JP2023046263A - センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】クラックが発生することを抑制できるようにしたセンサを実現する。【解決手段】磁気センサ1は、凸面305cを有する絶縁層305と、第1のMR素子50Bと、第2のMR素子50Cとを備えている。第1のMR素子50Bは、凸面305cの第1の傾斜面305aの上に配置されている。第2のMR素子50Cは、凸面305cの第2の傾斜面305bの上に配置されている。凸面305cは、第1ないし第3の曲面部分305c1~305c3を含んでいる。第2および第3の曲面部分305c2,305c3は、それぞれ、基板301の上面301aに近づく方向に凸となる曲面である。【選択図】図13

Description

本発明は、凸面にセンサ素子が配置されたセンサに関する。
近年、種々の用途で、磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサが利用されている。磁気センサを含むシステムでは、基板上に設けられた磁気抵抗効果素子によって、基板の面に垂直な方向の成分を含む磁界を検出したい場合がある。この場合、基板の面に垂直な方向の磁界を基板の面に平行な方向の磁界に変換する軟磁性体を設けたり、磁気抵抗効果素子を基板上に形成された傾斜面上に配置したりすることによって、基板の面に垂直な方向の成分を含む磁界を検出することができる。
特許文献1には、X軸センサとY1軸センサとY2軸センサが基板上に設けられた三軸磁気センサが開示されている。Y1軸センサとY2軸センサを構成する複数の磁気抵抗効果素子は、基板の上に形成された断面形状が台形状の複数の突部の各斜面上に形成されている。
特開2007-212275号公報
特許文献1に開示された三軸磁気センサのように、磁気抵抗効果素子を支持するための支持部材であって、平坦部から台形状の複数の突部が突出する構造を有する支持部材では、突部の表面と平坦部の表面が、突部と平坦部との境界で不連続になる。そのため、支持部材の表面は、滑らかな面にはならない。上記の構造を有する支持部材を備えた磁気センサでは、磁気センサの製造過程または使用中に、突部と平坦部との境界の近傍において支持部材にクラックが発生することがあった。
上記の問題は、磁気センサに限らず、傾斜面上にセンサ素子が形成されるセンサ全般に当てはまる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、傾斜した凸面上にセンサ素子の機能層が形成されたセンサであって、クラックが発生することを抑制できるようにしたセンサを提供することにある。
本発明のセンサは、所定の物理量を検出するように構成されたセンサである。本発明のセンサは、上面を有する基板と、基板の上に配置された支持部材と、所定の物理量に応じて物性が変化するように構成されたセンサ素子とを備えている。支持部材は、基板の上面から遠ざかる方向に張り出すと共に少なくとも一部が基板の上面に対して傾斜した凸面を有している。凸面は、基板の上面から最も遠い上端部を有している。センサ素子は、センサ素子の少なくとも一部を構成する機能層を含んでいる。機能層は、凸面の上に配置されている。凸面は、上端部を含む第1の曲面部分と、第1の曲面部分に連続し且つ基板の上面に垂直な方向において第1の曲面部分と基板の上面との間に位置する第2の曲面部分とを含んでいる。第1の曲面部分は、基板の上面から遠ざかる方向に凸となる曲面である。第2の曲面部分は、基板の上面に近づく方向に凸となる曲面である。基板の上面に垂直な断面における第2の曲面部分の曲率半径は、基板の上面に垂直な断面における第1の曲面部分の曲率半径よりも小さく、且つ0.3μm以上である。基板の上面に垂直な断面における第1の曲面部分の曲率半径は、4.25μm以上5.45μm以下である。
本発明のセンサでは、支持部材は、それぞれ前述の特徴を有する第1の曲面部分および第2の曲面部分を含む凸面を有している。これにより、本発明によれば、傾斜した凸面上にセンサ素子の機能層が形成されたセンサにおいて、クラックが発生することを抑制することができるという効果を奏する。
本発明の一実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気センサを含む磁気センサ装置の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の一実施の形態における第1の検出回路の回路構成を示す回路図である。 本発明の一実施の形態における第2の検出回路の回路構成を示す回路図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気センサの一部を示す平面図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気センサの一部を示す断面図である。 本発明の一実施の形態における磁気抵抗効果素子を示す側面図である。 本発明の一実施の形態に係る磁気センサの製造方法における一工程を示す断面図である。 図8に示した工程に続く工程を示す断面図である。 図9に示した工程に続く工程を示す断面図である。 図10に示した工程に続く工程を示す断面図である。 本発明の一実施の形態における支持部材の形状を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態における凸面の形状を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態における凸面の形状を表す関数のグラフを示す説明図である。 図14に示した関数の第1次導関数のグラフを示す説明図である。 図14に示した関数の第2次導関数のグラフを示す説明図である。
以下で説明する本発明の実施の形態は、所定の物理量を検出するように構成されたセンサに関する。実施の形態において、センサは、所定の物理量に応じて物性が変化するように構成されたセンサ素子を備えている。例えば、所定の物理量は、検出対象の磁界である対象磁界の方向および強度の少なくとも一方であってもよい。この場合、センサ素子は、対象磁界の方向および強度の少なくとも一方の変化を検出するように構成された磁気検出素子であってもよい。磁気検出素子を備えたセンサは、磁気センサとも呼ばれる。磁気センサは、対象磁界の方向および強度の少なくとも一方を検出するように構成されている。以下、センサが磁気センサである場合を例にとって、実施の形態について詳細に説明する。
始めに、図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る磁気センサの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る磁気センサを含む磁気センサ装置の構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る磁気センサ1は、本発明における「センサ」に対応する。
図1に示したように、磁気センサ1は、直方体形状のチップの形態を有している。磁気センサ1は、互いに反対側に位置する上面1aおよび下面と、上面1aおよび下面とを接続する4つの側面とを有している。また、磁気センサ1は、上面1a上に設けられた複数の電極パッドを有している。
ここで、図1を参照して、本実施の形態における基準座標系について説明する。基準座標系は、磁気センサ1を基準とした座標系であって、3つの軸によって定義された直交座標系である。基準座標系では、X方向、Y方向、Z方向が定義されている。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では特に、磁気センサ1の上面1aに垂直な方向であって、磁気センサ1の下面から上面1aに向かう方向を、Z方向とする。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。基準座標系を定義する3つの軸は、X方向に平行な軸と、Y方向に平行な軸と、Z方向に平行な軸である。
以下、基準の位置に対してZ方向の先にある位置を「上方」と言い、基準の位置に対して「上方」とは反対側にある位置を「下方」と言う。また、磁気センサ1の構成要素に関して、Z方向の端に位置する面を「上面」と言い、-Z方向の端に位置する面を「下面」と言う。また、「Z方向から見たとき」という表現は、Z方向に離れた位置から対象物を見ることを意味する。
図2に示したように、磁気センサ1は、第1の検出回路20と、第2の検出回路30とを備えている。第1および第2の検出回路20,30の各々は、複数の磁気検出素子を含み、対象磁界を検出して少なくとも1つの検出信号を生成するように構成されている。本実施の形態では特に、複数の磁気検出素子は、複数の磁気抵抗効果素子である。以下、磁気抵抗効果素子を、MR素子と記す。
第1および第2の検出回路20,30が生成する複数の検出信号は、プロセッサ40によって処理される。磁気センサ1とプロセッサ40は、磁気センサ装置100を構成する。プロセッサ40は、第1および第2の検出回路20,30が生成する複数の検出信号を処理することによって、所定の基準位置における磁界の互いに異なる2つの方向の成分と対応関係を有する第1の検出値および第2の検出値を生成するように構成されている。本実施の形態では特に、上記の互いに異なる2つの方向は、XY平面に平行な1つの方向と、Z方向に平行な方向である。プロセッサ40は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)によって構成されている。
プロセッサ40は、例えば、磁気センサ1を支持する支持体に含まれていてもよい。この支持体は、複数の電極パッドを有している。第1および第2の検出回路20,30とプロセッサ40は、例えば、磁気センサ1の複数の電極パッド、支持体の複数の電極パッドおよび複数のボンディングワイヤを介して接続されている。磁気センサ1の複数の電極パッドが磁気センサ1の上面1aに設けられている場合、磁気センサ1は、磁気センサ1の下面が支持体の上面に対向する姿勢で、支持体の上面上に実装されていてもよい。
次に、図3ないし図6を参照して、第1および第2の検出回路20,30について説明する。図3は、第1の検出回路20の回路構成を示す回路図である。図4は、第2の検出回路30の回路構成を示す回路図である。図5は、磁気センサ1の一部を示す平面図である。図6は、磁気センサ1の一部を示す断面図である。
ここで、図5に示したように、U方向とV方向を、以下のように定義する。U方向は、X方向から-Y方向に向かって回転した方向である。V方向は、Y方向からX方向に向かって回転した方向である。本実施の形態では特に、U方向を、X方向から-Y方向に向かってαだけ回転した方向とし、V方向を、Y方向からX方向に向かってαだけ回転した方向とする。なお、αは、0°よりも大きく90°よりも小さい角度である。一例では、αは45°である。また、U方向とは反対の方向を-U方向とし、V方向とは反対の方向を-V方向とする。
また、図6に示したように、W1方向とW2方向を、以下のように定義する。W1方向は、V方向から-Z方向に向かって回転した方向である。W2方向は、V方向からZ方向に向かって回転した方向である。本実施の形態では特に、W1方向を、V方向から-Z方向に向かってβだけ回転した方向とし、W2方向を、V方向からZ方向に向かってβだけ回転した方向とする。なお、βは、0°よりも大きく90°よりも小さい角度である。また、W1方向とは反対の方向を-W1方向とし、W2方向とは反対の方向を-W2方向とする。W1方向およびW2方向は、それぞれ、U方向と直交する。
第1の検出回路20は、対象磁界のW1方向に平行な方向の成分を検出し、この成分と対応関係を有する少なくとも1つの第1の検出信号を生成するように構成されている。第2の検出回路30は、対象磁界のW2方向に平行な方向の成分を検出し、この成分と対応関係を有する少なくとも1つの第2の検出信号を生成するように構成されている。
図3に示したように、第1の検出回路20は、電源端V2と、グランド端G2と、信号出力端E21,E22と、第1の抵抗部R21と、第2の抵抗部R22と、第3の抵抗部R23と、第4の抵抗部R24とを含んでいる。第1の検出回路20の複数のMR素子は、第1ないし第4の抵抗部R21,R22,R23,R24を構成する。
第1の抵抗部R21は、電源端V2と信号出力端E21との間に設けられている。第2の抵抗部R22は、信号出力端E21とグランド端G2との間に設けられている。第3の抵抗部R23は、信号出力端E22とグランド端G2との間に設けられている。第4の抵抗部R24は、電源端V2と信号出力端E22との間に設けられている。
図4に示したように、第2の検出回路30は、電源端V3と、グランド端G3と、信号出力端E31,E32と、第1の抵抗部R31と、第2の抵抗部R32と、第3の抵抗部R33と、第4の抵抗部R34とを含んでいる。第2の検出回路30の複数のMR素子は、第1ないし第4の抵抗部R31,R32,R33,R34を構成する。
第1の抵抗部R31は、電源端V3と信号出力端E31との間に設けられている。第2の抵抗部R32は、信号出力端E31とグランド端G3との間に設けられている。第3の抵抗部R33は、信号出力端E32とグランド端G3との間に設けられている。第4の抵抗部R34は、電源端V3と信号出力端E32との間に設けられている。
電源端V2,V3の各々には、所定の大きさの電圧または電流が印加される。グランド端G2,G3の各々はグランドに接続される。
以下、第1の検出回路20の複数のMR素子を複数の第1のMR素子50Bと言い、第2の検出回路30の複数のMR素子を複数の第2のMR素子50Cと言う。第1および第2の検出回路20,30は磁気センサ1の構成要素であることから、磁気センサ1が複数の第1のMR素子50Bおよび複数の第2のMR素子50Cを含んでいるとも言える。また、任意のMR素子については、符号50を付して表す。
図7は、MR素子50を示す側面図である。MR素子50は、スピンバルブ型のMR素子である。MR素子50は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層52と、対象磁界の方向に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層54と、磁化固定層52と自由層54の間に配置されたギャップ層53とを有している。MR素子50は、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子でもよいし、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子でもよい。TMR素子では、ギャップ層53はトンネルバリア層である。GMR素子では、ギャップ層53は非磁性導電層である。MR素子50では、自由層54の磁化の方向が磁化固定層52の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。各MR素子50において、自由層54は、磁化容易軸方向が、磁化固定層52の磁化の方向に直交する方向となる形状異方性を有している。なお、自由層54に所定の方向の磁化容易軸を設定する手段として、自由層54に対してバイアス磁界を印加する磁石を用いることもできる。
MR素子50は、更に、反強磁性層51を有している。反強磁性層51、磁化固定層52、ギャップ層53および自由層54は、この順に積層されている。反強磁性層51は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層52との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層52の磁化の方向を固定する。なお、磁化固定層52は、いわゆるセルフピン止め型の固定層(Synthetic Ferri Pinned 層、SFP層)であってもよい。セルフピン止め型の固定層は、強磁性層、非磁性中間層および強磁性層を積層させた積層フェリ構造を有し、2つの強磁性層を反強磁性的に結合させてなるものである。磁化固定層52がセルフピン止め型の固定層である場合、反強磁性層51を省略してもよい。
なお、MR素子50における層51~54の配置は、図7に示した配置とは上下が反対でもよい。
図3および図4において、塗りつぶした矢印は、MR素子50の磁化固定層52の磁化の方向を表している。また、白抜きの矢印は、MR素子50に対象磁界が印加されていない場合における、MR素子50の自由層54の磁化の方向を表している。
図3に示した例では、第1および第3の抵抗部R21,R23の各々における磁化固定層52の磁化の方向は、W1方向である。第2および第4の抵抗部R22,R24の各々における磁化固定層52の磁化の方向は、-W1方向である。また、複数の第1のMR素子50Bの各々の自由層54は、磁化容易軸方向がU方向に平行な方向となる形状異方性を有している。第1および第2の抵抗部R21,R22の各々における自由層54の磁化の方向は、第1のMR素子50Bに対象磁界が印加されていない場合、U方向である。第3および第4の抵抗部R23,R24の各々における自由層54の磁化の方向は、上記の場合、-U方向である。
図4に示した例では、第1および第3の抵抗部R31,R33の各々における磁化固定層52の磁化の方向は、W2方向である。第2および第4の抵抗部R32,R34の各々における磁化固定層52の磁化の方向は、-W2方向である。また、複数の第2のMR素子50Cの各々の自由層54は、磁化容易軸方向がU方向に平行な方向となる形状異方性を有している。第1および第2の抵抗部R31,R32の各々における自由層54の磁化の方向は、第2のMR素子50Cに対象磁界が印加されていない場合、U方向である。第3および第4の抵抗部R33,R34の各々における自由層54の磁化の方向は、上記の場合、-U方向である。
磁気センサ1は、複数の第1のMR素子50Bと複数の第2のMR素子50Cの各々の自由層54に対して、所定の方向の磁界を印加するように構成された磁界発生器を含んでいる。本実施の形態では、磁界発生器は、複数の第1のMR素子50Bと複数の第2のMR素子50Cの各々の自由層54に対して所定の方向の磁界を印加するコイル80を含んでいる。
なお、磁化固定層52の磁化の方向と自由層54の磁化容易軸の方向は、MR素子50の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。また、磁化固定層52の磁化は、上述の方向を主成分とする磁化成分を含むように構成されていてもよい。この場合、磁化固定層52の磁化の方向は、上述の方向またはほぼ上述の方向になる。
以下、図5および図6を参照して、磁気センサ1の具体的な構造について詳しく説明する。図6は、図5において6-6線で示す位置の断面の一部を示している。
磁気センサ1は、上面301aを有する基板301と、絶縁層302,303,304,305,306,307,308,309,310と、複数の下部電極61Bと、複数の下部電極61Cと、複数の上部電極62Bと、複数の上部電極62Cと、複数の下部コイル要素81と、複数の上部コイル要素82とを含んでいる。基板301の上面301aは、XY平面に平行であるものとする。Z方向は、基板301の上面301aに垂直な一方向でもある。なお、コイル要素とは、コイルの巻線の一部である。
絶縁層302は、基板301の上に配置されている。複数の下部コイル要素81は、絶縁層302の上に配置されている。絶縁層303は、絶縁層302の上において複数の下部コイル要素81の周囲に配置されている。絶縁層304,305,306は、複数の下部コイル要素81および絶縁層303の上に、この順に積層されている。
複数の下部電極61Bと複数の下部電極61Cは、絶縁層306の上に配置されている。絶縁層307は、絶縁層306の上において複数の下部電極61Bの周囲と複数の下部電極61Cの周囲に配置されている。複数の第1のMR素子50Bは、複数の下部電極61Bの上に配置されている。複数の第2のMR素子50Cは、複数の下部電極61Cの上に配置されている。絶縁層308は、複数の下部電極61B、複数の下部電極61Cおよび絶縁層307の上において複数の第1のMR素子50Bの周囲と複数の第2のMR素子50Cの周囲に配置されている。複数の上部電極62Bは、複数の第1のMR素子50Bおよび絶縁層308の上に配置されている。複数の上部電極62Cは、複数の第2のMR素子50Cおよび絶縁層308の上に配置されている。絶縁層309は、絶縁層308の上において複数の上部電極62Bの周囲と複数の上部電極62Cの周囲に配置されている。
絶縁層310は、複数の上部電極62B、複数の上部電極62Cおよび絶縁層309の上に配置されている。複数の上部コイル要素82は、絶縁層310の上に配置されている。磁気センサ1は、更に、複数の上部コイル要素82および絶縁層310を覆う図示しない絶縁層を含んでいてもよい。
磁気センサ1は、複数の第1のMR素子50Bと複数の第2のMR素子50Cを支持する支持部材を含んでいる。支持部材は、基板301の上面301aに対して傾斜した少なくとも1つの傾斜面を有している。本実施の形態では特に、支持部材は、絶縁層305によって構成されている。なお、図5では、磁気センサ1の構成要素のうち、絶縁層305、複数の第1のMR素子50B、複数の第2のMR素子50Cおよび複数の上部コイル要素82を示している。
絶縁層305は、それぞれ基板301の上面301aから遠ざかる方向(Z方向)に張り出す複数の凸面305cを有している。複数の凸面305cの各々は、U方向に平行な方向に延在している。凸面305cの全体形状は、図6に示した凸面305cの曲線形状(アーチ形状)をU方向に平行な方向に沿って移動してできる半円筒状の曲面である。また、複数の凸面305cは、所定の間隔でV方向に平行な方向に並んでいる。
複数の凸面305cの各々は、基板301の上面301aから最も遠い上端部を有している。本実施の形態では、複数の凸面305cの各々の上端部は、U方向に平行な方向に延在するものとする。ここで、複数の凸面305cのうちの任意の1つの凸面305cに着目する。凸面305cは、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bとを含んでいる。第1の傾斜面305aは、凸面305cのうち、凸面305cの上端部よりもV方向側の面である。第2の傾斜面305bは、凸面305cのうち、凸面305cの上端部よりも-V方向側の面である。図5では、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bとの境界を、点線で示している。
凸面305cの上端部は、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bとの境界であってもよい。この場合、図5に示した点線は、凸面305cの上端部を示している。
基板301の上面301aは、XY平面に平行である。第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bの各々は、基板301の上面301aすなわちXY平面に対して傾斜している。基板301の上面301aに垂直な断面において、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bの間隔は、基板301の上面301aから遠ざかるに従って小さくなる。
本実施の形態では、凸面305cが複数存在することから、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bもそれぞれ複数存在する。絶縁層305は、複数の第1の傾斜面305aと、複数の第2の傾斜面305bとを有している。
絶縁層305は、更に、複数の凸面305cの周囲に存在する平坦面305dを有している。平坦面305dは、基板301の上面301aに平行な面である。複数の凸面305cの各々は、平坦面305dからZ方向に突出している。また、本実施の形態では、複数の凸面305cは、所定の間隔を開けて配置されている。従って、V方向に隣接する2つの凸面305cの間には、平坦面305dが存在する。
絶縁層305は、それぞれZ方向に突出した複数の突出部と、複数の突出部の周囲に存在する平坦部とを含んでいる。複数の突出部の各々は、U方向に平行な方向に延在すると共に、凸面305cを有している。また、複数の突出部は、所定の間隔でV方向に平行な方向に並んでいる。平坦部の厚み(Z方向の寸法)は、実質的に一定である。
なお、絶縁層304は、実質的に一定の厚み(Z方向の寸法)を有し、絶縁層305の下面に沿って形成されている。絶縁層306は、実質的に一定の厚み(Z方向の寸法)を有し、絶縁層305の上面に沿って形成されている。
本実施の形態では特に、絶縁層305は、絶縁層304の上に配置された第1層3051と、第1層3051の上に配置された第2層3052とを含んでいる。第2層3052は、互いに分離された複数の部分を含んでいる。絶縁層306は、第1層3051の上面のうちの第2層3052が配置されていない部分と、第2層3052の上面の上に配置されている。複数の第1の傾斜面305aと複数の第2の傾斜面305bの各々は、第1層3051と第2層3052にわたって形成されている。
複数の下部電極61Bは、複数の第1の傾斜面305aの上に配置されている。複数の下部電極61Cは、複数の第2の傾斜面305bの上に配置されている。前述のように、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bの各々は、基板301の上面301aすなわちXY平面に対して傾斜していることから、複数の下部電極61Bの各々の上面と複数の下部電極61Cの各々の上面も、XY平面に対して傾斜する。従って、複数の第1のMR素子50Bと複数の第2のMR素子50Cは、XY平面に対して傾斜した傾斜面上に配置されていると言える。絶縁層305は、複数の第1のMR素子50Bと複数の第2のMR素子50Cの各々をXY平面に対して傾くように支持するための部材である。
なお、本実施の形態では、第1の傾斜面305aは曲面である。そのため、第1のMR素子50Bは、曲面(第1の傾斜面305a)に沿って湾曲する。本実施の形態では、便宜上、第1のMR素子50Bの磁化固定層52の磁化の方向は、直線的な方向として前述のように定義される。第1のMR素子50Bの磁化固定層52の磁化の方向であるW1方向および-W1方向は、第1の傾斜面305aのうち、第1のMR素子50Bの近傍の部分に接する接線が延在する方向でもある。
同様に、本実施の形態では、第2の傾斜面305bは曲面である。そのため、第2のMR素子50Cは、曲面(第2の傾斜面305b)に沿って湾曲する。本実施の形態では、便宜上、第2のMR素子50Cの磁化固定層52の磁化の方向は、直線的な方向として前述のように定義される。第2のMR素子50Cの磁化固定層52の磁化の方向であるW2方向および-W2方向は、第2の傾斜面305bのうち、第2のMR素子50Cの近傍の部分に接する接線が延在する方向でもある。
図5に示したように、複数の第1のMR素子50Bは、U方向とV方向にそれぞれ複数個ずつ並ぶように配列されている。1つの第1の傾斜面305aの上には、複数個の第1のMR素子50Bが1列に並んでいる。同様に、複数の第2のMR素子50Cは、U方向とV方向にそれぞれ複数個ずつ並ぶように配列されている。1つの第2の傾斜面305bの上には、複数個の第2のMR素子50Cが1列に並んでいる。本実施の形態では、複数の第1のMR素子50Bの列と複数の第2のMR素子50Cの列が、V方向に平行な方向において交互に並んでいる。
なお、隣接する1つの第1のMR素子50Bと1つの第2のMR素子50Cは、Z方向から見たときに、U方向に平行な方向にずれていてもよいし、ずれていなくてもよい。また、1つの第2のMR素子50Cを挟んで隣接する2つの第1のMR素子50Bは、Z方向から見たときに、U方向に平行な方向にずれていてもよいし、ずれていなくてもよい。また、1つの第1のMR素子50Bを挟んで隣接する2つの第2のMR素子50Cは、Z方向から見たときに、U方向に平行な方向にずれていてもよいし、ずれていなくてもよい。
複数の第1のMR素子50Bは、複数の下部電極61Bと複数の上部電極62Bによって、直列に接続されている。ここで、図7を参照して、複数の第1のMR素子50Bの接続方法について詳しく説明する。図7において、符号61は、任意のMR素子50に対応する下部電極を示し、符号62は、任意のMR素子50に対応する上部電極を示している。図7に示したように、個々の下部電極61は細長い形状を有している。下部電極61の長手方向に隣接する2つの下部電極61の間には、間隙が形成されている。下部電極61の上面上において、長手方向の両端の近傍に、それぞれMR素子50が配置されている。また、個々の上部電極62は細長い形状を有し、下部電極61の長手方向に隣接する2つの下部電極61上に配置されて隣接する2つのMR素子50同士を電気的に接続する。
図示しないが、1列に並んだ複数個のMR素子50の列の端に位置する1つのMR素子50は、下部電極61の長手方向と交差する方向に隣接する他の複数個のMR素子50の列の端に位置する他の1つのMR素子50に接続されている。この2つのMR素子50は、図示しない電極によって互いに接続されている。図示しない電極は、2つのMR素子50の下面同士または上面同士を接続する電極であってもよい。
図7に示したMR素子50が第1のMR素子50Bである場合、図7に示した下部電極61は下部電極61Bに対応し、図7に示した上部電極62は上部電極62Bに対応する。また、この場合、下部電極61の長手方向は、U方向に平行な方向になる。
同様に、複数の第2のMR素子50Cは、複数の下部電極61Cと複数の上部電極62Cによって、直列に接続されている。前述の複数の第1のMR素子50Bの接続方法についての説明は、複数の第2のMR素子50Cの接続方法にも当てはまる。図7に示したMR素子50が第2のMR素子50Cである場合、図7に示した下部電極61は下部電極61Cに対応し、図7に示した上部電極62は上部電極62Cに対応する。また、この場合、下部電極61の長手方向は、U方向に平行な方向になる。
なお、本実施の形態では、反強磁性層51、磁化固定層52、ギャップ層53および自由層54を含む積層膜を、MR素子50として説明している。しかし、この積層膜と、下部電極61と、上部電極62とを備えたものを、本実施の形態おけるMR素子としてもよい。積層膜は、複数の磁性膜を含んでいる。下部電極61は、凸面305cと複数の磁性膜との間に配置された非磁性金属層である。MR素子は、複数の積層膜と、複数の下部電極61と、複数の上部電極62とを備えていてもよい。
複数の上部コイル要素82の各々は、Y方向に平行な方向に延在している。また、複数の上部コイル要素82は、X方向に並ぶように配列されている。本実施の形態では特に、Z方向から見たときに、複数の第1のMR素子50Bと複数の第2のMR素子50Cの各々には、2つの上部コイル要素82が重なっている。
複数の下部コイル要素81の各々は、Y方向に平行な方向に延在している。また、複数の下部コイル要素81は、X方向に並ぶように配列されている。複数の下部コイル要素81の形状および配列は、複数の上部コイル要素82の形状および配列と同じであってもよいし、異なっていてもよい。図5および図6に示した例では、複数の下部コイル要素81の各々のX方向の寸法は、複数の上部コイル要素82の各々のX方向の寸法よりも小さい。また、X方向に隣接する2つの下部コイル要素81の間隔は、X方向に隣接する2つの上部コイル要素82の間隔よりも小さい。
図5および図6に示した例では、複数の下部コイル要素81と複数の上部コイル要素82は、複数の第1のMR素子50Bと複数の第2のMR素子50Cの各々の自由層54に対して、X方向に平行な方向の磁界を印加するコイル80を構成するように、電気的に接続されている。また、コイル80は、例えば、第1の検出回路20の第1および第2の抵抗部R21,R22と第2の検出回路30の第1および第2の抵抗部R31,R32における自由層54に対してX方向の磁界を印加し、第1の検出回路20の第3および第4の抵抗部R23,R24と第2の検出回路30の第3および第4の抵抗部R33,R34における自由層54に対して-X方向の磁界を印加することができるように構成されていてもよい。また、コイル80は、プロセッサ40によって制御されてもよい。
次に、第1および第2の検出信号について説明する。始めに、図3を参照して、第1の検出信号について説明する。対象磁界のW1方向に平行な方向の成分の強度が変化すると、第1の検出回路20の抵抗部R21~R24の各々の抵抗値は、抵抗部R21,R23の抵抗値が増加すると共に抵抗部R22,R24の抵抗値が減少するか、抵抗部R21,R23の抵抗値が減少すると共に抵抗部R22,R24の抵抗値が増加するように変化する。これにより、信号出力端E21,E22の各々の電位が変化する。第1の検出回路20は、信号出力端E21の電位に対応する信号を第1の検出信号S21として生成し、信号出力端E22の電位に対応する信号を第1の検出信号S22として生成するように構成されている。
次に、図4を参照して、第2の検出信号について説明する。対象磁界のW2方向に平行な方向の成分の強度が変化すると、第2の検出回路30の抵抗部R31~R34の各々の抵抗値は、抵抗部R31,R33の抵抗値が増加すると共に抵抗部R32,R34の抵抗値が減少するか、抵抗部R31,R33の抵抗値が減少すると共に抵抗部R32,R34の抵抗値が増加するように変化する。これにより、信号出力端E31,E32の各々の電位が変化する。第2の検出回路30は、信号出力端E31の電位に対応する信号を第2の検出信号S31として生成し、信号出力端E32の電位に対応する信号を第2の検出信号S32として生成するように構成されている。
次に、プロセッサ40の動作について説明する。プロセッサ40は、第1の検出信号S21,S22および第2の検出信号S31,S32に基づいて、第1の検出値と第2の検出値を生成するように構成されている。第1の検出値は、対象磁界のV方向に平行な方向の成分に対応する検出値である。第2の検出値は、対象磁界のZ方向に平行な方向の成分に対応する検出値である。以下、第1の検出値を記号Svで表し、第2の検出値を記号Szで表す。
プロセッサ40は、例えば、以下のようにして第1および第2の検出値Sv,Szを生成する。プロセッサ40は、まず、第1の検出信号S21と第1の検出信号S22の差S21-S22を求めることを含む演算によって、値S1を生成すると共に、第2の検出信号S31と第2の検出信号S32の差S31-S32を求めることを含む演算によって、値S2を生成する。次に、プロセッサ40は、下記の式(1)、(2)を用いて、値S3,S4を算出する。
S3=(S2+S1)/(2cosα) …(1)
S4=(S2-S1)/(2sinα) …(2)
第1の検出値Svは、値S3そのものであってもよいし、値S3に対してゲイン調整およびオフセット調整等の所定の補正を加えたものであってもよい。同様に、第2の検出値Szは、値S4そのものであってもよいし、値S4に対してゲイン調整およびオフセット調整等の所定の補正を加えたものであってもよい。
次に、図8ないし図11を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法について説明する。図8ないし図11は、磁気センサ1の製造過程における積層体を示している。磁気センサ1の製造方法では、まず、図8に示したように、基板301の上に、絶縁層302を形成する。次に、絶縁層302の上に、複数の下部コイル要素81と、導電材料よりなる接続層83と、絶縁層303を形成する。次に、複数の下部コイル要素81、接続層83および絶縁層303の上に、絶縁層304を形成する。
図9は、次の工程を示す。この工程では、まず、絶縁層304を選択的にエッチングして、絶縁層304に、接続層83の上面を露出させる開口部を形成する。次に、接続層83の上面の上に、導電材料よりなる金属膜84を形成する。次に、金属膜84の上に、導電材料よりなる接続層85を形成する。次に、接続層85の周囲に、絶縁層305の第1層3051を形成する。
図10は、次の工程を示す。この工程では、まず、接続層85の上面の上に、導電材料よりなる金属膜86を形成する。次に、金属膜86および絶縁層305の第1層3051の上に、絶縁層305の第2層3052を形成する。
図11は、次の工程を示す。この工程では、絶縁層305に複数の凸面305cが形成されるように、第1層3051および第2層3052をエッチングする。複数の凸面305cは、例えば、第2層3052の上に複数のエッチングマスクを形成した後、複数のエッチングマスクが除去されるように、第1層3051、第2層3052および複数のエッチングマスクをエッチングすることによって形成される。複数のエッチングマスクは、複数の凸面305cに対応した形状を有している。第1層3051のうち、複数のエッチングマスクによって覆われていない部分は、平坦面305dとなる。このエッチングにおいて、金属膜86は、接続層85を保護するためのエッチングストッパとして機能する。
接続層85は、第1層3051に埋め込まれた構造物である。接続層85は、基板301の上面301aから最も遠い端面すなわち上面を有している。接続層85の端面(上面)は、基板301の上面301aに垂直な方向、すなわちZ方向に平行な方向において、第1層3051と第2層3052との界面と実質的に同じ位置に配置されている。
以下、図6を参照して、第1層3051および第2層3052をエッチングした後の工程について説明する。まず、第1層3051および第2層3052の上に、絶縁層306を形成する。次に、絶縁層306の上に、複数の下部電極61B、複数の下部電極61C、複数の第1のMR素子50B、複数の第2のMR素子50C、複数の上部電極62B、複数の上部電極62Cおよび絶縁層307~309を形成する。
次に、複数の上部電極62B、複数の上部電極62Cおよび絶縁層309の上に、絶縁層310を形成する。次に、絶縁層310の上に、複数の上部コイル要素82を形成する。これにより、磁気センサ1が完成する。
接続層83,85は、複数の下部コイル要素81と複数の上部コイル要素82とを接続する接続部として用いられてもよい。この場合、例えば、絶縁層310を形成した後であって複数の上部コイル要素82を形成する前に、絶縁層306~310を選択的にエッチングして、金属膜86を露出させる開口部を形成し、この開口部内に、導電材料よりなる図示しない接続層を形成してもよい。複数の上部コイル要素82は、図示しない接続層を形成した後、図示しない接続層に接続されるように形成される。
あるいは、金属膜86は、任意の電極パッド(例えば、コイル80の電極パッド)として用いられてもよい。この場合、例えば、第1層3051および第2層3052をエッチングした後であって絶縁層306を形成する前に、金属膜86を覆うフォトレジスト層を形成してもよい。フォトレジスト層は、例えば、上部コイル要素82を形成した後に除去される。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の構造上の特徴について説明する。磁気センサ1は、上面301aを有する基板301と、基板301の上に配置された支持部材と、第1のMR素子50Bと、第2のMR素子50Cとを備えている。本実施の形態では特に、絶縁層305が支持部材に対応する。基板301と絶縁層305との間には、複数の下部コイル要素81と絶縁層302~304が介在している。絶縁層305は、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bとを有している。
第1および第2のMR素子50B,50Cの各々は、少なくとも、2つの磁性膜すなわち磁化固定層52および自由層54を含んでいる。第1のMR素子50Bの上記2つの磁性膜は、第1のMR素子50Bの一部(要部)を構成している。第2のMR素子50Cの上記2つの磁性膜は、第2のMR素子50Cの一部(要部)を構成している。以下、上記2つの磁性膜を、機能層と呼ぶ。第1のMR素子50Bの機能層は、第1の傾斜面305aの上に配置されている。第2のMR素子50Cの機能層は、第2の傾斜面305bの上に配置されている。また、絶縁層305は、第1層3051と、第1層3051の上に配置された第2層3052とを含んでいる。第1層3051と第2層3052の各々は、例えばSiO等の絶縁材料によって形成されている。
以下、図12を参照して、第1の傾斜面305a、第2の傾斜面305b、第1層3051および第2層3052の特徴について詳しく説明する。図12は、支持部材すなわち絶縁層305の形状を説明するための説明図である。
第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bの各々は、第1層3051と第2層3052にわたって形成されている。また、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bは、互いに異なる方向に向いている。1つの凸面305cにおいて、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bは、基板301の上面301aに垂直な仮想のUZ平面を中心として対称であってもよい。
磁気センサ1の低背化の観点から、基板301の上面301aに垂直な方向、すなわちZ方向に平行な方向における第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bの各々の寸法は、1.4μm以上3.0μm以下の範囲内であることが好ましい。
第1の傾斜面305aは、基板301の上面301aに最も近い第1の端縁305a1と、基板301の上面301aから最も遠い第2の端縁305a2とを有している。第1の端縁305a1は、第1層3051に位置する。第2の端縁305a2は、第2層3052に位置する。
第2の傾斜面305bは、基板301の上面301aに最も近い第1の端縁305b1と、基板301の上面301aから最も遠い第2の端縁305b2とを有している。第1の端縁305b1は、第1層3051に位置する。第2の端縁305b2は、第2層3052に位置する。なお、図12に示した例では、第2の傾斜面305bの第2の端縁305b2は、第1の傾斜面305aの第2の端縁305a2に一致している。
第1層3051は、基板301の上面301aに最も近い下端部3051aと、基板301の上面301aから最も遠い上端部3051bとを有している。第2層3052は、基板301の上面301aに最も近い下端部3052aと、基板301の上面301aから最も遠い上端部3052bとを有している。第1層3051と第2層3052との界面から第1層3051の下端部3051aまでの距離は、第1層3051と第2層3052との界面から第2層3052の上端部3052bまでの距離よりも小さい。
第1の傾斜面305aの第1の端縁305a1は、基板301の上面301aに垂直な方向すなわちZ方向に平行な方向において、第1層3051の下端部3051aと上端部3051bとの間に配置されている。また、第2の傾斜面305bの第1の端縁305b1は、Z方向に平行な方向において、第1層3051の下端部3051aと上端部3051bとの間に配置されている。
第1のMR素子50Bの機能層は、第2層3052の表面に沿って配置されているが、第1層3051の表面に沿って配置されていない。また、第2のMR素子50Cの機能層は、第2層3052の表面に沿って配置されているが、第1層3051の表面に沿って配置されていない。
本実施の形態では、第1の傾斜面305aは、全体的に滑らかな曲面である。第1の傾斜面305aにおける第1層3051と第2層3052との境界の位置には、段差がない。同様に、本実施の形態では、第2の傾斜面305bは、全体的に滑らかな曲面である。第2の傾斜面305bにおける第1層3051と第2層3052との境界の位置には、段差がない。
次に、図13を参照して、支持部材すなわち絶縁層305の凸面305cの特徴について説明する。図13は、凸面305cの形状を説明するための説明図である。絶縁層305は、凸面305cを有している。凸面305cは、基板301の上面301aから遠ざかる方向に張り出している。凸面305cの少なくとも一部は、基板301の上面301aに対して傾斜している。本実施の形態では特に、凸面305cは、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bとを含んでいる。
凸面305cは、基板301の上面301aから最も遠い上端部E1を有している。上端部E1は、図12に示した第1の傾斜面305aの第2の端縁305a2と第2の傾斜面305bの第2の端縁305b2に一致していてもよい。
基板301の上面301aに垂直な方向、すなわちZ方向に平行な方向における凸面305cの寸法は、Z方向に平行な方向における第1および第2の傾斜面305a,305bの各々の寸法と同じである。すなわち、Z方向に平行な方向における凸面305cの寸法は、1.4μm以上3.0μm以下の範囲内であることが好ましい。また、V方向に平行な方向における凸面305cの寸法は、例えば3μm以上16μm以下であることが好ましい。
凸面305cは、上端部E1を含む第1の曲面部分305c1と、第2の曲面部分305c2と、第3の曲面部分305c3とを含んでいる。第2の曲面部分305c2は、第1の曲面部分305c1のV方向側の位置において第1の曲面部分305c1に連続し、且つ基板301の上面301aに垂直な方向において第1の曲面部分305c1と基板301の上面301aとの間に位置している。第3の曲面部分305c3は、第2の曲面部分305c2とは反対側の位置すなわち第1の曲面部分305c1の-V方向側の位置において第1の曲面部分305c1に連続し、且つ基板301の上面301aに垂直な方向において第1の曲面部分305c1と基板301の上面301aとの間に位置している。また、第2の曲面部分305c2と第3の曲面部分305c3の各々は、平坦面305dに連続している。
第1の曲面部分305c1は、基板301の上面301aから遠ざかる方向に凸となる曲面である。第2の曲面部分305c2と第3の曲面部分305c3の各々は、基板301の上面301aに近づく方向に凸となる曲面である。
ここで、基板301の上面301aに垂直な断面であって、VZ平面に平行な断面を、基準断面と言う。第1の曲面部分305c1は、基準断面において、円弧に近似することができる。図13では、基準断面における第1の曲面部分305c1の曲率半径、すなわち第1の曲面部分305c1の全体を近似した円弧の曲率半径を記号R1で示している。曲率半径R1は、4.25μm以上5.45μm以下であることが好ましい。
同様に、第2の曲面部分305c2と第3の曲面部分305c3は、それぞれ、基準断面において、円弧に近似することができる。図13では、基準断面における第2の曲面部分305c2の曲率半径、すなわち第2の曲面部分305c2を近似した円弧の曲率半径を記号R2で示し、基準断面における第3の曲面部分305c3の曲率半径、すなわち第3の曲面部分305c3を近似した円弧の曲率半径を記号R3で示している。曲率半径R2,R3の各々は、曲率半径R1よりも小さく、且つ0.3μm以上であることが好ましい。
ここで、基準断面における凸面305cの形状を、基準断面および基板301の上面301aの各々に平行な仮想の直線上の位置を独立変数とする関数Zとみなす。上記仮想の直線は、V方向に平行である。以下、上記仮想の直線をV軸と言い、V軸上の位置を記号vで表す。関数Zは、vを独立変数とする関数である。関数Zの値は、Z方向に平行な方向における凸面305cの位置に対応する。図14には、関数Zのグラフを示している。図14において、横軸はV軸上の位置を示し、縦軸は関数Zの値を示している。図14は、実質的に、基準断面における凸面305cの形状を示している。
なお、図14では、凸面305cの上端部E1に対応するV軸上の位置を、横軸における原点(0μm)とし、原点よりもV方向側の位置を正の値で表し、原点よりも-V方向側の位置を負の値で表している。また、図14では、Z方向に平行な方向における平坦面305dの位置を0μmとしている。
図15は、関数Zを変数vで1回微分して得られた第1次導関数Z′(dZ/dv)のグラフを示している。図15において、横軸はV軸上の位置を示し、縦軸は第1次導関数Z′の値を示している。また、図16は、関数Zを変数vで2回微分して得られた第2次導関数Z″(dZ/dv)のグラフを示している。図15において、横軸はV軸上の位置を示し、縦軸は第2次導関数Z″の値を示している。
第2次導関数Z″が0になる2つの位置は、第1の曲面部分305c1と第2の曲面部分305c2との境界に対応するV軸上の位置および第1の曲面部分305c1と第3の曲面部分305c3との境界に対応するV軸上の位置を表している。従って、図16を参照することにより、第1ないし第3の曲面部分305c1~305c3の各々の位置を判別することができる。図14ないし図16には、第1ないし第3の曲面部分305c1~305c3の各々のおおよその範囲を示している。
図16に示したように、第1の曲面部分305c1に対応するV軸上の位置では、第2次導関数Z″の値は0以下になる。また、第2の曲面部分305c2に対応するV軸上の位置と、第2の曲面部分305c3に対応するV軸上の位置では、第2次導関数Z″の値は正の値になる。
ここで、図16に示したように、第1の曲面部分305c1を、第1の部分c11と第2の部分c12と第3の部分c13とに分ける。第1の部分c11は、凸面305cの上端部E1を含む部分である。第2の部分c12は、凸面305cの上端部E1から離れた位置且つ第1の部分c11のV方向側において第1の部分c11に連続する部分である。第3の部分c13は、凸面305cの上端部E1から離れた位置且つ第1の部分c11の-V方向側において第1の部分c11に連続する部分である。第2の部分c12は、第1のMR素子50Bの下方(-Z方向側)に位置する。第3の部分c13は、第2のMR素子50Cの下方(-Z方向側)に位置する。第1の部分c11の上方(Z方向側)には、第1および第2のMR素子50B,50Cが存在しない。図16には、第1ないし第3の部分c11~c13の各々のおおよその範囲を示している。
第1の部分c11に対応する関数Zの第2次導関数Z″の値の絶対値の平均値は、第2の部分c12に対応する関数Zの第2次導関数Z″の値の絶対値の平均値よりも小さい。同様に、第1の部分c11に対応する関数Zの第2次導関数Z″の値の絶対値の平均値は、第3の部分c13に対応する関数Zの第2次導関数Z″の値の絶対値の平均値よりも小さい。
また、本実施の形態では、第1の曲面部分305c1におけるV方向に平行な方向の一方の端から、第1の曲面部分305c1におけるV方向に平行な方向の他方の端に近づくに従って、第1の曲面部分305c1に対応する関数Zの第1次導関数Z′の値は、減少または増加する。すなわち、第1の曲面部分305c1における-V方向側の端部から、第1の曲面部分305c1におけるV方向側の端部に近づくに従って、第1次導関数Z′の値は小さくなる。あるいは、第1の曲面部分305c1におけるV方向側の端部から、第1の曲面部分305c1における-V方向側の端部に近づくに従って、第1次導関数Z′の値は大きくなる。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の作用および効果について説明する。本実施の形態では、支持部材すなわち絶縁層305は、第1層3051および第2層3052を含むと共に、それぞれ第1層3051と第2層3052にわたって形成された第1および第2の傾斜面305a,305bを有している。ここで、1層の絶縁層のみからなる比較例の支持部材に、金属材料よりなる構造物を埋め込むことを考える。比較例の支持部材では、エッチングによって支持部材に傾斜面を形成すると、エッチングレートの違いにより、エッチングによって形成された面から構造物が大きく突出してしまう。この場合、例えば、構造物の影の影響によって、傾斜面上に形成される一部の電極やMR素子のパターニングが難しくなるという問題が発生する。
これに対し、本実施の形態では、例えば、第1層3051に構造物を埋め込み、第2層3052に構造物を埋め込まない状態で、絶縁層305に第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bを形成することができる。これにより、本実施の形態によれば、比較例の支持部材に比べて、構造物の突出量を抑制することができる。
なお、第1層3051の絶縁材料と第2層3052の絶縁材料は、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、第1層3051の成膜条件と第2層3052の成膜条件は、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、第1層3051と第2層3052で、絶縁材料と成膜条件の少なくとも一方を異ならせることにより、第1層3051に形成される凸面305cの一部の形状と、第2層3052に形成される凸面305cの他の一部の形状とを、互いに異ならせることが可能になる。
また、本実施の形態では、凸面305cは、それぞれ前述の形状を有する第1ないし第3の曲面部分305c1~305c3を含んでいる。もし、第2および第3の曲面部分305c2,305c3が存在しなければ、平坦面305dと第1の曲面部分305c1が、平坦面305dと第1の曲面部分305c1との境界で不連続になる。そのため、絶縁層305の表面は、滑らかな面にはならない。これに対し、本実施の形態では、凸面305cが第2および第3の曲面部分305c2,305c3を含むことにより、絶縁層305の表面を滑らかな面にすることができる。これにより、本実施の形態によれば、凸面305cと平坦面305dとの境界の近傍において、絶縁層305にクラックが発生することを抑制することができる。
前述のように、凸面305cの第1の曲面部分305c1の曲率半径R1は、凸面305cの第2の曲面部分305c2の曲率半径R2および凸面305cの第3の曲面部分305c3の曲率半径R3とは異なっている。第1の曲面部分305c1の少なくとも一部は、第2層3052に形成される。第2および第3の曲面部分305c2,305c3の各々の少なくとも一部は、第1層3051に形成される。本実施の形態によれば、例えば、第1層3051と第2層3052で、絶縁材料と成膜条件の少なくとも一方を異ならせることにより、第1層3051のエッチングレートと第2層3052のエッチングレートを、別々に調整することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、曲率半径R1を好ましい範囲にしながら、曲率半径R2,R3を好ましい範囲に調整することが容易になる。
本実施の形態では特に、曲率半径R2,R3を前述の範囲内とすることによって、第2および第3の曲面部分305c2,305c3が存在しない場合や、凸面305cと平坦面305dとの境界が不連続とみなせる程度に曲率半径が小さい場合に比べて、凸面305cと平坦面305dとの境界の近傍において絶縁層305にクラックが発生することを抑制することができる。
なお、図16から理解されるように、本実施の形態では、第1の曲面部分305c1に対応する関数Zの第2次導関数Z″の値は、一定ではない。そのため、厳密には、曲率半径R1は、V軸上の位置に応じて変化する。本実施の形態では特に、第1の曲面部分305c1の第1の部分c11に対応する関数Zの第2次導関数Z″の絶対値の平均値は、第1の曲面部分305c1の第2の部分c12に対応する関数Zの第2次導関数Z″の絶対値の平均値、および第1の曲面部分305c1の第3の部分c13に対応する関数Zの第2次導関数Z″の絶対値の平均値よりも小さい。そのため、本実施の形態では、第1の部分c11における曲率半径R1は、第2の部分c12における曲率半径R1および第3の部分c13における曲率半径R1よりも大きくなる。これにより、本実施の形態によれば、曲率半径R1がV軸上の位置によらずに一定である場合に比べて、Z方向に平行な方向における凸面305cの寸法を小さくする、すなわち凸面305cの高さを低くすることができる。
また、本実施の形態では、Z方向に平行な方向における凸面305cの寸法は、1.4μm以上3.0μm以下の範囲内であることが好ましい。例示的な実施形態によれば、凸面305cの寸法を1.4μm以上とすることにより、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bの各々の傾きを大きくして、対象磁界のZ方向に平行な方向の成分に対する磁気センサ1の感度を高めることができる。その結果、例示的な実施形態によれば、第2の検出値Szを精度よく生成することができる。また、例示的な実施形態によれば、凸面305cの寸法を3.0μm以下とすることにより、磁気センサ1の製造過程において、第1の傾斜面305aと第2の傾斜面305bの上に、フォトレジスト層よりなるフォトレジストマスクを精度よく形成することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば磁気検出素子は、MR素子に限らず、ホール素子等、MR素子以外の磁界を検出する素子であってもよい。
また、本発明の支持部材すなわち絶縁層305は、1つの絶縁層のみから構成されていてもよい。絶縁層305についての説明は、第1層3051および第2層3052に関わる説明を除いて、この1つの絶縁層にも当てはまる。
また、本発明の支持部材は、絶縁層305と絶縁層306によって構成されていてもよい。この場合、支持部材は、複数の凸面と平坦面とを有している。複数の凸面と平坦面は、絶縁層306の上面によって構成されている。絶縁層306の上面は、絶縁層305の上面と相似形またはほぼ相似形である。従って、絶縁層306の上面によって構成された複数の凸面は、絶縁層305の複数の凸面305cと相似形またはほぼ相似形である。複数の凸面305cの形状および配置についての説明は、第1層3051および第2層3052に関わる説明を除いて、絶縁層306の上面によって構成された複数の凸面にも当てはまる。具体的には、凸面305cの寸法についての説明、曲率半径R1~R3についての説明、ならびに関数Z、第1次導関数Z′および第2次導関数Z″についての説明が、絶縁層306の上面によって構成された複数の凸面にも当てはまる。
また、磁気センサ1は、更に、対象磁界のXY平面に平行な一方向の成分を検出し、この成分と対応関係を有する少なくとも1つの第3の検出信号を生成するように構成された第3の検出回路を備えていてもよい。この場合、プロセッサ40は、少なくとも1つの第3の検出信号に基づいて、対象磁界のU方向に平行な方向の成分に対応する検出値を生成するように構成されていてもよい。第3の検出回路は、第1および第2の検出回路20,30と一体化されていてもよいし、第1および第2の検出回路20,30とは別のチップに含まれていてもよい。
また、本発明のセンサ素子は、磁気検出素子に限らず、所定の物理量に応じて物性が変化するように構成されたセンサ素子であってもよい。所定の物理量としては、磁界に限らず、電界、温度、変位および力等の、センサ素子によって検出可能な任意の物象の状態の量が挙げられる。上記の実施の形態の説明は、磁気検出素子をセンサ素子に置き換えれば、磁気検出素子以外のセンサ素子を備えた磁気センサ以外のセンサにも当てはまる。この場合、機能層は、センサ素子の少なくとも一部を構成する部分であって、所定の物理量に応じて物性が変化する部分であってもよい。また、この場合、金属層は、任意の配線層であってもよい。
以上説明したように、本発明のセンサは、所定の物理量を検出するように構成されたセンサである。本発明のセンサは、上面を有する基板と、基板の上に配置された支持部材と、所定の物理量に応じて物性が変化するように構成されたセンサ素子とを備えている。支持部材は、基板の上面から遠ざかる方向に張り出すと共に少なくとも一部が基板の上面に対して傾斜した凸面を有している。凸面は、基板の上面から最も遠い上端部を有している。センサ素子は、センサ素子の少なくとも一部を構成する機能層を含んでいる。機能層は、凸面の上に配置されている。凸面は、上端部を含む第1の曲面部分と、第1の曲面部分に連続し且つ基板の上面に垂直な方向において第1の曲面部分と基板の上面との間に位置する第2の曲面部分とを含んでいる。第2の曲面部分は、基板の上面に近づく方向に凸となる曲面である。
本発明のセンサにおいて、基板の上面に垂直な断面における第2の曲面部分の曲率半径は、基板の上面に垂直な断面における第1の曲面部分の曲率半径よりも小さく、且つ0.3μm以上であってもよい。
また、本発明のセンサにおいて、第1の曲面部分は、基板の上面から遠ざかる方向に凸となる曲面であってもよい。基板の上面に垂直な断面における第1の曲面部分の曲率半径は、4.25μm以上5.45μm以下であってもよい。
また、本発明のセンサにおいて、凸面は、更に、第2の曲面部分とは反対側において第1の曲面部分に連続し且つ基板の上面に垂直な方向において第1の曲面部分と基板の上面との間に位置する第3の曲面部分とを有していてもよい。第3の曲面部分は、基板の上面に近づく方向に凸となる曲面であってもよい。また、第1の曲面部分が、基板の上面から遠ざかる方向に凸となる曲面である場合、基板の上面に垂直な断面における第3の曲面部分の曲率半径は、基板の上面に垂直な断面における第1の曲面部分の曲率半径よりも小さく、且つ0.3μm以上であってもよい。
また、本発明のセンサにおいて、支持部材は、更に、凸面に連続し且つ基板の上面に平行な平坦面を有していてもよい。
また、本発明のセンサにおいて、基板の上面に垂直な方向における凸面の寸法は、1.4μm以上3.0μm以下であってもよい。
また、本発明のセンサにおいて、所定の物理量は、対象磁界の方向および強度の少なくとも一方であってもよい。センサ素子は、対象磁界の方向および強度の少なくとも一方の変化を検出するように構成された磁気検出素子であってもよい。磁気検出素子は、磁気抵抗効果素子であってもよい。機能層は、複数の磁性膜を含んでいてもよい。磁気抵抗効果素子は、更に、凸面と複数の磁性膜との間に配置された非磁性金属層を含んでいてもよい。
1…磁気センサ、20…第1の検出回路、30…第2の検出回路、40…プロセッサ、50…MR素子、50B…第1のMR素子、50C…第2のMR素子、51…反強磁性層、52…磁化固定層、53…ギャップ層、54…自由層、61,61B,61C…下部電極、62,62B,62C…上部電極、80…コイル、81…下部コイル要素、82…上部コイル要素、100…磁気センサ装置、301…基板、301a…上面、302~310…絶縁層、305a…第1の傾斜面、305b…第2の傾斜面、305c…凸面、305c1…第1の曲面部分、305c2…第2の曲面部分、305c3…第3の曲面部分、305d…平坦面、c11…第1の部分、c12…第2の部分、c13…第3の部分。

Claims (7)

  1. 所定の物理量を検出するように構成されたセンサであって、
    上面を有する基板と、
    前記基板の上に配置された支持部材と、
    前記所定の物理量に応じて物性が変化するように構成されたセンサ素子とを備え、
    前記支持部材は、前記基板の前記上面から遠ざかる方向に張り出すと共に少なくとも一部が前記基板の前記上面に対して傾斜した凸面を有し、
    前記凸面は、前記基板の前記上面から最も遠い上端部を有し、
    前記センサ素子は、前記センサ素子の少なくとも一部を構成する機能層を含み、
    前記機能層は、前記凸面の上に配置され、
    前記凸面は、前記上端部を含む第1の曲面部分と、前記第1の曲面部分に連続し且つ前記基板の前記上面に垂直な方向において前記第1の曲面部分と前記基板の前記上面との間に位置する第2の曲面部分とを含み、
    前記第1の曲面部分は、前記基板の前記上面から遠ざかる方向に凸となる曲面であり、
    前記第2の曲面部分は、前記基板の前記上面に近づく方向に凸となる曲面であり、
    前記基板の前記上面に垂直な断面における前記第2の曲面部分の曲率半径は、前記基板の前記上面に垂直な断面における前記第1の曲面部分の曲率半径よりも小さく、且つ0.3μm以上であり、
    前記基板の前記上面に垂直な断面における前記第1の曲面部分の曲率半径は、4.25μm以上5.45μm以下であることを特徴とするセンサ。
  2. 前記凸面は、更に、前記第2の曲面部分とは反対側において前記第1の曲面部分に連続し且つ前記基板の前記上面に垂直な方向において前記第1の曲面部分と前記基板の前記上面との間に位置する第3の曲面部分とを有し、
    前記第3の曲面部分は、前記基板の前記上面に近づく方向に凸となる曲面であり、
    前記基板の前記上面に垂直な断面における前記第3の曲面部分の曲率半径は、前記基板の前記上面に垂直な断面における前記第1の曲面部分の曲率半径よりも小さく、且つ0.3μm以上であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  3. 前記支持部材は、更に、前記凸面に連続し且つ前記基板の前記上面に平行な平坦面を有することを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  4. 前記基板の前記上面に垂直な方向における前記凸面の寸法は、1.4μm以上3.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
  5. 前記所定の物理量は、対象磁界の方向および強度の少なくとも一方であり、
    前記センサ素子は、前記対象磁界の方向および強度の少なくとも一方の変化を検出するように構成された磁気検出素子であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のセンサ。
  6. 前記磁気検出素子は、磁気抵抗効果素子であり、
    前記機能層は、複数の磁性膜を含むことを特徴とする請求項5記載のセンサ。
  7. 前記磁気抵抗効果素子は、更に、前記凸面と前記複数の磁性膜との間に配置された非磁性金属層を含むことを特徴とする請求項6記載のセンサ。
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