JP2023048916A - 着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置 - Google Patents

着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023048916A
JP2023048916A JP2021158500A JP2021158500A JP2023048916A JP 2023048916 A JP2023048916 A JP 2023048916A JP 2021158500 A JP2021158500 A JP 2021158500A JP 2021158500 A JP2021158500 A JP 2021158500A JP 2023048916 A JP2023048916 A JP 2023048916A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base
bottom plate
offshore
seabed
mounting system
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021158500A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7118473B1 (ja
Inventor
博昭 大塚
Hiroaki Otsuka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shikoku Ga Co Ltd
Original Assignee
Shikoku Ga Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shikoku Ga Co Ltd filed Critical Shikoku Ga Co Ltd
Priority to JP2021158500A priority Critical patent/JP7118473B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7118473B1 publication Critical patent/JP7118473B1/ja
Publication of JP2023048916A publication Critical patent/JP2023048916A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/70Wind energy
    • Y02E10/72Wind turbines with rotation axis in wind direction
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/70Wind energy
    • Y02E10/727Offshore wind turbines

Abstract

【課題】水深が40m~120mの海域に構築しながら、工期を短縮して製造コストと設置コストを低減する。【解決手段】着床式洋上架台の構築方法は、海底に設置された状態で粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部と、円筒状の鋼管で形成されて、海底に設置された土台部に下端を連結した状態で、上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部と、収容部に積載される所定量の粒状錘とを準備する準備工程と、土台部と支柱部と粒状錘とを着床式洋上架台の構築領域の洋上に運搬する運搬工程と、構築領域の海底面に、上面が水平面状に整地された基礎部を形成する基礎部形成工程と、土台部を海底に沈めて基礎部の上に設置する土台部設置工程と、支柱部を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部のソケット筒部に支柱部の下端部を挿入して連結する支柱部設置工程と、土台部の収容部に粒状錘を積載する積載工程とを含んでいる。【選択図】図9

Description

本発明は、洋上に設置される着床式洋上架台とその構築方法、及び洋上風力発電装置に関し、とくに、水深を40m~120mとする海域に好適に構築される着床式洋上架台とその構築方法、及び着床式洋上架台を備える洋上風力発電装置に関する。
近年の石油資源の枯渇に伴い、太陽エネルギーに代表される再生可能エネルギーが注目されている。しかしながら、太陽光発電は、天気による変動が大きく、また、夜間には発電できないため、これに代わる再生可能エネルギーとして風力発電が注目されている。風力発電は、民家近くでは低周波騒音などの問題が指摘されているため、これを回避するため、洋上に風力発電設備を設置することに注目されている。
洋上風力発電装置は、風力発電機を設置する洋上架台システムの設置方法として、浮体式と固定式(着床式)に大別される(特許文献1ないし3参照)。
浮体式の架台システムを備える洋上風力発電装置は、所定の深さ以上、例えば100m以上の水深を有する海域で設置可能であり、海面に浮かせた状態で使用するため、風力発電装置を同じ規格として多量生産が可能である。ただ、浮体式の風力発電装置の場合、架台システム自体も大型化する必要があって、個々の製造単価が高くなるため、採算が悪くなる問題点があった。また、浮体式の風力発電装置の場合、水深100m以下の海域に設置することは難しい。
これに対して、固定式の架台システムを備える洋上風力発電装置は、土台となる部分を海底に設置するので風力発電装置を安定して支持できる特長があるが、一方で、装置を設置する海域の水深によって、使用する架台システムのタイプによる種々の問題点がある。例えば、水深35m以下の海域では、モノパイルタイプの架台を備える風力発電装置が好適に採用されている。モノパイルタイプの架台は、1本の金属管の下端を海底に固定し、海面上に突出する上端側に風力発電機を配置して支持するので、製造コストを低減できる。ただ、モノパイルタイプの架台は、水深が35m以上になると、製造コストが高くなるため、採算が悪くなる問題点がある。
このため、水深が40m以上の海域では、鉄骨を組み立てたタワー(鉄塔)からなるジャケットタイプの架台を備える風力発電装置が好適に採用されている。このように、鉄塔からなるジャケットタイプの架台システムは、波の影響を受けにくくできる特長がある。また、ジャケットタイプの架台は、石油の採掘等に使用される鉄塔のように、その製造技術が確立されているため、水深がある程度深く(例えば40m以上)なっても、これに対応して製造することができる。ただ、石油の採掘に比べて風力発電では収益が少なく、採算が悪くなる問題点がある。とくに、ジャケットタイプの架台は、鉄塔の下端を海底に固定するために、太くて長いアンカーを地下深くに打設する必要があり、設置コストが極めて大きくなる。また、ジャケットタイプの架台は、鉄骨で製造されるので耐用年数が約25年と短く、長期間にわたって使用できないため、風力発電装置を維持するためには、このジャケットを交換する必要があり、さらに採算が悪化してしまう。
特開2016-113996号公報 特開2005-180239号公報 特開2003-206852号公報 特開2017-203305号公報
さらに、着床式の基礎として特許文献4に、洋上施設の基礎が開示される。この公報に記載される洋上施設の基礎は、海底に設置される底版部と、底版部と一体に定着される鋼製桁部材を有する桁部と、底版部と分離自在に底板部上に配置される中詰材と、底版部から立ち上がる鋼管支柱であって、鋼管支柱の上端部に洋上施設のタワーの下端部が接続され、鋼管支柱の下方側面に鋼製桁部材の一端が接合される鋼管支柱と、底版部から外周側に一体に立設する側壁部とを備えている。この構造の基礎は、鋼製桁部材を介して鋼管支柱に一体的に固定された底版部の周囲に立設する側壁部を備えており、この底版部を海底に設置した状態で、底版部上に分離自在に配設される中詰材を充填して海底に設置する状態で鋼管支柱の上端を洋上に配置する構造としている。
ただ、以上の構造の基礎は、底版部を鉄筋コンクリート製とするため、底版部の製造に時間がかかる欠点がある。それは、型枠を設置した状態でコンクリートを打設した後、コンクリートが降下するのに時間を要するからである。このため、この基礎は、短期間で構築することができず、構築にかかるコストを低減できない問題点がある。また、この公報には、底版部として鋼製であっても良い旨が記載される。ところが、底版部を鋼製とすると、全体の重量が軽くなるため、水深の深い海底に沈降できない問題点がある。とくに、この底版部は、鋼管支柱の下端を重り部として底版部に一体的連結しているので、鋼管支柱の内部には中空部が形成される構造となっている。この構造の基礎を海底に沈めようとすると、水深が浅い場合には沈降できるが、水深が深くなると、中空状の支柱にはたらく浮力が大きくなるため、スムーズに海底に沈降できない問題点がある。とくに、底版部を鋼製とすると、ますます重量が軽くなって水深の深い海底に沈降できなくなる。このため、この公報に記載される基礎は、水深が40m以下の海域においては実施できても、水深を40m以上とする海域においては有効に活用できなくなる。
特に、近年では風力発電機として発電電力が10MW以上のものが主流となりつつ有り、このような大型の風力発電機を支持する基礎としては、鋼管支柱の外径を大きくする必要がある。困ったことに外径の大きな鋼管支柱では、さらに浮力が大きくなるため、ますます水深の深い海域では利用が困難になってしまう問題点がある。
以上のように、水深が40m~120mの海域においては、風力発電装置の架台として未だ有効な技術が確立されていないのが現状である。とくに、海岸線が長く、急深な沿岸域の多い日本においては、風況に適した海域として中水域の海域も多く、これらの海域における経済性の高い方式の実用化・普及が急務となっている。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、水深が40m~120mの海域においても構築可能であって、工期を短縮して製造コストと設置コストを低減できる着床式洋上架台とその製造方法、及び洋上発電装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明のある態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台の構築方法である。この構築方法は、海底に設置された状態で粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部であって、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、を備える土台部と、円筒状の鋼管で形成されて、海底に設置された土台部に下端を連結した状態で、上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部と、収容部に積載される所定量の粒状錘と、を準備する準備工程と、土台部と支柱部と粒状錘とを着床式洋上架台の構築領域の洋上に運搬する運搬工程と、構築領域の海底面に、上面が水平面状に整地された基礎部を形成する基礎部形成工程と、土台部を海底に沈めて基礎部の上に設置する土台部設置工程と、支柱部を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部のソケット筒部に支柱部の下端部を挿入して連結する支柱部設置工程と、土台部の収容部に粒状錘を積載する積載工程とを含んでいる。
上記方法によれば、底板部の中央部にソケット筒部を備える土台部を海底に設置した後、鋼管で形成された支柱部を海中に沈めて、支柱部の下端部をソケット筒部に挿入して土台部に連結するので、土台部と支柱部とを別工程で海中に沈めることで、構築海域の水深に起因する悪影響を抑制しながら、土台部と支柱部を速やかに沈降させて定位置に設置できる。とくに、土台部と支柱部とを別部材として製造することで、製造や運搬にかかる時間と費用を低減でき、構築にかかる工期を短縮してコストを削減できる。また、土台部を鋼鉄製とすることで、従来のように、コンクリートで基礎を構築する構造に比べて、土台部の製造にかかる手間と時間を低減して、土台部の製造コストを大幅に削減できる。さらにまた、土台部は、周壁部の内側に形成された収容部に粒状錘を積載することにより粒状錘の重量で定位置に保持されて支柱部を垂直姿勢に保持するので、土台部と粒状錘とを別々に運搬することで、運搬にかかるコストを低減しながら、多量の粒状錘であっても、容易に運搬して積載できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、支柱部設置工程の後工程として、ソケット筒部に挿入された支柱部の下端部の内部に水中コンクリートを充填するコンクリート充填工程を含んでいる。上記方法によると、水中で連結される土台部のソケット筒部と支柱部の下端部とを水中コンクリートを介して一体的に固定できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、積載工程が、土台部設置工程の前工程として、または土台部設置工程において、収容部に粒状錘を積載する第1積載工程と、土台部設置工程の後工程として、収容部に粒状錘を積載する第2積載工程とを含んでいる。
上記方法によると、土台部を海底に沈める前工程として、または、土台部を海底に沈める工程において、第1積載工程として収容部に粒状錘を積載し、土台部を海底に沈めた後、第2積載工程として収容部に粒状錘を積載するので、多量の粒状錘を分割して収容部に積載できる。とくに、第1積載工程では、洋上又は海面近くにおいて収容部に粒状錘を積載できるので、能率良く、しかも正確に多量の粒状錘を収容部に積載できる。また、収容部に粒状錘を積載して重量を大きくした状態で土台部を海底に沈降させるので、降下する土台部にはたらく潮流等の影響を抑制しながら正確な位置に速やかに沈降できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、準備工程において、土台部の底板部の外周に沿って立設される周壁部を底板部に水密に連結して、土台部全体を上方開口の箱形に形成し、運搬工程において、土台部を海面上に浮かせた状態で曳航して構築領域の洋上まで運搬する。上記方法によると、土台部を海面上に浮かせた状態で曳航して運搬できるので、運搬にかかる時間を短縮しながら、運搬コストを低減できる。
本発明のある態様に係る着床式洋上架台は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、海底に配置される鋼鉄製の土台部と、下端を土台部に連結して、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長されてなる円筒状の鋼管で形成された支柱部と、土台部に積載される粒状錘を収容するための収容部とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に収容部を形成する周壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。
上記構成によれば、海底に配置される土台部が、鋼管で形成される支柱部の下端部が挿入されるソケット筒部を底板部の中央部に備え、支柱部の下端部をソケット筒部に挿入して支柱部と土台部とを連結するので、土台部と支柱部とを別々に製造して運搬でき、製造コストと輸送コストを低減できる。また、設置時においては、構築海域の水深による悪影響を抑制しながら、土台部と支柱部とを別々に海中に沈めて連結できるので設置作業を容易にして、工期を短縮できると共に、構築にかかる費用を低減できる特長が実現できる。また、土台部を鋼鉄製とすることで、従来のように、コンクリートで基礎を構築する構造に比べて、土台部の製造に係る手間と時間を低減して、土台部の製造コストを大幅に削減できる。さらにまた、土台部は、底板部の外周に沿って立設した周壁部の内側に形成された収容部に粒状錘を積載することにより粒状錘の重量で定位置に保持されて支柱部を垂直姿勢に保持するので、土台部と粒状錘とを別々に運搬することで、運搬にかかるコストを低減しながら、多量の粒状錘であっても、容易に運搬して積載できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部のソケット筒部が、上方に向かって内形が次第に大きくなるテーパー形状で、支柱部の下端部が、下端に向かって外形が次第に小さくなるテーパー形状である。上記構成によると、下端に向かって次第に外形が小さくなる支柱部の下端部を、上方に向かって次第に内形が大きくなるソケット筒部に対して、簡単かつ確実に案内して連結作業を容易にできる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部が海底に設置された状態で、ソケット筒部に挿入される支柱部の下端部の内部に水中コンクリートを充填している。上記構成によると、水中で連結される土台部のソケット筒部と支柱部の下端部とを水中コンクリート介して一体的に連結できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部が、ソケット筒部の中央部に水中コンクリートに埋設される第1のアンカー部を備えており、支柱部が、下端部の内側に水中コンクリートに埋設される第2のアンカー部を備えている。上記構成によると、ソケット筒部に挿入される支柱部の下端部に充填される水中コンクリートに埋設される第1のアンカー部及び第2のアンカー部を介して土台部と支柱部の下端部とを確実に固定できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、周壁部が、底板部と分離可能な筒体であって、底板部の上面に載置されて定位置に配置されている。上記構成によると、周壁部を底板部と分離可能な筒体とすることで、周壁部を底板部に対して溶接等により固定することなく、底板部の上面に載置して定位置に配置できる。このため、土台部の製造時間と製造コストをさらに低減できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部の周壁部の平面視における外形が、多角形状または方形状である。上記構成によると、土台部の周壁部の平面視における外形を多角形状または方形状とするので、鋼鉄製の底板部の外形を直線形状に加工できると共に、鋼鉄製の平板を使用して周壁部を形成できるので製造コストを低減できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部の周壁部の平面視における外形が、円形状である。上記構成によると、土台部の平面視を円形状とすることで、土台部に対して潮流を方向性なく作用させて受け流すことができる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、収容部に積載される粒状錘が、砂利、砕石、鉱石、スラグのいずれかである。上記構成により、粒状錘を、砂利、砕石、鉱石、スラグのいずれかとすることで、収容部内への粒状錘の充填が容易となる上、粒状錘を除去する際には、サクションや水中ポンプ等の吸引装置を使用して効率よく粒状錘を吸引して除去できる。また、粒状錘をスラグとする構造においては、廃棄物として多量に発生するスラグを有効利用しながら、製造コストを低減できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部の外径が20m以上で、支柱部の全長が50m以上である。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部を、水深40m~120mの海底に設置している。上記構成によると、支柱部と土台部とを別部材とすることで、支柱部と土台部とを別々に水中に沈めて連結できるので、鋼管で形成される支柱部に作用する浮力の影響を最小限にしながら、水深が40m~120mの海域においても設置作業を容易にできる。
本発明のある態様に係る着床式洋上架台を備える洋上風力発電装置は、以上のいずれかに記載の着床式洋上架台と、支柱部の上端に設置された風力発電機とを備えている。
本発明の実施形態1に係る洋上風力発電装置の一部断面概略正面図である。 図1に示す洋上風力発電装置の着床式洋上架台の一部断面概略正面図である。 図2に示す着床式洋上架台の拡大断面図である。 図3に示す着床式洋上架台の拡大断面斜視図である。 図3に示す着床式洋上架台の土台部の斜視図である。 土台部の他の一例を示す斜視図である。 土台部の板の一例を示す分解斜視図である。 土台部の他の一例を示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる着床式洋上架台の構築方法を示す工程図である。 積載工程の他の一例を示す工程図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下に特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部品を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
本発明の着床式洋上架台は、風力発電を行う風力発電機を洋上に設置するための架台であって、主として、水深を40m~120mとする海洋上に風力発電機を設置するための架台である。ただ、着床式洋上架台は、風力発電用の風況データの計測を行う風況観測機を設置することもできる。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る着床式洋上架台9の上に風力発電機6を設置した洋上風力発電装置100の設置状態を示す一部断面概略正面図である。図2ないし図5は、図1に示す洋上風力発電装置100の着床式洋上架台9を示す図であって、図2は一部断面概略正面図を、図3及び図4は土台部1と支柱部2との連結構造を示す拡大断面図と拡大断面斜視図を、図5は土台部1の斜視図をそれぞれ示している。これらの図に示す着床式洋上架台9は、海底に配置される土台部1と、下端を土台部1に連結して、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長されてなる支柱部2と、土台部1に積載される粒状錘5を収容するための収容部4とを備えている。
(土台部1)
土台部1は、海底に設置される底板部11と、底板部11の中央部に固定されて、支柱部2の下端部2Bが挿入されて連結されるソケット筒部12と、ソケット筒部12の側面と底板部11の上面に固定されて、ソケット筒部12を底板部11に固定する複数の固定壁部13と、底板部11の外周に沿って立設されて、内側に収容部4を形成する周壁部14とを備えている。土台部1は、底板部11、ソケット筒部12、固定壁部13、及び周壁部14を鋼鉄製としている。具体的には、鋼鉄製の複数の板材を切断、接合することで所定の形状に形成している。このように、土台部1を鋼鉄製とする構造は、土台部の製造にコンクリートを使用する従来の構造に比較して、製造にかかる時間を大幅に短縮して、製造コストを低減できる特長がある。
底板部11は、所定の面積を有する鋼鉄製の平板である。底板部11は、例えば、複数枚の鋼板を連結して所定の面積としている。底板部11は、海底に形成される基礎部3の上面に設置されて定位置に配置される。底板部11は、水深40m~120mの海底に設置された状態で、中心部に垂直姿勢で連結される支柱部2を起立姿勢で支持できるように十分に大きな面積に形成される。底板部11は、例えば、最大外径を25m以上であって、好ましくは30m以上として、支柱部2を安定して支持できる。ただ、底板部11は、大きすぎると製造コストや運搬コストが高くなると共に、海底に形成される基礎部3を広くする必要があるので、最大外径を50m以下であって、好ましくは45m以下とする。また、底板部11は、十分な強度を有するように、鋼板の厚さを1~5cmであって、たとえば、2~3cmとする。
図5に示す底板部11は、一辺を30m~45mとする方形状であって、外形を正方形状としている。ただ、底板部11は、長方形とすることも、図6と図7に示すように、円形状とすることも、図8に示すように多角形状とすることもできる。図8に示す底板部11は、正八角形状としている。なお、円形状の底板部11においては、直径が最大外径であり、多角形状の底板部11においては、最大の対角線を最大外径とする。
ソケット筒部12は、略円筒状に形成された鋼鉄製の周壁12Aで形成されており、底板部11の上面の中央部に上方開口の姿勢で固定されている。ソケット筒部12は、内側に支柱部2の下端部2Bを挿入できるように、支柱部2の下端部2Bの外周面に沿う内面形状としている。図に示すソケット筒部12は、上方に向かって内形が次第に大きくなるテーパー形状、すなわち、その内面形状を逆円錐台の側面に沿う形状としており、支柱部2の下端部2Bを下端に向かって外形が次第に小さくなるテーパー形状として、この形状の支柱部2を挿入しやすくしている。とくに、図3に示すソケット筒部12は、支柱部2の下端部2Bをソケット筒部12に挿入して、支柱部2の下端が底板部11に当接する状態で、支柱部2の下端部2Bの外周面がソケット筒部12の内周面に密着する嵌合構造で連結されるようにしている。このように、ソケット筒部12の内形を、支柱部2の下端部2Bの外形に沿う形状として、互いに嵌合状態で連結される構造とすることで、支柱部2の下端部2Bを簡単かつ確実にソケット筒部12に案内しながら、隙間なく連結できる特長がある。ただ、ソケット筒部と支柱部の下端部は必ずしも嵌合するテーパー形状とする必要はなく、互いに嵌合する円筒状とすることもできる。
ソケット筒部12は、円筒状の支柱部2の下端部2Bを内側に挿入した状態で、支柱部2を安定して支持できるように、周壁12Aの厚さを3cm~10cm、好ましくは4cm~8cmとする。また、ソケット筒部12は、周壁12Aの高さを支柱部2の外径よりも大きく、例えば、支柱部2の外径の1.2倍~2倍とする。ソケット筒部12は、周壁12Aの高さを高くして周壁12Aを厚くすることで、安定して支柱部2を支持できる。ただ、ソケット筒部12は、周壁12Aを高くして厚くすると製造コストが高くなるので、好ましくは前述の範囲とする。
ソケット筒部12は、複数の固定壁部13を介して底板部11に固定される。図に示す固定壁部13は、鋼板を所定の形状、図においては略台形状の四角形に切断したもので、底辺を底板部11の上面に固定すると共に、一方の側縁をソケット筒部12の側面である周壁12Aの外周面に固定してソケット筒部12を底板部11の定位置に固定している。ソケット筒部12の側面に固定される側縁は、ソケット筒部12の軸方向に延長して固定されており、固定壁部13を底板部に対して垂直な起立姿勢となるように固定している。図に示す土台部1は、底板部11の中心部に配置されるソケット筒部12の外周面から放射状に延びる複数の固定壁部13を介して、底板部11にソケット筒部12を固定している。このように、ソケット筒部12から放射状に配置された複数の固定壁部13を介してソケット筒部12を底板部11に固定する構造は、支柱部2からソケット筒部12に作用する力を分散させることができ、優れた強度を実現できる。
固定壁部13は、好ましくは、溶接により底板部11とソケット筒部12に接合される。固定壁部13は、その面積を大きくして、底板部11との接合部を長くし、ソケット筒部12との接合部を長くすることで、ソケット筒部12と底板部11との連結強度を強くでき、固定壁部13の厚さを厚くすることで、荷重や応力に対する強度を強くできる。固定壁部13は、例えば、その厚さを1cm~3cmとし、底板部11との接合長さを底板部11の最大外径の1/5以上、好ましくは1/4以上とし、ソケット筒部12との接合長さをソケット筒部12の高さの1/2以上、好ましくは2/3以上とする。
周壁部14は、底板部11の外周に沿って立設されて、その内側に粒状錘5を積載するための収容部4を形成している。図5と図6に示す土台部1は、底板部11の外周縁部に沿って、底板部11の外形に等しい平面形状を有する周壁部14を設けている。図5に示す周壁部14は、所定の高さを有する周壁であって平面視を正方形状としている。平面視を正方形状とする周壁部14は、所定の長さと幅を有する複数枚の鋼板を長さ方向に接合すると共にコーナー部で直角に接合して所定の形状に形成される。図6に示す周壁部14は、所定の高さを有する周壁の平面形所を円形状としている。平面視を円形状とする周壁部14は、所定の長さと幅を有する複数枚の鋼板を所定の曲率半径で湾曲すると共に、複数の鋼板を互いに接合して連結することで円形状に形成される。周壁部14の高さは、内側に形成される収容部4の容積を決定するので、土台部1に要求される重量を考慮して、言い換えると、収容部4に充填される粒状錘5の総重量が最適な重量となるようにその高さが決定される。周壁部14は、例えば、ソケット筒部12の高さ以下であって、例えば、4m~10m、好ましくは5m~8mとする。ただ、収容部に充填して積載される粒状錘の総重量は、収容部の容積だけではなく、粒状錘の密度によっても変化するので、これらのことも考慮して周壁部14の高さを決定する。
図5と図6に示す土台部1は、底板部11の外周に沿って立設された周壁部14を溶接して底板部11に固定している。図5と図6に示す土台部1は、底板部11の外形を周壁部14の外形よりも一回り大きくして、外側に突出するフランジ部15を設けている。これにより、周壁部14は、例えば、下端縁の内側と外側の両方の境界部分を底板部11に溶接して底板部11に対して強固に接合できる。さらに、図に示す周壁部14は、内側に沿って配設された複数の固定リブ16を介して底板部11に固定している。これにより、周壁部14を垂直姿勢として底板部11に対してより強固に固定できる。このように、周壁部14を全周にわたって底板部11に溶接する構造は、周壁部14と底板部11とを水密に連結して、土台部1全体の外観を上方開口の箱形とすることができる。この構造の土台部1は、工場で製造された後、構築領域に運搬する際には、土台部1全体を海面上に浮かせた状態で曳航して運搬できる。したがって、運搬にかかる手間や時間、運搬コストを低減できる特長がある。
ただ、周壁部は、必ずしも底板部11に溶接する必要はなく、また、底板部11に固定する必要もない。例えば、図7及び図8に示すように、円形状または正多角形状に形成された周壁部14を、底板部11に固定することなく、底板部11の上面に載置して定位置に配置することもできる。図7に示す土台部1は、複数の固定壁部14の内、互いに直交して直径方向に延びる4枚の固定壁部13の先端を周壁部14の内周面まで延長することで、また、図8においては、多角形状の周壁部14の対角線方向に延びる4枚の固定壁部13の先端を周壁部14のコーナー部の内周面まで延長することで、これらの固定壁部13を介して周壁部14を位置決めしながら定位置に載置できるようにしている。これらの構造では、周壁部14は底板部11には固定されないが、鋼鉄製の周壁部14は海水に対する比重が大きいため、海中においてもその自重で底板部11に接近した状態に保持されて周壁部14が底板部11から脱落することはない。また、周壁部14の内側に形成される収容部4に積載される粒状錘5の重みで倒れることもない。このように、周壁部14を底板部11に対して非固定状態で配置する構造は、さらに、製造コストを低減できる。
さらに、底板部11に固定する周壁部14は、必ずしも溶接により底板部11に固定する必要はなく、図8の鎖線で示すように、底板部11に固定プレート17を固定し、この固定プレート17にボルト等の連結具を介して固定することもできる。さらに、図8に示す周壁部14は、複数の鋼板14Aを溶接して接合することなく、連結プレート18を介して連結する構造を示している。このように、複数の鋼板14Aを連結プレート18で連結する構造は、ボルト等の連結具を介して、簡単に連結できる特長がある。とくに、隣り合う鋼板14A同士の相対的な角度を連結プレート18で特定しながら正確に連結できる。以上のように、底板部11に対して非固定状態で載置される周壁部14や複数の鋼板14Aを連結プレート18で連結する構造の周壁部14は、必ずしも工場内で土台部1として組み立てる必要はなく、洋上の作業船上において組み立てることもできる。
(支柱部2)
支柱部2は、図1及び図2に示すように、上下方向に延長された柱状であって、下端を海底50に設置された土台部1に連結すると共に、上端を洋上に突出させる鉛直姿勢として海中に配置している。支柱部2は、円筒状の鋼管で形成されており、下端が海底に設置された土台部1に連結された状態で、上端が洋上に突出する全長を有している。図1と図2に示す支柱部2は、海中に配置される本体部2Aの下端部2Bを土台部1を連結し、海面上に突出する突出部2Cの上端に風力発電機6を固定している。支柱部2は、上端を海面から10m~15m突出させる姿勢で配置している。したがって、支柱部2の全長は、設置場所の水深よりも10m~15m長くなるようにしている。例えば、水深を80mとする海域に設置される着床式洋上架台9においては、支柱部2の全長を90m~95mとして、上端部を海面上に10m~15m突出させる。
支柱部2は、上端に設置される風力発電機6を安定して支持するために要求される強度を考慮して最適な外径に設計される。支柱部2の外径は、支柱部2の上に設置する浮力発電機6の規格や、着床式洋上架台9を設置する海域の水深によっても変更される。例えば、図1に示すように、水深40m~120mの海域に設置されて、発電量を10MW~15MWとするサイズの風力発電機6を支持する支柱部2は、外径を大きくすることで安定して支持できる。一例として、水深50m~100mの海域に設置される着床式洋上架台9においては、支柱部2の外径を5m~12m、好ましくは6~10mとすることができる。さらに、支柱部2の厚さは、例えば、これを構成する鋼管の厚さであって、例えば、3cm~10cm、好ましくは4cm~8cmとする。
図1及び図2に示す支柱部2は、所定の外径を有する円筒状の鋼管で形成されている。円筒状の鋼管で形成される支柱部2は、図示しないが、複数本の鋼管を連結して所定の長さに形成される。支柱部2は、たとえば、長さを10m~数十mとする鋼管を複数本連結して、所定の全長としている。各々の鋼管は、対向する端縁同士を溶接して連結し、あるいは端縁に沿って外側に突出するフランジ部を設けて、対向するフランジ部同士を連結具を介して連結することで、複数の鋼管を直線状に連結して所定の全長としている。ただ、使用する鋼管の長さや連結する本数は、種々に設計変更することができる。このように、支柱部2を複数の鋼管で形成する構造は、既成の鋼管を使用することで、製造コストを低減しながら、簡単かつ容易に製造できる特長がある。複数の鋼管で形成される支柱部2は、鋼管の内部全体を一つの空洞として、支柱部2を海中に沈める際には、内部に海水を浸入させる構造とする。これにより、構築領域の水深に関係なく、全長の長い支柱部2であっても速やかに沈降させて海中に設置できる。
海中に垂直姿勢で沈降される支柱部2は、海底に設置された土台部1のソケット筒部12に下端部が挿入されて連結される。図3と図4に示すソケット筒部12は、前述のように、上方に向かって内形が次第に大きくなるテーパー形状としているので、支柱部2の下端部2Bは、下端に向かって外形が次第に小さくなるテーパー形状として、その外周面の形状を逆円錐台の側面に沿う形状としている。とくに、図3に示す支柱部2は、下端部2Bをソケット筒部12に挿入して、下端が底板部11に当接する状態で、支柱部2の下端部2Bの外周面がソケット筒部12の内周面に密着する嵌合構造で連結されるようにしている。このように、支柱部2の下端部2Bの外形を、ソケット筒部12の内形に沿う形状として、互いに嵌合状態で連結される構造とすることで、支柱部2の下端部2Bを簡単かつ確実にソケット筒部12に案内しながら、隙間なく連結できる特長がある。ただ、支柱部の下端部をテーパー形状とすることなく円筒状として、円筒状のソケット筒部に挿入することもできる。
以上のように、土台部1が海底に設置された状態で、下端部2Bがソケット筒部12に挿入される支柱部2は、外周面がソケット筒部12の内周面に密着することで安定して連結されるが、さらに、支柱部2とソケット筒部12の連結部には、図3に示すように、水中コンクリート20を充填して固定することもできる。ここで、支柱部2は、海中においてソケット筒部12に連結されるので、支柱部2の内部には海水が充満している。したがって、ソケット筒部12と支柱部2との連結部の内部に充填するコンクリートには、水中コンクリート20を使用する。水中コンクリート20は、例えば、洋上からパイプを介して圧送されて、支柱部2の下端部2Bの内部に充填される。
図3と図4は、支柱部2の下端部2Bと土台部1のソケット筒部12との連結部を示す図であって、図3は支柱部2の下端部2Bの内側に水中コンクリート20を充填した状態を示す断面図を、図4は互いに連結される支柱部2とソケット筒部12の内部構造を示す分解断面斜視図をそれぞれ示している。これらの図に示す土台部1と支柱部2は、水中コンクリート20に埋設される第1のアンカー部21と第2のアンカー部22とを備えており、水中コンクリート20に埋設される第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22を介して土台部1と支柱部2とをより強固に固定している。
土台部1は、ソケット筒部12の中央部に水中コンクリート20に埋設される第1のアンカー部21を設けている。第1のアンカー部21は、ソケット筒部12の中央部において、底板部11から上方に突出する姿勢で設けられている。図の第1のアンカー部21は、複数の鉄骨を井形に組み合わせると共に、支持材となる鉄骨を介して底板部11の上面から所定の高さに突出するように底板部11に固定されている。この第1のアンカー部21は、ソケット筒部12に挿入される支柱部2の下端部2Bに干渉しない位置に設けている。
支柱部2は、下端部2Bの内側に水中コンクリート20に埋設される第2のアンカー部22を設けている。第2のアンカー部21は、支柱部2の下端部2Bにおいて、内面から内側に突出する姿勢で設けられている。図の第2のアンカー部21は、支柱部2の下端部の対向する内面を互いに連結してなる複数の鉄骨を井形に組み合わせたもので、上下に複数段に設けている。この第2のアンカー部22も、支柱部2の下端部2Bをソケット筒部12に挿入する状態で、ソケット筒部12の内側に設けた第1のアンカー部21に干渉しない位置に設けている。以上の構造によると、ソケット筒部12に支柱部2の下端部2Bが挿入された状態で内部に充填される水中コンクリート20に第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22を埋設することで、土台部1と支柱部2の下端部2Bとを確実に固定できる。さらに、支柱部2の下端部2Bの内側に水中コンクリート20を充填する構造は、水中コンクリート20を重り部として支柱部2の重心を下方に配置して、支柱部2をより安定して鉛直姿勢に保持できる特長もある。
図に示す第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22は、その一例であって、以上の構造に特定しない。第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22は、水中コンクリート20に埋設されて土台部1や支柱部2を水中コンクレート20に固定できる他の全て構造とすることができる。さらに、第1のアンカー部21と第2のアンカー部22は、両方またはいずれか一方に鉄筋を配設し、鉄筋コンクリートとしてより強固に土台部1と支柱部2とを固定することもできる。
さらに、支柱部2は、垂直姿勢に安定して保持するために、一部を中空状とすることもできる。円筒状の鋼管で構成される支柱部2は、海中に配置される本体部2Aにおいて、内部を中空とする領域を設けて中空部23を形成することができる。支柱部2は、例えば、海中に配置される本体部2Aの上部において内部の海水を排水することで、支柱部2の上部に中空部23を設けることができる。この構造は、支柱部2に充満された海水の一部をポンプ等の吸引機構で吸い上げて排水することで、支柱部2の上部に簡単に中空部23を設けることができる。このように中空部23を備える支柱部2は、内部を中空状とすることで、浮力に対する重量を少なくして、実質的に浮力を大きくできるので、土台部1にはたらく荷重を低減できる。例えば、厚さを6cm、外形を約6mとする鋼管からなる支柱部2においては、海面から20m分の海水を排水することで、500t以上の荷重を低減することができる。さらに、支柱部2の上部に中空部23を設けることで、支柱部2にはたらく浮力の中心である浮心に対して、支柱部2の重心を低い位置に配置することができ、上下方向に延長して配置される支柱部2を安定して鉛直姿勢に保持できる特長がある。
(粒状錘5)
以上のように、海底に設置された土台部1は、支柱部2の下端部がソケット筒部12に挿入されて連結されると共に、粒状錘5が積載されて定位置に保持される。土台部1は、周壁部14の内側に、粒状錘5を収容する収容部4を形成している。収容部4に充填される粒状錘5は、所定の大きさの粒状に形成された錘であって、例えば、砂利、砕石、鉱石、スラグ等が使用できる。粒状錘5は、好ましくは鉄鉱石またはスラグとする。粒状錘5を鉄鉱石とする場合、比重が約3.4と高いので容積を少なくしながら十分な重量を確保することができる。また、鉄鉱石から流出する鉄分が海藻の養分となるため、周囲における生物の生育環境を改善できる効果もある。また、粒状錘をスラグとする場合、廃棄物として多量に発生するスラグを有効利用しながら、製造コストを低減できる。
粒状錘は、その外径を100mm以下であって、好ましくは、60mm以下とする。粒状錘5は、砂利、砕石、鉱石、スラグのいずれかとし、とくに、砕石、鉱石、スラグについては以上の外径とすることで、収容部4内への充填を容易にできる特長がある。また、粒状錘を除去する際には、サクションや水中サンドポンプ等の吸引装置を使用して効率よく吸引して除去できる。とくに、吸引装置は、水搬工法によりスラリー輸送することで、外径を数cmとする粒状の砂利や砕石、鉱石、スラグ等であっても容易に吸引して運搬することができる。
(プラットホーム24)
プラットホーム24は、風力発電機6を洋上の所定の位置に配置するための設置台であって、上端部を洋上に突出させるように配置された支柱部2の上端に水平な姿勢で固定されている。水平姿勢で配置されるプラットホーム24は、上面に風力発電機6が設置される。さらに、プラットホーム24は、風力発電機6に加えて、各種監視装置や各種観測装置を設置することもできる。このような装置として、例えば、バードレーダーや監視カメラ、気象観測用の気象レーダ、あるいは風向計、風量計、風力計等の風況観測機が挙げられる。
以上の構造の着床式洋上架台9は、図1に示すように、支柱部2の上端に風力発電機6が設置されて洋上風力発電装置100として使用される。図示しないが、着床式洋上架台9は、支柱部2の上端に風況観測機を設置して、洋上風況観測装置として使用することもできる。
(風力発電機6)
風力発電機6は、図1に示すように、風力を受けて回転する風車60と、回転する風車60の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機(図示せず)と、発電機を収納しているナセル63と、ナセル63を所定の高さに配置するためのタワー64とを備えている。風車60は、複数のブレード61を備えており、中心に設けたハブ62に複数のブレード61を等間隔で固定している。風力発電機6は、タワー64の基部が支柱部2の上端に固定されて、着床式洋上架台9の上に所定の姿勢で設置される。図に示す洋上風力発電装置100は、タワー64の基部であって、支柱部2の上端の外周に沿って作業用のプラットホーム部23を設けている。
以上の着床式洋上架台9は、以下の工程で構築される。
[準備工程]
この工程では、海底に配置される鋼鉄製の土台部1と、円筒状の鋼管で形成されて、下端を土台部1に連結した状態で上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部2と、収容部4に積載される所定量の粒状錘5とを準備する。鋼鉄製の土台部1は、図3~図5に示すように、海底に設置される底板部11と、底板部11の中央部に固定されて、支柱部2の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部12と、ソケット筒部12の側面と底板部11の上面に固定されて、ソケット筒部12を底板部11に固定する複数の固定壁部13と、底板部11の外周に沿って立設されて、内側に収容部4を形成する周壁部14とを備える構造に製造される。粒状錘5は、収容部4に積載される所定量であって、収容部4に充填された状態で、土台部1及び支柱部2を定位置に保持できる重量となる量を準備する。粒状錘5には、例えば、所定の大きさに粉砕された鉄鉱石を使用する。以上の準備工程では、土台部1及び支柱部2は、工場にて製造される。
[運搬工程]
準備工程で準備された土台部1と支柱部2と粒状錘5とを着床式洋上架台9が構築される構築領域の洋上に運搬する。このとき、準備工程で製造された土台部1であって、底板部11の外周に沿って立設される周壁部14を底板部11に水密に連結して、全体を上方開口の箱形に形成してなる土台部1は、運搬工程において、土台部1を海面上に浮かせた状態で曳航して構築領域の洋上まで運搬することができる。さらに、鉄鉱石である粒状錘5は、砕石運搬船で運搬する。
[基礎部形成工程]
図9の(A)で示すように、着床式洋上架台9を構築する領域の海底において、土台部1を設置するための基礎部3を形成する。基礎部3は、土台部1が設置される海底の表面状態を良好にして、その上面に土台部1を安定して載置するために海底面50に形成される。基礎部3は、例えば、基礎捨石層31の外形を、土台部1の外形よりも1~10m、好ましくは3~5m大きくなるように形成する。基礎部3は、土台部1を水平姿勢で載置できるように、上面を水平面状に整地する。基礎部3は、図2及び図3に示すように、土台部1が設置される領域全体を海底面50に対して所定の深さに掘削し、一段低く形成された掘削部30に捨石32を敷設して設けた基礎捨石層31と、基礎捨石層31の上面に配置された被覆部材33とを備えている。基礎捨石層31は、掘削部30に敷設される多数の捨石32を所定の厚さとなるように積層すると共に、上面を均して平面状としている。平面状に均された基礎捨石層31の上面には、被覆部材33を敷設している。被覆部材33は、津波による押し波や引き波で基礎捨石層31を構成する捨石32や砂、土砂が流出しないように、基礎捨石層31を上から押圧する重量を有する板状ないしシート状の部材であって、基礎捨石層31の上面全体を被覆している。このような被覆部材33として、アスファルトマット33Aが使用できる。アスファルトマット33Aは、アスファルトを所定の厚さのマット状に成形したものであって、激しい潮流によっても流されない比重と、基礎捨石層31の表面に沿って変形可能な柔軟性とを備えている。アスファルトマット33Aからなる被覆部材33は、基礎捨石層31の上面に密着状態で敷設されて、その自重で基礎捨石層31を上面から押圧する。これにより、基礎捨石層31を構成する多量の捨石32が激しい潮流や津波により流出して基礎部3が変形するのを有効に防止している。ただ、被覆部材は、高炉徐冷スラグを所定の厚さになるように敷設した被覆層とすることもできる。
さらに、被覆部材にはコンクリートパネルを使用することもできる。この基礎部は、複数枚のコンクリートパネルを基礎捨石層の上面に敷き詰めることで、基礎捨石層を構成する捨石の流出を防止できる。さらに、基礎部2は、基礎捨石層31の上面に敷設されたアスファルトマット33Aの上に、コンクリートブロックやコンクリートパネルを配置することもできる。
[土台部設置工程]
この工程では、図9の(B)で示すように、運搬工程で構築領域の洋上まで運搬された土台部1を海底に沈めて基礎部3の上に設置する。土台部1を沈める際には、例えば、クレーン等で土台部1を吊り下げた状態で自重により海底に沈降させる。このとき、水中カメラ等で設置位置を確認しながらクレーンを操作することで、土台部1を基礎部3の正確な位置に設置することができる。
[支柱部設置工程]
この工程では、図9の(C)で示すように、運搬工程で構築領域の洋上まで運搬された支柱部2を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部1に下端を連結する。支柱部2は、図9の(C)に示すように、垂直姿勢として海水中に沈める状態で、円筒状の鋼管の内部に海水を浸入させながら沈降するので、構築海域の水深に関係なく、支柱部2の自重により、支柱部2をスムーズに海水中に沈降させることができる。海底まで沈降する支柱部2は、図3と図4に示すように、下端部2Bが、土台部1に設けたソケット筒部12に挿入されて定位置に連結される。この工程においても、水中カメラ等で支柱部2の下端部2Bの位置を確認しながら、支柱部2をソケット筒部12に対して正確に挿入することができる。
[コンクリート充填工程]
この工程では、図9の(D)で示すように、ソケット筒部12に挿入された支柱部2の下端部2Bの内部に水中コンクリート20を充填して、土台部1と支柱部2とを固定する。水中コンクリート20は、例えば、洋上からパイプを介して圧送して、支柱部2の下端部2Bの内部に充填する。支柱部2の下端部2Bに充填される水中コンクリート20は、図3に示すように、土台部1に設けた第1のアンカー部21と支柱部2に設けた第2のアンカー部22とを埋設する状態で充填される。これにより、水中コンクリート20が硬化した状態では、埋設される第1のアンカー部21と第2のアンカー部22とを介して土台部1と支柱部2とが強固に固定される。
[積載工程]
この工程では、土台部1の収容部4に所定量の粒状錘5を積載して充填する。図9の(E)では、底面が開閉可能な収納容器51を使用して定量の粒状錘5を海底まで吊り下げ、収容部4の上方において収納容器51の底を開いて粒状錘5を沈降させて収容部4に充填する例を示している。この方法は、簡単かつ確実に粒状錘5を収容部4の所定の位置に積載することができる。ただ、粒状錘5は、海面から散布して沈降させることもできる。
図9の(E)は、支柱部2の下端部2Bを土台部1に連結した後に、所定量の粒状錘5を収容部4に積載して充填する例を示している。ただ、本発明は、粒状錘5を収容部4に充填するタイミングを、以上のタイミング、すなわち、支柱部2を土台部1に連結した後工程には特定しない。粒状錘5は、種々のタイミングにおいて収容部4に積載することもできる。
積載工程は、例えば、土台部設置工程の前工程として、または土台部設置工程において、収容部4に粒状錘5を積載する第1積載工程と、土台部設置工程の後工程として、収容部4に粒状錘を積載する第2積載工程とに分割して粒状錘5を収容部4に充填することもできる。この方法では、土台部1を海底に沈める前、または、土台部1を海底に沈める途中において、第1積載工程として収容部4にある程度の粒状錘5を積載する。とくに、第1積載工程では、洋上もしくは海面近くの水中において収容部4に粒状錘5を積載できるので、能率良く、しかも正確に多量の粒状錘5を積載できる。このようにある程度の粒状錘5を収容部4に積載して全体の重量を重くした状態で土台部1を海底に沈降させることで、潮流等の影響を抑制しながら土台部1を直下に降下させて正確な位置に速やかに設置できる。土台部1を海底に沈めて定位置に設置した後、第2積載工程として収容部4に残りの粒状錘5を積載する。
さらに、図10に示す積載工程は、土台部1を海底に設置する土台部設置工程の後工程であって、支柱部2を垂直姿勢で海中に沈めて、土台部1のソケット筒部12に下端部を挿入して連結する支柱部設置工程の前工程として、粒状錘5を収容部4に積載する例を示している。図10に示す積載工程では、海底に設置された土台部1に設けた上方開口のソケット筒部12の内部に粒状錘5が侵入しないように、ソケット筒部12の上方開口を閉塞する蓋体19を設けている。図に示す蓋体19は、略円錐形状であって、ソケット筒部12の上方開口を閉塞するように、脱着可能な構造で連結している。この形状の蓋体19は、沈降する粒状錘5を側面に沿って落下させることでソケット筒部12への浸入が防止できる。図10の(A)では、洋上に停泊する砕石運搬船52の船底を開いて、砕石運搬船52から多量の粒状錘5を海中に沈降させる状態を示している。このように、洋上から粒状錘5を沈降させる場合には、好ましくは、周辺の潮流を考慮して潮流の上流側から粒状錘5を沈降させる。この方法によると、多量の粒状錘5を最も効率よく収容部4に供給することができる。所定量の粒状錘が供給されると、図10の(B)で示すように、蓋体19を引き上げて除去してソケット筒部12の上方を開放し、その後、図10の(C)で示すように支柱部2を垂直姿勢で沈降させて、下端部2Bをソケット筒部12に挿入する。
以上のように積載工程で、土台部1の収容部4に所定量の粒状錘5が充填されることで、多量の粒状錘5の荷重により、土台部1が定位置に保持されると共に、土台部1のソケット筒部12に連結された支柱部2が垂直姿勢に保持される。以上のようにして、土台部1に連結された支柱部2は、上端部が海面上に突出する状態で配置される。
さらに、粒状錘5は、網材や通水性のある袋体等に充填した集合体の状態で沈降させることもできる。この場合もクレーン等で吊り下げて正確に充填できる。さらに、図の鎖線で示すように、土台部1の周壁部14の周囲にも錘体55を設置することができる。この構造は。この錘体55により、土台部1が水平方向に位置ずれするのを確実に防止できる。このような錘体55として、前述の粒状錘5を袋体に充填した集合体とすることも、コンクリートブロック等とすることもできる。ただし、この錘体は、設置場所の環境によって省略することができる。
[発電機設置工程]
以上のようにして構築された着床式洋上架台9の支柱部2の上端に、図1に示すように風力発電機4を設置して洋上風力発電装置100が構築される。
本発明は、洋上に風力発電機を配置する着床式洋上架台として、水深40m~120mの海域においても好適に構築できる。
100…洋上風力発電装置
1…土台部
2…支柱部
2A…本体部
2B…下端部
2C…突出部
3…基礎部
4…収容部
5…粒状錘
6…風力発電機
9…着床式洋上架台
11…底板部
12…ソケット筒部
12A…周壁
13…固定壁部
14…周壁部
14A…鋼板
15…フランジ部
16…固定リブ
17…固定プレート
18…連結プレート
19…蓋体
20…水中コンクリート
21…第1のアンカー部
22…第2のアンカー部
23…中空部
24…プラットホーム
30…掘削部
31…基礎捨石層
32…捨石
33…被覆部材
33A…アスファルトマット
50…海底面
51…収納容器
52…砕石運搬船
55…錘体
60…風車
61…ブレード
62…ハブ
63…ナセル
64…タワー
本発明は、洋上に設置される着床式洋上架台とその構築方法、及び洋上風力発電装置に関し、とくに、水深を40m~120mとする海域に好適に構築される着床式洋上架台とその構築方法、及び着床式洋上架台を備える洋上風力発電装置に関する。
近年の石油資源の枯渇に伴い、太陽エネルギーに代表される再生可能エネルギーが注目されている。しかしながら、太陽光発電は、天気による変動が大きく、また、夜間には発電できないため、これに代わる再生可能エネルギーとして風力発電が注目されている。風力発電は、民家近くでは低周波騒音などの問題が指摘されているため、これを回避するため、洋上に風力発電設備を設置することに注目されている。
洋上風力発電装置は、風力発電機を設置する洋上架台システムの設置方法として、浮体式と固定式(着床式)に大別される(特許文献1ないし3参照)。
浮体式の架台システムを備える洋上風力発電装置は、所定の深さ以上、例えば100m以上の水深を有する海域で設置可能であり、海面に浮かせた状態で使用するため、風力発電装置を同じ規格として多量生産が可能である。ただ、浮体式の風力発電装置の場合、架台システム自体も大型化する必要があって、個々の製造単価が高くなるため、採算が悪くなる問題点があった。また、浮体式の風力発電装置の場合、水深100m以下の海域に設置することは難しい。
これに対して、固定式の架台システムを備える洋上風力発電装置は、土台となる部分を海底に設置するので風力発電装置を安定して支持できる特長があるが、一方で、装置を設置する海域の水深によって、使用する架台システムのタイプによる種々の問題点がある。例えば、水深35m以下の海域では、モノパイルタイプの架台を備える風力発電装置が好適に採用されている。モノパイルタイプの架台は、1本の金属管の下端を海底に固定し、海面上に突出する上端側に風力発電機を配置して支持するので、製造コストを低減できる。ただ、モノパイルタイプの架台は、水深が35m以上になると、製造コストが高くなるため、採算が悪くなる問題点がある。
このため、水深が40m以上の海域では、鉄骨を組み立てたタワー(鉄塔)からなるジャケットタイプの架台を備える風力発電装置が好適に採用されている。このように、鉄塔からなるジャケットタイプの架台システムは、波の影響を受けにくくできる特長がある。また、ジャケットタイプの架台は、石油の採掘等に使用される鉄塔のように、その製造技術が確立されているため、水深がある程度深く(例えば40m以上)なっても、これに対応して製造することができる。ただ、石油の採掘に比べて風力発電では収益が少なく、採算が悪くなる問題点がある。とくに、ジャケットタイプの架台は、鉄塔の下端を海底に固定するために、太くて長いアンカーを地下深くに打設する必要があり、設置コストが極めて大きくなる。また、ジャケットタイプの架台は、鉄骨で製造されるので耐用年数が約25年と短く、長期間にわたって使用できないため、風力発電装置を維持するためには、このジャケットを交換する必要があり、さらに採算が悪化してしまう。
特開2016-113996号公報 特開2005-180239号公報 特開2003-206852号公報 特開2017-203305号公報
さらに、着床式の基礎として特許文献4に、洋上施設の基礎が開示される。この公報に記載される洋上施設の基礎は、海底に設置される底版部と、底版部と一体に定着される鋼製桁部材を有する桁部と、底版部と分離自在に底板部上に配置される中詰材と、底版部から立ち上がる鋼管支柱であって、鋼管支柱の上端部に洋上施設のタワーの下端部が接続され、鋼管支柱の下方側面に鋼製桁部材の一端が接合される鋼管支柱と、底版部から外周側に一体に立設する側壁部とを備えている。この構造の基礎は、鋼製桁部材を介して鋼管支柱に一体的に固定された底版部の周囲に立設する側壁部を備えており、この底版部を海底に設置した状態で、底版部上に分離自在に配設される中詰材を充填して海底に設置する状態で鋼管支柱の上端を洋上に配置する構造としている。
ただ、以上の構造の基礎は、底版部を鉄筋コンクリート製とするため、底版部の製造に時間がかかる欠点がある。それは、型枠を設置した状態でコンクリートを打設した後、コンクリートが降下するのに時間を要するからである。このため、この基礎は、短期間で構築することができず、構築にかかるコストを低減できない問題点がある。また、この公報には、底版部として鋼製であっても良い旨が記載される。ところが、底版部を鋼製とすると、全体の重量が軽くなるため、水深の深い海底に沈降できない問題点がある。とくに、この底版部は、鋼管支柱の下端を重り部として底版部に一体的連結しているので、鋼管支柱の内部には中空部が形成される構造となっている。この構造の基礎を海底に沈めようとすると、水深が浅い場合には沈降できるが、水深が深くなると、中空状の支柱にはたらく浮力が大きくなるため、スムーズに海底に沈降できない問題点がある。とくに、底版部を鋼製とすると、ますます重量が軽くなって水深の深い海底に沈降できなくなる。このため、この公報に記載される基礎は、水深が40m以下の海域においては実施できても、水深を40m以上とする海域においては有効に活用できなくなる。
特に、近年では風力発電機として発電電力が10MW以上のものが主流となりつつ有り、このような大型の風力発電機を支持する基礎としては、鋼管支柱の外径を大きくする必要がある。困ったことに外径の大きな鋼管支柱では、さらに浮力が大きくなるため、ますます水深の深い海域では利用が困難になってしまう問題点がある。
以上のように、水深が40m~120mの海域においては、風力発電装置の架台として未だ有効な技術が確立されていないのが現状である。とくに、海岸線が長く、急深な沿岸域の多い日本においては、風況に適した海域として中水域の海域も多く、これらの海域における経済性の高い方式の実用化・普及が急務となっている。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、水深が40m~120mの海域においても構築可能であって、工期を短縮して製造コストと設置コストを低減できる着床式洋上架台とその製造方法、及び洋上発電装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明のある態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台の構築方法である。この構築方法は、水深40m~120mの海底に全体が水没する状態で設置された状態で粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部であって、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、を備える土台部と、円筒状の鋼管で形成されて、海底に設置された土台部に下端を連結した状態で、上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部と、収容部に積載される所定量の粒状錘と、を準備する準備工程と、土台部と支柱部と粒状錘とを着床式洋上架台の構築領域の洋上に運搬する運搬工程と、構築領域の海底面に、上面が水平面状に整地された基礎部を形成する基礎部形成工程と、土台部を海底に沈めて基礎部の上に設置する土台部設置工程と、支柱部を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部のソケット筒部に支柱部の下端部を挿入して連結する支柱部設置工程と、土台部の収容部に粒状錘を積載する積載工程とを含んでいる。
上記方法によれば、底板部の中央部にソケット筒部を備える土台部を海底に設置した後、鋼管で形成された支柱部を海中に沈めて、支柱部の下端部をソケット筒部に挿入して土台部に連結するので、土台部と支柱部とを別工程で海中に沈めることで、構築海域の水深に起因する悪影響を抑制しながら、土台部と支柱部を速やかに沈降させて定位置に設置できる。とくに、土台部と支柱部とを別部材として製造することで、製造や運搬にかかる時間と費用を低減でき、構築にかかる工期を短縮してコストを削減できる。また、土台部を鋼鉄製とすることで、従来のように、コンクリートで基礎を構築する構造に比べて、土台部の製造にかかる手間と時間を低減して、土台部の製造コストを大幅に削減できる。さらにまた、土台部は、周壁部の内側に形成された収容部に粒状錘を積載することにより粒状錘の重量で定位置に保持されて支柱部を垂直姿勢に保持するので、土台部と粒状錘とを別々に運搬することで、運搬にかかるコストを低減しながら、多量の粒状錘であっても、容易に運搬して積載できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、海底に設置された状態で粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部であって、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に粒状錘の収容部を形成する周壁部と、を備える土台部と、円筒状の鋼管で形成されて、海底に設置された土台部に下端を連結した状態で、上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部と、収容部に積載される所定量の粒状錘と、を準備する準備工程と、土台部と支柱部と粒状錘とを着床式洋上架台の構築領域の洋上に運搬する運搬工程と、構築領域の海底面に、上面が水平面状に整地された基礎部を形成する基礎部形成工程と、土台部を海底に沈めて基礎部の上に設置する土台部設置工程と、支柱部を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部のソケット筒部に支柱部の下端部を挿入して連結する支柱部設置工程と、支柱部設置工程の後工程として、ソケット筒部に挿入された支柱部の下端部の内部に水中コンクリートを充填するコンクリート充填工程と、土台部の収容部に粒状錘を積載する積載工程とを含んでいる。上記方法によると、水中で連結される土台部のソケット筒部と支柱部の下端部とを水中コンクリートを介して一体的に固定できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、積載工程が、土台部設置工程の前工程として、土台部を海底に沈める前に収容部に粒状錘を積載し、または土台部設置工程において、土台部を海底に沈める途中において収容部に粒状錘を積載する第1積載工程と、土台部設置工程の後工程として、土台部を海底に沈めて定位置に設置した後、収容部に粒状錘を積載する第2積載工程とを含んでいる。
上記方法によると、土台部を海底に沈める前工程として、または、土台部を海底に沈める工程において、第1積載工程として収容部に粒状錘を積載し、土台部を海底に沈めた後、第2積載工程として収容部に粒状錘を積載するので、多量の粒状錘を分割して収容部に積載できる。とくに、第1積載工程では、洋上又は海面近くにおいて収容部に粒状錘を積載できるので、能率良く、しかも正確に多量の粒状錘を収容部に積載できる。また、収容部に粒状錘を積載して重量を大きくした状態で土台部を海底に沈降させるので、降下する土台部にはたらく潮流等の影響を抑制しながら正確な位置に速やかに沈降できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台の構築方法は、準備工程において、土台部の底板部の外周に沿って立設される周壁部を底板部に水密に連結して、土台部全体を上方開口の箱形に形成し、運搬工程において、土台部を海面上に浮かせた状態で曳航して構築領域の洋上まで運搬する。上記方法によると、土台部を海面上に浮かせた状態で曳航して運搬できるので、運搬にかかる時間を短縮しながら、運搬コストを低減できる。
本発明のある態様に係る着床式洋上架台は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、水深40m~120mの海底に全体が水没する状態で配置される鋼鉄製の土台部と、下端を土台部に連結して、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長されてなる円筒状の鋼管で形成された支柱部と、土台部に積載される粒状錘を収容するための収容部とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に収容部を形成する周壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。
上記構成によれば、海底に配置される土台部が、鋼管で形成される支柱部の下端部が挿入されるソケット筒部を底板部の中央部に備え、支柱部の下端部をソケット筒部に挿入して支柱部と土台部とを連結するので、土台部と支柱部とを別々に製造して運搬でき、製造コストと輸送コストを低減できる。また、設置時においては、構築海域の水深による悪影響を抑制しながら、土台部と支柱部とを別々に海中に沈めて連結できるので設置作業を容易にして、工期を短縮できると共に、構築にかかる費用を低減できる特長が実現できる。また、土台部を鋼鉄製とすることで、従来のように、コンクリートで基礎を構築する構造に比べて、土台部の製造に係る手間と時間を低減して、土台部の製造コストを大幅に削減できる。さらにまた、土台部は、底板部の外周に沿って立設した周壁部の内側に形成された収容部に粒状錘を積載することにより粒状錘の重量で定位置に保持されて支柱部を垂直姿勢に保持するので、土台部と粒状錘とを別々に運搬することで、運搬にかかるコストを低減しながら、多量の粒状錘であっても、容易に運搬して積載できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、海底に配置される鋼鉄製の土台部と、下端を土台部に連結して、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長されてなる円筒状の鋼管で形成された支柱部と、土台部に積載される粒状錘を収容するための収容部とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に収容部を形成する周壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。土台部のソケット筒部が、上方に向かって内形が次第に大きくなるテーパー形状で、支柱部の下端部が、下端に向かって外形が次第に小さくなるテーパー形状である。上記構成によると、下端に向かって次第に外形が小さくなる支柱部の下端部を、上方に向かって次第に内形が大きくなるソケット筒部に対して、簡単かつ確実に案内して連結作業を容易にできる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、海底に配置される鋼鉄製の土台部と、下端を土台部に連結して、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長されてなる円筒状の鋼管で形成された支柱部と、土台部に積載される粒状錘を収容するための収容部とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に収容部を形成する周壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。着床式洋上架台は、土台部が海底に設置された状態で、ソケット筒部に挿入される支柱部の下端部の内部に水中コンクリートを充填している。上記構成によると、水中で連結される土台部のソケット筒部と支柱部の下端部とを水中コンクリート介して一体的に連結できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部が、ソケット筒部の中央部に水中コンクリートに埋設される第1のアンカー部を備えており、支柱部が、下端部の内側に水中コンクリートに埋設される第2のアンカー部を備えている。上記構成によると、ソケット筒部に挿入される支柱部の下端部に充填される水中コンクリートに埋設される第1のアンカー部及び第2のアンカー部を介して土台部と支柱部の下端部とを確実に固定できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、海底に配置される鋼鉄製の土台部と、下端を土台部に連結して、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長されてなる円筒状の鋼管で形成された支柱部と、土台部に積載される粒状錘を収容するための収容部とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に収容部を形成する周壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。周壁部が、底板部と分離可能な筒体であって、底板部の上面に載置されて定位置に配置されている。上記構成によると、周壁部を底板部と分離可能な筒体とすることで、周壁部を底板部に対して溶接等により固定することなく、底板部の上面に載置して定位置に配置できる。このため、土台部の製造時間と製造コストをさらに低減できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部の周壁部の平面視における外形が、多角形状または方形状である。上記構成によると、土台部の周壁部の平面視における外形を多角形状または方形状とするので、鋼鉄製の底板部の外形を直線形状に加工できると共に、鋼鉄製の平板を使用して周壁部を形成できるので製造コストを低減できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部の周壁部の平面視における外形が、円形状である。上記構成によると、土台部の平面視を円形状とすることで、土台部に対して潮流を方向性なく作用させて受け流すことができる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、収容部に積載される粒状錘が、砂利、砕石、鉱石、スラグのいずれかである。上記構成により、粒状錘を、砂利、砕石、鉱石、スラグのいずれかとすることで、収容部内への粒状錘の充填が容易となる上、粒状錘を除去する際には、サクションや水中ポンプ等の吸引装置を使用して効率よく粒状錘を吸引して除去できる。また、粒状錘をスラグとする構造においては、廃棄物として多量に発生するスラグを有効利用しながら、製造コストを低減できる。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部の外径が20m以上で、支柱部の全長が50m以上である。
本発明の他の態様に係る着床式洋上架台は、土台部を、水深40m~120mの海底に設置している。上記構成によると、支柱部と土台部とを別部材とすることで、支柱部と土台部とを別々に水中に沈めて連結できるので、鋼管で形成される支柱部に作用する浮力の影響を最小限にしながら、水深が40m~120mの海域においても設置作業を容易にできる。
本発明のある態様に係る着床式洋上架台を備える洋上風力発電装置は、以上のいずれかに記載の着床式洋上架台と、支柱部の上端に設置された風力発電機とを備えている。
本発明の実施形態1に係る洋上風力発電装置の一部断面概略正面図である。 図1に示す洋上風力発電装置の着床式洋上架台の一部断面概略正面図である。 図2に示す着床式洋上架台の拡大断面図である。 図3に示す着床式洋上架台の拡大断面斜視図である。 図3に示す着床式洋上架台の土台部の斜視図である。 土台部の他の一例を示す斜視図である。 土台部の板の一例を示す分解斜視図である。 土台部の他の一例を示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる着床式洋上架台の構築方法を示す工程図である。 積載工程の他の一例を示す工程図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下に特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部品を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
本発明の着床式洋上架台は、風力発電を行う風力発電機を洋上に設置するための架台であって、主として、水深を40m~120mとする海洋上に風力発電機を設置するための架台である。ただ、着床式洋上架台は、風力発電用の風況データの計測を行う風況観測機を設置することもできる。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る着床式洋上架台9の上に風力発電機6を設置した洋上風力発電装置100の設置状態を示す一部断面概略正面図である。図2ないし図5は、図1に示す洋上風力発電装置100の着床式洋上架台9を示す図であって、図2は一部断面概略正面図を、図3及び図4は土台部1と支柱部2との連結構造を示す拡大断面図と拡大断面斜視図を、図5は土台部1の斜視図をそれぞれ示している。これらの図に示す着床式洋上架台9は、海底に配置される土台部1と、下端を土台部1に連結して、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長されてなる支柱部2と、土台部1に積載される粒状錘5を収容するための収容部4とを備えている。
(土台部1)
土台部1は、海底に設置される底板部11と、底板部11の中央部に固定されて、支柱部2の下端部2Bが挿入されて連結されるソケット筒部12と、ソケット筒部12の側面と底板部11の上面に固定されて、ソケット筒部12を底板部11に固定する複数の固定壁部13と、底板部11の外周に沿って立設されて、内側に収容部4を形成する周壁部14とを備えている。土台部1は、底板部11、ソケット筒部12、固定壁部13、及び周壁部14を鋼鉄製としている。具体的には、鋼鉄製の複数の板材を切断、接合することで所定の形状に形成している。このように、土台部1を鋼鉄製とする構造は、土台部の製造にコンクリートを使用する従来の構造に比較して、製造にかかる時間を大幅に短縮して、製造コストを低減できる特長がある。
底板部11は、所定の面積を有する鋼鉄製の平板である。底板部11は、例えば、複数枚の鋼板を連結して所定の面積としている。底板部11は、海底に形成される基礎部3の上面に設置されて定位置に配置される。底板部11は、水深40m~120mの海底に設置された状態で、中心部に垂直姿勢で連結される支柱部2を起立姿勢で支持できるように十分に大きな面積に形成される。底板部11は、例えば、最大外径を25m以上であって、好ましくは30m以上として、支柱部2を安定して支持できる。ただ、底板部11は、大きすぎると製造コストや運搬コストが高くなると共に、海底に形成される基礎部3を広くする必要があるので、最大外径を50m以下であって、好ましくは45m以下とする。また、底板部11は、十分な強度を有するように、鋼板の厚さを1~5cmであって、たとえば、2~3cmとする。
図5に示す底板部11は、一辺を30m~45mとする方形状であって、外形を正方形状としている。ただ、底板部11は、長方形とすることも、図6と図7に示すように、円形状とすることも、図8に示すように多角形状とすることもできる。図8に示す底板部11は、正八角形状としている。なお、円形状の底板部11においては、直径が最大外径であり、多角形状の底板部11においては、最大の対角線を最大外径とする。
ソケット筒部12は、略円筒状に形成された鋼鉄製の周壁12Aで形成されており、底板部11の上面の中央部に上方開口の姿勢で固定されている。ソケット筒部12は、内側に支柱部2の下端部2Bを挿入できるように、支柱部2の下端部2Bの外周面に沿う内面形状としている。図に示すソケット筒部12は、上方に向かって内形が次第に大きくなるテーパー形状、すなわち、その内面形状を逆円錐台の側面に沿う形状としており、支柱部2の下端部2Bを下端に向かって外形が次第に小さくなるテーパー形状として、この形状の支柱部2を挿入しやすくしている。とくに、図3に示すソケット筒部12は、支柱部2の下端部2Bをソケット筒部12に挿入して、支柱部2の下端が底板部11に当接する状態で、支柱部2の下端部2Bの外周面がソケット筒部12の内周面に密着する嵌合構造で連結されるようにしている。このように、ソケット筒部12の内形を、支柱部2の下端部2Bの外形に沿う形状として、互いに嵌合状態で連結される構造とすることで、支柱部2の下端部2Bを簡単かつ確実にソケット筒部12に案内しながら、隙間なく連結できる特長がある。ただ、ソケット筒部と支柱部の下端部は必ずしも嵌合するテーパー形状とする必要はなく、互いに嵌合する円筒状とすることもできる。
ソケット筒部12は、円筒状の支柱部2の下端部2Bを内側に挿入した状態で、支柱部2を安定して支持できるように、周壁12Aの厚さを3cm~10cm、好ましくは4cm~8cmとする。また、ソケット筒部12は、周壁12Aの高さを支柱部2の外径よりも大きく、例えば、支柱部2の外径の1.2倍~2倍とする。ソケット筒部12は、周壁12Aの高さを高くして周壁12Aを厚くすることで、安定して支柱部2を支持できる。ただ、ソケット筒部12は、周壁12Aを高くして厚くすると製造コストが高くなるので、好ましくは前述の範囲とする。
ソケット筒部12は、複数の固定壁部13を介して底板部11に固定される。図に示す固定壁部13は、鋼板を所定の形状、図においては略台形状の四角形に切断したもので、底辺を底板部11の上面に固定すると共に、一方の側縁をソケット筒部12の側面である周壁12Aの外周面に固定してソケット筒部12を底板部11の定位置に固定している。ソケット筒部12の側面に固定される側縁は、ソケット筒部12の軸方向に延長して固定されており、固定壁部13を底板部に対して垂直な起立姿勢となるように固定している。図に示す土台部1は、底板部11の中心部に配置されるソケット筒部12の外周面から放射状に延びる複数の固定壁部13を介して、底板部11にソケット筒部12を固定している。このように、ソケット筒部12から放射状に配置された複数の固定壁部13を介してソケット筒部12を底板部11に固定する構造は、支柱部2からソケット筒部12に作用する力を分散させることができ、優れた強度を実現できる。
固定壁部13は、好ましくは、溶接により底板部11とソケット筒部12に接合される。固定壁部13は、その面積を大きくして、底板部11との接合部を長くし、ソケット筒部12との接合部を長くすることで、ソケット筒部12と底板部11との連結強度を強くでき、固定壁部13の厚さを厚くすることで、荷重や応力に対する強度を強くできる。固定壁部13は、例えば、その厚さを1cm~3cmとし、底板部11との接合長さを底板部11の最大外径の1/5以上、好ましくは1/4以上とし、ソケット筒部12との接合長さをソケット筒部12の高さの1/2以上、好ましくは2/3以上とする。
周壁部14は、底板部11の外周に沿って立設されて、その内側に粒状錘5を積載するための収容部4を形成している。図5と図6に示す土台部1は、底板部11の外周縁部に沿って、底板部11の外形に等しい平面形状を有する周壁部14を設けている。図5に示す周壁部14は、所定の高さを有する周壁であって平面視を正方形状としている。平面視を正方形状とする周壁部14は、所定の長さと幅を有する複数枚の鋼板を長さ方向に接合すると共にコーナー部で直角に接合して所定の形状に形成される。図6に示す周壁部14は、所定の高さを有する周壁の平面形所を円形状としている。平面視を円形状とする周壁部14は、所定の長さと幅を有する複数枚の鋼板を所定の曲率半径で湾曲すると共に、複数の鋼板を互いに接合して連結することで円形状に形成される。周壁部14の高さは、内側に形成される収容部4の容積を決定するので、土台部1に要求される重量を考慮して、言い換えると、収容部4に充填される粒状錘5の総重量が最適な重量となるようにその高さが決定される。周壁部14は、例えば、ソケット筒部12の高さ以下であって、例えば、4m~10m、好ましくは5m~8mとする。ただ、収容部に充填して積載される粒状錘の総重量は、収容部の容積だけではなく、粒状錘の密度によっても変化するので、これらのことも考慮して周壁部14の高さを決定する。
図5と図6に示す土台部1は、底板部11の外周に沿って立設された周壁部14を溶接して底板部11に固定している。図5と図6に示す土台部1は、底板部11の外形を周壁部14の外形よりも一回り大きくして、外側に突出するフランジ部15を設けている。これにより、周壁部14は、例えば、下端縁の内側と外側の両方の境界部分を底板部11に溶接して底板部11に対して強固に接合できる。さらに、図に示す周壁部14は、内側に沿って配設された複数の固定リブ16を介して底板部11に固定している。これにより、周壁部14を垂直姿勢として底板部11に対してより強固に固定できる。このように、周壁部14を全周にわたって底板部11に溶接する構造は、周壁部14と底板部11とを水密に連結して、土台部1全体の外観を上方開口の箱形とすることができる。この構造の土台部1は、工場で製造された後、構築領域に運搬する際には、土台部1全体を海面上に浮かせた状態で曳航して運搬できる。したがって、運搬にかかる手間や時間、運搬コストを低減できる特長がある。
ただ、周壁部は、必ずしも底板部11に溶接する必要はなく、また、底板部11に固定する必要もない。例えば、図7及び図8に示すように、円形状または正多角形状に形成された周壁部14を、底板部11に固定することなく、底板部11の上面に載置して定位置に配置することもできる。図7に示す土台部1は、複数の固定壁部14の内、互いに直交して直径方向に延びる4枚の固定壁部13の先端を周壁部14の内周面まで延長することで、また、図8においては、多角形状の周壁部14の対角線方向に延びる4枚の固定壁部13の先端を周壁部14のコーナー部の内周面まで延長することで、これらの固定壁部13を介して周壁部14を位置決めしながら定位置に載置できるようにしている。これらの構造では、周壁部14は底板部11には固定されないが、鋼鉄製の周壁部14は海水に対する比重が大きいため、海中においてもその自重で底板部11に接近した状態に保持されて周壁部14が底板部11から脱落することはない。また、周壁部14の内側に形成される収容部4に積載される粒状錘5の重みで倒れることもない。このように、周壁部14を底板部11に対して非固定状態で配置する構造は、さらに、製造コストを低減できる。
さらに、底板部11に固定する周壁部14は、必ずしも溶接により底板部11に固定する必要はなく、図8の鎖線で示すように、底板部11に固定プレート17を固定し、この固定プレート17にボルト等の連結具を介して固定することもできる。さらに、図8に示す周壁部14は、複数の鋼板14Aを溶接して接合することなく、連結プレート18を介して連結する構造を示している。このように、複数の鋼板14Aを連結プレート18で連結する構造は、ボルト等の連結具を介して、簡単に連結できる特長がある。とくに、隣り合う鋼板14A同士の相対的な角度を連結プレート18で特定しながら正確に連結できる。以上のように、底板部11に対して非固定状態で載置される周壁部14や複数の鋼板14Aを連結プレート18で連結する構造の周壁部14は、必ずしも工場内で土台部1として組み立てる必要はなく、洋上の作業船上において組み立てることもできる。
(支柱部2)
支柱部2は、図1及び図2に示すように、上下方向に延長された柱状であって、下端を海底50に設置された土台部1に連結すると共に、上端を洋上に突出させる鉛直姿勢として海中に配置している。支柱部2は、円筒状の鋼管で形成されており、下端が海底に設置された土台部1に連結された状態で、上端が洋上に突出する全長を有している。図1と図2に示す支柱部2は、海中に配置される本体部2Aの下端部2Bを土台部1を連結し、海面上に突出する突出部2Cの上端に風力発電機6を固定している。支柱部2は、上端を海面から10m~15m突出させる姿勢で配置している。したがって、支柱部2の全長は、設置場所の水深よりも10m~15m長くなるようにしている。例えば、水深を80mとする海域に設置される着床式洋上架台9においては、支柱部2の全長を90m~95mとして、上端部を海面上に10m~15m突出させる。
支柱部2は、上端に設置される風力発電機6を安定して支持するために要求される強度を考慮して最適な外径に設計される。支柱部2の外径は、支柱部2の上に設置する浮力発電機6の規格や、着床式洋上架台9を設置する海域の水深によっても変更される。例えば、図1に示すように、水深40m~120mの海域に設置されて、発電量を10MW~15MWとするサイズの風力発電機6を支持する支柱部2は、外径を大きくすることで安定して支持できる。一例として、水深50m~100mの海域に設置される着床式洋上架台9においては、支柱部2の外径を5m~12m、好ましくは6~10mとすることができる。さらに、支柱部2の厚さは、例えば、これを構成する鋼管の厚さであって、例えば、3cm~10cm、好ましくは4cm~8cmとする。
図1及び図2に示す支柱部2は、所定の外径を有する円筒状の鋼管で形成されている。円筒状の鋼管で形成される支柱部2は、図示しないが、複数本の鋼管を連結して所定の長さに形成される。支柱部2は、たとえば、長さを10m~数十mとする鋼管を複数本連結して、所定の全長としている。各々の鋼管は、対向する端縁同士を溶接して連結し、あるいは端縁に沿って外側に突出するフランジ部を設けて、対向するフランジ部同士を連結具を介して連結することで、複数の鋼管を直線状に連結して所定の全長としている。ただ、使用する鋼管の長さや連結する本数は、種々に設計変更することができる。このように、支柱部2を複数の鋼管で形成する構造は、既成の鋼管を使用することで、製造コストを低減しながら、簡単かつ容易に製造できる特長がある。複数の鋼管で形成される支柱部2は、鋼管の内部全体を一つの空洞として、支柱部2を海中に沈める際には、内部に海水を浸入させる構造とする。これにより、構築領域の水深に関係なく、全長の長い支柱部2であっても速やかに沈降させて海中に設置できる。
海中に垂直姿勢で沈降される支柱部2は、海底に設置された土台部1のソケット筒部12に下端部が挿入されて連結される。図3と図4に示すソケット筒部12は、前述のように、上方に向かって内形が次第に大きくなるテーパー形状としているので、支柱部2の下端部2Bは、下端に向かって外形が次第に小さくなるテーパー形状として、その外周面の形状を逆円錐台の側面に沿う形状としている。とくに、図3に示す支柱部2は、下端部2Bをソケット筒部12に挿入して、下端が底板部11に当接する状態で、支柱部2の下端部2Bの外周面がソケット筒部12の内周面に密着する嵌合構造で連結されるようにしている。このように、支柱部2の下端部2Bの外形を、ソケット筒部12の内形に沿う形状として、互いに嵌合状態で連結される構造とすることで、支柱部2の下端部2Bを簡単かつ確実にソケット筒部12に案内しながら、隙間なく連結できる特長がある。ただ、支柱部の下端部をテーパー形状とすることなく円筒状として、円筒状のソケット筒部に挿入することもできる。
以上のように、土台部1が海底に設置された状態で、下端部2Bがソケット筒部12に挿入される支柱部2は、外周面がソケット筒部12の内周面に密着することで安定して連結されるが、さらに、支柱部2とソケット筒部12の連結部には、図3に示すように、水中コンクリート20を充填して固定することもできる。ここで、支柱部2は、海中においてソケット筒部12に連結されるので、支柱部2の内部には海水が充満している。したがって、ソケット筒部12と支柱部2との連結部の内部に充填するコンクリートには、水中コンクリート20を使用する。水中コンクリート20は、例えば、洋上からパイプを介して圧送されて、支柱部2の下端部2Bの内部に充填される。
図3と図4は、支柱部2の下端部2Bと土台部1のソケット筒部12との連結部を示す図であって、図3は支柱部2の下端部2Bの内側に水中コンクリート20を充填した状態を示す断面図を、図4は互いに連結される支柱部2とソケット筒部12の内部構造を示す分解断面斜視図をそれぞれ示している。これらの図に示す土台部1と支柱部2は、水中コンクリート20に埋設される第1のアンカー部21と第2のアンカー部22とを備えており、水中コンクリート20に埋設される第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22を介して土台部1と支柱部2とをより強固に固定している。
土台部1は、ソケット筒部12の中央部に水中コンクリート20に埋設される第1のアンカー部21を設けている。第1のアンカー部21は、ソケット筒部12の中央部において、底板部11から上方に突出する姿勢で設けられている。図の第1のアンカー部21は、複数の鉄骨を井形に組み合わせると共に、支持材となる鉄骨を介して底板部11の上面から所定の高さに突出するように底板部11に固定されている。この第1のアンカー部21は、ソケット筒部12に挿入される支柱部2の下端部2Bに干渉しない位置に設けている。
支柱部2は、下端部2Bの内側に水中コンクリート20に埋設される第2のアンカー部22を設けている。第2のアンカー部21は、支柱部2の下端部2Bにおいて、内面から内側に突出する姿勢で設けられている。図の第2のアンカー部21は、支柱部2の下端部の対向する内面を互いに連結してなる複数の鉄骨を井形に組み合わせたもので、上下に複数段に設けている。この第2のアンカー部22も、支柱部2の下端部2Bをソケット筒部12に挿入する状態で、ソケット筒部12の内側に設けた第1のアンカー部21に干渉しない位置に設けている。以上の構造によると、ソケット筒部12に支柱部2の下端部2Bが挿入された状態で内部に充填される水中コンクリート20に第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22を埋設することで、土台部1と支柱部2の下端部2Bとを確実に固定できる。さらに、支柱部2の下端部2Bの内側に水中コンクリート20を充填する構造は、水中コンクリート20を重り部として支柱部2の重心を下方に配置して、支柱部2をより安定して鉛直姿勢に保持できる特長もある。
図に示す第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22は、その一例であって、以上の構造に特定しない。第1のアンカー部21及び第2のアンカー部22は、水中コンクリート20に埋設されて土台部1や支柱部2を水中コンクレート20に固定できる他の全て構造とすることができる。さらに、第1のアンカー部21と第2のアンカー部22は、両方またはいずれか一方に鉄筋を配設し、鉄筋コンクリートとしてより強固に土台部1と支柱部2とを固定することもできる。
さらに、支柱部2は、垂直姿勢に安定して保持するために、一部を中空状とすることもできる。円筒状の鋼管で構成される支柱部2は、海中に配置される本体部2Aにおいて、内部を中空とする領域を設けて中空部23を形成することができる。支柱部2は、例えば、海中に配置される本体部2Aの上部において内部の海水を排水することで、支柱部2の上部に中空部23を設けることができる。この構造は、支柱部2に充満された海水の一部をポンプ等の吸引機構で吸い上げて排水することで、支柱部2の上部に簡単に中空部23を設けることができる。このように中空部23を備える支柱部2は、内部を中空状とすることで、浮力に対する重量を少なくして、実質的に浮力を大きくできるので、土台部1にはたらく荷重を低減できる。例えば、厚さを6cm、外形を約6mとする鋼管からなる支柱部2においては、海面から20m分の海水を排水することで、500t以上の荷重を低減することができる。さらに、支柱部2の上部に中空部23を設けることで、支柱部2にはたらく浮力の中心である浮心に対して、支柱部2の重心を低い位置に配置することができ、上下方向に延長して配置される支柱部2を安定して鉛直姿勢に保持できる特長がある。
(粒状錘5)
以上のように、海底に設置された土台部1は、支柱部2の下端部がソケット筒部12に挿入されて連結されると共に、粒状錘5が積載されて定位置に保持される。土台部1は、周壁部14の内側に、粒状錘5を収容する収容部4を形成している。収容部4に充填される粒状錘5は、所定の大きさの粒状に形成された錘であって、例えば、砂利、砕石、鉱石、スラグ等が使用できる。粒状錘5は、好ましくは鉄鉱石またはスラグとする。粒状錘5を鉄鉱石とする場合、比重が約3.4と高いので容積を少なくしながら十分な重量を確保することができる。また、鉄鉱石から流出する鉄分が海藻の養分となるため、周囲における生物の生育環境を改善できる効果もある。また、粒状錘をスラグとする場合、廃棄物として多量に発生するスラグを有効利用しながら、製造コストを低減できる。
粒状錘は、その外径を100mm以下であって、好ましくは、60mm以下とする。粒状錘5は、砂利、砕石、鉱石、スラグのいずれかとし、とくに、砕石、鉱石、スラグについては以上の外径とすることで、収容部4内への充填を容易にできる特長がある。また、粒状錘を除去する際には、サクションや水中サンドポンプ等の吸引装置を使用して効率よく吸引して除去できる。とくに、吸引装置は、水搬工法によりスラリー輸送することで、外径を数cmとする粒状の砂利や砕石、鉱石、スラグ等であっても容易に吸引して運搬することができる。
(プラットホーム24)
プラットホーム24は、風力発電機6を洋上の所定の位置に配置するための設置台であって、上端部を洋上に突出させるように配置された支柱部2の上端に水平な姿勢で固定されている。水平姿勢で配置されるプラットホーム24は、上面に風力発電機6が設置される。さらに、プラットホーム24は、風力発電機6に加えて、各種監視装置や各種観測装置を設置することもできる。このような装置として、例えば、バードレーダーや監視カメラ、気象観測用の気象レーダ、あるいは風向計、風量計、風力計等の風況観測機が挙げられる。
以上の構造の着床式洋上架台9は、図1に示すように、支柱部2の上端に風力発電機6が設置されて洋上風力発電装置100として使用される。図示しないが、着床式洋上架台9は、支柱部2の上端に風況観測機を設置して、洋上風況観測装置として使用することもできる。
(風力発電機6)
風力発電機6は、図1に示すように、風力を受けて回転する風車60と、回転する風車60の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機(図示せず)と、発電機を収納しているナセル63と、ナセル63を所定の高さに配置するためのタワー64とを備えている。風車60は、複数のブレード61を備えており、中心に設けたハブ62に複数のブレード61を等間隔で固定している。風力発電機6は、タワー64の基部が支柱部2の上端に固定されて、着床式洋上架台9の上に所定の姿勢で設置される。図に示す洋上風力発電装置100は、タワー64の基部であって、支柱部2の上端の外周に沿って作業用のプラットホーム部23を設けている。
以上の着床式洋上架台9は、以下の工程で構築される。
[準備工程]
この工程では、海底に配置される鋼鉄製の土台部1と、円筒状の鋼管で形成されて、下端を土台部1に連結した状態で上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部2と、収容部4に積載される所定量の粒状錘5とを準備する。鋼鉄製の土台部1は、図3~図5に示すように、海底に設置される底板部11と、底板部11の中央部に固定されて、支柱部2の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部12と、ソケット筒部12の側面と底板部11の上面に固定されて、ソケット筒部12を底板部11に固定する複数の固定壁部13と、底板部11の外周に沿って立設されて、内側に収容部4を形成する周壁部14とを備える構造に製造される。粒状錘5は、収容部4に積載される所定量であって、収容部4に充填された状態で、土台部1及び支柱部2を定位置に保持できる重量となる量を準備する。粒状錘5には、例えば、所定の大きさに粉砕された鉄鉱石を使用する。以上の準備工程では、土台部1及び支柱部2は、工場にて製造される。
[運搬工程]
準備工程で準備された土台部1と支柱部2と粒状錘5とを着床式洋上架台9が構築される構築領域の洋上に運搬する。このとき、準備工程で製造された土台部1であって、底板部11の外周に沿って立設される周壁部14を底板部11に水密に連結して、全体を上方開口の箱形に形成してなる土台部1は、運搬工程において、土台部1を海面上に浮かせた状態で曳航して構築領域の洋上まで運搬することができる。さらに、鉄鉱石である粒状錘5は、砕石運搬船で運搬する。
[基礎部形成工程]
図9の(A)で示すように、着床式洋上架台9を構築する領域の海底において、土台部1を設置するための基礎部3を形成する。基礎部3は、土台部1が設置される海底の表面状態を良好にして、その上面に土台部1を安定して載置するために海底面50に形成される。基礎部3は、例えば、基礎捨石層31の外形を、土台部1の外形よりも1~10m、好ましくは3~5m大きくなるように形成する。基礎部3は、土台部1を水平姿勢で載置できるように、上面を水平面状に整地する。基礎部3は、図2及び図3に示すように、土台部1が設置される領域全体を海底面50に対して所定の深さに掘削し、一段低く形成された掘削部30に捨石32を敷設して設けた基礎捨石層31と、基礎捨石層31の上面に配置された被覆部材33とを備えている。基礎捨石層31は、掘削部30に敷設される多数の捨石32を所定の厚さとなるように積層すると共に、上面を均して平面状としている。平面状に均された基礎捨石層31の上面には、被覆部材33を敷設している。被覆部材33は、津波による押し波や引き波で基礎捨石層31を構成する捨石32や砂、土砂が流出しないように、基礎捨石層31を上から押圧する重量を有する板状ないしシート状の部材であって、基礎捨石層31の上面全体を被覆している。このような被覆部材33として、アスファルトマット33Aが使用できる。アスファルトマット33Aは、アスファルトを所定の厚さのマット状に成形したものであって、激しい潮流によっても流されない比重と、基礎捨石層31の表面に沿って変形可能な柔軟性とを備えている。アスファルトマット33Aからなる被覆部材33は、基礎捨石層31の上面に密着状態で敷設されて、その自重で基礎捨石層31を上面から押圧する。これにより、基礎捨石層31を構成する多量の捨石32が激しい潮流や津波により流出して基礎部3が変形するのを有効に防止している。ただ、被覆部材は、高炉徐冷スラグを所定の厚さになるように敷設した被覆層とすることもできる。
さらに、被覆部材にはコンクリートパネルを使用することもできる。この基礎部は、複数枚のコンクリートパネルを基礎捨石層の上面に敷き詰めることで、基礎捨石層を構成する捨石の流出を防止できる。さらに、基礎部2は、基礎捨石層31の上面に敷設されたアスファルトマット33Aの上に、コンクリートブロックやコンクリートパネルを配置することもできる。
[土台部設置工程]
この工程では、図9の(B)で示すように、運搬工程で構築領域の洋上まで運搬された土台部1を海底に沈めて基礎部3の上に設置する。土台部1を沈める際には、例えば、クレーン等で土台部1を吊り下げた状態で自重により海底に沈降させる。このとき、水中カメラ等で設置位置を確認しながらクレーンを操作することで、土台部1を基礎部3の正確な位置に設置することができる。
[支柱部設置工程]
この工程では、図9の(C)で示すように、運搬工程で構築領域の洋上まで運搬された支柱部2を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された土台部1に下端を連結する。支柱部2は、図9の(C)に示すように、垂直姿勢として海水中に沈める状態で、円筒状の鋼管の内部に海水を浸入させながら沈降するので、構築海域の水深に関係なく、支柱部2の自重により、支柱部2をスムーズに海水中に沈降させることができる。海底まで沈降する支柱部2は、図3と図4に示すように、下端部2Bが、土台部1に設けたソケット筒部12に挿入されて定位置に連結される。この工程においても、水中カメラ等で支柱部2の下端部2Bの位置を確認しながら、支柱部2をソケット筒部12に対して正確に挿入することができる。
[コンクリート充填工程]
この工程では、図9の(D)で示すように、ソケット筒部12に挿入された支柱部2の下端部2Bの内部に水中コンクリート20を充填して、土台部1と支柱部2とを固定する。水中コンクリート20は、例えば、洋上からパイプを介して圧送して、支柱部2の下端部2Bの内部に充填する。支柱部2の下端部2Bに充填される水中コンクリート20は、図3に示すように、土台部1に設けた第1のアンカー部21と支柱部2に設けた第2のアンカー部22とを埋設する状態で充填される。これにより、水中コンクリート20が硬化した状態では、埋設される第1のアンカー部21と第2のアンカー部22とを介して土台部1と支柱部2とが強固に固定される。
[積載工程]
この工程では、土台部1の収容部4に所定量の粒状錘5を積載して充填する。図9の(E)では、底面が開閉可能な収納容器51を使用して定量の粒状錘5を海底まで吊り下げ、収容部4の上方において収納容器51の底を開いて粒状錘5を沈降させて収容部4に充填する例を示している。この方法は、簡単かつ確実に粒状錘5を収容部4の所定の位置に積載することができる。ただ、粒状錘5は、海面から散布して沈降させることもできる。
図9の(E)は、支柱部2の下端部2Bを土台部1に連結した後に、所定量の粒状錘5を収容部4に積載して充填する例を示している。ただ、本発明は、粒状錘5を収容部4に充填するタイミングを、以上のタイミング、すなわち、支柱部2を土台部1に連結した後工程には特定しない。粒状錘5は、種々のタイミングにおいて収容部4に積載することもできる。
積載工程は、例えば、土台部設置工程の前工程として、または土台部設置工程において、収容部4に粒状錘5を積載する第1積載工程と、土台部設置工程の後工程として、収容部4に粒状錘を積載する第2積載工程とに分割して粒状錘5を収容部4に充填することもできる。この方法では、土台部1を海底に沈める前、または、土台部1を海底に沈める途中において、第1積載工程として収容部4にある程度の粒状錘5を積載する。とくに、第1積載工程では、洋上もしくは海面近くの水中において収容部4に粒状錘5を積載できるので、能率良く、しかも正確に多量の粒状錘5を積載できる。このようにある程度の粒状錘5を収容部4に積載して全体の重量を重くした状態で土台部1を海底に沈降させることで、潮流等の影響を抑制しながら土台部1を直下に降下させて正確な位置に速やかに設置できる。土台部1を海底に沈めて定位置に設置した後、第2積載工程として収容部4に残りの粒状錘5を積載する。
さらに、図10に示す積載工程は、土台部1を海底に設置する土台部設置工程の後工程であって、支柱部2を垂直姿勢で海中に沈めて、土台部1のソケット筒部12に下端部を挿入して連結する支柱部設置工程の前工程として、粒状錘5を収容部4に積載する例を示している。図10に示す積載工程では、海底に設置された土台部1に設けた上方開口のソケット筒部12の内部に粒状錘5が侵入しないように、ソケット筒部12の上方開口を閉塞する蓋体19を設けている。図に示す蓋体19は、略円錐形状であって、ソケット筒部12の上方開口を閉塞するように、脱着可能な構造で連結している。この形状の蓋体19は、沈降する粒状錘5を側面に沿って落下させることでソケット筒部12への浸入が防止できる。図10の(A)では、洋上に停泊する砕石運搬船52の船底を開いて、砕石運搬船52から多量の粒状錘5を海中に沈降させる状態を示している。このように、洋上から粒状錘5を沈降させる場合には、好ましくは、周辺の潮流を考慮して潮流の上流側から粒状錘5を沈降させる。この方法によると、多量の粒状錘5を最も効率よく収容部4に供給することができる。所定量の粒状錘が供給されると、図10の(B)で示すように、蓋体19を引き上げて除去してソケット筒部12の上方を開放し、その後、図10の(C)で示すように支柱部2を垂直姿勢で沈降させて、下端部2Bをソケット筒部12に挿入する。
以上のように積載工程で、土台部1の収容部4に所定量の粒状錘5が充填されることで、多量の粒状錘5の荷重により、土台部1が定位置に保持されると共に、土台部1のソケット筒部12に連結された支柱部2が垂直姿勢に保持される。以上のようにして、土台部1に連結された支柱部2は、上端部が海面上に突出する状態で配置される。
さらに、粒状錘5は、網材や通水性のある袋体等に充填した集合体の状態で沈降させることもできる。この場合もクレーン等で吊り下げて正確に充填できる。さらに、図の鎖線で示すように、土台部1の周壁部14の周囲にも錘体55を設置することができる。この構造は。この錘体55により、土台部1が水平方向に位置ずれするのを確実に防止できる。このような錘体55として、前述の粒状錘5を袋体に充填した集合体とすることも、コンクリートブロック等とすることもできる。ただし、この錘体は、設置場所の環境によって省略することができる。
[発電機設置工程]
以上のようにして構築された着床式洋上架台9の支柱部2の上端に、図1に示すように風力発電機4を設置して洋上風力発電装置100が構築される。
本発明は、洋上に風力発電機を配置する着床式洋上架台として、水深40m~120mの海域においても好適に構築できる。
100…洋上風力発電装置
1…土台部
2…支柱部
2A…本体部
2B…下端部
2C…突出部
3…基礎部
4…収容部
5…粒状錘
6…風力発電機
9…着床式洋上架台
11…底板部
12…ソケット筒部
12A…周壁
13…固定壁部
14…周壁部
14A…鋼板
15…フランジ部
16…固定リブ
17…固定プレート
18…連結プレート
19…蓋体
20…水中コンクリート
21…第1のアンカー部
22…第2のアンカー部
23…中空部
24…プラットホーム
30…掘削部
31…基礎捨石層
32…捨石
33…被覆部材
33A…アスファルトマット
50…海底面
51…収納容器
52…砕石運搬船
55…錘体
60…風車
61…ブレード
62…ハブ
63…ナセル
64…タワー
本発明のある態様に係る着床式洋上架台は、風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、水深40m~120mの海底に全体が水没する状態で配置される鋼鉄製の土台部と、内部に海水を流入させる状態で海中に沈められて、海底において下端土台部に連結されて、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長された姿勢で海中に配置される円筒状の鋼管で形成された全長を50m以上とする支柱部と、土台部に積載される粒状錘を収容するための収容部とを備えている。土台部は、海底に設置される底板部と、底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、ソケット筒部の側面と底板部の上面に固定されて、ソケット筒部を底板部に固定する複数の固定壁部と、底板部の外周に沿って立設されて、内側に収容部を形成する周壁部とを備えている。土台部は、収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、ソケット筒部に連結された支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成している。

Claims (15)

  1. 風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台の構築方法であって、
    海底に設置されて粒状錘が積載される鋼鉄製の土台部であって、
    海底に設置される底板部と、
    前記底板部の中央部に固定されて、支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、
    前記ソケット筒部の側面と前記底板部の上面に固定されて、前記ソケット筒部を前記底板部に固定する複数の固定壁部と、
    前記底板部の外周に沿って立設されて、内側に前記粒状錘の収容部を形成する周壁部と、
    を備える土台部と、
    円筒状の鋼管で形成されて、海底に設置された前記土台部に下端を連結した状態で上端を洋上に突出させる全長を有する支柱部と、
    前記収容部に積載される所定量の粒状錘と、
    を準備する準備工程と、
    前記土台部と前記支柱部と前記粒状錘とを着床式洋上架台の構築領域の洋上に運搬する運搬工程と、
    構築領域の海底面に、上面が水平面状に整地された基礎部を形成する基礎部形成工程と、
    前記土台部を海底に沈めて前記基礎部の上に設置する土台部設置工程と、
    前記支柱部を垂直姿勢で海中に沈めて、海底に設置された前記土台部の前記ソケット筒部に前記支柱部の下端部を挿入して連結する支柱部設置工程と、
    前記土台部の前記収容部に前記粒状錘を積載する積載工程と、
    を含む着床式洋上架台の構築方法。
  2. 請求項1に記載される着床式洋上架台の構築方法であって、
    支柱部設置工程の後工程として、前記ソケット筒部に挿入された前記支柱部の下端部の内部に水中コンクリートを充填するコンクリート充填工程を含む着床式洋上架台の構築方法。
  3. 請求項1または2に記載される風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台の構築方法であって、
    前記積載工程が、
    前記土台部設置工程の前工程として、または前記土台部設置工程において、前記収容部に前記粒状錘を積載する第1積載工程と、
    前記土台部設置工程の後工程として、前記収容部に前記粒状錘を積載する第2積載工程とを含む着床式洋上架台の構築方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載される風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台の構築方法であって、
    前記準備工程において、前記土台部の前記底板部の外周に沿って立設される前記周壁部を前記底板部に水密に連結して、前記土台部全体を上方開口の箱形に形成し、
    前記運搬工程において、前記土台部を海面上に浮かせた状態で曳航して構築領域の洋上まで運搬する着床式洋上架台の構築方法。
  5. 風力発電機を洋上に設置するための着床式洋上架台であって、
    海底に配置される鋼鉄製の土台部と、
    下端を前記土台部に連結して、上端を洋上に突出させるように上下方向に延長されてなる円筒状の鋼管で形成された支柱部と、
    前記土台部に積載される粒状錘を収容するための収容部と、
    を備え、
    前記土台部は、
    海底に設置される底板部と、
    前記底板部の中央部に固定されて、前記支柱部の下端部が挿入されて連結されるソケット筒部と、
    前記ソケット筒部の側面と前記底板部の上面に固定されて、前記ソケット筒部を前記底板部に固定する複数の固定壁部と、
    前記底板部の外周に沿って立設されて、内側に前記収容部を形成する周壁部と、
    を備え、
    前記土台部は、前記収容部に積載される粒状錘によって定位置に保持されると共に、前記ソケット筒部に連結された前記支柱部を鉛直姿勢に保持するよう構成してなる着床式洋上架台。
  6. 請求項5に記載される着床式洋上架台であって、
    前記土台部の前記ソケット筒部が、上方に向かって内形が次第に大きくなるテーパー形状であって、
    前記支柱部の下端部が、下端に向かって外形が次第に小さくなるテーパー形状である着床式洋上架台。
  7. 請求項5または6に記載される着床式洋上架台であって、
    前記土台部が海底に設置された状態で、前記ソケット筒部に挿入される前記支柱部の下端部の内部に水中コンクリートが充填されてなる着床式洋上架台。
  8. 請求項7に記載される着床式洋上架台であって、
    前記土台部は、前記ソケット筒部の中央部に前記水中コンクリートに埋設される第1のアンカー部を設けており、
    前記支柱部が、下端部の内側に前記水中コンクリートに埋設される第2のアンカー部を設けてなる着床式洋上架台。
  9. 請求項5から8のいずれか一項に記載される着床式洋上架台であって、
    前記周壁部が、前記底板部と分離可能な筒体であって、前記底板部の上面に載置されて定位置に配置されてなる着床式洋上架台。
  10. 請求項5から9のいずれか一項に記載される着床式洋上架台であって、
    前記土台部の前記周壁部の平面視における外形が、多角形状または方形状である着床式洋上架台。
  11. 請求項5から9のいずれか一項に記載される着床式洋上架台であって、
    前記土台部の前記周壁部の平面視における外形が、円形状である着床式洋上架台。
  12. 請求項5から11のいずれか一項に記載される着床式洋上架台であって、
    前記収容部に積載される粒状錘が、砂利、砕石、鉱石、スラグのいずれかである着床式洋上架台。
  13. 請求項5ないし12のいずれか一項に記載される着床式洋上架台であって、
    前記土台部の外径が20m以上で、前記支柱部の全長が50m以上である着床式洋上架台。
  14. 請求項5ないし13のいずれか一項に記載される着床式洋上架台であって、
    前記土台部が、水深40m~120mの海底に設置される着床式洋上架台。
  15. 着床式洋上架台を備える洋上風力発電装置であって、
    請求項5ないし14のいずれかに記載する前記着床式洋上架台と、
    前記支柱部の上端に設置された風力発電機と、
    を備える洋上風力発電装置。
JP2021158500A 2021-09-28 2021-09-28 着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置 Active JP7118473B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021158500A JP7118473B1 (ja) 2021-09-28 2021-09-28 着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021158500A JP7118473B1 (ja) 2021-09-28 2021-09-28 着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7118473B1 JP7118473B1 (ja) 2022-08-16
JP2023048916A true JP2023048916A (ja) 2023-04-07

Family

ID=82849869

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021158500A Active JP7118473B1 (ja) 2021-09-28 2021-09-28 着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7118473B1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7208438B1 (ja) 2022-10-05 2023-01-18 鹿島建設株式会社 築磯構造体、基礎構造および基礎構造の施工方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120114484A1 (en) * 2009-07-15 2012-05-10 Tosello Andre Marine Wind Turbine Having a Pylon Vertically Adjusted by Setting
WO2017126649A1 (ja) * 2016-01-20 2017-07-27 戸田建設株式会社 洋上風力発電設備及びその施工方法
JP2017203305A (ja) * 2016-05-12 2017-11-16 前田建設工業株式会社 洋上施設の基礎、洋上施設及び洋上施設の基礎の構築方法
JP2021032239A (ja) * 2019-08-29 2021-03-01 株式会社四国Ga 着床式洋上風力発電装置とこの洋上風力発電装置のタワー部の交換方法、及び着床式洋上風力発電装置の製造方法
WO2021070786A1 (ja) * 2019-10-12 2021-04-15 株式会社四国Ga 着床式洋上架台、洋上風力発電装置及び洋上風況観測装置
JP2021076043A (ja) * 2019-11-07 2021-05-20 太平電業株式会社 洋上風車の据付方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120114484A1 (en) * 2009-07-15 2012-05-10 Tosello Andre Marine Wind Turbine Having a Pylon Vertically Adjusted by Setting
WO2017126649A1 (ja) * 2016-01-20 2017-07-27 戸田建設株式会社 洋上風力発電設備及びその施工方法
JP2017203305A (ja) * 2016-05-12 2017-11-16 前田建設工業株式会社 洋上施設の基礎、洋上施設及び洋上施設の基礎の構築方法
JP2021032239A (ja) * 2019-08-29 2021-03-01 株式会社四国Ga 着床式洋上風力発電装置とこの洋上風力発電装置のタワー部の交換方法、及び着床式洋上風力発電装置の製造方法
WO2021070786A1 (ja) * 2019-10-12 2021-04-15 株式会社四国Ga 着床式洋上架台、洋上風力発電装置及び洋上風況観測装置
JP2021076043A (ja) * 2019-11-07 2021-05-20 太平電業株式会社 洋上風車の据付方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7118473B1 (ja) 2022-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9890510B2 (en) Process for installing an offshore tower
JP4645300B2 (ja) 洋上風力発電装置の重力式基礎
AU2009289381B2 (en) Offshore station, foundation for an offshore station, and method for building an offshore station
EP2163691B1 (en) Device and method for offshore mounting for electricity-generating wind-turbine
US9777451B2 (en) Process for installing an offshore tower
JP5893408B2 (ja) 海底設置基礎又は離岸風力タービンパイルからなる海洋構造物の周辺の海底の侵食を抑制又は低減するための方法及びシステム
EP2837554A1 (en) Partially floating marine platform for offshore wind-power, bridges and marine buildings, and construction method
KR101459649B1 (ko) 해상 지지구조물 설치를 위한 이중 부유구조체 및 이를 이용한 해상 지지구조물 시공 방법
JP6270527B2 (ja) 洋上風力発電設備の施工方法
WO2010019050A1 (en) Foundation for an offshore wind turbine generator and method of constructing and installing the foundation
JP7002762B2 (ja) 着床式洋上風力発電装置とこの洋上風力発電装置のタワー部の交換方法、及び着床式洋上風力発電装置の製造方法
CN110382344B (zh) 用于与离岸设施连接的自主式的能漂浮的重力基件
US20140215953A1 (en) Solar panel mounting stand installation method, pile and solar panel mounting stand
KR100900500B1 (ko) 넓은 분산 부유 구조물을 가진 해상 부유 풍력 발전 장치
JP5738643B2 (ja) 洋上風力発電設備の施工方法
JP7118473B1 (ja) 着床式洋上架台の構築方法、着床式洋上架台、及び洋上風力発電装置
KR101529097B1 (ko) 해상풍력발전용 매입식 대구경 강관파일 및 그 매입시공 방법
TW202240052A (zh) 水下基礎
WO2003080939A1 (en) Foundation structure
JP2016084660A (ja) 洋上風力発電装置の基礎構造
CN105178347A (zh) 一种海上测风塔基础、海上测风平台及其使用方法
JP5738642B2 (ja) 洋上風力発電設備の施工方法
JP2002206474A (ja) 海上風力発電装置用基礎およびその施行方法
CN205224785U (zh) 海上测风塔及其基座
KR101671579B1 (ko) 가물막이를 이용하는 중력식 구조물 설치방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211110

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20211110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220328

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220419

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220617

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220628

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220727

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7118473

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150