JP2023061077A - 食品又は食品包装物の衛生化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】人体への影響の抑制と異臭の発生の抑制を両立しながら、食品や食品包装物における菌の増殖を抑制する方法を提供する。【解決手段】この方法は、アミノ酸に属する物質を含有する食品に対し、直接又は紫外線透過性を示す包装物を介して、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を、5μW/cm2以下の照度で照射して衛生化する工程(a)を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、食品又は食品包装物の衛生化方法に関し、特に紫外線を利用した、食品又は食品包装物の衛生化方法に関する。
従来、紫外線を利用した殺菌方法として、下記特許文献1に記載されている技術が知られている。下記特許文献1によれば、0.008~0.17mW/cm2(8~170μW/cm2)の紫外線を照射することにより、大腸菌やカビを殺菌できることが記載されている。
また、下記特許文献2には、医療現場において波長200nm~235nmの範囲内の紫外線を用い、人体へのリスクを回避しながら殺菌処理を行う技術が開示されている。
特開2014-136113号公報 特許第6025756号公報
ところで、DNAは、波長260nm付近に最も高い吸収特性を示すことが知られている。そして、低圧水銀ランプは、波長254nm付近に高い発光スペクトルを示す。よって、紫外線を用いた殺菌処理を行う際には、光源として低圧水銀ランプが一般的に用いられる。
上記特許文献1には、波長について厳密な意味において記載がされていないが、殺菌技術に関するものであること、特段の説明がなく単に「紫外線ランプ」という名称で規定されていること、及び実験結果の内容に鑑みると、低圧水銀ランプが光源として用いられているものと考えられる。
しかしながら、波長254nm近傍の光は、人体に照射されると悪影響を及ぼすおそれがある。つまり、特許文献1に記載の殺菌方法は、殺菌対象となる領域内に人間が確実に存在しない場合に限ってしか利用することができない。このため、万一の事故を防止するためには、専門の知識を有する人間が存在する特定の環境下での利用に限定されてしまう。
ところで、スーパーマーケットや市場等においては、購入者の手の届く所に食品が配置されており、不特定多数の人間が触れる可能性がある。また、一度手にした食品を確認した後、購入を見送って元に戻す場面を想定される。このような事情により、食品には人の手を介在して菌が付着している可能性がある。
このような食品には、青果物のように直接人の手に触れられる可能性があるものと、惣菜品、食肉、魚等のように、食品用ラップフィルム等の包装物に包装された状態で人の手に触れられる可能性があるものが存在する。後者の場合、包装されている食品自体には人の手に由来する菌が付着する可能性は極めて低いが、包装物に対して人の手に由来した菌が付着している可能性がある。
また、レストランのビュッフェや回転寿司等のように、調理された食品についても、近接した位置に多数の人が往来したり、手にするおそれがある場面が存在する。想像したくはないが、人の手が触れた状態や、人の唾液が付着した状態の調理品がそのまま元に戻される可能性は、完全にゼロとはいえない。また、空間中を漂う菌が調理品に付着する可能性も考えられる。
このような課題を受け、本発明者は、食品や食品が包装された包装物に対して、菌の増殖を抑制すべく紫外線を照射することを検討している。しかし、上記特許文献1に記載されているような波長範囲の紫外線については、人体への影響が懸念されるため、不特定多数の人が往来・存在する可能性のある上記で例示したような場面では利用することができない。
本発明者は、そこで、特許文献2に記載されているような波長範囲の紫外線を用いて、食品の殺菌を行うことを検討した。すると、驚くべきことに、異臭の発生が確認された。スーパーマーケット、市場、レストラン等の料理店において、本来の食品からの臭いとは異なる異臭を発生させるのは、顧客への悪影響が計り知れないため、このような方法を採用することはできない。
本発明は、上記の課題に鑑み、人体への影響の抑制と異臭の発生の抑制を両立しながら、食品や食品包装物における菌の増殖を抑制する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る食品の衛生化方法は、アミノ酸に属する物質を含有する食品に対し、直接又は紫外線透過性を示す包装物を介して、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を、5μW/cm2以下の照度で照射して衛生化する工程(a)を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る食品包装物の衛生化方法は、アミノ酸に属する物質を含有する食品を包装した、紫外線透過性を示す材料からなる食品包装物に対し、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を、5μW/cm2以下の照度で照射して衛生化する工程(a)を含むことを特徴とする。
上記方法によれば、異臭の発生を抑制しながら、菌の増殖を抑制することができる。また、上記波長範囲内の紫外線は、仮に人体の皮膚に対して照射されても、皮膚の角質層で吸収され、それよりも内側(基底層側)には進行しない。角質層に含まれる角質細胞は細胞としては死んだ状態であるため、例えば、波長254nmの紫外線が照射される場合のように、有棘層、顆粒層、真皮など、生きた細胞に吸収されてDNAが破壊されるというリスクがほとんど存在しない。このため、人体への影響がほとんど存在しない。特に、上記方法の場合、極めて照度が低い上、同じ場所に同じ人間が留まる時間が長時間に及ぶことが想定しにくいことからも、人体への影響は存在しないといえる。
本明細書において、「菌」とは、細菌とカビ(真菌)とを包含する概念である。また、本明細書において、「衛生化」とは、対象物(食品又は食品包装物)に付着した菌を殺菌し、又は菌の増殖を抑制する(静菌化する)処理を包含する概念である。
前記工程(a)は、3μW/cm2以下の照度で前記紫外線を照射する工程であるのが好ましく、1μW/cm2以下の照度で前記紫外線を照射する工程であるのがより好ましい。
臭いの検知精度には、個人差が存在する。すなわち、臭いに極めて敏感な人間もいれば、臭いに対する検知能力が相対的に低い人間も存在する。上記照度範囲とすることで、より多くの人間が異臭の発生に感知しない状況下で、食品や包装物に対する菌の増殖を抑制することができる。
前記物質が、バリン、ロイシン、及びイソロイシンからなるBCAA群に属する1種以上を含むものとしても構わない。
前記食品は、100質量部に対して17質量部以下の前記物質を含むものとしても構わない。
前記工程(a)は、2時間未満の間隔で複数回繰り返し実行されるものとしても構わない。
直前に紫外線を照射する工程(a)を実行後、2時間以上が経過すると、仮に菌が残存していた場合には、この菌が指数関数的に増加する対数増殖期に移行している場合がある。上記の方法によれば、常時紫外線を照射することなく、対象領域に対して高い衛生化の効果を実現することができる。
前記紫外線は、200nm~230nmの範囲内にピーク波長を有するものとしても構わない。一例として、前記紫外線を発する光源としては、KrClエキシマランプ、KrBrエキシマランプ、又はLEDが挙げられる。
本発明の方法によれば、人体への影響の抑制と異臭の発生の抑制を両立しながら、食品や食品包装物における菌の増殖を抑制することが可能となる。
本発明の衛生化方法の一実施場面を模式的に示す図面である。 本発明の衛生化方法の一実施場面を模式的に示す図面である。 タンパク質の吸収係数と波長の関係を示したグラフである。 大腸菌が培地に導入されたシャーレを、紫外線を照射せずに放置した場合の経過写真である。 大腸菌が培地に導入されたシャーレに対して照度0.06μW/cm2で紫外線を照射した場合の経過写真である。 大腸菌が培地に導入されたシャーレに対して照度0.12μW/cm2で紫外線を照射した場合の経過写真である。 黄色ブドウ球菌が培地に導入されたシャーレを、紫外線を照射せずに放置した場合の経過写真である。 黄色ブドウ球菌が培地に導入されたシャーレに対して照度0.06μW/cm2で紫外線を照射した場合の経過写真である。 黄色ブドウ球菌が培地に導入されたシャーレに対して照度0.12μW/cm2で紫外線を照射した場合の経過写真である。
本発明に係る食品又は食品包装物の衛生化方法の実施形態について、以下において説明する。
図1は、この方法が実施される場面の一例を模式的に示す図面である。陳列台30の上に設置された食品20に対し、光源1から紫外線L1が照射されている。光源1は、光源装置10に内蔵されている。
図2に示すように、食品20は、包装物21に包装されていても構わない。図2には、包装物21に包装された状態の食品20に対して、光源1から紫外線L1が照射される様子が模式的に図示されている。
光源1から出射される紫外線L1は、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す。紫外線L1は、典型的には200nm~230nmの範囲内にピーク波長を示す。
光源1としては、前記特定波長域に出力を示す光の出射が可能である限りにおいて任意である。一例として、光源1は、KrClエキシマランプ、KrBrエキシマランプ、又はLEDである。光源1としてエキシマランプが採用される場合、エキシマランプの構造は不問である。
紫外線L1が照射される対象となる食品20としては、アミノ酸に属する物質を含有していればよい。典型的には、この食品20は、バリン、ロイシン、及びイソロイシンからなるBCAA群(分岐鎖アミノ酸群)に属する1種以上のアミノ酸を含有している。このような食品20としては、肉類、魚類、卵類、惣菜類、青果物、穀物類、又は麺類等が挙げられ、これらの材料を含む加工調理品も対象に含まれる。
なお、図2に示すように、食品20が包装物21によって包装されている場合には、この包装物21は、紫外線L1に対して透過性を示す材料で構成されている。ここで、「透過性を示す」とは、透過率が10%以上であるものを指すとして構わない。食品20が包装物21によって包装されている場合は、紫外線L1が照射されることで包装物21に対する衛生化効果が得られる。一方で、包装物21が、紫外線L1に対する透過率が10%以上を示す材料からなる場合、紫外線L1の一部が包装物21に包装された食品20に届く。従って、仮に強い照度で紫外線L1が包装物21に照射されると、その紫外線L1の一部が食品20に含まれるアミノ酸に吸収されることで、異臭を生じさせる懸念がある。しかし、後述するように、このような包装物21によって食品20が包装されている場合であっても、5μW/cm2以下の照度で紫外線L1を照射した場合には、包装物21への衛生化効果を維持しつつ、異臭の発生を抑制できる。
光源1は、食品20又は包装物21に対して、5μW/cm2以下の照度で紫外線L1を照射するように、出力調整されている。一例として、図1及び図2に示すように、光源装置10は、光源1の光出力を制御するための制御部2を備え、この制御部2によって、前記照度範囲となるように、光源1の光出力が設定されているものとして構わない。
ここで、食品20又は包装物21に対して照射される紫外線L1の「照度」とは、処理対象物(ここでは食品20又は包装物21)の表面における照度であるとして構わない。言い換えれば、食品20が設置されている箇所に照度計を設置して、光源1からの紫外線L1を照射させたときに検出される値をもって、「照度」とすることができる。
[人体への影響について]
上述したように、190nm~235nmの紫外線L1によれば、仮に人体の皮膚に対して照射されても、皮膚の角質層で吸収され、それよりも内側(基底層側)には進行しないため、人体のDNAが破壊される懸念が極めて低い。図3は、タンパク質の吸収係数と波長の関係を示したグラフである(非特許文献2参照)。タンパク質の吸収係数は、240nmよりも短い波長帯域において、波長が短くなるほど顕著に高くなることが分かる。
以上により、食品20や包装物21に対する菌の増殖を抑制するために、上記波長範囲の紫外線L1を用いることで、食品20の近くに往来する人間の身体への影響が抑制できることが分かる。更に、後述されるように、この紫外線L1の照度は、5μW/cm2以下という極めて低い照度である上、食品20の近くに同じ人間が留まる時間は長くても数分程度であることに鑑みると、人間に対して紫外線L1が照射されることによる人体への影響はほとんど存在しないといえる。
[異臭の抑制について]
アミノ酸に属する物質を含有する食品20として、味の素株式会社製「アミノバイタルプロ」(登録商標)を用いて、以下の実験を行った。なお、アミノバイタルプロは、製品4.4gあたりに含まれるアミノ酸が3.8gであり、その内訳は、ロイシン1.03g、イソロイシン0.27g、バリン0.28g、グルタミン1.00g、シスチン0.23g、その他アミノ酸0.99gであった。つまり、製品4.4gあたりに含まれるBCAA群(バリン、ロイシン、イソロイシン)の総量は、1.58gであった。この数値は、味の素株式会社のホームページに公開された情報(確認日:2021年8月20日)に基づくものである。
なお、食品20の例として、上記アミノバイタルプロを採用した理由は、入手容易性に加えて、食品20に含まれるアミノ酸含有量が極めて高いためである。
(実験内容)
アミノバイタルプロ(以下、「原サンプル」と称する。)を水で希釈したサンプルを作成した。詳細には、原サンプルを等量希釈したサンプル(以下、「サンプル#1」という。)と、1/10希釈したサンプル(以下、「サンプル#2」という。)の2パターンのサンプルを作成した。
サンプル#1は、8.8g中にBCAA群を1.58g含有するものである。言い換えれば、サンプル#1は、100質量部中に17.95質量部のBCAA群を含有する食品20が模擬されている。
サンプル#2は、44g中にBCAA群を1.58g含有するものである。言い換えれば、サンプル#2は、100質量部中に3.59質量部のBCAA群を含有する食品20が模擬されている。
アルミホイルにそれぞれのサンプル(#1,#2)を100μL滴下し、直径1cmに塗り広げた状態で、60分にわたって送風による乾燥を行った。その後、紫外線L1を照射した。紫外線L1の光源1としては、ピーク波長222nmのKrClエキシマランプが用いられた。紫外線L1の照度は、0.3μW/cm2、0.76μW/cm2、1μW/cm2、3μW/cm2、5μW/cm2、及び10μW/cm2の6種類で設定された。
各照度で紫外線L1照射された後のサンプル(#1,#2)に対し、5名の評価者(M1~M5)によって臭気の確認が行われた。結果を表1に示す。
Figure 2023061077000002
なお、表1における評価値は、以下の通りである。
評価A:照射前と臭いの変化を全く感じなかった。
評価B:照射前と比べて少し臭いの異なる印象もあるが気になるレベルではなかった。
評価C:照射前と比べて臭いに違和感を感じた。
評価D:明らかな異臭を感じた。
なお、表1の結果から、臭気が確認された割合を照度別にまとめたものを表2に示す。
Figure 2023061077000003
上記結果によれば、100質量部中に17.95質量部ものBCAA群を含有するサンプル#1においても、5μW/cm2以下の照度で紫外線L1を照射した場合に、照射後の臭いが気にならない人の割合が増加することが確認された。また、評価者全員共に、明らかに異臭が存在するということを検知するには至らなかった。
更に、サンプル#1に対して3μW/cm2以下の照度で紫外線L1を照射した場合には、照射前後で臭いの変化が確認できない人の割合が高まった上で、評価者全員が臭いが気にならないレベルであると判断した。
なお、サンプル#2は、100質量部中に3.59質量部のBCAA群を含むものであるが、10μW/cm2の照度で紫外線L1を照射した場合には、評価者全員によって異臭の存在が確認された。サンプル#2よりもBCAA群の含有濃度が高いサンプル#1においても、同様に10μW/cm2の照度で紫外線L1を照射した場合には、評価者全員によって異臭の存在が確認された。
この結果から、食品20がBCAA群を多く含む場合であっても、5μW/cm2以下の照度で紫外線L1を照射した場合には、明らかな異臭の発生が抑制できることが分かる。更に、3μW/cm2以下の照度で紫外線L1を照射した場合には、異臭の発生が分からないか、ほとんど気にならないレベルにまで抑制できることが分かる。
[菌の増殖の抑制について]
寒天培地に対して、大腸菌(E.Coli)と黄色ブドウ球菌のそれぞれを撒いたプラスチックシャーレ(φ90mm)を準備した。それぞれのシャーレに対して、紫外線L1を照射した場合と未照射の場合で、所定時間(48時間)経過後の様子を比較した。紫外線L1を照射したときの照度は、0.12μW/cm2と0.06μW/cm2の2パターンとされた。なお、紫外線L1の照射時間は、照度0.12μW/cm2の場合が190分、照度0.06μW/cm2の場合が260分とされた。結果を、図4A~図5Cに示す。
なお、図4A~図4Cは、いずれも大腸菌が培地に導入されたシャーレの写真であり、図5A~図5Cは、いずれも黄色ブドウ球菌が培地に導入されたシャーレの写真である。そして、図4B~図4C、図5B~図5Cにおいては、左側の写真が紫外線L1の照射前であり、右側の写真が紫外線L1を照射した後、前記所定時間(48時間)が経過した状態の写真である。また、図4A及び図5Aは、いずれも紫外線L1を照射しておらず、右側の写真は、左側の写真の状態から前記所定時間(48時間)が経過した状態を示している。
図4A及び図5Aの写真によれば、紫外線L1を照射せずに放置していると、菌が増殖していることが分かる。これと比較して、図4B~図4C、及び図5B~図5Cの写真によれば、0.12μW/cm2、及び0.06μW/cm2という極めて低い照度で紫外線L1を照射した場合であっても、菌の増殖が抑制できていることが確認される。
以上によれば、5μW/cm2以下の照度で食品20に対して190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線L1を照射することで、人体への影響の抑制と異臭の発生の抑制を両立しつつ、食品20における菌の増殖を抑制することが可能となる。
また、図2に示すように、5μW/cm2以下の照度で包装物21に対して前記紫外線L1を照射する場合には、人体への影響の抑制と、包装物21を透過して食品20に紫外線L1が照射されることによる異臭の発生の抑制を両立しつつ、包装物21及び食品20における菌の増殖を抑制することが可能となる。
なお、制御部2は、光源1に対して間欠動作を行うような制御を行っても構わない。ここでいう「間欠動作」とは、点灯と消灯を繰り返す動作を指す。なお、消灯期間がごくわずかな時間であって、光源1がいわゆる「断続的に」点灯しているような動作態様も、ここでいう「間欠動作」に含まれる。この場合において、制御部2は、光源1の非点灯時間が2時間未満となるように制御をするのが好適である。
標準的な菌の増殖過程は、菌数の増加があまり顕著ではない「誘導期」を経て、数的な増加が指数関数的に起こる「対数増殖期」に移行すると考えられている。誘導期では、個々の菌が環境に適応し、菌の代謝が活発となり様々な分子(栄養源)を取り込んでサイズが大きくなる。一方、対数増殖期では、環境に適応した個々の菌で細胞分裂が活性化し、菌数が顕著に増加する。
誘導期の長さは、菌種や環境(培地条件等)によっても異なるが、活発な活動が可能な菌の場合、およそ2時間程度で対数増殖期に移行すると考えられている。そのため、間欠的に紫外線を照射する場合においては、紫外線を照射しない時間(例えば非点灯時間)を2時間未満とし、菌数が顕著に増殖する前に再び紫外線が照射されるよう制御することが望ましい。
特に本発明は、菌の栄養が豊富な対象物(食品20,食品包装物21)の衛生化を目的とするものであり、かつ、異臭の発生を抑制できる程度に低い照度で衛生化処理を行うものであるため、上記の増殖過程を考慮することは有用である。
ここで、紫外線L1を照射する工程(a)を2時間未満の間隔で複数回繰り返し実行する方法としては、制御部2が光源1を制御する方法以外の方法も採用が可能である。例えば、光源1を常時点灯状態とした上で、光源1又は対象物(食品20,食品包装物21)を移動させることで、対象物に対して所定のタイミングで光源1からの紫外線L1を照射させる態様であっても、対象物に対して間欠的に紫外線L1を照射できる。このとき、紫外線L1が対象物に照射されるタイミングが、2時間未満の間隔で複数回繰り返されるように、光源1又は対象物の移動方法が調整されることで、対象物を衛生化する効果を高いレベルで維持することができる。
なお、紫外線L1を対象物(食品20,食品包装物21)に対して間欠的に照射する方法として、制御部2によって光源1を間欠点灯させる場合には、光源1及び光源装置10に搭載された電源部の長寿命化を図ることができるという副次的な効果も奏される。
1 :光源
2 :制御部
10 :光源装置
20 :食品
21 :包装物
30 :陳列台
L1 :紫外線

Claims (7)

  1. アミノ酸に属する物質を含有する食品に対し、直接又は紫外線透過性を示す包装物を介して、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を、5μW/cm2以下の照度で照射して衛生化する工程(a)を含むことを特徴とする、食品の衛生化方法。
  2. 前記工程(a)は、3μW/cm2以下の照度で前記紫外線を照射する工程であることを特徴とする、請求項1に記載の、食品の衛生化方法。
  3. 前記物質が、バリン、ロイシン、及びイソロイシンからなるBCAA群に属する1種以上を含むことを特徴とする、請求項2に記載の、食品の衛生化方法。
  4. 前記食品は、100質量部に対して17質量部以下の前記物質を含むことを特徴とする、請求項3に記載の、食品の衛生化方法。
  5. 前記工程(a)は、2時間未満の間隔で複数回繰り返し実行されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の、食品の衛生化方法。
  6. 前記紫外線は、200nm~230nmの範囲内にピーク波長を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の、食品の衛生化方法。
  7. アミノ酸に属する物質を含有する食品を包装した、紫外線透過性を示す材料からなる食品包装物に対し、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を、5μW/cm2以下の照度で照射して衛生化する工程(a)を含むことを特徴とする、食品包装物の衛生化方法。
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