JP2023056347A - 計測装置、計測方法、リソグラフィ装置、および物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マークの位置の計測精度を向上させるために有利な技術を提供する【解決手段】第1マークと第2マークとの相対位置を計測する計測装置は、回折光学素子からの回折光で前記第1マークおよび前記第2マークを照明しながら、前記第1マークからの光と前記第2マークからの光との干渉で生じる第1干渉縞を検出する検出部と、前記第1干渉縞に基づいて前記相対位置を求める処理部と、前記第1マークおよび前記第2マークに対する前記回折光学素子の相対的な回転角度を変更する変更部と、を備え、前記検出部では、前記回折光学素子のパターンの像が前記第2マーク上に形成されることにより生じる第2干渉縞が検出され、前記処理部は、前記変更部により前記回転角度を変更することで前記第1干渉縞の方向と前記第2干渉縞の方向との直交度を補正し、前記直交度を補正した状態において前記検出部で検出された前記第1干渉縞に基づいて前記相対位置を求める。【選択図】図2
Description
本発明は、計測装置、計測方法、リソグラフィ装置、および物品の製造方法に関する。
インプリント技術は、基板上に供給されたインプリント材をモールド(型)で成形し、インプリント材で構成された微細なパターンを基板上に形成する技術である。例えば、インプリント技術の1つとして光硬化法がある。この光硬化法を用いたインプリント技術では、基板上に液状のインプリント材(光硬化性樹脂)を供給し、モールドと基板上のインプリント材とを接触させ、その状態でインプリント材に光を照射して当該インプリント材を硬化させる。そして、硬化したインプリント材からモールドを剥離(分離)することにより、インプリント材の硬化物から成るパターンを基板上に形成することができる。
インプリント技術では、モールドと基板上のインプリント材とを接触させる際に、モールドと基板との正確なアライメント(位置合わせ)が要求される。一般に、インプリント技術では、基板のショット領域ごとに、モールドに設けられたマークと基板に設けられたマークとの相対位置を検出してモールドと基板とのアライメントを行う、いわゆるダイバイダイ方式が用いられうる。特許文献1には、モールドのアライメントマークからの光と基板のアライメントマークからの光とが干渉して形成される干渉縞(モアレ縞)を検出装置によって検出し、その検出結果に基づいてモールドと基板とのアライメントを行うことが記載されている。
特許文献1に記載された検出装置では、回折光学素子を用いることにより、アライメントマークの非計測方向に角度分布を有する光で当該アライメントマークを照明し、計測方向におけるアライメントマークの端部で生じる散乱光を低減することができる。しかしながら、回折光学素子は、モールドおよび基板と共役な位置に配置されるため、回折光学素子のパターンの像がモールドのマークおよび基板のマークの周辺に形成され、モールドと基板とのアライメントに使用する干渉縞とは異なる干渉縞が生成されうる。そして、このように回折光学素子に起因して生成される干渉縞の方向によっては、モールドのマークと基板のマークとの相対位置を精度よく計測することが困難になりうる。
そこで、本発明は、マークの位置の計測精度を向上させるために有利な技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての計測装置は、第1部材に設けられた第1マークと第2部材に設けられた第2マークとの相対位置を計測する計測装置であって、回折光学素子を有し、前記回折光学素子によって生成された回折光で前記第1マークおよび前記第2マークを照明しながら、前記第1マークからの光と前記第2マークからの光との干渉により生じる第1干渉縞を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記第1干渉縞に基づいて前記相対位置を求める処理部と、前記第1マークおよび前記第2マークに対する前記回折光学素子の相対的な回転角度を変更する変更部と、を備え、前記検出部では、前記回折光学素子のパターンの像が前記第2マーク上に形成されることにより生じる第2干渉縞が、前記第1干渉縞に重なり合うように検出され、前記処理部は、前記変更部により前記回転角度を変更することで前記第1干渉縞の方向と前記第2干渉縞の方向との直交度を補正し、前記直交度を補正した状態において前記検出部で検出された前記第1干渉縞に基づいて前記相対位置を求める、ことを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、マークの位置の計測精度を向上させるために有利な技術を提供することができる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
以下の実施形態では、本発明に係る計測装置を、モールド(原版)を用いて基板上にインプリント材のパターンを形成するインプリント装置に適用する例を説明するが、それに限られるものではない。例えば、基板を露光してマスク(原版)のパターンを基板上に転写する露光装置や、荷電粒子線を基板に照射して基板上にパターンを形成する描画装置などの他のリソグラフィ装置においても、本発明に係る計測装置を適用することができる。
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態について説明する。インプリント装置は、基板上に供給されたインプリント材と型とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギを与えることにより、型の凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを形成する装置である。例えば、インプリント装置は、基板上に液状のインプリント材を複数の液滴として供給し、凹凸のパターンが形成されたモールドを基板上のインプリント材に接触させた状態で当該インプリント材に光を照射することにより当該インプリント材を硬化させる。そして、モールドと基板との間隔を広げて、硬化したインプリント材からモールドを分離(剥離)することで、基板上のインプリント材にモールドのパターンを転写することができる。このような一連の処理は「インプリント処理」と呼ばれ、基板における複数のショット領域の各々について行われる。
本発明に係る第1実施形態について説明する。インプリント装置は、基板上に供給されたインプリント材と型とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギを与えることにより、型の凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを形成する装置である。例えば、インプリント装置は、基板上に液状のインプリント材を複数の液滴として供給し、凹凸のパターンが形成されたモールドを基板上のインプリント材に接触させた状態で当該インプリント材に光を照射することにより当該インプリント材を硬化させる。そして、モールドと基板との間隔を広げて、硬化したインプリント材からモールドを分離(剥離)することで、基板上のインプリント材にモールドのパターンを転写することができる。このような一連の処理は「インプリント処理」と呼ばれ、基板における複数のショット領域の各々について行われる。
インプリント材には、硬化用のエネルギが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギとしては、電磁波、熱等が用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光である。
硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物である。このうち、光により硬化する光硬化性組成物は、重合成化合物と光重合開始材とを少なくとも含有し、必要に応じて非重合成化合物または溶剤を含有してもよい。非重合成化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマ成分などの群から選択される少なくとも一種である。
インプリント材は、スピンコータやスリットコータにより基板上に膜状に付与される。あるいは、液体噴射ヘッドにより、液滴状、あるいは複数の液滴が繋がってできた島状または膜状となって基板上に付与されてもよい。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
[インプリント装置の構成]
図1は、本実施形態のインプリント装置100の構成例を示す概略図である。ここでは、インプリント装置100として、UV光(紫外線)の照射によってインプリント材(樹脂)を硬化させるUV光硬化型のインプリント装置を例示して説明する。ただし、インプリント装置100は、他の波長域の光の照射によってインプリント材を硬化させる構成、あるいは、熱などの他のエネルギによってインプリント材を硬化させる構成であってもよい。
図1は、本実施形態のインプリント装置100の構成例を示す概略図である。ここでは、インプリント装置100として、UV光(紫外線)の照射によってインプリント材(樹脂)を硬化させるUV光硬化型のインプリント装置を例示して説明する。ただし、インプリント装置100は、他の波長域の光の照射によってインプリント材を硬化させる構成、あるいは、熱などの他のエネルギによってインプリント材を硬化させる構成であってもよい。
インプリント装置100は、例えば、硬化部10と、モールド保持部20と、モールド補正部30と、基板保持部40と、供給部50と、観察部60と、計測部70と、制御部80とを含みうる。制御部80は、例えばCPU等のプロセッサやメモリ等を有するコンピュータによって構成され、インプリント装置100の各部を制御することによりインプリント処理を制御する。また、インプリント装置100は、モールド保持部20を支持するためのブリッジ定盤BSや、基板保持部40を移動可能に支持するためのベース定盤(不図示)なども有する。なお、図1では、基板Wの表面に平行な面内において互いに異なる2つの方向(例えば、互いに直交する2つの方向)をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に垂直な方向をZ軸方向としている。「X軸方向」とは、+X方向よび-X方向を含むものとして定義されうる。「Y軸方向」および「Z軸方向」についても同様である。
モールドMは、例えば、デバイスの回路パターン等の凹凸パターンが3次元状に形成された型であり、紫外線を透過させることが可能な石英などの材質を用いて作製される。また、基板Wとしては、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂等が用いられ、必要に応じて、その表面に基板とは別の材料からなる部材が形成されていてもよい。基板Wとしては、具体的に、シリコンウェハ、化合物半導体ウェハ、石英ガラスなどである。また、インプリント材の供給前に、必要に応じて、インプリント材と基板との密着性を向上させるために密着層を設けてもよい。
硬化部10は、モールドMを介して基板上のインプリント材R(樹脂、レジスト)に光(例えば紫外光)を照射することにより、当該インプリント材Rを硬化させる。本実施形態において、インプリント材Rは、紫外光の照射によって硬化する性質を有する紫外光硬化樹脂である。硬化部10は、例えば、光源部11と、光学系12とを含む。光源部11は、例えば、インプリント材Rを硬化させるための硬化光(例えば、i線、g線)を発する水銀ランプなどの光源と、該光源から発せられた硬化光を集光する楕円鏡とを含みうる。光学系12は、光源部11から射出された硬化光が基板Wのショット領域上のインプリント材Rに照射されるように、該硬化光を整形するためのレンズ、アパーチャなどを含みうる。アパーチャは、インプリント処理の対象となる基板Wのショット領域(対象ショット領域)に硬化光を照射するための画角制御や、硬化光が基板Wのショット領域の外側に照射されることを制限するための外周遮光制御などに使用されうる。光学系12は、モールドMを均一に照明するためのオプティカルインテグレータを含んでもよい。光学系12から射出された光は、ハーフミラーHMで反射され、モールドMを介して基板上のインプリント材Rに入射する。
モールド保持部20は、インプリントヘッドとも呼ばれ、例えば、真空圧などの保持力を発生してモールドMを保持するモールドチャック21と、モールドチャック21を駆動することによってモールドMを駆動するモールド駆動部22とを含みうる。モールド保持部20は、モールドMの位置を6軸に関して制御する位置決め機構、および、モールドMを基板W或いはその上のインプリント材Rに押し付けたり、硬化したインプリント材RからモールドMを分離したりする機構を含む。ここで、6軸は、X軸、Y軸およびZ軸に加えて、それらの各軸周りの回転を含みうる。
モールド補正部30は、例えば、モールド保持部20に設けられ、空気や油等の流体で作用するシリンダなどのアクチュエータを用いてモールドMを外周方向から加圧することにより、モールドMの形状を補正する。また、モールド補正部30は、例えば、モールドMの温度を制御する温度制御機構を含み、モールドMの温度を制御することにより、モールドMの形状を補正する構成であってもよい。基板Wは、熱処理などのプロセスを経ることによって変形(典型的には、膨張又は収縮)しうる。モールド補正部30は、このような基板Wの変形に応じて、モールドMのパターンと基板上の既パターン(対象ショット領域)とのオーバーレイ誤差が許容範囲に収まるように、モールドMの形状を補正することができる。
基板保持部40は、基板ステージとも呼ばれ、基板Wを保持して移動可能に構成されうる。基板保持部40は、例えば、真空圧などの保持力を発生して基板Wをチャックする基板チャック41と、基板チャック41を駆動することによって基板Wを駆動する基板駆動部42とを含みうる。基板駆動部42は、基板Wの位置を前述の6軸に関して制御することによって基板Wの位置を制御する位置決め機構を含みうる。
供給部50は、基板上にインプリント材Rを供給(塗布)する。供給部50は、例えば、インプリント材Rを収容するタンクと、該タンクから供給路を通して供給されるインプリント材Rを基板Wに対して吐出する複数の吐出口と、各吐出口に連通する供給路に設けられた圧電素子(バルブ)と、供給量制御部とを有しうる。供給量制御部は、例えば、圧電素子に供給する信号値を調整することにより、各吐出口から液滴として吐出されるインプリント材Rの量を制御することができる。
観察部60は、インプリント処理が行われている基板Wの対象ショット領域を観察するためのスコープを含む。例えば、観察部60は、対象ショット領域全体が収まる視野を有する撮像素子を含み、インプリント処理が行われている対象ショット領域を撮像素子により撮像する。観察部60は、モールドMとインプリント材Rとの押印(インプリント)の状態や、モールドMのパターンの凹部へのインプリント材Rの充填の進み具合などを確認するために用いられる。
計測部70(計測装置)は、モールドMに設けられたアライメントマーク91(以下では、型マーク91と呼ぶことがある)と、基板Wに設けられたアライメントマーク92(以下では、基板マーク92と呼ぶことがある)との相対位置を計測する。図1の例では、計測部70は、ミラーMRを介して型マーク91と基板マーク92との相対位置を計測するように構成されているが、ミラーMRを介さずに当該相対位置を計測するように構成されてもよい。なお、計測部70の具体的な構成については後述する。
ここで、本実施形態では、モールドMおよび基板Wのうちの一方(第1部材)に設けられたアライメントマーク(第1マーク)が、ラインアンドスペース状の回折格子によって構成される。また、モールドMおよび基板Wのうちの他方(第2部材)に設けられたアライメントマーク(第2マーク)が、チェッカーボード状の回折格子によって構成される。以下では、型マーク91がラインアンドスペース状の回折格子によって構成され、基板マーク92がチェッカーボード状の回折格子によって構成されている例を説明する。
[インプリント処理]
インプリント装置100によるインプリント処理について説明する。インプリント処理は、制御部80によって制御されうる。まず、モールドMが、モールド搬送部(不図示)によりモールド保持部20に搬送され、モールド保持部20(モールドチャック21)により保持される。基板Wは、基板搬送部(不図示)により基板保持部40に搬送され、基板保持部40(基板チャック41)により保持される。次いで、インプリント処理を行うショット領域(対象ショット領域)を供給部50の下方に移動させ、供給部50により、インプリント材R(例えば液滴)を対象ショット領域上に供給する(供給工程)。
インプリント装置100によるインプリント処理について説明する。インプリント処理は、制御部80によって制御されうる。まず、モールドMが、モールド搬送部(不図示)によりモールド保持部20に搬送され、モールド保持部20(モールドチャック21)により保持される。基板Wは、基板搬送部(不図示)により基板保持部40に搬送され、基板保持部40(基板チャック41)により保持される。次いで、インプリント処理を行うショット領域(対象ショット領域)を供給部50の下方に移動させ、供給部50により、インプリント材R(例えば液滴)を対象ショット領域上に供給する(供給工程)。
対象ショット領域上にインプリント材を供給した後、対象ショット領域をモールドMの下方に移動させ、モールドMと基板Wとをそれらの間隔が狭まるようにZ軸方向に相対駆動してモールドMと基板上のインプリント材Rとを接触させる(接触工程)。接触工程において、インプリント材Rは、モールドMと基板Wとの間を徐々に拡がり、モールドMに形成されたパターン凹部に充填される。また、接触工程では、計測部70での計測結果に基づいて、モールドMと基板Wとのアライメント(位置合わせ)が行われる。当該アライメントは、モールド駆動部22および基板駆動部42によるモールドMと基板Wとの相対位置(XY方向)の補正と、モールド補正部30によるモールドMの形状補正とを含みうる。
モールドMのパターン凹部にインプリント材Rが充填され、モールドMと基板Wとのアライメントが終了した後、硬化部10によりインプリント材Rに光を照射して当該インプリント材Rを硬化させる(硬化工程)。そして、モールドMと基板Wとをそれらの間隔が広がるようにZ軸方向に相対駆動することにより、硬化したインプリント材RからモールドMを剥離する(離型工程)。これにより、モールドMの凹凸パターンが転写されたインプリント材Rの硬化物から成るパターンを対象ショット領域上に形成することができる。このようなインプリント処理は、基板Wにおける複数のショット領域の各々に対して行われる。
[計測部の構成]
次に、計測部70の構成について説明する。図2は、計測部70の構成例を示す概略図である。本実施形態の計測部70は、検出部71と、処理部72と、変更部73とを含みうる。なお、図2では、計測部70の説明を容易にするため、単一方向における型マーク91と基板マーク92との相対位置を計測する例を示しており、図1で図示されたミラーMRを省略している。図2の例では、X軸方向を計測方向とする型マーク91と基板マーク92との相対位置を計測する例を示している。
次に、計測部70の構成について説明する。図2は、計測部70の構成例を示す概略図である。本実施形態の計測部70は、検出部71と、処理部72と、変更部73とを含みうる。なお、図2では、計測部70の説明を容易にするため、単一方向における型マーク91と基板マーク92との相対位置を計測する例を示しており、図1で図示されたミラーMRを省略している。図2の例では、X軸方向を計測方向とする型マーク91と基板マーク92との相対位置を計測する例を示している。
型マーク91および基板マーク92は、それぞれ回折格子によって構成され、計測方向(X軸方向)における格子ピッチが互いに異なる。これにより、型マーク91からの反射光(回折光)と基板マーク92からの反射光(回折光)との干渉によって干渉縞(以下では、第1干渉縞と呼ぶことがある)を生成することができる。本実施形態の場合、型マーク91は、Y軸方向に伸びる複数のラインがX軸方向に配列されたラインアンドスペース状の回折格子によって構成される。基板マーク92は、X軸方向およびY軸方向の各々に格子ピッチを有するチェッカーボード状の回折格子によって構成される。型マーク91および基板マーク92の一方をチェッカーボード状の回折格子で構成することにより、不要回折光が低減され、第1干渉縞のコントラストを向上させることができる。さらに、第1干渉縞の周期が短くなり、モールドMと基板Wとの相対位置の変化に応じた干渉縞の位相変化の敏感度が向上するため、計測精度を向上させることができる。なお、干渉縞は、モアレ縞と呼ばれることもある。
検出部71は、回折光学素子71bを有し、回折光学素子71bによって生成された回折光で型マーク91および基板マーク92を照明しながら、型マーク91からの反射光と基板マーク92からの反射光との干渉により生じる第1干渉縞を検出する。本実施形態の場合、検出部71は、光源71aと、回折光学素子71bと、第1レンズ71cと、絞り71dと、ビームスプリッタ71eと、第2レンズ71fと、第3レンズ71gと、撮像素子71hとを含みうる。検出部71において、回折光学素子71b、第1レンズ71c、絞り71d、ビームスプリッタ71eおよび第2レンズ71fが照明光学系を構成し、第2レンズ71f、ビームスプリッタ71eおよび第3レンズ71gが結像光学系を構成する。また、撮像素子71hは、光電変換素子であり、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの2次元イメージセンサによって構成されうる。
光源71aから射出された光は、回折光学素子71bに入射する。回折光学素子71bは、計測方向(X軸方向)に伸びる複数のラインがY軸方向に配列されたラインアンドスペース状の回折格子パターンを有し、Y軸方向に光を回折して、Y軸方向に角度分布を有する回折光を生成する。回折光学素子71bにより生成された回折光は、第1レンズ71cを通過して絞り71dに入射する。絞り71dには、Y軸方向(XZ平面に含まれる方向)に角度分布を有する2つの光束を型マーク91および基板マーク92に斜入射させる二重極照明を実現するための2つの開口IL1~IL2を有する。絞り71dの開口IL1~IL2を通過することにより生成された2つの光束は、ビームスプリッタ71eおよび第2レンズ71fを通過し、対向配置された型マーク91および基板マーク92に斜入射する。即ち、型マーク91および基板マーク92が、絞り71dにより生成された2つの光束で二重極照明される。
型マーク91で反射(回折)された光と基板マーク92で反射(回折)された光とは、第2レンズ71fを通過した後、ビームスプリッタ71eで反射され、第3レンズ71gを介して撮像素子71hに入射する。そして、撮像素子71hの受光面には、型マーク91からの光と基板マーク92からの光との干渉によって第1干渉縞が生成される。第1干渉縞の位相は、モールドMと基板Wの相対位置がX軸方向に変化すると、それに応じて変化する。
処理部72は、例えばCPU等のプロセッサやメモリ等を有するコンピュータによって構成され、検出部71(撮像素子71h)で検出された第1干渉縞に基づいて型マーク91と基板マーク92との相対位置を求める。このように処理部72で求められた型マーク91と基板マーク92との相対位置の情報は制御部80に送信され、当該相対位置に基づいて、制御部80によりモールドMと基板Wとのアライメントが制御される。ここで、本実施形態の処理部72は、インプリント装置100の制御部80と別体として構成されているが、制御部80と一体として構成されてもよい。
変更部73は、型マーク91および基板マーク92に対する回折光学素子71bの相対的な回転角度(以下では、相対回転角度と呼ぶことがある)を変更する。本実施形態の場合、変更部73は、ωZ方向(Z軸周りの回転方向)に回折光学素子71bを回転駆動する駆動部(アクチュエータ)を含み、当該駆動部により回折光学素子71bをωZ方向に回転駆動することで相対回転角度を変更するように構成されている。また、変更部73は、型マーク91および基板マーク92を回転駆動することにより相対回転角度を変更するように構成されてもよい。この場合、モールドMを回転駆動するモールド駆動部22、および、基板Wを回転駆動する基板駆動部42が、相対回転角度を変更する変更部73として機能しうる。
ここで、図2の計測部70は、X軸方向におけるモールドMと基板Wとの相対位置を計測するための光学配置であり、回折光学素子71bおよび絞り71dにより生成された2つの光束で、Y軸方向から型マーク91および基板マーク92を照明している。一方、Y軸方向におけるモールドMと基板Wとの相対位置を計測する場合には、回折光学素子71b、絞り74b、型マーク91および基板マーク92を、Z軸を中心に90度回転した光学配置となる。この場合、回折光学素子71bおよび絞り71dにより生成された2つの光束で、Y軸方向を計測方向とする型マーク91および基板マーク92がX軸方向(XZ平面に含まれる方向)から照明されることとなる。
また、本実施形態では、計測方向ごとに個別照明および個別検出を行っているが、個別照明を行わず、Y軸方向とX軸方向とから同時に照明光を照射した場合(四重極照明)、次の問題が発生する。X軸方向のアライメント計測を行う場合、Y軸方向のアライメント計測用の照明光により発生した不要光がX軸方向のアライメント計測光に混入し、計測精度が低下する要因となる。同様に、Y軸方向のアライメント計測を行う場合、X軸方向のアライメント計測用の照明光により発生した不要光がX軸方向のアライメント計測光に混入し、計測精度が低下する要因となる。このような不要光を低減するため、上述した計測部70の構成にすることで、計測方向(X軸方向、Y軸方向)ごとに個別に効率よく型マーク91および基板マーク92を照明している。
[計測部での計測]
上記のように構成された計測部70では、回折光学素子71bがモールドMおよび基板Wと共役な位置に配置されるため、回折光学素子71bのパターンの像が型マーク91上または基板マーク92上に形成される。図3は、図2に示される型マーク91および基板マーク92の周辺をY軸方向から見た断面図である。図3に示されるように、回折光学素子71bのパターンの結像面ISは、型マーク91および基板マーク92の周辺(例えば、基板マーク92上)に形成される。このように回折光学素子71bのパターンの結像面ISが、型マーク91および基板マーク92の周辺に形成される理由は、前述したように、回折光学素子71bとモールドMおよび基板Wとが共役関係だからである。それらを共役な位置に配置することにより、型マーク91および基板マーク92における照明領域を限定し、型マーク91および基板マーク92の周縁で発生するフレア光を低減することができる。
上記のように構成された計測部70では、回折光学素子71bがモールドMおよび基板Wと共役な位置に配置されるため、回折光学素子71bのパターンの像が型マーク91上または基板マーク92上に形成される。図3は、図2に示される型マーク91および基板マーク92の周辺をY軸方向から見た断面図である。図3に示されるように、回折光学素子71bのパターンの結像面ISは、型マーク91および基板マーク92の周辺(例えば、基板マーク92上)に形成される。このように回折光学素子71bのパターンの結像面ISが、型マーク91および基板マーク92の周辺に形成される理由は、前述したように、回折光学素子71bとモールドMおよび基板Wとが共役関係だからである。それらを共役な位置に配置することにより、型マーク91および基板マーク92における照明領域を限定し、型マーク91および基板マーク92の周縁で発生するフレア光を低減することができる。
しかしながら、回折光学素子71bをモールドMおよび基板Wと共役な位置に配置すると、回折光学素子71bのパターンの像が基板マーク92上に形成されることにより、第1干渉縞と異なる干渉縞(第2干渉縞)が生成される。第2干渉縞は、回折光学素子71bのパターンと基板マーク92とによって生成される干渉縞として理解されてもよく、第1干渉縞と重なり合うように検出部71(撮像素子71h)によって検出される。そのため、第2干渉縞の方向によっては、第2干渉縞が第1干渉縞に対してノイズ成分(エラー成分)として作用し、第1干渉縞に基づいて型マーク91と基板マーク92との相対位置を精度よく計測することが困難になりうる。
図4は、型マーク91および基板マーク92に対する回折光学素子71bの相対的な回転角度(相対回転角度)が理想的な状態を示している。図4(a)は型マーク91を示し、図4(b)は、基板マーク92上に形成される回折光学素子71bのパターンの像IMを示し、図4(c)は、基板マーク92を示している。型マーク91と基板マーク92とは、計測方向であるX軸方向における格子ピッチが互いに異なり、空気またはインプリント材を介して対向配置される。また、図4(d)は、図4(a)~(c)に示される型マーク91と基板マーク92と回折光学素子71bのパターンの像との位置関係によって発生する理想的な干渉縞96aを示している。干渉縞96aは、第1干渉縞97と第2干渉縞98とが重なり合うことによって構成され、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向とが直交している。なお、干渉縞の方向とは、干渉縞の明暗が繰り返される方向として定義されうる。
第1干渉縞97は、型マーク91からの光と基板マーク92からの光との干渉によって生じる干渉縞であり、その明暗はX軸方向(計測方向)に繰り返されている。モールドMと基板Wとの相対位置がX軸方向に変化すると、第1干渉縞97の明暗はX軸方向に沿って変化する(位相が変化する)。この位相変化を検出することにより型マーク91と基板マーク92との相対位置が計測され、その計測結果に基づいてモールドMと基板Wとのアライメントが行われる。また、第2干渉縞98は、回折光学素子71bのパターンの像が基板マーク92上に形成されることにより生じる干渉縞である。第2干渉縞98の方向は、図4(d)に示されるように、第1干渉縞97の方向に直交すること(即ち、第2干渉縞98の方向がY軸方向であること)が理想的である。この場合、第2干渉縞98が第1干渉縞97に対してノイズ成分(エラー成分)として作用して計測誤差が生じることを低減することができる。即ち、第2干渉縞98がY軸方向に変化しても、第1干渉縞97による型マーク91と基板マーク92との相対位置の計測精度への影響は小さい。
一方、図5は、型マーク91および基板マーク92に対する回折光学素子71bの相対的な回転角度(相対回転角度)が理想的な状態から変動した状態を示している。図5(a)は型マーク91を示し、図5(b)は、基板マーク92上に形成される回折光学素子71bのパターンの像IMを示し、図5(c)は、基板マーク92を示している。この例では、型マーク91および基板マーク92に対する回折光学素子71bの相対回転角度が理想的な状態から変動しており、それに応じて、図5(b)に示されるように、基板マーク92上に形成される回折光学素子71bのパターンの像も変動している。相対回転角度が変動する要因としては、例えば、計測部70が受ける振動、あるいは、熱による光学部品の膨張などの外乱が考えられる。また、図5(d)は、図5(a)~(c)に示される型マーク91と基板マーク92と回折光学素子71bのパターンの像との位置関係によって発生する干渉縞96bを示している。干渉縞96bは、第1干渉縞97と第2干渉縞98とが重なり合うことによって構成され、第2干渉縞の方向が第1干渉縞97の方向に対して傾いている。
図5(d)に示される干渉縞96bでは、第2干渉縞98におけるX軸方向の成分が、第1干渉縞97に対してノイズ成分(エラー成分)として作用してしまう。その結果、第1干渉縞97に基づいて型マーク91と基板マーク92との相対位置を精度よく計測することが困難になりうる。第2干渉縞98は、回折光学素子71bを用いている場合には必然的に発生するものである。そのため、第1干渉縞97に基づいて型マーク91と基板マーク92との相対位置を精度よく計測するには、第2干渉縞98においてノイズ成分として作用するX軸方向の成分を低減するとよい。即ち、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98とを直交させるとよい。
そこで、本実施形態の計測部70は、型マーク91および基板マーク92に対する回折光学素子71bの相対回転角度を変更する変更部73を含む。そして、変更部73により相対回転角度を変更することで第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正し、直交度を補正した状態で検出部71で検出された第1干渉縞97に基づいて型マーク91と基板マーク92との相対位置を求める。これにより、検出部71で検出される第2干渉縞98においてノイズ成分として作用する方向成分を低減し、検出部71で検出された第1干渉縞97に基づいて型マーク91と基板マーク92との相対位置を精度よく求めることができる。
[直交度の補正方法]
次に、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する方法について説明する。本実施形態では、型マーク91および基板マーク92の代わりに基準マーク93を用いて、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する例を説明する。
次に、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する方法について説明する。本実施形態では、型マーク91および基板マーク92の代わりに基準マーク93を用いて、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する例を説明する。
図6は、図1を用いて前述したインプリント装置100においてモールドMおよび基板Wが搬送(搭載)される前の状態であり、基準マーク93を計測部70(検出部71)により検出している状態を示している。基準マーク93は、基板保持部40に設けられた基準部材43(基準マーク台)に形成されている。図6に示されるインプリント装置100の構成は、図1に示されるインプリント装置100の構成と同じである。
図7は、計測部70の検出部71により、基準マーク93を照明しながら、回折光学素子71bのパターンの像が基準マーク上に形成されることにより生じる干渉縞(以下では、第3干渉縞と呼ぶことがある)を検出している状態を示している。図7に示される計測部70の構成は、図2に示される計測部70の構成と同じである。基準マーク93は、回折光学素子71bと同様に、X軸方向に伸びる複数のラインがY軸方向に配列されたラインアンドスペース状の回折格子によって構成されるが、Y軸方向における格子ピッチが回折光学素子71bと異なる。また、基準マーク93は、その回折格子の方向(ラインアンドスペースの繰り返しの方向)が、型マーク91における回折格子の方向(ラインアンドスペースの繰り返しの方向)と直交するように配置されるとよい。これにより、回折光学素子71bのパターンの像が基準マーク上に形成されることで、干渉縞の方向が第2干渉縞98と同様になる第3干渉縞を生成することができる。
図8は、基準マーク93上に形成された回折光学素子71bのパターンの像IMの方向(明暗の方向)が、基準マーク93の回折格子の方向(ラインアンドスペースの繰り返しの方向)に対して回転ずれを起こしている状態を示している。図8(a)は、基準マーク93上に形成される回折光学素子71bのパターンの像IMを示し、図8(b)は、検出部71(撮像素子71h)で検出される第3干渉縞99を示している。図8の状態では、回折光学素子71bのパターンの像IMの回転ずれにより、第3干渉縞99の方向が、X軸方向およびY軸方向に対して傾いており、目標方向からずれている。目標方向は、基準マーク93における回折格子の方向、即ち、検出部71で検出されるべき第1干渉縞97の(計測方向)に垂直な方向に設定され、図8ではY軸方向である。したがって、処理部72は、第3干渉縞99の方向と目標方向との角度差を、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正するための相対回転角度の変更量として決定することができる。
図9は、第3干渉縞99の方向と目標方向との角度差が低減するように、変更部73により相対回転角度を変更した状態を示している。図9(a)は、基準マーク93上に形成される回折光学素子71bのパターンの像IMを示し、図9(b)は、検出部71(撮像素子71h)で検出される第3干渉縞99を示している。変更部73により相対回転角度を変更して第3干渉縞99の方向と目標方向との角度差を低減させると、モールドMおよび基板Wがインプリント装置100に搭載された際に検出部71で検出される第1干渉縞97と第2干渉縞98とを直交させることができる。
図10は、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する方法を示すフローチャートである。図10のフローチャートの各工程は、計測部70の処理部72によって実行されうる。
ステップS11では、処理部72は、回折光学素子71bのパターンの像IMが基準マーク93上に形成されることにより生じる第3干渉縞99を検出部71(撮像素子71h)に検出させる。そして、検出部71で得られた第3干渉縞99の画像に基づいて、第3干渉縞99の方向と目標方向との角度差を求める。次いで、ステップS12では、処理部72は、ステップS11(またはステップS13)で求めた角度差に基づいて、直交度を補正するための回折光学素子71bの回転角度の変更量を決定する。そして、決定した変更量だけ、変更部73に回折光学素子71bの回転角度を変更させる。
ステップS13では、処理部72は、第3干渉縞99を検出部71(撮像素子71h)に検出させ、検出部71で得られた第3干渉縞99の画像に基づいて、第3干渉縞99の方向と目標方向との角度差を求める。次いで、ステップS14では、処理部72は、ステップS13で求めた角度差が許容範囲内か否かを判断する。当該角度差は、モールドMおよび基板Wがインプリント装置100に搭載された際に検出部71で検出される第1干渉縞97と第2干渉縞98との直交度に関連し、角度差の許容範囲は、直交度の許容範囲に相当するものとして理解されてもよい。直交度の許容範囲は、型マーク91と基板マーク92との相対位置の計測精度に応じて実験やシミュレーション等によって事前に設定されうる。角度差が許容範囲内でない場合にはステップS12に進み、角度差が許容範囲内である場合には終了する。
ここで、ステップS11およびS13において、検出部71で得られた第3干渉縞99の画像に基づいて第3干渉縞99の方向と目標方向との角度差を求める算出方法の一例を説明する。角度差の算出は、検出部71で得られた第3干渉縞99の画像に対して以下の画像処理を行うことにより行われうる。
(工程A1)検出部71(撮像素子71h)で得られた第3干渉縞99の画像データにおいて、第3干渉縞99における少なくとも1本の暗い部分(または1本の明るい部分)に着目する。
(工程A2)着目した第3干渉縞99の暗い部分(または明るい部分)が連続的に続く方向と、検出部71の撮像素子71hを形成しているピクセルの配列方向(例えばX軸方向)とが成す角度を求める。例えば、画像データ上の第3干渉縞99の暗い部分(または明るい部分)の少なくとも2点の座標値に基づいて、当該角度を計算することができる。
(工程A3)計測方向と撮像素子71hを形成しているピクセルの配列方向(例えばX軸方向)とは、事前の装置調整工程で一致させている、または、それらの成す角度が把握されている。そのため、上記の工程A2での計算結果に基づいて、第3干渉縞99の暗い部分(または明るい部分)が連続的に続く方向と計測方向と成す角度が得られ、第3干渉縞99の方向と目標方向との角度差を求めることができる。
上述したように、本実施形態の計測部70は、検出部71で検出される第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向とが互いに直交するように変更部73により相対回転角を変更する。これにより、検出部71で検出される第2干渉縞98においてノイズ成分として作用する方向成分を低減し、検出部71で検出された第1干渉縞97に基づいて型マーク91と基板マーク92との相対位置を精度よく求めることができる。
<第2実施形態>
本発明に係る第2実施形態について説明する。第1実施形態では、型マーク91および基板マーク92の代わりに基準マーク93を用いて、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する例を説明した。第2実施形態では、検出部71による第1干渉縞97および第2干渉縞98の検出で得られる画像に基づいて、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する例を説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態を基本的に引き継ぐものであり、以下で説明する事項以外については第1実施形態で説明したとおりである。
本発明に係る第2実施形態について説明する。第1実施形態では、型マーク91および基板マーク92の代わりに基準マーク93を用いて、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する例を説明した。第2実施形態では、検出部71による第1干渉縞97および第2干渉縞98の検出で得られる画像に基づいて、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する例を説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態を基本的に引き継ぐものであり、以下で説明する事項以外については第1実施形態で説明したとおりである。
図5(d)は、検出部71(撮像素子71h)で第1干渉縞97および第2干渉縞98を検出することにより得られる画像を示している。図5(d)に示される画像の干渉縞96bは、第1干渉縞97と第2干渉縞98とが重なり合うことによって構成され、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向とが角度θで交差している。
ここで、第2実施形態では、基板保持部40の移動方向(例えばX軸方向)と基板Wにおける複数のショット領域の配列方向(例えばX軸方向)とが成す角度θwの調整、いわゆるプリアライメントが既に行われている状態である。プリアライメントは、図11(a)に示されるように、基板W上の左右に配置されたプリアライメントマークPM1、PM2を用いて行われる。プリアライメントの流れは以下の通りである。
(工程B1)図11(b)に示されるように、観察部60の視野内にプリアライメントマークPM1が収まるように基板保持部40を移動させ、観察部60にプリアライメントマークPM1の画像を取得させる。
(工程B2)工程B1で取得された画像に基づいて、プリアライメントマークPM1の位置を、観察部60が有する撮像素子(不図示)の装置座標を基準に(xl、yl)として算出する。
(工程B3)図11(c)に示されるように、観察部60の視野内にプリアライメントマークPM2が収まるように基板保持部40を移動させ、観察部60にプリアライメントマークPM2の画像を取得させる。
(工程B4)工程B3で取得された画像に基づいて、プリアライメントマークPM2の位置を、観察部60が有する撮像素子(不図示)の装置座標を基準に(xr、yr)として算出する。
(工程B5)工程B1を行ってから工程B3に移行する際の基板保持部40のX軸方向への移動量Lと、yl、yrの値から、以下の式1により角度θwを求める。
θw=(yl-yr)/L (式1)
θw=(yl-yr)/L (式1)
(工程B6)角度θwが許容範囲内であるか否かを判断する。角度θwが許容範囲内である場合にプリアライメントを終了する。角度θwが許容範囲外であれば、基板WをZ軸を中心に回転させて角度θwが許容範囲内になるように調整を行う。
図12は、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との直交度を補正する方法を示すフローチャートである。図12のフローチャートの各工程は、計測部70の処理部72によって実行されうる。
ステップS21では、処理部72は、第1干渉縞97および第2干渉縞98を検出部71(撮像素子71h)に検出させる。そして、検出部71で得られた第1干渉縞97および第2干渉縞98の画像に基づいて、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との角度差を求める。次いで、ステップS22では、処理部72は、ステップS21(またはステップS23)で求めた角度差に基づいて、直交度を補正するための回折光学素子71bの回転角度の変更量を決定する。そして、決定した変更量だけ、変更部73に回折光学素子71bの回転角度を変更させる。
ステップS23では、処理部72は、第1干渉縞97および第2干渉縞98を検出部71(撮像素子71h)に検出させ、それにより得られた画像に基づいて、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向との角度差を求める。次いで、ステップS24では、処理部72は、ステップS23で求めた角度差が許容範囲内か否かを判断する。当該角度差は、モールドMおよび基板Wがインプリント装置100に搭載された際に検出部71で検出される第1干渉縞97と第2干渉縞98との直交度に関連し、角度差の許容範囲は、直交度の許容範囲に相当するものとして理解されてもよい。直交度の許容範囲は、型マーク91と基板マーク92との相対位置の計測精度に応じて実験やシミュレーション等によって事前に設定されうる。角度差が許容範囲内でない場合にはステップS22に進み、角度差が許容範囲内である場合には終了する。
本実施形態では、検出部71で得られた第1干渉縞91および第2干渉縞92の画像に基づいて、第1干渉縞97の方向と第2干渉縞98の方向とが互いに直交するように変更部73により相対回転角を変更する。これにより、第1実施形態と同様に、検出部71で検出される第2干渉縞98においてノイズ成分として作用する方向成分を低減し、検出部71で検出された第1干渉縞97に基づいて型マーク91と基板マーク92との相対位置を精度よく求めることができる。
<物品の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、上記のリソグラフィ装置(インプリント装置)を用いて基板上にパターンを形成する形成工程と、形成工程でパターンが形成された基板を加工する加工工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
本発明の実施形態にかかる物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、上記のリソグラフィ装置(インプリント装置)を用いて基板上にパターンを形成する形成工程と、形成工程でパターンが形成された基板を加工する加工工程とを含む。更に、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含む。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
リソグラフィ装置としてインプリント装置が用いられ場合、インプリント装置によって成形される硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
次に、物品の具体的な製造方法について説明する。図13(a)に示すように、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコンウェハ等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
図13(b)に示すように、インプリント用の型4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。図13(c)に示すように、インプリント材3zが付与された基板1zと型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギとして光を型4zを通して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
図13(d)に示すように、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
図13(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。図13(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
10:硬化部、20:モールド保持部、30:モールド補正部、40:基板保持部、50:供給部、60:観察部、70:計測部、71:検出部、72:処理部、73:変更部、80:制御部、100:インプリント装置
Claims (11)
- 第1部材に設けられた第1マークと第2部材に設けられた第2マークとの相対位置を計測する計測装置であって、
回折光学素子を有し、前記回折光学素子によって生成された回折光で前記第1マークおよび前記第2マークを照明しながら、前記第1マークからの光と前記第2マークからの光との干渉により生じる第1干渉縞を検出する検出部と、
前記検出部での検出結果に基づいて前記相対位置を求める処理部と、
前記第1マークおよび前記第2マークに対する前記回折光学素子の相対的な回転角度を変更する変更部と、
を備え、
前記検出部では、前記回折光学素子のパターンの像が前記第2マーク上に形成されることにより生じる第2干渉縞が、前記第1干渉縞に重なり合うように検出され、
前記処理部は、前記変更部により前記回転角度を変更することで前記第1干渉縞の方向と前記第2干渉縞の方向との直交度を補正し、前記直交度を補正した状態において前記検出部で検出された前記第1干渉縞に基づいて前記相対位置を求める、ことを特徴とする計測装置。 - 前記第1マークは、ラインアンドスペース状の回折格子によって構成され、
前記第2マークは、チェッカーボード状の回折格子によって構成され、
前記回折光学素子のパターンは、ラインアンドスペース状の回折格子によって構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。 - 前記変更部は、前記回折光学素子を回転駆動することにより前記回転角度を変更する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計測装置。
- 前記変更部は、前記第1マークおよび前記第2マークの各々を回転駆動することにより前記回転角度を変更する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の計測装置。
- 前記処理部は、前記検出部による前記第1干渉縞および前記第2干渉縞の検出で得られる画像に基づいて、前記直交度を補正するための前記回転角度の変更量を決定する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の計測装置。
- 前記処理部は、
前記第1マークおよび前記第2マークの代わりに配置された基準マークを前記回折光で照明しながら、前記回折光学素子のパターンの像が前記基準マーク上に形成されることにより生じる第3干渉縞を前記検出部に検出させ、
前記検出部による前記第3干渉縞の検出で得られる画像に基づいて、前記直交度を補正するための前記回転角度の変更量を決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の計測装置。 - 前記処理部は、前記検出部で検出される前記第3干渉縞の方向が目標方向になるように前記回転角度の変更量を決定し、
前記目標方向は、前記検出部で検出されるべき前記第1干渉縞の方向に垂直な方向である、ことを特徴とする請求項6に記載の計測装置。 - 前記基準マークは、ラインアンドスペース状の回折格子によって構成されている、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の計測装置。
- 原版のパターンを基板上に転写するリソグラフィ装置であって、
第1部材に設けられた第1マークと第2部材に設けられた第2マークとの相対位置を計測する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の計測装置と、
前記計測装置での計測結果に基づいて前記原版と前記基板とのアライメントを制御する制御部と、
を備え、
前記第1部材は前記原版および前記基板の一方であり、前記第2部材は前記原版および前記基板の他方である、ことを特徴とするリソグラフィ装置。 - 請求項9に記載のリソグラフィ装置を用いて基板上にパターンを形成する形成工程と、
前記形成工程でパターンが形成された前記基板を加工する加工工程と、を含み、
前記加工工程で加工された前記基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。 - 第1部材に設けられた第1マークと第2部材に設けられた第2マークとの相対位置を計測する計測方法であって、
回折光学素子によって生成された回折光で前記第1マークおよび前記第2マークを照明しながら、前記第1マークからの光と前記第2マークからの光との干渉により生じる第1干渉縞を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された前記第1干渉縞に基づいて前記相対位置を求める処理工程と、
を含み、
前記検出工程では、前記回折光学素子のパターンの像が前記第2マーク上に形成されることにより生じる第2干渉縞が、前記第1干渉縞に重なり合うように検出され、
前記処理工程では、前記第1マークおよび前記第2マークに対する前記回折光学素子の相対的な回転角度を変更することにより前記第1干渉縞の方向と前記第2干渉縞の方向との直交度を補正し、前記直交度を補正した状態において前記検出工程で検出された前記第1干渉縞に基づいて前記相対位置を求める、ことを特徴とする計測方法。
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JP2021165648A JP2023056347A (ja) | 2021-10-07 | 2021-10-07 | 計測装置、計測方法、リソグラフィ装置、および物品の製造方法 |
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