JP2023059697A - アンダーランプロテクタ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品数や重量を増やすことなくオフセット衝突時に生じる静的ピーク荷重を高めることができるアンダーランプロテクタ構造を提案する。【解決手段】アンダーランプロテクタ構造1は、車体フレーム2に対して下方に延出されるステー3を介してアンダーランプロテクタ本体10が取り付けられ、アンダーランプロテクタ本体10は、車幅方向に延出されて四角筒状をなしていて、アンダーランプロテクタ本体10の上面におけるステー3よりも車幅方向外側の少なくとも一部は、車体前後方向の外側から内側に低くなるように傾く傾斜面である、ことを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、車両同士が衝突した際、一方の車両が他方の車両の下に潜り込むことを防止するためのアンダーランプロテクタ構造に関する。
衝突した乗用車等が下に潜り込むのを防止するため、トラック等の大型車両には、車体フレームに対してステー(ブラケット)等を介して突入防止装置(アンダーランプロテクタ)が装着される(例えば特許文献1参照)。アンダーランプロテクタは法的強度要件が課されていて、その性能評価においては、車幅方向に延出されるアンダーランプロテクタ本体に対して加圧子を水平方向に押し当てることによって計測される静的ピーク荷重が確認される。
静的ピーク荷重に関する評価において、オフセット衝突を想定した試験においては、図6に示すように、アンダーランプロテクタ本体110におけるステー103に取り付けられる部位よりも車幅方向外側に位置する部位に対して車体前後方向外側から加圧子Pで荷重を加え、その時の加圧子Pのストローク量と荷重の大きさとの関係により性能評価が行われる。
オフセット衝突の際、アンダーランプロテクタ本体の端部が潰れてしまうと耐荷重性能が大きく損なわれることになり、アンダーランプロテクタの静的ピーク荷重が低減してしまう問題がある。特に、図6に示すように四角筒状であって、車幅方向全長に亘って横断面形状が矩形状になるアンダーランプロテクタ本体110を用いる場合は、加圧子Pで荷重を加えた際に端部が潰れるように変形してしまう傾向がある。
従来、アンダーランプロテクタの強度を向上させる技術として、四角筒状になるアンダーランプロテクタ本体における端部の内側に、アルミニウム合金の押出材や樹脂材により形成された潰れ防止体を配置することが提案されている(例えば特許文献2参照)。しかしこの技術は、潰れ防止体を追加することによって部品数の増加し、またそれに伴う重量の増大やコストアップにつながるという問題を抱えている。
また静的ピーク荷重に関する評価において、加圧子はアンダーランプロテクタ本体における車体前後方向外側の面を垂直に押すように設定される。一方、アンダーランプロテクタ本体は、特許文献1に示すように下方に延出されるステーを介して車体フレームに取り付けられることが一般的である。このため、アンダーランプロテクタ本体を加圧した際は、車体フレームに対してステーが傾くように変形し、加圧子はアンダーランプロテクタ本体における車体前後方向外側の面を斜めに押すことが予想される。しかし、このようなステーの変形を想定した検討は従来行われていなかった。
このような点に鑑み、本発明は、オフセット衝突の際のステーの変形を考慮しつつ、部品数や重量を増やすことなくオフセット衝突時に生じる静的ピーク荷重を高めることができるアンダーランプロテクタ構造を提供することを目的とする。
本発明は、車体フレームに対して下方に延出されるステーを介してアンダーランプロテクタ本体が取り付けられたアンダーランプロテクタ構造であって、前記アンダーランプロテクタ本体は、車幅方向に延出されて四角筒状をなしていて、当該アンダーランプロテクタ本体の上面における前記ステーよりも車幅方向外側の少なくとも一部は、車体前後方向の外側から内側に低くなるように傾く傾斜面である、ことを特徴とする。
そして前記傾斜面は、前記アンダーランプロテクタ本体の上面における車幅方向の両端部に設けられていることが好ましい。
また前記傾斜面の水平方向に対する傾斜角度は、前記アンダーランプロテクタ本体に対して前記ステーよりも車幅方向外側に荷重が加わった際に想定される前記車体フレームに対する当該ステーの回転角度に合せて設定されていることが好ましい。
そして前記アンダーランプロテクタ本体の下面における車幅方向の少なくとも一部は、車体前後方向の外側から内側に高くなるように傾く第二傾斜面であることが好ましい。
本発明のアンダーランプロテクタ構造は、アンダーランプロテクタ本体の上面におけるステーよりも車幅方向外側の少なくとも一部を車体前後方向の外側から内側に低くなるように傾く傾斜面としているため、後述する理由により、オフセット衝突時に生じる静的ピーク荷重を高めることができる。また、オフセット衝突時の静的ピーク荷重を高めることを目的とする潰れ防止体をアンダーランプロテクタ本体の端部の内側に配置する必要がないため、部品数や重量の増大につながることがない。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に従うアンダーランプロテクタ構造の一実施形態について説明する。なお、本明細書等における「上」「下」「前」「後」「左」「右」とは、アンダーランプロテクタ構造を適用した車両において、運転席に着座した者を基準とした場合の向きをいう。また図面は、本実施形態を説明するにあたって必要な部分を優先して示していて、説明が特段不要な部分は省略し、また一部を誇張して示している。なお、以下に説明する各部を取り付けるための手段に特段限定はなく、例えば溶接でもよいし、ボルトとナットによるものでもよいし、リベット止めによるものでもよい。
図1は、本発明に従うアンダーランプロテクタ構造の一実施形態を示している。本実施形態のアンダーランプロテクタ構造1は、車両の骨格をなす構造部材の一部である車体フレーム2と、車体フレーム2に取り付けられるステー3と、ステー3に取り付けられるアンダーランプロテクタ4を備えている。
車体フレーム2は、車体前後方向に延出されるとともに車幅方向に間隔をあけて設けられる一対のサイドフレーム5と、それぞれのサイドフレーム5に取り付けられる一対の補強プレート6を備えている。本実施形態のサイドフレーム5は、上下方向に略平行であって車体前後方向に延出されるウェブ5aと、ウェブ5aの上端から車幅方向内側に向けて延出される上部フランジ5bと、ウェブ5aの下端から車幅方向内側に向けて延出される下部フランジ5cとを有していて、ウェブ5a、上部フランジ5b、及び下部フランジ5cによって横断面形状がコ字状になるように形成されている。補強プレート6は、図示したように横断面形状がL字状をなすように形成されていて、サイドフレーム5に対して車幅方向内側に取り付けられている。
ステー3は、横断面形状がL字状でありサイドフレーム5から下方に延出される形状であって、サイドフレーム5の車幅方向外側に取り付けられるメインステー7と、横断面形状がL字状でありメインステー7に対して向かい合わせになるように取り付けられるサブステー8と、メインステー7に対して車体前後方向外側に取り付けられる板状のブラケット9を備えている。
アンダーランプロテクタ4は、車幅方向に延出されて四角筒状でありブラケット9に取り付けられるアンダーランプロテクタ本体10と、アンダーランプロテクタ本体10の内部に取り付けられるレインフォース11(図1(b)参照)を備えている。
本実施形態のアンダーランプロテクタ本体10は、図2に示すようにブラケット9に取り付けられた状態において、車体前後方向外側に位置するアウター部材12と、車体前後方向内側に位置するインナー部材13で構成されている。アウター部材12は、図2(b)に示すように、上下方向に略平行であって車幅方向に延出される外側縦板部12aと、外側縦板部12aの上端から車体前後方向内側に向けて延出される外側上部横板部12bと、外側縦板部12aの下端から車体前後方向内側に向けて延出される外側下部横板部12cとを有している。またインナー部材13は、上下方向に略平行であって車幅方向に延出される内側縦板部13aと、内側縦板部13aの上端から車体前後方向外側に向けて延出される内側上部横板部13bと、内側縦板部13aの下端から車体前後方向内側に向けて延出される内側下部横板部13cとを有している。なお本実施形態のインナー部材13は、図2(b)に示すようにアウター部材12よりも一回り小さくなっている。具体的には、外側上部横板部12bの内面から外側下部横板部12cの内面に至る長さに対し、内側上部横板部13bの外面から内側下部横板部13cの外面に至る長さがそれと略同等になっている。そして、アウター部材12とインナー部材13を向かい合わせにした状態でアウター部材12の内側にインナー部材13を嵌め込んで両者を結合させることにより、四角筒状になるアンダーランプロテクタ本体10が形成される。
ところで本実施形態のアウター部材12とインナー部材13は、車幅方向において横断面形状が異なっていて、これによりアンダーランプロテクタ本体10の横断面形状も車幅方向で異なっている。この点につき、図2を参照しながら詳細に説明する。
まずアウター部材12に関し、外側下部横板部12cは、車幅方向の全域に亘って横断面形状は同一である。これに対して外側縦板部12aは、車幅方向内側の領域A(アンダーランプロテクタ本体10を2つのブラケット9に取り付けた際の一方のブラケット9から他方のブラケット9にかけての領域)では、図2(b)に示すように上下方向の長さはaである一方、アンダーランプロテクタ本体10の両端部に位置する領域Bでは、図2(c)に示すように上下方向の長さはd(d>a)となっている。また外側縦板部12aの上下方向長さは、領域Aから領域Bにかけての領域Cにおいて、図2(b)に示す長さaから図2(c)に示す長さdに徐々に変化している。そして外側上部横板部12bは、領域Aでは図2(b)に示すように車体前後方向の外側から内側にかけて略同一高さで延出されている一方、領域Bでは、図2(c)に示すように車体前後方向の外側から内側に低くなるように角度φで傾く傾斜面となっていて、領域Cでは、図2(b)に示す形状から図2(c)に示す形状に徐々に変化している。なお、本実施形態における領域Bの車幅方向長さは約200mmであり、領域Cの車幅方向長さは約100mmである。また本実施形態の領域Aは、ブラケット9の車幅方向外側端部から車幅方向外側に向かって約100mmまで及んでいる。
そしてインナー部材13に関し、内側上部横板部13bと内側下部横板部13cは、車幅方向の全域に亘って横断面形状は同一である。これに対して内側縦板部13aは、領域Aでは図2(b)に示すように上下方向の長さはcである一方、領域Bでは図2(c)に示すように上下方向の長さはe(e>c)となっていて、領域Cでは、図2(b)に示す長さcから図2(c)に示す長さeに徐々に変化している。
このように本実施形態のアンダーランプロテクタ本体10は、領域Aにおいては横断面形状が矩形状であり、領域Cにおいてその上面の角度が徐々に変化して、領域Bにおいては、その上面が車体前後方向の外側から内側に低くなるように角度φで傾斜した形状になる。なお角度φは、後述するように、アンダーランプロテクタ本体10に対してステー3よりも車幅方向外側に荷重が加わった際に想定される車体フレーム2に対するステー3の回転角度に合せて設定されている。
レインフォース11は、図1(b)に示すように車幅方向に延出されて横断面形状がコ字状になるように形成されている。本実施形態のレインフォース11は、図2に示した領域Aと、領域Aの両側に位置する領域Cとを含む長さで形成されている。そしてレインフォース11をアンダーランプロテクタ本体10に取り付けることにより、アンダーランプロテクタ本体10の領域Aから領域Cにかけての部位を補強することができる。
次に、本実施形態のアンダーランプロテクタ構造1におけるオフセット衝突時の性能について、図6に示した従来のアンダーランプロテクタ構造101と比較しながら説明する。従来のアンダーランプロテクタ構造101は、アンダーランプロテクタ本体110を構成するアウター部材112とインナー部材113を備えていて、アウター部材112とインナー部材113は、図6(c)に示すように、車幅方向の全長に亘って横断面形状がコ字状になるものである。すなわちアンダーランプロテクタ本体110は、全長に亘って横断面形状が矩形状である。なお図示は省略するが、アンダーランプロテクタ本体110の内部には、上述したレインフォース11が上述した位置で配置されている。また従来のアンダーランプロテクタ構造101は、アンダーランプロテクタ本体110を除いてアンダーランプロテクタ構造1と同様の部材で構成されている。
オフセット衝突時の性能を確認するにあたり、従来のアンダーランプロテクタ構造101については、図6に示すモデルを作成して、アンダーランプロテクタ本体110の車幅方向外端から200mm程度内側に位置する部分を中心として、車体前後方向外側から加圧子P(車幅方向の長さは200mm程度)で荷重を加える場合のシミュレーションを行った。またアンダーランプロテクタ構造1については、図1に示すモデルを作成し、上述したアンダーランプロテクタ構造101と同条件でシミュレーションを行った。その結果を図3、図4に示す。なお図3(a)~(d)は、加圧子Pで荷重を加える際のアンダーランプロテクタ構造101の挙動を模式的に示した図であり、図3(e)~(h)は、加圧子Pで荷重を加える際のアンダーランプロテクタ構造1の挙動を模式的に示した図である。そして図4の破線は、アンダーランプロテクタ本体110を加圧子Pで加圧する際の加圧子Pのストローク量と荷重の大きさとの関係を示した図であり、図4の実線は、アンダーランプロテクタ本体10を加圧子Pで加圧する際の加圧子Pのストローク量と荷重の大きさとの関係を示した図である。なお、図4に示した(a)~(h)は、図3(a)~(h)に対応するものであって、例えば図4の(b)は、図3(b)での加圧子Pのストローク量を示している。
図3(a)に示すように、加圧子Pによってアンダーランプロテクタ本体110における車体前後方向外側の面を垂直に押すと、ステー103には加圧子Pによるモーメントが作用し、図3(a)に示した当初の角度α(ある点P1に対する水平方向からの当初の傾き)から更に角度θ傾くように変形する(図3(b)参照)。またアンダーランプロテクタ本体110は、加圧子Pの荷重Fによって、一例として図3(c)のように変形する。このときアンダーランプロテクタ本体110における上面には、荷重Fの分力として図示した荷重f1が作用し、アンダーランプロテクタ本体110における車体前後方向外側面には、荷重Fの分力として加重f2が作用する。そして加重Fが更に大きくなるに従い、アンダーランプロテクタ本体110は、一例として図3(d)に示すように変形する。
これに対して、加圧子Pによってアンダーランプロテクタ本体10における車体前後方向外側の面を垂直に押すと、ステー3は、図3(e)に示した当初の角度α(ある点P1に対する水平方向からの当初の傾き)から更に角度θ回転するように変形する(図3(f)参照)。なお、図2に示した本実施形態におけるアンダーランプロテクタ本体10の上面の角度φは、角度θに合せて設定されている。従って、図3(f)に示すようにステー3が角度θ傾いた状態において、アンダーランプロテクタ本体10の上面は水平方向を指向する。またアンダーランプロテクタ本体10は、加圧子Pの荷重Fによって、一例として図3(g)のように変形する。このときアンダーランプロテクタ本体10における上面には、荷重Fの分力として図示した荷重f1’が作用し、アンダーランプロテクタ本体10における車体前後方向外側面には、荷重Fの分力として加重f2’が作用する。なお図3(d)に示した荷重f1、f2に対し、図示したように荷重f1’、f2’の大きさは小さくなる。そして加重Fが更に大きくなるに従い、アンダーランプロテクタ本体10は、一例として図3(h)のように変形する。なお、図3(d)に示したアンダーランプロテクタ本体110は大きく変形しているが、図3(h)に示したように、同条件でのアンダーランプロテクタ本体10の変形はこれよりも小さくなっている。
ここで、図4を参照しながらアンダーランプロテクタ構造101とアンダーランプロテクタ構造1における加圧子Pのストローク量と荷重の大きさとの関係について説明する。図4に示すように、加圧子Pにより加圧を開始してから図3(b)、(f)の状態になるまでの間、アンダーランプロテクタ本体110とアンダーランプロテクタ本体10における加圧子Pのストローク量と荷重の大きさは略同一である。しかし、加圧子Pの荷重Fが図3(b)、(f)の状態を超えたあたりから、アンダーランプロテクタ本体110の耐荷重は大きく減少する。すなわち、オフセット衝突におけるアンダーランプロテクタ本体10の静的ピーク荷重は、アンダーランプロテクタ本体110よりも大きくなる。その理由としては、図3(f)に示すように、加圧子Pの加圧によってステー3が角度θ傾くことでアンダーランプロテクタ本体10の上面は水平方向を指向し、加圧子Pによる荷重Fが入力される方向とこの上面の方向とが略同じになるため、荷重Fをこの上面の軸圧潰荷重として受け止められることによると考えられる。また図3(c)、(g)に示したように、加圧子Pから同一の荷重Fを受けた際、アンダーランプロテクタ本体110の上面に作用する分力は荷重f1であるのに対し、アンダーランプロテクタ本体10の上面に作用する分力は、荷重f1よりも小さい荷重f1’となる。すなわち、アンダーランプロテクタ本体10を変形させる力はアンダーランプロテクタ本体110を変形させる力よりも小さくなるため、この点もアンダーランプロテクタ本体110に対してアンダーランプロテクタ本体10の静的ピーク荷重が増大することに貢献していると考えられる。
次に、上述したアンダーランプロテクタ構造1の変形例について図5を参照しながら説明する。図5(b)に示したアンダーランプロテクタ構造1は、上記のアンダーランプロテクタ本体10に替えて、アウター部材22とインナー部材23で構成されるアンダーランプロテクタ本体20を備えている。またアウター部材22は、図5(a)に示すように外側縦板部22a、外側上部横板部22b、及び外側下部横板部22cで構成され、インナー部材23は、内側縦板部23a、内側上部横板部23b、及び内側下部横板部23cで構成されている。
アウター部材22に関し、外側縦板部22aは、上述した領域Aでは図2(b)と同一形状である一方、上述した領域Bでは、図5(a)に示すように上下方向の長さはd’(d’>a)となっていて、領域Cでは、長さaから長さd’に徐々に変化している。そして外側上部横板部22bは、領域Aでは図2(b)の外側上部横板部12bと同様に車体前後方向の外側から内側にかけて略同一高さで延出されていて、領域Bでは、図5(a)に示すように車体前後方向の外側から内側に低くなるように角度φで傾く傾斜面となっていて、領域Cでは、図2(b)に示す形状から図5(a)に示す形状に徐々に変化している。そして外側下部横板部22cは、領域Aでは図2(b)の外側下部横板部12cと同様に車体前後方向の外側から内側にかけて略同一高さで延出されていて、領域Bでは、図5(a)に示すように車体前後方向の外側から内側に高くなるように角度γで傾く傾斜面(第二傾斜面)となっていて、領域Cでは、図2(b)に示す形状から図5(a)に示す形状に徐々に変化している。
そしてインナー部材23に関し、内側上部横板部23bと内側下部横板部23cは、車幅方向の全域に亘って横断面形状は同一である。これに対して内側縦板部23aは、領域Aでは図2(b)に示すように上下方向の長さはcである一方、領域Bでは図5(a)に示すように上下方向の長さはe’(e’>c)となっていて、領域Cでは、図2(b)に示す長さから図5(a)に示す長さに徐々に変化している。
このように本実施形態のアンダーランプロテクタ本体20は、領域Aにおいては横断面形状が矩形状であり、領域Cにおいてその上面と下面の角度が徐々に変化して、領域Bにおいては、その上面が車体前後方向の外側から内側に低くなるように角度φで傾斜し、且つその下面が車体前後方向の外側から内側に高くなるように角度γで傾斜した形状になる。
このようなアンダーランプロテクタ本体20を備えるアンダーランプロテクタ構造1は、図5(b)に示すように、ボンネットの高さが低いスポーツタイプの車両がオフセット衝突した際の潜り込み防止に特に効果的である。すなわち、ボンネットの高さが低い車両がアンダーランプロテクタ本体20の端部にオフセット衝突した場合、ステー3は、図5(b)に示した矢印の向きに回転する。従ってこのようにステー3が変形した場合、アンダーランプロテクタ本体20の下面は水平方向に近づくことになる。すなわち、上述したアンダーランプロテクタ本体10の上面が水平方向を指向した場合と同様の原理により、オフセット衝突時のアンダーランプロテクタ本体20の変形を小さくすることができる。従って、本実施形態のアンダーランプロテクタ本体20によれば、横断面形状が矩形状になる従来のアンダーランプロテクタ本体よりも、ボンネットの高さが低いスポーツタイプの車両とのオフセット衝突時に生じる静的ピーク荷重を高めることができる。なお上述した角度γは、オフセット衝突によって図5(b)に示した矢印の向きにステー3が変形する場合に想定される車体フレーム2に対するステー3の回転角度に合わせておくことが好ましい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
例えば上述した実施形態において、アンダーランプロテクタ本体10における車体前後方向の外側から内側に低くなるように傾く傾斜面は、アンダーランプロテクタ本体10の上面におけるステー3よりも車幅方向外側の少なくとも一部であればよい。すなわち、上述した実施形態では、ブラケット9の車幅方向外側端部に対して領域Aの一部と領域Cが車幅方向外側に位置していたが、ブラケット9の車幅方向外側端部よりも車幅方向外側は領域Bのみでもよい。また領域Bよりも車幅方向外側に、アンダーランプロテクタ本体10の上面が上記のような傾斜面でない領域(例えば横断面形状が矩形状であって、上面が水平方向を指向するもの)が存在してもよい。
また傾斜面の角度φは、上述した角度θ(アンダーランプロテクタ本体10に対してステー3よりも車幅方向外側に荷重が加わった際に想定される車体フレーム2に対するステー3の回転角度)に合せることが最も好ましいが、相違していてもよい。また角度θは、シミュレーションにより算出してもよいし、実機による試験結果から求めてもよい。
1:アンダーランプロテクタ構造
2:車体フレーム
3:ステー
4:アンダーランプロテクタ
10、20:アンダーランプロテクタ本体
12b、22b:外側上部横板部(傾斜面)
22c:外側下部横板部(第二傾斜面)
2:車体フレーム
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10、20:アンダーランプロテクタ本体
12b、22b:外側上部横板部(傾斜面)
22c:外側下部横板部(第二傾斜面)
Claims (4)
- 車体フレームに対して下方に延出されるステーを介してアンダーランプロテクタ本体が取り付けられたアンダーランプロテクタ構造であって、
前記アンダーランプロテクタ本体は、車幅方向に延出されて四角筒状をなしていて、当該アンダーランプロテクタ本体の上面における前記ステーよりも車幅方向外側の少なくとも一部は、車体前後方向の外側から内側に低くなるように傾く傾斜面である、ことを特徴とするアンダーランプロテクタ構造。 - 前記傾斜面は、前記アンダーランプロテクタ本体の上面における車幅方向の両端部に設けられている、請求項1に記載のアンダーランプロテクタ構造。
- 前記傾斜面の水平方向に対する傾斜角度は、前記アンダーランプロテクタ本体に対して前記ステーよりも車幅方向外側に荷重が加わった際に想定される前記車体フレームに対する当該ステーの回転角度に合せて設定されている、請求項1又は2に記載のアンダーランプロテクタ構造。
- 前記アンダーランプロテクタ本体の下面における車幅方向の少なくとも一部は、車体前後方向の外側から内側に高くなるように傾く第二傾斜面である、請求項1~3の何れか一項に記載のアンダーランプロテクタ構造。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
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