JP2023048558A - 風力発電装置の劣化検知システム、劣化検知装置およびプログラム - Google Patents

風力発電装置の劣化検知システム、劣化検知装置およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】内部の圧力や外観の変化による劣化検知方法と比較して、維持管理費の高コスト化を抑制する。【解決手段】風力発電装置の劣化検知システムは、風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する取得手段と、赤外線画像に基づいてブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する把握手段と、把握手段が把握したブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を検知する検知手段と、を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、風力発電装置の劣化検知システム、劣化検知装置およびプログラムに関する。
風力発電装置のブレードの表面には、一般的に、耐候性の向上等を目的として、樹脂塗料等による塗膜が形成される。風力発電装置は屋外環境に曝されるため、光や熱、水分等による負荷を受ける。また、ブレードの回転に伴う摩擦による消耗や、衝撃による剥離等の負荷を受ける。そして、これらの負荷を要因として、塗膜の厚さが低下する劣化である薄膜化が進行し、新品時に比べて性能を低下させる恐れがある。したがって、ブレードの維持管理のためには、塗膜の薄膜化の状態に応じ、塗料の塗り直し等の補修を施す必要がある。
ブレードの劣化検知方法としては、例えば、作業者がブレードに接近し、目視によって劣化の有無を点検する方法が用いられてきた。また例えば、特許文献1には、風車翼内部の圧力を計測する圧力センサと、計測された圧力に基づいて損傷を検知するナセル側制御装置とを具備する風車翼の外皮損傷検知装置について記載されている。さらに、特許文献2には、風車翼の外皮内面の主要4個所に赤い顔料が長さ方向に付着されており、外皮に亀裂が生じるとその亀裂から着色剤がにじみ出るために、亀裂の検知が容易な風車翼について記載されている。
特開2013-108391号公報 実開平5-17174号公報
しかしながら、従来の劣化検知方法では、塗膜の薄膜化に関し詳細な情報を得ることは困難であるため、補修の要否の適切な判断ができず、維持管理費が高コスト化する恐れがある。
本発明の劣化検知システムは、内部の圧力や外観の変化による劣化検知方法と比較して、維持管理費の高コスト化を抑制することを目的とする。
請求項1に係る発明は、風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する取得手段と、前記赤外線画像に基づいて前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する把握手段と、前記把握手段が把握した前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、当該ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を検知する検知手段と、を有することを特徴とする、風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項2に係る発明は、前記取得手段は、特定の波長領域の赤外光を感受して撮影された前記赤外線画像を取得し、前記特定の波長領域は、前記薄膜化が進行した場合に吸光度が低くなる波長領域であることを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項3に係る発明は、前記特定の波長領域は、1.15~1.26μm,1.35~1.61μm,1.66~1.83μm,1.89~2.08μmの少なくとも一部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項4に係る発明は、前記検知手段は、前記薄膜化に係る検知として、前記ブレードの表面に形成された塗膜の厚さの検知を行うことを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項5に係る発明は、前記ブレードの表面に形成された塗膜の厚さが、ユーザにより予め定められた基準厚さ以下である場合に、当該ブレードの表面に形成された塗膜の補修を推奨する通知を行う通知手段をさらに有することを特徴とする、請求項4に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項6に係る発明は、前記通知手段は、前記ブレードの表面に形成された塗膜の厚さについて、前記基準厚さ以下である領域の面積がユーザにより予め定められた基準面積以上である場合に、前記補修を推奨する通知を行うことを特徴とする、請求項5に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項7に係る発明は、前記把握手段は、前記赤外線画像に基づいて、前記ブレード上の各位置における前記塗膜の吸光度を把握し、前記検知手段は、前記ブレード上の各位置における前記塗膜の吸光度に基づいて、前記ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を二次元分布として検知することを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項8に係る発明は、前記検知手段が検知した前記二次元分布を表示する表示手段をさらに有し、前記検知手段は、前記二次元分布においてユーザによる補修が推奨される補修領域を特定し、前記表示手段は、前記二次元分布の表示に際し前記補修領域を強調して表示することを特徴とする、請求項7に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項9に係る発明は、風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する機能と、前記赤外線画像に基づいて前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する機能と、前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、当該ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を検知する機能と、を有することを特徴とする、風力発電装置の劣化検知装置である。
請求項10に係る発明は、コンピュータに、風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する機能と、前記赤外線画像に基づいて前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する機能と、前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、当該ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を検知する機能と、を実現させることを特徴とする、プログラムである。
本発明の劣化検知システムは、内部の圧力や外観の変化による劣化検知方法と比較して、ブレードの維持管理費の高コスト化を抑制することを目的とする。
本実施の形態に係る劣化検知システムの全体構成の一例を示す図である。 風力発電装置について説明する図であり、((A)は風力発電装置の全体構成、(B)はブレードの断面構造の概略図である。 本実施の形態に係るユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。 本実施の形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。 ユーザ端末が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。 表示部における検知結果の表示について説明する図であり、(A)は補修が必要な領域のみを強調して表示する場合、(B)は塗膜厚さが異なる複数の領域を区別して表示する場合の表示例である。 塗膜厚さの異なるサンプルにおける近赤外スペクトルである。 各ピーク波長における塗膜厚さと吸光度との関係を示すグラフであり、(A)は波長1.20μm、(B)は波長1.41μm、(C)は波長1.48μm、(D)は波長1.56μm、(E)は波長1.71μm、(F)は波長1.75μm、(G)は波長1.92μm、(H)は波長2.03μmのグラフである。 波長λ毎の塗膜厚さと吸光度との関係式についてまとめた表である。 波長λと相関係数Rとの関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
[劣化検知システム1の全体構成]
図1は、本実施の形態に係る劣化検知システム1の全体構成の一例を示す図である。
劣化検知システム1は、所謂ウインドファーム等の風力発電施設において、設置された風力発電装置30の劣化を検知するために利用されるシステムである。より詳しくは、本実施の形態が適用される劣化検知システム1は、風力発電装置30の表面に形成された塗膜312の薄膜化を検知する。ユーザは、本サービスを利用することで、塗膜312の薄膜化の状態を確認し、塗膜312の塗り直し等の補修を行う時期を判断することができる。
なお、劣化検知の対象となる風力発電装置30、ブレード31、塗膜312については図2を用いて詳細を後述する。
図1に示すように、劣化検知システム1は、薄膜化の検知の結果(以下、「検知結果」と呼ぶ。)をユーザに提供するユーザ端末10と、赤外線カメラ21によりブレード31の赤外線画像を撮影する複数のドローン20(20a,20b,… )と、ユーザ端末10とドローン20とを通信可能に接続するネットワーク90とを備えている。
ネットワーク90は、ユーザ端末10とドローン20との間のデータ通信に利用可能であれば特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等として良い。また、ユーザ端末10とドローン20とは、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して接続されても良い。なお、本実施の形態においては、ドローン20の移動を妨げないように、無線通信によってネットワーク90を実現している。
ユーザ端末10は、取得した赤外線画像に基づいてブレード31の薄膜化を検知し、検知結果をユーザに提供する情報処理装置である。より詳しくは、本実施の形態に係るユーザ端末10は、ドローン20から受信する赤外線画像を記憶して管理する。そして、ユーザから検知結果の表示を指示された場合に、指定された赤外線画像に基づいて塗膜312の薄膜化の状態を検知し、検知結果を表示部16(後述)に表示することにより、ユーザへ提供する。
ユーザ端末10としては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。
ドローン20は、風力発電装置30の周辺を飛行し、ブレード31を被写体とした赤外線画像を撮影する装置であり、撮影に用いるための赤外線カメラ21を備えている。
ドローン20は、例えば、リモートコントローラ等の入力装置(不図示)を介して入力されるユーザ操作に応じた飛行を行う。ユーザは、ドローン20が対象となるブレード31を撮影するのに適切な場所や高度に位置しているのを確認し、撮影の指示を行うことで、劣化検知に用いるための赤外線画像を撮影することができる。
また例えば、ドローン20は、予め定められた運転プログラムに沿って自動的に赤外線画像を撮影しても良い。この場合、運転プログラムには、移動経路や撮影の位置、撮影の予定日および予定時間等が定義されているものとする。
赤外線カメラ21は、赤外領域の光を感受して被写体を撮影し、赤外線画像を生成する。本実施の形態では、赤外線カメラ21は、1.15~1.26μmの波長領域の光を感受した赤外線画像を撮影する。より具体的には、1.15~1.26μmの波長領域を選択的に透過させるフィルタを備え、このフィルタを透過した光を感受することにより撮影を行う。なお、この「1.15~1.26μmの光を選択的に透過させる」とは、1.15~1.26μmにおける透過率が、他の波長領域における透過率よりも有意に大きいことを意味し、例えば1.15~1.26μmにおける透過率が、他の波長領域における透過率に対し、1.5倍以上であることを指す。
ここで、本実施の形態に係る赤外線カメラ21は、被写体が放射および反射する赤外線のエネルギー量を輝度に変換して赤外線画像を生成するものであり、生成される赤外線画像は、ブレード31が放射および反射する赤外線のエネルギー量の情報を含んでいる。
赤外線カメラ21が生成した赤外線画像には、例えば、撮影した日時(以下、「撮影日」と呼ぶ。)の情報と、撮影した場所の情報と、不図示の輻射計により検知した気温の情報等が付与される。
なお、本実施の形態に係る赤外線画像は、静止画として撮影された画像であっても、動画として撮影されたうちの1フレームにあたる画像であっても良い。
以降、本実施の形態では、ドローン20は、毎週同じ曜日の同じ時間に、リモートコントローラを介して入力されるユーザ操作に基づいて移動および撮影を行い、その都度撮影した赤外線画像をユーザ端末10へ送信するものとして説明する。すなわち、ユーザ端末10は、1週間毎に最新の赤外線画像を取得し、記憶および管理するものとする。なお、赤外線画像を撮影する時間は、1年を通して日の出後且つ日の入り前となる時間に設定し、太陽光を光源として利用するものとする。なお、ブレード画像の撮影は、風力発電装置30が稼働している状態で行われても、停止している状態で行われても良い。
また、ドローン20はユーザ操作に基づいて、毎回略同じ位置から風力発電装置30が有する複数のブレード31の中の1つを撮影するものとする。
[風力発電装置30]
次に、劣化検知の対象となる風力発電装置30について説明する。図2は、風力発電装置30について説明する図であり、(A)は風力発電装置30の全体構成、(B)はブレード31の断面構造の概略図である。なお、図2(B)は、図2(A)のIIB-IIB断面に対応する。
図2(A)に示すように、風力発電装置30は、風力を受ける羽根である複数のブレード31および回転軸となるハブ32により構成されるロータ33と、増速機や発電機等(不図示)が格納されたナセル34と、ロータ33およびナセル34を支える支柱であるタワー35と、を備えている。
風力発電装置30においては、ブレード31が風力を受けると、ロータ33がハブ32を中心に回転し、この回転エネルギーがナセル34内の発電機により電気エネルギーへと変換されることで、風力発電が行われる。
図2(B)に示すように、ブレード31は、ブレード31全体の羽根型を形成する外皮311と、外皮311の外側の表面に形成された塗膜312とを備えている。
外皮311は、ブレード31全体の羽根型を形成する層であり、中空構造を有している。外皮311は例えば、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等を母材とするガラス繊維強化樹脂複合材料、または炭素繊維強化樹脂複合材料を基材として製造される。なお、図2(B)では簡略化しているが、外皮311は、複数の部材を接着剤等によって接合することで構成されている。
塗膜312は、外皮311の外側の表面に形成された層であり、外皮311の略全体を覆うようにして形成されている。この塗膜312を形成するための塗料としては、例えば、フッ素樹脂塗料やウレタン樹脂塗料が用いられる。本実施の形態では、塗膜312は、フッ素樹脂塗料を外皮311の表面に塗布することで形成されている。
塗膜312は、新品時には、例えば、300μm程度の厚さを有している。なお、本明細書において、「新品時」とは塗膜312の劣化が生じていないまたは無視できるほど小さい時点を指し、例えば塗膜312を形成した直後且つ風力発電装置30の稼働前の時点を指す。
風力発電装置30が稼働を始めると、塗膜312は、ブレードの回転に伴う摩擦による消耗や、飛来物がぶつかることによる剥離等、物理的な負荷を受けて薄膜化する。また、風力発電装置30は通常屋外に設置されるため、光や熱、水分等による負荷を受ける。このため、塗膜312に含まれる物質が、異なる物質(以降、「劣化物質」と呼ぶ。)に変化する場合がある。そして、この劣化物質を多く含む塗膜312は、劣化物質を含まない塗膜312に比べて脆くなると考えられるため、劣化物質の増加により、物理的な負荷を受けた際の薄膜化が促進されると考えられる。
このように、風力発電装置30のブレード31に形成された塗膜312は、各種負荷を受けることによって、時間の経過に伴い薄膜化する。本実施の形態が適用される劣化検知システム1は、このような薄膜化を対象に検知を行い、検知結果をユーザへ提供するものである。
なお、図2(B)では、上記したフッ素樹脂塗料により一層の塗膜312を形成する例を示したが、複数の塗料を用いて2層以上の塗膜312を形成しても良い。
また、図示した風力発電装置30の構成は一例であって、表面に塗膜312が形成されたブレード31を1つ以上備えていれば、劣化検知システム1による検知の対象とすることができる。
[ユーザ端末10のハードウェア構成]
図3は、ユーザ端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。
本実施の形態に係るユーザ端末10は、自装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)である制御部11と、演算に際して作業エリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)等のメモリ12と、各種データ等の記憶に用いられるHDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリ等の記憶装置である記憶部13と、ネットワーク90を介してデータの送受信を行う通信部14とを有している。更に、ユーザからの入力操作を受け付けるキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等の操作部15と、ユーザに対して画像やテキスト情報等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示部16と、表示部16への表示を制御する表示制御部17とを有している。
なお、記憶部13には、ドローン20から受信した赤外線画像データ等が記憶される他、劣化検知に際し実行されるプログラムが記憶されている。劣化検知に際しては、制御部11がこのプログラムを読み込むことによって、ユーザ端末10の各処理が実行される。また、記憶部13は、各種データを格納するための格納場所を提供するとともに、格納されたデータを記憶する。
[ユーザ端末10の機能構成]
図4は、ユーザ端末10の機能構成の一例を示す図である。
本実施の形態に係るユーザ端末10は、ドローン20との情報の送受信に係る処理を行う通信処理部111と、赤外線画像を取得する赤外線画像取得部112と、赤外線画像においてブレード31が映っている領域を特定するブレード領域特定部113と、塗膜312の吸光度を算出する吸光度算出部114と、塗膜312の厚さを算出する塗膜厚さ算出部115と、塗膜312において補修を要する領域を検出する補修領域検出部116と、表示部16に検知結果として表示するための情報を出力する情報出力部117とを有している。
また、ユーザ端末10は、各種データを格納するための格納場所として、赤外線画像データベース131と、関係式データベース132と、補修領域検出部116により用いられる補修情報(後述)が格納される補修情報データベース133と、情報出力部117により出力された検知結果が格納される検知結果データベース134とを有している。
赤外線画像データベース131には、ドローン20から受信した赤外線画像が格納される。本実施の形態におけるドローン20は1週間毎に赤外線画像の撮影を行うため、赤外線画像データベース131には、1週間毎に最新の赤外線画像が格納されることになる。なお、格納された赤外線画像は、撮影日により管理される。
関係式データベース132には、吸光度算出部114にて用いられる、赤外線画像におけるエネルギー量Eと吸光度yとの関係式y=f(E)が格納されている。また、塗膜厚さ算出部115にて用いられる、塗膜312の吸光度yと塗膜312の厚さxとの関係式y=g(x)が格納されている。なお、関係式データベース132に格納される各種関係式は、ユーザが実験等により導出し、格納するものとする。この関係式の導出については、詳細を後述する。
補修情報データベース133には、補修領域検出部116にて用いられる、補修の要否を判定するための補修情報が格納されている。この補修情報は、例えば、ユーザにより予め定められた塗膜312の基準厚さの情報である。また、補修情報データベース133には、後述する補修領域の面積の算出に用いるための情報として、ブレード31の表面積の情報が格納されている他、新品時における塗膜312の厚さの情報等が格納されていても良い。
検知結果データベース134には、情報出力部117が出力した検知結果が格納される。本実施の形態においては、検知結果は、検知に用いられた赤外線画像の撮影日ごとに管理される。ユーザは例えば、検知結果データベース134にアクセスし、所望の撮影日を指定することにより、過去の検知結果を表示部16に表示させて参照することができる。
通信処理部111は、ドローン20との通信部14を介した情報の送受信に係る処理を行う。例えば、ドローン20から赤外線画像を受信し、赤外線画像データベース131に格納する処理を行う。
赤外線画像取得部112は、本実施の形態に係る取得手段の一例として、ドローン20により撮影されたブレード31の赤外線画像を取得する。本実施の形態においては、赤外線画像取得部112は、ユーザにより指定された赤外線画像を赤外線画像データベース131から取り出して取得する。例えば、赤外線画像データベース131に格納された複数の赤外線画像について、表示部16に撮影日の一覧が表示され、ユーザにより何れかの撮影日が指定された場合に、その撮影日に撮影された赤外線画像を取り出して取得する。
ブレード領域特定部113は、赤外線画像取得部112が取得した赤外線画像において、ブレード31が映った領域(以下、「ブレード領域」と呼ぶ場合がある。)を特定する。ブレード領域特定部113は、例えば、ユーザが表示部16に表示された赤外線画像の少なくとも一部の領域を指定する操作を行った場合に、指定された領域をブレード領域として特定する。
また、ブレード領域特定部113は、ユーザの操作に基づかず、ブレード領域を自動的に検出して特定しても良い。本実施の形態における塗膜312は、赤外線カメラ21が感受する波長領域1.15~1.26μmにおいて吸収ピークを有する(図7参照、後述)ので、ブレード領域では、他の領域(背景)に比べて輝度が低くなることが予想される。この場合、例えば、輝度が予め定められた閾値以下である領域を、ブレード領域として特定しても良い。また例えば、いわゆるエッジ抽出により領域を特定しても良く、ブレード領域を特定するための画像処理の方法は限定されるものではない。
さらに、ドローン20が可視光カメラを備えており、赤外線画像に対応する可視光画像を取得できる場合には、この可視光画像に基づいてブレード領域を特定しても良い。
吸光度算出部114は、赤外線画像に含まれるエネルギー量の情報に基づいて、塗膜312の吸光度を算出する。より詳しくは、吸光度算出部114は、関係式データベース132からエネルギー量Eと吸光度yとの関係式y=f(E)を取り出し、この関係式を用いて、ブレード31の各位置におけるエネルギー量Eから、各位置における吸光度yを算出する。本実施の形態では、吸光度算出部114は、赤外線画像におけるブレード31が映っている領域を縦n画素×横m画素(n,mは自然数)の複数のブロックに分割し、分割したブロックごとのエネルギー量Eから各ブロックの吸光度yを算出し、ブレード31の各位置における塗膜312の吸光度yとして出力する。
このようにして、本実施の形態に係る吸光度算出部114は、塗膜312の吸光度を算出して把握する。
塗膜厚さ算出部115は、吸光度算出部114が算出した吸光度に基づいて、塗膜312の厚さを算出する。より詳しくは、塗膜厚さ算出部115は、関係式データベース132から吸光度yと塗膜312の厚さxとの関係式y=g(x)を取り出し、この関係式を用いて、ブレード31の各位置における塗膜312の吸光度yから、各位置における塗膜厚さxを算出する。本実施の形態では、塗膜厚さ算出部115は、吸光度算出部114が算出した各ブロックの吸光度yから各ブロックの塗膜厚さxを算出し、ブレード31の各位置における塗膜312の厚さとして出力する。換言すると、塗膜厚さ算出部115は、塗膜312の厚さの二次元分布を出力する。
このように、本実施の形態における塗膜厚さ算出部115は、塗膜312の吸光度と厚さとの関係に基づいて、塗膜312の厚さを二次元分布として検知する。
補修領域検出部116は、補修情報データベース133から補修情報を取り出し、この補修情報と塗膜厚さ算出部115が算出したブレード31の各位置における塗膜312の厚さとに基づいて、塗膜312において補修が必要な領域(以下、「補修領域」と呼ぶ場合がある。)を検出する。本実施の形態では、補修領域検出部116は、ユーザにより予め定められた基準厚さを補修情報として取り出し、塗膜厚さ算出部115が算出した各ブロックの塗膜312の厚さと比較する。そして、塗膜312の厚さが基準厚さ以下であるブロックを検出し、補修領域として出力する。
その他、本実施の形態に係る補修領域検出部116は、補修領域の面積を算出する。例えば、赤外線画像における補修領域とブレード領域との比率を算出し、実際のブレード31の表面積と乗することで、補修領域の面積を算出することができる。
情報出力部117は、検知結果として表示部16に表示するための情報を出力する。より詳しくは、情報出力部117は、塗膜厚さ算出部115が算出したブレード31の各位置における塗膜312の厚さに係る情報と、補修領域検出部116が検出した補修領域に係る情報とを纏め、表示部16に表示するための画像またはテキスト等の情報として出力する。本実施の形態に係る情報出力部117は少なくとも、塗膜312の厚さの二次元分布を示す画像である二次元分布図を生成し、補修領域を強調する処理を施して出力する。なお、二次元分布図は、例えば、ブレード領域特定部113が特定したブレード領域をブレード31の輪郭として描画し、この輪郭の内部において、塗膜312の厚さが大きくなるほど明度が高く、厚さが小さくなるほど明度が低くなるように着色して生成される。なお、明度の他に彩度や輝度を用いる他、赤色と青色等異なる2色の間のグラデーション等を用いても良く、二次元分布を表すための方法は限定されない。
なお、情報出力部117が出力した情報は、表示部16への表示に用いられる他、検知結果として検知結果データベース134に格納されて管理される。
[ユーザ端末10が行う処理]
ブレード31の劣化検知およびユーザへの検知結果の提供に際し、ユーザ端末10が行う処理について、図3~6を用いて説明する。
図5は、ユーザ端末10が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザ端末10は、ユーザから、検知結果を表示する旨の指示を受け付ける(ステップ501)。本実施の形態においては、表示部16に表示された赤外線画像の撮影日の一覧のうち、yyyy年mm月dd日(yyyy/mm/dd)がユーザにより指定されたことを、検知結果を表示する旨の指示として受け付ける。
ステップ502では、赤外線画像取得部112(図4参照)は、ユーザにより指定された撮影日yyyy年mm月dd日の赤外線画像を、赤外線画像データベース131から取り出して取得する。
次に、ブレード領域特定部113(図4参照)は、赤外線画像取得部112にて取得された赤外線画像において、ブレード31の映った領域(ブレード領域)を特定する(ステップ503)。
ステップ504では、吸光度算出部114は、ブレード31の各位置における吸光度を算出する。より詳しくは、吸光度算出部114は、関係式データベース132からエネルギー量Eと塗膜312の吸光度yとの関係式y=f(E)を取り出す。そして、この関係式y=f(E)を用いて、赤外線画像から得たブレード31の各位置におけるエネルギー量から各位置における塗膜312の吸光度を算出する。
ステップ505にて、塗膜厚さ算出部115は、ブレード31の各位置における塗膜312の厚さを算出する。より詳しくは、塗膜厚さ算出部115は、関係式データベース132から塗膜312の吸光度yと塗膜312の厚さxの関係式y=g(x)を取り出し、この関係式y=g(x)を用いて、吸光度算出部114により算出された吸光度から、ブレード31の各位置における塗膜312の厚さを算出する。換言すると、塗膜厚さ算出部115は、塗膜312の厚さの二次元分布を出力する。
次に、補修領域検出部116は、補修が必要な領域(補修領域)を検出する(ステップ506)。より詳しくは、補修領域検出部116は、補修情報データベース133から塗膜312の基準厚さの情報を取り出し、ブレード31の各位置における塗膜312の厚さと比較する。そして、塗膜312の厚さが基準厚さ以下である領域を、補修領域として検出する。
ステップ507では、情報出力部117は、塗膜312の厚さの二次元分布の情報と、補修領域との情報を纏め、検知結果として出力する。より詳しくは、塗膜312の厚さの二次元分布図を作成し、補修領域を強調する処理を施して、表示制御部17へ出力する。なお、ステップ506にて補修領域が検出されなかった場合は、強調する処理を行わずに二次元分布図を出力する。
そして、表示制御部17の制御により、情報出力部117から出力された検知結果が表示部16に表示される(ステップ508)。
以上のように、本実施の形態が適用される劣化検知システム1では、ドローン20が撮影した赤外線画像に基づいて、ブレード31に形成された塗膜312の薄膜化の検知が行われ、検知結果がユーザに提供される。ユーザはこの検知結果を参照することで、劣化検知システム1を用いない場合に比べ、塗膜312の補修の要否やいつ補修を行うかという補修時期等の判断をより適切に行うことができる。
次に、検知結果の表示について具体例を説明する。
図6は、表示部16における検知結果の表示について説明する図であり、(A)は補修が必要な領域のみを強調して表示する場合、(B)は塗膜厚さが異なる複数の領域を区別して表示する場合の表示例である。なお、(A),(B)の何れにおいても、表示部16には情報出力部117により生成された二次元分布図が表示されているが、図が煩雑になることを避けるため、ブレード31の輪郭のみを描画し、塗膜312の厚さの二次元分布を表すための着色は省略している。
図6(A)に示すように、検知結果の表示に際しては、二次元分布図上に、補修が必要な領域である領域Aが強調して表示される。この例では、領域Aへの着色(図中では網掛けで表現する。)による強調が行われている。この「強調」の態様は限定されるものではなく、例えば補修領域への輪郭線の描画や、他の領域に比べ補修領域の内部の明度/彩度/輝度等を大きく異ならせる処理、明滅表示等であって良い。また、図示するように、赤外線画像の撮影日を示すためのテキストmsg1「撮影日:yyyy/mm/dd」や、ユーザに対して塗膜312の補修を推奨する通知として、テキストmsg2「塗膜厚さ○○μm以下の領域有り ブレードの補修が必要です」等を表示しても良い。なお、このテキストmsg2は、補修を推奨する通知の一例であって、他のテキストや画像等の表示や、音声等による通知を行っても良い。
また、上記した内容の他に、補修領域検出部116により算出された補修領域の面積を表示しても良い。
また、図6(B)では、塗膜312の厚さが○○μm以下である領域Aと、○○~◎◎μmである領域Bと、◎◎μm以上である領域Cとが、異なる領域として表示され、各領域の塗膜312の厚さに関するテキストmsg3が表示されている。このように表示することで、ユーザは、薄膜化の状態をより詳細に把握することができる。
なお、図5のステップ506にて補修領域が検出されなかった場合には、「補修が必要な領域はありません」等のテキストを表示し、ユーザへ補修が不要である旨を通知しても良い。
このように、本実施の形態に係るユーザ端末10は、塗膜312の厚さが、ユーザにより予め定められた基準厚さ以下である場合に、塗膜312の補修を推奨する通知を行う。
[関係式の導出]
(赤外線画像におけるエネルギー量と吸光度との関係式)
関係式データベース132に格納される各種関係式の導出について説明する。
まず、吸光度算出部114にて用いられる、赤外線画像におけるエネルギー量Eと塗膜312の吸光度yとの関係式y=f(E)の導出について説明する。
本実施の形態に係る赤外線画像におけるエネルギー量は、赤外線カメラ21が感受する波長領域において、被写体が放射および反射する光のエネルギー量の積分値に相当する。被写体の吸光度が高い場合、反射する光のエネルギーは小さくなる。しかし、反射されなかった光において、透過による損失は小さくなり、大部分が被写体に吸収されるため、放射される光のエネルギーが非常に大きくなる。したがって、被写体の吸光度が高いほど赤外線画像におけるエネルギー量は大きくなる。これに対し、被写体の吸光度が低い場合、反射する光のエネルギーは大きくなる。しかし、反射されなかった光において、透過による損失は大きくなり、被写体に吸収される光が減少するため、放射される光のエネルギーが非常に小さくなる。したがって、被写体の吸光度が低いほど赤外線画像におけるエネルギー量は小さくなる。
このように、本実施の形態において、赤外線画像におけるエネルギー量と被写体の吸光度とは、正の相関を有している。
ここで、他の態様において、被写体が放射した光の影響を排除し、反射した光のみを取り出して赤外線画像を生成する赤外線カメラ21が用いられる場合がある。この場合、赤外線画像におけるエネルギー量は、被写体が反射したエネルギー量に相当する。先述したように、反射する光のエネルギーは、被写体の吸光度が高いほど小さくなり、被写体の吸光度が低いほど大きくなる。したがって、この態様においては、赤外線画像におけるエネルギー量と被写体の吸光度とは、正の相関を有することになる。
このように、赤外線画像におけるエネルギー量と被写体の吸光度とは相関を有している。そのため、吸光度の異なる複数の被写体を赤外線カメラ21により撮影し、赤外線画像のエネルギー量と被写体の吸光度との近似曲線の式を導出すれば、赤外線画像におけるエネルギー量Eと塗膜312の吸光度yとの関係式y=f(E)として用いることができる。なお、この吸光度の異なる複数の被写体としては例えば、図7を用いて後述するサンプル1~5を用いることができる。
また、赤外線カメラ21が感受する波長領域や、風力発電装置30が設置された場所の気温によっては、ブレード31からの熱輻射の影響が、無視できないほど大きくなる場合がある。したがって、異なる温度条件に対応する複数の関係式y=f(E)を導出して関係式データベース132に格納し、赤外線画像が撮影された際の気温やブレード31の表面温度に応じて適切な関係式を用いるように構成しても良い。なお、ブレード31の表面温度は主に、太陽光、気温、風力発電装置30が稼働する際の摩擦熱を因子として上昇する。そして、ブレード31の表面温度が、これらの因子から通常想定される範囲(例えば50℃以下)である場合、所謂近赤外領域(0.7~2.5μm)における熱輻射は非常に小さいものと推定される。従って、本実施の形態のように近赤外領域内の光を感受した赤外線画像を用いる場合には、熱輻射の影響は無視できるものと考えられる。
さらに、本実施の形態のように太陽光を光源として撮影を行う場合、関係式y=f(E)を導出する時とは光源が異なるため、入射光の強度に差が生じる場合がある。そのため、吸光度算出部114による吸光度の算出に際しては、入射光の強度の差に係る補正を行うことで、劣化検知の精度を向上させることができる。
例えば、上記した関係式y=f(E)の導出において、サンプル1~5を赤外線カメラ21で撮影する際に、被写体から放射および反射される光の熱流束の値を熱流センサ等により測定すると、赤外線画像におけるエネルギー量との相関を表す関係式を導出することができる。そして、この関係式と、実際にブレード31を撮影する際に輻射計により測定される太陽光の強度とを用いれば、入射光の強度の差に係る補正を行うことができる。
また例えば、入射光の強度が異なる条件下で導出された複数の関係式y=f(E)から、実際にブレード31を撮影する際の太陽光の強度と最も近い条件における関係式y=f(E)を選択する構成としても良い。
(吸光度と塗膜厚さとの関係式)
次に、塗膜厚さ算出部115にて用いられる、塗膜312の吸光度yと塗膜312の厚さxとの関係式y=g(x)の導出について、本発明者らによる検討内容を用いて具体的に説明する。
本発明者らは、塗膜312における薄膜化を再現したサンプルとして、塗膜厚さの異なるサンプル1~5を作成し、各サンプルの近赤外領域における吸光特性について測定および検討を行った。
図7は、塗膜厚さの異なるサンプル1~5における近赤外スペクトルであり、横軸は波数(cm-1)、縦軸は吸光度である。
図中に記載されているように、サンプル1は112.8μm、サンプル2は140.2μm、サンプル3は223.6μm、サンプル4は229.8μm、サンプル5は299.4μmの塗膜厚さを有している。なお、各サンプルの塗膜厚さは、電磁誘導式の膜厚計により測定した。
各サンプルは、SS400炭素鋼板に対してバーコーターにより塗料を塗布した後、乾燥することで塗膜を形成しており、塗料を塗布する回数によって塗膜厚さを異ならせている。また、塗料としては、ブレード31の塗膜312と同様のフッ素樹脂塗料を用いている。
図7に示すように、サンプル1~5は、波長1.20μm,1.41μm,1.48μm,1.56μm,1.71μm,1.75μm,1.92μm,2.03μm付近に吸収ピークを有している。また、各吸収ピークおよびその周辺の波長領域においては、塗膜厚さが大きくなるに従い、吸光度が大きくなる。
図8は、図7の近赤外スペクトルの各吸収ピークにおける塗膜厚さと吸光度との関係を示すグラフであり、(A)は波長1.20μm、(B)は波長1.41μm、(C)は波長1.48μm、(D)は波長1.56μm、(E)は波長1.71μm、(F)は波長1.75μm、(G)は波長1.92μm、(H)は波長2.03μmのグラフである。また、横軸はサンプルの塗膜厚さ(μm)、縦軸は吸光度のピーク高さである。
各吸収ピークにおいては、塗膜厚さが大きくなるに従って吸光度が大きくなり、正の相関を示した。
ここで、ランベルト-ベールの法則によれば、光を吸収する吸収層の吸光度は、光を吸収する物質の濃度と、吸収層の厚さとに比例する。塗膜312において、光を吸収する物質の濃度は、塗料の種類および組成に応じて定まる定数と見做すことができる。このため、塗膜312の吸光度yと、塗膜312の厚さxとの関係式y=g(x)は、一次関数の式y=ax+bで表すことができる。
そこで、図8(A)~(H)に示すように、各吸収ピークにおけるサンプルの塗膜厚さをx、吸光度をyとした場合の一次関数の近似曲線の式y=ax+bを最小二乗法により求めた。この近似曲線を、図中点線で表している。図示するように、求めた近似曲線の式と測定結果とは、良く一致した。
上記した各吸収ピークにおける近似曲線の式と同様にして、吸収ピークの周辺の波長領域、および、吸収ピークから離れた波長領域の各波長における近似曲線の式を求め、その相関係数Rを算出した。
図9は、波長λ毎の塗膜厚さxと吸光度yとの近似曲線の式についてまとめた表である。
図10は、波長λと相関係数Rとの関係を示すグラフである。
図9,10に示すように、図7にて示した各吸収ピークを含む各波長領域、λ=1.15~1.26μm,1.35~1.61μm,1.66~1.83μm,1.89~2.08μmにおいて、塗膜厚さxと、吸光度yとは、相関係数Rが0.7を超える高い正の相関を示した。したがって、取得する赤外線画像に対応する波長の近似曲線の式y=ax+bを、関係式y=g(x)として用いることで、塗膜312の厚さを算出することができる。例えば、本実施の形態に係る劣化検知システム1では、1.15~1.26μmの光を感受した赤外線画像を用いるので、吸収ピーク1.20μmにおける近似曲線の式y=2.2×10-5x+4.9×10-3を関係式y=g(x)として用いることで、塗膜312の厚さを算出することができる。
他方、上記の波長領域に含まれない波長λ=1.11μm,1.33μm,1.63μm,1.85μm,2.10μmでは、高い正の相関は認められなかった。より詳しくは、λ=1.11μm,2.10μmでは相関係数Rが0.3未満で相関が認められなかった。また、λ=1.33μm,1.63μm、1.85μmでは、サンプルによる吸収が略ゼロであり、測定誤差の影響で吸光度yが0以下の値を示したため、相関関係を検討することができなかった。なお、この波長λ=1.33μm,1.63μm、1.85μmについては、便宜上、図9,10における相関係数Rを0とし、図10では×印により記載している。
上記した塗膜厚さxと吸光度yとの相関から、本実施の形態における劣化検知システム1は、1.15~1.26μm,1.35~1.61μm,1.66~1.83μm,1.89~2.08μmの波長領域内における塗膜312の吸光度を把握することで、塗膜312の厚さを算出することができる。したがって、ドローン20の赤外線カメラ21が、1.15~1.26μm,1.35~1.61μm,1.66~1.83μm,1.89~2.08μmの少なくとも一部を含む波長領域の光を感受して赤外線画像を撮影することにより、塗膜312の薄膜化を検知することができる。また、赤外線カメラ21が1.15~1.26μm,1.35~1.61μm,1.66~1.83μm,1.89~2.08μmに含まれる波長領域の光のみを感受して赤外線画像を撮影することにより、塗膜厚さxと吸光度yとの相関が低い領域の情報を排除することができ、検知の精度が向上する。
さらに、近赤外スペクトルにおいては、1.4μm付近および1.9μm付近に水分に由来する吸収ピークが認められる場合がある。したがって、これらの吸収ピークの付近の波長領域、例えば、1.38~1.45μmおよび1.89~2.00μmの光を感受しないようにすることで、結露や雨等の水分による影響を排除して検知を行うことができる。
以上、塗膜312をフッ素樹脂塗料により形成した場合の例について説明したが、検知に適した波長領域および関係式y=g(x)は、用いる塗料の種類に応じて異なる。ただし、どのような種類の塗料を用いる場合であっても、上記した本発明者らによる検討と同様に、塗膜厚さxの異なる複数のサンプルを用意し、サンプル毎の吸光特性を検討することで、検知に適した波長領域を決定するとともに、塗膜厚さxと吸光度yとの関係を示す関係式y=g(x)を導出することができる。
[変形例等]
(赤外線画像の撮影)
上記した本実施の形態では、赤外線カメラ21を備えたドローン20により赤外線画像を撮影したが、限定されない。例えば、地表に三脚等を用いて設置した赤外線カメラ21を用いて撮影しても良い。また例えば、ユーザが赤外線カメラ21を用いて撮影を行っても良い。ただし、本実施の形態に係るドローン20のように赤外線カメラ21に移動手段を設けることで、複数の風力発電装置30を対象とした赤外線画像の撮影が容易になる。また、飛行による移動を可能にすることで、風力発電装置30が洋上に設置されている場合のように、地上走行による移動が困難な場合であっても、風力発電装置30への接近および赤外線画像の撮影が可能になる。
また、太陽光を光源として利用する場合の例を説明したが、他の光源を用いても構わない。例えば、ドローン20に1.15~1.26μm(赤外線カメラ21が感受する波長領域)を含む近赤外領域の光を照射可能なライトを設け、光源としても良い。
さらに、1つのブレード31のみを被写体として赤外線画像を撮影し、劣化検知を行う場合の例を示したが、風力発電装置30が備えるすべてのブレード31(図2(A)の例では3つ)を被写体として撮影し、すべてのブレード31の劣化検知を行っても良い。
さらにまた、上記した本実施の形態に係るユーザ端末10は、無線通信によるネットワーク90を介してドローン20が撮影した赤外線画像を取得したが、赤外線画像を取得する方法は限定されない。例えば、撮影した赤外線画像をドローン20が備える記憶装置に記憶しておき、後に有線接続や記録媒体等を介してユーザ端末10へ移動させることで、赤外線画像の取得を行っても良い。
(赤外線の波長領域)
また、検知に用いる赤外線画像は、1.15~1.26μmの光を感受したものに限定されず、例えば近赤外領域における他の波長領域や、中赤外領域(2.5~4μm)や遠赤外領域(4~1000μm)の光を感受したものであって良い。上記したように、塗膜312を形成する塗料の種類等に応じて適当な波長を選定すれば良く、例えば吸収ピークおよびその周辺の波長領域の光を感受する赤外線カメラ21を用いて撮影を行い、好適な赤外線画像を取得すれば良い。
(薄膜化の検知)
上記した本実施の形態では、塗膜312の薄膜化の状態として、塗膜312の厚さを検知したが、限定されない。例えば、塗膜312を形成した当初(新品時)の厚さに対する変化率や変化量等、他の指標を検知して、補修領域の特定等に用いても良い。
このように、本実施の形態が適用される劣化検知システム1が検知する「薄膜化の状態」とは、ユーザに塗膜312の薄膜化について確認させるための、塗膜312の厚さに係る指標であれば良い。
(補修領域の面積)
上記した本実施の形態では、塗膜312が基準厚さ以下である領域が存在することに基づいて、ユーザに対して補修を推奨する通知を行うが、他の基準に基づいて補修を推奨する通知を行っても良い。例えば、塗膜312の厚さxについて、基準厚さ○○μm以下である領域の面積(上記した本実施の形態における「補修領域」の面積)が、ユーザにより予め定められた基準面積●●m以上である場合に、補修を推奨する通知を行っても良い。
なお、補修領域の面積を算出する方法は特に限定されない。例えば、ブレード31に面積の基準となる基準マーカを付けておき、赤外線画像における基準マーカが映っている領域の画素数および実際の基準マーカの面積から、画素あたりの面積を求めることができる。そして、求めた画素あたりの面積と、補修領域の画素数とを乗することで、補修領域の面積を算出することができる。
また例えば、赤外線カメラ21のレンズの垂直画角およびレンズからブレード31までの距離により、補修領域の垂直方向の長さが求められる。この垂直方向の長さに対応する画素の個数から、画素の1辺あたりの長さを求めれば、画素あたりの面積を算出することができる。そして、この画素あたりの面積と、補修領域の画素数とを乗することで、補修領域の面積を算出することができる。
(二次元分布とは異なる検知)
また、塗膜312の厚さを二次元分布として検知する場合の実施の形態を示したが、ブレード31の予め定められた位置における塗膜312の厚さを検知しても良い。例えば、ブレード31において摩擦による消耗が生じやすい位置を1つ以上指定し、この位置における塗膜312の厚さのみを検知しても良い。しかしながら、本実施の形態のように、塗膜312の厚さを二次元分布として検知することにより、ブレード31全体の薄膜化の状態を確認することができるため、ユーザによる塗膜312の補修の要否の判断が容易になる。
(ブレード領域の特定)
さらに、ブレード領域の特定を行わずに、赤外線画像の全体について吸光度の算出以降の処理を行っても良い。しかしながら、本実施の形態のように、ブレード領域の特定を行い、その領域内のみを検知の対象とすることで、より精度良く補修領域の検出等を行うことができる。また、検知結果の表示に際し、ユーザにとって分かり易い表示を行うことができる。
(三次元的な劣化検知)
上記した本実施の形態では、二次元データである赤外線画像から薄膜化の状態を二次元分布として検知した。しかしながら、湾曲した表面や凹凸部を有するブレード31を対象とする場合には、二次元的な劣化検知よりも三次元的な劣化検知の方が好ましい場合がある。この場合、例えば、三次元データである赤外線画像から、三次元分布を検知しても良い。なお、この三次元データは例えば、ブレード31を異なる角度や距離から複数回撮影して三次元復元を行うことや、赤外線カメラ21を所謂3Dカメラに変更して撮影を行うことにより取得される。
(他の劣化の検知)
上記した本実施の形態では、塗膜312の薄膜化のみを検知する構成について記載したが、薄膜化とともに他の劣化を検知しても良く、例えば塗膜312における劣化物質の増加を検知しても良い。
劣化物質は、組成や結合の変化により、元の物質とは異なる吸光特性を示す。例えば、新品時の塗膜312が第1波長領域において吸収を示す場合に、劣化物質を含む塗膜312は、第1波長領域とは異なる第2波長領域に新たな吸収を有する場合がある。第2波長領域における吸光度は劣化物質の増加(濃度上昇)に伴い増大するため、第2波長領域の光を感受して撮影された赤外線画像により、劣化物質の増加を検知することができる。従って、劣化検知システム1において、第1波長領域の光を感受して撮影された第1赤外線画像と、第2波長領域の光を感受して撮影された第2赤外線画像とを取得する取得手段とを設けることで、塗膜312の薄膜化と、劣化物質の生成とを夫々検知することができる。より具体的な例としては、赤外線カメラ21において、第1波長領域の光を透過する第1フィルタと、第2波長領域の光を透過する第2フィルタとを切り替えることで、各赤外線画像を撮影し、取得すれば良い。
(補修時期の予測)
また、劣化検知システム1は、時間の経過に応じた塗膜312の厚さの変化から、塗膜312の補修が推奨される補修時期の予測を行っても良い。例えば、上記した本実施の形態では、1週間間隔で塗膜312の厚さの情報が蓄積されるため、経過時間と塗膜312の厚さとの関係が求められる。そして、この関係式から、塗膜312の厚さが基準厚さ以下となる時期を算出することで、塗膜312の補修時期が予測できる。
(複数の装置による処理)
上記した本実施の形態では、各種データベース(データベース131,132,133,134)の管理、および、赤外線画像の取得から検知結果の表示までの一連の処理を、単独の情報処理装置(ユーザ端末10)にて行う構成について説明したが、各処理は複数の情報処理装置により分担または協働して行われても良い。例えば、ネットワーク90に接続されたサーバ装置にて、各種データベースの管理、および、赤外線画像の取得から検知結果として表示するための二次元分布図等の情報の出力までを行い、ユーザ端末10は検知結果の表示のみを行う構成としても良い。またこの場合、ネットワーク90に接続された複数のユーザ端末10において、各種データベースへのアクセスや検知結果の表示を可能にしても良い。
1…劣化検知システム、10…ユーザ端末、11…制御部、20,20a,20b…ドローン、21…赤外線カメラ、30…風力発電装置、31…ブレード、112…赤外線画像取得部、113…ブレード領域特定部、114…吸光度算出部、115…塗膜厚さ算出部、116…補修領域検出部、312…塗膜
請求項1に係る発明は、風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記赤外線画像において、前記ブレードの映ったブレード領域を、当該赤外線画像を用いて特定する手段と、前記赤外線画像に基づいて、前記ブレード領域内の前記ブレードの各位置における前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する把握手段と、前記把握手段が把握した前記ブレードの各位置における当該ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、当該ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を二次元分布として検知する検知手段と、を有することを特徴とする、風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項2に係る発明は、前記ブレード領域を特定する手段は、前記赤外線画像において輝度が予め定められた閾値以下である領域を、前記ブレード領域として特定することを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項に係る発明は、前記取得手段は、特定の波長領域の赤外光を感受して撮影された前記赤外線画像を取得し、前記特定の波長領域は、前記薄膜化が進行した場合に吸光度が低くなる波長領域であることを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項に係る発明は、前記特定の波長領域は、1.15~1.26μm,1.35~1.61μm,1.66~1.83μm,1.89~2.08μmの少なくとも一部を含むことを特徴とする、請求項に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項に係る発明は、前記検知手段は、前記薄膜化に係る検知として、前記ブレードの表面に形成された塗膜の厚さの検知を行い、前記ブレードの表面に形成された塗膜の厚さが、ユーザにより予め定められた基準厚さ以下である場合に、当該ブレードの表面に形成された塗膜の補修を推奨する通知を行う通知手段をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項6に係る発明は、前記通知手段は、前記ブレードの表面に形成された塗膜の厚さについて、前記基準厚さ以下である領域の面積がユーザにより予め定められた基準面積以上である場合に、前記補修を推奨する通知を行うことを特徴とする、請求項5に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項に係る発明は、前記検知手段が検知した前記二次元分布を表示する表示手段をさらに有し、前記検知手段は、前記二次元分布においてユーザによる補修が推奨される補修領域を特定し、前記表示手段は、前記二次元分布の表示に際し前記補修領域を強調して表示することを特徴とする、請求項に記載の風力発電装置の劣化検知システムである。
請求項に係る発明は、風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する機能と、前記赤外線画像において前記ブレードの映ったブレード領域を、当該赤外線画像を用いて特定する機能と、前記赤外線画像に基づいて、前記ブレード領域内の前記ブレードの各位置における前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する機能と、前記ブレードの各位置における当該ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、当該ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を二次元分布として検知する機能と、を有することを特徴とする、風力発電装置の劣化検知装置である。
請求項に係る発明は、コンピュータに、風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する機能と、前記赤外線画像において前記ブレードの映ったブレード領域を、当該赤外線画像を用いて特定する機能と、前記赤外線画像に基づいて、前記ブレード領域内の前記ブレードの各位置における前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する機能と、前記ブレードの各位置における当該ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、当該ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を二次元分布として検知する機能と、を実現させることを特徴とする、プログラムである。

Claims (10)

  1. 風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する取得手段と、
    前記赤外線画像に基づいて前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する把握手段と、
    前記把握手段が把握した前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、当該ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を検知する検知手段と、
    を有することを特徴とする、風力発電装置の劣化検知システム。
  2. 前記取得手段は、特定の波長領域の赤外光を感受して撮影された前記赤外線画像を取得し、
    前記特定の波長領域は、前記薄膜化が進行した場合に吸光度が低くなる波長領域である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
  3. 前記特定の波長領域は、1.15~1.26μm,1.35~1.61μm,1.66~1.83μm,1.89~2.08μmの少なくとも一部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
  4. 前記検知手段は、前記薄膜化に係る検知として、前記ブレードの表面に形成された塗膜の厚さの検知を行うことを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
  5. 前記ブレードの表面に形成された塗膜の厚さが、ユーザにより予め定められた基準厚さ以下である場合に、当該ブレードの表面に形成された塗膜の補修を推奨する通知を行う通知手段をさらに有することを特徴とする、請求項4に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
  6. 前記通知手段は、前記ブレードの表面に形成された塗膜の厚さについて、前記基準厚さ以下である領域の面積がユーザにより予め定められた基準面積以上である場合に、前記補修を推奨する通知を行うことを特徴とする、請求項5に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
  7. 前記把握手段は、前記赤外線画像に基づいて、前記ブレード上の各位置における前記塗膜の吸光度を把握し、
    前記検知手段は、前記ブレード上の各位置における前記塗膜の吸光度に基づいて、前記ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を二次元分布として検知する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
  8. 前記検知手段が検知した前記二次元分布を表示する表示手段をさらに有し、
    前記検知手段は、前記二次元分布においてユーザによる補修が推奨される補修領域を特定し、
    前記表示手段は、前記二次元分布の表示に際し前記補修領域を強調して表示する
    ことを特徴とする、請求項7に記載の風力発電装置の劣化検知システム。
  9. 風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する機能と、
    前記赤外線画像に基づいて前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する機能と、
    前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、当該ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を検知する機能と、
    を有することを特徴とする、風力発電装置の劣化検知装置。
  10. コンピュータに、
    風力発電装置のブレードを撮影した赤外線画像を取得する機能と、
    前記赤外線画像に基づいて前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度を把握する機能と、
    前記ブレードの表面に形成された塗膜の吸光度、および、塗膜の吸光度と塗膜の厚さとの関係に基づいて、当該ブレードの表面に形成された塗膜の薄膜化の状態を検知する機能と、
    を実現させることを特徴とする、プログラム。
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