JP2023055534A - 圧力センサ素子および圧力センサ - Google Patents

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泰明 松儀
Yasuaki Matsugi
悠祐 新村
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【課題】ダイアフラム表面に堆積する物質によってもたらされるセンサ出力のゼロ点シフトを、圧力変動に対する高い応答性を確保しつつこれを低減した圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサを提供する。【解決手段】第1の面2aaに加わる圧力と第2の面2abに加わる圧力との差によって変形する領域をもつダイアフラム2と、ダイアフラム2の第1の面2aaの少なくとも一部分を覆う保護膜部材10Dと、ダイアフラム2の第2の面2abに配設されて、ダイアフラム2の変形を電気的に検出するセンサ部4とを備え、保護膜部材10Dは、所定の温度において一部分が対向する第1の面2aaと当接し、他の部分が第1の面2aaから離間するように構成され圧力センサ素子とする。【選択図】図16

Description

本発明は、圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサに関する。
流体の圧力を測定するためのセンサとして、ダイアフラムを備える圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサが広く使用されている。この圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサにおいては、圧力測定の対象となっている流体(以下、「被測定流体」と称する。)の圧力変化をダイアフラムの変形といった機械的変位の形で捉え、さらにこの機械的変位を電圧等の電気信号として検出したのち、この電気信号から被測定流体の圧力を算出するように構成されている。例えば、静電容量式の圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサにおいては、ダイアフラムの変形を一対の電極間の静電容量の変化として検出し、この静電容量の変化に基づいて被測定流体の圧力を算出するように構成されている。ここで、上記ダイアフラムは、互いに非連通の状態で隔離され2つの空間に面するように配設されており、これら2つの空間の一方に被測定流体が流出入することで生じる圧力差により上記変形がもたらされる構造となっている。
上記構成の圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサにおいては、被測定流体の圧力を受けるダイアフラムの受圧面と被測定流体とが接触することになる。このため、上記圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサが、例えば、半導体デバイス等を製造する装置の成膜・エッチングプロセスにおいて使用される場合、被測定流体に含まれる成膜物質がダイアフラムの受圧面に付着することになる。このとき、成膜物質は、連続的な化学反応をともないながら膜を形成するとともに、比較的強い力でダイアフラムの受圧面に凝着する。このような化学反応をともなう成膜過程においては、分子間または結晶格子間に所定の大きさの力(いわゆる膜の内部応力)が作用する。この内部応力は、強い力で凝着したダイアフラムに作用することで当該ダイアフラムを変形させる。この内部応力に起因したダイアフラムの変形は、センサ出力のゼロ点をシフトさせることで測定精度を低下させるといった問題を引き起こす。このため、当該問題を解決するための技術が、従来より提案されている。
上記技術として、例えば、特許文献1に記載の先行技術がある。この先行技術は、上記問題を解決するために、被測定流体がダイアフラムの受圧面に到達する前の上流域にバッフルを配設し、このバッフル内の経路を通過する被測定流体の流れが分子流となるように、上記経路の代表的長さを流体分子の平均自由工程よりも小さくすることを特徴とする。
また、他の上記技術として、特許文献2に記載の先行技術がある。この先行技術は、上記問題を解決するために、ダイアフラムの受圧面にテーブル型、逆テーパ型または方形波状の構造物を立設し、当該受圧面を非平滑面として形成することで膜の形成を分断することを特徴とする。
さらに、他の上記技術として、特許文献3に記載の先行技術がある。この先行技術は、上記問題を解決するために、ダイアフラムを、例えば、中央部から周縁部に向かって連続的に剛性が低下するような形状に形成して膜の内部応力によるダイアフラムの撓みを修正することを特徴とする。
特開2011-149946号公報 特表2009-524024号公報 特開2010-236949号公報
上述した特許文献1に記載の先行技術においては、バッフルを必要とすることから構造が複雑となり、また、部品点数および組立工数も増大することから製造コストが増加する。加えて、被測定流体の流れの抵抗を増大させる(コンダクタンスを悪化させる)ことから圧力変動に対する応答性が悪化する。特に、応答性悪化は、高い応答性が求められるALD( atomic layer deposition; 原子層堆積)において、その改善が強く求められることになる。
また、上述した特許文献2および3に記載の先行技術においても、ダイアフラムの構造が複雑化することで、加工工程の増大および歩留まりの低下により製造コストが増加する。また、高い応答性を有する構造であるか否かの十分な検証が別途必要となる。
本発明は、上記先行技術が抱える課題を解決すべく創作された発明であって、その目的は、圧力変動に対する応答性を確保しつつ、ダイアフラム表面に堆積する物質によってもたらされるセンサ出力のゼロ点シフトが好適に低減された圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る圧力センサ素子(1A、1B、1C)は、第1の面(2aa)に加わる圧力と第2の面(2ab)に加わる圧力との差によって変形する領域をもつダイアフラム(2)と、前記ダイアフラムの第1の面の少なくとも一部分を覆う保護膜部材(10A、10B、10C)と、前記ダイアフラムの第2の面に配設されて、前記ダイアフラムの変形を電気的に検出するセンサ部(4)とを備えることを特徴とする。
また、前記圧力センサ素子において、前記保護膜部材が、前記第1の面の少なくとも一部分に所定の引張り接着強さで着脱可能に付着しているように構成してもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記所定の引張り接着強さの上限が、100N/mであるように構成してもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記保護膜部材およびこれと接触する部材の少なくとも一方に、互いの接触面積を調整するための加工を施してもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記保護膜部材の厚さの上限を、前記ダイアフラムにおける前記変形する領域の厚さの0.34%としてもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記保護膜部材を、前記ダイアフラムと同等の耐熱性および耐食性を少なくとも有する材料から形成してもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記ダイアフラムと前記保護膜部材とは、同一の材料を主成分とし、前記材料は、サファイア、多結晶アルミナまたはニッケル基合金であってもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記ダイアフラムと前記保護膜部材とが、異なる材料を主成分とし、前記ダイアフラムは、サファイア、多結晶アルミナまたはニッケル基合金のいずれか1つを主成分とし、前記保護膜部材は、サファイア、ニッケル基合金またはフッ素樹脂のいずれか1つを主成分からなるように構成してもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記第2の面と対向する第3の面をもつ台座をさらに備え、前記第2の面と第3の面とに前記センサ部を構成する一対の電極が配設されるように構成してもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記保護膜部材を、所定の温度において一部分が対向する前記第1の面と当接し他の部分が前記第1の面から離間するように構成してもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記ダイアフラムの前記第1の面を含む部分および前記保護膜部材の少なくとも一方が、熱的異方性をもつ結晶面を少なくとも1つ備える材料を主成分としてなり、前記ダイアフラムと前記保護膜部材とにおける互いに対向する一対の表面の少なくとも一方は、少なくとも一部が前記結晶面と平行に形成されるように構成してもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記ダイアフラムの前記第1の面を含む部分および前記保護膜部材が、前記材料を主成分としてなり、前記互いに対向する一対の表面の少なくとも一部が、少なくとも1つの前記熱的異方性をもつ結晶面のなかの同一の結晶面とそれぞれ平行に形成され、前記保護膜部材が、前記熱的異方性をもつ結晶面の法線と不一致の一結晶軸を前記同一の結晶面に投影した線が自身と前記ダイアフラムの前記第1の面とで重ならない位置に配置されるように構成してもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記ダイアフラムの前記第1の面を含む部分および前記保護膜部材が、前記熱的異方性をもつ結晶面を少なくとも2つ備える材料、または、前記熱的異方性をもつ結晶面と熱的異方性をもたない結晶面とを備える前記材料を主成分としてなり、前記互いに対向する一対の表面の少なくとも一部が、少なくとも2つの前記熱的異方性をもつ結晶面のなかの異なる結晶面とそれぞれ平行に形成され、または、前記互いに対向する一対の表面の一方が、前記熱的異方性をもたない結晶面と平行に形成されるように構成してもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記熱的異方性をもつ結晶面を少なくとも1つ備える材料がサファイアであってもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記ダイアフラムの前記第1の面を含む部分および前記保護膜部材のいずれか一方が、前記熱的異方性をもつ結晶面を備えるサファイアからなり、他方は、多結晶アルミナであってもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記保護膜部材を、熱膨張係数の異なる材料が積層されてなるように構成してもよい。
さらに、前記圧力センサ素子において、前記熱膨張係数の異なる材料が、ニッケル基合金であってもよい。
また、前記圧力センサ素子において、前記保護膜部材が、前記ダイアフラムの外形寸法より小さな複数の小片から形成され、これら複数の小片が前記ダイアフラムの前記第1の面に単層状に載置され又は交互に積層されてもよい。
さらに、上記問題を解決するための本発明に係る圧力センサは、前記圧力センサ素子と、前記ダイアフラムとともに圧力測定対象である流体が流出入する空間を画成するケーシングと、前記ケーシングに圧力センサ素子を支持する支持部材とを備えることを特徴とする。
また、前記圧力センサにおいて、前記圧力センサを用いた静電容量式圧力センサであってもよい。
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記している。
本発明によれば、圧力変動に対する応答性を確保しつつ、ダイアフラム表面に堆積する物質によってもたらされるセンサ出力のゼロ点シフトが好適に低減された圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサを提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図2は、図1におけるX部分の拡大断面図である。 図3は、図1におけるX部分の拡大断面図である。 図4は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図5は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子を備えた静電容量式の圧力センサの縦断面図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子の動作態様を示した縦断面図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る圧力センサ素子の動作態様を示した縦断面図である。 図9は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図10は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図11は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図12は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図13は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図14は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図15は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図16は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図17は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図18は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の動作態様を示した縦断面図である。 図19は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の動作態様を示した縦断面図である。 図20は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の動作態様を示した縦断面図である。 図21は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図22は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図23は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図24は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の動作態様を示した縦断面図である。 図25は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の動作態様を示した縦断面図である。 図26は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の動作態様を示した縦断面図である。 図27は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図28は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。 図29は、本発明の他の実施の形態に係る圧力センサ素子の縦断面図である。
本発明の好ましい実施の形態である、第1の実施の形態から第6の実施の形態を図1から図29に基づいて説明する。なお、説明文中の前後方向、上下方向および左右方向は、各図に示された圧力センサ素子1A、1B、1C、1D、1E、1Fおよび圧力センサ100A、100B、100C、100D、100E、100Fの紙面に対する奥行き方向、上下方向および左右方向としてそれぞれ定義する。また、各図は概念図であって、図示された内容は、必ずしも実際の圧力センサ素子および圧力センサと一致するものではない。例えば、縦横比は実際のものと相違し、また、各部品のスケールは必ずしも同一ではない。
≪第1の実施の形態≫
はじめに、本発明の好ましい実施の形態の1つである静電容量式の圧力センサ素子1Aおよびこれを用いた静電容量式の圧力センサ100Aを、第1の実施の形態として図1から図8に基づいて説明する。
〔圧力センサ素子1Aの構成〕
先ず、圧力センサ100Aに組み込まれて使用される圧力センサ素子1Aの構成を、縦断面図である図1に基づいて説明する。
圧力センサ素子1Aは、被測定流体Lの圧力変化を機械的変位として捉え、さらにこの機械的変位を電気信号(例えば、電圧信号)として検出する要素である。圧力センサ素子1Aは、例えば、平面視において1cm角の略正方形を呈した薄板形状を有し、図1に示すように、ダイアフラム2と、このダイアフラム2と連接して容量室C1を形成する台座3と、容量室C1の内部に収容されたセンサ電極部4(このセンサ電極部4は、特許請求の範囲に記載の「センサ部」に相当する)と、後述する圧力センサ100Aの構成要素である電極リードピン41との間で電気的に接続するコンタクトパッド5とから主に構成されている。さらに、ダイアフラム2の表面、より具体的に、後述する導入部20Vと連通することで被測定流体Lが流出入する空間C2と対向する表面には、その全部または一部を覆うように保護膜部材10Aが設けられている。
[ダイアフラム2]
ダイアフラム2は、真空圧に維持された容量室C1と被測定流体Lが流出入する空間C2とを隔離する境界壁を形成し、かつ被測定流体Lの圧力変化に応じて変形する機械的要素であって、例えば、酸化アルミニウムの単結晶体であるサファイア、多結晶アルミナまたはニッケル基合金のいずれか1つを主成分とした材料から形成されている。このダイアフラム2は、その略中央に配設された被測定流体Lの圧力変化に応じて変形するセンシング部2aと、センシング部2aの外縁部と連接してこれを支持する固定部2bとから構成されている。
センシング部2aは、薄い円盤状を呈し、その軸心が、圧力センサ素子1Aの軸心(この軸心は(後述する圧力センサ100Aの軸心と同軸である)と一致するように配設されており、空間C2に面することで被測定流体Lの圧力を受ける受圧面2aa(この受圧面2aaは、特許請求の範囲に記載の「第1の面」の一部を形成する)と、この受圧面2aaの裏面に位置しかつ台座3とともに容量室C1を画成する測定面2ab(この測定面2abは、特許請求の範囲に記載の「第2の面」の一部を形成する)とを備える。受圧面2aaは、例えば、外径寸法D2aaの円形状を呈し、その略全領域に、詳細については後述する薄膜状の保護膜部材10Aが付着している。また、測定面2abは、例えば外径寸法D2abの円形状を呈し、その略中央にセンサ電極部4(より具体的には、後述する可動電極4a)が貼設されている。なお、受圧面2aaの外径寸法D2aaと測定面2abの外径寸法D2abとが異なる場合、被測定流体Lの圧力を受けて撓む部分は、これら2つの外径寸法のうちの小さい方によって形成される領域(図1においては、D2aa>D2abであることから、直径が測定面2abの内径寸法D2abで高さがダイアフラム2の厚みT2である円筒部分として形成される領域)となる。以下、この領域を、特に「変形領域2aα」と称することがある。
固定部2bは、略水平な上下面を有し、さらにその外側壁が平面視1cm角の四角柱の側壁をなしている。また、センシング部2aとの接続部が形成された内側壁面は、例えば、受圧面2aaと連接する側が、受圧面2aaの外径寸法D2aaに等しい内径寸法をもつ第1円筒内周壁面2w1によって形成され、測定面2abと連接する側が、測定面の外径寸法D2abに等しい内径寸法をもつ第2円筒内周壁面2w2によって形成されている。ここで、第1円筒内周壁面2w1は、空間C2を画成する壁部の一部を形成し、第2円筒内周壁面2w2は、容量室C1を画成する壁部の一部を形成している。また、前記接続部は、センシング部2aの変形態様において、固定端として機能する。
[台座3]
台座3は、ダイアフラム2を支持しつつ、上述したように、ダイアフラム2(より具体的には、ダイアフラム2の測定面2abおよび第2円筒内周壁面2w2)とともに、センサ電極部4が収容される容量室C1を画成する部位であって、平面視1cm角の薄板部材からなる。容量室C1に面する台座3の固定面3aには、センサ電極部4(より具体的には、後述する固定電極4b)が貼設されている。
[センサ電極部4]
センサ電極部4は、ダイアフラム2の変形を電気的に検出する電気素子であって、上述したように、ダイアフラム2の測定面2abに貼設された可動電極4aと台座3の固定面3aに貼設された固定電極4bとを備える。これら可動電極4aと固定電極4bとは、所定の静電容量をもつコンデンサを構成している。
[コンタクトパッド5]
コンタクトパッド5は、センサ電極部4との間で電気的に接続する部位であって、台座3の固定面3aと反対側に位置する面上に配設された一対のコンタクトパッド5a、5bから構成されている。これら一対のコンタクトパッド5a、5bは、例えば、金又は白金から形成されており、それぞれが、所定の配線(図示せず)を通じて、容量室C1内に配設された可動電極4aおよび固定電極4bと電気的に接続している。
[保護膜部材10A]
センシング部2aのうちの空間C2に対向する面、すなわち、受圧面2aaには、その全部または一部を覆うように、平面視略円形状の金属製の薄膜部材からなる保護膜部材10Aが付着している。この保護膜部材10Aの外周縁は、第1円筒内周壁面2w1と相補的な形状を呈し、その外径寸法D10Aは、組付け性の観点から、受圧面2aaの外径寸法D2aaに比べてやや小さく設定されている。また、信頼性の観点から、ダイアフラム2と同等の耐熱性および耐食性を備えていることが望ましい。本実施の形態における保護膜部材10Aは、その主成分がダイアフラム2の主成分と同一の材料、すなわち、サファイア、多結晶アルミナまたはニッケル基合金のいずれか1つから形成されている。
保護膜部材10Aは、ダイアフラム2と所定の力(以下、「付着力f」と称することがある。)を伴って付着していることが望ましい。この付着力fは、保護膜部材10Aに作用する力、具体的には、成膜物質から生成された膜の内部応力に起因する力とその他の力、例えば、被測定流体Lが空間C1に流出入する際に作用する力とのバランスに基づいてその大きさを設定するとよい。例えば、前者の力が作用すると保護膜部材10Aはダイアフラム2から剥離するが後者の力によってはダイアフラム2から剥離することがないように設定される。このようにして設定された望ましい付着力fは、例えばその上限値が、引張り接着強さで100N/mである。また、保護膜部材10Aがダイアフラム2の下方に位置する姿勢で圧力センサ素子1Aおよびこれが組み込まれた圧力センサ100Aが設置された場合に、保護膜部材10Aが自重によって剥離することが無いよう、その下限値は、例えば保護膜部材10Aの重量に相当する力として設定される。
なお、保護膜部材10Aに作用する膜の内部応力と同付着力fとの関係は、以下のように考えることができる。すなわち、膜の内部応力(例えば、引張応力または圧縮応力)は、膜Saが生成された保護膜部材10Aの表面に作用することで、両端を引き寄せまたは引き離すように曲げモーメントM1を生じさせる。他方、付着力fに起因した荷重(保護膜部材10Aがダイアフラム2から剥離するときに印加される荷重)が保護膜部材10Aに作用すると、曲げモーメントM2が生じる。曲げモーメントM2が曲げモーメントM1よりも小さくなるように(換言すれば、付着力fに起因した荷重が曲げモーメントM1を生じさせる荷重よりも小さくなるように)付着力fを設定すれば、膜の内部応力に起因した曲げモーメントM1が保護膜部材10Aに生じた際、当該保護膜部材10Aはダイアフラム2から剥離する。ここで、膜の内部応力に起因した曲げモーメントM1は、保護膜部材10Aのたわみを梁のたわみとして近似したときの関係式σ= M/Z(σ:保護膜部材10Aの最大応力(膜の内部応力)、Z:保護膜部材10Aの断面係数)から近似的に求めることができる(事項1)。また、付着力fに起因する荷重は、曲げモーメントM2と相関関係がある。すなわち、付着力fに起因する荷重と曲げモーメントM2とは、一方を他方の関数として表すことができる関係にある(事項2)。これら2つの事項と曲げモーメントM2は曲げモーメントM1より小さいといった事項とから、付着力fと膜の内部応力との関係(一方が他方の関数として表される関係)を近似的に定めることができる。
ここで、保護膜部材10Aとダイアフラム2とが同一の材料を主成分とする場合には、表面自由エネルギを通じて比較的強い力で付着する。このため、接触する2つの面の接触面積、例えば、図1に示す圧力センサ素子1Aにおいては、ダイアフラム2の受圧面2aaと保護膜部材10Aの接触面10Aaとの接触面積である直径D10Aの円形領域の面積が比較的大きく、かつともに平滑面である場合には、所望の付着力f(例えば、引張り接着強さが100N/mに相当する付着力f)よりも大きな力で付着することがある。この場合、受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積を小さくすることで、付着力fが所望の値となるように調整してもよい。当該調整を行うために、例えば、以下に示す第1の加工ないし第4の加工を適所に施すとよい。
<a>.受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積を調整するための第1の加工
例えば、接触する2つの面のうちの少なくとも一方を所定の粗さ(例えば、算術平均粗さ(Ra)が数μm程度)となるように加工する。これにより、平滑状態で接触する場合に比べて互いが接触する面積が小さくなり、付着力f(接着強さ)が低くなるように調整することができる。この第1の加工は、例えば、機械加工によって実施される。図2に、保護膜部材10Aの接触面10Aaの表面を、所定の粗さとしたときの概念図を示す。なお、接触面10Aaの表面を粗く加工することに代えて、ダイアフラム2の受圧面2aaを所定の粗さに加工してもよい。
<b>.受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積を調整するための第2の加工
また、保護膜部材10Aの接触面10Aaに、凹凸を設ける第2の加工を施してもよい。この凹凸は、例えば図3に示すように、接触面10Aaに形成された縦断面形状が略矩形状の凸部10Acおよび凹部10Adから形作られる。凸部10Acおよび凹部10Adは、例えば、フォトリソグラフィ等の微細加工や蒸着等の成膜加工を通じて、接触面10Aaの一部分に保護膜部材10Aと同一の材料を付着等させることで形成され、および/または、接触面10Aaの一部分を切削することで形成される。ここで、接触面10Aaの一部分に保護膜部材10Aと同一の材料を蒸着等により付着させることで形成される凸部10Acは、ダイアフラム2と保護膜部材10Aとを接着する接着部材として機能する。凸部10Acおよび凹部10Adの形態(縦断面形状および横断面形状ならびにその配置等)は、ダイアフラム2の受圧面2aaと保護膜部材10Aの接触面10Aaとの接触面積を小さくする形態であれば特定のものに限定されない。例えば、縦断面形状は、図3に示す矩形状の他に、略三角形や略半円を呈していてもよい。また、横断面形状ならびにその配置は、水平面に沿って延在する溝状の形態であってもよいし、柱状または錘状に突出しおよび窪んだ形態であってもよい。さらに、凸部10Acおよび凹部10Adが溝状の形態である場合には、直線状または曲線状に延在する複数の溝が、平行に配列され、または格子状に配列され、もしくは放射状に配列されてもよいし、ランダムに配置されてもよい。凸部10Acおよび凹部10Adが柱状または錘状に突出しおよび窪んだ形態である場合には、複数の凸部10Acおよび凹部10Adが、一定の間隔で所定の形をなすように配置され、またはランダムに配置されてもよい。
なお、図で示していないが、保護膜部材10Aの接触面10Aaに設けた凹凸に代えて、またはこの凹凸とともに、ダイアフラム2の受圧面2aaに凹凸を設けてもよい。この凹凸は、凸部10Acおよび凹部10Adと同一の形態または異なる形態の凸部2c(図示せず)および凹部2d(図示せず)からなる。ここで、受圧面2aaの一部分にダイアフラム2と同一の材料を蒸着等により付着させることで形成される凸部2cは、上記凸部10Acと同様に、ダイアフラム2と保護膜部材10Aとを接着する接着部材として機能する。なお、受圧面2aaに凹凸(図示しない凸部2cおよび凹部2d)を設ける場合には、センシング部2aの変形への影響、すなわち、ダイアフラム2の剛性を考慮してその形態を決定することが望ましく、また、接触面積が増加しないよう、互いが係合しない形状および位置に設けることに留意することが好ましい。
<c>.受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積を調整するための第3の加工
プレス等の機械加工や、上記微細加工および成膜加工等によって、保護膜部材10Aを、例えば、図4に示すように、膜厚を略一定に保ちながら縦断面形状において凸部10Ac´および凹部10Ad´を形成する第3の加工を施してもよい。当該第3の加工によれば、簡易かつ保護膜部材10Aの強度を下げることなく受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積を調整することができる。凸部10Ac´および凹部10Ad´の形態(縦断面形状および横断面形状ならびにその配置等)は、ダイアフラム2の受圧面2aaと保護膜部材10Aの接触面10Aaとの接触面積を小さくする形態であれば特定のものに限定されない。例えば、図4に示す縦断面形状の凸部10Ac´および凹部10Ad´が水平面に沿って延在する溝状の形態であってもよいし、同凸部10Ac´および凹部10Ad´が柱状または錘状に窪んだ形態であってもよい。また、縦断面形状は、略台形状の他に、矩形状、略三角形および略半円を呈していてもよい。さらに、凸部10Ac´および凹部10Ad´が溝状の形態である場合には、直線状または曲線状に延在する複数の溝が、平行に配列され、または格子状に配列され、しもしくは放射状に配列されていてもよいし、ランダムに配置されていてもよい。凸部10Ac´および凹部10Ad´が柱状または錘状に窪んだ形態である場合には、複数の凸部10Ac´および凹部10Ad´が、一定の間隔で所定の形をなすように配置され、またはランダムに配置されてもよい。
<d>.受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積を調整するための第4の加工
また、受圧面2aaに代わって接触面10Aaと接触する当接面2baを設けるための第4の加工を、ダイアフラム2に施してもよい。このとき、当接面2baの表面積を調整することで、付着力fを調整することができる。例えば、接触面10Aaとの接触面積が、受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積よりも小さくなるように当接面2baの表面積を調整する。これにより、付着力fが低くなるように調整することができる。
当接面2baは、例えば図5に示すように、ダイアフラム2の固定部2bに形成される。具体的には、固定部2bの第1円筒内周壁面2w1の一部切削等によって階段状に加工し、この階段状の部分の上面に略水平面からなる当接面2baを形成する。当接面2baは、例えば、その平面視形状が円環状を呈し、その外周縁は、保護膜部材10Aの外周縁と相補的な形状を呈している。また、当接面2baと受圧面2aaとの間には、高さTcの段差が形成され、受圧面2aaと接触面10Aaとが静的な状態(ダイアフラム2の受圧面2aaと測定面2abとの間に圧力差が生じていない状態)にあるとき、当該高さTcだけ互いが離間して非接触となる。
ここで、当接面2baの内周縁は、その内径寸法d2baが、例えば、測定面2abの外形寸法D2abよりも大きくなるように形成されている。このような形態の内周縁を備えることで、センシング部2a(変形領域2aα)の外側に当接面2baが形成されることになる。また、受圧面2aaからの高さTcは、例えば保護膜部材10Aの厚みT10Aと同等以下に設定されている。さらに、当接面2baの内周縁側壁には、逆錘台状の面取りRが形成されている。このような形態の当接面2baを備えることで、保護膜部材10Aは、被測定流体Lの圧力が印加された際に、方当たりすることなく受圧面2aa(より具体的には、センシング部2a(変形領域2aα)における空間C2と対向した面)の略全面に当接することとなる。これにより、被測定流体Lの圧力は、保護膜部材10Aを通じて望ましい形(例えば等分布荷重)でセンシング部2a(変形領域2aα)へと伝達され、保護膜部材10Aが介在しないときと同程度の測定精度を維持することができる。
以上の加工を施すことで、受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積を小さくして付着力fを所望の値に調整することができる。なお、上記調整のための第1ないし第4の加工は、必要に応じて適宜実施すればよく、本実施の形態において必ず実施されるものではない。また、各加工のいずれか1つを実施してもよいし、重畳的に実施してもよい。
保護膜部材10Aの厚さT10Aは、例えば以下のようにして設定される。すなわち、
ダイアフラム2と保護膜部材10Aとが同一材料を主成分とする本実施の形態においては、当接するこれら2つの部材が一体となって変形することが想定される。このため、保護膜部材10Aの厚みがダイアフラム2の変形態様、換言すれば圧力測定の精度(圧力感度)に影響を与えることがある。本実施の形態では、例えば当該影響が1%以下となるように、保護膜部材10Aの厚さT10Aが設定される。具体的には、ダイアフラム2と保護膜部材10Aとが同一の材料(縦弾性係数が等しい材料)を主成分とする本実施の形態においては、ダイアフラム2と保護膜部材10Aとが一体となった形態の断面二次モーメントI1がダイアフラム2単体の形態における断面二次モーメントI2の1.01倍以下となるように厚さT10Aが設定される。このときの厚さT10Aは、ダイアフラム2の厚みT2の0.34%以下となる。
〔圧力センサ100Aの構成〕
次に、圧力センサ素子1Aが組み込まれた静電容量式の圧力センサ100Aの構成を、縦断面図である図6に基づいて説明する。
圧力センサ100A は、圧力センサ素子1Aと、ケーシング20と、ケーシング20内に収容された台座プレート30と、この台座プレート30に接合しかつケーシング20に橋架された支持ダイアフラム40と、ケーシング20内外を導通接続する電極リード部50とを備える。
[ケーシング20]
ケーシング20は、圧力センサ100Aの外枠(筐体)を形成するとともに、後述する台座プレート30および支持ダイアフラム40を介して圧力センサ素子1Aを支持し、また、被測定流体Lが流出入する導入部20Vを画成する部位である。ケーシング20は、例えば、アッパーハウジング21、ロアハウジング22およびカバー23が、当該順序で積み重なるようにして構成されている。アッパーハウジング21、ロアハウジング22およびカバー23は、例えば、耐食性の金属であるインコネルからなり、対向する部位が溶接により接合されている。
アッパーハウジング21は、径の大きな大径円筒部21aと径の小さな小径円筒部21bとから形成され、かつこれら2つの部分が同軸となるように連結する円筒状の部位である。大径円筒部21aの下部開口端には、支持ダイアフラム40を介してロアハウジング22の上部開口端が接続する。また、小径円筒部21bの内周壁は、被測定流体Lが流入する導入部20Vを画成する。
ロアハウジング22 は、アッパーハウジング21とカバー23との間に介在する略円筒体形状を呈した部位であり、その上部開口端は、上述したように、支持ダイアフラム40を介してアッパーハウジング21の下部開口端と接続し、その上部開口端は、カバー23と接続する。また、ロアハウジング22 は、カバー23、支持ダイアフラム40、台座プレート30および圧力センサ素子1Aとともにケーシング20内に独立した真空の基準真空室20Wを画成する。なお、基準真空室20Wには、所望の真空度を維持するために、いわゆるゲッター( 図示せず) と呼ばれる気体吸着物質が充填されている。また、上部開口端近傍における内周側壁面の適所には、ストッパ22aが突設されている。ストッパ22aが設けられていることで、被測定流体Lの急激な圧力上昇により台座プレート30 が過度に変移することが規制される。
カバー23は、略円盤状のプレートからなり、カバー23の所定位置には電極リード挿通孔23aが形成されている。電極リード部50は、ハーメチックシール60を介して電極リード挿通孔23aに埋め込まれることで、所定のシール性が確保されている。
[台座プレート30]
台座プレート30は、圧力センサ素子1Aを支持する部位であって、第1の台座プレート31と第2の台座プレート32とから構成されている。台座プレート30は、後述する支持ダイアフラム40を通じてケーシング20 に橋架されるように支持されている。
第1の台座プレート31および第2の台座プレート32は、例えば、酸化アルミニウムの単結晶体であるサファイアからなる。第1の台座プレート31および第2の台座プレート32は、いずれもケーシング20の内面から離間した位置にあって、前者は支持ダイアフラム40の上面に接合され、後者は支持ダイアフラム40の下面に接合されている。ここで、第1および第2の台座プレート31、32は、支持ダイアフラム40の厚さに対して十分に厚くなっており、これにより、台座プレート30の熱膨張率と支持ダイアフラム40の熱膨張率との相違に起因した熱応力によって、台座プレート30が反るのを防止している。
第1の台座プレート31および第2の台座プレート32は、その略中央に、圧力センサ素子1Aが備えるダイアフラム2の受圧面2aaが対向する空間C2と被測定流体Lが流入する導入部20Vとを連通させるための導入孔31aおよび導入孔32aが開口している。また、第2の台座プレート32の下面には、導入孔32aと空間C2とが連通するように、圧力センサ素子1Aが酸化アルミニウムベースの接合材を介して接合されている。なお、第2の台座プレート32と圧力センサ素子1Aとの接合は、周知の方法によって実施されればよく、その説明は割愛する。
[支持ダイアフラム40]
支持ダイアフラム40は、上述したように、ケーシング20を通じて台座プレート30を橋架するために設けられた部位であって、インコネルの薄板からなり、その形状は、ケーシング20の外周縁形状、具体的には、アッパーハウジング21の下部開口端およびロアハウジング22の上部開口端の外周縁形状と整合した形状を有する。支持ダイアフラム40は、上面に第1の台座プレート31が接合され下面に第2の台座プレート32が接合された状態で、その外周部(周囲縁部)がアッパーハウジング21の下部開口端およびロアハウジング22の上部開口端に挟まれながら溶接等により接合されている。なお、支持ダイアフラム40の厚さは、例えば本実施形態の場合数十ミクロンであって、第1および第2の台座プレート31、32より十分に薄い厚さとなっている。また、支持ダイアフラム40の中央部には、導入孔31aおよび導入孔32aとともに、ダイアフラム2の受圧面2aaが対向する空間C2と被測定流体Lが流入する導入部20Vとを連通させるための導入孔40aが開口している。
[電極リード部50]
電極リード部50は、電極リードピン51と金属製のシールド52とを備え、電極リードピン51は金属製のシールド52にガラスなどの絶縁性材料からなるハーメチックシール53によってその中央部分が埋設され、電極リードピン51の両端部間で気密状態を保っている。そして、電極リードピン51の一端はケーシング20の外部に露出しており、図示しない配線によって圧力センサ100Aの出力を、外部の信号処理部に伝達するように構成されている。なお、シールド52とカバー23との間にも上述の通りハーメチックシール53が介在している。また、電極リードピン51の他方の端部には導電性を有するコンタクトバネ55、56が接続されている。
コンタクトバネ55、56は、導入部20V から被測定流体Lが急に流れ込むことで生じる急激な圧力上昇に起因して圧力センサ素子1Aが変移した場合(より具体的には、上記圧力上昇により支持ダイアフラム40を通じてケーシング20に橋架されている台座プレート30が変移し、これに支持された圧力センサ素子1Aが変移した場合)、この変移を吸収して圧力センサ素子1Aの測定精度に影響が及ばないように設けられた部位である。
〔圧力センサ100Aの動作態様〕
次に、圧力センサ素子1Aが組み込まれた圧力センサ100Aの動作態様について説明する。なお、以下の説明では、圧力センサ100Aは、ALD成膜装置内の所定の場所に取付けられた真空計であることを前提とする。
上記構成からなる圧力センサ素子1Aおよびこれが組み込まれた圧力センサ100Aにおいては、所定の圧力を有する被測定流体Lが、圧力センサ100Aの導入部20Vに流入したのち、空間C2を通じてダイアフラム2の受圧面2aaに到達する。このとき、ダイアフラム2は、受圧面2aaと真空圧が維持された容量室C1に面した測定面2abとの間に圧力差が生じて変形する。ダイアフラム2が変形すると、測定面2abに配設された可動電極4aは、台座3の固定面3aに配設された固定電極4bに向けて変位し、これら2つの電極間の距離が縮まる。この結果、可動電極4aと固定電極4bとから構成されたセンサ電極部4の静電容量が変化する。このセンサ電極部4の静電容量の変化に対応した電気信号(例えば、電圧信号)は、電極リード部50を通じて圧力センサ100A の外部に設けられた信号処理部へと伝達され、この信号処理部において、既存の方法によって被測定流体Lの圧力が算出(計測)される。
ここで、ALD成膜装置内を流れる被測定流体Lには、ウェハ等の基板上に所定の成分からなる膜を生成するための物質(以下、「成膜物質S」と称する。)が含まれている。この成膜物質Sは、被測定流体Lが配管およびチャンバーの内部空間を通過する過程で、これら内部空間を画成する壁部に衝突して、その一部が壁部表面に付着する。このため、被測定流体Lが流出入する空間C2を画成するダイアフラム2の表面、すなわち、ダイアフラム2の受圧面2aaに貼設された保護膜部材10A(より具体的には、空間C2に面した保護膜部材10Aの接触面10Ab)には、成膜物質Sが付着して時間とともに堆積する。
保護膜部材10A(接触面10Ab)に付着した成膜物質Sは、冒頭の「背景技術」のこところでも述べたように、連続的な化学反応をともないながら膜Saを形成し、かつ比較的強い力で保護膜部材10A(より具体的には、接触面10Ab)に凝着する。この化学反応をともなう成膜過程においては、分子間または結晶格子間で作用する力、いわゆる膜の内部応力が発生する。この膜の内部応力は、接触面10Abを通じて強い力で凝着した保護膜部材10Aに作用し、保護膜部材10Aを変形させる。具体的には、引張応力が強い内部応力の場合には、その反作用の力により膜が収縮して保護膜部材10Aの両端を引き寄せ、結果として周縁部が反り上がるような形状(以下、「凹形状」と称する。)に保護膜部材10Aを変形させる(図7参照)。圧縮応力が強い内部応力の場合には、その反作用の力によって膜が伸長して保護膜部材10Aの両端を引き離し、結果として中央部が盛り上がった形状(以下、「凸形状」と称する。)に保護膜部材10Aを変形させる(図8参照)。なお、引張応力が強い内部応力であるか圧縮応力が強い内部応力であるかは、成膜物質Sの成分(構成元素等)や、成膜物質Sが堆積する位置および量によって変化する。
ここで、本発明に係る圧力センサ素子1Aにおいては、ダイアフラム2と保護膜部材10Aとが、受圧面2aaと接触面10Aaとを通じて、所定の付着力f(例えば、100N/m以下の引張り接着強さに相当する付着力f)で付着している。この付着力fは、成膜物質Sから生成された膜Saと保護膜部材10Aとの凝着力よりも小さく、かつ、上述したように、成膜物質Sから生成された膜Saの内部応力が作用する保護膜部材10Aが凸形状または凹形状に変形するとダイアフラム2から離れように設定されている。このため、膜Saの内部応力によって保護膜部材10Aが変形しても、ダイアフラム2は、この保護膜部材10Aの変形に追従して変形する前に、保護膜部材10Aとの付着状態が解放される(ダイアフラム2から保護膜部材10Aが剥離する)。例えば、引張応力が強い内部応力の場合には、図7に示すように、膜Saが生成された保護膜部材10Aが凹状に変形するのみであってダイアフラム2が変形することはない。また、圧縮応力が強い内部応力の場合は、図8に示すように、膜Saが生成された保護膜部材10Aが凸状に変形するのみであってダイアフラム2が変形することはない。
〔効果〕
上記構成の本発明(圧力センサ素子1Aおよびこれを用いた圧力センサ100A)によれば、被測定流体Lに含まれる含有物質は、保護膜部材10Aの上に堆積することになる。このため、例え当該含有物質が成膜物質Sであっても、生成される膜Saの内部応力(引張応力または圧縮応力)は、保護膜部材10Aを通じてダイアフラム2に作用する(換言すれば、ダイアフラム2に膜の内部応力が直接作用することはない)。ここで、保護膜部材10Aは、ダイアフラム2と付着力fによって付着しているが、この付着力fは、上述したように、膜の内部応力が保護膜部材10Aに作用すると、当該保護膜部材10Aがダイアフラム2から剥離するように設定されている。このため、ダイアフラム2は、保護膜部材10Aを通じて作用する膜の内部応力によって変形することはない。このように、本発明に係る圧力センサ素子1Aおよびこれを用いた圧力センサ100Aによれば、膜の内部応力に起因したセンサ出力のゼロ点シフトを低減することができる。
また、上記構成の本発明によれば、ダイアフラム2の受圧面2aaを覆う保護膜部材10A、10B、10Cを設けるといった簡易な構造によって上記効果がもたらされる。加えて、当該構造は、被測定流体Lの流れの抵抗を増大させる要因を一切含んでいない。このため、上記構成の本発明によれば、上記効果を、低廉かつ応答性の高い圧力センサ素子および圧力センサによって実現することができる。
さらに、保護膜部材10A、10B、10Cは、所定の厚みのある金属製の薄膜部材からなるため、例え成膜物質等の化学物質を多く含む被測定流体Lにさらされても、受圧面にコーティングされた薄膜のように粒子状に剥離することがない。このため、上記効果を長時間維持することができる。また、圧力センサ素子1Aは、当該保護膜部材10A、10B、10Cを通じて受圧面2aaが保護されるため、これら部材が無い場合に比べて相対的に寿命が増大する。加えて、着脱自在な保護膜部材10A、10B、10Cを適宜交換することによっても、圧力センサ素子1Aの効果を長時間維持することができる。
また、上記構成の本発明においては、新たに設けられた保護膜部材10Aが、サファイア、多結晶アルミナまたはニッケル基合金といった、従来から用いられている材料のいずれか1つから形成されている。さらに、保護膜部材10Aとダイアフラム2とを接着部材を要せず、または要するとしても上記従来から用いられている材料からなる接着部材(例えば蒸着等により付着された凸部10Ac)を用いて付着させるように構成されている。当該構成によれば、本発明を構成する各要素と被測定流体Lに含まれる成膜物質等とが化学反応を起こして想定外の副生成物を生成させるリスクを可及的に小さく抑えることができる。また、上述したように、コーティングされた薄膜のように粒子状に剥離しないため、保護膜部材10Aから新たな汚染物質が生成されることもない。これにより、高い信頼性を有する圧力センサ素子1Aおよびこれを用いた圧力センサ100Aを提供することができる。
≪第2の実施の形態≫
つぎに、本発明の好ましい第2の実施の形態である静電容量式の圧力センサ素子1Bおよびこれを用いた静電容量式の圧力センサ100Bを、図9から図11に基づいて説明する。この圧力センサ素子1Bは、保護膜部材の材料、および後述する所定の措置を講じるための特別な構成を有すること以外は、その構成が第1の実施の形態に係る圧力センサ素子1Aと同一である。このため、上述した圧力センサ素子1Aと同一の構成については、同じ符号を付するとともに、特に必要でない限りその説明を割愛する。また、圧力センサ素子1Bが組み入れられた圧力センサ100Bは、圧力センサ素子1Bを除いて上述した第1の実施の形態である圧力センサ100Aと同一である。このため、圧力センサ100Bについては、図6のなかに併記するとともに、その説明を割愛する。
図9に示す圧力センサ素子1Bは、保護膜部材10Bが、ダイアフラム2と異なる金属材料を主成分とすることを特徴とする。ダイアフラム2は、第1の実施の形態に係る圧力センサ素子1Aと同じく、サファイア、多結晶アルミナまたはニッケル基合金のいずれか1つを主成分とした材料から形成されている。これに対し、保護膜部材10Bは、例えば、ダイアフラム2がサファイアを主成分とする場合にはニッケル基合金を主成分とした材料から形成され、ダイアフラム2が多結晶アルミナを主成分とする場合にはサファイアまたはニッケル基合金のいずれか1つを主成分とした材料から形成され、ダイアフラム2がニッケル基合金を主成分とする場合にはサファイアを主成分とした材料から形成されている。また、保護膜部材10Bは、材料以外の形態は保護膜部材10Aと同一であって、受圧面2aaの略全領域を覆う大きさの平面視略円形状を呈した金属製の薄膜部材からなる。
ここで、互いが異なる材料を主成分とするダイアフラム2と保護膜部材10Bとは、互いが同一の材料を主成分とするダイアフラム2と保護膜部材10Aとに比べて、表面自由エネルギを通じて引き合う力が相対的に小さくなる。このため、ダイアフラム2の受圧面2aaと保護膜部材10Bの接触面10Baとを所望の付着力fで接着させるために、例えば静電気力を用いて互が付着するように構成してもよい。
また、接触面積によっては、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとが所望の付着力fで付着させることが容易ではなく、膜の内部応力以外の外力によってダイアフラム2から保護膜部材10Bが剥離することも想定される。このため、当該外力が作用しても、ダイアフラム2から保護膜部材10Bが剥離することを防止する措置、または保護膜部材10Bが剥離しても所定の位置に留まるようにその移動を規制する措置(以下、「剥離防止等措置」と称する。)を、表面自由エネルギや静電気力を用いること以外に、別途講じてもよい。これら剥離防止等措置として、例えば、以下に記す第1の剥離防止等措置および第2の剥離防止等措置が考えられる。
<i>.第1の剥離防止等措置
例えば、図10に示すように、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとの間の略全域に接着部材11Aを介在させ、接着部材11Aを通じて互いの付着力fを高めることで、ダイアフラム2から保護膜部材10Bが剥離することを防止するように構成してもよい。接着部材11Aは、例えば、蒸着またはスパッタリング等によって保護膜部材10Bの接触面10Baの略全域に形成され、ダイアフラム2の主成分と同一の材料からなる薄膜であってよい。また、接着部材11Aは、例えば、同じく蒸着またはスパッタリング等によってダイアフラム2の受圧面2aaの略全域に形成された保護膜部材10Bの主成分と同一の材料からなる薄膜であってよい。
同一材料を主成分とする接着部材11Aとダイアフラム2(または保護膜部材10B)とは、表面自由エネルギを通じて互いが比較的強く引き合うことになり、上記望ましい付着力f(例えば引張り接着強さ100N/mに相当する付着力f)で付着する。また、接着部材11Aと保護膜部材10B(またはダイアフラム2)とは、成膜過程のなかで接着部材11Aとダイアフラム2(または保護膜部材10B)との間の付着力fよりも強い力で凝着する。これにより、膜の内部応力以外の外力によってダイアフラム2から保護膜部材10Bが剥離することを防止できる。
ここで、ダイアフラム2の受圧面2aaと接着部材11Aの接着面11Aaとの接触面積、または保護膜部材10Bの接触面10Baと接着部材11Aの接着面11Aaとの接触面積の大きさによっては、第1の実施の形態と同様に、互いが想定以上の大きな力で付着することがある。この場合、第1の実施の形態において、保護膜部材10Aの接触面10Aaおよび/またはダイアフラム2の受圧面2aaに対して施された第1の加工ないし第3の加工を、保護膜部材10Bの接触面10Baおよび/または接着部材11Aの接着面11Aaおよび/またはダイアフラム2の受圧面2aaに対して施してもよい。例えば、接触面10Baおよび/または接着面11Aaおよび/または受圧面2aaを所定の粗さ(例えば、算術平均粗さ(Ra)が数μm程度)となるように加工する(第1の加工)。また、微細加工や成膜加工等によって接触面10Aaまたは受圧面2aaに接着部材11Aを部分的に形成することで接着面11Aaが凹凸となるように形成(加工)し、もしくは、接触面10Aaまたは受圧面2aaの一部を切削して凹凸に形成する(第2の加工)。また、保護膜部材10Bを、プレス等の機械加工微細加工および成膜加工等によって、膜厚を略一定としながら凸部および凹部が形成された形態に加工する(第3の加工)。これら加工により、受圧面2aaと接着面11Aaとの接触面積が小さくなるように調整し、付着力fを、例えば100N/m以下の引張り接着強さとなるように設定することができる。
上記第1の剥離防止等措置をとった際の保護膜部材10Bの厚さT10Bは、例えば以下のようにして設定される。すなわち、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとが、接着部材11Aを介して付着する場合には、被測定流体Lの圧力が印加されたときに、互いが一体となって変形することがある。このような事態を想定して、保護膜部材10Bの厚さT10Bは、第1の実施の形態と同じように設定されることが望ましい。具体的には、ダイアフラム2、保護膜部材10Bおよび接着部材11Aの縦弾性係数が等しいと仮定した上で、ダイアフラム2、保護膜部材10Bおよび接着部材11Aが一体化した形態の断面二次モーメントI3がダイアフラム2単体の形態における断面二次モーメントI2の1.01倍以下となるよう、保護膜部材10Bの厚さT10Bが設定される。例えば、保護膜部材10Bと接着部材11Aとが同じ厚みである場合には、保護膜部材10Bの厚さT10Bは、ダイアフラム2の厚みT2の0.17%以下に設定される。同じく、接着部材11Aの厚さT11Aは、ダイアフラム2の厚みT2の0.17%以下に設定される。
なお、接着部材11Aを、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤およびウレタン系粘着剤といった既存の粘着剤を基材に塗布した粘着シートからなる接着部材11Bとしてもよい。また、この接着部材11Bを、例えば、サファイアからなるダイアフラム2の受圧面2aaに好適に適合する材料と、ニッケル基合金からなる保護膜部材10Aの接触面10Aaに好適に適合する材料とを基材に塗布した多層構造の接着部材11Bとしてもよい。ここで、接着部材11Bが柔軟性の高い縦弾性係数の小さな材料からなる場合には、ダイアフラム2の変形にほとんど影響を与えない。この場合、接着部材11Bの厚みを特に考慮することなく、保護膜部材10Bの厚さT10Bを設定することができる。
<ii>.第2の剥離防止等措置
図11に第2の剥離防止等措置を講じた圧力センサ素子1Bを示す。この第2の剥離防止等措置は、保護膜部材10Bが、その外周縁部で接着部材11Cと付着し、その中央部は、ダイアフラム2の受圧面2aaと所定の距離(接着部材11Cの厚さhc)だけ離間して非接触となるように構成したことを特徴とする。接着部材11Cは、例えば、平面視略円環状で厚さhcの薄板金属片であって、保護膜部材10Bの主成分と同一材料からなり、ダイアフラム2の固定部2bにおける第1円筒内周壁面2w1の内側に、レーザ溶接等によって接合されている。
本実施の形態では、接着部材11Cが、センシング部2a(変形領域2aα)よりも外側に配設されるように、例えば、第1円筒内周壁面2w1の内径寸法、すなわち、受圧面2aaの外径寸法D2aaが測定面の外径寸法D2abよりも大きく設定されている。このため、接着部材11Cの外周縁は、第1円筒内周壁面2w1と相補的な形状をなし、かつその外径寸法は、第1円筒内周壁面2w1の内径寸法(D2aa)と略同値であり、またその内径寸法d11Caは、センシング部2a(変形領域2aα)を画定する測定面の外径寸法D2abよりも大きく設定されている。なお、接着部材11Cは、その厚みhcが保護膜部材10Bの厚みTB10よりも小さく、その内周縁に、面取りR´が施されている。
上記第2の剥離防止等措置をとることで、同一材料を主成分とする保護膜部材10Bと接着部材11Cとが、互いの表面自由エネルギを通じて比較的強く引き合うことになり、これにより、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとを所望の付着力fによって付着させることができる。
また、上記形態の接着部材11C、すなわち、センシング部2a(変形領域2aα)よりも外側に配設され、その厚みhcは薄く、内周縁に面取りR´が施されている接着部材11Cを通じてダイアフラム2と保護膜部材10Bとが付着することで、例え静的状態において互いが非接触であても、被測定流体Lの圧力は、保護膜部材10Bを通じて好ましい形(例えば等分布荷重の形)でセンシング部2aへと伝達される。この結果、保護膜部材10Bが介在しないときと同じ測定精度を維持することができる。
なお、付着力fをさらに調整するために、第1の実施の形態において保護膜部材10Aの接触面10Aaおよび/またはダイアフラム2の受圧面2aaに対して施した第1の加工ないし第3の加工を、保護膜部材10Bの接触面10Baおよび/または接着部材11Cの接着面11Caに対して適宜施してもよい。
上記第2の剥離防止等措置をとった際の保護膜部材10Bの厚さT10Bは、例えば以下のようにして設定される。すなわち、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとは、静的状態において互いが非接触であり、かつ被測定流体Lの圧力が印加されてセンシング部2a(変形領域2aα)で互いが当接しても、異種金属を主成分とする当該2つの部位間の付着力は小さい。このため、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとは、センシング部2a(変形領域2aα)において一体となって変形しないとして厚さT10Bを設定することができる。すなわち、厚さT10Bは、圧力測定の精度(圧力感度)への影響を考慮した厚み制限(ダイアフラム2の厚みT2の0.34%以下にするといった制限)を受けることなく、任意に設定することができる。
〔効果〕
上記構成の第2の実施形態に係る圧力センサ素子1Bおよびこれを用いた圧力センサ100Bによれば、上述した第1の実施の形態に係る圧力センサ素子1Aおよびこれを用いた圧力センサ100Aと同等の効果がもたらされる。
さらに、第2の剥離防止等措置をとることで、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとが所望の付着力fを有しつつ、センシング部2a(変形領域2aα)において一体となって変形することのない態様をとることができる。当該態様においては、保護膜部材10Bの厚さを、耐久性等を考慮して任意に設定することができる。
≪第3の実施の形態≫
つづいて、本発明の好ましい第3の実施の形態である静電容量式の圧力センサ素子1Cおよびこれを用いた静電容量式の圧力センサ100Cを、図12から図14に基づいて説明する。この圧力センサ素子1Cは、第1の実施の形態に係る圧力センサ素子1Aとの比較で、保護膜部材の材料が異なり、また、後述する所定の措置を講じるための特別な構成を有するものの、その他の構成は、圧力センサ素子1Aと同一である。このため、上述した第1の実施の形態である圧力センサ素子1Aと同一の構成については、同じ符号を付するとともに、特に必要でない限りその説明を割愛する。また、圧力センサ素子1Cが組み入れられた圧力センサ100Cは、圧力センサ素子1Cを除いて上述した第1の実施の形態である圧力センサ100Aと同一である。このため、圧力センサ100Cについては、図6のなかに併記するとともに、その説明を割愛する。
図12に示す圧力センサ素子1Cは、ダイアフラム2と保護膜部材10Cとが異なる材料からなり、かつ保護膜部材10Cが非金属材料からなることを特徴とする。ここで、ダイアフラム2は、上述したように、サファイア、多結晶アルミナまたはニッケル基合金のいずれか1つを主成分とした材料から形成されている。これに対し、保護膜部材10Cは、例えば、フッ素樹脂を主成分とした高分子材料から形成されている。なお、保護膜部材10Cは、材料以外の形態は保護膜部材10Aと同一であって、受圧面2aaの略全領域を覆う大きさの平面視略円形状を呈した金属製の薄膜部材からなる。
互いが異なる材料からなるダイアフラム2と保護膜部材10Cとは、上述した第2の実施の形態におけるダイアフラム2と保護膜部材10Bとの付着態様と同様に、表面自由エネルギを通じて引き合う力が、互いが同じ材料からなるダイアフラム2と保護膜部材10Aとの付着態様に比べて小さくなる。このため、ダイアフラム2の受圧面2aaと保護膜部材10Cの接触面10Caとを所望の付着力fで接着させるために、例えば静電気力を用いて互が付着するように構成してもよい。
また、接触面積によっては、表面自由エネルギによる付着力および静電気力による付着力だけでは、ダイアフラム2と保護膜部材10Cとを所望の付着力f(例えば引張り接着強さ100N/mに相当する付着力f)で付着させることが容易ではないことが想定される。このため、膜の内部応力以外の外力によって保護膜部材10Cがダイアフラム2から剥離することを防止するために、上記第1の剥離防止等措置および第2の剥離防止等措置を別途講じてもよい。
ただし、フッ素樹脂をはじめとする高分子材料は、一般的に表面自由エネルギが極めて小さく、異種金属間よりもさらに引き合う力が小さくなる。このため、上述した措置以外に、以下に述べる第3の剥離防止等措置を別途講じてもよい。
<iii>.第3の剥離防止等措置
この第3の剥離防止等措置は、図13に示すように、ダイアフラム2の上方に係止部材12を設けたことを特徴とする。これにより、保護膜部材10Cは、圧力センサ素子1Cの軸心Yに沿って一定の距離を超えて移動しないように規制される。
係止部材12は、例えば、略中央に円筒状の開口孔12aを有する薄板状の部材であって、ダイアフラム2の上面と当接する略水平な下面と、第2の台座プレート32と当接する略水平な上面を有し、その外側壁はダイアフラム2のそれと略同じ形態(平面視1cm角の四角柱の側壁の形態)を呈している。上記開口孔12aの直径d12は、例えば、保護膜部材10Cの外径D10Cよりも小さく、さらに、膜の内部応力によって凸状または凹状に変形した際の保護膜部材10Cの外径寸法D10C´より小さくなるように設定される。また、なお、係止部材12とダイアフラム2とは、既存の接合方式、例えば溶接、ボルトまたはスナップヒットによって接合される。
上記形態の構成の係止部材12を、例えば、前記開口孔の軸心とダイアフラム2のセンシング部2aの軸心とが一致するように(すなわち、双方の軸心が圧力センサ100Cの軸心と一致するように)、ダイアフラム2の上面2eに配置する。これにより、空間C2は、内径寸法d12の円筒状空間C2aと内径寸法D2aaの円筒状空間C2bとに区分され、保護膜部材10Cの外周縁が、空間C2bの外周部に形成される空間、具体的には、内径寸法D2aaと内径寸法d12との間に形成される空間に収容されることとなる。この結果、保護膜部材10Cの外周縁部は、係止部材12の下面12bに対向することとなり、当該下面12bによって、保護膜部材10Cの上記軸心方向への移動が規制される。
ここで、係止部材12の下面12bとダイアフラム2の受圧面2aaとの距離CLは、例えば、保護膜部材10Aに膜の内部応力が作用したときの最大変形量(より具体的には、圧力センサ素子1Cの軸心方向の最大変形量)よりも大きくなるように設定するとよい。
最大変形量は、例えば、保護膜部材10Aを梁に見立て、膜の内部応力が保護膜部材10Aの表面に生じる応力に等しいと理解して近似的に求める。具体的には、保護膜部材10Aの表面に膜の内部応力と等しい引張または圧縮の応力σが発生すると仮定し、この応力σを生じさせる曲げモーメントMを、関係式σ=M/Zから算出する(Zはダイアフラム2の断面係数)。さらに、関係式M=EI/ρ(Eはダイアフラム2を形成する材料の縦弾性係数、Iはダイアフラム2の断面2次モーメント)から、ダイアフラム2の変形(撓み)に相当する曲率半径ρを算出する。
また、図14に示すように、保護膜部材10Cの空間C2と対向する面10Cbと係止部材12の下面12bとの間に、弾性部材13を配設してもよい。弾性部材13は、例えば平面視円環状を呈し、面10Cbを全周にわたって押圧するように形成してもよいし、面10Cbを部分的に押圧するように形成してもよい。さらに、この弾性部材13の弾性力を、所望の付着力f(例えば引張り接着強さ100N/mに相当する付着力f)と同値となるように設定してもよい。
なお、膜の内部応力が作用しても保護膜部材10Cの一部が受圧面2aaから剥離しないように、弾性部材13を用いて面10Cbの一部分を押圧するように構成してもよい。このとき、弾性部材13を通じて押圧される部分は、膜の内部応力によって保護膜部材10Cが変形することを妨げない位置および範囲に設けるとよい。例えば、当該部分を設ける箇所を1か所とし、かつその範囲ができるだけ小さく(例えば、保護膜部材10Cの外周縁長さの1/10)する。なお、当該範囲は、最大でも保護膜部材10Cの外周縁長さの半分未満に抑えることが望ましい。また、当該部分を複数個所に分割して設ける場合には、平面視において、保護膜部材10Cを2等分する線に対していずれも同じ側に配置するとよい。
保護膜部材10Cの厚さT10Cは、例えば以下のようにして設定すればよい。すなわち、所定の金属材料からなるダイアフラム2と表面自由エネルギの小さなフッ素樹脂を主成分とする材料からなる保護膜部材10Cとが所定の圧力で当接しても、双方の付着力は極めて小さい。このため、双方が一体となって変形しないとして厚さT10Cを設定することができる。すなわち、厚さT10Cは、圧力測定の精度(圧力感度)への影響を考慮した厚み制限(ダイアフラム2の厚みT2の0.34%以下にするといった制限)を受けることなく、任意に設定することができる。
〔効果〕
上記構成の第3の実施形態に係る圧力センサ素子1Cおよびこれを用いた圧力センサ100Cによれば、上述した第1の実施の形態に係る圧力センサ素子1Aおよびこれを用いた圧力センサ100Aと同等の効果がもたらされる。
さらに、第3の実施形態によれば、上述したように、ダイアフラム2と保護膜部材10Cとが一体となって変形することのない態様をとることができる。このため、保護膜部材10Cの厚さを、耐久性等を考慮して任意に設定することができる。
≪第4の実施の形態≫
つづいて、本発明の好ましい第4の実施の形態である静電容量式の圧力センサ素子1Dおよびこれを用いた静電容量式の圧力センサ100Dを、図15から図20に基づいて説明する。この圧力センサ素子1Dは、ダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分および/または保護膜部材1Dを形成する材料が所定の特性を持つことで、ダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分および/または保護膜部材1Dが、温度変化にともなって膜の内部応力以外の作用で変形し、これにより、所定の温度のもとで、保護膜部材1Dの接触面1Daの一部分が受圧面2aaと当接し、接触面1Daの他の部分が受圧面2aaから離間するように構成されていることを特徴とし、その他の構成は、第1の実施の形態に係る圧力センサ素子1Aと同一である。このため、上述した第1の実施の形態である圧力センサ素子1Aと同一の構成については、同じ符号を付するとともに、特に必要でない限りその説明を割愛する。また、圧力センサ素子1Dが組み入れられた圧力センサ100Dは、圧力センサ素子1Dを除いて上述した第1の実施の形態である圧力センサ100Aと同一である。このため、圧力センサ100Dについては、図6のなかに併記するとともに、その説明を割愛する。
圧力センサ素子1Dは、図15に示すように、常温状態において、平面状を呈するダイアフラム2の受圧面2aaに平板状の保護膜部材10Dが載置されるようにして組立てられる。保護膜部材10Dは、熱的異方性をもつ結晶面を備える材料、例えば、酸化アルミニウムの単結晶体であるサファイアから形成され、かつダイアフラム2の受圧面2aaに対向する接触面10Daの少なくとも一部分が、サファイアが備える結晶面のうち熱的異方性をもつ結晶面、例えば、サファイアのR面またはA面(以下、熱的異方性をもつ結晶面を単に「R面またはA面」と称することがある。)と平行に形成されている(換言すれば、接触面10Daの少なくとも一部分は、R面またはA面によって形成されている)。
ダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分は、例えば、保護膜部材10Dと同じくサファイアから形成され、もしくは、多結晶アルミナまたはニッケル基合金から形成されている。
ここで、ダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分がサファイアから形成されている場合であって、かつ受圧面2aaが保護膜部材10Dの接触面10Daと同一の結晶面によって形成されている場合、例えば、受圧面2aaおよび接触面10Daが、いずれもR面と平行に形成され、または、いずれもA面と平行に形成されている場合には、保護膜部材10Dは、以下の要件のもとでダイアフラム2の受圧面2aaの少なくとも一部を覆うように当該面上に配置されことが好まし。すなわち、保護膜部材10Dは、R面またはA面の法線と不一致の一結晶軸をR面またはA面に投影した線、例えば、サファイアのC軸をR面またはA面に投影した線が自身とダイアフラムとで重ならない、といった要件を満たすように配置されることが好ましい。
なお、ダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分がサファイアから形成されている場合であっても、当該受圧面2aaが保護膜部材10Dの接触面10Daと平行な結晶面と異なる結晶面と平行に形成されている場合、例えば、接触面10DaがサファイアのR面と平行に形成され受圧面2aaがサファイアのA面またはC面と平行に形成されている場合、もしくは、接触面10DaがサファイアのA面と平行に形成され受圧面2aaがサファイアのR面またはC面と平行に形成されている場合には、保護膜部材10Dは、上記配置に関する要件に制限されることなくダイアフラム2の受圧面2aaに配設され得る。また、ダイアフラム2がサファイアと異なる材料、例えば、多結晶アルミナやニッケル基合金から形成されている場合にも、保護膜部材10Dは、配置に関する要件に制限されることなくダイアフラム2の受圧面2aaに配設され得る。
上記構成の圧力センサ素子1Dおよびこれを用いた静電容量式の圧力センサ100Dは、例えば、半導体デバイス等を製造する装置の成膜・エッチングプロセスにおいて使用される場合、約200℃の高温状態に置かれる。ここで、圧力センサ素子1Dの周囲の温度が常温から高温に変化すると、保護膜部材10Dの接触面10Daは、熱的異方性のある結晶面(R面またはA面)と平行に形成されているため、図16または図17に示すように、全体が反った形状に変形する。
この点について詳述すると、サファイアは、熱的異方性のあるR面内またはA面内において、互いが直交する2つの方向(以下、これら方向を「第1の方向」および「第2の方向」と称することがある。)において熱膨張係数が異なる。具体的には、R面またはA面の方位(法線)と不一致の結晶軸、例えばC軸をこれらの面に投影した線(換言すれば、C軸をR面またはA面と平行に形成された接触面10Daに投影した線)と平行な第1の方向と、この線と直交する第2の方向とで熱膨張係数が異なる。このため、サファイアからなる保護膜部材10Dは、組立時(常温時)に平板状を呈していても、約200℃の上記使用温度のもとでは、例えば、第1の方向および第2の方向の一方が他方に対して相対的に大きく縮むことで、接触面10Daの周縁がダイアフラム2の受圧面2aaと当接し同中央部が受圧面2aaから離間するように凸形状に変形し(図16参照)、または、接触面10Daの中央部がダイアフラム2の受圧面2aaと当接し同周縁部が受圧面2aaから離間するように凹形状に変形する(図17参照)。成膜物質Sは、当該変形した保護膜部材10Dの接触面10Dbに堆積して膜Saを形成することになる。
温度変化によって凸形状に反って変形した保護膜部材10Dの接触面10Dbに、第1の実施の形態における保護膜部材10Aを図7に示すような凹形状に変形させる膜Sa、すなわち、収縮する膜Saが形成されると、保護膜部材10Dは、例えば、中央部が、下方へ凹むように変形する(図18参照)。当該中央部は、ダイアフラム2の受圧面2aaと非接触であることで相対的に変形容易な領域を形成する。この領域は、後述するように、内部応力に起因した変形を吸収する機能を果たすことになる。
また、温度変化によって凹形状に変形した保護膜部材10Dの接触面10Dbに、第1の実施の形態における保護膜部材10Aを図8に示すような凸形状に変形させる膜Sa、すなわち、膨張する膜Saが形成されると、保護膜部材10Dは、例えば、接触面10Daの周縁部とダイアフラム2の受圧面2aaとの間隔が小さくなるように変形することで平板に近い形となる(図19参照)。さらに、膜の内部応力が継続して作用すると、接触面10Dbの中央部が受圧面2aaから離間するように凸形状に変形する(図20参照)。
上記使用温度のもとで凸形状に変形するように保護膜部材10Dを構成するか、または、凹形状に変形するように保護膜部材10Dを構成するかの選択は、膜Saの収縮・膨張に関する特性、および上記保護膜部材10Dの変形態様を考慮した上で後述する効果が得られるように行うとよい。なお、膜Saの収縮・膨張に関する特性は、上述したように、成膜物質Sの成分、堆積する位置および量等によって変化するが、これら膜Saの収縮・膨張に関する特性を確定するパラメータは、例えば、圧力センサ100Dの使用環境に基づいて設定すればよい。
〔効果〕
膜Saの内部応力の影響がダイアフラムに及ばないようにするための最も好ましい動作態様(使用態様)は、センサ電極部4が配設されたダイアフラム2の測定面2abと対向する受圧面2aaの中央部と膜Saが形成された保護膜部材10Aとが物理的に断絶している動作態様、例えば、ダイアフラム2の受圧面2aaの中央部と保護膜部材10Aの接触面10Aaの中央部との間に隙間が形成された図8に示す動作態様である。しかしながら、例えば、第1の実施形態に係る圧力センサ素子1Aの保護膜部材10A(接触面10Ab)に収縮する膜Saが形成されると、保護膜部材10Aは、その中央部がダイアフラム2の受圧面2aaの中央部と当接し、かつその周縁部が受圧面2aaの周縁部から離間するように凹形状に変形することで図7に示すような動作態様となる。当該動作態様においては、ダイアフラム2と保護膜部材10Aとの間の接着強さ(受圧面2aaと接触面10Aaとの間の接着強さ)を上記付着力fとすることで本発明の課題が解決されるものの、受圧面2aaの中央部と接触面10Aaの中央部との間に隙間が形成されないため最良の動作態様とまでは言えない。
第4の実施の形態に係る圧力センサ素子1Dおよびこれを用いた圧力センサ100Dによれば、例えば、収縮する膜Saが保護膜部材10Dの接触面10Dbに形成されるような使用環境にあっても、上記使用温度のもとで凸形状に変形する保護膜部材10Dを用いることで、ダイアフラム2の受圧面2aaの中央部と保護膜部材10Dの接触面10Daの中央部との間に隙間SPが形成されこれを継続的に保持することができる(図18参照)。これにより、膜Saの内部応力がダイアフラムへ伝達することを物理的に遮断し、もって当該内部応力の影響を好適に抑制することができる。この結果、センサ出力のゼロ点シフトの低減等に関して上記実施の形態の効果と同等以上の効果がもたらされる。
また、第4の実施の形態に係る圧力センサ素子1Dおよびこれを用いた圧力センサ100Dによれば、例えば、膨張する膜Saが保護膜部材10Dの接触面10Dbに形成される使用環境にあっても、上記使用温度のもとで凹形状に変形する保護膜部材10Dを用いることで、ダイアフラム2の受圧面2aaの中央部と保護膜部材10Dの接触面10Daの中央部との間に隙間SPが好適に形成され得ることになる(図20参照)。これにより、膜Saの内部応力がダイアフラムへ伝達することを物理的に遮断し、もって当該内部応力の影響を好適に抑制することができる。この結果、センサ出力のゼロ点シフトの低減等に関して上記実施の形態の効果と同等以上の効果がもたらされる。
このように、第4の実施の形態に係る圧力センサ素子1Dおよびこれを用いた圧力センサ100Dによれば、保護膜部材10Dの接触面10Dbに形成される膜Saが収縮する特性または膨張する特性であっても、適宜膜Saの内部応力が与えるダイアフラムへの影響を好適に抑制することができ、上記効果を常に得ることができる。
また、ダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分と保護膜部材10Dとは、互いが同一の材料、例えば、サファイアから形成されている場合であっても、保護膜部材10Dの配置に関する上記要件を満たし、または、ダイアフラム2の受圧面2aaが熱的異方性のない結晶面(C面)と平行に形成されることで、少なくとも一部分が温度変化による上記変形により互いに離間することになる。このため、例えば、図16に示す上記使用温度のもとで凸形状に変形する保護膜部材10Dを備える圧力センサ素子10Dおよびこれを用いた圧力センサ100Dにおいては、ダイアフラム2と保護膜部材10Dとの間に表面自由エネルギを通じた比較的強い力が作用していても、保護膜部材10Dの中央部(接触面10Daの中央部)は、温度変化による変形に起因する力によって受圧面2aaから必ず離間し、これにより、内部応力に起因した変形を吸収する領域が必ず形成されることになる。すなわち、第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態における「受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積を調整する加工」を施さなくとも、所望の効果を得ることができる。
なお、上記説明では、保護膜部材10Dの接触面10Daが熱的異方性をもつ結晶面(サファイアのR面またはA面)と平行に形成され、保護膜部材10Dが上記使用温度のもとで変形する態様を中心に記したが、これに代えて、または、これとともに、ダイアフラム2の受圧面2aaを熱的異方性をもつ結晶面(サファイアのR面またはA面)と平行に形成し、これによって、ダイアフラム2の受圧面2aaが上記使用温度のもとで変形するように構成しても上記効果を得ることができる。
ダイアフラム2の受圧面2aaが上記使用温度のもとで変形するように構成された仕様においては、例えば、保護膜部材10Dを、多結晶アルミナまたはニッケル基合金からなり、もしくは、保護膜部材10Dがサファイアからなりかつ接触面10Daが熱的異方性のないC面と平行に形成されることで温度変化によって大きく変形しないように構成してもよい。また、繰り返しになるが、ダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分と保護膜部材10Dとがサファイアからなる場合においては、保護膜部材10Dの配置に関する上記要件を満たし、または、ダイアフラム2の受圧面2aaおよび保護膜部材10Dの接触面10Daのいずれか一方を熱的異方性のない結晶面(C面)と平行に形成することで、表面自由エネルギを通じた比較的強い力によるダイアフラム2と保護膜部材10Dとの付着を回避することができる。
また、ダイアフラム2の受圧面2aaと保護膜部材10Dとが上記使用温度のもとで変形するように構成された仕様においては、熱的異方性のある数種の結晶面の組合せの変更(例えば、サファイアのR面およびA面の組合の変更)、および/または、ダイアフラム2に対する保護膜部材10Dの配置の変更(例えば、当該配置に関する上記要件における2つの「投影した線」がなす角度の変更)等により、上記使用温度のもとでのダイアフラム2の受圧面2aaと保護膜部材10Dの接触面10Daとの隙間の大きさを調整することができる。これにより、使用環境が変わることで変化する成膜物質Sの成分(構成元素等)、成膜物質Sが堆積する位置および量に適宜対応した好適な隙間を設定することができ、もって、種々の使用環境が想定されるなか、常に保護膜部材10Dの動作態様を最適化させることができる。
≪第5の実施の形態≫
つづいて、本発明の好ましい第5の実施の形態である静電容量式の圧力センサ素子1Eおよびこれを用いた静電容量式の圧力センサ100Eを、図21から図29に基づいて説明する。この圧力センサ素子1Eは、上記第4の実施の形態に対し、上記使用温度のもとで変形する保護膜部材10Eが、熱膨張係数の異なる少なくとも2つの材料からなる点が異なり、その他の構成は、上記第4の実施の形態と同じである。このため、上述した第4の実施の形態である圧力センサ素子1Dと同一の構成については、同じ符号を付するとともに、特に必要でない限りその説明を割愛する。また、圧力センサ素子1Eが組み入れられた圧力センサ100Eは、圧力センサ素子1Eを除いて上述した第1の実施の形態である圧力センサ100Aと同一である。このため、圧力センサ100Eについては、図6のなかに併記するとともに、その説明を割愛する。
圧力センサ素子1Eは、図21に示すように、ダイアフラム2の受圧面2aaを覆う保護膜部材10Eが、例えば第1の層10E-1および第2の層10E-2からなり、第2の層10E-2の上に第1の層10E-1が積層し、互いが圧着等により接合するように形成されている。第1の層10E-1および第2の層10E-2は、例えば、耐食および耐熱性のあるニッケル基合金からなり、互いの熱膨張係数が異なっている。ここで、ニッケル基合金は、構成成分およびこれら構成成分の含有率が異なることで型番の異なる複数のものが存在し、また当該型番の異なるニッケル基合金は、互いの熱膨張係数が僅かに相違することが知られている。このように、圧力センサ素子1Eは、バイメタルとして形成されている。
上層を形成する第1の層10E-1の熱膨張係数が下層を形成する第2の層10E-2の熱膨張係数よりも大きい圧力センサ素子1Eは、約200℃の上記使用温度のもとで、接触面10Eaの周縁がダイアフラム2の受圧面2aaと当接し同中央部が受圧面2aaから離間するように凸形状に反って変形する(図22参照)。また、上層を形成する第1の層10E-1の熱膨張係数が下層を形成する第2の層10E-2の熱膨張係数よりも小さい場合の圧力センサ素子1Eは、接触面10Eaの中央部がダイアフラム2の受圧面2aaと当接し同周縁部が受圧面2aaから離間するように凹形状に反って変形する(図23参照)。成膜物質Sは、これら温度変化によって変形した保護膜部材10Eの接触面10Ebに堆積して膜Saを形成する。
温度変化によって凸形状に反って変形する保護膜部材10Eの接触面10Ebに、第1の実施の形態における保護膜部材10Aを図7に示すような凹形状に変形させる膜Sa(収縮する膜Sa)が形成されると、保護膜部材10Eは、例えば、ダイアフラム2と非接触であることで相対的に変形容易な中央部が下方へ凹むように変形する(図24参照)。
また、温度変化によって凹形状に変形する保護膜部材10Eの接触面10Ebに、第1の実施の形態における保護膜部材10Aを図8に示すような凸形状に変形させる膜Sa(膨張する膜Sa)が形成されると、保護膜部材10Eは、例えば、接触面10Eaの周縁部とダイアフラム2の受圧面2aaとの間隔が小さくなるように変形することで平板に近い形となる(図25参照)。さらに、膜の内部応力が作用すると、接触面10Ebの中央部が受圧面2aaから離間するように凸形状に変形する(図26参照)。
上記使用温度のもとでの保護膜部材10Eの変形を凸形状とするかまたは凹形状とするかの選択は、第4の実施の形態と同様に、膜Saの収縮・膨張に関する特性、および上記保護膜部材10Dの変形態様を考慮した上で所望の効果が得られるように行うとよい。膜Saの収縮・膨張に関する特性は、上述したように、成膜物質Sの成分、堆積する位置および量等によって変化するが、これら膜Saの収縮・膨張に関する特性を確定するパラメータは、例えば、圧力センサ100Dの使用環境に基づいて設定すればよい。
〔効果〕
第5の実施の形態に係る圧力センサ素子1Eおよびこれを用いた圧力センサ100Eにおいては、第4の実施の形態に係る圧力センサ素子1Dおよびこれを用いた圧力センサ100Dと同様の効果がもたらされる。すなわち、収縮する膜Saが保護膜部材10Eの接触面10Ebに形成される使用環境にあっても、上記使用温度のもとで凸形状に変形する保護膜部材10Eを用いることで、ダイアフラム2の受圧面2aaの中央部と保護膜部材10Eの接触面10Eaの中央部との間に隙間SPが形成されこれを継続的に保持することができる(図24参照)。これにより、膜Saの内部応力がダイアフラムへ伝達することを物理的に遮断し、もって当該内部応力の影響を好適に抑制することができる。この結果、センサ出力のゼロ点シフトの低減等に関して上記実施の形態の効果と同等以上の効果がもたらされる。
また、膨張する膜Saが保護膜部材10Eの接触面10Ebに形成される使用環境にあっても、上記使用温度のもとで凹形状に変形する保護膜部材10Eを用いることで、膜Saが継続して成膜された際にダイアフラム2の受圧面2aaの中央部と保護膜部材10Eの接触面10Eaの中央部との間に隙間SPが好適に形成され得ることになる(図26参照)。これにより、膜Saの内部応力がダイアフラムへ伝達することを物理的に遮断し、もって当該内部応力の影響を好適に抑制することができる。この結果、センサ出力のゼロ点シフトの低減等に関して上記実施の形態の効果と同等以上の効果がもたらされる。
このように、第5の実施の形態に係る圧力センサ素子1Eおよびこれを用いた圧力センサ100Eによれば、保護膜部材10Eの接触面10Ebに形成される膜Saが収縮する特性または膨張する特性であっても、適宜膜Saの内部応力が与えるダイアフラムへの影響を好適に抑制することができ、上記効果を常に得ることができる。
また、熱膨張係数の相違に起因して上記使用温度のもとで変形する保護膜部材10Eを備える圧力センサ素子10Eおよびこれを用いた圧力センサ100E、特に、図21に示す上記使用温度のもとで凸形状に変形する保護膜部材10Eを備える圧力センサ素子10Eおよびこれを用いた圧力センサ100Eにおいては、第4の実施の形態と同様に、表面自由エネルギを通じた比較的強い力がダイアフラム2と保護膜部材10Eとの間に作用していても、保護膜部材10Eの中央部(接触面10Eaの中央部)は、温度変化による変形に起因する力によって受圧面2aaから必ず離間し、これにより、内部応力に起因した変形を吸収する領域が必ず形成されることになる。このため、第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様に、第1の実施の形態における「受圧面2aaと接触面10Aaとの接触面積を調整する加工」を施さなくとも、所望の効果を得ることができる。
≪第6の実施の形態≫
つづいて、本発明の好ましい第6の実施の形態である静電容量式の圧力センサ素子1Fおよびこれを用いた静電容量式の圧力センサ100Fを、図27から図29に基づいて説明する。この圧力センサ素子1Fは、上記第1の実施の形態ないし第5の実施の形態における保護膜部材1Aないし1Eをダイアフラム2の受圧面2aaの外径寸法をよりも小さな保護膜部材1Fとして成形し、かつ受圧面2aa全体を覆うように保護膜部材1Fを配設したことを特徴とし、その他の構成は、上記第1の実施の形態ないし第5の実施の形態と同じである。このため、上述した第1の実施の形態ないし第5の実施の形態である圧力センサ素子1Aないし圧力センサ素子1Eと同一の構成については、同じ符号を付するとともに、特に必要でない限りその説明を割愛する。また、圧力センサ素子1Fが組み入れられた圧力センサ100Fは、圧力センサ素子1Fを除いて上述した第1の実施の形態である圧力センサ100Aと同一である。このため、圧力センサ100Fについては、図6のなかに併記するとともに、その説明を割愛する。
図27に示す圧力センサ素子1Fは、ダイアフラム2の受圧面2aaを覆う保護膜部材10Fが、例えば、平面視略円形状の保護膜部材10Aないし保護膜部材10Eの外径のみを略1/4に縮小した小片として形成されている。複数の保護膜部材10Fは、ダイアフラム2の受圧面2aa全体を覆うようにして当該面上に載置されることで第1層を形成し、この第1層の上方に、複数の保護膜部材10Fが平面内に並べられてなる第2層、第3層および第4層が、下から上へ順に積層されている。上下に重なる2つの保護膜部材1Fは、平面視内における互いの位置をずらしながら交互に配設されている。これにより、第1層をなす複数の保護膜部材10Fの間に形成される隙間は、第2層をなす複数の保護膜部材10Fによって覆われ、同様に、第2層をなす複数の保護膜部材10Fの間に形成される隙間は、第3層をなす複数の保護膜部材10Fによって覆われ、第3層をなす複数の保護膜部材10Fの間に形成される隙間は、第4層をなす複数の保護膜部材10Fによって覆われる。これにより、ダイアフラム2の受圧面2aaは、平面視において隙間なく複数の保護膜部材10Fによって覆われることになる。
保護膜部材10Fは、その全てが同一の材料から形成されていてもよいし、異なる材料から形成されていてもよい。保護膜部材10Fの全てが同一材料から形成されている場合には、表面自由エネルギを通じた比較的強い力によって互いが付着することで一体性が確保される一方、個々の保護膜部材10Fが変形することが規制されることになる。このため、保護膜部材10Fの全てが同一材料から形成されている場合であって、かつ個々の保護膜部材10Fの変形を容易にするためには、互いの接触面積を調整するための上記加工を保護膜部材10Fに施すとよい。
なお、保護膜部材10Fが温度変化によって変形する保護膜部材10Dまたは保護膜部材10Eを縮小したものとして形成されている場合には、当該加工を特に施こさなくとも、上記使用温度のもとで互いが離間することになる。
例えば、保護膜部材10Fが温度変化によって凸形状に反って変形する保護膜部材10Dまたは保護膜部材10Eの縮小片として形成された仕様においては、約200℃の上記使用温度のもとで図28に示すような形態に変形する。このように変形した保護膜部材10Fの接触面10Fbに収縮する膜Saが形成されると、それぞれの保護膜部材10Fは、膜Saの内部応力が作用すること自身の中央部が凹むように変形することになる。
また、保護膜部材10Fが、温度変化によって凹形状に反って変形する保護膜部材10Dの縮小片として形成された仕様においては、上記使用温度のもとで図29に示すような形態に変形する。このように変形した保護膜部材10Fの接触面10Fbに、膨張する膜Saが形成されると、それぞれの保護膜部材10Fは、膜Saの内部応力が作用することで平板に近い形へと変形し、さらに内部応力が作用すると、接触面10Fbの中央部が受圧面2aaから離間するように凸形状に変形することになる。
〔効果〕
保護膜部材10Fの接触面10Fbに形成される膜Saの大きさは、保護膜部材10Fの大きさに依存し、また、膜Saの内部応力は、自身の大きさに略比例する。このため、小片として形成された複数の保護膜部材10Fによってダイアフラム2の受圧面2aaが覆われた第6の実施に形態における圧力センサ素子1Fおよびこれを用いた圧力センサ100Fによれば、第1の実施の形態ないし第5の実施の形態に比べて膜Saの内部応力が分散されることでその最大値が小さくなり、結果として、膜Saの内部応力がダイアフラム2に及ぼす影響を相対的に小さくすることができる。
≪上記実施の形態の変形例≫
上述した第1の実施の形態における第4の加工、および第2の実施の形態における第2の剥離防止等措置においては、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとが、その周縁部においてのみ付着し、センシング部2a(変形領域2aα)においては、互いが非接触である。このため、膜の内部応力によっても互いが引き離されない強い付着力fによって接着させるといった異なる実施の形態をとることもできる。
例えば、第4の加工において、ダイアフラム2の当接面2baの表面積を同受圧面2aaよりも大きく形成することで、保護膜部材10Aの接触面10Aaと接触する面積を相対的に大きくする。ここで、センシング部2a(変形領域2aα)におけるダイアフラム2と保護膜部材10Aとの離間距離Tcが、保護膜部材10Aに膜の内部応力が作用した際の最大変形量(より具体的には、圧力センサ素子1Aの軸心方向の最大変形量)よりも大きくなるように、当接面2baを形成する。なお、最大変形量は、例えば係止部材12の下面12bとダイアフラム2の受圧面2aaとの距離CLのところで説明したように、保護膜部材10Aを梁に見立てて近似的に求める。
また、第2の実施の形態のなかの第2の剥離防止等措置においても、上記と同様の実施の形態をとることもできる。すなわち、ダイアフラム2の当接面2baの表面積を同受圧面2aaよりも大きく形成することで、保護膜部材10Bの接触面10Baと接着部材11Cの接着面11Caとの接触面積を大きくし、さらに、センシング部2a(変形領域2aα)におけるダイアフラム2と保護膜部材10Aとの離間距離が、保護膜部材10Aに膜の内部応力が作用した際の最大変形量(より具体的には、圧力センサ素子の軸心方向の最大変形量)よりも大きくなるように、接着部材11Cの厚さhcを設定するといった実施の形態をとることもできる。
以上、本発明の好ましい実施の形態に関して、第1の実施の形態に係る圧力センサ素子1Aないし第6の実施の形態に係る圧力センサ素子1Cついて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、明細書および図面に直接記載のない構成であっても、本発明の作用・効果を奏する以上、本発明の技術的思想の範囲内である。さらに、上記記載および各図に示した実施の形態は、その目的および構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることも可能である。
例えば、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとが異なる材料を主成分とし、かつ保護膜部材10Cがフッ素樹脂である第3の実施の形態においてとられた第3の剥離防止等措置を、ダイアフラム2と保護膜部材10Bとが異種金属からなる第2の実施の形態に係る圧力センサ素子1Bに適用してもよい。
また、第3の実施の形態のなかの第3の剥離防止等措置において、ダイアフラム2とは別に係止部材12を設けたが、当該部材をダイアフラム2と一体に成形してもよい。また、第1円筒内周壁面2w1を切削等することで、空間C2bに相当する空間を形成してもよい。
さらに、繰り返しになるが、第4の実施の形態において、ダイアフラム2と保護膜部材10Dとの関係性を逆転させるように構成してもよい。すなわち、第4の実施の形態で述べた保護膜部材10Dの構成をダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分に適用し、同ダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分の構成を保護膜部材10Dの構成に適用してもよい。また、保護膜部材10Dおよび/またはダイアフラム2の受圧面2aaを含む部分を
サファイア以外の熱的異方性をもつ結晶面を備える材料によって形成してもよい。
また、第5の実施の形態において、保護膜部材10Eを構成する第1の層10E-1および第2の層10E-2をニッケル基合金以外の材料から形成してもよい。また、保護膜部材10Eを熱膨張係数の異なる3つ以上材料を積層するように形成してもよい。
さらに、第6の実施の形態において、複数の保護膜部材10Fの平面視形状は、略円形に限定されるわけではなく、また、個々の保護膜部材10Fが異なる平面視形状をていしていてもよく、形の異なる複数の保護膜部材10Fが集合することで、平面視円形を形作るように構成してもよい。また、複数の保護膜部材10Fを平面内に並べること形成される一層を積層する数は、4層に限定されるわけではなく、3層以下または5層以上としてもよい。例えば、形の異なる複数の保護膜部材10Fが集合することでダイヤフラム2の平面視形状を形作るように構成されている場合には、単層としてもよい。
さらに、上記実施の形態に係る圧力センサ素子およびこれを用いた静電容量式の圧力センサは、いずれもセンシング方式が静電容量式であるが、本発明は、当該センシング方式のそれに限定されるわけではない。例えば、抵抗ゲージを貼り付け又はスパッタ等により成膜した歪ゲージ式や半導体ピエゾ抵抗式等、ダイアフラムの変形を電気信号として検出するセンシング方式を備えた全ての圧力センサ素子およびこれを用いた圧力センサに対して適用され得る。
1A…圧力センサ素子、1B…圧力センサ素子、1C…圧力センサ素子、1D…圧力センサ素子、1E…圧力センサ素子、1F…圧力センサ素子、2…ダイアフラム、2a…センシング部、2b…固定部、2aa…受圧面、2ab…測定面、2ba…当接面、2w1…第1円筒内周壁面、2w2…第2円筒内周壁面、3…台座、3a…固定面、4…センサ電極部、4a…可動電極、4b…固定電極、5…コンタクトパッド、5a…コンタクトパッド、5b…コンタクトパッド、10A…保護膜部材、10B…保護膜部材、10C…保護膜部材、10D…保護膜部材、10E…保護膜部材、10F…保護膜部材、10Aa…接触面、10Ab…接触面、10Ac…凸部、10Ad…凹部、10Ca…接触面、10Cb…面、20…ケーシング、20V…導入部、20W…基準真空室、21…アッパーハウジング、21a…大径円筒部、22…ロアハウジング、22a…ストッパ、23…カバー、23a…電極リード挿通孔、30…台座プレート、31…第1の台座プレート、31a…導入孔、32…第2の台座プレート、32a…導入孔、40…支持ダイアフラム、40a…導入孔、50…電極リード部、51…電極リードピン、52…シールド、53…ハーメチックシール、55…コンタクトバネ、56…コンタクトバネ、60…ハーメチックシール、100A…圧力センサ、100B…圧力センサ、100C…圧力センサ、100D…圧力センサ、100E…圧力センサ、100F…圧力センサ、C1…容量室、C2…空間。

Claims (10)

  1. 第1の面に加わる圧力と第2の面に加わる圧力との差によって変形する領域をもつダイアフラムと、
    前記ダイアフラムの第1の面の少なくとも一部分を覆う保護膜部材と、
    前記ダイアフラムの第2の面に配設されて、前記ダイアフラムの変形を電気的に検出するセンサ部と
    を備え、
    前記保護膜部材は、所定の温度において、対向する前記第1の面と一部分が当接しかつ他の部分が前記第1の面から離間するように構成されている圧力センサ素子。
  2. 請求項1に記載の圧力センサ素子において、
    前記ダイアフラムの前記第1の面を含む部分および前記保護膜部材の少なくとも一方は、熱的異方性をもつ結晶面を少なくとも1つ備える材料を主成分としてなり、前記ダイアフラムと前記保護膜部材とにおける互いに対向する一対の表面の少なくとも一方は、少なくとも一部が前記結晶面と平行に形成されてることを特徴とする圧力センサ素子。
  3. 請求項2に記載の圧力センサ素子において、
    前記ダイアフラムの前記第1の面を含む部分および前記保護膜部材は、前記材料を主成分としてなり、
    前記互いに対向する一対の表面の少なくとも一部は、少なくとも1つの前記熱的異方性をもつ結晶面のなかの同一の結晶面とそれぞれ平行に形成され、
    前記保護膜部材は、前記熱的異方性をもつ結晶面の法線と不一致の一結晶軸を前記同一の結晶面に投影した線が自身と前記ダイアフラムの前記第1の面とで重ならない位置に配置されることを特徴とする圧力センサ素子。
  4. 請求項2に記載の圧力センサ素子において、
    前記ダイアフラムの前記第1の面を含む部分および前記保護膜部材は、前記熱的異方性をもつ結晶面を少なくとも2つ備える材料、または、前記熱的異方性をもつ結晶面と熱的異方性をもたない結晶面とを備える前記材料を主成分としてなり、
    前記互いに対向する一対の表面の少なくとも一部は、少なくとも2つの前記熱的異方性をもつ結晶面のなかの異なる結晶面とそれぞれ平行に形成され、または、前記互いに対向する一対の表面の一方は、前記熱的異方性をもたない結晶面と平行に形成されていることを特徴とする圧力センサ素子。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の圧力センサ素子において、
    前記材料はサファイアであることを特徴とする圧力センサ素子。
  6. 請求項1または2に記載の圧力センサ素子において、
    前記ダイアフラムの前記第1の面を含む部分および前記保護膜部材のいずれか一方は、前記熱的異方性をもつ結晶面を備えるサファイアからなり、他方は、多結晶アルミナからなることを特徴とする圧力センサ素子。
  7. 請求項1または2に記載の圧力センサ素子において、
    前記保護膜部材は、熱膨張係数の異なる少なくとも2つの材料が積層されてなることを特徴とする圧力センサ素子。
  8. 請求項7に記載の圧力センサ素子において、
    前記熱膨張係数の異なる材料は、ニッケル基合金であることを特徴とする圧力センサ素子。
  9. 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の圧力センサ素子において、
    前記保護膜部材は、前記ダイアフラムの第1の面の外形寸法より小さな複数の小片から形成され、これら複数の小片が前記ダイアフラムの第1の面に単層状に載置され又は交互に積層されることを特徴とする圧力センサ素子。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに一項に記載の圧力センサ素子を備える静電容量式圧力センサ。
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