JP2023045230A - 情報通信システム及び情報通信装置 - Google Patents

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【課題】情報通信の伝搬時間の変動を吸収し、誤差を低減した同期制御が可能な情報通信システム及び情報通信装置を提供する。【解決手段】複数の情報通信装置1が、マスター装置CLa又はスレーブ装置CLbとして情報の通信を行う情報通信システム100であって、マスター装置CLa及びスレーブ装置CLbとの間で、所定時間内に行われた複数の情報通信である情報通信の集合において、時差の誤差が最少であって、最も数が多い集合に対応する時差を求める時差演算部79と、時差演算部79により求められた時差に基づいて、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbのクロック周波数又は時刻を同期させる同期制御部80と、を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、複数の情報通信装置の間で通信により同期する情報通信システム及び情報通信装置に関する。
複数の情報通信装置間の一般的な時刻同期方法として、例えば、非特許文献1のIEEE1588 Precision Time Protocol(PTP)が知られている。非特許文献1では、基準時刻を持つマスター装置と、マスター装置の時刻に時刻同期するスレーブ装置とが定義され、マスター装置とスレーブ装置との間で定期的に時刻同期用パケットを交換することでスレーブ装置の時刻を補正する。
具体的には、マスター装置からスレーブ装置に送信されるパケットのマスター装置の送信時刻とスレーブ装置の受信時刻、並びにスレーブ装置からマスター装置に送信されるパケットのスレーブ装置の送信時刻とマスター装置の受信時刻を用いて、スレーブ装置においてマスター装置とスレーブ装置との時差である時刻オフセットを推定して補正する。
PTPシステムにおいては、マスター装置とスレーブ装置の双方向で情報の送受信をする際に、一方から他方への伝搬時間と、他方から一方への伝搬時間とが同じであることを前提としている。しかしながら、伝搬時間は、ネットワークを構成する装置のバッファリングの時間や、送受信において経由するノードの数等に左右される。このため、現実には、送信と受信の時間に相違が生じて、対称性を維持できない場合が生じる。
これに対処するため、PTPシステムにおいては、バウンダリークロック(BC)、トランスペアレントクロック(TC)といったネットワーク中継装置を介することにより、変動する伝搬時間をキャンセルし、伝搬時間の変動に由来する時刻同期精度低下の問題を低減している。BCは、上位のマスター装置から受信した時刻に基づいて、遅延時間や揺らぎを補正して、下位のスレーブに対するマスターとしての時刻を生成する。TCは、パケットの中継時に、中継装置内での滞在時間を付加して下位のスレーブに送信する。
しかし、一般的に、BC、TCは高価であり、時刻同期システム構築のコスト高を招く。このため、BC、TCを導入せずに、時刻同期精度のシステム要求仕様を満足させる代替案が期待されている。
例えば、特許文献1では、最小パケット時間を用いることにより、伝搬時間の変動を吸収する方式を提唱している。しかし、情報通信の各方向での最小パケット時間を、独立して時々刻々と求めているため、伝搬時間の対称性を評価しておらず、時刻同期精度の低下を招く。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、情報通信の伝搬時間の変動を吸収し、誤差を低減した同期制御が可能な情報通信システム及び情報通信装置を提供することにある。
本発明は、複数の情報通信装置が、マスター装置又はスレーブ装置として情報の通信を行う情報通信システムであって、前記マスター装置及び前記スレーブ装置との間で、所定時間内に行われた複数の情報通信である情報通信の集合において、時差の誤差が最少であって、最も数が多い集合に対応する時差を求める時差演算部と、前記時差演算部により求められた時差に基づいて、前記マスター装置と前記スレーブ装置のクロック周波数又は時刻を同期させる同期制御部と、を有する。
本発明は、他の情報通信装置との情報の通信を行う情報通信装置であって、他の情報通信装置との間で、所定時間内に行われた複数の情報通信である情報通信の集合において、時差の誤差が最少であって、最も数が多い集合に対応する時差を求める時差演算部と、前記時差演算部により求められた時差に基づいて、クロック周波数又は時刻を同期させる同期制御部と、を有する。
本発明によれば、情報通信の伝搬時間の変動を吸収し、誤差を低減した同期制御が可能な情報通信システム及び情報通信装置を提供することができる。
実施形態に係る情報通信システムの模式図である。 実施形態に係る情報通信システムを構成する情報通信装置の機能ブロック図である。 情報通信装置間の通信の態様を示す図である。 実施形態に係る制御部の機能ブロック図である。 伝搬時間の対称性を有する通信の態様を示す図である。 伝搬時間の対称性を有しない通信の態様を示す図である。 伝搬時間及び時差に変動による誤差のない同期状態ベクトルを示す図である。 伝搬時間及び時差に変動による誤差を含む同期状態ベクトルを示す図である。 実施形態の同期制御の処理の手順を示すフローチャートである。 実施形態に係る情報通信システムの情報通信の集合を示す図である。 異なるタイミングにおける情報通信の集合の統計量のシフト量を示す図である。 複数の情報通信の集合において、同期状態ベクトルをプロットした図である。 実施形態に係る情報通信システムの双方向の情報通信の集合を示す図である。 非対称な双方向の情報通信の集合において、同期状態ベクトルをプロットした図である。
以下、実施形態に係る情報通信システム及び情報通信装置について、図面を参照して説明する。
[構成]
図1は実施形態に係る情報通信システム100の模式図である。図2は実施形態に係る情報通信システム100を構成する情報通信装置1の機能ブロック図である。図3は情報通信装置1間の通信の態様を示す図、図4は図2の制御部70の機能ブロック図である。
本実施形態に係る情報通信システム100は、複数の情報通信装置1からなり、各情報通信装置1が情報通信により同期を図る。マスター装置となる情報通信装置1に対し、スレーブ装置となる情報通信装置1が同期する。マスター装置とは、情報通信システム100において、他の情報通信装置1と同期される対象となる情報通信装置1である。スレーブ装置とは、情報通信システム100において、マスター装置である他の情報通信装置1に対して同期する情報通信装置1である。マスター装置からスレーブ装置への時刻同期を図るための情報である同期情報の送受信を介して、スレーブ装置がマスター装置に同期する。
マスター装置となる情報通信装置1をマスター装置CLaとし、スレーブ装置となる情報通信装置1をスレーブ装置CLbとする。マスター装置CLaに対するスレーブ装置CLbは少なくとも1台が存在すればよいが、図1に示すように、複数台のスレーブ装置CLbを備えるシステムであってもよい。
マスター装置CLaとスレーブ装置CLbは、有線で情報を通信可能なネットワークを介して接続されている。本実施形態では、情報通信装置1が、有線で情報を送信及び受信することで、同期を図る例を説明する。
(情報通信装置)
情報通信装置1は、コンピュータを含み構成されており、あらかじめHDDやSSD等の記憶部に記憶されたプログラムを、CPUなどを含むプロセッサが実行することにより、必要な演算を行う。
具体的には、図2に示すように、情報通信装置1は、通信部10、クロック20、時計30、記憶部50、外部インターフェイス60、制御部70を有する。例えば、各部10~70は、ハードウェアとして構成される。制御部70の各部は、プログラム及びデータを含むソフトウェアにより構成しても良い。制御部70のどの部分をソフトウェアとして構成するかは適宜設計変更可能である。
通信部10は、他の情報通信装置1との間で情報を送受信する。つまり、通信部10は、情報通信装置1の外部への情報の送信、情報通信装置1の外部からの情報の受信又はこれらの両方を行う。通信部10は、送信器11、受信器12、送信タイミング検出部13、受信タイミング検出部14を有する。
送信器11は、入力された情報を送信する機器である。具体的には、送信器11は、情報を最小構成要素に時系列に分解の上、当該情報を外部へ送信する。情報のパケット長(通信情報量)は任意であり、通信毎に異なっていても良い。例えば、マイクから入力された音声信号を音声データに変換する入力部が情報通信装置1に接続され、入力部から情報としての音声データが情報通信装置1に入力される。
受信器12は、外部から情報を受信する機器である。具体的には、受信器12は、情報通信装置1の外部から受信した、最小構成要素に時系列に分解された情報を再構成し、情報通信装置1内の他の構成部へ出力する。例えば、音声を出力するイヤーレシーバやスピーカなどの再生部が情報通信装置1に接続され、受信器12が音声データを音声信号に変換して再生部に出力する。このように、送受信される最小構成要素に時系列に分解された情報は、各要素の時系列上の位置、すなわち情報要素位置を特定できる。
ここで、情報通信装置1が通信する情報、つまり、送信器11により送信される情報、受信器12により受信される情報には、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbとの間で時刻を同期させるための同期情報が含まれる。本実施形態の同期情報は、同期情報は、少なくとも送信タイミングに対応する時刻の情報を含んでいる。
情報通信装置1は、送信器11および受信器12の一方又は双方を有している。双方を有する場合、送信器11および受信器12を排他的に選択して動作させてもよいし、双方同時に動作させてもよい。
送信タイミング検出部13は、送信タイミングを検出する。送信タイミングは、送信器11により送信される情報の所定の情報要素位置が、本情報通信装置1の外部へ送信されるタイミングである。この送信タイミングは、後述するクロック20のクロック周期(換言すれば、クロック20の発振するパルスの周期)をベースとして検出される。つまり、送信タイミングは、クロック周期の整数倍に基づいて表現される。
また、送信タイミング検出部13は、その検出結果を情報通信装置1内の他の構成へ出力する。ここでいう情報は、例えばパケットであり、この場合、所定の情報要素位置(以下、所定情報要素位置とする)は、ビット位置である。例えば、送信タイミング検出部13は、情報が8個の最小構成要素のビットに時系列に分解される場合、3番目の情報要素位置(ビット位置)が送信されるタイミングを検出し、3番目の情報要素位置(ビット位置)が送信されたタイミングを外部へ出力する。
受信タイミング検出部14は、受信タイミングを検出する。受信タイミングは、受信器12により受信される情報の所定情報要素位置が、情報通信装置1の外部から受信されるタイミングである。この受信タイミングは、後述するクロック20のクロック周期をベースとして検出される。つまり、受信タイミングは、クロック周期の整数倍として表現される。
また、受信タイミング検出部14は、その検出結果を情報通信装置1内の他の構成へ出力する。例えば、受信タイミング検出部14は、情報が8個の最小構成要素であるビットに時系列に分解される場合、3番目の情報要素位置(ビット位置)が受信されるタイミングを検出し、3番目の情報要素位置(ビット位置)が受信されたタイミングを外部へ出力する。
なお、上記の送信タイミング及び受信タイミングの例では、何れも同じ最小構成要素の位置を検出することとしたが、例えば、送信機となる情報通信装置1の送信タイミング検出部13は5番目の要素を検出し、受信機となる情報通信装置1の受信タイミング検出部14は8番目の要素を検出するなど、送受信する情報通信装置1間において各タイミング検出で所定関係(例えば間隔(ここでは3つ))を保つのであれば、必ずしも同じ位置を検出しなくても良く、検出する要素位置のずれは無視又は補正可能である。
図3は、有線通信を例に、情報通信装置1間のパケット伝送において、パケット内の特定ビット位置を送受信タイミングとして検出し、隣接する送信タイミング及び受信タイミングから、それぞれ送信間隔及び受信間隔を求める構成を示している。
また、送信タイミングは実際に送信されるタイミングから所定時間前後して検出されても良い。受信タイミングは実際に受信されるタイミングから所定時間前後して検出されても良い。これらの所定値は通信部内にて固定的でも、外部から静的または動的に設定されても良い。
クロック20は、所定の周波数により発振し、情報通信装置1の各部に動作タイミングを与える信号を出力する。これにより、情報通信装置1内の各部は、クロック20に同期して動作する。情報通信装置1の全体が単一のクロック20に一斉に同期しても良いし、複数のクロック20にて複数の機能部毎に独立して同期しても良い。このクロック20は、固有の有限な発振周波数許容偏差を有する。つまり、クロック20は、所定の発振周波数(例えば10MHz)に対する誤差(例えば20ppm)を有する。クロック20としては、例えば、水晶振動子などの周波数固定の発振器を用いることができる。
クロック20は、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbとで公称周波数が同じでも、実際には個体差が存在する。すなわち、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbのクロック20の周波数間には周波数偏差が存在する。クロック20は外部より周波数制御信号を入力し、同信号に対応して発振周波数を可変制御しても良い。
時計30は、クロック20の出力信号を源振として刻時し、情報通信装置1の起動からの相対的な時刻を出力する。刻時は入力されたクロック信号の分周波に同期しても良い。また、刻時は、1クロックあたりの進み幅が可変であってもよく、クロック周波数が固定であっても間欠的に時計の駆動周波数を制御可能としてもよい。時刻は規定の単位にて参照されるが、この規定値は時計内にて固定的でも、外部から静的または動的に設定されても良い。時計30の相対的な時刻の出力は、例えば外部からの参照要求に応じて行う。
記憶部50は、HDD、SSD、メモリ、レジスタなどの記録媒体である。記憶部50は、制御部70で演算を行うのに必要な情報を記憶する。後述の送信タイミング又は受信タイミングに対応する時計30の時刻は、CPU又はソフトウェアを介さず、ハードウェアのみのアクセスで保持できる記録媒体に保持すると良い。ソフトウェアに起因するジッターを排除できるからである。なお、送受信タイミングと時刻との対応付けにおいてソフトウェアのジッターを受けないことが重要であり、送受信タイミングと時刻とが対応付けられた後は、低速なアクセス領域に記憶されても良い。
記憶部50としてのメモリは、任意の情報を入出力し、当該情報を指定された記憶領域へ記憶する。情報の記憶は、外部からの記憶要求により行われるが、その際に記憶する情報と記憶領域が入力される。情報の参照は、外部からの参照要求により行われるが、その際に参照情報の記憶領域が入力され、その入力により指定された記憶領域の情報を出力する。情報の記憶の保持は、本装置の動作中のみであっても、動作停止時も含めて永続的であっても良い。
外部インターフェイス60(以下、外部I/F60ともいう。)は、本情報通信装置1内部と外部を接続し、任意の情報を入出力する。情報は、送受信データや時計30の時刻を含む。外部I/F60は、例えば、記憶部50に記憶させる情報を外部から取得する。また、外部I/F60は、受信タイミング検出部14により検出した受信タイミングから送信タイミング検出部13が検出する送信タイミングまでの時間を外部から取得し、当該時間を後述するスケジューラ74で用いても良い。
なお、マスター装置CLaは、少なくとも同期情報を送信する外部I/F60を有する。スレーブ装置CLbは、少なくとも同期情報を受信する外部I/F60を有する。但し、マスター装置CLaは、同期情報を受信する外部I/F60を有してもよく、スレーブ装置CLbは、同期情報を送信する外部I/F60を有しても良い。さらに、情報通信装置1は、内部状態を制御および表示可能な表示装置等のユーザーインターフェイスを有しても良い。
制御部70は、情報通信装置1の各部の動作全般を制御する。図4は、制御部70の機能ブロック図である。図4に示すように、制御部70は、主制御部71、送受信データI/F72、通信制御部73、スケジューラ74、時刻記録部75、間隔時間演算部76、選択部77、周波数偏差演算部78、時差演算部79、同期制御部80、タイミング情報参照部81を有する。
主制御部71は、制御部70内の各部と連携されており、制御部70内の各部の動作を統制する。送受信データI/F72は、記憶部50や外部I/F60の情報を装置外部へ送信可能な形式にする。また、送受信データI/F72は、装置外部から受信した情報を制御部70及び記憶部50に適した形式にする。
通信制御部73は、通信部10の動作を統制する。通信制御部73は、通信部10と制御部70との間で送受信情報の入出力をする。
スケジューラ74は、情報を送信又は受信するスケジュール(時間)を制御する。例えば、情報を一方向に通信する場合において、送信側のスケジューラ74は、情報の送信間隔を制御したり、情報の送信タイミングが所定時刻に検出されるスケジュールを設定したりする。また、スケジューラ74は、情報を受信してから送信するまでの時間を制御しても良い。通信制御部73は、情報を送信する際、予め設定されたスケジュールの送信タイミング又は検出した送信タイミングに対応する時刻を、その情報に含めることができる。本実施形態においては、スケジューラ74は、後述する第1のタイミング、第2のタイミング及びこれに従った同期情報の送信タイミングを制御する。
時刻記録部75は、送信タイミング検出部13により送信された情報の所定情報要素位置の送信タイミングと、当該送信タイミングにおける時計30の時刻とを対応付けて、記憶部50のメモリに記憶させる。この対応付けは、例えば、時刻記録部75が、送信タイミング検出部13から、送信された情報の所定情報要素位置の送信タイミングか検出された旨の信号を受けて、時計30の時刻を参照し、当該時刻と送信タイミングとを対応付ける。
また、時刻記録部75は、送信タイミングに対応する時刻を、当該送信する情報に載せる時刻付加部でもある。時刻記録部75は、送信と同様に、受信タイミング検出部14により受信された情報の所定要素位置の受信タイミングと、当該受信タイミングにおける時計30の時刻とを対応付けて、メモリに記憶させる。また、時刻記録部75は、受信タイミングに対応する時刻を、情報に載せて送信器11に送信させる。
このように、本実施形態において、「時刻」は、情報の所定情報要素位置の検出された送信タイミング又は受信タイミングに対応する時計30の時刻をいい、「時間」は、当該時刻の差分をいう。
間隔時間演算部76は、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbとの間での第1の情報通信の集合と第2の情報通信の集合において、送信間隔時間及び受信間隔時間を演算する。第1の情報通信の集合とは、第1のタイミングに対して、所定時間内に行われた複数の情報通信である。第2の情報通信の集合とは、第1のタイミングから所定時間以上の第2のタイミングに対して、所定時間内に行われた複数の情報通信である。
所定時間は、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbとの間の情報の伝搬時間に、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbにおけるクロック周波数偏差の影響が表れない間隔時間である。このため、第1のタイミングと第2のタイミングとの間の所定時間を超える間隔時間は、伝搬時間に周波数偏差の影響が表れる。
送信間隔時間は、第1のタイミングの送信時刻と第2のタイミングの送信時刻との差分である。送信間隔時間は、受信した情報に含まれる送信時刻を参照し、二つの送信間の時刻差より求める。受信間隔時間は、受信タイミングに対応する時刻を時計30より参照し、二つの受信間の時刻差により求める。二つの送信時刻、二つの受信時刻は、受信した情報から直接読み出しても良いし、記憶部50から読み出しても良い。
選択部77は、第1の情報通信の集合と第2の情報通信の集合から、受信間隔時間と送信間隔時間との差分が、最小となる情報通信の組を選択する。この組は、後述するように、伝搬時間の変動が最小なものと見做すことができる。
周波数偏差演算部78は、選択部77により選択された情報通信の組に基づいて、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbとのクロック周波数の偏差を求める。つまり、周波数偏差演算部78は、被同期対象の情報通信装置1(マスター装置CLa)のクロック周波数と、同期対象の情報通信装置1(スレーブ装置CLb)のクロック周波数の偏差を演算する。このクロック周波数(以下、単に「周波数」ともいう。)の偏差は、周波数比として表現される値である。つまり、周波数偏差を求めることは、周波数比を求めることと同義である。本実施形態の周波数偏差演算部78は、例えば、選択部77により選択された情報通信の組における受信間隔時間を、送信間隔時間で除することにより、周波数比を求める。
本実施形態では、周波数比は、マスター機のクロック周波数に対するスレーブ機のクロック周波数の比(以下、単に周波数比ともいう場合がある。)である。つまり、周波数偏差は、マスター機のクロック周波数とスレーブ機のクロック周波数のずれである。
時差演算部79は、所定時間内のマスター装置CLaとスレーブ装置CLbとの間の複数の情報通信の集合において、時差の誤差が最少の集合のうち、最も数が多い集合に対応する時差を求める。
同期制御部80は、周波数偏差演算部78により求めた周波数比に基づいて、クロック20又は時計30を制御する。すなわち、同期制御部80は、周波数偏差演算部78により求めた周波数比を1とするように、クロック20の発振周波数を制御する。例えば、クロック20が水晶振動子を含み構成される電圧制御水晶発振器からなる場合、当該発振器に印加する電圧を制御することで、周波数比を1とし、被同期装置(マスター機)となる情報通信装置1とクロック周波数の同期を図る。
また、同期制御部80は、周波数偏差演算部78により求めた周波数比に基づいて、被同期装置(マスター装置CLa)となる情報通信装置1との時間のずれ、つまり時差を演算し、その時差に基づいて時計30の刻時する値を補正する。本実施形態においては、時差演算部79により時差を求めることができ、求めた時差に基づいて、同期制御部80が時刻を補正できる。補正は、例えば、時計30自体を制御して刻時を補正しても良い。或いは、時計30が時刻を出力する際に時差に基づいて補正しても良い。すなわち、時計30の刻時自体は補正せず、時計30が時刻を出力する際にずれ分を補正した時刻を出力するように時計30を制御しても良い。
タイミング情報参照部81は、同期制御部80から出力されるタイミング情報を参照し、これに同期するように所望の処理を実行する。タイミング情報は、周期的なタイミング信号と、指定されたタイミングに一意に対応する時刻情報により構成される。同期制御部80は、タイミング情報に基づいて、他の情報通信装置1と同期することができる。
[伝搬時間に対称性がある場合の時差の計測]
次に、伝搬時間に対称性がある場合の伝搬時間及び時差の計測について、図5を参照して説明する。図5は、有線通信を例に、一対のマスター装置CLaとスレーブ装置CLbとの間で、それぞれのクロック間の時差および情報の伝搬時間と、情報通信により観測される送受信タイミングとの関係を示す。
なお、ここでのマスター装置CLaが送信する同期情報、及び、スレーブ装置CLbが送信する別の同期情報とは、同期するためにタイミングを計る目的のものであり、当該同期情報にはマスター装置CLaの送信時刻等が載せられているが、当該同期情報及び当該別の同期情報の中身は任意である。
図5に示すように、マスター装置CLaが情報を時刻ta,Tに送信し、伝搬時間dを経て時刻tb,Rにスレーブ装置CLbが受信する。Δt後に別の情報を、スレーブ装置CLbが時刻tb,Tに送信し、同じく伝搬時間dを経てマスター装置CLaが時刻ta,Rに受信する。
ここで、マスター装置CLaにおける送信から受信までの間隔をΔtとし、スレーブ装置CLbにおける受信から送信までの間隔をΔtとし、マスター装置CLaの送信タイミングta,Tと同一のタイミングが、スレーブ装置CLbではt´a,Tとして観測されるものとする。このため、ある瞬間のマスター装置CLaを基準としたスレーブ装置CLbとの、クロック20間の時差gは、式(1)のとおり求めることができる。さらに、同じ瞬間のスレーブ装置CLbを基準とするマスター装置CLaとのクロック間の時差は、-gと表すことができる。
Figure 2023045230000002
なお、上記のように、マスター装置CLaからのスレーブ装置CLbへの伝搬時間dとスレーブ装置CLbからマスター装置CLaへの伝搬時間dは同じ、つまり情報通信の方向において対称であることを前提としている。
これらの条件から、伝搬時間dは、式(2)の通り、求めることができる。
Figure 2023045230000003
よって、クロック20間の時差gは、式(2)を用いて、式(3)の通り求めることができる。
Figure 2023045230000004
スレーブ装置CLbの同期制御部80は、クロック20間の時差gが0となるように、クロック周波数や時刻を繰り返し調整することにより、マスター装置CLaに対して時刻同期することができる。
マスター装置CLaとスレーブ装置CLbのクロック周波数が同一であれば、すなわち、クロックドメインが単一であれば、時刻を一旦調整するのみで時刻同期可能であるが、一般的に2クロック間には周波数偏差が存在するため、時刻同期にはクロック周波数の調整が必須となる。クロック周波数を直接的に調整できないシステムであっても、1クロックあたりの刻時の進み幅を繰り返し調整することにより、時計30の駆動周波数を制御し、時刻同期できる。これらの周波数調整においては、同期位相を入力とし、周波数調整値を出力とする閉ループ制御を定期的に行い、入力される同期位相が0となるように出力値を制御する。
なお、送受信タイミング間にある、伝搬時間や内部遅延は、システムの要求条件などにより無視または補正可能である。また、マスター装置CLaから同期情報の送信を開始するのではなく、スレーブ装置CLbから同期情報を送信するようにしてもよい。さらに、情報通信に必要なインターフェイス数は1で必要十分であるが、例えば、送信と受信のインターフェイスを独立して実装するなど、複数インターフェイスを同時に使用する構成としてもよい。
[時差と伝搬時間の変動の影響]
上記の説明は、時差が一定であり、伝搬時間が情報通信の方向において対称であることを前提としている。しかしながら、実際の情報通信装置1の間のクロック20の公称周波数に対する周波数偏差は異なり、時々刻々と変動する。このため、情報通信装置1の間の時差も変動し、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbが接続されるネットワークシステムによっては、情報の伝搬経路や通信の調停が影響し、図6に示すように、伝搬時間は非対称となることが一般的である。
すなわち、ある瞬間のマスター装置CLaとスレーブ装置CLbの間の時差gb/aと、その後、一定期間経過した同じマスター装置CLaとスレーブ装置CLbの間の時差ga/bは同一にはならない。また、マスター装置CLaからスレーブ装置CLbへの情報の伝搬時間db/aは、スレーブ装置CLbからマスター装置CLaへの情報の伝搬時間da/bと同一にならないことが一般的である。なお、図6での時差は、図5での時差と表現を合わせるために、gb/aとga/bは同符号であり、gb/a・ga/b≧0としている。さらに、上記のように、時差と伝搬時間は時々刻々と変動し、ある瞬間に観測された時差gb/a[m]と伝搬時間db/a[m]は、異なる瞬間に観測された時差gb/a[n]と伝搬時間db/a[n]とは、それぞれ異なることが一般的である。
ここで、図6の各時間の関係から、伝搬時間db/a,da/bと時差gb/a,ga/bを用いて、式(2)、(3)を、それぞれ式(4)、(5)のとおり整理する。
Figure 2023045230000005
Figure 2023045230000006
式(2)では、対称性を前提として伝搬時間を求めることができたが、式(4)では、伝搬時間の平均値に時差の変動成分が含まれてしまうことがわかる。同様に、式(3)では、時差が一定であることを前提として、時差を求めることができたが、式(5)では、時差の平均値に伝搬時間の変動成分が含まれてしまうことがわかる。このように時差及び伝搬時間の変動成分が含まれると、時刻同期の精度の低下を招くことになる。
[時差と伝搬時間の変動による誤差]
時刻同期システムにおいて、時差と伝搬時間の変動が生じさせる時刻同期の誤差を説明する。まず、式(4)、(5)の両式を合成し、式(6)に示すように行列形式に変形する。
Figure 2023045230000007
ここで、二次元の回転行列Rθを式(7)とする。
Figure 2023045230000008
すると、式(6)の共通因数に着目して、式(7)のRθを用いることにより、式(6)は式(8)のように変形できる。
Figure 2023045230000009
図7に示すように、横軸がマスター装置CLaからスレーブ装置CLbへ通信を行った場合の時差gb/a及び伝搬時間db/aの成分、縦軸がスレーブ装置CLbからマスター装置CLaへ通信を行った場合の時差ga/b及び伝搬時間da/bの成分とする二次元空間を考える。すると、(gb/a -a/bを時差ベクトルg、(db/a a/bを伝搬時間ベクトルdとすれば、式(8)の変動誤差を含んだ時差と伝搬時間を要素とする同期状態ベクトルs=(gは、時差ベクトルgと伝搬時間ベクトルdの和を、同空間上に+π/4回転させて、各次元をスケーリングしたものと解釈できる。
式(8)の操作において、時差ベクトルgの要素gb/a、ga/bに変動がなく、伝搬時間ベクトルdの要素db/a、da/bに変動がない、すなわち、gb/a=ga/bかつdb/a=da/bであるとき、図7に示すように、同期状態ベクトルsは、d成分とg成分に直交分解すれば、誤差を含まず時差と遅延時間を求めることができることがわかる。
しかし、一般的には、図8に示すように、時差ベクトルgと伝搬時間ベクトルdは、それぞれの要素に変動誤差を含む。このため、直交成分のそれぞれに互いの誤差が合成されることにより、式(8)の操作だけでは、時差と伝搬時間から誤差を取り除くことはできず、時刻同期精度の低下を招いてしまう。
式(4)、(5)は、線形従属であるため、他の独立した操作を導入しなければ、解析的に解は求められないが、同期情報の送受信タイミング計測のみでは、図7に示すベクトルとなるような新たな独立操作を見出すことはできない。このため、変動誤差を除去するには、別のアプローチを導入する必要がある。
[動作]
以上を前提として、本実施形態の情報通信システム100の動作を説明する。まず、本実施形態の動作の概要を、図9のフローチャートを参照して説明する。通信制御部73は、スケジューラ74に従って、第1の情報通信、第2の情報通信を行う(ステップS101、S102)。これは、後述するように、マスター装置CLaが、第1のタイミングであるタイミングmからバースト的に複数の同期情報の送信を行い、タイミングmからL[n]の時間間隔を隔てた第1のタイミングであるタイミングnからバースト的に複数の同期情報の送信を行うことに相当する(図10参照)。以下、このように比較的短時間に多数の送信を連続して行くことをバースト送信とも呼ぶ。
次に、間隔時間演算部76が、第1の情報通信の集合、第2の情報通信の集合における送信間隔時間と受信間隔時間を演算する(ステップS103)。これは、時刻記録部75が記憶部50に記録した又は受信した情報から読み出した送信時刻ta,T[n],ta,T[m],受信時刻tb,R[n]、tb,R[m]から、後述する送信間隔時間(ta,T[n]-ta,T[m],受信間隔時間(tb,R[n]-tb,R[m])を求めることに相当する。
選択部77は、送信間隔時間と受信間隔時間の差分とが、最小となる情報通信の組を選択し(ステップS104)、周波数偏差演算部78は、選択された情報通信の組に基づいて、マスター装置CLa、スレーブ装置CLbの周波数比、つまり周波数偏差を求め(ステップS105)、時差演算部79が時差を求める(ステップS106)。これらの詳細は後述する。
以上の周波数偏差及び時差を補正することにより、同期制御部80は、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbとのクロック周波数又は時刻の同期制御を行う(ステップS107)。なお、同期制御部80による同期制御は、周波数偏差及び時差が0(周波数比が1)に収束するまで、フィードバックにより繰り返し行われる。
[伝搬時間変動下での周波数偏差推定]
次に、選択部77による情報通信の組の選択(ステップS104)と周波数偏差演算部78による周波数偏差の演算(ステップS105)について詳述する。
まず、時刻同期に使用される各情報通信装置1のクロック20の発信周波数fは、公称周波数fに対して、周波数偏差eを含む。さらに、周波数偏差eは、クロック20の力学的、電磁気的な動作環境に応じて、時々刻々と変動するため、観測タイミングnにおける発信周波数f[n]と周波数偏差e[n]の関係は、式(9)の通り表すことができる。
なお、周波数偏差は1よりも十分に小さく、r[n]は周波数比を表す。各クロックは、公称周波数に対する許容周波数偏差が決まっているが、上記のように、実際の周波数偏差は時々刻々と変動するため、正確に把握できるわけではない。
Figure 2023045230000010
図10は、マスター装置CLaからスレーブ装置CLbへ情報通信する際の送受信タイミングと時差および伝搬時間の関係を表している。両装置とも、時刻同期で使用するクロック20の公称周波数は同一であるが、周波数偏差はマスター装置CLaがe[n]、スレーブ装置CLbがe[n]である。マスター装置CLaからスレーブ装置CLbへ多数のパケットを送信すると、時間の経過に従って、周波数偏差eによって徐々に時差が生じる。また、各伝搬時間にはばらつきがある。このような状況から周波数偏差eを求める。
このとき、マスター装置CLaから見たスレーブ装置CLbの周波数偏差は、(e[n]‐e[n])で表される。その際の周波数比rb/a[n]は、rb/a[n]=1+(e[n]‐e[n])と表すことができる。同様に、スレーブ装置CLbから見たマスター装置CLaの周波数偏差は、(e[n]‐e[n])で表される。その際の周波数比ra/b[n]は、ra/b[n]=1+(e[n]‐e[n])と表すことができる。周波数比は、周波数偏差が0の場合に1となり、(e[n]‐e[n])、(e[n]‐e[n])は、周波数偏差のない1の状態に対するずれ量を表す。
情報通信装置1のそれぞれのクロック20には、公称周波数に対する許容偏差が規定され、この範囲で時々刻々と変化している。各情報通信装置1のクロック周波数が異なると、刻時の進み幅も異なり、時々刻々と時差が生じるため、gb/a[m]≠ga/b[n]となる観測タイミングもあり、情報通信装置1間の時間演算では、周波数偏差を考慮した補正が必要となる。補正が行われないと、時間演算に誤差が生じ、時刻同期精度の低下を招く。
図10において、第1のタイミングであるタイミングmから第2のタイミングであるタイミングnまでのマスター装置CLaから見たスレーブ装置CLbの平均周波数比をrb/a[n,m]とすれば、式(10)の関係が成立する。
Figure 2023045230000011
式(10)から、gb/a[n]=gb/a[m]+(rb/a[n,m]-1)(ta,T[n]-ta,T[m])と表すことができ、周波数偏差の影響で時差が変化することがわかる。
なお、式(10)では、伝搬時間に周波数偏差を作用させず補正不要としている。つまり、周波数比rb/a[n,m]をdb/a[n]に乗じて加算する場合も、乗じることなく加算する場合もほぼ等しいものとしている。これは、クロック20が公称周波数f、見かけの周波数偏差e[n]の情報通信装置1間において、両装置での観測時間に時差が生じる最小時間L[n]は、式(11)の通り表すことができるが、一般的に、伝搬時間は、この最小時間L[n]よりも小さいためである。なお、T=1/fとした。つまり、伝搬時間は非常に小さい値なので、これに周波数偏差を作用させたとしても、その影響が表れない。すなわち、タイミングmから同期情報の送信を行う所定時間内、タイミングnからの同期情報の送信を行う所定時間内とは、この最小時間L[n]よりも小さい(未満の)時間である。
Figure 2023045230000012
一方、選択する情報通信の組の間隔については、L[n]未満の場合には、式10のように求めようとしても、周波数偏差の影響が現れず、周波数偏差が1、つまり偏差無しになってしまう。よって、情報通信の送受信タイミングから周波数偏差を観測するには、L[n]以上の時間を隔てた情報通信の組を選択する必要がある。すなわち、タイミングmとタイミングnの間隔時間は、所定時間以上の時間(所定時間以上経過した時間)、つまり伝搬時間に周波数偏差の影響が表れる最小時間L[n]以上の時間である。
[n]も時々刻々と変化して直接求めることはできないが、クロック20の許容周波数偏差をeとすれば、同種のクロック20を使用する装置間の見かけの周波数偏差の絶対値は、|2e|を超えることはない。このため、L[n]=T/|2e|を情報通信の組の選択基準とする。この基準により選択したタイミングmとタイミングnの情報通信から、2つの式(10)を得て、これらの2つの式から、式(12)の通り、周波数比rb/a[n,m]を求めることができる。
Figure 2023045230000013
この基準により選択したタイミングmとタイミングnの情報通信から、式(10)に基づいて2つの式を得る。1つの式は、タイミングnについての式であり、上記の式(10)で示したtb,R[n]の通りである。もう1つの式(10)´は、タイミングmについての式であり、上記の式(10)のnをmとしたtb,R[m]=ta,r[m]+gb/a[m]+db/a[m]となる。このため、式(10)から式(10)´を引く、つまりtb,R[n]-tb,R[m]をすると、式(12)の通り、周波数比rb/a[n,m]を求める式ができる。
しかし、式(12)の分子の後半の項である伝搬時間の変動(db/a[n]-db/a[m])は、直接観測することができず、周波数偏差の誤差として含まれてしまう。このため、(db/a[n]-db/a[m])がゼロとなりキャンセルされれば、理想的な周波数偏差を求めることができる。
ここで、この誤差を最少化するために、式(12)を得た2つの式(10)、式(10)´より、式(13)を得る。
Figure 2023045230000014
図10に示すように、タイミングmに対して、周波数偏差の影響が表出しない時間kL(上記の所定時間)以内を隔てたタイミングm+m´までにm´+1回の情報通信を行う。つまり、短時間でバースト的に通信を行う。ここで、kは、時刻同期システムの要求精度に応じて設定可能な正の係数とする。同様に、タイミングnに対して、周波数偏差の影響が表出しない時間kL以内を隔てたタイミングn+n´までにn´+1回の情報通信を行う。つまり、短時間でバースト的に通信を行う。
これらのタイミングmに関する情報通信の集合から、1つ取り出した情報通信のタイミングをmとし、タイミングnに関する情報通信の集合から、1つ取り出した情報通信のタイミングをnとする。それらの情報通信を用いて、式(13)を求めた場合、時差の変動(gb/a[n]-gb/a[m])は、同一の値を取るものと見做せる。つまり、式(13)の左辺の後半の項(gb/a[n]-gb/a[m])は一定の値であって、変動しないものと見做すことができる。このため、式(13)の右辺を最少化できれば、左辺の前半の項(db/a[n]-db/a[m])について最少化できると考えられる。ここで、式(13)の右辺は、受信間隔時間と送信間隔時間との差分である。
以下、式(13)の左辺の前半の項をd差分(伝搬時間の変動による差分)と称し、後半の項をg差分(時差の変動による差分)と称する。ここで、d差分とg差分とは、情報通信の送受信タイミングを用いる操作のみでは、分離して観測することはできない。ここで、一般的には、非同期な状態ではg差分がd差分を上回り、同期途中でg差分とd差分が同等となり、同期が安定するとg差分がd差分を下回るように推移する。そこで、d差分とg差分の大小関係を仮想的に分類して、d差分による式(12)の誤差を整理する。
g差分の絶対値がd差分の絶対値よりも大きく支配的である場合、例えば、それらの比が10以上である場合、いかなるmとnを選択しても、d差分オーダーの誤差を伴って、式(13)は一定の値を取り、式(12)から周波数比を求めることができる。すなわち、周波数偏差の粗調が可能である。
一方、d差分の絶対値がg差分の絶対値よりも大きく支配的である場合、例えば、それらの比が10以上である場合、すべてのmとnの組み合わせである(m´+1)(n´+1)組の式(13)を求めて、それらの集合から、右辺が最少となる組み合わせを選択すれば、|db/a[n]-db/a[m]|も最小と見做すことができる。すなわち、式(12)から周波数比rb/a[n,m]を誤差最小で求めることができる。つまり、伝搬時間の誤差が最少である組み合わせに基づいて、周波数比を得ることができる。
但し、d差分の絶対値とg差分の絶対値が同程度の大きさである場合、式(13)の右辺を最少化する操作は、実際の周波数比によらず、式(12)を1に近づけてしまい、情報通信装置1間のクロック20の周波数偏差が無いものと誤る。
ここで、m´とn´を同程度として、タイミングmとタイミングnの近傍で、それぞれ情報通信を行う。このとき、タイミングmの近傍で求まる式(14)の集合{Sb/a[m+k]|0≦k≦m´}の確率密度分布などの統計量と、タイミングn近傍で求まる式(14)の集合{Sb/a[n+k]|0≦k≦m´}の確率密度分布などの統計量とは、通信経路又は通信経路上のネットワーク装置の特性が不連続に切り替わらない限り、相関があると言える。なお、ここで言う統計量とは、例えば、確率密度分布の他、平均値や中央値、最小値や最大値、相互相関に関する量などが挙げられる。また、ここで言うタイミングm、nの近傍とは、例えば、タイミングm又はタイミングnから上記の所定時間内、つまり最小時間Lg[n]未満の時間である。
Figure 2023045230000015
すなわち、図11に示すように、タイミングm近傍のSb/a[m+k]の集合による確率密度分布と、タイミングn近傍のSb/a[n+k]の集合による確率密度分布とは、相関はあるが、情報通信装置1間のクロック周波数偏差の影響で、gb/a[n]-gb/a[m]のシフトを生じる。このシフトの影響で、式(13)の最小な右辺を求めても、|db/a[n]-db/a[m]|を最小化することができない。
このシフトをキャンセルするため、タイミングmとタイミングnの近傍において、Sb/a[*]の集合の統計量f[*]を、最適化問題(15)を解くxとして求める。ここで、Uは、時刻同期システムに応じたパラメータである。
Figure 2023045230000016
求められた統計量f[n]、f[m]の差(f[n]-f[m])は、時差の変動(gb/a[n]-gb/a[m])の推定量であるため、式(13)を式(16)の通り、時差の変動をキャンセルするように変形すれば、右辺を最小化するn,mの組み合わせを選択することで、|db/a[n]-db/a[m]|も最小とみなすことができる。すなわち、式(12)の周波数比rb/a[n,m]を誤差最小で求めることができる。
Figure 2023045230000017
なお、直接(f[n]-f[m])から、式(17)を用いて、周波数偏差eb/a[n,m]を推定してもよい。
Figure 2023045230000018
また、これら統計量を求めるのに先立ち、相関の連続性を検証してもよい。すなわち、タイミングmとタイミングnの近傍におけるSb/a[*]の集合の確率密度分布同士の相互相関関数が、不連続に変化したか判定してもよい。不連続に変化した場合、通信経路又は通信経路上のネットワーク装置の特性が不連続に切り替わった、又は通信路のトラフィックに変化が生じたと考えられるため、この場合には、周波数偏差を求めて補正する制御を抑制する。
同期制御部80は、式(12)又は式(17)から求められた周波数偏差が0となるように、スレーブ装置CLbのクロック発振周波数又は時計30の駆動周波数をフィードバック制御することができる。これにより、マスター装置CLaに対するスレーブ装置CLbの周波数同期が可能となり、時刻同期における時間計算の誤差を低減できる。
[伝搬時間変動下での時差の推定]
次に、時差演算部79による時差の演算を説明する(ステップS106)。上記のように、|db/a[n]-db/a[m]|を最小化する操作と式(12)により、情報通信装置1間の周波数偏差を推定できたため、周波数同期を行うことで、情報通信装置1間のクロック20の時差を一定に保つことができる。すなわち、式(8)の時差ベクトルgを、両要素の絶対値が等しく(gb/a=ga/b)、伝搬時間成分の誤差が最少の状態に保つことができる。これは、図8のベクトル図において、時差ベクトルgについては、図7に示すように誤差が無い状態とほぼ同様である。
なお、タイミングm、nからの同期情報の送信を所定時間内(L[n]未満の短時間)に行うことを条件とすれば、周波数偏差への影響は表出しない程度であり、時差の誤差は僅かと言える。このため、上述の周波数偏差の推定とこれに基づく同期の処理は必須ではない。つまり、上述の周波数偏差の推定と同期処理が行われなくても、以下に述べる時差の推定は可能である。従って、例えば、本実施形態の周波数偏差演算部78を省略した構成とすることも可能である。なお、タイミングm、nからの同期情報の送信を所定時間以上行う場合等は、他の方法による周波数偏差の推定を行うことが考えられる。
以上のことから、式(8)で同期状態ベクトルsを求める場合、伝搬時間の変動のみを考慮すればよいことになる。ここで、情報通信の伝搬時間の変動要因には、ネットワーク上の他の通信のパケット通信量が挙げられる。パケット通信時間は離散的であるため、伝搬時間の変動も離散的であり、情報通信の組を変えて、繰り返し式(8)を求めた場合、同期状態ベクトルsは、g-d平面上で、図12に示すように、+π/4回転した格子状に配置される。
つまり、時差ベクトルgについては、誤差は最小であることを前提として、複数の情報通信の集合において観測できるのは、同期状態ベクトルsのみであって、それらをプロットした点を図12に示す。なお、同期状態ベクトルsの観測は、上記のように、4つの送受信タイミングを計測して、式(6)の左辺、つまり式(8)の左辺を求めることに相当する。式(8)で同期状態ベクトルsが求まるような双方向の通信を、短時間、つまり他の通信による割り込みを排除でき、周波数偏差が表出しない所定時間内に行う。この時間は、例えば、最小時間Lg[n]未満の時間である。これは、情報通信を、短期間にバースト的に連続して行うことにより、他の通信による割り込みをさせずに、同期のための通信を連続させる状況を多数作り出すためである。
このような時刻同期に用いる情報通信を短期間に連続して行った場合、複数の通信による順番待ちを排除して、他通信による伝搬時間の変動を受けない、伝搬時間が一定な同期状態ベクトルsが求まるタイミングがある。これらのタイミングが、図12に示したgの軸に垂直な点線に載った点である。
このような同期状態ベクトルsの集合は、時差成分の誤差は最小であり、伝搬時間は対称的であるとみなせ、各ベクトルの要素gは一定の値gに近づく。この値gが、すなわち、時差の推定値となる。
但し、時差の推定値gを求めるにあたり、単に同期状態ベクトルsの要素gの平均を求めるだけでは、図12に示すように、同期状態ベクトルsの配置には偏りがあるため、正しく推定できない。
そこで、例えば、短期間に連続して行った情報通信の集合から求められる同期状態ベクトルs[k]の要素g[k]とのg-d平面上のg成分の変数xとの距離(g[k]-x)に着目したとき、評価関数Σk(g[k]-x)を最少化するxを求める最適化問題を解くことで、時差の推定値gを求めることができる。平均を求めるのではなく、距離(g[k]-x)の4乗を合計して行き、長い距離にペナルティを与えて、短い距離のペナルティを少なくすることにより、同期状態ベクトルsが最も数が多く集合している直線(ライン)を求めることができる。図12の例では、垂直な点線(直線)に対応する値が、時差の推定値gとなる。最適化問題を解く式は、式(15)の形式であってもよい。
スレーブ装置CLbの同期制御部80は、求めた時差gが0となるように、クロック周波数又は時刻を繰り返し調整することにより、マスター装置CLaに対して時刻同期する。
[非対称な通信経路における時差の推定]
上記の図6で示した通り、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbが接続されるネットワークシステムによっては、定常的に伝搬時間が非対称となる場合がある。これは、例えば、通信の上り(スレーブ→マスター)と下り(マスター→スレーブ)のトラフィック量の相違が要因となる。
双方向の通信経路における伝搬時間の定常的な非対称性は、上記の式(8)の伝搬時間ベクトルdへ常に時差成分の誤差を付加し、求められた同期状態ベクトルsの時差成分のオフセット(誤差によるずれ)を招く。すなわち、非対称性は、同期位相に定常的なずれを生じさせることになる。
時差の非対称性に関しては、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbの間のクロック20の周波数偏差が表出しない所定時間内、つまり、上記の式(11)で示した最小時間L[n]未満の時間に、同期状態ベクトルsを求めれば、通信の上りと下りで時差は同一となり、対称とみなすことができる。さらに、上記の式(15)で示した最適化問題を解く一連の操作で、装置間の時計30の周波数同期を行うなどすれば、式(11)の分母が非常に小さくなるように制御できるので、時差が対称的である期間を増大させることができる。
このような非対称な通信経路に対応して、時差演算部79が時差を演算するため、図13に示すように、マスター装置CLa、スレーブ装置CLbの双方から、バースト的に情報を送信する。情報のバースト送信は、時差の対称性を確保するため、所定時間内、つまりLg[n]未満の時間に行われるものとする。なお、図13では、片方向毎に順次バースト送信を行っているが、バースト送信を双方向から同時(例えば、共通の所定時間内)に行うこともできる。また、図13では、各方向ともバースト送信の回数を、タイミングnからタイミングn+n´までn´+1回の同一としているが、各方向で同一回数としなくてもよい。つまり、マスター装置CLa、スレーブ装置CLb毎に送信回数が異なっていてもよい。
ここで、式(14)と同様に、上り方向の送受信タイミングの差を、式(18)の通り表す。このとき、下り方向のバースト送信で得られるSb/a[k]の集合を、Sb/a(n,n´)={Sb/a[n+k]|0≦k≦n´}とし、上り方向のバースト送信で得られるSa/b[k]の集合を、Sa/b(n,n´)={Sa/b[n+k]|0≦k≦n´}とする。
Figure 2023045230000019
これらの集合の分散を求め、その大小に応じて時差の推定方向を選択すると、精度良く時差を推定することができる。すなわち、Sb/a(n,n´)の分散VAR[Sb/a(n,n´)]がTb/a以下、且つSa/b(n,n´)の分散VAR[Sa/b(n,n´)]がTa/b以下である場合は、以下のように時差推定方法1を選択し、それ以外の場合には、後述する時差推定方法2を選択する。なお、Tb/a及びTa/bは、通信経路のトラフィックや時刻同期品質に応じて定める値である。つまり、分散VAR[Sb/a(n,n´)]がTb/a超える、且つ分散VAR[Sa/b(n,n´)]がTa/bを超える場合には、伝搬時間が非対象の程度が所定の基準を超えていると言える。
時差推定方法1を選択した環境においては、Sb/a(n,n´)及びSa/b(n,n´)のばらつきが小さく、通信経路のトラフィックが安定していると言える。このような環境では、伝搬時間成分が最小の同期状態ベクトルsを選択し、その時差成分を時差として、推定すればよい。
すなわち、Sb/a(n,n´)とSa/b(n,n´)から、一つずつ要素を取り出し、式(8)から、同期状態ベクトルを求める操作を、すべての要素の組み合わせについて行い、以下の式(19)の同期状態ベクトルsの集合Sを求める。そして、集合Sから伝搬時間成分が最小の同期状態ベクトルsを選択する。
Figure 2023045230000020
時差推定方法2を選択した環境においては、Sb/a(n,n´)とSa/b(n,n´)のばらつきが大きい。つまり、通信経路のトラフィックが不安定であり、伝搬時間が非対称となり得る。このような環境では、伝搬時間の非対称性を推定し、同期状態ベクトルsから、時差成分のオフセットを取り除く必要がある。
そのために、まず、図14に示すように、時差推定方法1と同様に、式(19)で同期状態ベクトルの集合Sを求め、その重心cを求める。ここで、a=(g,0)としたときの重心cと点aを通る直線(ライン)l=a+t(c-a)を、伝搬時間基線と称する。aのg成分gは変数である。
集合Sの各要素sと、伝搬時間基線lとのユークリッド距離の総和が最小となるような伝搬時間基線lを求めるため、以下の式(20)の最適化問題を解く。
Figure 2023045230000021
なお、図14は単純な集合Sに簡素化して表現しているが、Sb/a(n,n´)とSa/b(n,n´)の確率密度分布は、時差推定方法2を選択した環境では異なることが一般的であると言える。このため、たとえ集合Sの分布形状が長方形であったとしても、求まる重心cは長方形の中心と一致するとは限らない。集合Sの分布形状によらず、その重心が式(20)の制約条件に示した演算によりcとして求まる。
式(20)の最適化問題を解いて求まる伝搬時間基線lは、同期状態ベクトルsを構成する要素である伝搬時間ベクトルd上に乗る直線に対応する。但し、時差ベクトルgが加算されているため、伝搬時間ベクトルdからはシフトしている。
すなわち、式(20)から求まった伝搬時間基線lの要素であるaのg成分を、時差として推定することができる。なお、伝搬時間基線lが複数求まるケースでは、||a||が最小となる伝搬時間基線lを選択すればよい。
これらの時差推定方法1、2から求められた時差が0となるように、スレーブ装置CLbのクロック発振周波数若しくは時計の駆動周波数をフィードバック制御することで、マスター装置CLaに対するスレーブ装置CLbの時刻同期が可能となり、伝搬時間の非対称性による誤差を低減できる。
[効果]
(1)本実施形態は、複数の情報通信装置1が、マスター装置CLa又はスレーブ装置CLbとして情報の通信を行う情報通信システム100であって、マスター装置CLa及びスレーブ装置CLbとの間で、所定時間内に行われた複数の情報通信である情報通信の集合において、時差の誤差が最少であって、最も数が多い集合に対応する時差を求める時差演算部79と、時差演算部79により求められた時差に基づいて、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbのクロック周波数又は時刻を同期させる同期制御部80と、を有する。
また、本実施形態は、他の情報通信装置との情報の通信を行う情報通信装置1であって、他の情報通信装置との間で、所定時間内に行われた複数の情報通信である情報通信の集合において、時差の誤差が最少であって、最も数が多い集合に対応する時差を求める時差演算部79と、時差演算部79により求められた時差に基づいて、クロック周波数又は時刻を同期させる同期制御部80と、を有する。
より具体的には、時差演算部79は、複数の情報通信の集合における時差と伝搬時間を要素とする同期状態ベクトルが、最も数が多く集合している直線に対応する時差を求める。
これにより、伝搬時間が時々刻々と変動する環境下においても、伝搬時間の対称性があり誤差が最小の時差を求めて、精度の良い同期制御が可能となる。つまり、伝搬時間の変動を吸収し、伝搬時間の対称性を評価して、誤差を低減した同期制御が可能となる。これにより、PTPの時刻同期システムにおけるBCやTCのように時刻同期に対応した特定のネットワーク中継装置を用いることなく、精度の良い時刻同期を行うことができる。つまり、PTPの時刻同期システムを利用しつつ、BCやTCを不要としながら、システムが要求する所望の精度での時刻同期が可能となる。
(2)時差演算部79は、双方向の通信における伝搬時間が非対象の程度が所定の基準を超える場合に、複数の情報通信の集合において、時差と伝搬時間を要素とする同期状態ベクトルの集合の重心を通る直線に対応する時差を求めることもできる。これにより、非対称な通信経路においても、誤差が最小の時差を求めて、精度の良い同期制御が可能となる。
(3)所定時間は、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbとの間の情報の伝搬時間に、周波数偏差の影響が表れる最小の間隔時間である。これにより、周波数偏差の影響が排除された情報通信の集合に基づいて、誤差が最小となる時差を求めることができる。
(4)本実施形態の情報通信システム100は、マスター装置CLa及び前記スレーブ装置CLbとの間で、第1のタイミングに対して、所定時間内に行われた複数の情報通信である第1の情報通信の集合と、第1のタイミングから所定時間以上の第2のタイミングに対して、所定時間内に行われた複数の情報通信である第2の情報通信の集合において、送信間隔時間及び受信間隔時間を演算する間隔時間演算部76と、第1の情報通信の集合と第2の情報通信の集合から、受信間隔時間と送信間隔時間との差分が、最小となる情報通信の組を選択する選択部77と、選択部77により選択された情報通信の組に基づいて、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbとのクロック周波数の偏差を求める周波数偏差演算部78とを有し、同期制御部80は、周波数偏差演算部78により求められたクロック周波数の偏差に基づいて、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbのクロック周波数又は時刻を同期させる。
また、本実施形態の情報通信装置1は、第1のタイミングに対して、所定時間内に行われた複数の情報通信である第1の情報通信の集合と、前記第1のタイミングから所定時間以上の第2のタイミングに対して、所定時間内に行われた複数の情報通信である第2の情報通信の集合において、送信間隔時間及び受信間隔時間を演算する間隔時間演算部76と、第1の情報通信の集合と第2の情報通信の集合から、送信間隔時間と受信間隔時間との差分が、最小となる情報通信の組を選択する選択部77と、選択部77により選択された情報通信の組に基づいて、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbとのクロック周波数の偏差を求める周波数偏差演算部78と、を有し、同期制御部80は、周波数偏差演算部78により求められたクロック周波数の偏差に基づいて、マスター装置CLaとスレーブ装置CLbのクロック周波数又は時刻を同期させる。
このように、異なるタイミングにおいて観測可能な送信時刻及び受信時刻から算出できる送信間隔時間、受信間隔時間に基づいて、その差分が最小の情報通知の組を選択することにより、誤差が最小化された周波数偏差を求めることができるので、周波数の変動により伝搬時間が時々刻々と変動する環境下においても、伝搬時間の変動を吸収し、伝搬時間の対称性を評価して、誤差を低減した同期制御が可能となる。これにより、PTPの時刻同期システムにおけるBCやTCのように時刻同期に対応した特定のネットワーク中継装置を用いることなく、精度の良い時刻同期を行うことができる。つまり、PTPの時刻同期システムを利用しつつ、BCやTCを不要としながら、システムが要求する所望の精度での時刻同期が可能となる。
(5)周波数偏差演算部78は、第1のタイミングに対して所定時間内の情報通信の集合に基づく統計量と、第2のタイミングに対して所定時間内の情報通信の集合に基づく統計量との差分に基づいて、時差の変動をキャンセルして、クロック周波数の偏差を求める。このため、時差の変動による差分が、伝搬時間の変動による差分と同程度に大きい場合であっても、精度の良い同期制御が可能となる。
(6)周波数偏差演算部78は、第1のタイミングに対して所定時間内の情報通信の集合に基づく統計量と、第2のタイミングに対して所定時間内の情報通信の集合に基づく統計量との差分に基づいて、クロック周波数の偏差を求める。このため、統計量の差分から直接的に周波数の偏差を求めることができる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
1 情報通信装置
10 通信部
11 送信器
12 受信器
13 送信タイミング検出部
14 受信タイミング検出部
20 クロック
30 時計
50 記憶部
60 外部インターフェイス
70 制御部
71 主制御部
72 送受信データI/F
73 通信制御部
74 スケジューラ
75 時刻記録部
76 間隔時間演算部
77 選択部
78 周波数偏差演算部
79 時差演算部
80 同期制御部
81 タイミング情報参照部
100 情報通信システム

Claims (10)

  1. 複数の情報通信装置が、マスター装置又はスレーブ装置として情報の通信を行う情報通信システムであって、
    前記マスター装置及び前記スレーブ装置との間で、所定時間内に行われた複数の情報通信である情報通信の集合において、時差の誤差が最少であって、最も数が多い集合に対応する時差を求める時差演算部と、
    前記時差演算部により求められた時差に基づいて、前記マスター装置と前記スレーブ装置のクロック周波数又は時刻を同期させる同期制御部と、
    を有することを特徴とする情報通信システム。
  2. 前記時差演算部は、前記複数の情報通信の集合における時差と伝搬時間を要素とする同期状態ベクトルが、最も数が多く集合している直線に対応する時差を求めることを特徴とする請求項1記載の情報通信システム。
  3. 前記時差演算部は、双方向の通信における伝搬時間が非対象の程度が所定の基準を超える場合に、前記複数の情報通信の集合において、時差と伝搬時間を要素とする同期状態ベクトルの集合の重心を通る直線に対応する時差を求めることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の情報通信システム。
  4. 前記所定時間は、前記マスター装置と前記スレーブ装置との間の情報の伝搬時間に、周波数偏差の影響が表れる最小の間隔時間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報通信システム。
  5. 前記マスター装置及び前記スレーブ装置との間で、第1のタイミングに対して、前記所定時間内に行われた複数の情報通信である第1の情報通信の集合と、前記第1のタイミングから前記所定時間以上の第2のタイミングに対して、前記所定時間内に行われた複数の情報通信である第2の情報通信の集合において、送信間隔時間及び受信間隔時間を演算する間隔時間演算部と、
    前記第1の情報通信の集合と前記第2の情報通信の集合から、前記受信間隔時間と前記送信間隔時間との差分が、最小となる情報通信の組を選択する選択部と、
    前記選択部により選択された情報通信の組に基づいて、他の情報通信装置との間のクロック周波数の偏差を求める周波数偏差演算部と、
    を有し、
    前記同期制御部は、前記周波数偏差演算部により求められたクロック周波数の偏差に基づいて、クロック周波数又は時刻を同期させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報通信システム。
  6. 他の情報通信装置との情報の通信を行う情報通信装置であって、
    他の情報通信装置との間で、所定時間内に行われた複数の情報通信である情報通信の集合において、時差の誤差が最少であって、最も数が多い集合に対応する時差を求める時差演算部と、
    前記時差演算部により求められた時差に基づいて、クロック周波数又は時刻を同期させる同期制御部と、
    を有することを特徴とする情報通信装置。
  7. 前記時差演算部は、前記複数の情報通信の集合における時差と伝搬時間を要素とする同期状態ベクトルが、最も数が多く集合している直線に対応する時差を求めることを特徴とする請求項6記載の情報通信装置。
  8. 前記時差演算部は、双方向の通信における伝搬時間が非対象の程度が所定の基準を超える場合に、前記複数の情報通信の集合において、時差と伝搬時間を要素とする同期状態ベクトルの集合の重心を通る直線に対応する時差を求めることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の情報通信装置。
  9. 前記所定時間は、他の情報通信装置との間の情報の伝搬時間に、周波数偏差の影響が表れる最小の間隔時間であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の情報通信装置。
  10. 他の情報通信装置と情報の通信を行う情報通信装置であって、
    第1のタイミングに対して、所定時間内に行われた複数の情報通信である第1の情報通信の集合と、前記第1のタイミングから前記所定時間以上の第2のタイミングに対して、前記所定時間内に行われた複数の情報通信である第2の情報通信の集合において、送信間隔時間及び受信間隔時間を演算する間隔時間演算部と、
    前記第1の情報通信の集合と前記第2の情報通信の集合から、前記送信間隔時間と前記受信間隔時間との差分が、最小となる情報通信の組を選択する選択部と、
    前記選択部により選択された情報通信の組に基づいて、他の情報通信装置との間のクロック周波数の偏差を求める周波数偏差演算部と、
    を有し、
    前記同期制御部は、前記周波数偏差演算部により求められたクロック周波数偏差に基づいて、クロック周波数又は時刻を同期させることを特徴とする6乃至9のいずれかに記載の情報通信装置。
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