JP2023050930A - 表面に微細な凹凸を有する成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産効率に優れる、表面に微細な凹凸を有する成形品の製造方法を提供する。【解決手段】ポリマー材料と複数の熱膨張性カプセルとが混合された成形材料の射出成形体を準備する準備工程と、射出成形体の表面を、赤外線照射装置から照射される赤外線によって加熱して、熱膨張性カプセルを熱膨張させて射出成形体の表面に微細な凹凸を付与する加熱工程とを包含し、射出成形体は、赤外線照射装置の照射部に最も近い第1面と、第1面以外の面である第2面と、を有し、加熱工程において、第1面に赤外線を照射すると共に、第1面の外側にも赤外線が照射され、赤外線が照射される第1面の外側に反射治具の反射面を配置し、第1面の外側に照射された赤外線の少なくとも一部を、反射治具の反射面によって反射して、第2面の少なくとも一部に当て、第1面及び第2面に微細な凹凸を付与することを特徴とする、表面に微細な凹凸を有する成形品の製造方法とする。【選択図】図3

Description

本発明は、表面に微細な凹凸を有する成形品の製造方法に関する。詳しくは、ポリマー材料と複数の熱膨張性カプセルとが混合された成形材料の射出成形体を赤外線照射によって加熱して、熱膨張性カプセルを膨張させることにより、少なくとも表面の一部に微細な凹凸を形成する、成形品の製造方法に関する。
コンソールボックス、インストルメントパネル、カバー部材等の車両内装品や、建物内装品などの成形品には、意匠性が求められている。成形品の意匠性を向上させるべく、艶消しや布目調の外観の付与などを目的として、成形品の表面に微細な凹凸を付与することが行われている。
表面に微細な凹凸が付与された成形品の製造方法の一つとして、特許文献1には、ポリマー材料と複数の熱膨張性カプセルとが混合された成形材料を射出成形し、得られた射出成形体の表面に赤外線を照射して熱膨張性カプセルを膨張させ、これにより表面に微細な凹凸を付与する方法が開示されている。
国際公開第2013/150916号
しかしながら、上記特許文献1に記載されている技術では、射出成形体の2つ以上の面に凹凸を付与するためには、基本的に射出成形体に2回以上赤外線を照射する必要がある。そのため、生産効率に改善の余地がある。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、生産効率に優れる、表面に微細な凹凸を有する成形品の製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するべく創出された請求項1の発明は、表面に微細な凹凸を有する成形品の製造方法であって、当該製造方法は、ポリマー材料と複数の熱膨張性カプセルとが混合された成形材料の射出成形体を準備する準備工程と、前記射出成形体の表面を、赤外線照射装置から照射される赤外線によって加熱して、前記熱膨張性カプセルを熱膨張させて前記射出成形体の表面に微細な凹凸を付与する加熱工程と、を包含する。前記射出成形体は、前記赤外線照射装置の照射部に最も近い第1面と、前記第1面以外の面である第2面と、を有する。前記加熱工程において、前記第1面に赤外線を照射すると共に、前記第1面の外側にも赤外線が照射される。前記赤外線が照射される前記第1面の外側に反射治具の反射面を配置し、前記第1面の外側に照射された赤外線の少なくとも一部を、前記反射治具の反射面によって反射して、前記第2面の少なくとも一部に当て、前記第1面及び前記第2面に微細な凹凸を付与することを特徴とする。
このような構成によれば、反射治具による赤外線反射を利用して、1回の赤外線照射によって、ポリマー材料と複数の熱膨張性カプセルとが混合された成形材料の射出成形体の2つ以上の面を効率よく加熱することができる。よって、1回の赤外線照射によって、射出成形体の2つ以上の面において熱膨張性カプセルを膨張させて、表面に微細な凹凸を付与することができる。したがって、請求項1の発明によれば、表面に微細な凹凸が付与された成形品を、優れた生産効率で製造することができるという効果が得られる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1面の外側に照射される赤外線の強度が、前記第1面に照射される赤外線の強度よりも大きいという構成にしたものである。
第2面は、第1面よりも赤外線照射装置の照射部からの距離が遠いが、かかる構成によると、赤外線照射装置の照射部から第2面に照射される赤外線の強度を高めることができる。これにより、第1面に当たる赤外線の強度と第2面に当たる赤外線の強度とを、同程度にすることができ、第1面と第2面とに形成される微細な凹凸の形状(特に、微細な凹凸によって生じる模様)を同一にする、又は類似させることができる。したがって、請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、第1面に形成される微細な凹凸の形状と、第2面に形成される微細な凹凸の形状とを、均一化することが可能であるという効果が得られる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記赤外線照射装置の照射部からの赤外線の照射方向に垂直な面を基準面とし、前記基準面に対する前記第2面の角度をθとし、前記基準面に対する前記反射治具の反射面の角度をαとした場合に、角度θが、20°超180°未満の範囲にあり、角度αが、(90°-θ/2)±10°であるという構成にしたものである。
このような構成によれば、反射治具によって反射される赤外線を、第2面に略垂直に当てることができる。したがって、請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、第2面をより効率良く加熱することができるという効果が得られる。
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれか1項の発明において、前記反射治具の反射面の赤外線の反射率が、80%以上であるという構成にしたものである。
このような構成によれば、第1面の外側に照射される赤外線を、反射治具によってより効率よく第2面に当てることができる。したがって、請求項4の発明によれば、請求項1~3のいずれか1項の発明の効果に加えて、第2面をより効率良く加熱することができるという効果が得られる。
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれか1項の発明において、前記反射治具の少なくとも反射面の素材が、金、アルミニウム、銀、及び銅のうちのいずれか一つであるという構成にしたものである。
これらの素材は、入手が容易であり、かつ加工も容易であるため、このような構成によれば、反射治具の作製が容易となる。したがって、請求項5の発明によれば、請求項1~4のいずれか1項の発明の効果に加えて、製造方法が工業生産により適するという効果が得られる。
本発明の一実施形態において、射出成形体を準備するのに用いられる射出成形型を示す断面図である。 図1中のII-II線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係る製造方法の加熱工程の一例を示す斜視図である。 本発明の他の一実施形態に係る成形品の製造方法の加熱工程を示す模式図(正面図)である。 図4の左側の反射面とその近傍の拡大図である。 本発明の一実施形態の変形例(θ=30°、α=75°の場合)を示す模式図(正面図)である。 本発明の一実施形態の変形例(θ=120°、α=30°の場合)を示す模式図(正面図)である。 本発明の一実施形態の、多くの面に対して同時に微細な凹凸を付与する場合変形例を示す模式図(正面図)である。 本発明の一実施形態の、射出成形体を傾けて配置する場合の変形例を示す模式図(正面図)である。 本発明の一実施形態により得られる成形品の図2と同じ部分における断面図である。 実施例1で用いた射出成形体(赤外線照射前)の上面の写真である。 実施例1で用いた射出成形体(赤外線照射前)の側面の写真である。 実施例1で得られた成形品(赤外線照射後)の上面の写真である。 実施例1で得られた成形品(赤外線照射後)の側面の写真である。 比較例1で得られた成形品(赤外線照射後)の上面の写真である。 比較例1で得られた成形品(赤外線照射後)の側面の写真である。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書において言及している事項以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
本実施形態に係る表面に微細な凹凸を有する成形品の製造方法は、ポリマー材料と複数の熱膨張性カプセルとが混合された成形材料の射出成形体を準備する準備工程と、当該射出成形体の表面を、赤外線照射装置から照射される赤外線によって加熱して、当該熱膨張性カプセルを熱膨張させて当該射出成形体の表面に微細な凹凸を付与する加熱工程と、を包含する。ここで、当該射出成形体は、当該赤外線照射装置の照射部に最も近い第1面と、当該第1面以外の面である第2面と、を有する。当該加熱工程において、当該第1面に赤外線を照射すると共に、当該第1面の外側にも赤外線が照射される。また、当該赤外線が照射される当該第1面の外側に反射治具の反射面を配置し、当該第1面の外側に照射された赤外線の少なくとも一部を、当該反射治具の反射面によって反射して、当該第2面の少なくとも一部に当てる。これにより、成形品の当該第1面及び当該第2面に微細な凹凸を付与する。以下、各工程について詳細に説明する。
〔準備工程〕
準備工程では、ポリマー材料と複数の熱膨張性カプセルとが混合された成形材料の射出成形体を準備する。準備工程は、例えば、上記特許文献1に記載された方法など、公知方法に従って行うことができる。具体的に例えば、まずポリマー材料と複数の熱膨張性カプセルとが混合された成形材料を用意する。
成形材料に含まれるポリマー材料は、熱膨張性カプセルを分散させるマトリックス(母材)となるものである。ポリマー材料としては、従来から射出成形品に用いられる材料を特に限定なく使用することができる。例えば、各種の熱可塑性樹脂及び各種の熱可塑性エラストマーを使用することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン樹脂(ABS)等のスチレン系樹脂;塩化ビニル樹脂;等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系、オレフィン系、エステル系、ポリアミド系、塩化ビニル系、ウレタン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。ポリマー材料としては、熱可塑性エラストマーが好ましく用いられる。
成形材料に含まれる熱膨張性カプセルは、典型的には、加熱によって占有体積を増す内包物質(通常は、気体、固体、又は液体であって加熱によって気化(ガス化)するもの)を熱可塑性樹脂製の外殻内に封じ込めた粒子として構成されている。かかる熱膨張性カプセルの外殻を構成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル系共重合体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系(共)重合体、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、内包物質としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ブタン、イソブタン、イソペンタン等の低沸点炭化水素が挙げられる。また、空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン等の不活性ガス(一部又は全部が液化した状態であり得る)を内包物質とすることもできる。このような熱膨張性カプセルが加熱されると、熱膨張性カプセルの外殻を構成する熱可塑性樹脂が軟化し、且つ外殻の内部に収容された上記内包物質が体積膨張する(即ち、上記内包物質が膨張剤として機能する)ことによって、熱膨張性カプセルが熱膨張する。更に、外殻の一部又は全体が膨張の限度を超えて引き伸ばされることにより熱膨張性カプセルが破裂することもある。このようなカプセルの膨張や膨張後のカプセルの破裂によって射出成形品の表面に微細な凹凸が形成される。
熱膨張性カプセルの熱膨張前の形状は特に限定されない。例えば、略球形状、紡錘形状、不定形状、円筒状等の各種形態を取り得る。熱膨張性カプセルの分散性及び熱膨張後の装飾的効果の点から、熱膨張性カプセルは略球形状であることが好ましい。熱膨張前の熱膨張性カプセルの平均粒径は、凡そ15μm以上40μm以下である。また、熱膨張後の熱膨張性カプセルの平均粒径は、凡そ50μm以上である。
なお、上記平均粒径とは、熱膨張性カプセルの粒径の平均値である。かかる平均粒径は、光学顕微鏡や電子顕微鏡(例えば透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡)を用いた観察によって容易に求めることができる。例えば、射出成形品の断面の顕微鏡写真から予め定められた数(例えば40個程度)の熱膨張性カプセルを無作為にそれぞれ抽出し、各熱膨張性カプセルの粒径を測定する。ここで熱膨張性カプセルが球状である場合には、直径が粒径であり、非球状である場合には、熱膨張性カプセルの最長と最短の長さの算術平均を粒径とする。そして、測定された各熱膨張性カプセルの粒径の平均値を熱膨張性カプセルの平均粒径とする。熱膨張前の熱膨張性カプセルの平均粒径は、射出成形品の熱膨張性カプセルが熱膨張していない領域の断面写真から求めることができ、熱膨張後の熱膨張性カプセルの平均粒径は、射出成形品の熱膨張性カプセルが熱膨張している領域の断面写真から求めることができる。
好ましく用いられる熱膨張性カプセルの市販品(マスターバッチ化された状態で市販されているものを含む。)の例としては、積水化学工業株式会社製の商品名「アドバンセル(ADVANCELL)(登録商標)」、Akzo Nobel社製の商品名「エクスパンセル(EXPANCEL)(登録商標)マイクロスフィア」、松本油脂製薬株式会社製の商品名「マツモトマイクロスフェアー(登録商標)」、及び大日精化工業株式会社製の商品名「ダイフォーム(登録商標)」等が挙げられる。
熱膨張性カプセルの配合量は、成形材料の全量を100質量%としたときに、例えば、凡そ0.1質量%から10質量%であるが、特にこれに限定されない。
成形材料には、上記ポリマー材料及び熱膨張性カプセルの他に、必要に応じて種々の副成分を含有させることができる。そのような副成分の一例として、粉状及び/又は繊維状の固形充填材が挙げられる。かかる固形充填材の例としては、セラミック粉(タルク等の種々の無機化合物粉を包含する。以下同じ。)、カーボン粉(例えばカーボンブラック)、木粉、セラミックファイバー、カーボンファイバー等が挙げられる。充填材の配合量は、用いる充填材の種類及び射出成形品の用途に応じて異なり得る。典型的には、成形材料の全量を100質量%としたときに、1質量%から60質量%である。或いは、充填材を実質的に含有しない組成の成形材料であってもよい。成形材料には、上記固形充填材の他に、必要に応じ副成分として添加剤を含有させることができる。かかる添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、分散剤、抗菌剤、帯電防止剤等が挙げられる。
成形材料は、上記ポリマー材料、上記熱膨張性カプセル、及び必要に応じ上記副成分を、公知方法に従い混合することにより調製することができる。
次いで、調製した成形材料を、射出成形装置を用いて射出成形する。射出成形は、公知方法に従い行うことができ、その方法の一例を以下に示す。
図1は、以下例示する射出成形に使用される射出成形型の一例である、射出成形型10の模式断面図である。射出成形型10は、開閉可能な一対の型12,14を備えている。一対の型12,14は、固定式の固定型12と、可動式の可動型14とから構成され、型閉じによって内部に所定の成形キャビティ26が形成される。そして、射出成形型10の固定型12は、射出成形装置のインジェクションノズル(図示せず)を挿入するためのロケートリング16と、内部にスプルー18が形成されたスプルーブッシュ20とを有している。射出成形型10の固定型12と可動型14の内面(分割面)には、型を閉じたとき、大まかに、スプルー22、射出ゲート24、及び成形キャビティ26がそれぞれ形成される。
このような射出成形型10内に、加熱して溶融された成形材料30を射出して、成形材料30を所定形状の成形キャビティ26内に充填する。このとき、溶融された成形材料30が、スプルー18,22を通って射出ゲート24から成形キャビティ26内に進入し、成形キャビティ26内に充填される。
次に、充填した成形材料30を、成形キャビティ内で冷却固化して、射出成形体40を得ることができる。具体的には、例えば、図1に示すように、射出成形型10の成形キャビティ26内に充填された成形材料30を、ポリマー材料のガラス転移温度以下に冷却して、固化させる。
冷却固化させた後、図1に示す射出成形型10の可動型14を移動させて射出成形型10を開き、成形キャビティ26内に形成された射出成形体40を取り出す。これにより、射出成形体40を得ることができる。すなわち、射出成形体40を準備することができる。
図2に、図1のII-II方向に沿った断面を示す。図2において、ポリマー材料50中に、外殻62と、その内部に収容された内包物質64とを備える熱膨張性カプセル60が分散している。通常、成形材料30に含まれている熱膨張性カプセル60は、成形材料30の射出成形温度(一般的には150℃~250℃)よりも軟化温度(膨張開始温度:一般的には160℃~180℃)が低い。しかしながら熱膨張性カプセル60は、ほとんど熱膨張を起こしていない。それは、次の理由による。成形キャビティ26内に充填されている成形材料30には内部圧力が加わっている。したがって、もし冷却固化する前に可動型14を開くと、成形材料30に加わっていた圧力が解放されるため、成形材料30中の熱膨張性カプセル60が熱膨張してしまう。しかしながら、成形材料30に内部圧力が加わった状態で成形材料30を冷却固化することで、熱膨張性カプセル60の熱膨張が実質的に防止される。
〔加熱工程〕
加熱工程では、上記射出成形体の表面を、赤外線照射装置から照射される赤外線によって加熱して、上記熱膨張性カプセルを熱膨張させて上記射出成形体の表面に微細な凹凸を付与する。加熱工程の実施方法の一例を図3~5に示す。なお、図3は斜視図であり、図4は、ベルトコンベアの下流方向から見た図(本明細書では、これを正面図とする)である。
図3に示す例では、射出成形体40の下部に反射治具70が配置されて、これらがベルトコンベア80に載せられている。ベルトコンベア80の上方には、赤外線照射装置90が設置されている。
赤外線照射装置90は、赤外線の光源(例、赤外線ランプ、赤外線レーザー)が一列に並んだ照射部92を有しており、赤外線を線状に照射することができる。しかしながら、赤外線照射装置90の照射部92の構成はこれに限られない。例えば、赤外線照射装置90の照射部92は、面状に赤外線を照射可能なものであってもよい。
赤外線照射装置90から照射される赤外線は、近赤外線(すなわち、波長0.7μm以上2.5μm以下の赤外線)、中赤外線(すなわち、波長2.5μm超4.0μm以下の赤外線)、及び遠赤外線(すなわち、波長4.0μm超1000μm以下の赤外線)のいずれであってもよいが、短時間で射出成形体40の表面を加熱できることから、波長が短い方が好ましい。すなわち、赤外線としては、近赤外線が好ましい。
赤外線照射装置90の赤外線の照射量は、熱膨張性カプセル60を熱膨張可能な温度以上であって、射出成形体40が熱分解を起こさない温度未満に、射出成形体40の第1面42及び第2面44を加熱できるよう適宜選択される。赤外線照射装置90の赤外線の照射量は、赤外線照射装置90の設定、及び赤外線照射装置90の照射部92と、射出成形体との距離(特に、図面の上下方向における照射部92の位置)を調整することによって、制御することができる。
なお、図示例では、赤外線照射装置90の位置は、射出成形体40の上方から赤外線照射を行うために、ベルトコンベア80の上方に配置されている。しかしながら、赤外線照射装置90の配置はこれに限られず、射出成形体40の側方や下方などから赤外線照射を行うような赤外線照射装置90の配置も可能である。
射出成形体40は、図示例では、四角柱の対向する2つの側面が傾斜している台形柱形状を有している。図4に示すように、射出成形体40の上面42が、面全体で見た場合に、赤外線照射装置90の照射部92に最も近い第1面42である。射出成形体40の2つの傾斜した側面44が、第1面42以外の面である第2面44である。なお、射出成形体40の形状は、図示例のものに限られない。射出成形体40の形状は、2つ以上の面を有する限り任意である。また、図示例では、第1面及び第2面は、平面であるが、曲面であってもよい。
反射治具70は、射出成形体40が対置された平板部72と、射出成形体40の底面46の外側において、折れ曲がった一対の屈曲部74とを有している。屈曲部74の射出成形体40側の面74Aが、赤外線を反射可能な反射面として構成されている。
したがって、反射面74Aは、赤外線を反射可能な素材で構成されている。当該素材は、赤外線を反射可能である限り特に限定されないが、好ましくは、金、アルミニウム、銀、及び銅のうちのいずれか一つである。これらの素材は、入手が容易であり、かつ加工も容易であるため、このような構成によれば、反射治具70の作製が容易となる。
加熱工程の具体的な操作としては、まず、ベルトコンベア80に、反射治具70を載せ、射出成形体40を配置した後、ベルトコンベア80を稼働させ、射出成形体40を反射治具70と共に、図3の矢印の方向に移動させる。赤外線照射装置90は固定されており、射出成形体40が赤外線照射装置90の下方に来た際に、射出成形体40に赤外線を照射する。なお、図4におけるXは、赤外線の照射方向を示しており、図示例では、射出成形体40の第1面42に垂直である。
ここで、射出成形体40の第1面42は、赤外線照射装置90の照射部92に最も近く、一方で第2面44は傾斜しており、そのため第2面44は、面全体で見た場合に、第1面42よりも赤外線照射装置90の照射部92から遠い。よって、第2面44には、十分な量の赤外線が当たりにくい。反射治具70を使用しない場合、すなわち、従来技術においては、赤外線照射装置90によって第1面42と第2面44に赤外線照射を行うと、赤外線照射装置90の照射部92からの距離の違いによって、第1面42の温度と第2面44の温度とに差が生じる。そのため、第1面及び第2面の表面に凹凸を付与するために、第1面42の熱膨張性カプセル及び第2面44の熱膨張性カプセルを同時に膨張させることが困難である。その結果、従来技術において、第1面42の熱膨張性カプセル及び第2面44の熱膨張性カプセルを膨張させるためには、第1面42に対する赤外線照射と、第2面44に対する赤外線照射とを別々に行う必要があり、これが工程数の増加を招き、生産効率において不利となる。
しかしながら、本実施形態においては、反射治具70が用いられている。具体的には、赤外線が照射される射出成形体40の第1面42の外側に反射治具70の反射面74Aが配置されている。そこで、加熱工程においては、第1面42に赤外線を照射すると共に、第1面42の外側にも赤外線を照射する。そして、第1面42の外側に照射された赤外線の少なくとも一部を、反射治具70の反射面74Aによって反射して、第2面44の少なくとも一部に当てる。これにより、第1面42のみならず第2面44を、熱膨張性カプセルを膨張できる温度まで加熱することができる。このようにして、本実施形態では、加熱工程において、2つ以上の面において(図示例では、第1面42及び2つの第2面44において)、熱膨張性カプセルを膨張させ、表面に微細な凹凸を付与する。
このように、反射治具70による赤外線反射を利用して、1回の赤外線照射によって、2つ以上の面を効率良く加熱することができるため、本実施形態に係る成形品の製造方法によれば、表面に微細な凹凸が付与された成形品を、優れた生産効率で製造することができるという効果が得られる。
ここで、反射治具70の反射面74Aの赤外線の反射率が高い方が、第1面の外側に照射される赤外線を、反射治具によってより効率よく第2面に当てることができる。そのため、反射治具70の反射面74Aの赤外線の反射率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは80%以上である。このような反射率によれば、射出成形体40の第2面44をより効率良く加熱することができるという効果が得られる。
図5に、図4において左側の反射面74Aとその近傍の拡大図を示す。図5に示すように、赤外線照射装置90の照射部92からの赤外線の照射方向Xに垂直な面を基準面Sとする。基準面Sに対する射出成形体40の第2面44の角度をθとする(なお、角度θは、射出成形体40側の角度である)。基準面Sに対する反射治具70の反射面74Aの角度をαとする(なお、角度αは、射出成形体40から遠い側の角度である)。本実施形態において、角度α及び角度θは、反射面74Aによって赤外線を第2面44に反射できる限り特に限定されない。ここで、角度αが、(90°-θ/2)である場合には、赤外線照射装置90の照射部92からの赤外線を、第2面44に垂直に当てることができる。
ここで、θが20°以下の場合は、第2面44が水平に近く、赤外線照射装置90の照射部92からの赤外線が直接当たり易い。また、第2面44に、赤外線を反射させるためには、基準面Sと反射面74Aとの角度αが、垂直に近くなる。また、射出成形体40について、角度θが0°及び180°となる場合はない。
そこで、射出成形体40の第2面44を効率よく加熱する観点から、角度θが20°超180°未満の範囲内にあり、かつ角度αを(90°-θ/2)±10°の範囲内にあることが好ましく、(90°-θ/2)±5°の範囲内にあることがより好ましく、(90°-θ/2)±3°の範囲内にあることがさらに好ましい。
なお、第2面44が曲面である場合には、第2面44の上端と下端とを結ぶ面(あるいは断面において第2面44の上端と下端とを結ぶ線)と、基準面Sとの角度をθとして、(90°-θ/2)に基づいて角度αを決定してよい。
本実施形態の変形例として、角度θが30°である場合の例を図6に、角度θが120°である場合の例を図7に示す。図6において角度αは、式:(90°-θ/2)に従い、75°である。角度θが小さい場合には、反射治具70の屈曲部74の伸長方向(反射治具70の曲げ線に垂直な方向)の寸法(すなわち、当該方向における反射面74Aの寸法)を大きくすべきことがわかる。このように、射出成形体40の角度θに応じて、反射治具70の反射面74Aの寸法を適宜調整することで、赤外線を反射治具70の反射面74Aによって反射して、第2面44に当てることができる。なお、角度θが鋭角である場合には、通常、赤外線照射装置90からの赤外線と、反射面74Aによって反射された赤外線とによって、第2面44が加熱される。
図7において角度αは、式:(90°-θ/2)に従い、30°である。図7から、角度θは鈍角であってもよいことがわかる。また、図示するように、射出成形体40を台110に載せることによって、第2面44の全面に、反射面74Aによって反射された赤外線を当てることが可能である。なお、角度θが鈍角又は直角である場合には、通常、第2面44にあたる赤外線は、すべて反射治具70の反射面74Aによって反射されたものとなる。
上述のように、第2面44は、第1面42よりも赤外線照射装置90の照射部92から遠く、第2面44には、十分な量の赤外線が当たり難い。そこで、赤外線照射装置90の照射部92から第1面42の外側に照射される赤外線の強度を、第1面42に照射される赤外線の強度よりも大きくしてもよい。このとき、第2面に当たる赤外線の強度を高めることができる。その結果、第1面に当たる赤外線の強度と第2面に当たる赤外線の強度とを、同程度にすることが容易にでき、第1面と第2面とに形成される微細な凹凸の形状(特に、微細な凹凸によって生じる模様)を同一にする、又は類似させることが容易となる。すなわち、第1面に形成される微細な凹凸の形状と、第2面に形成される微細な凹凸の形状とを、均一化することが可能であるという効果が得られる。また、第1面42の外側に照射される赤外線の強度を変化させることで、第2面に当たる赤外線の強度の調節が容易となり、反射治具70の反射面74Aの設計の自由度を広げることができる。
なお、以上説明した例では、反射治具70の反射面74Aは一つの平面であるが、これに限られない。例えば、反射面74Aは、2つ以上の平面が結合して形成された面であってもよい。また、例えば、反射面74Aは、第2面へ反射する赤外線量を増大させるために、凹面であってもよい。
また、以上説明した例では、反射治具70は、平板部72と、折れ曲がった一対の屈曲部74とを有する単一部材である。しかしながら、反射治具70の形態はこれに限られない。例えば、反射治具70は、2つの独立した反射板から構成されており、これらの反射板が、射出成形体40の一対の第2面44のそれぞれの側方に配置されていてもよい。具体的に例えば、図3において、ベルトコンベア80の流れ方向に垂直な方向の両端部に、一対の反射板を配置してもよい。また、反射治具70の上に、射出成形体40が配置されていなくてもよい。
なお、以上説明した例では、第1面42と一対の第2面44の合計3つの面に対して、同時に微細な凹凸を付与している。しかしながら、微細な凹凸が付与される面は、2つ以上である限り、これに限られない。例えば、第1面42と、一対の第2面44の一方とに対して同時に微細な凹凸を付与してもよい。
多くの面に対して同時に微細な凹凸を付与する場合の変形例を図8に示す。図8に示す例では、射出成形体40は、第1面42と、2つの第2面である第2面44A及び第2の第2面44Bをさらに有している。これに応じて、反射治具70は、第1反射面74A及び第2反射面74Bを有している。図8から、第1反射面74Aによって、第2面44Aに反射した赤外線を当て、第2反射面74Bによって、第2面44Bに反射した赤外線を当てることが可能であることがわかる。このように、反射治具の反射面の数を増やすことによって、多くの面に対して同時に微細な凹凸を付与することが可能である。
特に、図8では、赤外線の照射方向Xに垂直な2つの基準面をそれぞれ基準面S1、基準面S2、基準面S1と第2面44Aとの角度をθ1、基準面S1と第1反射面74Aとの角度をα1、基準面S2と第2面44Bとの角度をθ2、基準面S2と第2反射面74Bとの角度をα2としている。図8では、θ1=60°、α1=60°、θ2=120°、α2=30°である。角度α1及び角度α2はそれぞれ、式:{90°-(θ1)/2}、式:{90°-(θ2)/2}に従っている。そして、θ2が鈍角であることから、射出成形体40は台110に載せられている。このような構成によれば、反射した赤外線を効率よく、第2面44A及び第2の第2面44Bに当てることができる。
なお、上記で示した例では、第1面42はすべて、赤外線照射装置から照射される赤外線の照射方向に垂直(すなわち、水平)であるが、第1面42は水平から傾いていてもよい。また、射出成形体40は、傾けて配置してもよい。射出成形体40を傾けて配置することは、射出成形体40の第1面42(上面)と、これと対向する面46(底面)とが平行でない場合に有効である。
射出成形体40を傾けて配置する場合の変形例を図9に示す。図9に示す例では、射出成形体40の第1面42(上面)と、底面46とは平行ではない。射出成形体40の底面46の下には、台110が設置されている。そのため、射出成形体40の第1面42は、水平に近づいている。このように射出成形体40の第1面42が、水平に近くなることによって、第1面42全体において、熱膨張性カプセルを均一に膨張させやすくなる。特に、赤外線照射装置90からから照射される赤外線の照射方向に垂直な面と、第1面42との角度を、10°以下にすることが好ましい。
加えて、このように台110等を利用して射出成形体40を傾けることによって、上記基準面Sと第2面44との角度θを調整することができ、第2面44の加熱を効率よく行うことも可能である。
なお、上記において、第1面42及び第2面44共に、全面に赤外線を当てている。第1面42及び第2面44に凹凸を付与すべきでない領域がある場合には、その領域の上に遮熱材等を配置することによって、その領域に凹凸が付与されないようにすることができる。
なお、上記では、赤外線照射装置90を固定し、ベルトコンベア80によって、射出成形体40を移動させているが、本実施形態は、この態様に限られない。射出成形体40を固定して、赤外線照射装置90を移動させる態様、ならびに射出成形体40及び赤外線照射装置90の両方を移動させる態様も可能である。
なお、赤外線が赤外レーザー光である場合には、レーザー光は、直進性の高い光であるため、射出成形体40の第1面42に当たる光、及び第2面44に当たる光のそれぞれを、均質化することができる。よって、第1面42及び第2面44に形成される微細な凹凸の品質をそれぞれ高くすることができる。
なお、本実施形態においては、1回の赤外線照射によって、2つ以上の面に微細な凹凸を形成可能なものであるが、赤外線照射を2回以上行ってもよい。赤外線照射を2回以上行う場合、第1面42及び第2面44の少なくともいずれかに赤外線を照射してもよいし、第1面42及び第2面44以外の面に照射してもよい。
以上のようにして、表面に微細な凹凸を有する成形品を得ることができる。図10に、図2に対応する成形品の一例の断面図を示す。
図10に示すように、成形品100において、ポリマー材料50中に、外殻62と、その内部に収容された内包物質64とを備える熱膨張性カプセル60が分散している。図10において成形品100の上側の面(すなわち、上面)が、赤外線が当たる面である。上面側の表層部102の方が、赤外線によって温度が上昇しやすい。そのため、表層部102においては、内包物質64が体積膨張して外殻62が引き延ばされて、熱膨張性カプセル60が膨張している。熱膨張性カプセル60の膨張によって、上面に微細な凹凸が付与されている。
一方、表層部よりも下の部分(下層部)104においては、温度が熱膨張性カプセル60を膨張させるのに十分な温度に上昇していない。よって、熱膨張性カプセル60がほとんど膨張を起こしていない。
表層部102においては、熱膨張性カプセル60の平均粒径は、50μm以上(例えば凡そ50μm以上150μm以下)であり得る。下層部104では、熱膨張性カプセル60の平均粒径は、50μm以下であり得る。このような平均粒径範囲によれば、表層部102では良好な凹凸が形成されると共に、表層部102よりも下側の部分では密度の低下が抑制され、成形品100の剛性を確保することができる。
なお、上記は一例であり、成形品100に含まれる熱膨張性カプセル60のすべてが膨張していてもよい。また、成形品100には、熱膨張性カプセル60が膨張し過ぎて破裂したものが存在していてもよい。なお、熱膨張性カプセル60が破裂した場合には、その熱膨張性カプセル60の破裂した外殻62に対応する凹部が形成される。
成形品100は、表面に微細な凹凸が付与されることによって、布目調の外観を呈し得る。成形品100は、射出成形による成形品が使用される種々の用途に使用可能であり、好適な用途としては、コンソールボックス、インストルメントパネル、カバー部材等の車両内装品や、建物内装品などが挙げられる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
実施例1
ポリマー材料としてのスチレン系熱可塑性エラストマー「アクティマー」(リケンテクノス社製)と、熱膨張性マイクロカプセル「ADVANCELL」(積水化学工業社製)とを混合した成形材料を用意した。この成形材料を、射出成形機によって成形し、射出成形体を得た。
一対の対向する端部を折り曲げたアルミニウム製の反射治具を用意した。ベルトコンベアに、この反射治具を載せ、さらのその上に射出成形体を載せた。射出成形体の前方かつ上方に、近赤外線照射装置「HYW30-MR」(ハイベック社製)を設置した。なお、射出成形体が近赤外線照射装置の直下に来た場合の、射出成形体の上面と近赤外線照射装置との距離は40mm、射出成形体の側面の下端と近赤外線照射装置との距離は76mmであった。
ベルトコンベアを40mm/秒の移動速度で稼働させ、近赤外線照射装置によって、射出成形体に近赤外線を照射した。すなわち、図3に示すような形態で近赤外線の照射を行った。このとき、射出成形体の上面と、射出成形体の上面の外側に赤外線を照射し、上面の外側に照射された赤外線の一部が、反射治具の反射面によって、射出成形体の一対の対向する側面に当たるようにした。また、近赤外線照射装置において、射出成形体の上面に向けての赤外線の照射出力と、上面の外側に向けての赤外線の照射出力との比を3:7とした。射出成形体の上面及び側面の温度を測定したところ、共に143℃であり、射出成形体の上面及び側面が同程度に加熱されていることが確認できた。赤外線照射後の射出成形体の上面及び側面には、微細な凹凸が形成されていることが目視で確認できた。以上のようにして、上面及び側面に微細な凹凸が形成された実施例1の成形品を得た。
参考として、赤外線照射前の射出成形体の上面及び側面ならびに成形品(赤外線照射後の射出成形体)の上面及び側面の写真をそれぞれ、図11~14に示す。赤外線照射前の射出成形体を示す図11(上面)及び図12(側面)では、射出成形体の表面は、凹凸がないために平滑であり、表面に艶が見られる。しかしながら、成形品(赤外線照射後の射出成形体)を示す図13(上面)及び図14(側面)では、射出成形体の表面に凹凸が付与されて、表面が艶消しされた状態になっているのが観察できる。
比較例1
実施例1と同じ射出成形体を用意した。反射治具を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、射出成形体への赤外線照射を行った。その結果、赤外線照射後の射出成形体の上面には、微細な凹凸が形成されているが、側面には微細な凹凸が形成されていないことが目視で確認できた。参考として、赤外線照射後の射出成形体の上面及び側面の写真を図15及び16に示す。図15より、赤外線照射後の射出成形体の上面に凹凸が付与されていることがわかる。しかしながら、図16より、赤外線照射後の射出成形体の側面は、凹凸が付与されておらず、赤外線照射前と変化がないことがわかる。
以上の結果より、ここに開示される製造方法によれば、1回の赤外線照射によって、射出成形体の2つ以上の面に微細な凹凸を付与することができ、生産効率に優れることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 射出成形型
12 固定型
14 可動型
16 ロケートリング
18 スプルー
20 スプルーブッシュ
22 スプルー
24 射出ゲート
26 成形キャビティ
30 成形材料
40 射出成形体
42 第1面
44 第2面
50 ポリマー材料
60 熱膨張性カプセル
62 外殻
64 内包物質
70 反射治具
74 屈曲部
74A 反射面
80 ベルトコンベア
90 赤外線照射装置
92 照射部
100 成形品
110 台

Claims (5)

  1. ポリマー材料と複数の熱膨張性カプセルとが混合された成形材料の射出成形体を準備する準備工程と、
    前記射出成形体の表面を、赤外線照射装置から照射される赤外線によって加熱して、前記熱膨張性カプセルを熱膨張させて前記射出成形体の表面に微細な凹凸を付与する加熱工程と、
    を包含する、表面に微細な凹凸を有する成形品の製造方法であって、
    前記射出成形体は、前記赤外線照射装置の照射部に最も近い第1面と、前記第1面以外の面である第2面と、を有し、
    前記加熱工程において、前記第1面に赤外線を照射すると共に、前記第1面の外側にも赤外線が照射され、
    前記赤外線が照射される前記第1面の外側に反射治具の反射面を配置し、前記第1面の外側に照射された赤外線の少なくとも一部を、前記反射治具の反射面によって反射して、前記第2面の少なくとも一部に当て、
    前記第1面及び前記第2面に微細な凹凸を付与することを特徴とする、成形品の製造方法。
  2. 前記第1面の外側に照射される赤外線の強度が、前記第1面に照射される赤外線の強度よりも大きい、請求項1に記載の成形品の製造方法。
  3. 前記赤外線照射装置の照射部からの赤外線の照射方向に垂直な面を基準面とし、前記基準面に対する前記第2面の角度をθとし、前記基準面に対する前記反射治具の反射面の角度をαとした場合に、角度θが、20°超180°未満の範囲にあり、角度αが、(90°-θ/2)±10°である、請求項1又は2に記載の成形品の製造方法。
  4. 前記反射治具の反射面の赤外線の反射率が、80%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
  5. 前記反射治具の少なくとも反射面の素材が、金、アルミニウム、銀、及び銅のうちのいずれか一つである、請求項1~4のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
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