以下に添付図面を参照して、この発明にかかる乗員支援装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(表示装置の設置例)
図1は、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置の設置の一例を示す説明図である。図1においては、エレベーターのカゴ内の様子を示している。図1に示すように、エレベーターのカゴ100内には、乗員が出入りする出入り口部分の扉101と、カゴ100に搭乗した乗員が操作する操作盤102と、が備えられている。
乗員支援装置103は、表示画面104やレンズ105を備えている。表示画面104やレンズ105は、乗員支援装置103の筐体106の正面に設けられている。表示画面104は、広告や管理情報、あるいは、後述する案内情報などの各種の情報を表示する。レンズ105は、図示を省略する撮像素子とともに撮影装置(図3における符号303を参照)を構成する。
乗員支援装置103は、カゴ100の内壁面のうち、扉101および操作盤102が設けられている壁面であって、天井付近などのカゴ100内の上側部分に設置されている。これは、カゴ100内の乗員が、扉101側の壁面を向いて立つことが一般的であることを想定している。すなわち、通常、乗員は、カゴ100内に入った後、扉101側の壁面を向いて立つことが多く、このような位置に乗員支援装置103を設けることによって、カゴ100内の乗員が、乗員支援装置103の表示画面104を容易に見ることができる。これにより、乗員支援装置103が表示画面104に表示する各種の情報を、乗員に確実に視認させることができる。特に、表示画面104に広告を表示する場合に、乗員支援装置103を介した高い広告効果を発揮させることができる。
乗員支援装置103が備える撮影装置(カメラ)は、たとえば、乗員の表情を撮影する。乗員支援装置103をカゴ100内の上側部分に設置することにより、撮影装置によって乗員の表情を容易に撮影することができる。また、乗員支援装置103を扉101および操作盤102が設けられている壁面に設置することにより、撮影装置によって、カゴ100から降りる際の乗員の表情を撮影することができる。
また、乗員支援装置103をカゴ100内の上側部分に設置することにより、乗員は、通常の状態で手を伸ばしても乗員支援装置103に容易に触れることができない。したがって、乗員により、不用意に乗員支援装置103に触れられたり、乗員支援装置103を不正操作されたり、乗員支援装置103が壊されたりすることを防止することができる。
乗員支援装置103は、図示は省略するが、扉101および操作盤102が設けられている壁面に対向する壁面(カゴ100の奥側の壁面)に設けるようにしてもよい。このように、カゴ100の奥側の壁面に乗員支援装置103を設けることによって、乗員がカゴ100内に入ってくる際に、乗員支援装置103を見ることができる。
また、乗員支援装置103は、図示は省略するが、扉101および操作盤102が設けられている壁面と、その壁面に対向する壁面(カゴ100の奥側の壁面)とに、それぞれ設けるようにしてもよい。このように、扉101および操作盤102が設けられている壁面と、その壁面に対向する壁面(カゴ100の奥側の壁面)とに、それぞれ、乗員支援装置103を設けることによって、乗員は、カゴ100内に入る際、および、カゴ100内から出る際に、乗員支援装置103を見ることができる。
また、乗員支援装置103は、扉101および操作盤102が設けられている壁面と同一の壁面の上側部分に代えて、側壁面に設けるようにしてもよい。この場合、乗員支援装置103は、カゴ100の側壁面において、天井付近などのカゴ100内の上側部分に設けることが好ましい。このように、乗員支援装置103は、カゴ100内の扉101の上端よりも上側の位置のどの位置に設置してもよい。
乗員支援装置103は、たとえば、タブレット型端末装置によって実現することができる。乗員支援装置103をタブレット型端末装置によって実現することにより、エレベーターの設置後に、当該乗員支援装置103を後付けすることができる。乗員支援装置103は、カゴ100の広さ(定員数)、カゴ100の高さ、カゴの形状(床が正方形あるいは長方形など)、エレベーターの種類(シースルー型、壁面に鏡の有り無しなど)、外扉の種類(窓の有り無し)などを勘案した最適な位置に設置することができる。
乗員支援装置103は、たとえば、壁面へのネジ止めにより設置することができる。乗員支援装置103を壁面にネジ止めすることにより、落下を確実に防止することができる。ネジ止めは、壁面に限らず、ステーなどを介してカゴ100の天井に施してもよい。乗員支援装置103は、ネジ止め以外の方法(たとえばマグネットなどを使用するなど)によって設置してもよい。乗員支援装置103は、乗員支援装置103の設置後に、自由にその設置位置を変更できるようにしてもよい。
乗員支援装置103を後付けする場合、乗員支援装置103にコンセントプラグ107を設け、カゴ100にコンセントプラグ107の挿入を受け付けるプラグソケット108を設けるようにしてもよい。コンセントプラグ107は、たとえば、AC(Alternating Current)アダプターなどと称される、AC電源(商用電源)より入力される交流から所定の直流電力を取り出す機器の一部を構成する。ACアダプターは、乗員支援装置103の筐体106に対して取り外し可能に取り付けられていてもよい。
プラグソケット108は、コンセントプラグ107が挿入されることによって当該コンセントプラグ107とともに配線用差込接続器を構成する。具体的に、プラグソケット108は、たとえば、日本において汎用的に用いられているAタイプのプラグソケットを用いることができる。
プラグソケット108は、Aタイプに限るものではない。具体的には、たとえば、インドやインドネシアなどにおいて広く用いられているB3タイプやCタイプのプラグソケットを用いてもよく、香港などにおいて広く用いられているBFタイプのプラグソケットを用いてもよい。
あるいは、プラグソケット108は、韓国などにおいて広く用いられているSEタイプのプラグソケットを用いてもよく、台湾などにおいて広く用いられているOタイプのプラグソケットを用いてもよい。中国など、複数タイプのプラグソケットが普及している国や地域においては、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプ、B3タイプ、BFタイプ、SEタイプ、Oタイプなど様々なタイプの中から、エレベーターを設置する地域に応じた任意のタイプのプラグソケットを用いることが好ましい。
プラグソケット108は、図示を省略するカゴ上ボックスが収容する基板の電気回路に電気的に接続されている。プラグソケット108は、カゴ上ボックスが収容する基板の電気回路の端子に直接結線されているものに限らず、当該端子に接続された電力線に接続されていてもよい。このような電力線にプラグソケット108を接続する場合、当該電力線に分岐用のコネクタを設け、当該コネクタにプラグソケット108を接続することができる。
図1に示すように、プラグソケット108がカゴ100内に露出している場合、当該プラグソケット108は、カゴ100内の高い位置に配置することが好ましい。図1において、プラグソケット108は、カゴ100の側面の上側部分や天井面に設けられている。このように、カゴ100内に露出したプラグソケット108をカゴ100内の高い位置に配置することにより、雨天時に傘や衣服から飛んだ水滴が付着することを防止でき、また、盗電や子供などによる悪戯をしにくくすることができる。
プラグソケット108は、1つのカゴ100に1つ設けられていてもよく、1つのカゴ100に複数個設けられていてもよい。1つのカゴ100に複数のプラグソケット108を設ける場合、当該複数のプラグソケット108を並べて配置してもよく、複数箇所に分散して配置してもよい。プラグソケット108は、たとえば、当該プラグソケット108がカゴ100の内壁面(天井面)と同一面内に位置するように配置するとよい。
プラグソケット108には、乗員支援装置103に加えて、照明装置やファンなどを接続してもよい。エレベーターがカゴ100内にプラグソケット108を備えることにより、当該エレベーターに既設の照明装置とは別の照明装置や、既設の空調設備とは別のファンなどの電気機器を容易に後付けすることができ、カゴ100の乗員の利便性の向上を図ることができる。
また、カゴ100には、プラグソケット108に代えて、図示を省略する、接栓座を設けるようにしてもよい。接栓座は、図示を省略するカゴ上ボックスが収容する電気回路から供給される電源を、当該接栓座に接続された乗員支援装置103に対して供給する機能を備える。具体的には、たとえば、電源供給用の配線を備えたレセクタブルを用いることによって、接栓座に接続された電気機器に対して電源を供給することができる。なお、レセクタブルは、電源供給用の配線に加えて、信号伝送用の配線を備えていてもよい。
接栓座を実現するレセクタブルは、当該レセクタブルに接続されている乗員支援装置103の動作中に抜き差しすることができるホットプラグによって実現することが好ましい。接栓座を実現するレセクタブルは、さらに、図示を省略する制御回路を介して乗員支援装置103への給電をおこなうようにしてもよい。
また、接栓座は、たとえば、USBコネクタによって実現してもよい。接栓座を実現するレセクタブルとしてのUSBコネクタは、たとえば、USB Type-Aコネクタ、Micro USBコネクタ、Micro USB Type-Bコネクタ、USB Type-Cコネクタなど公知の各種のUSBコネクタのレセクタブルによって実現することができる。
また、接栓座を実現するレセクタブルは、USBインタフェースのコネクタ(レセクタブル)に限るものではなく、たとえば、IEEE 1394コネクタ、PS/2コネクタ、D-Subコネクタ、DINコネクタ、同軸コネクタ、その他公知の各種の通信用のコネクタによって実現されるものであってもよい。
接栓座を実現するレセクタブルは、1つのカゴ100に1つ設けられていてもよく、1つのカゴ100に複数設けられていてもよい。1つのカゴ100に複数の接栓座を実現するレセクタブルを設ける場合、通信I/Fのコネクタは1種類であってもよく、複数種類であってもよい。
接栓座を実現するレセクタブルは、たとえば、当該レセクタブルの端部がカゴ100の内壁面と同一面内に位置するように配置することができる。また、接栓座を実現するレセクタブルは、たとえば、当該レセクタブルの端部がカゴ100の内壁面よりもカゴ100の内側に飛び出していてもよく、カゴ100の内壁面から凹んだ位置に配置してもよい。
(乗員支援装置103の外観)
つぎに、乗員支援装置103の外観について説明する。図2は、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103の外観の一例を示す説明図である。
図2に示すように、表示画面104は、筐体106の正面に設けられており、横方向に長い長方形状をなす。表示画面104は、エレベーターの通常運行時は、たとえば、防犯カメラ映像表示領域201、管理情報表示領域202、各種情報表示領域203、広告表示領域(広告エリア)204の4つに区切った各領域において、それぞれ異なる情報を表示する。表示画面104を4つの領域に区切って表示することによって、異なる複数の情報を効率よく乗員に伝えることができる。
防犯カメラ映像表示領域201、管理情報表示領域202、各種情報表示領域203は、表示画面104の左下側の長方形の広告表示領域204を囲むように、当該広告表示領域204の上側から右側にかけて、逆「L」字状に設けられている。防犯カメラ映像表示領域201は、左側に設けられ、それに続いて、管理情報表示領域202が横長に設けられる。防犯カメラ映像表示領域201には、表示画面の下側に設けられた撮影装置(カメラ)303によって撮影された映像をリアルタイムで表示するようにしてもよい。
管理情報表示領域202に長いメッセージを表示する場合は、当該管理情報表示領域202内を右側から左側に流れるようにメッセージが表示してもよい。管理情報表示領域202を、表示画面104の上側という、乗員にとって視認しやすい位置に設けることにより、点検による運転停止などの比較的重要な管理情報を確実に乗員に伝えることができる。
表示画面104の右側の位置に、縦長に設けられた各種情報表示領域203は、たとえば、図2に示すような天気予報や現在時刻(あるいは現在の日時)、交通情報、ニュースなど、エレベーターの乗員に通知したい各種情報を表示する。各種情報表示領域203に多くの情報を表示する場合、表示する情報(文字や画像など)が、各種情報表示領域203の下側から上側へ流れるように表示してもよい。具体的には、たとえば、各地域の天気予報を表示する場合は、新しい地域の情報は、順次下から表示され、古い地域の情報は上側へ移動してから、消去するようにしてもよい。また、その逆に、各種情報表示領域203に表示する情報が、上側から下側へ流れるように表示してもよい。また、左右どちらかへ流れるように表示してもよい。このように、各種情報表示領域203では、表示する情報の内容によって、表示形態を変えることができる。
管理情報表示領域202と、各種情報表示領域203とでは、その境に明確な区切りはない。これは、表示する状況に応じて、管理情報表示領域202を右側に長くしてもよく、また、各種情報表示領域203を上側に長くしてもよくできるようにしている。また、表示する情報によっては、管理情報表示領域202と、各種情報表示領域203とを、一続きとして、使用することもできる。このように、表示画面104をレイアウトすることで、広告情報を表示しながら、それ以外の情報も同時に、乗員に伝えることができる。
表示画面104においては、領域を区切らずに、全面に広告を表示してもよい。また、表示画面104においては、通常は、図2に示すようなレイアウトで、領域ごとに異なる複数の情報を表示し、たとえば、エレベーターの異常運行が検出された場合などの非常事態が生じた場合は、レイアウトを変更し、領域を区切らずに、避難のためのガイダンスメッセージなどの案内情報を全面に表示してもよい(図5A(c)を参照)。
(乗員支援装置103のハードウエア構成)
図3は、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、乗員支援装置103は、CPU301と、メモリ302と、撮影装置(カメラ)303と、通信インタフェース(I/F)304と、表示画面(ディスプレイ)104と、スピーカー305と、マイク306と、加速度センサ307と、照度センサ308と、電源制御ユニット309と、を備えている。各構成部104、301~309は、バス300によって接続されている。
CPU301は、メモリ302に記憶されたプログラムを実行することによって、乗員支援装置103の装置全体の制御をつかさどる。メモリ302は、CPU301が実行するプログラムを記憶する。メモリ302は、具体的には、たとえば、この発明にかかる実施の形態の乗員支援プログラムを記憶する。また、メモリ302は、表示対象とする広告に関する広告情報や、広告の表示順序や表示期間などを管理する広告管理テーブルを含む各種情報を記憶することができる。
メモリ302は、ハードディスクメモリのほか、ICメモリ、SSD(Solid State Drive)などであってもよい。また、メモリ302は、乗員支援装置103に設けられたカードスロットを介して、乗員支援装置103に対して着脱可能なメモリカードであってもよい。メモリカードは、たとえば、SD(Secure Digital)メモリカードなどのICカードによってその機能を実現することができる。メモリカードは、外付けハードディスク、USBメモリ、SSDなどによって、その機能を実現するようにしてもよい。
撮影装置303は、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子を備え、撮像素子がレンズ203を通して受光した光を電気信号に変換し、画像情報(撮影データ)を生成することによって撮影をおこなう。撮影装置303は、静止画を撮影するものであってもよく、動画を撮影するものであってもよい。動画は、所定時間間隔で撮影された静止画を連続して再生するものを含む。画像情報は、所定の動画・音声データの圧縮方式の標準規格(たとえば、MPEG(Moving Picture Experts Group)など)によって圧縮されたものであってもよい。
通信I/F304は、乗員支援装置103とインターネットなどのネットワーク310とを通信回線を通じて接続するインタフェースであって、ネットワーク310と乗員支援装置103の内部とのインタフェースをつかさどり、外部装置からのデータの入力および外部装置へのデータの出力を制御する。
通信I/F304は、たとえば、Wi-Fi(登録商標)による無線インタフェースである。また、通信I/F304は、携帯電話回線(たとえばLTE(Long Term Evolution)、PHS(Personal Handy-phone System)などの無線通信のインタフェースであってもよく、また、モデムやLANアダプターなどの有線通信のインタフェースを採用することができる。また、エレベーター130が遠隔監視などのために有しているネットワーク310に接続し、そのネットワーク310を介して、情報の送受信をおこなうようにしてもよい。また、通信I/F304は、たとえば、USBインタフェースによって実現してもよい。
表示画面104は、液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによって実現される。表示画面104は、さらに、7セグメントディスプレイなどによって実現してもよい。スピーカー305は、音声信号である電気信号によって振動板を振動させて音を発生させる。また、スピーカー305は、音声信号を出力する出力端子であってもよく、当該出力端子に外部スピーカーを接続して、音を発生させるようにしてもよい。
マイク306は、カゴ100内の音声を集音する。加速度センサ307は、カゴ100にかかる加速度を測定する。加速度センサ307は、直流(DC:Direct Current)の加速度が検出可能であり、たとえば、重力を検出することができる。また、加速度センサ307は、カゴ100の振動や、カゴ100の傾き、カゴ100にかかる衝撃などを検出することができる。照度センサ308は、カゴ100内の照度(明るさ)を検出する。照度センサ308は、たとえば、フォトトランジスタやフォトダイオードを用いて実現することができる。
電源制御ユニット309は、たとえば、コンセントプラグ107などを介して供給を受けたAC電源の電圧を調整する電圧調整部(電源ICなど)によって実現することができる。電源制御ユニット309は、具体的には、たとえば、コンセントプラグ107、当該コンセントプラグ107に接続されたケーブル、および、コンセントプラグ107を介して供給を受けたAC電源から所定の直流電力を取り出す変圧回路、整流回路、安定化回路などによって構成されるACアダプターによって実現することができる。ACアダプターの機能は、乗員支援装置103の筐体106内に、あるいは、筐体106と一体に設けられていてもよい。
また、乗員支援装置103は、リチウム電池などのバッテリー(蓄電池)を、さらに備えていてもよい。すなわち、電源制御ユニット309には、蓄電池が含まれていてもよい、あるいは、電源制御ユニット309は、蓄電池を接続する接続端子を備えていてもよい。これにより、蓄電池を容易に交換することができる。このように、電源制御ユニット309は、コンセントプラグ107を介して供給された、あるいは、蓄電池から供給された電源を、乗員支援装置103の各部へ供給する。
その他、図示は省略するが、乗員支援装置103は、メモリカードI/F、入出力デバイス、GPS受信機などを備えていてもよい。メモリカードI/Fは、カードスロットを介して乗員支援装置103と接続されるインタフェースである。メモリカードI/Fは、メモリカードと内部のインタフェースをつかさどり、メモリカードからのデータの入力およびメモリカードへのデータの出力を制御する。
入出力デバイスは、たとえば、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーまたはボタンによって実現することができる。入出力デバイスを実現するキーやボタンは、乗員支援装置103の背面側に設けてもよい。これにより、乗員支援装置103に対する悪戯や、物がぶつかるなどにより誤操作されることを防止できる。入出力デバイスは、マイク、表示画面104に積層されたタッチパネル、他の情報処理装置を接続可能な接続端子などによって実現されるものであってもよい。
GPS受信機は、3つないし5つのGPS衛星からの電波を受信し、GPS衛星との幾何学的位置を求めるために、GPS衛星からの電波を受信してGPS測位データを出力する。GPS受信機により、乗員支援装置103の現在位置を把握することができる。これにより、たとえば、乗員支援装置103をタブレット型端末装置によって実現し、エレベーターの設置後に後付けする場合に、当該乗員支援装置103が盗難されても追跡することができる。
(乗員支援装置103の機能的構成)
図4は、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103の機能的構成の一例を示すブロック図である。図4において、乗員支援装置103の機能は、制御部(判断部)400と、取得部401と、記憶部402と、表示制御部403と、撮影部404と、出力部405と、運行異常検出部406と、音声出力部407と、によって実現することができる。
制御部400は、乗員支援装置103の全体を制御する。制御部400は、具体的には、たとえば、図3に示したCPU301が、メモリ302などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。
取得部401は、エレベーターの乗員に対する広告に関する広告情報を取得する。取得部401は、具体的には、たとえば、図3に示した通信I/F304などによってその機能を実現することができる。取得部401は、図示を省略する、広告配信サーバあるいは広告主の情報端末装置から、ネットワーク350を介して、広告情報を取得することができる。また、取得部401は、エレベーターの乗員が携行するスマートフォンなどの情報端末装置から広告情報を取得するようにしてもよい。
記憶部402は、取得部401によって取得された広告情報を記憶する。記憶部402は、具体的には、たとえば、図3に示したメモリ302などによってその機能を実現することができる。記憶部402は、取得部401によって取得された広告情報をそのまま記憶してもよく、また、一旦、取得部401によって取得された広告情報について、制御部400によって表示用に加工されたものを記憶するようにしてもよい。
図3に示した通信I/F304が、USBインタフェースによって実現される場合、記憶部402は、当該通信I/F304を介して接続されたUSBメモリや外部装置などから取得した広告情報を記憶してもよい。この場合も、記憶部402は、USBメモリや外部装置などから取得した広告情報をそのまま記憶してもよく、また、一旦、USBメモリや外部装置などから取得した広告情報について、制御部400によって表示用に加工されたものを記憶するようにしてもよい。
記憶部402は、たとえば、乗員支援装置103またはエレベーターの管理者と、広告主との間に成立した契約に基づいて定められる契約期間の間、広告情報を記憶する。契約期間が経過した広告情報は、記憶部402から消去する。契約期間が経過した広告情報の消去は、たとえば、管理者の操作を介することなく制御部400が適宜おこなってもよく、管理者の操作に応じておこなってもよい。
表示制御部403は、取得部401によって取得され、記憶部402に記憶された広告情報に基づいて、表示画面104に広告を表示する。表示制御部403は、具体的には、たとえば、図3に示したCPU301が、メモリ302などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。表示制御部403は、記憶部402に記憶された広告情報に基づいて表示画面104に広告を表示してもよく、また、記憶部402に記憶され制御部400によって加工された後の広告情報に基づいて表示画面104に広告を表示してもよい。
広告情報は、特典に関する特典情報を含んでいてもよい。特典に関する特典情報とは、たとえば、エレベーターの乗員のみが提供を受けられ、それ以外の人は提供を受けられない利点など(特典)を示す情報によって実現することができる。特典は、具体的には、たとえば、広告主が提供する商品やサービスに対する割引や特別待遇や、商品またはサービスに対する割引クーポンとすることができる。
特典情報には、広告を表示したエレベーター、当該エレベーターが設置された建物(マンションやオフィスビル)および当該建物が存在する地域(住所による区分あるいは距離による区分によって特定された地域など)の少なくともいずれか1つを特定する情報が含まれていてもよい。
ここで、エレベーターを特定する情報は、具体的には、たとえば、住所や電話番号などであってもよく、また、エレベーター管理会社が各エレベーターを管理する際に各エレベーターにそれぞれ付与しているID番号などであってもよい。また、エレベーターが設置された建物を特定する情報は、具体的には、たとえば、当該エレベーターが設置されている建物名、住所、電話番号などであってもよく、また、エレベーター管理会社が各エレベーターを管理する際に各建物にそれぞれ付与しているID番号などであってもよい。
エレベーターが設置された建物が存在する地域を特定する情報は、具体的には、当該建物の住所の単位(○○町一丁目など)や、当該建物の所在地の緯度経度情報から、その所在地を中心としたエリア(半径○○m以内など)、あるいは、当該建物の所在地から最寄りの交通機関(地下鉄駅など)を中心としたエリアなどであってもよい。
制御部400は、乗員支援装置103(のメモリ302)が記憶する、乗員支援装置103が備える当該エレベーターに関する情報、エレベーターが設置された建物を特定する情報、エレベーターが設置された建物が存在する地域を特定する情報の少なくともいずれか1つを取得して、特典情報に含めることができる。
特典情報には、特典の提供を受ける条件に関する情報が含まれていてもよい。また、特典情報には、当該特典情報を含む広告を表示するまたは表示した日時に関する情報が含まれていてもよい。制御部400は、この特典の提供を受ける条件に関する情報または広告を表示するまたは表示した日時に関する情報を特典情報に含めるようにしてもよい。制御部400は、乗員支援装置103(のCPU301)が備える時計から日時情報を取得して、特典情報を含む広告を表示するまたは表示した日時に関する情報を特典情報に含めることができる。
特典情報に、当該エレベーターに関する情報、エレベーターが設置された建物を特定する情報、エレベーターが設置された建物が存在する地域を特定する情報の少なくともいずれかに関する情報や、日時に関する情報が含まれていることによって、当該特典情報を用いて特典の提供を申し出た乗員がエレベーター内で広告を見た日時を容易に特定することができ、その後のマーケティング情報として活用することができる。
また、特典情報に、特典の提供を受ける条件に関する情報が含まれていることによって、特典の提供を受ける者であってエレベーターの利用者(乗員)が受けられる特典の内容を正確に把握でき、より確実に、当該特典を利用することができるようになる。
特典情報は、スマートフォンなどの携帯端末装置が取得可能な情報であってもよい。具体的には、たとえば、特典情報は、2次元コードにより表示される情報であってもよい。表示画面に表示された2次元コードは、たとえば、携帯端末装置のカメラによって撮影され、携帯端末装置が備えるアプリケーションにより、その2次元コードに記録されている情報を取得することができる。
撮影部404は、カゴ100内を撮影する。撮影部404は、具体的には、たとえば、図3に示した、乗員支援装置103が備える撮影装置303などによって、その機能を実現することができる。撮影部404による撮影によって生成された画像情報は、記憶部402によって記憶してもよい。
制御部400は、撮影部404による撮影によって生成された画像情報、すなわち、撮影部404によって撮影された画像に基づいて、カゴ100の乗員が所定のジェスチャーをおこなったか否かを判断する。制御部400は、たとえば、パターン認識技術を用いて、撮影部404によって撮影された画像を解析して乗員を特定し、特定した乗員がレンズ105に向かって手を振るなどの所定のジェスチャーをおこなったか否かを判断する。
制御部400は、カゴ100の乗員が所定のジェスチャーをおこなったか否かのみを判断してもよく、乗員の顔が撮影部404によって撮影され(乗員の顔が乗員支援装置103の方向に向いている)、かつ、当該乗員が所定のジェスチャーをおこなったか否かを判断してもよい。所定のジェスチャーは、手を振る、両手を挙げるなど、すべての乗員が容易にできるものであることが好ましい。
制御部400は、あるいは、撮影部404によって撮影された画像に基づいて、カゴ100の乗員の体勢が急激に変化したことをもって、所定のジェスチャーがおこなわれたと判断してもよい。これにより、当該乗員が体調を崩して倒れた場合、当該乗員が格別な操作をおこなわなくても、オペレーターと通話することができる。所定のジェスチャーは、1種類であってもよく、複数種類設定されていてもよい。
出力部405は、判断部400による判断結果に基づいて、当該判断部400がカゴ100の乗員が所定のジェスチャーをおこなったと判断した場合に、オペレーターの呼出要求を出力する。出力部405は、具体的には、たとえば、図3に示した通信I/F304などによってその機能を実現することができる。
オペレーターの呼出要求は、当該呼出要求を出力したエレベーターの識別情報を含む。オペレーターの呼出要求は、手話または筆談に対応可能なオペレーターの呼び出しを要求する情報を含んでいてもよい。また、オペレーターの呼出要求は、オペレーターの呼び出しを要求した乗員を撮影した画像(画像情報)を含んでいてもよい。オペレーターの呼出要求が乗員を撮影した画像を含むことにより、乗員が通話できる状況にない場合にも、呼び出しを受けたオペレーターに対して、カゴ100内の状況を把握させることができる。
運行異常検出部406は、エレベーターの運行異常を検出する。運行異常検出部406は、具体的には、たとえば、図3に示したCPU301が、撮影部404によって撮影された画像情報や、図3に示したマイク306、加速度センサ307、照度センサ308などから出力される信号に基づいてメモリ302などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。
具体的に、運行異常検出部406は、たとえば、加速度センサ307によって検出した、カゴ100にかかる加速度に基づいて、カゴ100が階床間で停止したことを検出する。また、具体的に、運行異常検出部406は、たとえば、加速度センサ307によって検出したカゴ100の振動が、振動の大きさの判断にかかる所定の閾値以上である場合に、エレベーターの運行異常を検出する。振動の大きさの判断にかかる所定の閾値は、たとえば、震度4以上の地震に相当する振動の大きさを示す値とすることができる。
また、具体的に、運行異常検出部406は、たとえば、マイク306を介して集音したカゴ100内の音声が、音量判断にかかる所定の閾値以上である場合に、エレベーターの運行異常を検出する。音量判断にかかる所定の閾値は、たとえば、悲鳴や怒鳴り声などのように、通常の会話の域を超える音の強さ(大きさ)を示す値とすることができる。あるいは、音量判断にかかる所定の閾値は、たとえば、カゴ100内で乗員が倒れたり意図的にカゴ100を叩いたりした場合の衝撃音などのように、通常のエレベーターの利用では発生しえない音の強さ(大きさ)を示す値としてもよい。
また、具体的に、運行異常検出部406は、たとえば、照度センサ309によって検出したカゴ100内の照度(明るさ)が、照度の大きさの判断にかかる所定の閾値以上である場合に、エレベーターの運行異常を検出する。照度の大きさの判断にかかる所定の閾値は、たとえば、エレベーターの管理者などが任意に設定することができる。
運行異常検出部406は、照度センサ309によって検出したカゴ100内の照度(明るさ)に基づき、所定時間あたりに、カゴ100内の照度が当該閾値を下回った回数が所定の回数を超えた場合に、エレベーターの運行異常を検出してもよい。これにより、カゴ100内の照明が、寿命が近づくなどに起因して点滅している運行異常を検出することができる。
また、具体的に、運行異常検出部406は、たとえば、照度センサ309による検出結果と、加速度センサ(加速度センサ307)による検出結果と、を組み合わせて、エレベーターの運行異常を検出してもよい。具体的に、カゴ100内の照度が閾値を下回った状態で、加速度センサの検出結果に基づきカゴ100が所定の回数動作したことを検出した場合に、エレベーターの運行異常を検出することができる。すなわち、カゴ100内の照度が閾値を下回った状態で、カゴ100が所定の回数動作した場合は、照明切れ、あるいは、電源が給電されていない運行異常が発生していることを検出することができる。
また、運行異常検出部406は、撮影部404による撮影によって生成された画像情報、すなわち、撮影部404によって撮影された画像に基づいて、異常な画像内容を検出する。この場合、運行異常検出部406は、具体的には、たとえば、図3に示したCPU301が、撮影装置303から出力される画像情報に基づいて、メモリ302などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。
具体的に、運行異常検出部406は、たとえば、カゴ100内に入ってから出るまでの間、ほぼ一定の姿勢でいる乗員の画像を通常の画像に対して、乗員の動きが極端に大きい画像を、異常な画像内容として検出する。このような異常な画像内容が検出される原因としては、たとえば、カゴ100内で体調を悪くした乗員が倒れたりうずくまったりしている、カゴ100内で乗員が喧嘩あるいは破壊行為をしている、などを想定することができる。
制御部400は、運行異常検出部406によってエレベーターの運行異常が検出された場合に、撮影部404によって撮影された画像に基づいて、カゴ100の乗員が所定のジェスチャーをおこなったか否かを判断してもよい。あるいは、制御部400によってカゴ100の乗員が所定のジェスチャーをおこなったと判断された場合であっても、当該判断の前に、運行異常検出部406によってエレベーターの運行異常が検出された場合にのみ、出力部405によってオペレーターの呼出要求を出力するようにしてもよい。このように、オペレーターの呼出要求を出力するための条件を設定することにより、エレベーターの通常運行時に乗員が何気なくとった動作に応じてオペレーターが不必要に呼び出されることを防止できる。
また、運行異常検出部406によってエレベーターの運行異常が検出された場合は、表示制御部403によって、表示画面104に、オペレーターの呼出方法を案内する案内情報を表示するようにしてもよい(図5A(c)を参照)。具体的には、たとえば、『手話または筆談をご希望の方は、画面の方向に向かって手を振ってください。担当オペレーターと通話できます。』などの案内情報を表示することができる。
これにより、聴覚に障害をもつ乗員に対して、オペレーターと通話ができる旨を確実に案内することができ、すべての乗員に対してオペレーターとの通話ができる環境を確保することができる。そして、これによって、乗員を安心させることができ、乗員の利便性の向上を図ることができる。
表示制御部403は、さらに、『ただ今、緊急停止しております。安全確認が完了次第、運行を再開いたします。今しばらくお待ちください。』などの、ガイダンスメッセージを含む案内情報を表示画面104に表示するようにしてもよい。これにより、乗員に対して、エレベーターの状況を確実に案内することができるので、たとえば、地震などに起因して複数台のエレベーターが一斉に停止した場合に、オペレーターに対応の負担が集中することを抑制できる。
このような案内情報を表示画面104に表示する場合、上記の制御部400は、表示制御部403による案内情報の表示後に、撮影部404によって撮影された画像に基づいて、カゴ100の乗員が所定のジェスチャーをおこなったか否かを判断してもよい。
あるいは、このような案内情報を表示画面104に表示する場合、制御部400によってカゴ100の乗員が所定のジェスチャーをおこなったと判断された場合であっても、当該判断の前に、運行異常検出部406によってエレベーターの運行異常が検出されたことに起因する表示制御部403による案内情報の表示後に、出力部405によってオペレーターの呼出要求を出力するようにしてもよい。
これにより、オペレーターの呼出要求を出力するための条件が限定され、エレベーターの通常運行時に乗員が何気なくとった動作に応じてオペレーターが不必要に呼び出されることを防止できる。
加えて、表示制御部403は、運行異常検出部406によって検出された運行異常に基づいて、表示画面104に表示している広告の表示を停止してもよい。また、表示制御部403は、運行異常検出部406によって検出された運行異常に基づいて、表示画面104に表示している広告に代えて、あらかじめ定められた情報を表示してもよい。
あらかじめ定められた情報は、たとえば、『ただ今、緊急停止しております。安全確認が完了次第、運行を再開いたします。今しばらくお待ちください。』などのガイダンスメッセージによって実現することができる。あるいは、あらかじめ定められた情報は、たとえば、『ただ今、地震がありました。エレベーターは最寄りの階に停止しますので、速やかにエレベーターから降りて、安全な場所に避難してください。』や、『ただ今、サービスマンが向かっております。ご迷惑をおかけしますが、今しばらくお待ちください。』などのガイダンスメッセージであってもよい。また、あらかじめ定められた情報は、たとえば、上記ガイダンスを読み上げる、エレベーター管理会社のオペレーターの画像や音声であってもよい。
音声出力部407は、運行異常検出部406によってエレベーターの運行異常が検出された場合、オペレーターの呼出方法を案内する音声ガイダンスを出力する。音声出力部407は、具体的には、たとえば、図3に示したスピーカー305などによってその機能を実現することができる。
音声出力部407は、たとえば、「音声のする方向に向かって手を振ってください。オペレーターと通話できます。」などの音声ガイダンスを出力する。これにより、視覚に障害をもつ乗員が、カゴ100内における操作盤102から離れた位置で突然体調を崩した場合や、同乗員との間でトラブルが発生した場合など、操作盤102を操作することが難しい状況においても、オペレーターを呼び出すことができる。
(表示画面104における表示態様)
つぎに、表示画面104における表示態様について説明する。図5Aおよび図5Bは、表示画面104における表示態様を示す説明図である。エレベーターが通常運行している場合、乗員支援装置103は、図5A(a)に示すように、表示画面104の広告表示領域(広告エリア)204に広告501を表示する。具体的に、たとえば、『○○マンション モデルルーム公開 ×月×日10:00より』、『ご来場・ご成約キャンペーン 実施しております』などの文字ガイダンスや、広告対象のマンションのイメージモデルの画像などを含む広告501を表示する。
広告501の表示中に、図5A(b)に示すように、乗員支援装置103が階床間でカゴ100が急停止するなどの運行異常を検出した場合、表示画面104は、たとえば、図5A(c)に示すように、表示画面104の広告表示領域(広告エリア)204に案内情報502を表示する。具体的に、たとえば、『ただ今、緊急停止しております。安全確認が完了次第、運行を再開いたします。今しばらくお待ちください。手話または筆談をご希望の方は、画面の方向に向かって手を振ってください。担当オペレーターと通話できます。』などの案内情報502を表示する。これにより、表示画面104を有効に活用して、カゴ100内の乗員に有用な情報を迅速に伝達することができる。
案内情報502は、広告表示領域(広告エリア)204のみに表示するものに限らず、領域を区切らずに、全面に表示してもよい。これにより、乗員500に対して、案内情報502のみを視認させることができるため、案内情報502が案内する内容を、乗員500に対してより確実に伝達することができる。
広告表示領域(広告エリア)204に案内情報502を表示することにより、広告501の表示が停止される。このように、階床間においてカゴ100が急停止するなどの運行異常が検出されるような非常事態に広告501の表示を停止することにより、非常事態に状況にそぐわない広告501が表示され続けることによって、カゴ100内の乗員を不快にすることを回避できる。また、カゴ100内の乗員を不快にすることによって、広告主の企業イメージが低下することを回避できる。
乗員支援装置103が運行異常を検出した場合、検出した運行異常の種類によっては、広告501に代えて、あらかじめ定められた情報を表示してもよい。具体的には、たとえば、震度4以上の地震に相当する大きさの振動を検出した場合、広告501に代えて、たとえば、『ただ今、地震がありました。エレベーターは最寄りの階に停止しますので、速やかにエレベーターから降りて、安全な場所に避難してください。』などの案内情報502を表示画面104に表示してもよい。これにより、オペレーターとの通話を待機するために乗員500の避難が遅れることを回避できる。
案内情報502は、運行異常の発生にともなって、カゴ100内の乗員に案内される情報であって、想定される運行異常ごとに設定されていてもよく、運行異常が発生する都度、エレベーター管理会社504から取得する、または、受信(配信)されるものであってもよい。想定される運行異常ごとにあらかじめ設定された案内情報502は、たとえば、乗員支援装置103のメモリ302が記憶する。このように、検出された運行異常に応じた案内情報502を表示画面104に表示することにより、状況に応じた適切な対応を乗員500に促すことができる。
また、案内情報502は、たとえば、想定される運行異常が階床と階床との間でのカゴ100の停止であれば、『ただ今、サービスマンが向かっております。ご迷惑をおかけしますが、今しばらくお待ちください。』などのガイダンスメッセージによって実現することができる。また、たとえば、具体的に想定されない運行異常に対する案内情報502は、乗員に冷静になるように促すガイダンスメッセージによって実現してもよい。
案内情報502は、ガイダンスメッセージ(文字)に限らず、エレベーターを管理する管理部門のオペレーターの画像によって実現してもよい。オペレーターの画像は、静止画であっても動画であってもよい。オペレーターの画像は、あらかじめ撮像(録画)されたものであってもよく、リアルタイムで撮像されるものであってもよい。
また、オペレーターの画像は、広告501に代えて表示してもよく、あるいは、広告501に代えて該当するガイダンスメッセージを表示した後に、当該ガイダンスメッセージに代えて、表示画面104に表示してもよい。また、案内情報は、文字によって示されるガイダンスメッセージと、画像によって示されるガイダンスメッセージと、の両方を含む者であってもよい。さらに、案内情報502は、上記のように、音声ガイダンス503を含むものであってもよい。
表示画面104に表示した案内情報502(あるいは、スピーカー305から出力した音声ガイダンス503)に応じて、乗員500が所定のジェスチャーをおこなった場合、当該乗員500のジェスチャーが、撮影装置303によって撮影される。乗員支援装置103は、表示画面104に案内情報502を表示した後、撮影装置303が撮影した画像に基づいて、乗員500が所定のジェスチャーをおこなったと判断した場合、図5B(d)に示すように、エレベーター管理会社504のサーバコンピュータ(図示を省略する)に対して、オペレーターの呼出要求を出力する。エレベーター管理会社504のサーバコンピュータは、たとえば、汎用的なサーバコンピュータ装置によって実現することができる。
オペレーターの呼出要求は、当該呼出要求の出力元の乗員支援装置103の識別情報を含む。また、オペレーターの呼出要求は、手話または筆談に対応可能なオペレーターに限定して、当該オペレーターの呼び出しを要求する情報を含んでいてもよい。
エレベーター管理会社504のサーバコンピュータは、乗員支援装置103から出力されたオペレーターの呼出要求を受信すると、当該呼出要求を該当するオペレーターの端末装置(図示を省略する)に振り分ける。オペレーターの呼出要求が振り分けられたオペレーターの端末装置は、所定の操作を受け付けると、図5B(e)に示すように、オペレーターの呼出要求の出力元の乗員支援装置103に対して、オペレーターの呼出応答を出力する。オペレーターの呼出応答は、ネットワーク310を介して、該当する乗員支援装置103に出力される。
オペレーターの呼出応答は、オペレーターの呼出要求に対応するオペレーターの画像を示す画像情報、および、当該画像を乗員支援装置103の表示画面104に表示させるコマンドなどを含む。オペレーターの呼出応答は、オペレーターの画像を示す画像情報などに代えて、あるいは、加えて、オペレーターが発話した音声を示す音声情報や、当該音声をスピーカー305から出力させるコマンドを含んでいてもよい。あるいは、オペレーターの呼出応答は、オペレーターの画像を示す画像情報に代えて、オペレーターが発話した音声を変換した文字を示す文字情報(テキストデータなど)や、手話のアニメーション画像であってもよい。
オペレーターの呼出応答を受信した乗員支援装置103は、当該呼出応答に基づいて、たとえば、図5B(f)に示すように、手話で通話をおこなうオペレーターの画像505を表示画面104に表示する。また、表示画面104には、オペレーターが発話した音声を変換した文字を表示してもよい。あるいは、乗員支援装置103は、受信した呼出応答に基づいて、オペレーターが発話した音声を変換した文字のみや、手話のアニメーション画像などを表示画面104に表示してもよい。
エレベーター管理会社504においては、オペレーターの呼出要求が振り分けられたオペレーターの端末装置が、オペレーターの呼出応答を出力した後、終了の操作を受け付けると、オペレーターの呼出応答の出力先となった乗員支援装置103に対して、終了通知を出力する。終了通知は、オペレーターの呼出応答の出力が終了したことを示す。終了通知を受信した乗員支援装置103は、以降、運転再開のための処理をおこなう。
(乗員支援装置103が実行する処理手順)
つぎに、乗員支援装置103が実行する処理手順について説明する。図6および図7は、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートにおいて、乗員支援装置103は、ネットワーク350を介して、広告情報を受信したか否かを判断する(ステップS601)。そして、広告情報を受信するのを待って(ステップS601:No)、受信した場合(ステップS601:Yes)、受信した広告情報を、たとえばメモリ302に記憶する(ステップS602)。
つぎに、広告開始時期になったか否かを判断する(ステップS603)。広告開始時期になったか否かの判断は、受信した広告情報に含まれる開始時期に関する情報に基づいておこなうことができる。また、他の広告情報との優先順位(この優先順位に関する情報も、広告情報に含まれていてもよい)に基づいて判断してもよい。
ステップS603において、広告開始時期になるのを待ち(ステップS603:No)、広告開始時期になった場合(ステップS603:Yes)、記憶部402に記憶されている広告情報に基づいて、表示画面104に広告を表示して(ステップS604)、一連の処理を終了する。
ステップS604においては、あらかじめ設定された広告表示時間(たとえば、30秒)の間、表示画面104に広告を表示する。広告表示時間は、たとえば、乗員支援装置103またはエレベーターの管理者と、広告主との間の契約に基づいて設定される。同一の時間枠に、複数の広告主との契約が成立している場合、当該時間枠において該当する複数の広告を順次繰り返して表示する。広告が動画である場合、広告表示時間は、たとえば、当該動画の再生時間としてもよい。
図7のフローチャートに示す処理は、表示画面104に広告501を表示している際におこなう。図7のフローチャートにおいて、乗員支援装置103は、エレベーターの運行異常を検出したか否かを判断する(ステップS701)。そして、エレベーターの運行異常を検出するのを待って(ステップS701:No)、当該運行異常を検出した場合(ステップS701:Yes)、表示画面104における広告501の表示を停止して(ステップS702)、表示画面104に案内情報502を表示する(ステップS703)。
ステップS703においては、たとえば、表示画面104における広告表示領域204に案内情報502を表示する。あるいは、ステップS703においては、たとえば、表示画面104の全面に案内情報502を表示してもよい。ステップS703においては、表示画面104における案内情報502の表示に加えて、音声によりオペレーターの呼出方法を案内する音声ガイダンス503を出力してもよい。これにより、視覚に障害をもつ乗員500や、表示画面104に表示された案内情報502に気づかない乗員500などに対して、オペレーターの呼出方法を確実に案内することができる。
つぎに、所定のジェスチャーを検出したか否かを判断する(ステップS704)。ステップS704において、所定のジェスチャーを検出した場合(ステップS704:Yes)、オペレーターの呼出要求を出力する(ステップS705)。上記のように、エレベーター管理会社のサーバコンピュータは、乗員支援装置103から出力されたオペレーターの呼出要求を受信すると、当該乗員支援装置103に対してオペレーターの呼出応答を出力する。
ステップS705においてオペレーターの呼出要求を出力した後は、当該呼出要求に対する呼出応答の受信を待機する(ステップS706:No)。そして、当該呼出応答を受信した場合(ステップS705:Yes)、受信した呼出応答に基づいて、表示画面104に応答情報を表示する(ステップS707)。
具体的に、ステップS707においては、たとえば、受信した呼出応答に含まれる画像情報に基づいて、表示画面104にオペレーターの画像、オペレーターが発話した音声を変換した文字、あるいは、手話のアニメーション画像などを表示する。ステップS707においては、あわせて、オペレーターが発話した音声を、スピーカー305から音声を出力したりする。
つぎに、該当するオペレーターの端末装置から送信される終了通知を受信したか否かを判断する(ステップS708)。そして、ステップS708において、終了通知を受信した場合(ステップS708:Yes)、カゴ100が停止階で停止したか否かを判断する(ステップS709)。停止階は、たとえば、カゴ100が階床間において停止した場合は、当該停止位置から最寄りの階床とすることができる。あるいは、たとえば、地震に起因してカゴ100が停止した場合は、1階(避難階)などあらかじめ定められた階床を、停止階とすることができる。
ステップS709において、カゴ100が停止階で停止していない場合(ステップS709:No)、ステップS703へ移行して、案内情報502を表示する。一方、ステップS709において、カゴ100が停止階で停止した場合(ステップS709:Yes)、広告501の表示を再開して(ステップS710)、一連の処理を終了する。
ステップS708において、終了通知を受信していない場合(ステップS708:No)、エレベーターが運転を再開したか否かを判断する(ステップS711)。ステップS711においては、たとえば、加速度センサ307の出力値に基づいて、カゴ100が上昇または下降したか否かを判断することにより、エレベーターが運転を再開したか否かを判断することができる。
ステップS704において、所定のジェスチャーを検出していない場合(ステップS704:No)、ステップS703において案内情報502を表示してから、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS712)。所定時間は、たとえば、「1分」、「3分」あるいは「5分」など、乗員500が案内情報502に気づき、案内情報502を理解するに十分な時間に設定することができる。
そして、ステップS712において、ステップS703において案内情報502を表示してから所定時間が経過した場合(ステップS712:Yes)、ステップS709に移行して、カゴ100が停止階で停止したか否かを判断する。一方、ステップS712において、ステップS703において案内情報502を表示してから所定時間が経過していない場合(ステップS712:No)、ステップS703へ移行して、表示画面104に案内情報502を表示する。これにより、カゴ100が停止階に停止するまでの間、オペレーターを呼び出すことができる環境を確保することができ、エレベーター利用時における乗員の安全確保を支援し、乗員の利便性の向上を図ることができる。
上述した実施の形態においては、案内情報502を表示した後に所定のジェスチャーを検出した場合に、オペレーターの呼出要求を出力するようにしたが、これに限るものではない。たとえば、撮影装置303によって撮影された画像に基づいて、乗員500が体調を崩して倒れたりうずくまったりしていると判断できる場合、案内情報502を表示していない状況であっても、乗員500による操作を介さずにオペレーターの呼出要求を出力するようにしてもよい。これにより、通常運行時における乗員500の安全確保を支援することができ、乗員500の利便性の向上を図ることができる。
従来、防犯カメラは、新規に設置されるエレベーターに備え付けられていることが多く、設置時に防犯カメラを備えているエレベーターは、一般的に、高価なエレベーターに限定される傾向にある。設置時において防犯カメラを備えていないエレベーターに防犯カメラを後付けするためには、電源を供給するケーブルや撮影した画像情報を記憶する記憶装置と防犯カメラとを接続する信号線をカゴ内に引き込むための大掛かりな工事が必要になる。また、遠隔地からカゴ内を監視するためには、撮影した画像情報をネットワークを経由して外部に出力するための環境を確保する工事が必要になる。このため、これらの工事のためにエレベーターを利用できない期間が長くなり、エレベーターの利用者の利便性が低下してしまうという問題がある。
一方で、費用の面から防犯カメラの設置を先送りすることは、乗員の安全確保が不十分であり好ましくなく、また、エレベーターのカゴ内での犯罪やトラブルが発生しても特定や検証することができず、防犯面において問題がある。
これに対し、この実施の形態の乗員支援装置103は、タブレット型端末装置によって実現することにより、エレベーターの設置後に、当該乗員支援装置103を容易に後付けすることができる。すなわち、エレベーターの設置後であっても、撮影機能や通信機能を備えた乗員支援装置103をカゴ100内に設置することによって、従来の防犯カメラを設置する場合と比較して短時間で、カゴ100内の状況を遠隔地からリアルタイムで確認することができる環境を整えることができる。これにより、カゴ100内を撮影する環境を整えるためにエレベーターを利用できない期間が長くなることを回避し、エレベーターの利用者の利便性が低下してしまうことを回避できる。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103は、エレベーターのカゴ100内を撮影する撮影装置303によって撮影された画像に基づいて、カゴ100の乗員500が所定のジェスチャーをおこなったか否かを判断した判断結果に基づいて、カゴ100の乗員が所定のジェスチャーをおこなった場合に、オペレーターの呼出要求を出力するようにしたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103によれば、カゴ100の乗員が、たとえば、撮影装置303に向かって手を振るなどの所定のジェスチャーをおこなうことにより、操作盤102に対する乗員500の操作をともなうことなく、オペレーターを呼び出すことができる。これにより、たとえば、カゴ100内の乗員500が操作盤102から離れた位置で突然体調を崩したり、乗員500と操作盤102との間に位置する同乗員との間でトラブルが発生した場合など、操作盤102を操作することが難しい状況においても、オペレーターを呼び出すことができる。
このように、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103によれば、エレベーター利用時における乗員の安全確保を支援し、乗員の利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103は、出力部405が、カゴ100の乗員500が所定のジェスチャーをおこなった場合に、手話または筆談に対応可能なオペレーターの呼出要求を出力することを特徴としている。
エレベーターにおいては、建築基準法施行令第129条の10第3項第三号に基づきインターホンの設置が義務づけられているものの、乗員500が聴覚に障害をもつ場合、インターホンを介して状況の確認や説明、あるいは、意思の伝達などが困難となることが想定される。このため、聴覚に障害をもつ乗員500がカゴ内に閉じ込められた場合などに、当該乗員500に対して、過度な不安を与えてしまうことが懸念される。
この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103によれば、乗員500とオペレーターとの間で、手話または筆談をおこなうことができる。これにより、聴覚障害をもつ乗員500が、オペレーターとの間で、状況の確認や説明および意思の伝達などをおこなうことができ、乗員500が聴覚障害をもつ場合にも当該乗員500の安全確保と利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103は、エレベーターの運行異常が検出された場合、撮影装置303によって撮影された画像に基づいて、カゴ100の乗員が所定のジェスチャーをおこなったか否かを判断することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103によれば、エレベーターの運行異常が検出された状況において、カゴ100の乗員500が所定のジェスチャーをおこなうことにより、操作盤102に対する乗員の操作をともなうことなく、オペレーターを呼び出すことができる。これにより、乗員500は、操作盤102を操作することが難しい状況においてもオペレーターを呼び出すことができ、かつ、エレベーターの通常運行時に乗員が何気なくとった動作に応じてオペレーターが不必要に呼び出されることを防止できる。
また、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103は、エレベーターの運行異常が検出された場合、カゴ100内に設置される表示画面104にオペレーターの呼出方法を案内する案内情報502を表示し、案内情報502の表示後に撮影装置303によって撮影された画像に基づいて、カゴ100の乗員500が所定のジェスチャーをおこなったか否かを判断することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103によれば、表示画面に案内情報を表示した後のカゴの乗員の動作に基づいてオペレーターを呼び出すことにより、エレベーターの通常運行時に乗員が何気なくとった動作に応じてオペレーターが不必要に呼び出されることを確実に防止できる。これにより、オペレーターの不必要な呼出を避けるとともに、エレベーターの運行異常時に確実にオペレーターを呼び出すことができる。
また、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103は、カゴ100の乗員500が所定のジェスチャーをおこなうことにより、手話または筆談に対応可能なオペレーターを呼び出すことを案内する案内情報502を表示することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103によれば、表示画面102に案内情報502を表示することにより、聴覚に障害がある乗員が状況の確認や説明および意思の伝達などが可能であることを確実に伝えることができる。これにより、乗員500の安全確保と利便性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103は、エレベーターの運行異常が検出された場合、オペレーターの呼出方法を案内する音声ガイダンス503を出力することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の乗員支援装置103によれば、音声ガイダンス503を出力することにより、乗員500が視覚に障害がある場合にも、オペレーターの呼出方法を確実に伝えることができる。これにより、乗員500の安全確保と利便性の向上を図ることができる。
なお、この実施の形態で説明した乗員支援方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、USBメモリ、SSDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。