JP2023054931A - 回転ガントリーの冷却材供給装置および粒子線治療システム - Google Patents
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Abstract
【課題】超電導電磁石に冷却材を供給するケーブルの座屈を防ぐことができる回転ガントリーの冷却材供給装置を提供する。【解決手段】回転ガントリー5の冷却材供給装置80は、一端が回転ガントリー5に接続されて他端が静止している装置30に接続され、輸送部14が有する超電導電磁石15に冷却材を供給するフレキシブルホース81を有するケーブル22と、回転ガントリー5に設けられ、ケーブル22の巻き取りまたは繰り出しを行うスプール23と、スプール23におけるケーブルを保持するレーン27に対応して設けられ、スプールの径方向に突出されるコネクタ部32と、コネクタ部32に形成され、スプール23の周方向に貫通してケーブル22をスプール23の外部から内部に通す貫通部33を備える。【選択図】図5
Description
本発明の実施形態は、回転ガントリーの冷却材供給装置に関する。
粒子線治療システムにおいて、回転ガントリーの治療台を採用すると、患者が静止した状態で粒子線を照射できるため、固定治療台に比べて患者の負担が軽減される。しかし、回転ガントリーには多くの機器が組み込まれ、これらの機器は回転ガントリーと一緒に回転する。そこで、電源、制御、通信のために必要な多くのケーブルを、回転ガントリーと静止している外部の機器との間で接続する必要がある。回転ガントリーでは、その回転の度にスプールに対するケーブルの巻き取りまたは繰り出しが行われる。
また、超電導電磁石を用いることで回転ガントリーの小型化を図れるが、超電導電磁石を冷却する液体ヘリウムを外部から供給するホースが必要になる。従来のスプールでは、スプールの径方向に貫通された貫通穴を通ってスプールの内部から外周面にケーブルが延出されている。しかし、冷却材を供給するために中空なフレキシブルホースを用いると、貫通穴の部分で大きく屈曲されることとなり、フレキシブルホースが座屈し易くなり、超電導電磁石に対する冷却材の供給が滞るおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、超電導電磁石に冷却材を供給するケーブルの座屈を防ぐことができる回転ガントリーの冷却材供給装置を提供することである。
本発明の実施形態に係る回転ガントリーの冷却材供給装置は、粒子線ビームを照射する照射ノズルと前記照射ノズルに前記粒子線ビームを輸送する輸送部とを支持して水平方向を向く水平軸を中心に回転する回転ガントリーと、一端が前記回転ガントリーに接続されて他端が静止している装置に接続され、前記輸送部が有する超電導電磁石に冷却材を供給するフレキシブルホースを有するケーブルと、前記回転ガントリーに設けられ、前記ケーブルの巻き取りまたは繰り出しを行うスプールと、前記スプールにおける前記ケーブルを保持するレーンに対応して設けられ、前記スプールの径方向に突出されるコネクタ部と、前記コネクタ部に形成され、前記スプールの周方向に貫通して前記ケーブルを前記スプールの外部から内部に通す貫通部と、を備える。
本発明の実施形態により、超電導電磁石に冷却材を供給するケーブルの座屈を防ぐことができる回転ガントリーの冷却材供給装置が提供される。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、粒子線治療システムおよび回転ガントリーの実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について図1から図6を用いて説明する。なお、図2、図3、図6の紙面左側を回転ガントリーの正面側(前方側)とし、紙面右側を回転ガントリーの背面側(後方側)として説明する。図面では、直交座標系において、回転ガントリーの軸方向をZ方向とした場合に、これに直交する垂直方向(上下方向)をY方向とし、これらに直交する水平方向をX方向として図示している。なお、X方向およびY方向を回転ガントリーの径方向と称する場合がある。さらに、回転ガントリーの外周面に沿って軸回りに回転する方向を周方向と称する場合がある。
以下、図面を参照しながら、粒子線治療システムおよび回転ガントリーの実施形態について詳細に説明する。まず、第1実施形態について図1から図6を用いて説明する。なお、図2、図3、図6の紙面左側を回転ガントリーの正面側(前方側)とし、紙面右側を回転ガントリーの背面側(後方側)として説明する。図面では、直交座標系において、回転ガントリーの軸方向をZ方向とした場合に、これに直交する垂直方向(上下方向)をY方向とし、これらに直交する水平方向をX方向として図示している。なお、X方向およびY方向を回転ガントリーの径方向と称する場合がある。さらに、回転ガントリーの外周面に沿って軸回りに回転する方向を周方向と称する場合がある。
図1の符号1は、本実施形態の粒子線治療システムである。この粒子線治療システム1では、炭素イオンなどの粒子線ビームを被検体としての患者の病巣組織(がん)に照射して治療を行う。
粒子線治療システム1を用いた放射線治療技術は、重粒子線がん治療技術などとも称される。この技術は、がん病巣(患部)を炭素イオンがピンポイントで狙い撃ちし、がん病巣にダメージを与えながら、正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能とされる。なお、粒子線とは、放射線のなかでも電子より重いものと定義され、陽子線、重粒子線などが含まれる。このうち重粒子線は、ヘリウム原子より重いものと定義される。
重粒子線を用いるがん治療では、従来のエックス線、ガンマ線、陽子線を用いたがん治療と比較してがん病巣を殺傷する能力が高く、患者の体の表面では放射線量が弱く、がん病巣において放射線量がピークになる特性を有している。そのため、照射回数と副作用を少なくすることができ、治療期間をより短くすることができる。
図1に示すように、粒子線治療システム1は、ビーム発生器2と円形加速器3とビーム輸送ライン4と回転ガントリー5とを備える。
ビーム発生器2は、荷電粒子である炭素イオンのイオン源を有し、この炭素イオンによって粒子線ビーム7(図2)を生成する。円形加速器3は、平面視でリング状を成し、ビーム発生器2で生成された粒子線ビーム7を加速する。ビーム輸送ライン4は、円形加速器3で加速された粒子線ビーム7を回転ガントリー5に輸送する。回転ガントリー5には、粒子線ビーム7が照射される患者8(図2)が配置される。
この粒子線治療システム1では、まず、ビーム発生器2で生成された炭素イオンの粒子線ビーム7が、ビーム発生器2から円形加速器3に入射される。この粒子線ビーム7は、円形加速器3を約百万回周回する間に光速の約70%まで加速される。そして、この粒子線ビーム7がビーム輸送ライン4を介して回転ガントリー5まで導かれる。
ビーム発生器2と円形加速器3とビーム輸送ライン4は、内部が真空にされる真空ダクト6(ビームパイプ)を備える。この真空ダクト6の内部を粒子線ビーム7が進行する。ビーム発生器2と円形加速器3とビーム輸送ライン4が有する真空ダクト6が一体となり、粒子線ビーム7を回転ガントリー5まで導く輸送経路が形成される。つまり、真空ダクト6は、粒子線ビーム7を通過させるために、充分な真空度を有する密閉された連続空間である。
図2の断面図に示すように、回転ガントリー5は、円筒形状を成す大型の装置である。この回転ガントリー5は、その円筒の軸9が水平方向を向くように設置される。この水平軸9を中心として回転ガントリー5が回転可能となっている。
回転ガントリー5は、粒子線治療システム1が設けられている治療施設を構成する建屋の躯体10に支持されている。例えば、この回転ガントリー5の本体部の前部と後部には、エンドリング11が固定されている。これらのエンドリング11の下方位置には、エンドリング11を回転可能な状態で支持し、かつ駆動モータを備える回転駆動部12が設けられている。これらの回転駆動部12は、躯体10に支持されている。回転駆動部12の駆動力は、エンドリング11を介して回転ガントリー5に与えられ、回転ガントリー5が水平軸9周りに回転される。
回転ガントリー5には、ビーム輸送ライン4(図1)から延びる真空ダクト6が設けられている。真空ダクト6は、まず、回転ガントリー5の後方側からその水平軸9に沿って内部に導かれる。そして、真空ダクト6は、回転ガントリー5の外周面よりも外側に向けて一旦延びた後、再び回転ガントリー5の内側に向けて延びる。この真空ダクト6の先端部は、患者8に近接する位置まで延びる。
なお、特に図示はしないが、真空ダクト6において、回転ガントリー5の水平軸9に沿う部分には、所定の回転機構が設けられている。真空ダクト6は、この回転機構よりも外側の部分が静止した状態であり、この回転機構よりも内側の部分が回転ガントリー5の回転とともに回転するようになっている。
また、回転ガントリー5には、粒子線ビーム7を患者8に向けて照射する照射ノズル13と、この照射ノズル13に粒子線ビーム7を輸送する輸送部14とが設けられている。つまり、照射ノズル13と輸送部14は、回転ガントリー5に支持されている。
さらに、輸送部14は、粒子線ビーム7を輸送する経路を形成する磁場を発生させる超電導電磁石15を備えている。これらの超電導電磁石15は、例えば、真空ダクト6に沿って粒子線ビーム7の進行方向を変更する偏向電磁石、または、粒子線ビーム7の収束および発散を制御する四極電磁石などである。
照射ノズル13は、真空ダクト6の先端部に設けられ、輸送部14により導かれた粒子線ビーム7を患者8に向けて照射する。この照射ノズル13は、回転ガントリー5の内周面に固定されている。なお、粒子線ビーム7は、照射ノズル13から水平軸9に対して直交する方向に照射される。
回転ガントリー5の内部には、粒子線治療を行う治療空間16が設けられる。患者8は、この治療空間16に設けられた治療台17に載置される。この治療台17は、患者8を載置した状態で移動可能となっている。この治療台17の移動によって患者8を粒子線ビーム7の照射位置に移動させて位置合わせを行うことができる。そのため、患者8の病巣組織など、適切な部位に粒子線ビーム7を照射することができる。
患者8は水平軸9の位置に配置され、回転ガントリー5を回転させることで、静止している患者8を中心として照射ノズル13を回転させることができる。例えば、患者8(水平軸9)を中心として照射ノズル13を、背面視で時計回り(右回り)または反時計回り(左回り)に185度ずつ回転させることができる。そして、患者8の周囲のいずれの方向からも粒子線ビーム7を照射させることができる。つまり、回転ガントリー5は、ビーム輸送ライン4により導かれた粒子線ビーム7の患者8に対する照射方向を変更可能な装置である。そのため、患者8の負担を軽減しつつ、適切な方向から粒子線ビーム7をより高い精度で患部に照射することができる。
粒子線ビーム7は、患者8の体内を通過する際に運動エネルギーを失って速度が低下するとともに、速度の二乗にほぼ反比例する抵抗を受け、ある一定の速度まで低下すると急激に停止する。この粒子線ビーム7の停止点はブラッグピークと呼ばれ、高エネルギーが放出される。粒子線治療システム1は、このブラッグピークを患者8の病巣組織(患部)の位置に合わせることにより、正常組織のダメージを抑えつつ、病巣組織のみを死滅させることができる。
回転ガントリー5の内部に設けられた治療空間16は、回転ガントリー5の正面側にある治療室18と一体を成すように形成されている。なお、治療台17は、静止している治療室18の床19に固定されている。つまり、回転ガントリー5および照射ノズル13が回転されても、治療台17の位置は変化しないようになっている。
回転ガントリー5の外周面において、輸送部14が設けられた部分の反対側には、カウンターウエイト20が固定されている。このカウンターウエイト20は、回転ガントリー5と中心として輸送部14とのバランスをとるために設けられている。つまり、カウンターウエイト20の重量は、輸送部14の重量に対応して設定されている。また、回転ガントリー5の下方位置には、躯体10に凹状に形成され、回転ガントリー5の回転とともに、カウンターウエイト20が通過可能なウエイトピット21が設けられている。
さらに、回転ガントリー5には、外部から複数のケーブル22が導かれている。これらのケーブル22は、給電ケーブル、信号線、冷却材用フレキシブルホースなどであり、例えば、回転ガントリー5に設けられた所定の機器に対して電力を供給したり、制御信号を伝達したりするために設けられている。これらのケーブル22には、輸送部14が有する超電導電磁石15に冷却材を供給するフレキシブルホース81(図6)が含まれている。
回転ガントリー5の後部には、回転ガントリー5の回転とともに、ケーブル22の巻き取りまたは繰り出しを行うスプール23が設けられている。なお、スプール23の軸は、回転ガントリー5の水平軸9と一致している。
スプール23の下方位置には、躯体10に凹状に形成され、スプール23から垂れ下がるケーブル22を配置可能なケーブルピット24が設けられている。ケーブルピット24のX方向の幅寸法は、スプール23の直径よりも大きくなるように設定される。
図3の断面図に示すように、スプール23は、回転ガントリー5の後部から後方に向かって突出して設けられている。このスプール23は、円筒形状を成す部分であり、回転ガントリー5の本体部の直径よりも小径を成すように形成されている。このスプール23は、円盤状を成す1枚のフランジ25と、円盤状を成す複数のツバリング26と、ケーブル22を保持する凹状を成す複数のレーン27(図6)とを備える。
フランジ25は、スプール23の後端部に設けられている。複数のツバリング26は、フランジ25と回転ガントリー5との間で軸方向(Z方向)に並んで配置されている。これらのツバリング26は、フランジ25の直径よりも小径を成すように形成されている。また、最もフランジ25に近接している後側のツバリング26は、フランジ25から離間された位置に設けられている。複数のレーン27(図6)は、それぞれのツバリング26の間に形成されている。
図6の断面図に示すように、それぞれのレーン27には、複数のケーブル22が収容される。例えば、1つのレーン27に対して、2~3本のケーブル22が収容されている。なお、1つのレーン27に対して、4本以上のケーブル22が収容されても良い。
スプール23の周方向にケーブル22が巻き回された場合には、ツバリング26およびレーン27の配置に合わせて、複数のケーブル22が、スプール23の軸方向(Z方向)に並んで配置されるとともに、スプール23の径方向(X方向およびY方向)に並んで配置される。また、スプール23からケーブル22が垂れ下がる場合には、複数のケーブル22が、スプール23の軸方向(Z方向)に並んで配置されるとともに、水平方向(X方向)に並んで配置される。
なお、それぞれのレーン27の幅は、収容されるケーブル22の本数または太さに応じて、それぞれ異なっていても良い。また、1つのレーン27に対して、種類または太さが異なる複数のケーブル22が収容されても良い。
それぞれのツバリング26の周面28において、その両角部が切り欠かれて面取部29(ベベル)が形成されている。つまり、ツバリング26の周縁に面取りされた面取部29が形成されている。このようにすれば、ケーブル22がレーン27に収容されるときに、ケーブル22がツバリング26に引っ掛かり難くなり、ツバリング26への引っ掛かりによって生じるケーブル22への摩擦または張力を低減させることができ、乱巻きを抑制することができる。
例えば、面取部29は、ツバリング26の突出方向に対して約45°の傾きを有する傾斜面となっている。これらの面取部29が設けられることで、レーン27の間口が広がるようになり、ケーブル22がスムーズにレーン27に収容されるようになる。
なお、面取部29が設けられる場合でも、ツバリング26の周面28の一部は残されている。例えば、ツバリング26の先端の周面28が残されている。このようにすれば、仮に、ケーブル22がツバリング26に引っ掛かった場合でも、ケーブル22が切断されたり、ケーブル22が摩耗したりすることを抑制できる。
図4に示すように、それぞれのケーブル22は、一端が回転ガントリー5のスプール23に接続されて他端が静止している固定装置30に接続されている。固定装置30は、例えば、躯体10に固定されている。複数のケーブル22は、例えば、電力を供給する電力線、制御信号を伝達する信号線、冷却材を供給するフレキシブルホース81(図6)などで構成されている。固定装置30は、例えば、電源、ターミナルブロック、冷却材供給用ポンプなどで構成されている。なお、図4は回転ガントリー5の背面図であるが、理解を助けるために、回転ガントリー5の本体部、回転駆動部12、輸送部14などの図示を省略している。
本実施形態の粒子線治療システム1には、回転ガントリー5の冷却材供給装置80が設けられている。この冷却材供給装置80は、少なくともケーブル22を備える。冷却材供給装置80のケーブル22は、回転ガントリー5に設けられた輸送部14の超電導電磁石15に対して、スプール23を介して冷却材を供給するために設けられている。
図6の断面図に示すように、1本のケーブル22は、複数のフレキシブルホース81を束ねて断面視で円形状を成すように形成されている。例えば、5本または6本のフレキシブルホース81が束ねられ、その束ねられたものの外周を螺旋状に保護テープ82で巻き回す。そして、これらのフレキシブルホース81と表面を覆う保護テープ82とで1本のケーブル22が形成される。また、複数のフレキシブルホース81を束ねた状態で、1本の大径のチューブ(図示略)に収容し、1本のケーブル22を形成しても良い。
なお、フレキシブルホース81は、内部が中空であり(図6)、液体ヘリウムまたは液体窒素などの冷却材を超電導電磁石15(図2)に供給するために設けられている。このフレキシブルホース81は、金属製のワイヤーが編み込まれて耐圧性を高めた耐圧ホースとなっており、所定の圧力で冷却材を供給することができる。
また、1本のケーブル22として束ねられる複数のフレキシブルホース81は、種類、太さ、硬さ(剛性)が同一のものにする。このようにすれば、1本のケーブル22として束ねられたフレキシブルホース81の曲がり具合を同一にすることができ、スプール23に対して巻き回し易くなる。なお、1本のケーブル22として束ねられる複数のフレキシブルホース81の種類、太さ、硬さを異ならせても良い。
図3および図4に示すように、複数のケーブル22は、第1群G1と第2群G2とに分けられている。第1群G1と第2群G2とは、ケーブル22の種類毎に分けても良いし、ケーブル22の接続先となる機器毎に分けても良い。これに合わせて、第1群G1の複数のケーブル22が巻き回される複数のツバリング26と、第2群G2の複数のケーブル22が巻き回される複数のツバリング26とが設けられている。
第1群G1のケーブル22と第2群G2のケーブル22とは、スプール23に巻き回される方向が異なっている。例えば、背面視において、回転ガントリー5が反時計回りに回転した場合に、第1群G1のケーブル22がスプール23に巻き取られ、第2群G2のケーブル22がスプール23から繰り出される。一方、回転ガントリー5が時計回りに回転した場合に、第1群G1のケーブル22がスプール23から繰り出され、第2群G2のケーブル22がスプール23に巻き取られる。
なお、図4では、理解を助けるために、第1群G1のケーブル22のみを図示し、第2群G2のケーブル22の図示を省略している。実際の背面視では、スプール23から垂れ下がる第1群G1のケーブル22と第2群G2のケーブル22とがケーブルピット24で交差して見える。
図4および図5に示すように、冷却材供給装置80は、コネクタ部32と貫通部33とカバー34とをさらに備える。なお、冷却材供給装置80の構成には、回転ガントリー5とスプール23とツバリング26の少なくとも一部が含まれても良い。
コネクタ部32は、スプール23におけるケーブル22を保持するレーン27(図6)に対応して設けられ、スプール23の径方向に突出されている。例えば、第1群G1の複数のレーン27に対応して1つのコネクタ部32が設けられている。このコネクタ部32は、例えば、スプール23の外周面から径方向に突出して設けられた板部材またはブロックである。
貫通部33は、コネクタ部32に形成された貫通孔であり、スプール23の周方向に貫通してケーブル22をスプール23の外部から内部に通す部分である。なお、スプール23における貫通部33に対応する部分には、貫通窓36が形成されている。ケーブル22は、貫通部33と貫通窓36を介して回転ガントリー5の内部に導入される。そして、ケーブル22は、回転ガントリー5に設けられた超電導電磁石15(図2)などの機器に接続される。なお、ケーブル22は、貫通部33の部分に固定されている。それぞれのケーブル22は、固定された貫通部33の部分からスプール23の外周(レーン27)に沿って周方向に巻き回される。
カバー34は、レーン27からコネクタ部32の突端部まで延びている。このカバー34は、スプール23の外周面に対して傾斜している傾斜面35を有する部材である。このカバー34により、スプール23の貫通窓36の部分が覆われている。このようにすれば、レーン27からコネクタ部32の突端部までなだらかにケーブル22を巻くことができるため、ケーブル22の座屈を防ぐことができる。なお、「ケーブル22の座屈」とは、ケーブル22の内部が押し潰され、または、機能に支障が生じる程度にケーブル22が大きく屈曲されることを示す。
第1実施形態では、貫通部33の部分でケーブル22が大きく屈曲されることがなくなり、超電導電磁石15に冷却材を供給する機能が低下してしまうことを防ぐことができる。
また、コネクタ部32でケーブル22を固縛することで、スプール23の内部で生じたケーブル22の捩じれが、スプール23の外部のケーブル22に伝わることを妨げることができる。そのため、スプール23に巻かれるケーブル22の捩じれを防止することができる。
また、コネクタ部32があれば、ケーブル22の交換の際に、スプール23の内部(コネクタ部32より内側)と外部(コネクタ部32より外側)で個別に交換保守が行えるようになる。例えば、コネクタ部32の部分に接続部を設けるようにし、この接続部で1本のケーブル22を着脱可能にし、このケーブル22をスプール23の内側と外側でそれぞれ個別に保守を行うようにする。このようにすれば、保守作業の負荷が低減される。
また、第1実施形態では、複数のフレキシブルホース81を束ねて1本のケーブル22とすることで、それぞれのフレキシブルホース81が乱巻きで捩じれてしまうことを抑制し、超電導電磁石15に対して冷却材の供給が滞らないようにできる。
なお、第1実施形態では、複数のフレキシブルホース81を束ねて1本のケーブル22を形成しているが、その他の態様であっても良い。例えば、複数の電力線または複数の信号線を束ねて1本のケーブル22を形成しても良い。また、フレキシブルホース81と電力線と信号線とを混在させた状態で束ねて1本のケーブル22を形成しても良い。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図7を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、第2実施形態について図7を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
第2実施形態のケーブル22Aは、複数のフレキシブルホース81が並列に一体化されて形成された帯状(平板状)を成している。つまり、1本のケーブル22Aは、複数のフレキシブルホース81を平らに纏めて、断面視で長円形状を成すように形成されている。
例えば、9本のフレキシブルホース81が断面視で直線状に並べられ、その並べられたものの外周を螺旋状に保護テープ82で巻き回す。そして、これらのフレキシブルホース81と表面を覆う保護テープ82とで1本のケーブル22が形成される。また、複数のフレキシブルホース81を並べた状態で、1本のチューブ(図示略)に収容し、1本のケーブル22を形成しても良い。
そして、スプール23には、少なくとも2つのツバリング26Aが設けられ、これらツバリング26Aの間に、ケーブル22の幅寸法よりも大きな間口寸法を有する凹状を成すレーン27Aが形成されている。
なお、1つのレーン27Aに対して複数のケーブル22Aがスプール23の径方向に積層された状態で保持される。つまり、スプール23は、複数のケーブル22Aを径方向に積層した状態で巻き取りまたは繰り出しを行うことができる。このようにすれば、複数のケーブル22Aを、乱巻きを生じさせずにスプール23に巻くことができる。
第2実施形態では、ケーブル22Aが帯状を成しているため、フレキシブルホース81が乱巻きで捩じれてしまうことを抑制し、超電導電磁石15(図2)に対して冷却材の供給が滞らないようにできる。また、ケーブル22Aを平らに纏めることで、スプール23に設けるツバリング26Aの数を削減することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図8を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、第3実施形態について図8を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
第3実施形態のケーブル22Bは、複数のフレキシブルホース81が並列に一体化されて形成された帯状(平板状)を成している。さらに、ケーブル22Bは、帯状を成す補強部材83を備える。
例えば、9本のフレキシブルホース81が1本の補強部材83に沿って並べられ、その並べられたものの外周を螺旋状に保護テープ82で巻き回す。ここで、保護テープ82により補強部材83とともに複数のフレキシブルホース81が一体化される。そして、これらのフレキシブルホース81と補強部材83と保護テープ82とで1本のケーブル22Bが形成される。
なお、補強部材83は、帯状のケーブル22Bをスプール23に巻き回したときに、巻き回したケーブル22Bの外周側となる部分に設けられている。このようにすれば、ケーブル22Bをスプール23の径方向に積層し易くなる。
第3実施形態では、補強部材83によりケーブル22Bが捩じれ難くなり、フレキシブルホース81の捩じれを抑制することができる。また、ケーブル22Bを製造するときに、フレキシブルホース81を断面視で直線状に並べ易くなり、製造が容易になる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について図9を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、第4実施形態について図9を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
第4実施形態のツバリング26Bは、断面視において、その周縁が半円形状を成している。つまり、それぞれのツバリング26Bの周面が湾曲された湾曲面84となっている。この湾曲面84が第4実施形態の面取部を構成する。なお、ツバリング26Bの周面において、その両角部を湾曲させて所謂R面取りされた面取部としても良い。
第4実施形態では、ツバリング26Bの周面が湾曲された湾曲面84となっていることで、ケーブル22がレーン27に収容されるときに、ケーブル22がツバリング26Bに引っ掛かり難くなり、ツバリング26への引っ掛かりによって生じるケーブル22への摩擦または張力を低減させることができ、乱巻きを抑制することができる。仮に、ケーブル22がツバリング26Bに引っ掛かった場合でも、ケーブル22が切断されたり、ケーブル22が摩耗したりすることを抑制できる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について図10を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
次に、第5実施形態について図10を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
第5実施形態のツバリング26Cは、その周面85において、その片方の角部が切り欠かれて面取部86が形成されている。つまり、それぞれのツバリング26Cの片面のみに面取部86が形成されている。例えば、面取部86は、ツバリング26Cの突出方向に対して約30°の傾きを有する傾斜面となっている。
1つのレーン27の両側に配置される2つのツバリング26Cのうち、一方のツバリング26Cは、面取部86が形成された面をレーン27に向けており、他方のツバリング26Cは、面取部86が形成されていない面をレーン27に向けている。このようにすれば、少なくとも面取部86が形成されていない場合よりも、レーン27の間口寸法D1を広げることができる。
また、特定のレーン27’については、その両側に配置されるツバリング26C’のいずれも、面取部86が形成された面をレーン27’に向けるようにする。このようにすれば、少なくとも他のレーン27の間口寸法D1よりも、広い間口寸法D2とすることができる。例えば、他のレーン27よりも、ケーブル22’が入り難いレーン27’を予め特定できる場合には、そのレーン27’の両側に面取部86を配置し、広い間口寸法D2にすることができる。このようにすれば、ケーブル22’がレーン27’に入り易くなり、その結果、乱巻きを抑制することができる。
回転ガントリーの冷却材供給装置を第1実施形態から第5実施形態に基づいて説明したが、いずれか1の実施形態において適用された構成を他の実施形態に適用しても良いし、各実施形態において適用された構成を組み合わせても良い。
例えば、第5実施形態のツバリング26Cで、第2または第3実施形態の帯状のケーブル22A,22Bを保持させる場合には、ケーブル22A,22Bを挟む両方のツバリング26Cの面取部86をケーブル22A,22Bの側に向けるようにし、間口を広げた状態にすることができる。
なお、前述の実施形態では、重粒子線がん治療を行う施設を例示しているが、その他の施設にも前述の実施形態を適用できる。例えば、陽子線がん治療を行う施設に前述の実施形態を適用しても良い。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、スプールの周方向に貫通してケーブルをスプールの外部から内部に通す貫通部を備えることにより、超電導電磁石に冷却材を供給するケーブルの座屈を防ぐことができる。
また、輸送部が有する超電導電磁石に冷却材を供給する複数のフレキシブルホースが並列に一体化されて形成された帯状を成すケーブルを備えることにより、超電導電磁石に対して冷却材の供給が滞らないようにできる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態またはその変形は、発明の範囲と要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…粒子線治療システム、2…ビーム発生器、3…円形加速器、4…ビーム輸送ライン、5…回転ガントリー、6…真空ダクト、7…粒子線ビーム、8…患者、9…水平軸、10…躯体、11…エンドリング、12…回転駆動部、13…照射ノズル、14…輸送部、15…超電導電磁石、16…治療空間、17…治療台、18…治療室、19…床、20…カウンターウエイト、21…ウエイトピット、22(22A,22B)…ケーブル、23…スプール、24…ケーブルピット、25…フランジ、26(26A,26B,26C)…ツバリング、27(27A)…レーン、28…周面、29…面取部、30…固定装置、32…コネクタ部、33…貫通部、34…カバー、35…傾斜面、36…貫通窓、80…冷却材供給装置、81…フレキシブルホース、82…保護テープ、83…補強部材、84…湾曲面、85…周面、86…面取部、D1,D2…間口寸法、G1…第1群、G2…第2群。
Claims (6)
- 粒子線ビームを照射する照射ノズルと前記照射ノズルに前記粒子線ビームを輸送する輸送部とを支持して水平方向を向く水平軸を中心に回転する回転ガントリーと、
一端が前記回転ガントリーに接続されて他端が静止している装置に接続され、前記輸送部が有する超電導電磁石に冷却材を供給するフレキシブルホースを有するケーブルと、
前記回転ガントリーに設けられ、前記ケーブルの巻き取りまたは繰り出しを行うスプールと、
前記スプールにおける前記ケーブルを保持するレーンに対応して設けられ、前記スプールの径方向に突出されるコネクタ部と、
前記コネクタ部に形成され、前記スプールの周方向に貫通して前記ケーブルを前記スプールの外部から内部に通す貫通部と、
を備える、
回転ガントリーの冷却材供給装置。 - 前記レーンから前記コネクタ部の突端部まで延びる傾斜面を有するカバーを備える、
請求項1に記載の回転ガントリーの冷却材供給装置。 - 前記スプールは、周縁に面取りされた面取部が形成された円盤状を成すツバリングを備える、
請求項1または請求項2に記載の回転ガントリーの冷却材供給装置。 - 複数の前記フレキシブルホースを束ねて断面視で円形状を成す1本の前記ケーブルが形成される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転ガントリーの冷却材供給装置。 - 複数の前記フレキシブルホースを並列に一体化して帯状を成す1本の前記ケーブルが形成される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転ガントリーの冷却材供給装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の前記回転ガントリーの冷却材供給装置と、
前記輸送部により前記水平軸に対して直交する方向に導かれる前記粒子線ビームの照射位置に患者を移動して位置合わせを行う治療台と、
前記粒子線ビームを生成するビーム発生器と、
前記粒子線ビームを加速する加速器と、
を備える、
粒子線治療システム。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021163945A JP2023054931A (ja) | 2021-10-05 | 2021-10-05 | 回転ガントリーの冷却材供給装置および粒子線治療システム |
PCT/JP2022/030843 WO2023058324A1 (ja) | 2021-10-05 | 2022-08-15 | 回転ガントリーの監視装置、回転ガントリーの監視方法および粒子線治療システム |
US18/419,720 US20240157173A1 (en) | 2021-10-05 | 2024-01-23 | Monitoring apparatus for rotating gantry, monitoring method for rotating gantry, and particle beam treatment system |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021163945A JP2023054931A (ja) | 2021-10-05 | 2021-10-05 | 回転ガントリーの冷却材供給装置および粒子線治療システム |
Publications (1)
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JP2023054931A true JP2023054931A (ja) | 2023-04-17 |
Family
ID=85986213
Family Applications (1)
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JP2021163945A Pending JP2023054931A (ja) | 2021-10-05 | 2021-10-05 | 回転ガントリーの冷却材供給装置および粒子線治療システム |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2023054931A (ja) |
-
2021
- 2021-10-05 JP JP2021163945A patent/JP2023054931A/ja active Pending
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