JP2023060935A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および金属部材-ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリアリーレンスルフィド樹脂が本来有する耐熱性、耐薬品性、流動性などを損なうことなく、耐冷熱衝撃性、金属との接合性に優れ、ポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂を含有するポリアリーレンンスルフィド樹脂組成物およびそれよりなる複合体を提供する。【解決手段】 直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が100~2000ポイズであるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、ポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂(B)10~90重量部を含み、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)および該ポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂(B)の合計量100重量部に対し、ガラス繊維(C)10~110重量部および熱可塑性エラストマー(D)1~40重量部を含むポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及び金属部材-ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体に関するものであり、特にその利用が期待されているポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂を含有するにも関わらず、耐冷熱衝撃性に優れ、金属部材との複合体とした際にも優れた接着性、気密性を発現する複合体を提供することを可能とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および該組成物よりなる金属部材-ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体に関するものである。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPSと略記することもある。)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記することもある。)は、耐熱性、耐薬品性、流動性などに優れた特性を示す樹脂であり、その優れた特性を生かし、電気・電子機器部材、自動車部材およびOA機器部材等に幅広く使用されている。
しかしながら、PASは他のエンジニアリングプラスチックスに比較した場合、耐冷熱衝撃性に劣るため、PASの耐冷熱衝撃性を改良するための技術として、PASに変性エチレン系共重合体をブレンドすることが提案されている(例えば特許文献1、2参照。)。
また、自動車や航空機などの輸送機器の部品を軽量化するため、金属の一部を樹脂に置き換える方法が検討されている。樹脂と金属を複合一体化する方法として、金型内に物理的処理及び/又は化学処理を施した表面を有する金属部材をインサートし、樹脂を射出成形して直接一体化する方法(以下、射出インサート成形法と表記する場合がある。)が、良量産性、少部品点数、低コスト、高設計自由度、低環境負荷の観点から注目されており、スマートフォン等の携帯電子機器の製造プロセスなどに提案されている(例えば、特許文献3~5参照。)。
一方、近年、プラスチックスの排出量削減などを目的とし、欧米を中心に電気・電子機器部材にリサイクル樹脂を使用する要求が高まっており、その傾向は自動車部材などにも波及しつつある。
その中でも、使用済みの漁網、ロープは大量に放置され、海洋汚染の主な原因の一つとなっている。また、家庭用、自動車用あるいは業務用として使用されるカーペット、マットも、その多くが廃棄されており、これら漁網、ロープ、カーペット、マットの多くに使用されているポリアミド樹脂(以下、ナイロンと称されることもある。)をリサイクルする試みが始まっている。なお、リサイクル材はポストコンシューマリサイクル材(以下、PCRと略記することもある。)とポストインダストリアルリサイクル材(以下、PIRと略記することもある。)に分類することができ、PCRとは、消費者によって製品が使用され、廃棄された後に収集または再生利用された材料を意味し、PIRとは、消費者に製品が渡る前の製造工程で発生した廃棄物が収集または再生利用された材料を意味する。そして、PCRはPIRに対し、その使用中における劣化等が安定しておらず、その使用に適する安定したPCRの製造・入手が困難なため、コストが高く、その活用分野はPETボトルなど一部に限られており、今後PCRの更なる普及および活用が望まれている。
そして、リサイクル材を含有する樹脂組成物として、熱溶融積層方式の3Dプリンタ用フィラメント材に用いる再生樹脂組成物であって、プラスチック包装材から再生され、主成分であるポリオレフィン樹脂と、最大径200μm以上の粒子の割合が15個数%以下である未溶融物とを含有する再生樹脂(A)と、温度230℃、荷重2.16kgにて測定されるメルトフローレイトが5g/10分以上である樹脂(B)と、を含む、再生樹脂組成物(例えば、特許文献6参照。)、(A)リサイクル芳香族ポリカーボネート樹脂40~80質量%、及び(B)芳香族ポリカーボネート樹脂20~60質量%の合計100質量部に対して、(C)ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂から選ばれる樹脂で被覆され、ニッケルコートされていないカーボン繊維10~60質量部、(D)リン酸エステル化合物10~20質量部、(E)フッ素化合物0.01~1質量部、(F)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体0.5~10質量部を含有し、ニッケルコート炭素繊維を含まない、ポリカーボネート樹脂組成物(例えば、特許文献7参照。)が提案されている。
また、リサイクル材を含有する成形体の製造方法として、繊維状充填材強化架橋型ポリフェニレンスルフィド組成物再生ペレット20~80重量%及び繊維状充填材強化架橋型ポリフェニレンスルフィド組成物非再生ペレット80~20重量%を射出成形機に供し、射出成形を行うことを特徴とする成形体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献8参照。)。
さらに、ナイロンをリサイクルする方法として、耐油性ナイロン6繊維廃材又は耐油性ナイロン66繊維廃材であるナイロン繊維廃材を提供する工程と、前記ナイロン繊維廃材を粉砕して、複数のナイロン繊維の破片を形成する粉砕工程と、前記ナイロン繊維の破片を洗浄して、前記ナイロン繊維の破片の油含量を0.22wt%以下に低下させる洗浄工程と、前記ナイロン繊維の破片の水分を除去して、水分が4wt%以下である複数のナイロンフィルムを形成する脱水押出工程と、前記ナイロンフィルムを溶融造粒して、複数のリサイクルナイロン粒子を形成する溶融造粒工程と、前記リサイクルナイロン粒子を溶融紡績して、リサイクルナイロン繊維を得る溶融紡績工程と、を含むリサイクルナイロン繊維の製造方法が提案されている(例えば、特許文献9参照。)。
しかしながら、特許文献1および2に提案された樹脂組成物においては、リサイクルナイロンを含有する樹脂組成物について、なんら言及されていない。また、特許文献3に記載された複合体の製造方法、特許文献4に記載された複合構造体および特許文献5に記載されたレーザ加工方法においても、リサイクルナイロンを含有する樹脂組成物について、なんら言及されていない。
特許文献6、7に提案された樹脂組成物においては、ポリアリーレンスルフィド樹脂に関してはなんら言及されていない。また、特許文献8に提案された成形体の製造方法においては、射出成形時に発生するスプルー、ランナー又は該成形体の不要品等から再生したリサイクル繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド組成物ペレット、すなわちPIRを含有するものであり、その再利用に困難性を有するPCRを含有するものではなかった。さらに、特許文献9に提案された製造方法はリサイクルナイロン繊維の製造方法に関するものであり、リサイクルナイロンを含有する樹脂組成物についてはなんら言及されていない。
そこで、本発明は、PAS樹脂の本来有する耐熱性、耐薬品性、流動性などを損なうこともなく、耐冷熱衝撃性および金属との接合性に優れ、PCRポリアミド樹脂を含有するPAS樹脂組成物および金属部材-PAS樹脂組成物部材複合体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、PCRポリアミド樹脂を含有する特定のPAS樹脂組成物が、耐熱性、機械的強度、流動性、耐冷熱衝撃性および金属との接合性に優れるものとなりうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が100~2000ポイズであるPAS樹脂(A)100重量部に対し、PCRポリアミド樹脂(B)10~90重量部を含み、該PAS樹脂(A)および該PCRポリアミド樹脂(B)の合計量100重量部に対し、ガラス繊維(C)10~110重量部および熱可塑性エラストマー(D)1~40重量部を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のPAS樹脂組成物を構成するPAS樹脂(A)としては、一般にPAS樹脂と称される範疇に属するものであればよく、該PAS樹脂としては、例えばp-フェニレンスルフィド単位、m-フェニレンスルフィド単位、o-フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルフォン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ビフェニレンスルフィド単位からなる単独重合体又は共重合体を挙げることができ、該PAS樹脂の具体的例示としては、PPS、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドエーテル等が挙げられ、その中でも、特に耐熱性、強度的特性に優れるPAS樹脂組成物となることから、PPSであることが好ましい。
そして、該PAS樹脂(A)は、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度において、100~2000ポイズのものである。ここで、100ポイズ未満である場合、得られる組成物は耐冷熱衝撃性に劣るものとなる。一方、2000ポイズを越える場合、流動性、金属部材との接合性に劣るものとなる。
該PAS樹脂(A)の製造方法としては、PAS樹脂の製造方法として知られている方法により製造することが可能であり、例えば極性溶媒中で硫化アルカリ金属塩、ポリハロゲン芳香族化合物を重合することにより得る事が可能である。その際の極性有機溶媒としては、例えばN-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を挙げる事ができ、硫化アルカリ金属塩としては、例えば硫化ナトリウム、硫化ルビジウム、硫化リチウムの無水物又は水和物を挙げる事ができる。また、硫化アルカリ金属塩としては、水硫化アルカリ金属塩とアルカリ金属水酸化物を反応させたものであってもよい。ポリハロゲン芳香族化合物としては、例えばp-ジクロロベンゼン、p-ジブロモベンゼン、p-ジヨードベンゼン、m-ジクロロベンゼン、m-ジブロモベンゼン、m-ジヨードベンゼン、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロジフェニルエーテル、4,4’-ジクロロジビフェニル等を挙げる事ができる。
また、PAS樹脂(A)としては、直鎖状のものであっても、重合時にトリハロゲン以上のポリハロゲン化合物を少量添加して若干の架橋又は分岐構造を導入したものであっても、PAS樹脂の分子鎖の一部及び/又は末端を例えばカルボキシル基、カルボキシ金属塩、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等の官能基により変性されたものであっても、窒素などの非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。また、該PAS樹脂(A)は、加熱硬化前又は後に脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄など)、あるいはアセトン、メチルアルコールなどの有機溶媒による洗浄処理を行うことによってナトリウム原子、PAS樹脂のオリゴマー、食塩、4-(N-メチル-クロロフェニルアミノ)ブタノエートのナトリウム塩などの不純物を低減させたものであってもよい。さらに、重合反応終了後に不活性ガス又は酸化性ガス中で加熱処理を行い、硬化を行ったものであってもよい。
PAS樹脂(A)としては、上記製造方法により得られたバージンレジンと称されるPAS樹脂は無論、消費者によって製品が使用され、廃棄された後に収集又は再生利用されたPCRPAS樹脂、製品の製造過程により発生するスプルー、ランナー、成形時の不用品、成形不良品のPIRPAS樹脂であるリサイクルPAS樹脂であってもよく、その中でもその劣化が比較的抑制されているPIRPAS樹脂であることが好ましい。
本発明のPAS樹脂組成物を構成するPCRポリアミド樹脂(B)は、消費者によって製品が使用され、廃棄された後に収集または再生利用されたポリアミド樹脂であればよく、該ポリアミド樹脂としては、例えばポリテトラメチレンセバカミド(ナイロン410)、ポリペンタメチレンセバカミド(ナイロン510)、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン1010)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン10T)などのホモポリアミド樹脂ないしはこれらの共重合体である共重合ポリアミド(ナイロン6/66、ナイロン6/10、ナイロン6/66/610、66/6T、66/10T)などが挙げられ、さらにこれらのポリアミド樹脂の混合物であってもかまわない。
また、PCRポリアミド樹脂(B)としては、漁網、ロープ、カーペット、マットからは大量に同一構造、同一グレード、更に場合によっては同一ロットのポリアミド樹脂がリサクルできるため、品質のバラツキの小さいPCRポリアミド樹脂を入手することができ、その結果、品質のバラツキの小さいPAS樹脂組成物を得ることが可能となることから、漁網、ロープ、カーペット、マットを収集及び/またはリサイクルしたPCRポリアミド樹脂であることが好ましい。
該PCRポリアミド樹脂(B)の配合量は、PAS樹脂(A)100重量部に対して、10~90重量部である。ここで、PCRポリアミド樹脂(B)が10重量部未満である場合、リサイクル材の使用割合が低く再利用の意味合いが低くなる。一方、90重量部を超える場合、得られる組成物は、流動性、金属との接合性、色調に劣るものとなる。
本発明のPAS樹脂組成物を構成するガラス繊維(C)は、PAS樹脂組成物の機械的強度を改良するものであり、該ガラス繊維(C)としては、一般にガラス繊維と称するものであれば如何なるものを用いてもよい。該ガラス繊維の具体的例示としては、平均繊維径が6~14μmのチョップドストランド、繊維断面のアスペクト比が2~4の扁平ガラス繊維からなるチョップドストランド、ミルドファイバー、ロービング等のガラス繊維;シラン繊維;アルミノ珪酸塩ガラス繊維;中空ガラス繊維;ノンホーローガラス繊維等が挙げられ、その中でもとりわけ耐冷熱衝撃性、薄肉流動性および機械的強度に優れたPAS樹脂組成物となることから、平均繊維径が6~14μmのチョップドストランド、ないしは、繊維断面のアスペクト比が2~4である扁平ガラス繊維からなるチョップドストランドであることが好ましい。これらのガラス繊維(C)は2種以上を併用することも可能であり、必要によりエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリマーで、予め表面処理したものを用いてもよい。
該ガラス繊維(C)の配合量としては、靭性と機械的強度、流動性とのバランスに優れたPAS樹脂組成物となることから、PAS樹脂(A)およびPCRポリアミド樹脂(B)の合計量100重量部に対して10~130重量部である。ここで、ガラス繊維の配合量が10重量部未満である場合、得られる組成物は機械的強度、耐衝撃性に劣るものとなる。一方、130重量部を越える場合、耐冷熱衝撃性、流動性、金属との接合性に劣るものとなる。
また、本発明のPAS樹脂組成物を構成する熱可塑性エラストマー(D)としては、一般に熱可塑性エラストマーと称するものであれば如何なるものを用いてもよく、反応性官能基を有する熱可塑性エラストマーであっても、反応性官能基を有しない熱可塑性エラストマーであってもよく、また該反応性官能基を有する熱可塑性エラストマーと該反応性官能基を有しない熱可塑性エラストマーの混合物であっても構わない。該反応性官能基として、例えばエポキシ基、無水マレイン酸基、カルボン酸基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられ、該反応性基を有する熱可塑性エラストマーとして、例えばエチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル-無水マレイン酸共重合体,エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体,エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-酢酸ビニル共重合体,エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-α-オレフィン共重合体等の変性エチレン系共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物を無水マレイン酸またはその誘導体で変性したもの、スチレン-ブタジエンブロック共重合体の水素添加物を無水マレイン酸またはその誘導体で変性したもの、スチレン-イソプレンブロック共重合体の水素添加物を無水マレイン酸またはその誘導体で変性したもの、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物を無水マレイン酸またはその誘導体で変性したもの等のビニル芳香族化合物系ブロック共重合体の水素添加物等が挙げられ、また、PAS樹脂との反応性しうる官能基を有するものであれば、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、アクリロニトリル-ブタジエンゴム系熱可塑性エラストマー、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体等をも用いることができる。この中で、特に靭性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、変性エチレン系共重合体が好ましい。
一方、反応性官能基を有しない熱可塑性エラストマーとしては、上記した熱可塑性エラストマーにおいて官能基を有さないものを挙げることができ、中でも、特に流動性と靭性のバランスに優れたPAS樹脂組成物が得られることから、オレフィン-アクリル酸エステル2元共重合体であることが好ましい。そして、その際のオレフィンとしては、エチレンあるいは炭素数が3以上のα-オレフィン、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸イソブチル等が挙げられる。
該熱可塑性エラストマー(D)の配合量としては、靭性、金属との接合性および流動性のバランスに優れたPAS樹脂組成物となることから、PAS樹脂(A)およびPCRポリアミド樹脂(B)の合計量100重量部に対して1~50重量部である。ここで、熱可塑性エラストマーの配合量が1重量部未満である場合、得られる組成物は耐冷熱衝撃性、金属部材との接合性に劣るものとなる。一方、50重量部を越える場合、流動性、機械的強度に劣るものとなる。
本発明のPAS樹脂組成物は、特に機械的強度、耐衝撃性が優れたものとなることから、さらに、相溶化剤(E)を含有しても良い。該相溶化剤として例えばイソシアヌレート、エポキシ樹脂、シランカップリング剤あるいは、これらの相溶化剤の混合物であっても良い。
そして、該イソシアヌレートとしては、イソシアヌレートと称されるものであればよく、その中でもとりわけ、金型汚染性の低いPAS樹脂組成物となることから脂肪族系イソシアヌレートであることが好ましい。該脂肪族系イソシアヌレートとしては、1,3,5-トリス(6-イソシアナトヘキサ-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(6-イソシアナトテトラ-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(6-イソシアナトドデカ-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンなどが挙げられ、特に金型汚染性の低いPAS樹脂組成物となる事から分子量500以上の脂肪族系イソシアヌレートが好ましい。該脂肪族系イソシアヌレートは2量体や3量体などの多量体、ないしは脂肪族系イソシアヌレート単量体に2量体や3量体などの多量体を含むイソシアヌレートであってもよく、PASやPCRポリアミド樹脂との反応性に優れ、耐衝撃性に優れたPAS樹脂組成物となることから、イソシアネート基20%以上含む脂肪族系イソシアヌレートである事が好ましい。
また、該脂肪族系イソシアヌレートは、脂肪族系イソシアネートの一部を1,3-ブタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタジオールなどのアルコールで変性したものであっても構わない。該脂肪族系イソシアヌレートの中でもとりわけ、耐冷熱性に優れその入手が容易であることから1,3,5-トリス(6-イソシアナトヘキサ-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンである事が好ましい。1,3,5-トリス(6-イソシアナトヘキサ-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンの具体的例示としては(商品名)コロネートHXR(東ソー(株)製)、(商品名)デュラネートTPA-100(旭化成(株)製)等が挙げられる。
また、該エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良い。具体的例示としては、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、レゾルシン、サリゲニン、トリヒドロキシジフェニルジメチルメタン、テトラフェニロールエタン、これらのハロゲン置換体およびアルキル基置換体、ブタンジオール、エチレングリコール、エリスリット、ノボラック、グリセリン、ポリオキシアルキレン等のヒドロキシル基を分子内に2個以上含有する化合物とエピクロルヒドリン等から合成されるグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;該ヒドロキシル基を分子内に2個以上含有する化合物とフタル酸グリシジルエステル等から合成されるグリシジルエステル系エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の第一または第二アミンとエピクロロヒドリン等から合成されるグリシジルアミン系エポキシ樹脂等々のグリシジル基を含むエポキシ樹脂,エポキシ化大豆油,エポキシ化ポリオレフィン,ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等々のグリシジル基を含まないエポキシ樹脂が挙げられる。中でも得られるPAS樹脂組成物の耐衝撃性が特に優れたものとなることから、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。更に好ましいものとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
さらに、該シランカップリング剤としては、シランカップリング剤と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、その中でも特に耐衝撃性、機械的強度に優れたPAS樹脂組成物となることからグリシジル基を有するトリアルコキシシランカップリング剤及び/又はアミノ基を有するトリアルコキシシランカップリング剤からなるシランカップリング剤であることが好ましい。その際のシランカプリリング剤としては、グリシジル基あるいはアミノ基を有するトリアルコキシシランカップリングであれば特に制限されるものではなく、この範疇に属するものの具体的な例として、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等があげられる。
また、該相溶化剤(E)の配合量としては、耐衝撃性、機械的強度に優れ、金型汚染性の低いPAS樹脂組成物が得られることから、PAS樹脂100重量部に対して0.1~15重量部であることが好ましい。
さらに、本発明のPAS樹脂組成物は、成形品とする際の金型離型性や外観を改良するために離型剤(F)を含有してもよい。該離型剤(F)としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、脂肪酸アマイド系ワックスが好適に用いられる。該ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスとしては、一般的な市販品を用いることができる。また、該脂肪酸アマイド系ワックスとは、高級脂肪族モノカルボン酸、多塩基酸及びジアミンからなる重縮合物でありこの範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えばステアリン酸、セバシン酸、エチレンジアミンからなる重縮合物である、(商品名)ライトアマイドWH-255(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。
また、本発明のPAS樹脂組成物は、特に寸法精度が優れたものとなることから、さらに、非繊維状充填材(G)を含有しても良い。該非繊維状充填材として、例えば炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、マイカ、シリカ、タルク、クレイ、硫酸カルシウム、カオリン、ワラステナイト、ゼオライト、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、ガラスパウダー、ガラスバルーン、ガラスフレーク等を挙げられ、特に寸法精度、機械的強度に優れたPAS樹脂組成物となることから、炭酸カルシウムまたはガラスフレークであることが好ましい。
本発明のPAS樹脂組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種添加剤を混合して使用することができ、例えば従来公知のポリアルキレンオキサイドオリゴマー系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線防止剤;発泡剤;カーボンブラック等の顔料などの通常の添加剤を1種以上添加するものであってもよい。さらに、各種熱硬化性樹脂;シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアルキレンオキサイド等の熱可塑性樹脂の1種以上を混合して使用してなるものであってもよい。
本発明のPAS樹脂組成物の製造方法としては、従来使用されている加熱溶融混練方法を用いることができる。例えば単軸または二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダー等による加熱溶融混練方法が挙げられ、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。その際に二軸押出機に使用されるスクリュは、ニーディングゾーンを2か所以上有することが好ましい。さらに、PAS樹脂(A)とPCRポリアミド樹脂(B)との相溶性を十分なものとし、その結果、耐衝撃性等の靭性に優れたPAS樹脂組成物となることから、スクリュ長さ(L)とスクリュ直径(D)の比(L/D)が30以上、特に40以上のスクリュであることが好ましい。
そして、PAS樹脂(A)とPCRポリアミド樹脂(B)との相溶性を十分なものとし、且つPCRポリアミド樹脂(B)の熱分解を抑制し易くなることから、押出機のニーディングゾーンのシリンダー温度を285℃~320℃に設定することが好ましく、特に290~310℃に設定することが好ましい。さらに、PAS樹脂組成物のPAS樹脂相中におけるPCRポリアミド樹脂の分散性及び分配性を良好なものとし、その結果、耐衝撃性等の靭性に優れたPAS樹脂組成物となることから、スクリュの周速度は50~400mm/秒であることが好ましく、特に150~300mm/秒が好ましい。また、押出機内の溶融樹脂の滞留時間としては、PAS樹脂(A)とPCRポリアミド樹脂(B)との溶融混練時間を十分なものとし、且つPCRポリアミド樹脂(B)の熱分解を抑制し易くなることから、30秒~100秒が好ましく、特に30秒~80秒であることが好ましい。
そして、溶融混錬されたPAS樹脂組成物は、押出した溶融混錬組成物をホットカット、ミストカット等の方法又はストランドをコールドカット等の方法、等によりペレットとすることが可能であり、特に品質、色調に優れるペレットを安定的に効率よく得ることが可能となることから、溶融混錬組成物を水冷、空冷等の方法により冷却し、ストランドとし、該ストランドをカットし、ペレットとするコールドカットであることが好ましい。その際のペレットとしては、各種成形品を射出成形する際の加工性に優れるものとなることから、直径0.5~2.5mm、長さ1.5~4mmの円柱形状を有するペレットまたは直径1~3mmの球状のペレットであることが好ましく、特に製品外観に優れる成形体を得ることが可能となることから、薄茶色又は茶色の色調を有するペレットであることが好ましい。
本発明のPAS樹脂組成物は、耐冷熱衝撃性、金属との接合性に優れることから、インサート成形体、金属部材-PAS樹脂組成物部材複合体として好適に用いられる。該金属部材-PAS樹脂組成物部材複合体は、該PAS樹脂組成物を金属部材に対し射出インサート成形することで得ることができ、該射出インサート成形としては、とりわけ接合性と生産性に優れることから、金型内に表面粗化された金属部材を装着し、該金属部材に溶融ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を充填し、ポリアリーレンスルフィド樹脂部材とし、該金属部材とPAS樹脂組成物部材とを直接一体化する方法が好ましい。
この際のPAS樹脂組成物の溶融温度としては280~340℃を挙げることができ、インサート成形を行う際の成形機としては、とりわけ生産性に優れることから射出成形機を用いて射出インサート成形を行うことが好ましい。またとりわけ、接合性に優れる金属部材-PAS樹脂組成物部材複合体を効率良く製造することが可能となることから、インサート成形を行う際の金型温度としては130℃以上が好ましく、特に140~160℃が好ましい。また、金型保圧は1MPa以上であることが好ましく、特に30MPa以上100MPa以下が好ましい。
該金属部材を表面粗化する方法としては、表面を物理的処理及び/又は化学処理する方法が挙げられる。物理的処理としては、例えば表面に微小固体粒子を接触又は衝突させる方法、また高エネルギー電磁線を照射する方法等を挙げることができ、より具体的にはサンドブラスト処理、液体ホーニング処理、レーザ加工処理等を挙げることができる。更に、サンドブラスト処理、液体ホーニング処理の際の研磨剤としては、例えばサンド、スチールグリッド、スチールショット、カットワイヤー、アルミナ、炭化ケイ素、金属スラグ、ガラスビーズ、プラスチックビーズ等を挙げることができる。また、レーザ加工処理としては、WO2007/072603号公報、特開平2015-142960号公報に提案の方法等を挙げることができる。
また、化学処理としては、例えば陽極酸化処理法、酸又はアルカリの水溶液で化学処理する方法、等を挙げることができる。そして、陽極酸化処理としては、例えば金属部材を陽極として電解液中で電化反応を行いその表面に酸化被膜を形成する方法であってもよく、メッキ等の分野において陽極酸化法として一般的に知られている方法を用いることができる。より具体的には、例えば1)一定の直流電圧をかけて電解を行う直流電解法、2)直流成分に交流成分を重畳した電圧をかけることにより電解を行うバイポーラ電解法、等を挙げることができる。陽極酸化法の具体的例示としては、WO2004/055248号公報等に提案の方法等を挙げることができる。また、酸又はアルカリの水溶液で化学処理する方法としては、例えば金属部材を酸又はアルカリの水溶液に浸せきし金属部材表面を化学処理する方法であってもよく、その際の酸又はアルカリの水溶液としては、例えばリン酸等のリン酸系化合物;クロム酸等のクロム酸系化合物;フッ化水素酸等のフッ化水素酸系化合物;硝酸等の硝酸系化合物;塩酸等の塩酸系化合物;硫酸等の硫酸系化合物;水酸化ナトリウム、アンモニア水溶液などのアルカリ水溶液;トリアジンチオール水溶液、トリアジンチオール誘導体水溶液により化学処理する方法等を挙げることができ、より具体的例示としては、特開2017-132243号公報、特開2019-188651号公報、WO2008/133296号公報、特許第5622785号、特開平10-096088号公報、特開平10-056263号公報、特開平04-032585号公報、特開平04-032583号公報、特開平02-298284号公報、WO2009/151099号公報、WO2011/104944号公報等に提案の方法、等を挙げることができる。
また、該金属部材としては、金属部材の範疇に属するものであればいかなる材質よりなる部材でもよく、その中でもPAS樹脂組成物部材との複合体とした際に各種用途への適応が可能となることから、アルミニウム製部材、アルミニウム合金製部材、銅製部材、銅合金製部材、マグネシウム製部材、マグネシウム合金製部材、鉄製部材、チタン製部材、チタン合金製部材、ステンレス製部材である金属部材が好ましく、とりわけ軽量化に優れる、アルミニウム製部材、アルミニウム合金製部材、マグネシウム製部材、マグネシウム合金製部材、チタン製部材、チタン合金製部材である金属部材が好ましく、より好ましくはアルミニウム製部材、アルミニウム合金製部材である。また、該金属部材は、板に代表される展伸材であっても、ダイカストに代表される鋳造材であっても、鍛造材からなる金属部材であってもかまわない。
さらに、本発明のPAS樹脂組成物は、射出成形機、押出成形機、トランスファー成形機、圧縮成形機、ブロー成形機等を用いて任意の形状に成形することができる。
本発明のPAS樹脂組成物は、PAS樹脂が本来有する耐熱性、耐薬品性、流動性などを損なうことなく、耐冷熱衝撃性および金属との接合性に優れ、PCRポリアミド樹脂を含有するものであり、電気・電子部品、自動車部品などの用途に好適に用いられる。
本発明によれば、PCRポリアミド樹脂を含有するPAS樹脂組成物を提供することができ、耐熱性、耐冷熱衝撃性、金属との接合性、耐湿熱性、さらには流動性に優れ、特に電気・電子部品、自動車部品の用途などに有用であり、その産業的価値は極めて高いものである。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
実施例及び比較例において用いた、ポリアリーレンスルフィド(A)、ポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂(B)、ガラス繊維(C)、熱可塑性エラストマー(D)、相溶化剤(E)、離型剤(F)を以下に示す。
<ポリアリーレンスルフィド(A)>
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-1)と記す。):溶融粘度470ポイズ。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-2)と記す。):溶融粘度820ポイズ。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-3)と記す。):溶融粘度1580ポイズ。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-4)と記す。):溶融粘度2500ポイズ。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-5)と記す。):溶融粘度80ポイズ。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-1)と記す。):溶融粘度470ポイズ。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-2)と記す。):溶融粘度820ポイズ。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-3)と記す。):溶融粘度1580ポイズ。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-4)と記す。):溶融粘度2500ポイズ。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-5)と記す。):溶融粘度80ポイズ。
<ポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂(B)>
PCRポリアミド樹脂(以下、PCR(B-1)と記す。);リファインバース株式会社製、(商品名)RA6G00、廃漁網リサイクルポリアミド6樹脂。
PCRポリアミド樹脂(以下、PCR(B-2)と記す。);リファインバース株式会社製、(商品名)RA6R00、廃漁網リサイクルポリアミド6樹脂。
PCRポリアミド樹脂(以下、PCR(B-1)と記す。);リファインバース株式会社製、(商品名)RA6G00、廃漁網リサイクルポリアミド6樹脂。
PCRポリアミド樹脂(以下、PCR(B-2)と記す。);リファインバース株式会社製、(商品名)RA6R00、廃漁網リサイクルポリアミド6樹脂。
<ポリアミド樹脂(B’)>
ポリアミド6樹脂(B’);宇部興産株式会社製、(商品名)1013B。
ポリアミド6樹脂(B’);宇部興産株式会社製、(商品名)1013B。
<ガラス繊維(C)>
ガラス繊維(C-1);日本電気硝子株式会社製、(商品名)T-760H;繊維径10μm、繊維長3mm。
ガラス繊維(C-2);日東紡株式会社製チョップドストランド、(商品名)CSG-3PA 830、繊維断面のアスペクト比4。
ガラス繊維(C-1);日本電気硝子株式会社製、(商品名)T-760H;繊維径10μm、繊維長3mm。
ガラス繊維(C-2);日東紡株式会社製チョップドストランド、(商品名)CSG-3PA 830、繊維断面のアスペクト比4。
<熱可塑性エラストマー(D)>
エチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル-無水マレイン酸共重合体(D-1)(以下、単に熱可塑性エラストマー(D-1)と記す。):SK global chemical社製、(商品名)ボンダインAX8390、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=69.7:29:1.3。
エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(D-2)(以下、単に熱可塑性エラストマー(D-2)と記す。):SK global chemical社製、(商品名)LOTADER AX8700、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位(重量比)=67:8:25。
エチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル-無水マレイン酸共重合体(D-1)(以下、単に熱可塑性エラストマー(D-1)と記す。):SK global chemical社製、(商品名)ボンダインAX8390、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=69.7:29:1.3。
エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(D-2)(以下、単に熱可塑性エラストマー(D-2)と記す。):SK global chemical社製、(商品名)LOTADER AX8700、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位(重量比)=67:8:25。
<相溶化剤(E)>
グリシジル基を有するトリアルコキシシランカップリング剤(E-1);信越化学工業株式会社製、(商品名)KBM-403;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
イソシアヌレート(E-2);東ソー株式会社製、(商品名)コロネートHXR(イソシアネート含量21.8%、分子量504)。
エポキシ樹脂(E-3);三菱ケミカル株式会社製、(商品名)1004。
グリシジル基を有するトリアルコキシシランカップリング剤(E-1);信越化学工業株式会社製、(商品名)KBM-403;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
イソシアヌレート(E-2);東ソー株式会社製、(商品名)コロネートHXR(イソシアネート含量21.8%、分子量504)。
エポキシ樹脂(E-3);三菱ケミカル株式会社製、(商品名)1004。
<離型剤(F)>
離型剤(F-1);共栄社化学株式会社製、(商品名)ライトアマイドWH-255。
離型剤(F-1);共栄社化学株式会社製、(商品名)ライトアマイドWH-255。
合成例1
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、Na2S・2.9H2Oを6214g及びN-メチル-2-ピロリドンを17000g仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p-ジクロロベンゼンを7168g、3,5-ジクロロアニリンを12g、N-メチル-2-ピロリドンを5000g添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を180℃の熱水で洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、Na2S・2.9H2Oを6214g及びN-メチル-2-ピロリドンを17000g仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p-ジクロロベンゼンを7168g、3,5-ジクロロアニリンを12g、N-メチル-2-ピロリドンを5000g添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を180℃の熱水で洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p-フェニレンスルフィド)を、真空乾燥機による減圧条件下、240℃で4時間の乾燥を行い、リニア型アミノ基含有ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-1)と記す。)を得た。PPS(A-1)の溶融粘度は470ポイズであった。
合成例2
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、Na2S・2.9H2Oを6214g及びN-メチル-2-ピロリドンを17000g仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p-ジクロロベンゼンを7180g、3,5-ジクロロアニリンを6g、N-メチル-2-ピロリドンを5000g添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を180℃の熱水で洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、Na2S・2.9H2Oを6214g及びN-メチル-2-ピロリドンを17000g仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p-ジクロロベンゼンを7180g、3,5-ジクロロアニリンを6g、N-メチル-2-ピロリドンを5000g添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を180℃の熱水で洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p-フェニレンスルフィド)を、真空乾燥機による減圧条件下、240℃で6時間の乾燥を行い、リニア型アミノ基含有ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-2)と記す。)を得た。PPS(A-2)の溶融粘度は820ポイズであった。
合成例3
3,5-ジクロロアニリンを用いなかった以外は、合成例1と同様の重合方法により、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
3,5-ジクロロアニリンを用いなかった以外は、合成例1と同様の重合方法により、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p-フェニレンスルフィド)を、空気雰囲気下250℃で3時間硬化を行い、分岐型ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-3)と記す。)を得た。PPS(A-3)の溶融粘度は1580ポイズであった。
合成例4
3,5-ジクロロアニリンを用いなかった以外は、合成例2と同様の重合方法により、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
3,5-ジクロロアニリンを用いなかった以外は、合成例2と同様の重合方法により、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p-フェニレンスルフィド)を、空気雰囲気下250℃で5時間硬化を行い、分岐型ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-4)と記す。)を得た。PPS(A-4)の溶融粘度は2500ポイズであった。
合成例5
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、Na2S・2.9H2Oを1814g、粒状の苛性ソーダ(100%NaOH:和光純薬特級)を8.7g及びN-メチル-2-ピロリドンを3232g仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、339gの水を留去した。この系を190℃まで冷却した後、p-ジクロロベンゼンを2085g、N-メチル-2-ピロリドンを1783g添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を180℃の熱水で洗浄し105℃で一昼夜乾燥することにより、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、Na2S・2.9H2Oを1814g、粒状の苛性ソーダ(100%NaOH:和光純薬特級)を8.7g及びN-メチル-2-ピロリドンを3232g仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、339gの水を留去した。この系を190℃まで冷却した後、p-ジクロロベンゼンを2085g、N-メチル-2-ピロリドンを1783g添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて2時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を180℃の熱水で洗浄し105℃で一昼夜乾燥することにより、ポリ(p-フェニレンスルフィド)を得た。
得られたポリ(p-フェニレンスルフィド)を、真空乾燥機による減圧条件下、240℃で6時間の乾燥を行い、リニア型ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPS(A-5)と記す。)を得た。PPS(A-5)の溶融粘度は80ポイズであった。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、金属部材-ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の評価・測定方法を以下に示す。
~PAS樹脂の溶融粘度測定~
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、(商品名)CFT-500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、(商品名)CFT-500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
~耐冷熱衝撃性の測定~
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE-75S)を用い、図1に示す30mm×20mm×10mmの直方体の鋼材(炭素鋼)をインサートするインサート成形をシリンダー温度310℃、金型温度140℃で行い、肉厚1mmのPAS樹脂組成物で被覆する耐冷熱衝撃性評価用テストピース10個を作製した。得られたテストピース10個を150℃で30分保持した後、-40℃に冷却して30分保持し、再び150℃に加熱することを1サイクルとする冷熱サイクルに供し、目視によりクラックが発生するまで該サイクルを継続し、テストピース10個の内、目視により6個にクラックの発生が認められるまでの冷熱サイクル処理数を耐冷熱衝撃性として評価した。該冷熱サイクル処理数が100回を超えるものを耐冷熱衝撃性に優れると判断した。
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE-75S)を用い、図1に示す30mm×20mm×10mmの直方体の鋼材(炭素鋼)をインサートするインサート成形をシリンダー温度310℃、金型温度140℃で行い、肉厚1mmのPAS樹脂組成物で被覆する耐冷熱衝撃性評価用テストピース10個を作製した。得られたテストピース10個を150℃で30分保持した後、-40℃に冷却して30分保持し、再び150℃に加熱することを1サイクルとする冷熱サイクルに供し、目視によりクラックが発生するまで該サイクルを継続し、テストピース10個の内、目視により6個にクラックの発生が認められるまでの冷熱サイクル処理数を耐冷熱衝撃性として評価した。該冷熱サイクル処理数が100回を超えるものを耐冷熱衝撃性に優れると判断した。
~樹脂部材と金属部材との接合性の評価~
表面処理を施した表面を有する金属板を射出成形機金型内に装着し、PAS樹脂組成物を射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75S)のホッパーに投入し、射出インサート成形を行い、接合面積が50mm2のせん断引張試験片を得た。次いで、ISO19095に従い、該せん断引張試験片を用いて接合面の接合強度を測定し、せん断引張強度により評価した。そして、接合強度が30MPa以上のものを接合性に優れると判断した。
表面処理を施した表面を有する金属板を射出成形機金型内に装着し、PAS樹脂組成物を射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75S)のホッパーに投入し、射出インサート成形を行い、接合面積が50mm2のせん断引張試験片を得た。次いで、ISO19095に従い、該せん断引張試験片を用いて接合面の接合強度を測定し、せん断引張強度により評価した。そして、接合強度が30MPa以上のものを接合性に優れると判断した。
~PAS樹脂組成物の耐湿熱性の評価~
射出成形機(住友重機械工業株式会社製、(商品名)SE-75S)によって引張試験片を作製し、ISO 527-1,2に準拠し、引張強度の測定を行った。また、上記によって得られた引張試験片を、85℃85%湿度に保持した恒温恒湿槽(日立グローバルライフソリューション株式会社製、(商品名)EC46-HHP)内に静置し、2000時間経過後、試験片を取り出し、ISO 527-1,2に準拠し、引張強度の測定を行った。そして、恒温恒湿槽に入れずに測定した引張強度に対する恒温恒湿槽内で2000時間静置した後に測定した引張強度の割合(百分率)が75%以上のものを、耐湿熱性に優れているとした。
射出成形機(住友重機械工業株式会社製、(商品名)SE-75S)によって引張試験片を作製し、ISO 527-1,2に準拠し、引張強度の測定を行った。また、上記によって得られた引張試験片を、85℃85%湿度に保持した恒温恒湿槽(日立グローバルライフソリューション株式会社製、(商品名)EC46-HHP)内に静置し、2000時間経過後、試験片を取り出し、ISO 527-1,2に準拠し、引張強度の測定を行った。そして、恒温恒湿槽に入れずに測定した引張強度に対する恒温恒湿槽内で2000時間静置した後に測定した引張強度の割合(百分率)が75%以上のものを、耐湿熱性に優れているとした。
~PAS樹脂組成物の流動性の測定~
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE-75S)に、厚み1mm、幅10mmの溝がスパイラル状に掘られた金型を装着し、次いで、シリンダー温度を310℃、射出圧力を190MPa、射出速度を最大、射出時間を1.5秒、及び金型温度を135℃に設定した該射出成形機のホッパーにPAS樹脂組成物を投入し、射出した。そして金型内のスパイラル状の溝を溶融流動した長さを成形流動性として測定した。成形流動性として120mmを超えるものを流動性に優れると判断した。
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE-75S)に、厚み1mm、幅10mmの溝がスパイラル状に掘られた金型を装着し、次いで、シリンダー温度を310℃、射出圧力を190MPa、射出速度を最大、射出時間を1.5秒、及び金型温度を135℃に設定した該射出成形機のホッパーにPAS樹脂組成物を投入し、射出した。そして金型内のスパイラル状の溝を溶融流動した長さを成形流動性として測定した。成形流動性として120mmを超えるものを流動性に優れると判断した。
~PAS樹脂組成物の色調の評価~
射出成形機(住友重機械工業株式会社製、(商品名)SE-75S)によって幅70mm×長さ70mm×厚み1mmの平板を作製し、外観を目視により観察した。色調が薄茶色あるいは茶色であるものを色調に優れ、黒あるいは深緑であるものを色調に劣るとした。
射出成形機(住友重機械工業株式会社製、(商品名)SE-75S)によって幅70mm×長さ70mm×厚み1mmの平板を作製し、外観を目視により観察した。色調が薄茶色あるいは茶色であるものを色調に優れ、黒あるいは深緑であるものを色調に劣るとした。
実施例1
アルミニウム合金(A5052)製板材(50mm×10mm×1mm厚さ)をアルミ用脱脂剤を7.5%含む水溶液(液温60℃)を入れた脱脂槽に5分浸漬した後、イオン交換水で水洗した。次いで、苛性ソーダを1.5%含む水溶液(液温40℃)を入れた槽に1分浸漬し、イオン交換水で水洗し、さらに3%濃度の硝酸水溶液(液温40℃)を入れた槽に1分浸漬し、イオン交換水で水洗した。次いで、水和ヒドラジン3.5%を含む水溶液(液温60℃)を入れた槽に1分浸漬し、イオン交換水で水洗し、さらに水和ヒドラジンを0.5%含む水溶液(液温33℃)を入れた槽に3分浸漬し、イオン交換水で水洗した後、温風乾燥機内で乾燥することにより表面粗化したアルミニウム合金(A5052)製板材を得た。
アルミニウム合金(A5052)製板材(50mm×10mm×1mm厚さ)をアルミ用脱脂剤を7.5%含む水溶液(液温60℃)を入れた脱脂槽に5分浸漬した後、イオン交換水で水洗した。次いで、苛性ソーダを1.5%含む水溶液(液温40℃)を入れた槽に1分浸漬し、イオン交換水で水洗し、さらに3%濃度の硝酸水溶液(液温40℃)を入れた槽に1分浸漬し、イオン交換水で水洗した。次いで、水和ヒドラジン3.5%を含む水溶液(液温60℃)を入れた槽に1分浸漬し、イオン交換水で水洗し、さらに水和ヒドラジンを0.5%含む水溶液(液温33℃)を入れた槽に3分浸漬し、イオン交換水で水洗した後、温風乾燥機内で乾燥することにより表面粗化したアルミニウム合金(A5052)製板材を得た。
合成例1で得られたPPS樹脂(A-1)100重量部に対し、PCR(B-1)30重量部および熱可塑性エラストマー(D-1)15重量部を予め均一に混合し、ニーディングゾーンを4か所有する二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、(商品名)TEX-25αIII、L/D=55)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C-1)をPPS(A-1)100重量部に対して40重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、ニーディングゾーンのシリンダー温度を310℃に加熱した条件で原料供給速度25kg/hr、スクリュ回転数200rpm(周速度:258mm/秒)にて溶融混練し、滞留時間50秒にてダイより流出する溶融組成物を水冷却し、ストランドとした後、裁断して直径1.7mm、長さ2.3mmの円柱状の薄茶色を有するペレット状のPAS樹脂組成物を作製した。
そして得られたPAS樹脂組成物をシリンダー温度310℃、金型温度140℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業株式会社製、(商品名)SE75S)に投入して該PAS樹脂組成物の成形流動長の測定を行った。また、表面租化したアルミニウム合金製板材を金型内に装着し、PAS樹脂組成物のインサート成形を行うことにより、接合面積が50mm2のせん断引張試験片であるアルミニウム合金製部材-PAS樹脂組成物部材複合体を得た。さらに射出成形および射出インサート成形した試験片を用いて耐冷熱衝撃性および耐湿熱性の評価、接合強度の測定を行った。また、試験片による色調を確認した。それぞれの測定および評価を行った結果を表1に示した。
実施例2~10
PPS樹脂(A)、PCRポリアミド樹脂(B)、ガラス繊維(C)、熱可塑性エラストマー(D)、相溶化剤(E)および離型剤(F)の配合割合を表1に示す条件として、実施例1と同様の方法によりペレット状のPAS樹脂組成物を作製した。得られたPAS樹脂組成物は薄茶又は茶の色調を有するものであった。そして、実施例1と同様の方法により金属部材-PAS樹脂組成物部材複合体を作成すると共にそれらの評価を行った。評価結果を表1に示した。
PPS樹脂(A)、PCRポリアミド樹脂(B)、ガラス繊維(C)、熱可塑性エラストマー(D)、相溶化剤(E)および離型剤(F)の配合割合を表1に示す条件として、実施例1と同様の方法によりペレット状のPAS樹脂組成物を作製した。得られたPAS樹脂組成物は薄茶又は茶の色調を有するものであった。そして、実施例1と同様の方法により金属部材-PAS樹脂組成物部材複合体を作成すると共にそれらの評価を行った。評価結果を表1に示した。
得られた全てのPAS樹脂組成物は耐冷熱衝撃性、金属との接合性、耐湿熱性、流動性、色調に優れるものであった。
比較例1~7、参考例1
PPS樹脂(A)、PCRポリアミド樹脂(B)、ポリアミド樹脂(B’)、ガラス繊維(C)および熱可塑性エラストマー(D)の配合割合を表2に示す条件として、実施例1と同様の方法によりペレット状の樹脂組成物を作製した。そして、実施例1と同様の方法により複合体を作成すると共にそれらの評価を行った。評価結果を表2に示した。
PPS樹脂(A)、PCRポリアミド樹脂(B)、ポリアミド樹脂(B’)、ガラス繊維(C)および熱可塑性エラストマー(D)の配合割合を表2に示す条件として、実施例1と同様の方法によりペレット状の樹脂組成物を作製した。そして、実施例1と同様の方法により複合体を作成すると共にそれらの評価を行った。評価結果を表2に示した。
比較例1~7より得られた樹脂組成物は耐冷熱衝撃性および金属との接合性が劣るものであった。比較例3、7より得られた樹脂組成物は耐湿熱性が劣るものであった。比較例1、3、5より得られた樹脂組成物は流動性に劣るものであった。比較例1,6より得られた樹脂組成物は色調に劣るものであった。
本発明のPAS樹脂組成物は、PAS樹脂が本来有する耐熱性、耐薬品性、流動性などを損なうことなく、耐冷熱衝撃性、金属との接合性に優れ、PCRポリアミド樹脂を含有するものであり、電気・電子部品、自動車部品などの用途に特に有用である。
1;ゲート位置。
2;貫通穴。
3;インサートブロック。
4;ウェルド形成位置。
2;貫通穴。
3;インサートブロック。
4;ウェルド形成位置。
Claims (7)
- 直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が100~2000ポイズであるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、ポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂(B)10~90重量部を含み、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)および該ポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂(B)の合計量100重量部に対し、ガラス繊維(C)10~110重量部および熱可塑性エラストマー(D)1~40重量部を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
- ポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂(B)が、漁網、ロープ、カーペット、マットから選ばれる少なくとも1種以上を収集及び/又はリサイクルしたポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
- 熱可塑性エラストマー(D)が、変性エチレン系共重合体及び/又はオレフィン-アクリル酸エステル2元共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
- さらに、イソシアヌレート、エポキシ樹脂、シランカップリング剤から選ばれる少なくとも1種以上の相溶化剤(E)及び/又はポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、脂肪酸アマイド系ワックスからなる群より選択される少なくとも1種以上の離型剤(F)を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
- スクリュ長さ(L)とスクリュ直径(D)の比(L/D)が30以上のスクリュ及びニーディングゾーン2か所以上を有する二軸押出機にて、ニーディングゾーンのシリンダー温度285℃~330℃、スクリュの周速度50mm/秒~400mm/秒、滞留時間30秒~100秒の混錬条件にて、少なくともポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、ポストコンシューマリサイクルポリアミド樹脂(B)、ガラス繊維(C)及び熱可塑性エラストマー(D)を溶融混錬し、押し出すことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1~5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物のインサート成形体であることを特徴とする成形体。
- 化学処理または物理的処理を施した表面を有する金属部材および請求項1~5のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物のインサート成形部材の接合体であることを特徴とする金属部材-ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体。
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PCT/JP2022/038326 WO2023068186A1 (ja) | 2021-10-19 | 2022-10-14 | ポリアリーレンスルフィド組成物及びその製造方法 |
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2021
- 2021-10-19 JP JP2021170623A patent/JP2023060935A/ja active Pending
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