JP2023057374A - デニム製品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水の使用量を低減し、中古デニム製品において摩擦に曝されやすい部位の退色模様を再現し、中古のデニム製品全体の色落ち感を再現したデニム製品の製造方法を提供する。【解決手段】ユーズド加工を施したデニム製品の製造方法であって、デニム製品と、軽石、砥石、及び人工研磨材からなる群より選ばれる1種以上の研磨材と、水を含む液分とを共に撹拌して、デニム製品を全体的に退色させ、かつ特定部分における摩擦による退色を再現する第1工程と、乾燥したデニム製品にレーザービームを照射して、1つ以上の部位の摩擦による退色を再現する第2工程と、デニム製品を湿らせて、湿らせたデニム製品にオゾンガスを接触させてデニム製品を全体的に退色させる第3工程とを含み、第1工程と、第2工程と、第3工程とは、任意の順に実施されるユーズド加工を施したデニム製品の製造方法である。【選択図】図5

Description

本発明は、ユーズド加工を施したデニム製品の製造方法に関する。
デニムパンツ、デニムジャケット、デニムシャツなどのデニム製品は、芯が白色で外側がインジゴ染料で染色された糸を使用した生地で構成されている。デニム製品では、摩擦に曝されやすい部分は、摩擦に曝されにくい部分に比して、脱色されやすい。このため、デニム製品においては、摩擦に曝されやすい部分の白味が強くなり、摩擦に曝されにくい部分はインジゴ染料の色が残りやすくなる。
デニム製品においては、着用と洗濯を繰り返すことによって摩擦に曝されて、濃淡のグラデーションが形成され、デニム製品に特長的な風合いが生まれる。
デニム製品は、使用に伴って上記のように外観が変化する特徴を有している。ユーザーには、使用されていない新品の状態で使用に伴う外観の変化を再現したデニム製品が広く受け入れられている。
以下の特許文献1には、デニム生地にレーザービームを照射する工程と、レーザービームを照射したデニム生地を乾燥条件下でオゾンガスに曝す工程と、オゾンガスに曝したデニム生地に対して水をスプレーする工程と、水をスプレーしたデニム生地をスコッチブライト及び人工石と共に撹拌する工程と、撹拌したデニム生地を乾燥させる工程と、乾燥させたデニム生地をオゾンガスと接触させて乾燥させる工程と、オゾンガスと接触させたデニム生地を軟化させる工程とを、記載した順番に、実施して、デニム生地に中古感を付与する方法が開示されている。
特開2019-81993号公報
特許文献1の方法では、スプレーによりデニム生地を湿らせた状態で、デニム生地とスコッチブライト等を撹拌する。デニム生地とスコッチブライト等とを接触させる際には、デニム生地を湿らせる程度の水しか使用しないので、水の使用量が低減される。しかしながら、特許文献1の方法では、デニム生地とスコッチブライト等とを撹拌する際に、水の使用量を極端に小さくしているため、デニム生地全体の退色が進みにくい。また、水の使用量を極端に小さくしているため、デニム製品を構成する生地の縁部、及びデニム製品を構成する生地の縫合部における脱色や生地の摩耗が進みにくく、それらの部位が十分に退色しにくい。そもそも、特許文献1の方法は、未縫製のデニム生地とスコッチブライト等とを撹拌により接触させる。この方法では、デニム生地そのものを脱色するので、デニム製品を構成する生地の縁部、及びデニム製品を構成する生地の縫合部における退色を再現することができない。
特許文献1の方法では、計2回にわたって、オゾンガスと乾燥したデニム生地と接触させる。この方法では、デニム生地が乾燥しているため、オゾンガスによる作用ではデニム生地をほとんど脱色させることができない。このため、上記のストンウォッシュ工程における脱色不足をオゾンガスによって補うことができない。
このように、特許文献1の方法は、環境を配慮して水の使用量を抑えるという点では優れているが、デニム生地全体の脱色が進みにくい。また、レーザー照射では再現することが難しい退色模様、例えば、デニム製品を構成する生地の端部、又はデニム製品を構成する生地の縫合部における退色を十分に再現することが難しかった。
一方で、デニム製品にユーズド加工を施す方法としては、図6に示したように、研磨剤でヒゲと呼ばれる部分を摩擦したり、シェービングにより着用者の大腿部などに現れる退色模様を再現し、その後、還元剤による脱色と次亜塩素酸ナトリウムによる脱色とを施す方法が存在する。この方法では、実際に着古した中古のデニム製品と同等の風合いを再現することができるが、加工に伴って大量の水が排出されるという問題がある。
本発明は、水の使用量を低減し、中古のデニム製品において局所的に摩擦に曝されやすい部位の退色模様を再現し、中古のデニム製品全体の色落ち感を再現したデニム製品の製造方法を提供することを目的とする。
ユーズド加工を施したデニム製品の製造方法であって、デニム製品と、軽石、砥石、及び人工研磨材からなる群より選ばれる1種以上の研磨材と、水を含む液分とを共に撹拌して、デニム製品を全体的に退色させ、かつデニム製品を構成する生地の縁部、及びデニム製品を構成する生地の縫合部のうち少なくともいずれか一方における摩擦による退色を再現する第1工程と、乾燥したデニム製品にレーザービームを照射して、着用者の大腿部若しくは膝部に現れるヒゲ、着用者の膝裏に現れるヒゲ、前身頃のポケット部の退色部、着用者の膝部から大腿部に現れる広範な退色部、着用者の臀部に現れる広範な退色部、ウエストと後身頃との間に配置されるヨークの退色部、裾部における退色部、着用者の肘部の退色部、着用者の前腕に現れる広範な退色部、着用者の前腕に現われるヒゲ、袖口に現れる退色部、及び着用者の背中に現れる退色部からなる群より選ばれる1つ以上の部位の摩擦による退色を再現する第2工程と、デニム製品を湿らせて、湿らせたデニム製品にオゾンガスを接触させてデニム製品を全体的に退色させる第3工程とを含み、第1工程と、第2工程と、第3工程とは、任意の順に実施されるユーズド加工を施したデニム製品の製造方法により、上記の課題を解決する。
上記の方法では、第1工程において、前記研磨材と水を含む液分とデニム製品とを共に撹拌して、デニム製品を全体的に退色させる。また、第3工程において、オゾンガスを利用してデニム製品を全体的に退色させる。これにより、中古のデニム製品全体の色落ちを再現する。第1工程の研磨材による摩擦と第2工程のレーザー照射とによって、デニム製品が摩擦に曝されやすい部分の退色模様を再現する。第2工程では水を使用せず、また、第3工程ではデニム製品を湿らせる程度の少量の水の使用量とする。これによって、排出される水の量を低減することができる。
上記のデニム製品の製造方法の第1工程において、デニム製品と前記研磨材と液分とを150~300分にわたって撹拌するようにしてもよい。これにより、脱色剤を使用した従来のケミカルウォッシュによる脱色工程を経たデニム製品と同程度の脱色を実現することができる。
上記のデニム製品の製造方法において、着用者の大腿部若しくは膝部に現れるヒゲ、着用者の膝裏に現れるヒゲ、前身頃のポケット部の退色部、着用者の膝部から大腿部に現れる広範な退色部、着用者の臀部に現れる広範な退色部、ウエストと後身頃との間に配置されるヨークの退色部、裾部における退色部、着用者の肘部の退色部、着用者の前腕に現れる広範な退色部、着用者の前腕に現われるヒゲ、袖口に現れる退色部、及び着用者の背中に現れる退色部からなる群より選ばれる1つ以上の部位の退色を再現するに際して、研磨材による部分的な退色と、研磨屑を除去する洗浄工程とを実施しないようにすることが好ましい。これによって、サンドペーパー、サンドブラスト用の砂などの研磨材を使用することによる作業時間を削減し、デニム製品に付着した研磨屑や砂などを洗い流すために必要となる水の使用を避けることが可能になる。
上記のデニム製品の製造方法において、デニム製品を全体的に退色させるに際して、脱色剤による脱色と脱色剤を除去する洗浄工程を実施しないようにしてもよい。脱色剤の使用を省略することによって、水の使用量をより少なくすることができる。
上記のデニム製品の製造方法において、第1工程、又は第2工程は、第3工程よりも先に実施され、第3工程は、第1工程と第2工程とを実施した後に実施されるようにすることが好ましい。このようにすることで、第1工程、又は第2工程で生じるデニム製品を構成する生地の汚染を第3工程で使用するオゾンガスによって除去することができる。
本発明によれば、水の使用量を低減し、中古のデニム製品において局所的に摩擦に曝されやすい部位の退色模様を再現し、中古のデニム製品全体の色落ち感を再現したデニム製品の製造方法を提供することができる。
デニムパンツに関して、第1工程、又は第2工程において退色させる部位を示す正面図である。 デニムパンツに関して、第1工程、又は第2工程において退色させる部位を示す背面図である。 デニムジャケットに関して、第1工程、又は第2工程において退色させる部位を示す正面図である。 デニムジャケットに関して、第1工程、又は第2工程において退色させる部位を示す背面図である。 実施例1に係るデニム製品の製造方法の手順と、作業時間と、使用水量とを示す表である。 比較例1に係るデニム製品の製造方法の手順と、作業時間と、使用水量とを示す表である。
以下、本発明のデニム製品の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本発明は、ユーズド加工を施したデニム製品の製造方法である。当該製造方法は、以下に示す第1工程と、第2工程と、第3工程とを有する。第1工程と、第2工程と、第3工程とは、任意の順に実施すればよく、その実施順は特に限定されない。
上記のデニム製品としては、デニム生地を縫製した物であればよく、例えば、デニム地の衣服が挙げられる。デニム地の衣服としては、デニムパンツ、デニムジャケット、デニムシャツ、デニム地のベスト、デニム地のオーバーオール、デニム地のつなぎ服、又はデニム地のスカートが挙げられる。
第1工程では、デニム製品と、軽石、砥石、及び人工研磨材からなる群より選ばれる1種以上の研磨材と、水を含む液分とを共に撹拌して、デニム製品を全体的に退色させ、図1ないし4に示したように、デニム製品を構成する生地の縁部31、及びデニム製品を構成する生地の縫合部32のうち少なくともいずれか一方における摩擦による退色を再現する。
デニム製品を構成する生地の縁部31には、図1ないし4に示したように、裾の縁部、ポケットの開口部の縁部、フライの縁部、ウエストの縁部、ベルトループ、襟の縁部、襟の開口部の縁部、ポケットの蓋の縁部、前立ての縁部、ウエスト部のサイズを調整するためのアジャスター、プリーツ若しくはタックの端部が含まれる。このように、デニム製品を構成する生地の端部には、生地そのもの又は生地の端部が、突出している部分が含まれる。
デニム製品を構成する生地の縫合部32には、前身頃と後身頃との縫合部、前身頃の端部と後身頃の端部とを内側に折り返して形成される耳と呼ばれる部分、ポケットと身頃との縫合部、左身頃と右身頃との縫合部、ヨークとウエストとの縫合部、ヨークと後身頃との縫合部、袖口と袖との縫合部、身頃と袖との縫合部、ウエストと身頃との縫合部、前側の肩ヨークと前身頃との縫合部、後側の肩ヨークと後身頃との縫合部、前側の肩ヨークと後側の肩ヨークの縫合部が含まれる。このように、デニム製品を構成する生地の縫合部には、デニム製品を構成する各生地の縫合部が含まれる。
第1工程では、撹拌する過程で、研磨剤が、デニム製品を構成する生地の端部、デニム製品を構成する生地の縫合部に接触して、それらの部位が退色し、摩擦によるダメージが付与される。それと共に、研磨剤はデニム製品の全体に接触して、デニム製品全体を退色させる。インジゴ染料は、水を含む液分に流出し、脱色が促進される。
上記のポケットには、コインポケット、前身頃側のポケット、後身頃側のポケットが含まれる。
上記の軽石又は砥石としては、例えば、天然の鉱物を好適に使用することができる。人工研磨材としては、例えば、人工石、又は合成樹脂の繊維で構成されたタワシを使用することができる。人工石としては、例えば、アルミナなどのセラミスクスの塊、又は粘土鉱物の焼成物等を使用することができる。
上記の研磨材とデニム製品とは、水を含む液分と共に、撹拌して、デニム製品と研磨材とをランダムに接触させる。水は、水道水、又は工水などでよい。液分は、水に加工助剤などのその他の成分を添加してたものであってもよいし、水のみでもよい。
第1工程において、撹拌をある程度続けた後に、水を含む液分を入れ替えるようにしてもよい。液分を入れ替える作業は、複数回にわたって行ってもよい。液分を入れ替えることにより、撹拌の過程で砕けたり、破損したりした研磨材を取り除き、また、液分に流出したインジゴ染料を取り除くことができる。液分の汚染を取り除き、第1工程において、意図した通りにデニム製品の脱色を行うことができる。
第1工程の前には、前処理を実施してもよい。前処理としては、例えば、デニム製品の生地にピンを打って、意図的に生地に皺を作るピン打ちの作業が挙げられる。ピン打ちを実施することによって、例えば、図1に示したように、前身頃と後身頃の接合部に現れるヒダ状の退色部33を再現することができる。また、ポケットの開口部を閉じるようにピンを打って、ポケットの内部に研磨材が侵入しにくくなるようにしてもよい。なお、退色部33は、第1工程における研磨材ではなく、第2工程におけるレーザービームの照射により形成してもよい。
第1工程の前に実施する前処理としては、例えば、デニムパンツのウエスト部の開口部を閉じる作業が挙げられる。研磨材がデニムパンツの中に侵入して、デニム生地の内側を傷めることがある。これを防ぐ目的でロックスと呼ばれるバンドでウエスト部の開口を閉じて、デニムパンツ内部へ多数の研磨材が侵入するのを防ぐ。
第1工程の前に実施する前処理としては、湯洗が挙げられる。加熱した水でデニム製品を洗浄することで、デニム製品の糊抜きを行う。
第1工程の後には、後処理を実施してもよい。後処理としては、例えば、デニム製品を界面活性剤を溶解させた水で選択するソーピング、加熱した水若しくは常温の水で洗浄する工程、洗浄したデニム製品を乾燥させる工程等が挙げられる。
第2工程では、デニム製品にレーザービームを照射して、図1ないし図4に示したように、着用者の大腿部若しくは膝部に現れるヒゲ11、着用者の膝裏に現れるヒゲ12、前身頃のポケット部の退色部13、着用者の膝部から大腿部に現れる広範な退色部14、着用者の臀部に現れる広範な退色部15、ウエストと後身頃との間に配置されるヨークの退色部16、裾部における退色部17、着用者の肘部の退色部18、着用者の前腕に現れる広範な退色部19、着用者の前腕に現われるヒゲ20、袖口に現れる退色部21、及び着用者の背中に現れる退色部22からなる群より選ばれる1つ以上の部位の摩擦による退色を再現する。なお、図1ないし図4に示したデニム製品の退色パターンは、あくまで一例であり、これに限定されるものではない。
第2工程では、デニム製品において、局所的な摩擦によって退色しやすい部分を再現する。局所的な退色は、レーザービームをデニム製品の表面に照射してデニム製品の表面を焼くことにより再現することができる。なお、レーザービームによって、デニム製品を構成する生地を焼いて、生地の穴あきや生地の擦り切れなどのダメージを再現してもよい。
第3工程では、デニム製品を湿らせて、湿らせたデニム製品にオゾンガスを接触させてデニム製品を全体的に退色させる。例えば、水に浸漬したデニム製品にオゾンガスを接触させると、インジゴ染料が過度に分解されて、含水率が多い部分が極端に白化したデニム製品となる。デニム製品を湿らせる程度に含水させることで、そのような極端な白化を防いで、デニム製品の全体を自然な中古風の風合いに脱色することができる。第3工程では、デニム製品を湿らせる程度の水しか使用しないため、水の使用量を低減することができる。
第3工程の後には、後処理を実施してもよい。後処理としては、オゾンの中和、界面活性剤による洗浄、加熱した水又は常温の水による洗浄等が挙げられる。
第1工程と第3工程とは、デニム製品を全体的に脱色する点で共通する。第3工程は、摩擦を伴わない点で第1工程とは相違する。第3工程を第1工程に組み合わせて、脱色することでデニム製品の生地に過度のダメージが付加されることを回避することができる。
水を含む液体を霧(ミスト)にして、当該霧をデニム製品に接触させることでデニム製品を適度に湿らせることができる。霧状にするには、例えば、水を含む液体を超音波で霧状にしたり、噴霧ノズルから水を含む液体を霧状にすることで実施することができる。
第3工程におけるデニム製品の含水率は、特に限定されないが、1.0~20.0質量%とすることが好ましい。オゾンガスの濃度は、特に限定されないが、例えば、0.1~30ppmとなるようにすることができる。オゾンガスを接触させる時間は、特に限定されないが、例えば、5~60分間とすることができる。なお、含水率は、以下の式により、求める。ただし、Aは湿らせたデニム製品の質量であり、Bは湿らせる前のデニム製品の質量である。
含水率(%)=(A-B)÷A×100
上記の製造方法において、第3工程は、第1工程と第2工程とを実施した後に実施することが好ましい。第1工程では、研磨剤と水を含む液分とをデニム製品とを撹拌する過程で、インジゴ染料がデニム製品を構成する生地の裏に付着し、デニム製品を汚染することがある。また、第2工程において、デニム製品にレーザービームを照射する過程で、デニム製品の表面に焦げが付着し、デニム製品を汚染することがある。第1工程と第2工程の後に第3工程を実施することで、オゾンガスによりデニム製品を脱色すると共に、デニム生地から汚染を取り除くことができる。なお、第1工程と第2工程はいずれを先に実施してもよい。
上記の製造方法において、第1工程においては、デニム製品と前記研磨材と液分とを150~300分にわたって撹拌するようにすることが好ましい。これにより、脱色剤を使用した従来のケミカルウォッシュによる脱色工程を経たデニム製品と同程度の脱色を実現することができる。また、上記のように、研磨剤による摩擦の強度を高めることにより、別途、ダメージ加工を行わなくても、裾の縁部、ポケットの縁部、ウエストの縁部、ベルトループ、ポケットと身頃生地の縫合部などのデニム製品を構成する生地の端部と同生地の縫合部における摩擦によるダメージを十分に再現することができる。
上記の製造方法において部分的な脱色を再現する目的で、研磨材による部分的な退色と、研磨屑を除去する洗浄工程を実施しないようにすることが好ましい。研磨材としては、サンドペーパー、砂、セラミクス製の研磨材、グラインダーなど摩擦力によりデニム製品の表面を削り取るものをいい、特に乾式のものをいう。研磨材による部分的な退色と、研磨屑を除去する洗浄工程を排することによって、作業時間を短縮し、かつ排水の量も低減することができる。
上記の製造方法において全体的な脱色を目的で、脱色剤による脱色と脱色剤を除去する洗浄工程を実施しないようにすることが好ましい。脱色剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、又はブドウ糖などの還元剤が挙げられる。
以下、本発明のデニム製品の製造方法の好適な実施形態について説明する。以下に示す実施例は、限られた例に過ぎず、本発明の技術的範囲は例示した実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下に示す第1工程から第3工程を経て、デニムパンツ100本にユーズド加工を施した。なお、各工程に要した作業時間と、水の使用量(排水量)とを、図5にまとめた。
第1工程の前処理として、デニムパンツの前身頃と後身頃との縫合部の生地にヒダを作ってピンを打った。また、ポケットの内部に研磨材が侵入してポケットの内袋が損傷するのを防ぐ目的で、ポケットの縁にピンを打ち、ポケットの開口部を閉じた。ピン打ちは1本のデニムパンツについて8か所とした。
次いで、ピン打ちを終えたデニムパンツ100本に、手作業でロックスを取り付ける作業を実施した。ロックスを取り付けたデニムパンツを60℃に加熱した水720リットルで5分間にわたって撹拌しながら洗浄した。
第1工程として、湯洗したデニムパンツ100本と、500Lの水と、天然の軽石とをドラム型のウォッシャーに投入して、30分間にわたって撹拌した。水を全量廃水して、500Lの新しい水をウォッシャー内に流入させて、2回目の撹拌を行った。以下同様にして、計6回の撹拌を行った。6回目の撹拌後に500Lの水を全量排水して、ウォッシャー内からデニムパンツ100本を取り出した。
取り出したデニムパンツ100本を、界面活性剤を投入した水960Lに投入し、10分間撹拌した。撹拌後、水を全量排水して、60℃の水720Lを流入させて5分間にわたって撹拌しながら湯洗を行った。湯洗の水を全量廃水して、720Lの水で3分間にわたって撹拌しながら洗浄し排水する工程を2回実施した。水洗後の水を全量廃水して、デニムパンツ100本を乾燥機で乾燥させた。
第2工程として、乾燥したデニムパンツ100本を、レーザー加工機に順次セットして、予め入力しておいたパターンにしたがって、レーザービームをデニムパンツに順次照射した。レーザービームの照射により、着用者の大腿部及び膝部に現れるヒゲ、着用者の膝裏に現れるヒゲ、前身頃のポケット部の退色部、着用者の膝部から大腿部に現れる広範な退色部、着用者の臀部に現れる広範な退色部、ウエストと後身頃との間に配置されるヨークの退色部、並びにズボンの裾部における退色部を再現した。
次に、第3工程を以下のように実施した。まず、レーザービームを照射したデニムパンツ100本を回転式のチャンバーに投入した。デニムパンツを密閉可能なチャンバー内で撹拌しながら、チャンバー内に常温で霧状の水を供給して、デニムパンツの含水率が7%になるようにした。
デニムパンツの含水率が7%になる量の霧状の水を供給が完了した時点で水の供給を停止した。次いで、前記チャンバー内にオゾンガスを供給した。チャンバー内でデニムパンツを常温で撹拌しながら、チャンバー内にオゾンガスを25分間供給し、チャンバー内のオゾンガスの濃度が10ppmに維持されるようにした。25分間のオゾン処理を終えたのち、チャンバー内のオゾンを排出し、チャンバー内にチオ硫酸ナトリウム水溶液を供給して、50℃にて10分間撹拌してデニムパンツを中和した。
中和した後、チャンバー内に70℃の界面活性剤を溶解させた水960Lを供給して、デニムパンツを撹拌しながら洗浄するソーピングを10分間行った。その後、チャンバー内に60℃の水720Lを供給しデニムパンツを撹拌しながら5分間洗浄した。次いで、チャンバー内に常温の水720Lを供給しデニムパンツを撹拌しながら5分間洗浄した。洗浄したデニムパンツを温風で乾燥して、全工程を終了した。
[比較例1]
図6に示す第1工程から第4工程を経て、デニムパンツ100本にユーズド加工を施した。なお、各工程に要した作業時間と、水の使用量(排水量)とを、図6にまとめた。
第1工程では、デニムパンツ100本の表面に手作業で脱色模様を再現した。比較例1の方法では、着用者の大腿部及び膝部に現れるヒゲ、着用者の膝裏に現れるヒゲ、前身頃のポケット部の退色部、着用者の膝部から大腿部に現れる広範な退色部、着用者の臀部に現れる広範な退色部、ウエストと後身頃との間に配置されるヨークの退色部、並びにズボンの裾部における退色部を再現した。
第1工程では、セラミクスの研磨材を固定したブラシでデニムパンツの表面を削り、広範な退色部を再現した。ヒゲと呼ばれる細かい筋状の退色部は、サンドペーパーを利用して再現した。その後、上記の実施例1の第1工程の湯洗と同様の条件でデニムパンツを洗った。
第2工程では、湯洗したデニムパンツ100本を、上記の実施例1の第1工程のストンウォッシュと同様の条件でデニムパンツを撹拌した。ただし、撹拌の回数は2回にした。その後、ウォッシャー内からデニムパンツ100本を取り出して、720Lの水で3分間にわたって洗浄した。
第3工程では、還元脱色液960Lにデニムパンツ100本を投入して、90℃で撹拌しながら20分間還元脱色を行った。還元脱色液は、水酸化ナトリウム、Dグルコース、及び界面活性剤を含有する。20分経過後に2880Lの水を還元脱色液に加えて、水で希釈された還元脱色液を排出するブロー排水を実施した。その後、デニムパンツ100本を、60℃の水720Lで5分間にわたって撹拌しながら湯洗を行い、水を排水し、次いで水720Lで3分間にわたって撹拌しながら水洗を行った。
上記の水洗を行ったデニムパンツ100本を次亜塩素酸ナトリウムを含有する脱色液1200Lに浸漬し、撹拌しながら30分間にわたって脱色を行った。その後、水720Lで3分間にわたって撹拌しながら水洗を行った。水洗したデニムパンツを50℃のチオ硫酸ナトリウム水溶液960Lに入れて、撹拌しながら10分間にわたって中和を行った。
中和を行ったデニムパンツを実施例1の第3工程の後処理と同様の方法により、ソーピング、湯洗、水洗、乾燥を行った。
乾燥したデニムパンツ100本について、手作業で順次ダメージ加工を施した。ダメージ加工は、グラインダーを利用して、デニムパンツの裾の縁、ウエストの縁、ポケットの縁などのデニム製品を構成する生地の端部に摩擦によるダメージを付与した。ダメージ加工週後にデニムパンツを水720Lで撹拌しながら洗浄する工程を2回実施し、その後デニムパンツを乾燥させて、全工程を終了した。
[評価]
上記実施例1の方法では、デニムパンツ100本の加工に要した時間は、1234分であり、デニムパンツ100本の加工に要した水量(排水量)は、10200Lであった。一方、上記比較例1の方法では、デニムパンツ100本の加工に要した時間は、1878分であり、デニムパンツ100本の加工に要した水量(排水量)は、14440Lであった。実施例1の方法では、デニムパンツ1本の加工に要する時間が短縮され、低コストにデニムパンツを製造することができた。また、実施例1の方法では、デニムパンツ1本の加工に要する水量が低減され、デニムパンツの製造が生じさせる環境負荷を低減させることができた。
実施例1の方法で製造したデニムパンツでは、比較例1の手作業によるダメージ加工を省略したにもかかわらず、デニムパンツの裾の縁、ウエストの縁、ポケットの縁などのデニム製品を構成する生地の端部に、中古のデニムパンツと同様のダメージが付与されていた。
実施例1の方法で製造したデニムパンツは、脱色剤の使用を省略したにもかかわらず、全体的な色が2種類の薬剤を使用した比較例1と同程度に脱色されており、中古のデニムパンツと同様の風合いとなっていた。
実施例1の方法で製造したデニムパンツでは、着用者の大腿部及び膝部に現れるヒゲ、着用者の膝裏に現れるヒゲ、前身頃のポケット部の退色部、着用者の膝部から大腿部に現れる広範な退色部、着用者の臀部に現れる広範な退色部、ウエストと後身頃との間に配置されるヨークの退色部、並びにズボンの裾部における退色部など、中古デニム製品において摩擦に曝されやすい部位の退色が再現されていた。実施例1の方法で製造したデニムパンツは、中古のデニムパンツと同様の外観であった。
デニムパンツ以外のデニム製品、例えば、デニムジャケットについても、上記の実施例1と同様の方法により、同様のユーズド加工を行うことができた。
11 着用者の大腿部若しくは膝部に現れるヒゲ
12 着用者の膝裏に現れるヒゲ
14 着用者の膝部から大腿部に現れる広範な退色部
13 前身頃のポケット部の退色部
15 着用者の臀部に現れる広範な退色部
16 ウエストと後身頃との間に配置されるヨークの退色部
17 裾部における退色部
18 着用者の肘部の退色部
19 着用者の前腕に現れる広範な退色部
20 着用者の前腕に現われるヒゲ
21 袖口に現れる退色部
22 着用者の背中に現れる退色部
31 デニム製品を構成する生地の縁部
32 デニム製品を構成する生地の縫合部

Claims (5)

  1. ユーズド加工を施したデニム製品の製造方法であって、
    デニム製品と、軽石、砥石、及び人工研磨材からなる群より選ばれる1種以上の研磨材と、水を含む液分とを共に撹拌して、デニム製品を全体的に退色させ、かつデニム製品を構成する生地の縁部、及びデニム製品を構成する生地の縫合部のうち少なくともいずれか一方における摩擦による退色を再現する第1工程と、
    乾燥したデニム製品にレーザービームを照射して、着用者の大腿部若しくは膝部に現れるヒゲ、着用者の膝裏に現れるヒゲ、前身頃のポケット部の退色部、着用者の膝部から大腿部に現れる広範な退色部、着用者の臀部に現れる広範な退色部、ウエストと後身頃との間に配置されるヨークの退色部、裾部における退色部、着用者の肘部の退色部、着用者の前腕に現れる広範な退色部、着用者の前腕に現われるヒゲ、袖口に現れる退色部、及び着用者の背中に現れる退色部からなる群より選ばれる1つ以上の部位の摩擦による退色を再現する第2工程と、
    デニム製品を湿らせて、湿らせたデニム製品にオゾンガスを接触させてデニム製品を全体的に退色させる第3工程とを含み、
    第1工程と、第2工程と、第3工程とは、任意の順に実施されるユーズド加工を施したデニム製品の製造方法。
  2. 第1工程において、デニム製品と前記研磨材と液分とを150~300分にわたって撹拌する請求項1に記載のデニム製品の製造方法。
  3. 着用者の大腿部若しくは膝部に現れるヒゲ、着用者の膝裏に現れるヒゲ、前身頃のポケット部の退色部、着用者の膝部から大腿部に現れる広範な退色部、着用者の臀部に現れる広範な退色部、ウエストと後身頃との間に配置されるヨークの退色部、裾部における退色部、着用者の肘部の退色部、着用者の前腕に現れる広範な退色部、着用者の前腕に現われるヒゲ、袖口に現れる退色部、及び着用者の背中に現れる退色部からなる群より選ばれる1つ以上の部位の摩擦による退色を再現するに際して、
    研磨材による部分的な退色と、研磨屑を除去する洗浄工程とを実施しない請求項1又は請求項2に記載のユーズド加工を施したデニム製品の製造方法。
  4. デニム製品を全体的に退色させるに際して、脱色剤による脱色と脱色剤を除去する洗浄工程を実施しない請求項1ないし3のいずれかに記載のユーズド加工を施したデニム製品の製造方法。
  5. 第1工程、又は第2工程は、第3工程よりも先に実施され、
    第3工程は、第1工程と第2工程とを実施した後に実施される請求項1ないし4のいずれかに記載のデニム製品の製造方法
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