JP2023045669A - 導電部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電部材全体の絶縁膜が厚くなるのを抑制しつつ、導電部材の絶縁性を確保する。【解決手段】導電体を絶縁膜(絶縁被膜)により被覆する工程を有するものにおいて、その工程は、屈曲部を有する導電体を準備する第1工程と、液体の液面に薄膜状の絶縁膜を浮かべると共に絶縁膜に対して上方に導電体を配置し、導電体を下降させて液体内に進入させながら液体の圧力により導電体に絶縁膜を密着させることにより導電体を絶縁膜により被覆し、絶縁膜により被覆された導電体を液体から上昇させる第2工程とを有する。【選択図】図4
Description
本発明は、導電部材の製造方法に関する。
従来、回転電機のステータコイルを構成するための複数のU字状のセグメントコイルが、それぞれ、導電体の外周が絶縁膜(絶縁被膜)により被覆された平角線により形成されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
導電体の外周が絶縁膜(絶縁被膜)により被覆された平角線を屈曲させてU字状のセグメント導体を形成する場合、屈曲部の外周側の絶縁膜が薄くなる可能性がある。この部分の絶縁膜の厚さを確保しようとすると、全体的に絶縁膜を厚くする必要があり、占積率の低下に繋がる。
本発明の導電部材の製造方法は、導電部材全体の絶縁膜が厚くなるのを抑制しつつ、導電部材の絶縁性を確保することを主目的とする。
本発明の導電部材の製造方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の導電部材の製造方法は、
導電体を絶縁膜により被覆する工程を有する導電部材の製造方法であって、
前記工程は、
屈曲部を有する前記導電体を準備する第1工程と、
液体の液面に薄膜状の前記絶縁膜を浮かべると共に前記絶縁膜に対して上方に前記導電体を配置し、前記導電体を下降させて前記液体内に進入させながら前記液体の圧力により前記導電体に前記絶縁膜を密着させることにより前記導電体を前記絶縁膜により被覆し、前記絶縁膜により被覆された前記導電体を前記液体から上昇させる第2工程とを有する、
ことを要旨とする。
導電体を絶縁膜により被覆する工程を有する導電部材の製造方法であって、
前記工程は、
屈曲部を有する前記導電体を準備する第1工程と、
液体の液面に薄膜状の前記絶縁膜を浮かべると共に前記絶縁膜に対して上方に前記導電体を配置し、前記導電体を下降させて前記液体内に進入させながら前記液体の圧力により前記導電体に前記絶縁膜を密着させることにより前記導電体を前記絶縁膜により被覆し、前記絶縁膜により被覆された前記導電体を前記液体から上昇させる第2工程とを有する、
ことを要旨とする。
本発明の導電部材の製造方法では、導電体を絶縁膜(絶縁被膜)により被覆する工程を有するものにおいて、その工程は、屈曲部を有する導電体を準備する第1工程と、液体の液面に薄膜状の絶縁膜を浮かべると共に絶縁膜に対して上方に導電体を配置し、導電体を下降させて液体内に進入させながら液体の圧力により導電体に絶縁膜を密着させることにより導電体を絶縁膜により被覆し、絶縁膜により被覆された導電体を液体から上昇させる第2工程とを有する。このようにすることにより、導電体を絶縁膜により被覆してから屈曲部を形成する場合に比して、導電体の屈曲部の外周側の絶縁膜が薄くなるのを抑制することができる。この結果、導電部材全体の絶縁膜が厚くなる(占積率が低くなる)のを抑制しつつ、導電部材の絶縁性を確保することができる。
本発明の導電部材の製造方法において、前記第2工程は、前記絶縁膜により被覆された前記導電体を前記液体から上昇させた後に、前記絶縁膜から前記液体を除去するものとしてもよい。絶縁膜から液体を除去する方法としては、絶縁膜により被覆された導電体を回転させる方法や、エアブローを行なう方法が挙げられる。
本発明の導電部材の製造方法において、前記第2工程を複数回に亘って行なうものとしてもよい。第2工程を行なう回数により、絶縁膜の厚さを調節することができる。
本発明の導電部材の製造方法において、前記第2工程を、前記導電体全体について少なくとも1回行なった後に、前記導電体の一部について少なくとも1回行なうものとしてもよい。こうすれば、導電部材の部分ごとに絶縁膜の厚さを調節することができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての導電部材の製造方法により製造される導電部材が用いられるステータ10の構成の概略を示す構成図である。ステータ10は、図示しないロータと共に、電気自動車やハイブリッド車に用いられる三相交流電動機(同期電動機や誘導電動機)を構成する。このステータ10は、ステータコア11と、複数のステータコイル12とを備える。実施例の導電部材としては、ステータコイル12に用いられる後述のセグメントコイル13が該当する。
ステータコア11は、例えばプレス加工により円環状に形成された電磁鋼板を複数積層してカシメなどにより積層方向に連結することにより形成される。なお、ステータコア11は、例えば強磁性粉体を加圧成形すると共に焼結させることにより一体に形成されるものとしてもよい。ステータコア11は、ロータが配置される中心孔と、環状の外周部(ヨーク部)から軸心(ステータコア11の中心)に向かって径方向に延在すると共に周方向に一定の間隔をおいて隣り合う図示しない複数のティース部と、互いに隣り合うティース部の間に形成された図示しない複数のスロットとを有する。複数のスロットは、それぞれステータコア11の径方向に延在すると共に周方向に一定の間隔をおいて並び、中心孔で開口する。
複数のステータコイル12は、各相(U相、V相、W相)のコイルを有し、各ステータコイル12は、ステータコア11に差し込まれる複数のセグメントコイル(導電部材)13を電気的に接続することにより形成される。各セグメントコイル13は、図2に示すように、導電体17の表面が絶縁膜(絶縁被膜)18により被覆された略U字状の平角線である。導電体17の材料としては、例えば銅などが用いられる。絶縁膜18の材料としては、例えば、低誘電率のフッ素系樹脂、低誘電率かつ高自己密着性のポリイミドやポリエーテルイミド、ポリアミドなどが用いられる。各セグメントコイル13は、基部14と、基部14の両端部から屈曲部15を介して同一側に延出された一対(2つ)の脚部16とを有する。各脚部16の先端部では、絶縁膜18が除去されて導電体17が露出している。
各セグメントコイル13の2つの脚部16は、それぞれステータコア11の互いに異なるスロットに挿通される。そして、ステータコア11の一方の端面(図1における上端面)から突出した各セグメントコイル13の脚部16の先端部は、対応する別のセグメントコイル13の脚部16の先端部に溶接により電気的に接合される。これにより、複数のステータコイル12がステータコア11に対して巻回される。また、ステータコア11の軸方向における一端側(図1における上端側)にコイルエンド部12aが形成されると共に、他端側(図1における下端側)に環状のコイルエンド部12bが形成される。コイルエンド部12a,12bは、それぞれ複数のステータコイル12即ち複数のセグメントコイル13により形成され、ステータコア11の軸方向における端面から外側に突出する。
次に、U字状のセグメントコイル13の製造方法について説明する。図3は、セグメントコイル13の製造方法の各工程を示す工程図である。このセグメントコイル13の製造方法では、最初に、U字状の導電体17を準備する(工程S100)。ここで、U字状の導電体17は、例えば、直線状の導電体17に対して成形型を用いて曲げ加工を施すことにより形成することができる。なお、以下の説明において、導電体17や後述の中間部材13a(何れもU字状)の各部について、セグメントコイル13と同様に、基部14や屈曲部15、脚部16という。
続いて、導電体17全体を絶縁膜18により被覆して中間部材13aを形成し(工程S110)、中間部材13aの一対(2つ)の脚部16の先端部から絶縁膜18を除去して(工程S120)、セグメントコイル13を完成する。
図4は、工程S110の説明図である。工程S110では、最初に、図3(A)に示すように、貯留部30に貯留されている液体32の液面に薄膜状の絶縁膜18(絶縁材)を浮かべると共に、その絶縁膜18の中央部に対して上方に、導電体17を、その基部14が一対の脚部16よりも下側(絶縁膜18側)となるように配置する。続いて、図3(B)、図3(C)に示すように、導電体17を下降させて導電体17全体を液体32内に進入させながら、液体32の圧力により導電体17全体に絶縁膜18を密着させることにより、導電体17全体を絶縁膜18により被覆し、中間部材13aを形成する。そして、図3(D)に示すように、中間部材13aを液体32から上昇させ、図3(E)に示すように、中間部材13aを回転させることにより、中間部材13aの絶縁膜18の外表面から液体32を除去する。
ここで、液体32としては、例えば、水や作動油(ATF)などが用いられる。絶縁膜18の材料としては、上述したように、例えば、低誘電率のフッ素系樹脂、低誘電率かつ高自己密着性のポリイミドやポリエーテルイミド、ポリアミドなどが用いられる。なお、絶縁膜18の比重が液体32の比重よりも大きい場合、絶縁膜18が沈むのを抑制するために、絶縁膜18の外縁部などを支持部材などにより支持することが考えられる。また、導電体17全体を絶縁膜18により被覆する際に導電体17と絶縁膜18との間に液体32が入り込むのを抑制するために、中央部が外縁部よりも下方に窪む椀状にして液体32の液面に浮かべることも考えられる。
このようにして、U字状の導電体17全体を絶縁膜18により被覆する工程S110を含んでU字状のセグメントコイル13を製造することにより、直線状の導電体17全体を絶縁膜18により被覆してからU字状に成形する場合に比して、セグメントコイル13の屈曲部15(図2参照)の外周側の絶縁膜18が薄くなるのを抑制することができる。この結果、セグメントコイル13全体の絶縁膜18が厚くなる(占積率が低くなる)のを抑制しつつ、セグメントコイル13の絶縁性を確保することができる。しかも、液体32内で導電体17全体を絶縁膜18により被覆して形成した中間部材13aを液体32から上昇させた後に、中間部材13aを回転させて中間部材13aの絶縁膜18の外表面から液体32を除去することにより、導電体17や絶縁膜18を加熱することなく、絶縁膜18から液体32を除去することができる。
以上説明した実施例のセグメントコイル13の製造方法では、U字状の導電体17全体を絶縁膜(絶縁被膜)18により被覆する工程を含んでU字状のセグメントコイル13を製造する。この工程では、貯留部30に貯留されている液体32の液面に薄膜状の絶縁膜18(絶縁材)を浮かべると共にその絶縁膜18に対して上方に導電体17を配置し、導電体17を下降させて導電体17全体を液体32内に進入させながら液体32の圧力により導電体17全体に絶縁膜18を密着させることにより導電体17全体を絶縁膜18により被覆する。これにより、セグメントコイル13の屈曲部15の外周側の絶縁膜18が薄くなるのを抑制することができる。この結果、セグメントコイル13全体の絶縁膜18が厚くなる(占積率が低くなる)のを抑制しつつ、セグメントコイル13の絶縁性を確保することができる。
実施例のセグメントコイル13の製造方法では、導電体17全体を絶縁膜18により被覆する工程S110を1回だけ行なうものとした。しかし、この工程S110を複数回に亘って行なうものとしてもよい。工程S110を行なう回数により、絶縁膜18の厚さを調節することができる。
実施例のセグメントコイル13の製造方法では、導電体17全体を絶縁膜18により被覆する工程S110を1回だけ行なうものとした。しかし、導電体17全体について工程S110を少なくとも1回行なった後に、導電体17(中間部材13a)の一部について工程S110と同様の工程を少なくとも1回行なうものとしてもよい。こうすれば、中間部材13aの部分ごとに絶縁膜18の厚さを調節することができる。
実施例のセグメントコイル13の製造方法では、液体32内で導電体17全体を絶縁膜18により被覆して形成した中間部材13aを液体32から上昇させた後に、中間部材13aを回転させることにより、中間部材13aの絶縁膜18から液体32を除去するものとした。しかし、これに代えて、中間部材13aにエアブローを行なうことにより、絶縁膜18から液体32を除去するものとしてもよい。また、中間部材13aを放置する(自然乾燥させる)ものとしてもよい。
実施例では、導電部材の製造方法として、U字状のセグメントコイル13の製造方法について説明した。しかし、導電部材としては、屈曲部を有し且つ導電体の表面が絶縁膜により被覆されるものであればよく、セグメントコイル13以外に、例えば、電動機や蓄電装置に用いられるバスバや接続端子など、種々のものを挙げることができる。導電体や絶縁膜は、導電部材に応じて適宜選択することができる。導電体としては、上述の銅以外に、例えば、金や銀、アルミ、導電性の樹脂などを挙げることができる。絶縁膜としては、上述のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド以外に、例えば、アクリル、木材、紙、コンクリートなどを挙げることができる。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、導電体17が「導電体」に相当し、絶縁膜18が「絶縁膜」に相当し、セグメントコイル13が「導電部材」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、導電部材の製造産業などに利用可能である。
10 ステータ、11 ステータコア、12 ステータコイル、12a,12b コイルエンド部、13 セグメントコイル、13a 中間部材、14 基部、15 屈曲部、16 脚部、17 導電体、18 絶縁膜、30 貯留部、32 液体。
Claims (4)
- 導電体を絶縁膜により被覆する工程を有する導電部材の製造方法であって、
前記工程は、
屈曲部を有する前記導電体を準備する第1工程と、
液体の液面に薄膜状の前記絶縁膜を浮かべると共に前記絶縁膜に対して上方に前記導電体を配置し、前記導電体を下降させて前記液体内に進入させながら前記液体の圧力により前記導電体に前記絶縁膜を密着させることにより前記導電体を前記絶縁膜により被覆し、前記絶縁膜により被覆された前記導電体を前記液体から上昇させる第2工程とを有する、
導電部材の製造方法。 - 請求項1記載の導電部材の製造方法であって、
前記第2工程は、前記絶縁膜により被覆された前記導電体を前記液体から上昇させた後に、前記絶縁膜から前記液体を除去する、
導電部材の製造方法。 - 請求項1または2記載の導電部材の製造方法であって、
前記第2工程を複数回に亘って行なう、
導電部材の製造方法。 - 請求項1または2記載の導電部材の製造方法であって、
前記第2工程を、前記導電体全体について少なくとも1回行なった後に、前記導電体の一部について少なくとも1回行なう、
導電部材の製造方法。
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