JP2023054671A - 中性脂質の測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中性脂質を優れた精度で安定的に測定する技術を提供する。【解決手段】血液試料を含む測定試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得して測定試料の光学特性値を得るステップと、中性脂肪の濃度が異なる複数の標準試料について濃度と標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルに基づく光学特性値とが対応づけられた検量線データに基づき、測定試料の光学特性値に対応する中性脂質の濃度を決定するステップと、を含み、光学特性値が、第1基準点の吸光度または透過率と第1ピークの吸光度または透過率との差分Δ1、および、第1ピークの吸光度または透過率と第2基準点の吸光度または透過率との差分Δ2から式(I):R1=Δ1/Δ2により算出されるR1を含む、赤外分光法により血液試料中の中性脂質を測定する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、中性脂質の測定方法に関する。
血中脂質の測定方法に関する技術として、特許文献1および2に記載のものがある。
特許文献1(特開2017-144079号公報)には、生体外から生体内に向けて所定の光強度で光を照射する照射部と、照射した光の光強度の照射検出間距離に応じた減衰を計測するために、照射部による光の照射位置から所定間隔をあけて、あるいは、連続的に配置されて、生体から放出される光強度を検出する光強度検出部と、光強度検出部により検出された光強度に基づき生体内における光の散乱係数を算出する散乱係数算出部と、散乱係数の変化量に基づき血液内の脂質の平均粒子径の変化量を算出する粒子径算出部と、平均粒子径の変化量の時間変化から体調を判断する体調判断部とを有する体調管理装置について記載されている(請求項1)。そして、体調判断部は、血中の脂質の平均粒子径の変化量の増加から、食事による脂質吸収量(中性脂肪濃度の増加量)を求めること(段落0073)、および、光の波長範囲は約1400nm以下、及び、約1500nm~約1860nmとするのが好ましいことが同文献に記載されている(段落0029)。
特許文献2(特開2019-63584号公報)には、脈波を取得するセンサ部と、取得された脈波に基づく指標を算出する制御部と、を備え、センサ部は、少なくとも食事後を含む複数のタイミングで脈波を取得し、制御部は、複数のタイミングで取得された脈波に対応する複数の指標を算出し、食事後の指標の極値を抽出し、食事後の所定時間より後に出現する第2の極値及びその出現時間に基づいて、被検者の脂質代謝の状態を推定する、電子機器について記載されている(請求項2)。
特開2017-144079号公報 特開2019-63584号公報
しかしながら、本発明者らが上記特許文献に記載の技術について検討したところ、中性脂質濃度の測定精度を向上するという点で改善の余地があることが明らかになった。
本発明は、中性脂質を優れた精度で安定的に測定する技術を提供するものである。
本発明者らは、血液試料中の中性脂質の濃度の測定にあたり、中赤外領域における中性脂質の光吸収特性を用いることを考えた。ところが、中赤外領域には水の吸収帯が存在するため、中性脂質の光吸収特性に試料中の水の干渉が生じ、正確な測定を難しくする場合があることが新たに見出された。具体的には、3200cm-1(3.125μm)~3400cm-1(2.941μm)付近および1650cm-1(6.06μm)付近に水の吸収帯が存在するため、これらの吸収が中性脂質の2930cm-1(3.4μm)付近の吸収に干渉してしまう場合があることが明らかになった。
そこで、本発明者らは、水の干渉の影響を抑制しつつ中性脂質の光吸収特性を安定的に測定すべく検討した結果、中赤外領域における赤外分光スペクトルに基づく特定の光学特性値を用いた検量線を作成し、かかる検量線を用いて試料中の中性脂質の濃度を求めることにより、優れた精度で濃度測定をおこなうことができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
赤外分光法により血液試料中の中性脂質を測定する方法であって、
前記血液試料を含む測定試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得して、前記測定試料の前記光学特性値を得るステップと、
前記中性脂肪の濃度が異なる複数の標準試料について前記濃度と前記標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルに基づく光学特性値とが対応づけられた検量線データに基づき、前記測定試料の前記光学特性値に対応する前記中性脂質の濃度を決定するステップと、
を含み、
前記光学特性値が、2930cm-1付近の第1ピークより高波数側に位置する第1基準点の吸光度または透過率と、前記第1ピークの吸光度または透過率との差分Δ1、および、前記第1ピークの吸光度または透過率と、前記第1ピークより低波数側に位置する第2基準点の吸光度または透過率との差分Δ2から、以下の式(I)により算出されるR1を含む、中性脂質の測定方法が提供される。
R1=Δ1/Δ2 (I)
また、本発明によれば、
赤外分光法により血液試料中の中性脂質を測定する装置であって、
前記血液試料を含む測定試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得するスペクトル取得部と、
前記スペクトル取得部にて取得された前記赤外分光スペクトルに基づき前記測定試料の光学特性値を得る光学特性値取得部と、
前記中性脂肪の濃度が異なる複数の標準試料について前記濃度と前記標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルに基づく光学特性値との関係を表す検量線データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記検量線データを取得して、前記検量線データに基づき前記測定試料の前記光学測定値に対応する前記中性脂質の濃度を決定する中性脂質濃度演算部と、
を含み、
前記光学特性値取得部が、前記赤外分光スペクトルにおける2930cm-1付近の第1ピークより高波数側に位置する第1基準点の吸光度または透過率と、前記第1ピークの吸光度または透過率との差分Δ1、および、前記第1ピークの吸光度または透過率と、前記第1ピークより低波数側に位置する第2基準点の吸光度または透過率との差分Δ2から、以下の式(I)で表されるR1を前記光学特性値として算出する、中性脂質の測定装置が提供される。
R1=Δ1/Δ2 (I)
本発明によれば、中性脂質を優れた精度で安定的に測定することができる。
実施形態における光学特性値の取得方法を説明するための図である。 実施形態における測定装置の構成の一例を示す図である。 実施例における中性脂質の濃度と光学特性値との関係を表す検量線を示すグラフである。 実施例における中性脂質の濃度と光学特性値との関係を表す検量線を示すグラフである。 実施例における中性脂質の濃度と光学特性値との関係を表す検量線を示すグラフである。 実施例における中性脂質の濃度と光学特性値との関係を表す検量線を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本明細書において、数値範囲を示す「~」は、以上、以下を表し、両端の数値をいずれも含む。
本実施形態において、中性脂質の測定方法は、赤外分光法により血液試料中の中性脂質を測定する方法であって、以下のステップを含む。
(ステップ1)血液試料を含む測定試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得して、測定試料の光学特性値を得るステップ
(ステップ2)中性脂肪の濃度が異なる複数の標準試料について濃度と標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルに基づく光学特性値とが対応づけられた検量線データに基づき、測定試料の光学特性値に対応する中性脂質の濃度を決定するステップ
そして、上記光学特性値が、2930cm-1付近の第1ピークより高波数側に位置する第1基準点の吸光度または透過率と、第1ピークの吸光度または透過率との差分Δ1、および、第1ピークの吸光度または透過率と、第1ピークより低波数側に位置する第2基準点の吸光度または透過率との差分Δ2から、以下の式(I)により算出されるR1を含む。
R1=Δ1/Δ2 (I)
また、本実施形態における測定方法は、以下のステップ3をさらに含んでもよい。
(ステップ3)上記複数の標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得して上記検量線データを作成するステップ
ここで、ステップ1とステップ3の先後はいずれでもよい。
血液試料は、具体的には、血液または血液由来試料である。
また、測定試料は、血液試料を含むものであればよく、たとえば血液試料そのものであってもよいし、血液由来試料を水、緩衝液等で希釈したものであってもよい。
測定試料および標準試料は、具体的には、いずれも液体である。
本実施形態における測定方法は、非侵襲および侵襲のいずれであってもよい。また、本実施形態における測定方法は、具体的にはヒトに対する医療行為を除くものである。
本実施形態において、赤外分光法は、中性脂肪の濃度測定をより確実におこなう観点から、好ましくは全反射(ATR)法であり、より好ましくはATR/FT-IR法である。
また、赤外分光の測定値としては、吸光度および透過率のいずれを用いることもできる。以下の説明においては吸光度を例に挙げて説明するが、吸光度にかえて透過率を用いてもよい。
以下、各ステップについてさらに具体的に説明する。
(ステップ1)
ステップ1では、まず、血液試料を含む測定試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得する。
中赤外領域とは、具体的には波数4000cm-1~400cm-1(波長2.5μm~25μm)程度の領域である。
中性脂質は、2930cm-1付近および2850cm-1付近にピークを有し、本明細書においてこれらをそれぞれ適宜第1および第2ピークとも呼ぶ。ここで、「2930cm-1付近」および「2850cm-1付近」とは、中性脂質のピーク位置が2930cm-1および2850cm-1から組成によりずれる場合におけるずれ(誤差)を含む意味である。
ステップ1および後述のステップ3における測定領域は、具体的には、第1ピークより高波数側に位置する第1基準点から第1ピークより低波数側に位置する第2基準点にわたる領域を少なくとも含む。
ATR法による赤外分光測定では、たとえば、測定装置のプリズムの表面に直接標準試料を適用して赤外分光スペクトルを得ることができる。
また、複数の標準試料および測定試料がいずれも液体であるとき、ステップ1および後述のステップ3において、それぞれ、コラーゲンビトリゲル等のファントムを介して複数の標準試料および測定試料に中赤外線を照射することにより赤外分光スペクトルを取得することもできる。
ここで、コラーゲンビトリゲルは、細胞培養を行うために開発された材料であり、主成分はコラーゲンである。コラーゲンはタンパク質であり、生体に多く含まれているが、皮膚の主成分をなすタンパク質であるケラチンとほぼ同じ成分で構成されている。そして、かかるコラーゲンビトリゲルは、皮膚の角質と見立てた材料としてより好適であって、皮膚のモデルとして好適であることが本発明者により見出された。
コラーゲンビトリゲルをファントムとするとき、たとえば、底面がコラーゲンビトリゲルにより構成された筒状の測定セルを準備してかかる測定セル中に標準試料を入れて測定装置のプリズムの表面に配設し、中赤外領域の赤外分光スペクトルを取得してもよい。測定セルの底面を構成するコラーゲンビトリゲルの厚さは、より安定的に測定をおこなう観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは20μm以下、であり、より好ましくは15μm以下である。
本実施形態において、所定の厚さを有するコラーゲンビトリゲルは、たとえば公知の方法により製造することができ、さらに具体的には、国際公開第2019/064807号に記載の方法を用いて製造することができる。また、コラーゲンビトリゲルとして市販品を用いてもよい。
ステップ1において、測定試料の赤外分光スペクトルを取得した後、取得した赤外分光スペクトルに基づき光学特性値を得る。光学特性値は、以下の式(I)により算出されるR1を含む。
R1=Δ1/Δ2 (I)
ここで、R1は、求める吸収に対する前後の波長における吸光度もしくは透過率の差分(殊に比率)である。
図1は、R1の取得方法を説明するための図である。
上記式(I)において、Δ1は、第1基準点(図1中のK2)における測定試料の吸光度と第1ピーク(図1中のK1)における測定試料の吸光度との差分(K2-K1)である。また、Δ2は、第1ピーク(図1中のK1)における測定試料の吸光度と第2基準点(図1中のK3)における測定試料の吸光度との差分(K1-K3)である。
光学特性値としては、少なくともR1を得ればよいが、後述のR2をさらに得ることもできる。
本実施形態においては、ステップ1にて各標準試料についてΔ1およびΔ2を算出してこれらの比R1を得るとともに、標準試料の濃度とR1との関係を表す検量線を作成する。かかる検量線を用いることにより、測定試料に含まれる水の影響を抑制することができるため、中性脂肪の濃度を高い精度で安定的に測定することが可能となる。
すなわち、前述のとおり、中赤外領域の3200cm-1(3.125μm)~3400cm-1(2.941μm)付近および1650cm-1(6.06μm)付近には、水の吸収帯が存在しており、これらの吸収が中性脂質の2930cm-1(3.4μm)付近の吸収に干渉することがあった。本実施形態における方法によれば、このような場合であっても、中性脂質の吸収ピーク付近における水の干渉の影響を低減できるため、測定の正確性を向上することができる。
第1および第2基準点は、中性脂質の濃度の測定精度を向上する観点から、たとえば第1ピークの位置から離れすぎておらず、中性脂質の吸収が大きくない点を選ぶことができる。同様の観点から、第1ピークの波数と第1および第2基準点の波数との差の絶対値は、いずれも、好ましくは30cm-1以上であり、より好ましくは40cm-1以上、さらに好ましくは45cm-1以上であり、また、好ましくは70cm-1以下であり、より好ましくは60cm-1以下、より好ましくは55cm-1以下である。
(ステップ2)
ステップ2では、標準試料の濃度と光学特性値とが対応づけられた検量線データに基づき、測定試料の光学特性値に対応する中性脂質の濃度を決定する。
また、測定試料が血液試料そのものでない場合には、たとえば測定試料中の血液試料の濃度に基づき、血液試料中の中性脂質の濃度を得ることができる。
検量線データは、事前に取得しておいてもよいし、ステップ3で取得することもできる。
(ステップ3)
ステップ3では、ステップ1について上述した方法に準じて複数の標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得し、各標準試料の光学特性値を得る。
検量線データの作成のための標準試料は、既知濃度の中性脂質を含むものであればよい。標準試料として、たとえば、市販のトリグリセリド標準液、大豆油注射液(たとえばイントラリポス輸液、大塚製薬社製)をそのまままたは希釈して用いることができる。
ステップ3において、光学特性値としては、ステップ1と同様に、少なくともR1を得ればよいが、後述のR2をさらに得ることもできる。
以上、光学特性値としてR1を用いる場合を例に説明したが、光学特性値は、以下の式(II)により算出されるR2をさらに含んでもよい。R1に加えてR2を用いることにより、たとえば、中性脂質の濃度測定の正確性をさらに向上させることも可能となる。
R2=Δ3/Δ4 (II)
上記式(II)において、Δ3は、第3基準点における標準試料の吸光度と第2ピークにおける標準試料の吸光度との差分である。また、Δ4は、第2ピークにおける標準試料の吸光度と第4基準点における標準試料の吸光度との差分である。第3基準点は第2ピークより高波数側に位置し、第4基準点は第2ピークより低波数側に位置する。
第3および第4基準点は、中性脂質の濃度の測定精度を向上する観点から、たとえば第2ピークの位置から離れすぎておらず、中性脂質の吸収が大きくない点を選ぶことができる。同様の観点から、第2ピークの波数と第3および第4基準点の波数との差の絶対値は、いずれも、好ましくは10cm-1以上であり、より好ましくは15cm-1以上であり、また、好ましくは60cm-1以下であり、より好ましくは50cm-1以下、さらに好ましくは40cm-1以下である。
また、光学特性値としてR1およびR2を用いるとき、ステップ1およびステップ2における測定領域は、たとえば第1基準点から第4基準点にわたる領域を少なくとも含む。
光学特性値としてR1およびR2を用いるとき、ステップ3において測定試料中の中性脂肪の濃度は、R1に関する検量線から得られる測定試料中の中性脂質の濃度、および、R2に関する検量線から得られる測定試料中の中性脂質の濃度に基づき得ることができ、たとえばこれらの濃度の平均値として得ることができる。
本実施形態によれば、血液試料中の中性脂質を精度よく定量することができる。中性脂質は食事によって変動することから、たとえば脂質摂取の状態を把握することができ、摂取量の最適化等健康増進に役立つ情報を得ることも可能となる。
(測定装置)
図2は、本実施形態における測定装置の構成の一例を示す図である。図2に示した測定装置100は、赤外分光法により血液試料中の中性脂質を測定する装置であって、スペクトル取得部101、光学特性値取得部109、中性脂質濃度演算部111および記憶部113を含む。また、図2の例では、測定装置100は、データ受付部107、光学特性値取得部109、中性脂質濃度演算部111および記憶部113を含む演算部103、ならびに、出力部105を有する。
スペクトル取得部101は、血液試料を含む測定試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得する。赤外分光スペクトルの方法については前述のとおりである。
演算部103においては、データ受付部107にて、スペクトル取得部101にて取得された赤外分光スペクトルのデータが取得される。
次いで、光学特性値取得部109において赤外分光スペクトルに基づき測定試料の光学特性値を得る。すなわち、光学特性値取得部は、前述の差分Δ1、および、前述の差分Δ2から、前述の式(I)で表されるR1を光学特性値として算出する。
そして、中性脂質濃度演算部111は、光学特性値取得部109から光学特性値を取得するとともに、記憶部113から検量線データを取得して、検量線データに基づき測定試料の光学測定値に対応する中性脂質の濃度を決定する。
ここで、記憶部113には、中性脂肪の濃度が異なる複数の標準試料について濃度と標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルに基づく光学特性値との関係を表す検量線データが記憶されている。
また、出力部105は、中性脂質濃度演算部111にて得られた中性脂質の濃度を出力し、たとえばユーザに提示する。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例を挙げて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本例では、濃度の異なるトリグリセリド標準溶液を用いて中性脂質測定用の検量線を作成した。
(標準試料)
トリグリセリド標準液(関東化学製、コード:77872、267mg/dL)を超純水で希釈し、トリグリセリド濃度が34、68、134および267mg/dLである標準試料を調製した。また、トリグリセリド濃度を含まない(トリグリセリド濃度が0mg/dLである)標準試料として超純水を用いた。
(赤外分光測定)
赤外分光 ATR測定装置として、島津製作所社製IR Tracer 100及び、PIKE社製VeeMaxIIIを用いた。ATRのクリスタルに2mL程度の標準試料を直接滴下し、以下の条件で赤外分光測定をおこない、吸光度に関するスペクトルおよび透過率のスペクトルを得た。
積算回数:30回
測定範囲:900~4700cm-1
分解能:4cm-1
アポタイズ関数:Happ-Genzel関数
(検量線の作成)
各標準試料の吸光度のスペクトルに関し、以下に基づきR1を求めた。標準試料中のトリグリセリドの濃度を横軸、R1を縦軸として検量線を作成した。得られた検量線を図3に示す。
第1基準点:2980cm-1
第1ピーク:2930cm-1
第2基準点:2880cm-1
Δ1=(第1基準点の吸光度)-(第1ピークの吸光度)
Δ2=(第1ピークの吸光度)-(第2基準点の吸光度)
R1=Δ1/Δ2 (I)
また、透過率のスペクトルについても、上述の吸光度を透過率に置き換えて同様にR1を求め、濃度とR1との関係を表す検量線を作成した。得られた検量線を図4に示す。
(実施例2)
実施例1において、標準試料の種類を変えたこと、および、赤外分光測定において吸光度のスペクトルを得たこと以外は実施例1に準じて中性脂質測定用の検量線を作成した。
標準試料として、イントラリポス輸液(大塚製薬製 20%液)を超純水で希釈し、トリグリセリド濃度が100、500、1000、5000、10000および20000mg/dLである標準試料を調製した。また、トリグリセリド濃度を含まない(トリグリセリド濃度が0mg/dLである)標準試料として超純水を用いた。
得られた検量線を図5に示す。
(実施例3)
実施例2において、標準試料の濃度およびATRのクリスタルへの標準試料の適用方法を変えた他は実施例2に準じて中性脂質測定用の検量線を作成した。
標準試料の濃度については、イントラリポス輸液(大塚製薬製 20%液)を超純水で希釈し、トリグリセリド濃度が222、1078、2074、10960、26400および46400mg/dLである標準試料を調製した。また、トリグリセリド濃度を含まない(トリグリセリド濃度が0mg/dLである)標準試料として超純水を用いた。
また、赤外分光測定においては、測定セルとして、底面がコラーゲンビトリゲルにより構成された円筒状の測定セル(コラーゲンビトリゲルの厚さ:20μm、膜面積(測定セルの底面積)1cm2、セル本体の材料:ポリスチレン)を準備し、かかる測定セルに0.2mLの標準試料を入れて、ATRのクリスタル表面に置いた。
そして、上記ATR測定装置に付属するトルクリミッタを89Nで押し当て、赤外分光測定をおこなった。測定は、1つの標準試料に対して10回おこない、10回の測定で得られたR1の平均値を算出し、検量線作成に用いた。
各標準試料の測定結果を表1に示すとともに、得られた検量線を図6に示す。
Figure 2023054671000001
図3~図6および表1より、以上の実施例では、いずれも、光学特性値R1を用いることにより、良好な検量線を得ることができた。したがって、これらの検量線を用いることにより、測定試料中の中性脂質の濃度を優れた精度で安定的に測定することができる。
以下に、測定試料中の中性脂質濃度の測定例を示す。
以下において、
(実施例4)
コントロール血漿(正常)を計測し、図3に示した検量線(実施例1)を用いて定量したところ、116.1mg/dLとなった。試薬中に含まれる中性脂質濃度は、88mg/dL(メーカー提示の性状より)であり、本検量線からの定量値とほぼ同じとなった。この結果、本方法は、未知の中性脂質濃度試料を赤外分光法によって定量できることが示された。
同様に、透過率に基づく光学特性値を利用する場合においても、図4に示した検量線(実施例1)を用いて定量された試料の中性脂質濃度は、95.4mg/dLであり、メーカ提示の性状値である88mg/dLとほぼ同じ値となった。この結果からも本方法によって得られた検量線を利用することで中性脂質の定量が可能であることが示された。
図5に示した検量線(実施例2)を用いて、未知の希釈したイントラリポス輸液を定量したところ、223.2mg/dLとなった。この溶液を別法(酵素分光法)により定量したところ、232mg/dLであった。この結果、本方法によって未知のイントラリポス輸液の定量が可能であることがわかった。
最後にコラーゲンビトリゲルを介したときの検量線(図6、実施例3)について、検証した。未知の希釈したイントラリポス輸液を定量したところ、1491mg/dLとなった。この溶液を上記同様別法(酵素分光法)により定量したところ、1078mg/dLであった。この結果、コラーゲンビトリゲルを介しても検量線を作成することができ、且つ未知のイントラリポス輸液を定量することが可能であることが示された。
100 測定装置
101 スペクトル取得部
103 演算部
105 出力部
107 データ受付部
109 光学特性値取得部
111 中性脂質濃度演算部
113 記憶部

Claims (9)

  1. 赤外分光法により血液試料中の中性脂質を測定する方法であって、
    前記血液試料を含む測定試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得して、前記測定試料の前記光学特性値を得るステップと、
    前記中性脂肪の濃度が異なる複数の標準試料について前記濃度と前記標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルに基づく光学特性値とが対応づけられた検量線データに基づき、前記測定試料の前記光学特性値に対応する前記中性脂質の濃度を決定するステップと、
    を含み、
    前記光学特性値が、2930cm-1付近の第1ピークより高波数側に位置する第1基準点の吸光度または透過率と、前記第1ピークの吸光度または透過率との差分Δ1、および、前記第1ピークの吸光度または透過率と、前記第1ピークより低波数側に位置する第2基準点の吸光度または透過率との差分Δ2から、以下の式(I)により算出されるR1を含む、中性脂質の測定方法。
    R1=Δ1/Δ2 (I)
  2. 前記赤外分光法が全反射(ATR)法である、請求項1に記載の中性脂質の測定方法。
  3. 前記第1ピークの波数と前記第1および第2基準点の波数との差の絶対値が、いずれも、30cm-1以上70cm-1以下である、請求項1または2に記載の中性脂質の測定方法。
  4. 前記光学特性値が、2850cm-1付近の第2ピークより高波数側に位置する第3基準点の吸光度または透過率と、前記第2ピークの吸光度または透過率との差分Δ3、および、前記第2ピークの吸光度または透過率と、前記第2ピークより低波数側に位置する第4基準点の吸光度または透過率との差分Δ4から、以下の式(II)により算出されるR2をさらに含む、請求項1乃至3いずれか1項に記載の中性脂質の測定方法。
    R2=Δ3/Δ4 (II)
  5. 前記第2ピークの波数と前記第3および第4基準点の波数との差の絶対値が、いずれも、10cm-1以上60cm-1以下である、請求項4に記載の中性脂質の測定方法。
  6. 複数の前記標準試料および前記測定試料がいずれも液体である、請求項1乃至5いずれか1項に記載の中性脂質の測定方法。
  7. 前記複数の標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得して前記検量線データを作成するステップをさらに含む、請求項1乃至6いずれか1項に記載の中性脂質の測定方法。
  8. 検量線を作成する前記ステップ、および、測定試料の光学特性値を得る前記ステップにおいて、それぞれ、コラーゲンビトリゲルを介して複数の前記標準試料および前記測定試料に中赤外線を照射することにより前記標準試料および前記測定試料の赤外分光スペクトルを取得する、請求項7に記載の中性脂質の測定方法。
  9. 赤外分光法により血液試料中の中性脂質を測定する装置であって、
    前記血液試料を含む測定試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルを取得するスペクトル取得部と、
    前記スペクトル取得部にて取得された前記赤外分光スペクトルに基づき前記測定試料の光学特性値を得る光学特性値取得部と、
    前記中性脂肪の濃度が異なる複数の標準試料について前記濃度と前記標準試料の中赤外領域における赤外分光スペクトルに基づく光学特性値との関係を表す検量線データを記憶する記憶部と、
    前記記憶部から前記検量線データを取得して、前記検量線データに基づき前記測定試料の前記光学測定値に対応する前記中性脂質の濃度を決定する中性脂質濃度演算部と、
    を含み、
    前記光学特性値取得部が、前記赤外分光スペクトルにおける2930cm-1付近の第1ピークより高波数側に位置する第1基準点の吸光度または透過率と、前記第1ピークの吸光度または透過率との差分Δ1、および、前記第1ピークの吸光度または透過率と、前記第1ピークより低波数側に位置する第2基準点の吸光度または透過率との差分Δ2から、以下の式(I)で表されるR1を前記光学特性値として算出する、中性脂質の測定装置。
    R1=Δ1/Δ2 (I)
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