JP2023045928A - 印刷機 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、印刷柄及び該印刷柄と同色の見当合わせ用の見当マークを印刷対象物に印刷する印刷部を備える印刷機に関するものである。
かかる印刷機による印刷においては、印刷対象物である印刷用紙の幅方向両端部の余白部に使用する印刷ユニットの台数に応じた数の見当合わせ用の見当マークが印刷される。例えば下記特許文献1では、各見当マークは、第1の見当マーク群と第2の見当マーク群とから構成されている。第1の見当マーク群は、基準色(スミ)を含む各色の見当マーク(図3Aでは4個)からなる。第2の見当マーク群は、第1の見当マーク群と同数でかつ全て基準色(スミ)の見当マーク(図3Aでは4個)からなる。また、前記第2の見当マーク群は、第1の見当マーク群の配列方向(天地方向)と直交する方向(左右方向)に予め定められた距離だけ平行にずらした位置に、第1の見当マーク群の配列方向(天地方向)と同方向(天地方向)に第1の見当マークの間隔と同じ間隔に設定されている。
そして見当合わせにおいては、撮像手段(インラインカメラ)によって搬送中の圧胴上の印刷用紙を撮像し、得られた撮像画像から第1の見当マーク群の4色の見当マーク及び第2の見当マーク群の同色(スミ)の4個の見当マークの位置をそれぞれ取得する。取得した位置に基づいて、第1の見当マーク群の基準色の見当マークとその他の3色の見当マークとのマーク間距離及び第2の見当マーク群の基準色の見当マークとその他の基準色の見当マークとのマーク間距離をそれぞれ算出する。算出した距離が予め設定されている距離と異なる場合は、その差を解消すべく版胴の見当調整装置を駆動制御することで、面内の見当を合わせることが行われている。
ところが、そもそも撮像画像から算出された印刷用紙上の距離が客観的に正しいのかどうかわからない。特に、撮像手段の取付精度や印刷機の機械振動が、距離(特に搬送方向の距離)の算出精度に影響を与えることが想定されるため、撮像手段の取付精度の低下や印刷機の機械振動の増大が起きた場合は、算出された距離の信頼性が低下してしまう。
また、撮像画像から、基準色の見当マークと印刷用紙の端(前端及び左右端)との距離を算出し、この算出した距離が予め設定されている距離と異なる場合は、その差を解消すべく版胴の天地方向見当調整装置を駆動制御することで、印刷用紙に対する印刷柄の印刷位置を合わせることもできる。
ところが、この場合でも、上記と同様に、そもそも撮像画像から算出された印刷用紙上の距離が客観的に正しいのかどうかわからない。
また、撮像画像から算出された基準色の見当マークと印刷用紙の端(前端及び左右端)との距離が予め設定されている距離と異なる場合の原因が、圧胴に対する基準色の見当マークの位置ずれなのか、あるいは圧胴に対する印刷用紙の位置ずれなのかが特定できない。したがって、適切な対応を選定することができない場合がある。すなわち、原因が前者の場合は、版胴の見当調整装置の駆動制御による対応で良いが、後者の場合は、前者と異なり、横針や前当て等を調整する対応が必要になる場合があるからであり、改善の余地があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、印刷対象物に対して正規の位置に印刷柄を印刷することができる印刷機を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷機は、胴により搬送される印刷対象物に基準色を含む色で印刷柄と見当合わせ用の見当マークを印刷する印刷部を備える印刷機において、前記胴には、機械基準マークが設けられ、前記印刷部で印刷した印刷対象物を前記機械基準マーク及び前記見当マークを含むように撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された前記機械基準マークと前記見当マークのうちの少なくとも基準色の見当マークとの搬送方向の距離に基づいて該基準色の見当マークの搬送方向の位置を割り出す割出手段と、を備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、基準色の見当マークの搬送方向の位置を、胴に設けた機械基準マークと基準色の見当マークとの搬送方向の距離に基づいて割り出すので、胴に対する見当マークの位置を客観的に正しく割り出すことができる。よって、印刷柄を印刷対象物に対して正規の位置に印刷することができる。
また、本発明に係る印刷機は、前記機械基準マークは、前記胴の外周面又は外周面の延面上に設けられていてもよい。
上記のように、機械基準マークが、胴の外周面又は外周面の延面上に設けられることによって、機械基準マークの位置を胴の外周面上で搬送される印刷対象物に印刷される基準色の見当マークの位置と同様に精度よく検出することができる。
また、本発明に係る印刷機は、前記機械基準マークが、搬送方向に離間して一対設けられ、前記撮像手段により撮像された一方の機械基準マークと他方の機械基準マークとの前記搬送方向の距離を算出した算出値と、前記一方の機械基準マークと他方の機械基準マークとの距離を実測した実測値とを比較し、その差分に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段を備え、該補正係数算出手段で算出された補正係数を、前記撮像手段により撮像された前記機械基準マークと前記基準色の見当マークとの搬送方向の距離の算出時の補正に用いる構成であってもよい。
上記構成によれば、補正係数算出手段で算出された補正係数を、撮像手段により撮像された機械基準マークと基準色の見当マークとの搬送方向の距離の算出時の補正に用いることによって、該距離を撮像画像から精度よく算出することができる。
また、本発明に係る印刷機は、前記印刷部が、前刷りユニットと、該前刷りユニットにより印刷された印刷対象物に印刷を行う後刷りユニットと、を備え、前記撮像手段は、前記印刷対象物の前刷り面を撮像する前刷り側撮像手段と前記印刷対象物の後刷り面を撮像する後刷り側撮像手段とを備え、前記前刷り側撮像手段により撮像された画像から前記前刷りユニットの前記機械基準マークと前記基準色の見当マークとの搬送方向の距離と、前記後刷り側撮像手段により撮像された画像から前記後刷りユニットの前記機械基準マークと前記基準色の見当マークとの搬送方向の距離とを比較し、その差分に基づいて前記前刷りユニットと前記後刷りユニットの搬送方向の位相を調整する調整手段を備えていてもよい。
上記構成によれば、前刷り側撮像手段により撮像された画像から前刷りユニットの機械基準マークと基準色の見当マークとの搬送方向の距離と、後刷り側撮像手段により撮像された画像から後刷りユニットの機械基準マークと基準色の見当マークとの搬送方向の距離とを比較し、その差分に基づいて前刷りユニットと後刷りユニットの搬送方向の位相を調整することによって、印刷対象物の前刷り面と後刷り面に印刷される印刷柄の見当合わせができる。
また、本発明に係る印刷機は、前記機械基準マークが、前記見当マークと同一形状に構成されていてもよい。
上記構成によれば、機械基準マークが、前記見当マークと同一形状に構成されることによって、形状の違いによる影響を無視でき、機械基準マークを検出しやすい。
また、本発明に係る印刷機は、前記胴に該胴の外周面から径方向内側に向かって凹むように切欠き部が形成され、該切欠き部に前記機械基準マークが設けられていてもよい。
上記構成によれば、胴に形成される切欠き部に機械基準マークを設けることによって、切欠き部を機械基準マークを設けるためのスペースとして有効活用することができる。
本発明によれば、基準色の見当マークの搬送方向の位置を、胴に設けた機械基準マークと基準色の見当マークとの搬送方向の距離に基づいて割り出すので、印刷対象物に対して正規の位置に印刷柄を印刷することができる印刷機を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態にかかる見当合わせを行う印刷機について、図面を参照しながら説明する。
印刷機は、紙積み台1と、紙積み台1からフィーダ装置2により一枚ずつ印刷対象物である印刷用紙を送り出すための給紙部3と、この給紙部3から送り出された印刷用紙に4色の印刷を行うための前刷り用の印刷部4と、前刷り用の印刷部4で印刷された印刷用紙を反転可能な反転装置5と、反転装置5で表裏が反転された印刷用紙又は表裏が反転されなかった印刷用紙に更に4色の印刷を行うための後刷り用の印刷部6と、印刷後の印刷用紙を搬送して排紙するための排紙部7と、を備えている。印刷機は、更に前刷り用の印刷部4で印刷された印刷用紙を撮像する第1インラインカメラ(CCDイメージセンサ、RGBカメラ等)8と、後刷り用の印刷部6で印刷された印刷用紙を撮像する第2インラインカメラ(CCDイメージセンサ、RGBカメラ等)9と、を備えている。第1インラインカメラ8は、前刷り側撮像手段であり、第2インラインカメラ9は、後刷り側撮像手段である。これら前刷り側撮像手段と後刷り側撮像手段とで撮像手段を構成している。また、図1において、紙積み台1側を前側とし、排紙部7側を後側とし、印刷用紙の搬送方向と直交する方向(紙面を横切る方向)を左右方向(又は幅方向)として、以下説明する。
給紙部3には、印刷用紙の搬送方向始端(前端)が当接して印刷用紙の搬送を一時的に阻止することで該印刷用紙の搬送方向始端(前端)を揃えるための前当て機構(図示せず)と、印刷用紙を横方向一端に移動させて印刷用紙の左右方向(幅方向)端の位置を揃える針(横針)機構(図示せず)と、を備えている。また、給紙部3には、前当て機構で揃えられた印刷用紙の搬送方向始端(前端)の位置を検出する前当て検出手段(検出センサ、図示せず)、及び針(横針)機構で揃えられた印刷用紙の左右方向端の位置を検出する針検出手段(検出センサ、図示せず)を備えている。両検出手段の検出結果により、揃えられた印刷用紙の搬送方向及び幅方向における姿勢が正常かどうか(許容範囲内かどうか)を判断することができる。給紙部3において正常位置に揃えられた印刷用紙は、後述する搬送胴において正規の位置に保持されて印刷部4へ搬送される。また、前記両検出手段によって正常位置にないことが検出された印刷用紙は、後述する搬送胴において、搬送胴上の正規の位置からずれた位置に保持されて印刷部4へ搬送される。
前刷り用の印刷部4は、プロセス4色であるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック、スミともいう)で印刷柄及び見当合わせ用の4個の見当マーク10,11,12,13を印刷する4台の印刷ユニット4A,4B,4C,4Dを備えている。後刷り用の印刷部6は、前刷り用の印刷部4と同様に、プロセス4色であるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック、スミともいう)で印刷柄及び見当合わせ用の4個の見当マーク(図示せず)を印刷する4台の印刷ユニット6A,6B,6C,6Dを備えている。尚、反転しない場合、後刷りでは、前刷り用の印刷部4とは異なる色、プロセス4色以外の色(金色、銀色、蛍光色等を含む)である特色を印刷するようにしてもよい。
各印刷ユニット4Aは、版が巻き付けられる版胴(図示せず)と、版胴からのインキが転写されるゴム胴(図示せず、ブランケット胴ともいう)と、ゴム胴とで印刷用紙を圧接してゴム胴上のインキを印刷用紙に転写する圧胴(図示せず)と、印刷ユニット4Aの圧胴に印刷用紙を受け渡すために搬送方向前端側に配置される給紙胴(図示せず)と、前の印刷ユニットの圧胴から次の印刷ユニットの圧胴へ印刷用紙を受け渡すために圧胴間に配置される渡し胴(図示せず)と、を備えている。給紙胴、圧胴及び渡し胴は、総じて搬送胴という。
搬送胴には、搬送胴の外周面から径方向内側に向かって凹むように周方向2か所に切欠き部が形成され、各切欠き部には、印刷用紙の前端部を挟持して保持するための爪と爪台とからなるグリッパを左右方向に間隔を空けて複数備えている。図2~図4に、2倍胴として構成された圧胴14を示し、この圧胴14の周方向2か所のそれぞれに左右幅方向略全域に亘る切欠き部15が形成されている。この切欠き部15は、径方向内側に位置する底壁15Aと、この底壁15Aの前後端から径方向外側へ向けて延びる前後一対の側壁15B,15Cとを備えている。この切欠き部15内に爪16Aと爪台16Bとからなるグリッパ16が複数設けられている。爪16Aが底壁15Aに固定された支持部材17に回動自在に支持された回動軸18に取り付けられている。
前記各切欠き部15には、後述する基準色の見当マーク13の搬送方向での位置を割り出すために用いる機械基準マーク19が設けられている。この機械基準マーク19は、圧胴14の幅方向に離間して一対設けられている。また、機械基準マーク19は、圧胴14の外周面の延面上に設けられている。詳細には、機械基準マーク19は、各切欠き部15に着脱可能に固定された左右一対の部材20のそれぞれに設けられている。より詳細には、この部材20は、圧胴14の外周面と略同一曲率を有して該外周面の延面上に形成される幅が狭い円弧状の外面20Aを有しており、この外面20Aに機械基準マーク19が設けられている。機械基準マーク19が、圧胴14の外周面の延面上に設けられることによって、機械基準マーク19の位置を圧胴14の外周面上で搬送される印刷対象物に印刷される基準色の見当マーク13の位置と同様に精度よく検出することができる。したがって、機械基準マーク19と基準色の見当マーク13との距離を精度よく算出することができる。また、切欠き部15に設置した部材20に機械基準マーク19を設けことで、切欠き部15を機械基準マーク19を設けるためのスペースとして有効活用することができる。前記部材20は、外面20Aの搬送方向両端部のうちの爪台16B寄りの一端部に咥え側機械基準マーク19Aを備え、他端部に尻側機械基準マーク19Bを備えている。また、圧胴14の左右方向において、左側の咥え側機械基準マーク19Aと右側の咥え側機械基準マーク19Aは、圧胴14の周方向において略同一位置にあり、左側の尻側機械基準マーク19Bと右側の尻側機械基準マーク19Bも、圧胴14の周方向において略同一位置にある。咥え側機械基準マーク19A及び尻側機械基準マーク19Bは、見当マーク10,11,12,13と略同一形状(正方形)に形成されている。機械基準マーク19を、見当マーク10,11,12,13と略同一形状に形成することによって、形状の違いが検出精度に与える影響を無視できる。
各部材20は、印刷用紙の受け渡し時に給紙胴又は渡し胴に備える爪との干渉を回避できるように、幅方向で隣り合う爪16A,16Aの間において一方の爪16Aに隣接して配置されている。また、各部材20は、搬送方向の長さに対して幅方向の長さが非常に短い幅狭形状に構成され、円弧状の外面20Aが圧胴14の外周面14Aに沿うように(図4参照)切欠き部15の底壁15Aにビス止めされている。機械基準マーク19の色は、基準色(ブラック、スミともいう)と同じ色又はそれに近い色にすることが好ましい。また、各部材20の外面の色は、白色又は白色に近い色が好ましい。尚、図4に示すK1は、右側と左側のそれぞれの機械基準マーク19において、一方の印刷面であるA面側における咥え側機械基準マーク19Aの位置H1と尻側機械基準マーク19Bの位置H2との実測による距離を示し、K2は、他方の印刷面であるB面側における咥え側機械基準マーク19Aの位置H1と尻側機械基準マーク19Bの位置H2との実測による距離を示している。
また、各印刷ユニット4Aには、見当合わせ装置を備えており、図9に示すように、制御部21からの信号に基づいて見当がずれている色の印刷ユニットの見当合わせ装置22を駆動することにより見当を合わせることができる。
図6に示すように、第1インラインカメラ8及び第2インラインカメラ9で撮像する撮像エリア(矩形のエリア)23は、前端24A、後端24B、左端24C、右端24Dを有する矩形の印刷用紙24を内部に含むように一回り大きなエリアに設定され、印刷用紙24の搬送方向前端側(咥え側)に位置する部材20の左右の咥え側機械基準マーク19A,19A、印刷用紙24の搬送方向後端側(尻側)に位置する部材20の左右の尻側機械基準マーク19B,19B、左右の見当マーク10,11,12,13を含む範囲で取得される。印刷用紙24の前刷り面に印刷される見当マーク10,11,12,13は、正方形であって、天地方向に間隔を置いて天地方向天側(搬送方向前側)からY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック、スミともいう)の順に並んで印刷される。4色の見当マーク10,11,12,13のうちの天地方向天側から1番目に位置する見当マーク10から3番目に位置する見当マーク12までの3個の見当マーク10,11,12の左右方向左側には、同一形状で同一の大きさのK(ブラック、スミともいう)の3個の正方形状のマーク25,26,27が印刷されている。これら3個のマーク25,26,27は、印刷された印刷用紙の天地方向を確認するために印刷されるものであり、省略してもよい。
図1に示すように、第1インラインカメラ8は、前刷り用の印刷部4の4番目の印刷ユニット4Dの圧胴上において印刷直後の印刷用紙を斜め上方から撮像するために、後刷り用の印刷部6の1番目の印刷ユニット6Aの前面上部に配置されたボックス28に取り付けられている。また、第2インラインカメラ9は、後刷り用の印刷部6の4番目の印刷ユニット6Dの圧胴上において印刷直後の印刷用紙を斜め上方から撮像するために排紙部7の前端側上部に配置されたボックス29の前側上部に取り付けられている。
図9に、印刷機における見当合わせを行うための制御ブロック図が示されている。制御部21は、第1インラインカメラ8及び第2インラインカメラ9の撮像により得られた撮像エリア23の画像情報を取得する撮像エリア取得手段30と、撮像エリア取得手段30で取得した画像情報から機械基準マーク19,19と見当マーク10,11,12,13の位置(重心)を割り出す割出手段31と、割出手段31により割り出した位置(重心)から導出されるマーク間の距離を補正するための補正係数を算出する補正係数算出手段32と、を備えている。
補正係数算出手段32は、割出手段31により割り出した一方側(左側)の咥え側機械基準マーク19Aと尻側機械基準マーク19Bの位置から導出される両マーク19A,19B間の天地方向距離と、予め実測により取得されている一方側(左側)の咥え側機械基準マーク19Aと尻側の機械基準マーク19Bの間の天地方向の距離K1(図4参照)とを比較し、差がある場合は、その差に応じた補正係数を算出する。尚、距離K2(図4参照)を用いて補正係数を算出することもできる。他方側(右側)の機械基準マークについても同様に補正係数を算出する。つまり、割出手段31により割り出した他方側(右側)の咥え側機械基準マーク19Aと尻側機械基準マーク19Bの位置から導出される両マーク19A,19B間の天地方向距離と、予め実測により取得されている他方側(右側)の咥え側機械基準マーク19Aと尻側機械基準マーク19Bの間の天地方向の距離K1(図4参照)とを比較し、差がある場合は、その差に応じた補正係数を算出する。撮像画像の台形状の歪等により左側で算出した補正係数と右側で算出した補正係数が同一にならない場合が発生する。その場合には、左右それぞれの前記補正係数と見当マークの左右方向位置から線形補完等によって導き出される値を補正係数として採用してもよい。尚、一方側(左側)の咥え側機械基準マーク19Aと尻側機械基準マーク19Bを用いて算出された補正係数のみ採用してもよい。天地方向の見当合わせにおいては、この補正係数を撮像した撮像画像から天地方向の距離を算出する時の補正に用いる。
前記補正係数としては、天地方向の補正係数の他に、左右方向の補正係数も同時に算出する。つまり、撮像エリア取得手段30にて取得した撮像エリア23の画像情報から導出される同一の切欠き部15内の左右2つの咥え側機械基準マーク19A,19A間(又は左右2つの尻側機械基準マーク19B,19B間)の左右方向の距離と、予め実測により取得されている左右の両機械基準マーク間の左右方向の距離を比較し、差がある場合は、その差に応じた補正係数を算出する。左右方向の見当合わせにおいては、この補正係数を撮像した撮像画像から左右方向の距離を算出する時の補正に用いる。
次に図7(a)、(b)を参照して、前刷り面と後刷り面の見当合わせについて説明する。図7(a)に示す前刷り面において、割出手段31は、取得された撮像エリア23の画像から左側の基準色の見当マーク13を識別して該基準色の見当マーク13の重心13Gを割り出すとともに、左側の咥え側の機械基準マーク19Aの重心19Gを割り出す。そして、制御部21は、基準色の見当マーク13の重心13Gから咥え側の機械基準マーク19Aの重心19Gまでの天地方向の第1距離L1を前記補正係数を加味(算入)して算出する。また、割出手段31は、他の色の見当マーク10,11,12のそれぞれについて重心10G,11G,12Gを割り出す。そして、制御部21は、それら重心10G,11G,12Gの基準色の見当マーク13の重心13Gに対する各相対距離を補正係数を加味(算入)して算出する。右側についても同様に行う。そして、制御部21は、算出した第1距離L1及び各相対距離のそれぞれが予め決められている許容範囲内にあるか判断し、許容範囲から外れていると判断した場合は、許容範囲内になるべく、見当合わせ装置を制御する。これにより、印刷柄を印刷用紙の正規の位置に印刷することができる。
また、割出手段31は、図7(b)の後刷り面において、取得された撮像エリア23の画像から左側の基準色の見当マーク13を識別して該基準色の見当マーク13の重心13Gを割り出すとともに、左側の咥え側の機械基準マーク19Aの重心19Gを割り出す。そして、制御部は、基準色の見当マーク13の重心13Gから咥え側の機械基準マーク19Aの重心19Gまでの天地方向の第2距離L2を前記補正係数を加味(算入)して算出する。また、割出手段31は、他の色の見当マーク10,11,12のそれぞれについて重心10G,11G,12Gを割り出す、そして、制御部21は、それら重心10G,11G,12Gの基準色の見当マーク13の重心13Gに対する各相対距離を補正係数を加味(算入)して算出する。右側についても同様に行う。そして、制御部21は、算出した第2距離L2及び各相対距離のそれぞれが予め決められている許容範囲内にあるか判断し、許容範囲から外れていると判断した場合は、許容範囲内になるべく、見当合わせ装置を制御する。更に、割出手段31は、第1距離L1と第2距離L2の差を割り出す。差がある場合には、差が許容値以下になるように天地方向の見当調整を行う。これにより、印刷柄を印刷用紙の前刷り面と後刷り面の正規の位置に印刷することができる。尚、上記した見当合わせにおいては、第1距離L1と第2距離L2のそれぞれを予め決められている許容範囲内になるべく見当合わせ装置を制御するようにしたが、第1距離L1と第2距離L2との差が予め決められている許容範囲内になるべく見当合わせ装置を制御するようにしてもよい。
また、図8(a)に示すように、制御部21は、印刷用紙24の左端24Cから前記3個のマーク25,26,27のうちの尻側のマーク27の重心27Gまでの第3距離W1を前記補正係数を加味(算入)して算出する。また、図8(b)に示すように、制御部21は、印刷用紙24の右端24Dから基準色の見当マーク13の重心13Gまでの第4距離W2を前記補正係数を加味(算入)して算出してもよい。尚、算出した第3距離W1又は第4距離W2が予め設定されている正しい距離と異なる場合は、報知手段を駆動してオペレータに報知する。この場合は、横針が原因である可能性が高いため、横針の確認情報を合わせて報知してもよい。
また、制御部21は、取得された撮像エリア23の画像から左右2つの咥え側機械基準マーク19A,19Aの左右方向位置それぞれにおいて、咥え側機械基準マーク19Aと印刷用紙24の前端24Aとの天地方向の距離を前記補正係数を加味(算入)して算出し、算出した距離が予め設定した正しい距離と異なる場合には、報知手段を駆動してオペレータに報知する。この場合は、前当て又は反転装置が原因である可能性が高いため、前当てと反転装置の確認情報を合わせて報知してもよい。
次に、上記構成の印刷機における見当合わせについて図10及び図11のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、第1距離(第1距離L1)と第2距離(第2距離L2)についてのみ説明するものであって、特に、第1距離L1と第2距離L2との差が予め決められている許容範囲内になるべく見当合わせ装置を制御する場合について説明する。
印刷機の運転開始に伴い、まず、第1インラインカメラ8で前刷り面の機械基準マーク及び見当マークの撮像を開始する(ステップS1)。機械基準マーク及び見当マークの画像が取得できたかどうかを判断し(ステップS2)、画像が取得できたと判断すると、前述した補正係数算出手段32により補正係数を算出する(ステップS3)。
続いて、前述したように、撮像画像により機械基準マーク19から基準色の見当マーク13までの天地方向の第1距離を補正係数を加味(算入)して算出する(ステップS4)。前記第1距離の算出ができたかどうかを判断し(ステップS5)、第1距離の算出ができると、第2インラインカメラ9で後刷り面の機械基準マーク及び見当マークの撮像を開始する(ステップS6)。機械基準マーク及び見当マークの画像が取得できたかどうかを判断し(ステップS7)、画像が取得できたと判断すると、補正係数算出手段32により補正係数を算出する(ステップS8)。
続いて、前述したように、撮像画像により機械基準マーク19から基準色の見当マーク13までの天地方向の第2距離を補正係数を加味(算入)して算出する(ステップS9)。前記第2距離の算出ができたかどうかを判断し(ステップS10)、第2距離の算出ができると、第1距離と第2距離との差、すなわち基準色の表裏の見当ずれ量を算出する(ステップS11)。この見当ずれ量が許容値以下であるかどうかを判断する(ステップS12)。見当ずれ量が許容値以下であれば、見当調整が不要であると判断し、制御を終了する。
見当ずれ量が許容値を超えていると判断した場合には、見当調整可能かどうかを判断する(ステップS13)。つまり、見当ずれ量が最大見当調整量を超えているのであれば、見当調整不可を表示して(ステップS14)、見当合わせを終了する。見当調整不可を表示した後は、オペレータがその後の処理を制御部21に指示する。ステップS13で見当調整可能であると判断すると、見当調整を実施し(ステップS15)、ステップS1に戻って再度同じ処理を行う。
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
前記実施形態では、8つの印刷ユニットを備える印刷機を示したが、2つ以上の任意の個数の印刷ユニットを備える印刷機であってもよい。また、両面印刷が行える印刷機を示したが、片面印刷しかできない印刷機であってもよい。
また、前記実施形態では、基準色の見当マーク13以外の他の色の見当マーク10,11,12については、基準色の見当マーク13に対する相対距離をそれぞれ算出するようにしたが、基準色の見当マーク13と同様に、機械基準マーク19からの搬送方向の距離を算出すると共に、印刷用紙24の左右端からの左右方向の距離を算出してもよい。
また、前記実施形態では、K(ブラック、スミともいう)を基準色としていたが、K(ブラック、スミともいう)以外の色を基準色とすることもできる。
また、前記実施形態では、機械基準マーク19を周方向に2つ(咥え側機械基準マーク19A及び尻側機械基準マーク19B)設けたが、補正係数による補正を行わないのであれば、機械基準マーク19を1つのみを設けて実施してもよい。また、切欠き部15内において左右方向に離間した2か所の機械基準マークを設けたが、左右方向任意の1箇所に設けて実施してもよい。
また、前記実施形態では、機械基準マーク19を圧胴14の切欠き部15に設けたが、切欠き部15以外のところに設けてもよい。例えば、図12に示すように、左右の咥え側機械基準マーク19A,19Aを、圧胴14の外周面14Aのうちの印刷用紙24の搬送方向前端側(咥え側)でかつ印刷用紙24の左右端(24C,24D)よりも左右方向外側に位置する部分に設け、左右の尻側機械基準マーク19B,19Bを、圧胴14の外周面14Aのうちの印刷用紙24の搬送方向後端側(尻側)でかつ印刷用紙24の左右端(24C,24D)よりも左右方向外側に位置する部分に設けてもよい。また、図12では、機械基準マーク19を圧胴14の外周面14Aに設けたが、外周面14A以外のところに設けてもよい。例えば、圧胴14の軸心方向両端部に設けられるベアラ14B,14B(図12参照)に左右の咥え側機械基準マーク19A,19A及び左右の尻側機械基準マーク19B,19Bを搬送方向で離間して設けてもよい。
1…紙積み台、2…フィーダ装置、3…給紙部、4…印刷部、4A,4B,4C,4D…印刷ユニット、5…反転装置、6…印刷部、6A,6B,6C,6D…印刷ユニット、7…排紙部、8…第1インラインカメラ、9…第2インラインカメラ、10,11,12,13…見当マーク、10G,11G,12G,13G…重心、14…圧胴、14A…外周面、14B…ベアラ、15…切欠き部、15A…底壁、15B,15C…側壁、16…グリッパ、16A…爪、16B…爪台、17…支持部材、18…回動軸、19…機械基準マーク、19A…咥え側機械基準マーク、19B…尻側機械基準マーク、19G…重心、20…部材、20A…外面、21…制御部、22…見当合わせ装置、23…撮像エリア、24…印刷用紙、24A…前端、24B…後端、24C…左端、24D…右端、25,26,27…マーク、27G…重心、28,29…ボックス、30…所定エリア取得手段、31…割出手段、32…補正係数算出手段、H1,H2,H3,H4…位置、K1,K2…距離、L1,L2…距離、W1,W2…距離
Claims (6)
- 胴により搬送される印刷対象物に基準色を含む色で印刷柄と見当合わせ用の見当マークを印刷する印刷部を備える印刷機において、
前記胴には、機械基準マークが設けられ、
前記印刷部で印刷した印刷対象物を前記機械基準マーク及び前記見当マークを含むように撮像する撮像手段と、
該撮像手段により撮像された前記機械基準マークと前記見当マークのうちの少なくとも基準色の見当マークとの搬送方向の距離に基づいて該基準色の見当マークの搬送方向の位置を割り出す割出手段と、を備えていることを特徴とする印刷機。 - 前記機械基準マークは、前記胴の外周面又は外周面の延面上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
- 前記機械基準マークは、搬送方向に離間して一対設けられ、前記撮像手段により撮像された一方の機械基準マークと他方の機械基準マークとの前記搬送方向の距離を算出した算出値と、前記一方の機械基準マークと他方の機械基準マークとの距離を実測した実測値とを比較し、その差分に応じた補正係数を算出する補正係数算出手段を備え、該補正係数算出手段で算出された補正係数を、前記撮像手段により撮像された前記機械基準マークと前記基準色の見当マークとの搬送方向の距離の算出時の補正に用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷機。
- 前記印刷部は、前刷りユニットと、該前刷りユニットにより印刷された印刷対象物に印刷を行う後刷りユニットと、を備え、前記撮像手段は、前記印刷対象物の前刷り面を撮像する前刷り側撮像手段と前記印刷対象物の後刷り面を撮像する後刷り側撮像手段とを備え、前記前刷り側撮像手段により撮像された画像から前記前刷りユニットの前記機械基準マークと前記基準色の見当マークとの搬送方向の距離と、前記後刷り側撮像手段により撮像された画像から前記後刷りユニットの前記機械基準マークと前記基準色の見当マークとの搬送方向の距離とを比較し、その差分に基づいて前記前刷りユニットと前記後刷りユニットの搬送方向の位相を調整する調整手段を備えていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の印刷機。
- 前記機械基準マークは、前記見当マークと同一形状に構成されていることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の印刷機。
- 前記胴に該胴の外周面から径方向内側に向かって凹むように切欠き部が形成され、該切欠き部に前記機械基準マークが設けられていることを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の印刷機。
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JP2021154549A Pending JP2023045928A (ja) | 2021-09-22 | 2021-09-22 | 印刷機 |
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JP (1) | JP2023045928A (ja) |
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2021
- 2021-09-22 JP JP2021154549A patent/JP2023045928A/ja active Pending
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