JP2023045533A - 液体吐出ヘッドおよび液体充填方法 - Google Patents

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Katsuhiro Ishii
俊男 中野
Toshio Nakano
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Abstract

【課題】液体を液体吐出部に安定して供給することができる初期充填を行う。【解決手段】液体吐出ヘッド5は、液体を吸収保持可能な液体吸収体18を内包した液体収容部25と、液体吸収体18に保持された液体が供給され、該液体を吐出する液体吐出部8と、液体収容部25の底面25aに設けられ、液体吐出部8と連通する開口21aと、を有する。液体吸収体18は、底面25aと対向し、開口21aに密着する。液体吐出ヘッド5は、さらに、液体収容部25の底面25aと対向する面に設けられた液体の注入口33と、液体吸収体18と底面25aとの間に設けられ、開口21aを囲む空間40と、底面25aに沿って設けられ、注入口33と対向する領域から開口21aに向かって延び、空間41aに連通する液体導入路22と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドおよびその液体充填方法に関する。
特許文献1には、液体を吸収保持可能な液体吸収体を内包した液体収容部と、液体吸収体に保持された液体が供給される液体吐出部と、を有する液体吐出ヘッドが記載されている。液体収容部の底面には、液体吐出部と連通する開口が設けられている。液体吸収体は、開口に密着している。液体吸収体に保持された液体が、開口を介して液体吐出部に供給される。
液体を液体吸収体に予め充填する初期充填を行うことで、液体吐出ヘッドを初めて稼働した際の、液体吐出部への液体供給を安定して行うことができる。上記液体吐出ヘッドにおいて、初期充填を行う場合は、液体の注入口を液体収容部の底面と対向する面(以下、上面と称す)に設ける。液体注入針を注入口に挿入して、液体を液体吸収体に充填する。
特開2017-81083号公報
液体を液体吐出部に安定して供給するために、初期充填において、少なくとも液体吸収体の開口と密着している領域の近傍に液体を充填する必要がある。しかし、特許文献1に記載の液体吐出ヘッドにおいては、液体吸収体の開口と密着している領域の近傍に液体を充填することは困難である。
本発明の目的は、液体を液体吐出部に安定して供給することができる初期充填を行うことにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、液体を吸収保持可能な液体吸収体を内包した液体収容部と、前記液体吸収体に保持された液体が供給され、該液体を吐出する液体吐出部と、前記液体収容部の底面に設けられ、前記液体吐出部と連通する開口と、を有し、前記液体吸収体が、前記底面と対向し、前記開口に密着する液体吐出ヘッドであって、前記液体収容部の前記底面と対向する面に設けられた液体の注入口と、前記液体吸収体と前記底面との間に設けられ、前記開口を囲む空間と、前記底面に沿って設けられ、前記注入口と対向する領域から前記開口に向かって延び、前記空間に連通する液体導入路と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、液体を液体吐出部に安定して供給することができる初期充填を行うことができる。
本発明の液体吐出ヘッドを搭載する液体吐出装置の一例を示す概略斜視図である。 図1に示す液体吐出装置の液体供給形態を説明するための模式図である。 本発明の第1の実施形態による液体吐出ヘッドの構成を示す断面図である。 図3に示す液体吐出ヘッドの外観を示す斜視図である。 液体が液体吸収体に浸透する状態を示す模式図である 図4におけるA-A線に沿った断面の内部構成を示す斜視図である。 支持部がフィルタよりも高い場合の液体吸収体の弾性変形の状態を示す模式図である。 支持部がフィルタよりも高い場合の液体吸収体に保持した液体の流れを示す模式図である。 支持部がフィルタよりも低い場合の液体吸収体の弾性変形の状態を示す斜視図である。 支持部がフィルタよりも低い場合の液体吸収体に保持した液体の流れを示す模式図である。 図3に示す液体吐出ヘッドの初期充填を説明するための工程図である。 液体の回り込みを説明するための模式図である。 液体導入路の変形例を示す模式図である。 凸部の変形例を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態による液体吐出ヘッドの構成を示す模式図である。 図15に示す液体吐出ヘッドの内部構成を説明するための模式図である。 図15に示す液体吐出ヘッドの初期充填方法を説明するための工程図である。 本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッドの変形例を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る液体吐出ヘッドを搭載する液体吐出装置について説明する。図1は、液体吐出装置の外装を外した状態を示す斜視図である。図2は、液体を液体吐出ヘッドに供給する液体供給形態の概略構成を模式的に示す概略断面図である。
図1に示す液体吐出装置1は、シリアルスキャン方式の記録装置である。液体吐出装置1は、液体吐出ヘッド5と、液体収納容器2と、液体吐出ヘッド5と液体収納容器2とを流体的に連結する、チューブ等の可撓性部材3とを有する。液体吐出ヘッド5は、キャリッジ31に搭載される。紙等の記録媒体が、搬送ローラによって搬送される。キャリッジ31は、記録媒体の搬送方向と直交する方向に往復移動する。液体吐出ヘッド5は、記録媒体に向けて液体を吐出する。液体収納容器2は、液体を収容可能な液体タンクであって、キャリッジ31の外部に設置されている。
図2に示すように、液体吐出ヘッド5は、インク等の液体を吸収保持可能な液体吸収体18を内包した液体収容部25と、液体吸収体18に保持された液体が供給される液体吐出部8と、を有する。液体吸収体18は、例えば繊維吸収体からなる。液体収容部25と液体吐出部8とは、液体流路20を介して連通している。可撓性部材3の一方の端部には、液体収容部25に連結するためのジョイント6が設けられている。ジョイント6は、キャリッジ31に取り付けられている。液体吐出ヘッド5をキャリッジ31に搭載した状態で、液体収容部25がジョイント6および可撓性部材3を介して液体収納容器2と連通する。
液体収納容器2は、液体収納部10と、バッファ室11とを有する。液体収納部10は、連通路15を介してバッファ室11と連通している。連通路15は、バッファ室11側に連通開口12を有する。液体収納部10は、連通開口12を除き、内部の密閉が確保されている。液体収納部10には、連結管13が取り付けられている。連結管13は、液体収納部10の内部と連通している。連結管13は、液体収納部10の重力方向の最も下方の位置に近接して設けられている。
バッファ室11には、外気連通孔14が設けられている。バッファ室11の内部は、外気と連通している。液体収納容器2の環境温度が高くなった場合や、環境圧力が低くなった場合(低気圧になった場合)に、液体収納部10の内部または液体吐出ヘッド5内のエアが膨張した分の液体をバッファ室11に逃がすことができる。
液体吐出部8は、複数の吐出口と、これら吐出口にそれぞれ連通する複数の圧力室と、これら圧力室にそれぞれ連通する複数の流路と、を有する。液体は、液体収容部25から液体吐出部8の各圧力室に供給される。各圧力室の内部には、液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子が設けられている。エネルギー発生素子として、例えば発熱素子(電気熱変換体)や圧電素子等を用いることができる。例えば、エネルギー発生素子として発熱素子を用いた場合、発熱素子を通電して熱エネルギーを発生させることにより、圧力室内の液体が発泡する。この発泡を利用して吐出口から液滴を吐出させる。
液体収納容器2と液体吐出ヘッド5との間の液体供給経路において、液体吐出部8の吐出口と液体収納容器2の連通開口12のみが外気と接する。液体吐出ヘッド5をキャリッジ31に搭載した状態において、液体吐出部8は、液体収納容器2の液面よりも高い位置に配置される。したがって、水頭差によって、液体吐出部8の内部に負圧が生じる。この負圧によって、液体吐出部8の吐出口から液体が落下することなく、液体吐出部8の内部に液体を保持することが可能である。なお、本実施形態では、水頭差は、液体吐出部8の吐出口と液体収納容器2の連通開口12との間で高低差によって生じる。この場合、液体収納容器2における液体収納部10の内部で液体の液面がどのような位置にあっても、液体吐出部8の内部において一定の負圧を保つことが可能である。
また、液体吐出部8が液体を吐出する動作を継続すると、液体吐出部8の内部の負圧が大きくなる。液体吐出部8の内部の負圧が、液体収納容器2から液体吐出ヘッド5までの液体供給経路の流抵抗と連通開口12におけるメニスカス力との和よりも大きくなると、連通開口12から液体収納部10へ外気が取り込まれる。これにより、可撓性部材3を介して液体収納容器2から液体吐出ヘッド5に液体が供給される。その結果、液体吐出部8の内部の負圧が緩和される。このような一連の動作により、液体収納容器2から液体吐出ヘッド5への液体の供給が行われる。
次に、液体吐出ヘッド5の構成を詳細に説明する。図3は、液体吐出ヘッド5の構成を模式的に示す断面図である。図4は、液体吐出ヘッド5の外観を示す斜視図である。
図3および図4を参照すると、液体吐出ヘッド5は、液体収容部25と、液体吐出部8と、液体流路20とを備えたケース16を有する。液体流路20は、液体収容部25と液体吐出部8とを連通する。液体収容部25は、底面25aから突出した凸部21を有する。凸部21は、液体吸収体18側に液体吐出部8と連通する開口21aを備える。開口21aは、液体流路20の開口端であり、凸部21の頂部に設けられている。液体吐出部8にゴミが混入しないようにフィルタ19が開口21aに設けられている。液体吸収体18は、底面25aと対向し、凸部21の開口21aに密着している。
液体収容部25の上面は開口しており、この開口を塞ぐように、蓋部材17が溶着されている。蓋部材17は、液体収容部25の底面25aと対向する面を備え、この面に、液体吸収体18を底面25aに向けて付勢する付勢部材が設けられている。具体的には、付勢部材である複数の押えリブ29が蓋部材17の内側の面(底面25a側の面)に設けられている。蓋部材17が溶着された状態において、押さえリブ29が、液体吸収体18を底面25aに向けて付勢する。液体吐出ヘッド5をキャリッジに搭載した状態において、押さえリブ29の付勢方向は、重力方向下方である。この付勢により、液体吸収体18の底面25aと対向する面(以下、下面18aと記す)が弾性変形し、液体吸収体18のフィルタ19と密着した部分が圧縮される。その結果、液体吸収体18とフィルタ19とが確実に密着する。
蓋部材17には、液体供給管7が設けられている。液体供給管7は、蓋部材17を貫通するパイプ状の流路である。液体供給管7の一方の開口端7aは、蓋部材17の外側の面(底面25aとは反対側の面)から突出しており、この突出した開口端7aがジョイント6と連結可能に構成されている。液体吐出ヘッド5において、液体吐出部8の吐出口及び液体供給管7の開口端7aを除き、内部は密閉状態になっている。
ジョイント6は、供給路26および弾性部材9を有する。供給路26は、可撓性部材3に連通している。弾性部材9は、供給路26の内壁に設けられている。供給路26の内径は、液体供給管7の開口端7aの外径よりも大きい。液体供給管7の開口端7aを供給路26に挿入することで、液体供給管7とジョイント6を連結する。弾性部材9は、液体供給管7とジョイント6との連結部をシールする役割を持つ。これにより、連結部から液漏れすることなく、ジョイント6を介して液体を液体収容部25に供給することができる。
蓋部材17とジョイント6との互いの対向する面に、位置決め手段として、突出部27および位置決め口28が設けられている。突出部27は、ピン形状であり、蓋部材17の外側の面(底面25aとは反対側の面)から突出している。ジョイント6の突出部27と対向する位置には、位置決め口28が形成されている。突出部27が位置決め口28に挿入されることにより、蓋部材17とジョイント6との間の位置決めを適切に行うことができる。これにより、ジョイント6をヘッド5に精度良く取り付けることが可能になる。
蓋部材17の開口21aと対向する領域から離れた部分に、液体注入針37が挿入される注入口33が設けられている。注入口33は、蓋部材17の溶着後に行われる初期充填において、液体吸収体18に液体を充填する際に用いられる。注入口33の直径を大きくすることで、直径の大きな液体注入針37を使用でき、液体の注入速度を上げることができる。ここでは、注入口33の直径は、液体供給管7の直径よりも大きい。初期充填後、テープ等のシール材35を用いて注入口33を塞ぐ。シール材35に代えて、注入口33を塞ぐように弾性部材を付設し、液体注入針37で弾性部材を貫通する構成としてもよい。ただし、シール材35を用いた方が、液漏れを確実に防止することができる。
液体収容部25は、液体吸収体18と底面25aとの間に設けられ、凸部21(開口21a)を囲む空間40と、底面25aに沿って設けられ、注入口33と対向する領域から開口21aに向かって延び、空間40に連通する液体導入路22を有する。液体吸収体18の下面18aのうち、開口21a(フィルタ19)に密着した密着領域18bに隣接する領域は、空間40に露出している。液体注入針は、注入口33から液体導入路22まで挿入可能な長さを有する。初期充填では、液体注入針を注入口33から液体導入路22まで挿入し、液体注入針の先端から液体導入路22に所定量の液体を注入する。液体は、液体導入路22から空間40に流入し、液体吸収体18に吸収保持される。
図3中、領域30aが初期充填領域である。液体は、液体吸収体18の密着領域18bの近傍に充填されている。さらに、液体は、密着領域18bから液体供給管7側の面の近くまで浸透している。この初期充填は、液体吐出ヘッド5を稼働する前に行われる前処理(例えば、製品出荷前に行われる前処理)である。
初期充填が完了した液体吐出ヘッド5において、液体吐出部8が液体吐出を開始すると、初期充填領域30aに保持されている液体が消費される。液体の消費に応じて、液体が液体供給管7を介して液体収容部25に補給される。
図5は、液体供給管7から供給された液体が液体吸収体18に浸透する状態を示す模式図である。図5に示すように、液体供給管7から供給された液体は、液体吸収体18の上面側から浸透する。図5中、領域30bが、液体供給管7から供給された液体の浸透領域である。浸透領域30bは、液体吸収体18の繊維方向に広がりながら初期充填領域30aに達する。その結果、液体吸収体18は、液体供給管7側から開口21a(フィルタ19)側までの領域全体に液体が浸透している状態となる。このように、液体吐出を開始すると、初期充填領域30aの液体がなくなる前に、浸透領域30bが初期充填領域30aに達することで、液体を液体吐出部8に安定して供給することができる。
次に、液体収容部25の構成を詳細に説明する。図6は、図4におけるA-A線に沿って液体吐出ヘッド5を切断した場合の内部構成を模式的に示す斜視図である。
図6に示すように、凸部21は、底面25aから突出して設けられており、その上面にフィルタ19が配置されている。液体収容部25には、液体吸収体18の下面18aを支持する支持部36が設けられている。支持部36は、凸部21と同程度の高さになるように設けられている。ここで、支持部36と凸部21の高さは、底面25aからの高さを意味する。また、凸部21の高さは、フィルタ19の高さと同義である。
支持部36は、凸部21側が開口したU字形状であり、液体収容部25の側壁25bの内周面に沿って形成されている。支持部36の中央部には、注入口33と対向する領域から凸部21に向かって延在する溝部34が設けられている。溝部34は、断面形状が凹状であって、液体導入路22の一部を構成する。溝部34の底面は、液体収容部25の底面25aと同じ高さである。溝部34の凸部21側の端部が溝部先端34aであり、溝部34の凸部21とは反対側の端部が溝部後端34bである。溝部先端34aは空間40まで達し、溝部後端34bは液体収容部25の内壁25bには達していない。なお、溝部34の底面は、注入口33と対向する領域から凸部21に向かって傾斜した下り傾斜を有していてもよい。
液体吸収体18の下面18aは、凸部21と支持部36に当接する。押えリブ29の付勢によって、液体吸収体18が弾性変形する。液体吸収体18のうち、凸部21および支持部36のそれぞれの上部に位置する部分が圧縮される。圧縮された部分(圧縮部分)の繊維密度は、圧縮されていない部分(非圧縮部分)の繊維密度よりも高い。繊維密度が高いほど、液体の毛管力が増大する。液体は、毛管力の弱い部分から毛管力の強い部分へ流れる。液体吸収体18のフィルタ19上に位置する部分の毛管力を高めることで、液体吸収体18に保持された液体をフィルタ19との密着領域18bの近傍に集めることができる。その結果、フィルタ19を介した液体流路20への液体供給を効率的に行うことができる。毛管力を利用した液体の流れの詳細については、後述する。
空間40は、凸部21の側壁21bの外周面を囲むように形成されている。液体吸収体18の下面18aの一部が、空間40の上面(底面25aとは反対側の面)を構成する。液体吸収体18の弾性変形によって、液体吸収体18の下面18aのうちの空間40の上面を構成する部位が、底面25a側に張出している。この空間40の上面の変形は、凸部21と支持部36の高さの関係と、凸部21と支持部36の段差距離d1(空間40の幅)とに依存する。空間40の上面の変形が小さいと、液体吸収体18が空間40に流入した液体を十分に吸収することができず、一部の液体が空間40の底面25aに残る場合がある。このため、空間40に流入した液体が底面25aに残ることなく液体吸収体18に吸収されるように、凸部21と支持部36の高さの関係と段差距離d1を適宜に設定することが好ましい。
以下に、凸部21と支持部36との高さの関係と段差距離d1について具体的に説明する。
液体吸収体18のフィルタ19上に位置する部分の毛管力を高めるために、凸部21の高さは1mmから2mm程度の範囲が好ましい。なお、凸部21の高さが1mm未満の場合は、保持部材18の圧縮の程度が低いため、液体が密着領域18bの近傍に集中し難く、要求される毛管力を利用した液体供給性能を得ることができない場合がある。
凸部21の高さが3mm以上の場合は、一部の液体が液体吸収体18に吸収されずに空間40に残る場合がある。この場合は、液体吸収体18の初期充填状態(初期充填領域30aの範囲)が変化し、液体吐出が不安定になる可能性がある。液体の安定供給を行うためには、液体吸収体18の初期密度にもよるが、例えば、段差距離d1が3mmの場合に、支持部36の高さは1mm程度が好ましい。ここで、初期密度は、圧縮なしの状態の密度であり、液体吸収体18を所定の寸法で切断したときの重量で定義できる。
図7は、支持部36がフィルタ19よりも高い場合の液体吸収体18の弾性変形の状態を示す。図7(a)は図4のC-C線に沿った断面の構成を模式的に示し、図7(b)は図4のB-B線に沿った断面の構成を模式的に示す。図7(a)および図7(b)には、便宜上、初期充填前の状態が示されている。この例では、支持部36は、フィルタ19よりも1.5mm高い。
図7(a)および図7(b)に示すように、支持部36がフィルタ19よりも高い場合、液体吸収体18の下面18aは支持部36で持ち上げられた状態となる。液体吸収体18の下面18aは、フィルタ19に密着しているが、空間40の上面を構成する部位40aは、支持部36の角を起点に弾性変形して底面25a側に張出している(図7中の丸枠で示した個所)。上面の部位40aと底面25aとの距離が大きいため、空間40に流入した液体の一部が、液体吸収体18に吸収されずに残ってしまう。
図8は、支持部36がフィルタ19よりも高い場合の液体吸収体18に保持した液体の流れを説明するための模式図である。液体吸収体18において、支持部36の上方に位置する領域50の繊維密度は、フィルタ19の上方に位置する領域51の繊維密度よりも高い。換言すると、支持部36の上方の領域50の毛管力は、フィルタ19の上方の領域51の毛管力よりも高い。この場合、液体吸収体18に保持された液体をフィルタ19の上方の領域51(密着領域18bの近傍)に集め難いため、液体吐出が不安定になる場合がある。
具体的に説明すると、液体吐出部8が液体吐出を開始すると、フィルタ19の上方の領域51に保持された液体が消費される。液体の消費に応じて、領域51に隣接する領域のうち、繊維密度の低い領域52から領域51に向かって液体が流れる(図8中の線幅が大きい方の矢印)。さらに、繊維密度の低い領域の液体が消費されると、支持部36の上方の領域50から領域51に向かって液体が流れる(図8中の線幅が小さい方の矢印)。しかし、領域50の毛管力が強いため、液体の流れが遅い。このため、液体吐出部8の液体消費に対して、液体吸収体18からの液体供給が間に合わなくなり、液体の不吐出等が生じる。
図9は、支持部36がフィルタ19よりも低い場合の液体吸収体18の弾性変形の状態を示す。図9(a)は図4のC-C線に沿った断面の構成を模式的に示し、図9(b)は図4のB-B線に沿った断面の構成を模式的に示す。図9(a)および図9(b)には、便宜上、初期充填前の状態が示されている。
図9(a)および図9(b)に示すように、支持部36がフィルタ19よりも低い場合は、液体吸収体18の下面18aはフィルタ19に密着し、空間40の上面を構成する部位40aは、凸部21の角を起点に弾性変形して底面25a側に張出している。この場合、上面の部位40aと底面25aとの距離は、図7に示した場合と比較して小さい。したがって、空間40に流入した液体のほとんどを、液体吸収体18に吸収することができる。
図10は、支持部36がフィルタ19よりも低い場合の液体吸収体18に保持した液体の流れを説明するための模式図である。液体吸収体18において、フィルタ19の上方の領域51の繊維密度は、支持部36の上方の領域50の繊維密度よりも高い。換言すると、フィルタ19の上方の領域51の毛管力は、支持部36の上方の領域50の毛管力よりも高い。この場合、液体吸収体18に保持された液体をフィルタ19の上方の領域51(密着領域18bの近傍)に集め易いため、液体吐出を安定して行うことができる。
なお、支持部36がフィルタ19よりも低い場合、溝部34の幅にもよるが、支持部36の高さは1mm以上にすることが好ましい。支持部36の高さが1mm未満の場合は、液体吸収体18が弾性変形して溝部34を塞ぐ場合がある。液体吸収体18が溝部34を塞ぐと、液体の流れをせき止めてしまい、液体が空間40の方向に流れなくなる。その結果、液体吸収体18のフィルタ19との密着領域18bの近傍への液体注入状態にムラが生じ、液体吐出が不安定になる。
次に、液体吐出ヘッド5の液体充填方法について説明する。図11は、初期充填工程を説明するための工程図を示す。図11の(a)~(c)、(e)、(f)には、図4におけるB-B線に沿った断面の構成が模式的に示されている。図11(d)には、図4におけるA-A線に沿った断面の構成が模式的に示されている。
図11(a)は、液体注入針37を注入口33に挿入する前の状態を示す。図11(a)に示すように、蓋部材17が溶着された液体吐出ヘッド5において、液体吸収体18の下面18aと液体収容部25の底面25aとの間には、空間40および液体導入路22が形成されている。注入口33は、液体導入路22の後端部である溝部後端34bの上方に位置する。
図11(b)に示すように、液体注入針37を注入口33に挿入する。液体注入針37は、液体吸収体18を貫通し、その先端が液体導入路22に達する。液体注入針37は、その先端が液体導入路22の底面に当たる前に止める。
図11(c)および図11(d)は、液体注入針37から液体導入路22への液体注入を開始した直後の状態を示す。不図示のバルブを開き、不図示のポンプまたはシリンダーを用いて加圧することで、液体注入針37の先端から液体を流出させる。所定量の液体が、液体注入針37の先端から液体導入路22に供給される。液体は、溝部後端34bから溝部先端34aに流れ、その後、空間40に流入する。
図11(e)は、液体が液体吸収体18に注入される状態を示す。液体導入路22及び空間40が液体で満たされると、液体吸収体18の下面18aの、液体導入路22および空間40に露出した部分から、液体が液体吸収体18内に徐々に侵入する。液体注入針37からの液体注入により、液体導入路22内および空間40内の圧力が増大する。液体の流れは、液体導入路22の溝部後端34bでせき止められており、凸部21の側壁21bを乗り上げる。その結果、液体吸収体18のフィルタ19との密着領域18bの近傍における液体の侵入量が、それ以外の領域における液体の侵入量よりも増大する。
図11(f)は、液体吸収体18への液体注入が完了した状態を示す。液体吸収体18において、初期充填領域30aは、密着領域18bの近傍から上面(下面18aとは反対側の面)の液体供給管7と対向する領域付近まで広がっている。このように、液体を液体吸収体18に予め馴染ませることで、液体を液体供給管7から供給した際に、液体を液体吐出部8に安定して供給することができる。
液体注入完了後、注入口33に挿入されていた液体注入針37を抜き、テープ35を用いて注入口33を塞ぐ。テープ35を用いたシールに代えて、ピン等の部材を注入口33に挿入して加締めることで、注入口33を塞いでもよい。
上述した本実施形態の液体吐出ヘッド5によれば、図11(f)に示したように、初期充填において、液体吸収体18の開口21a(フィルタ19)との密着領域18bの近傍に液体を充填することができる。よって、初期充填後、液体吐出部8が液体吐出を開始した際に、液体を液体吐出部8に安定して供給することができる。
また、液体導入路22を構成する溝部34は、支持部36の中央に設けられており、液体収容部25の側壁25bの内面に接していない。これにより、液体導入路22に注入された液体が、側壁25bの内面に沿って液体吸収体18の上面側に回り込むことを抑制している。なお、溝部34が側壁25bの内面に接している場合は、液体導入路22に注入された液体の一部が、側壁25bの内面と液体吸収体18との隙間を通って液体吸収体18の上面側に回り込む。
図12は、溝部後端34bと壁25との間に支持部36が存在しない場合の液体の回り込みを示す模式図である。初期充填を行うと、液体の一部が、側壁25bの内面と液体吸収体18との隙間を通って液体吸収体18の上面側に回り込む。上面側に回り込んだ液体は、初期充填領域30aの形成に寄与しない。よって、初期充填領域30aを形成するための液体が不足し、初期充填領域30aは、液体供給管7の近傍まで到達しない。この場合、初期充填後に液体吐出部8が液体吐出を開始すると、液体供給管7から供給された液体の浸透領域30bが初期充填領域30aに到達する前に、初期充填領域30aに保持された液体が消費されてしまう。その結果、液体吐出部8の液体吐出が不安定になる。
また、液体吸収体18の上面側に回り込んだ液体は、液体吸収体18と蓋部材17との間の空間を自由に移動する。この場合、輸送時の振動等によって、液体が液体供給管7を通って液体収容部25の外部に漏れることがある。図4に示したように、蓋部材17の外側の面には、液体供給管7の開口端7aが配置されており、この開口端7aの近傍には、輸送時の気圧による液体収容部25内の圧力を逃がすための溝17aが設けられている。溝17aの端部を除く部分には、ラベルが貼り付けられている。溝17aとラベルとで流路が形成されている。ラベルは、開口端7aも覆っている。この場合、液体吸収体18の上面側に回り込んだ液体は、溝17aとラベルとで形成された流路を通って外部へ漏れる。
本実施形態の液体吐出ヘッド5によれば、液体導入路22(溝部34の部分)の断面積(深さと幅)が大きいほど、液体の注入速度を上げることができる。ただし、液体吸収体18が溝部34を塞ぐことがないように、溝部34の深さと幅を設定する必要がある。
また、溝部34は、注入口33と対向する領域から複数に分岐し、それぞれが凸部21に向かって延在する複数の分岐溝を有していてもよい。これにより、液体の注入速度を上げることができる。
図13は、複数の分岐溝を含む液体導入路22の変形例を示す模式図である。図13(a)に第1の変形例、図13(b)に第2の変形例を示す。
図13(a)に示す第1の変形例において、U字形状の支持部36aが液体収容部25の側壁25bの内周面に沿って設けられている。支持部36aの中央部には、支持部36bと、支持部36bによって隔てられた2つの分岐溝341a、341bが設けられている。支持部36bは、注入口33と対向する領域近傍から凸部21に向かって延在する。分岐溝341a、341bは、注入口33と対向する領域から分岐しており、それぞれ凸部21に向かって延びている。
液体が流れる際の抵抗(流抵抗)を軽減するために、支持部36bの凸部21とは反対側の端部は、先端に向かって徐々に幅が狭くなるように形成されている。ここでは、支持部36bの端部は、鋭角な形状になっている。
上記の第1の変形例によれば、2つの支持部36a、36bが液体吸収体18を支持するので、液体吸収体18の弾性変形を抑制することができる。また、液体導入路22を2つの分岐溝341a、341bで構成したことで、液体導入路22の断面積を増加することができる。
図13(b)に示す第2の変形例において、U字形状の支持部36aが液体収容部25の側壁25bの内周面に沿って設けられている。支持部36aの中央部には、2つの支持部36b、36cと、これら支持部36b、36cによって隔てられた3つの分岐溝342a、342b、342cが設けられている。支持部36b、36cはそれぞれ、注入口33と対向する領域近傍から凸部21に向かって延在する。分岐溝342a、342b、342cは、注入口33と対向する領域から分岐しており、それぞれ凸部21に向かって延びている。
上記の第2の変形例においても、第1の変形例と同様に、液体吸収体18の弾性変形を抑制することができ、液体導入路22の断面積を増加することができる。
また、本実施形態の液体吐出ヘッド5において、凸部21の側面21bは、液体収容部25の底面25aに対して傾斜した傾斜面を備えていてもよい。傾斜面を設けることで、初期充填における液体吸収体18への液体の侵入が容易となる。
図14は、傾斜面を備えた凸部21の変形例を示す模式図である。図14(a)に第1の変形例、図14(b)に第2の変形例を示す。
図14(a)に示す第1の変形例において、凸部21は、底面25aに対して傾斜した傾斜面21cする。傾斜面21cは、液体導入路22側に位置する。ここでは、傾斜面21cは、溝部34の延長線上に位置し、液体導入路22から空間40に流入する液体の流れが傾斜面21cにぶつかる。液体は、傾斜面21cを乗り上げて液体吸収体18に侵入する。側壁が垂直な面である場合に比べて、傾斜面21cの方が、液体吸収体18への液体の侵入が容易である。
図14(b)に示す第2の変形例において、傾斜面21cは、凸部21の側壁の全周に亘って設けられている。この構成によれば、第1の変形例と比較して、液体吸収体18への液体の侵入がさらに容易となる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態による液体吐出ヘッドは、型内組立と称される方法を用いて製造する場合に有効な構成を有する。
図15は、本発明の第2の実施形態による液体吐出ヘッドの構成を説明するための模式図である。図15(a)は、型内組立品の概略構成を示す図である。図15(b)は、型内組立工程における第1部品組立図である。図15(c)は、型内組立工程における第2部品組立図である。図15(d)は、第2部品組立後の液体収容部と液体注入部との接合部分を示す模式図である。図15(e)は、液体吐出ヘッドに液体注入針を挿入した状態を示す模式図である。
図15(a)に示すように、液体吐出ヘッド100は、中空の容器部品110と、液体吸収体18と、蓋部材120と、注入部品130と、を有する。容器部品110、蓋部材120および注入部品130はそれぞれ、接合部品である。容器部品110は、液体吸収体18を収容可能であり、壁部101と底部102を有する。液体吸収体18は直方体形状である。容器部品110も直方体形状であり、直方体の上面が開口している。壁部101は、直方体の4つの側壁からなる。直方体の下面の一部は開口しており、底部102は下面の開口を除く部分を構成する。底部102には、針孔40が設けられている。
注入部品130の上面は、凸部132と、凸部132に隣接する傾斜面42とを有する。傾斜面42は、凸部132に向かって下り傾斜になるように設けられている。凸部132は開口131を備え、フィルタ19が開口131に取り付けられている。凸部132の側壁は傾斜面からなる。
容器部品110と蓋部材120と注入部品130を接合することで、液体吸収体18を内包した液体収容部60を構成する。注入部品130の上面が液体収容部の底面であり、この底面と液体吸収体18との間に、板状部材である底部102が設けられている。蓋部材120には、初期充填の際に用いる液体の注入口33が設けられている。図示はされていなが、第1の実施形態で説明した液体供給管7等の液体供給系に関連する部材も蓋部材120に設けられている。
液体吐出ヘッド100は、さらに、それぞれが接合用樹脂からなる第1形状部141、第2形状部142および第3形状部143を有する。第1形状部141は、蓋部材120と壁部101とを接合する。第3形状部143は、壁部101と注入部品130とを接合する。第2形状部142は、第1形状部141と第3形状部143とを繋ぐ。
図15(b)に示す第1部品組立では、容器部品110を注入部品130の上に配置し、液体吸収体18を容器部品110に収容する。液体吸収体18を容器部品110に収容した状態で、蓋部材120で容器部品110の上部の開口を塞ぐ。
図15(c)に示す第2部品組立では、蓋部材120と容器部品110を第1形状部141で接合し、第2形状部142の形成を経て、容器部品110と注入部品130を第3形状部143で接合する。
具体的には、型内組立において、蓋部品120と容器部品110と注入部品130を接合するために、液状の接合樹脂が通る通路が予め彫り込まれている。通路には、入り口と出口が設けられている。蓋部品120と容器部品110と注入部品130を組付けた状態で、液状の接合樹脂を入り口から通路内に注入する。液状の接合樹脂が通路全体に充填されると、出口から液状の接合樹脂が排出される。出口への樹脂到達を確認することで、接合が完了する。この通路内の接合樹脂が、第1形状部141、第2形状部142および第3形状部143を構成する。
ここでは、第1形状部141によって、壁部101の上部側の端部が蓋部材120の内側の面に接合される。第3形状部143によって、壁部101の下部側の端部が注入部品130の上面に接合される。第1形状部141と第3形状部143は、いずれも長方形の枠形状である。第2形状部142は、第1形状部141(長方形)の一方の短辺の両端部と第3形状部143(長方形)の一方の短辺の両端部とを互い繋いでいる。
図15(d)に示すように、第2部品組立において、注入部品130の上面(開口131側の面)が液体吸収体18を内包した液体収容部60の底面を構成する。容器部品110の底部102と注入部品130の傾斜面42とによって液体導入路41が形成されている。傾斜面42は液体収容部60の底面の一部を構成しており、液体導入路41は、その底面に沿って設けられ、注入口33と対向する領域から開口131に向かって延びている。針孔40は、底部102の注入口33と対向する位置に設けられている。
注入部品130の開口131は、容器部品110の底部102と同じ高さになるように配置されている。開口131が設けられた凸部132の側壁(傾斜面)は、容器部品110の底部102よりも低いため、液体吸収体18の下面と液体収容部60の底面との間に、開口131を囲む空間43が形成されている。液体導入路41は、空間43に連通している。
図15(e)に示すように、初期充填の際は、液体注入針37を注入口33に挿入して、液体吸収体18に液体を充填する。注入口33に挿入した液体注入針37の先端は、底部102の針孔40を通過して液体導入路41の傾斜面42に達する。液体注入針37の先端から液体を液体導入路41に注入する。なお、液体注入針37を針孔40に挿入した状態で、針孔40から空間45bに液体が侵入しないように、液体注入針37の外径に合わせて針孔40の径を設定することが好ましい。
図16は、開口131と液体吸収体18と液体導入路41との具体的な構造を示す。図16(a)は、図15(e)におけるK-K線に沿った断面の構成を示す模式図である。図16(b)は、図15(e)におけるC-C線に沿った断面の構成を示す模式図である。
図16(a)および図16(b)に示すように、注入部品130の下部には、液体吐出部8が設けられている。開口131は、液体吐出部8に連通している。図示はされていないが、蓋部材120には、液体吸収体18を開口131が設けられた面に向かって付勢する付勢部材が設けられている。付勢によって、液体吸収体18はフィルタ19に密着するとともに、液体吸収体18が弾性変形し、液体吸収体18の一部が空間43の内側に張出している。ここでは、液体吸収体18の張出し部が、空間43の底面に達している。すなわち、空間43の全体が、液体吸収体18の張出し部によって塞がれている。
底部102は、液体導入路41の上面を形成する。底部102が液体吸収体18を支持しているため、液体吸収体18が液体導入路41の内部に露出することはない。液体注入針37を液体導入路41まで挿入し、液体注入針37の先端から液体を注入する。液体は、液体導入路41を開口131に向かって流れ、液体吸収体18に吸収される。
図17は、液体を液体吸収体18に充填する液体充填方法を説明するための図である。図17(a)~図17(c)は、初期充填の各工程を示す工程図である。図17(a)~図17(c)には、図15(e)におけるK-K線に沿った断面の構成が示されている。
図17(a)に示すように、液体注入針37を注入口33から挿入する。液体注入針37は液体吸収体18を貫通し、液体注入針37の先端が針孔40を通過する。液体注入針37の先端が、針孔40から所定の深さに達したところで、液体注入針37を停止する。ここで、所定の深さは、例えば針孔40から1mm~3mmの範囲である。
液体注入針37の先端は、保持部材18を容易に貫通することができるようにテーパー状の鋭利な形状になっている。液体注入針37は、テーパーの向きが傾斜面42の下り側と反対向きとなるように挿入する。すなわち、液体注入針37の開口がフィルタ19とは反対の向きになるように、液体注入針37を挿入する。
図17(b)に示すように、加圧により液体44を液体注入針37の先端から液体導入路41に注入する。液体導入路41において、圧損はないので、液体44は傾斜面42に沿ってフィルタ19の方向へ流れる。液体導入路41と液体吸収体18とは底部102によって分離されているため、液体導入路41の内部の液体44が液体吸収体18に浸透することがない。よって、液体44は、液体吸収体18に浸透することなく液体導入路41を流れて空間43に達する。
フィルタ19を囲む空間43の内側は、付勢によって弾性変形した液体吸収体18の張出し部で塞がれている。液体導入路41を通過した液体44は、液体吸収体18の張出し部のうち、フィルタ19の手前側の部分から浸透し、その後、張出し部の全体に浸透する。その後、液体44は、凸部132の傾斜面を乗り越えてフィルタ19に達する。
図17(c)に示すように、液体注入針37の先端から液体をさらに注入する。フィルタ19の周囲に到達した液体44は、液体吸収体18のフィルタ19の上方の領域に浸透する。
初期充填後、テープ等のシール材を用いて注入口33を塞ぐ。第1の実施形態と同様、シール材に代えて、弾性部材を用いてもよい。
本実施形態の液体吐出ヘッド100においても、第1の実施形態と同様、初期充填において、液体を液体吸収体18の開口131(フィルタ19)との密着領域の近傍に充填することができる。よって、初期充填後、液体吐出部8が液体吐出を開始した際に、液体を液体吐出部8に安定して供給することができる。
また、液体吸収体18において、空間43内の張出し部の圧縮の程度は、フィルタ19および底部102の上方の領域の圧縮の程度よりも低い。圧縮の程度が大きいほど、繊維密度が高くなり、液体の毛管力が増大する。よって、液体吸収体18に保持された液体をフィルタ19との密着領域の近傍に集めることができ、液体吐出部8への液体供給を効率的に行うことができる。
また、第1の実施形態と比較して、液体導入路41の断面積を大きくすることができるので、液体の注入速度を上げることができる。
さらに、液体導入路41と液体吸収体18とは底部102によって分離されているので、液体導入路41内の液体44が液体吸収体18に浸透することがなく、圧損も軽減される。よって、第1の実施形態と比較して、液体導入路41内の液体44をフィルタ19の方向へ効率的に流すことできる。
加えて、液体吸収体18の底部102の上方の領域への液体の侵入がないため、液体44が液体吸収体18と容器部品110の内壁との間を通って液体吸収体18の上面側に回り込むことを抑制することができる。
なお、本実施形態の液体吐出ヘッド100において、液体吸収体18が板状部材である底部102上に存在するが、これに代えて、液体吸収体18が底部102上に存在しないように構成することも可能である。
図18は、本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッドの変形例を示す図である。本変形例の液体吐出ヘッド100Aは、液体吸収体18が底部102上に存在しない点で、上述した液体吐出ヘッド100と異なる。
容器部品110は直方体形状であって、直方体の下面の一部が開口しており、底部102は下面の開口を除く部分を構成している。仕切り板103は、直方体を開口側の空間45aと底部102の側の空間45bとに分離する。空間45aがフィルタ19の上方に位置し、空間45bが液体導入路41の上方に位置する。液体吸収体18は、空間45aに収容される。
本変形例の液体吐出ヘッド100Aによれば、液体吐出ヘッド100と同様の作用効果を奏することに加えて、液体吐出ヘッド100と比較して、液体吸収体18のサイズを小さくすることができる。これにより、低コスト化が可能である。
また、液体吸収体18のサイズを小さくすることで、初期充填に必要な液体量を削減することが可能である。
5 液体吐出ヘッド
8 液体吐出部
18 液体吸収体
21a 開口
22 液体導入路
25 液体収容部
25a 底面
33 注入口
40 空間

Claims (20)

  1. 液体を吸収保持可能な液体吸収体を内包した液体収容部と、前記液体吸収体に保持された液体が供給され、該液体を吐出する液体吐出部と、前記液体収容部の底面に設けられ、前記液体吐出部と連通する開口と、を有し、前記液体吸収体が、前記底面と対向し、前記開口に密着する液体吐出ヘッドであって、
    前記液体収容部の前記底面と対向する面に設けられた液体の注入口と、
    前記液体吸収体と前記底面との間に設けられ、前記開口を囲む空間と、
    前記底面に沿って設けられ、前記注入口と対向する領域から前記開口に向かって延び、前記空間に連通する液体導入路と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記液体収容部の前記底面から突出した凸部を有し、前記開口が前記凸部の頂部に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記液体吸収体を前記底面に向けて付勢する付勢部材を有し、
    前記付勢部材が前記液体吸収体を付勢することで、前記液体吸収体の前記開口の上方の領域が圧縮されることを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記凸部の側壁は傾斜面を備えることを特徴とする、請求項2または3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記傾斜面は、前記液体導入路の側に位置することを特徴とする、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記傾斜面は、前記凸部の側壁の全周に亘って設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記液体吸収体の前記底面と対向する面を支持する支持部と、
    前記支持部に隣接して設けられ、前記注入口と対向する領域から前記開口に向かって延在する溝部と、を有し、
    該溝部は、断面形状が凹状であって、前記液体導入路の一部を構成することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記溝部は、前記注入口と対向する領域から複数に分岐した複数の分岐溝を有し、各分岐溝が前記開口に向かって延在することを特徴とする、請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記支持部は、U字形状の部分を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記U字形状の部分は、前記液体収容部の内周面に沿って形成されていることを特徴とする、請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記支持部の前記底面からの高さは、前記開口の前記底面からの高さ以下であることを特徴とする、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 前記注入口が設けられた面と前記底面との間に設けられた板状部材を有し、該板状部材は、前記注入口と対向する位置に針孔を備え、前記底面と前記板状部材とが前記液体導入路を構成することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  13. 前記液体吸収体の前記底面と対向する面が、前記板状部材に当接することを特徴とする、請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
  14. 前記板状部材と前記開口が同じ高さに設けられていることを特徴とする、請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 前記液体吸収体が、前記板状部材の上に存在しないことを特徴とする、請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
  16. 前記液体導入路は、前記注入口と対向する領域から前記開口に向かう下り傾斜を有することを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  17. 前記開口にフィルタを備え、前記液体吸収体が前記フィルタに密着していることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  18. 前記注入口が設けられた面を形成する蓋部材を有し、該蓋部材は、外部から液体が供給される液体供給管を有し、該液体供給管は、前記注入口よりも前記開口と対向する領域に近い位置に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  19. 液体注入針が前記注入口から前記液体導入路まで挿入可能であることを特徴とする、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  20. 請求項1乃至18のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの液体充填方法であって、
    液体注入針を前記注入口から前記液体導入路まで挿入し、前記液体注入針の先端から前記液体導入路に液体を注入することで、前記液体吸収体に液体を充填することを特徴とする液体充填方法。
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