JP2023059446A - 複数相磁気結合リアクトル - Google Patents

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Yuki Wada
淳 今岡
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【課題】リアクトルの体格を増大させることなくコアの急激な磁気特性の変化を抑制すること。【解決手段】複数相磁気結合リアクトル12であって、各相電流に対応する複数の第1脚部32と、これらの第1脚部32に接続されて各第1脚部32と共に各相電流に対応する磁路を成す一つの第2脚部34とを有するコア30と、各第1脚部32に巻かれた各相電流が流れる巻線14、16とを備え、各第1脚部32を通る磁束が対向するように前記巻線14、16が前記コア30に巻かれており、前記第1脚部32にはその断面に沿って長さが変化するエアギャップ33、35が設けられており、前記リアクトルの使用時に前記エアギャップ33、35の短い部分から前記第1脚部32が磁気飽和する。【選択図】図14

Description

本技術はDC-DCコンバータなどの電力変換装置に用いることのできる複数相磁気結合リアクトルに関するものである。
直流電源に接続されて電圧を変換するために利用されるDC-DCコンバータは、リアクトルとスイッチを用い、電力を磁束として蓄えたり放出したりすることにより昇圧または降圧を行う。例えば、特開2012-065453号公報には、ハイブリッド車両の電源回路として用いることのできるコンバータが開示されている。この公報のコンバータは、特に、磁気結合リアクトルを用いた二相コンバータである。二相コンバータは二つのコイル(インダクタ)を用い、それぞれのコイルにはスイッチングによって位相のずれた交流成分を含む電流が流れる。また、磁気結合リアクトルはこの二つのコイルを三つの脚部をもつ磁性体コアで磁気的に結合したものである。各コイルは外側脚部に磁束の向きが互いに対向するように巻かれる。すなわち、各コイルによって発生した磁束は共通の中央脚部を同じ向きに通る。
特開2012-065453号公報
上述のようなDC-DCコンバータ用のリアクトルのコイルには直流電流が流れるため、回路中の各種素子の特性のばらつきにより各コイルに流れる平均電流値にアンバランスが生じている場合には、コアに過剰な直流偏磁が生じやすい。この過剰な直流偏磁によってコア材料が磁気飽和に達すると、コア材料のインダクタンスが急激に低下する。これにより巻線に過電流が生じ、コンバータの制御性が悪化するという問題が発生する。
この問題に対処するため、通常の磁気結合リアクトルはコアの外側脚部にある程度の長さのエアギャップを設けるとともに外側脚部の断面積を大きくすることで、磁気特性の変化が小さい領域でコアを使用するようにしている。しかし、このような対策では外側脚部を太くした分だけリアクトルが大型化してしまう。このため、リアクトルの体格を増大させることなくコアの急激な磁気特性の変化を抑制することが望まれる。
本技術のひとつの態様は、複数相磁気結合リアクトルであって、各相電流に対応する複数の第1脚部と、これらの第1脚部に接続されて各第1脚部と共に各相電流に対応する磁路を成す一つの第2脚部とを有するコアと、各第1脚部に巻かれた各相電流が流れる巻線とを備え、各第1脚部を通る磁束が対向するように前記巻線が前記コアに巻かれており、前記第1脚部にはその断面に沿って長さが変化するエアギャップが設けられており、前記リアクトルの使用時に前記エアギャップの短い部分から前記第1脚部が磁気飽和する。このように、断面に沿って長さが変化するエアギャップによって相電流の増加に伴い第1脚部を敢えて徐々に磁気飽和させていくことで、相電流のアンバランスによる磁界の増加が生じてもこれを第1脚部の磁気抵抗の増加で相殺できるため、リップル電流の振幅の急変を抑制できる。
実施形態によっては、前記第1脚部は低磁界側に微分比透磁率が相対的に緩やかに低下する徐変領域を有し高磁界側に微分比透磁率が相対的に急に低下する急変領域を有するコア材料で形成され、前記リアクトルの使用時に前記コア材料の微分比透磁率が前記急変領域に至る。実施形態によっては、前記コア材料がフェライト系材料である。この場合、エアギャップの短い部分から第1脚部が徐々に磁気飽和することによりコア材料の微分比透磁率の急変領域の影響を緩和することができる。したがって、フェライト系材料など微分比透磁率の急変領域を有するコア材料を効果的に使用することが可能となる。
一つの実施形態としての磁気結合リアクトルを備えたDC-DC降圧コンバータの電気回路図である。 コアに生じる磁束とこれを磁気回路で表現した図である。 スイッチングのタイミングに対するコイルの巻線電流とコアの磁束の変化を示すグラフである。 各相のコイルに流れる平均電流のアンバランスにより通常の平均磁束に加えてコアの外周部分に余分に生じた周回する磁束成分を示す図である。 図6の余分な周回する磁束成分のみを示した磁気回路図である。 過剰な直流偏磁によって巻線に生じた過電流を示す図である。 一つの実施形態として外側脚部のエアギャップが外側に向かって拡大するを用いたリアクトルを示す図である。 図7のエアギャップの形状のパラメータを示す図である。 鉄系圧粉材料とフェライトの概略的な磁束密度の変化を示すグラフである。 鉄系圧粉材料とフェライトの概略的な微分比透磁率の変化を示すグラフである。 外側脚部に一様な長さのエアギャップを設けたコアを示すとともに、その外側脚部の磁気抵抗を計算するためのパラメータを説明する図である。 電流アンバランスが生じた場合の図10のコアの外側脚部の磁気特性の変化を示す図である。 エアギャップ長さと断面積を大きくとった場合のコアの外側脚部の磁気特性の変化を示す図である。 電流アンバランスが高まったときの図7のコアの外側脚部の磁気抵抗の増加を実質的なエアギャップ長さの部分的な増加として説明する図である。 電流アンバランスが生じた場合の図7のコアの外側脚部の磁気特性の変化を示す図である。 別の実施形態として外側脚部のエアギャップが内側に向かって拡大するを示す図である。 さらに別の実施形態として外側脚部のエアギャップが中央から両側に向かって拡大するコアを示す図である。 別の実施形態として異なる全体形状を有するコアを示す図である。 さらに別の実施形態として異なる全体形状を有するコアを示す図である。
以下、本技術の各種実施形態について図面を参照しながら説明する。なお以下の実施形態のうち実質的な差異がない部分については類似の符号を付して説明の繰り返しを避ける。
〔コンバータ〕
図1は、一つの実施形態として、リアクトル12を備えたDC-DC降圧コンバータ10の回路図である。以下ではコンバータ10は二相降圧コンバータであるとして説明するが、本願で説明する特徴は、昇圧コンバータ、昇降圧コンバータや、三相以上の多相コンバータなど、同様の構成を有する種々の電力変換装置にも適用できる。コンバータ10は入力側において図示しない直流電源に接続されてスイッチング電源を構成し、入力電圧Viを出力電圧Voに変換する。直流電源は例えば再充電可能な二次電池や大容量のキャパシタとすることができる。コンバータ10の出力側には負荷が接続される。例えばコンバータ10はインバータと組み合わせることにより交流モータのための電源回路として用いることができる。交流モータは例えばハイブリッド自動車や電気自動車などの電動車両に搭載し、車輪を駆動するために用いることができる。
コンバータ10は、リアクトル12の他、スイッチ18、20とダイオード22、24とを含む。各スイッチ18、20は位相が互いに180度ずれるようにオンとオフが周期的に切り替わる。リアクトル12はスイッチ18、20の出力側にそれぞれ直列に接続された二つのコイル14、16を有し、直流電源からの電流はスイッチ18、20によるスイッチングに応じて対応するコイル14、16に流れる。スイッチは例えば電界効果トランジスタ(FET)や絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などのスイッチング素子である。各ダイオード22、24はスイッチ18、20がオフの時に負荷からの電流をコイル14、16に戻せるよう対応するスイッチ18、20とコイル14、16との間に向けて接続される。ダイオード22、24はスイッチ18、20と相補的に動作する別のスイッチ(スイッチング素子)に置き換えることも可能である。
図2に示すように、リアクトル12は中央脚部36と二つの外側脚部32、34をもつコア30を有し、二つのコイル14、16はこのコア30で磁気的に結合される。コイル14、16を磁気結合させて一体化することで、リアクトル12の部品点数が削減できるうえ、コンバータを含む装置を小型化することができる。各コイル14、16の巻線は直流電流が流れたときにコア30の外側脚部32、34に磁束の向きが互いに対向するような巻き方向で巻かれる。コイル14、16と外側脚部32、34とによって構成される二つのインダクタの磁気的特性は同じになるようにする。なお、図示しないが、別の実施形態として3相以上の多相コンバータの場合は、相の数と同じ数の外側脚部を備えたコアを同様にして用いることができる。
〔コイル電流と磁束の変化〕
図3に示すように、スイッチ18、20は、通常、制御装置(図示しない)によって生成されたパルス幅変調(PWM)信号によって制御される。第1相のスイッチ18がオンに切り替わると直流電源からの電流IL1がコイル14の巻線に流れ込む。コイル14と外側脚部32で構成されるインダクタのインダクタンスL1により、コイル14の巻線を流れる電流IL1が増加するにつれてそのエネルギーはコイル14が巻かれた外側脚部32にて磁束Φo1として蓄えられる。スイッチ18がオフになると、コイル14に蓄えられていたエネルギーが負荷側に電流として放出される。第2相についても同様に、インダクタンスL2によってコイル16を流れる電流IL2に応じて他方の外側脚部34に磁束Φo2が誘起される。中央脚部36には二つのコイル14、16によって発生した磁束の両方が通るため、磁束Φcはそれぞれの磁束の2倍に近い値となる。図3には参考として中央脚部36の磁束Φcの半分の値のグラフを重ねて示している。また、中央脚部36の磁束Φcは位相が180度ずれた二つの磁束成分の重ね合わせとなるため、変動の周波数がスイッチ18、20のスイッチング周波数の2倍となる。
コイル14、16の巻線を流れる電流IL1、IL2は、交流(リップル)成分を含んだ波形となる。電流IL1、IL2の平均値は接続される負荷に依存するが、リップルの振幅はコイル14、16のインダクタンスL1、L2が大きいほど小さくなる。負荷側へ供給される出力電圧Voは、PWM信号のデューティ比に応じて電源側からの入力電圧Viよりも小さくなる。
なお、コンバータ10は入力側と出力側にそれぞれ平滑化のためのコンデンサ26、28を有していても良い。図示しないが、各相のコイル14、16に流れる電流IL1、IL2を測定する電流センサや、コンバータ10の入力電圧や出力電圧を検出する電圧センサを設け、その測定値に基づいてスイッチングを制御することもできる。
〔相電流のアンバランスによる直流偏磁〕
図2の下側に示すように、リアクトル12の特性は磁気回路を用いて表現できる。このとき、コイル14、16を流れる電流IL1、IL2は磁気回路における起磁力、コア30のインダクタンス(の逆数)は磁気抵抗Rmc、Rmoに置き換えて考えることができる。ここでは二つのコイルの巻き数Nや二つの外側脚部32、34の磁気抵抗Rmoは同じであるとする。
コイル14、16を流れる電流IL1、IL2はリップル成分を含むものの、時間平均をとれば互いに同じ値であることが理想である。しかし、スイッチ18、20やセンサなど各相に配置される回路素子の特性にばらつきがあると、図4に示すように二つの平均相電流IL1、IL2にアンバランスが生じうる。ここでは第1相のコイル14を流れる平均電流IL1が基準値ILからδILだけ大きく、第2相のコイル16の平均電流IL2が基準値ILからδILだけ小さいとする。図5は均衡状態からの差分のみを表現した磁気回路図であり、二つのコイル14、16に対応する起磁力NIL1、NIL2は向きが互いに逆となる。したがって、コア30には、図4、図5に示すように二つの外側脚部32、34によって形成される外周部分38を通って周回する直流磁束成分δΦが常に存在する。特に、第1相に対応する外側脚部32には正常時の平均直流磁束に同じ向きの直流磁束成分δΦが加わるため、過剰な直流偏磁が生じた状態となる。このような状況において、外側脚部32のコア材料が磁気飽和に至ると急激に磁気抵抗が上昇(インダクタンスが低下)し、外側脚部32はコアとしての性能を失う。したがって、図6に示すように電流IL1に過電流が生じ、回路素子を損傷するなどの問題を生じる可能性がある。
〔長さが一様でないエアギャップ〕
図7に示すように、上述のような現象を考慮して、コア30の外側脚部には、外側脚部の断面に沿って長さlgが変化する(一様でない)エアギャップ33、35を設ける。具体的な実施形態としては、エアギャップ33、35は外側に向かって長さが大きくなるようにすることができる。すなわち、図8に示すように、外側でのエアギャップの長さlg1が内側での長さlg2よりも大きくなるようにする。
〔コア材料〕
ここで、フェライト系材料と鉄系圧粉材料(鉄系ダスト材料)の磁気的特性の違いに触れておく。図9に示すように、鉄系圧粉材料は印加される磁界Hが増加するにつれて磁束密度Bがなだらかに上昇する。これに対し、フェライト系材料は磁界Hが小さいときには磁界の増加に伴って磁束密度Bも急激に増加するが、その後は磁束密度が飽和し、増加が止まる。図10はこれらの特性を図9のグラフの各点での傾きdB/dHに相当する微分比透磁率μrで説明するものである。鉄系圧粉材料の微分比透磁率μrは磁界H(あるいは磁束密度B)の増加につれてなだらかに低下する。これに対し、フェライト系材料の微分比透磁率μrは磁界が小さいときには若干低下しつつも高い値を維持するが、その後磁気飽和に至ると急激に低下する。すなわち、鉄系圧粉材料と比べると、フェライト系材料の微分比透磁率は低磁界側と高磁界側にそれぞれ明瞭な徐変領域と急変領域をもつ特徴的な磁気的特性を有する。
一つの実施形態として、外側脚部は低磁界側に微分比透磁率が相対的に緩やかに低下する徐変領域を有し高磁界側に微分比透磁率が相対的に急に低下する急変領域を有するコア材料で形成する。このような特性を有する材料の具体例は、上述の通り、フェライト系材料である。一つの具体的な実施形態として、コア30に用いるフェライト系材料は単位体積当たりのコア損失が低いMn-Zn系フェライトとすることができる。Mn-Zn系フェライトはコア損失がNi-Zn系フェライトの1/20程度である。あるいは別の実施形態として、第1コア材料は高周波数側で透磁率が下がりにくいNi-Zn系フェライトとすることも可能である。Mn-Zn系フェライトは交番磁界の周波数が上がると比透磁率が急激に落ちるが、Ni-Zn系フェライトは高周波側での比透磁率の下がり方が比較的緩やかである。前述の通り中央脚部36の磁束Φcは変動の周波数がスイッチング周波数の2倍となるため、コア30の少なくとも中央脚部36をNi-Zn系フェライトで形成することで中央脚部36のコアとしての性能低下を抑制することができる。この効果は多相コンバータの相の数が大きい場合ほど大きくなる。
別の実施形態として、コア30には、必要に応じて、鉄系圧粉材料(鉄系ダスト材料)など非フェライト系の材料を用いることも可能である。さらに別の実施形態として、コア30の外側脚部32、34(T字接続部を含む)と中央脚部36を異なるコア材料で形成することも可能である。
〔コアの外側脚部の磁気的特性〕
以下では相電流にアンバランスが生じた場合における様々な構造のコアの特性を比較する。図11に示すように、従来行われているようにコア30Aの外側脚部32A、34Aに一様な長さlgのエアギャップ33A、35Aを入れた場合、一つの外側脚部が形成する磁路の磁気抵抗Rmoは、次のように直列に接続された磁気抵抗の和として表される。
Figure 2023059446000002

式中のlcoreoはエアギャップ33A、35Aを除いた外側脚部32A、34Aのコア材料を通る磁路長(lcoreo1+lcoreo2)、Acoreoは外側脚部32A、34Aの断面積、μrは外側脚部32A、34Aのコア材料の微分比透磁率である。例えばコア30Aが全てフェライト系材料からなる場合、上で述べたフェライト系材料の特徴的な透磁率特性がそのままコアの特性に反映される。このため、図12に示すように、電流アンバランス率(例えばδIL/ILで定義される)が高まると外側脚部32A、34Aの磁気抵抗Rmoが急激に増加する。特に、フェライトが磁気飽和に達すると相電流のリップル成分の振幅も過大になる。これに対し、外側脚部のエアギャップ33A、35Aをより長くし、それに応じて外側脚部32A、34Aの断面積Acoreoも大きくすることも考えられる。この場合、図13に示すように、電流アンバランス率が高まっても磁気飽和が生じにくくなる。これは、図12に示した左端に近い領域(使用可能な領域)だけを使用するような設計に相当する。しかし、外側脚部32A、34Aの断面積の増加によってリアクトルのサイズが大きくなってしまう。
コア30の外側脚部に一様でない長さlgを有するエアギャップ33、35を設けた場合(図7、図8参照)、エアギャップの短い部分を通過する磁路の方が長い部分を通過する磁路よりも磁気抵抗が小さくなる。このため、図14に示すように、相電流により印加される磁界が大きくなると、まずエアギャップの短い部分から磁気飽和が発生する。そして、エアギャップの短い部分(lg2)から長い部分(lg1)に向かって外側脚部が徐々に磁気飽和していく。これは実質的に、磁気飽和が生じた部分において追加のエアギャップ43、45が形成されたことと等価である。外側脚部のコア材料がフェライト系材料である場合など、コア材料の微分比透磁率が高磁界側に急変領域を有する場合、通常はその急変領域の使用は避けられる。しかし、上述のようにコア30の外側脚部に一様でない長さlgを有するエアギャップ33、35を設けることにより磁気飽和を意図的に徐々に発生させることができる。
図15に示すように、上述のように断面に沿って磁気飽和が徐々に拡大することにより、電流アンバランスによって磁界の強さが大きくなるにつれて外側脚部32、34の磁気抵抗Rmoが緩やかに増加する(矢印52)。この磁気抵抗の増加により磁界の増加が相殺されるため、結果的に、磁束密度と相電流のリップル成分の増大が抑制される(矢印50、矢印54)。したがって、コアの磁気的特性が徐々に変化するため、コンバータの制御性が向上する。なお、外側脚部32、34の断面積や長さは、リップル電流の振幅に許容できる増加量(矢印56)に基づいて決定することができる。このように、リップル電流の振幅にある程度の増加を許してもコアの急激な特性の変化にはつながらないため、外側脚部32、34の断面積を大きくする必要がなく、結果的にリアクトルを小型化することができる。
以上のように、本実施形態によれば微分比透磁率の急変領域の影響を緩和することができるため、リアクトルの使用においてはその急変領域を積極的に使用することが可能となる。したがって、コア材料として必要に応じてフェライト系材料を選択できる可能性が拡がる。
中央脚部36には必要に応じてエアギャップ37を設けることができる。
〔ギャップの形状の変形例〕
別の実施形態として、図16に示すように、エアギャップ33C、35Cは外側脚部32C、34Cの内側に向かって長さが大きくなるようにすることもできる。また、図17に示すように、エアギャップ33D、35Dは外側脚部32D、34Dの中央から両側に向かって長さが大きくなるようにすることもできる。
〔コアの形状の変形例〕
別の実施形態として、コアの形状は必要に応じて変形することが可能である。図18に示したコア30Eのように、上記の実施形態における中央脚部36に相当する部分を二つの脚部36Eに分割することにより、各相電流に対応する磁束をそれぞれ二つの磁路に分流させることもできる。またさらに別の実施形態として、図19に示すように、各相電流に対応する巻線14、16をそれぞれ二つのコイルに分割して巻くことも可能である。いずれのコア30E、30Fも、各相電流に対応する二つの第1脚部32E、34E、32F、34F(前述の実施形態の外側脚部32、34に相当)と、これらの第1脚部に接続されて各第1脚部と共に各相電流に対応する磁路を成す少なくとも一つの第2脚部36E、36F(中央脚部36に相当)とを有する。したがって、この第1脚部(第2脚部との接続部を含む)に長さが一様でないエアギャップ33E、35E、33F、35Fを設けることができる。また、当業者であれば3相以上の磁気結合リアクトルにも以上に説明した様々な特徴を適用できることは容易に理解できるであろう。
以上、本技術を具体的な実施形態で説明したが、本技術はこれらの実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば本技術の目的を逸脱することなく様々な置換、改良、変更を施すことが可能である。
10 コンバータ
12 リアクトル
14、16 コイル
18、20 スイッチ
22、24 ダイオード
26、28 コンデンサ
30 コア
32、34 コアの外側脚部
33、35 外側脚部のエアギャップ
36 コアの中央脚部
37 中央脚部のエアギャップ
38 コアの外周部分
43、45 実質的に加わったエアギャップ

Claims (3)

  1. 複数相磁気結合リアクトルであって、
    各相電流に対応する複数の第1脚部と、これらの第1脚部に接続されて各第1脚部と共に各相電流に対応する磁路を成す一つの第2脚部とを有するコアと、
    各第1脚部に巻かれた各相電流が流れる巻線とを備え、各第1脚部を通る磁束が対向するように前記巻線が前記コアに巻かれており、
    前記第1脚部にはその断面に沿って長さが変化するエアギャップが設けられており、
    前記リアクトルの使用時に前記エアギャップの短い部分から前記第1脚部が磁気飽和する、複数相磁気結合リアクトル。
  2. 請求項1の複数相磁気結合リアクトルであって、前記第1脚部は低磁界側に微分比透磁率が相対的に緩やかに低下する徐変領域を有し高磁界側に微分比透磁率が相対的に急に低下する急変領域を有するコア材料で形成され、前記リアクトルの使用時に前記コア材料の微分比透磁率が前記急変領域に至る、複数相磁気結合リアクトル。
  3. 請求項2の複数相磁気結合リアクトルであって、前記コア材料がフェライト系材料である、複数相磁気結合リアクトル。
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