JP2023062619A - 射出成形方法、成形用樹脂組成物、及び成形体 - Google Patents

射出成形方法、成形用樹脂組成物、及び成形体 Download PDF

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Kenichiro NAKANE
尊靖 武藤
Takayasu Muto
俊樹 原
Toshiki Hara
壮太朗 吉原
Sotaro YOSHIHARA
大輝 小島
Hiroki Kojima
哲生 高山
Tetsuo Takayama
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Abstract

【課題】一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られる射出成形方法を提供する。【解決手段】230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の相溶化剤と、を含む成形用樹脂組成物を原料として射出成形する射出成形方法。【選択図】図1

Description

本開示は、射出成形方法、成形用樹脂組成物、及び成形体に関する。
射出成形は、金型を用いた成形法の一つである。樹脂等の材料を加熱して溶かし、金型内に送り込み、そして冷やすことで、前記材料を所望の形状にすることができる。射出成形では、所望の形状の物品を、連続して素早く大量に製造することができることから、幅広い分野で利用されている。
例えば、特許文献1には、スチレン系樹脂、ポリ乳酸、及びブタジエンとエチレン性不飽和カルボン酸エステルの共重合体を含有する樹脂組成物を射出成形して得られる、耐衝撃性に優れる成形体が開示されている。
特開2016-199654号公報
しかしながら、従来、コア部とコア部を覆うシェル部をそれぞれ形成する異なる樹脂を用いた成形体を作製するには、一度の射出成形のみでは行えず、二色成形又は塗装等の複数工程が必要であった。特許文献1においても、コア部及びシェル部を有する構造となる成形体を作るという視点はない。
本開示は上記に鑑みてなされたものであり、本開示は、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られる射出成形方法、前記方法において使用する成形用樹脂組成物、並びに前記方法により得られる成形体、を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の相溶化剤と、を含む成形用樹脂組成物を原料として射出成形する射出成形方法。
<2> 前記樹脂は、少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい2種の樹脂の見かけ粘度の差が1000Pa・s~50000Pa・sである樹脂A及び樹脂Bを含む、前記<1>に記載の射出成形方法。
<3> 前記樹脂Aの230℃での見かけ粘度(η)に対する前記樹脂Bの230℃での見かけ粘度(η)の比(η/η)が、0.01~0.4である、前記<2>に記載の射出成形方法。
<4> 前記相溶化剤として、前記樹脂Aと相溶する第一の相溶化剤と、前記樹脂Bと相溶する第二の相溶化剤と、を含む、前記<2>又は<3>に記載の射出成形方法。
<5> 前記成形用樹脂組成物の全質量に対して、前記樹脂Aは40質量%~99質量%であり、前記樹脂Bは0.1質量%~40質量%であり、前記第一の相溶化剤は0.1質量%~20質量%であり、前記第二の相溶化剤は0.1質量%~20質量%である、前記<4>に記載の射出成形方法。
<6> 前記第一の相溶化剤及び前記第二の相溶化剤はいずれも有機化合物である、前記<4>又は<5>に記載の射出成形方法。
<7> 前記樹脂Aは芳香族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂であり、前記樹脂Bは不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂である、前記<4>~<6>のいずれか1つに記載の射出成形方法。
<8> 前記第一の相溶化剤及び前記第二の相溶化剤は共重合体であり、
前記第一の相溶化剤における芳香族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第一の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超え、
前記第二の相溶化剤における不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第二の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超える、
前記<7>に記載の射出成形方法。
<9> 少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の相溶化剤と、を含み、
前記樹脂は、少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい2種の樹脂の見かけ粘度の差が1000Pa・s~50000Pa・sである樹脂A及び樹脂Bを含む、成形用樹脂組成物。
<10> 前記樹脂Aの230℃での見かけ粘度(η)に対する前記樹脂Bの230℃での見かけ粘度(η)の比(η/η)が、0.01~0.4である、前記<9>に記載の成形用樹脂組成物。
<11> 前記相溶化剤として、前記樹脂Aと相溶する第一の相溶化剤と、前記樹脂Bと相溶する第二の相溶化剤と、を含む、前記<9>又は<10>に記載の成形用樹脂組成物。
<12> 前記第一の相溶化剤及び前記第二の相溶化剤はいずれも有機化合物である、前記<11>に記載の成形用樹脂組成物。
<13> 前記樹脂Aは芳香族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂であり、前記樹脂Bは不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂である、前記<11>又は<12>に記載の成形用樹脂組成物。
<14> 前記第一の相溶化剤及び前記第二の相溶化剤は共重合体であり、
前記第一の相溶化剤における芳香族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第一の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超え、
前記第二の相溶化剤における不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第二の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超える、
前記<13>に記載の成形用樹脂組成物。
<15> 樹脂Aの硬化物を含むコア部と、
樹脂Bの硬化物を含み、前記コア部の少なくとも一部を覆うシェル部と、
前記コア部及び前記シェル部の間に位置し、少なくとも1種の相溶化剤の硬化物を含む中間部と、を有し、
前記樹脂A及び樹脂Bの濃度は、それぞれ、コア部からシェル部に向かって連続的に変化する分布を有する、成形体。
<16> 前記相溶化剤は少なくとも2種である、前記<15>に記載の成形体。
<17> 前記シェル部の厚みが300μm以下である、前記<15>又は<16>に記載の成形体。
本開示によれば、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られる射出成形方法、前記方法において使用する成形用樹脂組成物、並びに前記方法により得られる成形体が提供される。
溶融した成形用樹脂組成物を射出成形した場合の成形用樹脂組成物の流れを示す模式図である。 成形体の断面を示す模式図である。 成形体の断面の拡大図である。 アセトン蒸気エッチング前後の成形体の断面を示す顕微鏡写真である。 アセトン蒸気エッチング前後の成形体の断面を示す顕微鏡写真である。 成形体の構造を示す顕微鏡写真である。
以下、本開示の一実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の開示において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ下限値及び上限値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本文中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
≪射出成形方法≫
本開示の射出成形方法は、230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の相溶化剤と、を含む成形用樹脂組成物を原料として射出成形する。
230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の相溶化剤と、を含む成形用樹脂組成物を原料として射出成形すると、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られる。
本開示の射出成形方法の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂を含む成形用樹脂組成物を、溶融し、射出成形したときの模式図を図1に示す。溶融した成形用樹脂組成物は、溶融した成形用樹脂組成物の流れる方向1に向かって金型5内を流れる。このとき、ファウンテンフローの原理から、溶融した低粘度樹脂3は、溶融した高粘度樹脂2よりも速やかに金型5内を流動し、図1中の点線矢印のような流れに沿って金型5の表面側へ速やかに移動する。一方で、溶融した高粘度樹脂2は、溶融した低粘度樹脂3よりも遅れて金型5内を流動するため、金型の表面側へは移動しづらく、金型の中央部に留まる。そして、これらの樹脂は、金型により自然に冷却され固化が起こり、図2に示すようなコア部及びシェル部を有する構造となる成形体が形成される。なおこのとき、高粘度樹脂2がより高粘度であり、高粘度樹脂2と低粘度樹脂3との見かけ粘度の差がより大きいとき、コア部及びシェル部を有する構造となる成形体がより形成されやすい。
さらに、本開示の成形用樹脂組成物は、少なくとも1種の相溶化剤を含むことから、前記少なくとも2種の樹脂の間に、前記相溶化剤が介在することで、前記少なくとも2種の樹脂同士が相分離を起こすことなく、互いに接着し、一つの形成体となることができる。
すなわち、本開示の射出成形方法によれば、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られる。
なお、本開示は、上記推定機構には何ら制限されない。
<成形用樹脂組成物>
(樹脂)
本開示の射出成形方法において、230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂は、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい2種の樹脂の見かけ粘度の差が、1000Pa・s~50000Pa・sである樹脂A及び樹脂Bを含むことが好ましく、3000Pa・s~50000Pa・sである樹脂A及び樹脂Bを含むことがより好ましく、5000Pa・s~50000Pa・sである樹脂A及び樹脂Bを含むことがさらに好ましい。前記「少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい2種の樹脂」は、上記したような見かけ粘度の差を有することで、成形体において、それぞれコア部又はシェル部を構成することができる。
なお本開示の射出成形方法において、例えば230℃での見かけ粘度が異なる樹脂を2種使用する場合、「230℃での見かけ粘度の差」はその2種の樹脂の見かけ粘度の差であり、好ましい見かけ粘度の差は上記と同様であり、2種の樹脂は成形体においてそれぞれコア部又はシェル部を構成することができる。
なお本開示の射出成形方法において、「230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂」には、後述する「相溶化剤」は含まれない。
本開示の射出成形方法において、230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂は、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい樹脂A及び樹脂Bにおける、前記樹脂Aの230℃での見かけ粘度(η)に対する前記樹脂Bの230℃での見かけ粘度(η)の比(η/η)が、0.01~0.4であることが好ましく、0.01~0.3であることがより好ましく、0.01~0.2であることがさらに好ましい。前記「少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい樹脂A及び樹脂B」は、上記したような見かけ粘度の比であることで、成形体において、それぞれコア部又はシェル部を構成することができる。
なお本開示の射出成形方法において、例えば230℃での見かけ粘度が異なる樹脂を2種使用する場合、「比(η/η)」はその2種の樹脂の比(η/η)であり、好ましい比(η/η)は上記と同様であり、2種の樹脂は成形体においてそれぞれコア部又はシェル部を構成することができる。
なお本開示における、樹脂の230℃での見かけ粘度の測定は、以下の通りである。詳細には、JIS K7210の附属書Cに基づいて、メルトボリュームレイト(MVR)を測定する。次に、JIS K7210附属書JA.8結果の表し方(式No.JA.4)に基づいて、流れ値Q(cm/s)を前記MVRの値を用いて算出し、見かけ粘度(Pa・s)を算出する。
前記樹脂の種類は特に限定されず、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。前記樹脂がコポリマーである場合、樹脂は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。前記樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、熱可塑性エラストマー(TPE)であってもよい。前記樹脂としては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリアミド樹脂(PA樹脂、例えばナイロン6T、ナイロン6I、又はナイロン9T等)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)、ポリイミド樹脂(PI樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、液晶ポリマー樹脂(LCP樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS樹脂)、スチレンブタジエンゴム(SBR樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体(AAS樹脂)、メタクリル酸メチル-ブタジエンゴム-スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、メタクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、及びポリオキシメチレン樹脂(POM樹脂)等が挙げられる。
本開示の射出成形方法における、230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂の種類は、いずれも、特に制限されないが、少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい2種の樹脂A及び樹脂Bを用いる場合、前記樹脂Aは芳香族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂であることが好ましく、さらに、前記樹脂Bは不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂であることが好ましい。
-樹脂A-
本開示の樹脂Aにおいて、芳香族炭化水素由来の構成単位の種類は特に制限されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、(o-、m-、p-)メチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、(o-、m-、p-)フタル酸、ビスフェノールA、ジハロゲン化ベンゼン、キシレノール、ピロメリット酸無水物、ヒドロキノン、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン、エチレンテレフタラート、p-ヒドロキシ安息香酸、及び6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等に由来する構成単位が挙げられる。
本開示の樹脂Aは、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。前記樹脂Aがコポリマーである場合、樹脂Aは、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
本開示の樹脂Aは、熱可塑性樹脂であることが好ましく、熱可塑性エラストマー(TPE)であってもよい。前記樹脂Aとしては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリアミド樹脂(PA樹脂、例えばナイロン6T、ナイロン6I、又はナイロン9T等)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)、ポリイミド樹脂(PI樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、液晶ポリマー樹脂(LCP樹脂)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS樹脂)、スチレンブタジエンゴム(SBR樹脂)、アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体(AAS樹脂)、メタクリル酸メチル-ブタジエンゴム-スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、及びメタクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂)等が挙げられる。
本開示の樹脂Aの230℃での見かけ粘度は、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、2000Pa・s~100000Pa・sであることが好ましく、5000Pa・s~70000Pa・sであることがより好ましく、10000Pa・s~50000Pa・sであることがさらに好ましい。なお本開示において、230℃での見かけ粘度は、上記したように、JIS K7210の附属書C及びJIS K7210附属書JA.8結果の表し方(式No.JA.4)に基づいて算出された値である。
本開示の樹脂Aのメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、0.01g/10min~20g/10minであることが好ましく、0.01g/10min~10g/10minであることがより好ましい。なお本開示において、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210:1999に準拠して、230℃及び21.18N荷重の条件で測定された値である。
本開示の樹脂Aの引張強度は特に限定されないが、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、20MPa~300MPaであることが好ましく、30MPa~300MPaであることがより好ましい。なお本開示において、引張強度は、ISO527に準拠して測定された値である。
本開示の樹脂Aの荷重たわみ温度は特に限定されないが、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、曲げ応力1.8MPaにおいて80℃~150℃であることが好ましく、90℃~120℃であることがより好ましい。なお本開示において、荷重たわみ温度は、JIS K7191-1に準拠して、フラットワイズ法、曲げ応力1.8MPaにて測定された値である。
-樹脂B-
本開示の樹脂Bにおいて、不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の種類は特に制限されないが、例えば、プロピレン、エチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、及びブタジエン等に由来する構成単位が挙げられる。
本開示の樹脂Bは、ホモポリマーであってもよく、コポリマーであってもよい。前記樹脂Bがコポリマーである場合、樹脂Bは、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
本開示の樹脂Bは、熱可塑性樹脂であることが好ましく、熱可塑性エラストマー(TPE)であってもよい。前記樹脂Bとしては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
本開示の樹脂Bの230℃での見かけ粘度は、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、100Pa・s~50000Pa・sであることが好ましく、100Pa・s~10000Pa・sであることがより好ましい。なお本開示において、230℃での見かけ粘度は、上記したように、JIS K7210の附属書C及びJIS K7210附属書JA.8結果の表し方(式No.JA.4)に基づいて算出された値である。
本開示の樹脂Bのメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、0.1g/10min~50g/10minであることが好ましく、0.5g/10min~50g/10minであることがより好ましい。なお本開示において、メルトフローレート(MFR)は、上記したように、JIS K7210:1999に準拠して、230℃及び21.18N荷重の条件で測定された値である。
本開示の樹脂Bの引張強度は特に限定されないが、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、1MPa~300MPaであることが好ましく、1MPa~300MPaであることがより好ましい。なお本開示において、引張強度は、上記したように、ISO527に準拠して測定された値である。
(相溶化剤)
本開示の射出成形方法で使用する成形用樹脂組成物における、相溶化剤としては、前記樹脂Aと相溶する第一の相溶化剤と、前記樹脂Bと相溶する第二の相溶化剤と、を含むことが好ましい。本開示の射出成形方法で使用する成形用樹脂組成物において、前記樹脂Aと相溶する第一の相溶化剤と、前記樹脂Bと相溶する第二の相溶化剤と、を含むことで、射出成形方法により成形された成形体は、成形体表面側から成形体内部側へ向かって、連続的に、樹脂Bを主に含む部分、樹脂Bと第二の相溶化剤とを主に含む部分、第二の相溶化剤と第一の相溶化剤とを主に含む部分、第一の相溶化剤と樹脂Aとを主に含む部分、樹脂Aを主に含む部分、という構造になる。このとき、樹脂Bを主に含む部分から樹脂Bと第二の相溶化剤とを主に含む部分を「シェル部」と称し、第二の相溶化剤と第一の相溶化剤とを主に含む部分を「中間部」と称し、第一の相溶化剤と樹脂Aとを主に含む部分から樹脂Aを主に含む部分を「コア部」と称する。すなわち、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られる。なお、前記樹脂A、樹脂B、第一の相溶化剤、及び第二の相溶化剤の濃度は、いずれも、成形体中において連続的に分布していることから、シェル部、中間部、又はコア部のように「部」(又は「部分」)と表現するものの、部分(部)と部分(部)との間に界面は存在しない。なお「成分Xを主に含む部分」とは、当該部分のうち成分Xを50質量%を超えて含むことを意味する。
なお、成形用樹脂組成物が、例えば樹脂Aと樹脂Bと第一の相溶化剤とを含むが、第二の相溶化剤を含まない場合、射出成形方法により成形された成形体は、成形体表面側から成形体内部側へ向かって、連続的に、樹脂Bを主に含む部分、樹脂Bと第一の相溶化剤とを主に含む部分、第一の相溶化剤を主に含む部分、第一の相溶化剤と樹脂Aとを主に含む部分、樹脂Aを主に含む部分、という構造になる。このとき、樹脂Bを主に含む部分から樹脂Bと第一の相溶化剤とを主に含む部分を「シェル部」と称し、第一の相溶化剤を主に含む部分を「中間部」と称し、第一の相溶化剤と樹脂Aとを主に含む部分から樹脂Aを主に含む部分を「コア部」と称する。すなわち、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られる。なお、前記樹脂A、樹脂B、及び第一の相溶化剤の濃度は、いずれも、成形体中において連続的に分布していることから、シェル部、中間部、又はコア部のように「部」(又は「部分」)と表現するものの、部分(部)と部分(部)との間に界面は存在しない。
なお、成形用樹脂組成物が、例えば230℃での見かけ粘度が異なる3種以上の樹脂を含む場合、相溶化剤は4種以上含むことが好ましい。成形用樹脂組成物が、例えば230℃での見かけ粘度が異なる4種以上の樹脂を含む場合、相溶化剤は6種以上含むことが好ましい。すなわち、成形用樹脂組成物を射出成形することにより得られる成形体において、各樹脂の硬化物のそれぞれの間に相溶化剤が介在するように、樹脂の種類数及び相溶化剤の種類数を設計することが好ましい。
本開示の相溶化剤の種類は特に限定されないが、本開示の相溶化剤はいずれも有機化合物であることが好ましい。例えば、本開示の第一の相溶化剤及び第二の相溶化剤はいずれも有機化合物であることが好ましい。
本開示の射出成形方法において、前記第一の相溶化剤及び前記第二の相溶化剤は共重合体であり、前記第一の相溶化剤における芳香族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第一の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超え、前記第二の相溶化剤における不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第二の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超えることが好ましい。一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、前記第一の相溶化剤における芳香族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第一の相溶化剤の全構成単位に対して60質量%を超え、前記第二の相溶化剤における不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第二の相溶化剤の全構成単位に対して60質量%を超えることがより好ましい。
前記第一の相溶化剤における芳香族炭化水素由来の構成単位の種類に関する説明は、本開示の樹脂Aにおける芳香族炭化水素由来の構成単位の種類に関する説明と同様である。前記第二の相溶化剤における不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位に関する説明は、本開示の樹脂Bにおける不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の種類に関する説明と同様である。
前記第一の相溶化剤が芳香族炭化水素由来の構成単位を含み、かつ本開示の樹脂Aが芳香族炭化水素由来の構成単位を含むことで、第一の相溶化剤と樹脂Aとが相溶しやすくなる。さらには、第一の相溶化剤における芳香族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第一の相溶化剤の全構成単位に対して高い場合、第一の相溶化剤と樹脂Aとがより相溶しやすくなる。同様に、前記第二の相溶化剤が不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位を含み、かつ本開示の樹脂Bが不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位を含むことで、第二の相溶化剤と樹脂Bとが相溶しやすくなる。さらには、第二の相溶化剤における不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第二の相溶化剤の全構成単位に対して高い場合、第二の相溶化剤と樹脂Bとがより相溶しやすくなる。
前記相溶化剤としては、反応系相溶化剤又は非反応系相溶化剤を用いることができる。反応系相溶化剤とは、反応基を有する高分子化合物である。前記反応基としては、例えば、無水マレイン酸基、カルボン酸を有する(メタ)アクリル酸、エポキシ(グリシジル)基、オキサゾリン基が挙げられる。また、非反応系相溶化剤として、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を用い、相溶性を調整することもできる。前記非反応系相溶化剤として、例えば、スチレン-エチレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレンブチレン-スチレン共重合体及びこれらの変性体等が挙げられる。より具体的には、前記相溶化剤としては、例えば、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)等が挙げられる。前記水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)としては、例えば、スチレンとブタジエンからなるブロック共重合体の二重結合部分を水素添加したポリマーが挙げられる。
(比率)
本開示の射出成形方法で使用する成形用樹脂組成物において、成形用樹脂組成物の全質量に対して、前記樹脂Aは40質量%~99質量%であり、前記樹脂Bは0.1質量%~40質量%であり、前記第一の相溶化剤は0.1質量%~20質量%であり、前記第二の相溶化剤は0.1質量%~20質量%であることが好ましい。一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、さらには、成形用樹脂組成物の全質量に対して、前記樹脂Aは60質量%~98質量%であり、前記樹脂Bは1質量%~30質量%であり、前記第一の相溶化剤は0.3質量%~10質量%であり、前記第二の相溶化剤は0.3質量%~10質量%であることがより好ましい。
(その他の成分)
本開示の射出成形方法で使用する成形用樹脂組成物は、本開示の要旨を超えない範囲で、その他の成分を含有してもよい。その他の成分は、例えば予め前記樹脂Aと混合されてもよく、又は予め前記樹脂Bと混合されてもよい。例えば予め前記樹脂Bとその他の成分とを混合した後に、成形用樹脂組成物を調製し、前記成形用樹脂組成物を射出成形することで、シェル部中の前記成分の濃度は高いがコア部中の前記成分の濃度は低いような成形体を作製することができる。
<射出成形の方法>
本開示の射出成形の方法としては、特に制限されない。射出成形に用いるランナーとしては、コールドランナー方式又はホットランナー方式であってもよい。射出成形に用いるゲートとしては、1点ゲート又は複数ゲートであってもよい。
射出成形の詳細な条件は、特に制限はないが、例えば、成形温度、ノズル温度、金型温度、計量値、計量速度、射出速度(I.S)、射出速度(V-P)、充填保圧、充填保圧時間、冷却時間、及び射出ピーク圧等の条件は、当業者が適宜設定できる。
≪成形用樹脂組成物≫
本開示の成形用樹脂組成物は、少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の相溶化剤と、を含み、前記樹脂は、少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい2種の樹脂の見かけ粘度の差が1000Pa・s~50000Pa・sである樹脂A及び樹脂Bを含む。
上記したように、樹脂Aと樹脂Bとが見かけ粘度の差を有することで、ファウンテンフローの原理から、コア部及びシェル部を有する成形体が形成される。さらには、少なくとも1種の相溶化剤を含むことで、前記少なくとも2種の樹脂の間に前記相溶化剤が介在し、前記少なくとも2種の樹脂同士が相分離を起こすことなく、互いに接着し、一つの成形体となることができる。
すなわち、本開示の成形用樹脂組成物によれば、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られる。
(樹脂)
本開示の成形用樹脂組成物において、樹脂A及び樹脂Bは、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、230℃での見かけ粘度の差が、1000Pa・s~50000Pa・sであることが好ましく、3000Pa・s~50000Pa・sであることがより好ましく、5000Pa・s~50000Pa・sであることがさらに好ましい。なお本開示の成形用樹脂組成物において、例えば230℃での見かけ粘度が異なる樹脂を2種使用する場合、「230℃での見かけ粘度の差」はその2種の樹脂の見かけ粘度の差であり、好ましい見かけ粘度の差は上記と同様である。
なお本開示の成形用樹脂組成物において、「少なくとも2種の樹脂」には、後述する「相溶化剤」は含まれない。
本開示の成形用樹脂組成物において、樹脂A及び樹脂Bは、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られやすい観点から、前記樹脂Aの230℃での見かけ粘度(η)に対する前記樹脂Bの230℃での見かけ粘度(η)の比(η/η)が、0.01~0.4であることが好ましく、0.01~0.3であることがより好ましく、0.01~0.2であることがさらに好ましい。なお本開示の成形用樹脂組成物において、例えば230℃での見かけ粘度が異なる樹脂を2種使用する場合、「比(η/η)」はその2種の樹脂の比(η/η)であり、好ましい比(η/η)は上記と同様である。
なお本開示における、樹脂の230℃での見かけ粘度の測定は、上記したように、JIS K7210の附属書C及びJIS K7210附属書JA.8結果の表し方(式No.JA.4)に基づいて算出する。
前記樹脂の種類は特に限定されず、本開示の成形用樹脂組成物における樹脂の説明は、定義、例、及び好ましい態様等を含め、本開示の射出成形方法における樹脂の説明と同様である。
本開示の成形用樹脂組成物における、樹脂A及び樹脂Bの種類は、いずれも、特に制限されないが、前記樹脂Aは芳香族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂であることが好ましく、さらに、前記樹脂Bは不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂であることが好ましい。
-樹脂A-
本開示の成形用樹脂組成物における樹脂Aの説明は、定義、例、及び好ましい態様等を含め、本開示の射出成形方法における樹脂Aの説明と同様である。
-樹脂B-
本開示の成形用樹脂組成物における樹脂Bの説明は、定義、例、及び好ましい態様等を含め、本開示の射出成形方法における樹脂Bの説明と同様である。
(相溶化剤)
本開示の成形用樹脂組成物における相溶化剤の説明は、定義、例、及び好ましい態様等を含め、本開示の射出成形方法における相溶化剤の説明と同様である。
(比率)
本開示の成形用樹脂組成物における比率の説明は、定義、例、及び好ましい態様等を含め、本開示の射出成形方法における比率の説明と同様である。
(その他の成分)
本開示の成形用樹脂組成物におけるその他の成分の説明は、定義、例、及び好ましい態様等を含め、本開示の射出成形方法におけるその他の成分の説明と同様である。
<成形用樹脂組成物の調製方法>
本開示の成形用樹脂組成物において、成形用樹脂組成物の調製方法は特に限定されず、公知の方法で調製されることができる。例えば、ミキサー型混合機、V型ブレンダー、及びタンブラー型混合機等の混合装置を用いて、各種原料を予め混合しておき、その混合物を溶融混練することによって、成形用樹脂組成物を調製することが出来る。溶融混練装置も、特に限定されないが、例えばバンバリー型ミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、特殊単軸押出機、及び二軸押出機等が挙げられる。
なお本開示の成形用樹脂組成物は、公知の方法によって、公知の形態に成形されてもよい。例えば、本開示の成形用樹脂組成物は、ペレダイサーによってペレットに成形されてもよいし、公知の装置でフレークに成形されてもよいし、これらの粉砕物に成形されてもよい。
本開示の成形用樹脂組成物、又は例えばペレットに成形された成形用樹脂組成物の硬化物を、射出成形すると、樹脂Aと樹脂Bとの粘度の差から、コア・シェル構造を有する成形体を作製することができる。
≪成形体≫
本開示の成形体は、樹脂Aの硬化物を含むコア部と、樹脂Bの硬化物を含み、前記コア部の少なくとも一部を覆うシェル部と、前記コア部及び前記シェル部の間に位置し、少なくとも1種の相溶化剤の硬化物を含む中間部と、を有し、前記樹脂A及び樹脂Bの濃度は、それぞれ、コア部からシェル部に向かって連続的に変化する分布を有する。
図3は、図2の断面図内に示す点線四角枠内の拡大図である。本開示の成形体は、図3に示すように、成形体の表面8側から成形体の内部側へ向かって、シェル部4、中間部7、そしてコア部6がグラデーションのように変化している。
本開示の成形体において、樹脂Aの硬化物を含むコア部は、樹脂Bの硬化物を含んでいてもよく、つまり、コア部に樹脂Bが微分散してもよい。さらには、本開示の成形体において、樹脂Bの硬化物を含むシェル部は、樹脂Aの硬化物を含んでいてもよく、つまりシェル部に樹脂Aが微分散していてもよい。すなわち本開示の成形体は、シェル部、中間部、そしてコア部へとグラデーションのように変化してもよい。
本開示の成形体において、前記相溶化剤は少なくとも2種であることが好ましい。
本開示の成形体において、前記シェル部の厚みが300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。従来、例えば二色成形によりコア部及びシェル部を有する成形体を作製する場合にはシェル部の厚みは1mm以上になってしまうことから、従来のコア部及びシェル部を有する成形体と比較すると、本開示の成形体は、非常に薄いシェル部を有する成形体である。
本開示の成形体において、前記シェル部は、前記コア部の少なくとも一部を覆っていればよく、コア部の全てを覆っていてもよい。
本開示の成形体の断面の構造は、例えば、本開示の成形体からミクロトームにより薄片を切り出し、顕微鏡により薄片を観察することで特定できる。
本開示の成形体において、前記樹脂A及び樹脂Bの濃度は、それぞれ、コア部からシェル部に向かって連続的に変化する分布を有する。より詳細には、成形体中、前記樹脂Aの濃度は、コア部からシェル部に向かって連続的に低下する分布を有し、前記樹脂Bの濃度は、コア部からシェル部に向かって連続的に上昇する分布を有する。
本開示の成形体における樹脂の濃度は、例えば、本開示の成形体からミクロトームにより薄片を切り出し、赤外分光法(IR)により薄片を分析することで特定できる。あるいは、樹脂A及び樹脂Bの濃度が、それぞれ、コア部からシェル部に向かって連続的に変化する分布を有することは、例えば、本開示の成形体から薄片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)により薄片を分析することで確認できる。
以下、本開示を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。「%」も同様に質量基準である。
<実施例1~実施例3及び比較例1~比較例5>
(テストサンプルの作製)
実施例1~実施例3及び比較例1~比較例5として、以下の表1に示す各成分の配合比でそれぞれ射出成形用樹脂組成物を調製した。詳細には、混練押出機を使用して、ノズル温度230℃~245℃、中間温度(混練部の温度)230℃~245℃、ホッパー温度160℃~180℃、スクリュウ回転数60rpm、及びフィード速度3.0g/min~4.0g/minの条件で、各成分を混練し、射出成形用樹脂組成物を調製した。さらに、前記射出成形用樹脂組成物を、80℃及び12時間の条件で乾燥させることで、射出成形用樹脂組成物のペレットを作製した。
Figure 2023062619000002
以下に、表1に記載された化合物及び略称の詳細を示す。
・ABS(a):本開示の樹脂A
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体
見かけ粘度 2500Pa・s
MFR(230℃、21.18N荷重) 3g/10min
引張強度 51MPa
荷重たわみ温度(1.8MPa) 95℃
・ABS(b):本開示の樹脂A
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体
見かけ粘度 10730Pa・s
MFR(230℃、21.18N荷重) 0.7g/10min
引張強度 50MPa
荷重たわみ温度(1.8MPa) 101℃
・PP(a):本開示の樹脂B
ポリプロピレン樹脂
見かけ粘度 2500Pa・s
MFR(230℃、21.18N荷重) 3g/10min
引張強度 37MPa
ホモポリマー
・PP(b):本開示の樹脂B
ポリプロピレン樹脂
見かけ粘度 840Pa・s
MFR(230℃、21.18N荷重) 9g/10min
引張強度 29MPa
コポリマー
・相溶化剤(a):本開示の第一の相溶化剤
水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)
スチレン/エチレン・ブチレンの質量比 67/33
・相溶化剤(b):本開示の第二の相溶化剤
水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)
スチレン/エチレン・ブチレンの質量比 20/80
・見かけ粘度の差:樹脂Aと樹脂Bとの230℃での見かけ粘度の差。
・η/η:樹脂Aの230℃での見かけ粘度(η)に対する前記樹脂Bの230℃での見かけ粘度(η)の比。
・-:射出成形用樹脂組成物に当該物質を配合していない。
前記ペレットを、成形温度250℃、ノズル温度250℃、金型温度70℃、計量値13.5mm、計量速度2mm、射出速度(I.S)30mm/s、射出速度(V-P)5.2mm、充填保圧90%、充填保圧時間15sec、冷却時間15sec、及び射出ピーク圧111%~118%の条件で、前記ペレット状の射出成形用樹脂組成物を射出成形した。
前記射出成形により、長さ50mm、幅5mm、及び厚さ2mmである短冊状のテストサンプルをそれぞれ作製した。
(クロロホルム浸漬)
それぞれの短冊状のテストサンプルから、長さ15mm、幅5mm、及び厚さ2mmの試験片を切り出した。それぞれの試験片を、99質量%以上のクロロホルム液に、25±5℃で120時間浸漬した。比較例1及び比較例2のテストサンプルをクロロホルムに浸漬すると、ABSが溶けて、クロロホルム液が透明色から黒色に変化した。一方で、比較例5及び実施例3はABSが溶け出さず、クロロホルム液は透明色のままであった。これは、ABSはクロロホルムに溶解しやすく、PPはクロロホルムに溶解しづらいからである。すなわち、比較例5及び実施例3のように、樹脂Aと樹脂Bとの230℃での見かけ粘度が離れているとき、シェル部には主にPPが存在し、コア部には主にABSが存在する、コア・シェル構造である成形体が得られた。
(断面のアセトン蒸気エッチング)
エポキシ樹脂に埋め込みを実施し、断面研磨の後、それぞれの短冊状のテストサンプルの長さ方向に対して概ね中央部分の断面を、観察倍率50倍又は200倍にて、リング光又は落射光で観察した。観察後、アセトンを入れた容器の上に、テストサンプルの断面がアセトンに向くようにテストサンプルをセットした。テストサンプルに直接アセトンが触れないように注意し、アセトン蒸気により25±5℃にて60秒間エッチングを実施した後、再度断面を観察倍率50倍又は200倍にて、リング光又は落射光で観察した。なお断面の観察には顕微鏡を使用した。断面の観察の結果を図4及び図5に示す。なお図4及び図5中、観察倍率200倍による観察結果は、観察倍率50倍による観察結果における各断面の右上にある点線四角枠内の箇所を拡大したものである。
アセトン蒸気エッチング前のテストサンプルの断面を観察すると、実施例1~実施例3及び比較例3~比較例5において、テストサンプルの表面側(すなわちテストサンプルの断面のうちの外側)に、100μmの厚さのシェル部(PPを主に含む部分)が確認された。
アセトン蒸気エッチング後のテストサンプルの断面を観察すると、相溶化剤を配合していない比較例1、比較例3、比較例4、及び比較例5において、シェル部とコア部とで色の濃さに違いが確認され、シェル部とコア部との境界は明確であった。これは、ABSは耐アセトン性を有さないことから、コア部(ABSを主に含む部分)がアセトン蒸気によりエッチングされ、ABSのクラックが白く見えたからである。さらには、PPは耐アセトン性を有することから、シェル部(PPを主に含む部分)はアセトン蒸気によりエッチングされづらく、黒いままであったからである。
一方で、相溶化剤を配合した比較例2及び実施例1~実施例3において、シェル部とコア部とで色の濃さの違いは不明確であり、シェル部とコア部との境界は不明確であった。これは、相溶化剤により、コア部(ABSを主に含む部分)にもPPが混ざり合うことで、コア部の耐アセトン性が向上したからである。
さらに、特に比較例1及び比較例2ではシェル部(PPを主に含む部分)の厚みが小さすぎる不完全なコア・シェル構造が形成されたが、特に比較例5及び実施例3ではシェル部の厚みがあるコア・シェル構造が形成された。すなわち、樹脂Aと樹脂Bとの230℃での見かけ粘度が離れているとき、シェル部には主にPPが存在し、コア部には主にABSが存在する、コア・シェル構造である成形体が得られた。
以上のことから、実施例1~実施例3では、一度の樹脂組成物の射出成形で、コア部及びシェル部が異なる樹脂で形成された構造を有する成形体が得られる射出成形方法、前記方法において使用する成形用樹脂組成物、並びに前記方法により得られる成形体を提供することができた。
実施例1~実施例3では、二種類の相溶化剤(相溶化剤(a)及び相溶化剤(b))を使用している。ここで、相溶化剤(a)のスチレン/エチレン・ブチレン比(質量比)は67/33であり、スチレン比率が高く、すなわち芳香族炭化水素由来の構成単位の比率が高い。よって、相溶化剤(a)は、芳香族炭化水素由来の構成単位(スチレン)を有するABSに相溶しやすかった。一方、相溶化剤(b)のスチレン/エチレン・ブチレン比(質量比)は20/80であり、エチレン・ブチレン比率が高く、すなわち不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の比率が高い。よって、相溶化剤(b)は、不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位(プロピレン)を有するPPに相溶しやすかった。
つまり、実施例1~実施例3で作製された成形体の構造は、それぞれ成形体の表面側から成形体の内部側へ向かって、連続的に、PPを主に含む部分、PPと相溶化剤(b)とを主に含む部分、相溶化剤(b)と相溶化剤(a)とを主に含む部分、相溶化剤(a)とABSとを主に含む部分、ABSを主に含む部分、という構造となった。
(成形体の透過型電子顕微鏡(TEM)分析)
上記した実施例3の条件から作製した長さ10mm、幅5mm、及び厚さ2mmの試験片から、薄片を切り出した。透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、前記試験片における、コア部からシェル部に向かっての、樹脂A及び樹脂Bの分散分布を観察した。なお観察箇所は計4か所(試験片の最表面側、並びに最表面側から深さ約50μm、約100μm、及び約150μm)とした。
観察結果を図6に示す。なお図の右下に示された各スケールバーの長さは2.0μmである。
脂肪族炭化水素系材料と思われる相は不定形であり、最表面側から深くなるに従って相の大きさが大きくなっていく傾向が認められた。一方で、観察視野全体に対する脂肪族炭化水素系材料の総量は、内部側から最表面側に近づくにつれて多くなる傾向が認められた。相内には層分離構造(すなわち、コア・シェル構造)が認められ、ラメラ構造を有する不定形な島相及び円形の島相の2種類が分散していることが観察された。そして、内部側と最表面側との間には、内部側及び最表面側と比較して相溶化剤をより多く含むと思われる部分が観察された。
すなわち、テストサンプル(すなわち、本開示の成形体)において、樹脂A及び樹脂Bは、それぞれ、コア部(内部側)からシェル部(最表面側)に向かって連続的に変化する分布を有していた。さらに、テストサンプルは、コア部及びシェル部の間に位置し相溶化剤を比較的多く含む中間部を有しており、図3に示すような成形体であることが確認できた。よって、樹脂Aは第一の相溶化剤と相溶し、樹脂Bは第二の相溶化剤と相溶したことが確認できた。
<実施例3~実施例5及び比較例6~比較例7>
(テストサンプルの作製)
前述の実施例3に加えて、さらに、実施例4及び実施例5として、以下の表2に示す各成分の配合比で、実施例1~実施例3及び比較例1~比較例5における方法と同様に、それぞれ射出成形用樹脂組成物を調製し、続いて射出成形用樹脂組成物のペレットを作製した。比較例6及び比較例7としては、以下の表2に示す成分でそれぞれ射出成形用樹脂組成物を準備した。なお表2に記載された化合物及び略称の詳細は、表1における記載と同様である。
実施例3~実施例5については、前記ペレットを、以下の表2に示すそれぞれの条件にて、前記ペレット状の射出成形用樹脂組成物を射出成形した。比較例6及び比較例7については、前記射出成形用樹脂組成物を、以下の表2に示すそれぞれの条件にて射出成形した。以上の操作により、ISO多目的試験片(テストサンプル1~テストサンプル6)をそれぞれ作製した。
Figure 2023062619000003
(試験片の研磨)
テストサンプル1~テストサンプル6を用いて、さらに、「研磨無し試験片」及び「研磨あり試験片」をそれぞれ作製した。詳細には、「研磨無し試験片」としては、テストサンプルより標線間にてシャルピー衝撃試験片を取り出した後の端部(ゲート側は除く)を使用した。なお、切断面からのクロロホルム付着及び溶解を防止するため、切断面はPP(b)を用いて封止した。一方で、「研磨あり試験片」としては、テストサンプルの片面を1mm研磨(粒度♯120)することでシェル部を除去したものを使用した。なお研磨あり試験片に対しては切断面の封止は行わなかった。
(クロロホルム浸漬)
スクリュウ菅瓶(50ml容量)に99質量%以上のクロロホルム液10mlを投入し、研磨無し試験片又は研磨あり試験片を、その切断面が上側になる方向で、25±5℃で24時間浸漬した。一定時間ごとに各試験溶液(クロロホルム液)及び各試験片の状態を観察した結果を表3に示す。
Figure 2023062619000004
なお表3中、各試験溶液(クロロホルム液)及び各試験片の状態については、以下の基準にて5段階(5、4、3、2、又は0点)で評価した。
5点:試験溶液の透明度が高く、黒濁りが見られなかった。
4点:試験溶液の透明度は高いが、薄い黒濁りが発生していた。
3点:試験溶液の透明度が低く、全体に黒濁りが発生していた。試験片の形状は保っていた。
2点:試験溶液の黒濁りが濃く、試験片の形状が部分的に崩れるほどの溶解が認められた(膨潤は含めない)。
0点:試験溶液の黒濁りが濃く、試験片の形状が保たれていなかった(膨潤は含めない)。
表3中、「差分」は、研磨無し試験片における合計点数と研磨あり試験片における合計点数との差分を示す。「-」は差分を算出しなかったことを示す。
なお本クロロホルム浸漬による試験では、耐クロロホルム性の特性の有無を確認することで、成形体のコア・シェル構造の有無を確認することができる。例えば本実施例においては、成形体が層分離構造(すなわち、コア・シェル構造)を有する場合、最表面にはコア部が存在する(すなわち最表面は主としてクロロホルムに溶解しづらいPPである)ため、成形体は耐クロロホルム性を有する。しかし、層分離構造を有する成形体の表面を研磨し、最表面(すなわちPP)を除去すると、クロロホルムに溶解しやすいABSが露出するため、成形体の耐クロロホルム性は低下する。よって、研磨前(すなわち「研磨無し試験片」)と研磨後(すなわち「研磨あり試験片」)との差分が大きいものは、層分離構造を有しているものと判断した。なおテストサンプル6(ABS単体である成形体)によれば、研磨無し試験片と研磨あり試験片との差分は4点であったため、これを板厚及び体積変化によるクロロホルムへの耐性変化分の点数とし、成形体の差分が4点よりも大きい場合、その成形体は層分離構造(すなわち、コア・シェル構造)を有すると判定した。
すなわち、テストサンプル1~テストサンプル4においては、より良好なコア・シェル構造を有する成形体が得られた。
1 溶融した成形用樹脂組成物の流れる方向
2 溶融した高粘度樹脂
3 溶融した低粘度樹脂
4 シェル部
5 金型
6 コア部
7 中間部
8 成形体の表面

Claims (17)

  1. 230℃での見かけ粘度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の相溶化剤と、を含む成形用樹脂組成物を原料として射出成形する射出成形方法。
  2. 前記樹脂は、少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい2種の樹脂の見かけ粘度の差が1000Pa・s~50000Pa・sである樹脂A及び樹脂Bを含む、請求項1に記載の射出成形方法。
  3. 前記樹脂Aの230℃での見かけ粘度(η)に対する前記樹脂Bの230℃での見かけ粘度(η)の比(η/η)が、0.01~0.4である、請求項2に記載の射出成形方法。
  4. 前記相溶化剤として、前記樹脂Aと相溶する第一の相溶化剤と、前記樹脂Bと相溶する第二の相溶化剤と、を含む、請求項2又は請求項3に記載の射出成形方法。
  5. 前記成形用樹脂組成物の全質量に対して、前記樹脂Aは40質量%~99質量%であり、前記樹脂Bは0.1質量%~40質量%であり、前記第一の相溶化剤は0.1質量%~20質量%であり、前記第二の相溶化剤は0.1質量%~20質量%である、請求項4に記載の射出成形方法。
  6. 前記第一の相溶化剤及び前記第二の相溶化剤はいずれも有機化合物である、請求項4又は請求項5に記載の射出成形方法。
  7. 前記樹脂Aは芳香族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂であり、前記樹脂Bは不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂である、請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の射出成形方法。
  8. 前記第一の相溶化剤及び前記第二の相溶化剤は共重合体であり、
    前記第一の相溶化剤における芳香族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第一の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超え、
    前記第二の相溶化剤における不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第二の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超える、
    請求項7に記載の射出成形方法。
  9. 少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の相溶化剤と、を含み、
    前記樹脂は、少なくとも2種の樹脂のうち230℃での見かけ粘度の差が最も小さい2種の樹脂の見かけ粘度の差が1000Pa・s~50000Pa・sである樹脂A及び樹脂Bを含む、成形用樹脂組成物。
  10. 前記樹脂Aの230℃での見かけ粘度(η)に対する前記樹脂Bの230℃での見かけ粘度(η)の比(η/η)が、0.01~0.4である、請求項9に記載の成形用樹脂組成物。
  11. 前記相溶化剤として、前記樹脂Aと相溶する第一の相溶化剤と、前記樹脂Bと相溶する第二の相溶化剤と、を含む、請求項9又は請求項10に記載の成形用樹脂組成物。
  12. 前記第一の相溶化剤及び前記第二の相溶化剤はいずれも有機化合物である、請求項11に記載の成形用樹脂組成物。
  13. 前記樹脂Aは芳香族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂であり、前記樹脂Bは不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位を含む樹脂である、請求項11又は請求項12に記載の成形用樹脂組成物。
  14. 前記第一の相溶化剤及び前記第二の相溶化剤は共重合体であり、
    前記第一の相溶化剤における芳香族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第一の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超え、
    前記第二の相溶化剤における不飽和脂肪族炭化水素由来の構成単位の含有率が、前記第二の相溶化剤の全構成単位に対して50質量%を超える、
    請求項13に記載の成形用樹脂組成物。
  15. 樹脂Aの硬化物を含むコア部と、
    樹脂Bの硬化物を含み、前記コア部の少なくとも一部を覆うシェル部と、
    前記コア部及び前記シェル部の間に位置し、少なくとも1種の相溶化剤の硬化物を含む中間部と、を有し、
    前記樹脂A及び樹脂Bの濃度は、それぞれ、コア部からシェル部に向かって連続的に変化する分布を有する、成形体。
  16. 前記相溶化剤は少なくとも2種である、請求項15に記載の成形体。
  17. 前記シェル部の厚みが300μm以下である、請求項15又は請求項16に記載の成形体。
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