JP2023057024A - 情報処理装置、情報処理方法、物品の製造方法、プログラム、記録媒体、システム - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法、物品の製造方法、プログラム、記録媒体、システム Download PDF

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Abstract

【課題】ロボット装置に実行させる動作を容易に設定したり変更し得る情報処理方法、情報処理装置等が求められていた。【解決手段】情報処理部と、ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを備え、前記情報処理部が、前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を取得する、ことを特徴とする情報処理装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、情報処理方法、情報処理装置等に関する。
近年、物品を製造する生産ライン等では、多関節ロボット等の各種ロボット装置が、さまざまな作業工程で広く用いられている。一般に、ロボット装置に作業をさせるには、実行するべき動作を教示してコントローラに動作プログラムを記憶させておき、PLCからコントローラに動作実行指令や動作許可信号を送り、ロボット装置に所定の動作を実行させている。
ところで、生産ライン等では、所定の動作を教示してコントローラに動作プログラムを記憶させた後に、教示済の動作を変更しなければならない事態が数多く発生し得る。例えば、動作中に不測の干渉が発生し得ることが判明したり、生産する物の仕様変更に伴いプロセス条件や工程順を変更する必要が生じたり、等々の事態である。
係る事態が発生した場合には、ロボット装置の動作プログラムを変更する必要がある。例えば、動作における目標位置を変更するだけでも、目標教示点だけでなく途中で通過する中間教示点も新たに設定し直さなければならない。動作を変更する度に、動作プログラムの修正に多大な工数を要するのでは、ロボット装置の運用が制約されかねず、実用性を低下させることとなる。
特許文献1には、複数の架台に搭載されている装置に対してロボットが行う動作を、各架台に設定された基準位置に基づく動作として予めプログラミングして、記憶手段に記憶させることが提案されている。架台に紐づけられた動作タスクごとに個別にプログラムを作成しておけば、どの架台に搭載されている装置に作業を行わせるかに応じて、動作させるプログラムを選択することができる。
特開2006-154924号公報
特許文献1に記載されたように、架台に紐づけられた動作タスクごとに分割したプログラムを作成しておけば、例えば架台の配置を変更して動作タスクの順番を入れ替えたり、架台の配置を変更して動作タスクを繰り返し実行させたりするのは容易である。
しかしながら、動作タスクの順序の入れ替え等ではなく、各架台における各動作タスクの内容そのものを変更しようとする場合には、特許文献1に記載された方法では簡単に対処できるわけではない。例えば、各動作タスクにおける目標教示点とそこに至るまでに通過する中間教示点を新たに設定し直す必要が生じた場合には、従前と同様に煩雑な作業が必要になってしまう。
そこで、ロボット装置に実行させる動作を容易に設定したり変更し得る情報処理方法、情報処理装置等が求められていた。
本発明の第1の態様は、情報処理部と、ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを備え、前記情報処理部が、前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を取得する、ことを特徴とする情報処理装置である。
また、本発明の第2の態様は、情報処理装置が、ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を取得する、ことを特徴とする情報処理方法である。
また、本発明の第3の態様は、ロボット装置と、前記ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップを備えた情報処理装置と、前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報を前記情報処理装置に対して出力するPLCと、を備える、ことを特徴とするシステムである。
また、本発明の第4の態様は、情報処理部と、ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを備え、前記情報処理部が、前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を表示部に表示する、ことを特徴とする情報処理装置である。
また、本発明の第5の態様は、情報処理装置が、ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を表示部に表示する、ことを特徴とする情報処理方法である。
本発明によれば、ロボット装置に実行させる動作を容易に設定したり変更し得る情報処理方法、情報処理装置等を提供することができる。
実施形態に係る情報処理装置を備えた制御システムの構成例を示す模式図。 実施形態に係る制御システムの具体的な構成例を示す図。 ロボット制御装置200の構成を例示するブロック図。 教示点を説明するための例示的な模式図。 実施形態に係る経路情報マップを概念的に説明するための模式図。 実施形態に係る経路情報マップ作成ツールの表示画面に表示される画像の構成と、表示画面の機能を説明するための図。 ポイント情報タブを選択した場合に表示される画面の例。 経路情報タブを選択した場合に表示される画面の例。 グループ設定タブを選択した場合に表示される画面の例。 実施形態に係る情報処理方法(ロボット装置の動作制御方法)を説明するためのフローチャート。 動作経路決定モードの設定を行う際に表示される画面の例。 生成された動作経路の一例を示す図。 原点復帰動作を説明するための図。 任意の教示点から原点教示点に移動が可能か否かに係る情報を、経路情報マップに格納するための情報処理手順の一例を示すフローチャート。 経路情報マップを用いて原点復帰動作を実行する際の情報処理のフローチャート。 実施形態に係る情報処理装置を備えた制御システムの構成例を示す模式図。 実施形態に係る情報処理装置を備えた制御システムの構成例を示す模式図。 実施形態におけるシミュレータの一例を示した図。 実施形態におけるティーチングペンダントの一例を示した図。 コスト情報をロボットシミュレータによって取得するための情報処理手順の一例を示すフローチャート。 コスト情報をロボットシミュレータによって取得するための情報処理手順の一例を示すフローチャート。 経由禁止設定タブを選択した場合に表示される画面の例。 実施形態に係る経路情報マップを概念的に説明するための模式図。 実施形態に係る経路情報マップを概念的に説明するための模式図。 他の実施形態に係る情報処理装置を備えた制御システムの構成例を示す模式図。 複数のロボット装置を制御する実施形態に係る情報処理装置を備えた制御システムの構成例を示す模式図。
図面を参照して、本発明の実施形態である情報処理方法、情報処理装置等について説明する。
尚、以下に示す実施形態は例示であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更して実施をすることができる。
尚、以下の実施形態及び実施例の説明において参照する図面では、特に但し書きがない限り、同一の参照番号を付して示す要素は、同様の機能を有するものとする。
[実施形態1]
(制御システムの構成)
図1は、本実施形態に係る情報処理装置を備えた制御システムの構成を説明するための模式図である。制御システム7は、ロボット装置1を制御するため、PLC2およびコントローラ3を備えている。実施形態の制御システムは、図1に示す例に限られるわけではなく、例えば、一つのPLCが複数のロボット装置を制御する構成であってもよい。
プログラマブル・ロジック・コントローラであるPLC2は、ロボット装置1が次の動作で移動すべき目標位置(目標教示点と呼ぶ場合がある)の情報を、コントローラ3に逐次に出力可能である。
情報処理装置としてのコントローラ3は、PLC2およびロボット装置1と通信可能に接続されており、動作コマンド受付プログラム4、情報処理部としての動作経路算出プログラム5、経路情報マップ6を備えている。
コントローラ3は、PLC2から目標教示点の情報を受取ると、動作経路算出プログラム5(動作経路算出部)を起動させる。コントローラ3の記憶部には、ロボット装置1の現在位置に係る情報(現在教示点と呼ぶ場合がある)が記憶されている。動作経路算出プログラム5は、ロボット装置1を現在教示点から目標教示点に移動させるための動作経路を、経路情報マップ6を用いて決定(取得)する。経路情報マップ6については、後に詳述する。尚、決定される動作経路には、現在教示点から目標教示点に移動するまでに経由する途中の位置(中間教示点と呼ぶ場合がある)が含まれる場合がある。
情報処理部としての動作経路算出プログラム5が動作経路を決定すると、情報処理装置としてのコントローラ3は、動作経路に従ってロボット装置1を移動させるための動作指令を生成する。動作指令は、目標教示点や動作パラメータをルールに従った形式でコマンド化することで、変数として生成される。変数としてコマンドを生成することで、プログラムを変更することなく動作を変更することが可能になる。動作パラメータには、動作の補間方法、速度、加速度、減速度、停止精度などが考えられ、動作パラメータは経路に紐づけて設定することができる。
動作コマンド受付プログラム4は、コマンド化して生成された動作指令を解釈して、ロボット装置1に実行させる。
図2に、制御システム7の具体的な構成例を示す。図1に示したロボット装置1は、その形式や構造が特に限られるわけではないが、例えば図2に示す多関節ロボット100が好適に用いられる。図2に示す制御システム7では、多関節ロボット100はロボット制御装置200と接続され、ロボット制御装置200は教示データ等を送信するティーチングペンダント300と接続されている。ティーチングペンダント300は、ロボット制御装置200に多関節ロボット100の動作を教示する時などに、操作者が用いるデバイスである。ロボット制御装置200には、図1に示すPLC2および情報処理装置としてのコントローラ3が内蔵されている。
多関節ロボット100は、6軸多関節のロボットアーム101と、ロボットアーム101の先端に接続されたエンドエフェクタとしてのロボットハンド102と、ロボットハンド102に作用する力等を検出可能な不図示の力センサと、を備えている。ロボット制御装置200と接続された多関節ロボット100は、例えばワークWを把持して他の部品との組立て作業を行う物品の製造装置として用いられる。
多関節ロボット100のロボットアーム101は、作業台に固定されるベース部103と、変位や力を伝達する複数のリンク121~126と、各リンク121~126を旋回又は回転可能に連結する複数の関節111~116と、を備えている。
ロボットハンド102は、ワークWを把持可能な複数のフィンガと、複数のフィンガを駆動する不図示のアクチュエータと、を備えており、複数のフィンガを駆動することでワークWを把持可能に構成されている。
ロボット制御装置200は、図1に示すPLC2およびコントローラ3を内蔵するが、ロボット制御装置200の構成の一例を図3のブロック図を参照して説明する。ロボット制御装置200は、コンピュータで構成されており、処理部としてのCPU(Central Processing Unit)301を備えている。また、ロボット制御装置200は、記憶部として、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304を備えている。また、ロボット制御装置200は、記録ディスクドライブ305、各種のインタフェース306~309を備えている。
CPU301には、ROM302、RAM303、HDD304、記録ディスクドライブ305、各種のインタフェース306~309が、バス310を介して接続されている。ROM302には、BIOS等の基本プログラムが格納されている。RAM303は、CPU301の演算処理結果等、各種データを一時的に記憶する記憶装置である。
HDD304は、CPU301の演算処理結果や外部から取得した各種データ等を記憶する記憶装置であると共に、CPU301に、後述する演算処理を実行させるためのプログラム330を記録するものである。CPU301は、HDD304に記録(格納)されたプログラム330に基づいてロボット制御方法の各工程を実行する。
記録ディスクドライブ305は、記録ディスク331に記録された各種データやプログラム等を読み出すことができる。
ティーチングペンダント300はインタフェース306に接続されている。CPU301はインタフェース306及びバス310を介してティーチングペンダント300からの教示データの入力を受ける。
サーボ制御部230は、インタフェース309に接続されている。CPU301は、サーボ制御部230、インタフェース309及びバス310を介してサーボモータ201~206の各々から信号を取得する。また、CPU301は、各関節のトルク指令値のデータを所定時間間隔でバス310及びインタフェース309を介してサーボ制御部230に出力する。
インタフェース307には、モニタ321が接続されており、モニタ321には、CPU301の制御の下、各種画像が表示される。インタフェース308は、書き換え可能な不揮発性メモリや外付けHDD等の記憶部である外部記憶装置322が接続可能に構成されている。
なお、本実施形態では、コンピュータ読み取り可能な記録媒体がHDD304であり、HDD304にプログラム330が格納される場合について説明するが、これに限定するものではない。プログラム330は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であれば、いかなる記録媒体に記録されていてもよい。例えば、プログラム330を供給するための記録媒体としては、図3に示すROM302,記録ディスク331、外部記憶装置322等を用いてもよい。具体例を挙げて説明すると、記録媒体として、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、DVD-ROM、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性メモリ、HDD、ROM等を用いることができる。
(経路情報マップ)
情報処理装置としてのコントローラ3が備える経路情報マップ6について説明する。ロボット装置1が取り得る複数の位置姿勢(教示点と呼ぶ場合がある)を予め設定しておき、ロボット装置1の動作を教示する際に教示点の位置情報を援用することができれば、教示作業を能率的に進めることが出来る。
図4は、教示点を説明するための例示的な模式図である。この例では、ロボット装置1のエンドエフェクタであるロボットハンド102が取りえる位置として、P1~P7の7つの教示点が予め設定されているものとする。また、ロボットハンド102の可動範囲内には、ロボットハンド102と干渉し得る3つの物体8が存在するものとする。
ロボット装置の一般的な動作では、ロボットハンドを3次元的に移動させることが多いが、経路情報マップ6の説明を容易にするため、ここではモデルを簡単化して概念的に説明することとする。すなわち、各教示点はXY平面内に設定されており、ロボットハンド102はXY平面内で教示点の間を直線的に移動するものとし、物体8はXY平面内に存在するものとする。また、ロボット装置1のうち、ロボットハンド102以外の部分は、物体8とは干渉しないものとする。
例えば、教示点P2から教示点P3にロボットハンド102を移動させる場合には、教示点P2から教示点P3までのルート上には、ロボットハンド102と干渉し得る物体8は存在していない。したがって、仮にロボットハンド102を教示点P2から教示点P3に移動させるという指令をPLC2から受けた場合には、コントローラ3は教示点P2と教示点P3を直接結ぶルートを動作経路として採用し得る。
一方、教示点P3から教示点P1にロボットハンド102を移動させる場合には、教示点P3と教示点P1を直線で結ぶルート上には、ロボットハンド102と干渉し得る物体8が存在している。したがって、仮にロボットハンド102を教示点P3から教示点P1に移動させるという指令をPLC2から受けた場合には、コントローラ3は教示点P3と教示点P1を直接結ぶルートを動作経路として採用し得ない。
このように、ある教示点から別の教示点に移動させるときに、その2つの教示点を直接結ぶルートを動作経路として採用できる場合と、採用できない場合が存在する。上記説明で用いたモデルは簡単化されており、現実にはロボットハンドは3次元的に移動できるし、ロボットハンド以外の部分(例えばアーム)の干渉等も考慮する必要がある。しかし、任意の2つの教示点を直接結ぶルートを動作経路として採用できる場合と、採用できない場合があることは、以上の説明で容易に理解できるであろう。係る前提に立って、経路情報マップについて説明する。
図5は、経路情報マップを概念的に説明するための模式図である。経路情報マップ6には、任意の2つの教示点について一方から他方にロボットハンド102を移動させようとするときに、当該2つの教示点を直接結ぶルートが動作経路として採用できるか否かに関する情報が含まれている。教示点P1~教示点P7の中から2つの教示点を任意に選び、それらを第1教示点、第2教示点と呼ぶものとする。図5においては、任意に選んだ第1教示点から第2教示点にロボットハンドを移動させる際に、当該2つの教示点を直接結ぶルートを動作経路として採用できるか否かを矢印線9の有無で示している。採用できる場合には、第1教示点から第2教示点に向かう矢印線9が示されている。他方、動作経路として採用できない場合は、当該2つの教示点は矢印線9で結ばれてはいない。
尚、図4のモデルは前述したように単純化されているため、第1教示点から第2教示点に直接移動できる場合には、第2教示点から第1教示点にも直接移動できるため、図5に示される矢印線9は両方向の矢印で示されている。しかし、現実の系においては、例えば第1教示点から第2教示点に向けては直接移動できるが、逆方向は機械の性質上不可である(あるいはユーザが禁止したい)場合もある。そうした場合には、経路情報マップでは第1教示点から第2教示点に向かう方向の矢印線のみが示されることになる。このように、経路情報マップには、教示点間の移動方向に関する情報を含むことが出来る。
また、図4、図5では、説明を単純化するため7つの教示点が設定されたモデルを示したが、現実には、より多数の教示点を扱う場合が多い。もちろん、経路情報マップには、予め設定された多数の教示点の中から任意の2つの教示点を選ぶ全ての組み合わせについて、動作経路として採用できるか否かの情報を含めることが出来る。しかし、ロボット装置に行わせようとする作業の内容や、ロボット装置の特性、あるいは物体の配置関係などにより、教示する動作では現実的に有り得ないような教示点の組み合わせが存在する場合もある。そのような場合には、任意の2つの教示点を選ぶ全ての組み合わせから、現実の教示動作では有り得ないような教示点の組み合わせを除いて、経路情報マップを構成するのが望ましい。経路情報マップを作成する工数や、経路情報マップを記憶させるためのメモリ容量や、経路情報マップを用いて動作経路算出プログラム5が動作経路を決定する際の情報処理量を、節約するためである。
また、図4、図5に示す例では、例えばロボットハンド102の現在位置がP3の時に、次の移動先(目標教示点)がP1であるという指令がPLC2から発せられた場合には、採用し得る動作経路が複数あることが判る。すなわち、P3→P2→P1という動作経路と、P3→P2→P6→P1という動作経路が有り得る。経路情報マップには、動作経路として採用可能な経路それぞれについて、移動に要する時間、移動距離(動作距離)、移動に要するエネルギー、ピーク電流等のコスト情報(評価情報と呼ぶ場合がある)を含めることが出来る。係るコスト情報を経路情報マップに含めておくことにより、動作経路算出プログラム5が動作経路を決定する際に、時間優先か消費エネルギー優先かなどの選定基準に応じて、最適な動作経路を決定することが可能である。尚、ロボット装置の機構や特性に係るモデル情報がコントローラ3に予め記憶されている場合には、情報処理装置が経路情報マップ6を作成する際には、モデル情報を用いて自動的にコスト情報(評価情報)を生成して登録するように構成してもよい。
図5では、経路情報マップの内容を図形形式で示したが、上述した情報をコントローラ3の記憶装置に任意の形式で記憶させることにより、例えばデータベースとして経路情報マップを構成することが出来る。図5に示した図形形式は、例えば操作者が経路情報マップの内容を直感的に理解しやすいように、ユーザインターフェースの表示画面(表示部)に表示したりプリントする際に好適に用いられる。図形形式以外にも、リスト形式、テーブル形式等の様々な形式で経路情報マップを構成、記憶、編集、表示、印刷等することが出来る。
(経路情報マップ作成ツール)
本実施形態の情報処理装置は、経路情報マップを作成、編集するための経路情報マップ作成ツールを備えている。経路情報マップ作成ツールは、ロボット制御装置200にプログラムとして格納されており、ユーザは、例えばティーチングペンダント300を用いて起動や操作を行うことが出来る。もっとも、ティーチングペンダント300以外の入出力手段を用いてユーザが経路情報マップ作成ツールを操作できるように構成してもよい。ロボット制御装置200ではなく外部のコンピュータに経路情報マップ作成ツールを実装しておき、ユーザが外部コンピュータを用いて作成した経路情報マップをロボット制御装置200に格納できる構成としてもよい。
図6~図9に、経路情報マップ作成ツールを動作させる際に、ユーザインターフェースの表示画面に表示される画像の例を示す。尚、画像は、ユーザが経路情報マップの作成、編集、内容の確認等の作業を実施するのに便利でさえあればよいので、必ずしも図示の例に限る必要はなく、表示項目、表示形式、画面構成等を適宜変更することができる。
図6は、経路情報マップ作成ツールの表示画面に表示される画像の構成と、表示画面の機能を説明するための図である。表示画面は、経路情報マップに含まれる教示点や動作経路に関する諸情報を、ユーザが容易に確認したり編集できるように構成されている。
F1は、ユーザが経路情報マップのファイルを作成する、開く、保存する、復元する、等の作業を行う際に、作業対象となるファイルを指定する際に使用するボタンである。
F2は、外部へのファイルの出力や、外部からのファイルの読み込み、例えば、ロボットシミュレータを用いて算出したコスト情報や、外部でユーザにより設定されたコスト情報の読み込み等を行う際に使用するボタンである。
F3は、ユーザが作業を行うために経路情報マップに含まれる情報を表示する際に、画面形式を選択するためのタブである。例えば、ユーザがポイント情報タブを選択した場合には図7に示す画面が選択され、経路情報タブを選択した場合には図8に示す画面が選択され、グループ設定タブを選択した場合には図9に示す画面が選択される。
F4は、入力や編集を行うデータの項目(種類)を表示する項目表示欄である。
F5は、入力や編集を行う対象データを表示するデータ表示欄である。
F6は、データ表示欄F5に表示されたデータ列をスクロールするためのスクロールキーである。尚、データの項目(種類)の数が多く、データ表示欄F5が横に長い場合には、図6に示す縦スクロールキーだけでなく、図8や図9に示すように横スクロールキーを設けてもよい。
F7は、編集する動作経路情報を図面化してマップ表示欄F10に表示させたり、編集されたデータに基づいてマップ表示欄F10の表示図面を更新する際に使用するボタンである。
F8は、編集あるいは図面表示する動作経路の始点となる教示点(開始ポイント)をユーザが入力する入力欄である。
F9は、編集あるいは図面表示する動作経路の終点となる教示点(目標ポイント)をユーザが入力する入力欄である。
F10は、動作経路情報を図面化して表示するマップ表示欄である。
以下に、ユーザが作業時に使用する表示画面を具体的に例示する。
図7は、画面形式を選択するためのタブF3(図6)で、ユーザがポイント情報タブを選択した場合に表示される画面の例である。当該画面で取り扱われる情報は、経路情報マップを図面表示する際に参照される説明用情報であり、実際のロボット装置の制御に直接使用される情報ではない。ポイント番号は、登録される教示点を個別に識別するために付される識別番号である。ポイント名称は、ロボット装置に行わせる作業において、各教示点で行われる作業内容が判りやすいように、教示点に対して付される名称である。グループ番号は、2つの教示点の組み(グループ)を個別に識別するために付される番号である。グループ番号は、当該2つの教示点間を結ぶ経路を個別に識別する経路識別番号であるともいえる。
図7に示すのは、教示点P2から教示点P3には、取り出し作業においてロボットハンドを移動させる経路G1が設定され、教示点P4から教示点P5には、組付け作業においてロボットハンドを移動させる経路G2が設定されている場合の表示画面である。
図8は、画面形式を選択するためのタブF3(図6)で、ユーザが経路情報タブを選択した場合に表示される画面の例である。当該画面で取り扱われるのは、経路情報マップを生成(取得)する際に入力する必要がある情報である。移動元ポイントとは、経路の始点となる教示点の識別番号(ポイント番号)である。移動先ポイントとは、経路の行先となる教示点の識別番号(ポイント番号)である。制御方法とは、移動元ポイントから移動先ポイントまでの経路を移動する際の動作制御方法に係る情報である。制御方法の欄には、CP制御、PTP制御、等の情報が含まれ得る。尚、CP制御とは直線補間制御でロボットを動かす方式のことで、ロボットの各軸が補間し合いながら動作するので、アーム先端が現在座標から目標座標まで最短距離で移動することができる制御方法である。また、PTP制御とは、動作時間が最短となるような制御方式のことである。出発点と終端点の位置と姿勢を重要視する方式であり、移動経路はロボットの姿勢に依存するため、原則として直線動作はできない。
また、経路情報タブ選択時の画面は、上記の情報に加えて、移動する際の速度、加速度、減速度、停止精度、等のように、経路を移動する際の具体的な制御パラメータに係る情報を取り扱うことができるように構成してもよい。
図9は、画面形式を選択するためのタブF3(図6)で、ユーザがグループ設定タブを選択した場合に表示される画面の例である。本画面は、ユーザが2つの教示点の間を結ぶ動作経路を設定、編集したり、動作経路を確認するために表示させる際に用いられる画面である。本画面に示されるグループ番号は、ポイント情報タブの選択画面(図7)におけるグループ番号と同一のものである。グループ名称は、ユーザが当該グループ(動作経路)を容易に識別できるように付される名称で、例えば当該経路が作業動作において担う役割にちなんで名づけられる。表示欄は、当該グループ(動作経路)を、画面右側のマップ表示欄F10に表示させるか否かを設定するためのチェックボックスである。
経路情報マップ作成ツールは、これらの表示画面を切り替えて表示することが可能であり、ユーザは、経路情報マップの作成や編集を簡単に行うことが出来る。例えば、ユーザは、ポイント情報タブを選択して表示させた画面で、各教示点で行われる作業内容が判りやすいような名称を各教示点に付与することができる。また、経路情報タブを選択して表示させた画面では、経路の設定、およびその経路に紐づけて制御方法や動作パラメータを設定したり確認することができる。ポイント情報タブを選択した画面およびグループ設定タブを選択した画面では、ユーザは、経路情報マップを図示化する際に図示に含める補助情報を必要に応じて設定できる。例えば、図示化した際に、教示点にポイント名称を表示するように設定することが出来る。ユーザは、このようにして、経路情報マップの作成、編集、確認、等を行った後に、経路情報マップ作成ツールの出力機能を用いて、コントローラ3に格納できるデータ形式で経路情報マップを出力することができる。
(情報処理方法)
図10は、本実施形態に係る情報処理方法(ロボット装置の動作制御方法)を説明するためのフローチャートである。図10に示した制御手順は、コントローラ3の記憶装置内に、制御プログラムとして格納しておくことができる。
制御(情報処理)が開始されると、ステップS100では、ロボット装置1に所望の動作を実行させるための目標教示点が、PLC2から、コントローラ3に入力される。
ステップS101では、コントローラ3の動作経路算出プログラム5は、現在教示点(ロボット装置1の現在位置)から目標教示点に移動するための動作経路を、経路情報マップ6に含まれる情報を用いて決定する。
現在教示点から目標教示点に移動可能な経路が、経路情報マップ6内に一つだけ存在する場合には、動作経路算出プログラム5は当該経路を動作経路に決定する。
また、現在教示点から目標教示点に移動可能な経路が、経路情報マップ6に複数存在する場合には、動作経路算出プログラム5は、これら複数の経路(候補)を評価して、その中から最適なものを動作経路として決定する。
例えば、動作経路を最短化することが評価の基準であるなら、経路をグラフ化してダイクストラ法やベルマン-フォード法などのアルゴリズムを用いて最短経路問題を解くことで、複数の経路の中から最短となる動作経路を決定(選定)することが出来る。また、評価の基準は、最短化することに限られるわけではない。経路情報マップ6に各経路のコスト情報(移動に要する時間、移動距離、移動に要するエネルギー、ピーク電流、等の各種情報)が登録されている場合には、動作経路算出プログラム5は、コスト情報を用いて様々な評価基準で各経路を評価することが出来る。例えば、動作経路算出プログラム5は、作業動作の際にユーザが重視する性能指標に応じて、評価に用いるパラメータを選定したり、各パラメータにその種類に応じた重みづけをしてからコストの総和を算出して、評価を実施することができる。
ユーザが重視する性能指標に応じて動作経路算出プログラム5が動作経路を自動的に決定できるようにするため、例えば図11に示す表示画面を用いて動作経路決定モード(すなわち評価基準)を予め設定することができる。ユーザは、本画面を用いて、ロボット装置の動作経路を決定する際に重視する性能項目(評価項目)を、予め動作経路算出プログラム5に登録することが出来る。この例では、複数のロボット装置に対して、ユーザが一括して同じ評価項目を設定したり、あるいは個別のロボット装置に対して異なる評価項目を設定することが出来るように、表示画面は構成されている。
例えば、同時並行的にロボット装置Aとロボット装置Bに異なる動作を実行させる際に、ロボット装置Aの動作時間の方がロボット装置Bの動作時間よりも長いのが明らかな場合がある。ユーザは、ロボット装置Aには動作時間の短縮を優先させてシステム全体のスループットを向上させ、ロボット装置Bには電流値の抑制を優先させてエネルギー消費を抑制するように、図11の表示画面を用いて動作経路設定モードを設定することができる。尚、図8において、F8に教示点P1を入力し、F9に教示点P3を入力し、F7を押下することで、上述の最適な動作経路を取得する処理を行い、教示点P1から教示点P3までの最適な動作経路を太字矢印で強調して表示されるようにしてもよい。教示点P1から、教示点P2以外の教示点を経由しても教示点P3に到達できる場合などでは、上記のように最適な動作経路を表示することで、教示点が増えてもユーザに分かりやすく最適な動作経路を表示することができる。尚、本実施形態では、太字矢印としているが、教示点と矢印とを他の教示点や矢印と異なる色で表示しても構わないし、点線や斜線で表示しても構わない。
ステップS101(図10)により決定(生成)された動作経路の一例を、図12に示す。ロボット装置1の現在位置(現在教示点)が教示点P3の時に、目標教示を教示点P7とする動作をPLC2から指示された場合に、動作経路算出プログラム5により、中間の教示点P2、P1を通る「P3→P2→P1→P7」の動作経路が決定されている。ただし、これは一例であり、動作経路決定モードの設定次第では、「P3→P2→→P6→P1→P7」のように別の動作経路が決定される場合もある。
次に、ステップS102(図10)では、コントローラ3は、ステップS101で決定した動作経路に従ってロボット装置1を移動させるための動作指令を生成する。動作指令は、動作の目標教示点の他、動作パラメータをルールに従った形式でコマンド化することで、変数として生成される。変数としてコマンドを生成することにより、プログラム自体を変更することなく動作を変更することが可能になる。動作パラメータとしては、例えば動作の補間方法、速度、加速度、減速度、停止精度などが考えられ、経路に紐づけて動作パラメータを設定することもできる。
ステップS103(図10)では、ステップS102で生成されたコマンド化された動作指令を、動作コマンド受付プログラム4が解釈して、ロボット装置1に実行させる。すなわち、ロボット装置1は、決定された動作経路に沿って目標教示点に移動する。
図10のフローチャートに示した情報処理は、ロボット装置1にユーザが行わせようとする作業が完了するまで、繰返し実行される。その度に、PLC2から指定された目標教示点に移動する動作経路が決定され、ロボット装置1は動作を実行する。
以上説明したように、本実施形態では、ロボット装置が取りえる動作経路に係る情報を経路情報マップとして予め記憶しておき、PLCから目標教示点を指示されると、経路情報マップを参照して動作経路を決定し、動作を実行する。このような構成によれば、目標教示点が指示される度に動作経路を決定するための複雑な演算を行う必要はなく、経路情報マップからロボット装置が取りえる経路を読み込むだけで良いため、動作経路の決定に要する処理時間が抑制できる。このため、動作コマンド受付プログラム4がコマンド化された動作指令を解釈してロボット装置1に実行させている間に、コントローラ3はPLC2から次の目標教示点を受け付けて動作経路算出プログラム5に次の動作経路を決定させることが出来る。このため、本実施形態によれば、ロボット装置の動作制御の処理サイクルを増大させることができる。また、目標教示点を指定するだけでコントローラ3により中間教示点が自動的に生成されるため、ユーザは、ロボット装置に行わせる動作を変更する等の編集作業を容易に行うことができる。
(原点復帰動作における情報処理)
本実施形態に係る情報処理方法は、例えば組立作業等のように予め定められた手順でロボット装置を動作させる場合だけでなく、異常発生時にロボット装置を原点(スタンバイ位置)に復帰させる原点復帰動作などにも適用できる。
例えば、ロボット装置が動作を実行中に、ロボット装置自体には異常がないが、製造システムの管理部から緊急停止命令を受けてロボット装置を停止させる場合がある。
図13に示すのは、教示点P5(移動元教示点)から教示点P4(移動先教示点)に移動する途中で、緊急停止命令を受けてロボット装置が停止した例である。このような場合には、ロボット装置をその位置に停止させたままにしておくのではなく、ユーザが決めた所定の位置(原点教示点と呼ぶ場合がある)に移動させて、システムの再稼働までスタンバイさせるのが一般的である。図13の例では、教示点P6が原点教示点であるとする。
ロボット装置を停止位置から原点教示点に移動させる動作経路が問題となるが、緊急停止が発生する度にユーザが動作経路を判断したり、ロボット装置に動作を教示しなければならないとしたら、不便である。この事例では、予め動作経路として設定された教示点P5から教示点P4に移動する間に緊急停止していることから、停止位置から教示点P5または教示点P4にロボット装置が障害物との干渉なく移動可能であることは判る。しかし、停止位置から原点教示点に移動する最適な動作経路を決定するには、教示点P5から原点教示点(教示点P6)までの経路と、教示点P4から原点教示点(教示点P6)までの経路の両方について適否を検討する必要がある。
このような場合に備えて、本実施形態では、任意の教示点から原点教示点に移動が可能か否かに係る情報を、予め経路情報マップに含めておくことが出来る。
図14は、係る情報を経路情報マップに格納するための情報処理手順の一例を示すフローチャートである。図14に示した制御手順を実行するプログラムは、例えばコントローラ3の記憶部に制御プログラムとして格納しておくことができる。あるいは、ロボット制御装置200ではなく外部のコンピュータに実装しておき、ユーザが外部コンピュータを用いて経路情報マップを作成する構成としてもよい。
まず、ステップS121では、ユーザは、ユーザインターフェースを介してコントローラ3に以下の情報を入力する。すなわち、ロボット装置1のモデルおよび作業空間に存する障害物モデル(まとめて装置モデルと呼ぶ場合がある)、原点教示点、作業時の経路に存在する目標教示点および中間教示点(まとめて作業教示点と呼ぶ場合がある)、作業順序、を入力する。尚、原点教示点および作業教示点は複数入力してもよい。
次に、ステップS122では、コントローラ3は、ステップS121で入力した作業順序に含まれる経路が、障害物モデルと干渉しているかを判定する。干渉している経路がある場合(ステップS122:YES)には、ステップS123に進み、干渉している経路がない場合(ステップS122:NO)には、ステップS124に進む。
ステップS123では、コントローラ3は、ステップS122にて干渉すると判定された全ての経路に対して、干渉する経路を迂回するための中間教示点を作業教示点として追加し、当該作業教示点(中間教示点)を経由するように作業順序を変更する。
その結果、ステップS123を経由してステップS124に移行する場合も、ステップS122からステップS124に直接移行する場合も、ロボット装置に作業を行わせるために登録された動作経路は全て障害物モデルと干渉しないものとなる。
次に、原点復帰動作における動作経路の候補となり得る経路を、経路情報マップに登録する処理を行う。尚、ロボット装置がどの位置で停止するかによって、最寄りの作業教示点から原点教示点に直接移動できるとは限らず、中間教示点を経由しなければならない場合も有り得る。そこで、作業教示点と原点教示点の組み合わせだけでなく、作業教示点どうしの組み合わせについても、当該2つの教示点を結ぶ経路が障害物と干渉しないかを調べ、干渉しない経路を原点復帰動作における動作経路の候補として登録しておく。
ステップS124では、原点教示点および作業教示点(ステップS123で追加した中間教示点を含む)の中から任意の2点を選択し、2点を結ぶ経路が障害物モデルに干渉するか否かを判定する。干渉する場合(ステップS124:YES)には、当該2点を結ぶ経路は、原点復帰動作時の動作経路としては採用できないので、動作経路の候補として登録せずに(ステップS125をスキップして)、ステップS126に進む。
一方、干渉しない場合(ステップS124:NO)には、当該2点を結ぶ経路は、原点復帰動作時の動作経路の候補となり得るので、ステップS125に進み、当該経路を候補として登録する。
次に、ステップS126では、作業教示点と原点教示点を含む全教示点の中から2つの教示点を選ぶ全ての組み合わせに対して干渉有無の評価が完了したかを判定する。まだ評価が完了していない組み合わせが存在する場合(ステップS126:NO)には、ステップS124に戻り、未評価の組み合わせについて処理を実行する。2つの教示点を選ぶ組み合わせの全てに対して、干渉有無の評価が完了した場合(ステップS126:YES)には、ステップS127に進み、各経路についての評価値(コスト情報)を生成して経路情報マップに追加する。
そして、ステップS128で、記憶した全ての経路情報を含む経路情報マップを登録あるいは出力し、情報処理を完了する。尚、場合によっては、ステップS127を省略するように処理のフローを構成してもよい。
本実施形態によれば、コントローラ3に装置モデル、原点教示点、作業教示点、作業順序を入力することで、原点復帰動作にも対応可能な経路情報マップを生成することができる。また、装置構成の変更や、作業教示点の追加などが発生した場合でも、装置モデル、原点教示点、作業教示点、作業順序を修正することで、簡単に経路情報マップの編集を行うことができる。
次に、図15のフローチャートを参照して、上述した経路情報マップを用いて原点復帰動作を実行する際の情報処理について説明する。
例えば、前出の図13の例であれば、教示点P5から教示点P4への移動の途中でロボット装置が緊急停止したとすれば、制御情報においては、ロボット装置の現在位置を表す教示点としては、まだ教示点P5が記憶されている。この状態で、原点復帰動作を行う(原点教示点P6に移動する)ようにPLC2から指示があると、コントローラ3では原点復帰動作のタスクがスタートする。
まずステップS111にて、現在の教示点として記憶している教示点P5を移動元教示点、目標教示点として記憶している教示点P4を移動先教示点として設定する。
次に、ステップS112では、動作経路算出プログラム5は、最初に位置すべき開始教示点に移動元教示点を割り当て、目標教示点に原点教示点を割り当てて、障害物と干渉しない経路が存在するかを経路情報マップ6を参照して求める。図10のステップS101の処理と同様に、開始教示点と目標教示点を直接結ぶ経路だけでなく、中間教示点を経由して開始教示点から目標教示点に至る経路が存在するかも求める。経路が存在する場合には、その経路についてのコストの評価値を求める。複数の経路が抽出された場合には、最もコストの評価値が小さい(コストが低い)経路を選定する。こうして求めた移動元教示点から原点教示点に移動する経路を動作経路Aとし、その評価値を評価値Bとする。
次に、ステップS113では、動作経路算出プログラム5は、開始教示点に移動先教示点を割り当て、目標教示点に原点教示点を割り当てて、障害物と干渉しない経路が存在するかを経路情報マップ6を参照して求める。図10のステップS101の処理と同様に、開始教示点と目標教示点を直接結ぶ経路だけでなく、中間教示点を経由して開始教示点から目標教示点に至る経路が存在するかも求める。経路が存在する場合には、その経路についてのコストの評価値を求める。複数の経路が抽出された場合には、最もコストの評価値が小さい(コストが低い)経路を選定する。こうして求めた移動先教示点から原点教示点に移動する経路を動作経路Cとし、その評価値を評価値Dとする。
次に、ステップS114では、動作経路算出プログラム5は、ステップS112で算出した評価値Bと、ステップS113で算出した評価値Dとを比較し、コストが低い方の経路を原点復帰の動作経路として選択する。すなわち、評価値Bの方が小さい場合(ステップS114:YES)にはステップS115へ進み、評価値Dの方が小さい場合(ステップS114:NO)にはステップS118へ進む。尚、動作経路Aと動作経路Bのうち、動作経路Aしか存在しなかった場合にはステップS115へ進み、動作経路Bしか存在しなかった場合にはステップS118へ進むものとする。
ステップS115に進んだ場合は、まずコントローラ3は、ロボット装置を停止位置から移動元教示点に戻す動作を行う。この時の動作制御には、例えば停止した時に実行していた動作における補間方法と同じ方法を用いればよい。
そして、ステップS116では、コントローラ3は、動作経路Aに沿って移動を行う動作指令Eを作成する。動作指令Eの作成は、図10のステップS102の処理と同様にして行われる。
ステップS117では、動作コマンド受付プログラム4が、ステップS116で生成されたコマンド化された動作指令Eを解釈して、ロボット装置1に実行させる。すなわち、ロボット装置1は移動元教示点から原点教示点に移動する。動作指令Eの実行は、図10のステップS103の処理と同様にして行われる。
また、ステップS114からステップS118に進んだ場合は、まずコントローラ3は、ロボット装置を停止位置から移動先教示点に進める動作を行う。この時の動作制御には、例えば停止した時に実行していた動作における補間方法と同じ方法を用いればよい。
そして、ステップS119では、コントローラ3は、動作経路Cに沿って移動を行う動作指令Fを作成する。動作指令Fの作成は、図10のステップS102の処理と同様にして行われる。
ステップS120では、動作コマンド受付プログラム4が、ステップS119で生成されたコマンド化された動作指令Fを解釈して、ロボット装置1に実行させる。すなわち、ロボット装置1は移動先教示点から原点教示点に移動する。動作指令Fの実行は、図10のステップS103の処理と同様にして行われる。
図13は、停止位置から原点教示点(教示点P6)に原点復帰動作させるのに最も低コストな動作経路が、停止位置→移動先教示点(教示点P4)→教示点P1→原点教示点(教示点P6)という順路であった例を示している。
本実施形態によれば、任意の教示点間について障害物と干渉せずに移動できるか否かの情報を経路情報マップとして備えることで、ロボットが動作途中で停止した場合でも、ユーザに複雑な操作をさせることなく自動的に原点復帰動作を実行することが出来る。
また、コントローラ3は、移動元教示点と移動先教示点のどちらを経由して原点教示点へ移動させるのが適切なのかを、ロボット装置に行わせている作業順序(作業工程の内容)と紐づけて判断するように構成しておくこともできる。例えば、部品の組付け作業を行った後の移動経路の途中でロボット装置が緊急停止した場合には、移動元教示点に戻ろうとすると、ロボット装置が組付け済の部品と干渉してしまう場合がある。このような場合には、組付け作業完了よりも動作順序で川上側の作業教示点を経由させる経路の評価値を高リスクに設定しておけば、自動的に川下側の作業教示点を経由する動作経路が設定されて原点教示点に移動するようにできる。
[実施形態2]
上述の実施形態1では、経路情報マップにコスト情報を含める際、ロボット装置の機構や特性に係るモデル情報がコントローラ3に予め記憶されている場合について説明した。本実施形態では、これらコスト情報を、ロボットシミュレータを用いて取得する場合について説明する。以下では、実施形態1とは異なるハードウェアや制御系の構成の部分について図示し説明する。また、実施形態1と同様の部分については、同様の構成ならびに作用が可能であるものとし、その詳細な説明は省略するものとする。
図16は、本実施形態に係る情報処理装置を備えた制御システムの構成を説明するための模式図である。制御システム7は、ロボット装置1を制御するため、PLC2およびコントローラ3を備えている。またコスト情報を取得するためのシミュレータ20が、ロボット制御装置200に搭載されている、コントローラ3および経路情報マップ作成ツール、と通信可能に接続されている。
実施形態の制御システムは、図16に示す例に限られるわけではなく、例えば、一つのPLCが複数のロボット装置を制御する構成であってもよい。また本実施形態では、コントローラ3とシミュレータ20が接続されている場合を例にとり説明するが、コントローラ3、シミュレータ20、PLC2がバス接続され、相互に通信可能になるように構成しても構わない。また本実施形態では、コントローラ3とシミュレータ20とを合わせて、「情報処理装置」または「情報処理システム」として呼称する場合がある。なお、例えば図17のように、コントローラ3にシミュレータ20の機能を搭載させ、各機能をバス接続させても構わない。
プログラマブル・ロジック・コントローラであるPLC2は、ロボット装置1が次の動作で移動すべき目標位置(目標教示点と呼ぶ場合がある)の情報を、コントローラ3に逐次に出力可能である。コントローラ3は、PLC2およびロボット装置1と通信可能に接続されており、動作コマンド受付プログラム4、情報処理部としての動作経路算出プログラム5、経路情報マップ6を備えている。
シミュレータ20は、経路情報受付プログラム21と、コスト情報取得プログラム22と、シミュレート用ファイル23とを備えている。経路情報受付プログラム21は、コントローラ3および経路情報マップ作成ツールから経路情報マップ6(原点教示点、作業教示点、作業順序、ポイント情報、グループ情報等)を取得可能とするプログラムである。シミュレート用ファイル23はロボット装置1や障害物のCADデータ等、ロボット装置1のモデル情報と、それを仮想的に動作させる仮想空間にかかるファイルである。そしてコスト情報取得プログラム22は、取得された経路情報マップ6と、シミュレート用ファイル23とを用いて、経路情報マップ6においてロボット装置1が動作し得る動作経路の全通りを、仮想空間でシミュレートし、コスト情報を取得する。ここで取得される動作経路は図14で述べたように、所定動作においてロボット装置1と障害物とが干渉しない動作経路である。しかしながら、障害物の干渉問わずコスト情報を必要とする場合は、ロボット装置1と障害物とが干渉する動作経路においてもコスト情報を取得するようにして構わない。
コスト情報としては、移動に要する時間、移動距離(動作距離)、移動に要するエネルギー、ピーク電流等である。そしてコスト情報取得プログラム22は、取得したコスト情報を経路情報マップ6に反映させ、コントローラ3および経路情報マップ作成ツールに送信する。なおシミュレータ20は、経路情報マップ6の経路情報のみを取得し、シミュレート用ファイル23を用いてコスト情報を取得する。そしてコスト情報のみをコントローラ3および経路情報マップ作成ツールに送信し、コントローラ3および経路情報マップ作成ツールでコスト情報を経路情報マップ6に反映させても構わない。
図18は、本実施形態に係るシミュレータ20の説明図である。シミュレータ20は、経路情報受付プログラム21と、コスト情報取得プログラム22と、シミュレート用ファイル23とを備えたシミュレータ本体24を有する。シミュレータ本体24は、ハードウェア的には、CPUを有する。さらに、ROM、RAМ、HDDなどから成る記憶装置を含む。非一時的な記憶装置であるROMには、コンピュータ起動時にCPUによって読み出される基本プログラムが格納されている。RAMは、CPUの演算処理に用いられる一時的な記憶装置である。HDDは、CPUの演算処理結果等、各種データを記憶する非一時的な記憶装置である。本実施形態では、HDDには、アプリケーションソフトウェアとして機能する経路情報受付プログラム21と、コスト情報取得プログラム22と、シミュレート用ファイル23が格納されている。CPUは、このプログラムを実行することにより、仮想環境においてロボット装置1の挙動をシミュレート可能となる。さらにシミュレータ本体24に接続された表示装置の一例であるディスプレイ25と、シミュレータ本体24に接続された入力装置の一例であるキーボード26及びマウス27と、を有する。
なお、本実施形態では、コンピュータによって読み取り可能な非一時的な記録媒体がHDDであり、HDDにアプリケーションソフトウェアとして機能するプログラムが記録されているが、これに限定するものではない。このプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な非一時的な記録媒体であれば、いかなる記録媒体に記録されていてもよい。このプログラムをコンピュータに供給するための記録媒体としては、例えば、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性メモリ等を用いることができる。
そしてディスプレイ25には取得されたコスト情報をデータ表示欄F5に表示すると共にマップ表示欄F10を表示する。経路情報マップ6のいずれかの矢印またはコスト情報のいずれかの行をマウス27により選択すると、対応する経路またはコスト情報が強調されて表示される。図18の例ではP1→P2の経路が選択され、対応する経路情報の矢印が他の矢印より太く表示され、対応するコスト情報がグレースケールで強調表示されている。そしてマップ反映ボタンF11をクリックすると、経路情報マップ6に反映させてコントローラ3および経路情報マップ作成ツールに送信される。なお経路情報コスト情報に関しては、コスト情報の演算終了後、ディスプレイ25に表示せずにコントローラ3および経路情報マップ作成ツールに自動で送信されるようにしても構わない。
本実施形態では、シミュレータ20として一般的に用いられるデスクトップ型のPC(Personal Computer)を用いたがこれに限られない。例えば、図19のようにタブレット型のティーチングペンダント300にシミュレータ20の機能を実装させてコスト情報の取得を行わせても構わない。この場合、端末装置にシミュレータ画像と、コスト情報とを、図19に例示するように表示させても構わない。
図20は本実施形態における制御フローチャートを示している。なお図20における制御フローチャートは、コントローラ3および経路情報作成ツールと、シミュレータ20とが相互に連携、通信されることで実施されるものとする。
まず、ステップS130では、原点教示点、作業教示点、作業順序、ポイント情報、グループ情報等、経路情報マップ6に必要な情報をユーザによって経路情報マップ作成ツールにより入力する。
次に、ステップS131では、コントローラ3および経路情報マップ作成ツールは、ステップS130で入力された情報を、シミュレータ20で読み込み可能な形式でシミュレータ20に出力する。経路情報マップ6の情報を経路情報受付プログラム21およびコスト情報取得プログラム22で解釈できるようにコマンド化して出力する。出力されるデータは、コスト情報が入力されていないという点、以外は経路情報マップ6と同様のデータである。また、コントローラ3および経路情報マップ作成ツールと、シミュレータ20が直接通信できない場合は、データを一旦、別の端末に外部送信し、別の端末を介してシミュレータ20に送信しても構わない。
ステップS132では、シミュレータ20が、経路情報受付プログラム21を実行し、ステップS131で出力された、原点教示点、作業教示点、作業順序、ポイント情報、グループ情報等、経路情報マップ6の情報を読み込み、記憶する。
ステップS133では、シミュレータ20が、コスト情報取得プログラム22を実行し、シミュレーションにより、経路情報マップ6の各経路においてコスト情報を取得する。コスト情報取得プログラム22は、ステップS132で記憶した各経路における動作をシミュレータで実行するためのプログラムである。シミュレート用ファイル23により、ロボット装置1と障害物との干渉が発生し、ロボット装置1が動作し得ない経路以外の経路においてコスト情報を取得する。動作が終了すると、取得した各コスト情報を経路情報マップ6の各経路の情報に紐づけて記憶する。ここで記憶するコスト情報は、シミュレータで取得可能な情報を複数個取得してもよく、上述の通り、移動に要する時間、移動距離、移動に要するエネルギー、ピーク電流等を含めることができる。
ステップS134では、シミュレータ20が、ステップS133で取得したコスト情報を経路情報マップ6に反映し、コスト情報を含んだ経路情報マップ6をコントローラ3および経路情報マップ作成ツールに送信する。またステップS131と同様に、コントローラ3および経路情報マップ作成ツールと、シミュレータ20が直接通信できない場合は、データを別の端末に外部送信し、別の端末を介してコントローラ3および経路情報マップ作成ツールに送信しても構わない。なお、上述のとおり、経路情報マップ6には反映させる、コスト情報のみを出力してもよい。
ステップS135では、コントローラ3および経路情報マップ作成ツールが、ステップS134で出力されたコスト情報を含んだ経路情報マップ6を読み込み、自身が保持している経路情報マップ6を更新して、制御フローを終了する。なお、上述の通り、コスト情報のみを取得し、コントローラ3および経路情報マップ作成ツールが、コスト情報を経路情報マップ6に反映させても構わない。
以上説明したように、本実施形態では、シミュレータ20によって、コスト情報を取得する。このような構成によれば、シミュレータにより容易にコスト情報を取得して、経路情報マップ6に反映することができ、ユーザの負担を軽減することができる。
[変形例]
なお、本実施形態では、経路情報マップ6にコスト情報を含ませたが、これに限られない。例えば、PLC2からの指示に基づき、逐次シミュレータ20によりコスト情報を取得させるようにしてもよい。図21は、本実施形態の変形例における制御フローチャートである。なお図21における制御フローチャートは、PLC2、コントローラ3および経路情報マップ作成ツールと、シミュレータ20とが相互に連携、通信されることで実施されるものとする。
図21に示すように、制御(情報処理)が開始されると、ステップS140では、ロボット装置1に所望の動作を実行させるための目標教示点が、PLC2から、コントローラ3に入力される。
ステップS141では、コントローラ3の動作経路算出プログラム5が、現在教示点(ロボット装置1の現在位置)から目標教示点に移動するための動作経路の候補を、コスト情報を有さない経路情報マップ6を用いて取得する。現在教示点から目標教示点に移動可能な経路が、経路情報マップ6に複数存在する場合には、動作経路算出プログラム5は、これら複数の経路(候補)を取得する。現在教示点から目標教示点に移動可能な経路が、経路情報マップ6内に一つだけ存在する場合には、動作経路算出プログラム5は当該経路を動作経路に決定する。
次にステップS142において、コントローラ3が、候補となる複数の経路をシミュレータ20に送信し、シミュレータ20が各経路におけるコスト情報を、シミュレート用ファイル23を用いて実行して取得し、経路とコスト情報を紐づける。
ステップS143にて、コントローラ3が、シミュレータ20から、経路とコスト情報とを取得し評価を行うことで、ロボット装置1に実行させる経路を選択する。このように、PLC2の指示に対して逐次シミュレータ20を用いてコスト情報を取得させるようにしても構わない。
次に、ステップS144では、コントローラ3は、ステップS143で決定した動作経路に従ってロボット装置1を移動させるための動作指令を生成する。動作指令は、動作の目標教示点の他、動作パラメータをルールに従った形式でコマンド化することで、変数として生成される。変数としてコマンドを生成することにより、プログラム自体を変更することなく動作を変更することが可能になる。動作パラメータとしては、例えば動作の補間方法、速度、加速度、減速度、停止精度などが考えられ、経路に紐づけて動作パラメータを設定することもできる。
ステップS145では、ステップS144で生成されたコマンド化された動作指令を、動作コマンド受付プログラム4が解釈して、ロボット装置1に実行させる。すなわち、ロボット装置1は、決定された動作経路に沿って目標教示点に移動する。以上により、PLC2の指示に対して逐次シミュレータ20を用いてコスト情報を取得させることで、経路情報マップ6にコスト情報を含ませなくても、本発明を実施することができる。
[実施形態3]
次に、第3の実施形態について詳述する。本実施形態は、経路情報マップ作成ツールにおいて、原点復帰動作において、経由してはならない教示点を予め設定しておくことで、経由してはならない教示点を加味しながら原点教示点へ移動する適切な経路を判断するように構成している。以下では、実施形態1とは異なるハードウェアや制御系の構成の部分について図示し説明する。また、実施形態1と同様の部分については、同様の構成ならびに作用が可能であるものとし、その詳細な説明は省略するものとする。
図22は、本実施形態における経由禁止設定タブF12を選択した際の画面の例である。図22に示すように、経由禁止設定タブF12を選択すると、データ表示欄F5において、原点復帰を行う動作においてロボット装置1に経由させたくない教示点を設定するためのチェックボックスが各教示点に表示される。図22の例では、ポイント番号:10、ポイント名称:経由位置、の教示点に対応するチェックボックスにチェックマークが設定されている。このように、原点復帰動作で経由してはならない教示点を、経路情報マップ作成ツールなどのユーザインターフェースで設定できるようにしておくのと好適である。
次に、経由禁止の教示点が設定された状態で経路情報マップ6によりロボット装置1に動作させる経路を判断する方法について詳述する。図23に示すのは、原点復帰動作で経由してはならない教示点として、教示点P10を設定している例である。また図23の例では、ロボット装置1が停止した教示点を停止教示点P3としている。ここで、停止教示点P3から原点の教示点P1に原点復帰動作を行う場合、コスト情報の評価値のみで判断を行うと、停止教示点P3→教示点P2→教示点P10→原点の教示点P1という順路を動作経路と判断してしまう。しかし、本実施形態では、教示点P10を原点復帰動作で経由してはならない教示点に設定している。このため、図24に示すように、教示点P10を経由せずに最小の評価値となる経路、すなわち、教示点P3→教示点P2→教示点P6→原点教示点(教示点P1)という順路を動作経路と判断することができる。上述の判断フローを図10の制御フローにおけるステップS101において実行させることで実施することができる。
以上により、移動元教示点と移動先教示点のどちらを経由して原点教示点へ移動させるのが適切なのかを、ロボット装置1に行わせている作業順序(作業工程の内容)と紐づけて判断ことができる。例えば、部品の組付け作業を行った後の移動経路の途中でロボット装置1が緊急停止した場合には、移動元教示点に戻ろうとすると、ロボット装置が組付け済の部品と干渉してしまう場合がある。このような場合には、部品組み付けを完了させた教示点を経由禁止に設定しておけば、部品の破損の可能性を低減できる移動をロボット装置1に実行させることができる。
以上、本実施形態によれば、原点復帰動作で経由してはならない教示点を予め設定している。これにより組立作業等の通常運転における動作経路と原点復帰における動作経路を変更し、原点復帰動作において部品の破損の可能性を低減できる動作経路を判断することができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は、以上説明した実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で多くの変形が可能である。また、上述の種々の実施形態および変形例を組み合わせて実施しても構わない。
上述の例では、2つの教示点を結ぶ経路について障害物と干渉するか否かを調べ、干渉しない場合にその経路を動作経路の候補として登録し、合わせてその経路の評価値(コスト情報)を記憶して経路情報マップを作成していたが、これ以外の方法でもよい。例えば、まず2つの教示点を結ぶ経路の全てを動作経路の候補として抽出し、障害物と干渉する経路については所定の閾値以上の評価値を紐づけて経路情報マップに記憶する。そして、動作経路を決定する際には、動作経路算出プログラムは、経路情報マップに登録されている全経路の中で、評価値が所定の閾値未満の経路の中で評価値が最小のものを選んで決定するようにしてもよい。
また、情報処理システム(制御システム)を構築する際には、図1に示したように各機能を単一のコントローラ3に集約しなければならないわけではない。例えば、図25に示すシステム構成としてもよい。図25に示す制御システム12では、コントローラ3は動作コマンド受付プログラム4のみを実装して専らロボット装置1に動作を実行させる機能を担当している。他方、経路の管理に係る機能は、経路管理装置10に担当させている。経路管理装置10は、装置モデル11(ロボット装置1のモデルおよび作業空間に存する障害物モデル)を備え、経路情報マップ6を作成、管理する。また、経路管理装置10は、動作経路算出プログラム5を備え、PLC2から指示された目標教示点に移動するための動作経路を、経路情報マップ6に含まれる情報を用いて決定する。
また、図26に示すように、1つの経路管理装置10が、複数のロボット装置1の各々にコントローラ3を配置し、1台の経路管理装置10で統合的に制御するシステム構成としてもよい。各ロボット装置が、全く同一仕様であり、同一の環境で同一の作業を実行する場合には、1つの経路情報マップ6を共用して各ロボットの動作経路を生成してもよいが、そうでない場合には、各ロボット装置に対応させて個別に経路情報マップ6を作成する。
本発明の情報処理方法や情報処理装置を適用してロボット装置に実行させる動作は、典型的には、部品の組立、搬送、加工(切削、研磨、穴あけ、塗装、接着、溶接、等を含む)、洗浄、などを代表例とする物品の製造に係る動作である。しかし、ロボット装置のそれら以外の動作に適用してもよい。
本発明の情報処理方法や情報処理装置は、生産設備の他に、例えば産業用ロボット、サービス用ロボット、コンピュータによる数値制御で動作する加工機械、等の様々な機械や設備の制御に適用することが可能である。例えば、情報処理装置の制御の下に、伸縮、屈伸、上下移動、左右移動もしくは旋回の動作またはこれらの複合動作を自動的に行うことができる機械および設備に適用することが可能である。
上記説明で参照した図面に示された各機能要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のごとく構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散や統合の具体的形態は図示の例に限らず、その全部または一部を、使用状況等に応じて任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
本発明は、実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本明細書の開示は、以下の各項に記載する構成及び方法を含む。
(構成1)
情報処理部と、ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを備え、
前記情報処理部が、前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を取得する、
ことを特徴とする情報処理装置。
(構成2)
前記経路情報マップは、前記教示点間において、前記ロボット装置が動作すべき動作順序に関する情報を含んでいる、
ことを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
(構成3)
前記経路情報マップの前記教示点は予め設定されている、
ことを特徴とする構成1または2に記載の情報処理装置。
(構成4)
前記経路情報マップに含まれる前記経路の情報は、前記ロボット装置が干渉することなく移動可能な教示点間における情報である、
ことを特徴とする構成1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成5)
前記情報処理部が、前記ロボット装置の現在位置に関する情報と、前記目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて前記動作経路を取得する、
ことを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成6)
前記情報処理部が、前記ロボット装置が最初に位置すべき開始教示点の情報と、前記目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて前記動作経路を取得する、
ことを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成7)
前記経路情報マップは、前記経路についての評価情報を含んでいる、
ことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成8)
前記情報処理装置は、ロボットシミュレータを備え、
前記情報処理部が、前記評価情報を、前記ロボットシミュレータを用いて取得する、
ことを特徴とする構成7に記載の情報処理装置。
(構成9)
前記情報処理部が、前記ロボットシミュレータを用いて取得した前記評価情報を表示部に表示する、
ことを特徴とする構成8に記載の情報処理装置。
(構成10)
前記ロボットシミュレータを用いて取得した前記評価情報を前記経路情報マップに反映させる、
ことを特徴とする構成8または9に記載の情報処理装置。
(構成11)
対応する前記経路情報マップの経路と前記評価情報と、を強調して表示する、
ことを特徴とする構成8乃至10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成12)
前記表示部は、PCまたはタブレット型のティーチングペンダントに設けられている、
ことを特徴とする構成9に記載の情報処理装置。
(構成13)
前記評価情報は、前記ロボット装置の前記動作における、動作時間、動作距離、エネルギー、電流値の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする構成7乃至12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成14)
前記動作経路を取得する際の前記評価情報を設定できる、
ことを特徴とする構成7乃至13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成15)
前記複数の教示点の位置情報と、前記ロボット装置のモデルと、前記ロボット装置の作業空間に存する障害物モデルとを用いて、前記情報処理部が前記経路情報マップを取得する、
ことを特徴とする構成1乃至14のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成16)
前記複数の教示点には、前記ロボット装置のスタンバイ位置である原点教示点が含まれており、前記ロボット装置が前記動作経路の途中で停止した場合には、前記ロボット装置の停止位置に関する情報と、前記経路情報マップとを用いて、前記情報処理部が、前記停止位置から前記原点教示点に前記ロボット装置を移動させるための動作経路を取得する、
ことを特徴とする構成1乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成17)
前記複数の教示点には、前記ロボット装置のスタンバイ位置である原点教示点が含まれており、前記ロボット装置が前記動作経路の所定位置で停止した場合に、前記情報処理部が、前記経路情報マップを用いて、前記所定位置から前記原点教示点に前記ロボット装置を移動させる際に、経由禁止とする教示点を前記複数の教示点において設定できる、
ことを特徴とする構成1乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(方法18)
構成1乃至17のいずれか1項に記載の情報処理装置を用いて、物品の製造工程を実行する前記ロボット装置の動作経路を取得して前記ロボットを動作させる、
ことを特徴とする物品の製造方法。
(方法19)
情報処理装置が、ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を取得する、
ことを特徴とする情報処理方法。
(構成20)
方法19に記載の情報処理方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
(構成21)
構成20に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(構成22)
ロボット装置と、
前記ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップを備えた情報処理装置と、
前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報を前記情報処理装置に対して出力するPLCと、を備える、
ことを特徴とするシステム。
(構成23)
情報処理部と、ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを備え、
前記情報処理部が、前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を表示部に表示する、
ことを特徴とする情報処理装置。
(方法24)
情報処理装置が、ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を表示部に表示する、
ことを特徴とする情報処理方法。
1・・・ロボット装置/2・・・PLC/3・・・コントローラ/4・・・動作コマンド受付プログラム/5・・・動作経路算出プログラム/6・・・経路情報マップ/7・・・制御システム/8・・・物体/10・・・経路管理装置/11・・・装置モデル/12・・・制御システム/100・・・多関節ロボット/102・・・ロボットハンド/200・・・ロボット制御装置/300・・・ティーチングペンダント

Claims (24)

  1. 情報処理部と、ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを備え、
    前記情報処理部が、前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を取得する、
    ことを特徴とする情報処理装置。
  2. 前記経路情報マップは、前記教示点間において、前記ロボット装置が動作すべき動作順序に関する情報を含んでいる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記経路情報マップの前記教示点は予め設定されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  4. 前記経路情報マップに含まれる前記経路の情報は、前記ロボット装置が干渉することなく移動可能な教示点間における情報である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  5. 前記情報処理部が、前記ロボット装置の現在位置に関する情報と、前記目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて前記動作経路を取得する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  6. 前記情報処理部が、前記ロボット装置が最初に位置すべき開始教示点の情報と、前記目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて前記動作経路を取得する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  7. 前記経路情報マップは、前記経路についての評価情報を含んでいる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  8. 前記情報処理装置は、ロボットシミュレータを備え、
    前記情報処理部が、前記評価情報を、前記ロボットシミュレータを用いて取得する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
  9. 前記情報処理部が、前記ロボットシミュレータを用いて取得した前記評価情報を表示部に表示する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
  10. 前記ロボットシミュレータを用いて取得した前記評価情報を前記経路情報マップに反映させる、
    ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
  11. 対応する前記経路情報マップの経路と前記評価情報と、を強調して表示する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
  12. 前記表示部は、PCまたはタブレット型のティーチングペンダントに設けられている、
    ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
  13. 前記評価情報は、前記ロボット装置の前記動作における、動作時間、動作距離、エネルギー、電流値の少なくとも1つを含む、
    ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
  14. 前記動作経路を取得する際の前記評価情報を設定できる、
    ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
  15. 前記複数の教示点の位置情報と、前記ロボット装置のモデルと、前記ロボット装置の作業空間に存する障害物モデルとを用いて、前記情報処理部が前記経路情報マップを取得する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  16. 前記複数の教示点には、前記ロボット装置のスタンバイ位置である原点教示点が含まれており、前記ロボット装置が前記動作経路の途中で停止した場合には、前記ロボット装置の停止位置に関する情報と、前記経路情報マップとを用いて、前記情報処理部が、前記停止位置から前記原点教示点に前記ロボット装置を移動させるための動作経路を取得する、
    ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  17. 前記複数の教示点には、前記ロボット装置のスタンバイ位置である原点教示点が含まれており、前記ロボット装置が前記動作経路の所定位置で停止した場合に、前記情報処理部が、前記経路情報マップを用いて、前記所定位置から前記原点教示点に前記ロボット装置を移動させる際に、経由禁止とする教示点を前記複数の教示点において設定できる、
    ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  18. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置を用いて、物品の製造工程を実行する前記ロボット装置の動作経路を取得して前記ロボットを動作させる、
    ことを特徴とする物品の製造方法。
  19. 情報処理装置が、ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を取得する、
    ことを特徴とする情報処理方法。
  20. 請求項19に記載の情報処理方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
  21. 請求項20に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  22. ロボット装置と、
    前記ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップを備えた情報処理装置と、
    前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報を前記情報処理装置に対して出力するPLCと、を備える、
    ことを特徴とするシステム。
  23. 情報処理部と、ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを備え、
    前記情報処理部が、前記ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を表示部に表示する、
    ことを特徴とする情報処理装置。
  24. 情報処理装置が、ロボット装置が移動すべき目標教示点の情報と、前記ロボット装置の動作に関する複数の教示点間における経路に関する情報を含んだ経路情報マップとを用いて、前記目標教示点までの前記ロボット装置の動作経路を表示部に表示する、
    ことを特徴とする情報処理方法。
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