JP2023051434A - ヘッドアップディスプレイシステム及びそれを有する輸送機 - Google Patents

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【課題】より単純なHUDの装置構成により、焦点距離の異なる表示面に異なる運転支援情報を表示することを可能とするHUDシステムを提供すること。【解決手段】投映光を出射する光源30と、上記投映光を実像化する第1凹凸部141と、上記投映光が透過する第1平滑部142と、を有する中間像スクリーン14とを有するプロジェクター10と、上記第1平滑部を透過する投映光を実像化する第2凹凸部262を有するウィンドシールドガラス26とを具備するヘッドアップディスプレイシステム1。【選択図】図1

Description

本発明は、ヘッドアップディスプレイシステム及びそれを有する輸送機に関する。
車両等のウィンドシールドガラスに画像を投映し、運転者などの車両ユーザ(観察者)に、ウィンドシールドガラス越しにルートガイダンス、走行スピード、警告などの運転支援情報を提供する、いわゆるヘッドアップディスプレイ(以下、HUDと称す)が知られている。
HUDにより、観察者は前方の外界を見ながら、視線ないし焦点を大きく動かすことなく、ルートガイダンス、走行スピード、および車両の状態など、様々な運転支援情報を得ることができ、より安全で、ストレスのない運転が可能になる。
HUDの基本的な構成は、一般的には次のようなものである。まず、ダッシュボードに組み込まれたプロジェクターからの投映光が、中間像スクリーン(拡散板)表面に中間像として結像される。この中間像は凹面鏡(拡大鏡)で拡大され、ダッシュボードに設けられた透過窓を透過し、ハーフミラーを内蔵するウィンドシールドガラスで反射して観察者に導かれる。観察者はこの中間像を、ウィンドシールドガラスよりも前方に、いわゆる虚像として認識する。すなわち観察者は、運転支援情報が道路上に浮いているかのように認識することができる。
近年では、焦点距離の異なる2つの虚像面を併行してウィンドシールドガラスに表示する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。このような技術が適用されたHUDでは、観察者から遠い虚像面に、ルートガイダンス、警告などの、観察者が運転状況に応じてリアルタイムに把握すべき情報を表示し、観察者から近い虚像面には、走行スピード等の情報を表示することが可能となる。
映像情報メディア学会誌,2018年,第72巻,第10号,p.J142~J147
上述した非特許文献1に記載の技術では、観察者から近い表示画像と遠い表示画像とがいずれも虚像面に表示されることで、ユーザの運転がサポートされる。しかし、異なる2つの虚像面を併行してウィンドシールドガラスに表示するため、HUDシステムの構成が複雑化してしまう問題がある。
本発明は、より単純なHUDの装置構成により、焦点距離の異なる表示面に異なる運転支援情報を表示することを可能とするHUDシステムを提供することを課題とする。
本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
[1]
投映光を出射する光源と、
上記投映光を実像化する第1凹凸部と、上記投映光が透過する第1平滑部と、を有する中間像スクリーンと
を有するプロジェクターと;
上記第1平滑部を透過する投映光を実像化する第2凹凸部を有するウィンドシールドガラスと;
を具備するヘッドアップディスプレイシステム。
[2]
上記ウィンドシールドガラスは、上記第1凹凸部により実像化された投映光を観察者側に反射する第2平滑部を有する、[1]に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
[3]
上記第2平滑部は、選択反射層又は誘電体多層膜を有する、[2]に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
[4]
第2凹凸部は、凸部として黒色のセラミクスを有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
[5]
上記第2凹凸部は、第2凹凸部で形成された実像を観察者側に反射する反射フィルムを有する、[4]に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
[6]
上記第2凹凸部は、スクリーンフィルムである、[1]~[3]のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
[7]
上記第1凹凸部の凸部は高さ0.3μm以上、幅1.0μm以上である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
[8]
上記第2凹凸部の凸部は高さ0.3μm以上、幅1.0μm以上である、[1]~[7]のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
[9]
上記光源は、レーザー光源である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
[10]
[1]~[9]のいずれか1つに記載のヘッドアップディスプレイシステムを備えた輸送機。
本発明のHUDシステムは、より単純なHUDの装置構成により、焦点距離の異なる表示面に異なる運転支援情報を表示することを可能とする。
本発明のヘッドアップディスプレイシステムの一例を概略的に示す図である。 本発明の中間像スクリーンの構成例を示す平面図である。 本発明の実施例に係るウィンドシールドガラスの構成例を示す模式図である。 本発明の実施例に係るウィンドシールドガラスの構成例を示す模式図である。 本発明の実施例に係るウィンドシールドガラスの構成例を示す模式図である。 本発明の実施例に係るウィンドシールドガラスの構成例を示す模式図である。
以下、本発明のヘッドアップディプレイシステム(以下、HUDシステムと称する)について、添付の図面に例示される好適な実施例を基に詳細に説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は、説明の便宜上、実際と相違する場合がある。また、図面は、理解を容易にするために模式的に示すことがある。
本明細書において「~」とは、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。例えば、ε1が数値α1~数値β1とは、ε1の範囲は数値α1と数値β1を含む範囲であり、数学記号で示せばα1≦ε1≦β1である。
本明細書において、具体的な数値で表された「角度」について、また、「平行」及び「垂直」との用語は、特に断りのない限り、本発明の技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
本明細書において、単に「光」という場合、特に断らない限り、可視光かつ自然光(非偏光)の光を意味する。可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長であり、380~780nmの波長域の光を意味する。非可視光は、380nm未満の波長域または780nmを超える波長域の光である。
また、これに限定されるものではないが、可視光のうち、420nm~490nmの波長域の光は青色光(B光)であり、495~570nmの波長域の光は緑色光(G光)であり、620~750nmの波長域の光は赤色光(R光)である。さらに、これに限定されるものではないが、赤外線とは、非可視光のうち、780nm~2000nmの波長域を示す。
本明細書において、p偏光は光の入射面に平行な方向に振動する偏光を意味する。入射面は反射面(ウィンドシールドガラス表面など)に垂直で入射光線と反射光線とを含む面を意味する。p偏光は、電場ベクトルの振動面が入射面に平行である。
本明細書において、面内位相差(面内レタデーションRe)はAxometrics(アクソメトリクス)社製のAxoScanを用いて測定した値である。特に言及のないときは、測定波長は550nmとする。
本明細書において、「投映像(projection image)」は、使用するプロジェクターからの光の投射に基づく映像を意味する。本発明のHUDシステムにおいて、投映像は、観察者から見てウィンドシールドガラスの平滑部の先に浮かび上がって見える虚像として、観察者に視認される。
本明細書において、「画像(screen image)」は、ウィンドシールドガラスの凹凸部に表示される像、または、中間像スクリーンにより実像化された像を意味する。投映像が虚像であるのに対して、画像は実像である。
画像および投映像は、いずれも単色の像であっても、2色以上の多色の像であっても、フルカラーの像であってもよい。
本明細書において、「可視光線透過率」はJIS(日本工業規格) R 3212:2015(自動車用安全ガラス試験方法)において定められたA光源可視光線透過率とする。
すなわち、A光源を用い分光光度計にて、波長380~780nmの範囲の各波長の透過率を測定し、CIE(国際照明委員会)の明順応標準比視感度の波長分布および波長間隔から得られる重価係数を各波長での透過率に乗じて加重平均することによって求められる透過率である。単に「反射光」または「透過光」というときは、散乱光および回折光を含む意味で用いられる。
また、本明細書において、「液晶化合物」とは、硬化反応等により、もはや液晶性を示さなくなった状態のものを含む意味で用いている。
本発明のHUDシステムは、典型的には、自動車および電車などの車両、航空機、ならびに、船舶等の輸送機に搭載されて用いられる。
図1に、本発明のHUDシステムの一例を概念的に示す。
図1に示す本発明のHUDシステム1は、HUDプロジェクター10と、ウィンドシールドガラス26と、を有して構成される。
図1に例示されるHUDプロジェクター10は、画像形成部12と、中間像スクリーン14と、反射部材16と、凹面ミラー18と、を有して構成される。以下の説明では、HUDプロジェクター10を、単に「プロジェクター」と称す。
図1に例示されるHUDシステム1では、プロジェクター10が投映した投映光は、ダッシュボード20に設けられた透過窓24と、透過窓24に設けられた位相差板25と、を透過して、ウィンドシールドガラス26の平滑部および凹凸部に投映され、観察者0によって観察される。
なお、通常のHUDシステムと同様に、図1に例示される例では、観察者0は、ウィンドシールドガラス26の平滑部に投映された像を、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察し、凹凸部に投影された像は実像として観察している。
なお、本発明のプロジェクター10を用いるヘッドアップディスプレイは、図1に例示されるように、ウィンドシールドガラス26に投映像を投映するヘッドアップディスプレイ(ウィンドシールドヘッドアップディスプレイ)に制限はされない。すなわち、本発明のプロジェクター10を用いるヘッドアップディスプレイは、例えば、いわゆるコンバイナーに投映像を投映するヘッドアップディスプレイ(コンバイナーヘッドアップディスプレイ)など、各種の部材に投映像を投映する公知のヘッドアップディスプレイが、各種、利用可能である。
図1に例示されるプロジェクター10において、画像形成部12は、光源30と、ミラー32と、偏光板34と、光偏向器36と、を有する。
画像形成部12は、光ビームの走査によって画像を形成する、いわゆる光ビームスキャナーである。
画像形成部12は、光源30から投射画像に応じて変調された3本の光ビームを出射し、この3本の光ビームをミラー32によって合光し、偏光板34によってp偏光にして、光偏向器36によって二次的に走査する。
プロジェクター10は、投映像に応じて変調した光ビームを、光偏向器36によって二次的に走査して、中間像スクリーン14の凹凸部141(第1凹凸部)によって実像化し、この実像を反射部材16および凹面ミラー18によって所定の光路に反射する。この反射光は、上述のように、ダッシュボード20に設けられた透過窓24と、位相差板25とを透過して、ウィンドシールドガラス26の平滑部261(第2平滑部)に投映され、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察される。
また、プロジェクター10は、投映像に応じて変調した光ビームを、光偏向器36によって二次的に走査して、中間像スクリーン14の平滑部142(第1平滑部)を透過させ、反射部材16および凹面ミラー18によって所定の光路に反射する。この反射光は、ダッシュボード20に設けられた透過窓24と、位相差板25とを透過して、ウィンドシールドガラス26の凹凸部262(第2凹凸部)によって実像化され、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26上に実像として観察される。ウィンドシールドガラス26の凹凸部262および平滑部261と、中間像スクリーン14の凹凸部141および平滑部142の詳細については、後述する。なお、凹凸部262の配置は、実像を形成できれば図1に例示される配置に限定されない。
画像形成部12は、光源30として、赤色の光ビームを出射するR光源30R、緑色の光ビームを出射するG光源30G、および、青色の光ビームを出射するB光源30Bを有する。
光源30(R光源30R、G光源30GおよびB光源30B)は所望の波長範囲の光であれば特に制限はなく、光ビームの走査による画像形成に用いられる光源が、各種、利用可能である。
光源30の一例として、LED(Light Emitting Diode)、放電管、および、レーザー光源などが例示される。なお、LEDには、発光ダイオード、および、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)などを含む。
光源30から発光される光(出射光)の半値幅には制限はないが、ある程度、狭いのが好ましい。
光源30の出射光の半値幅は(半値全幅)は、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましく、7nm以下が特に好ましい。
光源30の出射光の半値幅を20nm以下とすることにより、後述する反射部材16において、選択的な反射域(反射の半値幅)が狭い選択反射層を用いることができる。これにより、太陽光の侵入によるプロジェクター10の構成部材の劣化を好適に防止することができる。また、光源30の出射光の波長変動に起因する反射部材の反射率の低下を防止できる。さらに、ウィンドシールドガラス26に投映された虚像の画質をより向上させることができる。なお、投映光をより明るくし、ウィンドシールドガラス26に投映される虚像をより明るくする等の観点から、光源30の出射光の半値幅は、5nm以下とすることも好ましい。
光源30の出射光の半値幅は、分光光度計等を用いて決定することができる。具体的には、出射光の最大輝度(極大値)の50%の輝度を与える長波長側の波長から短波長側の波長を減した値が半値幅である。なお、半値幅は、白色板に出射光を投映して、その反射光を分光光度計で測定することにより決定することができる。
また、光源30が市販品であれば、半値幅はカタログ値を用いてもよい。
R光源30R、G光源30GおよびB光源30Bは、図示しない通常の制御手段および駆動手段によって、投映する画像に応じて、変調駆動される。なお、光源30を直接変調するのではなく、通常の光変調器を用いて、光源30が出射した光ビームを投映像に応じて変調してもよい。
変調は、強度変調およびパルス変調等の通常の方法が利用可能である。
なお、図1に例示される画像形成部12は、赤色光、緑色光および青色光を反射するフルカラーの投映像に対応するものであるが、本発明は、これに限られない。
すなわち、本発明において、光源30は、R光源30RおよびG光源30Gのみを有する、または、R光源30RおよびB光源30Bのみを有する、または、G光源30GおよびB光源30Bのみを有する、2色の投映像に対応するものでもよい。また、R光源30R、G光源30GまたはB光源30Bのいずれか1色の形態でもよい。
この点は、後述するミラー32においても同様である。
図1の形態において、画像形成部12は、ミラー32として、R光源30Rの出射光を反射するRミラー32R、G光源30Gの出射光を反射するGミラー32G、および、B光源30Bの出射光を反射するBミラー32Bを有する。
Rミラー32Rは、光学装置に用いられる通常の光反射ミラーである。また、Gミラー32GおよびBミラー32Bは、通常のダイクロックミラーであり、Gミラー32Gは、緑色光を反射して、それ以外の波長域の光を透過する。Bミラー32Bは、青色光を反射して、それ以外の波長域の光を透過する。
画像形成部12において、R光源30Rが出射した赤色の光ビームは、Rミラー32Rによって反射されて、Gミラー32GおよびBミラー32Bを透過する。G光源30Gが出射した緑色の光ビームは、Gミラー32Gによって反射されて、Bミラー32Bを透過する。B光源30Bが出射した青色の光ビームは、Bミラー32Bによって反射される。
これにより、赤色、緑色および青色の3本の光ビームが、1本の光ビームに合成されて、偏光板34に入射する。
偏光板34は、入射した光ビームをp偏光(p直線偏光)にするものである。
偏光板34には、制限はなく、通常の直線偏光板(直線偏光子)が、各種、利用可能である。
偏光板34の一例としては、屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光板が挙げられる。屈折率異方性の異なる薄膜を積層した偏光板としては、例えば、特表平9-506837号公報などに記載されたものを用いることができる。具体的には、屈折率関係を得るために選ばれた条件下で加工すると、広く様々な材料を用いて、偏光板を形成できる。
一般に、第1の材料の一つが、選ばれた方向において、第2の材料とは異なる屈折率を有することが必要である。この屈折率の違いは、フィルム形成中、またはフィルムの形成後の延伸、押出成形、あるいは、コーティングを含む様々な方法で達成できる。さらに、2つの材料が同時に押し出されるように、類似のレオロジー特性を有することが好ましい。レオロジー特性としては、例えば、溶融粘度が例示される。
屈折異方性の異なる薄膜が積層された偏光板は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、DBEF(3M社製)、および、APF(高度偏光フィルム(Advanced Polarizing Film)等が挙げられる。
また、偏光板34は、ヨウ素化合物を含む吸収型偏光板、および、ワイヤーグリッドなどの反射型偏光板等の一般的な直線偏光板も利用可能である。
偏光板34によってp偏光にされた、投映像又は画像に応じて変調された光ビームは、光偏向器36によって二次的に走査される。
光偏向器36として、二次的に光ビームを走査可能な通常の光偏向器が、各種、利用可能である。光偏向器36としては、一例として、ガルバノミラー(ガルバノメーターミラー)、ガルバノミラーとポリゴンミラーとの組み合わせ、および、微小電子機械システム(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)等が例示される。なかでも、MEMSが好適に利用される。
走査方法に制限はなく、ランダムスキャンおよびラスタースキャン等の通常の光ビームの走査方法が利用可能であり、なかでも、ラスタースキャンが好適である。
ラスタースキャンにおいて、光ビームは、例えば、水平方向が共振周波数で、垂直方向がのこぎり波で駆動されることができる。光ビーム走査による画像形成(描画)は投射レンズが不要であるため、装置の小型化が容易である。
図1に例示されるプロジェクター10においては、画像形成部12が、光ビームの走査によって投映像および画像を形成するが、本発明は、これに限られない。
すなわち、本発明のプロジェクターにおいて、画像形成手段としては、HUDのプロジェクター(イメージャー)で利用される通常の画像形成手段が、各種、利用できる。
画像形成手段の一例としては、例えば、蛍光管や液晶を利用するLCD(Liquid Crystal Display)及びLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等が採用される。
または、画像形成手段の他の一例としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ等が採用される。
あるいは、画像形成手段の他の一例としては、DMD(Digital Micro mirror Device)を用いるDLP(Digital Light Processing)等が採用される。
上記で列挙した画像形成手段では、投映レンズから、中間像スクリーン14に画像が投映される。
なお、画像形成手段がLCDまたはLCOSである場合、本発明における光源はバックライトユニットである。また、画像形成手段がDLPである場合、本発明における光源はDMDに光を照射する光源である。さらに、画像形成手段が有機ELディプレイである場合、ディスプレイそのものが本発明の光源となる。
画像形成部12から出射された投映光の一部は、次いで、中間像スクリーン14の凹凸部141によって実像化(可視像化)される。
中間像スクリーン14は、本発明のHUDシステム1の特徴的な部材である。図2は、本発明に係る中間像スクリーン14の構成例を示す平面図である。中間像スクリーン14は、凹凸部141と、平滑部142と、を有する。凹凸部141は実像を形成できればその形状は特に制限されない。実像を形成するための凹凸構造それ自体は広く知られているものである。凹凸部141は、高さ方向に突出する複数の凸部141a(第1凸部)から構成される。複数の凸部141aは、図2に例示されるように、例えば、平面視においてハニカム構造を形成することができる。凸部141aの高さ方向の寸法は好ましくは0.3μm以上であり、より好ましくは1.0μm以上であり、さらに好ましくは2.0μm以上である。また、幅方向の寸法は好ましくは1.0μm以上であり、より好ましくは3.0μm以上であり、さらに好ましくは10.0μm以上である。平滑部142は、中間像スクリーン14のうち複数の凸部141aが形成されていない領域であり、その表面が平滑である。
中間像スクリーン14の凹凸部141には、ヘッドアップディスプレイのプロジェクターにおいて、投映像を実像化する通常の中間像スクリーンが、各種、適用可能である。
中間像スクリーン14の凹凸部141としては、例えば、散乱膜、マイクロレンズアレイ、および、リアプロジェクション用のスクリーン等が適用される。ここで、中間像スクリーン14としてプラスチック材料を用いる場合などにおいて、凹凸部141が複屈折性を有すると、凹凸部141に入射した偏光の偏光面および光強度が乱され、その結果、投映像に色ムラ等が生じやすくなるが、位相差板25を用いることにより、この色ムラの問題が低減される。
中間像スクリーン14の凹凸部141は、入射した投映光を広げて透過させる機能を有することが好ましい。投映像の拡大表示が可能となるからである。
このような中間像スクリーンとしては、例えば、マイクロレンズアレイで構成される中間像スクリーンが適用される。HUDで用いられるマイクロレンズアレイについては、例えば、特開2012-226303号公報、特開2010-145745号公報、および、特表2007-523369号公報等に記載がある。
中間像スクリーン14の凹凸部141で実像化された投映光は、上述のように、反射部材16および凹面ミラー18によって、所定の光路に反射され、ダッシュボード20に設けられた透過窓24と、位相差板25とを透過してウィンドシールドガラス26の平滑部261に投映され、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察される(一点鎖線参照)。
また、中間像スクリーン14の平滑部142を透過した投映光(中間像スクリーン14により実像化されなかった投映光)は、上述したように、反射部材16および凹面ミラー18によって、所定の光路に反射され、ダッシュボード20に設けられた透過窓24と、位相差板25とを透過してウィンドシールドガラス26の凹凸部262に投映される。凹凸部262に投映された投映光は、凹凸部262により実像化され、この実像が凹凸部262において観察者0により観察される。
凹面ミラー18は、投映光を拡大投映する、HUDのプロジェクターに用いられる通常の凹面ミラー(凹面鏡)である。なお、図1に例示されるプロジェクター10は、投映光の光路を変更する部材として、反射部材16および凹面ミラー18を用いているが、本発明は、これに限定されない。
すなわち、本発明のプロジェクターは、凹面ミラー18を有さず、投映光の光路を変更する部材として反射部材16のみを有するものであってもよく、または、反射部材16および凹面ミラー18に加え、他の光反射素子を1つ以上有してもよい。
光反射素子としては、凹面ミラーおよび通常ミラーに加え、自由曲面ミラー等も利用可能である。すなわち、本発明のプロジェクターは、本発明における反射部材を有するものであれば、各種の光反射素子を用いた構成が利用可能である。
本発明の反射部材16は、コールドミラーとしても作用し、可視光(赤色光、緑色光および青色光)を反射して、赤外線を透過する形態とすることができる。
車載用のヘッドアップディスプレイでは、太陽光などの外光がウィンドシールドガラス26および透過窓24を透過してプロジェクター10に入射してしまい、一点鎖線で示す投映光の光路を逆に進行して、中間像スクリーン14、光偏向器36、および、偏光板34に入射してしまう場合がある。このような太陽光は、これらの部材を加熱してしまい、熱に弱い部材が劣化してしまう。
ここで、これらの部材を加熱するのは、主に、太陽光に含まれる赤外線である。従って、反射部材16が、可視光を反射して、赤外線を透過するコールドミラーとして機能することで、プロジェクター10に侵入した太陽光の赤外線が、反射部材16を透過する。従って、太陽光の赤外線が中間像スクリーン14、光偏向器36、および、偏光板34に入射して、これらの部材が熱損傷することが防止される。
また、反射部材16が有する選択反射層を、コレステリック液晶層とすることにより、太陽光に含まれる可視光も、半分、反射部材16を透過するので、より好適に、中間像スクリーン14、光偏向器36および偏光板34の熱による損傷が防止される。
ウィンドシールドガラス26は、本発明のHUDシステム1の特徴的な部材である。ウィンドシールドガラス26は、平滑部261と、凹凸部262と、を有する。凹凸部262の形状は実像を形成できれば特に制限されない。凹凸部262は、例えば、不図示の複数の凸部(第2凸部)を含む。この凸部の高さ方向の寸法は例えば0.3μm以上であり、幅方向の寸法は例えば1.0μm以上である。以下、本発明のウィンドシールドガラス26の具体的な実施形態を、実施例として以下に説明する。
[実施例1]
図3は、本発明の実施例1に係るウィンドシールドガラス26の構成例を示す模式図である。実施例1に係るウィンドシールドガラス26の平滑部261はくさび型ガラスであり、凹凸部262は、凸部として黒色セラミクス(いわゆる黒セラ)を有する。黒セラは、くさび型ガラスの内側(車内側)の周縁にプリントされた黒色のセラミックである。なお、図1に模式的に示したウィンドシールドガラス26の構造は、くさび型ガラスではなく、後述する選択反射層を有する形態を意図したものである。
実施例1では、中間像スクリーン14の凹凸部141で実像化された投映光が、くさび型ガラスに投映されて観察者0側へと反射し、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察される。また、中間像スクリーン14の平滑部142を透過した投映光が、黒セラに投映されて観察者0によって実像として観察される。
実施例1に係るウィンドシールドガラス26としては、市販品を用いてもよい。
なお、実施例1に係るウィンドシールドガラス26においては、後述する実施例3と同様に、凹凸部262が反射フィルム70を有し、反射フィルム70が黒セラに貼られてもよい。また、実施例1に係るウィンドシールドガラス26は、後述する実施例4と同様に、凹凸部262が後述するスクリーンフィルム80であってもよい。
[実施例2]
図4は、本発明の実施例2に係るウィンドシールドガラス26の構成例を示す模式図である。実施例2に係るウィンドシールドガラス26は、選択反射フィルム(選択反射層)60、中間膜62、ヒートシール層63、2枚の板ガラス64、および、凹凸部262として黒セラを有する。なお、選択反射フィルム60と中間膜62との間には、図示を省略した偏光変換層が配される。また、ヒートシール層63と選択反射フィルム60との間には、図示を省略した位相差層が配される。この位相差層は、プロジェクター10から入射するp偏光を円偏光に変換する。さらに、位相差層とヒートシール層63との間には、図示を省略した透明基材が配される。中間膜62は、事故が起きたときにガラスが車内に突き抜け、かつ、飛散することを防止するものである。また、ヒートシール層63は、反射フィルムをガラス板に貼合するための接着層である。
実施例2に係るウィンドシールドガラス26は、図1に例示されるように、選択反射フィルム60を中間膜62とヒートシール層63とで挟持し、この積層体を2枚の板ガラス64で挟持した構成である。
なお、板ガラス64は、ウィンドシールドガラスに用いられる通常の板ガラスで、平板状でも、曲面状でも、平面と曲面との両方を有するものでもよい。中間膜62も、ポリビニルブチラールおよびエチレン-酢酸ビニル共重合体等、ウィンドシールドガラス用の合わせガラスにおいて中間膜として用いられる通常のものが利用可能である。
ここで、プロジェクター10の好ましい態様では、p偏光の投映光を、実施例2に係るウィンドシールドガラス26に入射する。入射したp偏光は円偏光に変換され、選択反射フィルム60により反射されることが好ましい。
選択反射フィルム60としては、例えば、赤色光を選択的に反射するコレステリック液晶層、緑色光を選択的に反射するコレステリック液晶層、および、青色光を選択的に反射するコレステリック液晶層との3層のコレステリック液晶層とを有し、その入射側には、上記ように、λ/4位相差層が設けられ、入射したp偏光は円偏光に変換されて、選択反射フィルム60に入射する。
コレステリック液晶層は、いずれも、同じ旋回方向の円偏光を反射するものである。
また、λ/4位相差層は、コレステリック液晶層が反射する円偏光に応じて、入射するp偏光をコレステリック液晶層が反射する旋回方向の円偏光に変換するように、遅相軸の向きが設定される。
このような選択反射フィルム60によれば、λ/4位相差層が、入射したp偏光の投射光を円偏光に変換して、コレステリック液晶層に入射し、コレステリック液晶層が円偏光の投映光を反射して、再度、λ/4位相差層に入射させ、λ/4位相差層が、円偏光の投映光をp偏光の投映光に変換する。
これにより、選択反射フィルム60は、p偏光の投映光を反射する。
実施例2に係るウィンドシールドガラス26の平滑部261は選択反射フィルム60を有し、凹凸部262は凸部として黒セラを有する。実施例2では、中間像スクリーン14の凹凸部141で実像化された投映光が、選択反射フィルム60により反射されて、観察者0側へと反射し、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察される。また、中間像スクリーン14の平滑部142を透過した投映光が、凹凸部262である黒セラに投映されて観察者0によって実像として観察される。
なお、実施例2に係るウィンドシールドガラス26の具体的な作製方法については、後で詳述する。
[実施例3]
図5は、本発明の実施例3に係るウィンドシールドガラス26の構成例を示す模式図である。実施例3に係るウィンドシールドガラス26は、図5に例示されるように、黒セラに反射フィルム70が貼られている点を除き、実施例2と同様の構成である。
実施例3に係るウィンドシールドガラス26の平滑部261は選択反射フィルム60を有し、凹凸部262は凸部が黒セラで構成され、凹凸部262で形成された実像を観察者側に反射する反射フィルム70を有している。
実施例3では、中間像スクリーン14の凹凸部141で実像化された投映光が、中間膜62とヒートシール層63に挟持された選択反射フィルム60により反射されて、観察者0側へと反射し、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察される。また、中間像スクリーン14の平滑部142を透過した投映光は、黒セラで形成された凹凸部262によって実像化されるが、黒セラは光を吸収するために、そのままでは実像の輝度は低いものとなる、そこで、実施例3では黒セラの外側(観察者0側とは反対側)に反射フィルム70を配することにより、形成された実像の観察者0側への光反射率を高め、観察者0による実像の視認性を高めている。反射フィルム70としては、反射率が高い方が実像の輝度が高められる。反射フィルム70の光反射率は、目的の輝度に応じて適宜に設定することができる。例えば選択反射フィルム60を反射フィルム70として用いることも好ましい。
なお、実施例3に係るウィンドシールドガラス26の作製方法については、後述する。
[実施例4]
図6は、本発明の実施例4に係るウィンドシールドガラス26の構成例を示す模式図である。実施例4に係るウィンドシールドガラス26は、図6に例示されるように、反射フィルムであるスクリーンフィルム80が設けられる点を除き、実施例2と同様の構成である。
実施例4に係るウィンドシールドガラス26は、選択反射フィルム60およびスクリーンフィルム80を、中間膜62とヒートシール層63とで挟持し、この積層体を2枚の板ガラス64で挟持した構成である。スクリーンフィルム80は、例えば、板ガラス64に対して粘着フィルムにより貼合される。スクリーンフィルム80は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、スクリーン用透明フィルム(商品名:KALEIDO SCREEN(登録商標)、KIC社製)等が挙げられる。
実施例4に係るウィンドシールドガラス26の平滑部261は選択反射フィルム60を有し、凹凸部262はスクリーンフィルム80である。
実施例4では、中間像スクリーン14の凹凸部141で実像化された投映光が、選択反射フィルム60により反射されて、観察者0側へと反射し、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察される。また、中間像スクリーン14の平滑部142を透過した投映光が、スクリーンフィルム80に投映されて、観察者0によって実像として観察される。
[実施例5]
実施例5に係るウィンドシールドガラス26は、誘電体多層膜、2枚の中間膜62、ヒートシール層63、2枚の板ガラス64、および、黒セラを有する。
実施例5に係るウィンドシールドガラス26は、選択反射フィルム60に代えて誘電体多層膜を2枚の中間膜62により挟持し、この積層体を2枚の板ガラス64で挟持した構成であること以外は、実施例2と同じ形態である。誘電体多層膜については後述する。
実施例5に係るウィンドシールドガラス26の平滑部261は誘電体多層膜を有し、凹凸部262は凸部として黒セラを有している。
実施例5では、中間像スクリーン14の凹凸部141で実像化された投映光が、誘電体多層膜により反射されて、観察者0側へと反射し、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察される。また、中間像スクリーン14の平滑部142を透過した投映光が、黒セラに投映されて、観察者0によって実像として観察される。
なお、実施例5に係るウィンドシールドガラス26の作製方法については、後述する。
[実施例6]
実施例6に係るウィンドシールドガラス26は、黒セラを有する凹凸部262に反射フィルム70が貼られている点を除き、実施例5と同様の構成である。
実施例6に係るウィンドシールドガラス26の平滑部261は誘電体多層膜を有する。
実施例6では、中間像スクリーン14の凹凸部141で実像化された投映光が、誘電体多層膜により反射されて、観察者0側へと反射し、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察される。また、中間像スクリーン14の平滑部142を透過した投映光は、黒セラによって実像化される。実施例6では、凹凸部262に反射フィルム70が貼られることにより、実施例3と同様の作用効果が得られる。
[実施例7]
実施例7に係るウィンドシールドガラス26は、スクリーンフィルム80が設けられる点を除き、実施例5と同様の構成である。
実施例7に係るウィンドシールドガラス26は、誘電体多層膜およびスクリーンフィルム80を、2枚の中間膜62により挟持し、この積層体を2枚の板ガラス64で挟持した構成である。
実施例7に係るウィンドシールドガラス26の平滑部261は誘電体多層膜を有し、凹凸部262はスクリーンフィルム80である。
実施例7では、中間像スクリーン14の凹凸部141で実像化された投映光が、誘電体多層膜により反射されて、観察者0側へと反射し、観察者0によって、ウィンドシールドガラス26越しに虚像として観察される。また、中間像スクリーン14の平滑部142を透過した投映光が、スクリーンフィルム80に投映されて、観察者0によって実像として観察される。
上述の説明から理解される通り、本発明のHUDシステム1は、投映光を出射する光源30と、上記投映光を実像化する凹凸部141と、上記投映光が透過する平滑部142と、を有する中間像スクリーン14とを有するHUDプロジェクター10と、平滑部142を透過する投映光を実像化する凹凸部262を有するウィンドシールドガラス26とを具備する。
この態様によれば、ウィンドシールドガラス26越しに確認される虚像の表示面とは焦点距離が異なる表示面において、例えば観察者が車両を運転する上で必要となる情報が実像表示される。これにより、従来のヘッドアップディスプレイのように異なる2つ虚像を併行してウィンドシールドガラス越しに表示せずとも、シンプルな装置構成で、観察者0の運転が多面的な情報の提示によりサポートされる。
次に、上述の実施例2に係るウィンドシールドガラス26の具体的な作製方法の一例について詳述する。なお、位相差層、偏光変換層、選択反射層または誘電体多層膜などの形成方法は、それ自体が公知であり、通常の方法で作製することができるものである。以下に詳述する方法はあくまで一例であり、本発明は下記の形態に限定されるものではない。
<選択反射層形成用塗布液の調製>
(コレステリック液晶層形成用塗布液)
選択反射中心波長(光の入射角0°において、反射光の強度の極大値を与える波長)が下記表1に示す所望の波長となる各コレステリック液晶層(B1、G1、R1)を形成する複数のコレステリック液晶層形成用塗布液に関して、下記の成分を混合し、下記組成のコレステリック液晶層形成用塗布液をそれぞれ調製する。
・混合物1 100質量部
・フッ素系水平配向剤1(配向制御剤1) 0.05質量部
・フッ素系水平配向剤2(配向制御剤2) 0.02質量部
・右旋回性キラル剤Paliocolor LC756(BASF社製) 目標の反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製) 1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が20質量%となる量
混合物1
Figure 2023051434000002
配向制御剤1
Figure 2023051434000003
配向制御剤2
Figure 2023051434000004
上述の塗布液組成の右旋回性キラル剤LC756の処方量を調整して、R、G、Bの各波長の光を選択反射する各コレステリック液晶層形成用塗布液を調製する。
なお、各コレステリック液晶層形成用塗布液を用いて、仮支持体上に、例えば膜厚3μm程度の単一層の各コレステリック液晶層(重合反応により硬化した層)を作製することによって、上記塗布液組成により、右円偏光反射層であり、選択反射中心波長(中心波長)が、例えば、下記表1に示す波長の各選択反射層を形成できることを確認できる。
Figure 2023051434000005
(位相差層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成の位相差層形成用塗布液を調製する。
・混合物1 100質量部
・フッ素系水平配向剤1(配向制御剤1) 0.05質量部
・フッ素系水平配向剤2(配向制御剤2) 0.01質量部
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製) 1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が20質量%となる量
(偏光変換層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、下記組成の偏光変換層形成用塗布液を調製する。
・混合物1 100質量部
・フッ素系水平配向剤1(配向制御剤1) 0.05質量部
・フッ素系水平配向剤2(配向制御剤2) 0.02質量部
・右旋回性キラル剤LC756(BASF社製)
目標のピッチ数と膜厚に合う反射波長に合わせて調整
・重合開始剤IRGACURE OXE01(BASF社製) 1.0質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が20質量%となる量
上述の塗布液組成の右旋回性キラル剤LC756の処方量を調整して、コレステリック液晶層とした場合に、所望の選択反射中心波長λとなるように、偏光変換層形成用塗布液を調製する。選択反射中心波長λは、仮支持体上に、膜厚3μm程度の単一層のコレステリック液晶層を作製してFTIR(パーキンエルマー社製、Spectrum Two)の測定により決定する。
コレステリック液晶層の螺旋構造の膜厚dは『螺旋構造のピッチP×ピッチ数』で表せる。上述のように、螺旋構造のピッチPとは、螺旋構造における1ピッチの長さであり、螺旋配向された液晶化合物が360°回転するのが1ピッチである。また、コレステリック液晶層では、選択反射中心波長λは『1ピッチの長さP×面内の平均屈折率n』と一致する(λ=P×n)。従って、ピッチPは『選択反射中心波長λ/面内の平均屈折率n』となる(P=λ/n)。
このことから、コレステリック液晶層とした場合に、選択反射中心波長λが所望の波長となるように、偏光変換層形成用塗布液を調製する。後述する偏光変換層の形成では、この偏光変換層形成用塗布液を、所望の膜厚となるよう塗工し、偏光変換層を形成してピッチ数を決定することができる。
表2に、調製した偏光変換層形成用塗布液の目標となる偏光変換層のピッチ数、膜厚、および、選択反射中心波長λ(中心波長λ)の組み合わせを示す。
Figure 2023051434000006
<セルロースアシレートフィルムの鹸化>
国際公開第2014/112575号の実施例20と同一の作製方法で、厚さ40μmセルロースアシレートフィルムを作製する。なお、このセルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤として、帝盛化工社製のUV-531を添加することができる。
作製したセルロースアシレートフィルムを、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温する。その後、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14mL/m2で塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外ヒーター(ノリタケカンパニーリミテド社製)の下に、10秒間滞留させる。
次いで、同じくバーコーターを用いて、純水を3mL/mで塗布する。
次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りとを、3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したセルロースアシレートフィルム(透明基材)を作製する。
鹸化処理したセルロースアシレートフィルムの面内位相差は、例えば1nmである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルカリ溶液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・水酸化カリウム 4.7質量部
・水 15.7質量部
・イソプロパノール 64.8質量部
・界面活性剤(C1633O(CH2CH2O)10H) 1.0質量部
・プロピレングリコール 14.9質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<配向膜の形成>
鹸化処理したセルロースアシレートフィルム(透明支持体)の鹸化処理面に、下記に示す組成の配向膜形成用塗布液を、ワイヤーバーコーターで24mL/mで塗布し、100℃の温風で120秒乾燥する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜形成用塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記に示す変性ポリビニルアルコール 28質量部
・クエン酸エステル(AS3、三共化学社製) 1.2質量部
・光開始剤(イルガキュア2959、BASF社製) 0.84質量部
・グルタルアルデヒド 2.8質量部
・水 699質量部
・メタノール 226質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(変性ポリビニルアルコール)
Figure 2023051434000007
<位相差層と選択反射フィルムと偏光変換層との積層体の作製>
配向膜を形成したセルロースアシレートフィルムを支持体(透明基材)として用いた。
支持体のうち配向膜の面に、支持体の長辺方向を基準に時計回りに45°回転させた方向にラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf(0.98N)、回転数:1000rpm(revolutions per minute)、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施す。
支持体上の配向膜のラビングした表面に、位相差層形成用塗布液を、ワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥する。
次いで、50℃のホットプレート上に置き、酸素濃度1000ppm以下の環境で、フュージョンUVシステムズ社製の無電極ランプ「Dバルブ」(60mW/cm2)によって6秒間、紫外線を照射し、液晶相を固定する。これにより、所望の面内位相差、すなわち、所望のレタデーションとなるように厚さを調整した位相差層を得る。
作製した位相差層のレタデーションは、例えば126nmとすることができる。
得られた位相差層の表面に、コレステリック液晶層(B1)形成用塗布液を、乾燥後の膜の厚さが0.3μmになるようにワイヤーバーを用いて室温にて塗布して塗布層を得る。
塗布層を室温で30秒間乾燥させ、85℃の雰囲気で2分間加熱する。その後、酸素濃度1000ppm以下の環境で、60℃でフュージョン社製のDバルブ(90mW/cmのランプ)によって、出力60%で6~12秒間、紫外線を照射し、コレステリック液晶相を固定して、厚さ0.3μmのコレステリック液晶層B1を得る。
次に、得られたコレステリック液晶層B1の表面にさらに、コレステリック液晶層(G1)形成用塗布液を用いて同様の工程を繰り返し、厚さ0.54μmのコレステリック液晶層G1を積層する。
次に、得られたコレステリック液晶層G1の表面にさらに、コレステリック液晶層(R1)形成用塗布液を用いて同様の工程を繰り返し、厚さ0.36μmのコレステリック液晶層R1を積層する。
このようにして位相差層の上に、3層のコレステリック液晶層を備える選択反射層を得る。
次に、得られたコレステリック液晶層の表面に、さらに表2に示した偏光変換層形成用塗布液を、表2に示す目標の膜厚となるように塗布して、偏光変換層を形成する。こうして、位相差層と選択反射フィルムと偏光変換層との積層体を得る。
下記の表3は、コレステリック液晶層を構成する各層の選択反射中心波長と、厚さの一例をまとめた表である。
Figure 2023051434000008
<ウィンドシールドガラスの作製>
上記で得られる積層体を有するウィンドシールドガラス26を以下のようにして作製する。
第1ガラス板および第2ガラス板(ガラス板64)として、縦1000mm×横1500mm、厚さ2mmの曲面ガラス板(可視光線透過率90%)を用意する。
また、中間膜62として、積水化学社製の厚さ0.76mmのPVBフィルムを用意する。
また、ヒートシール層63は、以下のようにして作製する。
<ヒートシール層の作製>
(ヒートシール層形成用塗布液)
下記の成分を混合し、ヒートシール層形成用塗布液を調製する。
・PVBシート片(積水化学社製、エスレックフィルム) 5.0質量部
・メタノール 90.25質量部
・ブタノール 4.75質量部
(ヒートシール層の形成)
上記積層体に、ヒートシール層形成用塗布液を、ワイヤーバーを用いて塗布後、乾燥させて、50℃にて1分間加熱処理を行い、厚み1μmのヒートシール層63を得る。
上記の積層体、第1ガラス板、第2ガラス板、中間膜62、ヒートシール層63が、下記表4に示す構成となるように積層し、この積層体を90℃、10kPa(0.1気圧)下で1時間保持し、オートクレーブ(栗原製作所製)にて115℃、1.3MPa(13気圧)で20分間加熱して気泡を除去する。
次いで、第2板ガラスの内側(車内側)の周縁に黒色のセラミック(黒セラ)をプリントして、ウィンドシールドガラス26を得る。黒色のセラミックをプリントする方法は特に限定されないが、例えば、通常のスクリーン印刷法が採用される。この印刷法は、例えば、特開2004-058310号公報に記載されている。
Figure 2023051434000009
続いて、実施例3に係るウィンドシールドガラス26の具体的な作製方法の一例について詳述する。
<ウィンドシールドガラスの作製>
実施例2と同様に作製された、位相差層と選択反射フィルムと偏光変換層との積層体を、粘着フィルム(粘着テープ)で黒セラに貼り付けて凹凸部262として機能する反射フィルムを設けること以外は、上記と同様にしてウィンドシールドガラス26を得ることができる(図5参照)。
続いて、実施例5に係るウィンドシールドガラス26の具体的な作製方法の一例について詳述する。
<誘電体多層膜の作製>
特表平9-506837号公報に記載された方法に基づき、以下のようにして、誘電体多層膜を作製する。
2,6-ポリエチレンナフタレート(PEN)と、ナフタレート70/テレフタレート30とのコポリエステル(coPEN)を、ジオールとしてエチレングリコールを用いて、標準ポリエステル樹脂合成釜において合成する。PENおよびcoPENの単層フィルムを押出成型し、約150℃で、延伸比5:1で延伸し、約230℃で30秒間、熱処理する。遅相軸(配向軸)に関するPENの屈折率は約1.86、横断軸に関する屈折率は1.64、coPENフィルムの屈折率は、約1.64とすることができる。
次に、延伸比を調整することにより、遅相軸に関するPENの屈折率は約1.71、横断軸に関する屈折率は1.64、coPENフィルムの屈折率は、約1.64とすることができる。すなわち、光学異方性層の遅相軸方向の屈折率と、等方性層の屈折率との差Δnを0.07とすることができる。
続いて、標準押出ダイを装着した25スロット供給ブロックを用いて、PENおよびcoPENを同時押出することにより、下記表5の(1)に示す膜厚のPENとcoPENとを交互に積層された積層体(44層)を得る。さらに、同様の操作を繰り返すことにより表5の(2)に示す積層体(44層)と、(3)に示す積層体(39層)と、(4)に示す積層体(38層)を得る。次に、これら(1)~(4)の積層体を積層し、層数が計165層である積層体を作製する。
Figure 2023051434000010
次に、延伸した積層体を、エアーオーブン内において、約230℃で30秒間、熱処理して、誘電体多層膜を作製する。作製した誘電体多層膜の厚さは約28μmとすることができる。
<ウィンドシールドガラスの作製>
上述の方法により作製された誘電体多層膜を2枚の中間膜62で挟持し、この積層体を第1板ガラスと第2板ガラスとで挟持して下記表6に示す構成とし、ウィンドシールドガラス26を得る。
下記の表7は、実施例5に係る誘電体多層膜を構成する各層の選択反射波長と、厚さをまとめた表である。
Figure 2023051434000011
Figure 2023051434000012
以上、本発明のHUDシステム1について詳細に説明したが、本発明は、本発明で規定すること以外は、上述の実施例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を加えることができ、このような形態も本発明に包含されるものである。
0…観察者
1…HUDシステム
12…画像形成部
14…中間像スクリーン
16…反射部材
18…凹面ミラー
20…ダッシュボード
24…透過窓
25…位相差板
26…ウィンドシールドガラス
30…光源
30R…R光源
30G…G光源
30B…B光源
32…ミラー
32R…Rミラー
32G…Gミラー
32B…Bミラー
34…偏光板
36…光偏向器
60…反射フィルム
62…中間膜
63…ヒートシール層
64…ガラス板
141,262…凹凸部
142,261…平滑部

Claims (10)

  1. 投映光を出射する光源と、
    前記投映光を実像化する第1凹凸部と、前記投映光が透過する第1平滑部と、を有する中間像スクリーンと
    を有するプロジェクターと;
    前記第1平滑部を透過する投映光を実像化する第2凹凸部を有するウィンドシールドガラスと;
    を具備するヘッドアップディスプレイシステム。
  2. 前記ウィンドシールドガラスは、前記第1凹凸部により実像化された投映光を観察者側に反射する第2平滑部を有する、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
  3. 前記第2平滑部は、選択反射層又は誘電体多層膜を有する、請求項2に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
  4. 第2凹凸部は、凸部として黒色のセラミクスを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
  5. 前記第2凹凸部は、第2凹凸部で形成された実像を観察者側に反射する反射フィルムを有する、請求項4に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
  6. 前記第2凹凸部は、スクリーンフィルムである、請求項1~3のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
  7. 前記第1凹凸部の凸部は高さ0.3μm以上、幅1.0μm以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
  8. 前記第2凹凸部の凸部は高さ0.3μm以上、幅1.0μm以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
  9. 前記光源は、レーザー光源である、請求項1~8のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイシステムを備えた輸送機。

JP2021162100A 2021-09-30 2021-09-30 ヘッドアップディスプレイシステム及びそれを有する輸送機 Pending JP2023051434A (ja)

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