JP2023051370A - アンサミトシン類を製造する方法 - Google Patents

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Yutaka Nishimura
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Kazuhiro Hibino
貴詩 白川
Takashi Shirakawa
剛 山本
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Abstract

【課題】アンサミトシン類化合物の効率的な製造方法の提供。【解決手段】以下の工程を含む、アンサミトシン類化合物の製造方法:i.アンサミトシン類化合物産生菌を液体培地で培養し;ii.得られた培養物に親水性有機溶媒を添加し、アンサミトシン類化合物を培養物から抽出し;iii.得られた抽出液を、多孔質構造を有する芳香族系合成吸着剤に通液して、アンサミトシン類化合物を吸着剤に吸着させた後、吸着されたアンサミトシン類化合物を溶出溶媒で溶出し、アンサミトシン類化合物画分を得る。【選択図】なし

Description

本発明は高純度のアンサミトシン類の製造方法に関する。
アンサミトシン類は、非常に強い細胞増殖抑制活性を有することから、以前は抗がん剤としての利用が検討されたが、臨床試験において、アンサミトシン類単体では十分な治療効果を発揮することはできなかった。しかし、アンサミトシン類の持つ非常に強い細胞増殖抑制活性は、抗体-薬物複合体の薬物部分として魅力的であり、現在はアンサミトシン類に化学変換を施してメイタンシノールとした後、化学修飾、及び抗体との反応を実施することで抗体-薬物複合体へと変換された後、利用されている。
アンサミトシン類の精製方法がいくつか知られている。例えば、菌体から有機溶媒を用いてアンサミトシン類を抽出した後、シリカゲルアルミナを用いたクロマトグラフィーにより精製する方法(特許文献1、2)、向流クロマトグラフィーによる精製(特許文献3)、疎水性樹脂を用いた濃縮と、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製(特許文献4)、又は菌体から疎水性樹脂を用いた濃縮による粗精製(特許文献5)が知られている。またアンサミトシンP3に関しては、純度93%のものが得られている(特許文献6)。
国際公開WO2004/015119 国際公開WO2005/020883 中国特許101928291号公報 特開昭53-124692号公報 特許第5106120号公報 特許第4832697号公報
精製に際し、シリカゲルやアルミナを用いたクロマトグラフィーを行った場合、大量の廃シリカゲル等が生じ、環境負荷および精製コストの増大につながる。また、精製に際し、シリカゲルやアルミナ等の粒子の細かい粉体を用いる場合には、作業者が吸入しやすい懸念があることから、より安全な精製手法の開発が求められている。
また、特許文献5の方法ではアンサミトシン類として精製しており、メイタンシノールやアンサミトシンP3を純品にできていない。
さらに従来の方法で得られるメイタンシノールの相対純度は95~98%程度、アンサミトシンP3の純度は93%であり、これより高い純度で得られることが医薬品原料を製造するという観点から望ましい。
本発明者らは、メイタンシノールやアンサミトシンP3を高純度で製造する方法を鋭意検討してきた。その中で、夾雑物の多い培養液をろ過したものを直接疎水性樹脂で処理して目的物質を吸着させ、その後、適切な溶出溶媒で溶出することにより、濃縮効果だけでなく、精製効果も得られることを見出した。またこれにより、純度の高いアンサミトシンを続く再結晶化の工程に供することが可能となるため、高い精製効果が見込めることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下を提供する。
[1] 以下の工程を含む、アンサミトシン類化合物の製造方法:
i.アンサミトシン類化合物産生菌を液体培地で培養し;
ii.得られた培養物に親水性有機溶媒を添加し、アンサミトシン類化合物を培養物から抽出し;
iii.得られた抽出液を、多孔質構造を有する芳香族系合成吸着剤に通液して、アンサミトシン類化合物を吸着剤に吸着させた後、吸着されたアンサミトシン類化合物を溶出溶媒で溶出し、アンサミトシン類化合物画分を得る。
[2] アンサミトシン類化合物産生菌が、アクチノシネマ・プレオチスムである、1に記載の製造方法。
[3] 親水性有機溶媒が、メタノール又はアセトンである、1又は2に記載の製造方法。
[4] 芳香族系合成吸着剤が、スチレン-ジビニルベンゼン系合成吸着剤である、1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
[5] 溶出溶媒がアセトンを含み、容積率で30~80%のアセトンを含む混合溶媒を溶出溶媒として勾配溶出を行う、1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
[6] さらに、下記の工程を含む、1から5のいずれか1項に記載の製造方法:
iv. 得られたアンサミトシン類化合物画分を濃縮し、濃縮物を、酢酸エチル、メタノール、ヘプタン、2-ブタノン、ジイソプロピルエーテル、2-プロパノール、アセトン、およびメチルt-ブチルエーテルからな群より選択されるいずれかを含む結晶化溶媒に溶解してアンサミトシン類化合物の結晶化を行う。
[7] アンサミトシン類化合物が、アンサミトシンP3、又はアンサミトシンP0(メイタンシノール)である、1から6のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明では、再利用可能な芳香族系合成吸着剤を用いることにより、培養物抽出液に含まれるアンサミトシン類の精製効率を向上させることができる。また、大量の廃シリカゲルのような廃棄物が生じることを抑えることができる。さらにシリカゲルのような粉体を取扱う作業を減らし、より安全に純度の高いアンサトミトシン類化合物を製造することができる。
本発明の製造方法により、医薬品原料として適した純度のアンサミトシン類化合物を製造することができる。
本発明は、以下の工程を含む、アンサミトシン類化合物の製造方法に関する。
i.アンサミトシン類化合物産生菌を液体培地で培養し;
ii.得られた培養液に親水性有機溶媒を添加し、アンサミトシン類化合物を培養液から抽出し;
iii.得られた抽出液を、多孔質構造を有する芳香族系合成吸着剤に通液して、アンサミトシン類化合物を吸着剤に吸着させた後、吸着されたアンサミトシン類化合物を溶出溶媒で溶出し、アンサミトシン類化合物画分を得る。
[アンサミトシン類、アンサミトシン類化合物]
本発明に関し、アンサミトシン類というときは、特に記載した場合を除き、下式で表される化合物群をいう。
Figure 2023051370000001
本発明に関し、アンサミトシン類化合物というときは、上記のアンサミトシン類のうちの、いずれか一つを指す。
本発明の製造方法は、アンサミトシン類化合物のうち、P3を製造するために、またP0、すなわちメイタンシノールを製造するために、特に適している。
[工程i]
工程iは、アンサミトシン類化合物産生菌を液体培地で培養する工程である。
アンサミトシン類化合物産生菌としては、種々のものを用いることができる。アンサミトシン類化合物産生菌として、アクチノシネマ(Actinosynnema)属の菌が知られており、本発明においても好適に用いることができる。Actinosynnema属の菌の例として、アクチノシネマ・プレチオスム(Actinosynnema pretiosum)ATCC 31565、Actinosynnema pretiosum PF4-4(ATCC PTA-3921)(米国特許第4,450,234号、特表2005-510226)、Actinosynnema pretiosum ATCC 31280が知られている。
本発明においては、アンサミトシン類化合物の産生菌として、野生株を用いてもよく、変異株を用いてもよい。Actinosynnema pretiosum ATCC 31280においてアンサミトシンP3(AP3)生合成のためのN-デメチル-AP3(PND-3)中間体と競合する糖転移酵素をコードする遺伝子ansa30を不活性化した変異体が、AP3の産生能が高いことが知られている(Ning X, Wang X, Wu Y, Kang Q, Bai L (2017) Identification and engineering of post-PKS modification bottlenecks for ansamitocin P-3 titer improvement in Actinosynnema pretiosum subsp. pretiosum ATCC 31280. Biotechnol J 12(11). https://doi.org/10.1002/biot.201700484)。好ましい態様においては、アンサミトシン類化合物産生菌は、アクチノシネマ属種であり、アクチノシネマ・プレチオスムであることがより好ましい。アンサミトシン類化合物産生菌はまた、アクチノシネマ・プレチオスム ATCC 31280又はそれから派生する株であってもよい。
液体培地は、目的のアンサミトシン類化合物の生産に適した種々のものを用いることができる。放線菌の培養のためには、YMG寒天培地(0.4% 酵母エキス、1.0% 麦芽エキス、0.4% グルコース、2.0% 寒天、pH7.2~7.3)、接種用培地(3.0% トリプトン大豆ブロス粉末、0.5% 酵母エキス、5.0% ショ糖、pH7.5)、培養用培地(0.8% 酵母エキス、1.0% 麦芽エキス、1.5% ショ糖、2.5% 可溶性でんぷん、pH7.5)等が知られており、またAP3の生産のためには、これらの培地にさらにイソブタノール、及びイソプロパノールが添加されることが知られている。
本発明により提供される、アンサミトシン類産生菌の培養のための培地には、炭素源として、麦芽エキス、グルコース、ショ糖、でんぷん、及びコーンスティープリカーから選択されるいずれかを含んでいてもよく、窒素源として、大豆加水分解物、及び綿実粕から選択されるいずれかを含んでいてもよく、エキス類として、酵母エキス、及び麦芽エキスからなる群より選択されるいずれかを含んでいてもよく、その他の成分として、グリセロール、菜種油、L-バリン、レシチン、シクロデキストリンからなる群より選択されるいずれかを含んでいてもよい。特に、アンサミトシン類生産のためには、培地に、イソプロピルアルコール(C3H8O、イソプロパノールと称されることもある。)、及びイソブチルアルコール(C4H10O、イソブタノールと称されることもある。)のいずれかを添加することができ、これらのうちイソブチルアルコールを添加することがより好ましい。イソブチルアルコールの濃度は、目的の生産が十分に行える限り特に限定されず、例えば0.030~1.0%であり、好ましくは0.075~0.75%であり、より好ましくは0.10~0.50%である。なお、本発明に関し、培地の成分濃度を表すときは、特に記載した場合を除き、成分の重量と培地の容積に基づく値(w/v)である。
特に好ましい態様においては、本発明の培地は、でんぷん、グリセロール、綿実粕、コーンスティープリカー、大豆加水分解物、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、菜種油、L-バリン、シクロデキストリン、イソブチルアルコールを含む。
培養は、静置、振盪、有酸素液内などの培養条件又は任意の他の培養条件によって行ってよい。アンサミトシンの高生産のため、有酸素液内培養が好ましい。発酵中に栄養分を供給することによって、アンサミトシン生産をさらに増進してもよい。例えば、FM4-6培地(前掲特許文献5参照)中で生物を培養する際、発酵期間中にグルコースをさらに供給するか、あるいは最初の約24~72時間の間、好ましくは最初の約48時間の間、グルコースを供給し、その後、発酵終了時にアンサミトシン生産の倍増を生じうるまで、グルコースや大豆粉などのタンパク質栄養分を供給してもよい。
培養条件は、用いた培地および生産規模に応じるが、通常、約5~9のpH範囲で、好ましくは約6.5~8.0の出発pHで、発酵を行うことが好ましい。より好ましくは、pH範囲は約7~8であり、さらにより好ましくは、約7~7.4である。最も好ましいpHは約7.2である。温度は、約15~35℃の範囲であってもよく、好ましい範囲は約25~30℃である。より好ましくは、温度は約28℃である。最大アンサミトシン集積が達成されるまで、発酵を続ける。培養時間は多様であることも可能であり、そして培養法、培地組成、および温度を含むいくつかの要因に応じうる。典型的には、発酵時間は、96~336時間の範囲である。
[工程ii]
工程iiは、得られた培養物に親水性有機溶媒を添加し、アンサミトシン類化合物を培養物から抽出する工程である。培養物とは、培養液、培養液と菌体との混合物(懸濁液)、培養液と菌体溶解物の混合物、培養液と菌体溶解物をろ過した液等を含む。
親水性有機溶媒による抽出の前に、培養により得られた懸濁液を処理してもよい。処理は、例えば、懸濁液を酸性に調整すること、酸性に調整した液をろ過してろ液を得ることを含む。酸性に調整するとは、pHを7以下に調整することをいい、好ましい態様においては、pH6.0以下、5.0以下、4.6以下に調整する。酸性にするために、培養物に硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸の水溶液を加えることができる。また、ろ過により固形物を除くことができる。
ろ過は通常の手段で行えばよく、ろ材やろ過助剤を用いて行うことができる。ろ過助剤の例として、珪藻土、ろ過砂(例:マンガン砂、マンガンゼオライト、活性炭、アンスラサイト、セラミックサンド)、パーライト、およびセルロースが挙げられる。ろ過助剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましい態様の一つにおいては、ろ過助剤として、パーライトが用いられる。
親水性有機溶媒の例として、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドンなどのピロリドン類;ジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類;KJケミカル社製「KJCMPA(R)-100」に代表されるβ-アルコキシプロピオンアミドなどのアミド類;2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-プロパノール(DMAP)などの水酸基含有三級アミンが挙げられる。親水性有機溶媒として、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。好ましい態様の一つにおいては、アセトン又はメタノールが用いられる。
培養液と混合される親水性有機溶媒の体積比(培養液:親水性有機溶媒)は、1:0.1~1:10とすることができる。好ましくは1:0.2~1:8、より好ましくは1:0.3~1:6とすることができる。
抽出時間は、培地、温度、用いる溶媒にも拠るが、例えば5分間~24時間の範囲である。好ましい態様の一つにおいて、抽出時間は、15分間~8時間である。
[工程iii]
工程iiiは、得られた抽出液を、多孔質構造を有する芳香族系合成吸着剤に通液して、アンサミトシン類化合物を吸着剤に吸着させた後、吸着されたアンサミトシン類化合物を溶出溶媒で溶出し、アンサミトシン類化合物画分を得る工程である。
工程iiiにおいては、多孔質構造を有する芳香族系合成吸着剤が用いられる。合成吸着剤は、樹脂内の細孔表面と被吸着物質間の物理的相互作用により溶液中から種々の有機物を吸着することができる。また活性炭と比較して大きな細孔を有していることから、比較的大きな有機物の吸脱着ができる。そのため、アンサミトシン類化合物の吸着精製に適している。
芳香族系合成吸着剤の例として、スチレンやビニルピロリドン等のビニルモノマーにジビニルベンゼンのような架橋性のモノマーを配合して得られる網状構造を有する樹脂を粒子状にしたものであって、塩素原子、臭素原子等の電子求引性基を含有しないものが挙げられる。好ましい態様においては、芳香族系合成吸着剤として、スチレン-ジビニルベンゼン系合成吸着剤が用いられる。
芳香族系合成吸着剤として、市販のものを用いてもよい。この例として、ダイヤモンドシャムロックケミカル社のデュオライトS-30,ES-33、S-37,S-862,S-861,S-587,S-761等、ロームアンドハース社のアンバーライトXAD-2,XAD-4,XAD-7,XAD-8,XAD-16,XAD-1180,XAD-2000,XAD-2010等、三菱化成工業株式会社のダイヤイオンHP-10,HP-20,HP-21,HP-40等、セパビーズSP-850等、ダウケミカル社のダウエックスXUS-40323,XUS-40285等、北越炭素工業株式会社のKS,HS,AF,L-1、ISP社のポリクラール SB-100、ポリクラール・スーパーR、ポリクラール 10(PVPP 不溶性ポリビニルポリピロリドン)、東洋曹達工業株式会社のトヨパールHW-40が挙げられる。
工程iiiに用いる溶出溶媒は、親水性の有機溶媒を含む。親水性有機溶媒の例は上記のとおりである。親水性有機溶媒として、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。好ましい態様の一つにおいては、溶出溶媒はアセトンを含む。
工程iiiでは、容積率で30~80%のアセトンを含む混合溶媒を溶出溶媒として勾配溶出を行うことができる。有機溶媒と混合される液は、例えば硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸の水溶液である。このような酸の水溶液のpHは2~5、例えば2.5~4であることが好ましい。
溶出液は、適切な画分に分け、それぞれについて分析した目的のアンサミトシン類化合物の量と相対純度に基づき、所望の純度を満たしつつ高い回収率となるように、必要画分をプールすることができる。
本発明者らの検討によると、工程iiiまでの操作により、相対純度が80%を超えるアンサミトシン類化合物を得ることができる。
[工程iv]
本発明の製造方法は、さらに下記の工程を含んでいてもよい。
iv. 得られたアンサミトシン類化合物画分を濃縮し、濃縮物を、結晶化溶媒に溶解してアンサミトシン類化合物の結晶化を行う。
結晶化前に、得られた画分を濃縮前に活性炭で処理し、不純物を除いてもよい。得られた画分の濃縮率は、適宜とすることができ、例えば、湿ったアンサミトシン類化合物が得られる程度まで行うことができる。濃縮は、従来法、例えば減圧乾燥等により行うことができる。
結晶化溶媒の例として、酢酸エチル、メタノール、ヘプタン、2-ブタノン、ジイソプロピルエーテル、2-プロパノール、アセトン、およびメチルt-ブチルエーテルからなる群より選択されるいずれかを挙げることができる。結晶化溶媒として、これらのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。好ましい態様の一つにおいては、酢酸エチル、又は2-ブタノンが用いられる。
結晶化の条件は、当業者であれば適宜設定することができるが、アンサミトシン類化合物がAP3である場合、次のように行ってもよい。
湿体を4~8倍程度の2-ブタノンに溶解し、ろ過し、ろ液を約60℃に加温し、その後、約1~2倍量のジイソプロピルエーテルを数時間かけて滴下し、撹拌する。その後内温を45℃以下に下げ数時間撹拌後、さらに内温を約30℃以下に下げ、数時間~数十時間撹拌する。撹拌後、懸濁液を減圧ろ過し、得られた固体を減圧乾燥し、アンサミトシンP3の結晶とする。
またアンサミトシン類化合物がP0(メイタンシノール)である場合、次のように行ってもよい。
メイタンシノール固体に、10~30倍量の酢酸エチルを加え、メタノールを固体と同量程度加えた後、約50℃に加温し、溶解し、酢酸エチルと同量程度のジイソプロピルエーテルを滴下する。温度を約35℃以下に下げた後、再度約50℃に加温し、約20℃以下まで冷却し、生じた結晶をろ過し、減圧乾燥する。
本発明者らの検討によると、工程ivまでの操作により、相対純度が95%を超えるアンサミトシン類化合物を得ることができる。
得られたアンサミトシン類化合物の結晶は、さらに再結晶化のための処理を行ってもよい。
<アンサミトシンP3の製造>
[1: 培養液からの抽出]
下表の培地を用い、2000Lの発酵槽でActinosynnema pretiosumの培養を行って得た液1080L (アンサミトシンP3含有量426g)に対し、3M硫酸43Lを添加し、pHを4.5に調整した。パーライトろ過助剤ロカヘルプ(三井金属鉱業株式会社 Lot:6071507/5090407)44kgを添加後、15分撹拌した。2000Lの抽出槽に、洗浄水を含む培養液(1150L)を移送後、940Lのメタノールを添加した後、3時間撹拌した。なお培養液中のアンサミトシン類化合物の含有量は、培養液の一部を抜き取りHPLC分析を行い、標準品とのピーク面積値の比較から概算した。以下の実験においても特に記載した場合を除き、同様に液中のアンサミトシン類化合物の含有量を算出した。
Figure 2023051370000002
アンサミトシンP3の菌体からの抽出率は、メタノール添加後30分では94%、3時間後では94.9%であった。アンサミトシンP3の純度は、23.8%.pであった。なお抽出率は、培養液のHPLC分析に基づき概算した全培養液中に含まれるアンサミトシン類化合物の含有量を100%として算出した。純度は、培養液のHPLC分析で現れたすべてのピークの面積を100%として算出した。以下の実験においても特に記載した場合を除き、同様である。
[2: 培養液のろ過]
1で得られた培養液を、ラジオライトでプレコートしたフィルタープレスに通液した。ろ別された菌体は、50%メタノール水にて洗浄し、脱水するまで空気を通気した。
ろ過後、2400Lの液(ろ液+洗浄水)が得られた。液中のアンサミトシンP3の含有量は356gであり、工程収率は88%, アンサミトシンP3の純度は23.8& r.pであった。
[3: 芳香族系合成吸着剤による精製]
2で得られた液2400Lを35LのDIAION HP-20(三菱ケミカル株式会社)に通液した。ついで、アンサミトシンP3が吸着されたHP-20に40%(v/e)(v/v)アセトン/pH3.3硫酸水4B.V(カラムの充填剤容積(Bed Volume)の4倍の量)、45%(v/v)アセトン/pH3.3硫酸水2B.V、55%(v/v) アセトン/pH3.3硫酸水4B.V、70(v/v)アセトン/pH=3.3硫酸水3B.V、アセトン3B.Vを通液し、所望の産物をHP-20から溶出させた。
45%(v/v)アセトン/pH3.3硫酸水2B.Vを通液中に得られる溶出液を0.2B.Vずつ分画し、各画分の分析結果に基づきシミュレーションを行い、所望の純度を満たしつつ高い回収率となるように、アンサミトシンP3を含有する分画をプールした。プールした画分のアンサミトシンP3含有量は329gであり、純度は80.5% r.pであった。
[4: 活性炭ろ過および濃縮]
3で得られた画分の全量85Lを、活性炭白鷺MW50 (大阪ガスケミカル株式会社) 850gに通液した。得られた液(アンサミトシンP3含量325g, 86.5% r.p)を減圧濃縮した後、加圧ろ過を行い、アンサミトシンP3の湿体234g (純度94.5% r.p)を得た。
[5: 結晶化]
4で得られたアンサミトシンP3の湿体の150g(乾燥体として132g, アンサミトシンP3 94.7% r.p)を、2-ブタノン990mLに溶解し、メンブレンフィルターにて減圧濾過した後、ろ液を60℃に加温した。その後、ジイソプロピルエーテル1320mLを3時間かけて滴下し、1時間撹拌した。撹拌後、内温を40~45℃の間に下げ、5時間撹拌した。撹拌後、さらに内温を20~30℃に下げ、12.5時間撹拌した。撹拌終了後、懸濁液をメンブレンフィルターで減圧ろ過した。得られた結晶を減圧乾燥し、アンサミトシンP3の結晶96gを得た(97.3% r.p、 工程収率73%)。
[6: アンサミトシンP3の再結晶化]
5で得られたアンサミトシンP3 70.5gg (97.3%r.p)に、酢酸エチル805mL 、およびメタノール144mLを加えた後、内温50℃になるまで加温し、完全に溶解した。ヘプタンを滴下したが400mL時点で固体が析出したため、滴下を一旦停止し、10分撹拌した。その後、ヘプタン滴下を再開し、合計1622mLを滴下した。滴下終了後、1時間かけて内温を25℃まで下げた後、さらにその温度で1時間撹拌した。その後、減圧ろ過で固体をろ別後、終夜減圧乾燥を行い、アンサミトシンP3の結晶64g (97.7% r.p)を得た。
<アンサミトシンP3、99% r.pの製造>
[7: 湿体のHP20SS精製・減圧濃縮、酢酸エチル抽出、減圧濃縮]
4で得られたアンサミトシンP3の湿体 10g (AP3を8.1g含有)をメタノール5Lに溶解させた後、水を5L加えた。アセトン/pH3.3 H2SO4 aq. = 20/80 (v/v) 1 B.VにてコンディショニングしたDIAION HP20SS (三菱ケミカル株式会社) (1200mL)に通液した。その後、アセトン/pH3.3 H2SO4aq. = 40/60 4 B.V、アセトン/pH3.3 H2SO4aq. = 43/57 3 B.V、アセトン/pH3.3 H2SO4aq. = 50/50 4 B.Vを順次送液した。その際の流速SVは、1.5~2.0に調整した。40%アセトン硫酸水溶液4 B.V、43%アセトン硫酸水溶液1B.Vについては廃棄。その後、43%アセトン硫酸水溶液2B.V分からは、24mLずつ分画した。HPLCにて分析、回収画分を決定後、2Lガラス容器に回収した。同様の操作を更に2回実施し、トータル6020mLのアセトン硫酸水溶液を得た。
回収画分を3等分した後、各々の溶液を減圧濃縮した。減圧濃縮によってアンサミトシンP3が沈殿したスラリー水溶液に対して、それぞれ酢酸エチル850mLを加え、液-液分配を2回実施した。回収した有機層にNa2SO4を適量加えた後に10分間撹拌し、綿ろ過を行ってろ液を得た。取得したろ液3バッチ分を混合した後に減圧濃縮し、アンサミトシンP3クルード固体(AP3 97.7%r.p)を21.9g得た。
[8: 結晶化]
7で得られたクルード固体21.9gを2-ブタノンに溶解させ、洗い込みながら2 L 三つ口ナスフラスコへ移し、減圧濃縮を行った。濃縮残差に2-ブタノン 164mLを添加した後、超音波処理を行って破砕した。得られたスラリー液に対して内温が65℃となるように昇温して撹拌した。アンサミトシンP3の溶解を確認後、送液ポンプを用いてジイソプロピルエーテル219mLを73.0mL/hの速度で滴下した。ジイソプロピルエーテルの滴下完了後、内温65℃で1時間撹拌し、その後1時間かけて45℃まで冷却した。45℃に到達後、1時間撹拌し、その後1時間かけて25℃まで冷却した。25℃に到達後、25℃に温度を維持したまま1時間撹拌した。得られた結晶をろ別し、2-ブタノン/ジイソプロピルエーテル=2/3 (76mL)にて洗浄した。得られた結晶を終夜真空乾燥し、白色結晶を17.9g得た(99.1% r.p, 工程収率81.8%)。
[9 : 再晶析化]
8で得られた結晶 17.7gに酢酸エチル203.6mL、メタノール 36.1mLを添加後、55℃に加温して、その後撹拌した。アンサミトシンP3の溶解を確認後、送液ポンプを用いてヘプタン 407.1mLを13.6mL/minの速度で滴下した。9分滴下時点で結晶が析出したため、一旦滴下を停止し、結晶を成長させた。10分後、目視にて結晶の増加を確認したため、同液速にてヘプタンの滴下を再開した。21分後、滴下が完了した。滴下終了後1時間55℃に維持したまま撹拌を続け、その後1時間かけて25℃まで冷却した。2時間撹拌後、得られた結晶をろ別し、酢酸エチル/ヘプタン=30mL/60mL(計90mL)で洗浄後、終夜真空乾燥し、白色結晶を13.8g得た(99.5%r.p, 工程収率78.0%)。
<メイタンシノール(アンサミトシンP0)の精製>
[10: 菌体からの抽出、ろ過]
メイタンシノール生産性のActinosynnema pretiosumを、下表の培地に植菌して培養し、得られた培養液24L (推定メイタンシノール含有量4.1g)を4分割した後、それぞれにメタノール 6Lを加えて1時間以上攪拌し、菌体からの抽出を行った。その後、ロカヘルプ480gを敷いたブフナー漏斗(φ185mm)にて減圧濾過を行った。ろ過後、50%メタノール水 200mLにて菌体を洗浄し、メイタンシノール抽出液(メイタンシノール含有量3.6g, 相対純度11.4%r.p) 12Lを得た。
Figure 2023051370000003
[11: HP20SS精製]
10で得られたメイタンシノール抽出液 45.3L (メイタンシノール含有量 3.5g, 相対純度11.4%r.p)を、アセトン : pH3.3硫酸水 =20:80にてコンディショニングしたHP20SS 600mLで処理した。その後、アセトン : pH3.3硫酸水 =35:65 (2400mL)、アセトン : pH3.3硫酸水 =40:60 (2400mL)、アセトン : pH3.3硫酸水 =42:58 (2400mL)の順で流し、溶出液を150mLずつ分画した。各フラクションをHPLCにて分析した。
メイタンシノールの相対純度が96%r.p以上になるような画分を集め、精製メイタンシノール溶液(メイタンシノール含有量 2.6g、相対純度97.5% r.p)を得た。
[12: 減圧濃縮、酢酸エチル抽出、重曹水洗浄]
11で得られた精製メイタンシノール溶液を減圧下、アセトンを留去した。アセトン留去後、15%塩化ナトリウム水溶液200mL、酢酸エチル1000mLを加え、抽出を行った。得られた有機層に、飽和重曹水800mLを加え、洗浄する工程を2回繰り返した。有機層を減圧濃縮し、メイタンシノール乾固物3.1g(メイタンシノール相対純度96.6% r.p)を得た。
[13: 結晶化]
12で得られたメイタンシノール乾固物3g (相対純度 96.6% r.p)に、酢酸エチル46mL、メタノール3.4mLを加えた後、50℃に加温し、溶解した。その後、ジイソプロピルエーテル46mLを3mL/minの速度で滴下した。温度を35℃に下げた後、再度50℃に加温した後、20℃まで冷却し、生じた結晶をろ過した。得られた結晶を減圧乾燥することにより、メイタンシノール1.9g (相対純度98.4% r.p)を得た。

Claims (7)

  1. 以下の工程を含む、アンサミトシン類化合物の製造方法:
    i.アンサミトシン類化合物産生菌を液体培地で培養し;
    ii.得られた培養物に親水性有機溶媒を添加し、アンサミトシン類化合物を培養物から抽出し;
    iii.得られた抽出液を、多孔質構造を有する芳香族系合成吸着剤に通液して、アンサミトシン類化合物を吸着剤に吸着させた後、吸着されたアンサミトシン類化合物を溶出溶媒で溶出し、アンサミトシン類化合物画分を得る。
  2. アンサミトシン類化合物産生菌が、アクチノシネマ・プレチオスムである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 親水性有機溶媒が、メタノール又はアセトンである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 芳香族系合成吸着剤が、スチレン-ジビニルベンゼン系合成吸着剤である、請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 溶出溶媒がアセトンを含み、容積率で30~80%のアセトンを含む混合溶媒を溶出溶媒として勾配溶出を行う、請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. さらに、下記の工程を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法:
    iv. 得られたアンサミトシン類化合物画分を濃縮し、濃縮物を、酢酸エチル、メタノール、ヘプタン、2-ブタノン、ジイソプロピルエーテル、2-プロパノール、アセトン、およびメチルt-ブチルエーテルからなる群より選択されるいずれかを含む結晶化溶媒に溶解してアンサミトシン類化合物の結晶化を行う。
  7. アンサミトシン類化合物が、アンサミトシンP3、又はアンサミトシンP0(メイタンシノール)である、請求項1から6のいずれか1項に記載の製造方法。
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