まないオリゴマー可塑剤を合成した。
(樹脂組成物の製造・評価)
(実施例1~4)
PEKK(アルケマ社製のKEPSTAN7002) 100質量部に対して上記合成例で得た可塑剤15質量部を混合し、ラボプラストミルを用いて380℃で混錬することで樹脂組成物を得た。調製した樹脂組成物について、DSCによりガラス転移温度、回転型レオメーターにより角周波数10rad/秒、350℃における溶融粘度を測定した。その結果を表1に示した。
(実施例5~7)
実施例1~4と同様にして、PEEK(ダイセル・エボニック社製のVestaKeep2000G) 100質量部に対して15質量部のオリゴマーを添加した。
Figure 2023065277000017
いずれの実施例においても唯一のTgが観測され、オリゴマー無添加の比較例から変化していることから、母材樹脂とオリゴマーとが相溶化していることが示唆されている。
(繊維強化樹脂の成形・評価)
比較例4、実施例7で製造した樹脂組成物を液体窒素中で粉砕し、それぞれの粉末樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物の粉末11.4gを、60×150mmの型枠を持ったキャビティ内にて10枚の炭素繊維織物15.2gとともに交互に積層し、5MPaの圧力下で390℃に加熱プレスすることで、厚さ1.8mmであり、十分に樹脂が含浸した炭素繊維強化樹脂成形板を得た。得られた成形板をカットし、JIS K7074に基づいて曲げ試験を実施した結果を表2に示す。
Figure 2023065277000018

Claims (6)

  1. ポリアリールエーテルケトン類と、オリゴマーと、を含んで成る樹脂組成物であって、
    前記オリゴマーが、下記化学式(1)
    Figure 2023065277000019
    (化学式(1)中、R及びRは水素原子、又は置換基を有していても良い脂肪族炭化水素、若しくは芳香族炭化水素であり、同一であっても異なっていてもよい。また、R及びRが結合して環を形成していてもよい。)
    で示される構造を含む繰り返し単位Aと、アリール基を含む繰り返し単位Bと、から成ることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記繰り返し単位Bがケトン基を含有するアリール基である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記繰り返し単位Bが下記化学式(2)
    Figure 2023065277000020
    で示されるベンゾフェノン構造を有する請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記オリゴマーの質量平均分子量(Mw)が、1,000~30,000である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリアリールエーテルケトン類100質量部に対して、前記オリゴマーを5~30質量部含む請求項1乃至4の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 繊維強化基材と、
    前記繊維強化基材内に含浸する請求項1乃至5の何れか1項に記載の樹脂組成物と、
    から成る複合材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024085104A1 (ja) * 2022-10-19 2024-04-25 帝人株式会社 ポリアリールエーテルケトン及びその製造方法、並びに樹脂組成物

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