JP2023053809A - 接合体の製造方法 - Google Patents

接合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023053809A
JP2023053809A JP2021163084A JP2021163084A JP2023053809A JP 2023053809 A JP2023053809 A JP 2023053809A JP 2021163084 A JP2021163084 A JP 2021163084A JP 2021163084 A JP2021163084 A JP 2021163084A JP 2023053809 A JP2023053809 A JP 2023053809A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
treatment
joined body
metal member
molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021163084A
Other languages
English (en)
Inventor
智仁 奥山
Tomohito Okuyama
嗣久 宮本
Tsuguhisa Miyamoto
和男 市川
Kazuo Ichikawa
芳尚 乃生
Yoshihisa Noo
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2021163084A priority Critical patent/JP2023053809A/ja
Publication of JP2023053809A publication Critical patent/JP2023053809A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T30/00Transportation of goods or passengers via railways, e.g. energy recovery or reducing air resistance

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】工程削減及び接合強度確保の両立を有効に図ることができる金属部材と樹脂部材との接合体の製造方法を提供する。【解決手段】接合体1の製造方法は、金属部材11のアルミニウム合金からなる接合面111に、樹脂材料からなる樹脂部材12が接合されてなる接合体1の製造方法であって、金属部材11を成形する金属部材成形工程S1と、接合面111に樹脂材料を付与して樹脂部材12を成形することにより接合体1を得る樹脂部材成形工程S3と、接合体1にベーキング処理を施すベーキング工程S4と、を備え、ベーキング工程S4で、金属部材11の時効処理と樹脂部材12の熱処理とを同時に行う。【選択図】図4

Description

本開示は、接合体の製造方法に関する。
従来、例えば自動車、鉄道車両、航空機等の分野では、製品及び部品の軽量化が進められている。具体的には例えば、鋼材の代替材としてアルミニウム合金材等が採用されるとともに、製品及び部品の一部を樹脂化する傾向が高まっている。そして、金属部材と樹脂部材との接合体の高強度化や高剛性化、生産性の向上を実現させる技術の開発が望まれている。
特許文献1には、アルミ合金基材を500~600℃及び1~20時間の条件で溶体化処理し、次いで冷却した後に150~300℃及び1~20時間の条件で時効処理を行って、アルミ合金基材にMgSi金属間化合物を生成させ、得られた溶体化処理及び時効処理後のアルミ合金基材にエッチング処理を施して表面に極微細な凹凸構造の表面処理層を付与する樹脂接合用Al-Mg-Si系アルミ合金部材の製造方法が記載されている。
特許文献2には、アルミニウム合金基材を非酸化性雰囲気中で加熱処理し、加熱処理後のアルミニウム合金基材のアルカリ交流電解酸化皮膜上に熱可塑性樹脂を射出成形することにより熱可塑性樹脂成形体を接合する接合体の製造方法が開示されている。
特許文献3には、アルミニウム合金基材の表面の少なくとも一部に、酸化皮膜からなる第1の皮膜を形成する第1皮膜形成工程を備えたアルミニウム合金材の製造方法及び当該方法により製造されたアルミニウム合金材を、接着プレコート層を介して樹脂材と接合させる接合工程を備える接合体の製造方法が開示されている。
特許5994290号公報 特開2018-069540号公報 特開2017-048456号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、アルミニウム合金材の時効処理を樹脂材との接合前に行う必要がある。また、特許文献2に記載の方法では、熱可塑性樹脂を射出成形する前に、アルミニウム合金基材を非酸化性雰囲気中で加熱処理する必要がある。さらに、特許文献3に記載された方法では、アルミニウム合金基材の表面に第1の皮膜を形成する際に加熱処理が必要となる。これらの方法では、アルミニウム合金材の熱処理後に、樹脂材の成形及び熱処理を行うため、樹脂材の成形の前後で、熱処理工程が2回必要となり、手間及び時間を要するという問題があった。
また、金属部材及び樹脂部材の強度向上に加えて、金属部材と樹脂部材との接合強度のさらなる向上を図るという観点から、従来技術には改善の余地があった。
そこで本開示では、工程削減及び接合強度確保の両立を有効に図ることができる金属部材と樹脂部材との接合体の製造方法を提供する。
上記の課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る接合体の製造方法は、第1部材のアルミニウム合金からなる接合面に、樹脂材料からなる第2部材が接合されてなる接合体の製造方法であって、前記第1部材を成形する第1部材成形工程と、前記接合面に前記樹脂材料を付与して前記第2部材を成形することにより前記接合体を得る第2部材成形工程と、前記接合体にベーキング処理を施すベーキング工程と、を備え、前記ベーキング工程で、前記第1部材の時効処理と前記第2部材の熱処理とを同時に行うことを特徴とする。
第2部材を成形後に、第1部材の時効処理と第2部材の熱処理とを同時に行うことにより、第1部材のアルミニウム合金部分において形成された共晶組織が第1部材の接合面に露出し、微細凹凸の形成が促進される。そうして、第1部材と第2部材との接合強度が向上する。また、第2部材の成形前に第1部材の時効処理を行う必要がないから、接合体の製造工程における工程を削減できる。そうして、接合体の接合強度確保及び工程削減の両立を有効に図ることができる。
前記第1部材成形工程後であり且つ前記第2部材成形工程前に、前記第1部材における前記接合面の少なくとも一部に凹凸化表面処理を施す表面処理工程をさらに備えることが好ましい。
表面処理工程をさらに備えることにより、第1部材の接合面の凹凸化をさらに促進できる。そうして、接合体の接合強度をさらに向上できる。また、時効処理前の第1部材に対して表面処理工程を施すから、凹凸化表面処理の加工容易性が向上する。
前記凹凸化表面処理により、前記第1部材の接合面にアンダーカット形状を有する凹凸構造を形成することが好ましい。
第1部材の接合面にアンダーカット形状を有する凹凸構造を形成することにより、接合面におけるアンカー効果が向上し、接合体の接合強度を向上できる。なお、本明細書において、「アンダーカット形状」とは、凹部の形状が、表面の開口部よりも内部が広くえぐれた形状であるとともに、凸部の形状が、先端側よりも基端側が幅狭でくびれた形状であることをいう。
前記凹凸化表面処理は、エッチング処理であることが好ましい。
本構成によれば、アンダーカット形状の凹凸構造を効果的に形成できる。
前記第1部材成形工程で、前記第1部材は成形後200℃以下の温度まで冷却されることが好ましい。
第1部材の成形後、冷却、好ましくは急冷し、第1部材の温度を上記温度まで低下させることにより、ベーキング工程においてより微細な共晶組織が形成されるから、接合面に、より微細な凹凸を形成できる。
前記樹脂材料は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
ベーキング処理により、樹脂材料を硬化させて、第2部材の強度を高めるとともに、接合体の接合強度を効果的に向上できる。
前記樹脂材料は、フェノール樹脂であることが好ましい。
本構成によれば、樹脂部材の十分な強度、耐熱性等を確保できる。
前記ベーキング工程における加熱温度は、150℃以上250℃以下であることが好ましい。
本構成により、ベーキング工程において、第1部材の時効処理と第2部材の熱処理とを効果的に行うことができる。
前記接合体は、シリンダブロック用の部材であることが好ましい。
本構成によれば、シリンダブロック用の部材の一部を樹脂化することにより、シリンダブロックの軽量化、低コスト化を図ることができる。
以上述べたように、本開示によると、第1部材と第2部材とが接合されてなる接合体において、接合強度確保及び工程削減の両立を有効に図ることができる。
接合体の一例及びその接合面の構造を示す図である。 接合体の一例であるアッパブロックの模式的な斜視図である。 図2のA-A線における断面図である。 一実施形態に係る接合体の製造方法の工程を示すフローチャートである。 実施例、比較例及び参考例の試験片の形状を示す図である。 実施例の試験片の製造時における温度履歴を示すグラフである。 実施例及び比較例の試験片におけるせん断密着強度を示すグラフである。 実施例の試験片の断面SEM写真である。 比較例の試験片の断面SEM写真である。 参考例の試験片の断面SEM写真である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<接合体>
図1に示すように、接合体1は、金属部材11(第1部材)の接合面111に、樹脂部材12(第2部材)が接合されてなる金属-樹脂接合体である。
-金属部材-
金属部材11は、少なくとも接合面111を形成するアルミニウム合金部分を含む。金属部材11は、全体がアルミニウム合金製であってもよいし、アルミニウム合金以外の金属製の部分を含んでもよい。言い換えると、金属部材11の接合面111を含む一部がアルミニウム合金製であり、その他の部分は、当該一部と同種又は異種のアルミニウム合金製であってもよいし、例えば亜鉛、マグネシウム、銅、チタン及びこれらの合金、鋼等のアルミニウム合金とは異なる材質の金属製であってもよい。
アルミニウム合金としては、時効硬化性を有する熱処理型の材料であれば特に限定されるものではなく、展伸用、鋳物・ダイカスト用等の一般的な材料を採用できる。具体的には例えば、展伸材であれば、Al-Cu-Mg系合金(2000系)、Al-Mg-Si系合金(6000系)、Al-Zn-Mg系合金(7000系)等が挙げられる。また、鋳物用であれば、AC1B材、AC2A材、AC2B材、AC4A材、AC4C材、AC4CH材、AC4B材、AC4D材、AC5A材、AC8A材、AC8B材、AC8C材、AC9A材、AC9B材等、ダイカスト用であればADC3材、ADC10材、ADC10Z材、ADC12材、ADC12Z材、ADC14材等が挙げられる。
接合体1の用途は、特に限定されるものではなく、例えば車両部品、工業部品、工業製品、建材、電子機器、家電製品、家具、日用品等の部品や製品全般である。なお、車両部品としては、具体的には例えば、サスタワー、ミッションケース、クラッチハウジング、ロアアーム、シリンダヘッド、シリンダブロック、リアハブサポート等が挙げられる。
-樹脂部材-
樹脂部材12を構成する樹脂材料としては、金属部材11との接合に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、接合体の用途に応じて従来から公知の樹脂を適宜選択して用いることができる。樹脂材料の樹脂成分としては、具体的には例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、樹脂部材の十分な強度、耐熱性等を確保する観点から、フェノール樹脂が好ましい。また、熱硬化性樹脂を採用する場合は、熱硬化性樹脂の硬化温度、好ましくは二次硬化の硬化温度が、アルミニウム合金の時効処理の温度以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。なお、樹脂部材12の十分な強度、耐熱性等を確保する観点から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリアミド樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂を採用する場合は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgが、アルミニウム合金の時効処理の温度以上であることが望ましい。
樹脂材料に含まれる樹脂成分としては、上記樹脂を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
樹脂材料には、接合体1の用途に応じて従来から公知の樹脂以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状の充填材、粒子状の充填材、離型剤、熱硬化性樹脂を硬化する硬化剤、熱硬化性樹脂の硬化を促進する硬化促進剤、無機材料の表面を改質する表面処理剤等が挙げられる。樹脂部材に含まれる樹脂以外のその他の成分の含有量は、接合体1の用途に応じて適宜設定され得る。
-接合面-
図1に示すように、接合面111には、凹凸構造が設けられていることが好ましい。特に、接合面111の凹部111Aは、開口部よりも内部が広くえぐれた形状であり、凸部111Bが先端部よりも基端部が幅狭でくびれた形状であるアンダーカット形状であることが好ましい。凹凸構造のアンカー効果により、金属部材11と樹脂部材12との接合面111における接合強度が向上する。
-接合体の例-
図2は、直列4気筒エンジンのシリンダブロック用の部材であるアッパブロック300を示している。アッパブロック300は、接合体1の一例である。アッパブロック300は、各気筒が形成されたシリンダ部302と、該シリンダ部302の下部に設けられ、クランクケースの一部を構成するクランクケース部303とを有している。このアッパブロック300の下面にクランケースの残部を有するロアブロック(図示省略)が締結され、クランクケースが構成される。
シリンダ部302は、シリンダヘッド(図示省略)と締結されるガスケット面304と、シリンダヘッドとアッパブロック300との締結用ヘッドボルトが挿通されるヘッドボルト孔305と、ガスケット面304に一端が開口し、ピストン(図示省略)が嵌挿されるシリンダボア306と、シリンダボア306の外壁の周囲に形成されるウォータージャケット307と、を備えている。ウォータージャケット307は上端部が開放されており、このアッパブロック300を備えたシリンダブロックは、オープンデッキ構造である。
アッパブロック300は、シリンダボア306及びウォータージャケット307の内壁を構成する金属部材11と、ウォータージャケット307の外壁を構成する樹脂部材12とよりなる金属-樹脂接合体である。なお、金属部材11である各気筒の各シリンダボア306は、アルミニウム合金とは異なる材質の金属で構成されたシリンダライナ308を、アルミニウム合金で鋳包んで構成されている。
図3は、図2のA-A線における断面図である。図3にしめすように、ヘッドボルト孔305の上側部分は、樹脂部材12により構成され、ヘッドボルト孔305の下側部分は金属部材11で構成されている。金属部材11の接合面111を構成する部分はアルミニウム合金製である。
このように、アッパブロック300の一部を樹脂化することにより、シリンダブロックを軽量化、低コスト化できる。
<接合体の製造方法>
図4に示すように、本実施形態に係る接合体1の製造方法は、金属部材成形工程S1(第1部材成形工程)と、任意の表面処理工程S2と、樹脂部材成形工程S3(第2部材成形工程)と、ベーキング工程S4と、冷却工程S5と、を備える。
-金属部材成形工程-
まず、金属部材成形工程S1において、金属部材11を成形する。金属部材11の成形方法としては、特に限定されるものではなく、一般的な鋳造法、鍛造法、押出法、切削加工法等の方法を採用できる。鋳造法としては、具体的には例えば、ダイカスト法、高圧鋳造法、低圧鋳造法、半凝固鋳造法等が挙げられ、好ましくはダイカスト法である。鍛造法としては、具体的には例えば、熱間鍛造法、冷間鍛造法、溶湯鍛造法等が挙げられる。切削加工法としては、フライス加工法、旋盤加工法等が挙げられる。金属部材11の成形条件は、上記成形方法において一般的な条件とすることができる。
そして、金属部材成形工程S1を経て得られる金属部材11は、時効処理を行うことなく次工程の表面処理工程S2又は樹脂部材成形工程S3へ供される。
詳細には、熱処理型合金では、一般的に溶体化処理を行った後、焼き入れ処理により常温近傍まで急冷して過飽和固溶体を得る。なお、鋳造・ダイカストの場合は、溶体化処理を行わず、溶湯を冷却/急冷して過飽和固溶体を得ることもできる。このようにして得られた過飽和固溶体に対し、時効処理を施して、共晶組織等の微細組織を析出させ、強度の向上を図る。本実施形態に係る金属部材11は、焼き入れ処理又は溶湯の冷却/急冷後、時効処理前の状態で、次工程へ供される。なお、焼き入れ処理又は溶湯の冷却/急冷後、時効処理前に冷間加工等の他の工程を含んでもよい。その場合、次工程へ進む前に、時効処理以外の工程を終えておくことが望ましい。時効処理は、常温時効及び人工時効のいずれでもよいが、人工時効であることが好ましい。時効処理を含む合金の調質としては、具体的には例えばT3処理、T4処理、T5処理、T6処理、T7処理、T8処理、T9処理等が挙げられ、好ましくは人工時効を含むT5処理、T6処理、T7処理、T8処理、T9処理である。本実施形態に係る接合体1の製造方法では、これらの調質に含まれる少なくとも時効処理を、ベーキング工程S4で行う。
また、金属部材成形工程S1を経て得られる金属部材11は、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以上200℃以下の温度であることが望ましい。言い換えると、次工程である任意の表面処理工程S2又は樹脂部材成形工程S3に供される金属部材11は、上記の温度であることが好ましい。
なお、金属部材成形工程S1は、金属部材11の成形を行う工程(S11)と、金属部材11を冷却する工程(S12)とを備えてもよい。工程S12において、金属部材11は成形後200℃以下、好ましくは100℃以上200℃以下の温度まで好ましくは冷却、より好ましくは急冷されることが望ましい。
次工程に供される金属部材11の温度を上記範囲としておくことにより、ベーキング工程S4においてより微細な共晶組織が形成されるから、接合面111に、より微細な凹凸を形成できる。
-表面処理工程-
表面処理工程S2は、金属部材11における接合面111の少なくとも一部に凹凸化表面処理を施す工程である。表面処理工程S2は任意の工程であるが、金属部材成形工程S1後であり且つ次の樹脂部材成形工程S3前に、当該表面処理工程S2を設けることが好ましい。
表面処理工程S2をさらに備えることにより、金属部材11の接合面111の凹凸化をさらに促進できる。そうして、接合体1の接合強度をさらに向上できる。また、時効処理前の金属部材11に対して凹凸化表面処理を施すから、加工容易性が向上する。
なお、上述のごとく、凹凸化表面処理により、接合面111にアンダーカット形状を有する凹凸構造を形成することが好ましい。これにより、接合面111におけるアンカー効果が向上し、接合体1の接合強度を向上できる。
凹凸化表面処理方法としては、特に限定されるものではなく、具体的には例えば、エッチング処理、サンドブラスト処理、機械研磨処理、レーザ加工処理等の種々の公知技術を採用することができ、特に、アンダーカット形状の凹凸構造を効果的に形成する観点から、エッチング処理を採用することが好ましい。エッチング処理では、例えば酸化還元電位がアルミニウムよりも貴な金属イオンを添加した酸性浴中に金属部材11を浸漬すると、アルミニウムの結晶方位に沿ってエッチングされるので、接合面111に複数のアンダーカット形状を形成できる。
-樹脂部材成形工程-
樹脂部材成形工程S3は、接合面111に上述の樹脂材料を付与して樹脂部材12を成形する工程である。これにより、ベーキング工程S4前の接合体1が得られる。
樹脂部材12の成形方法は、特に限定されるものではなく、トランスファ成形法、インサート成形法、インジェクション成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、押出成形法、注型成形法等の通常の樹脂成形体の成形方法を採用することができる。
樹脂部材成形工程S3は、樹脂部材12の成形を行う工程(S31)と、樹脂部材12を冷却する工程(S32)とを含んでもよい。樹脂成分として熱硬化性樹脂を採用する場合は、工程S31は、樹脂材料を金型に充填して一次硬化させる工程に相当する。工程S31では、成形を容易にする観点から、樹脂材料を金型に充填する前に、金型及び金属部材11の温度を好ましくは100℃以上200℃以下、より好ましくは150℃以上190℃以下にしておくことが好ましい。また、工程S32では、接合体1の温度を例えば100℃以下の温度にまで冷却させることが好ましい。
-ベーキング工程-
ベーキング工程S4は、接合体1にベーキング処理を施す工程である。本工程により、製品としての接合体1が得られる。
なお、当該ベーキング工程S4では、金属部材11の時効処理と樹脂部材12の熱処理とを同時に行う。
樹脂部材12を成形後に、金属部材11の時効処理と樹脂部材の熱処理とを同時に行うことにより、金属部材11のアルミニウム合金部分において形成された共晶組織が金属部材11の接合面111に露出し、凹凸の形成が促進される。そうして、金属部材11と樹脂部材12との接合強度が向上する。また、樹脂部材12の成形前に金属部材11の時効処理を行う必要がないから、接合体1の製造工程における工程を削減できる。そうして、接合強度確保及び工程削減の両立を有効に図ることができる。
なお、アルミニウム合金において析出する共晶組織は、アルミニウム合金の組成に応じて変化し得る。例えばダイカスト用のアルミニウム合金であれば、共晶組織としては、Al-Si共晶、Al-AlCu共晶、Al-Fe-Mn-Si共晶等が挙げられ、共晶組織以外の組織としてはα-Al相等が挙げられる。
ベーキング工程S4における加熱温度は、上述した一般的な時効処理に使用される温度を採用できる。なお、具体的には、ベーキング工程S4において、金属部材11の時効処理と樹脂部材12の加熱処理とを効果的に行う観点から、加熱温度は、好ましくは150℃以上250℃以下、より好ましくは170℃以上230℃以下、特に好ましくは180℃以上200℃以下、さらに好ましくは180℃超200℃以下である。
ベーキング工程S4における加熱時間は、一般的な時効処理において使用される時間であり、特に限定されるものではないが、例えば1時間以上5時間とすることができる。
なお、例えばT5処理の時効効果加熱温度は、一般的には155℃~180℃程度であるが、樹脂部材成形工程S3における樹脂材料の成形時における金属部材11の加熱による時効硬化代を考慮して、加熱温度を高く、また、加熱時間を短くしてもよい。
樹脂部材12の成分として熱硬化性樹脂を用いる場合には、ベーキング工程S4において樹脂部材12の硬化、好ましくは二次硬化も行うことができる。こうして、金属部材11及び樹脂部材12の強度、並びに、両者の接合強度を同時に向上できる。樹脂部材12の成分として熱可塑性樹脂を用いる場合には、ベーキング工程S4、すなわち成形後の熱処理(アニール処理)により、金属部材11と樹脂部材12との接合面の熱歪が緩和されるから、接合強度が向上する。
-冷却工程-
ベーキング工程S4後は、冷却工程S5により、接合体1を冷却して製品を得る。なお、冷却工程S5における接合体1の冷却方法は、温度降下を緩やかにすることで残留応力をさらに低減する観点から、自然冷却、炉冷等が望ましい。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
<試験片の作製>
-実施例-
作製した試験片の形状を図5に示す。また、試験片の製造時における温度履歴を図6に示す。
まず、金属部材成形工程S1で、アルミニウム合金としてADC12材を使用してダイカスト法により金属部材11を成形した。詳細には、合金溶湯をダイカスト金型に充填し、凝固させた(S11)。そして、金属部材11を取出し、自然冷却及び沸騰水冷却を経て、得られた金属部材11を100℃以上200℃以下の温度にまで急冷した(S12)。
次に、金属部材11の接合面111にエッチング処理による凹凸化表面処理を施した(S2)。
そして、樹脂部材成形工程S3で、金属部材11の接合面111にトランスファ成形により樹脂部材12を成形した。詳細には、溶融樹脂を金型に充填し、一次硬化させた(S31)。なお、樹脂材料は、ガラス繊維を含むフェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、SUMIKON(登録商標) PM-9630JT)を使用した。金型温度及び金型内に配置された金属部材11の温度は175℃、樹脂材料の射出速度は5mm/s、一次硬化時間は3分、射出圧及び保圧は40MPaであった。そして、得られた接合体1の試験片を100℃以下の温度にまで自然冷却した(S32)。
その後、試験片に対して、加熱温度180℃~200℃、加熱時間3時間のベーキング処理を行い、金属部材11の時効硬化と樹脂部材12の二次硬化を進行させた(S4)。そして、ベーキング処理後、試験片を自然冷却した。
-比較例-
金属部材11の急冷(S12)後、金属部材11に180℃~200℃で3時間保持する時効処理を施してから、凹凸化表面処理(S2)を施した以外は、実施例と同様の方法により試験片を作製した。
-参考例-
また、参考例1として、ガラス繊維を含まないフェノール樹脂を用いるとともに、凹凸化表面処理(S2)及びベーキング処理(S4)を行わなかった以外は、実施例と同様の方法により試験片を作製した。
参考例2として、ガラス繊維を含まないフェノール樹脂を用いるとともに、ベーキング処理(S4)を行わなかった以外は、実施例と同様の方法により試験片を作製した。
参考例3として、ガラス繊維を含まないフェノール樹脂を用いるとともに、凹凸化表面処理(S2)及びベーキング処理(S4)を行わなかった以外は、比較例と同様の方法により試験片を作製した。
参考例4として、ガラス繊維を含まないフェノール樹脂を用いた以外は、比較例と同様の方法により試験片を作製した。
なお、参考例1~4の試験片は2個ずつ作製した。
<ISOせん断試験>
実施例及び比較例の試験片をそれぞれ5個ずつ準備し、評価温度19℃~23℃、湿度20~35RH%、試験速度5mm/分で、ISO19095に準拠したせん断試験を行った。表1及び図7に結果を示す。
Figure 2023053809000002
表1及び図7に示すように、実施例の試験片は、比較例の試験片に比べて、せん断密着強度が強いという結果が得られた。
<走査型電子顕微鏡観察>
-実施例及び比較例-
図5に示す切断箇所で実施例及び比較例の試験片を切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。実施例及び比較例の断面SEM写真をそれぞれ図8及び図9に示す。
比較例の図9に比べ、実施例の図8では、金属部材11の接合面111及びその近傍に共晶組織が多く観察された。
-参考例-
図5に示す切断箇所で参考例の試験片を切断し、断面をSEMにより観察した。断面SEM写真を図10に示す。
参考例1及び参考例3の断面SEM写真を比較すると、時効処理により、接合面111に線状又は棒状の共晶組織が析出していることが判った。
また、参考例2及び参考例4の断面SEM写真を比較すると、時効処理を行わない場合、表面処理により共晶組織が接合面に析出し、結果として接合面111の凹凸が激しい箇所が比較的多く観察された。また、時効処理を行ってから表面処理を行った場合には、共晶組織及び共晶組織以外の組織が同等に削られ、凹凸が緩やかな箇所が多く観察された。
<考察>
実施例、比較例及び参考例の実験結果から、以下の事項が考察される。
すなわち、本開示に係る接合体1の製造方法では、金属部材11を成形後、時効処理を行わない状態で、樹脂部材12を成形し、ベーキング処理を施す。これにより、ベーキング処理により共晶組織が接合面111に析出し、接合面111に共晶組織に由来する微小凹凸が形成されると同時に、当該微小凹凸の形成に追従して樹脂材料も変形して固まる。そうして、微小凹凸のアンカー効果により、接合面111における接合強度が向上すると考えられる。特に、金属部材11を成形後、表面処理を施す場合には、表面処理により形成された凹凸構造の接合面111にベーキング工程S4で共晶組織が析出することにより、上記凹凸構造の中にさらに微細凹凸が形成され、接合強度がさらに向上すると考えられる。
一方、金属部材11を成形後、時効処理を行ってから、樹脂部材12を成形する場合は、樹脂部材12の成形前に金属部材11の時効処理が完了しているから、金属部材11には共晶組織がすでに十分に形成されている。そうすると、ベーキング工程S4では共晶組織の接合面111への析出は生じ難いと考えられる。特に、金属部材11の時効処理後に表面処理を施す場合には、共晶組織及び共晶組織以外の組織が同等に削られることになるから、接合面111における共晶組織に由来する微小凹凸の形成が生じ難くなると考えられる。
以上の理由により、実施例の試験片では、比較例の試験片に比べて、接合強度が向上したと考えられる。
本開示は、工程削減及び接合強度確保の両立を有効に図ることができる金属部材と樹脂部材との接合体の製造方法を提供することができるので、極めて有用である。
1 接合体
11 金属部材(第1部材)
12 樹脂部材(第2部材)
111 接合面
300 アッパブロック(シリンダブロック用の部材)
S1 金属部材成形工程(第1部材成形工程)
S2 表面処理工程
S3 樹脂部材成形工程(第2部材成形工程)
S4 ベーキング工程

Claims (9)

  1. 第1部材のアルミニウム合金からなる接合面に、樹脂材料からなる第2部材が接合されてなる接合体の製造方法であって、
    前記第1部材を成形する第1部材成形工程と、
    前記接合面に前記樹脂材料を付与して前記第2部材を成形することにより前記接合体を得る第2部材成形工程と、
    前記接合体にベーキング処理を施すベーキング工程と、を備え、
    前記ベーキング工程で、前記第1部材の時効処理と前記第2部材の熱処理とを同時に行う
    ことを特徴とする接合体の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1部材成形工程後であり且つ前記第2部材成形工程前に、前記第1部材における前記接合面の少なくとも一部に凹凸化表面処理を施す表面処理工程をさらに備えた
    ことを特徴とする接合体の製造方法。
  3. 請求項2において、
    前記凹凸化表面処理により、前記第1部材の接合面にアンダーカット形状を有する凹凸構造を形成する
    ことを特徴とする接合体の製造方法。
  4. 請求項2又は請求項3において、
    前記凹凸化表面処理は、エッチング処理である
    ことを特徴とする接合体の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    前記第1部材成形工程で、前記第1部材は成形後200℃以下の温度まで冷却される
    ことを特徴とする接合体の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    前記樹脂材料は、熱硬化性樹脂である
    ことを特徴とする接合体の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
    前記樹脂材料は、フェノール樹脂である
    ことを特徴とする接合体の製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
    前記ベーキング工程における加熱温度は、150℃以上250℃以下である
    ことを特徴とする接合体の製造方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
    前記接合体は、シリンダブロック用の部材である
    ことを特徴とする接合体の製造方法。
JP2021163084A 2021-10-01 2021-10-01 接合体の製造方法 Pending JP2023053809A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021163084A JP2023053809A (ja) 2021-10-01 2021-10-01 接合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021163084A JP2023053809A (ja) 2021-10-01 2021-10-01 接合体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023053809A true JP2023053809A (ja) 2023-04-13

Family

ID=85873118

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021163084A Pending JP2023053809A (ja) 2021-10-01 2021-10-01 接合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023053809A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5082483B2 (ja) アルミニウム合金材の製造方法
WO2011078080A1 (ja) 陽極酸化処理用アルミニウム合金およびアルミニウム合金製部品
KR20180067565A (ko) 경금속 주조 부품 생산 방법 및 경금속 주조 부품
KR102329710B1 (ko) T4 템퍼의 에이징 경화성 알루미늄 합금의 온간 성형 방법
WO2018161311A1 (en) Aluminum alloys
KR101603424B1 (ko) 주단조용 알루미늄 합금 및 이를 이용한 자동차 샤시구조 부품의 제조방법
JP2024010058A (ja) 高強度で高度に成形可能なアルミニウム合金およびその作製方法
KR102568194B1 (ko) 마그네슘 및, 크롬과 망간 및 지르코늄 중 적어도 하나의 첨가를 갖는 알루미늄 합금 및 그 제조 방법
US6443211B1 (en) Mettallurgical bonding of inserts having multi-layered coatings within metal castings
CN113523303A (zh) 一种消除选区激光熔化成形铝合金构件残余应力的方法
CN108699640A (zh) 用于低压压铸和重力铸造的高强度铝合金
JP2023053809A (ja) 接合体の製造方法
JP2009543944A (ja) アルミニウム合金及び特に自動車の鋳造部品のためのその利用
BRPI0722048A2 (pt) Método para fixar um revestimento metálico a um material compósito à base de resina; método para fabricar um compósito; e compósito que compreende um material compósito resinoso com um revestimento metálico sobre uma superfície ou parte de superfície desse
JP2002254132A (ja) マグネシウム合金部材の熱間鍛造成形方法
US20140102659A1 (en) Method for making an arrangement consisting of a cast part and a cast-in component
KR101820012B1 (ko) 소부경화성이 우수한 고강도 알루미늄 합금 판재 및 이의 제조방법
JP2007002281A (ja) セルフピアスリベット接合用アルミニウム合金鋳物及びその製造方法
EP1688517A1 (de) Verfahren zur Herstellung einer metallischen Haftvermittlungsschicht auf einem Umgusskörper
TW202231995A (zh) 活塞環槽嵌環和製作方法
KR102121460B1 (ko) 이중 담금 과정을 포함하는 주조 공정
JPH11244997A (ja) 鋳型体を造るための方法および鋳型体
JPH06248402A (ja) マグネシウム合金製部材の製造方法
JP7366553B2 (ja) アルミニウム合金部材の製造方法
JP2019119926A (ja) アルミニウム合金製鍛造エンジンピストン及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240723