JP2023049853A - 生体情報検出装置 - Google Patents

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Nobuhiro Maruko
光伸 吉田
Mitsunobu Yoshida
哲史 大塚
Tetsuji Otsuka
勝敏 尾崎
Katsutoshi Ozaki
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Abstract

Figure 2023049853000001
【課題】本発明は、上記事情に鑑み、人体以外の外部からの振動を検出し得る状況において、精度よく生体情報を検出できる生体情報検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】所定の場所に設置された支持体に設けられ、かつ前記支持体に支持された人体から受ける圧力を検知する圧電基材である第1の圧電基材と、前記支持体に設けられ、前記支持体の振動を検知する圧電基材である第2の圧電基材と、プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、各々の前記圧電基材から検出された出力信号に基づいて生体情報を検出する生体情報検出装置。
【選択図】図5

Description

本発明は、生体情報検出装置に関する。
近年、車両を運転する運転者の状態を検出するために、車両のシートにセンサを設置し、当該シートから運転者の生体情報を検出する装置が開示されている。
特開2016-146953号公報
特許文献1に記載の技術では、人体から圧力を受ける受圧面に溝を有するカバークッションと、カバークッションを介して人体からの圧力を受けることによって生体情報を検出する圧電フィルムセンサと、を備える生体情報検出装置について開示されている。特許文献1に記載の技術は、カバークッションに溝を設けることによって、精度よく生体情報を検出することを特徴としている。
しかしながら、特許文献1に記載の生体情報検出装置は、車両等の移動体に設置されているシートに圧電フィルムセンサが設置されているため、移動体による振動を検出することがある。また、特許文献1に記載の生体情報検出装置は、外部からの振動が考慮されておらず、近隣を走行する移動体等による振動を検出することがある。すなわち、特許文献1に記載の生体情報検出装置は、人体以外の外部からの振動を検出し得る状況において、必ずしも精度よく生体情報を検出できるとは限らなかった。
本発明は、上記事情に鑑み、人体以外の外部からの振動を検出し得る状況において、精度よく生体情報を検出できる生体情報検出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 所定の場所に設置された支持体に設けられ、かつ前記支持体に支持された人体から受ける圧力を検知する圧電基材である第1の圧電基材と、
前記支持体に設けられ、前記支持体の振動を検知する圧電基材である第2の圧電基材と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、各々の前記圧電基材から検出された出力信号に基づいて生体情報を検出する生体情報検出装置。
<2> 前記支持体は、所定の場所として、移動体に固定され、
前記第2の圧電基材は、前記移動体による前記支持体の振動を検知する
<1>に記載の生体情報検出装置。
<3> 前記第1の圧電基材、及び前記第2の圧電基材は、同一種類の圧電基材であって、
前記プロセッサは、
前記第1の圧電基材から検出した出力信号と、前記第2の圧電基材から検出した出力信号と、の差動信号に基づいて生体信号を検出する
<1>又は<2>に記載の生体情報検出装置。
<4> 前記プロセッサは、
前記第1の圧電基材から検出した出力信号のFFTの解析値における第1のピーク値と、前記第2の圧電基材から検出した出力信号の解析値における前記第1のピーク値に対応する第2のピーク値と、の比が所定条件を満たす周波数のデータを前記生体情報として特定する
<1>から<3>の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
<5> 前記所定条件は、
前記第1のピーク値に対する前記第2のピーク値の比が0.5以下となる場合である
<4>に記載の生体情報検出装置。
<6> 前記第1の圧電基材は、
前記支持体において、前記人体から圧力を受ける受圧面に沿って設けられている
<1>から<5>の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
<7> 前記第2の圧電基材は、
前記支持体において、前記受圧面に沿って設けられ、かつ前記第1の圧電基材よりも前記人体から離れた箇所に設置される
<6>に記載の生体情報検出装置。
<8> 前記圧電基材は、
長尺状の導体と、
前記導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の圧電体と、
を備える<1>から<7>の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
<9> 前記圧電体は、
圧電定数d14を有する有機圧電材料を含む長尺状有機圧電体である
<8>に記載の生体情報検出装置。
<10> 前記有機圧電材料は、
光学活性ポリペプチドからなる繊維を示す光学活性ポリペプチド繊維を含む
<9>に記載の生体情報検出装置。
<11> 前記圧電体は、
光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)である
<8>から<10>の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
<12> 前記ヘリカルキラル高分子(A)は、
ポリ乳酸である
<11>に記載の生体情報検出装置。
本発明によれば、人体以外の外部からの振動を検出し得る状況において、精度よく生体情報を検出できる生体情報検出装置が提供される。
第1実施形態に係る生体情報検出装置の一例を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る生体情報検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 各実施形態に係る支持体の一例を示す概略構成図である。 各実施形態に係る圧電基材の配置の説明に供する支持体の一例を示す断面図である。 第1実施形態に係る生体情報検出装置の機能構成の一例を示すブロック図である。 第1実施形態に係る差動信号のFFT(Fast Fourier Transform)解析の測定結果の一例を示すグラフである。 各実施形態に係る第1圧電センサの一態様を示す正面図である。 各実施形態に係る図7のV1-V1線断面図である。 各実施形態に係る第1圧電センサの他の態様を示す正面図である。 各実施形態に係る第1圧電センサのさらに他の態様を示す正面図である。 第2実施形態に係る生体情報検出装置の一例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る生体情報検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 第2実施形態に係る生体情報検出装置の機能構成の一例を示すブロック図である。 第2実施形態に係る差動信号のFFT解析の測定結果の一例を示すグラフである。 実施例1に係る圧電センサを配置したシートクッションを示す図である。 実施例1に係る圧電センサから検出した電圧信号の一例を示すグラフである。 比較例1及び比較例2に係る圧電センサから検出した電圧信号の一例を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本開示に係る生体情報検出装置の実施形態について説明する。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
[第1実施形態]
〔生体情報検出装置〕
図1を参照して、本開示の実施形態に係る生体情報検出装置50について説明する。図1は、本開示の実施形態に係る生体情報検出装置50の概略構成図である。
生体情報検出装置50は、図1に示すように、第1圧電センサ10Aと、第2圧電センサ10Bと、第1同軸ケーブル20Aと、第2同軸ケーブル20Bと、計装アンプ30と、情報処理ユニット40とを備える。第1圧電センサ10Aは、第1同軸ケーブル20Aを介して、計装アンプ30と電気的に接続されている。第2圧電センサ10Bは、第2同軸ケーブル20Bを介して、計装アンプ30と電気的に接続されている。計装アンプ30は、情報処理ユニット40と電気的に接続されている。ここで、第1圧電センサ10Aは、「第1の圧電基材」の一例であり、第2圧電センサ10Bは、「第2の圧電基材」の一例である。
第1圧電センサ10Aは、第1内部導体11Aと、第1圧電体12Aと、第1外部導体13Aとを有する。第1圧電体12Aは、第1内部導体11Aと第1外部導体13Aとの間に位置する。第1内部導体11Aと第1外部導体13Aとは物理的に接触していない。第1圧電センサ10Aの構成の詳細については、図7~図10を参照して後述する。
第1圧電センサ10Aは、外力Fが第1圧電体12Aに作用すると、外力Fによる第1圧電体12Aの変位によって、第1内部導体11Aと第1外部導体13Aとの間に、第1電圧を発生させる。第1電圧は、第1外部導体13Aに対する第1内部導体11Aの電位差を示す。
外力Fは、引張、加圧及び屈曲を含む。第1圧電体12Aの変位は、外力Fに応じた第1圧電体12Aの復帰可能な変形(以下、「非塑性変形」という。)を含む。第1圧電体12Aの非塑性変形は、第1圧電体12Aの部分的又は全体的な伸長、及び圧縮を含む。
第2圧電センサ10Bは、第2内部導体11Bと、第2圧電体12Bと、第2外部導体13Bとを有する。第2圧電体12Bは、第2内部導体11Bと第2外部導体13Bとの間に位置する。第2内部導体11Bと第2外部導体13Bとは物理的に接触していない。第2圧電センサ10Bの構成の詳細については、後述する。
第2圧電センサ10Bは、外力Fが第2圧電体12Bに作用すると、外力Fによる第2圧電体12Bの変位によって、第2内部導体11Bと第2外部導体13Bとの間に、第2電圧を発生させる。第2電圧は、第2外部導体13Bに対する第2内部導体11Bの電位差を示す。第2電圧は、第1電圧とは電圧の正負が同一である。
第2圧電体12Bの変位は、外力Fに応じた第2圧電体12Bの非塑性変形を含む。第2圧電体12Bの非塑性変形は、第2圧電体12Bの部分的又は全体的な伸長、及び圧縮を含む。
本実施形態では、第1内部導体11A及び第2内部導体11Bの各々は、方向D1に向けて延在している。つまり、第1内部導体11Aと、第2内部導体11Bとは略平行である。換言すると、第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bは、略平行に配置されている。
略平行とは、第1圧電センサ10Aと第2圧電センサ10Bとが一見して平行にみなせる関係である。具体的に、略平行とは、第1圧電センサ10Aと第2圧電センサ10Bとのなす角度が10度未満である。
第1同軸ケーブル20Aは、第1導線21Aと、第1絶縁層22Aと、第1導体層23Aとを有する。第1導線21Aは、第1圧電センサ10Aの第1内部導体11Aと計装アンプ30の第1差動入力端子VIN とを電気的に接続する。第1絶縁層22Aは、第1導線21Aを覆う。つまり、第1導線21Aと第1導体層23Aとは物理的に接触していない。第1導体層23Aは、第1圧電センサ10Aの第1外部導体13Aと、計装アンプ30の基準端子Vrefとを電気的に接続する。第1導体層23Aは、第1絶縁層22Aを覆う。
第1導線21Aの材質としては、銅等が挙げられる。第1絶縁層22Aの材料は、電気的絶縁性を有する材料であればよく、例えば、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモルファスポリオレフィン樹脂、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。第1導体層23Aの材質は、例えば、銅、アルミニウム等が挙げられる。第1導体層23Aは、編組線であってもよい。第1導体層23Aは、保護被膜で覆われていてもよい。保護被膜の材質としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等が挙げられる。
第2同軸ケーブル20Bは、第2導線21Bと、第2絶縁層22Bと、第2導体層23Bとを有する。第2導線21Bは、第2圧電センサ10Bの第2内部導体11Bと計装アンプ30の第2差動入力端子VIN とを電気的に接続する。第2絶縁層22Bは、第2導線21Bを覆う。つまり、第2導線21Bと第2導体層23Bとは物理的に接続していない。第2導体層23Bは、第2圧電センサ10Bの第2外部導体13Bと、計装アンプ30の基準端子Vrefとを電気的に接続する。第2導体層23Bは、第2絶縁層22Bを覆う。
第2導線21Bの材質としては、第1導線21Bの材質として例示した材質と同一の材質が挙げられる。第2絶縁層22Bの材料としては、第1絶縁層22Aの材質として例示した材質と同一の材質が挙げられる。第2導体層23Bの材質は、第1導体層23Aの材質として例示した材質と同一の材質が挙げられる。第2導体層23Bは、保護被膜で覆われていてもよい。第2同軸ケーブル20Bの構成は、第1同軸ケーブル20Aと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
計装アンプ30は、入力される第1電圧及び第2電圧の電位差を増幅し、得られる差動電圧をシングル出力する。計装アンプ30は、第1差動入力端子VIN と、第2差動入力端子VIN と、基準端子Vrefと、出力端子Voutとを有する。第1差動入力端子VIN は、一方の差動入力端子の一例である。第2差動入力端子VIN は、他方の差動入力端子の一例である。
情報処理ユニット40は、計装アンプ30から出力された差動電圧をデジタル信号に変換し、データ処理を行う。データ処理は、差動電圧の表示、外力Fの検知、差動電圧の記録等を含む。情報処理ユニット40の詳細については、図2を参照して後述する。
本実施形態では、第1内部導体11Aと、第2内部導体11Bとは略平行であるが、本発明はこれに限定されず、第1内部導体11Aと、第2内部導体11Bとは略平行でなくてもよい。
図2を参照して、本実施形態に係る生体情報検出装置50のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係る生体情報検出装置50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
一例として図2に示すように、生体情報検出装置50は、第1圧電センサ10A、第2圧電センサ10B、計装アンプ30、及び情報処理ユニット40を備えている。第1圧電センサ10A、第2圧電センサ10B、計装アンプ30、及び情報処理ユニット40は、電気的に接続されている。
第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bは、圧力が入力されることによって電圧を発生するセンサである。第1圧電センサ10Aは、人体から受けた圧力及び第1圧電センサ10Aが設けられた支持体の振動を検知し、第2圧電センサ10Bは、第2圧電センサ10Bが設けられた支持体の振動を検知する。
計装アンプ30は、第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bの各々から入力される信号の電位差を増幅して得られた差動電圧である差動信号を出力する。
情報処理ユニット40は、処理用PC41、及びAD変換器42を備えている。処理用PC41は、CPU(Central Processing Unit)41A、ROM(Read Only Memory)41B、RAM(Random Access Memory)41C、ストレージ41D、通信I/F(Inter Face)41E、モニタ41F、及び入出力I/F41Gを含んで構成されている。CPU41A、ROM41B、RAM41C、ストレージ41D、通信I/F41E、モニタ41F、及び入出力I/F41Gは、バス41Hを介して相互に通信可能に接続されている。
CPU41Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU41Aは、ROM41B又はストレージ41Dからプログラムを読み出し、RAM41Cを作業領域としてプログラムを実行する。本実施形態では、ストレージ41Dに各種処理を実行するための実行プログラムが記憶されている。CPU41Aは、実行プログラムを実行することで、図5に示す検知部71A、変換部72A、特定部73A、検出部74A、及び出力部75Aとして機能する。
ROM41Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。RAM41Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。記憶部としてのストレージ41Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを記憶している。
通信I/F41Eは、外部の装置と通信するためのインタフェースであり、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。モニタ41Fは、検出した生体情報を表示するための液晶モニタである。入出力I/F41Gは、生体情報検出装置50を構成する各装置と通信するためのインタフェースである。
AD変換器42は、計装アンプ30から出力されたアナログ信号である差動電圧をデジタル信号に変換する。
〔支持体〕
次に、図3を参照して、第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bが設置された支持体について説明する。本実施形態に係る支持体は、車両等の移動体に設置される移動体用シート60である形態について説明する。しかし、これに限定されない。支持体は、所定の場所に設置され、人体を支持する支持体であれば、如何なる支持体であってもよい。例えば、椅子、机、ベッド、ベッドパット、及びソファー等の支持体であってもよい。
移動体用シート60は、移動体としての車両において、乗員が着座した場合に車両前方を向く方向で設けられている。そのため、シート幅方向は車両幅方向と一致し、シート奥行き方向は車両前後方向と一致し、シート高さ方向は車両上下方向に一致する。なお、以下、シート方向を単に幅方向とし、シート奥行き方向を単に奥行き方向とし、シート高さ方向を単に高さ方向として説明する。
一例として図3に示すように、本実施形態に係る移動体用シート60は、シートクッション61、シートバック62、第1圧電センサ10A、及び第2圧電センサ10Bを備えている。シートクッション61及びシートバック62は、車両の乗員が着座し、かつ接触することによって加圧されるものである。ここで、シートクッション61及びシートバック62は、人体を支持する「支持体」の一例である。なお、本実施形態では、シートクッション61に第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bが設けられている形態について説明する。しかし、これに限定されない。シートバック62に第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bが設けられていてもよいし、図示しないアームレストに第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bが設けられてもよい。
一例として図4に示すように、シートクッション61は、それぞれ図示しないフレームと、当該フレームに設けられたウレタン、スポンジゴム等の弾性体63と、当該弾性体63の表面を覆う表皮64と、を含んで構成されている。
第1圧電センサ10A、及び第2圧電センサ10Bは、シートクッション61を構成する弾性体63に載置され、シートクッション61に着座している乗員の生体情報及びシートクッション61の振動を検知可能としている。具体的には、第1圧電センサ10Aは、シートクッション61の上方側の表皮64の直下であって、弾性体63の上部に挟まれるように載置される。換言すると、第1圧電センサ10Aは、人体から圧力Pを受ける受圧面に沿って配置されている。これにより、第1圧電センサ10Aは、主にシートクッション61の表面から受ける乗員の人体の圧力Pを検知可能としている。なお、第1圧電センサ10Aは、人体による圧力Pを検知すると共に、車両及び外部からの振動等によるシートクッション61の振動も検知可能としている。
また、第2圧電センサ10Bは、シートクッション61の下方側の表皮64の直上であって、弾性体63の下部に挟まれるように載置される。第2圧電センサ10Bは、受圧面に沿って設けられ、かつ第1圧電センサ10Aが載置された箇所と比較して、人体の圧力Pを受ける受圧面から離れた箇所に設けられる。第2圧電センサ10Bは、人体から離れた場所に設けられることにより、シートクッション61の表面から受ける乗員の人体の圧力Pの影響を抑制しつつ、シートクッション61の振動を検知可能としている。なお、第1圧電センサ10A、及び第2圧電センサ10Bは、弾性体63に切込みを設け、当該切込みに載置されてもよい。
第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bは、シートクッション61の幅方向に設けられ、略平行に設けられる。なお、本実施形態では、第2圧電センサ10Bは、シートクッション61の下部に載置され、第1圧電センサ10Aと略平行に設けられる形態について説明した。しかし、これに限定されない。第2圧電センサ10Bは、シートクッション61に設けられ、人体の圧力Pの影響を受けにくい箇所であれば、如何なる箇所に設けられていてもよい。例えば、シートクッション61の下部であり、奥行き方向の端部等の乗員が触れない箇所に設けられてもよい。
(生体情報検出装置の作用)
図5は、生体情報検出装置50の機能構成の例を示すブロック図である。図5に示すように、生体情報検出装置50は、検知部71A、変換部72A、特定部73A、検出部74A、及び出力部75Aを備えている。各機能構成は、CPU41Aがストレージ41Dに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
検知部71Aは、入出力I/F41Gを介して計装アンプ30における差動信号を検知する。
変換部72Aは、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を用いて、検知部71Aによって検知された差動信号を、時間毎の電圧信号から周波数毎の電圧信号に変換する。
特定部73Aは、変換部72Aによって変換されたFFTの解析結果を用いて、生体情報を特定する。具体的には、特定部73Aは、FFTの解析結果における解析値のピーク値を特定して、生体情報を特定する。例えば、特定部73Aは、差動信号に係る解析値のピーク値を特定して、生体情報を特定する。
一例として図6にFFTの解析結果として、差動信号の解析値80を示す。例えば、心拍による電圧信号は、周波数が1Hz近傍で検出される。特定部73Aは、図6に示すFFTの解析結果を用いて、1Hzから1.2Hzの範囲において示されている解析値80のピーク値を特定する。特定部73Aは、心拍由来の生体情報として、当該ピーク値に係る周波数の差動信号を特定する。
検出部74Aは、生体情報として、時間毎の差動信号から特定した周波数に係る差動信号を検出する。
出力部75Aは、検出部74Aによって検出された生体情報をモニタ41Fに出力する。なお、検出した生体情報は、通信I/F41Eを介して、外部の装置に出力してもよいし、ストレージ41Dに記憶されてもよい。
なお、本実施形態では、FFTの解析結果から生体情報を示す周波数を特定し、特定した周波数を用いて、時間毎の電圧信号から生体情報を検出する形態について説明した。しかし、これに限定されない。FFTの解析結果から生体情報として特定した周波数に係る差動信号を逆フーリエ変換して、生体情報を検出してもよい。
(第1圧電センサ及び第2圧電センサ)
次に、図1、及び図7~図10を参照して、第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bの詳細について説明する。図7は、本実施形態に係る第1圧電センサ10Aの一態様を示す正面図である。図8は、図7のVI-VI線断面図である。図9は、本実施形態に係る第1圧電センサ10Aの他の態様を示す正面図である。図10は、本実施形態に係る第1圧電センサ10Aのさらの他の態様を示す正面図である。図7、図9及び図10中、第1外部導体13Aは省略されている。なお、本実施形態に係る第2圧電センサ10Bは、第1圧電センサ10Aと同一の構成であればよく、以下では、第2圧電センサ10Bの説明は省略して、第1圧電センサ10Aについて説明する。
第1圧電センサ10Aは、図1に示すように、第1内部導体11Aと、第1圧電体12Aと、第1外部導体13Aとを有する。第1内部導体11Aは、方向D1に向けて延在している。第1圧電体12Aは、第1内部導体11Aの少なくとも一部を覆う。第1外部導体13Aは、第1圧電体12Aの外周に配置されている。
第1圧電センサ10Aは、線状物である。第1圧電センサ10Aの方向D1に直交する面における断面形状は、生体情報検出装置50の用途等に応じて適宜調整され、例えば、円形状、楕円形状、矩形状、繭形状、4つ葉形状、星形状、異形状等が挙げられる。第1圧電センサ10Aの断面形状が円形状である場合、第1圧電センサ10Aの直径は、好ましくは0.1mm以上10mm以下である。第1圧電センサ10Aの方向D1における長さは、生体情報検出装置50の用途等に応じて適宜調整され、例えば、1mm以上100mm以下である。
<第1内部導体>
第1内部導体11Aは、第1圧電センサ10Aから効率的に電気的信号を検出するための導体である。
第1内部導体11Aとしては、電気的な良導体であることが好ましく、例えば、銅線、アルミ線、SUS(Steel Use Stainless)線、絶縁皮膜被覆された金属線、カーボンファイバー、カーボンファイバーと一体化した樹脂繊維、錦糸線、有機導電材料等が挙げられる。錦糸線は、繊維に銅箔がスパイラルに巻回されてなる。繊維の外径は、第1圧電センサ10Aの所望の特性に応じて適宜調整され、0.1mm以上10mm以下が好ましい。中でも、第1内部導体11Aは、圧電感度、及び圧電出力の安定性を向上し、高い屈曲性を付与する観点から、錦糸線、又はカーボンファイバーが好ましく、特に、電気的抵抗が低い観点から、錦糸線が好ましい。
<第1外部導体>
第1外部導体13Aは、第1圧電センサ10Aから電気的信号を検出するために、第1内部導体11Aの対となる導体である。
第1外部導体13Aは、第1圧電体12Aの外周に配置されていればよく、第1圧電体12Aの少なくとも一部を覆っていてもよい。詳しくは、第1外部導体13Aは、第1圧電体12Aの外周面の一部を覆っていてもよいし、第1圧電体12Aの外周面の全面を覆っていてもよい。
第1外部導体13Aは、例えば、長尺状導体を巻回してなる。
長尺状導体の断面形状は、例えば、円形状、楕円形状、矩形状、異形状等が挙げられる。中でも、第1圧電体12Aに平面で密着し、第1電圧を効率的に発生させる観点から、長尺状導体の断面形状は、矩形状が好ましい。
長尺状導体の材料は特に限定されず、断面形状によって、主に以下のものが挙げられる。
矩形断面を有する長尺状導体としては、円形断面の銅線を圧延して平板状に加工した銅箔リボン、アルミニウム箔リボン等が挙げられる。
円形断面を有する長尺状導体としては、銅線、アルミニウム線、SUS線、絶縁皮膜被覆された金属線、カーボンファイバー、カーボンファイバーと一体化した樹脂繊維、繊維に銅箔がスパイラルに巻回された錦糸線等が挙げられる。
また、長尺状導体として、有機導電材料を絶縁材料でコーティングしたものを用いてもよい。
長尺状導体の巻回方法は、例えば、第1圧電体12Aに対して銅箔などを螺旋状に巻回する方法、銅線などを筒状の組紐にして、第1圧電体12Aを包みこむ方法、第1圧電体12Aを円筒状に包接する方法等が挙げられる。
<第1圧電体>
第1圧電体12Aは、外力Fが作用すると、第1内部導体11Aと第1外部導体13Aとの間に、第1電圧を発生させる。
第1圧電体12Aは、第1内部導体11Aの少なくとも一部を覆っていればよく、第1内部導体11Aの外周面の一部を覆っていてもよいし、第1内部導体11Aの外周面の全面を覆っていてもよい。
第1圧電体12Aの構成は、例えば、下記の第1構成A、第2構成A、第3構成A、又は第4構成Aであってもよい。
第1構成Aでは、第1圧電体12Aは、図7に示すように、第1長尺状有機圧電体121を巻回してなる。第1長尺状有機圧電体121については、後述する。
第2構成Aでは、第1圧電体12Aは、図9に示すように、第1長尺状有機圧電体121及び第2長尺状有機圧電体122を巻回してなる。第2長尺状有機圧電体122については、後述する。
第3構成Aでは、第1圧電体12Aは、図10に示すように、組紐構造を巻回してなる。組紐構造は、第1長尺状有機圧電体121と第2長尺状有機圧電体122とを交互に交差させてなる。
第4構成Aでは、シート状圧電体を巻回してなる。シート状圧電体については、後述する。
以下、第1長尺状有機圧電体121、第1構成A、第2長尺状有機圧電体122、第2構成A、第3構成A、シート状圧電体、及び第4構成Aについて、この順で説明する。
(第1長尺状有機圧電体)
第1長尺状有機圧電体121は、有機圧電材料からなり、圧電定数d14を有する。
「第1長尺状有機圧電体121が圧電定数d14を有する」に該当するか否かは、下記の第1判定方法によって判定する。
第1判定方法では、後述する実施例1に準拠して作製した第1圧電センサ10A及び第1圧電センサ10Bと、電圧計とを用いる。
詳しくは、第1判定方法では、後述する実施例1に準拠して、第1圧電センサ10A及び第1圧電センサ10Bを作製する。
第1圧電センサ10Aの第1内部導体11Aの後側の端部と、第1圧電センサ10Aの第1外部導体13Aの後側の端部とを電圧計に電気的に接続する。次いで、第1圧電センサ10Aに所定の外力Fを加えて、判定用電圧を検出する。
同様に、第2圧電センサ10Bの第1内部導体11Aの後側の端部と、第2圧電センサ10Bの第1外部導体13Aの後側の端部とを電圧計に電気的に接続する。次いで、第1圧電センサ10Aに加えた外力Fと同じ外力Fを第2圧電センサ10Bに加えて、判定用電圧を検出する。
第1判定方法では、下記の条件(Y)を満たす場合、「第1長尺状有機圧電体121が圧電定数d14を有する」に該当すると判断する。一方、下記の条件(Y)を満たさない場合、「第1長尺状有機圧電体121が圧電定数d14を有する」に該当しないと判断する。
(Y)第1圧電センサ10Aの判定用電圧の極性と、第2圧電センサ10Bの判定用電圧の極性とが反対であること
第1長尺状有機圧電体121は、長尺状物である。
第1長尺状有機圧電体121の形状としては、例えば、リボン形状、繊維形状等が挙げられる。リボン形状は、平たく細長い形状である。繊維形状は、モノフィラメント又はマルチフィラメントの形態であってもよい。
第1長尺状有機圧電体121がリボン形状である場合、第1長尺状有機圧電体121の幅は、好ましくは0.1mm以上30mm以下である。幅が0.1mm以上であることにより、第1長尺状有機圧電体121の強度が確保される。更に、第1長尺状有機圧電体121の製造適性(例えば、後述するスリット工程における製造適性)にも優れる。幅が30mm以下であることにより、第1長尺状有機圧電体121の非塑性変形の自由度(柔軟性)が向上する。
第1長尺状有機圧電体121がリボン形状である場合、第1長尺状有機圧電体121の厚さは、好ましくは0.001mm以上0.2mm以下である。厚さが0.001mm以上であることにより、第1長尺状有機圧電体121の強度が確保される。更に、第1長尺状有機圧電体121の製造適性にも優れる。厚さが0.2mm以下であることにより、第1長尺状有機圧電体121の厚さ方向の非塑性変形の自由度(柔軟性)が向上する。
第1長尺状有機圧電体121がリボン形状である場合、第1長尺状有機圧電体121の厚さに対する第1長尺状有機圧電体121の幅の比(以下、「比〔幅/厚さ〕」という。)は2以上であることが好ましい。比〔幅/厚さ〕が2以上であることにより、第1長尺状有機圧電体121の主面が明確となる。そのため、第1長尺状有機圧電体121は、第1長尺状有機圧電体121の長さ方向に渡って向きを揃えて第1外部導体13Aに巻回され易い。このため、第1圧電センサ10Aは、圧電感度に優れ、また、圧電感度の安定性にも優れる。
第1長尺状有機圧電体121が繊維形状である場合、第1長尺状有機圧電体121の断面形状としては、例えば、円形状、楕円形状、矩形状、繭形状、4つ葉形状、星形状、異形状等が挙げられる。第1長尺状有機圧電体121の断面の長軸径は、好ましくは0.0001mm~10mm、より好ましくは0.001mm~5mmで、更に好ましくは0.002mm~1mmである。
「断面の長軸径」は、第1長尺状有機圧電体121の断面形状が円形状である場合、「直径」に相当し、第1長尺状有機圧電体121の断面形状が円形状でない場合、断面の幅の中で、最も長い幅とする。
繊維形状がマルチフィラメントからなる場合、「断面の長軸径」とは、マルチフィラメントの断面の長軸径とする。
有機圧電材料は、第1長尺状有機圧電体121が圧電定数d14を有するようにする材料であればよく、例えば、光学活性高分子(A)等が挙げられる。
光学活性高分子(A)としては、例えば、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A1)(以下、「ヘリカルキラル高分子(A1)」という場合がある。)、光学活性を有するポリペプチド(A2)(以下、「光学活性ポリペプチド(A2)」という場合がある。)等が挙げられる。
「光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A1)」とは、分子構造が螺旋構造であり分子光学活性を有する高分子を指す。ヘリカルキラル高分子(A1)としては、例えば、ポリ乳酸系高分子、合成ポリペプチド、セルロース誘導体、ポリプロピレンオキシド、ポリ(β―ヒドロキシ酪酸)等が挙げられる。
ポリ乳酸系高分子は、L-乳酸のホモポリマー(以下、「PLLA」という。)、D-乳酸のホモポリマー(以下、「PDLA」という。)等が挙げられる。PLLAは、分子構造が左巻き螺旋構造からなる。PDLAは、分子構造が右巻き螺旋構造からなる。
合成ポリペプチドとしては、例えば、ポリ(グルタル酸γ-ベンジル)、ポリ(グルタル酸γ-メチル)等が挙げられる。
セルロース誘導体としては、例えば、酢酸セルロース、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
ポリ乳酸系高分子、及びヘリカルキラル高分子(A1)の各々の詳細については、後述する。
「光学活性ポリペプチド(A2)」とは、不斉炭素原子を有し、かつ、光学異性体の存在量に偏りがあるポリペプチドを指す。光学活性ポリペプチド(A2)は、圧電性及び強度の観点から、βシート構造を有することが好ましい。光学活性ポリペプチド(A2)としては、光学活性を有する動物性タンパク質等が挙げられる。動物性タンパク質としては、フィブロイン、クモ糸タンパク質等が挙げられる。動物性タンパク質からなる繊維は、シルク、クモ糸等が挙げられる。
動物性タンパク質の詳細については、後述する。
なかでも、有機圧電材料は、良好な圧電特性、加工性、入手容易性等の観点から、光学活性高分子(A)、特にヘリカルキラル高分子(A1)又は光学活性ポリペプチド(A2)を含むことが好ましい。また、ヘリカルキラル高分子(A1)は、ポリ乳酸系高分子を含むことが好ましい。光学活性ポリペプチド(A2)は、動物性タンパク質を含むことが好ましい。
ポリ乳酸系高分子及び光学活性ポリペプチド(A2)の各々は、非焦電性である。有機圧電材料がポリ乳酸系高分子又は光学活性ポリペプチド(A2)を含むことで、第1圧電センサ10Aは、焦電性のPVDFを用いた圧電センサに比べ、圧電感度の安定性、及び圧電出力の安定性(経時又は温度変化に対する安定性)がより向上する。
また、光学活性ポリペプチド(A2)は、高温高湿環境での耐加水分解性に優れる。光学活性ポリペプチド(A2)を含む第1圧電センサ10Aは、例えば、ポリ乳酸系高分子を含む第1圧電センサ10Aと比較して、特に高温高湿環境下において、第1電圧の低下が抑制される。
ヘリカルキラル高分子(A)の詳細については後述する。
光学活性高分子(A)が繊維形状である場合、第1長尺状有機圧電体121の形状は、繊維形状であってもよいし、リボン形状であってもよい。
光学活性高分子(A)が繊維形状で、かつ第1長尺状有機圧電体121の形状が繊維形状である場合、有機圧電材料は、光学活性高分子(A)のみからなってもよい。
光学活性高分子(A)が繊維形状で、かつ第1長尺状有機圧電体121の形状がリボン形状である場合、有機圧電材料は、光学活性高分子(A)及び樹脂を含有してもよい。この場合、有機圧電材料は、樹脂によってリボン形状に成形され得る。有機圧電材料が複数の繊維形状の高分子材料(A)を含有する場合、複数の光学活性高分子(A)の各々は、樹脂によって接合されていてもよい。
樹脂としては、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂の少なくとも一方を含む。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、ポリアリーレン系樹脂等が挙げられる。ポリメタクリル系樹脂としては、ポリメタクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等が挙げられる。ポリアクリル系樹脂としては、ポリアクリル酸メチル樹脂等が挙げられる。芳香族ポリエーテルケトンとしては、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。ポリアリーレン系樹脂としては、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は一種単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は一種単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。
第1長尺状有機圧電体121は、第1組成であることが好ましい。
第1組成では、
有機圧電材料は、光学活性高分子(A)を含み、
第1長尺状有機圧電体121の長さ方向と、第1長尺状有機圧電体121に含まれる光学活性高分子(A)の主配向方向と、が略平行(図5の両矢印D2に平行な方向)であり、
X線回折測定から下記式(a)によって求められる第1長尺状有機圧電体121の配向度Fが0.5以上1.0未満の範囲である。
配向度F=(180°―α)/180°・・(a)
ただし、αは配向由来のピークの半値幅を表す。αの単位は、°である。
第1長尺状有機圧電体121の配向度Fは、第1長尺状有機圧電体121に含まれる光学活性高分子(A)の配向の度合いを示す指標である。
第1長尺状有機圧電体121の配向度Fは、例えば、広角X線回折装置(リガク社製 RINT2550、付属装置:回転試料台、X線源:CuKα、出力:40kV 370mA、検出器:シンチレーションカウンター)により測定されるc軸配向度である。
第1長尺状有機圧電体121の配向度Fは、0.50以上0.99以下であることが好ましく、0.70以上0.98以下であることが更に好ましく、0.80以上0.97以下であることが特に好ましい。
第1長尺状有機圧電体121において、第1長尺状有機圧電体121の長さ方向と、第1長尺状有機圧電体121に含まれる光学活性高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることも、圧電性の発現に寄与する。
第1長尺状有機圧電体121の長さ方向と、第1長尺状有機圧電体121に含まれる光学活性高分子(A)の主配向方向と、が略平行であることは、第1長尺状有機圧電体121がその長さ方向への引張強度に優れるという利点も有する。従って、第1長尺状有機圧電体121を第1内部導体11Aに螺旋状に巻回する際に、第1長尺状有機圧電体121が破断しにくい。
「略平行」とは、2つの線分のなす角度が、0°以上30°未満であることを示す。2つの線分のなす角度は、好ましくは0°以上22.5°以下、より好ましくは0°以上10°以下、更に好ましくは0°以上5°以下、特に好ましくは0°以上3°以下である。
例えば、有機圧電材料が動物性タンパク質からなる繊維の一例であるシルク又はクモ糸を含む場合、シルク又はクモ糸の生成の過程で、シルク又はクモ糸の長さ方向と、光学活性ポリペプチド(A2)(例えば、動物性タンパク質の一例であるフィブロイン又はクモ糸タンパク質)の主配向方向と、が略平行となっている。
光学活性高分子(A)の主配向方向とは、光学活性高分子(A)の主たる配向方向を意味する。光学活性高分子(A)の主配向方向は、例えば、第1長尺状有機圧電体121の配向度Fを測定することによって確認できる。
第1長尺状有機圧電体121がフィルムの延伸及び延伸されたフィルムのスリットを形成して製造される場合、第1長尺状有機圧電体121における光学活性高分子(A)の主配向方向は、主延伸方向を意味する。ここで、主延伸方向とは、一軸延伸の場合には延伸方向を指し、二軸延伸の場合には、延伸倍率が高い方の延伸方向を指す。
以下、第1長尺状有機圧電体121が第1組成で、かつ光学活性高分子(A)がヘリカルキラル高分子(A1)である場合について説明する。
第1長尺状有機圧電体121の製造方法は、例えば、原料(例えば、光学活性高分子(A))をフィルム状に成形して未延伸フィルムを得、得られた未延伸フィルムに対し、延伸及び結晶化を施し、得られた有機圧電フィルムをスリットする方法等が挙げられる。
ここで、「スリットする」とは、有機圧電フィルムを長尺状にカットすることを意味する。
なお、延伸及び結晶化は、いずれが先であってもよい。また、未延伸フィルムに対し、予備結晶化、延伸、及び結晶化(アニール)を順次施す方法であってもよい。延伸は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。二軸延伸の場合には、好ましくは一方(主延伸方向)の延伸倍率を高くする。
有機圧電フィルムの製造方法については、特許第4934235号公報、国際公開第2010/104196号、国際公開第2013/054918号、国際公開第2013/089148号、等の公知文献を適宜参照できる。
第1長尺状有機圧電体121については、後述する。
[第1圧電体の第1構成]
次に、図7及び図8を参照して、第1圧電体12Aの第1構成Aについて説明する。
第1構成Aでは、図7に示すように、第1長尺状有機圧電体121は、方向D1に向けて左方向(左巻き、即ち反時計周り)に巻回されている。詳しくは、第1内部導体11Aの外周面に沿って、第1螺旋角度β1で方向D1に向けて、隙間がないように第1螺旋方向D2に螺旋状に巻回されている。この巻回された第1長尺状有機圧電体121は、第1圧電体12Aを構成する。
「螺旋角度β1」とは、第1内部導体11Aの軸方向AXと、第1内部導体11Aの軸方向AXに対する第1長尺状有機圧電体121の配置方向とがなす角度を意味する。
螺旋角度β1は、好ましくは15°以上75°以下(45°±30°)、より好ましくは35°以上55°以下(45°±10°)である。
「第1螺旋方向D2」とは、第1長尺状有機圧電体121が方向D1に向かって巻回されている方向をいう。
次に、第1構成Aの作用について説明する。
例えば、第1圧電センサ10Aは、軸方向AXと平行な方向に張力(応力)が作用されたときに、第1長尺状有機圧電体121に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)にずり歪が加えられると、第1圧電センサ10Aの径方向にヘリカルキラル高分子(A1)の分極が生じる。この分極方向は、第1長尺状有機圧電体121が螺旋状に巻回された第1構成Aの第1圧電体12Aを、軸方向AXに対して平面と見做せる程度の微小領域の集合体とみなした場合、その構成する微小領域の平面に、張力(応力)に起因したずり力がヘリカルキラル高分子(A1)に作用された際、圧電定数d14に起因して発生する電界の方向と略一致する。具体的に、ヘリカルキラル高分子(A1)の分極は、図8中、矢印で示されるように、第1圧電センサ10Aの径方向に生じ、その分極方向は位相が揃えられて生じると考えられる。これにより、第1圧電センサ10Aは、外力Fに比例した第1電圧を効果的に発生しやすくなる。
以上のことから、第1圧電体12Aが第1構成Aである場合、第1圧電センサ10Aは、圧電感度に優れ、圧電出力の安定性が優れたものとなる。
第1構成Aにおいて、ヘリカルキラル高分子(A1)がPLLAの場合、軸方向AXと平行な方向において、第1圧電センサ10Aに張力が作用すると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、正になる。
第1構成Aにおいて、ヘリカルキラル高分子(A1)がPLLAの場合、軸方向AXと平行な方向において、第1圧電センサ10Aに加圧が作用すると、径方向に平行に、加圧と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、負になる。
第1構成Aにおいて、ヘリカルキラル高分子(A1)がPDLAの場合、第1電圧の正負は、ヘリカルキラル高分子(A1)がPLLAの場合とは逆になる。
具体的に、第1構成Aにおいて、ヘリカルキラル高分子(A1)がPDLAの場合、軸方向AXと平行な方向に第1圧電センサ10Aに張力が作用すると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、負になる。
第1構成Aにおいて、ヘリカルキラル高分子(A1)がPDLAの場合、軸方向AXと平行な方向において、第1圧電センサ10Aに加圧が作用すると、径方向に平行に、加圧と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、正になる。
また、第1構成Aでは、第1長尺状有機圧電体121が方向D1に向けて左巻きに巻回されているが、第1圧電体12Aの構成は、第1長尺状有機圧電体121が方向D1に向けて右巻きに巻回されている構成(以下、「第1構成A’」という)であってもよい。
第1構成A’において、ヘリカルキラル高分子(A1)がPLLAの場合、第1電圧の正負は、第1構成Aのヘリカルキラル高分子(A1)がPLLAの場合とは逆になる。
具体的に、第1構成A’において、ヘリカルキラル高分子(A1)がPLLAの場合、軸方向AXと平行な方向において、第1圧電センサ10Aに張力が作用すると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、負になる。
第1構成A’において、ヘリカルキラル高分子(A1)がPLLAの場合、軸方向AXと平行な方向において、第1圧電センサ10Aに加圧が作用すると、径方向に平行に、加圧と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、正になる。
第1構成A’において、ヘリカルキラル高分子(A1)がPDLAの場合、第1電圧の正負は、第1構成Aのヘリカルキラル高分子(A1)がPDLAの場合とは逆になる。
具体的に、第1構成A’において、ヘリカルキラル高分子(A1)がPDLAの場合、第1圧電センサ10Aに張力が作用すると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、正になる。
第1構成A’において、ヘリカルキラル高分子(A1)がPDLAの場合、第1圧電センサ10Aに加圧が作用すると、径方向に平行に、加圧と垂直な円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、負になる。
(第2長尺状有機圧電体)
第2長尺状有機圧電体122は、有機圧電材料からなり、圧電定数d14を有する。
「第2長尺状有機圧電体122が圧電定数d14を有する」に該当するか否かは、例えば、上述した第1判定方法によって判定する。
第2長尺状有機圧電体122は、長尺状物である。
第2長尺状有機圧電体122の形状、幅、厚さ、比〔幅/厚さ〕、断面形状、及び長軸径の各々は、第1長尺状有機圧電体121で例示したものと同様である。第2長尺状有機圧電体122の幅、厚さ、及び比〔幅/厚さ〕の各々は、第1長尺状有機圧電体121の幅、厚さ、及び比〔幅/厚さ〕と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第2長尺状有機圧電体122の有機圧電材料としては、第1長尺状有機圧電体121の有機圧電材料として例示した材料と同様の材料が挙げられる。第2長尺状有機圧電体122の有機圧電材料は、第1長尺状有機圧電体121の有機圧電材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第2長尺状有機圧電体122は、下記の第2組成であることが好ましい。
第2組成物では、
有機圧電材料は、光学活性高分子(A)を含み、
第2長尺状有機圧電体122の長さ方向と、第2長尺状有機圧電体122に含まれる光学活性高分子(A)の主配向方向と、が略平行であり、
X線回折測定から上記式(a)によって求められる第2長尺状有機圧電体122の配向度Fは0.5以上1.0未満の範囲である。
第2長尺状有機圧電体122の配向度Fは、第2長尺状有機圧電体122に含まれる光学活性高分子(A)の配向の度合いを示す指標である。
「略平行」とは、2つの線分のなす角度が、0°以上30°未満であることを示す。2つの線分のなす角度は、好ましくは0°以上22.5°以下、より好ましくは0°以上10°以下、更に好ましくは0°以上5°以下、特に好ましくは0°以上3°以下である。
以下、第2長尺状有機圧電体122の有機圧電材料が第2組成で、かつ光学活性高分子(A)がヘリカルキラル高分子(A1)である場合について説明する。
第2長尺状有機圧電体122の製造方法は、第1長尺状有機圧電体121の製造方法として例示した製造方法と同様の製造方法が挙げられる。
第2長尺状有機圧電体122については、後述する。
[第1圧電体の第2構成]
次に、図9を参照して、第1圧電体12Aの第2構成Aについて説明する。
第1圧電体12Aの第2構成Aは、第2長尺状有機圧電体122を備えている点で、第1圧電体12Aの第1構成Aと異なる。
詳しくは、第1圧電体12Aの第2構成Aは、図9に示すように、第1長尺状有機圧電体121と、第2長尺状有機圧電体122とを備える。
第2構成Aでは、第1長尺状有機圧電体121は、第1構成Aと同様に、第1内部導体11Aの外周面に沿って、螺旋角度β1で方向D1に向けて、隙間がないように第一螺旋方向D2に螺旋状に巻回されている。つまり、第1長尺状有機圧電体121は、方向D1に向けて左方向(左巻き、即ち反時計周り)に巻回されている。
第2構成Aでは、第2長尺状有機圧電体122は、図9に示すように、第1長尺状有機圧電体121の外周面に沿って、螺旋角度β2で第1長尺状有機圧電体121の巻回方向とは逆の方向で螺旋状に巻回されている。
「螺旋角度β2」とは、前述の螺旋角度β1と同義である。螺旋角度β2は、螺旋角度β1と略同一角度である。
また、図9中、第2長尺状有機圧電体122に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)の主配向方向は、両矢印D3で示されている。即ち、第2長尺状有機圧電体122に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)の主配向方向と、第2長尺状有機圧電体122の配置方向(第2長尺状有機圧電体122の長さ方向)とは、略平行となっている。
第1長尺状有機圧電体121に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)のキラリティと、第2長尺状有機圧電体122に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)のキラリティとは、体外に異なっていることが好ましい。これにより、例えば、第1圧電センサ10Aに軸方向AXの張力が作用されたときに、第1長尺状有機圧電体121に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)と、第2長尺状有機圧電体122に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)との両方に分極が生じる。分極方向はいずれも第1圧電センサ10Aの径方向である。この結果、第1圧電センサ10Aに係る張力に対応した第2圧電センサ10Bに係る張力による電圧信号(電荷信号)が検出される。したがって、第1圧電センサ10Aが受ける圧力及び振動による電圧信号と、対応する第2圧電センサ10Bが受ける振動による電圧信号が検出される。
以下、第2構成Aの第1圧電センサ10Aの作用について説明する。
例えば、第1圧電センサ10Aの方向D1と平行な方向に張力が作用されると、第1長尺状有機圧電体121に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)、及び第2長尺状有機圧電体122に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)との両方にずり応力が作用され、分極が生じる。分極方向はいずれも第1圧電センサ10Aの径方向である。これにより、効果的に張力に比例した電圧信号が検出される。
以上のことから、第2構成Aの第1圧電センサ10Aによれば、圧電感度、及び圧電出力の安定性が第1構成Aの第1圧電センサ10Aよりも向上する。
特に、第1圧電体12Aが第1長尺状有機圧電体121及び第2長尺状有機圧電体122を備え、かつ二層構造をなすため、第1内部導体11Aや第1外部導体13Aに対して、第1長尺状有機圧電体121及び第2長尺状有機圧電体122の空隙が少なく密着させることが可能となり、張力によって発生した電界が効率よく第1内部導体11Aに伝達されやすい。
従って、第2構成Aの第1圧電センサ10Aは、外力をより感度良く検出することができる。
[第1圧電体の第3構成]
次に、図10を参照して、第1圧電体12Aの第3構成Aについて説明する。
第1圧電体12Aの第3構成Aは、組紐構造をなしている点で、第1圧電体12Aの第2構成Aの第1圧電センサ10Aと異なる。
具体的に、第1圧電体12Aの第3構成Aは、図10に示すように、第1長尺状有機圧電体121と、第2長尺状有機圧電体122とを備える。
第3構成Aでは、第1長尺状有機圧電体121が、第1内部導体11Aの軸方向AXに対し、螺旋角度β1で左巻きで螺旋状に巻回され、第2長尺状有機圧電体122が、螺旋角度β2で右巻きで螺旋状に巻回されると共に、第1長尺状有機圧電体121及び第2長尺状有機圧電体122が交互に交差されている。第1内部導体11Aの軸方向AXと、方向D1とは略平行な関係にある。
「略平行」とは、2つの線分のなす角度が、0°以上30°未満であることを示す。2つの線分のなす角度は、好ましくは0°以上22.5°以下、より好ましくは0°以上10°以下、更に好ましくは0°以上5°以下、特に好ましくは0°以上3°以下である。
図10に示す組紐構造において、第1長尺状有機圧電体121に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)の主配向方向(両矢印D2)と、第1長尺状有機圧電体121の配置方向とは、略平行となっている。同様に、第2長尺状有機圧電体122に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)の主配向方向(両矢印D2)と、第2長尺状有機圧電体122の配置方向とは、略平行となっている。
第1長尺状有機圧電体121に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)のキラリティと、第2長尺状有機圧電体122に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)のキラリティとは、互いに異なっていることが好ましい。これにより、例えば、第1圧電センサ10Aに軸方向AXの張力が作用されたときに、第1長尺状有機圧電体121に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)と、第2長尺状有機圧電体122に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)との両方に分極が生じる。分極方向はいずれも第1圧電センサ10Aの径方向である。これにより、より効果的に張力に比例した電圧信号が検出される。この結果、圧電感度、及び圧電出力の安定性がより向上する。
以下、第3構成Aの第1圧電センサ10Aの作用について説明する。
例えば、第1圧電センサ10Aに軸方向AXの張力が作用されると、第1長尺状有機圧電体121に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)と、第2長尺状有機圧電体122に含まれるヘリカルキラル高分子(A1)との両方に分極が生じる。分極方向はいずれも第1圧電センサ10Aの径方向である。これにより、効果的に張力に比例した電圧信号が検出される
以上のことから、第3構成Aの第1圧電センサ10Aは、第1圧電体12Aにかかる外力をより感度良く検出することができる。
(シート状圧電体)
シート状圧電体は、圧電材料からなり、圧電定数d33及び圧電定数d31を有し、圧電定数d14を有しない。
「シート状圧電体が、圧電定数d33及び圧電定数d31を有し、圧電定数d14を有しない」か否かは、下記の第2判定方法によって判定する。
第2判定方法では、第1圧電体12Aが後述する第4構成Aである第1圧電センサ10A(以下、「第4構成Aの第1圧電センサ10A」という場合がある。)と、後述する第2圧電体12Bが後述する第4構成Bである第2圧電センサ10B(以下、「第4構成Bの第2圧電センサ10B」という場合がある。)と、電圧計とを用いる。
詳しくは、第2判定方法では、第4構成Aの第1圧電センサ10A及び第4構成Bの第2圧電センサ10Bを作製する。
第4構成Aの第1圧電センサ10Aの第1内部導体11Aと、第4構成Aの第1圧電センサ10Aの第1外部導体13Aとを電圧計に電気的に接続する。次いで、第4構成Aの第1圧電センサ10Aに所定の外力Fを加えて、判定用電圧を検出する。
同様に、第4構成Bの第2圧電センサ10Bの第1内部導体11Aと、第4構成Bの第2圧電センサ10Bの第1外部導体13Aとを電圧計に電気的に接続する。次いで、第4構成Aの第1圧電センサ10Aに加えた外力Fと同じ外力Fを、第4構成Bの第2圧電センサ10Bに加えて、判定用電圧を検出する。
第2判定方法では、下記の条件(Y)を満たす場合、「シート状圧電体が、圧電定数d33及び圧電定数d31を有し、圧電定数d14を有しない」に該当すると判断する。一方、下記の条件(Y)を満たさない場合、「シート状圧電体が、圧電定数d33及び圧電定数d31を有し、圧電定数d14を有しない」に該当しないと判断する。
(Y)第4構成Aの第1圧電センサ10Aの判定用電圧の極性と、第4構成Bの第2圧電センサ10Bの判定用電圧の極性とが反対であること
シート状圧電体は、シート状である。
シート状圧電体の厚さは、好ましくは0.001mm以上0.2mm以下である。厚さが0.001mm以上であることにより、シート状圧電体の強度が確保される。更に、厚さが0.2mm以下であることにより、シート状圧電体の厚さ方向の非塑性変形の自由度(柔軟性)が向上する。
圧電材料は、シート状圧電体が圧電定数d33及び圧電定数d31を有し、圧電定数d14を有しないようにする材料であればよく、有機圧電材料、無機圧電材料等が挙げられる。有機圧電材料は、低分子材料であってもよいし、高分子材料であってもよい。
有機圧電材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、トリフルオロ酢酸エチル(EFA)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体(PVDF-HFP)、及びポリ(フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
無機圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系等の無機セラミックス圧電材料の粉末をシート状にポリマーを用いて成型した材料等が挙げられる。
なかでも、圧電材料は、軽量で柔軟性に富み、加工性等に優れる観点から、PVDFを含むことが好ましい。
以下、圧電材料がPVDFからなる場合について説明する。
シート状圧電体の製造方法は、原料(PVDF)をシート状に成形し、延伸処理して延伸シートを得、得られた延伸シートに対しポーリング処理を施す方法等が挙げられる。
ポーリング処理では、例えば、延伸シートを加熱しながら、延伸シートの一方の面にプラスの電圧を印加するとともに、延伸シートの他方の面にマイナスの電圧を印加する。これにより、延伸シートの膜厚方向において、延伸シートの一方の面から他方に面にむかって、フッ素原子と炭素原子の電気引性度の差に起因する双極子モーメントが形成される。つまり、シート状圧電体は、自発分極を有する。
[第1圧電体の第4構成]
次に、第1圧電体12Aの第4構成Aについて説明する。
第4構成Aでは、シート状圧電体は、第1内部導体11Aの外周面に沿って、PVDFの高分子鎖が軸方向AXに沿って配向されるように、円筒状に巻回されている。シート状圧電体の一方の面は、第1内部導体11A側である。この巻回されたシート状圧電体は、第1圧電体12Aを構成する。
「PVDFの高分子鎖が軸方向AXに沿って配向される」とは、シート状圧電体の製造工程の延伸処理における延伸方向と、軸方向AXとが平行な関係であることを意味する。
次に、第4構成Aの作用について説明する。
例えば、第1圧電センサ10Aは、外力が作用されたときに、第1圧電体12Aが縮むと、径方向に平行に、円状断面の円の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、正になる。
例えば、第1圧電センサ10Aは、外力が作用されたときに、第1圧電体12Aが伸びると、径方向に平行に、円状断面の円の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。つまり、第1電圧の正負は、負になる。
<接着剤層>
第1圧電センサ10Aは、接着層を有してもよい。接着層は、例えば、第1内部導体11Aと第1圧電体12Aとの間に配置される。これにより、内部導体11Aの軸方向AXにおいて、例えば、外力に起因する張力が第1圧電センサ10Aに作用しても、第1圧電体12Aと第1内部導体11Aとの相対位置のずれの発生は抑制され得る。軸方向AXと方向D1とは平行である。さらに、第1長尺状有機圧電体121は、外力に起因する張力がより作用されやすくなる。
接着層を形成する接着剤の材料としては、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤、エチレン酢酸ビニル(EVA)系エマルション形接着剤、アクリル樹脂系エマルション形接着剤、スチレン・ブタジエンゴム系ラテックス形接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、α-オレフィン(イソブテン-無水マレイン酸樹脂)系接着剤、塩化ビニル樹脂系溶剤形接着剤、ゴム系接着剤、弾性接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形接着剤、ニトリルゴム系溶剤形接着剤等、シアノアクリレート系接着剤等が挙げられる。
<第1絶縁体>
第1圧電センサ10Aは、第1絶縁体を有してもよい。第1絶縁体は、例えば、第1圧電体12Aと第1内部導体11Aとの間、及び第1圧電体12Aと第1外部導体13Aとの間の少なくとも一方に配置される。これにより、第1内部導体11Aと第1外部導体13Aとの短絡の発生をより抑制することができる。
第1絶縁体は、例えば、長尺状物が、第1内部導体11Aの外周面に沿って螺旋状に巻回されてなる。
第1絶縁体の材料としては、電気的絶縁性を有する材料であればよく、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ素ゴム、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ゴム(エラストマーを含む)等が挙げられる。
<第2絶縁体>
第1圧電センサ10Aは、第2絶縁体を有してもよい。第2絶縁体は、第1外部導体13Aの外周に配置される。第2絶縁体は、第1外部導体13Aの外周の全面を覆っていてもよい。これにより、第1内部導体11Aを静電シールドすることが可能となり、外部の静電気の影響による、第1電圧の電圧変化を抑制することができる。
第2絶縁体の材質は、電気的絶縁性を有する材料であればよく、第1絶縁体の材料として例示した材料と同一の材料が挙げられる。
<機能層>
第1圧電センサ10Aは、機能層を有してもよい。機能層は、例えば、第1圧電体12Aと第1内部導体11Aとの間、及び第1圧電体12Aと第1外部導体13Aとの間の少なくとも一方に配置される。
機能層を構成する層(以下、「構成層」という。)として、例えば、易接着層、ハードコート層、屈折率調整層、アンチリフレクション層、アンチグレア層、易滑層、アンチブロック層、保護層、接着層、帯電防止層、放熱層、紫外線吸収層、アンチニュートンリング層、光散乱層、偏光層、ガスバリア層、色相調整層、電極層などが挙げられる。
機能層は、構成層の単層からなる単層構造であってもよいし、2層以上の構成層からなる複数構造であってもよい。機能層が複数構造で場合、複数の構成層の各々は、同じ構成層であってもよいし、異なる構成層であってもよい。第1圧電センサ10Aが第1圧電体12Aと第1内部導体11Aとの間、及び第1圧電体12Aと第1外部導体13Aとの間に機能層を有する場合、第1圧電体12Aと第1内部導体11Aとの間の機能層と、第1圧電体12Aと第1外部導体13Aとの間に機能層とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
機能層の膜厚は、特に限定されず、0.01μm以上10μm以下の範囲が好ましい。
機能層の材料は、機能層に要求される機能に応じて適宜選択され、例えば、金属、金属酸化物等の無機物;樹脂等の有機物;樹脂と微粒子とを含む複合組成物;などが挙げられる。樹脂としては、例えば、温度や活性エネルギー線で硬化させることで得られる硬化物が挙げられる。
(ヘリカルキラル高分子(A1))
次に、ヘリカルキラル高分子(A1)について説明する。
ヘリカルキラル高分子(A1)は、圧電性をより向上させる観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましい。ヘリカルキラル高分子(A1)は、圧電性をより向上させる観点から、D体又はL体からなることが好ましい。ヘリカルキラル高分子(A1)の含有量は、圧電性をより向上させる観点から、第1長尺状有機圧電体121の全量に対し、80質量%以上であることが好ましい。
ヘリカルキラル高分子(A1)の光学純度は、第1長尺状有機圧電体121の圧電性を向上する観点から、好ましくは95.00%ee以上、より好ましくは96.00%ee以上、さらに好ましくは99.00%ee以上、特に好ましくは99.99%ee以上、望ましくは100.00%eeである。ヘリカルキラル高分子(A1)の光学純度を上記範囲とすることで、圧電性を発現する高分子結晶のパッキング性が高くなり、その結果、圧電性が高くなるものと考えられる。
ヘリカルキラル高分子(A1)の光学純度は、下記式にて算出した値である。
光学純度(%ee)=100×|L体量-D体量|/(L体量+D体量)
即ち、ヘリカルキラル高分子(A1)の光学純度は、
『「ヘリカルキラル高分子(A1)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A1)のD体の量〔質量%〕との量差(絶対値)」を「ヘリカルキラル高分子(A1)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A1)のD体の量〔質量%〕との合計量」で割った(除した)数値』に、『100』をかけた(乗じた)値である。
なお、ヘリカルキラル高分子(A1)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A1)のD体の量〔質量%〕は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法により得られる値を用いる。具体的な測定の詳細については後述する。
-重量平均分子量-
ヘリカルキラル高分子(A1)の重量平均分子量(Mw)は、5万以上100万以下であることが好ましい。
ヘリカルキラル高分子(A1)のMwが5万以上であることにより、第1長尺状有機圧電体121及び第2長尺状有機圧電体122(以下、まとめて「第1長尺状有機圧電体121等」という場合がある。)の機械的強度が向上する。上記Mwは、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。
ヘリカルキラル高分子(A1)のMwが100万以下であることにより、成形(例えば押出成形、溶融紡糸)によって第1長尺状有機圧電体121等を得る際の成形性が向上する。ヘリカルキラル高分子(A1)のMwは、80万以下であることが好ましく、30万以下であることがさらに好ましい。
ヘリカルキラル高分子(A1)の分子量分布(Mw/Mn)は、第1長尺状有機圧電体121等の強度の観点から、1.1以上5以下であることが好ましく、1.2以上4以下であることがより好ましい。さらに1.4以上3以下であることが好ましい。
ヘリカルキラル高分子(A1)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて測定された値を指す。ここで、Mnは、ヘリカルキラル高分子(A1)の数平均分子量である。
以下、GPCによるヘリカルキラル高分子(A1)のMw及びMw/Mnの測定方法の一例を示す。
-GPC測定装置-
Waters社製GPC-100
-カラム-
昭和電工社製、Shodex LF-804
-サンプルの調製-
第1長尺状有機圧電体121等を40℃で溶媒(例えば、クロロホルム)へ溶解させ、濃度1mg/mlのサンプル溶液を準備する。
-測定条件-
サンプル溶液0.1mlを溶媒〔クロロホルム〕、温度40℃、1ml/分の流速でカラムに導入する。
カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度を示差屈折計で測定する。
ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作製し、ヘリカルキラル高分子(A1)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を算出する。
ヘリカルキラル高分子(A1)の例であるポリ乳酸系高分子としては、市販のポリ乳酸を用いることができる。
市販品としては、例えば、PURAC社製のPURASORB(PD、PL)、三井化学社製のLACEA(H-100、H-400)、NatureWorks LLC社製のIngeoTM biopolymer、等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A1)としてポリ乳酸系高分子を用いるときに、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量(Mw)を5万以上とするためには、ラクチド法、又は直接重合法によりポリ乳酸系高分子を製造することが好ましい。
第1長尺状有機圧電体121等は、ヘリカルキラル高分子(A1)を、1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
第1長尺状有機圧電体121等中におけるヘリカルキラル高分子(A1)の含有量(2種以上である場合には総含有量)は、第1長尺状有機圧電体121の全量に対し、80質量%以上が好ましい。
(ポリ乳酸系高分子)
次に、ポリ乳酸系高分子について説明する。
ポリ乳酸系高分子としては、光学純度を上げ、圧電性を向上させる観点から、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有することが好ましい。
Figure 2023049853000002


ポリ乳酸系高分子は、「ポリ乳酸(L-乳酸及びD-乳酸から選ばれるモノマー由来の繰り返し単位のみからなる高分子)」、「L-乳酸又はD-乳酸と、該L-乳酸又はD-乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」、又は、両者の混合物をいう。
ポリ乳酸系高分子の中でも、ポリ乳酸が好ましく、PLLA又はPDLAが最も好ましい。
ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合によって重合し、長く繋がった高分子である。
ポリ乳酸の製造方法としては、ラクチドを経由するラクチド法;溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させる直接重合法等が挙げられる。
ポリ乳酸としては、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーが挙げられる。ブロックコポリマーは、L-乳酸のホモポリマー、D-乳酸のホモポリマー、L-乳酸及びD-乳酸の少なくとも一方の重合体を含む。グラフトコポリマーは、L-乳酸及びD-乳酸の少なくとも一方の重合体を含む。
「L-乳酸又はD-乳酸と共重合可能な化合物」としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシプロパン酸、3-ヒドロキシプロパン酸、2-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシ吉草酸、5-ヒドロキシ吉草酸、2-ヒドロキシカプロン酸、3-ヒドロキシカプロン酸、4-ヒドロキシカプロン酸、5-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸;グリコリド、β-メチル-δ-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等の環状エステル;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸及びこれらの無水物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4-ヘキサンジメタノール等の多価アルコール;セルロース等の多糖類;α-アミノ酸等のアミノカルボン酸;等を挙げられる。
「L-乳酸又はD-乳酸と、該L-乳酸又はD-乳酸と共重合可能な化合物とのコポリマー」としては、らせん結晶を生成可能なポリ乳酸シーケンスを有する、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーが挙げられる。
ポリ乳酸系高分子中におけるコポリマー成分に由来する構造の濃度は20mol%以下であることが好ましい。
例えば、ポリ乳酸系高分子中における、乳酸に由来する構造と、乳酸と共重合可能な化合物(コポリマー成分)に由来する構造と、のモル数の合計に対して、コポリマー成分に由来する構造の濃度が20mol%以下であることが好ましい。
ポリ乳酸系高分子の製造方法としては、例えば、特開昭59-096123号公報、及び特開平7-033861号公報に記載されている乳酸を直接脱水縮合して得る方法;米国特許第2,668,182号等に記載されている乳酸の環状二量体であるラクチドを用いて開環重合させる方法;等が挙げられる。
さらに、上記各製造方法により得られたポリ乳酸系高分子は、光学純度を95.00%ee以上とするために、例えば、ポリ乳酸をラクチド法で製造する場合、晶析操作により光学純度を95.00%ee以上の光学純度に向上させたラクチドを、重合することが好ましい。
(動物性タンパク質)
以下、光学活性ポリペプチド(A2)の一例である動物性タンパク質について説明する。
動物性タンパクとしては、上述したフィブロイン及びクモ糸タンパク質の他に、セリシン、コラーゲン、ケラチン、エラスチン等が挙げられる。
なかでも、光学活性ポリペプチド(A2)は、フィブロイン及びクモ糸タンパク質の少なくとも一方を含むことが好ましく、フィブロイン及びクモ糸タンパク質の少なくとも一方からなることがより特に好ましい。
クモ糸タンパク質は、天然クモ糸タンパク質、又は、天然クモ糸タンパク質に由来又は類似(以下、これらをまとめて「由来」という。)するものであればよく、特に限定されない。
「天然クモ糸タンパク質に由来するもの」とは、天然クモ糸タンパク質が有するアミノ酸の反復配列と同様又は類似のアミノ酸配列を有するものである。「天然クモ糸タンパク質に由来するもの」として、例えば、組換えクモ糸タンパク質、天然クモ糸タンパク質の変異体、天然クモ糸タンパク質の類似体、天然クモ糸タンパク質の誘導体などが挙げられる。
クモ糸タンパク質としては、強靭性に優れるという観点から、クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質、又は、大吐糸管しおり糸タンパク質に由来するクモ糸タンパク質が好ましい。
大吐糸管しおり糸タンパク質としては、アメリカジョロウグモ(Nephila clavipes)に由来する大瓶状腺スピドロインである、MaSp1又はMaSp2、ニワオニグモ(Araneus diadematus)に由来する、ADF3又はADF4などが挙げられる。
クモ糸タンパク質は、クモの小瓶状腺で産生される小吐糸管しおり糸タンパク、又は、小吐糸管しおり糸タンパクに由来するクモ糸タンパク質であってもよい。
小吐糸管しおり糸タンパク質としては、アメリカジョロウグモ(Nephila clavipes)に由来する小瓶状腺スピドロインである、MiSp1、MiSp2が挙げられる。
その他にも、クモ糸タンパク質は、クモの鞭毛状腺(flagelliform gland)で産生される横糸タンパク質、又は、この横糸タンパク質に由来するクモ糸タンパク質であってもよい。
横糸タンパク質としては、例えば、アメリカジョロウグモ(Nephila clavipes)に由来する鞭毛状絹タンパク質(flagelliform silk protein)などが挙げられる。
上述した大吐糸管しおり糸タンパク質に由来するクモ糸タンパク質としては、例えば、下記式(2)で示されるアミノ酸配列の単位を含む組換えクモ糸タンパク質が挙げられる。
組換えクモ糸タンパク質は、下記式(2)で示されるアミノ酸配列の単位を2以上(好ましくは4以上、より好ましくは6以上)含んでもよい。
組換えクモ糸タンパク質が下記式(2)で示されるアミノ酸配列の単位を2以上含む場合、2以上のアミノ酸配列の単位は、同一であっても異なっていてもよい。
REP1-REP2 … 式(2)
〔式(2)中、REP1は、主としてアラニンにより構成され(X1)pで表されるポリアラニン領域であり、REP2は、10~200残基のアミノ酸からなるアミノ酸配列である。〕
式(2)において、REP1は、主としてアラニンにより構成され(X1)pで表されるポリアラニン領域である。REP1として、好ましくはポリアラニンである。
(X1)pにおいて、pは、特に限定されるものではないが、好ましくは2~20の整数、より好ましくは4~12の整数を示す。
(X1)pにおいて、X1は、アラニン(Ala)、セリン(Ser)、又はグリシン(Gly)を示す。
(X1)pで表されるポリアラニン領域において、アラニンの合計残基数が、上記ポリアラニン領域のアミノ酸の合計残基数の80%以上(より好ましくは85%以上)であることが好ましい。
式(2)中のREP1において、連続して並んでいるアラニンは、2残基以上であることが好ましく、より好ましくは3残基以上であり、さらに好ましくは4残基以上であり、特に好ましくは5残基以上である。
また、式(2)中のREP1において、連続して並んでいるアラニンは、20残基以下であることが好ましく、より好ましくは16残基以下であり、さらに好ましくは12残基以下であり、特に好ましくは10残基以下である。
式(2)において、REP2は、10~200残基のアミノ酸からなるアミノ酸配列である。このアミノ酸配列中に含まれる、グリシン、セリン、グルタミン、プロリン及びアラニンの合計残基数は、上記アミノ酸残基数全体に対し、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましい。
上記小吐糸管しおり糸タンパク質に由来するクモ糸タンパク質としては、例えば、下記式(3)で示されるアミノ酸配列を含む組換えクモ糸タンパク質が挙げられる。
REP3-REP4-REP5 … 式(3)
〔式(3)中、REP3は、(Gly-Gly-Z)mで表されるアミノ酸配列であり、REP4は、(Gly-Ala)lで表されるアミノ酸配列であり、REP5は(Ala)rで表されるアミノ酸配列である。
REP3において、Zは任意の一つのアミノ酸を意味する。
REP3において、mは1~4であり、REP4において、lは、0~4であり、REP5において、rは、1~6である。〕
REP3において、Zは任意の一つのアミノ酸を意味するが、特にAla、Tyr及びGlnからなる群から選ばれる一つのアミノ酸であることが好ましい。
上述した組換えクモ糸タンパク質(例えば、式(2)で示されるアミノ酸配列の単位を含む組換えクモ糸タンパク質、式(3)で示されるアミノ酸配列を含む組換えクモ糸タンパク質、等)は、組換えの対象となる天然型クモ糸タンパク質をコードする遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換した宿主を用いて製造することができる。
第1長尺状有機圧電体121等は、圧電性の観点から、光学活性ポリペプチド(A2)からなる繊維を含むことが好ましい。
光学活性ポリペプチド(A2)からなる繊維としては、光学活性を有する動物性タンパク質からなる繊維が挙げられる。光学活性を有する動物性タンパク質からなる繊維としては、例えば、シルク、ウール、モヘヤ、カシミア、キャメル、ラマ、アルパカ、ビキューナ、アンゴラ、クモ糸、等が挙げられる。
光学活性ポリペプチド(A2)からなる繊維は、圧電性の観点から、シルク及びクモ糸の少なくとも一方を含むことが好ましく、シルク及びクモ糸の少なくとも一方からなることがより好ましい。
シルクとしては、生糸(raw silk)、精錬シルク、再生シルク、蛍光シルク等が挙げられる。
シルクとしては、生糸又は精錬シルクが好ましく、精製シルクが特に好ましい。
精錬シルクとは、セリシンとフィブロインとの2重構造である生糸からセリシンを取り除いたシルクを意味し、精錬とは、生糸からセリシンを取り除く操作を意味する。生糸の色は艶の無い白色であるが、生糸からセリシンを取り除くこと(即ち、精錬)により、艶の無い白色から光沢がある白銀色へと変化する。また、精錬により、柔らかい風合いが増す。
第1長尺状有機圧電体121等は、圧電性の観点から、光学活性ポリペプチド(A2)からなる長繊維を含むことが好ましい。この理由は、短繊維に比べて長繊維の方が、第1圧電センサ10Aに印加された応力が第1圧電体12Aへ伝わり易いためと考えられる。
「長繊維」とは、第1圧電センサ10Aの長尺方向の一端から他端まで連続して巻回できる長さを有する繊維を意味する。
シルク、ウール、モヘヤ、カシミア、キャメル、ラマ、アルパカ、ビキューナ、アンゴラ、及びクモ糸は、いずれも長繊維に該当する。長繊維の中でも、シルク及びクモ糸が、圧電性の観点から、好ましい。
第1長尺状有機圧電体121が上記繊維を含む場合、第1長尺状有機圧電体121は、少なくとも1本の上記繊維からなる糸を少なくとも1本含むことが好ましい。
第1長尺状有機圧電体121が上記糸を含む場合の態様としては、第1長尺状有機圧電体121が1本の上記糸からなる態様、第1長尺状有機圧電体121が複数の上記糸の集合体である態様、等が挙げられる。
上記糸は、撚糸であっても無撚糸であってもよいが、圧電性の観点から、撚数が500T/m以下である糸(即ち、撚数500T/m以下の撚糸又は無撚糸(撚数0T/m))であることが好ましい。
無撚糸としては、1本の原糸、複数本の原糸の集合体、等が挙げられる。
(第1長尺状有機圧電体、及び第2長尺状有機圧電体)
次に、第1長尺状有機圧電体121等について、更に説明する。
<安定化剤>
第1長尺状有機圧電体121等は、更に、一分子中に、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200以上60000以下の安定化剤(B)を含有することが好ましい。これにより、耐湿熱性をより向上させることができる。
安定化剤(B)としては、国際公開第2013/054918号の段落0039~0055に記載された「安定化剤(B)」を用いることができる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にカルボジイミド基を含む化合物(カルボジイミド化合物)としては、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物が挙げられる。
モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス-2,6-ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、等が好適である。
また、ポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができる。従来のポリカルボジイミドの製造方法(例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47-33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069-2075(1963)、Chemical Review 1981,Vol.81 No.4、p619-621)により、製造されたものを用いることができる。具体的には特許4084953号公報に記載のカルボジイミド化合物を用いることもできる。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(N,N’-ジ-2,6-ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニレン-2,4-カルボジイミド、等が挙げられる。
環状カルボジイミド化合物は、特開2011-256337号公報に記載の方法などに基づいて合成することができる。
カルボジイミド化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、東京化成社製、B2756(商品名)、日清紡ケミカル社製、カルボジライト(登録商標)LA-1(商品名)、ラインケミー社製、Stabaxol P、Stabaxol P400、Stabaxol I(いずれも商品名)等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にイソシアネート基を含む化合物(イソシアネート化合物)としては、イソシアン酸3-(トリエトキシシリル)プロピル、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にエポキシ基を含む化合物(エポキシ化合物)としては、フェニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、上述のとおり200以上60000以下であるが、200以上30000以下がより好ましく、300以上18000以下がさらに好ましい。
分子量が上記範囲内ならば、安定化剤(B)がより移動しやすくなり、耐湿熱性改良効果がより効果的に奏される。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、200以上900以下であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量200以上900以下は、数平均分子量200以上900以下とほぼ一致する。また、重量平均分子量200以上900以下の場合、分子量分布が1.0である場合があり、この場合には、「重量平均分子量200以上900以下」を、単に「分子量200以上900以下」と言い換えることもできる。
第1長尺状有機圧電体121等が安定化剤(B)を含有する場合、第1長尺状有機圧電体121等は、安定化剤を1種のみ含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
第1長尺状有機圧電体121等が安定化剤(B)を含む場合、安定化剤(B)の含有量は、ヘリカルキラル高分子(A1)100質量部に対し、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上3質量部以下であることがさらに好ましく、0.5質量部以上2質量部以下であることが特に好ましい。
安定化剤(B)の含有量が0.01質量部以上であると、耐湿熱性がより向上する。
また、上記含有量が10質量部以下であると、透明性の低下がより抑制される。
安定化剤(B)の好ましい態様としては、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有し、且つ、数平均分子量が200以上900以下の安定化剤(B1)と、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を1分子内に2以上有し、且つ、重量平均分子量が1000以上60000以下の安定化剤(B2)とを併用するという態様が挙げられる。なお、数平均分子量が200以上900以下の安定化剤(B1)の重量平均分子量は、大凡200以上900以下であり、安定化剤(B1)の数平均分子量と重量平均分子量とはほぼ同じ値となる。
安定化剤として安定化剤(B1)と安定化剤(B2)とを併用する場合、安定化剤(B1)を多く含むことが透明性向上の観点から好ましい。
具体的には、安定化剤(B1)100質量部に対して、安定化剤(B2)が10質量部以上150質量部以下の範囲であることが、透明性と耐湿熱性の両立という観点から好ましく、50質量部以上100質量部以下の範囲であることがより好ましい。
以下、安定化剤(B)の具体例(安定化剤(B-1)~(B-3))を示す。
Figure 2023049853000003
以下、安定化剤(B-1)~(B-3)について、化合物名、市販品等を示す。
・安定化剤(B-1)… 化合物名は、ビス-2,6-ジイソプロピルフェニルカルボジイミドである。重量平均分子量(この例では、単なる「分子量」に等しい)は、363である。市販品としては、ラインケミー社製「Stabaxol I」、東京化成社製「B2756」が挙げられる。
・安定化剤(B-2)… 化合物名は、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約2000のものとして、日清紡ケミカル社製「カルボジライト(登録商標)LA-1」が挙げられる。
・安定化剤(B-3)… 化合物名は、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニレン-2,4-カルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約3000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P」が挙げられる。また、重量平均分子量20000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P400」が挙げられる。
<その他の成分>
第1長尺状有機圧電体121等は、必要に応じ、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の公知の樹脂;シリカ、ヒドロキシアパタイト、モンモリロナイト等の公知の無機フィラー;フタロシアニン等の公知の結晶核剤;安定化剤(B)以外の安定化剤;等が挙げられる。
無機フィラー及び結晶核剤としては、国際公開第2013/054918号の段落0057~0058に記載された成分を挙げることもできる。
(配向度F)
第1長尺状有機圧電体121等の配向度Fは、上述したとおり、0.5以上1.0未満であるが、0.7以上1.0未満であることが好ましく、0.8以上1.0未満であることがより好ましい。
第1長尺状有機圧電体121等の配向度Fが0.5以上であれば、延伸方向に配列するヘリカルキラル高分子(A1)の分子鎖(例えばポリ乳酸分子鎖)が多く、その結果、配向結晶の生成する率が高くなり、より高い圧電性を発現することが可能となる。
第1長尺状有機圧電体121等の配向度Fが1.0未満であれば、縦裂強度が更に向上する。
(結晶化度)
第1長尺状有機圧電体121等の結晶化度は、上述のX線回折測定(広角X線回折測定)によって測定される値である。
第1長尺状有機圧電体121等の結晶化度は、好ましくは20%以上80%以下であり、より好ましくは25%以上70%以下であり、更に好ましくは30%以上60%以下である。
結晶化度が20%以上であることにより、圧電性が高く維持される。結晶化度が80%以下であることにより、第1長尺状有機圧電体121等の透明性が高く維持される。
結晶化度が80%以下であることにより、例えば、第1長尺状有機圧電体121等の原料となる有機圧電フィルムを延伸によって製造する際に白化や破断がおきにくいので、第1長尺状有機圧電体121等を製造しやすい。また、結晶化度が80%以下であることにより、例えば、第1長尺状有機圧電体121等の原料(例えばポリ乳酸)を溶融紡糸後に延伸によって製造する際に屈曲性が高く、しなやかな性質を有する繊維となり、第1長尺状有機圧電体121等を製造しやすい。
本実施形態の生体情報検出装置50は、被験者又は被験動物(以下、これらをまとめて「被験体」ともいう)の生体信号を検出することにより、被験体の生体情報を取得するための装置である。
ここでいう生体信号としては、脈波信号(心拍信号)、呼吸信号、体動信号、心弾動、生体振戦、等が挙げられる。
生体振戦とは、身体部位(手指、手、前腕、上肢など)の律動的な不随意運動のことである。
また、上記心弾動の検出には、身体の心機能による力の効果の検出も含まれる。
即ち、心臓が大動脈及び肺動脈に血液をポンピングする場合、体は、血流と反対の方向に反動力を受ける。この反動力の大きさ及び方向は、心臓の機能的な段階とともに変化する。この反動力は、身体の外側の心弾動をセンシングすることによって検出される。
生体情報検出装置50は、ソファー、イス、デスク、テーブル、シート、座席、便座、マッサージチェア、ベッド、ベッドパット、カーペット、かご、マスク、包帯、ロープ、各種ネット、バスタブ、床材、壁材、パソコン、マウス等の各種物品に配設されて使用される。
生体情報検出装置50が配設される物品としては、履物、インソール、シーツ、座布団、クッション、布団、布団カバー、枕、枕カバー、ソファー、イス、シート、座席、便座、ベッド、カーペット、バスタブ、床材等、被験体の体重がかかる物品が好ましい。より具体的には、乳幼児用手押し車のシート、座席部、車輪、乳幼児の転落を防止するためのストッパー等;車いす用のシート、座席部等;医療用保育器のマット;等が好ましい。
以下、生体情報検出装置50の動作の一例を説明する。
生体情報検出装置50は、例えばベッド上又はイスの座面上などに配設される。この生体情報検出装置50上に被験体が、横臥、着座、又は起立する。この状態で、被験体から発せられる生体信号(体動、周期的な振動(脈、呼吸など)、人間の「かわいい」、「怖い」などの感性が原因で変化した心拍数等)によって、生体情報検出装置50に張力が付与されると、圧電センサに含まれるヘリカルキラル高分子(A1)に分極が生じ、張力に比例した電位が発生する。この電位は被験体から発せられる生体信号に伴って経時的に変化する。例えば、被験体から発せられる生体信号が、脈、呼吸などの周期的な振動である場合には、生体情報検出装置50にて発生する電位も、周期的に変化する。
生体情報検出装置50への張力の付与に伴って発生した電位の経時的な変化を、電圧信号として測定モジュールにより取得する。取得される電位の経時的な変化(電圧信号)は、複数の生体信号(脈波信号(心拍信号)、呼吸信号、体動信号)の合成波である。この合成波をフーリエ変換によって周波数ごとに分離し、分離信号を生成する。生成した分離信号の各々を逆フーリエ変換することにより、分離信号の各々に対応する生体信号をそれぞれ得る。
例えば、被験体から発せられる生体信号が心拍信号と呼吸信号との合成波である場合、生体情報検出装置50への張力の付与に伴って発生する電位は、経時的に周期的に変化する。
一般に、人の脈は一分間当たり50回以上90回以下であって周期としては0.6Hz以上3Hz以下である。また、一般に、人の呼吸は一分間当たり16回以上18回以下であって周期としては0.1Hz以上1Hz以下である。また、一般に、人の体動は10Hz以上である。
これらの目安に基づき、複数の生体信号の合成波を、それぞれの生体信号に分離することができる。さらに心拍信号から速度脈波の信号を得ることもできる。
複数の生体信号の合成波のそれぞれの生体信号への分離は、例えば生体信号報知プログラムを用い、上記フーリエ変換及び上記逆フーリエ変換によって行う。
以上のようにして、複数の生体信号の合成波を、複数の生体信号の各々に分離することができる。
更に、上記のようにして分離された生体信号の少なくとも1つに基づき、生体信号データを生成してもよい。
生体信号データは、生体信号に基づいて算出されたものであれば、特に限定されない。 生体信号データとしては、例えば、単位時間当たりの生体信号数、過去の生体信号数の平均値などが挙げられる。
[第2実施形態]
第1実施形態では、第1圧電センサ10A、及び第2圧電センサ10Bに係る各々の電圧信号を差動増幅した差動信号を用いて、生体情報を検出する形態について説明した。本実施形態では、第1圧電センサ10A、及び第2圧電センサ10Bに係る電圧信号を用いて、生体情報を検出する形態について説明する。
なお、本実施形態に係る支持体を示す概略構成図(図3参照)、圧電基材の一例を示す断面図(図4参照)、FFTの解析結果を示すグラフ(図6参照)、及び第1圧電センサを示す正面図(図7参照)は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、第1圧電センサの断面を示す断面図(図8参照)、及び第1圧電センサの他の態様を示す正面図(図9、及び図10参照)は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図11を参照して、本実施形態に係る生体情報検出装置50について説明する。図11は、本開示の実施形態に係る生体情報検出装置50の概略構成図である。なお、図11における図1に示す生体情報検出装置50の構成と同一の構成については、図1と同一の符号を付して、その説明を省略する。
生体情報検出装置50は、図11に示すように、第1圧電センサ10Aと、第2圧電センサ10Bと、第1同軸ケーブル20Aと、第2同軸ケーブル20Bと、情報処理ユニット40とを備える。第1圧電センサ10Aは、第1同軸ケーブル20Aを介して、情報処理ユニット40と電気的に接続されている。第2圧電センサ10Bは、第2同軸ケーブル20Bを介して、情報処理ユニット40と電気的に接続されている。
第1同軸ケーブル20Aは、第1導線21Cと、第1絶縁層22Aと、第1導体層23Cとを有する。第1導線21Cは、第1圧電センサ10Aの第1内部導体11Aと情報処理ユニット40とを電気的に接続する。第1絶縁層22Aは、第1導線21Cを覆う。つまり、第1導線21Cと第1導体層23Cとは物理的に接触していない。第1導体層23Cは、第1圧電センサ10Aの第1外部導体13Aに電気的に接続されている。また、第1導体層23Cは、接地されている。第1導体層23Cは、第1絶縁層22Aを覆う。
第2同軸ケーブル20Bは、第2導線21Dと、第2絶縁層22Bと、第2導体層23Dとを有する。第2導線21Dは、第2圧電センサ10Bの第2内部導体11Bと情報処理ユニット40とを電気的に接続する。第2絶縁層22Bは、第2導線21Dを覆う。つまり、第2導線21Dと第2導体層23Dとは物理的に接続していない。第2導体層23Dは、第2圧電センサ10Bの第2外部導体13Bに電気的に接続されている。また、第2導体層23Dは、接地されている。第2導体層23Dは、第2絶縁層22Bを覆う。
情報処理ユニット40は、第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bから出力された電圧信号をデジタル信号に変換し、データ処理を行う。データ処理は、電圧信号の表示、外力Fの検知、電圧信号の記録等を含む。情報処理ユニット40の詳細については、図12を参照して後述する。
図12を参照して、第2実施形態に係る生体情報検出装置50のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係る生体情報検出装置50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
一例として図12に示すように、生体情報検出装置50は、第1圧電センサ10A、第2圧電センサ10B、及び情報処理ユニット40を備えている。第1圧電センサ10A、第2圧電センサ10B、及び情報処理ユニット40は、電気的に接続されている。
情報処理ユニット40は、処理用PC41、及びAD変換器42を備えている。処理用PC41は、CPU41A、ROM41B、RAM41C、ストレージ41D、通信I/F41E、モニタ41F、入出力I/F41Gを含んで構成されている。CPU41A、ROM41B、RAM41C、ストレージ41D、通信I/F41E、モニタ41F、及び入出力I/F41Gは、バス41Hを介して相互に通信可能に接続されている。
CPU41Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU41Aは、ROM41B又はストレージ41Dからプログラムを読み出し、RAM41Cを作業領域としてプログラムを実行する。本実施形態では、ストレージ41Dに各種処理を実行するための実行プログラムが記憶されている。CPU41Aは、実行プログラムを実行することで、図13に示す検知部71B、変換部72B、特定部73B、検出部74B、及び出力部75Bとして機能する。
AD変換器42は、第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bから出力されたアナログ信号である電圧信号をデジタル信号に変換する。
(生体情報検出装置の作用)
図13は、生体情報検出装置50の機能構成の例を示すブロック図である。図13に示すように、生体情報検出装置50は、検知部71B、変換部72B、特定部73B、検出部74B、及び出力部75Bを備えている。各機能構成は、CPU41Aがストレージ41Dに記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
検知部71Bは、入出力I/F41Gを介して第1圧電センサ10A、及び第2圧電センサ10Bにおける電圧信号を検知する。
変換部72Bは、高速フーリエ変換(FFT)を用いて、検知部71Bによって検知された第1圧電センサ10A、及び第2圧電センサ10Bに係る電圧信号を、時間毎の電圧信号から周波数毎の電圧信号に変換する。
特定部73Bは、変換部72Bによって変換されたFFTの解析結果を用いて、生体情報を特定する。具体的には、特定部73Bは、FFTの解析結果における解析値のピーク値を特定して、生体情報を特定する。例えば、特定部73Bは、第1圧電センサ10Aに係る解析値のピーク値を特定し、解析値のピーク値と、当該ピーク値に対応する第2圧電センサ10Bの解析値のピーク値と、の比が0.5以下である場合、当該周波数の電圧信号を生体情報として特定する。具体的には、特定部73Bは、第1圧電センサ10Aに係る解析値のピーク値に対する、当該ピーク値に対応する第2圧電センサ10Bの解析値のピーク値の比が0.5以下である場合、当該周波数の電圧信号を生体情報として特定する。
一例として図14にFFTの解析結果として、第1圧電センサ10Aに係る電圧信号の解析値81と、第2圧電センサ10Bに係る電圧信号の解析値82と、を示す。特定部73Bは、例えば、図14に示すFFTの解析結果を用いて、1Hzから1.2Hzの範囲において示されている解析値81のピーク値を特定する。特定部73Bは、当該ピーク値に対応する解析値82のピーク値と、解析値81のピーク値と、の比が0.5以下である場合、心拍を示す生体情報として、当該ピーク値に係る周波数の電圧信号を特定する。具体的には、特定部73Bは、解析値81のピーク値に対する解析値82のピーク値の比が0.5以下である場合、当該周波数の電圧信号を生体情報として特定する。
検出部74Bは、生体情報として、時間毎の電圧信号から、特定した周波数に係る電圧信号を検出する。
出力部75Bは、検出部74Bによって検出された生体情報をモニタ41Fに出力する。なお、検出した生体情報は、通信I/F41Eを介して、外部の装置に出力してもよいし、ストレージ41Dに記憶されてもよい。
なお、本実施形態では、FFTの解析結果を用いて、生体情報を特定する形態について説明した。しかし、これに限定されない。第1圧電センサ10A、及び第2圧電センサ10Bから検知した各々の時間毎の電圧信号を用いて、生体情報を特定してもよい。例えば、第1圧電センサ10Aは、生体情報及びシートクッション61による振動を検知し、第2圧電センサ10Bは、シートクッション61による振動を検知する。そのため、第1圧電センサ10Aにおける時間毎の電圧信号と、第2圧電センサ10Bにおける時間毎の電圧信号と、の差分は、生体情報を示している。すなわち、特定部73Bは、第1圧電センサ10Aにおける時間毎の電圧信号と、第2圧電センサ10Bにおける時間毎の電圧信号と、の差分を導出することによって生体情報を特定してもよい。
以上、第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bに係る電圧信号を用いる場合であっても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、人体以外の外部からの振動を検出し得る状況において、精度よく生体情報を検出できる
[備考]
なお、上述した実施形態では、第1実施形態では計装アンプ30から検知した差動信号を用いて、生体情報を検出する形態について説明した。第2実施形態では第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bから検知した電圧信号を用いて、生体情報を検出する検知する形態について説明した。しかし、これに限定されない。第1実施形態及び第2実施形態を組み合わせてもよい。すなわち、第1圧電センサ10A、第2圧電センサ10B、及び計装アンプ30から各々の電圧信号、及び差動信号を検知してもよい。例えば、差動電圧の電圧信号におけるFFTの解析結果を用いて、解析値のピーク値を特定し、当該ピーク値に対応する第1圧電センサ10Aに係る解析値81と、第2圧電センサ10Bに係る解析値82と、の比(解析値81に対する解析値82)を導出し、導出した比が0.5以下である場合、当該周波数の電圧信号を生体情報として特定してもよい。
[実施例1]
(第1圧電センサ及び第2圧電センサの作製)
10質量部の下記の安定化剤Aと、70質量部の下記の安定化剤Bと、20質量部の下記の安定化剤Cとを混合して、安定化剤Dを得た。次いで、100質量部の下記のポリ乳酸に、1.0質量部の安定化剤Dを添加し、ドライブレンドして原料を作製した。
ポリ乳酸、安定化剤A、安定化剤B、及び安定化剤Cは、下記の製品を用いた。
ポリ乳酸:「IngeoTM biopolymer 4032D」(NatureWorks LLC社製、ヘリカルキラル高分子(A))
安定化剤A:「Stabaxol P400」(ラインケミー社製、重量平均分子量:20000)
安定化剤B:「Stabaxol I」(ラインケミー社製、重量平均分子量:363)
安定化剤C:「カルボジライト(登録商標)LA-1」(日清紡ケミカル社製、重量平均分子量:2000)
作製した原料を押出成形機ホッパーに入れて、210℃に加熱しながらTダイから押し出し、50℃のキャストロールに0.3分間接触させて、厚さ150μmの予備結晶化シートを製膜した(予備結晶化工程)。得られた予備結晶化シートを70℃に加熱しながらロールツーロールで、延伸速度10m/分で延伸を開始し、3.5倍までシートの流れ方向(MD:Machine Direction)方向に一軸延伸した(延伸工程)。
その後、一軸延伸フィルムを、ロールツーロールで、145℃に加熱したロール上に15秒間接触させアニール処理し、急冷を行って、有機圧電フィルムを作製した(アニール処理工程)。
次いで、スリット加工機を用いて、有機圧電フィルムをスリットする方向と有機圧電フィルムの延伸方向とが略平行となるようにスリットして、幅0.6mm、平均厚さ50μmの有機圧電フィルムのスリットリボン(第1長尺状有機圧電体121)を得た。
有機圧電フィルムのスリットリボンが左巻きの第1圧電センサ10Aと、有機圧電フィルムのスリットリボンが左巻きの第2圧電センサ10Bとを、以下のようにして準備した。
第1内部導体11A及び第2内部導体11Bとして、半径が0.135mm、長さ100mmの錦糸線を準備した。錦糸線は、ポリエステルの糸に銅箔が右巻きに巻かれたものを用いた。得られた有機圧電フィルムのスリットリボンを左巻きに、錦糸線の長軸方向に対して45°の角度(螺旋角度)で、錦糸線が見えないよう(露出しないよう)隙間なく、螺旋状に巻回し、錦糸線を包接した。これにより、錦糸線及びスリットリボン(第1圧電体12A及び第2圧電体12B)からなる同軸線構造体を得た。このときの錦糸線へのスリットリボンの巻回数は17回/cmであった。
次に、第1外部導体13A及び第2外部導体13Bとして、幅0.6mm、厚さ100mmにスリットカットした銅箔リボンを準備した。この銅箔リボンを、上述した有機圧電フィルムのスリットリボンと同様の方法により、同軸線構造体のスリットリボンの周りに、有機圧電フィルムのスリットリボンが見えないよう隙間なく巻回し包接した。このようにして、第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bを得た。第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bの錦糸線の平均半径及びスリットリボンの平均厚さを既述の方法で測定した。第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bの錦糸線の平均半径は0.135mmであり、スリットリボンの平均厚さは0.05mmであった。
<センサマットの作製>
長さ400mmにカットした第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bを用意し、第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bをジャックコネクタ付きの2mの第1同軸ケーブル20A及び第2同軸ケーブル20B(3C2V)に電気的にそれぞれ接続した。
詳しくは、第1圧電センサ10Aをメス型コネクタに接続する際に、第1圧電センサ10Aの第1内部導体11Aの後側の端部と、メス型コネクタの中心側の端子と、を半田付けし、第1圧電センサ10Aの第1外部導体13Aの後側の端部と、メス型コネクタの外側の端子と、を半田付けし、金属製のカバーをねじ締めして取り付けた。
第1同軸ケーブル20Aにおいて、第1導線21Aと、第1内部導体11Aが接続されているメス型コネクタ端子に対応するオス型コネクタ端子と、を半田付けして接続した。第1同軸ケーブル20Aにおいて、第1導体層23Aと、第1外部導体13Aが接続されているメス型コネクタ端子に対応するオス型コネクタ端子と、を半田付けして準備し、コネクタを差し込んで接続した。また、コネクタの接続部には、短絡しないように注意し、銅箔を用いてシールドとして巻きつけて外部銅箔に接続される端子側と半田付けして固定した。第2圧電センサ10Bについても第1圧電センサ10Aと同様にコネクタに接続した。
次に、第1圧電センサ10Aをクッションの上側にカプトンテープで貼り付けた。ここで、クッションには、ニトリ製 低反発シートクッション「ブレサ」を用いた。具体的には、図15に示すように、クッションの外部のカバーを取り外し、人が座った際に、太腿が来る位置(クッションの上部、かつ奥行き方向における手前側の端部から約4cmの位置)に幅方向と平行になるように第1圧電センサ10Aを設置し、ずれないようにカプトンテープで貼り付けた。また、第2圧電センサ10Bをクッションの下部に、第1圧電センサと略平行となるように、ずれないようにカプトンテープで第2圧電センサ10Bを貼り付けて固定した。クッションに固定した第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bにおいて、第1同軸ケーブル20A及び第2同軸ケーブル20Bが接続されていない方をクッションのカバーを再度被せた。クッションカバーにおけるジッパーが開かれた位置から第1同軸ケーブル20A及び第2同軸ケーブル20Bを取り出し、第1同軸ケーブル20A及び第2同軸ケーブル20Bのメス型コネクタを、金属筐体に収容された計装アンプ30に電気的に接続した。計装アンプ30には、「INA128」(TI社製)を用いた。
計装アンプ30の第1差動入力端子VIN には、クッションの上部に設置した第1圧電センサ10Aに係る第1同軸ケーブル20Aの第1導線21Aを接続した。計装アンプ30の第2差動入力端子VIN には、クッションの下部に設置した第2圧電センサ10Bに係る第2同軸ケーブル20Bの第2導線21Bを接続した。この出力をバッファアンプに通した後、ゲイン調整用のオペアンプ(TI製、LM358AD)で倍率を10倍に設定し、計装アンプ30の基準端子Vrefに、第1同軸ケーブル20Aの第1導体層23A、第2同軸ケーブル20Bの第2導体層23B、及び計装アンプ30を収容する金属筐体を接続した。
つまり、第1圧電センサ10Aの第1内部導体11Aを、計装アンプ30の第1差動入力端子VIN に電気的に接続した。第2圧電センサ10Bの内部導体11Bを、計装アンプ30の第2差動入力端子VIN に電気的に接続した。第1圧電センサ10Aの第1外部導体13A、及び第2圧電センサ10Bの第2外部導体13Bを、計装アンプ30の基準端子Vrefに電気的に接続した。
次に、このクッションを椅子の上にセットし、計装アンプ30の出力端子VOUTを電圧計に接続し、検体としての人が座った。測定の際、椅子は微弱な不規則な振動が伝わっていた。この状態でセンサの電圧信号を測定した。この信号をNathional Instrument社製の「USB-6002」を用いて、電圧計測を行い、PC(Personal Computer)にデータを取り込み、LabViewのソフトを用いて、電圧の時間変化をパソコンに取り込み、表示した。
図16に示すように、1秒周期に近いタイミングでの電圧のピーク波形が読み取れ、心拍に由来する生体情報が得られた。
ここで、当該USB-6002の入力端子には、第1圧電センサ10Aに係る出力をCh2、第2圧電センサ10Bに係る出力をCh3に入力し、それぞれの電圧信号をFFT解析し、周波数特性を評価した。FFT解析は、LabViewのスペクトル計測構成ExpressVIを用い、振幅計測、ハニング窓を用いてサンプル数:32768、レート1kHzの条件で行った。
被検体に近い箇所に配置された第1圧電センサ10Aから得られたFFT解析のピーク波形において、心拍由来の1Hz近傍の検知レベルの高い最大ピーク値の周波数は、1.19Hzであり、ピーク値は、41.7mVであった。この周波数での第2圧電センサ10Bのピーク値は、16.6mVであった。各々のピーク値を用いて導出した強度比は、0.40であった。
測定される第1圧電センサ10A及び第2圧電センサ10Bの電圧信号において、生体信号以外の信号レベルによっては、それぞれの増幅率を変えて差動検出することによって、生体信号が鮮明に検出される。
[比較例1]
実施例1と同様のセッティングにおいて、第1圧電センサ10Aの生体信号を検出するために、増幅率10倍に調整後、電圧信号の出力を測定して、図17(a)に示す測定結果を得た。得られた測定結果は、生体信号に加え、椅子からの振動等による生体信号とは異なる信号が混在していると考えられるため、生体情報が不明瞭になっている。
[比較例2]
実施例1と同様のセッティングにおいて、第2圧電センサ10Bの信号を検出するために、倍率を10倍に調整後、信号の出力を取り出して、図17(b)に示す検出信号データを得た。得られた検出信号データは、椅子からの振動等による生体信号とは異なる信号が主に検出されていると考えられるため、生体信号が不明瞭になっている。
上述した実施例1における測定結果は、同一契機において、生体信号、及び生体信号とは異なる信号を検知する第1圧電センサ10Aと、生体信号とは異なる信号を検知する第2圧電センサ10Bと、の差動信号を測定した結果である。すなわち、実施例1の測定結果は、第1圧電センサ10Aにおける生体信号とは異なる信号を、第2圧電センサ10Bにおける生体信号とは異なる信号によって、打ち消すことによって、生体信号が鮮明になり、生体情報が検出されることを示している。
なお、上述の本願の開示する技術の一実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
前記圧電体は、圧電定数d33及び圧電定数d31を有し、圧電定数d14を有しない圧電材料を含むシート状圧電体の一方の面が前記内部導体の側となるように、前記シート状圧電体が巻回されてなる
<8>に記載の生体情報検出装置。
(付記2)
前記シート状圧電体は、ポリフッ化ビニリデンを含む
付記1に記載の生体情報検出装置。
10A 第1圧電センサ
10B 第2圧電センサ
11A 第1内部導体
11B 第2内部導体
12A 第1圧電体
12B 第2圧電体
121 第1長尺状有機圧電体
13A 第1外部導体
13B 第2外部導体
30 計装アンプ
50 生体情報検出装置
IN- 第1差動入力端子
IN+ 第2差動入力端子
ref 基準端子

Claims (12)

  1. 所定の場所に設置された支持体に設けられ、かつ前記支持体に支持された人体から受ける圧力を検知する圧電基材である第1の圧電基材と、
    前記支持体に設けられ、前記支持体の振動を検知する圧電基材である第2の圧電基材と、
    プロセッサと、を備え、
    前記プロセッサは、各々の前記圧電基材から検出された出力信号に基づいて生体情報を検出する生体情報検出装置。
  2. 前記支持体は、所定の場所として、移動体に固定され、
    前記第2の圧電基材は、前記移動体による前記支持体の振動を検知する
    請求項1に記載の生体情報検出装置。
  3. 前記第1の圧電基材、及び前記第2の圧電基材は、同一種類の圧電基材であって、
    前記プロセッサは、
    前記第1の圧電基材から検出した出力信号と、前記第2の圧電基材から検出した出力信号と、の差動信号に基づいて生体信号を検出する
    請求項1又は請求項2に記載の生体情報検出装置。
  4. 前記プロセッサは、
    前記第1の圧電基材から検出した出力信号のFFTの解析値における第1のピーク値と、前記第2の圧電基材から検出した出力信号の解析値における前記第1のピーク値に対応する第2のピーク値と、の比が所定条件を満たす周波数のデータを前記生体情報として特定する
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  5. 前記所定条件は、
    前記第1のピーク値に対する前記第2のピーク値の比が0.5以下となる場合である
    請求項4に記載の生体情報検出装置。
  6. 前記第1の圧電基材は、
    前記支持体において、前記人体から圧力を受ける受圧面に沿って設けられている
    請求項1から請求項5の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  7. 前記第2の圧電基材は、
    前記支持体において、前記受圧面に沿って設けられ、かつ前記第1の圧電基材よりも前記人体から離れた箇所に設置される
    請求項6に記載の生体情報検出装置。
  8. 前記圧電基材は、
    長尺状の導体と、
    前記導体に対して一方向に螺旋状に巻回された長尺状の圧電体と、
    を備える請求項1から請求項7の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  9. 前記圧電体は、
    圧電定数d14を有する有機圧電材料を含む長尺状有機圧電体である
    請求項8に記載の生体情報検出装置。
  10. 前記有機圧電材料は、
    光学活性ポリペプチドからなる繊維を示す光学活性ポリペプチド繊維を含む
    請求項9に記載の生体情報検出装置。
  11. 前記圧電体は、
    光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)である
    請求項8から請求項10の何れか1項に記載の生体情報検出装置。
  12. 前記ヘリカルキラル高分子(A)は、
    ポリ乳酸である
    請求項11に記載の生体情報検出装置。
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